JP6186379B2 - 遊離生体アミノ酸の精製のための無溶媒プロセス - Google Patents

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Description

以下の明細書は、本発明およびそれを実施するための様式を具体的に記述する。
本発明は、植物の部分由来、好ましくは茶(Camellia sinensis)由来の遊離生体アミノ酸(テアニン濃化)の精製のための改良された方法に関する。具体的には、本発明は、植物ならびに葉、花、および果実のような植物の部分(再生可能生物資源)に由来する天然遊離アミノ酸の精製のための経済的な方法であって、化学物質、酸、またはアルカリのいずれも使用しないものに関する。より具体的には、本発明は、天然遊離アミノ酸を含有する画分の精製のための、低費用で環境にやさしい方法に関し、この天然遊離アミノ酸は、特に菜食主義者およびタンパク質欠乏者のための、より高価なタンパク質サプリメントの代替物としての、容易に生物学的利用が可能な栄養サプリメントとして使用される。
アミノ酸はタンパク質の構成単位であり、また、体の代謝における中間体としての役割を果たす。筋肉、骨、皮膚、腱、靭帯、毛、眼、およびその他の組織の成長および修復のための、タンパク質の構成単位としてのアミノ酸の重要性は、非常に昔から証明されてきている。タンパク質は、代謝、細胞シグナル伝達、免疫系、細胞接着、および細胞周期のような様々な身体機能において重要な役割を果たす。タンパク質欠乏の問題は、貧しい未発展および発展途上の国々の人々の間で非常に一般的である。先進国であっても、このタンパク質欠乏の問題は、特定の食習慣を有する人々の群において報告されている。特に、菜食主義者は、十分に必須アミノ酸を得るために、正しい組合せの菜食を食べることについて非常に注意深くする必要がある。タンパク質が身体に入ると、それらはまず、消化過程においてアミノ酸へと分解される。それからアミノ酸が、タンパク質合成のためにそれらが必要とされる身体の様々な領域において使用される。アミノ酸はまた、タンパク質の生物学的活性のためにも役割を担う。従って、タンパク質の構成単位であるアミノ酸は、身体機能にとって不可欠である。従って、アミノ酸を栄養サプリメントの形態で使用することには非常に大きな可能性が存在する。
一般的に、タンパク質を構成する20種類の標準的アミノ酸があり、そのうち我々の体の中で合成されるのは10種類だけである。我々の体の中で合成されないその他の10種類、すなわちアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、およびチロシンは、必須アミノ酸と呼ばれる。我々は、これらの必須アミノ酸を食事からとる必要があり、必須アミノ酸のいずれかを得ることができないと、身体のタンパク質の分解およびその他の関連した問題が引き起こされ得る。
植物ならびに葉、花、果実、種子、および野菜のような植物の部分は、遊離アミノ酸の豊富な供給源と考えられている。従って、これらの植物および植物部分は、これらの必須要素を得るための自然かつ再生可能な供給源として使用され得る。また、ここ数十年、合成由来のものと比較して、天然供給源から得られる栄養補助食品、健康用食事サプリメントおよび抽出物に非常な大きな関心が寄せられている。
ツバキ科の茶(Camellia sinensis)は、飲料用作物として世界中で知られている。この植物は、遊離アミノ酸の優れた供給源でもある。茶におけるアミノ酸含量は、乾燥重量に基づいて3〜4%と推定されている。茶における遊離アミノ酸の存在はよく知られており、20種類のアミノ酸の全てを含むことが報告されている。茶中におけるアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、イソロイシン、ヒスチジン、ロイシン、フェニルアラニン、セリン、テアニン、トレオニン、およびチロシンのような異なるアミノ酸の存在は、アミノ酸分析機およびHPLC分析によって決定されてきた(Wang et al., Analysis of free amino acids in Chinese teas and flower of tea plant by high performance liquid chromatography combined with solid-phase extraction. Food Chemistry, 123, 2010, 1259-1266;Jean-Philippe Veyssier, Analysis of Theanine in Green Tea using the Biochrom30 Amino Acid Analyser. BiochromLtd. Cambridge, UK; Ulrich H. Engelhardt, Chemistry of Tea, 2010 Elsevier Ltd.)。茶は、非必須アミノ酸とともに、全ての必須アミノ酸を含む。それに加えて、茶は、グルタミンおよびエチルアミンから形成される、テアニンと呼ばれる特有の非タンパク質由来アミノ酸も含有する(Vuong et al., Journal of Science of Food and Agriculture, 2011, 91, 1931-1939)。
テアニンは、血液脳関門を通過して、ストレスの際にリラックスさせる、向精神性アミノ酸としてよく知られている。テアニンは茶中に存在する総アミノ酸の50%までをも構成しており、カフェインおよびカテキンと比べたテアニンの高い水溶性、ならびに茶植物体中における十分量のその存在は、本発明の重要な必要条件である。
もっとも、Ekanayakeら(米国特許出願第10/689910号)は、テアニン濃化抽出物を得るための溶媒としてイソプロパノールを用いて、植物材料から抽出、吸収、および濾過によってテアニンを単離するための方法を説明している。Ekanayakeらは、吸着体として、ポリアミド、ポリビニルピロリジン、およびポリカー(polycar)を使用している。
一方、Tachikiら(米国特許出願第10/523098)は、アルカリ性pH(9〜12)におけるグルタミンとエチルアミンの混合物中で、細菌由来のグルタミナーゼを使用する合成方法を開発している。
天然試料からアミノ酸を取得するための昇華プロセスを報告する研究が文献中にごく少数あるが(Daniel and Jeffrey, Analytical Chemistry 1998, 70, 3119-3122)、アミノ酸が分解してアミンとなることおよび高温におけるアミノ酸の脱アミノ化が、昇華プロセスにおける主要な問題となる。
また、Basiukらによれば、昇華プロセスの気相においてはジペプチドおよびジケトピペラジンが形成する可能性の方がより大きい。また、Fisherら(米国特許出願第10/111919号)は、電気透析後に発酵処理を行ってアミノ酸を得ることによってアミノ酸を精製する方法を開示している。
茶は、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、およびトリプトファンのような必須アミノ酸を全て含有する。従って本発明は特に、経済的でありかつ環境にやさしい処理方法により、茶中に存在するこれら全ての遊離アミノ酸をテアニンとともに取得することに焦点を合わせた。
自然から得られる食品サプリメント、機能性食品、および添加物に対する関心が非常に高まる中、それらの市場も世界中で急速に拡大している。これは、それらに付随する健康安全性および治療的可能性のためかもしれない。従って、低費用で環境にやさしい方法で、また、より高価なタンパク質サプリメントの代替選択肢として、天然生体アミノ酸を取得する試みの中で、本発明はなされた。
遊離アミノ酸は、タンパク質サプリメントと比較すると、サプリメントとして摂取した場合に、体内で直ちに利用可能であり、15分以内に体循環中のレベルが上昇する(Barry Finnin and Samuel Peters, Amino acids and Bodybuilding, Muscle and Fitness Magazine, April 1996)。また、タンパク質は、まず消化管で酵素分解を受けて構成遊離アミノ酸へと異化される。従って、本発明では、本発明者らは、茶の新芽から、ならびに遊離アミノ酸のよい供給源であるその他の植物および植物部分(葉、果実、花のような再生可能な生物資源)から、遊離生体アミノ酸(テアニンが濃化されたもの)を精製するための経済的で環境にやさしい方法を開示する。
環境にやさしく経済的なプロセスにより植物資源から遊離アミノ酸を抽出および精製することを示す処理方法は、非常に少ない。以前に報告/開発されたアミノ酸精製のためのプロセスおよび方法(イオン交換、昇華、吸着、電気透析等)のほとんどは、通常、化学物質、有機溶媒、酸およびアルカリの使用を含み、アミノ酸がアミンへと分解することおよびアミノ酸の脱アミノ化のような多くの不都合が引き起こされていたのに対し、本発明は、これら天然生体アミノ酸を取得する全プロセスにおいて全てのこれら化学物質の使用を完全に排除する。
本発明の主要な課題は、植物資源/再生可能生物資源から遊離生体アミノ酸を精製するための、環境にやさしく経済的な水性プロセスを開発することである。
本発明の別の課題は、茶の遊離アミノ酸をテアニンとともに精製することである。
本発明のさらに別の課題は、植物のその他の主要構成成分(例えば茶の場合はタンニン、脂質、アルカロイド、カテキン、およびカフェイン)が完全に除かれるように、生体アミノ酸を精製することである。
本発明のさらにまた別の課題は、有機溶媒、酸およびアルカリのようなあらゆる種類の化学物質の使用を回避することによって、生体アミノ酸をその天然形態において精製することである。
本発明は、溶媒不使用で経済的なプロセスにより、植物および植物部分のような天然資源から遊離生体アミノ酸を精製するための、改良された方法に関する。
従って、本発明は、遊離生体アミノ酸を産生するための改良された方法を提供し、この方法は、
a. アミノ酸が豊富な植物の部分を水で抽出処理すること、
b. 工程(a)で得られた水性植物抽出物を、綿フィルターに通して濾過して、濾過済み水性抽出物を得ること、
c. 工程(b)の濾過済み水性抽出物を、粒子径100〜300ミクロンのポリメタクリレートベースの樹脂で充填され水(好ましくは再蒸留水)で飽和された第1のカラムに通して、ポリフェノール非含有流出物を得ること、
d. 工程(c)のポリフェノール非含有流出物を、粒子径120ミクロンのポリスチレンジビニルベンゼン重合体ベースの樹脂で充填され再蒸留水で飽和された第2のカラムに通して、流出物を得ること、
e. 遊離生体アミノ酸を含有する工程(d)の流出物を濃縮すること
を含む。
添付の図面は、本発明の実施態様を図解しており、本明細書とともに、本発明を説明する役目を果たす。これらの図面は説明として提供されるのであって、限定として提供されるのではない。
図1は、生体アミノ酸の精製のためのプロセスの概略的フローチャートを示す。 図2aは、茶の生体アミノ酸(テアニン濃化)のRP-HPLCクロマトグラムであり、図2bは、標準テアニンのHPLCクロマトグラムである。 図3aは、アミノ酸標準の混合物のUPLCクロマトグラムであり、図3bは、茶の生体アミノ酸(テアニン濃化)のUPLCクロマトグラムであり、図3cは、Sesbania grandiflora(シロゴチョウ)の生体アミノ酸のUPLCクロマトグラムである。 図4aは、茶の生体アミノ酸のRP-HPLCクロマトグラムであり、図4bは、Sesbaniaの生体アミノ酸のRP-HPLCクロマトグラムである。
本発明を、表・図等および具体的な実施態様に関して説明する。この説明は、限定的な意味で解されることを意図するものではない。本発明の様々な代替的実施態様は、発明の詳細な説明を参照した当業者には明らかとなるであろう。従って、そのような代替的実施態様は本発明の一部をなすことが企図される。
特に定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的な用語は、本発明の属する分野の当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を有する。いくつかの用語は以下において手短に定義される。これらの定義は限定的な意味で解されるべきではない。
本明細書で使用される「生体アミノ酸(bio amino acids)」という用語は、特に茶の新芽由来、およびその他の植物の再生可能部分(果実、葉、花、および種子等)由来の、純天然の遊離アミノ酸画分(テアニン濃化)に関する。これらの生体アミノ酸は、純全たる100%天然の画分であり、外部からの化学物質または酸およびアルカリを使用することなく、特に植物および植物部分のような天然資源から取得されたものである。
「茶の新芽」という用語は、本明細書において、茎部分とともに新しい茶の葉に関して使用される。「完全にポリフェノール非含有である」という用語は、精製された生体アミノ酸画分が、RP-HPLC分析の検出によれば、カフェイン、脂質、サポニン、アルカロイド、およびカテキンを含まないことを意味する。
「再生可能資源」という用語は、本明細書において、植物の葉、果実、花、および種子について、より好ましくは葉について、使用される。
「流出物」という用語は、本明細書において、樹脂カラム(AおよびB)に吸着されずに、移動相である水とともに溶出した物質について使用される。
「溶出物」という用語は、本明細書において、樹脂に結合した物質/化合物について使用される。
本明細書において使用される「水」という用語は、蒸留水、脱イオン水、およびより好ましくは再蒸留水を表す。
本発明においては、(A)ポリメタクリレートベースの樹脂および(B)ポリスチレンジビニルベンゼン重合体ベースの樹脂の両方の樹脂カラムが、生体アミノ酸精製のために使用され、水中、最も好ましくは再蒸留水中で充填された。
本発明の方法:
1. 本発明の第1工程は、生の茶新芽を水で抽出処理することに関し、これは以下のいずれかの方法で行われる。
a. -20℃で植物部分を凍結乾燥し、その凍結された植物部分を粉末形態に破砕し、その凍結され破砕された植物部分を温水(60℃)で抽出処理すること。
b. 生の植物部分を乾燥させ、その乾燥された植物部分を粉末形態に粉砕し、その粉砕され粉末化された葉を冷水(25℃)で抽出処理すること。
c. 生の植物部分を熱水(90℃)で直接抽出処理すること。
従って、本発明では、抽出のためにこれら3つの方法が使用される。各々の例において、100グラムの生の新芽に対し、600mlの水を用いて15〜30分間、個別に抽出を行う。
2. 異なる抽出工程により得られた水性抽出物は、その後、綿(吸着)フィルターを用いて2回濾過する。
3. 吸着カラムクロマトグラフィーによる精製
濾過済み水性抽出物からの遊離アミノ酸の精製は、2つの異なる吸着樹脂を使用した吸着カラムクロマトグラフィーを用いることによって行われ、これら2つの異なる吸着樹脂は、化学特性および粒子径において異なる。吸着は表面現象であって、混合物中に存在する選択的な化合物または分子が固定相の表面に弱く可逆的な結合をすることが関わる。従って、本発明においては、直列的に用いられる2つの異なる樹脂を選択して、抽出物中に存在するその他の主要成分を除去することによって、遊離アミノ酸が精製される。本発明で使用される樹脂(A)は、ポリメタクリレートベースの樹脂、好ましくは粒子径100〜300ミクロンのセパビーズ(sepabeads)であり、本発明で使用される樹脂(B)は、ポリスチレンジビニルベンゼン重合体ベースの樹脂、好ましくは粒子径120ミクロンのアンバークロム(amberchrom)である。
濾過された水性抽出物は、その後、粒子径100〜300ミクロンである(A)のポリメタクリレートベースの樹脂で事前充填された樹脂カラムに通された。このカラムは水(より好ましくは再蒸留水)中で充填され、飽和された。この樹脂カラムは、ポリフェノールおよびその他の複雑な分子を吸着し、アミノ酸、タンパク質、およびカフェインのみを流出物として水とともに通過させる。
ここで、タンパク質、カフェイン、およびアミノ酸を含有する樹脂カラムAの水性流出物は、続いて、粒子径120ミクロンであるポリスチレンジビニルベンゼン重合体ベースの樹脂(B)で充填されたもう1つのカラムに通される。この樹脂カラムも、ガラス製カラムにおいて、水(好ましくは再蒸留水)を用いて充填され飽和された。非常に微細な粒子径を有するこのポリマー性樹脂カラムは、カフェインおよびタンパク質を完全に吸着することにより、生体アミノ酸のみを水とともに通過させる。
生体アミノ酸画分:
流出物水性画分は、天然生体アミノ酸を含有し、茶のその他の主要成分であるカテキンおよびカフェインは完全に非含有である。遊離生体アミノ酸を含有するこの水性画分は、茶の場合はテアニンが濃化されており(図2a)(標準テアニンと比較(図2b))、回転式蒸発器を用いて濃縮された後、噴霧乾燥または乾燥凍結によって、白っぽいあるいは明るい茶色の粉末が得られる。生体アミノ酸画分は、ペーパークロマトグラフィーおよびRP-HPLC(図4a, 4b)ならびにUPLC(図3b、3c)分析によってさらに分析される。RP-HPLCの結果は、意義深いことに、茶の主要構成成分としての生体アミノ酸のうち、主たる成分としてテアニンの存在を示している。このことは、茶の生体アミノ酸画分を分析したのと同じ方法で同様の条件下にて標準テアニンを分析に供することによって、そしてまた、ピークの保持時間および吸光度を比較することによって、確認された。これらの結果は、この生体アミノ酸画分が、主要成分としてのテアニンが濃化されたものであることを明確に示している。さらに、UPLC分析も、保持時間を標準アミノ酸の混合物のものと比較した場合に、上記画分がその他のアミノ酸を含んでいることの有意性を示している。
従って、本発明は、植物および植物部分のような天然資源、特に遊離アミノ酸の豊富な供給源であるものから、遊離生体アミノ酸を精製するための方法を提供する。本発明は、茶の新芽由来であって、ポリフェノールであるカテキン、脂質、サポニン、アルカロイド、およびカフェインは完全に非含有である生体アミノ酸(テアニン濃化)(図2a)画分を精製する方法であって、異なる粒子径および化学特性の吸着樹脂の組合せを使用することにより開発された方法を開示する。
さらに別の実施態様において、遊離生体アミノ酸の精製のための溶媒不使用の方法は、以下の工程を含む:
a. アミノ酸が豊富な植物の部分を水で抽出処理すること、
b. 工程(a)で得られた水性植物抽出物を、綿フィルターに通して濾過して、濾過済み水性抽出物を得ること、
c. 工程(b)の濾過済み水性抽出物を、粒子径100〜300ミクロンのポリメタクリレートベースの樹脂で充填され水(好ましくは再蒸留水)で飽和された第1のカラムに通して、ポリフェノール非含有流出物を得ること、
d. 工程(c)のポリフェノール非含有流出物を、粒子径120ミクロンのポリスチレンジビニルベンゼン重合体ベースの樹脂で充填され再蒸留水で飽和された第2のカラムに通して、流出物を得ること、
e. 遊離生体アミノ酸を含有する工程(d)の流出物を濃縮すること。
さらにまた別の実施態様では、使用される植物部分は、茶の葉もしくは新芽のような、テアニンが豊富な葉もしくは新芽であり、または遊離アミノ酸を含有するその他の植物部分である。
さらにまた別の実施態様では、抽出が以下のいずれかの方法によって行われる:
a. -20℃で植物部分を凍結乾燥し、その凍結された植物部分を粉末形態に破砕し、その凍結され破砕された植物部分を温水(60℃)で抽出処理すること。
b. 生の植物部分を乾燥させ、その乾燥された植物部分を粉末形態に粉砕し、その粉砕され粉末化された葉を冷水(25℃)で抽出処理すること。
c. 生の植物部分を熱水(90℃)で直接抽出処理すること。
さらにまた別の実施態様において、ポリメタクリレートベースの樹脂は、好ましくはセパビーズである。
さらにまた別の実施態様において、ポリスチレンジビニルベンゼン重合体ベースの樹脂は、好ましくはアンバークロムである。
さらにまた別の実施態様において、濃縮は回転式蒸発器を用いて行われ、その後に噴霧乾燥が行われ、任意で凍結乾燥が行われる。
さらにまた別の実施態様において、得られる生体アミノ酸は、茶ポリフェノール(カテキン)、カフェイン、および茶葉のその他の主要構成成分が完全に非含有である。
本発明のさらにまた別の実施態様においては、直ちに生物学的利用が可能な遊離生体アミノ酸の豊富な供給源としての、果実、葉、花、および種子のような植物性再生可能生物資源、特に葉の利用に関して、方法が記述される。
さらにまた別の実施態様において、本発明は、高価なタンパク質サプリメントと対比される、直ちに生物学的利用が可能な供給源としての遊離生体アミノ酸を、化学物質、酸、およびアルカリを使用せずに精製する、環境にやさしい方法を記述したものである。
[実施例1]
約100グラムの生の茶新芽を用いた。この新芽を-20℃のディープフリーザー中に置いた。6〜8時間ほど後に、凍結した新芽を破砕し、その後、熱水(60℃)で15〜20分間、抽出処理した。抽出物を綿フィルターで2回濾過した。それから、抽出物を、ポリメタクリレートベースの樹脂(再蒸留水中に充填されたもの)の樹脂カラム(A)に通した。ポリフェノール成分はカラムに吸着させたまま残しながらアミノ酸とカフェインとを伴って出る流出物として水を使用した。それから、カフェインおよびアミノ酸を含有するこの水性画分を、やはり再蒸留水中に充填されたポリスチレンジビニルベンゼン重合体樹脂のもう1つの樹脂カラム(B)に通した。このカラムは、カフェイン、タンパク質、およびその他の不純物を吸着し、生体アミノ酸は水とともに通過させる。従って、この水性画分は、精製された生体アミノ酸を含有する。噴霧乾燥によってこの水性画分を乾燥させて、純粋な生体アミノ酸を取得する。RP-HPLCクロマトグラムは、標準テアニン(図2b)との比較において、アミノ酸(テアニン濃化)の存在を示している(図2a)。
[実施例2]
約1kgの茶新芽を用いた。この茶新芽を-20℃のディープフリーザー中に置いた。凍結した新芽を破砕し、その後、熱水(60℃)で20分間、抽出処理した。抽出物を綿フィルターで2回濾過した。最後に、この水性抽出物を、再蒸留水中に充填されたポリメタクリレートベースの樹脂の樹脂カラム(A)に通した。ポリフェノール成分(カテキン)はカラムに吸着させたまま残しながら、アミノ酸とカフェインとを伴ってカラムから出る流出物として水を使用した。それから再び、カフェインおよびアミノ酸を含有するこの水性画分を、再蒸留水を用いて充填し飽和させたポリスチレンジビニルベンゼン重合体樹脂のもう1つの樹脂カラム(B)に通した。このカラムは、カフェインおよびその他の不純物を吸収し、遊離生体アミノ酸のみを溶媒(水)とともに通過させる。従って、この得られた水性画分は、精製された生体アミノ酸を含有する。この画分を噴霧乾燥によって乾燥させて水を蒸発させ、粉末形態を得た。UPLCクロマトグラムは、標準アミノ酸のクロマトグラム(図3a)との比較において、アミノ酸の存在を示している(図3b)。
[実施例3]
約500グラムのシロゴチョウ(Sesbania grandiflora)の葉を採取して、-20℃のディープフリーザー中に置いた。その後、凍結した葉を、熱水(60℃)で20分間、抽出処理した。抽出物を綿フィルターで2回濾過した。最後に、この水性抽出物を、再蒸留水中に充填されたポリメタクリレートベースの樹脂の樹脂カラム(A)に通した。高分子量のポリフェノール成分およびその他の不純物はカラムに吸着させたまま残しながら、アミノ酸およびその他の低分子量フェノール類を伴ってカラムから出る流出物として水を使用した。その後、カラムAのこの流出物を、ポリスチレンジビニルベンゼン重合体樹脂のもう1つの樹脂カラム(B)に再び通した。このカラムは、低分子量フェノール類およびその他の不純物を吸収し、生体アミノ酸のみを水とともに通過させる。従って、この得られた水性画分は、精製された天然生体アミノ酸を含有する。それからこの画分を噴霧乾燥して、白っぽい色の粉末を得た。UPLCクロマトグラムは、標準アミノ酸のクロマトグラム(図3a)および生体アミノ酸のRP-HPLCクロマトグラム(図4b)との比較において、アミノ酸の存在を示している(図3c)。
[有利な効果]
以下は、本発明の主な利点である。
1.茶の新芽から遊離の天然生体アミノ酸を精製するための、新規の経済的な方法を開発する。
2.茶の新芽からの、テアニンが濃化された遊離生体アミノ酸の精製。
3.この生体アミノ酸は、茶のその他の主要構成成分である茶ポリフェノール類(カテキン)およびカフェインは完全に非含有である。
4.植物およびその部分(再生可能生物資源)から、特に遊離アミノ酸の豊富な供給源であるものから、遊離生体アミノ酸を大きな規模で取得する、経済的で環境にやさしい方法。
5.精製された天然遊離アミノ酸は、高価なタンパク質サプリメントと比較して、より容易に生物学的利用が可能な健康サプリメントの供給源として使用することができる。
6.低コストの天然遊離アミノ酸サプリメントは、菜食主義者およびタンパク質欠乏症の人々にとって非常に有益となり得る。

Claims (4)

  1. 遊離生体アミノ酸を精製するための、溶媒不使用の方法であって、
    a. アミノ酸を含む植物の部分を水で抽出処理すること、
    b. 工程(a)で得られた水性植物抽出物を、綿フィルターに通して濾過して、濾過済み水性抽出物を得ること、
    c. 工程(b)の濾過済み水性抽出物を、粒子径100〜300ミクロンのポリメタクリレートベースの樹脂で充填され、水または再蒸留水で飽和された第1のカラムに通して、アミノ酸を含むポリフェノール非含有流出物を得ること、
    d. 工程(c)のポリフェノール非含有流出物を、粒子径120ミクロンのポリスチレンジビニルベンゼン重合体ベースの樹脂で充填され再蒸留水で飽和された第2のカラムに通して、流出物を得ること、
    e. 遊離生体アミノ酸を含有する工程(d)の流出物を濃縮すること
    を含む方法。
  2. 前記工程(a)で使用される植物部分は、茶の葉もしくは新芽のような、テアニンが豊富な葉もしくは新芽であり、または遊離アミノ酸を含有するその他の植物部分である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記抽出処理が以下のいずれかの方法によって行われる、請求項1または2に記載の方法:
    a. -20℃で前記植物部分を凍結乾燥し、その凍結された植物部分を粉末形態に破砕し、その凍結され破砕された植物部分を60℃における温水で抽出処理すること、
    b. 生の植物部分を乾燥させ、その乾燥された植物部分を粉末形態に粉砕し、その粉砕され粉末化された葉を25℃における冷水で抽出処理すること、
    c. 生の植物部分を90℃における熱水で直接抽出処理すること。
  4. 得られる生体アミノ酸は、カテキンおよびカフェインが完全に非含有である、請求項2に記載の方法。
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