JP6186408B2 - 酸化物超電導線材およびその接続構造体 - Google Patents

酸化物超電導線材およびその接続構造体 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物超電導線材およびその接続構造体に関する。
超電導線材としては、複数の超電導線材を超電導層側が向い合うように接合した複合型の超電導線材がある(例えば、特許文献1を参照)。
実際に超電導線材をコイルやケーブルなどに使用する際は、このような複合型の超電導線材どうしを接続させることが必要となる場合がある。また、例えば超電導コイルに通電するために、複合型の超電導線材と電極とを接続する場合もある。
特表2003−505887号公報
特許文献1に示される超電導線材では、超電導線材どうしを接続する場合、あるいは電極に接続する場合、基材側で接続する必要があるが、基材側での接続は、超電導層側で接続する場合に比べて接続抵抗が大きくなる(例えば1000倍以上となる)という問題がある。基材側で接合された複合型超電導線材は、超電導層同士での接続が可能になるが、超電導線材に電流を流す場合に、片方の超電導線材にしか電流が流れない虞がある。
本発明の一態様は、超電導線材を超電導層側が向い合うように接合した複合型の超電導線材を接続する際に、接続抵抗を低くできる酸化物超電導線材およびその接続構造体を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、酸化物超電導線材であって、1または複数の第1層超電導線材と、複数の第2層超電導線材とを有し、前記第1層超電導線材および前記第2層超電導線材は、それぞれ、テープ状の基材と前記基材に積層された酸化物超電導層とを有し、前記第1層超電導線材と前記第2層超電導線材とは、前記酸化物超電導層側の接合面を向い合せて互いに接合され、前記複数の第2層超電導線材は、幅方向に間隔をおいて並列され、それらの隙間の少なくとも1つにおいて前記第1層超電導線材の前記接合面が露出し、前記酸化物超電導線材の全幅をwとし、前記第2層超電導線材の数をm(mは2以上の自然数)とし、前記第2層超電導線材の幅をそれぞれb(k=1,2,…m)として、次に示す式(1)が成立する、酸化物超電導線材を提供する。
Figure 0006186408
この構成によれば、前記隙間等において第1層超電導線材の接合面を露出させることができる。そのため、接続構造体において、前記隙間に導電性材料が充てんされることにより、導電性材料が、露出した接合面に接する。よって、酸化物超電導線材の間の接続抵抗を低減できる。
本発明の一態様は、前記第1層超電導線材の数をn(nは2以上の自然数)とし、前記第1層超電導線材の幅をa(k=1,2,…n)として、次に示す式(2)が成立することが好ましい。
Figure 0006186408
この構成によれば、第1層超電導線材の隙間等において第2層超電導線材の接合面を露出させることができる。
前記複数の第1層超電導線材は、幅方向に間隔をおいて並列され、それらの隙間の少なくとも1つにおいて前記第2層超電導線材の前記接合面が露出することが好ましい。
この構成によれば、表裏いずれの面においても、他の線材等との接続が可能となる。
前記複数の第1層超電導線材のうち少なくとも1つは、前記第2層超電導線材の外側縁より幅方向外方に張り出して形成されている構成とすることができる。
この構成によれば、張出し部分において接合面を露出させることができる。そのため、接続構造体において、その接合面を介して電気的な接続を確保することができる。よって、接続構造体における接続抵抗を低減できる。
前記第1層超電導線材の外面および前記第2層超電導線材の外面には、それぞれ、前記外面を覆う外周安定化層が設けられている構成とすることができる。
この構成によれば、第1層超電導線材および第2層超電導線材を保護し、その破損を防ぐことができる。
前記第1層超電導線材および前記第2層超電導線材の外面には、前記第1層超電導線材および前記第2層超電導線材の外面を一括して覆う外周安定化層が設けられていてもよい。
この構成によれば、第1層超電導線材および第2層超電導線材を保護し、その破損を防ぐことができる。
本発明の一態様は、第1層超電導線材と、第2層超電導線材とを有し、前記第1層超電導線材および前記第2層超電導線材は、それぞれ、テープ状の基材と前記基材に積層された酸化物超電導層とを有し、前記第1層超電導線材と前記第2層超電導線材とは、前記酸化物超電導層側の接合面を向い合せて互いに接合され、前記第1層超電導線材と前記第2層超電導線材の少なくとも一方の超電導線材は、厚さ方向に貫通して他方の超電導線材の前記接合面を露出させる貫通部を有し、前記貫通部は、前記超電導線材の長手方向に不連続に形成されている、酸化物超電導線材を提供する。
この構成によれば、貫通部が設けられた超電導線材の幅寸法、幅方向位置などを、相手側の超電導線材に対して大きく変える必要がない。
本発明の一態様は、複数の前記酸化物超電導線材が、導電性材料を介して互いに接合され、前記導電性材料は、前記隙間または前記貫通部に充てんされることにより、前記露出した接合面に直接または間接的に接している、酸化物超電導線材の接続構造体を提供する。
この構成によれば、隙間または貫通部に導電性材料が充てんされることにより、導電性材料は、露出した接合面に接する。よって、酸化物超電導線材の間の接続抵抗を低減できる。
本発明の一態様によれば、接続構造体において超電導線材の隙間に導電性材料が充てんされることにより、導電性材料は、露出した接合面に接する。したがって、酸化物超電導線材の間の接続抵抗を低減できる。
本発明の酸化物超電導線材の第1実施形態を模式的に示す斜視図である。 前図に示す酸化物超電導線材を用いた接続構造体の一例を模式的に示す断面図である。 第1実施形態の酸化物超電導線材の変形例を模式的に示す断面図である。 本発明の酸化物超電導線材の第2実施形態を模式的に示す断面図である。 前図に示す酸化物超電導線材を用いた接続構造体の一例を模式的に示す断面図である。 第2実施形態の酸化物超電導線材の変形例を模式的に示す断面図である。 本発明の酸化物超電導線材の第3実施形態を模式的に示す断面図である。 前図に示す酸化物超電導線材を用いた接続構造体の一例を模式的に示す断面図である。 第3実施形態の酸化物超電導線材の変形例を模式的に示す断面図である。 (A)本発明の酸化物超電導線材の第4実施形態を模式的に示す斜視図である。(B)(A)のA1−A1断面を示す図である。(C)(A)のA2−A2断面を示す図である。 本発明の酸化物超電導線材の第5実施形態を模式的に示す斜視図である。 前図に示す酸化物超電導線材を用いた接続構造体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の接続構造体に適用可能な接続形態の一例を模式的に示す図である。 本発明の接続構造体に適用可能な接続形態の他の例を模式的に示す図である。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の第1実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、一部の図に、XYZ直交座標系を記載した。Y方向は線材の長手方向である。X方向は、線材表面の面内であってY方向と直交する方向であり、線材の幅方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する方向であり、線材の厚み方向である。
[第1実施形態の酸化物超電導線材]
図1は、本発明に係る酸化物超電導線材の第1実施形態である酸化物超電導線材8を模式的に示す斜視図である。酸化物超電導線材8は、複数の第1層超電導線材1と、複数の第2層超電導線材2とを有する。
第1層超電導線材1は、テープ状の基材10と、基材10に積層された酸化物超電導層11とを有する。第1層超電導線材1は、基材10に、中間層(図示略)と、酸化物超電導層11と、安定化層(図示略)とが順に積層された構造を有することが好ましい。
基材10は、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)に代表されるニッケル合金;ステンレス鋼;ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが適用される。基材10の厚みは、例えば10〜500μmの範囲とすることができる。
中間層は、基材10上に形成される。中間層は、一例として、基材側から順に拡散防止層とベッド層と配向層とキャップ層の積層構造とすることができる。拡散防止層とベッド層の一方あるいは両方を略してもよい。
拡散防止層は、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成され、例えば厚み10〜400nmに形成される。
ベッド層は、界面反応性を低減し、その上に形成される膜の配向性を得るため層であり、Y、Er、CeO、Dy3、Er、Eu、Ho、La等からなり、その厚みは例えば10〜100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなり、具体的には、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等からなる。キャップ層の膜厚は50〜5000nmの範囲に形成できる。
酸化物超電導層11は酸化物超電導体として公知のものでよく、具体的には、RE−123系と呼ばれるREBaCu7−X(REは希土類元素であるY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種または2種以上を表す)を例示できる。
酸化物超電導層11の具体例としては、Y123(YBaCu7−X)、Gd123(GdBaCu7−X)などがある。これらの銅酸化物超電導体は、母物質が絶縁体であるが、酸素アニール処理により酸素を取り込むことで結晶構造の整った酸化物超電導体となり、超電導特性を示す性質をもつ。
酸化物超電導層11の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
安定化層としては、AgまたはAg合金の第1層の上に、CuまたはCu合金(Cu−Zn合金、Cu−Ni合金等)の第2層が積層された構造を例示できる。AgまたはAg合金の第1層は例えばスパッタ法などにより形成される。CuまたはCu合金の第2層は例えばめっき、テープ材などにより形成される。
安定化層は、何らかの要因で超電導から常電導に転移した際の電流パスとして機能する。安定化層は、例えば、厚み1μm以上30μm以下で形成される。
第2層超電導線材2は、テープ状の基材20と、基材20に積層された酸化物超電導層21とを有する。
第2層超電導線材2は、基材20に、中間層(図示略)と、酸化物超電導層21と、安定化層(図示略)とが順に積層された構造を有することが好ましい。
基材20、中間層、酸化物超電導層21、安定化層は、それぞれ第1層超電導線材1の基材10、中間層、酸化物超電導層11、安定化層と同様の構成を有するため、その説明を省略する。
複数の第1層超電導線材1は、幅方向(X方向)に間隔をおいて並列されている。複数の第2層超電導線材2は、幅方向(X方向)に間隔をおいて並列されている。
第1層超電導線材1と第2層超電導線材2とは、酸化物超電導層11,21側の表面である接合面15,25を向い合せて、導電性材料からなる導電性層7を介して互いに接合されている。
図1では、第1層超電導線材1と第2層超電導線材2とは、幅方向(X方向)に位置を違えて互いに接合されている。第2層超電導線材2と重なっていない部分において、第1層超電導線材1の接合面15(酸化物超電導層11側の表面)は露出している。また、第1層超電導線材1と重なっていない部分において、第2層超電導線材2の接合面25(酸化物超電導層21側の表面)は露出している。
幅方向に隣り合う第1層超電導線材1,1の間に確保された空間を隙間13という。隙間13において第2層超電導線材2の接合面25は露出している。幅方向に隣り合う第2層超電導線材2,2の間に確保された空間を隙間23という。隙間23において第1層超電導線材1の接合面15は露出している。
なお、「露出する」とは、その表面に、後述する導電性層9(導電部)が形成されたときに、導電性層9と電気的に接続されるような状態をいう。例えば、露出した接合面15,25が導電性層7に覆われていても、導電性層7の表面に導電性層9が形成されれば、導電性層7を介して接合面15,25と導電性層9とが電気的に接続されるため、接合面15,25は露出した状態にあるいえる。
隙間13は、第1層超電導線材1を厚さ方向に貫通して第2層超電導線材2の接合面25を露出させる貫通部である。隙間23は、第2層超電導線材2を厚さ方向に貫通して第1層超電導線材1の接合面15を露出させる貫通部である。
幅方向の最も一方側にある第1層超電導線材1(1A)は、幅方向の一部が第2層超電導線材2(2A)の外側縁2aよりも幅方向の外方(第2層超電導線材2から離れる方向)に張り出している。この部分を張出し部分16Aという。
幅方向の最も他方側にある第1層超電導線材1(1D)は、幅方向の一部が第2層超電導線材2(2D)の外側縁2bよりも幅方向の外方(第2層超電導線材2から離れる方向)に張り出している。この部分を張出し部分16Bという。
図1では、第2層超電導線材2(2A)は、一側縁を含む部分が長さ方向にわたって第1層超電導線材1(1A)と接合され、他側縁を含む部分が長さ方向にわたって第1層超電導線材1(1B)と接合されている。同様に、第2層超電導線材2(2B)は、一側縁を含む部分が第1層超電導線材1(1B)と接合され、他側縁を含む部分が第1層超電導線材1(1C)と接合されている。
このように、第2層超電導線材2は、一側部および他側部が、隣り合う第1層超電導線材1,1にまたがって接合されている。
第1層超電導線材1(1A)は、一側縁を含む部分が長さ方向にわたって第2層超電導線材2(2A)と接合されている。第1層超電導線材1(1B)は、一側縁を含む部分が長さ方向にわたって第2層超電導線材2(2A)と接合され、他側縁を含む部分が長さ方向にわたって第2層超電導線材2(2B)と接合されている。第1層超電導線材1(1C)は、一側縁を含む部分が第2層超電導線材2(2B)と接合され、他側縁を含む部分が第2層超電導線材2(2C)と接合されている。第1層超電導線材1(1D)は、他側縁を含む部分が長さ方向にわたって第2層超電導線材2(2D)と接合されている。
このように、第1層超電導線材1は、幅方向の最も一方側および他方側にある第1層超電導線材1(1A,1D)を除いて、隣り合う第2層超電導線材2,2にまたがって接合されている。幅方向の最も一方側にある第1層超電導線材1(1A)は、一側部が第2層超電導線材2に接合されている。幅方向の最も他方側にある第1層超電導線材1(1D)は、他側部が第2層超電導線材2に接合されている。
第2層超電導線材2の幅をb(k=1,2,…m)とする。すなわち、幅方向の一方側から他方側に並ぶ複数の第2層超電導線材2の幅を、並び順にそれぞれb,b,・・・bとする。第2層超電導線材2の数mは2以上の自然数である。幅b,b,・・・bは、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
第2層超電導線材2の幅の合計と、酸化物超電導線材8の全幅wとは、次の式(1)を満たす。
Figure 0006186408
第2層超電導線材2の幅が式(1)を満たすことによって、隙間23等において接合面15(酸化物超電導層11側の表面)を露出させることができる。
酸化物超電導線材8では、酸化物超電導線材8の全幅wは、隙間13を含めた第1層超電導線材1の全幅と等しい。
なお、酸化物超電導線材8では、第2層超電導線材2の幅の合計が、隙間23を含めた第2層超電導線材2の全幅より小さければ、隙間23を確保することができる。
第1層超電導線材1の幅をa(k=1,2,…n)とする。すなわち、幅方向の一方側から他方側に並ぶ複数の第1層超電導線材1の幅を、並び順にそれぞれa,a,・・・aとする。第1層超電導線材1の数nは2以上の自然数である。幅a,a,・・・aは、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
第1層超電導線材1の幅の合計と、酸化物超電導線材8の全幅wとは、次の式(2)を満たすことが好ましい。
Figure 0006186408
第1層超電導線材1の幅の合計が式(2)を満たすことによって、隙間13等において接合面25(酸化物超電導層21側の表面)を露出させることができる。これによって、第1層超電導線材1側に他の線材等を接合する際に、接続抵抗を低減できる。
なお、酸化物超電導線材8では、第1層超電導線材1の幅の合計が、隙間13を含めた第1層超電導線材1の全幅より小さければ、隙間13を確保することができる。
[第1実施形態の接続構造体]
本発明に係る酸化物超電導線材の接続構造体の第1実施形態である接続構造体100について、図2を参照しつつ説明する。
図2は、接続構造体100の断面図であり、詳しくは、一対の酸化物超電導線材8,8を互いに接続した接合部を示す断面図である。
接続構造体100は、図13に示すように、互いに接合された一対の酸化物超電導線材8(8A,8B)からなる構造であってよい。一対の酸化物超電導線材8(8A,8B)は、一方の酸化物超電導線材8(8A)の一端部8aを含む領域と、他方の酸化物超電導線材8(8B)の一端部8bを含む領域とが、厚さ方向に重ね合わされて接合されている。すなわち、接続構造体100は、一対の酸化物超電導線材8(8A,8B)の端部を接合して長手方向に繋ぎ合せた構造である。
接続構造体100は、図14に示すように、一対の酸化物超電導線材8(8A,8B)と、これらを中継接続する第3の酸化物超電導線材8(8C)とからなる構造であってもよい。
この構造では、第3の酸化物超電導線材8(8C)の一端部8cを含む領域は、一方の酸化物超電導線材8(8A)の一端部8aを含む領域に重ね合わされて接合されている。第3の酸化物超電導線材8(8C)の他端部8dを含む領域は、他方の酸化物超電導線材8(8B)の一端部8bを含む領域に重ね合わされて接合されている。
これによって、一対の酸化物超電導線材8(8A,8B)は、第3の酸化物超電導線材8(8C)を介して接続される。
図2に示すように、一対の酸化物超電導線材8,8は、第2層超電導線材2,2を向い合せた状態で互いに接合されている。
一方の酸化物超電導線材8(8A)の第2層超電導線材2と、他方の酸化物超電導線材8(8B)の第2層超電導線材2とは、幅方向(X方向)の位置が同じであり、対面配置されている。そのため、一方の酸化物超電導線材8(8A)の隙間23と、他方の酸化物超電導線材8(8B)の隙間23とは、酸化物超電導線材8(8A,8B)の厚さ方向に対向する位置にある。
酸化物超電導線材8(8A)と酸化物超電導線材8(8B)との間には、半田等の導電性材料が充てんされることにより導電性層9(導電部)が形成されている。導電性層9は、酸化物超電導線材8(8A)と酸化物超電導線材8(8B)との間の空間全体を埋めるように形成されている。
導電性層9は、隙間13,23等だけでなく、第1層超電導線材1の張出し部分16A,16Bの接合面15に面する空間17にも形成される。導電性層9は、導電性層7と一体化させることができる。
導電性層9は、隙間23および空間17に露出した第1層超電導線材1の接合面15に接している。導電性層9は、隙間23に面する第2層超電導線材2の側面において、接合面25に接している。導電性層9は、空間17においても接合面25に接している。導電性層9は、直接、接合面15,25に接してもよいし、導電性層7を介して間接的に接合面15,25に接してもよい。
導電性層9が直接、接合面15,25に接する場合には、導電性層9と接合面15,25とは電気的に接続され、導通可能となる。導電性層9が導電性層7を介して間接的に接合面15,25に接する場合にも、導電性層9と接合面15,25とは電気的に接続され、導通可能となる。
[接続構造体の製造方法]
接続構造体100を製造するには、まず、一対の酸化物超電導線材8,8を作製する。
酸化物超電導線材8を作製するには、第1層超電導線材1と複数の第2層超電導線材2とを、酸化物超電導層11,21を向い合せた状態とし、それらの間に、半田等の導電性材料を用いて導電性層7を形成する。これによって、第1層超電導線材1と第2層超電導線材2とを導電性層7を介して互いに接合させる。これによって、図1に示す酸化物超電導線材8を得る。
次いで、一対の酸化物超電導線材8,8を、第2層超電導線材2,2を向い合せた状態とし、それらの間に半田等の導電性材料を充てんすることによって導電性層9を形成する。これによって、酸化物超電導線材8,8を互いに接合させ、図2に示す接続構造体100を得る。
導電性材料としては、例えば、Sn系、Sn−Pb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系、In系、Sn−In系などの半田が使用できる。なお、導電性材料としては、半田以外の金属を用いてもよい。
酸化物超電導線材8は、隙間23および空間17を確保して設けられているため、接続構造体100において隙間23および空間17に導電性層9が形成されることにより、導電性層9は、第1層超電導線材1の酸化物超電導層11および第2層超電導線材2の酸化物超電導層21に接する。よって、接続構造体100において、酸化物超電導線材8,8の間の接続抵抗を低減できる。
複数の超電導線材を接合した複合型の超電導線材は、互いに接続する際の接続抵抗が大きくなるという問題が起こりやすいが、酸化物超電導線材8では、複合型であるにもかかわらず、接続抵抗を抑制できる。
酸化物超電導線材8では、第1層超電導線材1と第2層超電導線材2とを有する複合型の超電導線材であるため、大容量化が可能である。また、必要に応じて第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の数を増やせば、容易に、さらなる大容量化が可能となる。
酸化物超電導線材8は、第1層超電導線材1の酸化物超電導層11の一部および第2層超電導線材2の酸化物超電導層12の一部が露出するため、表裏いずれの面においても、他の線材等との接続が可能となる。使用時の酸化物超電導線材8の向きに関する制限が少ないため、取扱い性の点で優れている。
酸化物超電導線材8では、第1層超電導線材1と第2層超電導線材2とが酸化物超電導層11,21側の表面を向い合せて接合されている。酸化物超電導層11,21が厚さ方向の内部側に位置するため、酸化物超電導線材8を曲げた際に、曲げによって外周面側の部分に大きな力が加えられた場合でも、良好な接続を確保し、超電導特性の低下を回避できる。
酸化物超電導線材8は、張出し部分16A,16Bにおいて接合面15を露出させることができる。そのため、接続構造体100において、接合面15を介して電気的な接続を確保することができる。よって、接続構造体100における接続抵抗を低減できる。
酸化物超電導線材8では、(導電性材料が充てんされる)隙間23等の、平面視における面積を大きくすると接続抵抗を小さくするうえで有利となるため、第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の幅(線幅)は、極力小さくするのが好ましい。
なお、接続構造体100は、第2層超電導線材2,2を向い合せた状態として酸化物超電導線材8,8を互いに接合させたが、第1層超電導線材1,1を向い合せた状態として酸化物超電導線材8,8を互いに接合させてもよい。また、第1層超電導線材1と第2層超電導線材2とを向い合せて酸化物超電導線材8,8を互いに接合させてもよい。
[第1実施形態の酸化物超電導線材の変形例]
第1実施形態の変形例である酸化物超電導線材18について、図3を参照しつつ説明する。以下、既出の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図3に示す酸化物超電導線材18は、複数の超電導線材が積層された構造、すなわち、第1〜第p層である超電導線材31〜36が順次積層された構造を有する(pは自然数)。
第1層は、幅方向に間隔をおいて並列された複数(図3では2つ)の第1層超電導線材31(31A,31B)を有する。第2層は、第1層超電導線材31とは幅方向に位置を違えて設けられた第2層超電導線材32を有する。第3層は、第2層超電導線材32と幅方向を一致させて設けられた第3層超電導線材33を有する。第4層は、幅方向に間隔をおいて並列された複数(図3では2つ)の第4層超電導線材34(34A,34B)を有する。第p−1層は、第2層超電導線材32と幅方向を一致させて設けられた第p−1層超電導線材35を有する。第p層は、幅方向に間隔をおいて並列された複数(図3では2つ)の第p層超電導線材36(36A,36B)を有する。
第1層超電導線材31と第2層超電導線材32とは、接合面(酸化物超電導層37側の表面)を向い合せて、導電性層7を介して互いに接合されている。
第1層超電導線材31と第2層超電導線材32とは、図1において、第1層超電導線材1の数が2であり、第2層超電導線材2の数が1である場合に相当する。
第1層超電導線材31A,31Bの間に確保された空間を隙間43という。第4層超電導線材34A,34B間の空間を隙間44という。第p層超電導線材36A,36B間の空間を隙間45という。
なお、第1層超電導線材31の数は、図示例に限らず、1でもよいし、3以上でもよい。同様に、第4層超電導線材34、第p層超電導線材36についても、その数はそれぞれ1でもよいし、3以上でもよい。第2層超電導線材32の数は、図示例に限らず、2以上でもよい。同様に、第3層超電導線材33、第p−1層超電導線材35についても、その数はそれぞれ2以上でもよい。
第1層超電導線材31,第2層超電導線材32,第3層超電導線材33,第4層超電導線材34,第p−1層超電導線材35,第p層超電導線材36は、それぞれ、基材30に、中間層(図示略)と、酸化物超電導層37と、安定化層(図示略)とが順に積層された構造を有することが好ましい。
基材30、中間層、酸化物超電導層37、安定化層は、それぞれ第1層超電導線材1の基材10、中間層、酸化物超電導層11、安定化層と同様の構成を有するため、その説明を省略する。
第1層超電導線材31A、第4層超電導線材34A、・・・第p層超電導線材36Aの幅をc(k=1,2,…n)とする。すなわち、第1層超電導線材31A、第4層超電導線材34A、・・・第p層超電導線材36Aの幅をそれぞれc,c,・・・cとする。
第1層超電導線材31B、第4層超電導線材34B、・・・第p層超電導線材36Bの幅をd(k=1,2,…n)とする。すなわち、第1層超電導線材31B、第4層超電導線材34B、・・・第p層超電導線材36Bの幅をそれぞれd,d,・・・dとする。
nは、積層された2層(例えば第1層超電導線材31と第2層超電導線材32)からなる単位構造の数であり、自然数である。この単位構造の数は1でもよいし、2以上の任意の数でもよい。tは、前記単位構造の厚さであり、hは酸化物超電導線材18の全厚さである。
酸化物超電導線材18では、隙間を含めた第1層超電導線材31の全幅と、隙間を含めた第4層超電導線材34の全幅と、隙間を含めた第p層超電導線材36の全幅とは、互いに等しい。
第1層超電導線材31、第4層超電導線材34、第p層超電導線材36の(隙間を含めた)全幅をwとする。全幅wは、酸化物超電導線材18の全幅である。全幅wは、次の式(3)を満たすことが好ましい。
Figure 0006186408
式(3)が成立することによって、第1層超電導線材31、第4層超電導線材34、第p層超電導線材36において、線材どうしの隙間(隙間43,44,45)を確保し、この隙間において、第2層超電導線材32等の接合面(酸化物超電導層37側の表面)を露出させることができる。
第2層超電導線材32、第3層超電導線材33、第p−1層超電導線材35の幅をe(k=1,2,…n)とする。すなわち、第2層超電導線材32、第3層超電導線材33、第p−1層超電導線材35の幅をそれぞれe,e,・・・eとする。
全幅wとeとは、「w>e(k=1,2,…n。nは自然数)」が成立するのが好ましい。これによって、第1層超電導線材31、第4層超電導線材34、第p層超電導線材36の接合面(酸化物超電導層37側の表面)の一部を露出させることができる。
酸化物超電導線材18では、必要に応じて超電導線材の積層数を多くすることによって、大容量化を図ることができる。
[第2実施形態の酸化物超電導線材]
本発明に係る酸化物超電導線材の第2実施形態である酸化物超電導線材28について、図4を参照しつつ説明する。
図4に示す酸化物超電導線材28は、第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の外周に、それぞれ外周安定化層41が設けられている点で、図1に示す酸化物超電導線材8と異なる。
外周安定化層41は、第1層超電導線材1の外面および第2層超電導線材2の外面のほぼ全周を覆って設けられている。
外周安定化層41は、例えばCuまたはCu合金(Cu−Zn合金、Cu−Ni合金等)からなる金属テープで構成することができる。外周安定化層41は、金属テープを、断面C字形をなすように第1層超電導線材1および第2層超電導線材2を包み込んで折り曲げ加工することで形成することができる。
外周安定化層41は、第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の外側縁を保護し、酸化物超電導線材28の外側縁の強度を確保するとともに、水分等が第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の内部へ入るのを防ぐことができる。
なお、外周安定化層41は、めっきによって形成されためっき層であってもよい。
なお、酸化物超電導線材28は、全体を一括して覆う外周安定化層(図7参照)を設けてもよい。全体を一括して覆う外周安定化層については、後述する第3実施形態において説明する。
[第2実施形態の接続構造体]
図5は、酸化物超電導線材28を用いて構成した接続構造体110を示す断面図である。接続構造体110は、酸化物超電導線材28,28(28A,28B)が、第2層超電導線材2,2を向い合せた状態で互いに接合されている。酸化物超電導線材28と酸化物超電導線材28との間には導電性層9(導電部)が形成される。
導電性層9は、外周安定化層41を介して第1層超電導線材1の酸化物超電導層11に接している。導電性層9は、隙間23、空間17において、外周安定化層41を介して酸化物超電導層21に接している。
接続構造体110においては、導電性層9が、第1層超電導線材1の酸化物超電導層11および第2層超電導線材2の酸化物超電導層21に接するため、酸化物超電導線材28,28の間の接続抵抗を低減できる。
さらに、外周安定化層41によって第1層超電導線材1および第2層超電導線材2を保護し、その破損を防ぐことができる。特に、幅方向の最も一方側および他方側にある第1層超電導線材1の外側縁1a,1b(図4参照)を保護し、その破損を防ぐことができる。また、外周安定化層41によって、第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の内部に水分等が浸入するのを防ぐことができる。
[第2実施形態の酸化物超電導線材の変形例]
第2実施形態の変形例である酸化物超電導線材38について、図6を参照しつつ説明する。
酸化物超電導線材38は、第1層超電導線材31,第2層超電導線材32,第3層超電導線材33,第4層超電導線材34,第p−1層超電導線材35,第p層超電導線材36に、それぞれ外周安定化層41が設けられたこと以外は、図3に示す酸化物超電導線材18と同様の構成である。
酸化物超電導線材38では、外周安定化層41によって、超電導線材線材31〜36の破損を防ぐとともに、超電導線材線材31〜36の内部への水分等の進入を防ぐことができる。
[第3実施形態の酸化物超電導線材]
本発明に係る酸化物超電導線材の第3実施形態である酸化物超電導線材48について、図7を参照しつつ説明する。
図7に示す酸化物超電導線材48は、第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の外周に、これらを一括して包囲する外周安定化層51が設けられている点で、図1に示す酸化物超電導線材8と異なる。酸化物超電導線材48は、図1に示す酸化物超電導線材8に、外周安定化層51を付加した構成である。
外周安定化層51は、例えばCuまたはCu合金(Cu−Zn合金、Cu−Ni合金等)からなる金属テープで構成することができる。外周安定化層51は、金属テープを、断面C字形をなすように第1層超電導線材1および第2層超電導線材2を包み込んで折り曲げ加工することで形成することができる。外周安定化層51は、めっきによって形成されためっき層であってもよい。
外周安定化層51内の空間、例えば隙間13,23には導電性層9が形成される。導電性層9は、空間17(張出し部分16A,16Bと外周安定化層51との間の空間)にも形成される。
導電性層9は、隙間13,23および空間17において、第1層超電導線材1の酸化物超電導層11および第2層超電導線材2の酸化物超電導層21に接している。
外周安定化層51は、導電性層9に接している。
[第3実施形態の接続構造体]
図8は、酸化物超電導線材48を用いて構成した接続構造体120を示す断面図である。接続構造体120は、酸化物超電導線材48,48(48A,48B)が、第2層超電導線材2,2を向い合せた状態で互いに接合されている。
接続構造体120では、酸化物超電導線材48,48の導電性層9,9が外周安定化層51,51を介して互いに接するため、酸化物超電導線材48,48の間の接続抵抗を低減できる。
酸化物超電導線材48は、第1層超電導線材1および第2層超電導線材2の外面を覆う外周安定化層51が設けられているため、外周安定化層51によって第1層超電導線材1および第2層超電導線材2を保護し、その破損を防ぐことができる。特に、幅方向の最も一方側および他方側にある第1層超電導線材1の外側縁1a,1b(図7参照)を保護し、その破損を防ぐことができる。また、外周安定化層51によって水分等の浸入を防ぐことができる。
さらに、外周安定化層51によって酸化物超電導線材48の外面の凹凸を少なくできるため、接続構造体120において、酸化物超電導線材48,48の間の接続抵抗を低減できる。
[第3実施形態の酸化物超電導線材の変形例]
第3実施形態の変形例である酸化物超電導線材58について、図9を参照しつつ説明する。
酸化物超電導線材58は、第1層超電導線材31,第2層超電導線材32,第3層超電導線材33,第4層超電導線材34,第p−1層超電導線材35,第p層超電導線材36の外周に、これらを一括して包囲する外周安定化層51が設けられていること以外は、図3に示す酸化物超電導線材18と同様の構成である。
外周安定化層51内の空間には、半田等からなる導電性層9が形成されるのが好ましい。
酸化物超電導線材58は、外周安定化層51によって、超電導線材線材31〜36の破損を防ぐとともに、超電導線材線材31〜36の内部への水分等の進入を防ぐことができる。
[第4実施形態の酸化物超電導線材]
本発明に係る酸化物超電導線材の第4実施形態である酸化物超電導線材68について、図10を参照しつつ説明する。図10(A)は、酸化物超電導線材68を模式的に示す斜視図である。図10(B)は、図10(A)のA1−A1断面を示す図である。図10(C)は、図10(A)のA2−A2断面を示す図である。
図10(A)に示すように、酸化物超電導線材68は、第1層超電導線材61と、第2層超電導線材62とを有する。
第1層超電導線材61は、基材10と酸化物超電導層11とを有する。第2層超電導線材62は、基材20と酸化物超電導層21とを有する。
第2層超電導線材62には、第2層超電導線材62を厚さ方向に貫通する複数の貫通部63が形成されている。貫通部63は、長さ方向に不連続に形成されている。詳しくは、複数の貫通部63は、長さ方向および幅方向にマトリクス状に配列されている。
貫通部63の平面視形状は、例えば、長さ方向が第2層超電導線材62の長さ方向に沿い、幅方向が第1層超電導線材61の幅方向に沿う矩形とすることができる。貫通部63の平面視形状は、特に限定されず、三角形等の多角形でもよいし、円形、楕円形等であってもよい。
酸化物超電導線材68では、第1層超電導線材61には貫通部63は形成されていない。
第2層超電導線材62の幅(X方向の寸法)は、第1層超電導線材61の幅と同じとすることができる。第2層超電導線材62は、平面視において、幅方向の位置を一致させて第1層超電導線材61に接合することができる。
図10(B)に示すように、長さ方向(Y方向)に直交する断面(XZ断面)において、貫通部63によって分断された第1層超電導線材61の残余部分64の幅をf(k=1,2,…n)とする。すなわち、幅方向の一方側から他方側に並ぶ複数の残余部分64の幅をそれぞれf,f,・・・fとする。nは残余部分64の数である。nは2以上の自然数である。
図10(C)に示すように、幅方向(X方向)に直交する断面(YZ断面)において、貫通部63によって分断された第1層超電導線材61の残余部分65の長さをg(k=1,2,…m)とする。すなわち、長さ方向の一方側から他方側に並ぶ複数の残余部分65の長さをそれぞれg,g,・・・gとする。mは残余部分65の数である。mは2以上の自然数である。
第1層超電導線材61の幅w(酸化物超電導線材68の全幅)および長さl(酸化物超電導線材68の長さ)は、次の式(4)を満たすことが好ましい。
Figure 0006186408
幅wおよび長さlが式(4)を満たすことによって、貫通部63において接合面15(酸化物超電導層11側の表面)を露出させることができる。
一対の酸化物超電導線材68,68を、第2層超電導線材62,62を向い合せた状態とし、それらの間に導電性層9を形成して酸化物超電導線材68,68を互いに接合させることによって、接続構造体が得られる。この接続構造体では、貫通部63に導電性材料が充てんされることにより、導電性材料(導電性層9)が、第1層超電導線材61の酸化物超電導層11および第2層超電導線材62の酸化物超電導層21に接する。よって、酸化物超電導線材68,68の間の接続抵抗を低減できる。
酸化物超電導線材68では、第1層超電導線材61と第2層超電導線材62について、幅寸法、幅方向位置などを大きく違える必要がない。
なお、酸化物超電導線材68では、第2層超電導線材62に貫通部63が形成されており、第1層超電導線材61には貫通部63が形成されていないが、貫通部63は、第1層超電導線材61および第2層超電導線材62の少なくとも一方に形成されていればよい。例えば、貫通部63は、第1層超電導線材61にのみ形成されていてもよいし、第1層超電導線材61と第2層超電導線材62の両方に形成されていてもよい。
[第5実施形態の酸化物超電導線材]
本発明に係る酸化物超電導線材の第5実施形態である酸化物超電導線材78について、図11を参照しつつ説明する。
酸化物超電導線材78は、1つの第1層超電導線材71と、複数の第2層超電導線材2とを有する。
第1層超電導線材71は、基材70に、中間層(図示略)と、酸化物超電導層11と、安定化層(図示略)とが順に積層された構造を有する。
第1層超電導線材71と第2層超電導線材2とは、酸化物超電導層11,21側の表面である接合面15,25を向い合せて、導電性層7を介して互いに接合されている。
複数の第2層超電導線材2は、幅方向(X方向)に間隔をおいて並列されている。
第2層超電導線材2は、平面視において第1層超電導線材71に重なる位置に形成されている。第1層超電導線材71と第2層超電導線材2とは、外側縁の平面視位置が互いに一致している。よって、第1層超電導線材71の幅は、隙間23を含めた第2層超電導線材2の全幅に等しい。
第1層超電導線材71の幅w(酸化物超電導線材78の全幅)と、第2層超電導線材2の幅の合計とは、次の式(5)を満たす。
Figure 0006186408
複数の第2層超電導線材2の隙間23においては、接合面15(酸化物超電導層11側の表面)が露出している。
[第5実施形態の接続構造体]
図12は、酸化物超電導線材78を用いて構成した接続構造体130を示す断面図である。接続構造体130は、酸化物超電導線材78,78が、第2層超電導線材2,2を向い合せた状態で互いに接合されている。酸化物超電導線材78と酸化物超電導線材78との間には導電性層9が形成される。導電性層9は、第2層超電導線材2の酸化物超電導層21および第1層超電導線材71の酸化物超電導層11に接している。
接続構造体130は、導電性層9が酸化物超電導線材78,78の酸化物超電導層21および酸化物超電導層11に接するため、酸化物超電導線材78,78の間の接続抵抗を低減できる。
以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、図1に示す酸化物超電導線材8では、最も側方に位置する2つの第1層超電導線材1,1が、第2層超電導線材2の外側縁2a,2bより外方に張り出しているが、第2層超電導線材2の外側縁より外方に張り出している第1層超電導線材1の数は1つでもよい。また、逆に、第2層超電導線材が第1層超電導線材の外側縁より外方に張り出していてもよい。
酸化物超電導線材は、図11に示す酸化物超電導線材78のように、張出し部分がない構成も可能である。なお、図11に示す酸化物超電導線材78において、第1層超電導線材71と第2層超電導線材2のうち一方または両方の一部が、他方の線材に対して外方に張り出していてもよい。
図1に示す酸化物超電導線材8では、第2層超電導線材2は隙間23をおいて並列されており、すべての隙間23で第1層超電導線材1の接合面15が露出しているが、これに限らず、第2層超電導線材の複数の隙間のうち少なくとも1つにおいて第1層超電導線材の接合面が露出していればよい。また、第1層超電導線材の隙間についても、少なくとも1つにおいて第2層超電導線材の接合面が露出していればよい。
本発明の一態様は、酸化物超電導線材において第1層超電導線材と第2層超電導線材とを入れ替えても上述の効果を奏する。すなわち、本発明の一態様は、複数の第1層超電導線材が幅方向に間隔をおいて並列され、それらの隙間の少なくとも1つにおいて第2層超電導線材の接合面が露出し、酸化物超電導線材の全幅をwとし、第1層超電導線材の数をn(nは2以上の自然数)とし、第1層超電導線材の幅をそれぞれa(k=1,2,…n)として、上述の式(2)が成立する構成としてもよい。
なお、酸化物超電導線材に用いられる超電導材料は、RE−123系の材料に限らず、Bi系その他の材料であってもよい。
1,31,61,71…第1層超電導線材、2,32,62…第2層超電導線材、2a,2b…第2層超電導線材の外側縁、8,18,28,38,48…酸化物超電導線材、10,20,30,70…基材、11,21…酸化物超電導層、13,23…隙間、15,25…接合面、41,51…外周安定化層、63…貫通部、100,110,120,130…接続構造体。

Claims (8)

  1. 酸化物超電導線材であって、
    1または複数の第1層超電導線材と、複数の第2層超電導線材とを有し、
    前記第1層超電導線材および前記第2層超電導線材は、それぞれ、テープ状の基材と前記基材に積層された酸化物超電導層とを有し、
    前記第1層超電導線材と前記第2層超電導線材とは、前記酸化物超電導層側の接合面を向い合せて互いに接合され、
    前記複数の第2層超電導線材は、幅方向に間隔をおいて並列され、それらの隙間の少なくとも1つにおいて前記第1層超電導線材の前記接合面が露出し、
    前記酸化物超電導線材の全幅をwとし、前記第2層超電導線材の数をm(mは2以上の自然数)とし、前記第2層超電導線材の幅をそれぞれb(k=1,2,…m)として、次に示す式(1)が成立する、酸化物超電導線材。
    Figure 0006186408
  2. 前記第1層超電導線材の数をn(nは2以上の自然数)とし、前記第1層超電導線材の幅をa(k=1,2,…n)として、次に示す式(2)が成立する、請求項1に記載の酸化物超電導線材。
    Figure 0006186408
  3. 前記複数の第1層超電導線材は、幅方向に間隔をおいて並列され、それらの隙間の少なくとも1つにおいて前記第2層超電導線材の前記接合面が露出する、請求項1または2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記複数の第1層超電導線材のうち少なくとも1つは、前記第2層超電導線材の外側縁より幅方向外方に張り出して形成されている、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記第1層超電導線材の外面および前記第2層超電導線材の外面には、それぞれ、前記外面を覆う外周安定化層が設けられている、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  6. 前記第1層超電導線材および前記第2層超電導線材の外面を一括して覆う外周安定化層を有する、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  7. 第1層超電導線材と、第2層超電導線材とを有し、
    前記第1層超電導線材および前記第2層超電導線材は、それぞれ、テープ状の基材と前記基材に積層された酸化物超電導層とを有し、
    前記第1層超電導線材と前記第2層超電導線材とは、前記酸化物超電導層側の接合面を向い合せて互いに接合され、
    前記第1層超電導線材と前記第2層超電導線材の少なくとも一方の超電導線材は、厚さ方向に貫通して他方の超電導線材の前記接合面を露出させる貫通部を有し、
    前記貫通部は、前記超電導線材の長手方向に不連続に形成されている、酸化物超電導線材。
  8. 複数の、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導線材が、導電性材料を介して互いに接合され、
    前記導電性材料は、前記隙間または前記貫通部に充てんされることにより、前記露出した接合面に、直接または間接的に導通可能に接している、酸化物超電導線材の接続構造体。
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