JP6192407B2 - 浸透性薬液投与システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、生体の管腔内壁に存在する患部に透明化液などの浸透性薬液を投与するために用いる浸透性薬液投与システムに関する。
ESD(Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)に代表される内視鏡治療や種々のカテーテル治療では、術中出血や術後出血のように臓器等の生体組織内に走行する血管や神経等を傷つける事故を回避することが従来からの課題とされている。
しかるに、生体組織内に染色剤、造影剤等の浸透性薬剤を浸透させることで、傷つけたくない部位を可視化しようとする試みがある。
従来、このような浸透性薬剤を内視鏡を用いて患部へ投与する場合、例えば、次の特許文献1〜4に記載のような噴霧装置を用いて、一定量の薬液を一度に噴霧することによって行なわれている。
特許文献1に記載の装置は、同時に送気、送液できる送気手段及び送液手段を有し、内視鏡の挿入部先端のチャンネル開口部から霧状に液体を噴出させる構成となっている。
また、特許文献2に記載の装置は、送気圧力と送液圧力のいずれか一方の圧力切換に連動して他方の圧力を自動的に切換えて、内視鏡の挿入部先端に設けたノズルから気体と液体とを混合させて噴霧する構成となっている。
また、特許文献3に記載の装置は、送液管先端に配置された回転案内溝を通過した液体が、液体回転室内で回転し、液体回転室の先端面中央に形成された噴出孔から前方に噴出する内視鏡用噴霧具において、液体回転室の先端側内壁面を、噴出孔側へ凸であって周辺より中央に近い側が軸線に対して垂直に近づくように面の向きが途中で変化した形状に形成することにより、十分に広い噴霧範囲を得る構成となっている。
また、特許文献4に記載の装置は、送液管先端に配置された回転案内溝を通過した液体が、液体回転室内で回転し、液体回転室から拡散しながら放出される内視鏡用噴霧具において、液体回転室の前方を塞ぐと共に、外周壁部分にその全周にわたる環状の液体噴出口を形成することにより、管腔壁に対して液体を一様に噴霧する構成となっている。
特開2003−310540号公報 特開平09−294715号公報 特開2001−137349号公報 特開2001−104490号公報
ところで、生体は部位ごとに種々の湿潤状態となっており、浸透性薬剤を適用することが所望される対象部位は、必ずしも生体管腔内において重力方向に存在するとは限らない。
このため、特許文献1〜4に記載の装置による重力方向に反する位置に存在する対象部位へ浸透性薬剤を噴霧する技術では、管腔内壁の表面に噴霧された薬液の液滴が重力方向に流れてしまう場合があり得、重力方向に反する方向に存在する対象部位に浸透性薬剤を安定的に留置させることが困難となる。
また、一般に、浸透性薬剤の薬液は、生体組織に対しては有益なものではない。
このため、重力方向に反する方向にのみ患部が位置し、重力方向の生体組織が健康である場合、特許文献1〜4に記載の装置を用いて患部に噴霧した薬液が重力方向に流れると、適用したくない生体組織にまで薬液の影響を与える可能性がある。
しかも、特許文献1〜4に記載のような従来の噴霧装置は、所定量の薬液を対象部位に対し一度に噴霧する構成となっているので、必要な量の浸透性薬剤を、重力方向に反する方向に位置する対象部位の内部組織に浸透させ終えるまでの間に、対象部位の内部組織に浸透することなく、重力方向に流れて正常な生体組織に影響を与える場合もあり得る。このため、浸透性薬剤による効果を充分に得ながら、正常な生体組織への影響を考慮した投与技術が望まれる。
重力方向に存在する患部に対し、薬液を安定的に留置させる従来技術としては、例えば、WO2009/031295号公報に記載のような薬剤を含有したポリマーでステントを被覆してなる、薬剤徐放性ステントがあるが、患部に投与後のステントの回収に手間がかかり、また、ステントが薬液を投与時の患部の観察の妨げとなり、薬液投与の効果を確認することが難しい等、薬液を投与した患部の診断・治療の妨げとなってしまう。
また、例えば、特開2008−188212号公報に記載のようなバルーンを膨張させて、薬剤保持部を所望の部位に接触して薬液を塗布するものもあるが、バルーンを膨張させて患部に接触した状態で薬液を投与する構成では、バルーンが薬液を投与時の患部の観察の妨げとなり、薬液投与の効果を確認することが難しい。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、生体への負担及び作業負担を軽減し、薬液のロスを極力省くことができ、重力に反する位置に存在する投与対象部位に対しても薬液を安定的に留置させた状態で、最適な量を調整することが可能で、しかも投与部位の視野を邪魔せず、薬液の投与効果を確認しながら投与することが可能な浸透性薬液投与システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明者らは、近年、光散乱を抑制することで光の生体透過性を高めるために開発されつつある透明化液を上記のような医療用途に使用することを想定した。つまり、ダメージを与えたくない対象の周囲に存在する生体組織をできるだけ透明化することで、対象の視認性(透見性)を高めることが可能な投与について検討した。透明化液の組成の一例としては、尿素にグリセロールと界面活性剤を加えた水溶性の溶液であって、生体組織に投与することにより生体組織内に浸透し、浸透した部位をゼリー状に物理化学的変化をもたらしながら皮膚等の組織内に含まれる色素成分を透明化させる。透明化液としては、他にもポリエチレングリコールやグルコースのような組成を使用する場合がある。これら透明化液は、一般に無色透明であることと生体組織への物理化学的変化をもたらす性質等から、組成ごとに多様な物性を有することが多く、浸透具合を確認するのが特に困難である溶液といえる。なお、透明化液を用いて透明化された部位は、生理食塩水等を投与することによって、再び元の不透明な状態に戻すことができる。
かかる透明化液を用いて術中出血や術後出血のリスクを軽減させるためには、術前又は術後に透明化液を患部へ投与し、血管透見能を向上させることが望まれる。
ところで、この透明化液は、投与した生体組織内へ充分な深さまで浸透してはじめてその効果を発揮する。そのため、透明化液を投与してから透明化効果が得られるまでには一定のタイムラグが存在する。このため、本発明は、手術等に透明化液を利用する場合、予め、透明化液を患部の内部組織に浸透させておくことも可能なシステムも提供する。本発明において、特に実施形態等で明示しない限り、浸透性薬剤とは透明化液を含む広義の薬剤をいう。
本発明による浸透性薬液投与システムは、内視鏡を用いて浸透性薬液を生体管腔内壁へ投与する浸透性薬液投与システムであって、前記内視鏡先端部の側方から前記浸透性薬液を前記生体管腔内壁の表面へ噴霧可能に構成された薬液噴霧部と、前記薬液噴霧部により前記生体管腔内壁の表面へ噴霧された前記浸透性薬液が該生体管腔内壁の内部組織へ浸透する度合いを検出する浸透度合い検出部を有し、前記薬液噴霧部が前記浸透性薬液を前記生体管腔内壁の表面へ噴霧する第1の工程と、前記第1の工程の後に前記浸透度合い検出部により検出された前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達するまでの間、前記薬液噴霧部による前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の表面への噴霧を待機させる第2の工程とを交互に繰り返し、前記生体管腔内壁に対し所定量の前記浸透性薬液を複数回に分けて断続的に投与するようにしたことを特徴としている。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいては、さらに、前記浸透度合い検出部により検出された前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、前記薬液噴霧部が前記浸透性薬液を前記生体管腔内壁の表面へ噴霧するように、前記薬液噴霧部の作動を制御する噴霧作動制御部を有するのが好ましい。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいては、さらに、前記浸透度合い検出部により検出された前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、前記薬液噴霧部による前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の表面への噴霧を指示する噴霧指示部を有するのが好ましい。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいては、前記浸透度合い検出部が、光ファイバを用いた干渉計からなるのが好ましい。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいては、前記浸透度合い検出部が、前記内視鏡の観察光学系を介して得られた前記生体管腔内壁の表面の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した前記生体管腔内壁の表面の画像から、該画像に写っている前記浸透性薬液の液滴の輪郭形状を抽出する画像処理部と、前記画像処理部で抽出された前記浸透性薬液の液滴の輪郭形状の鮮明度を検出する鮮明度検出部を有してなり、前記鮮明度検出部により検出された前記鮮明度が、前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いであるのが好ましい。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいては、さらに、前記内視鏡の観察光学系を介して得られた前記生体管腔内壁の画像から前記生体管腔内壁の内部組織の状態変化を検出する状態変化検出部を有し、前記噴霧作動制御部は、前記状態変化検出部により検出される前記生体管腔内壁の内部組織の状態変化が所定状態に到達したときに、前記薬液噴霧部による前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の表面への噴霧を終了させるように、前記薬液噴霧部の作動を制御するのが好ましい。
本発明によれば、生体への負担及び作業負担を軽減し、薬液のロスを極力省くことができ、重力に反する位置に存在する投与対象部位に対しても薬液を安定的に留置させた状態で、最適な量を調整することが可能で、しかも投与部位の視野を邪魔せず、薬液の投与効果を確認しながら投与することが可能な浸透性薬液投与システムが得られる。
本発明の第1実施形態にかかる浸透性薬液投与システムの概略構成を示す説明図で、(a)は模式図、(b)は要部構成を示すブロック図である。 図1の浸透性薬液投与システムにおける浸透度合い検出部の一構成例を模式的に示す説明図である。 図1の浸透性薬液投与システムにおける浸透度合い検出部の他の構成例を模式的に示す説明図である。 図1の浸透性薬液投与システムにおける浸透性薬液を生体管腔内壁に投与し終えるまでの手順を示すフローチャートである。 図1の浸透性薬液投与システムにおいて浸透性薬液を生体管腔内壁に投与し終えるまでの投与のタイミングチャートを示す説明図である。
実施形態の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明の浸透性薬液投与システムは、内視鏡先端部の側方から浸透性薬液を生体管腔内壁の表面へ噴霧する薬液噴霧部と、薬液噴霧部から生体管腔内壁の表面へ噴霧された浸透性薬液の生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いを検出する浸透度合い検出部を有し、薬液噴霧部が浸透性薬液を生体管腔内壁の表面へ噴霧する第1の工程と、第1の工程の後に浸透度合い検出部により検出された浸透性薬液の生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達するまでの間、薬液噴霧部による浸透性薬液の生体管腔内壁の表面への噴霧を待機させる第2の工程とを交互に繰り返し、生体管腔内壁に対し所定量の浸透性薬液を複数回に分けて断続的に投与する。
本発明の浸透性薬液投与システムのようにすれば、生体管腔内壁に対する十分な効果を得るために必要な全投与量の浸透性薬液を複数回に分けて少量ずつ霧状の液滴にして供給することができるので、浸透性薬液の液滴が生体管腔内壁の表面に留まり易くなる。そして、生体管腔内壁における浸透性薬液の投与対象部位が重力方向に反する位置に位置していても、噴霧した浸透性薬液の液滴が重力方向に流れることなく、安定的に投与することができる。
また、本発明の浸透性薬液投与システムのようにすれば、浸透性薬液を噴霧後に一定時間、噴霧を待機させることによって、生体管腔内壁において重力方向に反する位置に位置する投与対象部位に噴霧した浸透性薬液の液滴が大きくなって重力方向に流れることを防ぎ、浸透性薬液を生体管腔内壁の内部組織に浸透させることができる。
そして、本発明の浸透性薬液投与システムのようにすれば、生体管腔内壁において重力方向に反する位置に位置する投与対象部位に噴霧した浸透性薬液の液滴が重力方向に流れることがない結果、生体管腔内壁に対する十分な効果を得るために必要最小限となる最適量の浸透性薬液を供給して、浸透性薬液のロスを抑えることができるとともに、健康であって浸透性薬液の投与が不必要な部位へ浸透性薬液が投与されることを無くすことができ、健康な生体組織への負担を与えずに済む。
また、本発明の浸透性薬液投与システムのように、浸透性薬液の投与を内視鏡先端部の側方から浸透性薬液を生体管腔内壁の表面へ噴霧する薬液噴霧部を介して行えば、例えば、薬液を徐放するためのバルーンを用いる構成や、WO2009/031295号公報に記載の薬剤徐放性ステントのように、薬液の投与部位の視野を妨げない。このため、生体管腔内壁における投与部位での効果を確認しながら浸透性薬液を投与することができる。
従って、本発明の浸透性薬液投与システムによれば、生体への負担及び作業負担を軽減し、薬液のロスを極力省くことができ、重力に反する位置に存在する投与対象部位に対しても薬液を安定的に留置させた状態で、最適な量を調整することが可能で、しかも投与部位の視野を邪魔せず、薬液の投与効果を確認しながら投与することが可能な浸透性薬液投与システムが得られる。
ところで、生体管腔内壁の表面は体液で覆われているため、薬液を噴霧しても体液と混じり易い。このため、操作者が生体管腔内壁に噴霧した浸透性薬液の生体管腔内壁の内部組織への浸透の度合いを内視鏡の観察光学系を介して確認することは容易ではなく、操作者の作業負担が増加する。
しかるに、本発明の浸透性薬液投与システムにおいて、浸透度合い検出部により検出された浸透性薬液の生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、薬液噴霧部が浸透性薬液を生体管腔内壁の表面へ噴霧するように、薬液噴霧部の作動を制御する噴霧作動制御部を有すれば、薬液噴霧部を介して浸透性薬液を噴霧するのに最適なタイミングを簡単に取得して、最適なタイミングで浸透性薬液を自動的に噴霧させることができるので、操作者による噴霧指示の確認や薬液噴霧部の作動を手動で操作する手間を省いて、操作者の作業負担を軽減することができる。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいて、さらに、浸透度合い検出部により検出された浸透性薬液の生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、薬液噴霧部による浸透性薬液の生体管腔内壁の表面への噴霧を指示する噴霧指示部を有すれば、操作者による噴霧指示の確認の手間を省いて、操作者の作業負担を軽減することができる。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいて、浸透度合い検出部を、光ファイバを用いた干渉計で構成すれば、噴霧した浸透性薬液の液滴が生体管腔内壁の表面の体液と混ざって、観察画像からは浸透性薬液が生体管腔内壁の内部組織への浸透の度合いが判別しにくくなるような場合であっても、浸透性薬液と生体管腔内壁の表面及び生体管腔内壁の表面に付着する体液との夫々の屈折率の差異に基づく信号光の光路長の変化を、信号光と参照光との合波された光の強度の違いとして区別することができるため、浸透性薬液が生体管腔内壁の内部組織へ浸透する度合いを正確に検出することができる。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいて、浸透度合い検出部を、内視鏡の観察光学系を介して得られた生体管腔内壁の表面の画像を撮像する撮像部と、撮像部が撮像した生体管腔内壁の表面の画像における噴霧された浸透性薬液の液滴の輪郭形状を抽出する画像処理部と、画像処理部で抽出された浸透性薬液の液滴の輪郭形状の鮮明度を検出する鮮明度検出部を有して構成すれば、内視鏡先端部に浸透度合いを検出するための部材を新たに設ける必要がない。このため、内視鏡先端部を極力小さく抑えることができ、径の小さな生体管腔内壁に対しても浸透性薬液の浸透の度合いを検出することができるようになる。
また、本発明の浸透性薬液投与システムにおいて、さらに、内視鏡の観察光学系を介して得られた生体管腔内壁の画像から生体管腔内壁の内部組織の状態変化を検出する状態変化検出部を有し、噴霧作動制御部は、状態変化検出部により検出される生体管腔内壁の内部組織の状態変化が所定状態に到達したときに、薬液噴霧部による浸透性薬液の生体管腔内壁の表面への噴霧を終了させるように、薬液噴霧部の作動を制御するように構成すれば、操作者の作業負担を減らしながら、過剰投与を防止して最適な量の浸透性薬液を生体管腔内壁に投与することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかる浸透性薬液投与システムの概略構成を示す説明図で、(a)は模式図、(b)は要部構成を示すブロック図である。図2は図1の浸透性薬液投与システムにおける浸透度合い検出部の一構成例を模式的に示す説明図である。図3は図1の浸透性薬液投与システムにおける浸透度合い検出部の他の構成例を模式的に示す説明図である。図4は図1の浸透性薬液投与システムにおいて浸透性薬液を生体管腔内壁に投与し終えるまでの手順を示すフローチャートである。図5は図1の浸透性薬液投与システムにおける浸透性薬液を生体管腔内壁に投与し終えるまでの投与のタイミングチャートを示す説明図である。
本実施形態の浸透性薬液投与システムは、図1に示すように、薬液噴霧部1と、浸透度合い検出部2を有している。なお、図中、3は噴霧作動制御部、4は観察光学系、5は状態変化検出部、10は内視鏡先端部、20は浸透性薬液、30は生体管腔内壁、30aは生体管腔内壁の一部に存在する患部である。ここでは、患部30aは重力に反する方向に位置しているものとする。
薬液噴霧部1は、内視鏡の鉗子チャネルから挿入された透明化液の噴霧デバイスで構成されている。そして、薬液噴霧部1は、内視鏡先端部10から延びている棒状の可撓性部材11の内部に設けられた薬液の供給路1aと、供給路1aに連通し、可撓性部材11の側方に環状に複数設けられた供給口1bと、図示しない内視鏡本体部に設けられていて供給路1aに連通する図示しないポンプ等の薬液供給手段を備えており、供給口1aを介して内視鏡先端部10の側方から浸透性薬液20を生体管腔内壁30の表面へ噴霧することができるように構成されている。
浸透度合い検出部2は、薬液噴霧部1から生体管腔内壁30の表面へ噴霧された浸透性薬液20の生体管腔内壁30の内部組織への浸透度合いを検出する。
詳しくは、浸透度合い検出部2は、例えば、図2に示すような、光ファイバを用いた干渉計2aで構成されている。
光ファイバを用いた干渉計2aは、光源部2a1と、ファイバカプラ2a2と、参照光反射系2a3と、プローブ部2a4と、光検出部2a5を有している。
光源部2a1は、低コヒーレンス光を発するように構成されている。
ファイバカプラ2a2は、シングルモードファイバ2a6を介して光源部2a1と、シングルモードファイバ2a7を介して参照光反射系2a3と、シングルモードファイバ2a8を介してプロープ部2a4と、シングルモードファイバ2a9を介して光検出部2a5と、夫々接続されている。そして、ファイバカプラ2a2は、光源部2a1からの光を信号光L1と参照光L2とに分岐するとともに、生体管腔内壁30で反射した信号光L1と参照光反射系2a3からの参照光L2とを合波して光検出部2a5に導く。
参照光反射系2a3は、シングルモードファイバ2a7の先端にレンズ2a31と、ミラー2a32と、ミラー駆動部2a33を有し、ミラー駆動部2a33を介してミラー2a32を光軸方向に移動させることで参照光L2の光路長を変えることができるようになっている。
プローブ部2a4は、シングルモードファイバ2a8の先端にレンズ2a41を有し、レンズ2a41を経てコリメートされた信号光L1を生体管腔内壁30に照射するとともに、生体管腔内壁30で反射した光をシングルモードファイバ2a8に導く。
光検出部2a5は、信号光L1と参照光L2とが合波された光の強度を検出する。
図2のように光ファイバを用いた干渉計2aで構成された浸透度合い検出部2を用いた浸透性薬液20が浸透する度合いの検出は、次のようにして行う。
信号光L1と参照光L2の光路長が略等しくなったときのみ信号光L1と参照光L2が干渉しあい、信号光L1と参照光L2とが合波された光の干渉強度が大きくなる。屈折率の異なる界面で生じるすべてのフレネル反射光が信号光L1として存在するので、ミラー駆動部2a33を介してミラー2a32を光軸方向にある振幅を持って高速に振動させながら、光検出部2a5で信号光L1と参照光L2が合波された光の強度を検出すると、屈折率の異なる界面の位置に応じた複数の干渉波形が得られる。これは屈折率の断面プロファイルと等価である。
生体管腔内壁30の表面へ浸透性薬液20を噴霧した直後では、浸透性薬液20の表面でのフレネル反射光と浸透性薬液20と生体管腔内壁30の表面との界面でのフレネル反射光が信号光L1として存在するので、浸透度合い検出部2を用いると浸透性薬液20の光路長分を隔てて2つの干渉波形が得られることになる。
一定時間が経過し、浸透性薬液20の一部が生体管腔内壁30の表面から浸透し、かつ浸透性薬液20の一部が生体管腔内壁30の表面に残存している状態のときは、浸透性薬液20の表面でのフレネル反射光、浸透性薬液20と生体管腔内壁30の表面との界面でのフレネル反射光および浸透性薬液20が浸透した生体管腔内壁30の層と浸透性薬液20が浸透していない生体管腔内壁30の層との界面でのフレネル反射光が信号光L1として存在するので、浸透度合い検出部2を用いると浸透性薬液20の光路長分および浸透性薬液20が浸透した生体管腔内壁30の層の光路長分を隔てて3つの干渉波形が得られることになる。
さらに、浸透性薬液20の全部が生体管腔内壁30の表面から浸透した状態のときには、生体管腔内壁30の表面でのフレネル反射光と浸透性薬液20が浸透した生体管腔内壁30の層と浸透性薬液20が浸透していない生体管腔内壁30の層との界面でのフレネル反射光が信号光L1として存在するので、浸透度合い検出部2を用いると浸透性薬液20が浸透した生体管腔内壁30の層の光路長分を隔てて2つの干渉波形が得られることになる。
上記過程を、浸透度合い検出部2を用いてモニターすることで、生体管腔内壁30の内部組織への浸透度合いが所定の度合いに到達したものとして検出することができる。
なお、浸透度合い検出部2は、図2に示したような光ファイバを用いた干渉計2aからなる構成に限られるものではない。例えば、投与する浸透性薬液20が、生体管腔内壁30の表面に付着している体液に対し混ざらない性質を有している場合には、図3に示すような画像処理を介して浸透する度合いを検出するようにしてもよい。
図3の浸透度合い検出部2は、撮像部2b1と、画像処理部2b2と、鮮明度検出部2b3を有して構成されている。
撮像部2b1は、撮像光学系及び撮像素子で構成され、内視鏡の観察光学系4を経て所定の撮像位置に結像された生体管腔内壁30の表面の画像を撮像する。
画像処理部2b2は、図示しない内視鏡本体部に設けられており、撮像部2b1が撮像した生体管腔内壁30の表面の画像から、画像に写っている浸透性薬液20の液滴の輪郭形状を抽出するように構成されている。
鮮明度検出部2b3は、図示しない内視鏡本体部に設けられており、画像処理部2b2で抽出された浸透性薬液30の液滴の輪郭形状の鮮明度を、例えば、液滴の輪郭部分とその周囲とのコントラストに応じて数段階に検出するように構成されている。
そこで、図3のように構成された浸透度合い検出部2によれば、液滴の輪郭部分とその周囲とのコントラストが弱くなり、鮮明度が所定値以下となったときに、生体管腔内壁30の内部組織への浸透度合いが所定の度合いに到達したものとして検出することができる。
噴霧作動制御部3は、図示しない内視鏡本体部に設けられており、浸透度合い検出部2により検出された浸透性薬液20の生体管腔内壁30の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、薬液噴霧部1が浸透性薬液20を生体管腔内壁30の表面へ噴霧するように、薬液噴霧部1の作動を制御する。
観察光学系4は、内視鏡先端部10に設けられており、図示しない接眼部又は図3に示したような撮像部2b1を介して生体管腔内壁30の画像を得ることができるように構成されている。
状態変化検出部5は、図示しない内視鏡本体部に設けられており、内視鏡の観察光光学系4(更には図3に示したような撮像部2b1)を介して得られた生体管腔内壁30の画像から生体管腔内壁30の内部組織の状態変化を、例えば、画像に写っている生体管腔内壁30の透明度や色の変化に基づいて検出する。
また、噴霧作動制御部3は、さらに、状態変化検出部5により検出される生体管腔内壁30の内部組織の状態変化が所定状態に到達したとき、薬液噴霧部1による浸透性薬液20の生体管腔内壁30の表面への噴霧を終了させるように薬液噴霧部1の作動を制御する。
なお、本実施形態の浸透性薬液投与システムにおいては、図1(b)に示す噴霧作動制御部3の代わりに噴霧指示部3’を備えてもよい。
噴霧指示部3’は、浸透度合い検出部2により検出された浸透性薬液20の生体管腔内壁30の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、薬液噴霧部1による浸透性薬液20の生体管腔内壁30の表面への噴霧を指示するように構成される。
噴霧指示部3’における噴霧の指示は、例えば、図示しない内視鏡本体部に接続された表示装置の表示画面への噴霧指示メッセージの表示や、LEDを用いた光の点滅、音声発生機器を用いた音声の出力等、操作者の視覚や聴覚に対して刺激を与える手段を用いて構成するのが好ましい。
噴霧指示部3’を備えた構成の場合は、操作者は、噴霧指示部3から噴霧の指示を受ける都度、薬液噴霧部1による浸透性薬液20の生体管腔内壁30の表面への噴霧を手動で行う。
このように構成された本実施形態の浸透性薬液投与システムを用いた投与対象部位(ここでは、生体管腔内壁30の患部30aの表面)への浸透性薬液の投与手順を、図4を用いて説明する。図4は、特に、生体組織への浸透よりも充分に長い時間および充分な量の薬液が必要な透明化液を投与する手順についての詳細が示されている。
まず、操作者は、内視鏡を生体管腔内壁30に挿入し、生体管腔内壁30に存在する患部30aを探す(ステップS1)。
患部30aの位置を確認した後、操作者は、内視鏡の鉗子チャネルから透明化液(浸透性薬液20)の噴霧デバイス(薬液噴霧部1)を挿入する(ステップS2)。
次いで、操作者は、噴霧デバイス1における透明化液20の供給口1bを患部30aに向ける(ステップS3)。
これにより、透明化液20を生体管腔内壁30の患部30aに投与する準備が完了する。
なお、浸透度合い検出部2を、図2に示した光ファイバを用いた干渉計2aで構成した場合、透明化液20の投与に先立ち、プローブ部2a4を患部30aに向けて、屈折率の断面プロファイルの取得を開始しておく。
その後、透明化液20の生体管腔内壁30の患部30aへの投与を以下のステップS4〜S7に示す手順に従って行う。
患部30aを透明化するために必要な透明化液20の全投与量のうちの一部を患部30aの表面に噴霧する(ステップS4)。ここでは、この工程を第1の工程とする。ここで、透明化液20は上述したような組成および使用濃度から比較的粘性が高い場合が多いので、他の薬液と比べ生体組織表面に付着し易いといえるが、生体組織表面に粘液が存在したり、組織表層の微細構造等によっても付着量がばらつく可能性がある。そのため、浸透度合い検出部2は、対象となる部位における噴霧量を確認しながら、組織壁面への透明化液20の付着可能な許容量の最大となるような付着量を浸透度合いの下限値と設定し、噴霧動作中に下限値に達したときに噴霧量の停止を促す警告を発したり、噴霧動作を作動停止させるよう制御してもよい。
噴霧後、噴霧デバイス1による透明化液20の噴霧作動を停止させ、患部30aの内部組織への透明化液20の浸透する度合いが所定の度合いに到達するまで患部30aの表面への透明化液20の噴霧を待機させる(ステップS5、ステップS6)。ここでは、この工程を第2の工程とする。
内部組織への透明化液20の浸透する度合いが所定度合いに到達し、患部30aの内部組織の状態変化が所定状態に到達していないときは、ステップS4に示した第1の工程である、透明化液20の噴霧と、ステップ5に示した第2の工程である、患部30aの内部組織への透明化液20の浸透する度合いが所定の度合いに到達するまでの患部30aの表面への噴霧の待機とを繰り返す。一方、内部組織への透明化液20の浸透する度合いが所定度合いに到達し、患部30aの内部組織の状態変化が所定状態に到達したときに、透明化液20の噴霧を終了させる(ステップS7)。
これにより、患部30aの透明化に必要な全投与量の透明化液20が、例えば、図5に示すようなタイミングで、複数回に分けてロスなく投与されることになる。
以下、鉗子チャネルから透明化液20の噴霧デバイス1を抜き出し(ステップS8)、手術を実施する(ステップS9)。
本実施形態の浸透性薬液投与システムによれば、生体管腔内壁30に対する十分な効果を得るために必要な全投与量の浸透性薬液20を複数回に分けて少量ずつ霧状の液滴にして供給することができるので、浸透性薬液20の液滴が生体管腔内壁30の表面に留まり易くなる。そして、生体管腔内壁30における浸透性薬液20の投与対象部位(患部30a)が重力方向に反する位置に位置していても、噴霧した浸透性薬液20の液滴が重力方向に流れることなく、安定的に投与することができる。
また、本実施形態の浸透性薬液投与システムによれば、浸透性薬液20を噴霧後に一定時間、噴霧を待機させることによって、生体管腔内壁30において重力方向に反する位置に位置する投与対象部位(患部30a)に噴霧した浸透性薬液20の液滴が大きくなって重力方向に流れることを防ぎ、浸透性薬液20を生体管腔内壁30の内部組織に浸透させることができる。
そして、本実施形態の浸透性薬液投与システムによれば、生体管腔内壁30において重力方向に反する位置に位置する投与対象部位(患部30a)に噴霧した浸透性薬液20の液滴が重力方向に流れることがない結果、生体管腔内壁30に対する十分な効果を得るために必要最小限となる最適量の浸透性薬液20を供給して、浸透性薬液20のロスを抑えることができるとともに、健康であって浸透性薬液20の投与が不必要な部位へ浸透性薬液20が投与されることを無くすことができ、健康な生体組織への負担を与えずに済む。
また、本実施形態の浸透性薬液投与システムによれば、浸透性薬液20の投与を内視鏡先端部10の側方から浸透性薬液20を生体管腔内壁30の表面へ噴霧する薬液噴霧部1を介して行うので、例えば、薬液を徐放するためのバルーンを用いる構成や、WO2009/031295号公報に記載の薬剤徐放性ステントのように、薬液の投与部位の視野を妨げない。このため、生体管腔内壁30における投与部位(患部30a)での効果を確認しながら浸透性薬液20を投与することができる。
従って、本実施形態の浸透性薬液投与システムによれば、生体への負担及び作業負担を軽減し、薬液のロスを極力省くことができ、重力に反する位置に存在する投与対象部位に対しても薬液を安定的に留置させた状態で、最適な量を調整することが可能で、しかも投与部位の視野を邪魔せず、薬液の投与効果を確認しながら投与することが可能な浸透性薬液投与システムが得られる。
また、本実施形態の浸透性薬液投与システムにおいて、図1(b)に示したように、浸透度合い検出部2により検出された浸透性薬液20の生体管腔内壁30の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、薬液噴霧部1が浸透性薬液20を生体管腔内壁30の表面へ噴霧するように、薬液噴霧部1の作動を制御する噴霧作動制御部3を有すれば、薬液噴霧部1を介して浸透性薬液20を噴霧するのに最適なタイミングを簡単に取得して、最適なタイミングで浸透性薬液20を自動的に噴霧させることができ、操作者による噴霧指示の確認や薬液噴霧部1の作動を手動で操作する手間を省いて、操作者の作業負担を軽減することができる。
また、本実施形態の浸透性薬液投与システムにおいて、浸透度合い検出部2により検出された浸透性薬液20の生体管腔内壁30の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、薬液噴霧部1による浸透性薬液20の生体管腔内壁30の表面への噴霧を指示する噴霧指示部3’を有すれば、操作者による噴霧指示の確認の手間を省いて、操作者の作業負担を軽減することができる。
また、本実施形態の浸透性薬液投与システムにおいて、浸透度合い検出部2を、図2に示したように、光ファイバを用いた干渉計2aで構成すれば、噴霧した浸透性薬液20の液滴が生体管腔内壁30の表面の体液と混ざって、観察画像からは浸透性薬液20が生体管腔内壁30の内部組織への浸透の度合いが判別しにくくなるような場合であっても、浸透性薬液20と生体管腔内壁30の表面及び生体管腔内壁30の表面に付着する体液との夫々の屈折率の差異に基づく信号光の光路長の変化を、信号光と参照光との合波された光の強度の違いとして区別することができるため、浸透性薬液20が生体管腔内壁30の内部組織へ浸透する度合いを正確に検出することができる。
また、本実施形態の浸透性薬液投与システムにおいて、浸透度合い検出部2を、図3に示したように、内視鏡の観察光学系4を介して得られた生体管腔内壁30の表面の画像を撮像する撮像部2b1と、撮像部2b1が撮像した生体管腔内壁30の表面の画像における噴霧された浸透性薬液20の液滴の輪郭形状を抽出する画像処理部2b2と、画像処理部2b2で抽出された浸透性薬液の液滴の輪郭形状の鮮明度を検出する鮮明度検出部2b3を有して構成すれば、内視鏡先端部10に浸透度合いを検出するための部材を新たに設ける必要がない。このため、内視鏡先端部10を極力小さく抑えることができ、径の小さな生体管腔内壁30に対しても浸透性薬液10の浸透の度合いを検出することができるようになる。
また、本実施形態の浸透性薬液投与システムにおいて、さらに、図1(b)に示すように、内視鏡の観察光学系4を介して得られた生体管腔内壁30の画像から生体管腔内壁30の内部組織の状態変化を検出する状態変化検出部5を有し、噴霧作動制御部3を、状態変化検出部5により検出される生体管腔内壁30の内部組織の状態変化が所定状態に到達したときに、薬液噴霧部1による浸透性薬液20の生体管腔内壁30の表面への噴霧を終了させるように、薬液噴霧部1の作動を制御するように構成すれば、操作者の作業負担を減らしながら、過剰投与を防止して最適な量の浸透性薬液を生体管腔内壁30に投与することができる。
以上、本発明の浸透性薬液投与システムの実施形態を説明したが、本発明の浸透性薬液投与システムは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、本発明において、「内視鏡」という語は、浸透性薬剤の浸透状態を検出するための手段を有する場合には、カテーテルのような観察目的ではない体内用処置具に対しディスプレイ上に観察可能な浸透状態に関する分布データを表示する場合を含む広義なものである。
また、第2の工程において、薬液噴霧部1による浸透性薬液20の噴霧を完全に停止するのではなく、第1の工程に比べて微量の浸透性薬液20を噴霧するように、噴霧量を工程ごとに調整できるように、噴霧作動制御部3を構成してもよい。
また、状態変化検出部5としては、上述した例に限らず、生体組織表面の状態が、浸透性薬液20の有無や噴霧による付着量に応じて異なる状態であることを認識する手段であれば、他の手段(例えば、液面検出用超音波センサー、インピーダンス測定用電極)であってもよい。
また、状態変化検出部5が検出した生体管腔内壁30の内部組織の状態変化に応じて、薬液噴霧部1による浸透性薬液20の噴霧量を調整できるように、噴霧作動制御部3を構成してもよい。
また、所定量の浸透性薬液20の噴霧に対する生体管腔内壁30の内部組織への浸透時間がおおよそ判明している場合には、浸透度合い検出部2をタイマーで構成し、所定時間経過ごとに浸透性薬液1を噴霧することができるようにしてもよい。
また、本発明の浸透性薬液投与システムに用いる浸透性薬液は、透明化液である場合が最も効果的であるが、生体組織に対し浸透性と薬効を有する薬液であれば、染色液、造影剤であってもよく、さらには、患部を透明化した後に元の不透明な状態に戻す際に用いられるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)等の復元用溶液であってもよい。
本発明の浸透性薬液投与システムは、重力に反した方向に存在する患部に、透明化液などの浸透性薬液を投与し、投与後に患部を診断又は治療することが必要とされるあらゆる分野に有用である。
1 薬液噴霧部
1a 供給路
1b 供給口
2 浸透度合い検出部
2a 光ファイバを用いた干渉計
2a1 光源部
2a2 ファイバカプラ
2a3 参照光反射系
2a31 レンズ
2a32 ミラー
2a33 ミラー駆動部
2a4 プローブ部
2a41 レンズ
2a5 光検出部
2a6、2a7、2a8、2a9 シングルモードファイバ
2b1 撮像部
2b2 画像処理部
2b3 鮮明度検出部
3 噴霧作動制御部
3’ 噴霧指示部
4 観察光学系
5 状態変化検出部
10 内視鏡先端部
11 可撓性部材
20 浸透性薬液
30 生体管腔内壁
30a 患部

Claims (6)

  1. 内視鏡を用いて浸透性薬液を生体管腔内壁へ投与する浸透性薬液投与システムであって、
    前記内視鏡先端部の側方から前記浸透性薬液を前記生体管腔内壁の表面へ噴霧可能に構成された薬液噴霧部と、
    前記薬液噴霧部により前記生体管腔内壁の表面へ噴霧された前記浸透性薬液が該生体管腔内壁の内部組織へ浸透する度合いを検出する浸透度合い検出部を有し、
    前記薬液噴霧部が前記浸透性薬液を前記生体管腔内壁の表面へ噴霧する第1の工程と、前記第1の工程の後に前記浸透度合い検出部により検出された前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達するまでの間、前記薬液噴霧部による前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の表面への噴霧を待機させる第2の工程とを交互に繰り返し、前記生体管腔内壁に対し所定量の前記浸透性薬液を複数回に分けて断続的に投与するようにしたことを特徴とする浸透性薬液投与システム。
  2. さらに、前記浸透度合い検出部により検出された前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、前記薬液噴霧部が前記浸透性薬液を前記生体管腔内壁の表面へ噴霧するように、前記薬液噴霧部の作動を制御する噴霧作動制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の薬液投与システム。
  3. さらに、前記浸透度合い検出部により検出された前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いが所定の度合いに到達したときに、前記薬液噴霧部による前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の表面への噴霧を指示する噴霧指示部を有することを特徴とする請求項1に記載の薬液投与システム。
  4. 前記浸透度合い検出部が、光ファイバを用いた干渉計からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薬液投与システム。
  5. 前記浸透度合い検出部が、前記内視鏡の観察光学系を介して得られた前記生体管腔内壁の表面の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した前記生体管腔内壁の表面の画像から、該画像に写っている前記浸透性薬液の液滴の輪郭形状を抽出する画像処理部と、前記画像処理部で抽出された前記浸透性薬液の液滴の輪郭形状の鮮明度を検出する鮮明度検出部を有してなり、
    前記鮮明度検出部により検出された前記鮮明度が、前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の内部組織への浸透する度合いであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薬液投与システム。
  6. さらに、前記内視鏡の観察光学系を介して得られた前記生体管腔内壁の画像から前記生体管腔内壁の内部組織の状態変化を検出する状態変化検出部を有し、
    前記噴霧作動制御部は、前記状態変化検出部により検出される前記生体管腔内壁の内部組織の状態変化が所定状態に到達したときに、前記薬液噴霧部による前記浸透性薬液の前記生体管腔内壁の表面への噴霧を終了させるように、前記薬液噴霧部の作動を制御することを特徴とする請求項2、請求項2に従属する請求項4又は5のいずれかに記載の薬液投与システム。
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