JP6188170B2 - グロープラグの故障診断方法及びグロープラグ故障診断装置 - Google Patents
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Description
かかるグロープラグ診断の基本的な手法としては、例えば、グロープラグの電流を検出し、その値が所定の閾値を超えている場合に故障と判断する手法が一般的である。
すなわち、上述の従来のグロープラグの故障判断は、グロープラグの電流が、グロープラグの故障と判断できる閾値を超えているか否かによって行われるものであるが、故障判断の基準となる閾値は、グロープラグ制御装置が用いられる温度範囲、例えば、−40℃〜105℃を考慮して、試験結果やシミュレーション結果を基に好適な一つの値を設定して用いるものとなっている。
グロープラグが、バッテリとグランドとの間に、通電制御用半導体素子及びシャント抵抗器と共に直列接続されて設けられる一方、前記グロープラグの通電制御を可能とするために前記通電制御用半導体素子の動作制御可能に構成されてなる演算制御部と、前記シャント抵抗器の電圧を前記演算制御部へ供給可能に構成されてなる計測回路とが、前記シャント抵抗器と共に同一の筐体内に設けられ、前記シャント抵抗器の両端の電圧が、前記演算制御部による前記グロープラグの電圧、電流の認識に供されるよう構成されてなるグロープラグ故障診断装置におけるグロープラグの故障診断方法であって、
前記計測回路を介して得られた前記シャント抵抗器の電圧を、前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正電圧とすると共に、前記シャント抵抗器の所定の標準値を前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正抵抗値とし、
前記シャント補正電圧を前記シャント補正抵抗値で除し、その除算結果を前記グロープラグの電流であるグロー電流とし、
前記グロー電流が所定の閾値を越える場合に、前記グロープラグの故障と判断し、
前記計測回路は、前記筐体内の温度を検出する温度検出素子と、前記シャント抵抗器の両端の電圧を増幅、出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力電圧をディジタル値として前記演算制御部へ入力するアナログ・ディジタル変換器と、を有してなり、
前記シャント補正電圧は、前記演算増幅器及びアナログ・ディジタル変換器を介して得られる前記シャント抵抗器の両端子間の電圧に増幅・変換補正係数を乗じて算出され、前記増幅・変換補正係数は、前記筐体内温度を入力として増幅・変換補正係数算出式により算出され、前記増幅・変換補正係数算出式は、前記筐体内温度の変化による前記演算増幅器の特性変動をも含んだ前記アナログ・ディジタル変換器の出力値を、前記筐体内温度の変動が生じても、前記シャント抵抗器の両端子間の正しい電圧値が得られるよう補正するための補正係数を算出可能に予め設定されたものであり、
前記シャント補正抵抗値は、前記筐体内の温度と標準温度との温度差と前記シャント抵抗器の温度係数との乗算値を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に乗じ、その乗算結果を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に、前記温度係数の正負に応じて加減算して求められたものとして構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るグロープラグ故障診断装置は、
グロープラグが、バッテリとグランドとの間に、通電制御用半導体素子及びシャント抵抗器と共に直列接続されて設けられる一方、前記グロープラグの通電制御を可能とするために前記通電制御用半導体素子の動作制御可能に構成されてなる演算制御部と、前記シャント抵抗器の電圧を前記演算制御部へ供給可能に構成されてなる計測回路とが、前記シャント抵抗器と共に同一の筐体内に設けられ、前記シャント抵抗器の両端の電圧が、前記演算制御部による前記グロープラグの電圧、電流の認識に供されるよう構成されてなるグロープラグ故障診断装置であって、
前記演算制御部は、
前記計測回路を介して得られた前記シャント抵抗器の電圧を、前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正電圧として算出すると共に、前記シャント抵抗器の所定の標準値を前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正抵抗値として算出し、
前記シャント補正電圧を前記シャント補正抵抗値で除し、その除算結果を前記グロープラグの電流であるグロー電流とし、
前記グロー電流が所定の閾値を越える場合に、前記グロープラグの故障と判断するよう構成されてなり、
前記計測回路は、前記筐体内の温度を検出する温度検出素子と、前記シャント抵抗器の両端の電圧を増幅、出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力電圧をディジタル値として前記演算制御部へ入力するアナログ・ディジタル変換器と、を有してなり、
前記シャント補正電圧は、前記演算増幅器及びアナログ・ディジタル変換器を介して得られる前記シャント抵抗器の両端子間の電圧に増幅・変換補正係数を乗じて算出され、前記増幅・変換補正係数は、前記筐体内の温度を入力として増幅・変換補正係数算出式により算出され、前記増幅・変換補正係数算出式は、前記筐体内の温度の変化による前記演算増幅器の特性変動をも含んだ前記アナログ・ディジタル変換器の出力値を、前記筐体内の温度の変動が生じても、前記シャント抵抗器の両端子間の正しい電圧値が得られるよう補正するための補正係数を算出可能に予め設定されたものであり、
前記シャント補正抵抗値は、前記筐体内の温度と標準温度との温度差と前記シャント抵抗器の温度係数との乗算値を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に乗じ、その乗算結果を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に、前記温度係数の正負に応じて加減算して求められるよう構成されてなるものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるグロープラグ故障診断装置は、グロープラグ駆動制御装置によって実現されるものとなっており、図1には、かかるグロープラグ駆動制御装置の構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、本発明の実施の形態におけるグロープラグ故障診断装置を実現するグロープラグ駆動制御装置(以下「GCU」と称する)100について説明する。
本発明の実施の形態におけるGCU100は、通電駆動回路51と、計測回路52と、演算制御部(図1においては「CPU」と表記)53とに大別されて構成されたものとなっている。なお、これら通電駆動回路51、計測回路52、及び、演算制御部53は、適宜な筐体(図示せず)内に収納されるものとなっている。
すなわち、まず、通電制御用半導体素子2は、例えば、MOS FETなどが用いられ、そのドレインは、車両用バッテリ4の正極に、ソースは、シャント抵抗器3を介してグロープラグ1の正極側に接続され、グロープラグ1の負極側は、アースに接続されたものとなっている。また、通電制御用半導体素子2のゲートには、演算制御部53からの制御信号が印加されるようになっており、通電制御用半導体素子2の導通、非導通が制御可能となっている。
すなわち、まず、演算増幅器5には、シャント抵抗器3の両端の電圧が入力されるようになっており、その入力電圧は、次段のアナログ・ディジタル変換器6の入力に適した電圧に増幅され、出力されるようになっている。そして、演算増幅器5の出力電圧は、アナログ・ディジタル変換器6によりディジタル値として演算制御部53に入力されるようになっている。
この温度検出素子7の出力信号は、演算制御部53に入力され、演算制御部53においてディジタル信号に変換されて、演算制御部53において実行される後述のグロープラグの故障診断処理に供されるようになっている。
具体的には、まず、演算制御部53において、計測回路52により入力されたシャント抵抗器3の電圧降下の大きさと、予め把握されているシャント抵抗器3の抵抗値とからシャント抵抗器3を流れる電流が、グロープラグ1を流れる電流として演算算出される。そして、グロープラグ1の実際の印加電圧を、上述の算出された電流値で除することでグロープラグ1の実際の抵抗値が求められる。
一方、演算制御部53は、エンジン制御用の電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)200からグロープラグ1の設定温度及びベースとなるグロープラグ1の印加電圧が指示されるようになっている。この設定温度は、エンジン制御用の電子制御ユニット200において、エンジンの動作状況に応じて決定されるものである。また、ベースとなるグロープラグ印加電圧は、エンジン制御用の電子制御ユニット200において、各グロープラグ設定温度及びエンジンの動作状況に応じて、予め把握されているグロープラグ1の電気的特性に基づいて設定された演算式やマップ等を用いて定められるようになっているものである。
まず、図2に示されたサブルーチンフローチャートは、演算制御部53において従来同様実行されるグロープラグ1の通電駆動制御などと共に演算制御部53において実行される種々のサブルーチン処理の一つとなっているものである。
すなわち、シャント抵抗器3の電圧が、演算増幅器5及びアナログ・ディジタル変換器6を介してディジタル値として演算制御部53に取り込まれ、適宜な記憶領域に記憶、保持されることとなる。
ここで、抵抗補正係数Krは、筐体内温度変化を考慮したシャント抵抗器3の実抵抗値を後述するように演算算出する際に用いられる補正係数であり、増幅・変換補正係数Kdは、筐体内温度変化を考慮したアナログ・ディジタル変換器6の正しい出力値を後述するように演算算出する際に用いられる補正係数である。特に、増幅・変換補正係数Kdは、筐体内温度変化による演算増幅器5の出力信号の変動をも包含したものである。
すなわち、抵抗補正係数マップは、予め試験やシミュレーション結果に基づいて、種々の筐体内温度に対する抵抗補正係数Krが、筐体内温度を入力パラメータとして読み出し可能に構成されたものであり、演算制御部53の適宜な記憶領域に予め記憶されたものとなっている。また、抵抗補正係数算出式は、抵抗補正係数マップ同様に、予め試験やシミュレーション結果に基づいて、筐体内温度を引数として、抵抗補正係数Krが算出できるよう設定された式である。
なお、本発明の実施の形態においては、演算増幅器5とアナログ・ディジタル変換器6の双方を併せた増幅率は1に設定されている。したがって、下記の式2で得られる電圧値は、演算増幅器5とアナログ・ディジタル変換器6を介したシャント抵抗器3の両端の電圧となる。
また、f(Tu)は、先の増幅・変換補正係数Kdを算出する増幅・変換補正係数算出式であり、Kd=f(Tu)と表されるものである。このf(Tu)は、試験結果やシミュレーション結果等に基づいて設定されたもので、Tuは、先のステップS104で得られた筐体内温度である。
すなわち、f(Tu)は、筐体内温度の変化による演算増幅器5の特性変動をも含んだアナログ・ディジタル変換器6のディジタル出力値の変動が生じても、シャント抵抗器3の両端の電圧について、本来の正しい値が得られるよう筐体内温度を入力パラメータとして増幅・変換補正係数Kdが定められるよう試験結果やシミュレーション結果に基づいて設定されたものである。
すなわち、まず、シャント補正抵抗値Rsは、先の式1により求められる。
次いで、シャント補正電圧VTは、先の式2によって求められる。
すなわち、グロープラグ1を流れる電流(グロー電流)Igは、シャント抵抗器3を流れる電流でもあるので、下記する式3により求められる。
次いで、ステップS112において、上述のグロー電流Igを基にグロープラグの故障判定が行われることとなる。
すなわち、グロー電流Igが所定の閾値Kを超えているか否かが判定され、所定の閾値を超えていないと判定された場合(NOの場合)には、正常であるとされ(図2のステップS114参照)、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ戻り、グロープラグ1の通電制御が継続されることとなる。
本発明の実施の形態においては、先に述べたようにグロー電流Igは、グロープラグ駆動制御装置100の筐体温度に対応して補正されたシャント抵抗器3の両端の電圧VT及び抵抗値Rsに基づいて求められたものであるため、従来と異なり、閾値K自体が、グロー電流Igの適否を判断する基準として適切で無くなるようなことが確実に回避され、ステップS112における判定は、従来と異なり、精度が高く、信頼性の高いものとなる。
Claims (2)
- グロープラグが、バッテリとグランドとの間に、通電制御用半導体素子及びシャント抵抗器と共に直列接続されて設けられる一方、前記グロープラグの通電制御を可能とするために前記通電制御用半導体素子の動作制御可能に構成されてなる演算制御部と、前記シャント抵抗器の電圧を前記演算制御部へ供給可能に構成されてなる計測回路とが、前記シャント抵抗器と共に同一の筐体内に設けられ、前記シャント抵抗器の両端の電圧が、前記演算制御部による前記グロープラグの電圧、電流の認識に供されるよう構成されてなるグロープラグ故障診断装置におけるグロープラグの故障診断方法であって、
前記計測回路を介して得られた前記シャント抵抗器の電圧を、前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正電圧とすると共に、前記シャント抵抗器の所定の標準値を前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正抵抗値とし、
前記シャント補正電圧を前記シャント補正抵抗値で除し、その除算結果を前記グロープラグの電流であるグロー電流とし、
前記グロー電流が所定の閾値を越える場合に、前記グロープラグの故障と判断し、
前記計測回路は、前記筐体内の温度を検出する温度検出素子と、前記シャント抵抗器の両端の電圧を増幅、出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力電圧をディジタル値として前記演算制御部へ入力するアナログ・ディジタル変換器と、を有してなり、
前記シャント補正電圧は、前記演算増幅器及びアナログ・ディジタル変換器を介して得られる前記シャント抵抗器の両端子間の電圧に増幅・変換補正係数を乗じて算出され、前記増幅・変換補正係数は、前記筐体内温度を入力として増幅・変換補正係数算出式により算出され、前記増幅・変換補正係数算出式は、前記筐体内温度の変化による前記演算増幅器の特性変動をも含んだ前記アナログ・ディジタル変換器の出力値を、前記筐体内温度の変動が生じても、前記シャント抵抗器の両端子間の正しい電圧値が得られるよう補正するための補正係数を算出可能に予め設定されたものであり、
前記シャント補正抵抗値は、前記筐体内の温度と標準温度との温度差と前記シャント抵抗器の温度係数との乗算値を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に乗じ、その乗算結果を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に、前記温度係数の正負に応じて加減算して求められたものであることを特徴とするグロープラグの故障診断方法。 - グロープラグが、バッテリとグランドとの間に、通電制御用半導体素子及びシャント抵抗器と共に直列接続されて設けられる一方、前記グロープラグの通電制御を可能とするために前記通電制御用半導体素子の動作制御可能に構成されてなる演算制御部と、前記シャント抵抗器の電圧を前記演算制御部へ供給可能に構成されてなる計測回路とが、前記シャント抵抗器と共に同一の筐体内に設けられ、前記シャント抵抗器の両端の電圧が、前記演算制御部による前記グロープラグの電圧、電流の認識に供されるよう構成されてなるグロープラグ故障診断装置であって、
前記演算制御部は、
前記計測回路を介して得られた前記シャント抵抗器の電圧を、前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正電圧として算出すると共に、前記シャント抵抗器の所定の標準値を前記筐体内の温度に基づいて補正してシャント補正抵抗値として算出し、
前記シャント補正電圧を前記シャント補正抵抗値で除し、その除算結果を前記グロープラグの電流であるグロー電流とし、
前記グロー電流が所定の閾値を越える場合に、前記グロープラグの故障と判断するよう構成されてなり、
前記計測回路は、前記筐体内の温度を検出する温度検出素子と、前記シャント抵抗器の両端の電圧を増幅、出力する演算増幅器と、前記演算増幅器の出力電圧をディジタル値として前記演算制御部へ入力するアナログ・ディジタル変換器と、を有してなり、
前記シャント補正電圧は、前記演算増幅器及びアナログ・ディジタル変換器を介して得られる前記シャント抵抗器の両端子間の電圧に増幅・変換補正係数を乗じて算出され、前記増幅・変換補正係数は、前記筐体内の温度を入力として増幅・変換補正係数算出式により算出され、前記増幅・変換補正係数算出式は、前記筐体内の温度の変化による前記演算増幅器の特性変動をも含んだ前記アナログ・ディジタル変換器の出力値を、前記筐体内の温度の変動が生じても、前記シャント抵抗器の両端子間の正しい電圧値が得られるよう補正するための補正係数を算出可能に予め設定されたものであり、
前記シャント補正抵抗値は、前記筐体内の温度と標準温度との温度差と前記シャント抵抗器の温度係数との乗算値を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に乗じ、その乗算結果を、前記シャント抵抗器の前記標準温度における抵抗値に、前記温度係数の正負に応じて加減算して求められたものであることを特徴とするグロープラグ故障診断装置。
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