JP6194551B2 - 干渉抑圧回路及び干渉抑圧方法 - Google Patents

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Description

本発明は、交差偏波成分の除去に用いて好適な干渉抑圧回路及び干渉抑圧方法に関する。
同一周波数帯において、偏波の異なる2種類の電波(垂直偏波(V偏波)及び水平偏波(H偏波))を使用し、データの送受信を行なう無線通信システムが知られている。このような無線通信システムでは、V偏波信号とH偏波信号のそれぞれの偏波に対応するアンテナを用いることで、V偏波信号とH偏波信号のそれぞれで独立なデータ通信が行える。このため、周波数の利用効率を向上させることができる。
このような無線通信システムでは、同一周波数の異偏波の信号の間に干渉が生じる。このため、例えば特許文献1に示されるように、異偏波の信号の干渉を補償するために交差偏波干渉キャンセラ(XPIC:Cross Polarization Interference Canceller)が設けられている。特許文献1に記載されているように、このような交差偏波干渉キャンセラは、基本的には、異偏波の受信信号から干渉レプリカ信号を生成し、自偏波の受信信号から干渉レプリカ信号を減算することで、自偏波の受信信号中の異偏波信号成分を除去するように構成されている。
特開2000−165339号公報
特許文献1に開示されているように、従来では、交差偏波干渉キャンセラにおいて異偏波の干渉をキャンセルするために、送信時に自偏波のキャリア信号と異偏波のキャリア信号とを同期させるか(送信LO同期方式)、又は、受信時に自偏波のキャリア信号と異偏波のキャリア信号とを同期させる(受信LO同期方式)必要がある。受信LO方式では、送信側のキャリア信号を同期させる必要がないため、送信側の回路構成が簡単になるというメリットがあるが、受信側の回路規模が増大するというデメリットがある。これに対して、送信LO同期方式では、復調器は本来の信号復調用だけですむため受信側の構成は簡単になるが、送信側の回路構成が複雑になるというデメリットがある。
そこで、送信側でも受信側でも、自偏波側と異偏波側とでキャリア信号を全て独立して設定できるようにすることが要望される。しかしながら、この場合、自偏波受信側に混在する異偏波の干渉をキャンセルする際に、自偏波に混在する異偏波の受信キャリア信号と異偏波の受信キャリア信号との周波数誤差を補償する必要がある。自偏波側の復調器では、自偏波側の異偏波の受信キャリア信号と異偏波側の受信キャリア信号との周波数誤差を検出することは難しい。このため、従来では、異偏波の干渉を十分にキャンセルできないという問題が生じている。
上述の課題を鑑み、本発明は、自偏波側と異偏波側とでキャリア信号を全て独立して設定しても、異偏波の干渉を十分にキャンセルできるようにした干渉抑圧回路及び干渉抑圧方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る干渉抑圧回路は、自偏波側の異偏波成分を除去するための干渉レプリカ信号を生成する線形フィルタと、自偏波側の受信信号から前記干渉レプリカ信号を減算して、前記受信信号中に含まれる異偏波成分を除去する減算部と、前記線形フィルタのタップ係数値を基に、主偏波の受信側に混在する異偏波の受信キャリア信号と異偏波側の受信キャリア信号の周波数差である異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償するキャリア再生部と、を備え、前記キャリア再生部は、前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値に基づいた値であって前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を抽出するための値の虚数部の符号から、前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転方向を推定し、推定した位相回転方向を基に前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る干渉抑圧回路において、前記キャリア再生部は、前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値から前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する平均の位相回転量を推定し、推定した前記位相回転量を基に異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償するようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る干渉抑圧回路において、前記キャリア再生部は、前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値から前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を推定し、推定した前記位相回転量を基に当該異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償するようにしてもよい。
本発明に係る干渉抑圧方法は、線形フィルタが、自偏波側の異偏波成分を除去するための干渉レプリカ信号を生成する手順と、減算部が、自偏波側の受信信号から前記干渉レプリカ信号を減算して、前記受信信号中に含まれる異偏波成分を除去する手順と、キャリア再生部が、前記線形フィルタのタップ係数値を基に、主偏波の受信側に混在する異偏波の受信キャリア信号と異偏波側の受信キャリア信号の周波数差である異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する手順と、を含み、前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する手順では、前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値に基づいた値であって前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を抽出するための値の虚数部の符号から、前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転方向を推定し、推定した位相回転方向を基に前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償することを特徴とする。
本発明によれば、線形フィルタのタップ係数値を基に、異偏波間キャリア周波数オフセットを補償することができるため、自偏波側と異偏波側とでキャリア信号を全て独立して設定しても、異偏波の干渉を十分にキャンセルできる。
本発明が適用できる無線通信システムの送信系の一例の構成を示すブロック図である。 本発明が適用できる無線通信システムの受信系の一例の構成を示すブロック図である。 送信系1と受信系2との伝送路の特性の一例である。 本発明の実施形態に係る交差偏波干渉キャンセラの基本構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る交差偏波干渉キャンセラにおける異偏波キャンセルの説明図である。 本発明が適用できる無線通信システムの送信系の他の例の構成を示すブロック図である。 本発明が適用できる無線通信システムの受信系の他の例の構成を示すブロック図である。 本発明が適用できる無線通信システムの受信系の他の例における交差偏波干渉キャンセラの構成を示すブロック図である。 本発明が適用できる無線通信システムの受信系の他の例における交差偏波干渉キャンセラのFIRフィルタの構成を示すブロック図である。 本発明の効果を説明するためのシミュレーションモデルの説明図である。 本発明の効果を説明するためのグラフである。 本発明の効果を説明するためのグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本発明が適用できる無線通信システムの送信系及び受信系の一例の構成を示すものである。
図1において、送信系1は、変調器11a及び11bと、D/A(ディジタル−アナログ・コンバータ)12a及び12bと、直交変調器13a及び13bと、RF(Radio Frequency)送信部14a及び14bと、アンテナ15a及び15bを有している。変調器11a、D/A12a、直交変調器13a、RF送信部14a、アンテナ15aは、V偏波(垂直偏波)信号の送信を行うものである。アンテナ15aとしては、垂直偏波のアンテナが使用される。変調器11b、D/A12b、直交変調器13b、RF送信部14b、アンテナ15bは、H偏波(水平偏波)信号の送信を行うものである。アンテナ15bとしては、水平偏波のアンテナが使用される。
変調器11aには、V偏波のデータが供給される。変調器11aは、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調を行う。すなわち、変調器11aは、V偏波のデータをQPSK変調の規則に従ってIQ平面上にマッピングして、IQベースバンド信号を生成する。変調器11aの出力信号は、D/A12aを介してアナログ信号に変換された後、直交変調器13aに供給される。直交変調器13aは、互いに直交するキャリア信号により、I軸及びQ軸の変調信号を直交変調し、直交変調出力信号を生成する。この直交変調出力信号がRF送信部14aに供給される。RF送信部14aは、直交変調器13aからの直交変調出力信号を所望の搬送波周波数に変換し、電力増幅して、アンテナ15aから、V偏波信号として送信する。
変調器11bには、H偏波のデータが供給される。変調器11bは、例えばQPSK変調を行う。変調器11bの出力信号は、D/A12bを介してアナログ信号に変換された後、直交変調器13bに供給される。直交変調器13bは、互いに直交するキャリア信号により、I軸及びQ軸の変調信号を直交変調し、直交変調出力信号を生成する。この直交変調出力信号がRF送信部14bに供給される。RF送信部14bは、直交変調器13bからの直交変調出力信号を所望の搬送波周波数に変換し、電力増幅して、アンテナ15bから、H偏波信号として送信する。
図1に示すように、この例では、直交変調器13a及び13bにそれぞれ供給されるキャリア信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立している。また、D/A12a及び12bに供給されるクロック信号は、V偏波側とH偏波側とで共通している。
図2に示すように、受信系2は、アンテナ21a及び21bと、RF受信部22a及び22bと、直交復調器23a及び23bと、A/D(アナログーディジタル・コンバータ)24a及び24bと、交差偏波干渉キャンセラ(XPIC:Cross Polarization Interference Canceller)25a及び25bと、復調器26a及び26bとを有している。アンテナ21a、RF受信部22a、直交復調器23a、A/D24a、XPIC25a、復調器26aは、V偏波信号の受信を行うものである。アンテナ21aとしては、垂直偏波のアンテナが使用される。アンテナ21b、RF受信部22b、直交復調器23b、A/D24b、XPIC25b、復調器26bは、H偏波信号の受信を行うものである。アンテナ21bとしては、水平偏波のアンテナが使用される。
アンテナ21aは、アンテナ15aからのV偏波信号を受信する。RF受信部22aは、アンテナ21aで受信したV偏波信号を増幅し、所望の中間周波信号に変換する。RF受信部22aの出力信号は、直交復調器23aに供給され、V偏波の受信信号は、IQベースバンド信号に復調される。直交復調器23aの出力信号は、A/D24aでディジタル信号に変換され、XPIC25aに供給される。XPIC25aは、V偏波の受信信号中の異偏波(H偏波)の信号による干渉をキャンセルする。XPIC25aの出力信号は、復調器26aに供給される。復調器26aは、例えばQPSKの復調を行い、V偏波データを復調する。
アンテナ21bは、アンテナ15bからのH偏波信号を受信する。RF受信部22bは、アンテナ21bで受信したH偏波信号を増幅し、所望の中間周波信号に変換する。RF受信部22bの出力信号は、直交復調器23bに供給され、H偏波の受信信号は、IQベースバンド信号に復調される。直交復調器23bの出力信号は、A/D24bでディジタル信号に変換され、XPIC25bに供給される。XPIC25bは、H偏波の受信信号中の異偏波(V偏波)の信号による干渉をキャンセルする。XPIC25bの出力信号は、復調器26bに供給される。復調器26bは、例えばQPSKの復調を行い、H偏波データを復調する。
図2に示すように、この例では、直交復調器23a及び23bにそれぞれ供給されるキャリア信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立している。また、A/D24a及び24bに供給されるクロック信号は、V偏波側とH偏波側とで共通している。
このように、図1及び図2に示す無線通信システムでは、V偏波とH偏波との両方の偏波信号を、同一の周波数帯で同時に使用して通信を行うことができる。これにより、周波数利用効率が向上される。また、この例では、上述したように、送信系1及び受信系2で用いるキャリア信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立した構成とされている。なお、クロック信号は、V偏波側とH偏波側とで共通とされている。
次に、このような無線通信システムに用いられるXPIC25a及び25bについて説明する。
図1及び図2に示したような無線通信システムでは、V偏波信号は、アンテナ15aから送信され、アンテナ21aで受信される。また、H偏波信号は、アンテナ15bから送信され、アンテナ21bで受信される。しかしながら、アンテナ21aは、アンテナ15aから送信されたV偏波信号ばかりでなく、アンテナ15bから送信されたH偏波信号も受信する。このため、その交差偏波となるH偏波により、異偏波の干渉が生じる。
同様に、アンテナ21bは、アンテナ15bからのH偏波信号ばかりでなく、アンテナ15aからのV偏波信号も受信する。このため、H偏波信号を自偏波信号とすると、その交差偏波となるV偏波により、異偏波の干渉が生じる。
XPIC25a及び25bは、このような異偏波の信号による干渉をキャンセルするものである。XPIC25a及び25bは、基本的には、異偏波の受信信号から干渉レプリカ信号を生成し、自偏波の受信信号から干渉レプリカ信号を減算することで、受信信号中の異偏波の信号成分を除去するように構成されている。
図3は、送信系1と受信系2との伝送路の特性の一例である。図3において、gVV(t)は、V偏波のアンテナ15aからのV偏波信号がV偏波のアンテナ21aで受信される間の伝送特性を示す。gVH(t)は、V偏波のアンテナ15aからのV偏波信号がH偏波のアンテナ21bで受信される間の伝送特性を示す。gHH(t)は、H偏波のアンテナ15bからのH偏波信号がH偏波のアンテナ21bで受信される間の伝送特性を示す。gHV(t)は、H偏波のアンテナ15bからのH偏波信号がV偏波のアンテナ21aで受信される間の伝送特性を示す。
また、図1及び図2では、RF送信部14a及び14b、RF受信部22a及び22bにおいて、直交変調器13a及び13b、直交復調器23a及び23bにあるローカルキャリアが別に存在し、周波数オフセットΔftvなどは、RF送信部14a及び14bと直交変調器13a及び13bと合わせた周波数オフセットである。
図3において、アンテナ21aは、アンテナ15aから送信されるV偏波(自偏波)信号を受信する。また、アンテナ21aは、アンテナ15bから送信されるH偏波(異偏波)信号も受信する。V偏波のアンテナ15aから送信され、V偏波のアンテナ21aで受信される信号は、伝送特性gVV(t)の影響を受ける。また、H偏波のアンテナ15bから送信され、V偏波のアンテナ21aで受信される信号は、伝送特性gHV(t)の影響を受ける。
同様に、アンテナ21bは、アンテナ15bから送信されるH偏波(自偏波)信号を受信する。また、アンテナ21bは、アンテナ15aから送信されるV偏波(異偏波)信号も受信する。アンテナ15bから送信され、アンテナ21bで受信される信号は、伝送特性gHH(t)の影響を受ける。また、アンテナ15aから送信され、アンテナ21bで受信される信号は、伝送特性gVH(t)の影響を受ける。
V偏波の変調信号をs(t)、V偏波の送信キャリア信号(基準からの周波数誤差)をΔftVとすると、直交変調器13aからのV偏波の直交変調信号は、
(t)・exp(j2πΔftVt)
として表せる。また、H偏波の変調信号をs(t)、H偏波の送信キャリア信号(基準からの周波数誤差)をΔftHとすると、直交変調器13bからのH偏波直交変調信号は、
(t)・exp(j2πΔftHt)
として表せる。
アンテナ21aは、伝送特性gVV(t)の影響を受けたV偏波(自偏波)信号と、伝送特性gHV(t)の影響を受けたH偏波(異偏波)信号とを受信する。この受信信号は、直交復調器23aに入力される。V偏波の受信キャリア信号(基準からの周波数誤差)をΔfrVとすると、直交復調器23aからのV偏波の復調信号r(t)は、次式(1)のように表せる。
Figure 0006194551
また、アンテナ21bは、伝送特性gHH(t)の影響を受けたH偏波(自偏波)信号と、伝送特性gVH(t)の影響を受けたV偏波(異偏波)信号とを受信する。この受信信号は、直交復調器23bに入力される。H偏波の受信キャリア信号(基準からの周波数誤差)をΔfrHとすると、直交復調器23bからのH偏波の復調信号r(t)は、次式(2)のように表せる。
Figure 0006194551
ただし、式(1)および式(2)において、s(t)はV偏波変調信号、s(t)はH偏波変調信号、ΔftVはV偏波送信キャリア周波数誤差、ΔftHはH偏波送信キャリア周波数誤差、ΔfrVはV偏波受信キャリア周波数誤差、ΔfrHはH偏波受信キャリア周波数誤差である。また、gVV(t)はV偏波からV偏波への伝搬路インパルス応答、gVH(t)はV偏波からH偏波への伝搬路インパルス応答、gHH(t)はH偏波からH偏波への伝搬路インパルス応答、gHV(t)はH偏波からV偏波への伝搬路インパルス応答である。
νV(t)はV偏波側の受信機雑音(複素AWGN)、ν(t)はH偏波側の受信機雑音(複素AWGN)である。また、丸の中に×で示す記号は、畳み込み演算子である。
式(1)を展開して整理すると、V偏波の復調信号r(t)は、次式(3)のように表せる。
Figure 0006194551
上式より、V偏波の復調信号r(t)は、右辺第1項のV偏波の変調信号s(t)の成分と、右辺第2項のH偏波の変調信号s(t)の成分と、右辺第3項の雑音ν(t)とからなる。右辺第2項のH偏波の変調信号s(t)の成分が異偏波による交差偏波干渉成分となる。
また、式(2)を展開して整理すると、H偏波の復調信号r(t)は、次式(4)のように表せる。
Figure 0006194551
上式より、H偏波の復調信号r(t)は、右辺第1項のH偏波の変調信号s(t)の成分と、右辺第2項のV偏波の変調信号s(t)の成分と、右辺第3項の雑音ν(t)とからなる。右辺第2項のV偏波の変調信号s(t)の成分が異偏波による交差偏波干渉成分となる。
図2におけるXPIC25aは、式(3)で示すV偏波の復調信号r(t)からH偏波(異偏波)成分s(t)を除去するための干渉レプリカ信号を、式(4)で示すH偏波の復調信号r(t)から生成する。そして、XPIC25aは、受信信号から干渉レプリカ信号を減算することで、式(3)で示すV偏波の復調信号r(t)中のH偏波(異偏波)成分s(t)を除去する。
また、XPIC25bは、式(4)で示すH偏波の復調信号r(t)からV偏波(異偏波)成分s(t)を除去するための干渉レプリカ信号を、式(3)で示すV偏波の復調信号r(t)から生成する。そして、XPIC25bは、受信信号から干渉レプリカ信号を減算することで、式(4)で示すH偏波の復調信号r(t)中のV偏波(異偏波)成分s(t)を除去する。
ここで、式(3)に示すV偏波の復調信号r(t)の第2項では、H偏波の変調信号s(t)に対する周波数は(ΔftH−ΔfrV)であるのに対して、式(4)の第1項に対する周波数は(ΔftH−ΔfrH)である。したがって、H偏波の受信キャリア信号ΔfrHとV偏波の受信キャリア信号ΔfrVとの間の相対誤差(ΔfrH−ΔfrV)(以下、異偏波受信キャリア周波数オフセットという)が生じる。
通常では、送信時に自偏波のキャリア信号と異偏波のキャリア信号とを同期させるか又は、受信時に自偏波のキャリア信号と異偏波のキャリア信号とを同期させているので、このような異偏波受信キャリア周波数オフセットによる誤差は生じない。しかしながら、本実施形態では、図1及び図2に示したように、送信時も受信時も、キャリア信号は、自偏波側と異偏波側とで全て独立している。このため、このような異偏波受信キャリア周波数オフセットが残る。このような異偏波受信キャリア周波数オフセットがあると、XPIC25a及び25bで異偏波成分を補償できない。したがって、このような異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する必要がある。
図4は、本発明の実施形態に係るXPIC25aの基本構成を示すものである。なお、ここでは、XPIC25aの構成についてのみ図示しているが、交差偏波干渉キャンセラ25bについても、同様に構成できる。
図4に示すように、XPIC25aは、FIR(Finite Impulse Response)フィルタ51と、LMS(Least Mean Squares部)52と、キャリア再生部53と、複素乗算器54と、減算器55とを有している。
FIRフィルタ51は、異偏波成分を除去するための干渉レプリカ信号を生成する。LMS52は、FIRフィルタ51の最適係数を最小自乗法で求める。キャリア再生部53は、異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrH−ΔfrV)を補償する。減算器55は、自偏波の復調信号r(t)から干渉レプリカ信号を減算する。複素乗算器54は、異偏波の復調信号r(t)にキャリア再生部53からの信号を複素乗算して、異偏波受信キャリア周波数オフセットの補償を行う。
図4において、複素乗算器54には、直交復調器23bからA/D24bを介して、H偏波(異偏波)の復調信号r(t)が供給される。また、複素乗算器54には、キャリア再生部53の出力が供給される。複素乗算器54の出力信号は、FIRフィルタ51に供給される。
FIRフィルタ51には、LMS52により、異偏波成分を除去するのに最適なタップ係数が設定されている。FIRフィルタ51により、複素乗算器54で異偏波受信キャリア周波数オフセットが補償されたH偏波(異偏波)の復調信号r(t)から、異偏波成分を除去するための干渉レプリカ信号が生成される。この干渉レプリカ信号が減算器55に供給される。
減算器55には、直交復調器23aからA/D24aを介して、V偏波(自偏波)の復調信号r(t)が供給される。減算器55で、V偏波の復調信号r(t)から、FIRフィルタ51からの干渉レプリカ信号が減算され、V偏波の復調信号r(t)中のH偏波(異偏波)干渉成分がキャンセルされる。
図4に示したように構成されるXPIC25aは、直交復調器23bの出力から得られるH偏波(異偏波)の復調信号r(t)に対して、複素乗算器54で異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrH−ΔfrV)を補償した後、FIRフィルタ51でタップ係数hを畳み込み演算して、レプリカ信号を生成している。そして、減算器55で、直交復調器23aから得られるV偏波の復調信号r(t)から、生成されたレプリカ信号を減算して、復調信号r(t)中のH偏波(異偏波)干渉成分をキャンセルしている。このような構成では、XPIC25aの出力信号u(t)は、次式(5)のようになる。
Figure 0006194551
理論的には、FIRフィルタ51のタップ係数hが次式(6)
Figure 0006194551
の関係となる場合、式(5)は、次式(7)
Figure 0006194551
となり、式(3)の第2項のH偏波の変調信号s(t)の成分(異偏波干渉成分)は、完全に除去される。なお、式(7)の右辺第1項、第2項が所望信号、第3項、第4項がノイズ成分である。
式(5)は、周期Tでサンプリングした系で表現すると、t=nTとなり、次式(8)になる。
Figure 0006194551
LMS52は、出力信号u(n)の平均電力が最小となるように、FIRフィルタ51の各タップ係数hを更新する。タップ係数の更新方法は最小自乗法を用い、タップ数は2K+1の有限長とする。タップ更新式は、次式(9)および(10)になる。
Figure 0006194551
Figure 0006194551
ただし、μはステップサイズ、h (n)(k)及びx(n)は、それぞれ時刻t=nTでのk番目のタップ係数及びFIRフィルタ51の入力信号である。また、A*はAの複素共役である。
次に、図4に示したXPIC25aにおけるキャリア再生部53について説明する。
図1及び図2に示したような無線通信システムでは、送信系1でも受信系2でも、キャリア信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立している。このため、前述したように、異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrH−ΔfrV)を補償する必要がある。キャリア再生部53は、この異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrH−ΔfrV)を補償するためのNCO(Numerically Controlled Oscillators)を生成する。
本実施形態では、異偏波受信キャリア周波数オフセットを、FIRフィルタ51のタップ係数から推定している。つまり、式(8)の右辺第2項を具体的に記述すると、次式(11)のようになる。
Figure 0006194551
上式から、異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償せず、伝搬路が静的であれば、あたかも各タップ係数が時刻T毎に同一の位相量2π(ΔfrV−ΔfrH)で回転していると見なせる。別の見方をすると、FIRフィルタ51の最適なタップ係数はLMS52により逐次更新されているので、異偏波受信キャリア周波数オフセットの補償が十分に行えない状態では、FIRフィルタ51は、タップ係数の更新により異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrH−ΔfrV)を補償していると見なせる。これを利用すれば、FIRフィルタ51のタップ係数h(n)から、異偏波受信キャリア周波数の位相差を推定することができる。
つまり、当時刻nTのFIRフィルタ51のタップ係数をh (n)(k)と、τT前のFIRフィルタ51のタップ係数h (n−τ)(k)の複素共役とを複素乗算すると、位相回転角度の差分が求められると考えられる。これにより、τの間に生じる位相差が求められる。よって、位相回転の推定量2πΔfTは、当時刻nTとτT前のFIRフィルタ51のタップ係数を用いて、次式(12)
Figure 0006194551
となると考えられる。ここで、E[*]は、期待値(平均)を示し、arg{*}は、複素数*の偏角を示している。式(12)は、線形フィルタ(FIRフィルタ51)の時刻τ離れた各タップ係数値から異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する平均の位相回転量(位相回転の推定量)を推定し、推定した位相回転量を基に異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償することを意味している。
したがって、例えば、次式(13)により、当時刻nTのタップ係数h (n)(k)と、τT前のタップ係数h (n−τ)(k)の共役との複素乗算値から、異偏波受信キャリア周波数オフセットのτT時間の位相回転量δθ(n)を求めることができる。
Figure 0006194551
式(13)は、線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値から異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を推定し、推定した位相回転量を基に当該異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償することを意味している。なお、瞬時とは、現更新時刻とそのτT時刻前との間の時間である。
図5は、このように、当時刻nTとτT前のFIRフィルタ51のタップ係数を用いて、異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrV−ΔfrH)を補償するようにしたXPIC25aの構成を示すものである。
図5に示すように、この例では、キャリア再生部53は、位相誤差検出部71と、ループフィルタ72と、ディジタル複素VCO(Voltage Controlled Oscillator)73とから構成される。位相誤差検出部71と、ループフィルタ72と、ディジタル複素VCO73は、PLL(Phase Locked Loop)を構成している。
位相誤差検出部71は、LMS52から、当時刻nTとτT前のFIRフィルタ51のタップ係数を取得し、式(13)により、異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する位相回転量(位相誤差)を検出する。
この位相誤差検出出力は、位相誤差検出部71から、ループフィルタ72を介して、ディジタル複素VCO73に供給される。ディジタル複素VCO73の発振周波数は、異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する位相回転量(位相誤差)に応じて制御される。
なお、異偏波受信キャリア周波数オフセットの補償は、位相誤差検出部71と、ループフィルタ72と、ディジタル複素VCO73とからなるPLLを収束させれば良いので、位相誤差検出部71は、式(13)に示したように、当時刻nTのタップ係数h (n)(k)とτT前のタップ係数h (n−τ)(k)との複素乗算値から偏角を求める代わりに、当時刻nTのタップ係数h (n)(k)とτT前のタップ係数h (n−τ)(k)の複素共役との複素乗算値の虚数部を抽出し、位相誤差検出出力としても良い。換言すると、線形フィルタ(FIRフィルタ51)の時刻τ離れた各タップ係数値から異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を推定し、推定した位相回転量を基に当該異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償するようにしてもよい。
また、異偏波受信キャリア信号の位相差が正確に求められなくても、異偏波受信キャリア信号の位相差の方向がわかれば、PLLはロックしていくので、位相誤差検出部71は、式(13)を求める代わりに、当時刻nTのタップ係数h (n)(k)とτT前のタップ係数h (n−τ)(k)の複素共役との複素乗算値の虚数部の符号を位相誤差検出出力としても良い。
以上のように、本実施形態に係る干渉抑圧回路は、自偏波側の異偏波成分を除去するための干渉レプリカ信号を生成する線形フィルタ(FIRフィルタ51)と、自偏波側の受信信号から干渉レプリカ信号を減算して、受信信号中に含まれる異偏波成分を除去する減算部(減算器55)と、線形フィルタのタップ係数値を基に、主偏波の受信側に混在する異偏波の受信キャリア信号と異偏波側の受信キャリア信号の周波数に差である異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償するキャリア再生部53と、を備える。
すなわち本実施形態では、H偏波の受信キャリア信号ΔfrHとV偏波の受信キャリア信号ΔfrVとの間の異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrV−ΔfrH)を、FIRフィルタ51のタップ係数を使って補償している。これにより、送信系1でも受信系2でも、キャリア信号を、V偏波側とH偏波側とで全て独立な構成としても、異偏波成分の干渉をキャンセルすることができる。
次に、本発明が適用できる無線通信システムの他の例について説明する。図6及び図7は、本発明が適用できる無線通信システムの他の例を示すものである。前述の例では、図1及び図2に示したように、キャリア信号はV偏波側とH偏波側とで全て独立とし、クロック信号はV偏波側とH偏波側とで共通としている。これに対して、図6及び図7に示す例では、キャリア信号をV偏波側とH偏波側とで全て独立とすると共に、クロック信号についても、V偏波側とH偏波側とで全て独立としている。
図6において、送信系101は、変調器111a及び111bと、D/A(ディジタル−アナログ・コンバータ)112a及び112bと、直交変調器113a及び113bと、RF送信部114a及び114bと、アンテナ115a及び115bを有している。変調器111a、D/A112a、直交変調器113a、RF送信部114a、アンテナ115aは、V偏波信号の送信を行うものである。変調器111b、D/A112b、直交変調器113b、RF送信部114b、アンテナ115bは、H偏波信号の送信を行うものである。
図6に示すように、この例では、直交変調器113a及び113bにそれぞれ供給されるキャリア信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立している。また、D/A112a及び112bに供給されるクロック信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立している。
図7に示すように、受信系102は、アンテナ121a及び121bと、RF受信部122a及び122bと、直交復調器123a〜123dと、A/D(アナログ−ディジタル・コンバータ)124a〜124dと、交差偏波干渉キャンセラ(XPIC)125a及び125bと、復調器126a及び126bとを有している。
アンテナ121a、RF受信部122a、直交復調器123a及び123c、A/D124a及び124c、XPIC125a、復調器126aは、V偏波信号の受信を行うものである。アンテナ121b、RF受信部122b、直交復調器123b及び123d、A/D124b及び124d、XPIC125b、復調器126bは、H偏波信号の受信を行うものである。
図7に示すように、この例では、直交復調器123a及び123bにそれぞれ供給されるキャリア信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立している。また、A/D124a及び124bに供給されるクロック信号は、V偏波側とH偏波側とで全て独立している。
このように、キャリア信号とクロック信号とを全てV偏波側とH偏波側とで独立した構成としていることから、直交復調器123c及び123dと、A/D124c及び124dとを設けている。そして、直交復調器123c及び123dで異偏波の信号を自偏波のキャリア信号で直交復調し、A/D124c及び124dで異偏波の復調信号を自偏波のクロック信号でA/D変換して、XPIC125a及び125bに供給している。
図8は、図7に示した受信系102におけるXPIC125aの構成を示すものである。なお、ここでは、XPIC125aの構成についてのみ図示しているが、XPIC125bについても、同様に構成できる。
図8に示すように、XPIC125aは、FIRフィルタ151と、LMS152と、キャリア再生部153と、複素乗算器154と、減算器155とを有している。FIRフィルタ151は、図9に示すように、サンプル遅延器161a、161b、161c、…と、各サンプル遅延器161a、161b、161c、…の段間のタップ出力にタップ係数を乗算する複素乗算器162a、162b、162c、…と、複素乗算器162a、162b、162c、…の出力を加算する加算器163とから構成されている。
キャリア再生部153は、異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfrH−ΔfrV)を補償する。キャリア再生部153は、図9に示すように、位相誤差検出部171と、ループフィルタ172と、ディジタル複素VCO173とから構成される。位相誤差検出部171は、LMS152から、当時刻nTとτT前のFIRフィルタ151のタップ係数を取得し、異偏波受信キャリア周波数に相当する位相回転量(位相誤差)を検出する。これらの構成は、図4及び図5に示した例と、基本的に同様である。
図8において、FIRフィルタ180、判定器181、フィードバックフィルタ182、減算器155、LMS183及びLMS187は、判定帰還型等化器(DFE:Decision Feedback Equalizer)185を構成している。判定帰還型等化器185は、判定器181により判定された変調シンボル信号と、判定前の信号との誤差電力が最小となるようにFIRフィルタ180およびフィードバックフィルタ182の各タップ係数をLMS183およびLMS187により決定して、受信信号の等化を行う。
また、減算器184により、判定器181により判定された変調シンボル信号と判定前の信号との差分を求めることで、位相誤差が求められる。この位相誤差を基に、キャリア再生部186及び複素乗算器187により、自偏波の送信側キャリア信号ΔftVと自偏波の受信キャリア信号ΔfrVとの間の自偏波間受信キャリア周波数オフセット(ΔftV−ΔfrV)が補償される。つまり、判定器181により判定されたIQ平面上での変調シンボルの位置と、判定前のIQ平面上での信号の位置との差分から、位相誤差が判定できる。キャリア再生部186は、減算器184の出力を基に、自偏波間受信キャリア周波数オフセットを求め、この自偏波間受信キャリア周波数オフセットを補償している。
次に、本発明の実施形態に係る交差偏波干渉キャンセラ(XPIC)の効果について検証する。
シミュレーションモデルとしては、図10に示したようなモデルを用いた。このモデルは、入力信号生成部201と、キャリア再生及び線形等化器部202と、交差偏波干渉キャンセラ部(XPIC)203とからなり、図8に示した構成と同等のモデルである。XPIC203は、キャリア再生部(XCAR)204を含む。
なお、XPIC203の効果を確認するために、シミュレーションモデルでは、異偏波のみにキャリア周波数オフセットを与えた。また、シミュレーションモデルでは、入力信号生成では、送信系の自偏波側のデータビット列をQPSKにマッピングし、送信ROF(ルートナイキストフィルタ、ロールオフ率0.25)で帯域制限したIQベースバンド信号(自偏波信号S(n))を発生させ、一方、同送信系の異偏波側のデータビット列(自偏波側と独立)をQPSKにマッピングし、送信ROFで帯域制限したIQベースバンド信号(異偏波信号、S(n))を発生させた。そして、シミュレーションモデルでは、自偏波信号に異偏波信号をρ倍したものを合成し、白色ガウス雑音を付加した信号を受信部の自偏波側に入力した。また、シミュレーションモデルでは、異偏波信号に周波数誤差を与え、白色ガウス雑音を付加した信号を受信部の異偏波側に入力した。
シミュレーションモデルにおけるXPIC203では、現更新時刻とそのT時刻前のタップ係数を用いて、次式(14)のように瞬時の異偏波受信キャリア周波数オフセットを求めている。
Figure 0006194551
特に、実装時には処理を軽減するため、周波数誤差が十分に小さいものと仮定して、さらに正負の符号(±1)のみとした簡略版である次式(15)を採用することも可能である。
Figure 0006194551
ここで、h(n)は、時刻nのk番目のタップ係数、Mはタップ数、Tはシンボル周期を示す。
図11及び図12は、シミュレーション結果を示すものである。シミュレーションでは、C/I(キャリア信号電力対干渉信号電力比)を変えてBER(Bit Error Rate)を取得した。図11は、異偏波受信キャリア周波数オフセット(ΔfT=2.4%)を与えたときの結果を示しており、図12は、異偏波受信キャリア周波数オフセットを与えないときの結果を示している。
比較は、(1)XPIC203がオフの場合と、(2)XPIC203がオンでXCAR204がオフの場合と、(3)XPIC203がオンでXCAR204がオンの場合の3条件を比較した。横軸C/I(自偏波SV(n)と異偏波S(n)の平均電力比)、縦軸BERを示す。図11及び図12において、菱形で示すものは、XPIC203がオフの場合の結果であり、四角で示すものは、XPIC203がオンでXCAR204がオフの場合の結果であり、三角で示すものは、XPIC203がオンでXCAR204がオンの場合の結果である。
図11に示すように、C/Iが大きい場合(異偏波(干渉波)がほとんど無い)、全て条件で同一特性(QPSK、C/N=14dBのBER特性)を示す。C/Iを小さくしていくと、XCAR204がオンの場合とオフの場合に特性差が出ている。XCAR204がオフの場合は、XPIC203がオフの場合と同一特性となって、XPIC203が機能していないことが分かる。
一方、図12に示すように、異偏波受信キャリア周波数オフセットを与えずに、C/Iを変えてBERを取得し、上記3条件を比較した。周波数誤差がない場合は、XCAR204がオフの場合であっても、XPIC203が機能していることが分かる。
なお、交差偏差キャンセラの全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
1、101…送信系、11a、11b、111a、111b…変調器、12a、12b、112a、112b…D/A、13a、13b、113a、113b…直交変調器、14a、14b、114a、114b…RF送信部、15a、15b、115a、115b、21a、21b、121a、121b…アンテナ、2、102…受信系、22a、22b、122a、122b…RF受信部、23a、23b、123a〜123d…直交復調器、24a、24b、124a〜124d…A/D、25a、25b、125a、125b、203…交差偏波干渉キャンセラ部(XPIC)、26a、26b、126a、126b…復調器、51、151、180…FIRフィルタ、52、152、183、187…LMS、53、186…キャリア再生部、54、154…複素乗算器、55、155、184…減算器、71、171…位相誤差検出部、72、172…ループフィルタ、73、173…ディジタル複素VCO、161a、161b、161c…サンプル遅延器、162a、162b、162c…複素乗算器、163…加算器、181…判定器、182…フィードバックフィルタ、185…判定帰還型等化器(DFE)、201…入力信号生成部、202…キャリア再生及び線形等化器部、153、204…キャリア再生部(XCAR)

Claims (4)

  1. 自偏波側の異偏波成分を除去するための干渉レプリカ信号を生成する線形フィルタと、 自偏波側の受信信号から前記干渉レプリカ信号を減算して、前記受信信号中に含まれる異偏波成分を除去する減算部と、
    前記線形フィルタのタップ係数値を基に、主偏波の受信側に混在する異偏波の受信キャリア信号と異偏波側の受信キャリア信号の周波数差である異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償するキャリア再生部と、
    を備え、
    前記キャリア再生部は、
    前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値に基づいた値であって前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を抽出するための値の虚数部の符号から、前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転方向を推定し、推定した位相回転方向を基に前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する、
    ことを特徴とする干渉抑圧回路。
  2. 前記キャリア再生部は、
    前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値から前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する平均の位相回転量を推定し、推定した前記位相回転量を基に前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する
    ことを特徴とする請求項1に記載の干渉抑圧回路。
  3. 前記キャリア再生部は、
    前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値から前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を推定し、推定した前記位相回転量を基に前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する
    ことを特徴とする請求項に記載の干渉抑圧回路。
  4. 線形フィルタが、自偏波側の異偏波成分を除去するための干渉レプリカ信号を生成する手順と、
    減算部が、自偏波側の受信信号から前記干渉レプリカ信号を減算して、前記受信信号中に含まれる異偏波成分を除去する手順と、
    キャリア再生部が、前記線形フィルタのタップ係数値を基に、主偏波の受信側に混在する異偏波の受信キャリア信号と異偏波側の受信キャリア信号の周波数差である異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する手順と、
    を含み、
    前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する手順では、
    前記線形フィルタの時刻τ離れた各タップ係数値に基づいた値であって前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転量を抽出するための値の虚数部の符号から、前記異偏波受信キャリア周波数オフセットに相当する瞬時の位相回転方向を推定し、推定した位相回転方向を基に前記異偏波受信キャリア周波数オフセットを補償する、
    ことを特徴とする干渉抑圧方法。
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