JP6192531B2 - 電力管理システム、電力管理装置、電力管理方法及びプログラム - Google Patents
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Description
また、電力管理システムとして、複数の需要家からなるコミュニティにおいて電力管理を行うものも知られている(例えば、特許文献2参照)。このように複数の需要家に対応する電力管理システムは、TEMS(Town Energy Management System)、あるいはCEMS(Community Energy Management System)などとも呼ばれる。
しかし、現状においては、太陽光発電設備の普及率が高くなっており、また、太陽光発電設備における太陽電池の容量の増加も図られている状況にある。このために、TEMSにおける太陽光発電設備の発電電力に生じた余剰電力において、蓄電池に充電できずに残る電力が生じる。このような電力は、例えば系統電源に流出して損失となってしまうことから、太陽光発電設備の発電電力を有効に利用できていないことになる。
図1は、本発明の実施形態における電力管理システムの全体構成例を示している。本実施形態における電力管理システムは、例えば、所定の地域範囲における複数の需要家に対応する住宅、商業施設、産業施設などの需要家施設における電力を一括して管理するものである。このような電力管理システムは、例えばTEMS(Town Energy Management System)やCEMS(Community Energy Management System)などといわれるものに対応する。
需要家施設10は、例えば、住宅、商業施設、あるいは産業施設などに該当する。また、電力管理地域1が、例えば1つまたは複数の集合住宅に対応し、需要家施設10のそれぞれが集合住宅における各戸であるような態様でもよい。
また、太陽電池を備える需要家施設10は、太陽電池の発電電力を系統電源3に出力させることができる。
また、蓄電池を備える需要家施設10においては、系統電源3から電力供給を受けて蓄電池に蓄電(充電)させることができる。また、蓄電池と太陽電池を備える需要家施設10においては、太陽電池の発電電力を蓄電池に充電させることができる。
蓄電池21は、充電のために入力される電力を蓄積し、また、蓄積した電力を放電して出力する。蓄電池21としては、例えばリチウムイオン電池などを採用することができる。
具体的に、蓄電池21に対する充電時には、系統電源3から充電のための交流の電力がインバータ22に供給される。インバータ22は、供給される交流の電力を直流に変換し、蓄電池21に供給する。
制御部23は、電力管理装置200の制御に従って、蓄電池21とインバータ22を制御する。
次に、図2を参照して、1つの需要家施設10が備える電気設備の一例について説明する。
同図に示す需要家施設10は、電気設備として、太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104、電力経路切替部105、負荷106及び施設別制御部107を備えている。
パワーコンディショナ102は、太陽電池101に対応して備えられ、太陽電池101から出力される直流の電力を交流に変換する。
具体的に、蓄電池103に対する充電時には、商用電源2またはパワーコンディショナ102から電力経路切替部105を介して充電のための交流の電力がインバータ104に供給される。インバータ104は、このように供給される交流の電力を直流に変換し、蓄電池103に供給する。
また、蓄電池103の放電時には、蓄電池103から直流の電力が出力される。インバータ104は、このように蓄電池103から出力される直流の電力を交流に変換して電力経路切替部105に供給する。
上記の制御に応じて、電力経路切替部105は、同じ需要家施設10において、商用電源2を負荷106に供給するように電力経路を形成することができる。
また、電力経路切替部105は、蓄電池103の放電により出力される電力を、他の需要家施設10における負荷106に供給するように電力経路を形成することができる。
このように生じた余剰電力は、例えば電力管理地域1において設置されている蓄電池103に充電して蓄積させれば、有効に利用できることとなって好ましい。
例えば、余剰電力が小さい場合においては、蓄電池103に蓄積させるべき電力も小さなものとなる。しかし、インバータ104は、電力が一定以上の状態では高効率を維持するが、電力が一定未満の状態では効率の低下が顕著になるという特性を有している。
このために、電力管理地域1において発生した各太陽電池101の小さな余剰電力を、例えば、需要家施設10ごとの蓄電池103に分配して充電したとすれば、各インバータ104の電力は相当に小さくなる。この場合、各インバータ104の電力損失は大幅に増加することになる。
なお、需要家施設10ごとにおいて個別に太陽電池101の余剰電力を蓄電池103に充電したとしても、上記の問題は同様に生じる。また、このようなインバータ104における電力損失の問題は、電力管理地域1において、蓄電池103から放電させた電力を負荷106に供給するにあたって、蓄電池103の放電電力が小さい状態である場合にも同様に生じる。
ここで、以降において説明する蓄電池103の充放電動作の制御は、電力管理地域1における太陽電池101から蓄電池103への充電電力の分配、もしくは、蓄電池103から負荷106への電力の分配を伴う。このため、以降において説明する蓄電池103に対する充放電動作の制御については電力分配制御とも呼ぶ。
次に、図3を参照して、電力管理装置200の電力分配制御に対応する構成例について説明する。電力管理装置200は、電力分配制御に対応して、ネットワークインターフェース部201及び第1電力管理部202を備える。なお、第2電力管理部203については後述する。
本実施形態における第1電力管理部202が実行する電力管理は、需要家施設10ごとにおけるインバータ104の損失の低減を図るための上述の電力分配制御である。
総電力算出部221は、電力管理地域1において、複数の蓄電池103の群に対して充電すべき総電力(充電総電力)または複数の蓄電池103の群から放電させるべき総電力(放電総電力)を算出する。なお、以降において、充電総電力と放電総電力とで特に区別しない場合には、総電力と記載する。
分配制御部223は、分配対象としての蓄電池の各々に決定された分配電力が分配されるように制御する。
1つのインバータ効率特性は、対応のインバータ104についての電力に応じた効率の変動特性を示す。そのうえで、インバータ効率特性記憶部224は、電力管理地域1におけるインバータ104ごとのインバータ効率特性をインバータ効率特性テーブルに格納するように記憶する。
図4は、インバータ効率特性記憶部224が記憶するインバータ効率特性テーブル240の構造例を示す図である。
同図に示すインバータ効率特性テーブル240における1つのレコードが1つのインバータ104に対応する。1つのレコードは、施設別制御部識別子241と、施設別制御部アドレス242と、インバータ効率特性243を含む。
施設別制御部アドレス242は、同じレコードの施設別制御部識別子241が示す施設別制御部107のアドレスを示す。
インバータ効率特性243は、対応のインバータ104についてのインバータ効率特性を示す。
このように、インバータ効率特性243が施設別制御部識別子241と対応付けられていることで、インバータ効率特性243が対応するインバータ104を特定することができる。また、施設別制御部アドレス242は、例えば分配制御部223が蓄電池103の充電または放電のための電力を制御するにあたって、その蓄電池103を管理下におく施設別制御部107と通信を行う際に使用する。
インバータ104の各々は、同図に示す特性と同様の傾向を有するのであるが、例えば、定格電力、定格電力時の効率の値、境界値αなどのパラメータは、インバータ104のメーカや機種などに応じて異なる。インバータ効率特性243には、このようなインバータ104ごとに異なる特性が反映される。また、同図に示す特性は、例えば蓄電池103への充電時(交流直流変換時)または放電時(直流交流変換時)に対応するものであるが、本実施形態におけるインバータ効率特性243は、充電時と放電時との両者に対応する特性を含む。
次に、電力管理装置200が、電力分配制御として、電力管理地域1における蓄電池103の群に対して充電を行う場合の制御例について説明する。ここでは、電力管理地域1における太陽電池101の群により発生した電力を負荷106の群に供給した際の余剰電力を蓄電池103の群に対して充電する場合を例に挙げる。
なお、図6の例では、太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104及び負荷106について、それぞれがn個で同数である場合を示している。これは一例であり、太陽電池101、パワーコンディショナ102、蓄電池103、インバータ104及び負荷106は、それぞれの数が異なっていてもよい。
この場合において、太陽電池101−1〜101−nの各々にて発電された電力は、それぞれ、パワーコンディショナ102−1〜102−nにより交流に変換されて、それぞれ、対応の負荷106−1〜106−nに供給される。
このときに、パワーコンディショナ102−1〜102−nから出力された電力の総量が、負荷106−1〜106−nにおいて必要な電力の総量よりも多いとき、両者の差分が太陽電池101の群による余剰電力の総量(総電力)pとなる。
電力管理装置200における総電力算出部221は、太陽電池101の余剰電力を充電しようする際には、上記のように余剰電力としての総電力pを算出すればよい。
つまり、電力管理装置200における分配電力決定部222は、インバータ効率特性記憶部224に記憶されるインバータ効率特性テーブル240を参照して、各インバータの効率(電力損失)と電力との関係を認識する。そのうえで、蓄電池103−1〜103−nのうちから、例えば、総電力pを分配したときに、インバータ104における損失が一定以下(効率が一定以上)となる電力で充電可能な1以上の蓄電池103を充電対象として決定する。また、この際に、充電対象としての蓄電池103ごとに総電力pをどれだけ分配して充電すべきかについても決定する。
具体的に、分配制御部223は、分配対象の蓄電池103を備える需要家施設10の施設別制御部107に対して、それぞれ、分配電力決定部222により決定された分配電力を指示する。施設別制御部107は、指示された分配電力により充電が行われるように同じ需要家施設10における蓄電池103を制御する。
下記の式1における損失Lは、インバータ104−1〜104−nの各損失の総量を示す。また、ηi(pi)は、i番目のインバータ104−iのインバータ効率特性における分配電力piのときの効率ηiを示す。また、wiは、i番目のインバータ104−iのインバータ効率特性における定格を示す。
図7のフローチャートは、本実施形態における電力管理装置200が充電制御に対応して実行する処理手順例を示している。
このために、例えば総電力算出部221は、需要家施設10における施設別制御部107のそれぞれに対して、ネットワーク300経由で太陽電池101の余剰電力の通知を要求する。この要求に応じて施設別制御部107の各々は、自己の管理下における太陽電池101の余剰電力を求める。この余剰電力は、例えば同じ需要家施設10において太陽電池101が発生している電力と、負荷106に供給される電力との差分として求めることができる。施設別制御部107は、このように求めた太陽電池101の余剰電力を電力管理装置200に通知する。
上記のようにして、電力管理装置200における総電力算出部221は、各施設別制御部107から通知される太陽電池101の余剰電力を取得する。
一方、分配対象として決定されなかった蓄電池103に対しては充電のための電力が供給されない。従って、分配対象として決定されなかった蓄電池103に対応するインバータ104において電力損失は発生しない。
この結果、電力管理地域1における蓄電池103の群を対象として充電を行うにあたってのインバータ104の群における電力損失が低減される。
次に、電力管理装置200が、電力管理地域1における蓄電池103を対象として行う電力分配制御としての放電制御について説明する。
図8は、図1の電力管理システムにおける各需要家施設10の蓄電池103(103−1〜103−n)、インバータ104(104−1〜104−n)及び負荷106(106−1〜106−n)の間の電力系統を模式的に示している。
なお、同図においては、共通蓄電装置20が示されているが、電力分配制御としての放電制御に対応する共通蓄電装置20の動作については後述する。
つまり、電力管理装置200における分配電力決定部222は、インバータ効率特性記憶部224に記憶されるインバータ効率特性テーブル240を参照して、各インバータの効率(電力損失)と電力との関係を認識する。そのうえで、蓄電池103−1〜103−nのうちから、例えば、総電力pを分配したときに、インバータ104における損失が一定以下(効率が一定以上)となる電力で放電可能な1以上の蓄電池103を充電対象として決定する。また、この際に、充電対象としての蓄電池103ごとに総電力pのうちからどれだけの電力を分配して充電すべきかについても決定する。
図9のフローチャートは、電力管理装置200が放電制御のために実行する処理手順例を示している。なお、この図において、図7と同様の処理となるステップについては同一符号を付している。
まず、放電制御における総電力算出部221は、負荷106のそれぞれが必要とする電力(負荷電力)を取得する(ステップS101a)。
このために、総電力算出部221は、施設別制御部107のそれぞれに対して、ネットワーク300経由で負荷電力の通知を要求する。この要求に応答して、施設別制御部107は、それぞれ、自己の管理下にある負荷106の負荷電力を計測し、計測した負荷電力を電力管理装置200に通知する。総電力算出部221は、このように各施設別制御部107から通知された負荷電力を取得する。
図9におけるステップS103、S104の処理は、図7と同様である。ただし、ステップS104において、分配電力決定部222は、分配対象として、負荷106の群が必要とする総電力pをまかなうための蓄電池103を決定する。また、ステップS104において、分配電力決定部222は、分配対象の蓄電池103ごとに、放電により出力させるべき電力を分配電力として決定する。
そして、分配制御部223は、分配対象の蓄電池103から、それぞれについて決定された分配電力による電力が出力されるように放電制御を実行する(ステップS105a)。
このように処理が実行されることで、蓄電池103から放電させる場合においても、インバータ104の電力損失を低減させることができる。
続いて、本実施形態における共通蓄電装置制御について説明する。本実施形態における共通蓄電装置制御は、図1に示したように、系統電源3に接続される共通蓄電装置20の充放電動作を電力管理装置200が制御することである。
太陽電池101の発電電力は、日照などの条件に依存する。例えば日照が良好な天気であれば、太陽電池101−1〜101−nにおける発電電力が増加し、総合の発電電力も相当に高くなる。このようなときに、蓄電池103−1〜103−nにおける空き容量が十分でない状態である場合、総電力pのすべてを蓄電池103−1〜103−nに分配できない場合が生じる。
この場合には、総電力pにおいて、さらに、蓄電池103−1〜103−nに対する充電電力の余剰分としての差分電力が生じる。このような余剰分としての差分電力は、系統電源3に流出することによる損失となる。
上記のような場合には、蓄電池103−1〜103−nからインバータ104−1〜104−nを介して出力される電力p1〜pnの和である総電力pが、負荷106−1〜106−nによる総合の負荷電力に満たない状態となる。
この場合には、負荷106−1〜106−nに供給すべき総電力pについての不足分としての差分電力が生じる。このような不足分としての差分電力が生じることによっては、系統電源3に商用電源2が不足分に応じて流入することにより、商用電源2の使用量が増加することになる。
つまり、第1電力管理部202は、総電力pを算出するにあたり、図7のステップS101として示したように、ネットワーク300経由で施設別制御部107から太陽電池101ごとの余剰電力を取得する。あるいは、電力管理装置200は、図9のステップS101aとして示したように、ネットワーク300経由で施設別制御部107から負荷106の負荷電力を取得する。このように、第1電力管理部202は、ネットワーク300経由で電力管理に必要な情報を取得する。
また、図7のステップS105による充電制御あるいは図9のステップS105aによる放電制御を行うにあたっては、第1電力管理部202は、ネットワーク300経由での通信を介して、各需要家施設10における施設別制御部107を制御する。制御の際には、例えば第1電力管理部202は、施設別制御部107に対して蓄電池103の充電あるいは放電のための指令値などを含む制御データを送信する。
このために、各需要家施設10の施設別制御部107が制御データを受信して蓄電池103の制御を実行するタイミングは、制御値を生成するための蓄電池103の余剰電力や負荷106の負荷電力などが得られていたタイミングに対して遅延する可能性がある。そして、このような遅延によるタイムラグは、ネットワーク300のトラヒックの状況の他、電力管理装置200や施設別制御部107の処理負荷などによって相当に大きくなる場合がある。
このように、電力分配制御のタイムラグに起因して差分電力が生じた場合にも、余剰分の差分電力が系統電源3に流出することによる電力損失や、不足分の差分電力が商用電源2から系統電源3に流入することによる商用電源2の使用量の増加などが生じる。
ここで、再度、図3を参照して第2電力管理部203の構成例について説明する。同図に示す第2電力管理部203は、差分電力算出部231と蓄電装置制御部232とを備える。
差分電力算出部231は、第1電力管理部202による電力分配制御が行われている状態のもとでの、電力管理システムにおける各蓄電池103に対する充電電力の余剰分または各蓄電池103から負荷106に供給する電力の不足分に対応する差分電力を算出する。
なお、差分電力算出部231は、系統電源3にて得られる電力に基づいて差分電力を算出する。より具体的には、差分電力算出部231は、図6または図8に示されるように、系統電源において総電力pが得られる点から共通蓄電装置20の接続点との間において得られる総電力pについての現在値を測定し、測定した現在値を利用して差分電力Pdfを算出する。
同図のグラフにおける線Aは、電力管理システムにおける各需要家施設10の負荷106の群による総合の必要電力(需要電力)についての測定結果を示す。
線Bは、電力管理システムにおける太陽電池101の群による総合の発電電力についての測定結果を示す。
線Cは、電力管理システムにおける総合の発電電力における総合の需要電力に対する余剰電力を示す。余剰電力が正の値であれば、総合の発電電力が総合の需要電力に対して余剰していることを示す。一方、余剰電力が負の値であれば、総合の発電電力が総合の需要電力に対して不足していることを示す。余剰電力は、第1電力管理部202における総電力算出部221が算出する総電力pに相当する。
同図によれば、1日おいて、余剰電力が変動しながらほぼ定常的に発生していることが分かる。
ただし、上記の電力分配制御にあたっては、前述のように、太陽電池101の発電電力と蓄電池103の空き容量との差、あるいは負荷が必要とする総合の必要電力と蓄電池103の蓄電量との差に応じて差分電力が生じる。蓄電池103に充電しきれない状態では、正の差分電力が生じ、蓄電池103が負荷106の必要とする必要電力に応じた電力を放電できない場合には負の差分電力が生じる。また、前述した第1電力管理部202による電力分配制御のタイムラグによっても差分電力が生じる可能性がある。この場合にも、差分電力については、正の値となる場合と負の値となる場合とのいずれもが生じ得る。
予測誤差値(w)は、予測値の誤差を示すもので、現在値から予測値を減算することによって求められる。図11におけるグラフは、このような予測誤差値を示している。
制御値(w)は、第1電力管理部202における分配電力決定部222が決定する分配電力(p1〜pn)の総計である。この場合、制御値は予測値と等しい。
つまり、差分電力算出部231は、系統電源3から現在の総電力を測定して現在値を取得し、取得した現在値から総電力算出部221が算出した総電力p(即ち、予測値である)を減算することにより差分電力を求めることができる。
具体的に、差分電力が正の値である場合には、電力管理地域1における太陽電池101の総合の余剰電力を各蓄電池103に分配してもなお残存している状態である。
そこで、この場合の蓄電装置制御部232は、図6に示すように、差分電力Pdfとしての余剰電力の残存分が共通蓄電装置20に充電されるように、共通蓄電装置20を制御する。
そこで、蓄電装置制御部232は、図8に示すように、負荷106の群にとって必要な負荷電力の不足分に相当する差分電力Pdfが、共通蓄電装置20によって放電されるように、共通蓄電装置20を制御する。
上記のように制御値について−1000wが設定されるのに応じて、差分電力算出部231は、制御誤差値である差分電力について、684w(=−316−(−1000))である算出する。この場合、制御誤差値として求められた差分電力と、現実に得られている差分電力との間には誤差が生じるものの、インバータ104における電力損失を回避することができる。
一方、同図における線Eは、第2電力管理部203による蓄電装置制御を行わない場合における、時間経過に応じた負の差分電力の積算値である。負の差分電力は、商用電源2から系統電源3に流入する電力である。同図によれば、9時から17時までに1413Whの電力が商用電源2から系統電源3に流入する。
この場合、9時から17時までの差分電力による電力損失は、2096Wh(=1683Wh+1413Wh)である。
あくまでも一例であるが、同図によれば、9時から17時までにおける蓄電量の最小値は−136Whであり、最大値は270Whである。このことから、例えば9時における蓄電量を蓄電容量の50%として運用するとした場合、共通蓄電装置20における蓄電池21の蓄電容量としては、600Wh(=300Wh±270Wh)程度を確保すればよいことが導出される。
図14のフローチャートを参照して、電力管理装置200における第2電力管理部203が実行する共通蓄電装置制御のための処理手順例について説明する。
まず、第2電力管理部203において、差分電力算出部231は、前回の共通蓄電装置20に対する充放電制御から一定時間が経過するのを待機する(ステップS201−NO)。
ここで、本実施形態の共通蓄電装置制御によっては、第1電力管理部202による電力分配制御のもとでの制御誤差が抑制される。このことを考慮すれば、ステップS201における一定時間については、第1電力管理部202による電力分配制御の周期よりも短い時間とすることが好ましい。
具体的に、差分電力算出部231は、現在において第1電力管理部202が電力分配制御として蓄電池103に対する充電制御を行っている場合には、ステップS201により、現在の充電総電力を測定する。
一方、現在において第1電力管理部202が電力分配制御として蓄電池103に対して放電制御を行っている場合、差分電力算出部231は、現在の放電総電力を測定する。
最も簡単な例として、蓄電装置制御部232は、ステップS203により算出された差分電力をそのまま充放電電力とすることができる。正の値の差分電力は太陽電池101の群による余剰電力のうちで蓄電池103の群に充電されずに系統電源3に流出する電力に相当する。また、負の値の差分電力は、負荷106の群に供給すべき蓄電池103の群からの放電電力についての不足分として商用電源2から系統電源3に流入する電力に相当する。
あるいは、蓄電装置制御部232は、ステップS203により算出された差分電力と、分配対象の蓄電池103から共通蓄電装置20までの系統の電力伝搬特性や共通蓄電装置20の特性などに応じた係数などを利用した演算によって充放電電力を決定してもよい。
この際、蓄電装置制御部232は、共通蓄電装置20における制御部23に対して、ステップS204により決定された充放電電力を指示する。制御部23は、指示された充放電電力による充電または放電が蓄電池21にて行われるように制御を実行する。
しかし、第1電力管理部202が行う電力管理は、例えば、予め定めた運転計画に従った電力管理地域1における電力制御や、商用電源2の利用料金の抑制などを考慮した電力管理地域1における電力制御などであってもよい。
つまり、第2電力管理部203の蓄電装置制御によっては、第1電力管理部202が行う電力管理の内容に係わらず、蓄電池103に対する充放電に際して生じる差分電力を抑制することが可能である。
2 商用電源
3 系統電源
10 需要家施設
20 共通蓄電装置
21 蓄電池
22 インバータ
23 制御部
101 太陽電池
102 パワーコンディショナ
103 蓄電池
104 インバータ
105 電力経路切替部
106 負荷
107 施設別制御部
200 電力管理装置
201 ネットワークインターフェース部
202 第1電力管理部
203 第2電力管理部
221 総電力算出部
222 分配電力決定部
223 分配制御部
224 インバータ効率特性記憶部
231 差分電力算出部
232 蓄電装置制御部
Claims (7)
- 電気設備の1つとして蓄電池を備える需要家施設を含む複数の需要家施設を共通の系統電源に接続して構成される電力管理システムにおいて前記系統電源に接続される共通蓄電装置と、
前記複数の需要家施設における電気設備を対象とする所定の電力管理を実行する需要家施設対応電力管理部と、
前記需要家施設対応電力管理部による所定の電力管理が行われている状態のもとでの、前記電力管理システムにおける各蓄電池に対する充電電力の余剰分または前記各蓄電池から負荷に供給する電力の不足分に対応する差分電力を算出する差分電力算出部と、
前記差分電力算出部により算出された差分電力に基づいて、前記共通蓄電装置の充電または放電を制御する蓄電装置制御部とを備え、
前記需要家施設対応電力管理部は、
ネットワーク経由で前記需要家施設の各々と通信を行うことにより、前記所定の電力管理に必要な情報を取得するとともに、取得した情報に基づいて前記需要家施設における所定の電気設備を制御し、
前記蓄電装置制御部は、
前記ネットワークとは異なる所定の通信路を介して前記共通蓄電装置の充電または放電を制御する
電力管理システム。 - 前記差分電力算出部は、
前記系統電源にて得られる電力に基づいて差分電力を算出する
請求項1に記載の電力管理システム。 - 前記需要家施設対応電力管理部は、
前記需要家施設に備えられる発電装置の群による余剰電力の総量についての予測値が、前記発電装置に対応して備えられるインバータの効率の変動特性に基づいて定められた電力の境界値より小さい低効率状態の場合、前記蓄電池に充電または放電させるべき電力の総量を示す制御値について、前記予測値とすることに代えて、前記境界値とし、
前記差分電力算出部は、前記制御値に応じた各蓄電池に対する充電電力の余剰分または前記各蓄電池から負荷に供給する電力の不足分に対応する差分電力を算出する
請求項1または2に記載の電力管理システム。 - 前記需要家施設対応電力管理部は、
前記低効率状態の場合において、予め定めた所定の条件に従って、制御値について、前記予測値とするか、あるいは前記境界値とするかについて決定する
請求項3に記載の電力管理システム。 - 電気設備の1つとして蓄電池を備える需要家施設を含む複数の需要家施設を共通の系統電源に接続して構成される電力管理システムにおいて、前記複数の需要家施設における電気設備を対象とする所定の電力管理を実行する需要家施設対応電力管理部と、
前記需要家施設対応電力管理部による所定の電力管理が行われている状態のもとでの、前記電力管理システムにおける各蓄電池に対する充電電力の余剰分または前記各蓄電池から負荷に供給する電力の不足分に対応する差分電力を算出する差分電力算出部と、
前記差分電力算出部により算出された差分電力に基づいて、前記共通の系統電源に接続される共通蓄電装置の充電または放電を制御する蓄電装置制御部とを備え、
前記需要家施設対応電力管理部は、
ネットワーク経由で前記需要家施設の各々と通信を行うことにより、前記所定の電力管理に必要な情報を取得するとともに、取得した情報に基づいて前記需要家施設における所定の電気設備を制御し、
前記蓄電装置制御部は、
前記ネットワークとは異なる所定の通信路を介して前記共通蓄電装置の充電または放電を制御する
電力管理装置。 - 電気設備の1つとして蓄電池を備える需要家施設を含む複数の需要家施設を共通の系統電源に接続して構成される電力管理システムにおいて、前記複数の需要家施設における電気設備を対象とする所定の電力管理を実行する需要家施設対応電力管理ステップと、
前記需要家施設対応電力管理ステップによる所定の電力管理が行われている状態のもとでの、前記電力管理システムにおける各蓄電池に対する充電電力の余剰分または前記各蓄電池から負荷に供給する電力の不足分に対応する差分電力を算出する差分電力算出ステップと、
前記差分電力算出ステップにより算出された差分電力に基づいて、前記共通の系統電源に接続される共通蓄電装置の充電または放電を制御する蓄電装置制御ステップとを備え、
前記需要家施設対応電力管理ステップは、
ネットワーク経由で前記需要家施設の各々と通信を行うことにより、前記所定の電力管理に必要な情報を取得するとともに、取得した情報に基づいて前記需要家施設における所定の電気設備を制御し、
前記蓄電装置制御ステップは、
前記ネットワークとは異なる所定の通信路を介して前記共通蓄電装置の充電または放電を制御する
電力管理方法。 - コンピュータに、
電気設備の1つとして蓄電池を備える需要家施設を含む複数の需要家施設を共通の系統電源に接続して構成される電力管理システムにおいて、前記複数の需要家施設における電気設備を対象とする所定の電力管理を実行する需要家施設対応電力管理ステップと、
前記需要家施設対応電力管理ステップによる所定の電力管理が行われている状態のもとでの、前記電力管理システムにおける各蓄電池に対する充電電力の余剰分または前記各蓄電池から負荷に供給する電力の不足分に対応する差分電力を算出する差分電力算出ステップと、
前記差分電力算出ステップにより算出された差分電力に基づいて、前記共通の系統電源に接続される共通蓄電装置の充電または放電を制御する蓄電装置制御ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記需要家施設対応電力管理ステップは、
ネットワーク経由で前記需要家施設の各々と通信を行うことにより、前記所定の電力管理に必要な情報を取得するとともに、取得した情報に基づいて前記需要家施設における所定の電気設備を制御し、
前記蓄電装置制御ステップは、
前記ネットワークとは異なる所定の通信路を介して前記共通蓄電装置の充電または放電を制御する
プログラム。
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