JP6194586B2 - 合成樹脂製の滑り軸受 - Google Patents

Description

本発明は、合成樹脂製の滑り軸受、特に、四輪自動車におけるストラット型サスペンション（マクファーソン式）の滑り軸受として組込まれて好適な合成樹脂製の滑り軸受に関する。

一般に、ストラット型サスペンションは、主として四輪自動車の前輪に用いられ、主軸と一体となった外筒の中に油圧式ショックアブソーバを内蔵したストラットアッセンブリにサスペンションコイルばねを組合せたものである。斯かるサスペンションは、ストラットの軸線に対してサスペンションコイルばねの軸線を積極的にオフセットさせ、ストラットに内蔵されたショックアブソーバのピストンロッドの摺動を円滑に行わせる構造のものと、ストラットの軸線に対してサスペンションコイルばねの軸線を一致させて配置させる構造のものとがある。いずれの構造においても、ステアリング操作によりストラットアッセンブリがサスペンションコイルばねと共に回転する際、当該回転を円滑に行わせるべく車体への取付部材とサスペンションコイルばねの上部ばね座部材との間に、ボール若しくはニードルを使用したころがり軸受又は合成樹脂製の滑り軸受が配されている。

特開２００４−２９３５８９号公報 特開２００９−２５０２７８号公報

ところで、上記軸受が配される上部ばね座部材は通常、板金製であるために比較的重く、また板金製の上部ばね座部材には防錆用の塗装を施す必要があるため、自動車の足回りの軽量化、低価格化を図るべく高価なころがり軸受に代えて合成樹脂製の滑り軸受を用いても上部ばね座部材の重量、製造費、組付け費用等によって斯かる軽量化、低価格化には限界がある。

特許文献１においては、車体側の車体側座面及び環状下面を有した合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに当該上部ケースの軸心回りで回転自在となるように重ね合わされると共に上部ケースの環状下面に対面した環状上面を有した補強繊維を含む強化合成樹脂製の下部ケースと、環状下面及び環状上面間に介在されている合成樹脂製の環状のスラスト滑り軸受片と筒状のラジアル軸受片とを具備しており、車体側座面及びスラスト滑り軸受片よりも外周側の下部ケースの部位には、サスペンションコイルばね用のばね座面が一体的に形成されている滑り軸受が提案されている。

また、特許文献２においては、車体側用の車体側座面及び環状下面を有した合成樹脂製の上部ケースと、環状下面に対面する環状上面及びサスペンションコイルばね用のばね座面が一体的に形成されていると共に上部ケースの軸心回りで回転自在となるように当該上部ケースに重ね合わされる補強繊維を含む強化合成樹脂製の下部ケースと、環状下面及び環状上面間の環状隙間に配されると共に環状下面及び環状上面のうちの少なくとも一方に摺動自在に接触する環状のスラスト滑り軸受面を有したスラスト滑り軸受片とを具備しており、車体側座面、スラスト滑り軸受面及びばね座面は、軸方向において互いに並んで配されているスラスト滑り軸受が提案されている。

これらの滑り軸受によれば、補強繊維を含む強化合成樹脂製の下部ケースにサスペンションコイルばね用のばね座面を有しているため、板金製のばね座部材を省略することができ、板金製の上部ばね座部材に起因する重量増加及び板金製の上部ばね座部材の製造、塗装及び組付け等に起因する価格増加をなくし得て、自動車の足回りの軽量化、低価格化を図ることができる。

しかしながら、上記滑り軸受の摺動相手面の一方である下部ケースは、ガラス繊維等の補強充填材を含有した強化合成樹脂で形成されているので、合成樹脂製の滑り軸受と当該下部ケースとの間で摺動すると、摺動性が低下し、ステアリング操作の円滑性を低下させるという不具合を生じる虞がある。

本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、合成樹脂製の滑り軸受と強化合成樹脂製の下部ケースとの間の摺動を阻止して摺動性の低下を回避し、円滑なステアリング操作を維持することができる合成樹脂製の滑り軸受を提供することにある。

本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに対して軸心の回りで回転自在となるように、当該上部ケースに重ね合わされている強化合成樹脂製の下部ケースと、上部ケース及び下部ケース間に配されている合成樹脂製の滑り軸受片とを具備しており、上部ケースは、円環状下面を有する円環状の上部ケース基部と、上部ケース基部の円環状下面の径方向の内周端部から垂下した内周側円筒垂下部と、上部ケース基部の円環状下面の径方向の外周端部から垂下した外周側円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の下端部から径方向の外方に伸びた円環状上平面部と、円環状上平面部の径方向の外周端部から垂下した環状係合垂下部と、環状係合垂下部の下部の径方向の内面から径方向の内方に膨出すると共に環状の傾斜係合面を有した係合膨大部とを具備しており、下部ケースは、円環状上面及び円筒内周面を有した円環状の下部ケース基部と、下部ケース基部の円筒内周面に連接する円筒内周面を有すると共に下部ケース基部の径方向の内周側の端部下面から下方に突出した円筒突出部と、下部ケース基部の円環状上面から上方に突出した環状突出部と、下部ケース基部の径方向の外周下端部から径方向の外方に伸びた円環状下平面部と、円環状下平面部の径方向の外周端部から上方に突出した環状被係合突出部と、環状被係合突出部の上部の径方向の外面から径方向の外方に膨出すると共に環状の傾斜被係合面を有した被係合膨大部と、環状突出部の環状上面に該環状上面で開口すると共に環状上面から下方に伸びた少なくとも一つの係合穴部とを具備しており、滑り軸受片は、円環状の上面及び円環状の下面並びに円環状の下面から下方に突出すると共に下部ケースの係合穴部に嵌挿された少なくとも一つの係合突出部を有している円環状のスラスト滑り軸受片部と、スラスト滑り軸受片部の一端部から下方に伸びて当該一端部に一端部で一体的に形成されていると共に円筒内周面及び円筒外周面を有した円筒状のラジアル滑り軸受片部とを具備しており、且つ、スラスト滑り軸受片部の円環状の上面を上部ケース基部の円環状下面に摺動自在に接触させると共にスラスト滑り軸受片部の円環状の下面を環状突出部の環状上面に接触させる一方、ラジアル滑り軸受片部の円筒内周面を下部ケース基部の円筒外周面及び環状突出部の円筒外周面に接触させると共にラジアル滑り軸受片の円筒外周面を外周側円筒垂下部の円筒内周面に摺動自在に接触させて、上部ケース及び下部ケース間に配されており、上部ケースは、その傾斜係合面を下部ケースの傾斜被係合面に弾性装着させて下部ケースに組み合わされている。

斯かる滑り軸受によれば、滑り軸受片は、スラスト滑り軸受片部の円環状の下面の係合突出部が下部ケース基部の環状突出部の係合穴部に嵌挿されていることにより、下部ケースに対して軸心の回りの円周方向の回転が拘束されて、下部ケースに固定される結果、スラスト滑り軸受片部の円環状の上面と上部ケース基部の円環状下面との間の摺動特性に優れた合成樹脂同士の摺動とラジアル滑り軸受片部の円筒外周面と外周側円筒垂下部の円筒内周面との間の摺動特性に優れた合成樹脂同士の摺動とに限定されるので、円滑なステアリング操作が行われる。

本発明の合成樹脂製の滑り軸受においては、上部ケースは、外周側円筒垂下部の円筒内周面に連接する円筒内周面を有すると共に円環状上平面部の径方向の内周端部から垂下した内側環状垂下部と、内側環状垂下部の径方向の外周面と円環状上平面部の円環状下面と協働して径方向の内方に内側環状凹部を形成すると共に環状係合垂下部の径方向の内周面と円環状上平面部の円環状下面と協働して径方向の外方に外側環状凹部を形成するように、円環状上平面部の円環状下面から垂下する外側環状垂下部とを更に具備していてもよく、下部ケースは、下部ケース基部の円筒外周面と円環状下平面部の円環状上面と協働して径方向の内方に内側環状凹部を形成すると共に環状被係合突出部の径方向の内周面と円環状下平面部の円環状上面と協働して外側環状凹部を形成するように、円環状下平面部の円環状上面から上方に突出した環状突起部と、下部ケース基部の円環状上面の径方向の内方の端部及び当該端部に隣接した環状突出部の円筒内周面により形成された環状段差部とを更に具備していてもよく、これらの場合には、本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、上部ケースの内側環状垂下部及び外側環状垂下部と下部ケースの環状突起部と夫々径方向に重畳させ傾斜係合面を傾斜被係合面に弾性装着させて、上部ケースの内側環状垂下部及び外側環状垂下部と下部ケースの環状突起部との重畳部及び傾斜係合面と傾斜被係合面との弾性装着部にラビリンス作用をなす密封部を形成してなっていてもよい。

斯かる滑り軸受によれば、滑り軸受の外周側にラビリンス作用をなす密封部が形成されることにより、外周側からスラスト滑り軸受片部の環状上面と上部ケース基部の円環状下面との摺動面及びラジアル滑り軸受片部の円筒外周面と上部ケースの外周側円筒垂下部の円筒内周面との間の摺動面への塵埃等の侵入を防止することができる。

本発明の合成樹脂製の滑り軸受において、下部ケースは、下部ケース基部の円環状下平面部の外周端部から環状係合突出部の傾斜係合面に連通して一体的に径方向の外方に伸びる環状平板部を更に具備していてもよい。

斯かる滑り軸受によれば、上部ケースの環状係合垂下部と下部ケースの環状被係合突出部との弾性装着部が環状平板部で覆われるので、当該弾性装着部の環状隙間から摺動面への塵埃等の侵入を一層防止することができる。

本発明の合成樹脂製の滑り軸受において、上部ケースの外周側円筒垂下部の円筒外周面と円環状上平面部の環状上面との間には、当該円筒外周面から円環状上面にかけて斜め下方に伸びる複数個の補強リブが円周方向に沿って配列されて形成されていてもよい。

斯かる滑り軸受によれば、円環状上平面部は、複数個の補強リブによってその曲げ強度が高められる結果、弾性装着部の環状隙間を長期に亘って一定に保持できる。

本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、円筒部と、円筒部の一方の端部から径方向の外方に伸びた環状鍔部とを有した金属製の補強部材を更に具備していてもよく、この場合、下部ケースは、円筒突出部の環状下端面に形成された環状凹溝を更に具備しており、環状凹溝が形成された円筒突出部の円筒外周面の端部は、環状下端面に向かうに従って径方向の外方に漸次拡がる環状テーパ面として形成されており、金属製の補強部材は、その円筒部の円筒内周面を円筒突出部の円筒外周面に接触させ、その環状鍔部の上面を下部ケース基部の円環状下面及び円環状下平面部の環状下面に接触させて、下部ケースに装着されており、該補強部材は、その円筒部において、環状凹溝が形成された円筒突出部の端部の環状テーパ面として形成されていると共に径方向の外方に拡径した円筒外周面の端部により、円筒突出部に対して下方向に抜け止めされているとよい。

斯かる例の滑り軸受では、環状テーパ面をもった円筒突出部の端部には、環状凹溝により径方向に可撓性が付与されることになり、また、サスペンションコイルばねの受圧面となる円環状下平面部の円環状下面は、このような金属製の補強部材で補強されていることが好ましい。

更に、斯かる滑り軸受では、環状凹溝が円筒突出部の環状下面に形成されているので、円筒突出部の下端部での円筒外周面の易縮径性により補強部材の円筒部の円筒突出部への嵌挿を容易に行わせることができ、嵌挿後においては、下部ケース径方向の外方に拡径した円筒突出部の円筒外周面の端部により補強部材は下方に抜け止めされているので、滑り軸受をストラット型サスペンションの取付部材に取り付けるまでの間、当該補強部材と下部ケースとを一体に取り扱うことができるので、その取り扱いが容易となる。

滑り軸受片のスラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に径方向に少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部及び外側凹部を有していてもよく、斯かる内側凹部と外側凹部とは、互に円周方向に位相差をもって配列されていてもよく、また、ラジアル軸受片部は、上下方向の両端で開口していると共に円周方向に等間隔に離間してその円筒外周面に形成された複数個の軸方向溝を具備していてもよい。

複数個の内側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面及び該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、該内側円弧状壁面、該外側円弧状壁面及び該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されていてもよく、また複数個の外側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、当該内側円弧状壁面及び当該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、当該内側円弧状壁面、当該外側円弧状壁面及び当該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されていてもよい。

また、スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に互いに同心に径方向において少なくとも内側列と外側列との二列にわたって形成された円環状凹溝を有していてもよい。

内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合、円環状凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める円環状凹部の開口面の総面積の割合又は内側凹部及び外側凹部の開口面と円環状凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める内側凹部及び外側凹部の開口面と円環状凹部の開口面との総面積の割合は、好ましくは２０〜５０％、より好ましくは３０〜４０％である。

グリース等の潤滑油剤を保持するこれらの内側凹部及び外側凹部並びに円環状凹部において、上記の総面積の割合が、少なくとも２０％であるとよく、これが、５０％を超えるとスラスト滑り軸受片部の強度低下を来たし、クリープ等の塑性変形が生じやすくなる。

本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、好ましくは、四輪自動車におけるストラット型サスペンションの滑り軸受として用いられる。

上部ケースを形成する合成樹脂は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性合成樹脂であってもよく、また、下部ケースを形成する合成樹脂は、ガラス繊維、ガラス粉末、炭素繊維等の補強充填材を３０〜５０質量％含有したポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの強化熱可塑性合成樹脂であってもよく、滑り軸受片を形成する合成樹脂は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂を含むポリオレフィン樹脂などの熱可塑性合成樹脂などを好ましい例として挙げることができる。

本発明によれば、合成樹脂製の滑り軸受と強化合成樹脂製の下部ケースとの間の摺動を阻止して摺動性の低下を回避し、円滑なステアリング操作を維持することができる合成樹脂製の滑り軸受を提供することができる。

図１は、本発明の実施の形態の好ましい例の図２に示すＩ−Ｉ線矢視断面説明図である。 図２は、図１に示す例の平面説明図である。 図３は、図１に示す例の一部拡大断面説明図である。 図４は、図１に示す例の上部ケースの断面説明図である。 図５は、図１に示す例の下部ケースの断面説明図である。 図６は、図５に示す下部ケースのＶＩ−ＶＩ線矢視断面説明図である。 図７は、図６に示す下部ケースの一部拡大断面説明図である。 図８は、図１に示す例の上部ケースと下部ケースの弾性装着部の拡大断面説明図である。 図９は、図１に示す例の補強部材の平面説明図である。 図１０は、図９に示す補強部材のＸ−Ｘ線矢視断面説明図である。 図１１は、図１に示す例の補強部材と下部ケースの嵌挿部の拡大断面説明図である。 図１２は、図１に示す例の滑り軸受片の平面説明図である。 図１３は、図１に示す例の滑り軸受片の底面説明図である。 図１４は、図１２に示す滑り軸受片のＸＩＶ−ＸＩＶ線矢視断面説明図である。 図１５は、図１に示す滑り軸受片の一部拡大断面説明図である。 図１６は、図１に示す滑り軸受片の一部拡大断面説明図である。 図１７は、図１２に示す滑り軸受片のＸＶＩＩ−ＸＶＩＩ線矢視断面説明図である。 図１８は、図１に示す滑り軸受片の一部拡大断面説明図である。 図１９は、図１に示す滑り軸受片の斜視説明図である。 図２０は、図１に示す滑り軸受片の他の実施の形態の平面説明図である。 図２１は、図１に示す例をストラット型サスペンションに組み込んだ断面説明図である。

図１から図３において、四輪自動車におけるストラット型サスペンションに用いるための本例の合成樹脂製の滑り軸受１は、取付部材に対して車体側に固定される合成樹脂製の上部ケース２と、上部ケース２に対して軸心Ｏの回りで円周方向Ｒに回転自在となるように上部ケース２に重ね合わされている強化合成樹脂製の下部ケース３と、金属製の補強部材４と、上部ケース２及び下部ケース３間の空間Ｓに配されている合成樹脂製の滑り軸受片５とを具備している。

上部ケース２は、特に、図２及び図４に示すように、軸方向（上下方向）Ｙにおいて円環状下面６及び円環状上面７を有した円環状の上部ケース基部８と、上部ケース基部８の円環状下面６の径方向Ｘの内周端部９から垂下した内周側円筒垂下部１０と、上部ケース基部８の円環状下面６の径方向Ｘの外周端部１１から垂下した外周側円筒垂下部１２と、外周側円筒垂下部１２の下端部１３から径方向Ｘの外方に伸びていると共に円環状下面１５を有した円環状上平面部１４と、外周側円筒垂下部１２の円筒内周面１７に連接する円筒内周面１８を有すると共に円環状上平面部１４の径方向Ｘの内周端部１６から垂下した内側環状垂下部１９と、内側環状垂下部１９の径方向Ｘの外周面と円環状上平面部１４の円環状下面１５と協働して径方向Ｘの内方に内側環状凹部２０を形成するように、円環状上平面部１４の円環状下面１５から垂下した外側環状垂下部２１と、外側環状垂下部２１の径方向Ｘの外周面と円環状上平面部１４の円環状下面１５と協働して径方向Ｘの内方に外側環状凹部２２を形成するように、円環状上平面部１４の径方向Ｘの外周端部２３から垂下した環状係合垂下部２４と、環状係合垂下部２４の下部２５の径方向Ｘの内面から径方向Ｘの内方に膨出すると共に傾斜係合面２７を有した係合膨大部２６とを一体的に具備しており、而して、外側環状垂下部２１は、環状係合垂下部２４の径方向Ｘの内周面と円環状上平面部１４の円環状下面１５と協働して径方向Ｘの外方に外側環状凹部２２を形成するように、円環状上平面部１４の円環状下面１５から垂下している。

外周側円筒垂下部１２の円筒外周面２８と円環状上平面部１４の円環状上面２９とは、円筒外周面２８の下端部３０から円環状上面２９にかけて斜め下方に伸びる補強リブ３１で連結されており、補強リブ３１は、円周方向Ｒに沿って複数個配列されて形成されている。これらの補強リブ３１によって、円環状上平面部１４の曲げ強度の向上が図られている。

下部ケース３は、特に、図５から図７に示すように、円環状上面３２、円環状下面３４及び円筒内周面３５を有した円環状の下部ケース基部３３と、下部ケース基部３３の円筒内周面３５に連接する円筒内周面３６を有すると共に下部ケース基部３３の円環状下面３４の径方向Ｘの内周側の端部から下方に突出する円筒突出部３７と、下部ケース基部３３の円環状上面３２から上方に突出すると共に円筒内周面３９及び下部ケース基部３３の円筒外周面４０に連接する円筒外周面４１を有した環状突出部４２と、下部ケース基部３３の円環状上面３２の径方向Ｘの内方の端部及び当該端部に隣接した環状突出部４２の円筒内周面３９により形成された環状段差部３８と、下部ケース基部３３の径方向Ｘの外周下端部４３から径方向Ｘの外方に伸びた円環状下平面部４４と、円環状下平面部４４の円環状上面４５に下部ケース基部３３の円筒外周面４０と円環状下平面部４４の円環状上面４５と協働して径方向Ｘの内方に内側環状凹部４６を形成するように、円環状下平面部４４の円環状上面４５から上方に突出した環状突起部４７と、環状突起部４７の径方向Ｘの外周面及び円環状下平面部４４の円環状上面４５と協働して外側環状凹部４８を形成すると共に円環状下平面部４４の径方向Ｘの外周端部４９から上方に突出した環状被係合突出部５０と、円環状下平面部４４の外周端部４９から一体的に径方向Ｘの外方に伸びる環状平板部５２と、環状被係合突出部５０の上部５３の径方向Ｘの外面から径方向Ｘの外方に膨出すると共に環状の傾斜被係合面５５を有した被係合膨大部５４と、環状突出部４２の環状上面５７に該環状上面５７で開口すると共に環状上面５７から下方に下部ケース基部３３にまで伸びて底部５８を有しており、且つ、環状上面５７の円周方向Ｒに沿って配列された複数個の係合穴部５９と、円筒突出部３７の環状下面６１に形成されていると共に環状下面６１で開口した環状凹溝６２とを具備しており、而して、環状突起部４７は、環状被係合突出部５０の径方向Ｘの内周面と円環状上面４５と協働して外側環状凹部４８を形成するように、円環状下平面部４４の円環状上面４５から上方に突出している。

円筒突出部３７と下部ケース基部３３とは、サスペンションコイルばね用のばね座となり、円環状下面３４は、サスペンションコイルばね用のばね座となり、円筒突出部３７の円筒外周面５６は、当該サスペンションコイルばねを中心位置決めするようになっている。

係合穴部５９は、図５から図７に示すように、円周方向に円弧状に伸びた平面視長方形の開口部６０を有すると共に係合穴部５９を規定する長辺側の対向する壁６０ａが下方に伸びるに従って漸次互いに接近するように形成されている。

環状凹溝６２が形成された円筒突出部３７の円筒外周面５６の端部６３は、環状下面６１に向かうに従って径方向Ｘの外方に漸次拡がる環状テーパ面６４として形成されており、環状テーパ面６４が形成された円筒突出部３７の端部６５には、径方向Ｘに可撓性が付与されている。

環状平板部５２の径方向の円環状内周面は、下部ケース基部３３の円環状下面３４及び円環状下面３４に連接する円環状下平面部４４の円環状下面６６と協働して円筒突出部３７の円筒外周面５６に連接する幅広の円環状底面６７を有した円環状凹所６８を形成している。

下部ケース基部３３の円筒内周面３５には、円環状上面３２及び円筒内周面３６で開口した複数個の切欠き溝６９が円周方向Ｒに沿って配列されて形成されており、これら切欠き溝６９は、下部ケース３の成形時のヒケ等の不具合を極力低下させて下部ケース基部３３の肉厚を均肉にしている。

下部ケース基部３３に下方に突出して形成された円筒突出部３７の円筒内周面３６には、円環状の補強リブ６９ａが一体的に形成されており、補強リブ６９ａは、円筒突出部３７の径方向Ｘの強度を増大させている。

上部ケース２は、特に、図１、図３及び図８に示すように、内側環状垂下部１９を内側環状凹部４６に、外側環状垂下部２１を外側環状凹部４８に夫々臨ませると共に内側環状垂下部１９及び外側環状垂下部２１を環状突起部４７に夫々径方向Ｘに重畳させ、係合膨大部２６の傾斜係合面２７を被係合膨大部５４の傾斜被係合面５５に弾性装着させて下部ケース３に組み合わされている。

このように上部ケース２と下部ケース３とを弾性装着させて組み合わせることにより、滑り軸受１の外周側には、内側環状垂下部１９及び外側環状垂下部２１と環状突起部４７との重畳部及び傾斜係合面２７と傾斜被係合面５５との弾性装着部にラビリンス作用をなす密封部が形成される。

滑り軸受１の外周側にラビリンス作用をなす密封部が形成されることにより、上部ケース２と下部ケース３と間の空間Ｓに配された滑り軸受片５と上部ケース２との摺動部に塵埃等の侵入を防止することができる。

また、上部ケース２の環状係合垂下部２４と下部ケース３の環状被係合突出部５０との弾性装着部の環状隙間が環状被係合突出部５０と連通する環状平板部５２によって覆われるので、当該弾性装着部の環状隙間からの塵埃等の侵入をより一層防止できる。

金属製の補強部材４は、特に、図９から図１１に示すように、円筒部７０と円筒部７０の一方の端部から径方向Ｘの外方に伸びた幅広の環状鍔部７１とを有しており、補強部材４は、図１及び図３に示すように、環状鍔部７１の上面７４を下部ケース基部３３の円環状下面３４及び円環状下面３４に連接する円環状下平面部４４の円環状下面６６に接触させ、円筒部７０の円筒内周面７５を円筒突出部３７の円筒外周面５６に接触させて、環状鍔部７１を円環状凹所６８に配置すると共に円筒部７０を円筒突出部３７に嵌挿させて下部ケース３に装着されている。

補強部材４を下部ケース３に装着する際、環状テーパ面６４が形成された円筒突出部３７の端部６５は、可撓性により弾性変形して補強部材４の円筒部７０の円筒突出部３７への嵌挿を容易に行わせ、嵌挿後においては、円筒突出部３７の円筒外周面５６より径方向Ｘの外方に弾性復元して円筒部７０の円筒突出部３７から下方への抜け止を行うので、下部ケース３と補強部材４とを一体として取り扱うことができるようになる。このように、補強部材４は、その円筒部７０において、環状凹溝６２が形成された円筒突出部３７の端部６５の環状テーパ面６４として形成されていると共に径方向Ｘの外方に拡径した円筒外周面５６の端部６３により、円筒突出部３７に対して下方向に抜け止めされている。

金属製の補強部材４が下部ケース３に配されることにより、サスペンションコイルばね用のばね座となる下部ケース３の円環状下面３４は、補強部材４の環状鍔部７１によって補強される。

空間Ｓに配された合成樹脂製の滑り軸受片５は、特に、図１２から図１９に示すように、上部ケース基部８の円環状下面６に摺動自在に接触する円環状の上面７６及び下部ケース３の環状突出部４２の環状上面５７に接触する円環状の下面７７並びに円環状の下面７７から下方に突出すると共に下部ケース３の係合穴部５９に夫々嵌挿されており、且つ、径方向Ｘに相対向して配された二つの係合突出部７８を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部７９と、スラスト滑り軸受片部７９の円環状の一端部から下方に伸びて当該一端部に一端部で一体的に形成されていると共に外周側円筒垂下部１２の円筒内周面１７及び内側環状垂下部１９の円筒内周面１８に摺動自在に接触する径方向Ｘの円筒外周面８０及び下部ケース基部３３の円筒外周面４０と円筒外周面４０に連接する環状突出部４２の円筒外周面４１とに接触する径方向Ｘの円筒内周面８１を有している円筒状のラジアル滑り軸受片部８２とを具備している。

スラスト滑り軸受片部７９の円環状の下面７７に一体的に形成されていると共に下面７７から下方に突出する係合突出部７８は、横断面矢視が長方形状をなすと共に長辺側の壁７８ａが下方の先端部に向かうに従って漸次先細りとなり、先端部に鋭角状のテーパ面８３を有している。

スラスト滑り軸受片部７９は、その円環状の上面７６に円周方向Ｒに沿うと共に径方向Ｘに少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部８４及び外側凹部８５を有しており、内側凹部８４と外側凹部８５とは、互に円周方向Ｒに位相差をもって配列されている。

内側列に形成された複数個の内側凹部８４の夫々は、軸心Ｏを中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面８６と、内側円弧状壁面８６に対して径方向Ｘの外方で軸心Ｏを中心として円弧状に伸びた、即ち、内側円弧状壁面８６に対して径方向Ｘに拡径された外側円弧状壁面８７と、内側円弧状壁面８６及び外側円弧状壁面８７の夫々に連接されていると共に互いに円周方向Ｒにおいて対面する一対の半円状壁面８８と、内側円弧状壁面８６、外側円弧状壁面８７及び一対の半円状壁面８８の夫々に連接された底壁面８４ａとで規定されている。

外側列に形成された複数個の外側凹部８５の夫々は、軸心Ｏを中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面８９と、内側円弧状壁面８９に対して径方向Ｘの外方で軸心Ｏを中心として円弧状に伸びた、即ち、内側円弧状壁面８９に対して径方向Ｘに拡径された外側円弧状壁面９０と、内側円弧状壁面８９及び外側円弧状壁面９０の夫々に連接されていると共に互いに円周方向Ｒにおいて対面する一対の半円状壁面９１と、内側円弧状壁面８９、外側円弧状壁面９０及び一対の半円状壁面９１の夫々に連接された底壁面８５ａとで規定されており、外側凹部８５は、内側列に形成された内側凹部８４間の円周方向Ｒの夫々の切れ目９２に対応する位置に配列されており、而して、内側凹部８４と外側凹部８５とは、互いに円周方向Ｒに位相差をもって配列されている。

スラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６に円周方向Ｒに沿うと共に径方向Ｘに内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部８４及び外側凹部８５は、内側凹部８４及び外側凹部８５の開口面９３とスラスト滑り軸受面であるスラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６とを合わせた総面積に占める内側凹部８４及び外側凹部８５の開口面９３の総面積の割合が２０〜５０％、より好ましくは３０〜４０％となるように形成されている。

ラジアル滑り軸受片部８２は、特に、図１２から図１５及び図１８並びに図１９に示すように、上下方向の両端で開口していると共に円筒外周面８０に円周方向Ｒに等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝９４を有している。

スラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６に円周方向Ｒに沿うと共に径方向Ｘに少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部８４及び外側凹部８５並びにラジアル滑り軸受片部８２の円筒外周面８０に形成された複数個の軸方向溝９４は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となる。

滑り軸受片５は、図２０に示すように、その円環状の上面７６に円周方向Ｒに沿うと共に互いに同心に径方向Ｘにおいて内側列と外側列との二列にわたって形成された内側円環状凹溝９５及び外側円環状凹溝９６を有していてもよい。

スラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６に円周方向Ｒに沿うと共に互いに同心に径方向Ｘに内側列と外側列との二列にわたって形成された内側円環状凹溝９５及び外側円環状凹溝９６は、内側円環状凹溝９５及び外側円環状凹溝９６の開口面９７とスラスト滑り軸受面であるスラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６との総面積に占める内側円環状凹溝９５及び外側円環状凹溝９６の開口面９７の総面積の割合が２０〜５０％、より好ましくは３０〜４０％となるように形成されている。

このように形成された滑り軸受片５のスラスト滑り軸受片部７９によれば、円環状の上面７６に内側凹部８４及び外側凹部８５並びに内側円環状凹溝９５及び外側円環状凹溝９６のうちの少なくとも一方が形成されているため、スラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６と上部ケース基部８の円環状下面６との軸心Ｏの回りでの円周方向Ｒの相対回転において、スラスト滑り軸受面であって摺動面となる円環状の上面７６と相手材、即ち上部ケース基部８の円環状下面６との接触面積を減少させて、円環状の上面７６に作用する面圧（単位面積当たりの荷重）を高めることができ、合成樹脂同志の摩擦による低摩擦化と内側凹部８４及び外側凹部８５並びに内側円環状凹溝９５及び外側円環状凹溝９６のうちの少なくとも一方に充填された潤滑油剤の摺動面への介在による低摩擦化とが相俟って一層の低摩擦化を図ることができる。

滑り軸受片５は、図１及び図３に示すように、スラスト滑り軸受片部７９の円環状の下面７７に突出した係合突出部７８を下部ケース３の環状突出部４２に形成された係合穴部５９に嵌挿させると共に円環状の下面７７を環状突出部４２の環状上面５７に接触させ、ラジアル滑り軸受片部８２の円筒内周面８１を環状突出部４２の円筒外周面４１及び下部ケース基部３３の円筒外周面４０に接触させて下部ケース３に対して軸心Ｏ回りで円周方向Ｒの回転が阻止されて下部ケース３に固定されており、スラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６を上部ケース基部８の円環状下面６に摺動自在に接触させると共にラジアル滑り軸受片部８２の円筒外周面８０を上部ケース２の外周側円筒垂下部１２の円筒内周面１７及び内側環状垂下部１９の円筒内周面１８に摺動自在に接触させて、上部ケース２と下部ケース３間の空間Ｓに配される。

例えば、図２１に示すように、車体側の取付部材９８の車体側座面９９に上部ケース２の円環状上面７を接触させ、サスペンションコイルばね１００の上端部にばね座面としての下部ケース３の円環状下面３４又は下部ケース３の円環状下面３４に配された金属製の補強部材４の環状鍔部７１を接触させて、本例の合成樹脂製の滑り軸受１を車体側の取付部材９８の車体側座面９９とサスペンションコイルばね１００の上端部との間に配して、当該本例の合成樹脂製の滑り軸受１を四輪自動車のストラット型サスペンションに適用してもよい。

図２１に示すストラット型サスペンションでは、車体側の取付部材９８に対するサスペンションコイルばね１００の円周方向Ｒの相対回転は、滑り軸受１において、上部ケース基部８の円環状下面６に対するスラスト滑り軸受片部７９の円環状の上面７６及び外周側円筒垂下部１２の円筒内周面１７並びに内側環状垂下部１９の円筒内周面１８に対するラジアル滑り軸受片部８２の円筒外周面８０の夫々の円周方向Ｒの相対的な摺動によって許容される。

１ 滑り軸受
２ 上部ケース
３ 下部ケース
４ 補強部材
５ 滑り軸受片
６ 円環状下面
８ 上部ケース基部
１２ 外周側円筒垂下部
１４ 円環状上平面部
２４ 環状係合垂下部
２７ 傾斜係合面
３３ 下部ケース基部
４２ 環状突出部
５０ 環状被係合突出部
５５ 傾斜被係合面
５９ 係合穴部
７８ 係合突出部
７９ スラスト滑り軸受片部
８２ ラジアル滑り軸受片部

Claims (12)

1. 合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに対して軸心の回りで回転自在となるように、当該上部ケースに重ね合わされている強化合成樹脂製の下部ケースと、上部ケース及び下部ケース間に配されている合成樹脂製の滑り軸受片とを具備しており、上部ケースは、円環状下面を有する円環状の上部ケース基部と、上部ケース基部の円環状下面の径方向の内周端部から垂下した内周側円筒垂下部と、上部ケース基部の円環状下面の径方向の外周端部から垂下した外周側円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の下端部から径方向の外方に伸びた円環状上平面部と、円環状上平面部の径方向の外周端部から垂下した環状係合垂下部と、環状係合垂下部の下部の径方向の内面から径方向の内方に膨出すると共に環状の傾斜係合面を有した係合膨大部とを具備しており、下部ケースは、円環状上面及び円筒内周面を有した円環状の下部ケース基部と、下部ケース基部の円筒内周面に連接する円筒内周面を有すると共に下部ケース基部の径方向の内周側の端部下面から下方に突出した円筒突出部と、下部ケース基部の円環状上面から上方に突出した環状突出部と、下部ケース基部の径方向の外周下端部から径方向の外方に伸びた円環状下平面部と、円環状下平面部の径方向の外周端部から上方に突出した環状被係合突出部と、環状被係合突出部の上部の径方向の外面から径方向の外方に膨出すると共に環状の傾斜被係合面を有した被係合膨大部と、環状突出部の環状上面に該環状上面で開口すると共に環状上面から下方に伸びた少なくとも一つの係合穴部とを具備しており、滑り軸受片は、円環状の上面及び円環状の下面並びに円環状の下面から下方に突出すると共に下部ケースの係合穴部に嵌挿された少なくとも一つの係合突出部を有している円環状のスラスト滑り軸受片部と、スラスト滑り軸受片部の一端部から下方に伸びて当該一端部に一端部で一体的に形成されていると共に円筒内周面及び円筒外周面を有した円筒状のラジアル滑り軸受片部とを具備しており、且つ、スラスト滑り軸受片部の円環状の上面を上部ケース基部の円環状下面に摺動自在に接触させると共にスラスト滑り軸受片部の円環状の下面を環状突出部の環状上面に接触させる一方、ラジアル滑り軸受片部の円筒内周面を下部ケース基部の円筒外周面及び環状突出部の円筒外周面に接触させると共にラジアル滑り軸受片の円筒外周面を外周側円筒垂下部の円筒内周面に摺動自在に接触させて、上部ケース及び下部ケース間に配されており、上部ケースは、その傾斜係合面を下部ケースの傾斜被係合面に弾性装着させて下部ケースに組み合わされている合成樹脂製の滑り軸受。
2. 上部ケースは、外周側円筒垂下部の円筒内周面に連接する円筒内周面を有すると共に円環状上平面部の径方向の内周端部から垂下した内側環状垂下部と、内側環状垂下部の径方向の外周面と円環状上平面部の円環状下面と協働して径方向の内方に内側環状凹部を形成すると共に環状係合垂下部の径方向の内周面と円環状上平面部の円環状下面と協働して径方向の外方に外側環状凹部を形成するように、円環状上平面部の円環状下面から垂下する外側環状垂下部とを更に具備しており、下部ケースは、下部ケース基部の円筒外周面と円環状下平面部の円環状上面と協働して径方向の内方に内側環状凹部を形成すると共に環状被係合突出部の径方向の内周面と円環状下平面部の円環状上面と協働して外側環状凹部を形成するように、円環状下平面部の円環状上面から上方に突出した環状突起部と、下部ケース基部の円環状上面の径方向の内方の端部及び当該端部に隣接した環状突出部の円筒内周面により形成された環状段差部とを更に具備しており、上部ケースの内側環状垂下部及び外側環状垂下部と下部ケースの環状突起部とを夫々径方向に重畳させて、上部ケースの内側環状垂下部及び外側環状垂下部と下部ケースの環状突起部との重畳部及び傾斜係合面と傾斜被係合面との弾性装着部にラビリンス作用をなす密封部を形成してなる請求項１に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
3. 下部ケースは、円環状下平面部の外周端部から一体的に径方向の外方に伸びる環状平板部を更に具備している請求項１又は２に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
4. 円筒部と、円筒部の一方の端部から径方向の外方に伸びた環状鍔部とを有した金属製の補強部材を更に具備しており、下部ケースは、円筒突出部の環状下端面に形成された環状凹溝を更に具備しており、環状凹溝が形成された円筒突出部の円筒外周面の端部は、環状下端面に向かうに従って径方向の外方に漸次拡がる環状テーパ面として形成されており、金属製の補強部材は、その円筒部の円筒内周面を円筒突出部の円筒外周面に接触させ、その環状鍔部の上面を、下部ケース基部の円環状下面及び円環状下平面部の円環状下面に接触させて、下部ケースに装着されており、該補強部材は、その円筒部において、環状凹溝が形成された円筒突出部の端部の環状テーパ面として形成されていると共に径方向の外方に拡径した円筒外周面の端部により、円筒突出部に対して下方向に抜け止めされている請求項１から３のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
5. スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に径方向に少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部及び外側凹部を有しており、内側凹部と外側凹部とは、互に円周方向に位相差をもって配列されており、ラジアル軸受片部は、上下方向の両端で開口していると共に円周方向に等間隔に離間してその円筒外周面に形成された複数個の軸方向溝を具備している請求項１から４のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
6. 複数個の内側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、内側円弧状壁面及び外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、該内側円弧状壁面、外側円弧状壁面及び一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されている請求項５に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
7. 複数個の外側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、内側円弧状壁面及び外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、該内側円弧状壁面、外側円弧状壁面及び一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されている請求項５又は６に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
8. 複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合は、２０〜５０％である請求項５から７のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
9. スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に径方向において少なくとも内側列と外側列との二列にわたって形成された円環状凹溝を有している請求項１から４のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
10. 円環状凹溝の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める円環状凹溝の開口面の総面積の割合は、２０〜５０％である請求項９に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
11. スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に互いに同心に形成された少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された円環状凹溝を更に有している請求項５から７のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
12. 複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面と円環状凹溝の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面並びに円環状凹溝の開口面の総面積の割合は、２０〜５０％である請求項１１に記載の合成樹脂製の滑り軸受。

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