JP6193761B2 - 富化ライブラリーを作製する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体外のディスプレイライブラリー内に存在する、少なくとも1つの標的に結合する少なくとも1つの結合体について、その同定を可能にする特定の核酸配列情報を含む富化ライブラリーを作製する方法に関する。
ディスプレイ技術は、核酸の情報記憶及び増幅の能力を、他の化合物の機能活性と組み合わせるために開発された技術である。ディスプレイ技術は、機能的な結合体(すなわち表現型)と、結合体の構造物に関する情報を与える核酸配列(遺伝子型)との間の関連性に依存する。注:核酸アプタマー技術はディスプレイ技術と考えられるが、表現型と遺伝子型とが同じ分子(DNA又はRNA)からなるという点で、特殊なケースといえる。
斯かる方法の利点は、機能的な結合体の所望の活性のために、非常に大きなライブラリーを構築し調査することができるという点である。その後、所望の活性を有するライブラリ・メンバーを、所望の活性を有していないライブラリ・メンバーから分割することにより、所望の活性を有するメンバーをより高い割合で含む富化されたライブラリーを作ることができる。この手順は選択(selection)又は富化(enrichment)と呼ばれる。ディスプレイ技術の中には、複数ラウンドの選択が可能なものもある。この場合、あるラウンドで得られた富化ライブラリーを増幅して用い、新たな富化ディスプレイライブラリーを調製し、これを次のラウンドの選択に用いる、という手順で進行する。その後、富化ライブラリーのライブラリ・メンバーの構造物を、その同族の核酸配列に基づいて同定することができ、これにより、微小量の材料からでも識別が可能となる。
本明細書では、このようなライブラリーを、本技術分野に倣って「インビトロディスプレイライブラリー」(in vitro display libraries)と呼ぶ場合がある。
本願明細書において、用語「インビトロディスプレイライブラリー」は、本技術分野に従って理解されるものとする。すなわち、多数の異なる結合体を含むライブラリーであって、各結合体が核酸分子に連結され、核酸分子が、結合体を同定することを可能にする特定の核酸配列情報を含み、これにより、核酸分子の特定の核酸配列情報が既知であれば、核酸分子に連結された特定の結合体の構造物を直接知ることが可能なライブラリーを意味する。本願明細書では、核酸分子(遺伝子型)に連結された結合体(すなわち表現型)の構造物を、B構造物と呼ぶ。
斯かるインビトロディスプレイライブラリーを作製するための方法は、先行技術文献に種々記載されている。本願発明において好適な例を以下に挙げる。EP1809743B1 (Vipergen), EP1402024B1 (Nuevolution), EP1423400B1 (David Liu), Nature Chem. Biol. (2009), 5:647-654 (Clark), WO 00/23458 (Harbury), Nature Methods (2006), 3(7), 561-570, 2006 (Miller), Nat. Biotechnol. 2004; 22, 568-574 (Melkko), Nature. (1990); 346(6287), 818-822 (Ellington), Proc Natl Acad Sci USA (1997). 94 (23): 12297-302 (Roberts), WO06053571A2 (Rasmussen).
上記先行技術文献等に記載のように、現在では極めて多数(例えば1015)の特定の結合体(例えば1015の異なる化合物)を含むインビトロディスプレイライブラリーを作製することができる。
ここから明らかなように、斯かるライブラリーを選択/富化して富化ライブラリーを作製する工程を改善することができれば、非常に興味深い。例えば、興味のある標的(例えば医学的に重要な受容体分子)に結合する特定の結合体(例えば化合物)の構造物を、より効率的に同定できると好ましい。
図3に、欧州特許第1809743号(Vipergen)等に記載のインビトロのディスプレイ技術の例を示す。図3から明らかなように、斯かる例の選択工程は、固体表面(例えばビーズやガラス板等)へ標的(例えば受容体等)を固定化して行なわれる。
理論に束縛されるものではないが、本発明者等の知る限りでは、図3の例は、本発明と関連するインビトロディスプレイの先行技術(例えば上述の先行技術文献)の例と考えてもよい。本発明者等の知る限りでは、先行技術において、インビトロディスプレイライブラリー内に存在する適切な結合体の選択は通常、ディスプレイライブラリー結合事象の前又は後に、固体支持体(例えばガラス板、カラム、ビーズ、ニトロセルロース膜、細胞など)に標的(例えば受容体)を固定化することにより行われる。非結合物質及び低親和性結合物質は概ね洗い流されるため、結合物質が富化された集合物が固体支持体から回収される。
先行技術では、表現型と遺伝子型との連関に基づいてライブラリーの照合を行う技術として、インビトロコンパートメント化(in vitro compartmentalization:IVC)が提案されてきた。斯かる先行技術は二群に分類される。即ち、a)表現型と遺伝子型と正確な連関の確立を促進し、これにより後の機能選択(例えば特異的標的結合)を可能にするべく用いられるIVC(後コンパートメント破壊:post compartment disruption)、及び、b)コンパートメント内の表現型の活性に基づいて表現型と遺伝子型との正確な連関の確立を促進するIVC、即ち、コンパートメント内で遺伝子の転写及び翻訳を生じさせ、その結果としてコンパートメント内に生じたタンパク質の機能を直接又は間接的に利用して分類、生死による選別、又は増幅を行うIVCである。
言い換えれば、本発明に関連する所謂IVCの先行技術は、例えば以下のように記載することができる。
グループa)コンパートメント化工程の後に表現型の活性を照合する技術。
グループb)コンパートメント化工程の間に表現型の活性を照合する技術。
グループa)に属するIVCの先行技術の例:
Bertschinger et al,(2007) Protein Engineering, Design & Selection vol. 20 no. 2 pp. 57-68;
Miller OJ, Bernath K, Agresti JJ, Amitai G, Kelly BT, Mastrobattista E, Taly
V, Magdassi S, Tawfik DS, Griffiths AD. Directed evolution by in vitro
compartmentalization. Nat Methods. 2006 Jul;3(7):561-70;
Doi,N. and Yanagawa,H. (1999) FEBS Lett., 457, 227-230; and
Yonezawa,M., Doi,N., Kawahashi,Y., Higashinakagawa,T. and Yanagawa,H.
(2003) Nucleic Acids Res., 31, e118.
グループb)に属するIVCの先行技術の例:
Tawfik,D.S. and Griffiths,A.D. (1998) Man-made cell-like compartments for molecular evolution. Nat. Biotechnol., 16, 652-656;
Ghadessy,F.J., Ong,J.L. and Holliger,P. (2001) Proc. Natl Acad. Sci. USA, 98, 4552-4557;
Tay Y, Ho C, Droge P, Ghadessy FJ. Selection of bacteriophage lambda
integrases with altered recombination specificity by in vitro compartmentalization. Nucleic Acids Res. 2010 Mar;38(4):e25. Epub 2009 Dec 4;
Zheng Y, Roberts RJ. Selection of restriction endonucleases using artificial
cells. Nucleic Acids Res. 2007;35(11):e83. Epub 2007;
Mastrobattista E, Taly V, Chanudet E, Treacy P, Kelly BT, Griffiths AD.
High-throughput screening of enzyme libraries: in vitro evolution of a
beta-galactosidase by fluorescence-activated sorting of double emulsions. Chem
Biol. 2005 Dec;12(12):1291-300;
Levy M, Griswold KE, Ellington AD. Direct selection of trans-acting ligase
ribozymes by in vitro compartmentalization. RNA. 2005 Oct;11(10):1555-62. Epub
2005 Aug 30;
Sepp A, Choo Y. Cell-free selection of zinc finger DNA-binding proteins using
in vitro compartmentalization. J Mol Biol. 2005 Nov 25;354(2):212-9. Epub 2005
Oct 3;
Bernath K, Magdassi S, Tawfik DS. Directed evolution of protein inhibitors of
DNA-nucleases by in vitro compartmentalization (IVC) and nano-droplet delivery. J
Mol Biol. 2005 Feb 4;345(5):1015-26. Epub 2004 Dec 7.
更なるIVCの先行技術の例としては、以下が挙げられる。
Bertschinger et al, (2004) Protein Engineering, Design & Selection vol. 20 no. 2 pp. 699-707;
Chen Yu et al, (November 2008) Nucleic Acid Research, Vol. 36, Nr. 19, Pages: Article No. E128;
Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327.
本発明が解決しようとする課題は、例えば、興味のある標的(例えば医薬関連受容体等)に結合する少なくとも1つの結合体(例えば化合物等)を含む富化ライブラリーを作製するための、インビトロディスプレイに基づく改善された方法を提供することである。
多くの場合、治療薬の開発で最も顕著であるが、結合体(薬物)に関する2つのパラメーターが特に重要である。即ち、力価(potency)(親和性)及びオフ比(off rate)(薬物:標的複合体の解離半減期)である。本発明は、これらの重要な結合パラメーターの双方を富化するためのインビトロディスプレイ法について、より優れた解決策を提供する。
他の場合では、結合同一性のオン比特性(on-rate characteristic)が望ましい。本発明は、結合同一性のオン比特性を富化するインビトロディスプレイ方法について、より優れた解決策を提供する。
解決策として、例えば以下が挙げられる。
(i)核酸分子(遺伝子型)に連結された結合体(すなわち表現型)のインビトロディスプレイライブラリーの作製。この工程は例えば、斯かるインビトロディスプレイライブラリーを作製する既知の先行技術に基づいて実施することができる。
(ii)核酸分子(遺伝子型)に連結された標的(すなわち表現型)を含む構造物の作製。この工程は例えば、斯かる構造物を作製する既知の先行技術にいて実施することができる。
本発明において記載する方法は、更に以下を有することを特徴とする。
(iii)結合工程を溶液中(例えば水性条件下)で行う。
(iv)適切なインビトロコンパートメント化系(例えば油中水滴型エマルション系)を用いて、標的分子より多くの個別コンパートメントを作製する。
(v)共コンパートメント化された標的及び結合体遺伝子型を融合する。
(vi)コンパートメントを解消する。融合された遺伝子型を富化する(インビトロディスプレイライブラリー中の陽性の結合物質は、非結合物質よりも融合され易い傾向を有する)。
(vii)更に任意により、例えば融合した遺伝子型を精製し、及び/又は、優先的に増幅する。
当業者であれば、本明細書の詳細な説明及び技術常識に基づいて、種々の異なる方法で工程(iii)から工程(vi)を実施することが可能である。
工程(vii)は任意の工程である。本明細書で記載するように、工程(vii)の富化ライブラリーが得られたら、このライブラリーを本技術分野に従って様々な方法で用いることができる。例えば、富化ライブラリーを富化されたインビトロディスプレイライブラリーとして、例えば選択/富化の第2ラウンドに使用してもよい。或いは、工程(vi)の富化ライブラリーから、興味ある特定の結合体の構造物を直接同定してもよい。
上述したように、本発明に関連する所謂IVCの先行技術は、以下のように分けることができる。
グループa)コンパートメント化工程の後に表現型の活性を照合する技術。
グループb)コンパートメント化工程の間に表現型の活性を照合する技術。
上記から明らかなように、また、本明細書において更に議論するように、本発明に記載される方法は、これらの所謂IVCの先行技術とは概念的に異なる。例えば、表現型活性は第1の観点の工程(iii)において照合されるが、これは、第1の観点のコンパートメント化工程(iv)の前に行われる。
本明細書に記載の新規な方法の原理を簡単に説明すれば、以下のとおりである。ディスプレイライブラリー中の非結合物質は、コンパートメントに無作為に分配され、惹いてはコンパートメント数と標的分子数との比率に応じた頻度で、標的と一緒に無作為に共コンパートメント化される。対照的に、結合物質はその結合活性ゆえに、コンパートメント数と標的分子数との比率とは無関係に、標的分子と一緒に共コンパートメント化される。従って、コンパートメント数と標的分子数との比率が1よりも大きければ、結合物質は富化されることになる。比率が高いほど、より富化されることになる。
本明細書に記載の新規な方法の例を図1及び2に示す。
本発明に関連する多数の結合体及び所定の標的の例を実施例1及び2に示す。実施例1及び2の結論から明らかなように、本明細書に記載の方法を用いれば、例えばライブラリーに含まれる結合物質を1000倍に富化することができる。
従って、本発明の第1の観点は、少なくとも1つの標的に結合する少なくとも1つの結合体(binding entity)の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含む富化ライブラリーを作製する方法であって、前記特定の結合体はインビトロディスプレイライブラリー内に存在し、前記方法は、
(i)少なくとも100種類の異なる結合体Bn(n=100以上)のインビトロディスプレイライブラリーを作製し、ここで各結合体は核酸分子に連結され、前記核酸分子は前記結合体の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含み、これにより前記核酸分子の特定の核酸配列情報から、前記核酸分子に連結された前記特定の結合体の構造物が直接同定され(前記核酸分子(遺伝子型)に連結された前記結合体の構造物(即ち表現型)を以下「B構造物」(B-structure)と呼ぶ。)、
(ii)少なくとも1種類の標的Tn(n=1以上)が連結された核酸分子を作製し、ここで前記核酸分子は特異的標的の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含み、ここで前記標的は工程(i)のライブラリーに存在する結合体の少なくとも1つに結合する能力を有し(前記核酸分子(遺伝子型)に連結された前記標的の構造物(即ち表現型)を以下「T構造物」(T-structure)と呼ぶ。)、
(iii)工程(i)のライブラリーの総数X(ここでXは104よりも大きな数である)個のB構造物を含む溶液を、工程(ii)のY(ここでYは102よりも大きな数である)個のT構造物を含む溶液と、結合条件下で混合し、ここで結合条件は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物により効率的に結合する条件であり、これにより前記結合体の少なくとも1つが少なくとも1つの標的に結合して、T構造物に結合したB構造物を含む複合体が生成され(これを以下「B結合構造物」(BBoundToT-structure)と呼ぶ
(iv)インビトロのコンパートメント化系を結合条件下で適用し、ここで結合条件は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物より効率的に結合する条件であり、ここで前記コンパートメント化系は、B構造物、T構造物及びB結合構造物が個別コンパートメント内に無作為に入る条件下で、工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも2倍の個別コンパートメントを含み、
(v)同じ個別コンパートメント内に存在するB構造物とT構造物との核酸分子を融合し、即ち、B構造物の核酸分子をT構造物の核酸分子に融合し(この構造物を以下「BT融合 構造物」(BTFused-structure)と呼ぶ、前記BT融合 構造物は、工程(i)の結合体の同定を可能にする特定の核酸配列情報と、工程(ii)の特異的標的の同定を可能にする特定の核酸配列情報とを含み、
(vi)B構造物の核酸分子とT構造物の核酸分子との融合がない条件、即ち、工程(v)で形成されなかった新たなBT融合 構造物が形成されない条件下で、工程(v)の個別コンパートメントの内容物を併合することにより、BT融合 構造物のライブラリーを取得し、ここで前記ライブラリーは、標的と結合実体(binder entity)との非結合対に由来するBT融合 構造物に比べて、標的と結合実体との結合対に由来するBT融合 構造物の種が富化されたライブラリーである、方法に関する。
本明細書に記載の第1の観点の方法は、共コンパートメント化による富化(Enrichment by Co-Compartmentalization:ECC)と呼ぶことができる。
本明細書に記載のECC法の利点は、重要な結合特性の富化を分離して最適化できる点である。ECCは均質アッセイであるので、標的を固体支持体に固定化する必要がない。先行技術の方法は不均質系であり、固体支持体(例えばビーズ、カラム、細胞、プラスチック、ろ過器など)への標的固定化に依存する。不均質アッセイは、例えばアビディティー作用(avidity effects)、被膜の密度、アッセイに対する固体支持体自体の干渉等により、均質アッセイと比べて遥かに制御が困難である。
上に議論されたように、本発明に関連するインビトロディスプレイの先行技術(例えば上述の先行技術等)では、インビトロディスプレイライブラリー内に存在する適切な結合体の選択は通常、ディスプレイライブラリー結合事象の前又は後に、固体支持体(例えばガラス板、カラム、ビーズ、ニトロセルロースフィルター、細胞など)に標的(例えば受容体)を固定化することにより行われる。非結合物質及び低親和性結合物質は概ね洗い流されるため、結合物質が富化された集合物が固体支持体から回収される。
従って、当業者であれば理解するように、本発明に関連する上述の先行技術の方法が「固体支持体への標的固定化に依存する」方法であるとすれば、適切な結合体の選択は固体支持体への標的の固定化に依存し、これは適切な結合体を選択するための必須要素となる。
当業者に明らかなように、第1の観点の方法は、斯かる固体支持体への標的固定化に依存する先行技術の方法とは異なる。第1の観点の工程(iv)で規定するように、結合体の選択は、個別コンパートメント内へのB結合構造物の分離に基づいて行われるからである。
上記に従い、また、当業者であれば理解するように、第1の観点の方法において、理論的には例えば、工程(ii)における標的T構造物がビーズを含む場合を想定することができる。それは理論上、標的がビーズに結合されたT構造物であってもよい。更には、工程(ii)におけるT構造物の特定の標的の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含む核酸分子が、ビーズに結合されていてもよい。
当業者に明らかなように、ビーズを含む斯かる特別なT構造物は、第1の観点の方法が、固体支持体への標的の固定化に依存して適切な結合体を選択する方法ではない、という事実を変更することはない。
上記に従い、また、当業者であれば理解するように、本発明との関連において、第1の観点の方法は、第1の観点の工程(iv)の個別の/分離されたコンパートメント内の溶液にB結合構造物(すなわち標的結合体複合体)が懸濁された状態で維持されることを示唆する方法と考えてもよい。
ECCによれば、標的に結合体を結合するための主な結合特性を独立して最適化することが可能となる。例えば、力価(親和性)、会合率(オン比)、結合体と標的の解離半減期(オフ比)等である。
親和性に基づいた選択は、均衡条件を用いることにより達成され、混合工程(結合工程)の標的濃度により制御される。親和性に基づいた選択は、均衡条件を用いることにより達成され、混合工程(結合工程)の標的濃度により制御される。すなわち、標的濃度の10分の1に等しいKdを有するディスプレイライブラリー中の結合体分子は、90%が標的に結合される。一方、標的濃度と同程度のKdを有している結合体分子は、50%が標的に結合し、標的濃度の10倍に等しいKdを有する結合体分子は、10%が標的に結合される。従って、親和性の富化は、混合工程の標的濃度によって容易に制御することができる。
本発明の別の観点は、第1の観点の工程(vi)の富化ライブラリーに関連し、かつ第1の観点の方法によって、或いは本発明に関連する第1の観点の態様から得られる。
本発明の態様を以下に記載するが、これらはあくまでも例示にすぎない。
本明細書に記載の方法の原理を示す例。 本明細書に記載の方法の原理を示す例。第1の態様の融合工程(v)でエマルジョンPCRを用いた例。 欧州特許第1809743号(Vipergen)等に記載のインビトロディスプレイ技術の例。図から明らかなように、斯かる例の選択工程は、固体表面(例えばビーズ又はガラス板)に標的(例えば受容体)を固定化することにより行なわれる。 実施例3の10%TBE PAGEの結果。低域DNAマーカー(Fermentas)をレーンMにロードした。レーン1には、ビオチンとのプレインキュベーションを行わない結合反応に由来するPCR産物をロードした。レーン2には、ビオチンとのプレインキュベーションを行った結合反応に由来するPCR産物をロードした。 実施例4のDNA塩基配列決定の結果 実施例5で計算されたqPCR反応物の融合分子数を示すグラフ 実施例6のDNA塩基配列決定の結果
インビトロディスプレイライブラリー 〜 第1の観点の工程(i)
「インビトロディスプレイライブラリー」(in vitro display library)という語は、本技術分野に従い理解される。すなわち、多数の異なる結合体を含むライブラリーであって、各結合体が核酸分子に連結され、核酸分子が、結合体を同定することを可能にする特定の核酸配列情報を含むライブラリーを意味する。すなわち、多数の異なる結合体を含むライブラリーであって、各結合体が核酸分子に連結され、核酸分子が、結合体を同定することを可能にする特定の核酸配列情報を含むライブラリーを意味する。本願明細書では、核酸分子(遺伝子型)に連結された結合体(すなわち表現型)の構造物を、B構造物と呼ぶ。
本明細書で議論するように、先行技術には、斯かるインビトロディスプレイライブラリー(すなわち工程(i)のインビトロディスプレイライブラリー)を作製する、多くの異なる方法が記載されている。
換言すれば、核酸分子(遺伝子型)に結合体(すなわち表現型)が連結された構造物(本明細書ではこれを「B構造物」と呼ぶ)は、現在では当業者であれば定型的な作業によって適切に作製することが可能である。
本技術分野では周知のように、結合体(すなわち表現型)の核酸分子(遺伝子型)への連結は、共有結合等によるものでもよく、高親和性非共有結合等によるものでもよい。
本発明では、結合体(すなわち表現型)が共有結合によって核酸分子(遺伝子型)に連結されることが好ましい。
工程(i)のインビトロディスプレイライブラリーは多くの異なるB構造物を含む。即ち、上述の通り、工程(i)のインビトロディスプレイライブラリーを作製することは、当業者にとっては定型的な作業である。
好ましい例としては、EP1809743B1 (Vipergen), EP1402024B1 (Nuevolution), EP1423400B1 (David Liu), Nature Chem. Biol. (2009), 5:647-654 (Clark), WO 00/23458 (Harbury), Nature Methods (2006), 3(7), 561-570, 2006 (Miller), Nat. Biotechnol. 2004; 22, 568-574 (Melkko), Nature. (1990); 346(6287), 818-822 (Ellington), or Proc Natl Acad Sci USA (1997). 94 (23): 12297-302 (Roberts)等が挙げられる。
言い換えれば、第1の態様の工程(i)のインビトロディスプレイライブラリーは、先行技術に記載されるような様々な方法で作製することができる。
理論に束縛されるものではないが、本発明において適切なインビトロディスプレイライブラリー技術の例としては、DNAコード化化合物ライブラリー(DNA Encoded Chemical Library)技術、アプタマー技術、CISディスプレイ等のRNA/DNAディスプレイ技術、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、又は(コード化に核酸を用いた)ビーズディスプレイ系が挙げられる。
先行技術に記載されるように(例えば欧州特許第1809743号(Vipergen)参照)、B構造物の核酸分子としては、PNA、LNA、RNA、DNA又はその組み合わせが挙げられる。好ましくは、B構造物の核酸分子はDNAである。
本発明の好ましい態様によれば、B構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、二本鎖核酸分子である。
本発明の好ましい態様によれば、B構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、少なくとも0%二本鎖(すなわち一本鎖)、少なくとも10%二本鎖、少なくとも20%二本鎖、二本鎖、少なくとも30%二本鎖、少なくとも40%二本鎖、少なくとも50%二本鎖、少なくとも60%二本鎖、少なくとも70%二本鎖、少なくとも80%二本鎖%二本鎖、少なくとも90%二本鎖、あるいは100%二本鎖である。
本発明の好ましい態様によれば、B構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、PCRプライミング部位又はその断片を含んでいてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、B構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、2つのPCRプライミング部位又はその断片を含んでいてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、B構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、少なくとも3つのPCRプライミング部位又はその断片を含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、PCRプライミング部位の断片は、少なくとも5つのヌクレオチド、少なくとも6つのヌクレオチド、少なくとも7つのヌクレオチド、少なくとも8つのヌクレオチド、少なくとも9つのヌクレオチド、少なくとも10のヌクレオチド、少なくとも11のヌクレオチド、少なくとも12のヌクレオチド、少なくとも13のヌクレオチド、少なくとも14のヌクレオチド、少なくとも15のヌクレオチド、少なくとも16のヌクレオチド、少なくとも17のヌクレオチド、少なくとも18のヌクレオチド、少なくとも19のヌクレオチド、又は少なくとも20のヌクレオチドを含む。
本発明のある態様によれば、B構造物で結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、B構造物の遺伝子型の一本鎖オーバーハングに対して逆相補的な一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、B構造物において結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、B構造物の遺伝子型の一本鎖オーバーハングに対して逆相補的な一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。オーバーハングは、好ましくは1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド又は10ヌクレオチド長である。
結合体
結合体としては興味のある任意の結合体が用いられる。
第1の観点の工程(i)では、「少なくとも100種類の異なる結合体Bn(n=100以上)」と規定する。
実際には、工程(i)のライブラリーには、遥かに多くの異なる結合体が存在していてもよい。例えば、少なくとも104、少なくとも105、又は少なくとも106の、異なる結合体(即ち、n=少なくとも104、n=少なくとも105又はn=少なくとも106)が存在していてもよい。
従って、理論的な状況として、仮にライブラリーがちょうど104の異なる結合体を含む場合、本明細書ではこれをBn(n=104)又はB10 4と表現する。
理論に束縛されるものではないが、1020を超える異なる結合体を有するライブラリーを作製するのは難しいであろう。
適切な例として、結合体は、タンパク質、ポリペプチド、核酸及び化合物(好ましくは平均分子量MW10000ダルトン未満、より好ましくは平均分子量MW5000ダルトン未満、より一層好ましくは平均分子量MW1000ダルトン未満の小化合物)からなる群より選択される、少なくとも1つの結合体である。
本発明に関連する結合体(例えば化合物等)の適切な例は、先行技術に記載されている。例えば、EP1809743B1 (Vipergen), EP1402024B1 (Nuevolution), EP1423400B1 (David Liu), Nature Chem. Biol. (2009), 5:647-654 (Clark), WO 00/23458 (Harbury), Nature Methods (2006), 3(7), 561-570, 2006 (Miller), Nat. Biotechnol. 2004; 22, 568-574 (Melkko), Nature. (1990); 346(6287), 818-822 (Ellington), or Proc Natl Acad Sci USA (1997). 94 (23): 12297-302 (Roberts)等を参照。
要するに、当業者であれば、本発明との関連において興味ある結合体となり得る膨大な数の物質を挙げることができるであろう。
第1の観点の工程(ii)
本明細書で議論するように、標的は、工程(i)のライブラリー中にある結合体の少なくとも1つに結合することができるものとする。そうでなければ、少なくとも1つの標的に結合する特異的結合実体を同定するために使用できる適切な標的にはならない。
上述のように、核酸分子(遺伝子型)に適切に標的(すなわち表現型)を連結することにより、核酸分子(遺伝子型)に連結された標的(すなわち表現型)の構造物(すなわち本発明にいう「T構造物」)を作製することは、現在では当業者にとって定型的な作業である。
言い換えれば、例えば工程(i)のインビトロディスプレイライブラリーの作製との関連で先に議論した先行技術文献等に基づいて、本発明に関連する「T構造物」を作製してもよい。
本技術分野では周知のように、標的(すなわち表現型)の核酸分子(遺伝子型)への連結は、共有結合等によるものでもよく、高親和性非共有結合等によるものでもよい。
本発明では、標的(すなわち表現型)が共有結合によって核酸分子(遺伝子型)に連結されることが好ましい。
第1の観点の工程(i)は、「少なくとも1種類の標的Tn(n=1以上)」と記載する。
本明細書で議論するように、本発明に記載の方法の利点の一つは、例えば、2つ以上の標的に結合し得る結合体を同時に、効率的且つ迅速に選別することができるという点にある。
例えば、標的は2種類の異なる受容体分子であってもよく、この場合、本発明に記載の方法は、一方の受容体に結合する1種類の結合体と、別の受容体に結合する別の種類の結合体とを、同時に同定することができる。
上述の例(2種類の異なる受容体標的の例)では、標的はTn(n=2)或いはT2と表現される。
即ち、工程(ii)には少なくとも2種類の異なる標的が存在してもよく(即ちTn(n=2以上)、工程(ii)に少なくとも3種類の異なる標的が存在してもよく(即ちTn(n=3以上)、工程(ii)に少なくとも10種類の異なる標的が存在してもよく(即ちTn(n=10以上)、工程(ii)に少なくとも100種類の異なる標的が存在してもよい(即ちTn(n=100以上)。
理論に束縛されるものではないが、工程(ii)において、100,000を超える異なる標的(すなわち100,000を超える異なるT構造物)を有するのは難しいであろう。
先行技術に記載されるように(例えば欧州特許第1809743号(Vipergen)参照)、T構造物の核酸分子としては、PNA、LNA、RNA、DNA又はその組み合わせが挙げられる。好ましくは、T構造物の核酸分子はDNAである。
本発明の好ましい態様によれば、T構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、少なくとも5ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも60ヌクレオチド長、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100のヌクレオチド長、少なくとも200ヌクレオチド長、少なくとも300ヌクレオチド長、少なくとも400ヌクレオチド長、又は少なくとも500ヌクレオチド長である。
本発明の好ましい態様によれば、T構造物の標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、二本鎖核酸分子である。
本発明の好ましい態様によれば、T構造物の標的(表現型)に連結された二本鎖核酸分子(遺伝子型)は、少なくとも5塩基対長、少なくとも10塩基対長、少なくとも20塩基対長、少なくとも30塩基対長、少なくとも40塩基対長、少なくとも50塩基対長、少なくとも60塩基対長、少なくとも70塩基対長、少なくとも80塩基対長、少なくとも90塩基対長、少なくとも100の塩基対長、少なくとも200塩基対長、少なくとも300塩基対長、少なくとも400塩基対長、又は少なくとも500塩基対長である。
本発明の好ましい態様によれば、T構造物の標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、少なくとも0%二本鎖(すなわち一本鎖)、少なくとも10%二本鎖、少なくとも20%二本鎖、二本鎖、少なくとも30%二本鎖、少なくとも40%二本鎖、少なくとも50%二本鎖、少なくとも60%二本鎖、少なくとも70%二本鎖、少なくとも80%二本鎖%二本鎖、少なくとも90%二本鎖、あるいは100%二本鎖である。
本発明の好ましい態様によれば、T構造物の標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、PCRプライミング部位又はその断片を含んでいてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、T構造物の標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、2つのPCRプライミング部位又はその断片を含んでいてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、T構造物の標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、少なくとも3つのPCRプライミング部位又はその断片を含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、PCRプライミング部位の断片は、少なくとも5つのヌクレオチド、少なくとも6つのヌクレオチド、少なくとも7つのヌクレオチド、少なくとも8つのヌクレオチド、少なくとも9つのヌクレオチド、少なくとも10のヌクレオチド、少なくとも11のヌクレオチド、少なくとも12のヌクレオチド、少なくとも13のヌクレオチド、少なくとも14のヌクレオチド、少なくとも15のヌクレオチド、少なくとも16のヌクレオチド、少なくとも17のヌクレオチド、少なくとも18のヌクレオチド、少なくとも19のヌクレオチド又は少なくとも20のヌクレオチドを含む。
本発明のある態様によれば、T構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、B構造物の遺伝子型の一本鎖オーバーハングに対して逆相補的な一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。
本発明のある態様によればT構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、B構造物の遺伝子型の一本鎖オーバーハングに対して逆相補的な一本鎖オーバーハングを含んでいてもよい。オーバーハングは、好ましくは1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド又は10ヌクレオチド長である。
本発明のある態様によれば、T構造物において標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、各標的分子について独自の特定配列(Unique Molecule Identifier:UMI)を含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、T構造物に標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、各標的分子について、少なくとも16のN(N=A、C、G又はT)(少なくとも17のN)、少なくとも18のN、少なくとも19のN、少なくとも20のN、少なくとも21のN、少なくとも22のN、少なくとも23のN、少なくとも24のN、少なくとも25のN、少なくとも26のN、少なくとも27のN、少なくとも28のN、少なくとも29のN又は少なくとも30のNからなる、独自の特定配列(Unique Molecule Identifier:UMI)を含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、T構造物において標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、各標的分子について、連続的な配列からなる独自の特定配列(Unique Molecule Identifier:UMI)を含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、T構造物において標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、各標的分子について、不連続な配列からなる独自の特定配列(Unique Molecule Identifier:UMI)を含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、T構造物において第1の標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、第2の標的の第2の遺伝子型配列と異なる(多重化を可能にする)第1の配列を含んでいてもよい。
本発明のある態様によれば、T構造物において第1の標的(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)は、第2の標的の第2の遺伝子型配列と異なる(多重化を可能にする)第1の配列を含んでいてもよく、ここで第1及び第2の標的遺伝子型は、異なるPCRプライミング部位を含んでいてもよい。
標的
標的としては興味のある任意の標的が用いられる。
本発明の好ましい態様によれば、所望の特性を有する結合体の同定を促進するための具体的な富化方法としては、限定されるものではないが、標的分子に連結された核酸の富化が挙げられる。この手法によれば、標的分子は例えばDNA、RNA、タンパク質、炭水化物、有機又は無機分子である。
本技術分野では周知のように、適切な標的としては、例えばヒト等の体内の受容体分子が挙げられる。受容体に結合し得る結合体(例えば化合物)の同定は興味深い。
先行技術によれば、好適な例として、標的はDNA、RNA、タンパク質、炭水化物、有機若しくは無機分子、又はその断片である。
先行技術によれば、好適な例として、標的は、自己抗原、細菌タンパク質、血液タンパク質、細胞接着タンパク質、サイトカイン、細胞骨格タンパク質、DNA結合性タンパク質、発生関連タンパク質、遺伝子改変タンパク質、酵素、細胞外基質タンパク質、GTP結合タンパク質調節因子、糖タンパク質、発育因子、熱ショックタンパク質、リポタンパク質、膜タンパク質、金属タンパク質、運動タンパク質、リンタンパク質、プリオン、タンパク質複合体、タンパク質ドメイン、RNA結合タンパク質、受容体、組換タンパク質、種子貯蔵タンパク質、構造ンパク質、転写共調節因子タンパク質、輸送タンパク質、ウィルスタンパク質、又はその断片である。
要するに、当業者であれば、本発明との関連において興味ある標的となり得る膨大な数の物質を挙げることができるであろう。
第1の観点の工程(iii):
図1に示す例において、この工程(iii)は、「1.結合」に相当する。
上に議論したように、工程(iii)は、「工程(i)のライブラリーの総数X(Xは104よりも大きな数である)個のB構造物を含む溶液を・・・混合し」と記載する。
構造物の数に関する記号「X」は、工程(i)のライブラリーにおけるB構造物の総数を表すと理解するものとする。
例えば、ライブラリーが100の異なる結合体を有し(Bn(n=100))、これら100の異なるB構造物が各々100コピーずつ存在する場合には、「X」は100×100=104に等しい数となる。
実際には、Xは遥かに大きな数でもよい。例えば、ライブラリーが106の異なる結合体を有し(Bn(n=106))、これら106の異なるB構造物が各々104コピーずつ存在する場合には、「X」は106×104=1010に等しい数となる。
上に議論したように、工程(iii)は、「工程(ii)のY(Yは102よりも大きな数である)個のT構造物を含む溶液」と記載する。
構造物の数に関する記号「Y」は、工程(ii)のライブラリーにおけるT構造物の総数を表すと理解するものとする。
例えば、工程(ii)において標的が1種類しかなく(Tn(n=1))、このT構造物が102コピー存在する場合には、「Y」は1×102=102に等しい数となる。
上に議論したように、例えば2種類の異なる標的(例えば2種類の異なる受容体分子)が存在してもよい。この場合、工程(ii)において2種類の標的[Tn(n=2)]が存在し、それに対応する2つの異なるT構造物が各々102コピーずつ存在する場合には、「Y」は2×102=200に等しい数となる。
実際には、多くの場合、関連するT構造物のコピー数は、遥かに大きな数となる。その理由は、構造物の標的がB構造物の結合体に結合する可能性をできるだけ高くするために、関連するT構造物のコピー数をできるだけ多くすることが好ましいからである。
従って、好ましい態様によれば、興味あるT構造物のコピー数は、少なくとも100、少なくとも101、少なくとも102、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107少なくとも108、少なくとも109、少なくとも1010、少なくとも1011、少なくとも1012、少なくとも1013、少なくとも1014、少なくとも1015、又は少なくとも1016である。
本明細書に記載のECC法の利点は、重要な結合特性の富化を独立に最適化できるという点にある。ECCは均質アッセイであるので、標的を固体支持体に固定化する必要がない。先行技術の方法は不均質系であり、固体支持体(例えばビーズ、カラム、細胞、プラスチック、ろ過器など)への標的固定化に依存する。不均質アッセイは、例えばアビディティー作用(avidity effects)、被膜の密度、アッセイに対する固体支持体自体の干渉等により、均質アッセイと比べて遥かに制御が困難である。
ECCによれば、標的に結合体を結合するための主な結合特性を独立して最適化することが可能となる。例えば、力価(親和性)、会合率(オン比)、結合体と標的の解離半減期(オフ比)等である。
工程(iii)において、親和性に基づく選択は、例えば、平衡条件を用いることで達成され、また、混合工程(結合工程)の標的濃度によって制御される。即ち、標的濃度の10分の1に等しいKdを有するディスプレイライブラリー結合体分子は、90%が標的に結合される。一方、標的濃度と同程度のKdを有する結合体分子は、50%が標的に結合し、標的濃度の10倍に等しいKdを有する結合体分子は、10%が標的に結合される。従って、親和性の富化は、混合工程の標的濃度によって容易に制御することができる。
本発明の好ましい態様によれば、「混合工程(iii)」におけるT構造物の濃度は、少なくとも10-15M、少なくとも10-14M、少なくとも10-13M、少なくとも10-12M、少なくとも10-11M、少なくとも10-10M、少なくとも10-9M、少なくとも10-8M、少なくとも10-7M、少なくとも10-6M、少なくとも10-5M、少なくとも10-4M、又は少なくとも10-3Mである。
あるいは、会合比率に基づく選択は、混合工程(iii)に割り当てられる時間を制御することでも達成される。即ち、「混合工程」を、結合平衡条件に達する所要時間より短い時間で行ってもよい。
工程(iii)は更に、「結合条件は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物により効率的に結合する条件であり、これにより前記結合体の少なくとも1つが少なくとも1つの標的に結合して、T構造物に結合したB構造物を含む複合体が生成され(これを以下「B結合構造物」(BBoundToT-structure)と呼ぶ。)」と記載する。
「より効率的に結合する」(binds more efficiently)との記載は、技術常識に従って、例えば、より高い親和性、より速いオン比、又は、より遅い解離速度として理解されるものとする。
当業者には周知のように、本発明との関連において、「より効率的に結合する」条件下で工程(iii)を実施することは、当業者であれば定型的な作業で可能である。
例えば、この「より効率的に結合する」作用は、例えば、工程(iii)の結合条件下で(ハイブリダイゼーションによる塩基対形成等により)実質的に結合しないB及びT構造物遺伝子型を用いることによって、容易に達成することができる。当業者には明らかなように、B及びT構造物の遺伝子型として、一本鎖塩基対のオーバーラップが殆ど又は全く存在しない二本鎖DNAを使用することにより、これを達成することができる。
工程(iii)において所望の「より効率的に結合する」作用を得る目的で、工程(iii)の結合条件を最適化することは、当業者であれば定型的な作業で可能である。
当業者には周知のように、本発明に関連する最適化パラメーターとしては、例えばイオン強度、温度等が挙げられる。
従って、本発明に関連する現実の環境において、工程(iii)の結合条件を(例えば結合条件に適宜、定型的な調節を加えることにより)達成できることは、当業者であれば些かの合理的な疑いも抱かないであろう。
好ましい態様では、工程(iii)は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物よりも、10倍(より好ましくは100倍、更に好ましくは1000倍)効率的に、対応するT構造物に結合するような結合条件の下で行なわれる。
工程(iii−b) 〜 希釈工程 〜 好ましい態様
図1に示す例において、任意の工程(iii−b)は「2.稀釈」工程に相当する。
本発明では、混合工程(iii)に続いて希釈段階を行うことが好ましい。これは工程(iii−b)と呼ばれ、第1の態様の工程(iv)の前に行なわれる。
即ち、好ましい態様によれば、第1の観点の方法は、第1の観点の工程(iv)の前に実施される追加の工程(iii−b)、即ち、(iii−b)結合条件、即ち、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物により効率的に結合する結合条件下で、少なくとも2倍に希釈する工程を含む。
希釈工程(iii−b)において採用される希釈溶液や希釈条件(温度等)は、混合工程(iii)での結合条件等に応じて異なる。しかし、上述の作用は、希釈工程(iii−b)でも維持されるようにする。
工程(iii−b)では、工程(iii)の溶液を少なくとも102倍に、工程(iii)の溶液を少なくとも103倍に、工程(iii)の溶液を少なくとも104倍に、工程(iii)の溶液を少なくとも105倍に、工程(iii)の溶液を少なくとも106倍に、工程(iii)の溶液を少なくとも107倍に、工程(iii)の溶液を少なくとも108倍、又は工程(iii)の溶液を少なくとも109倍に希釈することが好ましい。
この希釈工程の利点は、富化がBT構造物の解離半減期に基づいて行われるため、希釈度及びインキュベーション時間によって、富化を容易に制御することができる、という点である。工程(iii)の混合溶液を希釈すると、結合体と標的との結合が生じる可能性は低くなるのに対して、「非結合事象」(un-binding event)であるオフ比(解離半減期)は稀釈に依存せずに生じる。その結果、非常に希薄された溶液(T構造物濃度<<Kd)では、実質的に解離のみが生じることになる。従って、BT構造物の解離半減期の富化は、希釈度及びインキュベーション時間によって容易に制御することができる。
解離半減期は、親和性と並んで、結合体の有用性にとって最も高い重要性を有する。とりわけ、有効な新医薬品の開発においては、高い親和性及び長い解離半減期を有することが、薬理効果を発揮する上で臨界的なパラメーターとなる(Nature Reviews Drug Discovery (2006) 5, 730-739, (Copeland))。本発明の新たな方法は、先例がない有効且つ制御可能な手法で、これらの2つのパラメーターの富化を可能とする。さらに、これら2つのパラメーターは、相互に独立に制御することができる。
第1の観点の工程(iv):
この工程を簡単に言えば、工程(iii)の結合体と標的との結合が、B構造物とT構造物との共コンパートメント化に「転換される」工程である。
この工程(iv)の条件は、工程(iii)の作用に対応する作用を与えるような「結合条件」とするものとする。上記参照。
図1に示す例において、この工程(iv)は、工程「3.エマルジョンw/o」に相当する。
第1の観点の工程(iv)は、更に「前記コンパートメント化系は・・・工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも2倍の個別コンパートメントを含み」と記載する。
これは、本発明では必須の工程である。即ち、「工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも2倍の個別コンパートメント」を有することは必須である。
図1におけるインビトロコンパートメント化系は、例えば油中水滴型エマルション系である。以下に更に議論するように、本発明に適した油中水乳剤系は、本技術分野では周知である。
図1に示す理論上の仮想例によれば、工程(ii)では標的は1種しか存在せず(Tn(n=1))、そのT構造物は3コピー存在する。即ち、「Y」は3となる。
従って、この図1の理論上の例では、インビトロコンパートメント化系には少なくとも(2×3)=6つの個別コンパートメント(例えば油滴)が存在することになる。なお、図1には30未満の個別コンパートメントが存在することに留意されたい(即ち、図1は、本明細書に記載の方法の一部の要素を例示するものに過ぎない)。
上に議論したように、実際には、例えば少なくとも104コピーのT構造物が存在してもよい。この場合、Yは104となり、インビトロのコンパートメント化系には、少なくとも(2×104)=2×104の個別コンパートメント(例えば油滴)が存在することになる。
「Y個のT構造物と比べて、少なくとも2倍の個別コンパートメント」を有することによる利点は、以下のとおりである。即ち、ディスプレイライブラリー中の非結合物質は、コンパートメント数と標的分子数との比率(この場合1対10)に応じた頻度で、コンパートメントに無作為に分配され、標的と一緒に共コンパートメント化される。一方、結合物質は、その結合活性ゆえに、コンパートメント数と標的分子数との比率(理想的には1対1)とは無関係に、標的分子と一緒に共コンパートメント化される。従ってこの場合、結合物質は非結合物質に比べて2倍に富化されることになる。
従って、インビトロコンパートメント化系における個別コンパートメントが多いほど、より富化を好適に行うことができる。好ましい態様によれば、「工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも10倍の個別コンパートメント」が存在し、より好ましくは「工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも100倍の個別コンパートメント」が存在し、より好ましくは「工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも10000倍の個別コンパートメント」が存在し、より好ましくは「工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも100000倍の個別コンパートメント」が存在し、より好ましくは「工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも1000000倍の個別コンパートメント」が存在する。
本発明の好ましい態様によれば、コンパートメントの数は、工程(iii)のT構造物の数Yの2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、1000倍、5000倍、10000倍、50000倍、100000倍、500000倍、1000000倍、5000000倍、又は10000000倍である。
第1の観点の工程(iv)は、更に、「B構造物、T構造物及びBT構造物が個別コンパートメント内に無作為に入る条件下」と記載する。
本文言は、本明細書の文脈において当業者が当然理解するように理解すべきである。この点に関して、本発明において有利な富化を行うには、B構造物、T構造物及びBT構造物が個別コンパートメント内に無作為に入る条件を得る必要がある。
言い換えれば、B構造物、T構造物及びBT構造物が所与のコンパートメントにコンパートメント化される傾向は、前記コンパートメントの体積及び全体積に依存する。
言い換えれば、B構造物、T構造物及びBT構造物が事実上全て、ある特定の単一の個別コンパートメントに入ってしまうと、本明細書で議論するような有利な富化が得られないのは明らかである。
以下に議論するように、例えば適切な油中水エマルション系をインビトロのコンパートメント化系として用いれば、B構造物、T構造物及びBT構造物が個別コンパートメント(例えば個々の油滴)内に無作為に入る条件を容易に特定することができるであろう。実際には、B構造物、T構造物及びBT構造物が事実上全て、ある特定の単一の個別コンパートメント(例えば個々の油滴)に入ってしまうような条件を特定する方が、遥かに困難であろう。
工程(iv)の好ましい態様によれば、工程(iii)のB構造物の個数Xに対して、少なくとも10の平方根(3.16)倍の個別コンパートメントが存在する。
コンパートメントのB構造物の分布がポアソン分布によって記述されると仮定する。これは、すべてのコンパートメントが等容積であることを前提とする。コンパートメントにn=0、1又は2以上のB構造物物分子がある可能性は、下記式から計算することができる。
Figure 0006193761
ここでλは、B構造物数Xとコンパートメント数との比率である。λが平方根10(3.16)である場合、2以上のB構造物を有するコンパートメントの比率は5%未満(4.1%)となる。これはすなわち、富化されない陽性結合体の比率が5%未満であることを意味する。これは多くの場合、問題にならない比率である。
上に議論したように当業者であれば理解するように、本発明との関連において、第1の態様の方法は、第1の態様の工程(iv)の個別の/分離されたコンパートメント内の溶液に、B結合構造物(すなわち標的結合体複合体)が懸濁された状態で維持されることを含意しているということができる。
従って、これを100%明確にするには、第1の観点の方法、及び、本発明に関連するこの方法の各種態様は、第1の観点の工程(iv)の個別コンパートメント内の溶液内に、B結合構造物が懸濁された状態で維持される方法である、と言い換えてもよい。
言い換えれば、この方法は、上に議論されるような本発明に関連する先行技術の方法とは異なり、標的の固体支持体への固定化に依存しないのである。
インビトロのコンパートメント化系
上に議論したように、本発明において適切なインビトロコンパートメント化系として、例えば油中水滴型エマルション系が挙げられる。
インビトロのコンパートメント化系が油中水エマルション系である場合、工程(iv)の「インビトロのコンパートメント化系を工程(iii)の溶液に適用し」は、「工程(iii)の溶液を油中水エマルション系に加え」と言い換えてもよい。
本発明における適切な油中水滴型エマルション系は、公知文献に記載されている。例えば、Nat Methods. 2006 Jul;3(7):545-50 (Williams et al), Nat Methods. 2006 Jul;3(7):551-9 (Diehl et al), Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Jul 22;100(15):8817-22 (Dressman et al), J Biotechnol. 2003 Apr 24;102(2):117-24. (Nakano et al), or Biomacromolecules. 6, 1824-1828 (2005) (Musyanovych et al)等が挙げられる。
当業者には明らかなように、コンパートメント化系としてエマルジョンを使用する場合には、同様のサイズ分布に準えて、コンパートメント体積分布はゴールトン(Galton)分布と呼ばれる対数正規分布としてモデル化される。対数正規分布を仮定し、実際の液滴サイズの測定を行なうことによって、特定の実験についての期待値(平均)及び標準偏差を計算することができる。この分布によれば、コンパートメント体積の95%が平均(ログ)体積からL対数単位内の範囲に存在することになる。ここでLは、ログ体積の標準偏差の1.96倍である。
本発明の好ましい態様によれば、データを分析する際に、平均コンパートメントサイズ、変動及び標準偏差を考慮する。
本発明の好ましい態様によれば、平均コンパートメントサイズの2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍の体積を有するコンパートメントを、実験から除外する。
本発明の好ましい態様によれば、平均コンパートメントサイズの1/100、1/90、1/80、1/70、1/60、1/50、1/40、1/30、1/20、1/10、1/9、1/8、1/7、1/6、1/5、1/4、1/3、又は1/2未満の体積を有するコンパートメントを、実験から除外する。
当業者には明らかなように、コンパートメントの体積に基づいて一部のコンパートメントを実験から除外するには、幾つかの技術が使用可能である。例えば、FACS選別、平衡遠心、濾過、微小流体システム等である。
あるいは、インビトロコンパートメント化系は、アガロース小滴微小流体技術であってもよい(Lab Chip. 2010 Sep 13. [Epub ahead of print] Agarose droplet microfluidics for highly parallel and efficient single molecule emulsion PCR.
Leng X, Zhang W, Wang C, Cui L, Yang CJ)。
或いは、インビトロのコンパートメント化系は、単純に溶液を工程(iii)の「マイクロタイタープレート」内に分散させ、マイクロタイタープレートの個別のウェル(即ち個別コンパートメント)内に無作為に入れたものであってもよい。周知のとおり、この作業は現在では、適切なロボット機器やオープンウェル系を用いることにより、迅速且つかつ効率的に実施することが可能である。マイクロタイタープレートと機能的に同等な、ナノリッターPCRの高密度アレイに基づく斯かる系の例であるナノプレート系によれば、標準的なスライドガラス大の装置で、最大3,072のPCR反応を同時に実施することができる(Methods Mol Biol. 2009;496:161-74. (Brennan et al))。
別の例として、マイクロメートルサイズの穴を有する大型アレイを配置したシリコンデバイスが挙げられる。このデバイスは、フェムトリッターレベルの少量の溶液を多数、長期間に亘って堅牢に保持することが可能である。斯かるマイクロチップによれば、チャンバが均一且つ正確に配置されている(Nat Biotechnol. 2005 Mar;23(3):361-5 (Rondelez et al))。
当業者には明らかなように、微小流体装置を、インビトロコンパートメント化系で使用することができる(概説については、例えばAngew Chem Int Ed Engl. 2010 Aug 9;49(34):5846-68 (Theberge et al)参照)。
本発明の好ましい態様によれば、適切な平均コンパートメント体積は、10-6リットル未満、10-7リットル未満、10-8リットル未満、10-9リットル未満、10-10リットル未満、10-11リットル未満、10-12リットル未満、10-13リットル未満、10-14リットル未満、10-15リットル未満、10-16リットル未満、10-17リットル未満、10-18リットル未満、10-19リットル未満、10-20リットル未満、10-21リットル未満、又は10-22リットル未満である。
当業者には明らかなように、コンパートメント体積は無限小にはなり得ない。コンパートメントは、コンパートメント化される分子よりも大きくなければならないからである。
要するに、当業者であれば、本発明との関連において興味ある膨大な数のインビトロコンパートメント化系を挙げることができるであろう。
第1の観点の工程(v)
第1の観点の工程(v)は、「同じ個別コンパートメント内に存在するB構造物とT構造物との核酸分子を融合し、即ち、B構造物の核酸分子をT構造物の核酸分子に融合し」と記載する。
この工程を簡単に言えば、工程(iv)で形成されたB構造物とT構造物との共コンパートメント化が、同族の遺伝子型の融合へと「変形される」(transformed)ということになる。
本発明との関連において、「B構造物の核酸分子をT構造物の核酸分子に融合」させるとは、コンパートメント内の2つの遺伝子型が有する遺伝子情報を連結するとの意味に解するものとする。
当業者には周知のように、これを達成する方法は、以下のように幾つか挙げられる。
a)PCRやオーバーラップ・ゲノム伸長(外部プライマーを用いないオーバーラップPCR)等による情報移送。ある遺伝子型に由来する鎖がプライマーとして機能し、別の遺伝子型に由来する鎖をテンプレートとして使用する。
b)容易に増幅可能な結合を形成する酵素によって触媒される情報連結。例えば、各ゲノムの少なくとも一方の鎖同士の間に、DNA連結酵素等によってホスホジエステル結合を形成する。
c)増幅不能な結合を形成する酵素によって触媒される情報連結。例えば、酵素によって連結され得る部位が各ゲノムに存在する場合に、各遺伝子型の少なくとも一方の鎖同士の2部位間を酵素によって連結する。
d)酵素によって触媒されない情報連結。例えば、各ゲノムに化学反応性基が存在する場合に、各遺伝子型の少なくとも一方の鎖同士の2部位間を化学結合によって連結する。
e)一時的な情報連結。例えば、各ゲノムにアフィニティータグ(同一でも異なっていてもよい)が存在する場合に、両タグに親和性を有する剤を導入することにより、両遺伝子型を含む三量体を形成する。
図1に示す例において、この工程(v)は、左から3番目の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の核酸分子を融合させることに相当する。
本発明において非常に重要な利点は、この工程の際に、結合体と標的との結合が全く関連しないという点である。即ち、本工程で核酸分子の融合を行なう条件を決定するに際して、標的と結合体との結合や空間的配置をについて配慮する必要はない。この工程を簡単に言えば、工程(i)由来の結合体と標的との結合が、ここでB構造物とT構造物との共コンパートメント化に転換されるということである。これは、本明細書に記載の方法の非常に大きな利点であるということができる。
例えば、塩基対重複部位のハイブリダイゼーションによって、B構造物及びT構造物の核酸分子の融合を形成しようとする場合、この工程(v)では、結合体と標的との結合が破壊されないように配慮する必要はなく、所望の塩基対ハイブリダイゼーションが達成されるように、十分に温度を変更することができる。
従って、工程(v)を実施する際の条件は、工程(i)の結合体の何れかと工程(ii)の標的の何れかとが実質的に結合しない条件であってもよい。
既に上で議論したように、B構造物及びT構造物の核酸分子の融合は、塩基対重複部位のハイブリダイゼーション等とは異なる方法で行ってもよい。
例えば、工程(v)でリガーゼ酵素を用いて融合核酸分子を得る場合には、工程(i)のB構造物の核酸分子(遺伝子型)と、工程(ii)のT構造物の核酸分子(遺伝子型)との間に、塩基対重畳領域を配置する必要はない。
当業者には明らかなように、リガーゼ又はポリメラーゼ酵素を使用する場合、このリガーゼ酵素は、工程(v)において関連する個別コンパートメント内に適切に存在するようにするために、工程(iii)の溶液に対して、或いは任意の希釈工程(iii−b)の際に、加えておくことが好ましい。
当業者には明らかなように、ゲノムの融合には幾つかの異なる酵素反応が使用できる。多数の酵素反応が文献に記載されている。例えば、Kabanov et al., Biochimica et Biophysica Acta, 996 (1989) 147-152, Salon et al. Biochemistry 1992,31, 8072-8079, Anarbaev et al, Biochimica et Biophysica Acta 1384 1998. 315-324, Ong et al., (2006). J. Mol. Biol. 361: 537-50, Ghadessy, F.J. Ong, J.L. and Holliger, P. (2001).. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 4552-4557, Protein Engineering, Design & Selection vol. 17 no. 3 pp. 201-204, 2004, Levy et al , RNA (2005), 11:1555-1562, Turner et al., Nucleic Acids Res. 2008 August; 36(13): e82 等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、共コンパートメント化された遺伝子型は、酵素によって融合される。
当業者には明らかなように、コンパートメント化前の溶液における遺伝子型の濃度が非常に低い(例えばピコモルからマイクロモルの範囲)にもかかわらず、他の遺伝子型と共コンパートメント化されたコンパートメント内における遺伝子型の濃度は高くなる。例えば、コンパートメントの体積がフェムトリッター(10-15リットル)の範囲であれば、遺伝子型の濃度はナノモル(10-9M)の範囲になり、コンパートメントの体積がアトリッター(10-18リットル)の範囲であれば、遺伝子型の濃度はマイクロモル(10-6M)の範囲になり、コンパートメントの体積がゼプトリッター(10-21リットル)の範囲であれば、遺伝子型の濃度はミリモル(10-3M)の範囲になる。従って、コンパートメント内における遺伝子型の濃度を調節することによって、酵素反応や、更には旧来の化学反応についても、容易化を図ることが可能となる。
当業者には明らかなように、エマルジョン中で誘導可能な化学架橋を使用する場合に、誘導化剤や他の試薬をコンパートメント化前に用いる必要はなく、後で所定のコンパートメントに「送達」してもよい。例えば、誘導物質として、連続相を介して送達される光、温度又は化学的な活性化因子を用いればよい。斯かる態様は、特に小型のコンパートメントを所望する場合には有利であろう。
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
求核置換反応は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Z. J. Gartner et al., J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 6961.
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
芳香族求核置換反応は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Clark et al, Nature Chemical Biology 5, 647 - 654 (2009)
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
共役付加は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Z. J. Gartner et al., J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 6961.
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
還元的アミノ化は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Z. J. Gartner et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 1796.
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
アミンアシル化は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Z. J. Gartner et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 1796.
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
ホスホロアミド酸形成は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Luther A et al., Nature, 1998, 396:245-248.
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
アルドール縮合反応は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Zhuo Tang et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2007, 46, 7297-7300
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
シクロ付加反応は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Buller et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 18 (2008) 5926-5931
Fujimoto K, J Am Chem Soc 2000, 122:5646-5647.
Gartner Z. J. et al. Angew Chem Int Ed Engl 2002, 41:1796-1800.
Gartner Z. J. et al. Angew Chem Int Ed Engl 2003, 42:1370-1375.
Poulin-Kerstien A. T. et al. J Am Chem Soc 2003, 125:15811-15821.
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
ジスルフィド架橋は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Mays, J. R. et al., Tetrahedron Lett., 2007, 48, 4579.
Theodoropoulos, D. et al., Journal of Medicinal Chemistry, 1985, vol. 28, 10, p. 1536 - 1539
Lorenz, Katrin B. et al., Journal of Organic Chemistry, 2004, vol. 69, 11, p. 3917-3927
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
カップリング試薬:ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート
尿素架橋は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
欧州特許第1809743号(Vipergen)
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
ウィッティヒ(Wittig)オレフィン化反応は、例えば以下に記載の方法で行うことができる。
Gartner Z. J., et al., Angew Chem Int Ed Engl, 2002, 41:1796-1800
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
ウィッティヒ(Wittig)オレフィン化反応は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Gartner Z. J., et al., Angew Chem Int Ed Engl, 2002, 41:1796-1800
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
遷移金属触媒反応は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Czlapinski, J. L. et al., J Am Chem Soc 2001, 123: 8618-8619.
Gartner, Z. J. et al., Angew Chem Int Ed Engl 2002, 41: 1796-1800
Calderone, C. T. et al., Angew Chem Int Ed Engl 2005, 44: 1-5
Kanan M. W., et al., Nature, 431, 545-549, 2004
本発明の好ましい態様によれば、化学架橋は例えば以下のように行なわれる。
Figure 0006193761
光架橋は、例えば以下に記載の方法で、実質的に行うことができる。
Quamrul, A. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters; 18; (2008); 5923-5925
Weber, T. et al., Journal of the American Chemical Society; 117; 11; (1995); 3084 - 3095
Chee, G. et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry; 18; 2; (2010); 830 - 838
Nassal, M., Journal of the American Chemical Society; 106; (1984); 7540 - 7545
Pandurangi, R. S. et al., Bioorganic Chemistry; 25; 2; (1997); 77 - 87
Patent; KENT STATE UNIVERSITY; LELAND STANFORD JUNIOR UNIVERSITY; US2010/29952; (2010); (A1)
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の核酸分子を融合する方法を、多数熟知しているであろう。
当業者であれば理解するように、第1の態様の方法の工程(iii)及び(iv)では、B構造物及びT構造物の核酸分子の融合が実質的に形成されないことが好ましい。言いかえれば、工程(v)の前には、BT融合 構造物が実質的に形成されないことが好ましい。
工程(vi) of 第1の観点
工程(vi)は「・・・工程(v)の個別コンパートメントの内容物を併合する・・・」と記載する。
ここで明らかなように、「工程(v)の個別コンパートメントの内容物」の「併合」は、工程(iv)で使用されるインビトロコンパートメント化系に応じた適切な方法で行われる。
例えば、工程(iv)で使用したインビトロコンパートメント化系が、マイクロタイタープレート型のフォーマット(上記参照)である場合には、個々のウェルの内容物を単に併合すれば(組み合わせれば)よい。
例えば、工程(iv)で使用したインビトロコンパートメント化系が、適切な油中水エマルションである場合には、遠心分離、昇温、又は適切な有機溶媒の添加等によって、個々の油コンパートメントを単に破壊すればよい。
要するに、本発明において、工程(v)の個別コンパートメントの内容を併合することは、当業者であれば定型的な作業で達成可能である。
工程(vi)は更に「B構造物の核酸分子とT構造物の核酸分子との融合がない条件、即ち、工程(v)で形成されなかった新たなBT融合 構造物が形成されない条件下で」と記載する。
上に議論したように、本発明において所望されるBT融合 構造物富化は、上述の工程で既に得られたということができる。即ち、当業者には明らかなように、この工程は、「新たな」BT融合 構造物自体を形成することを意図するものではない。
工程(vi)を斯かる条件下で行なうことは、当業者であれば定型的な作業で実施可能である。例えば、工程(v)で所望のBT融合 構造物を得るためにリガーゼを使用した場合には、工程(vi)の前に、このリガーゼを(例えば温度を適切に上昇させることにより)不活性化すればよい。
本明細書での議論を考慮すれば、この工程(vi)の結果として、BT融合 構造物のライブラリーが得られることは、当業者には明らかであろう。
当業者には明らかなように、このBT融合 構造物のライブラリーは、結合体及び標的の同定を可能にする核酸配列情報を含むBT融合 構造物種が富化されたライブラリーであると記載することができる。即ち、標的と結合実体との結合対に由来する工程(i)及び(ii)の配列情報が、標的と結合実体との非結合対に由来するBT融合 構造物と比べて、富化されたライブラリーである。
任意工程(vii) 〜 即ち、第1の観点の工程(iv)の富化ライブラリーのその後の使用
上に議論したように、工程(vii)は任意の工程である。
本明細書で記載するように、工程(vii)の富化ライブラリーが得られたら、このライブラリーを本技術分野に従って様々な方法で用いることができる。例えば、富化ライブラリーを富化されたインビトロディスプレイライブラリーとして、例えば選択/富化の第2ラウンドに使用することができる。或いは、工程(vi)の富化ライブラリーから、興味ある特定の結合体の構造物を直接同定してもよい。
従って、本発明のある態様は、本明細書に記載の方法において、更なる工程(vii)として、工程(vi)の富化ライブラリーを用いて、少なくとも1つの所定の標的に結合する少なくとも1つの個別の結合体を同定することを含む方法に関する。
融合された遺伝子型の精製
本発明の適切な態様によれば、融合された遺伝子型(即ちBT融合 構造物s)を精製してもよい。
本技術分野の当業者は、融合した遺伝子型を精製する定型的な手法として、多数の異なる手法を挙げることができる。例としては、限定されるものではないが、アガロースゲル電気泳動法、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、スパンカラム、酵素処理、HPLCによる精製、アフィニティーによる精製、又はキャピラリー電気泳動法等が挙げられる(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型は、コンパートメント化後に、ゲル精製や不所望の核酸種の酵素分解等によって精製される。本技術分野の当業者であれば、斯かる手順は容易に設計することが可能であろう。例えば、遺伝子型の融合にオーバーラップPCRを使用する場合には、ゲル精製を促進する適切な遺伝子型のサイズを選択することが可能である。例えば、ディスプレイライブラリー遺伝子型の長さが約250bpであり、標的遺伝子型の長さが約100bpであり、重畳領域が約20塩基である場合には、結果として得られる融合された遺伝子型は約330bpとなり、これは標準的なアガロースゲル電気泳動やポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、元の融合していない種から、容易に分離・精製することができる。更に、未融合の遺伝子型をテンプレートとして用いたプライマー伸長に由来する未使用のプライマー及びssDNAは、ExoSAP-IT(Amersham Biosciences)等の酵素によって好適に分解することができる。遺伝子型の融合にリガーゼ又は化学的橋架又は一時的連結を使用する場合の別の例として、ゲル精製を促進するように遺伝子型のサイズを選択してもよい。例えば、例えば、ディスプレイライブラリー遺伝子型の長さが約250bpであり、標的遺伝子型の長さが約100bpである場合には、結果として得られる融合された遺伝子型は約350bpとなり、これは標準的なアガロースゲル電気泳動やポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、元の融合していない種から、容易に分離・精製することができる。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型はゲル精製される。
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の融合された核酸分子を精製する方法を、多数熟知しているであろう。
融合された遺伝子型の洗練(polish)
本発明の好ましい態様によれば、(DNA増幅と互換性を有さない手法で)融合された遺伝子型を、融合したゲノム内の2つの遺伝子型間に増幅可能な結合を形成するように洗練(polish)してもよい。ここで、増幅可能な結合とは、融合された遺伝子型内の1の遺伝子型の3’末端と別の遺伝子型の5’末端とのホスホジエステル結合(又は類似の結合)である。
当業者であれば、融合された遺伝子型を精製する手法として、多数の異なる手法を定型的な作業で実施することが可能であろう。例えば、限定されるものではないが、酵素的な手法(例えば大腸菌(E. coli)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、9°N(登録商標)DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ1(ssRNA リガーゼ)、T4 RNAリガーゼ2(dsRNAリガーゼ)、T4 RNAリガーゼ2、切断型等)や、化学的な手法が挙げられる。
当業者には明らかなように、コンパートメント化後における同族の(cognate)遺伝子型(同一のコンパートメントに由来する遺伝子型)間に正しく形成されたホスホジエステル結合(又は類似の結合)は、偽分子内反応であって、遺伝子型の濃度とは独立であるから、容易に制御することが可能である。これとは逆に、同族ではない(non-cognate)遺伝子型間に誤って形成されたホスホジエステル結合(又は類似の結合)は、分子間反応であって、遺伝子型の濃度に依存する。
本発明の好ましい態様によれば、洗練にはDNAリガーゼを使用する。
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の融合された核酸分子を洗練(polish)する方法を、多数熟知しているであろう。
核酸に連結された標的の除去又は不活性化
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型に連結された標的を除去又は不活性化してもよい。
当業者であれば、融合された遺伝子型に連結された標的を除去又は不活性化する手法として、多数の異なる手法を定型的な作業で実施することが可能であろう。例えば、限定されるものではないが、熱、プロテアーゼ処理、6Mの塩化グアニジン、又は、標的が開裂可能なリンカーによって連結されている場合には、リンカーの開裂等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型に連結された標的は、熱、プロテアーゼ処理、又は6Mの塩化グアニジンによって除去又は不活性化される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型に連結された標的は、プロテアーゼK処理によって除去される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型に連結された標的は、プライマー伸長による置換によって除去される。
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の融合された核酸分子に連結された標的を除去又は破壊する方法を、多数熟知しているであろう。
ECCの次ラウンド
本発明の好ましい態様において、融合された遺伝子型は、次の一ラウンドのECCに供されてもよい。すなわち、次のラウンドにおいて、融合された遺伝子型は、新たな標的の遺伝子型と融合されるだろう。新たな標的は、以前の標的と同一の種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
当業者であれば認識するように、ステップ(iv)の融合された遺伝子型の富化ライブラリーは、インビトロディスプレイライブラリーである。
本発明の好ましい態様によれば、核酸に連結された以前のラウンドのECC標的は、次回のラウンドのECCの前に除去又は破壊される。
本発明の好ましい態様によれば、次回のラウンドのECCの標的は、以前のラウンドのECCの標的と同一である。
本発明の好ましい態様によれば、次回ラウンドのECCの標的は、以前のラウンドのECCの標的と同一ではない。
本発明の好ましい態様によれば、次回のラウンドのECCにおける標的の遺伝子型は、結合体の元の遺伝子型の遊離末端に融合される。
本発明の好ましい態様によれば、次回のラウンドのECCにおける標的の遺伝子型は、前回のラウンドのECC由来の標的の遺伝子型の遊離末端に融合される。
従来の選択/富化法:
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型は、従先行技術における従来の既知の選択/豊富化法のラウンドに供されてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、核酸に連結された以前のラウンドのECC標的は、従来の選択/豊富化法のラウンドの前に除去又は破壊される。
当業者であれば、従来の選択/豊富化法のラウンドを実施する手法として、多数の異なる手法を挙げることができる。例としては、限定されるものではないが、EP1809743B1 (Vipergen), EP1402024B1 (Nuevolution), EP1423400B1 (David Liu), Nature Chem. Biol. (2009), 5:647-654 (Clark), WO 00/23458 (Harbury), Nature Methods (2006), 3(7), 561-570, 2006 (Miller), Nat. Biotechnol. 2004; 22, 568-574 (Melkko), Nature. (1990); 346(6287), 818-822 (Ellington), or Proc Natl Acad Sci USA (1997). 94 (23): 12297-302 (Roberts)等が挙げられる。
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の融合された核酸分子のライブラリーについて、従来の選択/豊富化法のラウンドを実施する方法を、多数熟知しているであろう。
融合された遺伝子型の増幅:
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸を増幅してもよい。即ち、ステップ(vi)の富化ライブラリーの中にあるBT融合 構造物を増幅してもよい。
当業者であれば、融合された遺伝子型内の核酸を増幅するための手法として、多数の異なる手法を定型的に実施することができる。例としては、限定されるものではないが、PCR (United States Patent 4,683,202; Mullis), Emulsion PCR (Nakano et al., J Biotechnol. 2003;102(2):117-24), Digital PCR (Vogelstein, B; Kinzler KW (1999). "Digital PCR". Proc Natl Acad Sci U S A. 96 (16): 9236-41), NASBA (Compton J. Nucleic acid sequence-based amplification. Nature. 1991;350(6313):91-2), or Rolling Circle Amplification (American Journal of Pathology. 2001;159:63-69) 等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、コンパートメント解消工程後に増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、PCRによって行なわれたコンパートメント化工程に続いて増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、順方向PCRのプライミング部位がB構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位がT構造物遺伝子型内に存在するPCRによって行なわれたコンパートメント化工程後に増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、順方向PCRのプライミング部位がB構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の一部が第1のT構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の残部が第2のT構造物遺伝子型内に存在するPCRによって行なわれたコンパートメント化工程後に増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、順方向PCRのプライミング部位が第1のT構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の一部がB構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の残部が第2のT構造物遺伝子型内に存在するPCRによって行なわれたコンパートメント化工程後に増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、順方向PCRのプライミング部位の一部が第1のT構造物遺伝子型内に存在し、順方向PCRのプライミング部位の残部がB構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位が第2のT構造物遺伝子型内に存在するPCRによって行なわれたコンパートメント化工程後に増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、順方向PCRのプライミング部位がB構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の30〜70%が第1のT構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の残る30〜70%が第2のT構造物遺伝子型内に存在するPCRによって行なわれたコンパートメント化工程後に増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、順方向PCRのプライミング部位が第1のT構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の30〜70%がB構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位の残る30〜70%が第2のT構造物遺伝子型内に存在するPCRによって行なわれたコンパートメント化工程後に増幅される。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型内の核酸は、順方向PCRのプライミング部位の30〜70%が第1のT構造物遺伝子型内に存在し、順方向PCRのプライミング部位の残る30〜70%がB構造物遺伝子型内に存在し、逆方向プライミング部位が第2のT構造物遺伝子型内に存在するPCRによって行なわれたコンパートメント化工程後に増幅される。
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の融合された核酸分子内の核酸を増幅する方法を、多数熟知しているであろう。
翻訳:
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型の核酸を増幅し、翻訳過程に供してもよい。ここで、富化された融合遺伝子型のライブラリーは、新たな富化インビトロディスプレイライブラリーに翻訳される。
当業者であれば、融合された遺伝子型を増幅し、翻訳過程に供する手法として、多数の異なる手法を定型的に実施することができる。例としては、限定されるものではないが、EP1809743B1 (Vipergen), EP1423400B1 (David Liu), WO 00/23458 (Harbury), Nature Methods (2006), 3(7), 561-570, 2006 (Miller), Nature. (1990); 346(6287), 818-822 (Ellington), or Proc Natl Acad Sci USA (1997). 94 (23): 12297-302 (Roberts)等が挙げられる。
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の融合された核酸分子を増幅し、翻訳過程を実施するする方法を、多数熟知しているであろう。
同定及び組成の分析:
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型の核酸を同定及び組成決定するために分析してもよい。
当業者であれば、融合された遺伝子型の核酸の同定及び組成決定のための分析を行うための手法として、多数の異なる手法を定型的に実施することができる。例としては、限定されるものではないが、塩基配列決定(概説として、Metzker, Michael L. (2010). "Sequencing technologies - the next generation". Nat Rev Genet 11 (1): 31-46)、DNAハイブリダイゼーション技術(Science 270 (5235): 467-470)、制限酵素消化、PCR方法、例えばEP1809743B1 (Vipergen), EP1402024B1 (Nuevolution), EP1423400B1 (David Liu), Nature Chem. Biol. (2009), 5:647-654 (Clark), WO 00/23458 (Harbury), Nature Methods (2006), 3(7), 561-570, 2006 (Miller), Nat. Biotechnol. 2004; 22, 568-574 (Melkko), Nature. (1990); 346(6287), 818-822 (Ellington), or Proc Natl Acad Sci USA (1997). 94 (23): 12297-302 (Roberts), WO06053571A2 (Rasmussen) 等の手法が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型の核酸をDNA塩基配列決定によって分析することにより、同定及び組成決定を行ってもよい。
本発明の好ましい態様によれば、融合された遺伝子型の核酸を、454 technology(Margulies M, Egholm M, Altman WE, et al (September 2005). "Genome sequencing in microfabricated high-density picolitre reactors". Nature 437 (7057): 376-80)を用いたDNA塩基配列決定によって分析することにより、同定及び組成決定を行ってもよい。
要するに、当業者であれば、同一の個別コンパートメント内に存在するB構造物及びT構造物の融合された遺伝子型の核酸分子について、同定及び組成決定を行うための分析法を、多数熟知しているであろう。
本発明の異なる独立の側面
本発明の異なる独立の側面について以下に説明する。
当業者であれば理解するように、本発明のこの異なる独立の側面に係る方法は、本発明及びそれに関連する態様の最初の態様について上述したのと同じ基礎的な技術原理を使用する。
従って、当業者であれば理解するように、本発明の最初の側面の特定の好ましい態様(例えば、工程(iv)のインビトロコンパートメント化システムが油中水滴型エマルション系である態様)は、本発明のこの異なる独立した側面の好ましい態様とも対応していてもよい。
従って、本発明の別の独立の観点は、少なくとも1つの標的に結合する少なくとも1つの結合体(binding entity)の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含む富化ライブラリーを作製する方法であって、前記特定の結合体はインビトロディスプレイライブラリー内に存在し、前記方法は、
(i)少なくとも100の異なる結合体Bnここで100以上の数である)のインビトロディスプレイライブラリーを作製し、ここで各結合体は核酸分子に連結され、前記核酸分子は前記結合体の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含み、これにより前記核酸分子の特定の核酸配列情報から、前記核酸分子に連結された前記特定の結合体の構造物が直接同定され(前記核酸分子(遺伝子型)に連結された前記結合体の構造物(即ち表現型)を以下「B構造物」(B-structure)と呼ぶ
(ii)少なくとも1種類の標的Tnここで1以上の数である)が連結された核酸分子を作製し、ここで前記核酸分子は特異的標的の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含み、ここで前記標的は工程(i)のライブラリーに存在する結合体の少なくとも1つに結合する能力を有し(前記核酸分子(遺伝子型)に連結された前記標的の構造物(即ち表現型)を以下「T構造物」(T-structure)と呼ぶ
(iiia)工程(i)のライブラリーの総数X(Xは104よりも大きな数である)個のB構造物を含む溶液を、工程(ii)の総数Y(Yは102よりも大きな数である)個のT構造物を含む溶液と、結合条件下で混合し、ここで結合条件は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物により効率的に結合する条件であり、これにより前記結合体の少なくとも1つが少なくとも1つの標的に結合して、T構造物に結合したB構造物を含む複合体が生成され(これを以下「B結合構造物」(BBoundToT-structure)と呼ぶ。)、
(iiib)工程(iiia)に存在するY個のT構造物に対して、少なくとも2倍の核酸分子を含む工程(iiia)の溶液を混合し、ここで、当該核酸分子は、特異的標的(これを以下「標的DNA」(target-DNA)と呼ぶ。)の同定を可能とする特定の核酸配列情報を含有し;
(iv)インビトロのコンパートメント化系を結合条件下で適用し、ここで結合条件は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物より効率的に結合する条件であり、ここで前記コンパートメント化系は、B構造物、T構造物、B結合構造物及び標的DNAが個別コンパートメント内に無作為に入る条件下で、工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも2倍の個別コンパートメントを含み、
(v)同じ個別コンパートメント内に存在するB構造物と標的DNAとの核酸分子を融合し(この構造物を以下「BT融合 構造物」(BTFused-structure)と呼ぶ。)、前記BT融合 構造物は、工程(i)の結合体の同定を可能にする特定の核酸配列情報と、工程(ii)の特異的標的の同定を可能にする特定の核酸配列情報とを含み、
(vi)B構造物の核酸分子とT構造物の核酸分子との融合がない条件、即ち、工程(v)で形成されなかった新たなBT融合 構造物が形成されない条件下で、工程(v)の個別コンパートメントの内容物を併合することにより、BT融合 構造物のライブラリーを取得し、ここで前記ライブラリーは、標的と結合実体(binder entity)との非結合対に由来するBT融合 構造物に比べて、標的と結合実体との結合対に由来するBT融合 構造物の種が富化されたライブラリーである、方法に関する。
当業者には周知のように、2つのDNA分子を融合させることが可能な酵素の適切な例としては、リガーゼ、ポリメラーゼ等が挙げられる。
本発明の第1の側面の議論に従えば、本発明において適切な核酸分子は、DNA分子であることが好ましい。また、これに従えば、リガーゼ又はポリメラーゼは、DNAリガーゼ又はDNAポリメラーゼであることが好ましい。
本発明の文脈において、当業者であれば理解するように、本発明のこの個別の独立した側面における工程(v)のB構造物及び標的DNAの核酸分子の融合は、本発明のこの個別の独立した側面における工程(ii)のT構造物に存在するように、2つのDNA分子を融合させることができる酵素(例えばリガーゼまたはポリメラーゼ)によって行われる。
本明細書で議論した第1の側面の方法(2以上の標的Tが存在していてもよい)とは異なり、本発明のこの個別の独立した側面では、1つの標的Tのみが存在する。
従って、本発明のこの個別の独立した側面の工程(iiib)において、核酸分子の特定の標的の同定を可能にする特定の核酸配列情報は、単に本発明と関連する特性決定のための単一の配列であってもよい。
本発明の第1の側面の議論に従えば、特定の標的の同定を可能にする、この特定の核酸配列情報は、PCR増幅可能な配列であることが好ましい。工程(v)のBT融合 構造物をその後にPCRすることができるからである。
実施例1:
ジーンタイプ(genetype)−遺伝子型融合−スパイキング実験のためのオーバーラップePCRを用いた共コンパートメント化による富化
概要については図2を参照。
方法
使用したDNAオリゴヌクレオチド
ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するDNAアナログの連続鎖
[Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327]:
CGCTAAtggtccctggcagtctccTTAGCGgaccGACTCcTgctcGAAGACAACGGTgttttacACCGTTGTCTTCgagcTgtACCTGCgcAAGTGCgttttacGCACTTgcGCAGGTacTgtGCATCgacAAGACCgttttacGGTCTTgtcGATGCacTgGAGTCggtcCTGTTCGATCTTGGGCGTAT
vip1461: ATACGCCCAAGATCGAACAG
vip2501: x-TGGTCCCTGGCAGTCTCC (x=5'-biotin-TEG)
vip2504: CTGTTCGATCTTGGGCGTATGAGAAGAGCCAGAAACGTGGCTTCAGGCACCAAGGAAGAC
vip2512: GCCTTGCCAGCCCGCTCAGGCAAGTCTTACAGCCGATCAGTCTTCCTTGGTGCCTGAAG
vip2502: CTGTTCGATCTTGGGCGTAT
vip2500: x-GCCTTGCCAGCCCGCTCAG (x= 5' carboxyl)
vip157: GCCTTGCCAGCCCGCTCAG
vip660: TGGTCCCTGGCAGTCT
vip1481: GAACAGGACCGA
vip1471: CTGTTCGATCTTGGGCGTAT
ヨクトリアクター(yoctoreactor)ライブラリーの調製
ライブラリーの構築は、Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327に従い、更に以下の変更を加えて行う。スプリントオリゴヌクレオチドvip1481及びオリゴヌクレオチドvip1471を用いて逆方向プライミング部位を導入する。
コード化DNAに連結された既知の標的結合物質(ビオチン)の調製
ヨクトリアクターライブラリー配列に対する連続鎖DNAアナログを、vip1461プライマー及び5’−ビオチンを有するvip2501プライマーを用いたPCRに供する。それにより5’−ビオチンがヨクトリアクターDNAアナログに導入される。
プロトコール
PCR混合物:
50μL 2X PCR mastermix(40mM Tris-HCl、20mM (NH42SO4、20mM KCl、16mM MgSO4、0.2% Triton X-100、0.2mg/mL BSA、0.4mM 各dATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、pH8.8 @ 25℃)
10μL 5M ベタイン(終濃度0.5M)
1μL 50μM vip2501(終濃度0.5μM)
1μL 50μM vip1461(終濃度0.5μM)
1μL(107分子s)のヨクトリアクター(yoctoreactor)に対する連続鎖DNAアナログ
1μL(2u/μL) Vent(exo-)ポリメラーゼ
36μL 水
混合物に対して、PCR機器で以下のプログラムを適用することにより、熱サイクリングを実施する。
92℃で2分、25サイクル(92℃で30秒、72℃で1分)、72℃で2分)、72℃で2分
185bpのDNA断片を、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従ってPAGE精製し、エタノール沈殿する。
標的DNA(TD)の調製
99量体の標的DNAを、単工程オーバーラップPCRプロトコールで調製した後、10%TBE−PAGEネーティブゲルで精製する。
プロトコール
PCR混合物:
50μL 2X PCR mastermix (40mM Tris−HCl、20mM(NH42SO4、20mM KCl、16mM MgSO4、0.2% Triton X-100、0.2mg/mL BSA、0.4mM 各dATP、dTTP、dGTP、及びdCTP、pH8.8 @ 25℃)
10μL 5M ベタイン(終濃度0.5M)
1μL 50μM vip2500(終濃度0.5μM)
1μL 50μM vip2502(終濃度0.5μM)
1μL 20pM vip2504(終濃度0.2pM)
1μL 20pM vip2512(終濃度0.2pM)
1μL (2u/μL)Vent(exo-)ポリメラーゼ
35μL 水
混合物に対して、PCR機器で以下のプログラムを適用することにより、熱サイクリングを実施した。
92℃で2分、25サイクル(92℃で30秒、72℃で1分)、72℃で2分
99bpのDNA断片を、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従ってPAGE精製し、エタノール沈殿した。
DNA−標的コンジュゲーション
材料
塩酸1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC、100mMの新規調製ストック、Aldrich E6383)
N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(s−NHS、200mMストック、Aldrich 56485)
モルホリノエタンスルホン酸、MES緩衝剤 pH6.0、500mM
β−メルカプトエタノール、500mM ストック
低鎖に5’カルボキシル基を有するPCR産物(上述)
ストレプトアビジンタンパク質(AbCam 78833)(標的タンパク質)
プロトコール
末端カルボキシルを有するカルボキシル修飾オリゴヌクレオチド(1本鎖DNA)又はPCR産物は、標的タンパク質との反応に先立って、EDC/s−NHS系を使用して、予め活性化することができる(種々のカルボキシル活性化の例については文献を参照)。標的タンパク質をEDCに暴露すると、例えばチロシン又はシステイン残査の化学修飾によって、標的タンパク質が不活性化されてしまう場合がある。従って、DNAカルボキシルと標的タンパク質との混合前に、任意により、例えばβ−メルカプトエタノールを終濃度20mMとなるように加える等の手法で、残留EDCをクエンチしてもよい。
例:予活性化混合物
終濃度
10μL DNA(ssDNA又はdsDNA)
10μL 500mM MES、pH6 100mM
2.5μL 100mM EDC 5mM
2.5μL 200mM s−NHS 10mM
25μL 水
計 50μL
カルボン酸活性化は、20℃で15〜30分間インキュベートすればよい。
任意:残留EDCをクエンチするために、500mMβ−メルカプトエタノール水溶液2μLを加えた(終濃度20mM)。
その後、s−NHS−活性化エステルは直ちに使用する。
予活性化試験
前活性化混合物(25pモルの1本鎖DNA)のアリコートを、水と、MeCN(活性化エステルをクエンチする第一級アミン)中1%フェネチルアミンとで希釈する。この混合物を15分間反応させた後、EtOHを用いて沈殿させる。100mM酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA、pH7)に溶解させた後、DNA産物をRP−HPLCにより、100mM TEAA中MeCNの勾配を用いて分析することができる。
当初の保持時間からより高い保持時間への変更は、1)カルボキシルからNHSエステルへの転換、及び、2)その後のアミンとの反応を示している。
標的タンパク質との反応
酵素製品緩衝組成物に第一級アミンが含まれるか確認すること。
このプロトコールでは、タンパク質ストック液中にDTTやEDTA等が存在することは許容されるが、第一級アミンは透析によって除去しなければならない。
第一級アミンは、活性化エステルをクエンチし、DNA−タンパク質架橋を阻害してしまう。
或いは、予活性化混合物と混合する酵素として、可能な限り富化された酵素を用い、化学反応を促進すること。
20℃で1〜2h(反応が遅い場合はできるだけ一晩)インキュベートした後、電気泳動でDNAタンパク質複合体を精製する。
連結混合物
106の異なる分子及び計109の分子(即ち、二本鎖(ds)DNAに連結される潜在的なリガンド)からなる多様なヨクトリアクター(yoctoreactor)ライブラリーを、106のdsDNAに連結されたビオチン分子(既知の標的結合物質)でスパイクした。スパイクされたライブラリーを、107分子のdsDNAに連結されたストレプトアビジン(DNAに連結された標的)と混合する。混合物中の分子を、総体積3μlの結合バッファー(PBS、0.05%tween20、0.2%のBSA)と、室温で1時間接触させ、平衡に達するまで放置する。ストレプトアビジン(標的)の濃度は約6pMであり、ビオチン・ストレプトアビジン複合体について報告されているKdである~10〜14mol/Lの100倍以上である。これは、事実上全てのビオチンが平衡状態でストレプトアビジンに結合されることを意味する。
PCR混合物
67mM Tris−HCl(pH8.8)、16.6mM NH4SO4、6.7mM MgCl2、10mM 2−メルカプトエタノール、1mMの各dNTP、7.5μMの各プライマー(vip157及びvip660)、45ユニットのTaqポリメラーゼ、総体積610μL。
エマルションPCR
1ml当たりの約5×109コンパートメントからなるエマルジョン2mLを、Dressman et al., 2003 に記載の方法と同様の方法で調製する。標的(ストレプトアビジン)又はリガンド(非結合又は結合)に連結されたDNA断片にはそれぞれオーバーラップ領域が存在し、これによって3つの断片が連結されて集合断片を形成し得る。すなわち、アセンブリーPCRによって、一混合物当たり2種類の結合断片が生成され得る。断片(A)は、ストレプトアビジンとビオチンとが同一のコンパートメント内に存在していたことを示す。断片(B)は、ストレプトアビジンと無作為のライブラリー分子(結合したビオチンではない)とが同一のコンパートメント内に存在していたことを示す。これら2種類の断片は、塩基配列決定法、又は、制限部位消化によって区別することができる。
1mL及び500μL(1.5mL)の連続相を、以下の手順で調製する。即ち、5mlの丸底Cryoバイアル内で、ピボット輪を有する磁気撹拌子を用いて一定速度で撹拌(1,400rpm)しながら、鉱油に0.40%(体積/体積)のTween80を溶解させ、次いで0.05%(体積/体積)のトリトンX−100及び4.5%(体積/体積)のSpan80を溶解させる。この連続相を、2つの5mlの丸底Cryoバイアルに600μLずつ分割する。
597μlのPCR混合物を3μLの連結混合物に加えて水相を調製する。2つの連続相の各々を、ピボット輪を有する磁気撹拌子を用いて一定速度で撹拌(1400rpm)しながら、300μLの水相を徐々に加える(15s当たり10μLずつ)。水相添加後、撹拌を30分間継続する。
エマルジョンを各々100μLずつ、96ウェルのPCRプレートの約20のウェルへ等分する。増幅プログラムは、次の工程を有する30サイクルから構成する。92℃で2分間の初期変性;92℃で30秒のdsDNA変性、72℃で2分間のプライマーアニーリング、及び72℃で30秒の伸長からなる20サイクル;並びに72℃で2分間の最終伸長。
エマルションの破壊
エマルジョンPCR由来のDNA断片は、エマルジョンをプールし25℃で5分間、13,000gで遠心分離することにより回収される。油相を廃棄する。以下の抽出を2回繰り返し、エマルジョンから残留鉱油及び界面活性剤を除去する。1mlの水飽和ジエチルエーテルを加え、チューブを攪拌し、上部(溶剤)相を廃棄。
予測される結果
仮定:等サイズの球状コンパートメント、コンパートメント内の分子及び複合体のランダムな分布、ストレプトアビジン・ビオチン複合体の100%の会合、ストレプトアビジン・ビオチン複合体の解離なし、yRライブラリーのストレプトアビジンに対して十分な結合親和力を有する結合物質は殆ど、又は全く存在しないと仮定、PCR反応のバイアスなし、並びに、PCRサイクリングにおける「プライマー伸張」時の反応効率100%(単一のプライミング部位が存在、共コンパートメント化なし)、両プライミング部位存在時に10000倍増幅(共コンパートメント化)。
エマルションPCR後の異なるDNA種の理論量は以下の通り:
ストレプトアビジン断片(100bp):107分子
ストレプトアビジン断片(100nt):20サイクル時間107分子=2×108分子
ヨクトリアクター(yoctoreactor)断片(250bp):109分子s
ヨクトリアクター(yoctoreactor)断片(250nt):20サイクル時間109分子=2×1010分子
(何れも元のビオチン断片が融合種に転換されると仮定、以下参照)
融合遺伝子型−既知結合物質:断片A(ストレプトアビジン−ビオチンDNA断片)(330bp):10000×106分子=1010(ビオチン断片のPCR増幅回数)−上記仮定の下でビオチン断片が標的DNAと共コンパートメント化される可能性は1。
融合遺伝子型−非結合物質:断片B(無作為共コンパートメント化断片)(330bp):10000×10-3×109分子=1010(PCR増幅回数掛ける無作為共コンパートメント化確率掛ける当初のyRライブラリー分子数)−上記仮定の下で非結合物質が共コンパートメント化される確率は#標的分子/#コンパートメント=107/1010=10-3
従って、本手順後、330個のbp断片の50%が、ビオチン由来のDNAを含む。更に、330bpの断片は約15ナノグラムとなり、総二本鎖DNA量の殆どを占める。一本鎖DNAは、ExoSAPIT(アマシャム・バイオサイエンス)を用いて、メーカーの指示に従って好適に除去される。また、330個のbp断片は、標準的な手順に従って、PAGEで好適に精製される。
454シークエンシング技術を用いたDNA配列決定による富化の分析
プライマーを末端A及びB配列と用いたPCRによって、454シークエンシングプライミング部位を導入する。結果として得られる断片をPAGEで精製し、メーカーのプロトコールに従って454DNAシークエンシングに供する。
DNA塩基配列を分析し、ビオチン遺伝子型の頻度を計算する。
結論s
上記から理解されるように、本明細書に記載の方法を用いることで、1000倍の富化が達成される。上記の計算によれば、ビオチン遺伝子型は高頻度で、即ち最大2分の1の確率で見出されると予測される。一方、非結合ヨクトリアクターライブラリーの各メンバーは、最大でも平均200万分の1程度であると予測される。従って、非結合物質に対して、結合物質は1000倍に富化されたことになる。これは、本発明の実現可能性を実証するだろう。
実施例2:
遺伝子型−遺伝子型融合にeLigationを用いた共コンパートメント化による富化 − スパイク化実験。
概要については図1参照。
方法
使用するDNAオリゴヌクレオチド vip1481:GAACAGGACCGA
vip1471:CTGTTCGATCTTGGGCGTAT
vip2513:ACGCCCAAGATCGAACAG
ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するビオチン修飾連続一本鎖DNAアナログ:
x-CGCTAAtggtccctggcagtctccTTAGCGgaccGACTCcTgctcGAAGACAACGGTgttttacACCGTTGTCTTCgagcTgtACCTGCgcAAGTGCgttttacGCACTTgcGCAGGTacTgtGCATCgacAAGACCgttttacGGTCTTgtcGATGCacTgGAGTCggtcCTGTTCGATCTTGGGCGTAT(x=5’−ビオチン−TEG)
ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するビオチン修飾連続一本鎖DNAアナログは、Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327に実質的に記載の、5’−ビオチンTEG修飾オリゴヌクレオチドを5’部位に有する小型のオリゴヌクレオチドから調製される。
vip2514:x-GCCTTGCCAGCCCGCTCAGGGGAAGGACGTTGGTGTAGAAGCGTTCACTTGGTGGAAGTAT(x=5’カルボキシル)
vip2515:ACTTCCACCAAGTGAACGCT
vip157:GCCTTGCCAGCCCGCTCAG
vip660:TGGTCCCTGGCAGTCT
ヨクトリアクター(yoctoreactor)ライブラリーの調製
本ライブラリーは、Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327 の記載に従い、更に以下の変更を加えて構築する。
1)スプリントオリゴヌクレオチドvip1481及びオリゴヌクレオチドvip1471を用いて逆方向プライミング部位を導入する。
2)オリゴヌクレオチドvip2513を用いてプライマー伸長によるヨクトリアクター(yoctoreactor)の破壊を行う。
コード化DNAに連結された既知の標的結合物質(ビオチン)の調製
二本鎖コード化DNAに連結された既知の標的結合物質(ビオチン)は、ヨクトリアクター(yoctoreactor)によるビオチン修飾連続一本鎖DNAアナログを、vip2513を用いたプライマー伸長で破壊することにより作製する(Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327)。2ntの3’−オーバーハングが作製されるようにプライマーを選択する。3’−オーバーハングによって以下の連結反応が促進されるであろう。
二本鎖DNA断片を、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従ってPAGE精製し、エタノール沈殿した。
標的DNA(TD)の調製
プロトコール
61量体のターゲットDNAを、プライマー伸張で調製し、続いて10%のTBE−PAGEネーティブゲルで精製する。ヨクトリアクター3’−オーバーハングの3’−オーバーハングに相補的な2つのヌクレオチド3’−オーバーハングが作製されるようにプライマーを選択する。更に、プライマーのリン酸化により連結反応が可能になる。
実施例:
プライマーのリン酸化
2μL(200pmol) vip2515
20μL 10×緩衝剤 O(50mM Tris−HCl(pH7.5、37℃)、10mM MgCl2
100mM NaCl、0.1mg/mL BSA)
2μL 100mM ATP(終濃度2mM)
10μL T4 ポリヌクレオチド キナーゼ(100u)
66μL 水、ヌクレアーゼ不含
リン酸化反応は37℃で30分間実施し、キナーゼの不活性化は75℃で10分間のインキュベーションにより行う。
DNAをエタノール沈澱で沈殿させ、70%エタノールで洗浄し、10μLTEバッファーに再懸濁させる。
プライマー伸長:
10μL リン酸化vip2515(200pモル)
10μL 10×緩衝剤 O(New England Biolabs)
2μL 10mM dNTPミックス(dATP、dCTP、dGTP、及びdTTPの終濃度0.2mM)
77μL 水
1μL(5u) Klenow(exo-、5u/μL)
反応を15分間進行させ、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従って、15%アクリルアミドゲルから抽出することにより、精製された二本鎖DNAを取得し、これをエタノールで沈殿させる。
DNA−標的コンジュゲーション
材料
塩酸1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC、100mM 新規調製ストック、Aldrich E6383)
N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(s−NHS、200mM ストック、Aldrich 56485)
モルホリノエタンスルホン酸、MES緩衝剤 pH6.0、500mM
β−メルカプトエタノール、500mM ストック
低鎖に5’カルボキシル基を有するPCR産物(上述)
ストレプトアビジンタンパク質(AbCam 78833)(標的タンパク質)
プロトコール
末端カルボキシルを有するカルボキシル修飾オリゴヌクレオチド(1本鎖DNA)又はPCR産物は、標的タンパク質との反応に先立って、EDC/s−NHS系を使用して、予め活性化することができる(種々のカルボキシル活性化の例については文献を参照)。標的タンパク質をEDCに暴露すると、例えばチロシン又はシステイン残査の化学修飾によって、標的タンパク質が不活性化されてしまう場合がある。従って、DNAカルボキシルと標的タンパク質との混合前に、任意により、例えばβ−メルカプトエタノールを終濃度20mMとなるように加える等の手法で、残留EDCをクエンチしてもよい。
実施例 予活性化混合物
終濃度
10μL DNA(ssDNA又はdsDNA)
10μL 500mM MES、pH6 100mM
2.5μL 100mM EDC 5mM
2.5μL 200mM s−NHS10mM
25μL 水
計 50μL
カルボン酸活性化は、20℃で15〜30分間インキュベートすればよい。
任意:残留EDCをクエンチするために、500mM β−メルカプトエタノール水溶液2μLを加えた(終濃度20mM)。
Subsequently、the s−NHS-activated エステル should be used immediately. その後、s−NHS−活性化エステルは直ちに使用する。
予活性化試験
前活性化混合物(25pモルの1本鎖DNA)のアリコートを、水と、MeCN(活性化エステルをクエンチする第一級アミン)中1%フェネチルアミンとで希釈する。この混合物を15分間反応させた後、EtOHを用いて沈殿させる。100mM酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA、pH7)に溶解させた後、DNA産物をRP−HPLCにより、100mM TEAA中MeCNの勾配を用いて分析することができる。
当初の保持時間からより高い保持時間への変更は、1)カルボキシルからNHSエステルへの転換、及び、2)その後のアミンとの反応を示している。
標的タンパク質との反応
酵素製品緩衝組成物に第一級アミンが含まれるか確認すること。このプロトコールでは、タンパク質ストック液中にDTTやEDTA等が存在することは許容されるが、第一級アミンは透析等によって除去しなければならない。第一級アミンは、活性化エステルをクエンチし、DNA−タンパク質架橋を阻害してしまう。
或いは、予活性化混合物と混合する酵素として、可能な限り富化された酵素を用い、化学反応を促進すること。
20℃で1〜2h(反応が遅い場合はできるだけ一晩)インキュベートした後、電気泳動等でDNA−タンパク質複合体を精製する。
連結混合物
106の異なる分子及び計109の分子(即ち、二本鎖(ds)DNAに連結される潜在的なリガンド)からなる多様なヨクトリアクター(yoctoreactor)ライブラリーを、106のdsDNAに連結されたビオチン分子(既知の標的結合物質)でスパイクした。スパイクされたライブラリーを、107分子のdsDNAに連結されたストレプトアビジン(DNAに連結された標的)と混合する。混合物中の分子を、総体積3μlの結合バッファー(PBS、0.05%tween20、0.2%のBSA)と、室温で1時間接触させ、平衡に達するまで放置する。ストレプトアビジン(標的)の濃度は約6pMであり、ビオチン・ストレプトアビジン複合体について報告されているKdである〜10〜14mol/Lの100倍以上である。これは、事実上全てのビオチンが平衡状態でストレプトアビジンに結合されることを意味する。
ライゲーション混合物
1×Tagライゲーションバッファー(20mM Tris−HCl、25mM 酢酸カリウム、10mM 酢酸マグネシウム、1mM NAD、10mM ジチオスレイトール 0.1% Triton X-100 pH7.6 @25℃)を、2μL(40u/μL)Taq DNAリガーゼに加え、総体積を610μLとする。
67mM Tris−HCl(pH8.8)、16.6mM NH4SO4、6.7mM MgCl2、10mM 2−メルカプトエタノール、各dNTP1mM、7.5μMの各プライマー(vip157及びvip660)、45ユニットのTaqポリメラーゼを、総体積610μLに含む。
エマルション内でのライゲーション
1ml当たりの約5×109コンパートメントからなるエマルジョン2mLを、Dressman et al., 2003 に記載の方法と同様の方法で調製する。
標的(ストレプトアビジン)又はリガンド(非結合又は結合)にそれぞれ連結されたDNA断片は、一方の鎖においてライゲートすることができる。すなわち、ライゲーションによって、一混合物当たり2種類の結合断片が生成され得る。断片(A)は、ストレプトアビジンとビオチンとが同一のコンパートメント内に存在していたことを示す。断片(B)は、ストレプトアビジンと無作為のライブラリー分子(結合したビオチンではない)とが同一のコンパートメント内に存在していたことを示す。これら2種類の断片は、塩基配列決定法又は制限部位消化によって区別することができる。
1mL及び500μL(1.5mL)の連続相を、以下の手順で調製する。即ち、5mlの丸底Cryoバイアル内で、ピボット輪を有する磁気撹拌子を用いて一定速度で撹拌(1,400rpm)しながら、鉱油に0.40%(体積/体積)のTween80を溶解させ、次いで0.05%(体積/体積)のトリトンX−100及び4.5%(体積/体積)のSpan80を溶解させる。この連続相を、2つの5mlの丸底Cryoバイアルに600μLずつ分割し、氷冷して維持する。
597μlのPCR混合物を3μLの氷冷ライゲーション混合物に加えて水相を調製する。2つの連続相の各々を、ピボット輪を有する磁気撹拌子を用いて一定速度で撹拌(1400rpm)しながら、300μLの水相を徐々に加える(15s当たり10μLずつ)。水相添加後、撹拌を30分間継続する。
エマルションを45℃に加熱し、1時間ライゲートさせる。
エマルションの破壊
ライゲーション混合物に各々30μLの500mM EDTAを加え、軽く攪拌する。DNA断片は、エマルジョンをプールし25℃で5分間、13,000gで遠心分離することにより回収される。油相を廃棄する。以下の抽出を2回繰り返し、エマルジョンから残留鉱油及び界面活性剤を除去する。1mlの水飽和ジエチルエーテルを加え、チューブを攪拌し、上部(溶剤)相を廃棄。
DNAを沈殿によって富化し、変性10%ポリアクリルアミドゲルでサイズ分画し、ライゲートされた断片を、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従って、PAGEで単離・精製し、エタノール沈殿し、10μL TE緩衝剤に再溶解させる。
ライゲートされたDNAの増幅
最後に、ライゲートされた断片をPCRで増幅する。
例:
PCR混合物:
10μL 精製ライゲートDNA
50μL 2× PCR mastermix(40mM Tris−HCl、20mM(NH42SO4、20mM KCl、16mM MgSO4、0.2% Triton X-100、0.2mg/mL BSA、dATP、dTTP、dGTP、及びdCTP各0.4mM、pH8.8 @ 25℃)
10μL 5M ベタイン(終濃度0.5M)
1μL 50μM vip167(終濃度0.5μM)
1μL 50μM vip660(終濃度0.5μM)
1μL(2u/μL) Vent(exo-)ポリメラーゼ
27μL 水
混合物に対して、PCR機器で以下のプログラムを適用することにより、熱サイクリングを実施した。
92℃で2分、25サイクル(92℃で30秒、72℃で1分)、72℃で2分
結果として得られたDNA断片のライブラリーを配列決定し、結合断片の富化率を計算する。
予測される結果
仮定:等サイズの球状コンパートメント、コンパートメント内の分子及び複合体のランダムな分布、ストレプトアビジン・ビオチン複合体の100%の会合、ストレプトアビジン・ビオチン複合体の解離なし、yRライブラリーのストレプトアビジンに対して十分な結合親和力を有する結合物質は殆ど、又は全く存在しないと仮定、ライゲーション反応又はその後のPCR反応のバイアスなし、ライゲーション時に共コンパートメント化なし、ライブラリー及び標的DNA断片が共コンパートメント化される場合に100の反応効率。
エマルションのライゲーション後、ライゲートされたDNA種の理論量は以下の通り。(何れも元のビオチン断片が融合種に転換されると仮定、以下参照)
ライゲート遺伝子型−既知結合物質:断片A(ストレプトアビジン−ビオチンDNA断片)(250bp):106分子−上記仮定の下でビオチン断片が標的DNAと共コンパートメント化される可能性は1。
融合遺伝子型−非結合物質:断片B(無作為共コンパートメント化断片)(250bp):10-3×109分子=106(無作為共コンパートメント化の確率掛ける当初のyRライブラリー分子数)−上記仮定の下で非結合物質が共コンパートメント化される確率は、#標的分子/#コンパートメント=107/1010=10-3
最後のPCR増幅は、2種の分子の何れについても、同じ効率となると予測される。従って、この過程の後、330bpの断片の50%が、ビオチン−ストレプトアビジン結合に由来するDNAを含むと予測される。
454シークエンシング技術を用いたDNA配列決定による富化の分析
プライマーを末端A及びB配列と用いたPCRによって、454シークエンシングプライミング部位を導入する。結果として得られる断片をPAGEで精製し、メーカーのプロトコールに従って454DNAシークエンシングに供する。
DNA塩基配列を分析し、ビオチン遺伝子型の頻度を計算する。
結論
上記から理解されるように、本明細書に記載の方法を用いることで、1000倍の富化が達成される。上記の計算からは、ビオチン遺伝子型は高頻度で、即ち最大2分の1の確率で見出されると予測される。一方、非結合ヨクトリアクターライブラリーの各メンバーは、最大でも平均200万分の1程度であると予測される。従って、非結合物質に対して、結合物質は1000倍に富化されたことになる。
これは、本発明の実現可能性を実証するだろう。
下記の実施例は全て、開示した技術情報(例えば上記の実施例に開示の情報)に基づき、更に当業者の技術常識に基づいて作製された。
実施例3:
オーバーラップePCRを遺伝子−型遺伝子型融合のために用いた共コンパートメント化による富化
ECCの原理、結合パートナーの共コンパートメント化、及び、その結果として連結されたDNAの融合は、結合パートナーとしてビオチン及びストレプトアビジン(SA)を用いて実証された。ビオチンDNAコンジュゲート(yR_biotin)を、標的としてDNA(SA_TD001)に連結されたSAを用いたECCに供した。負の対照として、ビオチンと共にプレインキュベートしたSA_TD001を標的として用いて、ECCを並行に実施した。概観については図2参照。
方法s
適用したDNAオリゴヌクレオチド:
ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するDNAアナログの連続鎖に適用(Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327):
CGCTAAtggtccctggcagtctccTTAGCGgaccGACTCcTgctcGAAGACAACGGTgttttacACCGTTGTCTTCgagcTgtACCTGCgcAAGTGCgttttacGCACTTgcGCAGGTacTgtGCATCgacAAGACCgttttacGGTCTTgtcGATGCacTgGAGTCggtcCTGTTCGATCTTGGGCGTAT
vip1481:GAACAGGACCGA
vip1471:CTGTTCGATCTTGGGCGTAT
YR_ビオチンに適用
vip1461:ATACGCCCAAGATCGAACAG
vip2501:x-TGGTCCCTGGCAGTCTCC(x=ビオチン−TEG)
EPCRに適用
vip157:GCCTTGCCAGCCCGCTCAG
vip660:TGGTCCCTGGCAGTCT
TD001に適用
vip2500:x-GCCTTGCCAGCCCGCTCAG(x=カルボキシル修飾)
vip2502:CTGTTCGATCTTGGGCGTAT
vip2512:GCCTTGCCAGCCCGCTCAGGCAAGTCTTACAGCCGATCAGTCTTCCTTGGTGCCTGAAG
vip2507:CTGTTCGATCTTGGGCGTATTGTTTTAGCTGCCCCAACTCCTTCAGGCACCAAGGAAGAC
レスキューPCRに適用
vip2549:GCAAGTCTTACAGCCGATCA
vip660:TGGTCCCTGGCAGTCT
yRの調製
ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するDNAアナログの連続鎖は、実施例1の記載に従って調製した。
yR_ビオチンの調製
yRに結合された既知の標的結合物質(ビオチン)は、実施例1の記載に従って調製した。
標的DNA(TD001)の調製
TD001の調製は、Vip2504の代わりにオリゴvip2507を適用した他は、実施例1の記載に従って調製した。
材料
MOPS 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(Sigma-Aldrich)
シリコーン ポリエーテル/シクロペンタシロキサン(Dow Corning, DC5225C)
シクロペンタシロキサン/トリメチルシロキシシリケート(Dow Corning, DC749)
AR20 シリコンオイル(Sigma-Aldrich)
塩酸1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC、100mM 新規調製ストック、Aldrich E6383)
N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(s−NHS、200mM ストック、Aldrich 56485)
モルホリノエタンスルホン酸、MES緩衝剤 pH6.0、500mM
β−メルカプトエタノール、500mM ストック
低鎖に5’カルボキシル基を有するPCR産物(上述)
ストレプトアビジンタンパク質(AbCam 78833)(標的タンパク質)
Slide-A-lyzer mini(Pierce)
組織Lyzer II(Qiagen)
DNA−標的コンジュゲーション
予活性化
予活性化は、5.4μLのTD001[9.3μM]を、1μL MOPS pH6 [1M]、1μL EDC[50mM]、1μL s−NHS[100mM]、及び1.6μLの水と混合して行った。
20℃で30分間インキュベートすることにより、カルボン酸を活性化させた。
残留EDCをクエンチするために、250mMβ−メルカプトエタノール水溶液1μlを加えた。
標的タンパク質との反応
コンジュゲーションに先立って、Slide-A-Lyzer mini透析装置を用いて、メーカー(Pierce)の指示に従い、SAを透析バッファー(10mM MOPS(pH8)、50mM NaCl)に対して2回、30分間透析した。
透析されたSA5μL[58μM]を、1.6μl MOPS pH 6[1M]、1.6μl NaCl水溶液[1M]、及び11μl TD001[4.6μM]に加えた。20℃で2時間反応させた。
反応をクエンチするために、2μl トリス pH8[1M]を加えた。SA_TD001コンジュゲートを、6%TBEゲルを用い、200Vで40分間PAGEし、反応物から分離した。
バンドを500μl抽出バッファー(50mM トリスpH8、150mM NaCl、0.1%Tween20)中、4℃(30分/o.n./30分)で3回抽出する。
残留ゲルを濾過によって除去し、得られたサンプルを、Microcon YM30装置を用い、メーカー(ミリポア)の指示に従い富化した。コンジュゲートの濃度は、Picogreenを用い、メーカー(Molecular Probes)の指示に従ってDNA濃度を測定したところ、0.38μMと推定された。
連結反応(結合反応)
yR_ビオチンとSA_TD001との結合に先立って、総体積50μLの連結用バッファー(association buffer)(10mM Tris−HCl(pH7.8)、0.05% Triton-X100)中6e8分子のSA_TD001分子/μLを、1μMビオチン(6e11分子ビオチン/μL)の共存又は不在下で30分間20℃でインキュベートした。
連結用バッファー中で以下の結合反応を実施した。
1)3e8のyR_ビオチン分子/μL及び3e8のSA_TD001分子/μLを総体積50μL中、ビオチンとプレインキュベートさせていないSA_TD001と反応させた。
2)3e8のyR_ビオチン分子/μL及び3e8のSA_TD001分子/μLを総体積50μL中、ビオチンとプレインキュベートさせたSA_TD001と反応させた。
結合反応物を20℃で1時間インキュベートした後、連結用バッファー中、yR_ビオチンが3e6分子/μL、SA_TD001が3e6分子/μLの濃度となるように希釈した。
エマルションPCR(ePCR)
yRとTD001との融合、及び、エマルション中での融合分子yR_TD001のPCRによる増幅。
連続相
連続相はTurner and Hurles, Nat Protoc. 2009; 4(12): 1771-1783の記載に従って調製した。
1200μLの連続相は、1反応当たり以下からなる。
480μL シリコンポリエーテル/シクロペンタシロキサン(DC5225C)
360μL シクロペンタシロキサン/トリメチルシロキシシリケート(DC749)
360μL AR20シリコンオイル
PCR水相
600μLのPCR水相は、1反応当たり以下からなる。
60μL Pfu緩衝剤(10×)
12μL BSA(50mg/mL)
12μL dNTP(10mM)
3μL Vip157(100μM)
3μL Vip660(100μM)
4μL Pfu-turbo(2.5u/μL)
446μL 水
60μL テンプレート
結果として、yR_ビオチン及びSA_TD001の濃度は各々3e5分子/μLとなる。
エマルション化
一反応当たり、2mlのエッペンドルフチューブ中、1000μLの連続相及び500μLのPCR相、並びに5mmのスチールビーズを加えた。
反応物をTissuelyser IIにより、30Hz、20℃で8分間混合することにより、エマルション化させた。
各PCRチューブに100μlのエマルジョンを加え、混合物をPCR機器により、以下のプログラムを適用した熱サイクリングに供した。
92℃で2分、30サイクル(92℃で30秒、55℃で1分、及び72℃で1.5分)、並びに72℃で5分。
DNAの回収
各PCRチューブに100μlの1−ブタノールを加えることによりエマルジョンを破壊した。一条件当たり8本のPCRチューブの内容物をプールし、600μl NaCl水溶液[4M]を加えた。内容物を最高速度で10秒攪拌して混合し、14000gで1分間の遠心分離後に有機相を除去した。プールされたPCR産物に、更に800μlの1−ブタノールを加えて、攪拌及び遠心分離工程を繰り返した。1−ブタノールによる抽出をもう一度繰り返した。
PCR精製カラムを用い、メーカー(Macherey-Nagel)の指示に従って、DNAを更に精製した。一条件当たり50μlの溶出バッファーで溶出。
溶出されたDNAを、レスキューPCRに先立ち、稀釈バッファー(10mMトリス(pH7.8)、20mM NaCl、0.1% Triton-X100)で20倍に希釈した。
レスキューPCR
融合分子yR_TD001の増幅
PCR混合物は一反応当たり以下を含む。
50μL 2× PCR mastermix(40mM Tris−HCl、20mM(NH42SO4、20mM KCl、16mM MgSO4、0.2% Triton X-100、0.2mg/mL BSA、dATP、dTTP、dGTP、及びdCTP各0.4mM、pH8.8、25℃)
1μL 50μM vip2549(終濃度0.5μM)
1μL 50μM vip660(終濃度0.5μM)
1μL(2u/μL) Vent(exo-)ポリメラーゼ
10μL テンプレート
37μL 水
混合物に対して、PCR機器で以下のプログラムを適用することにより、熱サイクリングを実施した。
92℃で2分、20サイクル(92℃で30秒、55℃で1分、及び72℃で1.5分)、72℃で5分。
結果
融合産物yR_TD001は、245bpの長さを有すると予測される。10%TBE PAGEを用い、200Vで40分間分離することにより、DNA産物を視覚化した。結果によれば、ビオチンとのプレインキュベーションなしで連結反応を行った場合、予測通りのバンドが存在していた(レーン1)のに対して、ビオチンとプレインキュベーション後に連結反応を行った場合、予測されたバンドは不在であった(レーン2)。図4参照。
結論
この結果は、結合パートナーが共コンパートメント化され、その結果として、それらに連結されたDNAが融合されたことを実証するものであった。
実施例4:
オーバーラップePCRを遺伝子型−遺伝子型融合のために用いた共コンパートメント化による富化
標的としてSA_TD001を用い、多様化(diverse)yRライブラリーへとスパイクされたyR_ビオチンを富化することにより、ECCを実証した。負の対照として、ビオチンと共にプレインキュベートしたSA_TD001を標的として用いて、ECCを並行に実施した。
方法
DNA オリゴヌクレオチドs applied
ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するDNAアナログの連続鎖に適用(Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327):
CGCTAAtggtccctggcagtctccTTAGCGgaccGACTCcTgctcGAAGACAACGGTgttttacACCGTTGTCTTCgagcTgtACCTGCgcAAGTGCgttttacGCACTTgcGCAGGTacTgtGCATCgacAAGACCgttttacGGTCTTgtcGATGCacTgGAGTCggtcCTGTTCGATCTTGGGCGTAT
vip1481:GAACAGGACCGA
vip1471:CTGTTCGATCTTGGGCGTAT
YR_ビオチンに適用
vip1461:ATACGCCCAAGATCGAACAG
vip2501:x-TGGTCCCTGGCAGTCTCC(x=ビオチン−TEG)
EPCRに適用
vip157:GCCTTGCCAGCCCGCTCAG
vip660:TGGTCCCTGGCAGTCT
TD001に適用
vip2500:x-GCCTTGCCAGCCCGCTCAG(x=カルボキシル修飾)
vip2502:CTGTTCGATCTTGGGCGTAT
vip2512:GCCTTGCCAGCCCGCTCAGGCAAGTCTTACAGCCGATCAGTCTTCCTTGGTGCCTGAAG
vip2507:CTGTTCGATCTTGGGCGTATTGTTTTAGCTGCCCCAACTCCTTCAGGCACCAAGGAAGAC
レスキューPCRに適用
vip2549:GCAAGTCTTACAGCCGATCA
vip660:TGGTCCCTGGCAGTCT
YR多様化(diverse)ライブラリーのPCRに適用
vip341:TGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip1461:ATACGCCCAAGATCGAACAG
454PCRに適用
vip2593:CCTATCCCCTGTGTGCCTTGGCAGTCTCAGGTCTTCCTTGGTGCCTGAAG
vip2465:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGAGGTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2467:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGATCGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2468:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGATGCTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2469:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCACTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2470:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCAGATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2471:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCCATTGGTCCCTGGCAGTCTCC
yR_ビオチンの調製
yR_ビオチンは実施例1の記載に従って調製した。
多様化(diverse)ヨクトリアクター(yoctoreactor)ライブラリーの調製
yRライブラリーは、実質的にHansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327の記載に従って調製した。多様化yRライブラリーを以下の方法でPCR増幅した。
PCR混合物は、1反応当たり以下からなる。
50μL 2× PCR mastermix(40mM Tris−HCl、20mM(NH42SO4、20mM KCl、16mM MgSO4、0.2% Triton X-100、0.2mg/mL BSA、dATP、dTTP、dGTP、及びdCTP各0.4mM、pH8.8、25℃)
10μL 5M ベタイン(終濃度0.5M)
1μL 50μM vip341(終濃度0.5μM)
1μL 50μM vip1461(終濃度0.5μM)
1μL(108分子)の連続鎖ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するDNAアナログ
1μL(2u/μL)Vent(exo-)ポリメラーゼ
36μL 水
混合物に対して、PCR機器で以下のプログラムを適用することにより、熱サイクリングを実施した。
92℃で2分、15サイクル(92℃で30秒、72℃で1分)、72℃で2分
185bpのDNA断片を、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従ってPAGE精製し、エタノール沈殿した。
連結反応(結合反応)
結合反応は、実施例3に記載の手順に、以下の変更を加えて実施した。
yR_biotin及びSA_TD001の結合に先立って、総体積50μlの連結用バッファー中、6e8分子/μlのSA_TD001を、1μMビオチン(6e11分子ビオチン/μl)の共存又は不在下で、20℃で30分間インキュベートした。
連結用バッファー中で以下の結合反応を実施した。
1)3e8のyR_ビオチン分子/μL及び3e8のSA_TD001分子/μLを総体積50μL中、ビオチンとプレインキュベートさせていないSA_TD001と反応させた。
2)3e8のyR_ビオチン分子/μL及び3e8のSA_TD001分子/μLを総体積50μL中、ビオチンとプレインキュベートさせたSA_TD001と反応させた。
20℃で1時間インキュベートして結合反応を行った。
以下の条件を設定した。
A)ビオチンとのプレインキュベーションなし:結合反応物(1)の1000倍希釈、3e7分子yRライブラリー/μL(終濃度)を含む連結用バッファー中、yR_ビオチン濃度3e4分子/μL、SA_TD001濃度3e5分子/μL。
B)ビオチンとのプレインキュベーションあり:結合反応物(2)の1000倍希釈、3e7分子yRライブラリー/μL(終濃度)を含む連結用バッファー中、yR_ビオチン濃度3e4分子/μL、SA_TD001濃度3e5分子/μL。
C)yR-ビオチンなし:連結用バッファー中、3e7分子/μLのyRライブラリー及び3e5分子/μLのSA_TD001を含む。
エマルションPCR
ePCRは、実施例3の記載に従って実施したが、同一条件を2連で、40PCRサイクルに亘って実施した。
DNAの回収
エマルションの破壊は、実施例3の記載に従って実施したが、16のPCRチューブからエマルションをプールし、一条件当たり100μLの溶出バッファーで溶出することにより行った。
レスキューPCR
レスキューPCRは、実施例3の記載に従って実施したが、PCR増幅時には以下の熱プロファイルを用いた。92℃で2分、20サイクル(92℃で30秒、72℃で1.5分)、72℃で5分。
454シークエンシングの調製
454配列タグを含む予測サイズ309bpのyR_TD001融合分子を増幅するためのPCRプロトコール。各条件を二連で実施し、独自の正方向プライマーを適用した。
PCR混合物は、1反応当たり以下からなる。
50μL 2× PCR mastermix(40mM Tris−HCl、20mM(NH42SO4、20mM KCl、16mM MgSO4、0.2% Triton X-100、0.2mg/mL BSA、dATP、dTTP、dGTP、及びdCTP各0.4mM、pH8.8、25℃)
10μL 5M ベタイン(終濃度0.5M)
1μL 50μM vip2593(終濃度0.5μM)
2μL 25μM vip2465、vip2467、vip2468、vip2469、vip2470又はvip2471(終濃度0.5μM)
各条件のテンプレート5μL、二連(duplicate)
1μL(2u/μL) Vent(exo-) ポリメラーゼ
31μL 水
PCR精製カラムを用い、メーカー(Macherey-Nagel)の指示に従って、DNAを精製し、分光測光器(Eppendorf)を用いてDNA濃度を決定した。10%TBEゲルで200V、40分間分離し、産物の相対的な目視確認により濃度を調節した。何れのDNA産物も同程度の量のDNAを含むように、DNA産物をプールした。プールされたDNAを、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従って、10%TBE PAGEゲルで分離し、約309bpのDNA断片をPAGE精製し、エタノール沈殿した。
454シークエンシング
454シークエンシングは、Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327の記載に従って実施した。
結果
配列決定の結果によれば(図5参照)、yR_ビオチンをスパイクして、yRライブラリーの1000分の1の濃度としたが、yR_ビオチンカウントのパーセンテージは、
条件(a)の二連実験、即ち、SA_TD001をビオチンとプレインキュベートせずに富化した場合には、37.6%及び32%、
条件(b)の二連実験、即ち、SA_TD001をビオチンとプレインキュベートした後で富化した場合には、0.30%及び0.72%、
条件(b)の二連実験、即ち、yR_ビオチンをサンプルに含まない状態で富化した場合には、0.02%及び0.05%となった。
従って、標的としてSA_TD001を用いることにより、yR_ビオチンの300倍を超える富化が観察された。対照的に、負の対照標的である、ビオチンと共にプレインキュベートされたSA_TD001によれば、得られた富化は3〜7倍であった。
結論
標的としてSA_TD001を用い、多様化yRライブラリーへとスパイクされたyR_ビオチンを富化することにより、ECCが実証された。
実施例5:
eLigationを遺伝子-型遺伝子型融合のために用いた共コンパートメント化による富化
ECCの原理、結合パートナーの共コンパートメント化、及び、その結果として連結されたDNAの融合は、結合パートナーとしてデスチオビオチン(desBio)及びストレプトアビジン(SA)を用いて実証された。デスチオビオチンDNAコンジュゲート(yR_desBio)を、標的としてDNA(SA_TD002)に連結されたSAを用いたECCに供した。負の対照として、ビオチンと共にプレインキュベートしたSA_TD002を標的として用いて、ECCを並行に実施した。概観については図1参照。
方法
実施例2に記載のDNAオリゴヌクレオチドを使用した。加えて、以下を適用した。
デスチオビオチン標識yRに適用(desBio_yR):
vip2815:x-TGGTCCCTGGCAGTCTCC(x=デスチオビオチン)
vip2535:CACCACGATGGCAATGCATTCTTCGCTGCCATTCTG
レスキューPCRに適用:
vip660:TGGTCCCTGGCAGTCT
vip2824:CGATGTCCTGAGGTGGAAGT
「スカベンジャー(Scavenger)DNA」に適用:
vip2554:GGCAAGTGATTGTCCATGTGCATGAGAAGAGGCCCACATT
vip2555:CACATGGACAATCACTTGCC
vip2556:AATGTGGGCCTCTTCTCATG
TD002に適用:
vip2528:TCCACATCCTCCAGTTCA
vip2529:ACTTCCACCTCAGGACATCGAGCTGGAGCTTGCTGTTAGC
vip2530:AGGTTCGCTCCCTCCTTAAGTCAGGAGGATGTGACACCAA
vip2531:CGATGTCCTGAGGTGGAAGTTGAACTGGAGGATGTGGACA
vip2532:CTTAAGGAGGGAGCGAACCTGCTAACAGCAAGCTCCAGCT
vip2558:x-TTGGTGTCACATCCTCCTGA(x=C6−アミノ修飾)
デスチオビオチン標識yR(desBio_yR)の調製
プライマーvip2815及びvip2535を用いたPCRにより、連続鎖ヨクトリアクター(yoctoreactor)に対するDNAアナログライブラリー配列をテンプレートDNAとして、5’−デスチオビオチンをyRアナログ内に導入した(Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327)。ストレプトアビジンにコンジュゲートされた標的DNAへのライゲーションに適した2bpのオーバーハングを形成するために、PCR産物をBseMIで消化した。
標的DNA(TD002)の調製
プロトコール
TD002(GAヌクレオチド・オーバーハング及び5’カルボキシル基を低鎖に有する98bp二本鎖DNA)を、リン酸化オリゴヌクレオチドvip2528、vip2529、vip2530、vip2531及びvip2532及び非リン酸化オリゴヌクレオチドvip2558のライゲーションによって構築した。T4ポリヌクレオチドキナーゼによるリン酸化及びT4 DNAリガーゼによるライゲーションは、メーカーの指示(Fermentas)に従って実施した。二本鎖DNA断片を、標準的な手順(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set), 3rd Edition, 2001-01 by Joseph Sambrook, David W. Russell, Publisher: Cold Spring Harbor Laboratory Press)に従ってPAGE精製し、エタノール沈殿した。ライゲーション先立って、vip2559を修飾し、5’カルボキシル基を付与した。即ち、単純なC6アミノ修飾を、ジスクシンイミジルスベラート(DSS、C8ジ−NHSエステル、ピアス21580番)処理によって、カルボン酸に転換した。オリゴヌクレオチドを、水−NMPの1:1混合液中のHEPBS緩衝剤pH9中で、40mM DSSで処理した後、更にLiOHで一晩処理し、NHSエステルを加水分解した。中和及び沈殿の後、粗製のカルボキシ修飾オリゴヌクレオチドを、更に修飾することなく用いた。
ストレプトアビジンとコンジュゲートされた標的DNA(SA_TD002)の調製
SA_TD002は実施例3の記載に従って調製された。
連結反応(結合反応)
材料
1M Tris−HCl、pH7.5
4M NaCl
10% Triton X-100
10μM ビオチン
SA_TD002
desBio_yR
プロトコール
総体積0.5μlの結合緩衝剤(10mMトリス−HCl(pH7.5)、50mM NaCl、0.1% Triton)中、3E8 desBio_yR分子を、1μMビオチン(阻害剤)の共存又は不在下で、1.4E9分子SA_TD002と混合した。分子の連結は、氷上で結合混合物を1時間インキュベートすることにより行った。
解離反応(希釈)
材料
標準ライゲーションバッファー:
50mM Tris−HCl、pH7.5
50mM NaCl
0.1% Triton X-100
0.75μM BSA
9mM KCl
4.5% グリセロール
0.2mM EDTA
1mM DTT
2mM ATP
1μM T4 DNAリガーゼ(Fermentas)
0.01μM 「スカベンジャーDNA」(40量体ニック化dsDNA断片):
単一のニックを含む40量体のdsDNA断片は、オリゴヌクレオチドvip2554、リン酸化vip2555及びvip2556を組み合わせることにより調製した。
連続相は実施例3の記載に従って調製された。
スクリューキャップを有する2mLのマイクロチューブ
プロトコール
結合混合物0.12μLを、1μM T4 DNAリガーゼ(標準ライゲーション緩衝剤)を含む600μLの水相を入れた2mLのエッペンドルフチューブの蓋まで転送した。チューブを2度反転し、更に10秒間チューブを攪拌して、結合混合物と水相とを混合することにより、解離反応を開始した。マイクロ遠心分離で軽く撹拌した後、500μLの混合物を、1mLの連続相を含む2mLの氷冷マイクロチューブに移送し、氷上で更に放置して、最終的に2分間の解離時間を得た。
エマルション化
材料
誘導緩衝剤:
50mM Tris−HCl、pH7.5
50mM NaCl
0.1% Triton X-100
1.5μM BSA
10mM KCl
5% グリセロール
0.2mM EDTA
1mM DTT
2mM ATP
135mM MgCl2
プロトコール
Precellys24(ベルタン・テクノロジーズ)を用い、5500rpmで3×20秒間(20秒間の撹拌の間に10秒間の休止を挟んだ)エマルション化し、連続相(1mL)と水相(0.5mL)とを混合することによって、解離反応を開始からちょうど2分後に終了させた。並行して、135mM MgCl2を含む1mLの連続相及び0.5mLの水相(誘導緩衝剤)を5500rpmで3×20秒間エマルション化することにより、マグネシウムを含むがT4 DNAリガーゼ活性化用リガーゼを含まない誘導エマルションを調製した。
エマルション内でのライゲーション
プロトコール
1エマルション当たり150μLのMgCl2含有誘導エマルションを加え、RTで1時間撹拌混合することにより、T4 DNAリガーゼを活性化させた。エマルション内のdesBio_yR及びSA_TD002のライゲーションは、エマルション(1650μL)を熱ブロック内で16時間、16℃及び300rpmでインキュベートすることにより行った。
エマルションの破壊及びDNAの回収
材料
1−ブタノール
イソプロパノール
100% エタノール
100bp 無制限DNA
PCR クリーンアップキット(NucleoSpin ExtractII, Macherey-Nagel)
10% Triton X-100
プロトコール
チューブを65℃で30分間インキュベートし、更にマイクロ遠心分離で軽く撹拌することにより、ライゲーション反応を停止させた。エマルションを破壊するために、各エマルションの容量の半分を、清潔な2mLのエッペンドルフチューブに転送した。各チューブに、850μLの1−ブタノールと、15ngの100bp無制限DNA[10ナノグラム/μL]とを加え、10秒間よく攪拌して混合した。チューブを14,000×gで1分間遠心分離し、上澄みを廃棄した。1容量の1−ブタノールを加え、1−ブタノール抽出をもう一度繰り返すことにより、余剰のシリコーン油及び界面活性剤をエマルションから除去した。先に分離したエマルションの回収された水相を1本のチューブにプールし、サプライヤーの推奨に従って、PCRクリーンアップキット(NucleoSpin ExtractII, Macherey-Nagel)を使用し、DNA断片(desBio_yR _TD002_SA融合分子)を、精製によって回収した。0.1%のTriton X100を含むEB緩衝剤(5mMトリス/HCl、pH 8.5)でDNAを溶出した。qPCR分析に先立って、溶出されたDNAを、稀釈緩衝剤(10mMトリス−HCl pH 7.5、10mM NaCl、0.05% Triton X100)で10倍に希釈した。
ライゲートされたDNAの増幅及び分析(レスキューPCR)
材料
2×PCR Mastermix(pH8.8、25℃):
40mM Tris−HCl
20mM (NH42SO4
20mM KCl
16mM MgSO4
0.2% Triton X-100、
0.2mg/mL BSA
ホットスタート(hot-start)PCRに適したヌクレオチドdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP各0.4mM(CleanAmp, TriLink)
プロトコール
異なるエマルションに存在するdesBio_yR _TD002_SA融合分子の数を分析するために、プライマーvip660及びvip2824を用い、10倍希釈精製回収DNAサンプル5μLをテンプレートとして、qPCRを実施した。標準曲線3E8、3E7、3E6、3E5又は3E4については、予めライゲートされたyR_TD002(対照テンプレート)のコピーを、各qPCR反応に加えた。
qPCR混合物は、1反応当たり以下からなる。
5μL テンプレート
10μL 2× PCR mastermix
2μL 5M ベタイン(終濃度0.5M)
0.4μL SyBR Green(終濃度2.5E−5%)
0.2μL 100μM vip660(終濃度1μM)
0.2μL 100μM vip2824(終濃度1μM)
0.2μL(2u/μL) Vent(exo-)ポリメラーゼ(Fermentas)
2μL 水
混合物に対して、qPCR機器で以下のプログラムを適用することにより、熱サイクリングを実施した。
92℃で10分
30サイクル、95℃で30秒及び72℃で2分30秒
72℃で5分
結果
異なるqPCR反応物中の融合分子の数を計算するために、標準曲線を定義した。desBio_yR _TD002_SA融合分子の計算された数をカラムチャートに変換し、1μMビオチンの共存又は不在下でインキュベートされた連結反応で得られた信号間の差異を視覚化した(図6)。得られた結果によれば、阻害剤ビオチンが存在する状態で連結反応を行った場合と比べて、ビオチンの不在下で連結反応を行った場合には、有意に多い数の融合分子が存在することが分かる。
結論
この結果は、デスチオビオチン-ストレプトアビジン結合に由来するdesBio_yR及びSA_TD002分子が共コンパートメント化され、その結果としてそこに連結されたDNAがライゲートされたことを実証するものである。
実施例6:
遺伝子型-遺伝子型融合のためのeライゲーションを用いた共コンパートメント化の富化−スパイク化実験
標的としてヒト炭酸脱水酵素IIを使用して、多様化(diverse)yRライブラリーへとスパイクされたyR DNA(BSB_yR)にコンジュゲートされたN−ベンジル−4−スルファモイルベンズアミドを富化することにより、ECCを実証した。並行して、負の対照として、BSBとプレインキュベートされた標的を用いてECCを実施した。更に、同じ系によって、解離時間依存富化が実証された。
概要については図1参照。
方法
実施例2及び5に記載したDNAオリゴヌクレオチドを使用した。更に、以下を適用した。
BSB標識yR(BSB_yR)に使用
vip2260:ATGAAAGACGTGGCCATTGC
vip2724_vip2607:
CTGACATGGTCCCTGGCAGTCTCCTGTCAGGACCGACTCCXGCTCGAAGAC(x=dT−C6−アミノ修飾)
vip2970:CTATCGGTTTTACCGATAGGTCTTCGAGCTGTACCTGCGC
vip2973:AGCTAGGTTTTACCTAGCTGCGCAGGTACTGTGCATCGAC
vip2980:CTATCGGTTTTACCGATAGGTCGATGCACTGGAGTCGGTC
TD003に使用:
vip2536:CTTATGCTGGCAGTTTCA
vip2529:ACTTCCACCTCAGGACATCGAGCTGGAGCTTGCTGTTAGC
vip2538:AGGTTCGCTCCCTCCTTAAGCCAGCAGTGGTAATTCGACA
vip2996:CGATGTCCTGAGGTGGAAGTTGAAACTGCCAGCATAAGGA
vip2532:CTTAAGGAGGGAGCGAACCTGCTAACAGCAAGCTCCAGCT
vip2559:x-TGTCGAATTACCACTGCTGG(x=C6−アミノ修飾)
454シークエンシングに使用:
Vip3018:CCTATCCCCTGTGTGCCTTGGCAGTCTCAGCGATGTCCTGAGGTGGAAGT
vip2459:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGAACCTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2460:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGAAGGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2461:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGACACTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2462:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGACTGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2463:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGAGAGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2464:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGAGCATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2465:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGAGGTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2466:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGAGTCTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2467:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGATCGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2468:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGATGCTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2469:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCACTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2470:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCAGATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2471:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCCATTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2472:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCCTATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2473:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCGAATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2474:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCTACTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2475:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCTCATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2476:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCTGTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2477:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGCTTGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2478:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGGAACTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2479:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGGACATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2480:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGGAGTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2481:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGGATGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2482:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGGCAATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2483:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGGTCTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2484:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGGTGATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2485:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTACGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2486:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTAGCTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2487:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTCAGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2488:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTCCATGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2489:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTCGTTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2490:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTCTCTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2491:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTGACTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2492:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTGTGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2493:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTTCCTGGTCCCTGGCAGTCTCC
vip2494:CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGTTGGTGGTCCCTGGCAGTCTCC
ヨクトリアクター(yoctoreactor)ライブラリーの調製
ライブラリーは、Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327に従って調製したが、トリマー形態の代わりにテトラマー形態を用いた。
BSB標識yR(BSB_yR)の調製
材料
10mM Fmoc−NH−PEG(12)−CO2
100mM 4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)
200mM N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸) pH9(HEPBS)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
0.5M ピペリジン、NMP中
10mM Fmoc−L−フェニルグリシン(Fmoc−L−Phg)
10mM 4−カルボキシベンゼンスルホンアミド
0.1M アセトニトリル/酢酸トリエチルアンモニウム(pH7)
BSB:BSBはDrabovich et al., Anal. Chem. 2009, 81, 490-494に従って合成した。
プロトコール
BSB_yRはライゲーションによって調製した。位置2オリゴヌクレオチドvip2970、位置3オリゴヌクレオチドvip2973、及び位置4オリゴヌクレオチドvip2980を調製し、これらをT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いたリン酸化により、メーカーの指示(Fermentas)に従ってライゲーションを実施した。位置1オリゴヌクレオチドvip2724_vip2607のBSBラべリングは、以下の反応スキームに従って合成した。
Figure 0006193761
アミノ−PEG12由来オリゴヌクレオチドは、51量体オリゴヌクレオチド(vip2724_vip2607)[5nmol]と、Fmoc−NH−PEG(12)−CO2H[10mM]に連結された内部修飾dT(アミノ−C6−dT)とから、100mMDMT−MM、200mM HEPBS pH9、200μLのNMP:水1:1中溶液中で合成した。1時間後、混合物をエタノール沈殿し、100μLの水に溶解させた。NMP中0.5Mピペリジン100μLを加え、25℃で2時間インキュベートした。アミノ−PEG12−オリゴヌクレオチドをエタノール沈殿で単離し、更に精製することなく示談に使用した。
BSB−PEG12標識位置1コンジュゲートは、Fmoc−L−Phgを51量体アミノ修飾オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることにより合成した。ここで、一級アミンはPEG12リンカーを介して内部修飾dTに連結される。アミノ−PEG12由来オリゴヌクレオチドは、100mM DMT−MM及び200mM HEPBS pH9の200μLのNMP:水1:1の溶液中で、Fmoc−L−Phg[10mM]に連結された。1時間後、混合物をエタノール沈殿し、100μLの水に溶解させた。0.5MピペリジンNMP溶液100μLを加え、25℃で2時間インキュベートした。最後の4−カルボキシベンゼンスルホンアミドのカップリングは、L−Phg−PEG12誘導オリゴヌクレオチドの溶液を、100mM DMT−MM及び200mM HEPBS pH9の200μL NMP:水1:1の溶液中、4−カルボキシベンゼンスルホンアミド[10mM]で処理することにより行った。25℃で1時間インキュベーションした後、粗オリゴヌクレオチドコンジュゲートをエタノール沈殿で単離し、C-18 Waters XBridgeカラムを用いた逆相HPLCで、アセトニトリル/酢酸トリエチルアンモニウム(pH7、0.1M)勾配6〜50%アセトニトリルで、20分かけて溶出することにより精製した。適切な画分を収集し、真空下で乾燥し、1680pモルのBSB標識化vip2724_vip2607を得た。
BSBとコンジュゲートされたステム相補的位置1オリゴヌクレオチドvip2724_vip2607コンジュゲート、位置2、位置3及び位置4オリゴヌクレオチドを等量ずつ混合し、ライゲートしてyRを形成した(Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327)。T4DNAリガーゼによるライゲーションはメーカー(Fermentas)の指示に従って実施した。BSB_yRは展開後、リン酸化vip2260を用いたプライマー伸長によって二本鎖を形成させた。これはKlenow(exo-)誘導反応をメーカーの指示(Fermentas)に従って行うことにより達成した。
標的DNA(TD003)の調製
TD003は実施例5に記載のTD002と同様に調製した。
炭酸脱水酵素IIのTD003に対するコンジュゲーション(CAII_TD003)
組換ヒトCAII(RnD系;2184CA)
プロトコール
TD003のCAIIへのコンジュゲーションは、実施例3と同様に実施した。
CAIIとのコンジュゲーション用標的DNAとの予活性化混合物。予活性化は、21μLのTD003[4.7μM]を、3μLのMOPS pH6[1M]、3μLのEDC[50mM]、及び3μLのs−NHS[100mM]と混合することにより行った。
カルボン酸活性化は、20℃で30分間のインキュベートにより行った。
G25 Illustra カラムを用い、メーカー(GE Healthcare)の指示に従って、緩衝剤を除去した。
コンジュゲーションに先立ち、タンパク質を2×30分、4℃の透析緩衝剤に対して、Slide-A-Lyzer mini透析装置を用いてメーカー(Pierce)の指示に従って透析した。
コンジュゲーション反応は、1μLのMOPS[1M] pH8.0、1μLのNaCl[1M]、及び1μLの水を、9μLの透析CAIIタンパク質に対して加えることにより行った。約35μLの活性化DNAをこの混合物に加えた。反応物を4℃で20時間インキュベートした。
Tris(pH8)を終濃度50mMとなるように加えてコンジュゲーション反応をクエンチした。実施例3の記載に従って、PAGE6%TBEゲルを用いて、CAII_TD003コンジュゲートを反応物から単離した。Picogreenをメーカー(Molecular Probes)の指示に従って用いてDNA濃度を測定したところ、コンジュゲートの濃度は0.21μMと推定された。
連結反応(結合反応)
材料
1M Tris−HCl、pH7.5
4M NaCl
10% Triton
10μM BSB
プロトコール
総体積1.5μLの結合緩衝剤(10mM Tris−HCl(pH7.5)、50mM NaCl、0.1% Triton X-100)中、6.5E10のライブラリー分子と、3.3E5のBSB_yR分子(5E6のBSB_yR分子で1〜200000にスパイクした1E12分子からなるヨクトリアクター(yoctoreactor)ライブラリー)とを、9E9分子のCAII_TD003と、1μM BSB(阻害剤)の存在又は不在下で混合した。分子の連結は、氷上で結合混合物を1時間インキュベートすることにより行った。
解離反応(希釈)
材料
標準ライゲーションバッファー:
50mM Tris−HCl、pH7.5
50mM NaCl
0.1% Triton X-100
0.75μM BSA
9mM KCl
4.5% グリセロール
0.2mM EDTA
1mM DTT
2mM ATP
1μM T4 DNAリガーゼ(Fermentas)
0.01μM 「スカベンジャー」DNA
連続相は実施例3の記載に従って調製した。
スクリューキャップを有する2mLのマイクロチューブ
プロトコール
結合混合物0.12μLを、1μM T4 DNAリガーゼ(標準ライゲーション緩衝剤)を含む600μLの水相を入れた2mLのエッペンドルフチューブの蓋まで転送した。チューブを2度反転し、更に10秒間チューブを攪拌して、結合混合物と水相とを混合することにより、解離反応を開始した。マイクロ遠心分離で軽く撹拌した後、500μLの混合物を、1mLの連続相を含む2mLの氷冷マイクロチューブに移送し、氷上で更に放置して、最終的に2分間の解離時間を得た。
エマルション化
材料
誘導緩衝剤:
50mM Tris−HCl、pH7.5
50mM NaCl
0.1% Triton X-100
1.5μM BSA
10mM KCl
5% グリセロール
0.2mM EDTA
1mM DTT
2mM ATP
135mM MgCl2
プロトコール
Precellys24(ベルタン・テクノロジーズ)を用い、5500rpmで3×20秒間(20秒間の撹拌の間に10秒間の休止を挟んだ)エマルション化し、連続相(1mL)と水相(0.5mL)とを混合することによって、解離反応を開始からちょうど2分後に終了させた。並行して、135mM MgCl2を含む1mLの連続相及び0.5mLの水相(誘導緩衝剤)を5500rpmで3×20秒間エマルション化することにより、マグネシウムを含むがT4 DNAリガーゼ活性化用リガーゼを含まない誘導エマルションを調製した。
エマルションでのライゲーション
プロトコール
1エマルション当たり150μLのMgCl2含有誘導エマルションを加え、RTで1時間撹拌混合することにより、T4 DNAリガーゼを活性化させた。ライゲーションは、エマルション(1650μL)を熱ブロック内で16時間、16℃及び300rpmでインキュベートすることにより行った。
エマルション破壊及びDNA回収
材料
1−ブタノール
イソプロパノール
100% エタノール
100bp 無制限DNA
組織Lyser II(Qiagen)
PCR クリーンアップキット(NucleoSpin ExtractII, Macherey-Nagel)
10% Triton X-100
プロトコール
チューブを65℃で30分間インキュベートし、更にマイクロ遠心分離で軽く撹拌することにより、ライゲーション反応を停止させた。エマルションを破壊するために、1エマルジョン当たり300μLの1−ブタノール、150μLのイソプロパノール、50μLのエタノール、及び20ngの100bp無制限DNA[10ng/μL]を加え、15Hzで1分間TissueLyser II(Qiagen)で混合した。続いて、チューブを14,000×gで2分間遠心分離し、RTで1時間振盪し、上澄みを廃棄した。以下の抽出を2回繰り返し、エマルジョンから残留鉱油及び界面活性剤を除去した。1−ブタノールを加え、TissueLyserで15Hzで1分間混合し、上部相を廃棄。サプライヤーの推奨に従って、PCRクリーンアップキット(NucleoSpin ExtractII, Macherey-Nagel)を使用し、DNA断片を、精製によって回収した。0.1%のTritonを含むEB緩衝剤(5mMトリス/HCl、pH8.5)でDNAを溶出した。
ライゲートされたDNA(レスキューPCR)の増幅
材料
2× PCR Mastermix(pH8.8、25℃):
40mM Tris−HCl
20mM(NH42SO4
20mM KCl
16mM MgSO4
0.2% Triton X-100、
0.2mg/mL BSA
ホットスタートPCR適したヌクレオチドdATP、dTTP、dGTP、及びdCTP各0.4mM(CleanAmp, TriLink)
プロトコール
ライゲートされた断片を、10μLの精製回収DNAサンプルをテンプレートとして用いて、総体積100μLとしてPCRにより回収した。
PCR混合物:
10μL テンプレートDNA
50μL 2×PCR Mastermix
10μL 5M ベタイン(終濃度0.5M)
1μL 100μM vip660(終濃度1μM)
1μL 100μM vip2824(終濃度1μM)
1μL(2u/μL) Vent(exo-)ポリメラーゼ(Fermentas)
27μL 水
混合物に対して、PCR機器で以下のプログラムを適用することにより、熱サイクリングを実施した。
95℃で10分
32サイクル、95℃で30秒、72℃で2分30秒
72℃で2分
調製 for 454シークエンシング
プロトコール
454シークエンシング用のサンプルは、実施例4でyR_TD001融合分子について記載したのと同様の手順によって調製した。454シークエンシングタグを加え、独自の順方向プライマーvip2459〜vip2494を用いて、yR_TD003融合分子をPCR増幅した。
DNA配列決定
プロトコール
454シークエンシングは、Hansen et al. J. Am. Chem. Soc., 2009, 131 (3), pp 1322-1327の記載に従って行った。DNA配列を分析し、BSB遺伝子型の頻度を計算した。
結果
配列決定の結果(図7)によれば、2分間の解離時間を用いることにより、BSB_yRはCA IIによって首尾よく(約1300倍に)富化された。これに対して、30分間の解離時間を用いた場合、又は、結合工程に先立ってCA IIをBSBとプレインキュベートした場合には、BSB_DNAの富化は見られなかった。
結論
標的としてCAIIを用い、多様化yRライブラリーへとスパイクされたBSB_yRを、解離時間依存的に富化することにより、ECCが実証された。
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Claims (16)

  1. 少なくとも1つの標的分子に結合する化合物である少なくとも1つの結合体(binding entity)の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含む核酸分子を含む富化ライブラリーを作製する方法であって、前記標的分子はDNA、RNA、タンパク質、炭水化物、有機若しくは無機分子、又はその断片であり、前記特定の結合体はインビトロディスプレイライブラリー内に存在し、前記方法は、
    (i)少なくとも100種類の異なる結合体Bn(ここでnは100以上の数である)のインビトロディスプレイライブラリーを作製し、ここで各結合体は核酸分子に連結され、前記核酸分子は前記結合体の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含み、これにより前記核酸分子の特定の核酸配列情報から、前記核酸分子に連結された前記特定の結合体の構造物が直接同定され(前記核酸分子(遺伝子型)に連結された前記結合体の構造物(即ち表現型)を以下「B構造物」(B-structure)と呼ぶ)、
    (ii)少なくとも1種類の標的分子n(ここでnは1以上の数である)が連結された核酸分子を作製し、ここで前記核酸分子は特異的標的分子の同定を可能にする特定の核酸配列情報を含み、ここで前記標的分子は工程(i)のライブラリーに存在する結合体の少なくとも1つに結合する能力を有する(前記核酸分子(遺伝子型)に連結された前記標的分子の構造物(即ち表現型)を以下「T構造物」(T-structure)と呼ぶ)
    工程を含み、当該方法は、
    (iii)工程(i)のライブラリーの総数X(ここでXは104よりも大きな数である)個のB構造物を含む溶液を、工程(ii)の総数Y(ここでYは102よりも大きな数である)個のT構造物を含む溶液と、結合条件下で混合し、ここで結合条件は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的分子に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物により効率的に結合する条件であり、これにより前記結合体の少なくとも1つが少なくとも1つの標的分子に結合して、T構造物に結合したB構造物を含む複合体が生成され(これを以下「B結合T構造物」(BBoundToT-structure)と呼ぶ)、
    (iv)インビトロのコンパートメント化系を結合条件下で適用し、ここで結合条件は、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的分子に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物より効率的に結合する条件であり、ここで前記コンパートメント化系は、B構造物、T構造物及びB結合T構造物が個別コンパートメント内に無作為に入る条件下で、工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べて、少なくとも2倍の個別コンパートメントを含み、
    (v)同じ個別コンパートメント内に存在するB構造物とT構造物との核酸分子を融合し、即ち、B構造物の核酸分子をT構造物の核酸分子に融合し(この構造物を以下「BT融合構造物」(BTFused-structure)と呼ぶ)、前記BT融合構造物は、工程(i)の結合体の同定を可能にする特定の核酸配列情報と、工程(ii)の特異的標的分子の同定を可能にする特定の核酸配列情報とを含み、
    (vi)B構造物の核酸分子とT構造物の核酸分子との融合がない条件、即ち、工程(v)で形成されなかった新たなBT融合構造物が形成されない条件下で、工程(v)の個別コンパートメントの内容物を併合することにより、BT融合構造物のライブラリーを取得し、ここで前記ライブラリーは、標的分子と結合実体(binder entity)との非結合対に由来するBT融合構造物に比べて、標的分子と結合実体との結合対に由来するBT融合構造物の種が富化されたライブラリーであり、
    ここで、工程(iv)の個別コンパートメントにおいて、B結合T構造物が溶液内に懸濁されており、及び/又は
    前記方法が固体支持体への標的分子の固定化を含まない
    ことを特徴とする、方法。
  2. 工程(i)の結合体(即ち表現型)が核酸分子(遺伝子型)に共有結合で連結され、工程(ii)の標的分子(即ち表現型)が核酸分子(遺伝子型)に共有結合で連結され、B構造物の核酸分子がDNAであり、T構造物の核酸分子がDNAである、請求項1に記載の方法。
  3. B構造物のDNA核酸分子(遺伝子型)が二本鎖核酸分子であり、T構造物のDNA核酸分子(遺伝子型)が二本鎖核酸分子である、請求項2に記載の方法。
  4. B構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)がPCRプライミング部位を含み、T構造物の結合体(表現型)に連結された核酸分子(遺伝子型)がPCRプライミング部位を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 工程(i)のインビトロライブラリーが少なくとも105の異なる結合体を含み(即ちBn(n=105)であり)、工程(i)の結合体が平均分子量MW5000ダルトン未満の化合物である、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 工程(ii)において少なくとも2つの異なる標的分子が存在する(即ちTn(n=2以上)である)、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 少なくとも1つの標的分子がタンパク質である請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 工程(iii)において、ある所定のT構造物が少なくとも105コピー存在し、即ちT構造物の総数Yが少なくとも105であり、工程(iii)におけるT構造物の濃度が、少なくとも10-9Mである、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 工程(iii)の結合条件が、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的分子に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物に比べて、対応するT構造物に100倍の効率で結合する条件である、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記方法が更に、工程(iv)の前に実施される追加の工程として、
    (iii−b)結合条件、即ち、標的分子に結合する能力を有する結合体を含むB構造物が、同じ標的分子に結合する能力を有しない結合体を含むB構造物と比べて、対応するT構造物により効率的に結合する条件下で、工程(iii)の溶液を少なくとも100倍に希釈することを含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
  11. 工程(iv)において、工程(iii)で存在するY個のT構造物と比べ、少なくとも100倍の個別コンパートメントが存在するとともに、工程(iv)において、工程(iii)の総数X個のB構造物と比べ、少なくとも10の平方根(3.16)倍の個別コンパートメントが存在する、請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
  12. 工程(iv)のインビトロのコンパートメント化系が油中水(water-in-oil)エマルション系であり、平均コンパートメント体積が10-12リットル未満である、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
  13. 工程(v)の同じ個別コンパートメントに存在するB構造物の核酸分子とT構造物の核酸分子との融合が、
    (a)DNAリガーゼによって3’−OHと5’−リン酸基との間にホスホジエステル結合を形成することにより、又は、
    (b)DNAポリメラーゼを用いて、エマルションPCRにより
    実施される、請求項1〜12の何れか一項に記載の方法。
  14. 工程(iv)のインビトロのコンパートメント化系が油中水エマルションであり、工程(vi)において、油コンパートメントを破壊することにより、工程(v)の個別コンパートメントの内容物が併合される、請求項12に記載の方法。
  15. 更なる工程(vii)として、工程(vi)の富化ライブラリー内に存在するBT融合構造物をPCRで増幅し、その後にDNA配列決定を行うことにより、少なくとも1つの所定の標的分子に結合する少なくとも1つの個別の結合体を同定することを含む、請求項1〜14の何れか一項に記載の方法。
  16. 更なる工程(vii)として、工程(vi)の富化ライブラリーを用いて、少なくとも1つの所定の標的分子に結合する少なくとも1つの個別の結合体を同定することを含む、請求項1〜15の何れか一項に記載の方法。
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