JP6190851B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両に搭載される電力変換装置に関するものである。
例えば電気自動車やハイブリッド自動車等のように、モータを駆動源の一つとする電動車両に於いては、商用の交流電源から直流電源に変換して高圧バッテリに充電する充電器と、高圧バッテリの直流電圧を補機用のバッテリの電圧(例えば12[V]等)に変換するDC/DCコンバータと、高圧バッテリから供給される直流電力をモータに供給するための交流電力に変換するインバータ等により構成された電力変換装置と、が搭載されている。
前述の電力変換装置の内部構成は、一般的にはチョッパ回路やブリッジ回路等のスイッチング回路が用いられているが、スイッチング回路のスイッチング動作によりノイズが発生するので、ノイズを低減させるためのノイズ対策としてフィルムコンデンサと併用されチョークコイルが設けられている。このように、電動車両に於いては、電力変換のためのトランスや、リアクトル、及びチョークコイル等の、重量が大きく且つ付勢されることにより自己発熱する部品が多く用いられている。
近年、電力変換装置の軽量化による電動車両の燃費向上や、電動車両に於ける電力変換装置の実装スペースの縮小化のために、電動車両に搭載される電力変換装置等の小型、低コスト化の要求が非常に強くなってきている。
電力変換装置の小型、低コスト化を実現する手段の有力な手法の一つに、前述のスイッチング回路のスイッチング周波数の高速化がある。スイッチング周波数の高速化は、前述の大きくて重い上に高価なチョークコイルや、トランス、リアクトル等を小型化、及び低コスト化できることから、各種電力変換装置に於いては重要な技術開発要素の一つである。ところが、電力変換装置に搭載されるトランス、リアクトル、チョークコイル等の小型化は、発熱密度が増大するといった新たな課題が発生することから、それらの放熱性を更に向上させることが必要となる。
又、電力変換装置に搭載されるトランスやリアクトル、チョークコイル等は比較的重量が大きい為、電力変換装置が搭載される振動要件の厳しい環境に於いて、自身の重量や電力変換装置の振動により、プリント基板やプリント基板のはんだ接合部に大きなストレスを与えるといった課題を生むことから、プリント基板の剛性を向上させる構造や自身の振動を抑制するなどの耐振構造を追加する必要がある。
特に、夫々形状、大きさの異なるコモン・モード・チョークコイル、ラインバイパスコンデンサ、アクロスザラインコンデンサを併用するフィルタ回路部に於いては、導通により発熱するコモン・モード・チョークコイルをより放熱に有利な向き及び位置に配置し、その周辺にラインバイパスコンデンサ、アクロスザラインコンデンサを配置する必要があるが、この場合、冷却器の冷却面に対する投影面積が大きく、形状、大きさの違いによる無駄空間も多くなり、小型化が困難となる。
一方で、前述の冷却面に対する投影面積を抑制する方法の1つに、コモン・モード・チョークコイルを冷却面に対して、投影面積が小さくなる向きに配置する方法があるが、冷却面に対する放熱面積が極端に小さくなると放熱性が低下するため、新たに放熱経路を形成するための部品を追加したり、冷却器にフィンを追加して冷却能力を向上させる必要が
あり、追加部材、材質の改善等によるコスト上昇を招くばかりか、小型化をも困難にすることになる。
又、コモン・モード・チョークコイルは比較的重量が大きいことから、プリント基板の剛性を向上させるための構造や、自身の振動を抑制する等の耐振構造を追加する必要があり、追加部材によるコスト上昇を招くばかりか、小型化をも困難にする。
従来、DC/DCコンバータを構成する回路部品のうち、トランスやチョークコイルは他の回路部品に比べて高さが高いために他の回路部品を接続するブスバーの形状が複雑化し必要スペースが増加するという課題や、重量の大きいトランスやチョークコイルを支持する配線基板の強度の向上が必要であるという課題、更にはトランスやチョークコイルの発熱により寿命が制限されるという課題等に鑑みて、ブスバーの引き回しが簡単であり、配線基板の強度の向上が不要であり、且つトランス又はチョークコイルの寿命の延長が可能であるとするDC/DCコンバータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された従来のDC/DCコンバータによれば、インバータ回路のパワ
ースイッチング素子を支持しそれを冷却するとともに配線基板を支持する金属製のベースプレートを有し、このベースプレートは、配線基板の反実装面に所定間隔を介して対向し且つ反実装面と平行に延設された平衡板部を有する。トランス又はチョークコイルの端面は、平衡板部の配線基板側の主面に密着して設けられ、配線基板に設けられた穴部又は切り欠き部から配線基板の実装面側に突出するように設けられている。この構成により、トランス又はチョークコイルの端子は、配線基板の実装面上へ突出して配線基板側の接続端子に容易に接続することが出来るとされる。
特開2000−14149号公報
しかしながら、前述のような従来の装置では、自己発熱部品と冷却部の放熱経路の最短経路にプリント基板が介在されており、最短経路が有効な放熱パスとはならず、十分な放熱ができないので、別途金属部品等を設け、金属部品を介して、自己発熱部品の熱を冷却部へ放熱する必要があり、周辺部品との絶縁を含め設計の自由度が奪われるばかりか小型化を困難にし、追加部品によるコスト上昇をも招く。
又、直径よりも軸方向の長さ(高さ)の小さい中空円柱コアにコイル材がコアの周方向に巻回されており、軸方向に接続用の端子が伸びた自己発熱部品を自己発熱部品の端面がプリント基板実装面と対向するように配置し、周辺にその他電気電子部品を配置するとともに、プリント基板実装面と反対側の面を冷却面と対向するように冷却部に固定されているので、冷却面に対する投影面積が大きくなり、小型化が困難になる。
更に、自己発熱部品の自重をプリント基板の実装面で保持しているので、自重や電力変換装置の振動により、プリント基板やプリント基板のはんだ接合部に大きなストレスを与えるといった課題を生むことから、プリント基板の剛性を向上させる構造や自身の耐振構造を追加する必要があり、追加部材によるコスト上昇を招くばかりか、小型化をも困難になるという課題があった。
この発明は、従来の装置に於ける前述のような課題を解決するためになされたものであって、小型化、低コスト化を妨げず、自己発熱部品の放熱性を向上させるとともに、比較的重量の大きな部品であっても振動によるプリント基板やはんだ接合部への過度なストレスを低減できる電力変換装置を提供することを目的とする。
の発明の電力変換装置は、
少なくとも1つの電気電子部品と、
円筒形のコアと前記コアに巻回されたコイル材とを備えた複数のリアクトルと、
前記電気電子部品と前記リアクトルとを電気的に接続する主回路配線板を有する主回路ユニットと、
前記リアクトルを冷却する少なくとも1つの冷却面を有する冷却部と、
を備えた電力変換装置であって、
前記複数のリアクトルのうちの一つのリアクトルは、円筒形に形成されたコアと、前記コアの周面に露出してトロイダル状に巻回されたコイル材とを備え、軸方向の一方の端面が前記冷却部の前記冷却面に対して第1の間隙を介して対向するように配置され、
前記複数のリアクトルのうちの他の一つのリアクトルは、円筒形に形成されたコアと、前記コアの周面に露出してトロイダル状に巻回されたコイル材とを備え、軸方向の一方の端面が前記一つのリアクトルの軸方向の他方の端面に対して第2の間隙を介して対向するように配置され、
前記主回路配線板は、前記冷却部の前記冷却面に対して垂直方向に配置され、
且つ、
前記第1の間隙の少なくとも一部分に挿入され、前記一つのリアクトルの前記一方の端面と前記冷却面とに当接してこれ等の形状に応じて変形し得る柔軟性を備えた放熱部材と、
前記第2の間隙の少なくとも一部分に挿入され、前記一つのリアクトルの前記他方の端面と前記他の一つのリアクトルの前記一方の端面とに当接してこれ等の形状に応じて変形し得る柔軟性を備えた放熱部材と、
を備えている、
ことを特徴とする。
の発明による電力変換装置によれば、前記複数のリアクトルのうちの一つは、その軸方向の一方の端面が前記冷却部の前記冷却面に対して第1の間隙を介して対向するように配置され、前記複数のリアクトルのうちの他の一つは、その軸方向の一端面が前記一つのリアクトルの軸方向の他方の端面に対して第2の間隙を介して対向するように配置され、前記主回路配線板は、前記冷却部の前記冷却面に対して垂直方向に配置され、且つ、前記第1の間隙の少なくとも一部分に挿入され、前記一つのリアクトルの前記一方の端面と前記冷却面とに当接してこれ等の形状に応じて変形し得る柔軟性を備えた放熱部材と、前記第2の間隙の少なくとも一部分に挿入され、前記一つのリアクトルの前記他方の端面と前記他の一つのリアクトルの前記一方の端面とに当接してこれ等の形状に応じて変形し得る柔軟性を備えた放熱部材とを備えているので、小型化、低コスト化を妨げず、自己発熱部品の放熱性を向上させるとともに、自己発熱部品が比較的重量の大きな部品であってもプリント基板やはんだ接合部に大きなストレスを低減できる。
この発明の実施の形態1における電力変換装置を示す側断面図である。 この発明の実施の形態1に於ける電力変換装置の主回路ユニットの車静である。 この発明の実施の形態1に於ける電力変換装置の主回路ユニットを構成するリアクトルの斜視図である。 この発明の実施の形態2に於ける電力変換装置を示す側断面図である。 この発明の実施の形態2に於ける電力変換装置の主回路ユニットの斜視図である。 この発明の実施の形態3に於ける電力変換装置を示す側断面図である。 この発明の実施の形態4に於ける電力変換装置を示す側断面図である。 この発明の実施の形態5に於ける電力変換装置を示す側断面図である。 この発明の実施の形態6に於ける電力変換装置の主回路ユニットの分解斜視図である。
以下、この発明による電力変換装置の実施の形態について説明するが、各図において同一、または相当部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に於ける電力変換装置の要部を示す側断面図、図2はこの発明の実施の形態1に於ける電力変換装置の主回路ユニットの斜視図、図3は、この発明の実施の形態1に於ける電力変換装置の主回路ユニットを構成するリアクトルの斜視図である。図1から図3に於いて、電力変換装置1は、モータを駆動源の一つとする電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両に搭載される。又、電力変換装置1は、所定の電力(例えば商用の交流電力等)を別の所定の電力(例えば直流電力等)に変換し、更にはスイッチング回路によるノイズ対策であるフィルタ回路を構成するための主回路ユニット2と、主回路ユニット2を収容した状態で主回路ユニット2を支持し、主回路ユニット2の熱を外部に放散するヒートシンクとしての筐体3とを有している。
筐体3は、冷却部4と、冷却部4から直立し、主回路ユニット2の周囲を覆う外枠5と、冷却部4と外枠5で覆われた領域を覆い密閉空間を形成するカバー6とを有している。
冷却部4は、冷却面4aを有し、熱伝導率が高く伝熱性の優れた金属材料(例えばアルミニウム)で構成されており、例えば、アルミダイカスト成形により形成されている。外枠5は、熱伝導率が高く伝熱性の優れた金属材料(例えばアルミニウム)で構成されており、例えば、アルミダイカスト成形により形成されている。又、外枠5は、内壁から垂直に内側に延びた複数のボス部5aを有し、ボス部5aの先端面には、ねじ穴が設けられている。カバー6は、熱伝導率が高く伝熱性の優れた金属材料(例えばアルミニウム)で構成されており、例えば、板金により形成されている。又、カバー6は、外枠5に複数の締結具(図示せず)で固定されている。
主回路ユニット2は、実装面を持つプリント基板7と、プリント基板7の実装面に設けられた複数(実施の形態1では2個)のリアクトル8と、複数(実施の形態1では2個)の電気電子部品9とを備えている。プリント基板7は、外枠5に設けられた複数のボス部5aのねじ穴に螺合された複数の締結具10によって各ボス部5aの先端面に固定されて外枠5に取り付けられ、その反実装面側が外枠5の内壁と対向するように配置されている。このように構成された主回路ユニット2は、筐体3内の所定の位置に保持されている。2つのリアクトル8は、図2に示すように夫々の軸方向が平行するように並置されてプリント基板7に実装されている。
プリント基板7は、導電率が高く導電性の優れた金属材料(例えば銅)で形成されたパターン(図示せず)と電気絶縁性を有する樹脂材料(例えばエポキシ樹脂)で構成されている。図2に良く示されているように、プリント基板7には、実装面に搭載される各リアクトル8毎に対応して接続用の4本の端子8aに相当するリアクトル8の軸方向に延びた4個の端子用貫通長穴7aと、各電気電子部品9毎に対応して接続用の2本の端子9aの大きさに相当する2個の端子用貫通丸穴7bと、更に主回路ユニット2を固定する4個の締結具10の大きさに相当する4個の締結用貫通穴7cが夫々の締結具10の位置に対応して設けられている。
夫々のリアクトル8は、直径よりも事項方向長さ(高さ)が低い円筒形のコア11と、熱伝導率が高く伝熱性の優れた金属材料(例えば銅)で形成されたコイル材12とを備えている。コイル材12は、コア11の周方向に巻回されているので、全体形状が略円筒形であるリアクトル8の外側表面は、コイル材12とコア11による凹凸形状を呈している。各リアクトル8は、複数(実施の形態1では4本)の接続用の端子8aがリアクトル8の軸方向の第1の端面8bと第2の端面8cとに対して平行に外側に真っ直ぐ引き出されており、その端子8aがプリント基板7に設けられた端子用貫通長穴7aを貫通した状態で、半田付け等によってプリント基板7に電気的に接続されている。
プリント基板7に搭載された各リアクトル8は、その軸方向の第1の端面8bが冷却部4の冷却面4aと対向する向きに配置されると共に、リアクトル8の軸方向の第1の端面8bと冷却面4aの間には、絶縁を確保できるだけの間隙が設けられている。プリント基板7に対するリアクトル8の位置決めは、リアクトル8の4本の端子8aをプリント基板7の4個の端子用貫通長穴7aに夫々挿入することにより行われる。
放熱部材13は、夫々のリアクトル8の第1の端面8bと冷却面4aの間の間隙の少なくとも一部を埋めるように設けられており、リアクトル8からの熱を冷却部4に伝達する。放熱部材13は、プリント基板7よりも高い熱伝導率を有し、かつ所定の電気絶縁性を持つ材料で形成されている。この実施の形態1では、放熱部材13は、流動性に優れたグリースを使用している。また、放熱部材13は、リアクトル8の第1の端面8b及び冷却面4aの夫々の形状に合わせて変形できる柔軟性を有し、リアクトル8及び冷却面4aに密着している。これによりリアクトル8からの熱は、放熱部材13を通して冷却部4に効率よく伝達される。放熱部材13は、夫々のリアクトル2に対応して分割されていても良
いし、分割されていなくても良い。
電気電子部品9は、複数(実施の形態1では前述のように2本)の接続用の端子9aが電気電子部品9の外側端面から外側に直立して引き出されており、これらの端子9aがプリント基板7に設けられた2個の端子用貫通丸穴7bを貫通した状態で、半田付け等によってプリント基板7に電気的に接続されている。又、図1に示すように、プリント基板7に搭載された2つの電気電子部品9は、夫々対応するリアクトル8の反冷却部側の端面である第2の端面8cに対向して、夫々対応するリアクトル8に積層するように配置されている。
電気電子部品9とリアクトル8の第2の端面8cと間には、両者間の絶縁の確保及び寸法上のばらつきの吸収のために、間隙が設けられている。プリント基板7に対する電気電子部品9の位置決めは、電気電子部品9の2本の端子9aを2個の端子用貫通丸穴7bに夫々挿入することにより行われる。尚、電気電子部品9の大きさ及び形状は、この発明の趣旨に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
この発明の実施の形態1による電力変換装置によれば、リアクトル8の第1の端面8bが冷却部4の冷却面4aと対向する向きにリアクトル8を配置されているので、リアクトル8の第2の端面8c付近で発生した熱を最短経路で冷却面4aと対向している第1の端面8bまで伝えることができ、リアクトル8の内部の熱抵抗を低減することができると共に、冷却面4aに対して、リアクトル8の熱を伝える面積を大きく確保できるので、冷却面4aとリアクトル8の第1の端面8bとの間の熱抵抗をも低減することができる。
又、リアクトル8の第1の端面8bと冷却面4aの間に絶縁を確保できるだけの間隙を設けた状態でプリント基板7にリアクトル8が搭載されており、その空間には、リアクトル8及び冷却面4aの夫々の形状に合わせて変形しながらリアクトル8と冷却面4aとの間の間隙の少なくとも一部を埋めてリアクトル8からの熱を冷却部4に伝える流動性を有する放熱部材13が設けられているので、リアクトル8の第1の端面8bに凹凸がある場合であっても、第1の端面8bの凹凸を放熱部材13によって吸収することができ、放熱部材13を通して冷却部4にリアクトル8からの熱をより確実に伝えることができる。
又、プリント基板7は、実装面に搭載されるリアクトル8の接続用の端子8aの数に相当するリアクトル8の軸方向に延びた端子用貫通長穴7aが、端子8aの位置に合わせて設けられており、リアクトル8の第1の端面8bと平行にリアクトル8の外側に直線的に引き出された複数(実施の形態1では4本)の接続用の端子8aがプリント基板7に設けられた端子用貫通長穴7aを貫通した状態で、半田付け等によってプリント基板7に電気的に接続されている。
従って、リアクトル8の製造時にリアクトル8毎にその軸方向である高さ方向のばらつきが生じた場合であっても、主回路ユニット2の製造時に、主回路ユニット2を筐体3へ取り付けた際にリアクトル8の第1の端面8bと冷却面4aとの間隙が常に一定になるように、リアクトル8の軸方向の位置である高さ方向の位置を治具などを用いて調整してリアクトル8毎の高さ方向のばらつきを吸収して、プリント基板7に配置することができる。そのため、リアクトル8と冷却面4a間の熱抵抗が最悪の場合を想定した放熱設計が不要となり、高価な放熱部材を多く使用する必要なく、小型化、低コスト化を実現することができる。
更に、電気電子部品9は、冷却面4aに対してリアクトル8に積層するようにプリント基板7に搭載され、且つリアクトル8の第2の端面8cとの間に、絶縁の確保および構造ばらつきを吸収できるだけの間隙を設けた状態で配置されている。そして、プリント基板7の実装面と反対側の面が外枠5の内壁と対向するようにプリント基板7が筐体3に取り付けられているので、冷却面4aに対する主回路ユニット2の投影面積を低減することができ、これにより、電力変換装置1の小型化、低コスト化を実現することができる。
又、プリント基板7の実装面が外枠5の内壁と対向するようにプリント基板7が筐体3に取り付けられており、図1に示す状態で電力変換装置1が配置された場合、リアクトル8の自重方向に対して、プリント基板7の実装面が平行に配置されているので、電力変換装置1の自重方向の厳しい振動に対しても、プリント基板7の実装面のたわみを抑制することができ、はんだ部へのストレスを低減することができる。
更に、リアクトル8は、軸方向の第1の端面8bが冷却部4の冷却面4aと対向する向きに、絶縁を確保できるだけの間隙をリアクトル端面8bと冷却面4aの間に設けた状態でプリント基板7に搭載されており、その間隙内には、リアクトル8と冷却面4aの夫々の形状に合わせて変形しながら、リアクトル8の第1の端面8bと冷却面4a間の間隙の少なくとも一部を埋めて、リアクトル8からの熱を冷却部4に伝える放熱部材13が設けられているので、リアクトル8の自重を冷却部4で支持することができ、よりプリント基板7の実装面のたわみを抑制することができる。
尚、この発明の実施の形態1による電力変換装置では、冷却部4は、冷却面4aを有し、熱伝導率が高く伝熱性の優れた金属材料(例えばアルミニウム)で構成されており、例えば、アルミダイカスト成形により形成されているが、伝導率の高く伝熱性の優れた金属材料(例えばアルミニウム)で構成された、例えば、板金で構成されていてもよい。
又、この発明の実施の形態1による電力変換装置では、外枠5は、熱伝導率が高く伝熱性の優れた金属材料(例えばアルミニウム)で構成されており、例えば、アルミダイカスト成形により形成され、内壁から内側に伸びた複数のボス部5aを有し、ボス部5aの先端面には、ねじ穴が設けられているが、これに代えて剛性の高い金属材料(例えば鉄)で形成された板金で構成し、プリント基板7を取り付ける位置にはバーリング加工を施す構成とするか、或いは電気絶縁性を有する樹脂(例えばPPS)で構成し、ボス部5aの先端には、ねじ穴が施されたナットを設ける構成にしてもよい。このように剛性の高い金属材料(例えば鉄)で形成された板金で構成することで、外枠5の剛性を低下させることなく、アルミダイカスト成形で形成するよりもコストを削減することができる。又、電気絶縁性を有する樹脂(例えばPPS)で構成することで、アルミダイカスト成形で形成するよりも、軽量化できると共に、周辺部品との絶縁を考慮した空間の削減により、小型化を実現することができる。
更に、この発明の実施の形態1による電力変換装置では、主回路ユニット2は、実装面を持つプリント基板7とプリント基板7の実装面に設けられたリアクトル8及び電気電子部品9で構成されており、外枠5に設けられた複数のボス部5aのねじ穴に螺合された複数の締結具10によって各ボス部5aの先端面にプリント基板7の実装面とは反対側の面が外枠5の内壁と対向するようにプリント基板7が取り付けられていたが、これとは逆に、外枠5に設けられた複数のボス部5aのねじ穴に螺合された複数の締結具10によって各ボス部5aの先端面にプリント基板7の実装面と外枠5の内壁とが対向するようにプリント基板7が取り付けられていてもよい。
更に、この発明の実施の形態1による電力変換装置では、プリント基板7は、実装面に搭載されるリアクトル8の接続用の端子8aの数に相当するリアクトル8の軸方向に延びた端子用貫通長穴7aが端子8aの位置に合わせて設けてあり、リアクトル8の端面8b、8cと平行に外側に真っ直ぐ引き出された複数(この例では4つ)の接続用の端子8aがプリント基板7に設けられた端子用貫通長穴7aを貫通した状態で、半田付け等によってプリント基板7に電気的に接続されているが、端子用貫通長穴7aにする必要はなく、リアクトル8の接続用の端子8aの大きさよりも十分に大きな貫通丸穴でもよく、これによっても、リアクトル8毎の高さ方向のばらつきを吸収するとともに、リアクトル8の端面8bと冷却面4aとの間の熱抵抗がリアクトル8毎でばらつくことを抑制することができる。そのため、リアクトル8と冷却面4a間の熱抵抗が最悪の場合を想定した放熱設計が不要となり、高価な放熱部材を多く使用する必要なく、小型化、低コスト化を実現することができる。
又、この発明の実施の形態1による電力変換装置では、プリント基板7は、実装面に搭載されるリアクトル8の接続用の端子8aの数に相当するリアクトル8の軸方向に長さ方向が延びた端子用貫通長穴7aが端子8aの位置に合わせて設けてあり、リアクトル8の軸方向の第1の端面8b、第2の端面8cと平行に外側に真っ直ぐ引き出された複数(実施の形態1では4本)の接続用の端子8aがプリント基板7に設けられた端子用貫通長穴7aを貫通した状態で、半田付け等によってプリント基板7に電気的に接続するようにしている。これにより、リアクトル8の製造時にリアクトル8毎に高さ方向のばらつきが生じた場合であっても、主回路ユニット2の製造時に主回路ユニット2を筐体3へ取り付けた際にリアクトル8の第1の端面8bと冷却面4aとの間隙が絶縁を確保できるだけの空間に常に一定になるように、治具等を用いて、リアクトル8の高さ方向の位置を調整してプリント基板7に配置することで、リアクトル8毎の高さ方向のばらつきを吸収するとともに、リアクトル8の第1の端面8bと冷却面4aとの間の熱抵抗がリアクトル8毎でばらつくことを抑制するようにしている。しかしこの構成に代えて、プリント基板7に端子用貫通長穴7aではなく端子8aの大きさに相当する貫通穴を設け、主回路ユニット2を固定する締結具10の数、大きさに相当する締結用貫通穴7cがリアクトル8の軸方向に延びた貫通長穴であってもよく、これにより、主回路ユニット2を筐体3へ組み付ける時に、主回路ユニット2の位置を調整できるので、同様の効果を得ることができ、さらに、製造時に治具を使用して主回路ユニット2を製造する必要がなくなり、治具費を削減することができる。
更に、この発明の実施の形態1による電力変換装置では、電気電子部品9は、冷却面4aに対してリアクトル8に積層するようにプリント基板7に搭載され、且つリアクトル8の第2の端面8cとの間に、絶縁の確保および構造ばらつきを吸収できるだけの間隙を設けた状態で配置されているが、リアクトル8と電気電子部品9の間の間隙に、リアクトル8及び電気電子部品9の夫々の形状に合わせて変形しながらリアクトル8と電気電子部品9との間の間隙の少なくとも一部を埋める放熱部材を設けてもよく、これにより、電気電子部品9とリアクトル8が一体となり冷却部4により支持されているので、電気電子部品9が重量の大きい部品であっても、電力変換装置1の振動によって、電気電子部品9の接続用の端子9aの破断やプリント基板7との接合部への過度なストレスを防止することができる。この場合の放熱部材は、実施の形態1に於ける放熱部材13と同様の放熱部材であり得る。
又、この発明の実施の形態1では、放熱部材13は、プリント基板7よりも高い熱伝導率と優れた流動性を有し、かつ所定の電気絶縁性を持ったグリースとしているが、リアクトル8及び冷却面4aの夫々の形状に合わせて変形しながら、リアクトル8及び冷却面4aに密着するものであればグリース以外の他の放熱部材であってもよい。例えば、リアクトル8の表面の凹凸が小さく、放熱部材に高い流動性を必要としない場合は、柔軟性、電気絶縁性、優れた熱伝導率を有する放熱シートであってもよく、これにより、グリースのポンピングアウトによる熱抵抗の増加を防止でると共に、ピンホールによる絶縁不良を懸念する必要がなく、リアクトル8及び冷却面4aの間の空間を低減でき、リアクトル8及び冷却面4aの間の熱抵抗を低減することができる。
更に、リアクトル8の発熱は小さいが、重量が大きくより振動に厳しい場合には、放熱部材13を、接着性と高い流動性を有し、かつ所定の電気絶縁性を持った樹脂製の接着剤としてもよく、これにより、リアクトル8の放熱経路を確保しつつ、リアクトル8と冷却部4を一体にすることができ、電力変換装置1の振動に対する強度を向上させることができる。
又、リアクトル8の発熱が大きく、リアクトル8及び冷却面4aの間の熱抵抗をより小さくする必要がある場合には、優れた電気絶縁性を有する絶縁シートと高い熱伝導率と高い流動性を有するグリース(又は、接着材)とをリアクトル8及び冷却面4aの間に介在させ、リアクトル8の熱をリアクトル8、グリース、絶縁シート、冷却部4の順に熱を伝えるような構成にしてもよく、これにより、リアクトル8及び冷却面4aの間の熱抵抗をより小さくすることができ、放熱性が向上する。
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に於ける電力変換装置を示す側断面図、図5は、この発明の実施の形態2に於ける電力変換装置の主回路ユニットの斜視図である。図4及び図5に於いて、主回路ユニット2は、実装面を持つプリント基板7と、プリント基板7の実装面に設けられた複数(実施の形態2では2つ)のリアクトル8と、複数(実施の形態2では2つ)の電気電子部品9で構成されている。プリント基板7は、外枠5に設けられた複数のボス部5aのねじ穴に螺合された複数の締結具10によって、各ボス部5aの先端面に固定されている。そして、プリント基板7の実装面と反対側の面が外枠5の内壁と対向するように配置されている。これにより、主回路ユニット2は筐体3内の所定の位置で保持されている。
プリント基板7は、導電率が高く導電性の優れた金属材料(例えば銅)で形成されたパターン(図示せず)と、電気絶縁性を有する樹脂材料(例えばエポキシ樹脂)で構成されている。又、プリント基板7は、実装面に搭載されるリアクトル8の接続用の端子8aの数に相当するリアクトル8の軸方向に延びた端子用貫通長穴7a、及び電気電子部品9の接続用の端子9aの数、大きさに相当する端子用貫通丸穴7b、更に主回路ユニット2を固定する締結具10の数、大きさに相当する締結用貫通穴7cが夫々の位置に合わせて設けられている。
前述の実施の形態1に於けるリアクトル8と同様に、リアクトル8は、直径よりも軸方向の長さ(高さ)が低い円筒形のコア1に、熱伝導率が高く伝熱性の優れた金属材料(例えば銅)で形成されたコイル材12がコア11の周方向に巻回されており、全体形状が略円筒形で外側表面がコイル材12により凹凸形状を呈している。リアクトル8からは、複数(実施の形態2では4本)の接続用の端子8aがリアクトル8の軸方向の第1の端面8bと第2の端面8cと平行に外側に夫々2本ずつ真っ直ぐ引き出されており、その端子8aがプリント基板7に設けられた端子用貫通長穴7aを貫通した状態で、半田付け等によってプリント基板7に電気的に接続されている。
ここで、2つのリアクトル8を、個々に第1のリアクトル81、第2のリアクトル82と称し、夫々について説明する。第1のリアクトル81は、軸方向の第1の端面81bが冷却部4の冷却面4aと対向する向きに、絶縁を確保できるだけの間隙を第1のリアクトル81の第1の端面81bと冷却面4aの間に設けた状態でプリント基板7に搭載されている。放熱部材131は、第1のリアクトル81と冷却面4aとの間の間隙の少なくとも一部を埋めるように配置されており、第1のリアクトル81からの熱を冷却部4に伝える。プリント基板7に対する第1のリアクトル81の位置決めは、第1のリアクトル81の各端子8aを対応する端子用貫通長穴7aに夫々挿入することにより行われる。
第2のリアクトル82は、軸方向の第1の端面82bが第1のリアクトル81の軸方向の第2の端面81cと対向する向きに、絶縁を確保できるだけの間隙を第1のリアクトル81の第2の端面81cと第2のリアクトル82の第1の端面82bとの間に設けた状態で、プリント基板7に搭載されている。放熱部材14は、第1のリアクトル81と第2のリアクトル82との間の間隙の少なくとも一部を埋めるように配置されており、第2のリアクトル82からの熱を第1のリアクトル81に伝える。プリント基板7に対する第2のリアクトル82の位置決めは、第2のリアクトル82の各端子8aを対応する端子用貫通長穴7aに夫々挿入することにより行われる。第1のリアクトル81及び第2の82は、図5に示すように夫々の軸心が一致するように軸方向に直列に配置されてプリント基板7に実装されている。
電気電子部品9は、複数(実施の形態2では2本)の接続用の端子9aが電気電子部品9の外側端面から外側に真っ直ぐ引き出されており、その端子9aがプリント基板7に設けられた対応する端子用貫通丸穴7bを貫通した状態で、半田付け等によってプリント基板7に電気的に接続されている。プリント基板7に対する電気電子部品9の位置決めは、電気電子部品9の各端子9aを端子用貫通丸穴7bに個別に挿入することにより行われる。尚、電気電子部品9の大きさ及び形状は本発明の要点に関係しないので詳細な説明を省略する。
放熱部材131、14は、プリント基板7よりも高い熱伝導率を有し、かつ所定の電気絶縁性を持つ材料で形成されている。実施の形態2では、放熱部材13、14は、流動性に優れたグリースを使用している。又、放熱部材131は、第1のリアクトル81及び冷却面4aの夫々の形状に合わせて変形しながら第1のリアクトル81及び冷却面4aに密着している。放熱部材14は、第1のリアクトル81及び第2のリアクトル82の夫々の形状に合わせて変形しながら第1のリアクトル81及び第2のリアクトル82に密着している。これにより、第2のリアクトル82からの熱が放熱部材14を通して第2のリアクトル81に伝わり、第21のリアクトル81の熱が放熱部材13を通して冷却部4に伝わりやすくなっている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
この発明の実施の形態2による電力変換装置によれば、第1のリアクトル81は、軸方向の第1の端面81bが冷却部4の冷却面4aと対向する向きに配置され、且つ絶縁を確保できるだけの間隙を第1のリアクトル81の第1の端面81bと冷却面4aの間に設けた状態でプリント基板7に搭載され、第1のリアクトル81の第1の端面81bと冷却面4aとの間の間隙の少なくとも一部を埋めて第1のリアクトル81からの熱を冷却部4に伝えるように放熱部材13が設けられている。更に、第2のリアクトル82は、軸方向の第1の端面82bが第1のリアクトル81の第2の端面81cと対向して配置され、且つ絶縁を確保できるだけの間隙を第1のリアクトル81の第2の端面81cと第2のリアクトル82の第1の端面82bとの間に設けた状態でプリント基板7に搭載され、第1のリアクトル81と第2のリアクトル82との間の間隙の少なくとも一部を埋めて第2のリアクトル82からの熱を第1のリアクトル81に伝える放熱部材14が設けられている。従って、第2のリアクトル82の熱を放熱部材14を通して第1のリアクトル81に伝え、第1のリアクトル81の熱を放熱部材13を通して冷却部4に伝えることができ、複数(実施の形態2では2個)のリアクトル8が、プリント基板7に搭載されていた場合でも、主回路ユニット2の投影面積拡大を抑制すると共に、複数のリアクトル8の放熱を行うことができる。
尚、この発明の実施の形態2による電力変換装置に於いて、第2のリアクトル82は、第1の端面82bが第1のリアクトル81の第2の端面81cと対向する向きに、絶縁を確保できるだけの間隙を第1のリアクトル81の第2の端面81cと第2のリアクトル82の第1の端面82bとの間に設けた状態でプリント基板7に搭載されており、且つ第1のリアクトル81と第2のリアクトル82との間の間隙の少なくとも一部を埋めて第2のリアクトル82からの熱を第1のリアクトル81に伝える放熱部材14が設けられているが、第2のリアクトル82の第2の端面82cとカバー6との間に絶縁を確保できるだけの間隙を設け、その間隙にも、第2のリアクトル82とカバー6との間隙の少なくとも一部を埋めて第2のリアクトル82からの熱をカバー82に伝える放熱部材(図示せず)を設けても良い。このようにすれば、第2のリアクトル82の熱を、放熱部材、カバー6、外枠5の順に、これらを通して冷却部4に伝えることができ、放熱経路を形成する部品(例えば、銅製の金属部品)を追加することなく、冷却部4に第2のリアクトル82の熱をより確実に伝えることができる。
又、この発明の実施の形態2による電力変換装置に於いて、第1の放熱部材13及び第
2の放熱部材14は、プリント基板7よりも高い熱伝導率を有し、かつ所定の電気絶縁性
を持つ流動性に優れたグリースを使用しているが、放熱部材131、14の夫々の用途に合わせてそれらの材料を変更してもよい。例えば、第1のリアクトル81と冷却面4aとの間の間隙には、高い熱伝導率と流動性を有するグリースを使用し、第1のリアクトル81と第2のリアクトル82の間の間隙には接着性と流動性を有する接着材を使用してもよい。更には、第1のリアクトル81と冷却面4aとの間の間隙には、接着性と流動性を有する接着材を使用し、第1のリアクトル81と第2のリアクトル82の間の間隙には高い熱伝導率と流動性を有するグリースを使用してもよい。或いは、第1のリアクトル81と冷却面4aとの間の間隙、及び第1のリアクトル81と第2のリアクトル82の間の間隙に、夫々接着性と流動性を有する接着材を使用してもよい。
更に、この発明の実施の形態2では、放熱部材13、14は、プリント基板7よりも高い熱伝導率を有し、かつ所定の電気絶縁性を持つ流動性に優れたグリースを使用しているが、例えば、第1のリアクトル81及び第2のリアクトル82の表面の凹凸が小さく、放熱部材に高い流動性を必要としない場合は、柔軟性、電気絶縁性、優れた熱伝導率を有する放熱シートであってもよく、これにより、グリースのポンピングアウトによる熱抵抗の増加を防止でると共に、ピンホールによる絶縁不良を懸念する必要がなく、リアクトル8及び冷却面4aの間の空間を低減でき、リアクトル8及び冷却面4aの間の熱抵抗を低減することができる。
実施の形態3.
図6は、この発明の実施の形態3に於ける電力変換装置を示す側断面図である。図6に於いて、冷却部4は、冷却面4aと、冷却面4aに対向する平面4bと、平面4bから冷却面4aとは反対方向に向かって垂直に伸びた複数のフィン4cとで構成されており、例えば、アルミダイカスト成形により形成されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。尚、実施の形態2の冷却部4を、実施の形態3の冷却部4に置き換えても良い。
尚、前述の実施の形態2に於ける冷却部4を、実施の形態3による冷却部4と同様に、冷却面4aと、冷却面4aに対向する平面4bと、平面4bから冷却面4aとは反対方向に向かって垂直に伸びた複数のフィン4cとで構成し、例えば、アルミダイカスト成形により形成するようにしても良い。
この発明の実施の形態3による電力変換装置によれば、冷却部4の平面4bから冷却面4aとは反対方向に向かって垂直に伸びた複数のフィン4cが冷却部4に設けられているので、冷却部4の放熱面積を拡大することができ、リアクトル8から冷却部4に伝わった熱をより効率よく外気に放熱することができる。
実施の形態4.
図7は、この発明の実施の形態4に於ける電力変換装置を示す側断面図である。図7に於いて、冷却部4は、冷却面4aと、冷却面4aに対向する平面4bと、平面4bを内壁の一面とした流体の流路4dと、流路4dに設けられた流体入口4eと、流体入口4eの反対側に設けられた流体出口4fと、流路4dを覆い密閉空間を形成する流路カバー4gで構成されている。
流路4d、流体入口4e、流体出口4fは、冷却面4aの面方向と垂直な方向を金型の抜き方向とするアルミダイカスト成形で形成され、流路4dは、流路カバー4gにより覆うことにより密閉空間が形成される。流路カバー4gは、熱伝導率の優れた金属材料(例えばアルミニウム)で構成されており、例えば、板金により形成されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。尚、実施の形態2の冷却部4を、実施の形態4の冷却部4に置き換えても良い。
この発明の実施の形態4による電力変換装置によれば、冷却部4には、流路4dが設けられており、流路カバー4gにより密閉空間が形成されているため、流路4dに冷却媒体として水などを強制的に流すことができるので、リアクトル8から冷却部4に伝わった熱をより効率よく冷却媒体へ伝えることができ、リアクトル8の放熱性が向上する。
実施の形態5.
図8は、この発明の実施の形態5に於ける電力変換装置を示す側断面図である。図8に於いて、冷却部4は、冷却面4aと、冷却面4aに対向する平面4bと、平面4bから冷却面4aとは反対方向に向かって垂直に伸びた複数のフィン4cを有している。又、冷却部4は、フィン4cを介して平面4bと対向する流路カバー4gとで囲まれた流路4dを有している。流路4dは、隣接するフィン4cの間に夫々形成された複数の密閉空間により形成されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。尚、実施の形態2の冷却部4を、実施の形態5の冷却部4に置き換えても良い。
この発明の実施の形態5による電力変換装置によれば、冷却部4には、複数のフィン4cが設けられており、フィン4c間が密閉された流路4dとなっているため、複数の流路4dに冷却媒体として水などを強制的に流すことができるので、リアクトル8から冷却部4に伝わった熱をより効率よく冷却媒体へ伝えることができると共に、フィン4cが複数設けられているので、冷却部4の冷却媒体への放熱面積を拡大することができ、リアクトル8の放熱性がより向上する。
実施の形態6.
図9は、この発明の実施の形態6に於ける電力変換装置内の主回路ユニットの分解斜視図である。図9に於いて、主回路ユニット2は、実装面を持つプリント基板7とプリント基板7の実装面に設けられた2個のリアクトル15、及び2個の第1の電気電子部品16と、これ等の第1の電気電子部品16の夫々の両側面に装着された4個の第2の電気電子部品17を備えている。
2個のリアクトル15は、信号ラインとグランド間に発生したノイズを減衰させ、後続の部品へノイズ信号が伝達するのを防止する機能を有するコモン・モード・チョークコイル(以下、CMCと称する)である。
2個のCMC15は、各信号ラインからのCMC15への入力用端子とCMC15から信号ラインへの出力用端子とを備え、各信号ラインに電気的に接続することで、信号ラインとグランド間に発生したノイズを減衰させ、後続の部品へノイズ信号が伝達するのを防止するものである。
2個の第1の電気電子部品16は、並列した電位の異なる信号間を結ぶように接続され、信号ラインに発生したノイズをループさせることで後続の部品へノイズ信号が伝達するのを防止する機能を有するアクロスザラインコンデンサ(以下、Xコンデンサと称する)である。4個の第2の電気電子部品17は、信号ラインとグランド間に接続され、信号ライン内のノイズをグランドに伝え、信号ライン内のノイズを減衰させ、後続の部品へノイズ信号が伝達するのを防止する機能を持つラインバイパスコンデンサ(以下、Yコンデンサと称する)である。
第1の電気電子部品としての2個のXコンデンサ16は、全体形状が直方体形状で、2つの電極箔の間に絶縁フィルムを介在させたものを巻回し、2つの電極箔の表面にそれぞれ引き出し用のリード16aが接合され、引き出し用のリード16aの先端部が外に突出するように樹脂で覆われており、並列した電位の異なる信号間を結ぶように接続され、信号ラインに発生したノイズをループさせることで後続の部品へノイズ信号が伝達するのを防止するものである。引き出し用のリード16aは、直方体形状のXコンデンサ16の一面から垂直方向に真っ直ぐ伸びている。
第2の電気電子部品としてのYコンデンサ17は、全体形状がほぼ円柱形状で、セラミック等の誘電体を二つの電極で挟み込み、各電極の表面にそれぞれ引き出し用のリード17aが接合され、円柱形状のYコンデンサ17の半径方向に真っ直ぐ伸びた引き出し用のリード17aの先端部が外に突出するように絶縁被膜で覆われており、二つのリード17aのうちの一方が信号ラインに、他方がグランドに接続され、信号ラインとグランド間に発生したノイズを減衰させ、後続の部品へノイズ信号が伝達するのを防止するものである。
主回路ユニット2は、1個のCMC15、1個のXコンデンサ16、及び2個のYコンデンサ17を用いた回路を1系統とし、これを2系統直列に接続し、各部品をプリント基板7内に構成された信号ラインやグランドに電気的に接続することでノイズを減衰させる。その他の構成は、実施の形態1、実施の形態3から5と同様である。尚、実施の形態2の構成に適用してもよい。
この発明の実施の形態6による電力変換装置によれば、大きさ、形状の異なる部品が混在するノイズフィルタ回路であっても、主回路ユニット2の無駄空間、投影面積拡大を抑制しつつ、2個のCMC15の放熱を可能とすると共に、重量の大きいCMC15の自重や振動によるプリント基板7やはんだ接合部へのストレスを低減することができる。
又、1個のCMC15、1個のXコンデンサ16、及び2個のYコンデンサ17を用いた回路を1系統とし、これを2系統直列に接続し回路を構成するノイズフィルタ回路に於いては、同じ大きさ、形状の部品同士を実施の形態2に於ける図5のように、冷却面に対して積層することができるので、外形や、大きさの違いによって生じる無駄空間を削減でき、小型化の効果はより大きくなる。
以上述べたこの発明の各実施の形態に於いて、主回路ユニット2は、外枠5に設けられた複数のボス部5aのねじ穴に螺合された複数の締結具10によって各ボス部5aの先端面にプリント基板7の実装面と反対側の面が外枠5の内壁と対向するようにプリント基板7が取り付けられることで、筐体3内の所定の位置に保持されているが、プリント基板7の実装面が外枠5の内壁と対向するようにプリント基板7が取り付けられていてもよく、これによっても、同様の効果が得られる。
又、この発明の各実施の形態に於いて、リアクトル8は、直径よりも軸方向の長さ(高さ)が低い円筒形のコア11に熱伝導率の優れた金属材料(例えば銅)で形成されたコイル材12がコア11の周方向に巻回され、複数の接続用の端子8aがリアクトル8の端面8bと平行に外側に真っ直ぐ引き出されていたが、U字形状、E字形状、I字形状等の鉄芯を組み合わせたコアに、熱伝導率の優れた金属材料(例えば銅)で形成されたコイル材12を巻回し、リアクトル8の放熱面積が最大となる面と平行に外側に真っ直ぐ複数の接続用の端子を引き出すようにしてもよい。
又、この発明の各実施の形態に於いて、主回路ユニット2は、導電率の高い金属材料(例えば銅)で形成されたパターン(図示せず)と電気絶縁性を有する樹脂材料(例えばエポキシ樹脂)で構成されたプリント基板7に各部品を電気的に接続することで構成されているが、主回路配線をパターンではなく導電率の高い金属板(例えば銅板)で形成し、その金属板を電気絶縁性の有する樹脂(例えばPPS)で形成された樹脂部品で覆うと共に、金属板に設けられた各部品の接合用の穴に各部品を電気的に接続することで構成してもよく、これにより、金属板及び樹脂部品の形状を立体的に形成することができ、部品配置の自由度が向上し、大きさ、形状の違いによって生じる無駄空間を抑制することができる。又、このように構成すれば、樹脂部品の少なくとも一部に、冷却面4aに対して平行に広がる突起部と突起部に締結用貫通穴を設け、主回路ユニット2をその突起部で冷却部4に固定することができるので、電力変換装置1の高さ方向に平行な締結作業が可能となり、筐体3に主回路ユニット2を固定する際の作業性が向上するとともに、冷却部4に取り付けられた外枠5を廃止し、カバー6を板金で容器形状に形成し、カバーを冷却部4に固定することで、同様に閉空間を構成することができ、筐体の簡素化、低コスト化を実現することができる。
又、この発明の各実施の形態に於いて、主回路ユニット2は、導電率の高い金属材料(例えば銅)で形成されたパターン(図示せず)と電気絶縁性を有する樹脂材料(例えばエポキシ樹脂)で構成されたプリント基板7に各部品を電気的に接続することで構成されているが、リアクトル8に筐体3への締結構造が付与されている場合には、主回路配線をパターンではなく導電率の優れた金属板(例えば銅板)で形成し、金属板に設けられた各部品の接合用の穴に各部品を電気的に接続することで構成してもよく、これにより、金属板及び樹脂部品の形状を立体的に形成することができ、部品配置の自由度が向上し、大きさ、形状の違いによって生じる無駄空間を抑制することができると共に、樹脂部品削減による小型化、低コスト化を実現することができる。
尚、この発明は、その発明の範囲内に於いて、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 電力変換装置、2 主回路ユニット、3 筐体、4 冷却部、4a 冷却面、4b 平面、4c フィン、4d 流路、4e 流体入口、4f 流体出口、4g 流路カバー、5 外枠、5a ボス部、6 カバー、7 プリント基板、7a 端子用貫通長穴、7b 端子用丸穴、7c 締結用貫通穴、8、15 リアクトル、81 第1のリアクトル、82 第2のりアクトル、8a、9a、15a、16a、17a 端子、8b 第1の端面、8c 第2の端面、9 電気電子部品、16 第1の電気電子部品、17 第2の電気電子部品、10 締結具、11 コア、12 コイル材、13、14、131 放熱部材

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの電気電子部品と、
    円筒形のコアと前記コアに巻回されたコイル材とを備えた複数のリアクトルと、
    前記電気電子部品と前記リアクトルとを電気的に接続する主回路配線板を有する主回路ユニットと、
    前記リアクトルを冷却する少なくとも1つの冷却面を有する冷却部と、
    を備えた電力変換装置であって、
    前記複数のリアクトルのうちの一つのリアクトルは、円筒形に形成されたコアと、前記コアの周面に露出してトロイダル状に巻回されたコイル材とを備え、軸方向の一方の端面が前記冷却部の前記冷却面に対して第1の間隙を介して対向するように配置され、
    前記複数のリアクトルのうちの他の一つのリアクトルは、円筒形に形成されたコアと、前記コアの周面に露出してトロイダル状に巻回されたコイル材とを備え、軸方向の一方の端面が前記一つのリアクトルの軸方向の他方の端面に対して第2の間隙を介して対向するように配置され、
    前記主回路配線板は、前記冷却部の前記冷却面に対して垂直方向に配置され、
    且つ、
    前記第1の間隙の少なくとも一部分に挿入され、前記一つのリアクトルの前記一方の端面と前記冷却面とに当接してこれらの形状に応じて変形し得る柔軟性を備えた放熱部材と、
    前記第2の間隙の少なくとも一部分に挿入され、前記一つのリアクトルの前記他方の端面と前記他の一つのリアクトルの前記一方の端面とに当接してこれ等の形状に応じて変形し得る柔軟性を備えた放熱部材と、
    を備えている、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記冷却部は、前記冷却面に対向する平面に、前記平面から垂直方向に延びる少なくとも1つのフィンを備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記冷却部は、前記冷却面に対向する平面を内壁とする少なくとも1つの密閉された流路を備え、
    前記流路は、少なくとも1つの流体入口と、少なくとも1つの流体出口を備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  4. 前記主回路配線板は、プリント基板で構成されている、
    ことを特徴とする請求項1から3のうちの何れか一項に記載の電力変換装置。
  5. 前記主回路配線板は、板金で構成されている、
    ことを特徴とする請求項1からのうちの何れか一項に記載の電力変換装置。
  6. 前記板金は、電気絶縁性を有する樹脂フレームで覆われている、
    ことを特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
  7. 前記主回路配線板は、前記リアクトルの軸方向の端面と垂直方向に長さ方向が伸びる端子用貫通長穴を備え、
    前記リアクトルの端子は、前記端子用貫通長穴に挿入されている、
    ことを特徴とする請求項1から6のうちの何れか一項に記載の電力変換装置。
  8. 前記放熱部材は、グリースにより形成されている、
    ことを特徴とする請求項1から7のうちの何れか一項に記載の電力変換装置。
  9. 前記放熱部材は、接着性を有する材料で形成されている、
    ことを特徴とする請求項1からのうちの何れか一項に記載の電力変換装置。
  10. 前記放熱部材は、電気絶縁性を有する材料で形成されている、
    ことを特徴とする請求項1からのうちの何れか一項に記載の電力変換装置。
  11. 前記主回路ユニットは、コモン・モード・チョークコイルとしての前記リアクトルと、ラインバイパスコンデンサと、アクロスザラインコンデンサと、前記主回路配線板を備え、ノイズフィルタとして機能する回路ユニットである、
    ことを特徴とする請求項1から10のうちの何れか一項に記載の電力変換装置。
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