以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
尚、以下の全ての図面においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、光学表示部品(液晶パネル)の幅方向をX方向としており、液晶パネルの面内においてX方向に直交する方向(液晶パネルの搬送方向)をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向としている。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、光学部材貼合体の製造装置として光学表示デバイスの生産システムを例示し、生産システムの一部を構成するフィルム貼合システムについて説明する。
図1は、本実施形態のフィルム貼合システム1(光学部材貼合体の製造装置)の概略構成を示す。フィルム貼合システム1は、例えば液晶パネルや有機ELパネルといったパネル状の光学表示部品に、偏光フィルムや位相差フィルム、輝度上昇フィルムといったフィルム状の光学部材を貼合する。フィルム貼合システム1は、前記光学表示部品及び光学部材を含んだ光学部材貼合体を製造する。フィルム貼合システム1では、前記光学表示部品として液晶パネルPを用いる。フィルム貼合システム1の各部は、電子制御装置としての制御装置20により統括制御される。
フィルム貼合システム1は、貼合工程の始発位置から終着位置まで、例えば駆動式のローラコンベヤ5を用いて液晶パネルPを搬送しつつ、液晶パネルPに順次所定の処理を施す。液晶パネルPは、その表面及び裏面を水平にした状態でローラコンベヤ5上を搬送される。
なお、図中左側(−Y方向側)は液晶パネルPの搬送方向上流側(以下、パネル搬送上流側という)を、図中右側(+Y方向側)は液晶パネルPの搬送方向下流側(以下、パネル搬送下流側という)をそれぞれ示す。
図7に示すように、液晶パネルPは平面視で長方形状をなし、その外周縁よりも所定幅だけ内側に、前記外周縁に沿う外形状を有する表示領域P4を形成する。液晶パネルPは、後述する第2アライメント装置14よりもパネル搬送上流側では、表示領域P4の短辺を概ね搬送方向に沿わせた向きで搬送され、前記第2アライメント装置14よりもパネル搬送下流側では、表示領域P4の長辺を概ね搬送方向に沿わせた向きで搬送される。
この液晶パネルPの表裏面に対して、長尺帯状の第1光学部材シートF1(光学部材シート)、第2光学部材シートF2(光学部材シート)、及び第3光学部材シートF3(光学部材シート)からそれぞれ切り出した第1光学部材F11(光学部材)、第2光学部材F12(光学部材)、及び第3光学部材F13(光学部材)が適宜貼合される。図9に示すように、本実施形態において、液晶パネルPのバックライト側及び表示面側に位置する両面には、偏光フィルムとしての第1光学部材F11及び第3光学部材F13がそれぞれ貼合される。液晶パネルPのバックライト側に位置する面には、第1光学部材F11に重ねて輝度向上フィルムとしての第2光学部材F12がさらに貼合される。
図1に示すように、フィルム貼合システム1は、上流工程からローラコンベヤ5のパネル搬送上流側上に液晶パネルPを搬送する。フィルム貼合システム1は、第1アライメント装置11と、第1貼合装置12(貼合装置)と、第1切断装置13と、第2アライメント装置14と、第2貼合装置15と、第2切断装置16(スキャナー)と、第3アライメント装置17と、第3貼合装置18と、第3切断装置19(スキャナー)と、を備えている。
また、詳しくは後述するが、第2切断装置16のパネル搬送上流側には、第2切断装置16における切断位置を規定するために用いる検出装置が設けられ、第3切断装置19のパネル搬送上流側には、第3切断装置19における切断位置を規定するために用いる検出装置が設けられている。
第1アライメント装置11は、液晶パネルPを保持して垂直方向(Z方向)及び水平方向(XY方向)で自在に搬送する。第1アライメント装置11は、例えば液晶パネルPのパネル搬送上流側及び下流側の端部を撮像する一対のカメラを有する。カメラの撮像データは制御装置20に送られる。制御装置20は、前記撮像データと予め記憶した光学軸方向の検査データとに基づき、第1アライメント装置11を作動させる。なお、第2アライメント装置14及び第3アライメント装置17も同様に前記カメラを有し、このカメラの撮像データをアライメントに用いる。
第1アライメント装置11は、制御装置20の制御により、第1貼合装置12に対する液晶パネルPのアライメントを行う。このとき、液晶パネルPは、搬送方向(Y方向)と直交する水平方向(X方向)(以下、部品幅方向という)での位置決めと、垂直軸回り(Z軸周り)の旋回方向(以下、単に旋回方向という)での位置決めとがなされる。この状態で、液晶パネルPが第1貼合装置12の貼合位置に導入される。
第1貼合装置12は、第1アライメント装置11よりもパネル搬送下流側に設けられている。第1貼合装置12は、貼合位置に導入された長尺の第1光学部材シートF1の下面に対して、その下方を搬送される液晶パネルPの上面(バックライト側)を貼合する。
第1貼合装置12は、搬送装置12aと、挟圧ロール12bとを備える。搬送装置12aは、第1光学部材シートF1を巻回した第1原反ロールR1から第1光学部材シートF1を巻き出しつつ第1光学部材シートF1をその長手方向に沿って搬送する。挟圧ロール12bは、搬送装置12aが搬送する第1光学部材シートF1の下面にローラコンベヤ5が搬送する液晶パネルPの上面を貼合する。
搬送装置12aは、保持部12cと、回収部12dとを有する。保持部12cは、第1光学部材シートF1を巻回した第1原反ロールR1を保持すると共に第1光学部材シートF1をその長手方向に沿って繰り出す。回収部12dは、第1光学部材シートF1の上面に重なって第1光学部材シートF1と共に繰り出されたプロテクションフィルムpfを第1貼合装置12のパネル搬送下流側で回収する。搬送装置12aは、第1貼合装置12における貼合位置で、第1光学部材シートF1と液晶パネルPとが貼合される第1光学部材シートF1の貼合面が下方を向くように、第1光学部材シートF1の搬送経路を設定する。
挟圧ロール12bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成され、この間隙内が第1貼合装置12の貼合位置となる。前記間隙内には、液晶パネルP及び第1光学部材シートF1が重なり合って導入される。これら液晶パネルP及び第1光学部材シートF1が、前記貼合ローラ間で挟圧されつつパネル搬送下流側に送り出される。これにより、複数の液晶パネルPを所定の間隔を空けつつ長尺の第1光学部材シートF1の下面に連続的に貼合した第1貼合シートF21(貼合シート)が形成される。
第1切断装置13は回収部12dよりもパネル搬送下流側に位置する。第1切断装置13は、第1貼合シートF21の第1光学部材シートF1を切断して表示領域P4よりも大きい(本実施形態では液晶パネルPよりも大きい)シート片F1S(図6参照)とするべく、第1光学部材シートF1の所定箇所(搬送方向で並ぶ液晶パネルPの間)を前記部品幅方向の全幅にわたって切断する。なお、第1切断装置13として切断刃を用いるかレーザーカッターを用いるかは問わない。前記切断により、液晶パネルPの上面に表示領域P4よりも大きい前記シート片F1Sが貼合された第1片面貼合パネルP11(第1光学部材貼合体)が形成される。
なお、シート片F1Sにおいて、液晶パネルPの外側にはみ出る部分の大きさ(シート片F1Sの余剰部分の大きさ)は、液晶パネルPのサイズに応じて適宜設定される。例えば、シート片F1Sを5インチ〜10インチの中小型サイズの液晶パネルPに適用する場合は、シート片F1Sの各辺においてシート片F1Sの一辺と液晶パネルPの一辺との間の間隔を2mm〜5mmの範囲の長さに設定する。
第2アライメント装置14は、第1貼合装置12及び第1切断装置13よりもパネル搬送下流側に設けられている。第2アライメント装置14は、例えばローラコンベヤ5上の第1片面貼合パネルP11を保持して垂直軸回りに90°旋回させる。これにより、表示領域P4の短辺と略平行に搬送されていた第1片面貼合パネルP11が、表示領域P4の長辺と略平行に搬送されるように方向転換する。なお、前記旋回は、第1光学部材シートF1の光軸方向に対して、液晶パネルPに貼合する他の光学部材シートの光学軸方向が直角に配置される場合になされる。
第2アライメント装置14は、前記第1アライメント装置11と同様のアライメントを行う。すなわち、第2アライメント装置14は、制御装置20に記憶された光学軸方向の検査データ及び前記カメラCの撮像データに基づき、第2貼合装置15に対する第1片面貼合パネルP11の部品幅方向での位置決め及び旋回方向での位置決めを行う。この状態で、第1片面貼合パネルP11が第2貼合装置15の貼合位置に導入される。
第2貼合装置15は、第2アライメント装置14よりもパネル搬送下流側に設けられている。第2貼合装置15は、貼合位置に導入された長尺の第2光学部材シートF2の下面に対して、その下方を搬送される第1片面貼合パネルP11の上面(液晶パネルPのバックライト側)を貼合する。すなわち、第1片面貼合パネルP11において液晶パネルPのバックライト側に貼合されたシート片F1Sと、第2光学部材シートF2と、が接触するように、第1片面貼合パネルP11と第2光学部材シートF2とを貼合する。
第2貼合装置15は、搬送装置15aと、挟圧ロール15bとを備える。搬送装置15aは、第2光学部材シートF2を巻回した第2原反ロールR2から第2光学部材シートF2を巻き出しつつ第2光学部材シートF2をその長手方向に沿って搬送する。挟圧ロール15bは、搬送装置15aが搬送する第2光学部材シートF2の下面にローラコンベヤ5が搬送する第1片面貼合パネルP11の上面を貼合する。
搬送装置15aは、保持部15cと、回収部15dとを有する。保持部15cは、第2光学部材シートF2を巻回した第2原反ロールR2を保持すると共に第2光学部材シートF2をその長手方向に沿って繰り出す。回収部15dは、第2切断装置16を経た第2光学部材シートF2の余剰部分を回収する。搬送装置15aは、第2貼合装置15における貼合位置で、第2光学部材シートF2と第1片面貼合パネルP11とが貼合される第2光学部材シートF2の貼合面が下方を向くように、第2光学部材シートF2の搬送経路を設定する。
挟圧ロール15bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成され、この間隙内が第2貼合装置15の貼合位置となる。前記間隙内には、第1片面貼合パネルP11及び第2光学部材シートF2が重なり合って導入される。これら第1片面貼合パネルP11及び第2光学部材シートF2が、前記貼合ローラ間で挟圧されつつパネル搬送下流側に送り出される。これにより、複数の第1片面貼合パネルP11を所定の間隔を空けつつ長尺の第2光学部材シートF2の下面に連続的に貼合した第2貼合シートF22(貼合シート)が形成される。
第2切断装置16は挟圧ロール15bよりもパネル搬送下流側に位置する。第2切断装置16は、第2光学部材シートF2とその下面に貼合した第1片面貼合パネルP11の第1光学部材シートF1のシート片F1Sとを同時に切断する(図4参照)。第2切断装置16は、第2光学部材シートF2と第1光学部材シートF1のシート片F1Sとの積層体を、積層体と液晶パネルPとの貼合面の外周縁に沿って(本実施形態では液晶パネルPの外周縁に沿って)無端状に切断する。各光学部材シートF1,F2を液晶パネルPに貼合した後にまとめてカットすることで、各光学部材シートF1,F2の光学軸方向の精度が高まると共に、各光学部材シートF1,F2間の光学軸方向のズレが無くなり、かつ第1切断装置13での切断が簡素化される。
なお、本実施形態においては、第2光学部材シートF2とシート片F1Sとを同時に切断する場合を挙げているが、本発明は上述した実施形態に限らない。例えば、第2光学部材シートF2のみを切断する場合においても本発明を適用可能である。具体的には、第2光学部材シートF2を第1片面貼合パネルP11に対して大きめに貼合した後に、第2光学部材シートF2のみを切断することもできる。この方法によれば、第2光学部材シートF2を第1片面貼合パネルP11に貼合する際の貼り付け精度は不要となり、額縁を切断することも可能となる。
図8に示すように、第2切断装置16の切断により、液晶パネルPの上面に第1光学部材F11及び第2光学部材F12が重ねて貼合された第2片面貼合パネルP12(光学部材貼合体、第2光学部材貼合体)が形成される。
またこのとき、図4に示すように、第2片面貼合パネルP12と、貼合面に対応する部分(各光学部材F11,F12)が切り取られて枠状に残る各光学部材シートF1,F2の余剰部分とが分離される。第2光学部材シートF2の余剰部分は複数連なって梯子状をなし、この余剰部分が第1光学部材シートF1の余剰部分と共に回収部15dに巻き取られる。なお、貼合面に対応する部分については後述する。
図1に戻り、第3アライメント装置17は、第2貼合装置15及び第2切断装置16よりもパネル搬送下流側に設けられている。第3アライメント装置17は、液晶パネルPのバックライト側を上面にした第2片面貼合パネルP12の表面と裏面とを反転させて液晶パネルPの表示面側を上面にすると共に、前記第1アライメント装置11及び第2アライメント装置14と同様のアライメントを行う。すなわち、第3アライメント装置17は、制御装置20に記憶された光学軸方向の検査データ及び前記カメラの撮像データに基づき、第3貼合装置18に対する第2片面貼合パネルP12の部品幅方向での位置決め及び旋回方向での位置決めを行う。この状態で、第2片面貼合パネルP12が第3貼合装置18の貼合位置に導入される。
第3貼合装置18は、第3アライメント装置17よりもパネル搬送下流側に設けられている。第3貼合装置18は、貼合位置に導入された長尺の第3光学部材シートF3の下面に対して、その下方を搬送される第2片面貼合パネルP12の上面(液晶パネルPの表示面側)を貼合する。
第3貼合装置18は、搬送装置18aと、挟圧ロール18bと、を備える。搬送装置18aは、第3光学部材シートF3を巻回した第3原反ロールR3から第3光学部材シートF3を巻き出しつつ第3光学部材シートF3をその長手方向に沿って搬送する。挟圧ロール18bは、搬送装置18aが搬送する第3光学部材シートF3の下面にローラコンベヤ5が搬送する第2片面貼合パネルP12の上面を貼合する。
搬送装置18aは、保持部18cと、回収部18dと、を備える。保持部18cは、第3光学部材シートF3を巻回した第3原反ロールR3を保持すると共に第3光学部材シートF3をその長手方向に沿って繰り出す。回収部18dは、挟圧ロール18bよりもパネル搬送下流側に位置する第3切断装置19を経た第3光学部材シートF3の余剰部分を回収する。
搬送装置18aは、第3貼合装置18における貼合位置で、第3光学部材シートF3と第2片面貼合パネルP12とが貼合される第3光学部材シートF3の貼合面が下方を向くように、第3光学部材シートF3の搬送経路を設定する。
挟圧ロール18bは、互いに軸方向を平行にして配置された一対の貼合ローラを有する。一対の貼合ローラ間には所定の間隙が形成され、この間隙内が第3貼合装置18の貼合位置となる。前記間隙内には、第2片面貼合パネルP12及び第3光学部材シートF3が重なり合って導入される。これら第2片面貼合パネルP12及び第3光学部材シートF3が、前記貼合ローラ間で挟圧されつつパネル搬送下流側に送り出される。これにより、複数の第2片面貼合パネルP12を所定の間隔を空けつつ長尺の第3光学部材シートF3の下面に連続的に貼合した第3貼合シートF23(貼合シート)が形成される。
第3切断装置19は挟圧ロール18bよりもパネル搬送下流側に位置し、第3光学部材シートF3を切断する。第3切断装置19は第2切断装置16と同様のレーザー光照射装置(図2、図3参照)である。第3切断装置19は、第3光学部材シートF3を、第3光学部材シートF3と液晶パネルPとの貼合面の外周縁に沿って(例えば液晶パネルPの外周縁に沿って)無端状に切断する。
図9に示すように、第3切断装置19の切断により、第2片面貼合パネルP12の上面に第3光学部材F13が貼合された両面貼合パネルP13(光学部材貼合体、第2光学部材貼合体)が形成される。
またこのとき、図2に示すように、両面貼合パネルP13と、貼合面に対応する部分(第3光学部材F13)が切り取られて枠状に残る第3光学部材シートF3の余剰部分とが分離される。第3光学部材シートF3の余剰部分は第2光学部材シートF2の余剰部分と同様に複数連なって梯子状をなし、この余剰部分が回収部18dに巻き取られる。
両面貼合パネルP13は、不図示の欠陥検査装置を経て欠陥(貼合不良等)の有無が検査された後、下流工程に搬送されて他の処理がなされる。
図5に示すように、液晶パネルPは、例えばTFT基板からなる長方形状の第1基板P1と、第1基板P1に対向して配置される同じく長方形状の第2基板P2と、第1基板P1と第2基板P2との間に封入される液晶層P3とを有する。なお、図示都合上、断面図の各層のハッチングを略すことがある。
図7,8に示すように、第1基板P1は、その外周縁の三辺を第2基板P2の対応する三辺に沿わせると共に、外周縁の残りの一辺を第2基板P2の対応する一辺よりも外側に張り出させる。これにより、第1基板P1の前記一辺側に第2基板P2よりも外側に張り出す電気部品取り付け部P5が設けられる。
図6,8に示すように、第2切断装置16は、後述する検出装置で検出された、第2光学部材シートF2とシート片F1Sとの積層体と、液晶パネルPと、の貼合面の外周縁に沿って第1及び第2光学部材シートF1,F2を切断する。図6には、検出装置を構成する撮像装置43を示している。また、第3切断装置19は、後述する検出装置で検出された、第3光学部材シートF3と液晶パネルPとの貼合面の外周縁に沿って第3光学部材シートF3を切断する。図8には、検出装置を構成する撮像装置43を示している。表示領域P4の外側には、第1基板P1及び第2基板P2を接合するシール剤等を配置する所定幅の額縁部Gが設けられ、この額縁部Gの幅内で各切断装置16,19によるレーザーカットがなされる。
貼合面の外周縁の検出および切断装置による切断は、詳しくは以下のようにして行う。
図14は、貼合面の外周縁を検出する第1検出装置41の模式図である。本実施形態のフィルム貼合システム1が備える第1検出装置41は、第2貼合シートF22における、液晶パネルPとシート片F1Sとの貼合面(以下、第1貼合面TA1と称することがある。)の外周縁EDの画像を撮像する撮像装置43と、外周縁EDを照明する照明光源44と、撮像装置43で撮像した画像の記憶や、画像に基づいて外周縁EDを検出するための演算を行う制御部45と、を有する。
このような第1検出装置41は、図1における第2切断装置16のパネル搬送上流側であって、挟圧ロール15bと第2切断装置16との間に設けられている。
撮像装置43は、外周縁EDよりも第1貼合面TA1の内側に固定して配置されており、第1貼合面TA1の法線と、撮像装置43の撮像面43aの法線とが、角度θ(以下、撮像装置43の傾斜角度θと称する)をなすように傾斜した姿勢となっている。撮像装置43は、撮像面43aを外周縁EDに向け、第2貼合シートF22においてシート片F1Sが貼合された側から外周縁EDの画像を撮像する。
撮像装置43の傾斜角度θは、第1貼合面TA1をなす第1基板P1の外周縁を確実に撮像できるように設定することが好ましい。例えば、液晶パネルPが、マザーパネルを複数枚の液晶パネルに分割する、いわゆる多面取りで形成されている場合、液晶パネルPを構成する第1基板P1と第2基板P2との外周縁にずれが生じ、第2基板P2の端面が第1基板P1の端面よりも外側にずれることがある。このような場合、撮像装置43の傾斜角度θは、撮像装置43の撮像視野内に第2基板P2の外周縁が入り込まないように設定することが好ましい。
このような場合、撮像装置43の傾斜角度θは、第1貼合面TA1と撮像装置43の撮像面43aの中心との間の距離H(以下、撮像装置43の高さHと称する)に適合するように設定されることが好ましい。例えば、撮像装置43の高さHが50mm以上100mm以下の場合、撮像装置43の傾斜角度θは、5°以上20°以下の範囲の角度に設定されることが好ましい。ただし、経験的にずれ量が分かっている場合には、そのずれ量に基づいて撮像装置43の高さH及び撮像装置43の傾斜角度θを求めることができる。本実施形態では、撮像装置43の高さHが78mm、撮像装置43の傾斜角度θが10°に設定されている。
撮像装置43の傾斜角度θは、0°であってもよい。図15は、検出装置41の変形例を示す模式図であり、撮像装置43の傾斜角度θが0°である場合の例である。この場合、撮像装置43及び照明光源44の各々が、第1貼合面TA1の法線方向に沿って外周縁EDに重なる位置に配置されていてもよい。
第1貼合面TA1と撮像装置43の撮像面43aの中心との間の距離H1(以下、撮像装置43の高さH1と称する)は、第1貼合面TA1の外周縁EDを検出しやすい位置に設定されることが好ましい。例えば、撮像装置43の高さH1は、50mm以上150mm以下の範囲に設定されることが好ましい。
照明光源44は、第2貼合シートF22におけるシート片F1Sが貼合された側とは反対側に固定して配置されている。照明光源44は、第1貼合面TA1の法線方向に対して外周縁EDよりも第1貼合面TA1の外側に傾斜した姿勢で配置されている。本実施形態では、照明光源44の光軸と撮像装置43の撮像面43aの法線とが平行になっている。
なお、照明光源44は、第2貼合シートF22におけるシート片F1Sが貼合された側(すなわち、撮像装置43と同じ側)に配置されていてもよい。
また、照明光源44から射出される照明光により、撮像装置43が撮像する外周縁EDが照明されていれば、照明光源44の光軸と撮像装置43の撮像面43aの法線とが交差していてもよい。
図16は、貼合面の外周縁を検出する位置を示す平面図である。図に示す第2貼合シートF22の搬送経路上には、検査領域CAが設定されている。検査領域CAは、搬送される液晶パネルPにおける、第1貼合面TA1の外周縁EDに対応する位置に設定されている。図16では、検査領域CAは、平面視矩形の第1貼合面TA1の4つの角部に対応する4箇所に設定されており、第1貼合面TA1の角部を外周縁EDとして検出する構成となっている。図16では、第1貼合面TA1の外周縁のうち、角部に対応する鉤状の部分を外周縁EDとして示している。
図14の第1検出装置41は、4箇所の検査領域CAにおいて外周縁EDを検出する。具体的には、各検査領域CAには、それぞれ撮像装置43および照明光源44が配置されており、第1検出装置41は、搬送される液晶パネルPごとに第1貼合面TA1の角部を撮像し、撮像データに基づいて外周縁EDを検出する。検出された外周縁EDのデータは、図14に示す制御部45に記憶される。
なお、第1貼合面TA1の外周縁が検出可能であれば、検査領域CAの設定位置はこれに限らない。例えば、各検査領域CAが、第1貼合面TA1の各辺の一部(例えば各辺の中央部)に対応する位置に配置されていてもよい。この場合、第1貼合面TA1の各辺(四辺)を外周縁として検出する構成となる。
また、撮像装置43および照明光源44は、各検査領域CAに配置されている構成に限らず、第1貼合面TA1の外周縁EDに沿うように設定された移動経路を移動可能である構成であってもよい。この場合、撮像装置43と照明光源44とがそれぞれ1つずつ設けられていればよい。
第2切断装置16によるシート片F1Sおよび第2光学部材シートF2のカット位置は、第1貼合面TA1の外周縁EDの検出結果に基づいて調整される。図14に示す制御部45は、記憶された第1貼合面TA1の外周縁EDのデータに基づいて、第1光学部材F11が液晶パネルPの外側(第1貼合面TA1の外側)にはみ出さない大きさとなるようにシート片F1Sおよび第2光学部材シートF2のカット位置を決定する。第2切断装置16は、制御部45によって決定されたカット位置においてシート片F1Sおよび第2光学部材シートF2を切断する。
図1に戻り、第2切断装置16は、第1検出装置41よりもパネル搬送下流側に設けられている。第2切断装置16は、液晶パネルPに貼合されたシート片F1Sおよび第2光学部材シートF2のうち第1貼合面TA1に対応する部分と、その外側の余剰部分とを、検出された外周縁EDに沿って切り離し、第1貼合面TA1に対応する大きさの第1光学部材F11および第2光学部材F12(図9参照)を切り出す。これにより、液晶パネルPの上面に第1及び第2光学部材F11,F12が重ねて貼合された第2片面貼合パネルP12が形成される。
ここで、「第1貼合面TA1に対応する部分」とは、シート片F1Sおよび第2光学部材シートF2において、対向する液晶パネルPの表示領域の大きさ以上、液晶パネルPの外形状(平面視における輪郭形状)の大きさ以下の領域であって、かつ液晶パネルPにおける電気部品取付部等の機能部分を避けた領域を指す。
本実施形態では、平面視矩形状の液晶パネルPにおける機能部分を除いた三辺では、液晶パネルPの外周縁に沿って余剰部分をレーザーカットし、機能部分に相当する一辺では、液晶パネルPの外周縁から表示領域P4側に適宜入り込んだ位置で余剰部分をレーザーカットする構成を採用できる。例えば、第1基板P1がTFT基板の場合、機能部分に相当する一辺では機能部分を除くよう液晶パネルPの外周縁から表示領域P4側に所定量ずれた位置でカットする構成を採用できる。
図17は、貼合面の外周縁を検出する第2検出装置42の模式図である。本実施形態のフィルム貼合システム1が備える第2検出装置42は、第3貼合シートF23における、液晶パネルPと第3光学部材シートF3との貼合面(以下、第2貼合面TA2と称することがある。)の外周縁EDの画像を撮像する撮像装置43と、外周縁EDを照明する照明光源44と、撮像装置43で撮像した画像を記憶し、画像に基づいて外周縁EDを検出するための演算を行う制御部45と、を有する。第2検出装置42は、上述の第1検出装置41と同様の構成を有している。
このような第2検出装置42は、図1における第3切断装置19のパネル搬送上流側であって、挟圧ロール18bと第3切断装置19との間に設けられている。第2検出装置42は、第3貼合シートF23の搬送経路上において設定された検査領域において、上述の第1検出装置41と同様にして第2貼合面TA2の外周縁EDを検出する。
第3切断装置19による第3光学部材シートF3のカット位置は、第2貼合面TA2の外周縁EDの検出結果に基づいて調整される。図17に示す制御部45は、記憶された第2貼合面TA2の外周縁EDのデータに基づいて、第3光学部材F13が液晶パネルPの外側(第2貼合面TA2の外側)にはみ出さない大きさとなるように第3光学部材シートF3のカット位置を決定する。第3切断装置19は、制御部45によって決定されたカット位置において第3光学部材シートF3を切断する。
第3切断装置19は、液晶パネルPに貼合された第3光学部材シートF3のうち第2貼合面TA2に対応する部分と、その外側の余剰部分とを、検出された外周縁EDに沿って切り離し、第2貼合面TA2に対応する大きさの第3光学部材F13(図9参照)を切り出す。これにより、第2片面貼合パネルP12の上面に第3光学部材F13が貼合された両面貼合パネルP13が形成される。
ここで、「第2貼合面TA2に対応する部分」とは、第3光学部材シートF3において、対向する液晶パネルPの表示領域の大きさ以上、液晶パネルPの外形状(平面視における輪郭形状)の大きさ以下の領域であって、かつ液晶パネルPにおける電気部品取付部等の機能部分を避けた領域を指す。
図11に示すように、樹脂製の光学部材シートFXを単独でレーザーカットすると、その切断端tが熱変形により膨れたり波打ったりすることがある。このため、レーザーカット後の光学部材シートFXを光学表示部品PXに貼合する場合には、光学部材シートFXにエア混入や歪み等の貼合不良が生じ易い。
一方、図10に示すように、光学部材シートFXを液晶パネルPに貼合した後に光学部材シートFXをレーザーカットする本実施形態では、光学部材シートFXの切断端tが液晶パネルPのガラス面にバックアップされるため、光学部材シートFXの切断端tの膨れや波打ち等が生じず、かつ液晶パネルPへの貼合後であることから前記貼合不良も生じ得ない。
レーザー加工機によって形成された切断線の振れ幅(公差)は切断刃によって形成された切断線の振れ幅よりも小さく、したがって本実施形態では、切断刃を用いて光学部材シートFXを切断する場合と比べて、前記額縁部Gの幅を狭めることが可能であり、液晶パネルPの小型化及び(又は)表示領域P4の大型化が可能である。このような光学部材シートは、近年のスマートフォンやタブレット端末のように、筐体のサイズが制限される中で表示画面の拡大が要求される高機能モバイルへの適用に有効である。
また、光学部材シートFXを液晶パネルPの表示領域P4に整合するシート片にカットした後に液晶パネルPに貼合する場合、前記シート片及び液晶パネルPそれぞれの寸法公差、並びにこれらの相対貼合位置の寸法公差が重なるため、液晶パネルPの額縁部Gの幅を狭めることが困難になる(表示エリアの拡大が困難になる)。
一方、光学部材シートFXを液晶パネルPに貼合した後に表示領域P4に合わせてカットする場合、切断線の振れ公差のみを考慮すればよく、額縁部Gの幅の公差を小さくすることができる(±0.1mm以下)。この点においても、液晶パネルPの額縁部Gの幅を狭めることができる(表示エリアの拡大が可能となる)。
さらに、光学部材シートFXを刃物ではなくレーザーでカットすることで、切断時の力が液晶パネルPに入力されず、液晶パネルPの基板の端縁にクラックや欠けが生じ難くなり、ヒートサイクル等に対する耐久性が向上する。同様に、液晶パネルPに非接触であるため、電気部品取り付け部P5に対するダメージも少ない。
なお、光学部材シートFXをレーザーでカットする場合において、レーザー照射の単位長さ当たりのエネルギーは、液晶パネルPや光学部材シートFXの厚みや構成を考慮して決定することが好ましい。
本実施形態では、光学部材シートFXをレーザーでカットする場合において、単位長さ当たりのエネルギーが、0.01〜0.11(J/mm)の範囲内でレーザー照射を行うことが好ましい。レーザー照射において、単位長さ当たりのエネルギーが大きすぎると、光学部材シートFXをレーザーでカットする場合に、光学部材シートFXがダメージを受けるおそれがある。しかし、単位長さ当たりのエネルギーが、0.01〜0.11(J/mm)の範囲内でレーザー照射を行うことにより、光学部材シートFXがダメージを受けることを防ぐことができる。
図7に示すように、光学部材シートFX(図7では第3光学部材シートF3)をレーザーカットする場合、例えば表示領域P4の一長辺の延長上にレーザーカットの始点pt1を設定し、この始点pt1からまず前記一長辺の切断を開始する。レーザーカットの終点pt2は、レーザーが表示領域P4を一周して表示領域P4の始点側の短辺の延長上に至る位置に設定する。始点pt1及び終点pt2は、光学部材シートFXの余剰部分に所定の接続代を残し、光学部材シートFXを巻き取る際の張力に耐え得るように設定される。
図1に戻り、本実施形態の制御装置20は、コンピュータシステムを含んで構成されている。このコンピュータシステムは、CPU等の演算処理部20aと、メモリーやハードディスク等の記憶部20bとを備える。本実施形態の制御装置20は、コンピュータシステムの外部の装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。制御装置20には、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。上記の入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいはコンピュータシステムの外部の装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。制御装置20は、フィルム貼合システム1の各部の動作状況を示す液晶表示ディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、表示装置と接続されていてもよい。
制御装置20の記憶部20bには、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。制御装置20の記憶部20bには、演算処理部20aにフィルム貼合システム1の各部を制御させることによって、フィルム貼合システム1の各部に偏光フィルムFを精度よく搬送させるための処理を実行させるプログラムが記録されている。記憶部20bに記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置20の演算処理部20aが読み取り可能である。制御装置20は、フィルム貼合システム1の各部の制御に要する各種処理を実行するASIC等の論理回路を含んでいてもよい。
記憶部20bは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などといった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROM読取り装置、ディスク型記憶媒体などといった外部記憶装置などを含む概念である。記憶部20bは、機能的には、移動装置32の動作や第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162(走査素子)の動作の制御手順が記述されたプログラムソフトを記憶する記憶領域、図3に示す所望の軌跡を実現するための光学部材シートFX内における照射位置を座標データとして記憶するための記憶領域、図2におけるXYZの各方向への第2切断装置16の移動量を記憶するための記憶領域、その他各種の記憶領域が設定される。
(レーザー光照射装置)
図2は、光学部材シートの切断部(切断装置)として用いられるレーザー光照射装置30の一例を示す斜視図である。
図2に示すように、レーザー光照射装置30は、テーブル31と、第2切断装置16としてのスキャナーと、移動装置32と、制御装置33と、を備えている。レーザー光照射装置30は、光学部材シートFXにレーザー光を照射して光学部材シートFXを所定サイズの光学部材FSに切断するための装置である。なお、図2では第2切断装置16としてのスキャナーを挙げて説明するが、第3切断装置19としてのスキャナーとしても適用可能である。
テーブル31は、光学部材シートFX(照射対象物)を保持する保持面31aを有する。第2切断装置16は、テーブル31に保持された光学部材シートFXを切断するために光学部材シートFXにレーザー光を射出する。
第2切断装置16は、テーブル31の保持面31aと平行な平面内(XY平面内)でレーザー光を2軸走査可能である。すなわち、第2切断装置16は、テーブル31に対してX方向とY方向に独立に相対移動可能となっており、これにより、テーブル31上の任意の位置に第2切断装置16を移動させ、テーブル31に保持された光学部材シートFXの任意の位置に精度よくレーザー光を照射することが可能となっている。
移動装置32は、テーブル31と第2切断装置16とを相対移動可能である。移動装置32は、テーブル31と第2切断装置16とを、保持面31aに平行な第1の方向V1(X方向)、保持面31aに平行かつ第1の方向V1に直交する第2の方向V2(Y方向)、保持面31aの法線方向である第3の方向V3(Z方向)に相対移動させる。本実施形態において、移動装置32は、テーブル31を移動させずに、第2切断装置16のみを移動させる。
例えば、第2切断装置16には、前記第2切断装置16をXYZの各方向へ移動可能にするスライダ機構(図示略)が設けられている。移動装置32は、スライダ機構が内蔵するリニアモータを作動させて第2切断装置16を、XYZの各方向へ移動させる。スライダ機構内においてパルス駆動されるリニアモータは、前記リニアモータに供給されるパルス信号によって出力軸の回転角度制御を精細に行うことができる。従って、スライダ機構に支持された第2切断装置16のXYZの各方向上の位置を高精度に制御できる。なお、第2切断装置16の位置制御はパルスモータを用いた位置制御に限られず、サーボモータを用いたフィードバック制御や、その他任意の制御方法によって実現することもできる。
なお、移動装置による相対移動の方法は、本発明は上述した実施形態に限らない。例えば、第2切断装置16を移動させずにテーブル31のみを移動させたり、テーブル31及び第2切断装置16の双方を移動させたりすることにより、テーブル31と第2切断装置16とを相対移動させる場合であっても、本発明を適用することができる。
図3は、レーザー光照射装置30における第2切断装置(スキャナー)16の内部構成を示す斜視図である。なお、図3においては、便宜上、移動装置32、制御装置33の図示を省略している。
図3に示すように、第2切断装置16は、レーザー光発振機160、第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162、集光レンズ163を備えている。
レーザー光発振機160は、レーザー光Lを発振する部材である。例えば、レーザー光発振機160としては、CO2レーザー光発振機(二酸化炭素レーザー光発振機)、UVレーザー光発振機、半導体レーザー光発振機、YAGレーザー光発振機、エキシマレーザー光発振機等の発振機を用いることができるが、具体的な構成は特に限定されない。前記例示の発振機の中でもCO2レーザー光発振機は、例えば偏光フィルムの切断加工に好適な高出力でレーザー光を発振することができるので、より好ましい。
第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162は、レーザー光発振機160から発振されたレーザー光を保持面31aと平行な平面内で2軸走査可能な走査素子を構成している。第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162としては、例えば、ガルバノスキャナーを用いる。第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162は、レーザー光発振機160と集光レンズ163との間におけるレーザー光の光路上にこの順に配置されている。なお、走査素子としては、ガルバノスキャナーに限らず、ジンバルを用いることもできる。
第1照射位置調整装置161は、ミラー161aと、ミラー161aの設置角度を調整するアクチュエータ161bと、を備えている。アクチュエータ161bは、Z方向に平行な回転軸161cを有している。回転軸161cは、ミラー161aに連結されている。アクチュエータ161bは、制御装置33の制御に基づいて、ミラー161aをZ軸回りに回転させる。
第2照射位置調整装置162は、ミラー162aと、ミラー162aの設置角度を調整するアクチュエータ162bと、を備えている。アクチュエータ162bは、Y方向に平行な回転軸162cを有している。回転軸162cは、ミラー162aに連結されている。アクチュエータ162bは、制御装置33の制御に基づいて、ミラー162aをY軸回りに回転させる。
レーザー光発振機160から発振されたレーザー光Lは、ミラー161a、ミラー162a、集光レンズ163を経由してテーブル31に保持された光学部材シートFXに照射される。第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162は、制御装置33の制御に基づいて、レーザー光発振機160からテーブル31に保持された光学部材シートFXに向けて照射されるレーザー光の照射位置を調整する。
アクチュエータ161b,162bは、制御装置33の制御に基づいて、ミラー161a,162aを回転させ、光学部材シートFXに向けて照射されるレーザー光Lの光路を調整する。例えば、レーザー光Lの光路を、図3において実線で示す状態から1点鎖線で示す状態または2点差線で示す状態に変更する。
ミラー161a及びミラー162aの回転により、レーザー光Lの光路が実線で示す状態に位置付けられている場合には、レーザー光発振機160から発振されたレーザー光Lは集光点Qaに集光される。
ミラー161a及びミラー162aの回転により、レーザー光Lの光路が一点鎖線で示す状態に位置付けられている場合には、レーザー光発振機160から発振されたレーザー光Lは集光点Qaから所定量変位した集光点Qbに集光される。
ミラー161a及びミラー162aの回転により、レーザー光Lの光路が二点鎖線で示す状態に位置付けられている場合には、レーザー光発振機160から発振されたレーザー光Lは集光点Qaから所定量変位した集光点Qcに集光される。
このような構成により、第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162は、制御装置33の制御に基づいて、集光レンズ163によってテーブル31に保持された光学部材シートFXに集光されるレーザー光Lの集光点位置(Qa,Qb,Qc)を調整する。
集光レンズ163は、第2切断装置16の先端部(光学部材シートFXと対向する部分)に配置されている。集光レンズ163は、レーザー光発振機160から発振され、第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162により光路が調整されたレーザー光Lを光学部材シートFXの所定位置に集光する。
例えば、集光レンズ163としては、fθレンズを用いる。これにより、ミラー162aから集光レンズ163に平行に入力された実線と1点鎖線および2点鎖線で示すレーザー光Lを光学部材シートFXに平行に集光させることができる。
制御装置33は、第2切断装置16から射出されるレーザー光Lがテーブル31に保持された光学部材シートFXにおいて所望の軌跡を描くように、移動装置32、第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162を制御する。
(レーザー光照射方法)
図12は、本発明のレーザー光照射方法の一実施形態を示すフローチャートである。
本実施形態のレーザー光照射方法は、図2に示すレーザー光照射装置30を用いた、光学部材シートFXを所定サイズの光学部材FSに切断するための切断方法である。本実施形態のレーザー光照射方法は、光学部材シートFXをテーブル31の保持面31aで保持する第1のステップと、テーブル31と第2切断装置16を相対移動させつつ第2切断装置16から保持面31aと平行な平面内で2軸走査されたレーザー光を光学部材シートFXに照射する第2のステップと、を有する。第2のステップにおいては、第2切断装置16から照射されるレーザー光がテーブル31に保持された光学部材シートFXにおいて所望の軌跡を描くように、テーブル31と第2切断装置16とを、保持面31aに平行な第1の方向V1と保持面31aに平行かつ第1の方向V1に直交する第2の方向V2とに相対移動させ、かつ、テーブル31に保持された光学部材シートFXに照射されるレーザー光の照射位置を調整させる。
以下、レーザー光照射装置30を用いて光学部材シートFXを所定サイズの光学部材FSに切断するまでの動作を説明する。
先ず、使用する光学部材シート(例えば第1光学部材シートF1)の原反ロール(例えば第1原反ロールR1)を保持部12cに装填する。この装填が完了した後、オペレータは、操作パネルなどを利用して初期設定を行う(図12に示すステップS1)。例えば、前記初期設定により、光学部材シートの切断サイズ、厚み、供給速度、レーザー光の出力および焦点深度、保持部12cの繰り出し速度、ローラコンベヤ5の搬送速度などが設定される。
初期設定が完了すると、ローラコンベヤ5は、制御装置20の制御に基づいて、液晶パネルPの搬送を開始する(図12に示すステップS2)。
液晶パネルPにおいては、制御装置20の制御に基づいて、第1アライメント装置11によるアライメントが行われ、第1貼合装置12による第1貼合シートF21の形成が行われ、第1切断装置13による第1片面貼合パネルP11の形成が行われ、第2アライメント装置14によるアライメントが行われ、第2貼合装置15による第2貼合シートF22の形成が行われる。
その後、液晶パネルPは、所定の位置で停止される(図12に示すステップS3)。例えば、液晶パネルPは、制御装置20の制御に基づいて、テーブル31の保持面31aに保持される。
次に、テーブル31に保持された光学部材シートFXにレーザー光を照射して光学部材シートから所定のサイズの光学部材を切り出す(図12に示すステップS4)。本実施形態において、制御装置33は、制御装置20の制御に基づいて、第2切断装置16から照射されるレーザー光がテーブル31に保持された光学部材シートFXにおいて所望の軌跡を描くように、移動装置32と第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162との制御を行う。
図13は、レーザー光を光学部材シートFX上で矩形状に走査するための制御方法を示す図である。なお、図13において、符号Trは目的とするレーザー光の移動軌跡(所望の軌跡。以下、レーザー光移動軌跡ということがある)である。符号Tr1は、テーブル31と第2切断装置16との相対移動による移動軌跡を光学部材シートFXに投影した軌跡(以下、光源移動軌跡ということがある)を示す。すなわち、光源移動軌跡Tr1は、第2切断装置16が有する走査素子(第1照射位置調整装置161、第2照射位置調整装置162)を一定の姿勢に固定した状態で、テーブル31と第2切断装置16とを相対移動させながらレーザー光を照射したとき、レーザー光が光学部材シートFX上に描く軌跡に相当する。「一定の姿勢」とは、例えば、照射するレーザー光の中心軸が、光学部材シートFXの法線と平行となる姿勢である。光源移動軌跡Tr1は矩形形状を有するレーザー移動軌跡Trの4つの角部を湾曲させた形状であり、符号SA1は角部以外の直線区間であり、符号SA2は角部の屈曲区間である。符号Tr2は第2切断装置16が光源移動軌跡Tr1上を相対移動しているときにレーザー光の照射位置が第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162により光源移動軌跡Tr1と直交する方向にどの程度ずらされるか(調整されているか)を示す曲線(以下、調整曲線ということがある)を示す。レーザー照射位置のずれ量(調整量)は、光源移動軌跡Tr1と直交する方向における調整曲線Tr2とレーザー光移動軌跡Trとの間の距離で示されている。
図13に示すように、光源移動軌跡Tr1は、角部が湾曲した略矩形の移動軌跡を描いている。光源移動軌跡Tr1とレーザー光移動軌跡Trとは概ね一致しており、角部の狭い領域でのみ両者の形状が異なっている。光源移動軌跡Tr1が矩形形状をしていると、矩形の角部で第2切断装置16の移動速度が遅くなり、角部がレーザー光の熱によって膨れたり波打ったりすることがある。そのため、図13では、光源移動軌跡Tr1の角部を湾曲させて第2切断装置16の移動速度が光源移動軌跡Tr1全体で概ね一定となるようにしている。
仮に、従来のノズル方式を用いた場合、レーザー光を湾曲形状に走行させると切断形状も湾曲形状になってしまう。また、レーザー光を矩形状に走行させると切断形状は矩形形状になるが、角部が熱変形により膨れたり波打ったりしてしまう。
制御装置33は、第2切断装置16が直線区間SA1を移動しているときは、光源移動軌跡Tr1とレーザー光移動軌跡Trとが一致しているので、レーザー光の照射位置を第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162により調整せずに、そのまま第2切断装置16から光学部材シートにレーザー光を照射させる。一方、第2切断装置16が屈曲区間SA2を移動しているときは、光源移動軌跡Tr1とレーザー光移動軌跡Trとが一致しないので、第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162によりレーザー光の照射位置を制御し、レーザー光の照射位置がレーザー光移動軌跡Tr上に配置されるようにする。例えば、第2切断装置16が符号M1で示す位置を移動しているときには、第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162によりレーザー光の照射位置が光源移動軌跡Tr1と直交する方向N1に距離W1だけずらされる。距離W1は、光源移動軌跡Tr1と直交する方向N1における調整曲線Tr2とレーザー光移動軌跡Trとの距離W2と同じである。光源移動軌跡Tr1はレーザー光移動軌跡Trよりも内側に配置されているが、レーザー光の照射位置が第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162によってレーザー光移動軌跡Trよりも外側にずらされるので、それらのずれが相殺してレーザー光の照射位置がレーザー光照射軌跡Tr上に配置されるようになる。
以上説明したように、本実施形態におけるレーザー光照射装置30、レーザー光照射方法によれば、制御装置33の制御により、テーブル31に保持された光学部材シートFXにおいて所望の軌跡Trを描くように、移動装置32と照射位置調整装置161,162とが制御される。この構成においては、第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162により調整すべきレーザー光の照射区間は狭い屈曲区間SA2のみである。それ以外の広い直線区間SA1は、移動装置32による第2切断装置16の移動によってレーザー光が光学部材シートFX上を走査される。本実施形態では、レーザー光の走査を主として移動装置32によって行い、移動装置32で精度よくレーザー光の照射位置を制御できない領域のみ第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162で調整している。そのため、移動装置32のみ又は第2切断装置16(スキャナー)のみでレーザー光を走査する場合に比べてレーザー光の照射位置を広い範囲で精度よく制御することができる。
また、表示領域P4よりも幅の広い光学部材シートF1,F2,F3に液晶パネルPを貼合することで、光学部材シートF1,F2,F3の位置に応じてその光学軸方向が変化する場合でも、この光学軸方向に合わせて液晶パネルPをアライメントして貼合することができる。これにより、液晶パネルPに対する光学部材F11,F12,F13の光学軸方向の精度を向上させることができ、光学表示デバイスの精彩及びコントラストを高めることができる。
また、表示領域P4よりも大きい光学部材シートF1,F2,F3に液晶パネルPを貼合した後に、光学部材シートF1,F2,F3の余剰部分を切り離すことで、第1貼合面TA1に対応する大きさの第2光学部材F12、および第2貼合面TA2に対応する大きさの第3光学部材F13を液晶パネルPの面上で形成することができる。これにより、光学部材F11,F12,F13を表示領域P4の際まで精度よく設けることができ、表示領域P4外側に位置する額縁部Gを狭めて表示エリアの拡大及び機器の小型化を図ることができる。
そして、各光学部材シートF1,F2,F3が、光学表示部品PXとの貼合位置で粘着層側の貼合面を下方に向けるように搬送されることで、各光学部材シートF1,F2,F3の貼合面の傷付きや異物の付着等が抑えられ、貼合不良の発生を抑制することができる。
また、上記光学表示デバイスの生産システムは、ローラコンベヤ5上を搬送される前記第2片面貼合パネルP12の表面と裏面とを反転させる第3アライメント装置17を備えることで、光学表示部品PXの表面及び裏面の両面に対して光学部材シートFXを上方から容易に貼合することができる。
尚、上記光学表示デバイスの生産システムでは、検出装置を用いて複数の液晶パネルPごとに貼合面の外周縁を検出し、検出した外周縁に基づいて、個々の液晶パネルPごとに貼合した光学部材シートの切断位置を設定してもよい。これにより、液晶パネルPや光学部材シートの大きさの個体差によらず所望の大きさの光学部材を切り離すことができるため、液晶パネルPや光学部材シートの大きさの個体差による品質バラツキをなくし、表示領域周辺の額縁部を縮小して表示エリアの拡大及び機器の小型化を図ることができる。
尚、本実施形態では、レーザー光発振機160を含む第2切断装置16の全体がテーブル31に対して相対移動することとして説明したが、上記構成に限らない。
例えば、レーザー光発振機160が大きく、移動させるには不向きである場合には、レーザー光発振機160を固定し、走査素子(第1照射位置調整装置161および第2照射位置調整装置162)をテーブル31に対して相対移動させる構成を採用することができる。この場合、走査素子に追随して集光レンズ163も移動させるとよい。
すなわち、光学表示デバイスの生産システムは、液晶パネルPに光学部材F11,F12,F13を貼合してなる光学部材貼合体の製造装置であって、液晶パネルPに、液晶パネルPの表示領域P4よりも大きい光学部材シートF1,F2,F3を貼り合わせて貼合シートF21,F22,F23をそれぞれ形成する貼合装置12,15,18と、貼合シートF22,F23において、光学部材シートと液晶パネルPとの貼合面の外周縁EDを検出する検出装置41,42と、貼合シートF22,F23において、光学部材シートF1,F2,F3の貼合面に対応する部分と、その外側の余剰部分とを、外周縁EDに沿って切り離し、光学部材シートF1,F2,F3から貼合面に対応する大きさを有する光学部材F11,F12,F13を切り出すことで、貼合シートF22,F23から液晶パネルP及び液晶パネルPに重なる光学部材F11,F12,F13を含む光学部材貼合体を切り出す切断装置16,19と、を含み、切断装置16,19は、レーザー光を発振するレーザー光発振機160と、照射対象物を保持する保持面を有するテーブル31と、保持面と平行な平面内でレーザー光を2軸走査可能な走査素子161,162と、テーブル31と走査素子161,162とを相対移動可能な移動装置32と、を含むレーザー光照射装置によって構成され、前記レーザー光照射装置から照射されたレーザー光によって照射対象物である光学部材シートF1,F2,F3を切断する。さらに、走査素子161,162から射出されたレーザー光を照射対象物に向けて集光する集光レンズ163を含んでいてもよい。
また、本実施形態においては、照射対象物にレーザー光を照射して所定の加工を行う構成として、光学部材シートを切断する構成を例に挙げて説明したが、本発明は上述した実施形態に限らない。例えば、光学部材シートを少なくとも二つに分割することの他に、光学部材シートに貫通する切れ目を入れることや光学部材シートに所定の深さの溝(切れ込み)を形成すること等も、本発明に包含されている。より具体的には、例えば、光学部材シートの端部の切断(切り落とし)、ハーフカット、マーキング加工等も含まれることとする。
また、本実施形態においては、レーザー光照射装置から照射されるレーザー光の描画軌跡が平面視矩形形状(正方形形状)である場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、レーザー光照射装置から照射されるレーザー光の描画軌跡が平面視三角形形状であってもよいし、平面視五角形以上の多角形形状であってもよい。また、本発明はこのような形状に限らず、平面視星型形状、平面視幾何学的形状であってもよい。このような描画軌跡においても本発明を適用することが可能である。
また、本実施形態においては、ロール状のシート(光学部材シートを巻回した原反ロール)をインラインで複数台並べた方式を例に挙げて説明したが、本発明は上述した実施形態に限らない。例えば、枚葉貼合の方式においても本発明を適用することが可能である。また、チップ状のシートを貼合する場合においても本発明を適用することが可能である。例えば、偏光フィルム等の光学部材を液晶パネル等の光学表示部品に対して大きめに貼合した後に、光学部材のみを切断することもできる。この方法によれば、光学部材を光学表示部品に貼合する際の貼り付け精度は不要となり、額縁を切断することも可能となる。
本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。