以下、図面を用いて実施形態について詳細に説明する。
図1は、監視装置10の一実施形態を示す。
図1に示した監視装置10は、カメラ1によって撮影された画像IMGに基づいて、ベッド2に関連付けられた見守り対象の人物P1の行動を監視する。なお、以下の説明では、見守り対象の人物P1を対象者P1と称する。
図1に示したカメラ1は、対象者P1の動きを観測する観測装置の一例である。観測装置は、カメラ1に限らず、対象者P1の動きを観測できるものであればよく、例えば、対象者P1の体重の移動を感知するセンサなどでもよい。なお、以下では、観測装置としてカメラ1を用いる場合について説明する。
カメラ1は、ベッド2の上面の少なくとも一部およびベッド2の周囲を含む所定の範囲を撮影し、撮影で得られた画像IMGを、対象者P1の動きを観測することで得られる観測結果として監視装置10に渡す。
カメラ1は、対象者P1がベッド2の上に横になっている場合でも、ベッド2の上やベッド2の脇で活動している場合でも、対象者P1の動きを捉えられるように配置することが望ましい。例えば、カメラ1は、ベッド2の長手方向に撮影方向Drを概ね一致させ、ベッド2の枕側から対象者P1の足元の方向を撮影するように設置してもよいし、逆に、対象者P1の足元側から枕の方向を撮影するように設置してもよい。また、カメラ1は、ベッド2の横からベッド2および対象者P1を撮影するように設置してもよい。
また、カメラ1は、例えば、毎秒数コマから30コマの撮影を行い、各コマの画像IMGを取得するごとに監視装置10に渡してもよいし、複数コマの画像IMGをまとめて監視装置10に渡してもよい。
監視装置10は、検出部11と、行動テーブル12と、判定部13と、出力部14とを含んでいる。
検出部11は、カメラ1で得られた画像IMGに基づいて、対象者P1がなした行動のうち、所定の特徴を有する行動である対象行動を検出する。検出部11は、カメラ1で時系列的に得られた複数コマの画像IMGを比較することにより、対象者P1の動きの大きさや方向を含む動きの特徴を求め、得られた動きの特徴が、対象行動について予め設定された特徴と一致する場合に、対象行動を検出してもよい。
検出部11は、画像IMGに含まれる対象者P1の胴体や頭部および四肢などの部位のそれぞれについて動きの特徴を抽出し、抽出した動きの特徴が互いに異なる複数種類の対象行動を検出してもよい。例えば、対象者P1がベッド2の上やベッド2の周囲で行う可能性のある行動のそれぞれに対応して、当該行動における各部位の動きの特徴を示す情報を検出部11に設定しておくことで、上述した複数種類の動きに対応する対象行動を検出することが望ましい。
検出部11は、例えば、対象者P1がベッド2の上で起き上がる動作を示す起床行動や、対象者P1がベッド2から離れる動作を示す離床行動などを対象行動として検出することが望ましい。また、検出部11は、図1に示したカメラ1で得られた画像IMGに対象者P1が含まれていない状態を対象行動の一つとして検出してもよい。
また、検出部11は、対象者P1の全身あるいは体の一部が振動するような動きを対象行動として検出してもよいし、振動するような動きの振幅の大きさが所定値を超えるか否かにより、異なる種類の対象行動として検出してもよい。なお、振動するような動きの振幅の大きさによって対象行動を区別する際に用いる値は、例えば、体を細かく震わせている人物と激しく痙攣している人物とをそれぞれ撮影した画像において、当該人物の各部位が動く大きさなどに基づいて予め決定しておいてもよい。
検出部11は、上述したようにして得た検出結果を、判定部13に渡す。判定部13は、受け取った検出結果で示される対象行動が、行動テーブル12に格納された行動情報により、対象者に対して行われた治療のいずれかに対応付けられているか否かを判定する。
行動テーブル12は、対象者P1に対して行われた治療のそれぞれと当該治療を受けたことによって現れる可能性のある行動とを対応付けた情報を予め格納している。つまり、行動テーブル12は、対象者に対して行われた治療と治療を受けたことによって現れる可能性のある行動とを対応付けて示す行動情報の表現形式の一例である。
ここで、検出部11によって検出された対象行動が、行動テーブル12により、対象者に対して行われた治療のいずれかに対応付けられている場合に、当該対象行動は、例えば、対象者P1に投与された薬の副作用の影響で現れた可能性がある。一方、検出された対象行動が、行動テーブル12により、対象者に対して行われた治療のいずれかにも対応付けられていない場合に、当該対象行動は、対象者P1への治療の影響とは無関係に現れた行動である。即ち、判定部13は、検出部11で検出された対象行動が、行動テーブル12に格納された行動情報により、いずれかの治療に対応付けられているか否かを判定することにより、当該対象行動が治療の影響で現れている可能性があるか否かを判定することができる。
図2は、図1に示した行動テーブル12の例を示す。図2に示した行動テーブル12は、服用している薬の種類や施されている処置の種類によって示される治療内容を含む要因ごとに、当該要因に対応して現れる可能性のある症状と、当該症状が現れた場合に対象者P1が行う可能性のある対象行動を示している。
例えば、行動テーブル12の要因を示す列の符号「薬m1」に対応する2つの行は、薬m1を服用した場合に、症状S1が現れる可能性があり、症状S1が現れた場合に対象者P1が対象行動「離床行動」と対象行動「不在」を行う可能性があることを示している。
また、行動テーブル12は、要因に対応して複数の症状を含んでいてもよいし、また、要因に対応する症状のそれぞれに対応して、複数の対象行動を含んでもよい。
例えば、図2において、要因「薬m1+薬m2」に対応する行は、薬m1と薬m2を飲み合わせることで現れる症状S2に対応して、対象者P1の行動に、対象行動「体動(振幅小)」が現れる場合があることを示している。なお、対象行動「体動(振幅小)」は、振幅の大きさが所定値以下である体動を示す。
なお、行動テーブル12は、例えば、対象者P1の疾患などに対応する症状と、当該症状によって対象者P1が行う可能性がある対象行動との対応関係を含んでもよい。
例えば、図2において、要因を示す列の符号「病名d1」に対応する行は、病名d1で示される傷病により、対象者P1が症状S3を示す場合があり、症状S3が現れた場合に対象行動「体動(振幅大)」が現れる可能性があることを示している。なお、対象行動「体動(振幅大)」は、振幅の大きさが所定値を超える体動を示す。
ところで、例えば、対象者P1に対して、ギプスによる固定が施された場合などに、対象者P1が体を動かす行動を制限したい場合がある。このように、対象者P1への処置に応じた対象行動を制限したい場合などに、行動テーブル12は、処置と、制限したい対象行動との対応関係を含んでもよい。
例えば、要因を示す列の符号「処置t1」に対応する行は、処置t1を施された場合に、対象行動「体動(全て)」の制限が望ましいことを示している。なお、対象行動「体動(全て)」は、振幅の大きさにかかわらず全ての体動を示す。
このように、行動テーブル12は、治療の影響で現れる対象行動とともに、対象者P1の疾患に特有な症状に対応する対象行動や、治療内容に対応して制限したい対象行動を含んでもよい。
また、図1に示した判定部13は、このような行動テーブル12に基づいて、検出された対象行動が、対象者P1の疾患に特有な対象行動や、治療内容に対応して制限したい対象行動である場合についても、治療に対応付けられた対象行動であると判定してもよい。
また、図1に示した出力部14は、検出された対象行動について、判定部13により、行動テーブル12において治療のいずれかに対応付けられていると判定された場合と、対応付けられていないと判定された場合とでそれぞれ異なる警報を出力する。
出力部14は、例えば、行動テーブル12に含まれる対象行動が検出された場合に、図3(A)を用いて後述する警報Wm_aを生成し、生成した警報Wm_aをナースコールシステム3などに渡してもよい。一方、行動テーブル12に含まれない対象行動が検出された場合に、出力部14は、同じく図3(B)を用いて後述する警報Wm_bを生成し、生成した警報Wm_bをナースコールシステム3などに渡してもよい。
図3は、図1に示した出力部14によって出力される警報の例を示す。図3(A)は、行動テーブル12に含まれる対象行動が検出された場合に生成される警報Wm_aの例である。また、図3(B)は、行動テーブル12に含まれない対象行動が検出された場合に生成される警報Wm_bの例である。
図3(A)に示した警報Wm_aと、図3(B)に示した警報Wm_bとは、ともに、医療従事者や介護施設の職員などに注意を促す第1メッセージM1_a、M1_bを含んでいる。
図3(A)に示した警報Wm_aにおいて、第1メッセージM1_aは、図1に示した対象者P1を示す情報として、名前「田中太郎さん」や部屋番号「601号室」を含むとともに、検出された対象行動「体動(振幅小)」を示す情報を含んでいる。また、図3(B)に示した警報Wm_bにおいて、第1メッセージM1_bは、上述した対象者P1の名前や部屋番号とともに、検出された対象行動「起床」を示す情報を含んでいる。なお、第1メッセージM1_a,M1_bに含まれる注意を促すためのメッセージは、図3(A)および図3(B)に示したテキスト「対象行動を検出しました」に限られない。例えば、緊急に対応することが望ましい対象行動が検出された場合などに、第1メッセージM1_a,M1_bは、緊急性を強調したテキストを含んでもよい。なお、第1メッセージM1_a,M1_bの別例については、図5,図10および図11を用いて後述する。
更に、図3(A)に示した警報Wm_aは、図1に示した対象者P1について検出された対象行動が治療内容に関連している旨を伝える第2メッセージM2_aを含んでいる。
図3(A)に示した警報Wm_aにおいて、第2メッセージM2_aは、図2に示した行動テーブル12において、検出された対象行動に対応付けられた要因を示す情報「薬m1と薬m2を服用しています」を含んでいる。
なお、警報Wm_aは、第2メッセージM2_aの一部として、検出された対象行動に対応付けられた治療内容について、電子カルテシステムなどの上位装置から受け取った履歴情報を含んでもよい。電子カルテシステムとは、病院に入院中の患者それぞれに対応する電子カルテを管理するために構築されたシステムである。例えば、図3(A)の例は、第2メッセージM2_aは、要因として示された薬m1と薬m2との併用が開始された日時を示す情報「7月23日から」を上位装置から受け取った場合を示している。
図3(A),(B)に示した2つの警報Wm_a,Wm_bを比べれば、警報Wm_1は第2メッセージM2_aを含む一方、警報Wm_bは第2メッセージM2_aを含まない点で異なっている。
したがって、医療従事者などは、警報Wm_a,Wm_bのどちらを受け取ったかにより、注意を促された対象行動が、治療のために投与された薬などの副作用である可能性があるか否かを、対象者P1の画像自体を観察する場合に比べて容易に判断できる。
また、出力部14は、例えば、図1に示したカメラ1から最新の画像を受け取り、受け取った画像を含む警報Wm_a,Wm_bを生成してもよい。図3(A)に示した符号Gaおよび図3(B)に示した符号Gbは、カメラ1から受け取った画像の例である。図3(A)に示した画像Gaは、ベッド2上に横たわっている対象者P1に、対象行動「体動(振幅小)」が現れている様子を示している。一方、図3(B)に示した画像Gbは、対象者P1がベッド2の上で起き上がっている様子を示している。
図4は、図1に示した監視装置10の動作を示す。図4に示したフローチャートは、本件開示の監視方法の一実施形態である。
ステップS301において、図1に示した検出部11は、同じく図1に示したカメラ1によって撮影された画像を受け取る。検出部11は、カメラ1が画像を撮影するごとに、得られた画像を受け取ってもよいし、複数コマ分の画像をまとめて受け取ってもよい。
ステップS302において、検出部11は、ステップS301で受け取った画像に基づいて、図1に示した対象者P1の行動のうち、所定の特徴を有する対象行動を検出する。
ステップ303において、図1に示した判定部13は、検出された対象行動が、図1に示した行動テーブル12において対象者への治療のいずれかに対応付けられているか否かに基づき、対象者P1の行動が治療の影響で現れた可能性があるか否かを判定する。
ステップS303の肯定判定の場合に(YES)、ステップS304において、図1に示した出力部14は、図3(A)に示したような警報Wm_aを生成し、生成した警報Wm_aを医療従事者などに提示する。
一方、ステップS303の否定判定の場合に(NO)、ステップS305において、図1に示した出力部14は、図3(B)に示したような警報Wm_bを生成し、生成した警報Wm_bを医療従事者に提示する。
その後、ステップS306において、監視装置10は、例えば、上位装置から監視を終了する旨が指示されたか否かに基づいて、監視を終了するか否かを判定する。
ステップS306の否定判定の場合に(NO)、監視装置10は、上述したステップS301の処理に戻り、図1に示したカメラ1によって新たに得られた画像に基づいて、対象者P1の行動を監視する処理を続行する。
一方、ステップS306の肯定判定の場合に(YES)、監視装置10は、対象者P1の行動を監視する処理を終了する。
以上に説明したように、本件開示の監視装置10によれば、対象者P1が対象行動を行った場合に、当該行動が治療の影響である可能性の有無を示す情報を含む警報を医療従事者や介護施設の職員などに提供することができる。このような警報によれば、医療従事者は、検出された対象行動が薬の副作用などで発生しているか否かを容易に判断することができる。したがって、本件開示の監視装置10は、対象者P1の行動に異常があるか否かを、医療従事者などが判断しやすくすることができるので、見守り技術として有用である。
なお、本件開示の監視装置10による見守り対象は、人物に限らず、例えば、動物園などで飼育される動物や、治療のために動物病院に入院している犬や猫などでもよい。動物を見守り対象として場合にも、見守り対象の動物が行った行動が、治療によって現れている可能性があるか否かを示す情報を含む警報を出力することで、飼育員や獣医師などが見守り対象の動物の行動に異常があるか否かを判断しやすくすることができる。
図5は、監視装置10の別実施形態を示す。なお、図5に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図5に示した監視装置10は、図1に示した検出部11、行動テーブル12、判定部13および出力部14に加えて、選択部15と生成部16とを含んでいる。
次に、図5に示した選択部15および生成部16により、電子カルテシステム4などの上位装置から得られる情報と、治療情報データベース5および症状データベース6に蓄積された情報とに基づいて、行動テーブル12を生成する手法について説明する。
なお、治療情報データベース5は、患者に対する治療として投与される薬や施される処置のそれぞれに対応して、当該治療が効果を持つ期間を示す情報を含むデータベースである。また、症状データベース6は、患者に対する治療として投与される薬や施される処置のそれぞれおよび疾患のそれぞれに対応する症状を蓄積したデータベースである。治療情報データベース5および症状データベース6は、患者への投薬を管理する投薬管理システムや看護士による看護作業を支援する看護支援システムなどから収集した情報を用いて構築してもよい。治療情報データベース5および症状データベース6については、図6および図7を用いて後述する。
図5に示した選択部15は、電子カルテシステム4から図1に示した対象者P1に対して施された治療に関する履歴情報を受け取る。なお、図5に示した電子カルテシステム4は、上位装置の一例であり、選択部15は、投薬管理システムや看護支援システムから、対象者P1への治療に関する履歴情報を受け取ってもよい。
また、選択部15は、例えば、電子カルテシステム4から受け取った履歴情報で示された治療のそれぞれについて治療情報データベース5を参照することで、各治療の効果が発揮されている期間を示す期間情報を取得する。
図6は、図5に示した治療情報データベース5の例を示す。なお、図6に示した要素のうち、図2に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図6に示した治療情報データベース5は、例えば、投与される薬のそれぞれを示す薬名および施される処置のそれぞれを示す処置名である治療名に対応して、それぞれの薬または処置の効果期間を保持している。
例えば、治療情報データベース5は、薬m1に対応する効果期間として「投与後1時間〜3時間」を示す情報を含んでいる。同様に、治療情報データベース5は、例えば、薬m2に対応する効果期間として「投与後0.5時間〜6時間」を示す情報を含んでいる。また、治療情報データベース5は、例えば、処置t1に対応する効果期間として「全日」を示す情報を含んでいる。なお、図6の例では、薬m1,m2および処置t1以外の薬の投与および処置についての図示を省略している。
したがって、図5に示した選択部15は、電子カルテシステム4から受け取った履歴情報に薬m1と薬m2とを投与した旨の情報が含まれる場合に、薬m1、m2について治療情報データベース5を参照することで、薬m1、m2それぞれの効果期間を取得できる。
また、選択部15は、受け取った履歴情報で示される治療のそれぞれがなされた日時からの経過時間を求め、求めた経過時間と、上述したようにして取得した効果時間とに基づいて、履歴情報で示された治療の中から、効果を発揮している治療を選択する。
また、選択部15は、上述したようにして選択した治療のそれぞれを示す情報として、例えば、薬名および処置名を含む治療名の集合を生成部16に渡す。
図5に示した生成部16は、リスト生成部161と、対応管理テーブル162と、対象行動リスト163と、登録部164とを含んでいる。
リスト生成部161は、電子カルテシステム4から上述した履歴情報とともに、図1に示した対象者P1の傷病を示す傷病名を受け取る。また、リスト生成部161は、受け取った履歴情報で示された治療名の集合及び傷病名について、症状データベース6を参照することで、各治療および傷病に対応付けられた症状を示す情報を取得する。
図7は、図5に示した症状データベース6の例を示す。なお、図7に示した要素のうち、図2および図6に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図7(A)は、症状データベース6のうち、各治療を示す治療名に対応して、当該治療によって現れる可能性のある症状を示す症状名を保持する治療−症状テーブルの例である。また、図7(B)は、症状データベース6のうち、各傷病を示す傷病名に対応して、当該傷病の患者に現れる可能性のある症状を示す症状名を保持する傷病−症状テーブルの例である。
図7(A)に示した治療−症状テーブルは、例えば、薬m1の投与により、症状S1が現れる可能性があることを示している。また、図7(A)に示した治療−症状テーブルは、薬m2の投与および処置t1の実施によって現れる可能性のある症状はないことを符号「−」で示している。一方、図7(A)に示した治療−症状テーブルは、例えば、薬m1と薬m2とを併用した投与により、症状S2が現れる可能性があることを示している。なお、図7(A)に示した治療−症状テーブルにおいて、他の治療名に対応する症状名の図示は省略している。
また、図7(B)に示した傷病−症状テーブルは、例えば、傷病d1の患者に症状S3が現れる可能性があることを示している。なお、図7(B)に示した傷病−症状テーブルにおいて、他の傷病名に対応する症状名の図示は省略している。
リスト生成部161は、例えば、電子カルテシステム4から新たな傷病名あるいは治療名を含む履歴情報を受け取った場合に、上述した症状データベース6を参照し、新たな傷病名あるいは治療名に対応して保持された症状名を取得する。
また、リスト生成部161は、上述した症状データベース6から得られた症状名のそれぞれについて、対応管理テーブル162を参照することで、各症状に対応する対象行動を示す情報を取得し、得られた情報を対象行動リスト163に追加してもよい。
図8は、図5に示した対応管理テーブル162の例を示す。なお、図8に示した要素のうち、図2、図6および図7に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図8(A)は、対応管理テーブル162のうち、各症状を示す症状名に対応して、当該症状によって現れる対象行動を示す対象行動名を保持する症状−行動テーブルの例である。また、図8(B)は、対応管理テーブル162のうち、各処置を示す処置名に対応して、当該処置に関連して制限が望まれる対象行動を示す対象行動名を保持する処置−行動テーブルの例である。
ここで、対象者P1の行動を監視する際に、対象者P1の行動が、治療の影響を受けていない平常時の行動に比べて変化した場合に注目して監視することが望ましい場合がある。このような監視を実現するために、対応管理テーブル162は、各症状名あるいは各処置名に対応して、注目すべき変化を示す情報を含んでいてもよい。注目すべき変化を示す情報は、単位時間内で対象行動が観測された頻度についての変化の方向を示す情報であればよい。注目すべき変化を示す情報は、例えば、単位時間内に対象行動が観測された回数の増減の方向を示す情報でもよいし、単位時間内で対象行動が観測された時間を累計することで得られる累計時間の増減の方向を示す情報でもよい。
図8(A)に示した症状−行動テーブルは、症状名と対象行動名との対に対応する注目変化の欄に、注目すべき変化を示す情報を含んでいる。
例えば、図8(A)に示した症状−行動テーブルは、症状S1と対象行動「離床行動」との対に対応して、対象行動の回数の増大に注目することを示し、症状S1と対象行動「不在」との対に対応して、対象行動の累計時間の増大に注目することを示している。また、図8(A)に示した症状−行動テーブルは、症状S2と対象行動「体動(振幅小)」との対に対応して、対象行動の累計時間の増大に注目することを示している。また、図8(A)に示した症状−行動テーブルは、症状S3と対象行動「体動(振幅大)」との対に対応して、対象行動の累計時間の減少および増大に注目することを示している。
同様に、図8(B)に示した処置−行動テーブルは、処置名と対象行動名との対に対応する注目変化の欄に、注目すべき変化を示す情報を含んでいる。
例えば、図8(B)に示した処置−行動テーブルは、処置t1と対象行動「体動(全て)」との対に対応して、対象行動の累計時間の増大に注目することを示している。
図8(A),(B)に示したような対応管理テーブル162は、例えば、個々の症状の特徴や個々の処置の特徴から現れることが推定される行動の変化に基づいて、監視装置10の操作者である医療従事者や介護施設の職員などが予め設定しておくことができる。例えば、症状「不眠」に対応して、見守り対象の人物によってなされる離床行動や起床行動、または、寝返りなどの対象行動が増加することが推定される。医療従事者などは、上述したようにして推定した対象行動の中から監視する必要性が最も高い対象行動を含む少なくとも一つの対象行動を選択し、選択した対象行動を症状に対応して症状−行動テーブルに設定すればよい。
リスト生成部161は、上述した対応管理テーブル162に基づいて、電子カルテシステム4から得た履歴情報に含まれる治療名および傷病名に対応する症状および当該症状に対応する対象行動を列挙することで、図9に示すような対象行動リスト163を生成する。
図9は、図1に示した対象行動リスト163の例を示す。なお、図9に示した要素のうち、図2、図6、図7および図8に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図9に示した対象行動リスト163は、対象行動と、対象行動の監視の際に注目すべき変化を示す情報、図1に示した対象者P1への治療および対象者P1の疾患を示す情報と、当該治療または疾患によって現れる可能性のある症状との対応関係を示している。
また、対象行動リスト163は、各対象行動に対応して、当該対象行動を監視することが望まれる時間帯を示す監視時間帯と、当該対象行動が検出された場合に警報を出力するか否かを設定するための情報である警報の要否とを含んでいてもよい。
また、対象行動リスト163は、上述した対象者P1の傷病および対象者P1への治療との関連性のために監視が望まれる対象行動とともに、対象者P1の状態を確認するために観察することが望ましい対象行動に関連付けられた情報を含んでもよい。なお、以下では、治療などとの関連性のために監視が望まれる対象行動を監視対象行動と称し、観察することが望ましい対象行動を観察対象行動と称する。
図9(A)は、対象行動リスト163のうち、監視対象行動のそれぞれと当該監視対象行動の要因となる傷病あるいは治療との対応関係を示す部分を示している。また、図9(B)は、対象行動リスト163のうち、観察対象行動のそれぞれを示す部分を示している。
図9(A)に示した監視対象行動についての対象行動リスト163は、上述したリスト生成部161が症状データベース6および対応管理テーブル162に基づいて列挙した情報に加えて、監視時間帯および警報の要否を示す情報を含んでいる。
例えば、図9(A)に示した監視対象行動についての対象行動リスト163は、対象行動「離床行動」に対応して、監視時間帯「夜間」と警報が不要である旨を示す情報を含んでいる。また、監視対象行動についての対象行動リスト163は、対象行動「不在」に対応して、監視時間帯「夜間」と警報が必要である旨を示す情報を含んでいる。一方、監視対象行動についての対象行動リスト163は、対象行動「体動(振幅小)」に対応して、監視時間帯「全日」と警報が必要である旨を示す情報を含んでいる。同様に、監視対象行動についての対象行動リスト163は、対象行動「体動(振幅大)」に対応して、監視時間帯「夜間」と警報が必要である旨を示す情報を含んでいる。また、監視対象行動についての対象行動リスト163は、対象行動「体動(振幅全て)」に対応して、監視時間帯「全日」と警報が必要である旨を示す情報を含んでいる。
また、図9(B)に示した観察対象行動についての対象行動リスト163は、例えば、医療従事者等が指定した観察対象行動に対応して、注目すべき変化を示す情報と、監視時間帯および警報の要否を示す情報を含んでいる。
例えば、図9(B)に示した観察対象行動についての対象行動リスト163は、対象行動「寝返り」に対応して、注目変化「回数:増大」と、監視時間帯「夜間」と、警報が不要である旨を示す情報を含んでいる。同様に、観察対象行動についての対象行動リスト163は、対象行動「起床行動」に対応して、注目変化「回数:増大」と、監視時間帯「夜間」と、警報が必要である旨を示す情報を含んでいる。
図5に示した登録部164は、上述したようにして生成された対象行動リスト163から、選択部15によって選択された治療に対応付けられた対象行動を抽出する。また、登録部164は、抽出した対象行動と当該対象行動と、上述した選択部15によって選択された治療との対応関係を行動テーブル12に登録する。これにより、対象者P1の行動に影響を与えている可能性のある治療などの要因と当該要因に対応付けられた対象行動とを選択的に示す行動テーブル12を生成することができる。
例えば、薬m1と薬m2とが同時に投与された旨の履歴情報が得られた場合に、選択部15は、図6に示した治療情報データベース5により、薬m1と薬m2とのそれぞれについて示された効果期間につき、効果を発揮している治療として選択する。
例えば、選択部15は、履歴情報で示された投与時刻からの経過時間が1時間〜3時間までの期間にわたって薬m1を効果期間中の治療として選択し、経過時間が0.5時間〜6時間までの期間にわたって薬m2を効果期間中の治療として選択する。
登録部164は、例えば、選択部15から、効果期間が開始した治療を示す治療名を受け、対象行動リスト163において、受け取った治療名に対応付けられた対象行動を行動テーブル12に登録する。また、登録部164は、選択部15から、効果期間が終了した治療を示す治療名を受け、対象行動リスト163において、受け取った治療名に対応付けられた対象行動を行動テーブル12から削除する。
例えば、履歴情報で示された投与時刻からの経過時間が0.5時間となった際に、登録部164は、選択部15から薬m2の効果期間が開始した旨の情報を受け、受けた情報で示された薬m2に基づいて対象行動リスト163を参照する。図9に示したように、対象行動リスト163は、薬m2の単独使用に対応付けられた対象行動を含んでいないので、登録部164は、薬m2単独での効果期間の開始に際しては行動テーブル12への情報の登録を行わない。
その後、履歴情報で示された投与時刻からの経過時間が1時間となった際に、登録部164は、選択部15から薬m1の効果期間が開始した旨の情報を受け、受けた情報で示された薬m2に基づいて、再び、対象行動リスト163を参照する。図9に示したように、対象行動リスト163は、薬m1の単独使用に対応付けられた対象行動「離床行動」および対象行動「不在」とともに、薬m1と薬m2との併用に対応付けられた対象行動「体動(振幅小)」を含んでいる。この場合に、登録部164は、薬m1の効果期間の開始に伴って薬m1、m2の併用の効果期間も開始したと判断し、薬m1の単独使用に対応付けられた対象行動とともに、薬m1と薬m2との併用に対応付けられた対象行動を行動テーブル12に登録する。
更に、履歴情報で示された投与時刻からの経過時間が3時間となった際に、登録部164は、選択部15から薬m2の効果期間が終了した旨の情報を受け、受けた情報で示された薬m2を含む治療に対応付けられた対象行動を対象行動リスト163から取得する。この場合に、登録部164は、薬m2の効果期間の終了に伴って薬m1、m2の併用の効果期間も終了したと判断し、薬m1と薬m2との併用に対応付けられた対象行動を行動テーブル12から削除する。
その後、履歴情報で示された投与時刻からの経過時間が6時間となった際に、登録部164は、選択部15から薬m1の効果期間が終了した旨の情報を受け、受けた情報で示された薬m1を含む治療に対応付けられた対象行動を対象行動リスト163から取得する。この場合に、登録部164は、薬m1に対応付けられた対象行動を行動テーブル12から削除する。
上述のようにして、選択部15と生成部16とにより、対象者P1が影響を受けている治療と当該治療の影響で現れる可能性のある対象行動とを対応付けた行動テーブル12を生成することができる。
このような行動テーブル12に基づけば、判定部13は、対象者P1が治療の影響によって対象行動を行っているのか、治療の影響とは無関係に当該対象行動を行っているのかを高い精度で判定し、判定結果を医療従事者等への警報に反映することができる。
つまり、上述した選択部15と生成部16を有する監視装置10によれば、対象者P1の行動が治療の影響を受けているか否かについて、精度の高い情報を提供することができる。また、医療従事者等は、精度の高い情報の提供を受けることにより、対象者P1の行動に異常があるか否かについて、より適切な判断をすることが可能となる。
例えば、投与された薬の効果が消失した後に、当該薬の副作用として現れる症状に対応する対象行動を対象者P1が行った場合などに、本件開示の監視装置10は、当該対象行動は薬の影響とは無関係に現れた旨の警報を出力することができる。したがって、本件開示の監視装置10による警報を受け取った医療従事者が、上述した対象行動は薬の影響で現れていると誤って判断してしまうことはない。
このように、本件開示の監視装置10は、対象者P1の行動に異常があるか否かについて、医療従事者による誤った判断を防ぐことが可能であるので、医療従事者が対象者P1の状態を見守る際の負担を軽減することができる。
次に、対象者P1の行動が、治療の影響を受けていない平常時の行動に比べて変化しているか否かに注目して監視する方法について説明する。
図5に示した監視装置10に含まれる出力部14は、対象者P1の行動の変化に注目した監視を実現するために、計測部141と、比較部142と、出力制御部143と、設定部144とを含んでいる。また、図5に示した設定部144は、蓄積部145と算出部146と特性テーブル147と読出部148とを含んでいる。更に、出力部14は、図11を用いて後述する緊急度テーブル149を含んでいてもよい。
図5に示した計測部141は、上述した検出部11によって対象行動のそれぞれが検出される頻度を含む行動の特徴を計測する。計測部141は、例えば、所定の単位時間内に対象行動のそれぞれが検出された回数や単位時間内に対象行動のそれぞれが検出されている時間についての累計時間を、各対象行動が検出される頻度を示す特徴値として求めてもよい。計測部141においてどのような特徴値を求めるかについては、個々の対象行動の特徴に基づいて、予め設定しておくことができる。
例えば、起床行動や寝返りのように、完結した動きとして検出可能な対象行動について、計測部141は、頻度を示す特徴値として回数を求めることが望ましい。一方、痙攣や体の震えに対応する対象行動「体動(振幅小)」や対象行動「体動(振幅大)」ように、動きの区切りがはっきりしない動きに対応する対象行動について、計測部141は、頻度を示す特徴値として単位時間内の累計時間を求めることが望ましい。また、計測部141は、検出部11が対象行動「体動(振幅小)」や対象行動「体動(振幅大)」を検出する過程で得られる体動の振幅や体動の周期をそれぞれ特徴値として取得してもよい。
また、計測部141において、頻度の計測に用いる単位時間は、例えば、対象行動それぞれの特徴に合わせて設定してもよい。例えば、起床行動や寝返りのように、一回の行動にある程度時間がかかる対象行動について、計測部141は、数分から数十分に設定された単位時間を用いて計測を行ってもよい。一方、上述した痙攣や震えなどのように、個々の動きの継続時間が短い動きに対応する対象行動について、計測部141は、数十秒から数分に設定された単位時間を用いて計測を行ってもよい。更に、計測部141は、数分から数十分に設定された単位時間と、数十秒から数分に設定された単位時間との双方を用いた計測を行ってもよい。
計測部141は、上述したようにして取得した特徴値を比較部142に渡すとともに、設定部144に渡す。以下では、計測部141から、対象行動のそれぞれが検出された頻度を示す特徴値を比較部142に渡し、対象行動が検出される頻度に基づいて、警報の出力を制御する場合について説明する。
比較部142は、計測部141から渡された頻度を示す特徴値と対象行動のそれぞれについて予め設定された基準値との差で示される変化量と、当該対象行動について設定された所定の閾値とを比較し、比較結果を出力制御部143に渡す。なお、対象行動のそれぞれに対応する基準値は、例えば、所定数以上の対象者が所定の単位時間内に当該対象行動を行う頻度を観測する実験の結果などに基づいて予め設定しておくことができる。また、比較部142は、対象行動ごとに、注目する変化方向についての閾値を設定しておいてもよい。
例えば、薬の副作用などによって現れる頻度が増大する可能性のある対象行動に対応して、比較部142は、当該対象行動の頻度が基準値から増大する方向への変化量についての閾値を設定してもよい。逆に、薬の副作用などによって現れる頻度が減少する可能性のある対象行動に対応して、比較部142は、当該対象行動の頻度が基準値から減少する方向への変化量についての閾値を設定してもよい。また、比較部142は、基準値から増大する方向への変化量と減少する方向への変化量との双方についての閾値を設定してもよい。
上述した基準値および閾値で示される範囲は、対象者P1の行動が検出された対象行動の頻度の観点で異常がないと判断できる平常値の範囲を示している。即ち、上述した比較部142が、計測部141から受け取った頻度を示す特徴値の基準値からの変化量と閾値とを比較することにより、対象行動の特徴の一つである検出頻度が平常値の範囲内か否かを判定することができる。
比較部142は、対象行動が検出された頻度を示す特徴値の基準値からの変化量が、当該対象行動に対応して設定された閾値以下である場合に、対象行動が検出された頻度は平常値の範囲内である旨の判定結果を出力制御部143に渡す。一方、比較部142は、対象行動が検出された頻度を示す特徴値の基準値からの変化量が、当該対象行動に対応して設定された閾値を超える場合に、対象行動が検出された頻度が平常値の範囲を逸脱している旨の判定結果を出力制御部143に渡す。
出力制御部143は、対象行動が検出された頻度が平常値の範囲を逸脱している旨の判定結果を比較部142から受けた場合に、当該対象行動について判定部13で得られた判定結果に対応する警報を出力する制御を行う。
例えば、行動テーブル12において要因のいずれかに対応付けられている対象行動について、検出された頻度が当該対象行動に対応する平常値の範囲を逸脱しているとされた場合に、出力制御部143は図3に示した警報Wm_aを出力する制御を行う。一方、行動テーブル12において要因のいずれかにも対応付けられていない対象行動について、検出された頻度が当該対象行動に対応する平常値の範囲を逸脱しているとされた場合に、出力制御部143は図3に示した警報Wm_bを出力する制御を行う。
また一方、検出された対象行動の頻度が、当該対象行動に対応する平常値の範囲内である場合に、出力制御部143は、判定部13による判定結果にかかわらず、警報の出力を抑止する。
以上で説明したように、図5に示した出力部14を含む監視装置10によれば、対象行動が検出される頻度が平常時から変化している場合について、当該対象行動が治療の影響を受けている可能性の有無を示す情報を含んだ警報を医療従事者に提供することができる。
なお、出力制御部143は、更に、図9に示した対象行動リスト163を参照し、平常時とは異なる頻度で検出されたことが示された対象行動について、警報の出力が望まれているか否かを示す情報を取得してもよい。また、出力制御部143は、対象行動リスト163から取得した警報の要否を示す情報により、警報の出力が必要である旨が示された場合に限って、上述した警報Wm_aまたは警報Wm_bの出力を行ってもよい。
また、出力制御部143は、対象行動のそれぞれが検出される頻度が所定値よりも大きく変化した場合と、変化の大きさが所定値以下である場合とで、異なる情報を含む警報を出力する制御を行ってもよい。
図5に示した緊急度テーブル149は、対象行動のそれぞれが検出される頻度と当該対象行動に対応する基準値との差で示される変化量の大きさに基づいて、複数段階の緊急度を設定するための情報を保持している。
出力制御部143は、対象行動について警報を出力する際に、当該対象行動が検出される頻度と基準値との差で示される変化量を比較部142から受け取り、受け取った変化量と上述した緊急度テーブル149に基づいて、緊急度を判断してもよい。
図10は、図5に示した緊急度テーブル149の例を示す。図10(A)は、緊急度テーブル149のうち、上述した監視対象行動に対応する部分を示している。また、図10(B)は、緊急度テーブル149のうち、上述した観察対象行動に対応する部分を示している。
図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動のそれぞれに対応して、注目する指標値と、緊急度1、緊急度2および緊急度3のそれぞれに対応する条件と、当該監視対象行動に対応付けられた治療または傷病を示す情報を含んでいる。なお、図10(A)に示した要素のうち、図2および図9に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
なお、上述した3つの緊急度1、緊急度2および緊急度3のうち、緊急度1は最も緊急度が低い段階であり、緊急度3は最も緊急度の高い段階を示し、緊急度2は、緊急度1と緊急度3の中間に当たる段階を示している。緊急度テーブル149に設定する緊急度の段階は、図10(A)に示したような3段階に限らず、2段階でもよいし、また、4段階以上の緊急度を設定することもできる。また、図10(A)に示したいくつかの監視対象行動に対応する行において、符号「−」は、対応する段階の緊急度が設定されていないことを示している。
例えば、図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「離床行動」について、計測部141で得られた回数と、当該対象行動「離床行動」に対応する基準値との差で示される変化量に基づいて緊急度を判断することを示している。図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「離床行動」について、緊急度1と判断する場合の条件は、上述した変化量が「4回≧変化量≧2回」であり、緊急度2と判断する場合の条件は「変化量>4回」であることを示している。また、上述した緊急度テーブル149は、監視対象行動「離床行動」の回数の変化量に基づく緊急度の判断において、緊急度3に対応する条件は設定されていないことを示している。
また、図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「不在」について、計測部141で得られた累計時間と、当該対象行動「不在」に対応する基準値の差で示される変化量に基づいて緊急度を判断することを示している。また、図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「不在」について、緊急度1と判断する条件は「600秒≧変化量>300秒」であることを示している。また、上述した緊急度テーブル149は、監視対象行動「不在」について、緊急度2と判断する条件は「900秒≧変化量>600秒」であり、緊急度3と判断する条件は「変化量>900秒」であることを示している。
また、図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(振幅小)」について、計測部141で得られた累計時間と、当該対象行動「体動(振幅小)」に対応する基準値との差で示される変化量に基づいて緊急度を判断することを示している。図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(振幅小)」について、緊急度2と判断する場合の条件は「30秒≧変化量>15秒」であり、緊急度3と判断する場合の条件は「変化量>30秒」であることを示している。また、図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(振幅小)」について、緊急度1に対応する条件は設定されていないことを示している。
また、図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(振幅大)」について、計測部141で得られた累計時間と、当該対象行動「体動(振幅大)」に対応する基準値の差で示される変化量に基づいて緊急度を判断することを示している。また、上述した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(振幅大)」について、緊急度1と判断する条件は「変化量>300秒」であり、緊急度2,3に対応する条件は設定されていないことを示している。
また、図10(A)に示した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(全て)」について、計測部141で得られた累計時間と、当該対象行動「体動(全て)」に対応する基準値の差で示される変化量に基づいて緊急度を判断することを示している。上述した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(全て)」について、緊急度1と判断する条件は「300秒≧変化量>120秒」であることを示している。また、上述した緊急度テーブル149は、監視対象行動「体動(全て)」について、緊急度3と判断する条件は「変化量>300秒」であり、緊急度2と判断する条件は設定されていないことを示している。
また、図10(B)に示した緊急度テーブル149は、観察対象行動のそれぞれに対応して、注目する指標値と、上述した監視対象行動と同様の3段階の緊急度、即ち、緊急度1、緊急度2および緊急度3のそれぞれに対応する条件とを含んでいる。
なお、観察対象行動について設けた緊急度テーブル149に設定する緊急度の段階も、図10(B)に示したような3段階に限らず、2段階でもよいし、また、4段階以上の緊急度を設定することもできる。同様に、図10(B)において、符号「−」は、対応する段階の緊急度が設定されていないことを示している。
例えば、図10(B)に示した緊急度テーブル149は、観察対象行動「寝返り」について、計測部141で得られた回数と、当該対象行動「寝返り」に対応する基準値との差で示される変化量に基づいて緊急度を判断することを示している。図10(B)に示した緊急度テーブル149は、観察対象行動「寝返り」について、緊急度1と判断する条件は「変化量>2回」であり、緊急度2あるいは緊急度3と判断する条件は設定されていないことを示している。
また、図10(B)に示した緊急度テーブル149は、観察対象行動「起床行動」について、計測部141で得られた回数と、当該対象行動「起床行動」に対応する基準値との差で示される変化量に基づいて緊急度を判断することを示している。図10(B)に示した緊急度テーブル149は、観察対象行動「起床行動」について、緊急度1と判断する条件は「変化量≦3回」であり、緊急度2と判断する条件は「変化量>3回」であることを示している。また、上述した緊急度テーブル149は、観察対象行動「起床行動」について、緊急度3と判断する条件は設定されていないことを示している。
なお、図10(A),(B)に示した例に限らず、緊急度テーブル149は、変化量の絶対値に基づいて緊急度を判断する条件を含んでもよいし、変化量が負の値である場合についての条件を含んでいてもよい。
図10(A),(B)に示したような緊急度テーブル149で示された条件に基づいて、出力制御部143は、比較部142から受け取った変化量の大きさで示される緊急度に応じて異なるメッセージを生成し、図3に示した第1メッセージに追加してもよい。
図11は、警報の別例を示す。なお、図11に示した要素のうち、図3に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図11(A)は、図3(A)に示した警報Wm_aの別例である。また、図11(B)は、図3(B)に示した警報Wm_bの別例である。
図11(A)に示した警報Wm_aにおいて、第1メッセージM1_aは、上述した緊急度テーブル149に基づいて判断した緊急度を示すメッセージ「至急確認してください」を含んでいる。なお、図11(A)に示した緊急度を示すメッセージは、検出された対象行動の頻度の変化量が緊急度3に相当することを示すメッセージの一例である。また、図11(A)に示した第1メッセージM1_aは、更に、検出された対象行動が平常時とどのように変化しているかを示すメッセージ「体動(振幅小)累計時間増加」を含んでいる。
同様に、図11(B)に示した警報Wm_bにおいて、第1メッセージM1_bは、上述した緊急度テーブル149に基づいて判断した緊急度を示すメッセージ「注意してください」を含んでいる。なお、図11(A)に示した緊急度を示すメッセージは、検出された対象行動の頻度の変化量が緊急度1に相当することを示すメッセージの一例である。また、図11(B)に示した第1メッセージM1_bは、更に、検出された対象行動が平常時とどのように変化しているかを示すメッセージ「起床回数増加」を含んでいる。
このように、出力制御部143が、図11(A),(B)に例示した緊急度に応じたメッセージを第1メッセージM1_a,M1_bに付加することで、対象者P1が行った対象行動の頻度の平常時からの変化の大きさを示す情報を、医療従事者等に提供できる。
更に、出力制御部143は、以上に説明したようにして出力した警報の履歴を所定の期間にわたって蓄積しておき、蓄積した警報の履歴に基づいて、新たに対象行動が検出された際の警報に、当該対象行動についての過去の警報履歴を付加してもよい。
例えば、図11(A)に示した符号M3_aは、対象行動「体動(振幅小)」についての過去の警報履歴を示す第3メッセージの例を示している。図11(A)に示した第3メッセージM3_aは、対象行動「体動(振幅小)」についての過去の警報履歴として、メッセージ「23時から2回発生しています」を含んでいる。
また、図11(B)に示した符号M3_bは、対象行動「起床行動」についての過去の警報履歴を示す第3メッセージの例を示している。図11(B)に示した第3メッセージM3_bは、対象行動「起床行動」についての過去の警報履歴として、メッセージ「過去X日にわたって発生しています」を含んでいる。
このように、出力制御部143が、図11(A),(B)に例示した過去の警報履歴を示す第3メッセージをM3_a,M3_bを警報に付加することで、対象者P1の現在の行動とともに過去の行動の履歴を示す情報を、医療従事者等に提供できる。
なお、出力制御部143は、例えば、当直時間帯ごとなどの所定の期間ごとに、蓄積した警報履歴を集計し、集計で得られた情報を上述した警報とは別に医療従事者に提示することもできる。警報履歴を集計して得られる集計結果は、当直の交代などの際に行われる申し送りなどに利用することも可能であり、上述した集計結果を利用することにより、申し送り作業をスムースにすることができる。なお、警報履歴の蓄積および蓄積した警報履歴の集計については、図15および図16を用いて後述する。
ところで、図1に示した対象者P1も含めて、見守りの対象となる対象者は、それぞれ行動に癖を持っている場合がある。このため、図5に示した比較部142における判定に用いる平常値の範囲は、対象者P1の実際の行動に基づいて設定することが望ましい。
次に、図5に示した監視装置10に設けられた設定部145により、対象者P1の行動の特性に合わせて平常値の範囲を設定する方法について説明する。
図5に示した蓄積部145は、計測部141によって対象行動のそれぞれについて得られた計測結果のうち、判定部13により、行動テーブル12に示された要因のいずれにも対応付けられていないとされた対象行動について得られた計測結果を受け取る。また、蓄積部145は、受け取った計測結果を蓄積することにより、治療の影響を受けていない状態での対象者P1の行動の特性を示す情報を集積する。
図12は、図5に示した蓄積部145の例を示す。図12に示した蓄積部145は、図9に示した監視対象行動および観察対象行動を含む対象行動のそれぞれに対応して、各時間帯に計測部141から受け取った検出頻度を示す特徴値の集計結果を複数日にわたって蓄積している。
図12の例では、蓄積部145に、計測結果を1時間ごとに集計した結果を蓄積する場合を示している。なお、図12の例では、日付の例として示した7月23日の時間帯「0時〜1時」、「1時〜2時」および「2時〜3時」についての集計結果を示し、7月23日の他の時間帯および他の日付に対応する時間帯についての集計結果の図示を省略している。
例えば、図12に示した蓄積部145は、対象行動「寝返り」に対応して、上述した各集計時間帯において、対象者P1が当該対象行動「寝返り」を行った回数を集計した結果を示している。つまり、蓄積部145の対象行動「寝返り」に対応する行において、集計時間帯「0時〜1時」、「1時〜2時」および「2時〜3時」に対応する欄に示された数値「14」、「12」および「9」は、対応する集計時間帯に対象行動「寝返り」が検出された回数を示している。
同様に、図12に示した蓄積部145の対象行動「起床行動」に対応する行において、上述した各集計時間帯に対応する欄に示された数値「0」、「0」および「4」は、対応する集計時間帯に対象行動「起床行動」が検出された回数を示している。
また、図12に示した蓄積部145の対象行動「離床行動」に対応する行において、上述した各集計時間帯に対応する欄に示された数値「0」、「0」および「3」は、対応する集計時間帯に対象行動「離床行動」が検出された回数を示している。
また、図12に示した蓄積部145の対象行動「不在」に対応する行において、上述した各集計時間帯に対応する欄に示された数値「0」、「0」および「600」は、対応する集計時間帯に対象行動「不在」が検出された時間についての累計時間を示している。
同様に、図12に示した蓄積部145の対象行動「体動(全て)」に対応する行において、上述した各集計時間帯に対応する欄に示された数値「12」、「11」および「40」は、対応する集計時間帯に対象行動「体動(全て)」が検出された時間の累計時間を示している。
また、図12に示した蓄積部145の対象行動「体動(振幅大)」に対応する行において、上述した各集計時間帯に対応する欄に示された数値「12」、「3」および「40」は、対応する集計時間帯に対象行動「体動(振幅大)」が検出された時間の累計時間を示している。
そして、図12に示した蓄積部145の対象行動「体動(振幅小)」に対応する行において、上述した各集計時間帯に対応する欄に示された数値「0」、「8」および「0」は、対応する集計時間帯に対象行動「体動(振幅小)」が検出された時間の累計時間を示している。
なお、蓄積部145が指標値の集計に用いる集計時間帯の長さは、図12に示した例に限らず、例えば、1時間よりも短くてもよいし、逆に長くてもよい。また、蓄積部145は、異なる長さを持つ集計時間帯を用いて、各対象行動についての計測で得られた指標値を集計してもよい。
例えば、数分程度の短い集計時間帯を適用して集計を行えば、比較的短い時間に集中して現れる行動の変化を反映した集計結果を蓄積部145に蓄積することができる。一方、1時間程度の長い集計時間帯を適用して集計を行えば、比較的長い時間をかけて現れる行動の変化を反映した集計結果を蓄積部145に蓄積することができる。また、短い集計時間帯と長い集計時間帯との双方を用いて集計を行うことにより、両方の変化を反映した集計結果を取得してもよい。
また、蓄積部145は、図5に示した判定部13により、検出された対象行動が治療の影響を受けているとされる期間を含む時間帯について、当該集計時間帯に対応する集計結果として、情報がない旨を示す値「NULL」を設定してもよい。
上述したようにして蓄積部145に蓄積された情報に基づいて、図5に示した算出部146は、対象者P1が、治療の影響を受けない状態で、対象行動のそれぞれを行う頻度についての平常値の範囲を求める。
算出部146は、対象行動のそれぞれに対応して蓄積された頻度を示す特徴値について、時間帯による変化の大きさを調べ、得られた結果に基づいて、例えば昼間の時間帯と夜間の時間帯とにそれぞれ対応する平常値の範囲を求めてもよい。
例えば、一日を通じてほぼ一定の値の特徴値が蓄積部145に蓄積されている対象行動につき、算出部146は、蓄積部145に複数の日付に対応して蓄積された全ての特徴値の平均値およびばらつきなどに基づいて、全日に対応する平常値の範囲を求めてもよい。算出部146は、複数の日付に対応して蓄積された全ての特徴値の平均値を当該対象行動が検出される頻度についての基準値とし、特徴値のばらつきと同程度の閾値を設定することで、全日に対応する平常値の範囲を求めてもよい。
また、昼間と夜間とで異なる特徴値が蓄積されている対象行動について、算出部146は、昼間に適用する平常値の範囲と、夜間に適用する平常値の範囲とをそれぞれ求めてもよい。例えば、算出部146は、昼間に属する時間帯に対応して蓄積された特徴値について求めた平均値を昼間に当該対象行動が検出される頻度の基準値とし、特徴値のばらつきに基づいて閾値を設定することにより、昼間に対応する平常値の範囲を求めることができる。同様に、算出部146は、夜間に属する時間帯に対応して蓄積された特徴値について求めた平均値を夜間に当該対象行動が検出される頻度の基準値とし、特徴値のばらつきに基づいて閾値を設定することにより、夜間に対応する平常値の範囲を求めることができる。なお、算出部146は、対象者P1が昼間に活動が活発になることを考慮して、昼間に対応する平常値の範囲の幅を示す閾値を、夜間に対応する平常値の範囲の幅を示す閾値に比べて大きい値に設定してもよい。
更に、時間帯ごとに毎日同じように特徴値が変化する対象行動について、算出部146は、時間帯ごとに適用する平常値の範囲を求めてもよい。例えば、算出部146は、各時間帯に対応して蓄積された特徴値について求めた平均値を、当該時間帯に対象行動が検出される頻度の基準値とし、特徴値のばらつきの大きさに相当する閾値を設定することで、時間帯ごとの平常値の範囲を求めることができる。
また、算出部146は、上述したようにして対象行動のそれぞれが検出される頻度について求めた平常値の範囲を、対象者P1の特性の一つとして、特性テーブル147に保持させてもよい。
図13は、図5に示した特性テーブル147の例を示す。なお、図13に示した要素のうち、図12に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図13に示した特性テーブル147は、対象行動のそれぞれに対応して、当該対象行動が検出される頻度について、全日と昼間と夜間のそれぞれに適用する平常値の範囲を示す基準値および閾値を保持している。
例えば、図13の特性テーブル147は、対象行動「寝返り」が単位時間当たりに検出される回数についての全日に対応する平常値の範囲は基準値「Nta」および閾値「Thta」で示されることを示している。また、上述した特性テーブル147は、対象行動「寝返り」の検出回数についての平常値の範囲は、昼間は基準値「Ntd」および閾値「Thtd」で示され、夜間は基準値「Ntn」および閾値「Thtn」で示されることを示している。
また、図13の特性テーブル147は、対象行動「不在」が単位時間当たりに検出されている時間の累計時間についての平常値の全日に対応する平常値の範囲は基準値「Vda」および閾値「Thda」で示されることを示している。また、上述した特性テーブル147は、対象行動「不在」の累計時間についての平常値の範囲は、昼間に基準値「Vdd」および閾値「Thrd」で示され、夜間に対応する平常値の範囲は基準値「Vdn」および閾値「Thdn」で示されることを示している。
なお、図13の例では、対象行動「寝返り」および対象行動「不在」以外の他の対象行動について得られた平常値の範囲の図示を省略している。
また、上述した算出部146により、対象行動のいずれかについて、時間帯ごとの基準値および閾値が求められている場合に、特性テーブル147は、算出部146から受け取った基準値および閾値を時間帯ごとに保持してもよい。
図5に示した読出部148は、例えば、対象行動のそれぞれに対応して特性テーブル147に保持された基準値および閾値のうち、現在の時刻に対応する時間帯に対応する基準値および閾値を読み出し、読み出した基準値および閾値を比較部142に設定する。
例えば、読出部148は、昼間の時間帯が開始する時刻に、特性テーブル147に対象行動のそれぞれに対応する昼間の平常値の範囲を示す情報として保持された基準値および閾値を読み出し、比較部142に設定する。同様に、夜間の時間帯が開始する時刻に、特性テーブル147に対象行動のそれぞれに対応する昼間の平常値の範囲を示す情報として保持された基準値および閾値を読み出し、比較部142に設定する。
なお、読出部148は、予め対象行動のそれぞれについて、上述した昼間と夜間とで異なる平常値の範囲を適用するか、一日を通して全日に対応する平常値の範囲を適用するかを設定する情報を受けてもよい。また、読出部148は、更に細分化した時間帯ごとの平常値の範囲を適用する旨の情報に従って、各時間帯が開始する時刻ごとに、対応する時間帯について特性テーブル147に保持された平常値の範囲を示す情報を読み出し、比較部142への設定に用いてもよい。
以上に説明したように、図5に示した蓄積部145、算出部146、特性テーブル147および読出部148を有する設定部144によれば、対象者P1の行動の特性に合わせた平常値の範囲を示す基準値と閾値とを比較部142に設定することができる。
これにより、比較部142は、対象者P1の行動の特性が反映された平常値の範囲を用いて、対象行動のそれぞれが検出される頻度に異常があるか否かを判定することができる。
例えば、対象者P1が、頭を掻くなどの癖を持っている場合などに、上述した設定部144によれば、対象者P1の癖による動きを考慮して、対象行動「体動(振幅小)」などの頻度についての平常値の範囲を設定することができる。
したがって、対象者P1の癖による動きが平常と変わりがなければ、頭を各動作などのために、対象行動「体動(振幅小)」などを検出した頻度が、比較部142により、平常値の範囲を逸脱すると判定されることはない。
これにより、対象者P1の行動の特性に合わせて、警報の出力を制御することができるので、例えば、対象者P1の行動の癖などのために、誤った警報が出力されるケースを減少させることができる。すなわち、監視装置10から出力される警報の精度を高めることができる。
以上に説明した本件開示の監視装置10は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いて実現することができる。
図14は、図5に示した監視装置10のハードウェア構成例を示す。なお、図14に示した構成要素のうち、図1および図5に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
コンピュータ装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、LAN(local Area Network)インタフェース24と、カメラインタフェース25と、警報インタフェース26と、光学ドライブ装置27とを含んでいる。図14に示したプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、LANインタフェース24と、カメラインタフェース25と、警報インタフェース26と、光学ドライブ装置27とは、バスを介して互いに接続されている。また、プロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、LANインタフェース24と、カメラインタフェース25と、警報インタフェース26とは、監視装置10に含まれている。
上述した光学ドライブ装置27は、光ディスクなどのリムーバブルディスク28を装着可能であり、装着したリムーバブルディスク28に記録された情報の読出および記録を行う。
コンピュータ装置20は、LANインタフェース24を介してローカルエリアネットワークNWに接続されており、当該ローカルエリアネットワークNWを介して、電子カルテシステム4、治療情報データベース5および症状データベース6に接続されている。
また、コンピュータ装置20は、カメラインタフェース25を介してカメラ1に接続されており、プロセッサ21は、カメラインタフェース25を介して、カメラ1で撮影された画像IMGを受け取ることができる。
また、コンピュータ装置20は、警報インタフェース26を介してナースコールシステム3に接続されており、プロセッサ21は、警報インタフェース26を介して、生成した警報を含むメッセージをナースコールシステム3に送出することができる。また、ナースコールシステム3は、例えば、ナースステーションなどに設置された端末装置7に接続されており、医療従事者などは、端末装置7を介して、ナースコールシステム3に通知された警報の提示を受けることができる。また、医療従事者などは、端末装置7を操作することにより、ナースコールシステム3および警報インタフェース26を介して、監視装置10に対して、例えば、監視動作の開始や終了などを指示することができる。
図14に示したメモリ22は、コンピュータ装置20のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が上述した監視処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、上述した監視処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスクなどのリムーバブルディスク28に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク28を光学ドライブ装置27に装着して読み込み処理を行うことにより、監視処理を実行するためのアプリケーションプログラムを、メモリ22およびハードディスク装置23に格納させてもよい。また、インターネットなどのネットワークに接続する通信装置(図示せず)を介して、監視処理を実行するためのアプリケーションプログラムをダウンロードすることで、メモリ22およびハードディスク装置23に読み込ませることもできる。
また、プロセッサ21は、メモリ22に格納された監視処理のためのアプリケーションプログラムを実行することにより、図1に示した検出部11、判定部13および出力部14の機能を果たしてもよい。また、プロセッサ21は、監視処理のためのアプリケーションプログラムを実行することで、図5に示した選択部15および生成部16の機能を果たし、例えば、ハードディスク装置23内に設けた記憶領域に行動テーブル12を生成してもよい。同様に、プロセッサ21は、図5に示した特性テーブル147および緊急度テーブル149を、例えばハードディスク装置23内に設けた記憶領域に格納させてもよい。また、プロセッサ21は、図5に示した対応管理テーブル162および対象行動リスト163を、例えばハードディスク装置23内に設けた記憶領域に格納させてもよい。
つまり、本件開示の監視装置10は、図14に示したプロセッサ21と、メモリ22と、ハードディスク装置23と、LANインタフェース24と、カメラインタフェース25と、警報インタフェース26との協働によって実現することができる。
監視処理のためのアプリケーションプログラムは、カメラ1から受け取った画像IMGに基づいて、図1に示した対象者P1の行動を監視する処理をプロセッサ21に実行させるプログラムを含んでいる。また、監視処理のためのアプリケーションプログラムは、上述した対象者P1の行動を監視する処理に用いる行動テーブル12を管理する処理をプロセッサ21に実行させるプログラムを含んでいる。更に、監視処理のためのアプリケーションプログラムは、上述した対象者P1の行動を監視する処理に用いる平常値の範囲を設定する処理をプロセッサ21に実行させるプログラムを含んでいる。
プロセッサ21は、対象者P1の行動を監視する処理のためのプログラムと、行動テーブル12を管理する処理のためのプログラムと、平常値の範囲を設定する処理のためのプログラムとを並行して実行してもよい。また、プロセッサ21は、対象者P1の行動を監視する処理を実行する過程で、定期的に、あるいは、所定の事象を契機として、行動テーブル12を管理する処理および平常値の範囲を設定する処理を実行してもよい。
図15は、対象者P1の行動を監視する動作を示す。図15に示したステップS301〜ステップS316の各処理は、監視処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる対象者P1の行動を監視する処理の一例である。また、これらのステップS301〜ステップS316の各処理は、図14に示したプロセッサ21によって実行される。
なお、図15に示したS301〜ステップS316の各処理のうち、図4に示したS301〜ステップS306の各処理と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明を省略する。
ステップS307において、プロセッサ21は、所定の単位時間内にステップS302の処理で検出された対象行動のそれぞれについて、当該単位時間における頻度を計測し、計測結果を示す指標値を求める。例えば、プロセッサ21は、ステップS302の処理で対象行動のいずれかを検出するごとに当該対象行動に対応する計数値を加算する処理を、上述した単位時間内において繰り返すことで、ステップS307の処理を実現してもよい。また、プロセッサ21が、上述したステップS307の処理を実行することで、各対象行動の頻度を求めることは、図5に示した計測部141の実施形態の一つである。
ステップS308において、プロセッサ21は、ステップS307の処理で対象行動のそれぞれに対応して得られた頻度が、ハードディスク装置23などに設けられた特性テーブル147に当該対象行動に対応して設定された平常値の範囲内であるか否かを判定する。
例えば、プロセッサ21は、まず、上述した特性テーブル147を参照し、ステップS307の処理で対象行動のそれぞれに対応して保持された基準値および閾値を取得する。このとき、プロセッサ21は、ステップS307の処理を実行した時刻が属する時間帯に対応して特性テーブル147に保持された基準値および閾値を取得することが望ましい。また、プロセッサ21は、ステップS307の処理で得られた頻度を示す特徴値と、特性テーブル147から取得した基準値との差で示される変化量を算出する。また、プロセッサ21は、算出した変化量と特性テーブル147から取得した閾値とを比較することで、当該対象行動に対応して設定された平常値の範囲内であるか否かを判定する。このように、プロセッサ21が、上述したステップS308の処理を実行することにより、図5に示した比較部142の機能を実現してもよい。
ステップS308の肯定判定(YES)となった対象行動について、プロセッサ21は、ステップS303およびステップS309〜ステップS316に示す警報出力のための処理をスキップし、ステップS306に進む。
一方、ステップS308の否定判定(NO)となった対象行動について、プロセッサ21は、当該対象行動が検出された頻度は平常時と異なっていると判断し、ステップS303およびステップS309〜ステップS316の警報出力のための処理を実行する。
ステップS303において、プロセッサ21は、ステップS308の処理で平常時とは異なる頻度で検出されたと判断された対象行動のそれぞれが、行動テーブル12により、対象者P1への治療のいずれかに対応付けられた監視対象行動である否かを判定する。なお、プロセッサ21がステップS303の処理を実行することは、図1に示した判定部13の実施形態の一つである。
ステップS303の肯定判定(YES)となった対象行動、即ち、平常時とは異なる頻度で検出された監視対象行動のそれぞれについて、プロセッサ21は、ステップS309〜ステップS313の処理を実行する。
ステップS309において、プロセッサ21は、ハードディスク装置23などに設けた対象行動リスト163を参照し、平常時とは異なる頻度で検出された監視対象行動のそれぞれが警報の対象であるか否かを判定する。プロセッサ21は、平常時とは異なる頻度で検出された監視対象行動のそれぞれについて、上述した対象行動リスト163に設定された監視時間帯を示す情報を考慮して、ステップS309の判定処理を行ってもよい。
例えば、対象行動「体動(振幅大)」が平常時とは異なる頻度で検出された時間帯が、対象行動リスト163において示された監視時間帯「夜間」と一致する場合に、プロセッサ21は、対象行動「体動(振幅大)」を警報の対象となる対象行動であると判断する。一方、対象行動「体動(振幅大)」が平常時とは異なる頻度で検出された時間帯と、対象行動リスト163において示された監視時間帯「夜間」とが一致しない場合に、プロセッサ21は、対象行動「体動(振幅大)」を警報の対象となる対象行動でないと判断する。
プロセッサ21は、平常時とは異なる頻度で検出された監視対象行動のうち、ステップS309の処理で警報の対象であるとされた監視対象行動について、ステップS310〜ステップS313の処理を実行する。一方、平常時とは異なる頻度で検出された監視対象行動のうち、ステップS309の処理で警報の対象でないとされた監視対象行動について、プロセッサ21は、ステップS310〜ステップS313の処理を行わずに、ステップ306の処理に進む。
ステップS310において、プロセッサ21は、ステップS309の処理で警報の対象であるとされた監視対象行動のそれぞれについて、ステップS308の処理で算出した変化量に対応する緊急度を求め、求めた緊急度に対応する第1メッセージを生成する。プロセッサ21は、ハードディスク装置23などに設けられた緊急度テーブル149に基づいて、図5および図10を用いて説明したように、上述した監視対象行動のそれぞれの緊急度を求める。また、プロセッサ21は、図5および図11(A)を用いて説明したように、求めた緊急度とともに、対象者P1と当該監視対象行動を示す第1メッセージM1_aを生成する。
ステップS311において、プロセッサ21は、ステップS309の処理で警報の対象であるとされた監視対象行動のそれぞれについて、行動テーブル12において当該監視対象行動に対応付けられている要因を示す情報を含む第2メッセージを生成する。つまり、プロセッサ21は、ステップS311の処理で、平常時とは異なる頻度で検出され、かつ、警報対象とされた監視対象行動について、図3(A)および図11(A)に示す形式を持つ第2メッセージM2_aを生成する。
ステップS312において、プロセッサ21は、過去に出力された警報の履歴に基づいて、ステップS309の処理で警報の対象であるとされた対象行動について、それまでに出力された警報の履歴を示す第3メッセージを生成してもよい。ステップS312の処理の過程で、プロセッサ21は、ハードディスク装置23などに蓄積された警報の履歴から、ステップS310の処理で警報の対象と判定された対象行動のそれぞれについて出力された警報の履歴を示す情報を抽出する。また、プロセッサ21は、ステップS312の処理の過程で、上述した警報の履歴から抽出した情報に基づいて、図11(A)に示す形式を持つ第3メッセージM3_aを生成する。なお、警報の履歴を蓄積する処理については、後述するステップS313において説明する。
以上に述べたステップS309〜ステップS312の処理をプロセッサ21が実行することにより、平常時とは異なる頻度で検出され、かつ、警報対象とされた監視対象行動について、図11(A)に示す警報Mw_aを生成することができる。
一方、ステップS303の否定判定(NO)とされた対象行動のそれぞれについて、プロセッサ21は、ステップS314〜ステップS316およびステップS313の処理を実行する。ここで、ステップS303の否定判定とされた対象行動とは、平常時とは異なる頻度で検出された対象行動のうち、行動テーブル12によって治療や傷病などの要因との対応が示されていない対象行動である。
ステップS314において、プロセッサ21は、上述したステップS309と同様にして、平常時とは異なる頻度で検出された対象行動のうち、行動テーブル12で治療のいずれにも対応付けられていない対象行動のそれぞれが警報の対象であるか否かを判定する。
ステップS314の否定判定(NO)とされた対象行動のそれぞれについて、プロセッサ21は、ステップS315およびステップS316の処理を実行せずに、ステップS306の処理に進む。
一方、ステップS314の肯定判定(YES)とされた対象行動のそれぞれについて、プロセッサ21は、ステップS315およびステップS316の処理を実行する。つまり、プロセッサ21は、平常時とは異なる頻度で検出された対象行動のうち、行動テーブル12で治療のいずれにも対応付けられていない対象行動であって、警報の対象である対象行動について、ステップS315およびステップS316の処理を実行する。
ステップS315において、プロセッサ21は、ステップS314の処理で警報の対象であるとされた対象行動のそれぞれについて、ステップS308の処理で算出した変化量から求めた緊急度に対応する第1メッセージを生成する。プロセッサ21は、上述したステップS310の処理と同様の手順で、ステップS314の処理で警報の対象であるとされた対象行動のそれぞれについて、図11(B)に示した第1メッセージM1_bを生成してもよい。
ステップ316において、プロセッサ21は、ステップS314の処理で警報の対象であるとされた対象行動のそれぞれについて、それまでに出力された警報の履歴を示す第3メッセージを生成してもよい。プロセッサ21は、上述したステップS312の処理と同様の手順で、ステップS316の処理で警報の対象であるとされた対象行動のそれぞれについて、図11(B)に示した第1メッセージM3_bを生成してもよい。
以上のステップS314〜ステップS316の処理をプロセッサ21が実行することで、平常時とは異なる頻度で検出された警報対象の対象行動のうち、行動テーブル12で要因が示されていない対象行動につき、図11(B)の警報Mw_bを生成できる。
ステップS313において、プロセッサ21は、上述したステップS310〜ステップS312の処理で得られた警報Mw_aおよびステップ315〜ステップS316の処理で得られた警報Mw_bを出力するとともに、出力した警報を警報の履歴に追加する。ステップ313の処理で、プロセッサ21は、上述したようにして生成された警報Mw_a,Mw_bを、例えば、図14に示した警報インタフェース26を介してナースコールシステム3に送出することで、医療従事者などに提示する。
以上に説明したように、プロセッサ21が、図15に示したフローチャートに従う処理を実行することで、検出された対象行動が治療の影響を受けた行動であるか否かにより、異なる形式の警報を出力することができる。
上述した警報を医療従事者などに提示することにより、医療従事者などは、検出された対象行動が治療の影響を受けた行動であるか否かを容易に判断することができる。したがって、図14に示した監視装置10によれば、医療従事者などが、対象者P1の行動に異常があるか否かの判断をしやすくすることができる。
また、プロセッサ21は、ステップS313の処理の過程で生成した警報Mw_a,Mw_bに含まれる情報を、例えば、ハードディスク装置23に蓄積する。これにより、以降に、上述したステップS312およびステップS316の処理を行う際に警報の履歴として利用できるようにすることができる。
図16は、警報の履歴の例を示す。なお、図16に示した要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図16(A)は、図15に示した監視動作で出力された個々の警報を蓄積することで得られる警報の履歴の例を示している。また、図16(B)は、図16(A)に示した警報の履歴を集約することで得られる集約された警報の履歴の例である。
図14に示したプロセッサ21は、図15に示したステップS313の処理で警報を出力するごとに、警報を出力した日時を示す情報と、警報の内容を示す情報とをハードディスク装置23などに蓄積することで、図16(A)に示した警報の履歴を生成してもよい。
図16(A)の例において、警報の内容を示す情報は、検出された対象行動を示す対象行動名と、当該対象行動が監視対象行動や監察対象行動かを示す種別と、対象行動を検出する際に注目した変化を示す注目変化と、緊急度と、要因とを含んでいる。
例えば、図16(A)に示した警報の履歴は、日時「7月23日23時00分」に、観察対象行動「起床行動」の回数が増大する変化について緊急度1の警報が出力されたことを示している。
また、図16(A)に示した警報の履歴は、要因「薬m1+薬m2」に対応付けられた監視対象行動「体動(振幅小)」の累計時間が増大する変化について2件の警報が出力されたことを示している。なお、図16(A)に示した警報の履歴は、上述した2件の警報は、それぞれ日時「7月23日23時07分」および日時「7月23日23時12分」に出力されたことを示している。更に、図16(A)に示した警報の履歴は、上述した2件の警報の緊急度は、順に、緊急度2および緊急度3であることを示している。
なお、図16(A)に示した警報の履歴において、日時「7月23日23時00分」以前に出力された警報についての履歴を示す情報および日時「7月23日23時12分」以降に出力された警報についての履歴を示す情報の図示は省略している。
プロセッサ21は、図15に示したステップS312あるいはステップS316の処理を実行する際に、図16(A)に示した警報の履歴を参照することで、警報の対象とされた対象行動について過去に出力された警報の回数などを示す情報を取得することができる。
また、プロセッサ21は、上述したようにして得られた警報の履歴について、例えば、治療内容が維持されている期間ごとに集計することで、図16(B)に示す集約された警報の履歴を取得してもよい。
図16(B)に示した集約された警報の履歴は、期間「7月1日〜7月9日」には警報が発生していないこと、また、この期間において治療内容「病名d1,薬m1」は維持されていることを示している。同様に、図16(B)に示した集約された警報の履歴は、期間「7月10日〜7月22日」には警報が発生していないこと、また、この期間において治療内容「病名d1,薬m1,処置t1」は維持されていることを示している。
図16(B)に示した集約された警報の履歴は、治療内容「病名d1,薬m1,薬m2,処置t1」の適用が開始された日付「7月23日」に、要因「薬m1+薬m2」に対応付けられた監視対象行動「体動(振幅小)」について、2回の警報が出力されたことを示している。また、図16(B)に示した集約された警報の履歴は、監視対象行動「体動(振幅小)」についての2回の警報に設定された緊急度の中で、最大の緊急度は緊急度3であったことを示している。更に、図16(B)に示した集約された警報の履歴は、同じ期間「7月23日」に、観察対象行動「起床行動」について、緊急度1の警報が1回出力されたことを示している。
また、プロセッサ21は、図15を用いて説明した監視動作とは別に、監視動作の過程で得られた警報の履歴および集約された警報の履歴を、例えば、申し送り用の資料の一部として、医療従事者などに提示する処理を行ってもよい。例えば、図14に示した端末装置7からの要求に応じて、プロセッサ21は、ハードディスク装置23から警報の履歴や集約された警報の履歴を示す情報を読み出し、読み出した情報を端末装置7に送出してもよい。
次に、上述した監視動作で用いる行動テーブル12を管理する動作について、図17を用いて説明する。
図17および図18は、行動テーブル12を管理する動作を示す。図17に示したフローチャートと図18に示したフローチャートとは、同じ符号で示した結合子によって互いに接続されている。図17および図18に示したステップS321〜ステップS332の各処理は、監視処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる、行動テーブル12を管理する処理の一例である。また、これらのステップS321〜ステップS332の各処理は、図14に示したプロセッサ21によって、例えば、所定時間ごとに実行される。
ステップS321において、プロセッサ21は、図14に示した電子カルテシステム4などから、対象者P1への治療履歴を示す情報を取得する。例えば、プロセッサ21は、図14に示したLANインタフェース24を介して電子カルテシステム4に対して対象者P1を指定した問い合わせを行い、当該対象者P1に対応して電子カルテシステム4に蓄積された治療履歴を示す情報を取得すればよい。
ステップS322において、プロセッサ21は、ステップS321の処理で取得した情報で示された対象者P1に対する治療の中に、新たに追加された治療があるか否かを判定する。
新たに追加された治療がある場合に(ステップS322の肯定判定:YES)、プロセッサ21は、ステップS323およびステップS324の処理を実行する。
ステップS323において、プロセッサ21は、図5、図7および図8を用いて説明したようにして、追加された治療の影響を受ける可能性のある対象行動を示す情報を取得する。プロセッサ21は、例えば、追加された治療を示す治療名に基づき、図14に示した症状データベース5およびハードディスク装置23に設けられた対応管理テーブル162から、追加された治療が要因となって現れる可能性のある対象行動を示す情報を取得する。
ステップS324において、プロセッサ21は、図5および図9を用いて説明したようにして、ステップS323の処理で取得した対象行動に関する情報を、ハードディスク装置23などに設けた対象行動リスト163に追加された治療に対応付けて登録する。ステップS324の処理の終了後に、プロセッサ21は、ステップS325の処理に進む。
一方、ステップS322の否定判定(NO)の場合に、プロセッサ21は、ステップS323およびステップS324の処理を実行せずに、ステップS325の処理に進む。
ステップS325において、プロセッサ21は、ステップS321の処理で取得した情報により、対象者P1への適用が解除されたことが示された治療があるか否かを判定する。
解除された治療がある場合に(ステップS325の肯定判定:YES)、プロセッサ21は、ステップS326の処理を実行する。
ステップS326において、プロセッサ21は、図5および図9を用いて説明したようにして、解除された治療に対応付けて対象行動リスト163に登録された対象行動に関する情報を、対象行動リスト163から削除する。ステップS326の処理の終了後に、プロセッサ21は、図18に示したステップS327の処理に進む。
一方、上述したステップS325の否定判定(NO)の場合に、プロセッサ21は、ステップS326の処理を行わずに、ステップS327の処理に進む。
ステップS327において、プロセッサ21は、対象行動リスト163に含まれる対象行動のそれぞれについて、当該対象行動に要因として対応付けられた治療の効果期間と当該治療を実施した時刻である実施時刻を取得する。例えば、プロセッサ21は、対象行動リスト163に含まれる対象行動のそれぞれに要因として対応付けられた治療について、図14に示した治療データベース6を参照することで、当該治療の効果期間を取得する。また、プロセッサ21は、対象行動リスト163に含まれる対象行動のそれぞれに要因として対応付けられた治療について、図14に示した電子カルテシステム4に対して、実施時刻の問い合わせを行うことで、当該治療の実施時刻を取得する。
ステップS328において、プロセッサ21は、ステップS327の処理で上述した治療のそれぞれについて得られた実施時刻からの経過時間を算出し、得られた経過時間と当該治療に対応する効果期間とを照合する。
ステップS329において、プロセッサ21は、ステップS328の処理で得られた照合結果に基づいて、効果期間が開始した治療があるか否かを判定する。プロセッサ21は、例えば、対象行動のそれぞれに要因として対応付けられた治療について得られた経過時間が、当該治療に対応して取得した効果期間が開始する時間と一致する旨の照合結果を得た場合に、当該治療の効果期間が開始したと判定する。
効果期間が開始した治療がある場合に(ステップS329の肯定判定:YES)、プロセッサ21は、ステップS330の処理に進む。
ステップS330において、プロセッサ21は、図5に示した登録部164と同様にして、ステップS329の処理で効果期間が開始したとされた治療のそれぞれに対応付けられた対象行動を、行動テーブル12に追加する。また、ステップS330の処理の終了後に、プロセッサ21は、ステップS331の処理に進む。
一方、効果期間が開始した治療がない場合に(ステップS329の否定判定:NO)、プロセッサ21は、ステップS330の処理を実行せずに、ステップS331の処理に進む。
ステップS331において、プロセッサ21は、ステップS328の処理で得られた照合結果に基づいて、効果期間が開始した治療があるか否かを判定する。プロセッサ21は、例えば、対象行動のそれぞれに要因として対応付けられた治療について得られた経過時間が、当該治療に対応して取得した効果期間が終了する時間と一致する旨の照合結果を得た場合に、当該治療の効果期間が終了したと判定する。
効果期間が終了した治療がある場合に(ステップS331の肯定判定:YES)、プロセッサ21は、ステップS332の処理に進む。
ステップS332において、プロセッサ21は、図5に示した登録部164と同様にして、ステップS331の処理で効果期間が終了したとされた治療のそれぞれに対応付けられた対象行動を、行動テーブル12から削除する。また、ステップS332の処理の終了後に、プロセッサ21は、行動テーブル12を管理する処理を終了する。
一方、効果期間が終了した治療がない場合に(ステップS331の否定判定:NO)、プロセッサ21は、ステップS332の処理を実行せずに、行動テーブル12を管理する処理を終了する。
上述したステップS327〜ステップS329及びステップS331の処理をプロセッサ21が実行することで、治療に関する履歴情報により対象者P1に適用された旨が示された治療の中から効果期間中である治療を選択する処理を実現することができる。
また、上述したステップS329及びステップS331の肯定判定ルート(YES)において、それぞれステップS330及びステップS332の処理を実行することで、効果期間中の対象行動を選択的に行動テーブル12に設定する処理を実現することができる。
つまり、プロセッサ21が、ステップS327〜ステップS332の処理を実行することにより、対象者P1の行動に影響を与えている可能性のある治療などの要因と当該要因に対応付けられた対象行動とを選択的に示す行動テーブル12を生成することができる。
このような行動テーブル12に基づけば、図15に示したステップS303において、プロセッサ21は、対象者P1がある対象行動を行った場合に、当該対象行動が治療の影響を受けているか否かを高い精度で判定し、判定結果を出力する警報に反映できる。
これにより、例えば、投与された薬の効果が消失した後に、当該薬の副作用として現れる症状に対応する対象行動を対象者P1が行った場合などに、プロセッサ21は、当該対象行動は薬の影響とは無関係に現れた旨の警報を出力することができる。
なお、プロセッサ21は、ステップS329及びステップS330の処理と、ステップS331及びステップS332の処理とを並行して実行してもよいし、図18に示した順序とは逆の順序で実行してもよい。同様に、プロセッサ21は、ステップS322〜ステップS324の処理と、ステップS325及びステップS326の処理とを並行して実行してもよいし、図17に示した順序とは逆の順序で実行してもよい。
次に、上述した監視動作の過程で得られた計測結果に基づいて、対象者P1の特徴にあった平常値の範囲を設定する動作について、図19を用いて説明する。
図19は、平常値の範囲を設定する動作を示す。図19に示したステップS341〜ステップS347の各処理は、監視処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる、平常値の範囲を設定する処理の一例である。また、これらのS341〜ステップS347の各処理は、図14に示したプロセッサ21によって、例えば、図15に示した監視処理と並行して実行される。
ステップS341において、プロセッサ21は、対象者P1が対象行動のそれぞれを行う頻度について、図15に示したステップS307の処理で得られた計測結果を取得する。また、プロセッサ21は、図15に示したステップS302の処理の過程で得られる対象者P1の動きの特徴から、検出された対象行動のそれぞれに対応する特徴量を抽出し、抽出した特徴量を計測結果の一部として取得してもよい。例えば、プロセッサ21は、ステップS302の処理で、対象行動「体動(振幅小)」や、対象行動「体動(振幅大)」を検出した際に、画像IMG内での対象者P1の動きの大きさや繰返し周期および1回の体動の継続時間などを示す特徴量を取得してもよい。
ステップS342において、プロセッサ21は、検出された対象行動のそれぞれについて、当該対象行動が治療の影響で行われた可能性があるか否かを判定する。プロセッサ21は、検出された対象行動が行動テーブル12において、治療のいずれにも対応付けられていない場合に、当該対象行動は治療の影響で行われた可能性はないと判定してもよい。また、プロセッサ21は、検出された対象行動がいずれかの治療に対応付けられている場合でも、ステップS341で得られた頻度などの特徴値と特性テーブル147に保持された特徴値との差が閾値以下である場合は、治療の影響ではないと判断してもよい。
治療の影響で行われた可能性はないと判定された対象行動に対応して得られた計測結果について、プロセッサ21は、ステップS342の否定判定ルート(NO)の処理として、ステップS343、ステップS344およびステップS345の処理を実行する。一方、ステップS342において、治療の影響で行われた可能性がある(YES)と判定された対象行動に対応して得られた計測結果について、プロセッサ21は、ステップS343〜ステップS345の処理を実行せずに、ステップS346の処理に進む。
ステップS343において、プロセッサ21は、図5及び図12を用いて説明したようにして、当該対象行動に対応してステップS341の処理で取得した計測結果をハードディスク装置23内に設けた蓄積部145に蓄積する。
ステップS344において、プロセッサ21は、ステップS343の処理で蓄積された計測結果の取得時刻に対応する時間帯について、検出された対象行動に対応する平常値の範囲を示す基準値および閾値を算出する。
例えば、新たに昼間の時間帯に含まれる時刻に取得された計測結果を蓄積した場合に、プロセッサ21は、昼間の時間帯に対応して蓄積された過去の計測結果と新たな計測結果とに基づいて、図5に示した算出部145と同様にして、基準値および閾値を算出する。
ステップS345において、プロセッサ21は、検出された対象行動のそれぞれについてステップS344の処理で算出した基準値および閾値を用いて、特性テーブル147に保持された当該対象行動に対応する基準値および閾値を更新する。
上述したように、プロセッサ21が、ステップS341〜ステップS345の処理を実行することにより、対象行動のそれぞれについて、対象者P1が平常時に当該対象行動を行う頻度を反映した平常値の範囲を特性テーブル147に設定することができる。また、同様にして、プロセッサ21は、対象者P1が平常時に当該対象行動を行った際の動きの大きさや継続時間などを示す特徴値についての平常値の範囲を特性テーブル147に設定してもよい。
このように、対象者P1の行動の特性に合わせて設定された特性テーブル147を参照すれば、図15に示したステップS308の処理で、プロセッサ21は、対象行動のそれぞれがなされる頻度が対象者P1の特性に適合した平常値の範囲内か否かを判定できる。
これにより、プロセッサ21は、対象者P1の行動の特性に合わせて、警報の出力を制御することができる。したがって、例えば、対象者P1の行動の癖などのために、誤った警報が出力されるケースを減少させることができ、監視装置10から出力される警報の精度を高めることができる。
なお、プロセッサ21が、対象行動を検出する処理を実行する際に、上述した特性テーブル147に設定された対象行動に対応する動きの大きさや継続時間などを示す特徴値についての平常値の範囲を参照することで、対象行動の検出精度を向上することができる。
また、ステップS346において、プロセッサ21は、図15に示したステップS306と同様にして、監視動作を終了するか否かを判定し、終了しない場合(ステップS346の否定判定(NO))に、ステップS341の処理に戻る。
このように、図15に示した監視動作が継続している間にわたって、平常値の範囲を設定する動作を繰り返し実行することにより、対象者P1の特性が時間の経過に伴って変化した場合にも、適切な平常値の範囲を設定することができる。
ところで、対象行動の中には、ある対象行動が行われる際に、当該対象行動と前後して別の対象行動が行われるといった、互いに関連性を持って行われる対象行動も含まれている。また、互いに関連性を持って行われる対象行動のそれぞれが行われる頻度が、当該対象行動について設定された平常値の範囲内であっても、各対象行動が行われる頻度のいずれもが増大している場合は、対象者P1の行動に異常が現れている可能性がある。
次に、複数の対象行動が互いに関連性を持って行われる場合を考慮に入れて、平常値の範囲内かを判定する方法について、図20及び図21を用いて説明する。
図20は、平常値の範囲内かを判定する動作を示す。図20に示したステップS351〜ステップS360の各処理は、図15に示したステップS308の処理の別例である。また、これらのS351〜ステップS360の各処理は、図14に示したプロセッサ21によって実行される。
プロセッサ21は、例えば、図14に示した端末装置7からの指示に基づいて、図9(A)に示した監視対象行動のそれぞれ及び図9(B)に示した観察対象行動のそれぞれについて、当該対象行動と関連性を持って行われる別の対象行動を予め登録しておいてもよい。
ステップS351において、プロセッサ21は、図15に示したステップS302の処理で検出された対象行動のそれぞれについて、ステップS307の処理で得られた計測結果を取得する。
ステップS352において、プロセッサ21は、検出された対象行動のそれぞれについて、当該対象行動と関連性を持って行われる別の対象行動が登録されているか否かを判定する。
ステップS352の処理で、関連性を持って行われる対象行動がないと判定した対象行動のそれぞれについて、プロセッサ21は、ステップS353〜ステップS356の処理を実行する。
ステップS353において、プロセッサ21は、ステップS351で取得した当該対象行動についての頻度について、当該対象行動に対応して設定された基準値からの変化量を求める。
ステップS354において、プロセッサ21は、ステップS353の処理で求めた変化量または変化量の絶対値が、当該対象行動に対応して設定された閾値以下であるか否かを判定する。プロセッサ21は、当該対象行動に対応して範囲テーブル143に設定された平常値の範囲に基づいて、ステップS354の判定処理を行えばよい。
プロセッサ21は、ステップS354の肯定判定の場合(YES)に、ステップS355の処理を実行し、一方、ステップS354の否定判定の場合(NO)に、ステップS356の処理を実行する。
ステップS355において、プロセッサ21は、当該対象行動が対象者P1によって行われた頻度は平常値の範囲である旨の判定結果を出力する。
また、ステップS356において、プロセッサ21は、当該対象行動が対象者P1によって行われた頻度は平常値の範囲を逸脱した旨の判定結果を出力する。
一方、ステップS352の処理で、関連性を持って行われる対象行動があると判定した対象行動のそれぞれについて、プロセッサ21は、ステップS357〜ステップS360の処理を実行する。
ステップS357において、プロセッサ21は、関連性を持って行われる対象行動のそれぞれが行われる頻度に対応する次元を持つベクトル空間において、各対象行動について得られた計測結果と基準値との間の距離を求める。例えば、プロセッサ21は、図21に示すようにして、互いに関連性を持って行われる2つの対象行動a,bの頻度na,nbに対応する2次元のベクトル空間における距離を求めてもよい。
図21は、平常値からの距離の例を示す。図21において、座標軸na,nbは、互いに関連性を持って行われる2つの対象行動a,bの頻度を示している。
また、図21において、符号Psは、座標軸na,nbで示されるベクトル空間における座標値が、上述した2つの対象行動a,bそれぞれに対応して設定された基準値Sa,Sbで示される点である基準点を示す。また、図21において、符号Pは、座標軸na,nbで示されるベクトル空間における座標値が、上述した2つの対象行動a,bそれぞれについて計測された頻度fa,fbで示される点である観測点を示す。
プロセッサ21は、図20に示したステップS357において、例えば、図21に示した基準点Psと観測点Pとの間の距離を算出すればよい。
なお、図21において、符号Daは、上述した対象行動aが行われる頻度について設定された平常値の範囲を示し、符号Dbは、上述した対象行動bが行われる頻度について設定された平常値の範囲を示す。
また、プロセッサ21は、例えば、図14に示した端末装置7からの指示に基づいて、関連性を持って行われる複数の対象行動のグループについて、これらの対象行動について設定された基準値で示される基準点からの距離についての閾値を設定しておいてもよい。
例えば、プロセッサ21は、図21に示すように、上述した対象行動a,bを含む対象行動のグループについて、基準点Psを中心とする円形の範囲Cを示す閾値を設定してもよい。なお、図21の例では、範囲Cの半径、即ち、基準点Psと観測点Pとの距離についての閾値は、対象行動aが行われる頻度について設定された平常値の範囲の幅の半分程度に設定されている。
図20に示したステップS358において、プロセッサ21は、ステップS357の処理で得られた距離が、検出された対象行動が含まれる対象行動のグループについて設定された閾値以下であるか否かを判定する。
プロセッサ21は、ステップS358の肯定判定の場合(YES)に、ステップS359の処理を実行し、一方、ステップS358の否定判定の場合(NO)に、ステップS360の処理を実行する。
ステップS359において、プロセッサ21は、上述したステップS355と同様に、当該対象行動が対象者P1によって行われた頻度は平常値の範囲である旨の判定結果を出力する。
また、ステップS360において、プロセッサ21は、上述したステップS356と同様に、当該対象行動が対象者P1によって行われた頻度は平常値の範囲を逸脱した旨の判定結果を出力する。
このように、プロセッサ21が、ステップS352の肯定判定ルートにて、ステップS357〜ステップS360の処理を行うことで、関連性を持つ複数の対象行動の頻度が揃って増大した場合などに、平常値の範囲を逸脱したと判定することができる。
したがって、図15に示したステップS308に代えて、図20に示した処理を実行すれば、互いに関連する対象行動のそれぞれに注目した場合よりも、対象者P1の行動に異常が発生している兆候を早期に発見し、医療従事者などへの警報に反映することができる。
なお、以上で説明した対象者P1の行動を監視する処理の過程で収集した情報から、対象者P1の体調の緩やかな変化を示す情報を抽出することも可能である。
例えば、図14に示したプロセッサ21は、図15に示したステップS308の処理で平常値の範囲内とされた計測結果について、前の日の同じ時間帯に得られた計測結果と比較する処理を行ってもよい。このような比較処理を実行することにより、対象者P1が検出された対象行動を行う頻度が前の日の同じ時間帯における頻度からどのように変化しているかを示す情報を抽出することができる。
更に、プロセッサ21は、上述した前日の計測結果との比較を日ごとに行うことで得られた比較結果を、例えば入院期間あるいは入所期間にわたってハードディスク装置23などに蓄積させてもよい。また、プロセッサ21は、図15に示した対象者P1の行動を監視する処理と並行して、ハードディスク装置23に蓄積させた情報を解析する処理および解析結果に基づいて数日あるいは数週間にわたる緩やかな変化を示す情報を抽出する処理を実行してもよい。プロセッサ21は、ハードディスク装置23に蓄積させた情報を解析することで、例えば、対象者P1が行う対象行動「体動(振幅大)」の頻度や体動の振幅が緩やかながら増大していく傾向を示す情報を抽出することができる。
プロセッサ21が上述した処理を実行することで抽出した情報は、対象者P1によって対象行動が行われる頻度などが平常値の範囲を逸脱しないまでも少しずつ変化していく様子を示す情報、すなわち、対象者P1の日々の体調の変化を反映する情報である。したがって、抽出した情報を医療従事者等に通知すれば、医療従事者等は、対象者P1の体調等に変化が生じている可能性を早期に推定することが可能となり、医療従事者等の判断を支援する事ができる。
また、対象者P1が一旦退院あるいは退所した後、再び、入院あるいは入所した場合に、プロセッサ21は、前の入院期間あるいは入所期間に蓄積された情報と、新たに開始した入院期間あるいは入所期間に得られた計測結果とを比較する処理を実行してもよい。このような比較処理をプロセッサ21が実行すれば、対象者P1が退院あるいは退所した後に自宅などで過ごしている間に、対象者P1の体調に変化が生じた可能性の有無を示す情報を早期に取得し、医療従事者等に通知することができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で、前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更を容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
以上の説明に関して、更に、以下の各項を開示する。
(付記1)
見守りの対象となる対象者の動きを、観測装置によって観測することで得られる観測結果を受け、
前記観測結果に基づいて、所定の特徴を有する行動である対象行動を検出し、
前記対象者に対して行われた治療と前記治療を受けたことによって現れる可能性のある行動とを対応付けて示す行動情報を用いて、検出された対象行動が前記治療に対応付けられているか否かを判定し、
前記検出された対象行動が前記治療に対応付けられていると判定された場合と前記治療に対応付けられていないと判定された場合とでそれぞれ異なる警報を出力する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする監視プログラム。
(付記2)
請求項1に記載の監視プログラムにおいて、
前記対象者に対して複数の治療が行われる場合に、
更に、
前記治療のそれぞれが行われた日時を示す履歴情報と、前記治療のそれぞれによる効果が現れている期間である効果期間を示す期間情報とを受け、
前記履歴情報で示される日時からの経過時間と前記効果情報で示される効果期間とに基づいて、前記治療の中から効果期間中である治療を選択し、
選択した治療と前記治療を受けた場合に前記対象者が行う可能性のある行動とを対応付けした行動テーブルを生成する処理を含み、
前記検出された対象行動が前記治療に対応付けられているか否かを判定する処理は、前記行動テーブルに含まれる情報を前記行動情報として用いる
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする監視プログラム。
(付記3)
付記2に記載の監視プログラムにおいて、
前記警報を出力する処理は、
前記対象行動が検出される頻度を計測し、
計測で得られた頻度が所定の範囲を逸脱した場合に、前記検出された対象行動が前記行動テーブルにより前記治療のいずれかに対応付けられているか否かに応じた警報を出力させる制御を行い、
前記行動テーブルにより前記治療のいずれにも対応付けられていないと判定された対象行動についての計測で得られた頻度に基づいて、前記対象者が、対応する治療の影響を受けていない状態で前記対象行動を行う頻度を示す平常値の範囲を求め、
得られた前記平常値の範囲を、前記対象行動に対応する前記所定の範囲として設定する処理を含む
ことを特徴とする監視プログラム。
(付記4)
付記3に記載の監視プログラムにおいて、
警報を出力させる制御を行う処理は、
前記対象者によって所定値以上の相関を持ってなされる複数の対象行動のそれぞれの頻度に対応する次元を持つベクトル空間における所定の点と、前記複数の対象行動のそれぞれについての計測で得られた指標値を座標とする点との距離が、所定の閾値以下であるか否かを判定する処理を含む
ことを特徴とする監視プログラム。
(付記5)
見守りの対象となる対象者の動きを、観測装置によって観測することで得られる観測結果を受け、
前記観測結果に基づいて、所定の特徴を有する行動である対象行動を検出し、
前記対象者に対して行われた治療と前記治療を受けたことによって現れる可能性のある行動とを対応付けて示す行動情報を用いて、検出された対象行動が前記治療に対応付けられているか否かを判定し、
前記検出された対象行動が前記治療に対応付けられていると判定された場合と前記治療に対応付けられていないと判定された場合とでそれぞれ異なる警報を出力する
ことを特徴とする監視方法。
(付記6)
見守りの対象となる対象者の動きを、観測装置によって観測することで得られる観測結果を受け、前記観測結果に基づいて、所定の特徴を有する行動である対象行動を検出する検出部と、
前記対象者に対して行われた治療と前記治療を受けたことによって現れる可能性のある行動とを対応付けて示す行動情報を用いて、検出された対象行動が前記治療に対応付けられているか否かを判定する判定部と、
前記検出された対象行動が前記治療に対応付けられていると判定された場合と前記治療に対応付けられていないと判定された場合とでそれぞれ異なる警報を出力する出力部(14)と
を有することを特徴とする監視装置。
(付記7)
付記6に記載の監視装置において、
前記対象者に対して複数の治療が行われる場合に、
更に、
前記治療のそれぞれが行われた日時を示す履歴情報と、前記治療のそれぞれによる効果が現れている期間である効果期間を示す期間情報とを受け、前記履歴情報で示される日時からの経過時間と前記効果情報で示される効果期間とに基づいて、前記治療の中から効果期間中である治療を選択する選択部と、
選択した治療と前記治療を受けた場合に前記対象者が行う可能性のある行動とを対応付けした行動テーブルを生成する生成部とを含み、
前記判定部は、前記行動テーブルに含まれる情報を前記行動情報として用いて、前記検出された対象行動が前記治療に対応付けられているか否かを判定する
ことを特徴とする監視装置。
(付記8)
付記7に記載の監視装置において、
前記出力部は、
前記対象行動が検出される頻度を計測する計測部と、
前記計測部で得られた頻度が前記所定の範囲を逸脱した場合に、前記検出された対象行動が前記行動テーブルにより前記治療のいずれかに対応付けられているか否かに応じた警報を出力させる制御を行う出力制御部と、
前記行動テーブルにより前記治療のいずれにも対応付けられていないと判定された対象行動についての計測で得られた頻度に基づいて、前記対象者が、対応する治療の影響を受けていない状態で前記対象行動を行う頻度を示す平常値の範囲を求める算出部と、
得られた前記平常値の範囲を、前記対象行動に対応する前記所定の範囲として設定する特性テーブルとを含む
ことを特徴とする監視装置。