JP6192876B1 - 伝動ベルトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

伝動ベルトの製造方法では、マンドレル(31)上に設けられた複数の突条(11a’)が軸方向に連設された筒状の成形体(36)を、複数の圧縮層形成溝(422a)が軸方向に連設された筒状のベルト型(422)の内側に配置する。成形体(36)の複数の突条のそれぞれを含んで構成される圧縮層形成部(11a’)が、ベルト型(422)の対応する圧縮層形成溝(422a)に嵌まった状態で、成形体(36)を加熱すると共にマンドレル(31)側に押圧して架橋させることにより筒状のベルトスラブを成型する。

Description

本発明は伝動ベルトの製造方法に関する。
ローエッジ型のVベルトは、円筒状のベルトスラブから断面形状が台形の帯状体を切り出すことによって製造される。このとき、幅方向両側の傾斜面をカットして形成するため、ベルトスラブからは大量の廃棄ゴムが発生する。特許文献1には、かかる廃棄ゴムの発生を抑制するために、ベルトスラブからVベルトを切り出す際に、外周側の両縁を直角に残して内周側の幅方向両側の傾斜面を研磨により形成することが開示されている。特許文献2には、Vベルトの製造の際に発生する廃棄ゴムを再生ゴムとし、それをまたVベルトの製造に用いることが開示されている。また、ラップド型のVベルトは、1本1本個々に、未架橋のベルト本体を帆布で被覆して成形し、それを架橋させて製造される(例えば、特許文献3及び4)。
特開2002−340102号公報 特開2004−347108号公報 特開2011−031407号公報 特開2010−125725号公報
本発明は、厚さ方向の内周側に圧縮層を備えた伝動ベルトの製造方法であって、マンドレル上に設けられると共に、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体を、内周面に、各々、周方向に延びる複数の圧縮層形成溝が軸方向に連設され且つエラストマーで形成された筒状のベルト型の内側に配置し、前記ベルト型の内側に配置した前記成形体を、前記成形体の前記複数の突条のそれぞれを含んで構成される前記圧縮層となる圧縮層形成部が、前記ベルト型の対応する前記圧縮層形成溝に嵌まった状態で、加熱すると共に前記マンドレル側に押圧して架橋させることにより筒状のベルトスラブを成型する工程を含むものである。
実施形態1に係るVベルトの斜視図である。 実施形態1の製造方法1で用いる圧縮ゴムシートの斜視図である。 実施形態1の製造方法1における部材準備工程の圧縮ゴムシートの作製方法を示す図である。 図3AにおけるIIIB-IIIB断面図である。 実施形態1の製造方法1における成形工程を示す第1の図である。 実施形態1の製造方法1における成形工程を示す第2の図である。 実施形態1の製造方法1における成形工程を示す第3の図である。 実施形態1の製造方法1における成形工程を示す第4の図である。 実施形態1の製造方法1で用いる架橋装置の断面図である。 実施形態1の製造方法1で用いる架橋装置の一部分の拡大断面図である。 実施形態1の製造方法1における架橋工程を示す第1の図である。 実施形態1の製造方法1における架橋工程を示す第2の図である。 実施形態1の製造方法1で用いる別構成の架橋装置の一部分の拡大断面図である。 実施形態1の製造方法1における別構成の架橋装置を用いた架橋工程を示す第1の図である。 実施形態1の製造方法1における別構成の架橋装置を用いた架橋工程を示す第2の図である。 実施形態1の製造方法1における仕上工程を示す図である。 実施形態1の製造方法2で用いるスリーブ状ベルト型の斜視図である。 実施形態1の製造方法2で用いるスリーブ状ベルト型の一部分の拡大断面図である。 実施形態1の製造方法2における架橋工程を示す第1の図である。 実施形態1の製造方法2における架橋工程を示す第2の図である。 実施形態1の製造方法2における架橋工程を示す第3の図である。 実施形態1の製造方法2における架橋工程を示す第4の図である。 実施形態1の製造方法2における架橋工程を示す第5の図である。 実施形態1の製造方法3で用いるシート状ベルト型の斜視図である。 実施形態1の製造方法3における架橋工程を示す第1の図である。 実施形態1の製造方法3における架橋工程を示す第2の図である。 実施形態1の製造方法3における架橋工程を示す第3の図である。 実施形態1の製造方法4における架橋工程を示す図である。 実施形態2に係るVベルトの斜視図である。 実施形態2の製造方法1〜3における成形工程を示す第1の図である。 実施形態2の製造方法1〜3における成形工程を示す第2の図である。 実施形態2の製造方法1〜3における成形工程の変形例を示す図である。 実施形態2の製造方法1〜3における成形工程の別の変形例を示す図である。 実施形態2の製造方法1〜3における架橋工程の変形例を示す図である。 実施形態2の製造方法4における架橋工程の変形例を示す図である。 実施形態3に係るVベルトの斜視図である。 実施形態3の製造方法1〜3における成形工程を示す第1の図である。 実施形態3の製造方法1〜3における成形工程を示す第2の図である。 実施形態3の製造方法1〜3における成形工程の変形例を示す図である。 実施形態3の製造方法1〜3における成形工程の別の変形例を示す図である。 実施形態3の製造方法1〜3における架橋工程の変形例を示す図である。 実施形態3の製造方法4における架橋工程の変形例を示す図である。 その他の実施形態に係る第1のVリブドベルトの斜視図である。 その他の実施形態に係る第2のVリブドベルトの斜視図である。 その他の実施形態に係る第3のVリブドベルトの斜視図である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るローエッジ型のVベルトB(伝動ベルト)を示す。このVベルトBは、各種機械の動力伝達部材として用いられるものである。VベルトBのベルト長さは例えば500〜3000mm、ベルト幅は例えば7.5〜32mm、及びベルト厚さは例えば5.5〜20mmである。
実施形態1に係るVベルトBは、厚さ方向の内周側の圧縮層11と外周側の抗張層12とを含むゴム製のベルト本体10を備えている。抗張層12の厚さ方向の中間部には心線13が埋設されている。心線13は、抗張層12内において、幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられている。抗張層12の外周側、つまり、ベルト背面には補強布14が貼設されている。VベルトBは、外周側の補強布14、抗張層12、及び圧縮層11の上部の部分が均一幅に形成され、従って、その部分の側面がベルト背面に対して垂直に形成されている。内周側のそれ以外の圧縮層11の下部の部分が内周側に向かうに従って幅狭に形成され、従って、幅方向両側の側面がベルト背面に対して内周側に向かうに従って内向きに傾斜した傾斜面に形成されている。この傾斜面が摩擦伝動面を構成する。なお、VベルトBは、補強布14の代わりに伸張ゴム層が設けられ、圧縮層、抗張層、及び伸張ゴム層によりゴム製のベルト本体が構成されていてもよい。
圧縮層11及び抗張層12は、ゴム成分に各種の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋したゴム組成物で形成されている。従って、実施形態1に係るVベルトBは、圧縮層11が単一ゴム層で構成されている。圧縮層11及び抗張層12は同一のゴム組成物で形成されていてもよい。
ゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(EPDMやEPR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうち1種又は2種以上をブレンドしたものを用いることが好ましい。配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、充填材、可塑剤、加工助剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等が挙げられ、圧縮層11を形成するゴム組成物に配合される配合剤としては、その他に、例えば、短繊維、フッ素樹脂粉、ポリエチレン樹脂粉、中空粒子、発泡剤などの表面性状改質材が挙げられる。
心線13は、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚糸で構成されている。心線13には、ベルト本体10の抗張層12への接着性を付与するために接着処理が施されている。
補強布14は、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、綿等の織布、編布、又は不織布で構成されている。補強布14には、ベルト本体10の抗張層12への接着性を付与するために接着処理が施されている。
(製造方法1)
実施形態1に係るVベルトBの製造方法1について図2〜9に基づいて説明する。
製造方法1は、部材準備工程、成形工程、架橋工程、及び仕上工程で構成されている。
<部材準備工程>
部材準備工程では、圧縮層11となる圧縮ゴムシート11’、抗張層12となる抗張ゴムシート12’、心線13’、及び補強布14’を作製する。
−圧縮ゴムシート11’−
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分と配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によって厚肉の未架橋ゴムシート11”に形成する。そして、この未架橋ゴムシート11”から圧縮ゴムシート11’を作製する。
図2は圧縮ゴムシート11’を示す。
圧縮ゴムシート11’は、一方側の面に、各々、直線状に延びる突条で構成された複数の圧縮層形成部11a’が並行に延びるように連設されたゴムシートである。圧縮ゴムシート11’は、製造するVベルトBの圧縮層11を複数集め、それらを並列させて隣接するものの側辺同士を結合させたような形状に形成されている。従って、複数の圧縮層形成部11a’は同一形状である。各圧縮層形成部11a’は、先端側に向かうに従って幅狭に形成されており、具体的には、断面形状が等脚台形に形成されている。圧縮層形成部11a’の大きさは、製造するVベルトBの圧縮層11の大きさと同一であってもよいが、また、それよりもやや大きくてもよい。
このような圧縮ゴムシート11’は、図3A及びBに示すように、未架橋ゴムシート11”を、圧縮ゴムシート11’の圧縮層形成部11a’の形状に対応した周方向に延びる台形溝21aが軸方向に連設された圧縮ゴム型付ロール21とフラットロール22との間に通過させ、未架橋ゴムシート11”の一方側の面に圧縮ゴム型付ロール21の外周面の台形溝21aを型付けして圧縮層形成部11a’を形成することにより作製することができる。このとき、未架橋ゴムシート11”を加熱して可塑性を高めてもよい。また、圧縮ゴムシート11’は、プレス成型や押出成型でも作製することができる。
−抗張ゴムシート12’−
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分と配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して抗張ゴムシート12’を作製する。
−心線13’−
心線13’を構成する撚糸に、RFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、及び/又は、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理を施す。これらの接着処理の前に、エポキシ樹脂溶液又はイソシアネート樹脂溶液に浸漬して加熱する下地処理を施してもよい。
−補強布14’−
補強布14’を構成する織布等に、RFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理、及びベルト本体10側となる面にゴム糊をコーティングして乾燥させる接着処理のうちの1種又は2種以上の接着処理を施す。これらの接着処理の前に、エポキシ樹脂溶液又はイソシアネート樹脂溶液に浸漬して加熱する下地処理を施してもよい。なお、補強布14の代わりに伸張ゴム層を設ける場合には、抗張ゴムシート12’と同様の方法で伸張ゴム層となる伸張ゴムシートを作製する。
<成形工程>
成形工程では、まず、成形機(不図示)に、金属等の剛性を有する材料で形成された円筒状のマンドレル31を軸方向が水平方向となるように回転可能に軸支し、図4Aに示すように、マンドレル31上に補強布14’を巻き付け、その上に更に抗張ゴムシート12’を巻き付ける。マンドレル31は、製造するVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。このとき、補強布14’上に抗張ゴムシート12’が積層される。補強布14’及び抗張ゴムシート12’は、超音波カッターやエアはさみ等でカットした上でラップジョイントで接合する。なお、所定長の補強布14’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それをマンドレル31上に被せてもよい。また、補強布14’と抗張ゴムシート12’とを積層一体化させたものを作製し、それをマンドレル31上に巻き付けてもよく、或いは、その積層体の所定長を、抗張層12が外側となるように両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それをマンドレル31に被せてもよい。伸張ゴム層を設ける場合には、補強布14’の代わりに伸張ゴムシートを用いて同様の操作を行う。
次いで、図4Bに示すように、抗張ゴムシート12’上に心線13’を螺旋状に巻き付け、その上に更に抗張ゴムシート12’を巻き付ける。このとき、抗張ゴムシート12’上に心線13’の層が積層され、また、心線13’の層上に抗張ゴムシート12’が積層される。抗張ゴムシート12’は、超音波カッターやエアはさみ等でカットした上でラップジョイントで接合する。
続いて、図4Cに示すように、全周に渡って抗張ゴムシート12’の上からローラー32で押圧する。このとき、心線13’間にゴムが流動して心線13’が一対の抗張ゴムシート12’間に埋設されることにより位置固定されて全体として一体化した筒状の抗張体38が形成される。なお、この操作は、心線13’の層上に抗張ゴムシート12’を巻き付けるのと同時に行ってもよい。
そして、図4Dに示すように、抗張体38の抗張ゴムシート12’上に、圧縮層形成部11a’が外側となって周方向に延びるように圧縮ゴムシート11’を巻き付ける。このとき、マンドレル31の外側に、圧縮ゴムシート11’の圧縮層形成部11a’側の形状に切り抜かれた櫛形のガイド33を、軸方向に延びると共に櫛歯33aがマンドレル31側を向くように設けることにより、圧縮ゴムシート11’は、各圧縮層形成部11a’が一対の櫛歯33a間に案内されて高精度に周方向に延びるように巻き付けられ、抗張ゴムシート12’上に積層される。圧縮ゴムシート11’は、超音波カッター等でカットした上で突き合わせジョイントで接合する。この突き合わせジョイントは、接合強度を高める観点から、圧縮ゴムシート11’の厚さ方向に対する傾斜面同士を突き合わせて接合することが好ましい。なお、所定長の圧縮ゴムシート11’を、圧縮層形成部11a’が外側となるように両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを抗張ゴムシート12’上に被せてもよい。
以上のようにして、マンドレル31上に、補強布14’、抗張ゴムシート12’、心線13’、抗張ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート11’が内側から順に積層された円筒状の未架橋スラブS’を成形する。この未架橋スラブS’は、圧縮ゴムシート11’を筒状に形成したもの、つまり、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条で構成された圧縮層形成部11a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を含む。未架橋スラブS’における圧縮層形成部11a’の数は例えば20〜100個である。
<架橋工程>
図5A及びBは、架橋工程において用いる架橋装置40を示す。
架橋装置40は、基台41と、その上に立設された円筒状のドラム部材42とを備えている。
ドラム部材42は基台41に脱着可能に構成されている。ドラム部材42は、円筒状に形成されたドラム本体421と、その内周に内嵌めされた円筒状の膨出スリーブ422(ベルト型)とを有する。膨出スリーブ422は、ゴムや樹脂等のエラストマーで形成されている。ドラム本体421の内周部には、各々、加圧手段(不図示)に連通した多数の通気孔421aが形成されている。膨出スリーブ422の内周面には、各々、周方向に延びる複数の圧縮層形成溝422aが軸方向に連設されている。各圧縮層形成溝422aは、溝底側に向かうに従って幅狭に形成されており、具体的には、断面形状が、製造するVベルトBの圧縮層11と同一の等脚台形に形成されている。膨出スリーブ422の両端のそれぞれは固定リング423によりドラム本体421に固定されて封止されている。この架橋装置40では、加圧手段により通気孔421aを介してドラム本体421と膨出スリーブ422との間に高圧空気を導入することにより、膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出するように構成されている。また、基台41におけるドラム部材42内には、中心軸位置にマンドレル31を立設できるように構成されていると共に、マンドレル31を加熱するための加熱手段(不図示)が設けられている。
架橋工程では、未架橋スラブS’を成形したマンドレル31を、架橋装置40におけるドラム部材42内の中心軸位置に配置する。このとき、図6Aに示すように、筒状の成形体36を含む未架橋スラブS’が筒状の膨出スリーブ422の内側に配置されると共に、未架橋スラブS’の各圧縮層形成部11a’が膨出スリーブ422の対応する圧縮層形成溝422aの開口位置に位置付けられる。ドラム部材42は、後述の膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させた際にだぶつくのを抑制して成型の形状の精度を高める観点から、圧縮層形成溝422aの開口位置での内径がマンドレル31上の未架橋スラブS’の外径よりもやや大きいものを選択することが好ましい。なお、膨出スリーブ422の内周面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
そして、図6Bに示すように、加熱手段によりマンドレル31を昇温させると共に、加圧手段により通気孔421aを介してドラム本体421と膨出スリーブ422との間に高圧空気を導入して膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させ、その状態を所定時間保持する。つまり、成形体36のマンドレル31側への押圧を、膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させることにより行う。このとき、未架橋スラブS’は、径方向内向きに圧縮力を受け、各圧縮層形成部11a’が膨出スリーブ422の対応する圧縮層形成溝422aに外嵌めされ、その圧縮層形成部11a’が圧縮層形成溝422aに嵌まった状態で、加熱されると共に膨出スリーブ422によりマンドレル31側に押圧される。また、未架橋スラブS’に含まれる圧縮ゴムシート11’及び抗張ゴムシート12’のゴム成分の架橋が進行して一体化することにより、複数のVベルトBの圧縮層11及び抗張層12で構成されるベルト本体10の連結体が形成されると共に、ゴム成分が心線13’及び補強布14’と接着して複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。加熱温度は例えば100〜180℃、圧力は例えば0.5〜2.0MPa、及び加工時間は例えば10〜60分である。
所定時間の経過後、加圧手段による加圧を解除することにより、膨出スリーブ422が常態位置に位置付けられることとなり、ベルトスラブSが成型されたマンドレル31の拘束が解除される。
次に、図7に示す別構成の架橋装置40を用いた架橋工程について説明する。
この別構成の架橋装置40では、ドラム部材42におけるドラム本体421の膨出スリーブ422の背面側に空洞424が形成されている。また、ドラム本体421の内周部に形成された多数の通気孔421aのそれぞれは加圧・減圧手段(不図示)に連通している。
この架橋装置40を用いた架橋工程では、まず、図8Aに示すように、加圧・減圧手段により通気孔421aを介して空洞424内を減圧し、膨出スリーブ422をドラム本体421の内周面側に吸引して膨出スリーブ422の内側の空間の内径を拡大させる。
次いで、未架橋スラブS’を成形したマンドレル31を、架橋装置40におけるドラム部材42内の中心軸位置に配置する。このとき、筒状の成形体36を含む未架橋スラブS’が筒状の膨出スリーブ422の内側に配置されると共に、未架橋スラブS’の各圧縮層形成部11a’が膨出スリーブ422の対応する圧縮層形成溝422aの開口位置に位置付けられる。ドラム部材42は、後述の膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させた際にだぶつくのを抑制して成型の形状の精度を高める観点から、図8Bに示すように、空洞424内の減圧を解除して常態に位置付けられた膨出スリーブ422の圧縮層形成溝422aの溝底位置での内径がマンドレル31上の未架橋スラブS’の外径と同じ、又は、やや大きい若しくはやや小さいものを選択することが好ましい。なお、膨出スリーブ422の内周面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
そして、加熱手段によりマンドレル31を昇温させると共に、加圧・減圧手段により通気孔421aを介してドラム本体421と膨出スリーブ422との間に高圧空気を導入して膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させ、その状態を所定時間保持する。つまり、成形体36のマンドレル31側への押圧を、膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させることにより行う。このとき、図5A及びBに示す架橋装置40を用いた場合と同様、円筒状のベルトスラブSが成型される。
所定時間の経過後、加圧・減圧手段による加圧を解除すると同時に空洞424内を減圧して膨出スリーブ422をドラム本体421の内周面側に吸引することにより、膨出スリーブ422の内側の空間の内径が拡大することとなり、ベルトスラブSが成型されたマンドレル31の拘束が解除される。
この図7に示す架橋装置40を用いた場合、図5A及びBに示す架橋装置40を用いた場合と比較して膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させた際の変形が少なく、そのためだぶつきが抑制されるので、より形状の精度の高い成型を行うことができる。
<仕上工程>
仕上工程では、ドラム部材42の中からマンドレル31を取り出して冷却した後、マンドレル31からベルトスラブSを取り外す。
そして、図9に示すように、ドラム部材42から取り出したベルトスラブSを、圧縮層形成部11a’の1個を単位に輪切りし、表裏を裏返すことにより実施形態1に係るVベルトBを得る。なお、必要に応じて、輪切りする前のベルトスラブSの外周側の表面、或いは、輪切りした後のVベルトBの圧縮層11側の表面を研磨等の表面処理をしてもよい。
以上のようなエラストマーで形成された筒状の膨出スリーブ422を用いるVベルトの製造方法1は従来にない新規で且つ有用なものである。また、このVベルトBの製造方法1において、未架橋スラブS’には、未架橋ゴム組成物の圧縮ゴムシート11’で形成された筒状の成形体36が含まれ、その外周面には、各々、周方向に延びる複数の突条で構成された圧縮層形成部11a’が軸方向に連設されている。一方、筒状の膨出スリーブ422の内周面には、各々、周方向に延びる複数の圧縮層形成溝422aが軸方向に連設されている。そして、この製造方法1によれば、未架橋スラブS’に含まれる成形体36を膨出スリーブ422の内側に配置し、成形体36の複数の突条のそれぞれにより構成される圧縮層11となる圧縮層形成部11a’が膨出スリーブ422の対応する圧縮層形成溝422aに嵌まった状態で筒状のベルトスラブSを成型し、そのベルトスラブSを、圧縮層形成部11a’の1個を単位に輪切りすることによりVベルトBを製造するので、少なくとも幅方向両側の傾斜面を形成するために廃棄ゴムが発生することはなく、従って、ローエッジ型のVベルトBの製造全体において廃棄ゴムの発生を少量に抑えることができる。
(製造方法2)
製造方法2について図10A及びB並びに図11A〜Eに基づいて説明する。
図10A及びBは、製造方法2で用いるスリーブ状ベルト型50を示す。
スリーブ状ベルト型50は、ゴムや樹脂等のエラストマーにより円筒状に形成されている。スリーブ状ベルト型50は、内周面に、各々、周方向に延びる複数の圧縮層形成溝50aが軸方向に連設されている。各圧縮層形成溝50aは、溝底側に向かうに従って幅狭に形成されており、具体的には、断面形状が、製造するVベルトBの圧縮層11と同一の等脚台形に形成されている。
製造方法2の成形工程では、製造方法1の図4Dに示すのと同様、マンドレル31上に未架橋スラブS’を成形する。
架橋工程では、まず、図11Aに示すように、スリーブ状ベルト型50を高速で軸回転させる。このとき、遠心力によりスリーブ状ベルト型50の内径が拡大する。
次いで、図11B及びCに示すように、未架橋スラブS’を成形したマンドレル31を、回転しているスリーブ状ベルト型50内の中心軸位置に配置する。このとき、未架橋スラブS’の外周の各圧縮層形成部11a’を、スリーブ状ベルト型50の対応する圧縮層形成溝50aに対向させる。スリーブ状ベルト型50は、製造するVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、スリーブ状ベルト型50の内周面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
続いて、図11D及びEに示すように、スリーブ状ベルト型50の軸回転を停止させる。このとき、スリーブ状ベルト型50の内径が縮小し、筒状の成形体36を含む未架橋スラブS’が筒状のスリーブ状ベルト型50の内側に配置される。つまり、スリーブ状ベルト型50を軸回転させて内径を拡大させ、成形体36を設けたマンドレル31を、軸回転しているスリーブ状ベルト型50内に配置した後、スリーブ状ベルト型50の軸回転を停止させて内径を縮小させることにより、成形体36をスリーブ状ベルト型50の内側に配置する。この際、未架橋スラブS’の外周の各圧縮層形成部11a’はスリーブ状ベルト型50の対応する圧縮層形成溝50aに外嵌めされることが好ましい。つまり、成形体36を加熱すると共にマンドレル31側に押圧する前に、圧縮層形成部11a’を圧縮層形成溝422aに嵌め入れておくことが好ましい。
そして、スリーブ状ベルト型50を設けたマンドレル31を加硫缶内に入れると共に、所定温度及び所定圧力とし、その状態を所定時間保持する。このとき、未架橋スラブS’は、径方向内向きに圧縮力を受け、各圧縮層形成部11a’がスリーブ状ベルト型50の対応する圧縮層形成溝50aに嵌まった状態で加熱されると共に、スリーブ状ベルト型50を介して加圧されてマンドレル31側に押圧される。また、未架橋スラブS’に含まれる圧縮ゴムシート11’及び抗張ゴムシート12’のゴム成分の架橋が進行して一体化することにより、複数のVベルトBの圧縮層11及び抗張層12で構成されるベルト本体10の連結体が形成されると共に、ゴム成分が心線13’及び補強布14’と接着して複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。加熱温度は例えば100〜180℃、圧力は例えば0.5〜2.0MPa、及び加工時間は例えば10〜60分である。
仕上工程では、加硫缶からマンドレル31を取り出して冷却した後、ベルトスラブSからマンドレル31を抜くと共に、スリーブ状ベルト型50の内側からベルトスラブSを取り外す。
その他の構成及び作用効果は製造方法1と同一である。
(製造方法3)
製造方法3について図12及び13A〜Dに基づいて説明する。
図12は、製造方法3で用いるシート状ベルト型60を示す。
シート状ベルト型60は、ゴムや樹脂等のエラストマーにより湾曲した矩形シートに形成されている。シート状ベルト型60は、内側の面に、各々、周方向に延びる複数の圧縮層形成溝60aが軸方向に連設されている。各圧縮層形成溝60aは、図10Bに示す製造方法2で用いるスリーブ状ベルト型50の圧縮層形成溝50aと同様、溝底側に向かうに従って幅狭に形成されており、具体的には、断面形状が、製造するVベルトBの圧縮層11と同一の等脚台形に形成されている。シート状ベルト型60は、両端を突き合わせて円筒体を形成することにより、内周面に、各々、周方向に延びる複数の圧縮層形成溝60aが軸方向に連設され且つエラストマーで形成された筒状のベルト型を構成する。つまり、この製造方法3では、筒状のベルト型が、シート状ベルト型60の両端が突き合わされて円筒体を形成することにより構成される。
製造方法3の成形工程では、製造方法1の図4Dに示すのと同様、マンドレル31上に未架橋スラブS’を成形する。
架橋工程では、まず、図13A及びBに示すように、マンドレル31上の未架橋スラブS’を覆うようにシート状ベルト型60を巻き付ける。このとき、筒状の成形体36を含む未架橋スラブS’がシート状ベルト型60で構成された筒状のベルト型の内側に配置される。この際、未架橋スラブS’の外周の各圧縮層形成部11a’を、シート状ベルト型60の対応する圧縮層形成溝60aで外嵌めすることが好ましい。つまり、成形体36を加熱すると共にマンドレル31側に押圧する前に、圧縮層形成部11a’を圧縮層形成溝60aに嵌め入れておくことが好ましい。シート状ベルト型60は、製造するVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、シート状ベルト型60の圧縮層形成溝60a側の面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
続いて、図13Cに示すように、シート状ベルト型60の外側に円筒状のゴム製の型締スリーブ61を被せる。これによりシート状ベルト型60の巻き付け解除が規制される。
そして、シート状ベルト型60及び型締スリーブ61を設けたマンドレル31を加硫缶内に入れると共に、所定温度及び所定圧力とし、その状態を所定時間保持する。このとき、未架橋スラブS’は、径方向内向きに圧縮力を受け、各圧縮層形成部11a’がシート状ベルト型60の対応する圧縮層形成溝60aに嵌まった状態で加熱されると共に、円筒スラブ及びシート状ベルト型60を介して加圧されてマンドレル31側に押圧される。また、未架橋スラブS’に含まれる圧縮ゴムシート11’及び抗張ゴムシート12’のゴム成分の架橋が進行して一体化することにより、複数のVベルトBの圧縮層11及び抗張層12で構成されるベルト本体10の連結体が形成されると共に、ゴム成分が心線13’及び補強布14’と接着して複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。加熱温度は例えば100〜180℃、圧力は例えば0.5〜2.0MPa、及び加工時間は例えば10〜60分である。
仕上工程では、加硫缶からマンドレル31を取り出して冷却した後、型締スリーブ61及びシート状ベルト型60を取り外すと共に、マンドレル31を抜いてベルトスラブSを得る。
その他の構成及び作用効果は製造方法1と同一である。
なお、このシート状ベルト型60を用いる製造方法3では、筒状に形成したシート状ベルト型60の内周面に、その両端を突き合わせた接合部が構成され、それに対応して、成型するベルトスラブSには段差が形成される虞がある。この点を考慮すると、ベルト型として内周面にかかる接合部を有さない筒状の膨出スリーブ422を用いる製造方法1や次の製造方法4、或いは、筒状のスリーブ状ベルト型を用いる製造方法2が好ましい。
(製造方法4)
製造方法4について図14に基づいて説明する。
製造方法4では、成形工程において、圧縮ゴムシート11’を、製造するVベルトBのベルト長さに対応した長さに切断し、それを圧縮層形成部11a’が外側となって周方向に延びるように両端を超音波カッター等でカットした上で超音波ウエルダー等により突き合わせジョイントで接合する。この突き合わせジョイントは、接合強度を高める観点から、圧縮ゴムシート11’の厚さ方向に対する傾斜面同士を突き合わせて接合することが好ましい。これにより、外周面に、各々、周方向に延びる突条で構成された複数の圧縮層形成部11a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を作製する。
また、製造方法1の図4A〜4Cに示すのと同様、マンドレル31上に、補強布14’、抗張ゴムシート12’、心線13’、及び抗張ゴムシート12’を順に積層した後、全周に渡って抗張ゴムシート12’の上からローラー32で押圧して一体化させた筒状の抗張体38を作製する。
架橋工程において、図5A及びBに示す架橋装置40を用い、図14に示すように、成形体36を膨出スリーブ422の内側に配置する。このとき、成形体36を、膨出スリーブ422の内側に、成形体36の複数の圧縮層形成部11a’のそれぞれが膨出スリーブ422の対応する圧縮層形成溝422aに嵌まるように設けることが好ましい。つまり、成形体36を加熱すると共にマンドレル31側に押圧する前に、圧縮層形成部11a’を圧縮層形成溝422aに嵌め入れておくことが好ましい。このように予め圧縮層形成部11a’を圧縮層形成溝422aに嵌め入れておくことにより、ゴムの伸張が小さくなるため構造の安定したVベルトBを製造することができる。ドラム部材42は、この架橋工程において膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させた際にだぶつくのを抑制して成型の形状の精度を高める観点から、圧縮層形成溝422aの開口位置での内径がマンドレル31上の抗張体38の外径よりもやや大きいものを選択することが好ましい。なお、膨出スリーブ422の内周面及び/又は成形体36の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
また、抗張体38を成形したマンドレル31を、架橋装置40におけるドラム部材42内の中心軸位置に配置する。このとき、膨出スリーブ422に設けた成形体36とマンドレル31に設けた抗張体38との間に隙間が形成される。
そして、加熱手段によりマンドレル31を昇温させると共に、加圧手段により通気孔421aを介してドラム本体421と膨出スリーブ422との間に高圧空気を導入して膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させ、その状態を所定時間保持する。このとき、膨出スリーブ422が径方向内向きに膨出することにより、成形体36が径方向内向きに縮径して抗張体38に接触し、それらの成形体36及び抗張体38は、その状態で、マンドレル31により加熱されると共に膨出スリーブ422によりマンドレル31側に押圧され、ベルトスラブSが成型される。
なお、マンドレル31から抗張体38を抜き取り、製造方法1の図6Aに示すのと同様の配置構成となるように、その抗張体38を、膨出スリーブ422に設けた成形体36の内側に嵌め入れ、次いで、抗張体38の内径よりも外径の小さいマンドレル31を、架橋装置40におけるドラム部材42内の中心軸位置に配置してもよい。このとき、膨出スリーブ422に設けた抗張体38とマンドレル31の間に隙間が形成される。
また、製造方法1と同様、マンドレル31上に未架橋スラブS’を成形し、それをマンドレル31から抜き取り、製造方法1の図6Aに示すのと同様の配置構成となるように、その未架橋スラブS’を膨出スリーブ422の内側に嵌め入れ、次いで、未架橋スラブS’の内径よりも外径の小さいマンドレル31を、架橋装置40におけるドラム部材42内の中心軸位置に配置してもよい。このときも、膨出スリーブ422に設けた抗張体38とマンドレル31の間に隙間が形成される。
そして、これらの場合、加熱手段によりマンドレル31を昇温させると共に、加圧手段により通気孔421aを介してドラム本体421と膨出スリーブ422との間に高圧空気を導入して膨出スリーブ422を径方向内向きに膨出させ、その状態を所定時間保持すると、膨出スリーブ422が径方向内向きに膨出することにより、成形体36及び抗張体38又は未架橋スラブS’が径方向内向きに縮径してマンドレル31に接触し、成形体36及び抗張体38又は未架橋スラブS’は、その状態で、マンドレル31により加熱されると共に膨出スリーブ422によりマンドレル31側に押圧され、ベルトスラブSが成型される。
その他の構成及び作用効果は製造方法1と同一である。
[実施形態2]
図15は、実施形態2に係るVベルトBを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
実施形態2に係るVベルトBでは、圧縮層11が、表面部の表面ゴム層111(表面部材)と、内部のコアゴム層112とを有する。
表面ゴム層111及びコアゴム層112は、ゴム成分に各種の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋した相互に異なるゴム組成物で形成されている。
ゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(EPDMやEPR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうち1種又は2種以上をブレンドしたものを用いることが好ましい。配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、充填材、可塑剤、加工助剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等が挙げられ、表面ゴム層111を形成するゴム組成物に配合される配合剤としては、その他に、例えば、短繊維、フッ素樹脂粉、ポリエチレン樹脂粉、中空粒子、発泡剤などの表面性状改質材が挙げられる。
その他の構成は実施形態1に係るVベルトBと同一である。
次に、この実施形態2に係るVベルトBの製造方法について図16A及びB〜18に基づいて説明する。
この実施形態2に係るVベルトBは、実施形態1の製造方法1〜4と同様の方法で製造することができる。このとき、圧縮ゴムシート11’に代えて、表面ゴム層111を形成するための表面ゴムシート111’(シート材)とコアゴム層112を形成するためのコアゴムシート112’とを用いる。また、コアゴムシート112’を筒状に形成したものが、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条で構成されたコアゴム層形成部112a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を構成する。
製造方法1〜4の部材準備工程において、表面ゴムシート111’は、抗張ゴムシート12’と同様の方法で作製することができる。表面ゴムシート111’には、ベルト表面となる側の表面に、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。コアゴムシート112’は、製造方法1の図3A及びBに示す圧縮ゴムシート11’と同様の方法で作製することができる。
製造方法1〜3の成形工程において、コアゴムシート112’上に表面ゴムシート111’を巻き付けて未架橋スラブS’を成形するとき、図16Aに示すように、表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)を被覆して圧縮ゴムシート11’(圧縮層形成部11a’)を構成することが好ましい。つまり、成形体36を加熱すると共にマンドレル31側に押圧する前に、表面ゴムシート111’で、突条で構成されたコアゴム層形成部112a’を被覆して圧縮層形成部11a’を構成することが好ましい。なお、抗張体38上に巻き付けた後のコアゴムシート112’を表面ゴムシート111’で被覆してもよく、また、表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’を被覆した圧縮ゴムシート11’を抗張体38上に巻き付けてもよい。
このように予め表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を被覆しておくことにより、表面ゴムシート111’の伸張を小さく抑えることができるので、表面ゴム層111の厚さの均一なVベルトBを製造することができる。同様に、表面ゴムシート111’の伸張を小さく抑えて表面ゴム層111の厚さを均一に形成する観点からは、表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を被覆する前に、図16Bに示すように、表面ゴムシート111’を、幅方向の断面がコアゴム層形成部112a’と同一ピッチを有する波形を形成するように蛇腹状に加工すると共に、そのコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)側に凸となる部分がコアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝の位置に位置付けられるように設け、その溝に嵌めるようにして伸び代を持たせることが好ましい。かかる加工方法としては、表面ゴムシート111’を平坦状から蛇腹状に形成する一対の板状又はロール状の部材間に連続して通す方法が挙げられる。このとき、長さ方向に沿って蛇腹のピッチが徐々に小さくなるように加工することが好ましい。表面ゴムシート111’は、コアゴムシート112’に密着するように設けられてもよく、また、密着せずに単に表面に沿うように設けられてもよい。
同様に、製造方法4の成形工程においては、成形体36上に表面ゴムシート111’を巻き付けるとき、表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)を被覆して圧縮ゴムシート11’(圧縮層形成部11a’)を構成することが好ましい。
製造方法1〜3の成形工程において、コアゴムシート112’上に表面ゴムシート111’を巻き付けて未架橋スラブS’を成形するとき、図17Aに示すように、表面ゴムシート111’を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’の頂部で支持されるように円筒状に巻き付けてもよい。表面ゴムシート111’の伸張を抑えて表面ゴム層111の厚さを均一に形成する観点からは、図17Bに示すように、表面ゴムシート111’におけるコアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間に対応する部分を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝に押し込むようにしてもよい。同じ観点からは、図16Bに示すのと同様に、表面ゴムシート111’を、幅方向の断面がコアゴム層形成部112a’と同一ピッチを有する波形を形成するように蛇腹状に加工し、そのコアゴムシート112’側に凸となる部分を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝に嵌めるようにして伸び代を設けてもよい。なお、抗張体38上に巻き付けた後のコアゴムシート112’上に表面ゴムシート111’を巻き付けてもよく、また、表面ゴムシート111’を巻き付けたコアゴムシート112’を抗張体38上に巻き付けてもよい。
この場合、架橋工程において、図18に示すように、コアゴムシート112’は、表面ゴムシート111’を押圧して伸張させると共に、その表面ゴムシート111’で被覆されて圧縮ゴムシート11’を構成する。また、コアゴムシート112’の複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれは、表面ゴムシート111’を押圧して伸張させながら対応する圧縮層形成溝422aに進入し、圧縮層形成溝422a内において、コアゴム層形成部112a’が表面ゴムシート111’で被覆された圧縮層形成部111a’を構成する。
同様に、製造方法4の成形工程においては、成形体36上に表面ゴムシート111’を巻き付けるとき、表面ゴムシート111’を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’の頂部で支持されるように円筒状に巻き付けてもよい。
この場合、架橋工程において、図19に示すように、表面ゴムシート111’を被せた成形体36を、膨出スリーブ422の内側に、表面ゴムシート111’の外周面が周方向に間隔をおいて接触すると共に成形体36の複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれが膨出スリーブ422の対応する圧縮層形成溝422aの開口位置に位置付けられるように設ける。
なお、製造方法1〜4の成形工程において、所定長の表面ゴムシート111’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それをコアゴムシート112’或いは成形体36に被せてもよい。
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
[実施形態3]
図20は、実施形態3に係るVベルトBを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
実施形態3のVベルトBでは、圧縮層11が、内部のコアゴム層112と、表面部の被覆布113とを有する。コアゴム層112の構成は実施形態2に係るVベルトBと同一である。
被覆布113は、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、綿等の織布、編布、又は不織布で構成されている。被覆布113は、高い伸張性を有することが好ましい。被覆布113には、ベルト本体10のコアゴム層112への接着性を付与するための接着処理が施されていてもよい。
その他の構成は実施形態1に係るVベルトBと同一である。
次に、この実施形態3に係るVベルトBの製造方法について図21A及びB〜23に基づいて説明する。
この実施形態3に係るVベルトBは、実施形態1の製造方法1〜4と同様の方法で製造することができる。このとき、圧縮ゴムシート11’に代えて、コアゴム層112を形成するためのコアゴムシート112’と被覆布113を形成するための布材113’(シート材)とを用いる。また、コアゴムシート112’を筒状に形成したものが、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条で構成されたコアゴム層形成部112a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を構成する。
この実施形態3の場合、圧縮層11の両側の摩擦伝動面が被覆布113で被覆されたVベルトBが連設された筒状のベルトスラブSを成型し、それを圧縮層形成部11’の1個を単位に輪切りするので、従来のラップド型のVベルトとは異なり、1個のベルトスラブSから複数本のVベルトBが製造され、高い生産性を得ることができる。
製造方法1〜4の部材準備工程において、コアゴム層112を形成するためのコアゴムシート112’は、製造方法1の図3A及びBに示す圧縮ゴムシート11’と同様の方法で作製することができる。布材112’は、織布等に、必要に応じて、エポキシ樹脂溶液又はイソシアネート樹脂溶液に浸漬して加熱する接着処理、RFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理、及びコアゴム層111側となる面にゴム糊をコーティングして乾燥させる接着処理のうちの1種又は2種以上の接着処理を施す。
製造方法1〜3の成形工程において、コアゴムシート112’上に布材113’を巻き付けて未架橋スラブS’を成形するとき、図21Aに示すように、布材113’でコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)を被覆して圧縮層形成部11a’を構成することが好ましい。つまり、成形体36を加熱すると共にマンドレル31側に押圧する前に、布材113’で、突条で構成されたコアゴム層形成部112a’を被覆して圧縮層形成部11a’を構成することが好ましい。なお、抗張体38に巻き付けた後のコアゴムシート112’を布材113’で被覆してもよく、また、布材113’で被覆したコアゴムシート112’を抗張体38上に巻き付けてもよい。
このように予めコアゴムシート112’の表面を布材113’で被覆しておくことにより、布材113’が局所的に大きく伸ばされることを回避でき、その結果、かかる部分からゴムが染み出すのを抑制することができ、ベルト走行時の異音の発生も抑えることができる。同様に、布材113’の局所的な大きな伸びを抑える観点からは、布材113’でコアゴムシート112’の表面を被覆する前に、図21Bに示すように、布材113’を、幅方向の断面がコアゴム層形成部112a’と同一ピッチを有する波形を形成するように蛇腹状に加工すると共に、そのコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)側に凸となる部分がコアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝の位置に位置付けられるように設け、その溝に嵌めるようにして伸び代を持たせることが好ましい。かかる加工方法としては、布材113’を平坦状から蛇腹状に形成する一対の板状又はロール状の部材間に連続して通す方法が挙げられる。このとき、長さ方向に沿って蛇腹のピッチが徐々に小さくなるように加工することが好ましい。布材113’は、コアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)に密着して一体に設けられてもよく、また、密着せずに単に表面に沿うように設けられてもよい。
同様に、製造方法4の成形工程においては、成形体36上に布材113’を巻き付けるとき、布材113’でコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)を被覆して圧縮層形成部11a’を構成することが好ましい。
製造方法1〜3の成形工程において、コアゴムシート112’上に布材113’を巻き付けて未架橋スラブS’を成形するとき、図22Aに示すように、布材113’を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’の頂部で支持されるように円筒状に巻き付けてもよい。布材113’の局所的な大きな伸びを抑える観点からは、図22Bに示すように、布材113’におけるコアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間に対応する部分を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝に押し込むようにしてもよい。同じ観点からは、図21Bに示すのと同様に、布材113’を、幅方向の断面がコアゴム層形成部112a’と同一ピッチを有する波形を形成するように蛇腹状に加工し、そのコアゴムシート112’側に凸となる部分を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝に嵌めるようにして伸び代を設けてもよい。なお、抗張体38に巻き付けた後のコアゴムシート112’上に布材113’を巻き付けてもよく、また、布材113’を巻き付けたコアゴムシート112’を抗張体38上に巻き付けてもよい。
この場合、架橋工程において、図23に示すように、コアゴムシート112’は、布材113’を押圧して伸張させると共に、その布材113’で被覆される。また、コアゴムシート112’の複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれは、布材113’を押圧して伸張させながら対応する圧縮層形成溝422aに進入し、圧縮層形成溝422a内において、コアゴム層形成部112a’が布材113’で被覆された圧縮層形成部11a’を構成する。
同様に、製造方法4の成形工程においては、成形体36上に表面ゴムシート111’を巻き付けるとき、布材113’を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’の頂部で支持されるように円筒状に巻き付けてもよい。
この場合、架橋工程において、図24に示すように、布材113’を被せた成形体36を、膨出スリーブ422の内側に、布材113’の外周面が周方向に間隔をおいて接触すると共に成形体36の複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれが膨出スリーブ422の対応する圧縮層形成溝422aの開口位置に位置付けられるように設ける。
製造方法1〜4の成形工程において、所定長の布材113’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それをコアゴムシート112’或いは成形体36に被せてもよい。
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
[その他の実施形態]
上記実施形態1〜3ではVベルトBを示したが、特にこれに限定されるものではなく、図25Aに示すように、圧縮層11が単一ゴム層で構成されたVリブドベルトBであっても、図25Bに示すように、圧縮層11が表面ゴム層111及びコアゴム層112で構成されたVリブドベルトBであっても、図25Cに示すように、圧縮層11がコアゴム層112及び被覆布113で構成されたVリブドベルトBであってもよい。これらのVリブドベルトBは、それぞれ実施形態1〜3と同様の構成のベルトスラブSを成型し、そのベルトスラブSを、圧縮層形成部11a’の複数個(図23A〜Cでは3個)を単位に輪切りすることにより製造することができる。
本発明は伝動ベルトの製造方法の技術分野について有用である。
B Vベルト,Vリブドベルト
S ベルトスラブ
11 圧縮層
11a’ 圧縮層形成部(突条)
111 表面ゴム層
111’ 表面ゴムシート
112 コアゴム層
112’ コアゴムシート
112a’ コアゴム層形成部(突条)
113 被覆布
113’ 布材
31 マンドレル
36 成形体
422 膨出スリーブ(ベルト型)
422a 圧縮層形成溝
50 スリーブ状ベルト型
50a 圧縮層形成溝
60 シート状ベルト型
60a 圧縮層形成溝

Claims (12)

  1. 厚さ方向の内周側に圧縮層を備えた伝動ベルトの製造方法であって、
    マンドレル上に設けられると共に、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体を、内周面に、各々、周方向に延びる複数の圧縮層形成溝が軸方向に連設され且つエラストマーで形成された筒状のベルト型の内側に配置し、
    前記ベルト型の内側に配置した前記成形体を、前記成形体の前記複数の突条のそれぞれを含んで構成される前記圧縮層となる圧縮層形成部が、前記ベルト型の対応する前記圧縮層形成溝に嵌まった状態で、加熱すると共に前記マンドレル側に押圧して架橋させることにより筒状のベルトスラブを成型する工程を含む伝動ベルトの製造方法。
  2. 請求項1に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記圧縮層が単一ゴム層で構成されており、前記圧縮層形成部が前記突条で構成されている伝動ベルトの製造方法。
  3. 請求項1に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記圧縮層が、表面部の表面部材と、内部のコアゴム層とを有し、
    前記圧縮層形成部が、前記突条が前記表面部材となるシート材で被覆されて構成されている伝動ベルトの製造方法。
  4. 請求項3に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記表面部材が表面ゴム層であり、前記シート材が未架橋ゴム組成物で形成された表面ゴムシートである伝動ベルトの製造方法。
  5. 請求項4に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記成形体を加熱すると共に前記マンドレル側に押圧する前に、前記表面ゴムシートで前記突条を被覆して前記圧縮層形成部を構成する伝動ベルトの製造方法。
  6. 請求項3に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記表面部材が被覆布であり、前記シート材が布材である伝動ベルトの製造方法。
  7. 請求項6に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記成形体を加熱すると共に前記マンドレル側に押圧する前に、前記布材で前記突条を被覆して前記圧縮層形成部を構成する伝動ベルトの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記ベルト型は内周面に接合部を有さない伝動ベルトの製造方法。
  9. 請求項8に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記成形体の前記マンドレル側への押圧を、前記ベルト型を径方向内向きに膨出させることにより行う伝動ベルトの製造方法。
  10. 請求項8に記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記ベルト型を軸回転させて内径を拡大させ、前記成形体を設けた前記マンドレルを、前記軸回転している前記ベルト型内に配置した後、前記ベルト型の軸回転を停止させて内径を縮小させることにより、前記成形体を前記ベルト型の内側に配置する伝動ベルトの製造方法。
  11. 請求項1乃至7のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記ベルト型は、シート状ベルト型の両端が突き合わされて円筒体を形成することにより構成されている伝動ベルトの製造方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
    前記成形体を加熱すると共に前記マンドレル側に押圧する前に、前記圧縮層形成部を前記圧縮層形成溝に嵌め入れておく伝動ベルトの製造方法。
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