JP6184720B2 - 懸架装置 - Google Patents
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Description
本発明は、懸架スプリングや減衰器の交換や変更を容易に行うことが可能な懸架装置を提供することを目的とする。
また、かかる目的のもと、本発明は、車体と車輪との間に設けられたスプリングの振動を、車体側部材および車体側部材に対して軸方向に移動可能に接続する車輪側部材を有して減衰させる緩衝器と、緩衝器に並行して設けられるとともに、車輪を操舵可能にする棒状のロッド部材と、車体に接続し、緩衝器の車体側部材およびロッド部材の車体側の端部を支持する車体側支持部材と、ロッド部材の車輪側の端部を軸方向にスライド可能に保持するとともに、緩衝器の車輪側部材に連結する連結部と、連結部とは異なる箇所にて車輪の車軸を支持する車軸孔と、を有する車輪側支持部材と、を備え、ロッド部材は、車輪側支持部材に貫通して車輪側支持部材に保持される懸架装置である。
図1は、本実施形態の自動二輪車1の概略構成を示す図である。
自動二輪車1は、図1に示すように、車体フレーム11と、この車体フレーム11の前端部に取り付けられているステアリングステム12と、ステアリングステム12に連結するハンドル13と、ステアリングステム12のハンドル13とは逆の端部側にてステアリングステム12に連結されたフロントフォーク14と、フロントフォーク14の下端に取り付けられた前輪15と、前輪15に設けられたブレーキディスク16と、ブレーキディスク16を押さえて前輪15の回転を停止するブレーキキャリパ17とを有している。
なお、以下の説明において、フロントフォーク14のハンドル13の端部を「一端部」、フロントフォーク14の前輪15側の端部を「他端部」、フロントフォーク14の軸方向を単に「軸方向」と称する。
懸架装置の一例としてのフロントフォーク14は、左側フロントフォーク部14Lと右側フロントフォーク部14Rとを有する。なお、左側フロントフォーク部14Lと右側フロントフォーク部14Rとは、左側フロントフォーク部14Lにブレーキキャリパ17が設けられている点で異なるものの、他の基本構成は同じである。従って、以下では、左側フロントフォーク部14Lを代表例として詳細に説明する。
懸架スプリング30は、緩衝器40の外周を覆うようにして、緩衝器40の軸方向に取り付けられる。また、フォークパイプ部50およびボトムケース部60は、懸架スプリング30および緩衝器40に隣接して懸架スプリング30および緩衝器40に沿って配置されることで、懸架スプリング30および緩衝器40に並行するように配置される。
本実施形態のフロントフォーク14においては、フォークパイプ部50およびボトムケース部60と、懸架スプリング30および緩衝器40とを並行して配置することで、従来技術にない奇抜なフロントフォークの外観を構成している。
〔懸架スプリング30の構成・機能〕
懸架スプリング30は、図3に示すように、コイルスプリングであって、本実施形態では緩衝器40の外周を囲うように緩衝器40の軸方向に沿って設けられる。懸架スプリング30は、一端側が後述の一端側接続部材44に接続し、他端側が後述の他端側接続部材45に接続する。そして、懸架スプリング30は、車体フレーム11と前輪15との間に設けられて衝撃を吸収する(図1参照)。
緩衝器40は、図3に示すように、シリンダ部41と、ピストン42と、ピストンロッド43と、一端側接続部材44と、他端側接続部材45と、を備える。
(シリンダ部41)
シリンダ部41は、有底円筒状の部材であって、シリンダ41Sと、シリンダ41Sの一端側に底部41Bと、シリンダの外周に設けられるスプリング保持部41Pとを有している。
シリンダ41Sは、内径がピストン42の後述するピストンボディ42Bの外径と略等しく形成される。シリンダ41Sの内周面には、低粘度のグリスが塗布され、後述するようにピストンボディ42Bの軸方向の移動の際にシリンダ41Sとの間にて摩擦熱の発生や摩耗を低減する。
また、スプリング保持部41Pは、緩衝器40の外側に配置される懸架スプリング30の一端側を保持する。スプリング保持部41Pは、懸架スプリング30の内径よりも大きな外径を有する端部にて懸架スプリング30の一端側を保持する。
底部41Bは、シリンダ41Sの一端側を塞ぐとともに、一端側接続部材44が取り付けられる。
ピストン42は、円柱形状のピストンボディ42Bと、ピストンボディ42Bの中心部に形成されピストンロッド43が貫通するロッド孔42Rと、ロッド孔42Rの周囲に複数設けられる貫通口42Hとを有している。そして、ピストン42は、ロッド孔42Rにてピストンロッド43が貫通して取り付けられる。また、ピストン42は、シリンダ41Sの内周面において軸方向に摺動可能に設けられる。このシリンダ41S内におけるピストン42の摺動の際に、シリンダ41S内における気体の流れはピストン42の貫通口42Hを介して行われる。
ピストンロッド43は、中空または中実の棒状の部材である。そして、一端部にピストン42が取り付けられ、他端部にて他端側接続部材45の後述するロッド接続部451に接続する。そして、ピストンロッド43は、少なくとも一部がシリンダ41Sの内側において進退移動する。
一端側接続部材44は、シリンダ接続部441と、ボルト孔442とを有する。そして、一端側接続部材44は、シリンダ接続部441が底部41Bに取り付けられる。また、一端側接続部材44は、ボルト孔442を介してブラケット12Bの保持孔12Bhにボルト等の固定部材により連結される(後述する図4参照)。なお、ボルト孔442は保持孔12Bhに対して回転可能に連結する。従って、緩衝器40は、一端側接続部材44を介してブラケット12Bに対して回転可能に接続する(後述する図4参照)。
他端側接続部材45は、ロッド接続部451と、ボルト孔452とを有する。ロッド接続部451は、懸架スプリング30の内径よりも大きい外径を有する円板状に形成される。そして、他端側接続部材45は、ロッド接続部451にてピストンロッド43の他端部に連結するとともに、懸架スプリング30を保持する。また、他端側接続部材45は、ボルト孔452を介して、ボトムケース部60の後述する緩衝器保持部614のボルト孔614Bにボルト等の固定部材によって連結される(後述の図4参照)。なお、ボルト孔452はボルト孔614Bに対して回転可能に連結する。従って、緩衝器40は、他端側接続部材45を介してボトムケース部60に対して回転可能に接続する(後述の図4参照)。
〔フォークパイプ部50の構成・機能〕
フォークパイプ部50は、図4に示すように、フォークパイプ51と、ストッパシート52と、ストッパラバー53とを有している。
(フォークパイプ51)
フォークパイプ51は、軸方向に長く延びた円管形状の部材である。また、本実施形態では、フォークパイプ51の内径および外径が軸方向に一定であるいわゆる直管状に形成される。フォークパイプ51の一端部は、上述したブラケット12Bに取り付けられ、ブラケット12Bとの関係では軸方向に移動しないように固定される。また、フォークパイプ51の他端部には、ストッパシート52を保持する周方向に形成された溝である環状溝部51Rが形成される。
ストッパシート52は、円筒状の部材であって、フォークパイプ51の他端部に取り付けられる。また、ストッパシート52は、内周面にて内側に突出した環状突起52Pを有している。そして、ストッパシート52は、環状突起52Pがフォークパイプ51の環状溝部51Rに嵌め込まれる。ストッパシート52は、フロントフォーク14の伸張時に、ストッパラバー53を介して後述する他端側ロッドガイド部63に引っ掛かることで、フォークパイプ51がボトムケース部60から抜け出ないように作用する。
ストッパラバー53は、円筒状の部材であって、ゴムなどの衝撃を吸収することが可能な材料によって構成される。そして、ストッパラバー53は、フォークパイプ51においてストッパシート52よりも軸方向の内側に設けられる。そして、ストッパラバー53は、ストッパシート52と後述する他端側ロッドガイド部63との間に位置し、フロントフォーク14の伸張時に後述する他端側ロッドガイド部63およびストッパシート52の損傷を抑制する。
ボトムケース部60は、フォークパイプ51を軸方向に移動可能に収容するボトムケース61と、一端側ロッドガイド部62と、他端側ロッドガイド部63と、スライド部64と、ダストシール部65とを有している。
(ボトムケース61)
ボトムケース61は、内側が筒状に形成されており、一端部から他端部にかけて、第1筒部611と、第1筒部611に連続する第2筒部612と、第2筒部612に連続する第3筒部613とを有する。また、ボトムケース61は、外側に、緩衝器保持部614、車軸保持部615、およびキャリパ保持部616を有している。
なお、本実施形態では、ボトムケース61の第1筒部611、第2筒部612および第3筒部613が保持部の一例として機能する。
また、第2筒部612は、第1筒部611の内径よりも小さく形成された箇所である。そして、第2筒部612は、スライド部64を保持する箇所を形成する。
このように、ボトムケース61の他端部を開口した筒状形状にし、フォークパイプ51がボトムケース61を貫通するように構成している。
一端側ロッドガイド部62は、ロッドガイド621と、ガイドブッシュ622と、Oリング623と、ワッシャ624とを有している。
ロッドガイド621は、円柱状の概形を有する部材であって、内周部がフォークパイプ51の外径よりも大きく、外周部が第1筒部611の内径と略等しい外径を有している。そして、ロッドガイド621は、第1筒部611にてボトムケース61に圧入される。
ガイドブッシュ622は、ロッドガイド621の内側に設けられる。そして、ガイドブッシュ622は、内周部においてフォークパイプ51を軸方向に摺動可能に支持する。
他端側ロッドガイド部63は、ロッドガイド631、ガイドブッシュ632、Oリング633およびワッシャ634を有している。なお、他端側ロッドガイド部63の構成および機能は、基本的には上述した一端側ロッドガイド部62と同様である。従って、基本構成についてはその詳細な説明を省略する。
ロッドガイド631は、第3筒部613にてボトムケース61に圧入される。また、ガイドブッシュ632は、ロッドガイド631の内側に設けられる。そして、ガイドブッシュ632は、内周部においてフォークパイプ51を軸方向に摺動可能に支持する。
スライド部64は、潤滑剤保持部材641を備えて構成される。
潤滑剤保持部材641は、低粘度のグリスなどの潤滑剤が含浸される部材である。潤滑剤保持部材641は、内部に細かな孔が無数に空いた多孔質の材料であって、耐油性を有する材料を用いる。さらに、潤滑剤保持部材641は、対向するフォークパイプ51の表面を損傷させないよう例えば軟らかい弾性部材などによって構成される。例えば、合成樹脂を発泡形成した合成スポンジなどを用いることができる。
さらに、溝64Tは、フォークパイプ51側となる幅W1が、奧側の幅W2よりも狭くなっているため、一度取り込んだ異物が再度フォークパイプ51側に出ないようにしている。
また、溝64Tは、軸方向に異なる大きさ、(溝間の)間隔を部分的に異なるようにしても良く、さらに、一部の形状を異なるように構成しても良い。
ダストシール部65は、シール本体部651とスクレーパ652とを有している。
シール本体部651は、図5に示すように、軸方向の他端側が第1筒部611の外周部に引っ掛かるようにして取り付けられ、一端側がフォークパイプ51の外周面に対向するように設けられる。
環状突起65Rは、フォークパイプ51の軸方向と略直交する面に沿う垂直面R1と、垂直面R1よりもスライド部64側に位置し、軸方向と略直交する面に対して傾斜する傾斜面R2によって構成される。
特に、端部に位置するスクレーパ652においては、外側から内側へと異物が侵入しようとする際、異物に対して垂直面R1が対向する。垂直面R1とフォークパイプ51の表面との間には、異物が入り込む余地がないため、異物はボトムケース61の内部へと進入し難い。
一方で、例えばボトムケース61内部に入り込んでしまった異物に対しては、傾斜面R2が対向する。そのため、傾斜面R2とフォークパイプ51との間にて異物が挟まれた状態が生じる。さらに、フォークパイプ51がスクレーパ652に対して相対的に移動することで、傾斜面R2は異物により押されて変形する。その結果、異物は傾斜面R2を乗り越えるようにして、一段外側に位置する溝部65Vへと移動する。そして、最終的に、異物は、ダストシール部65の外側へと排出される。
図6は、フロントフォーク14の動作を説明するための図である。
なお、図6では左側フロントフォーク部14Lを例に説明するとともに、図6(a)には圧縮行程時の状態を示し、図6(b)には伸張行程時の状態を示す。
まず、圧縮行程時における動作について説明する。
図6(a)に示すように、フロントフォーク14が圧縮する方向の力を受けると、懸架スプリング30が圧縮される。さらに、緩衝器40においては、懸架スプリング30における振幅力を減衰させる。具体的には、ピストン42がシリンダ41S(図3参照)を摺動する際の摩擦により減衰力が発生する。さらに、ピストン42の貫通口42H(図3参照)を介した気体の流れの抵抗によっても減衰力が発生する。
なお、ボトムケース部60では、スライド部64においてフォークパイプ51に潤滑剤を供給しながら、フォークパイプ51を摺動可能に支持するため、フォークパイプ51の摩耗などの損傷が抑制される。
図6(b)に示すように、フロントフォーク14が伸張する方向の力を受けると、懸架スプリング30が伸張する。さらに、緩衝器40においては、懸架スプリング30における振幅力を減衰させる。具体的には、ピストン42がシリンダ41S(図3参照)を摺動する際の摩擦により減衰力が発生する。さらに、ピストン42の貫通口42H(図3参照)を介した気体の流れの抵抗によっても減衰力が発生する。
従って、フォークパイプ51の形状の単純化に伴う加工容易性の向上とともに、ボトムケース61を例えばダイキャストにより製造可能とするなど加工を容易にし、小型化を図ることが可能となる。
図7に示すように、フォークパイプ251は、円筒形状を有する部材であって、他端側の一端側と比較して外径が大きく形成される。すなわち、変形例のフォークパイプ251は、一端部においてブラケット12Bにて保持される部分の外径に対して、他端部にてボトムケース部60に保持される部分の外径を大きくすることができる。
本実施形態が適用されるフロントフォーク14では、フォークパイプ部およびボトムケース部の構成が、内部に減衰機構あるいは懸架スプリングを持たずに摺動するだけの構成であり従来技術と比較して単純化されている。そのため、図7に示す変形例のように、フォークパイプ251の外径を軸方向に異ならせるといった仕様の変更を容易に行うことを可能にする。
さらに、本実施形態では、自動二輪車に本発明に係わる懸架装置(フロントフォーク14)を適用しているが、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係わる懸架装置は、自動三輪車等の他の車体にも適用することができる。
Claims (2)
- 車体と車輪との間に設けられたスプリングと、車体側部材および当該車体側部材に対して軸方向に移動可能に接続する車輪側部材を有して当該スプリングの振動を減衰させる緩衝器とを備える緩衝部と、
少なくともスプリングおよび当該スプリングの振動を減衰させる緩衝器が設けられずに前記緩衝部に並行して設けられ、前記車輪を操舵可能にする棒状のロッド部材と、
前記車体に接続し、前記緩衝器の前記車体側部材および前記ロッド部材の前記車体側の端部を支持する車体側支持部材と、
前記ロッド部材の前記車輪側の端部を軸方向にスライド可能に保持するとともに、前記緩衝器の前記車輪側部材に連結する連結部と、当該連結部とは異なる箇所にて当該車輪の車軸を支持する車軸孔と、を有する車輪側支持部材と、
を備える懸架装置。 - 車体と車輪との間に設けられたスプリングの振動を、車体側部材および当該車体側部材に対して軸方向に移動可能に接続する車輪側部材を有して減衰させる緩衝器と、
前記緩衝器に並行して設けられるとともに、前記車輪を操舵可能にする棒状のロッド部材と、
前記車体に接続し、前記緩衝器の前記車体側部材および前記ロッド部材の前記車体側の端部を支持する車体側支持部材と、
前記ロッド部材の前記車輪側の端部を軸方向にスライド可能に保持するとともに、前記緩衝器の前記車輪側部材に連結する連結部と、当該連結部とは異なる箇所にて当該車輪の車軸を支持する車軸孔と、を有する車輪側支持部材と、
を備え、
前記ロッド部材は、前記車輪側支持部材に貫通して当該車輪側支持部材に保持される懸架装置。
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