JP6184070B2 - バルーンカテーテル用バルーンの製造方法 - Google Patents

バルーンカテーテル用バルーンの製造方法 Download PDF

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本発明は生体管腔の拡張操作を目的とする手術に使用されるバルーンカテーテルに用いられるバルーンカテーテル用バルーンの製造方法に関するものである。
従来、経皮的血管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty 、またはPTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)は血管内腔の狭窄部や閉塞部などを拡張治療し、冠動脈や末梢血管などの血流の回復または改善を目的として広く用いられている。経皮的血管形成術に使用されるバルーンカテーテルは、シャフトの先端部に内圧調節により膨張・収縮自在のバルーンを接合してなるものであり、該シャフトの内部にはガイドワイヤが挿通される内腔(ガイドワイヤルーメン)と、バルーン内圧調整用の圧力流体を供給するルーメン(インフレーションルーメン)とがシャフトの長軸方向に沿って設けられている構造が一般的である。
このようなバルーンカテーテルを用いたPTCAの一般的な術例は以下のとおりである。まず、ガイドカテーテルを大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈等の穿刺部位から挿通し大動脈を経由させて冠動脈の入口にその先端を配置する。次に前記ガイドワイヤルーメンに挿通したガイドワイヤを冠動脈の狭窄部位を越えて前進させ、このガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを挿入してバルーンを狭窄部に一致させる。次いで、インデフレータ等のデバイスを用いてインフレーションルーメンを経由して圧力流体をバルーンに供給し、バルーンを膨張させることで当該狭窄部を拡張治療する。当該狭窄部を拡張治療した後は、バルーンを減圧収縮させて体外へ抜去することでPTCAを終了する。
PTAの一般的な術例も前記PTCAとほぼ同様である。例えば、下肢動脈の病変部に対する手技の場合、ガイドカテーテルを大腿動脈の穿刺部位から挿通し、病変部近傍までその先端を配置する。次に前記ガイドワイヤルーメンに挿通したガイドワイヤを下肢動脈の狭窄部位を越えて前進させ、このガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを挿入してバルーンを狭窄部に一致させる。次いで、インデフレータ等のデバイスを用いてインフレーションルーメンを経由して圧力流体をバルーンに供給し、バルーンを膨張させることで当該狭窄部を拡張治療する。当該狭窄部を拡張治療した後は、バルーンを減圧収縮させて体外へ抜去することでPTAを終了する。
近年のバルーンカテーテルには、狭窄や屈曲のある非常に難易度の高い病変血管部位にも適用可能なものが求められる傾向があり、バルーンをスムーズに病変部に通過させることが可能な、高い通過性を有するPTCA用及びPTA用バルーンカテーテルが求められている。
バルーンカテーテルの通過性に大きく寄与する要因の一つは、バルーン部の折畳み寸法である。このためカテーテルの作製時に折り畳み方法を工夫することにより、バルーン部の小径化が行われている。また1度拡張させたバルーンを他の病変部への移動や体外に取り出すときには、バルーンを収縮させバルーンをカテーテルシャフトの周りに自動的に折畳み、小径化させることが望ましく、折畳み形状の安定化や小径化を目的とした、折畳み形状を形状付けられたバルーン及び、その製造方法が種々提案されている。
例えば特許文献1には、バルーンチューブ段階から断面に肉厚分布を持たせることで、ブロー成形したバルーンの断面に肉厚分布を持たせ、その膜厚差による剛性差によってバルーンの折り畳みを制御する方法が開示されている。しかしながら、ブロー成形による一般的なバルーンの製造工程を考慮すると、バルーン状態で厚み差を設けるためには、ブロー成形前のバルーンチューブで事前に極端な厚み差を設けなければならず、そのようなバルーンチューブの製造は非常に困難で製造収率が低くコストが高くなること、極端な厚み差のバルーンチューブを用いブロー成形しバルーン形成するために、最終のバルーンの膜厚がばらつく等品質の安定したバルーンを製造することは困難である。
特許文献2には、長軸方向に沿って伸びる少なくとも3個の縦溝とそれと交互にある翼部によって画定された形状に形付けられたバルーンが開示されている。
特許文献3には、少なくとも長軸方向に連続した複数の縦溝とそれに対応した同数の翼部とが予め金型により形状付けられ、凹溝と凸条とで形成されたスクロール状断面に対応した翼部と縦溝とを有する形状に形付けられたバルーンが開示されている。しかしながら、特許文献2及び3のように、溝部と突部を形成すると安定的な折り畳み癖が実現できるものの、拡張時のバルーン形状が略円形にならず、臨床では十分な効果が得られないという課題があった。加えて形状付けに使用するバルーン用金型は、非常に複雑な形状となり、製品開発に多大な時間を要し、製造コストも非常に高くなってしてしまう点で改善の余地があった。
特許文献4には、バルーン断面方向において2種類の弾性の異なるラメラ部Aとラメラ部Bが同数、軸方向に沿って存在するバルーンとその製法が開示されている。特許文献4には、弾性の異なる材料を共押出することによってバルーンチューブを形成する方法や、バルーンの一方のラメラ部だけに、樹脂を局所的にラミネートすることで弾性の異なるラメラ部を形成する方法が開示されている。しかしながら、このようなバルーンチューブを弾性の異なる材料を共押出成形により製造する場合、これら材料は、押出時の流動性が極端に異なるため、安定した寸法を付与するという点で技術難度が非常に高く、実現性に乏しい。また、共押出成形で作製しようとすると最低2台の溶融押出機が必要となり、製造コストが高くなるという課題がある。仮に、バルーンチューブを共押出で作製できたとしても、異種材料間の特性差により、バルーンチューブからブロー成形によってバルーンを製造することは困難である。また、異種材料の界面に応力が集中することによって、バルーン強度が低下したり、不均一に拡張する危険性があり、所望の治療効果が得られなかったり、血管を損傷するリスクが高いという問題がある。
特許文献5には、バルーンにレーザ照射し照射部の結晶化度を増大させ、2種類の結晶化度の領域が軸方向に沿って存在するバルーンとその製法が開示されている。しかしながら、特許文献5に開示されているレーザ装置は安価なものではなく、設備導入に対するコストの面から問題がある。一方、特許文献5には単純な加熱装置による製造方法も開示されているが、開示されている方法で作製されたバルーンは収縮時に、加熱処理された結晶化度の高い部位が山部を形成している。このような結晶化度の高い部位は一般的に硬度も高い。従って、硬度が高い部位が血管壁に接触することにより、血管に与える損傷や、狭窄部に対する通過性の観点で決して望ましいものではない。
特開平3−92173 特開平2−224766 特開2003−62080 国際公開 WO2009/080321 特表2010−509028
従来技術では、特異な形状を有するバルーンチューブや金型を必要とするため、品質の不安定化と製造コストの増大が生じていた。また、作製されたバルーンを収縮させた際、剛性の高い部位が折畳み形状の翼部を形成してしまうため、血管を損傷させるリスクや狭窄部に対する通過性が低下してしまう可能性があった。本発明は以上の課題を解決することを目的としたものであって、その目的は、PTCAやPTA等の経皮的血管形成術に好適に用いることの出来るバルーンカテーテル用のバルーンであって、バルーンの折畳み性や通過性に優れ、簡便な方法で製造することが出来るバルーンカテーテル用のバルーンの製造方法を提供することにある。
前記課題に対して鋭意検討を行った結果、本発明者らは、以下に記す血管内で拡張するためのバルーンカテーテル用のバルーンを発明するに至った。即ち、本発明のバルーンカテーテル用バルーンの製造方法は、第1のバルーンを成形する第1の工程と、前記第1のバルーンの長手方向に沿った局所領域に加熱処理を行い、非加熱部よりも剛直性を有する加熱部を形成させる第2の工程を含むことを特徴としている。
また、前記加熱処理が、分子配向を変化させる処理であることが好ましい。
更に、前記第1のバルーンの長手方向に垂直な断面において、円周部の2箇所以上に前記加熱部を形成させることが好ましく、前記第1のバルーンの長手方向に垂直な断面において、鋭角側の中心角が180°より小さい位置関係で配置される少なくとも1対の前記加熱部を形成させることが好ましい。
また、前記加熱処理が、第1のバルーンの内部を大気圧以下に保ちながら加熱する処理であることが好ましく、第1のバルーンの拡張有効部径を10%以上減少させる加熱処理することが好ましい。
更に、前記第1のバルーンにおいて、バルーン長手方向に沿って、バルーン拡張有効部の50%以上の長さを有する前記加熱部を形成させることが好ましい。
本発明のバルーンカテーテル用のバルーンの製造方法は、前記第2のバルーンに対しブロー成形により加工を行い、第3のバルーンを作製する第3の工程を含むことが好ましい。
また、第1の工程の成形が中空チューブとブロー成形金型を用いたブロー成形により行われることが好ましい。
前記ブロー成形金型の拡張有効部径が、前記第1および第3の工程で略同一径であるブロー成形金型を用いることが好ましく、あるいは、前記ブロー成形金型の拡張有効部径が、前記第3の工程において、前記第1の工程より小さいブロー成形金型を用いることが好ましい。
本発明によれば、複数のチューブ状部材とそれに接続されたアダプター部材と血管内で拡張するためのバルーンから構成されたバルーンカテーテルにおいて、バルーンは同一材料でも作製でき、高価な設備導入もなく安価で、拡張バルーンを収縮したときの折り畳みの寸法が小径、且つ、安定した、実現性の高いバルーンカテーテルのバルーンの製造することができる。また、本発明の製造方法で作製されるバルーンは、収縮時に剛性の低い柔軟部が翼部を形成して折畳まれるため、血管を損傷させるリスクや狭窄部に対する通過性を低下させてしまうことがない。
一般的なバルーンカテーテルのうち、オーバー・ザ・ワイヤ型(OTW型)の概略斜視図である。 一般的なバルーンカテーテルのうち、高速交換型(RX型)の概略斜視図である。 一般的なRX型バルーンカテーテルであって、ガイドワイヤルーメン部分がコアキシャル構造のRX型バルーンカテーテルの縦断面を示す図である。 図3のA−A’に相当する部分の横断面図である。 本発明の第1の工程をブロー成形で行う場合に用いられる、バルーンの材料となるチューブを示す(a)側面図、及び(b)断面図である。 本発明の第1の工程をブロー成形で行う場合に用いられる、成形金型を示す(a)側面図、及び(b)断面図である。 本発明の第1の工程をブロー成形で行う様子(ブロー成形前)を示す図である。 本発明の第1の工程をブロー成形で行う様子(ブロー成形後)を示す図である。 本発明により作製された、第1のバルーンを示す(a)側面図、及び(b)断面図である。 本発明の第2の工程を行う様子であって、加熱部と非加熱部を交互に3箇所ずつ等間隔に有するよう、バルーンを金型プレートで加熱緩和処理している様子を示す(a)側面図、(b)断面図である。 本発明により作製された、加熱部と非加熱部を交互に3箇所ずつ等間隔に有した第2のバルーンを示す(a)側面図、及び(b)図11(a)におけるG−G’線に沿ったバルーンの断面図である。 本発明の第3の工程を行う様子(ブロー成形前)を示す図である。 本発明の第3の工程を行う様子(ブロー成形後)を示す図である。 本発明により作製された、第3のバルーンを示す(a)側面図、及び(b)断面図である。 一般的な方法で作製されたバルーン、あるいは、本発明のカテーテルバルーン用バルーンの製造方法により作製された第1のバルーンを用いて組立てられたカテーテルであって、バルーンを拡張状態から収縮させたときの図3における正面図である。 本発明のカテーテルバルーン用バルーンの製造方法により作製された第2のバルーン、あるいは、第3のバルーンを用いて組立てられたカテーテルであって、バルーンを拡張状態から収縮させたときの図3におけるB−B’線に沿ったバルーンの断面図である。
本発明のバルーンカテーテル用バルーンの製造方法の概略を以下に説明するが、本発明は、以下の説明によって何ら限定されるものではない。
本発明では、まず第1の工程で、図5〜図9に示すように、第1のバルーン11の成形を行う。次に第2の工程で、図10に示すように、第1のバルーンに対して局所領域に加熱処理を行い、非加熱部と加熱部で剛直性の異なる部位を有する第2のバルーン12を作製することができる。
加熱処理を行うことで、処理を施された加熱部14は、図11に示すように、処理を施されていない非加熱部15と比較して膜厚が増大するため剛直性を有することとなる。このようにして作製された第2のバルーンは拡張状態から収縮させる際、局所的に形成された剛直部が谷部を形成しながら収縮するため、所望の折畳み形状を安定的に得ることが可能である。また、収縮時には柔軟部が翼部となって折畳まれるため、血管を損傷させるリスクや狭窄部に対する通過性に優れている。
本発明のバルーンの製造方法では、さらに第3の工程で、図12及び図13に示すように、第2のバルーンに対して再度ブロー成形を行うことで図14に示した、膜厚が略同一である第3のバルーンを作製することができる。ブロー成形により、膜厚の厚い第2のバルーンの加熱部が、非加熱部に比べて大きく伸展されるため、加熱部は非加熱部と同等の膜厚でありながら、微視的に剛直性を有することが可能となる。
このようにして作製された第3のバルーンは、第2のバルーン同様に拡張状態から収縮させる際、剛直部が谷部を形成しながら収縮するため、所望の折畳み形状を安定的に得ることが可能である。加えて、第2のバルーンにおける加熱部の厚肉状態が解消されるため、収縮状態のバルーンの羽がカテーテルシャフトの周りに巻きつけられた際、第2のバルーンと比較して、折畳み寸法をより小径とすることが可能となる。また、第2のバルーン同様に、収縮時には柔軟部が翼部を形成するよう折畳まれるため、血管を損傷させるリスクや狭窄部に対する通過性を低下させてしまうことがない。
本発明のバルーンカテーテル用バルーンの製造方法について、さらに詳細に各工程を説明する。
まず、第1のバルーンを製造する第1の工程について説明する。
第1の工程は、所望の形状および径の第1のバルーン11を成形する工程であり、
所望の形状と径を有したバルーンが得られる方法であれば、特に限定されないが、配向のかけられたバルーンが得られる方法を好ましく用いることができる。バルーンにおける分子配向を制御することによって、長手方向に垂直な断面における円周部に、剛性の高い剛直部と剛性の低い柔軟部を有するバルーンが得られやすくなる傾向があるため、、バルーン径方向に対して強く配向をかけることができる、金型を用いるブロー成形方法が特に望ましい。
次に第2のバルーンを製造する第2の工程について説明する。
第2の工程は、第1の工程で得た第1のバルーン11に対して局所的な加熱処理を行うことで、バルーンの長手方向に垂直な断面における円周部に、剛性の高い剛直部と剛性の低い柔軟部を有するバルーンを得る工程である。
分子配向を制御されたバルーンを用いる場合は、バルーンの一部を加熱し、局所的に分子配向が緩和された第2のバルーン12を作製する工程であることが望ましく、加熱部の分子配向をより緩和させやすい点で、バルーン内部を大気圧以下の状態に保ちながら加熱処理を行うことが特に望ましい。加熱処理を行う際、バルーン内部が加圧状態にあると加熱部は伸展し易いため、伸展によって分子が配向し、非加熱部と加熱部の剛直性の差が小さくなる傾向がある。。、
加熱処理は第2のバルーン12の長手方向に垂直な断面において、円周部の2箇所以上8個以下に行うことが望ましく、2箇所以上6個以下に行うことが特に望ましい。
折畳み形状を制御する技術を用いていないバルーンは、収縮時に扁平形状である2枚翼に折畳まれてしまう。本発明において、円周部の1箇所にのみ加熱処理を行った第2のバルーンは折畳み時に翼部となる部位を制御できる利点はあるが、2枚翼に折畳まれる傾向があるため、折り畳み寸法の小径化の点で、2箇所以上に加熱処理を行うことが望ましい。
円周部の2箇所に加熱処理を行う場合、加熱部同士が形成する中心角が180°であれば、2枚翼に折畳まれる傾向があるため、加熱部同士が形成する鋭角側の中心角が180°未満となるように加熱処理することが望ましい。例えば、加熱部同士が形成する鋭角側の中心角が120°となるよう2箇所に加熱処理を行った第2のバルーンは、3枚翼に折畳むことができる。また、円周部の3箇所以上に加熱処理を行えば、加熱部を基点として3枚翼以上に折畳むことが可能である。このため第2の工程では、円周部の2箇所以上、かつ、鋭角側の中心角が180°未満の位置関係となる加熱部を少なくとも1対形成させることで、課題を解決するための本発明の効果を得ることができる。
加熱部の数を増加させるほど、折畳み時の翼の枚数が増加し、折畳み時の形状がより小径となる傾向がある。しかし、意図した部位で精確に折畳む点で、加熱部の数は少ないことが望ましい。加熱部が多すぎると、加熱部同士が近接し、意図した部位での折畳み制御が困難となる傾向がある。
バルーン長手方向に垂直な断面において、バルーンの円周長に占める全ての加熱部14の領域は狭い方が好ましい。より具体的には、全ての加熱部の領域(加熱部の円周長の総和)はバルーンの円周長に対し、50%以下が好ましく、10%以下が更に好ましい。加熱部領域が、50%を超えると、折畳み形状の安定性が低下する傾向がある。
本発明では、バルーンの収縮時に中心に収斂し易い箇所を設けることで、折畳み形状を制御することができる。本発明では拡張させたバルーンを収縮させた際に中心に向かって収斂する部位は加熱部であるため、加熱部の領域を狭くすることで収斂する箇所をより精確に規定することができ、バルーン全体の折畳み形状を制御できる傾向がある。
また、バルーン長手方向において加熱部14が延在するように加熱処理を実施することが好ましい。より具体的には、加熱部のバルーン長手方向の長さは、バルーン直管部の長手方向の長さに対し25%以上が好ましく、50%以上が更に好ましい。バルーン長手方向において加熱処理が行われていない部位は、扁平形状の2枚羽に折畳まれようとするため、加熱処理された部位が直管部の25%未満であると折畳み形状の安定性が低下する傾向がある。
またバルーン直管部以外であるバルーンテーパ部に加熱処理を実施することも、折畳み形状を制御するために効果的である。バルーン全体の折畳み形状に支配的な部位は、バルーン全体に占める領域が大きい直管部であるが、一般的にバルーンは直管部よりもテーパ部が厚肉であるため、テーパ部の方が折畳み形状を制御し難い傾向がある。このため、テーパ部が厚肉なバルーンでは特に、直管部に加えてテーパ部にも加熱処理を行うことで、より安定的に折畳み形状を制御することができる。
加熱処理の方法は非加熱部分と加熱部分における剛直性に差が出来る方法、あるいは、分子配向を変えることができる方法であれば特に限定されないが、たとえば、金属プレートを用いた加熱が簡便かつ安価に実施できる方法として挙げられる。この方法では、加熱された金属プレートに第1のバルーンを押し当てることで、加熱処理を行うことが可能である。まず、所望の翼部の枚数を有するように第1のバルーンを形付ける。次に、形成された翼部の頂点に対して、加熱された金属プレートを押し当てることによって、加熱処理を行う。また、加熱処理時に、バルーンの内部を陰圧とすることが望ましい。、第1のバルーンの翼部の頂点はより鋭利な形状となるため、より局所的な部位へ加熱処理を行うことも可能となる。また、分子配向を制御された第1のバルーンを用いる場合は、バルーン内部を陰圧とすることで、加熱による生じるバルーンの伸展を抑制でき、これにより分子配向が強化されることを防ぐことが期待できる。
また、YAGレーザやエキシマレーザなどの、より局所的な加熱処理が可能な装置を用いて、第1のバルーンへ直接加熱処理を行ってもよい。
加熱温度は、バルーンの使用材料のガラス転移温度から融点の間の温度範囲であることが好ましく、特に、分子配向が制御された第1のバルーンを用いる場合は、加熱部分の配向が緩和され易い点で、作製されるバルーンの効果や生産性を高めるためられる点で融点に近い温度程より好ましい。例えば、バルーン材料がポリアミドであるナイロン12の場合は、100℃から150℃の温度域が特に好ましい。
加熱時間は、第1のバルーンが十分に緩和される時間であれば特に制限されないが、より局所的に加熱処理を行うためには、必要以上の加熱時間は設けずに、目的とする加熱部以外の周辺部位への熱伝導を抑えた方が望ましい。たとえばバルーン材料がナイロン12であり、100℃から150℃の温度域で加熱する場合には、加熱時間は5秒から60秒で本発明による効果を得ることが可能である。
本発明のバルーンカテーテル用バルーンの製造方法では、第3の工程を経ることにより、さらに望ましい第3のバルーン13を得ることが可能である。
以下に、第3のバルーンを製造する第3の工程について説明する。
第3の工程は、第2のバルーン12を金型内でブロー成形することで、第3のバルーン13を得る工程である。
第3の工程に用いる金型の直管部径は、第3のバルーンが所望の形状および径となるよう適宜選択すればよく、第1の工程に用いる金型と同一の径としても良いし、異なる径の金型を用いることも可能である。たとえば第1の工程と実質的に同一な径の金型を用いた場合、加熱部14の膜厚が、第1のバルーン11と同等の膜厚、即ち非加熱部15と同等の膜厚にまで再延伸することができる。この結果、第3の工程を経た第3のバルーン13は、加熱部14と非加熱部15が同等の膜厚であるにも拘らず、加熱部14は非加熱部15よりも微視的に剛直性を有することが可能となる。
このように、第3の工程を経ることによって、第2のバルーンにおける厚肉部である加熱部が延伸され、厚肉状態が解消される。このため、収縮状態のバルーンがカテーテルシャフトの周りに巻きつけられた際、第2のバルーンと比較して、より柔軟かつ小径とすることが可能となる。また、加熱部と非加熱部の厚み差がなくなることにより、加熱部と非加熱部の境界部への応力集中が起こり難くなるため、第2のバルーンと比較して耐圧強度を向上させることが可能となる。
このようなバルーンはPTCA用バルーンとして非常に有用である。PTCAではカテーテル挿入部位と病変部が離れており。加えて、冠動脈は血管径が小さく、屈曲している。そのため、PTCAの手技でカテーテルの手元側での押込みによる力でカテーテル先端側まで伝達させるためには、カテーテルシャフトは細く柔軟性に優れている必要があり、更に、PTCA用のバルーンカテーテルの先端部であるバルーン部には、屈曲した血管に追従し、かつ、柔軟なカテーテルシャフトとの剛性連続性を保つための柔軟さと、手元側からの押込み力がなくとも抵抗なく病変部を通過するために小径化されていることがより好ましい。第1の工程と第3の工程の金型の直管部径が同一径である場合、第3の工程により作成された第3のバルーンは第2のバルーンと比較して、より柔軟かつ小径とすることが可能となるため、PTCA用バルーンとして非常に有用となる。前記「同一径」とは、第1の工程と第3の工程の金型径が厳密に一致することを意味するものではなく、第2のバルーン12の加熱部14を、第1のバルーン11と同等の膜厚まで延伸することが可能な径を意味している。例えば、第1の工程で直管部径がφ3.00mmの金型を用いた場合、第3の工程で用いる金型の直管部径がφ2.90mmからφ3.10mmであれば、何れも同様の効果を得ることが可能である。
また、第3の工程に用いる金型の直管部が、第1の工程に用いる金型の直管部より小径であってもよい。小径の金型を用いた場合は、第3の工程を経ても加熱部14が非加熱部15よりも厚肉部として保持される程度に、加熱部14が再延伸される。剛直部である加熱部14は収縮状態においては谷部となるため、このようなバルーンを収縮させると、中心部に収斂した剛直な加熱部14により、バルーンは宛ら、長手方向に軸心を有した状態となる。
この様なバルーンは、下肢動脈を始めとした大径な血管に対する、カテーテルのバルーンとして非常に有用である。例えば下肢動脈を対象としたPTAではカテーテル挿入部位と病変部は比較的近く、加えて、下肢動脈は血管径が大きく直線的であるため、PTA用カテーテルはPTCA用カテーテルと比べて、カテーテルシャフトを比較的太く剛直に作ることができるため、PTAの手技ではカテーテル手元側での押込みの力がカテーテル先端側まで伝達し易い。このため、PTAの手技では押込みによる操作が、病変部通過に対して非常に有効である。PTA用のバルーンカテーテルのバルーン部は、押込み易さを向上させるため、かつ、比較的剛直なカテーテルシャフトとの剛性連続性を保つための適度な剛直さを有することが非常に好ましい。
PTAでは病変部へ通過させる際だけでなく、患者体内へ挿入する際にも通過性が求められる。PTCA及びPTAの何れも、カテーテルを患者体内へ挿入する際、先ず、中空チューブ状デバイスを患者の皮膚に貫通させ、その内腔へカテーテルを挿入する。PTCAの対象となる冠動脈と比較して、PTAの対象となる下肢動脈などは大径の血管が存在するため、PTA用カテーテルは、直管部径のより大きなバルーンが必要とされる。しかし、この様な直管部径の大きなバルーンを有するカテーテルは、その大きさ故、患者体内への挿入時、患者の皮膚により大径の中空チューブ状デバイスを貫通させる必要がある。患者の皮膚へ貫通させる中空チューブ状デバイスが大径である程、出血性の合併症による患者への負担が大きくなる。患者への負担を可能な限り減少させるためには、直管部径の大きなバルーンであっても、より小径の中空チューブ状デバイスに通すことが望ましい。この点で、高い通過性を有するPTA用カテーテルは患者体内への挿入時にも非常に有用である。
第3の工程で、第1の工程に用いられる金型の直管部径より小径の金型で加工されたバルーンを用いたカテーテルは、病変部あるいは中空チューブ状デバイスにカテーテル通す際、バルーン部の同軸性が保たれる。このため、手元側の押込む力を分散させることなく、効率よく先端側まで押込む力を伝達させることが可能である。従って、このようなカテーテルは、下肢動脈などの病変部に対して有用であり、また、より小径の中空チューブ状デバイスに通すことが可能であるため、PTA用のバルーンとして好ましく用いることができる。
また、第3の工程で用いる金型の径に依らず、第3の工程で再度ブロー成形を行うことで、バルーン形状を所望の形状に整えることができる。第2の工程の配向の緩和処理において、処理条件のばらつき等により加熱部14毎に緩和の程度が異なると、第2のバルーン12は、湾曲などの歪な形状になり易くなり、また、拡張時にも血管内腔の狭窄部や塞部などの拡張治療で効果が十分に得られにくくなる場合がある。第3の工程の再度ブロー成型で、第2のバルーン12の緩和状態を整えることにより、バルーンの品質の向上ができ、更には、また第2の工程において、必要以上に精確な緩和処理を行わずともよいため、生産性の向上もできる。
以下に本発明の方法により製造されるバルーンを用いることのできる、バルーンカテーテルの実施形態を説明するが、本発明は以下の説明によって何ら限定されるものではない。
バルーンカテーテルのバルーン部分は、体外からカテーテルを挿入し、治療部位まで進入させ配置する際、その良好な操作性を得るために、内側シャフトにバルーンを巻き付けラッピングし、可能な限りラッピング寸法を小さくしている。従って、そのバルーン部の肉厚は薄肉であればあるほど、ラッピング寸法が小さくなるため狭窄部通過性に有利となる。
また、1度拡張させたバルーンを他の病変部へ通過させる、または体外に取り出すときには、バルーンを収縮させ、バルーンをカテーテルシャフトの周りに自動的に折り畳み、小径化する必要がある。
本発明の方法により製造されるバルーンは、カテーテル長手方向に垂直な断面において、同一材料で形成、且つ、硬さが異なる剛直部と柔軟部を有していることを特徴としている。このようにバルーン断面において、同じ材料で、且つ、硬さの異方性を形成することで、高いバルーン内部圧力によりバルーンが拡張しても、収縮させる際には図16のように柔軟部が翼部を形成して折畳むことが可能である。
以下、便宜上、バルーンの収縮時における折畳み形状を、形成される翼部の個数を以って呼称する。例えば図16の場合、バルーンの折畳み形状は「3枚翼」である。本発明を用いることにより、バルーンの収縮時の折畳み形状を3枚翼以上とすることが可能であり、これによって、より小径の折畳み形状を得ることが可能となる。
一般にバルーンは直管部とその遠位側及び近位側に接合部を有し、直管部と接合部の間にテーパ部を有している。バルーンの寸法はバルーンカテーテルの使用用途により決定されるが、本発明のバルーンは、例えば、拡張されたときの直管部の外径が1.00mmから35.00mm、好ましくは1.25mmから30.00mmであり、直管部の長さが5.00mmから150.00mm、好ましくは5.00mmから120.00mmである。
図1ないし図2に示すように、一般的なバルーンカテーテルは、それぞれ近位端部と遠位端部とを有する近位側シャフトと遠位側シャフトから構成され、前記近位側シャフトの遠位端と前記遠位側シャフトの近位端が接合されるとともに前記近位側シャフトの近位端には該カテーテル保持用のアダプター部材が接合されている。前記遠位側シャフトの一部は内側シャフトと該内側シャフトを同軸状に取り囲む外側シャフトとから形成されており、前記内側シャフトは前記外側シャフトを越えて遠位側に伸長している。前記内側シャフトの内腔にガイドワイヤルーメンを形成しているコアキシャル型が一般的である。
本発明のバルーンを用いることが出来るバルーンカテーテルは、特に制限されないが、コアキシャル型好適に用いることができ、図1に示すオーバーザワイヤー(OTW)型でも良く、図2に示すラピッドエックスチェンジ(RX)型でも良い。また、それ以外の構造でも構わない。
図3に示すようなガイドワイヤルーメン部分がコアキシャル型である典型的なRX型バルーンカテーテルの場合、コアキシャル型部分(図3のA−A’に相当する部分)の断面は図4に示すような構造となる。
本発明のバルーンカテーテル用バルーンの製造方法は以下の点で、優れている。
先ず第1の工程について、第1の工程をブロー成形で行う場合、用いる中空チューブは先行技術のように特異な形状や肉厚分布を有している必要はない。
本発明のバルーンの製造方法では、真円形状、且つ、特殊な層構造も有していない、一般的な中空チューブで十分にその効果を得ることができるため、先行技術の様な、チューブを設ける段階での高度な技術や特殊な設備は不要である。
本発明のバルーンの製造方法では、チューブ材料に関しても特に制限されない。一般的に、溶融押出工程、バルーンブロー成形工程での製造収率が良くなることから単一材料の方が好ましく、拡張用バルーンカテーテルとしては狭窄部を拡張するためのバルーンに必要な耐圧強度と柔軟性を付与できる点で、前記バルーン材料がポリアミド樹脂やポリイミド樹脂、イソブチレンースチレン共重合体等のイソブチレン系ブロック共重合体、シリコーン系樹脂であることが特に好ましいが、このような単一材料から形成されたものであっても、或いは、異なる材料で形成されたブレンド材料で形成されたものであっても、本発明は容易に実現可能である。
本発明のバルーンの製造方法は中空チューブの形状、構造、素材に幅広く選択できるため、従来技術と比較して中空チューブを設ける段階が非常に容易である。
金型についても先行技術のように特異な形状を有している必要はないため、一般的な真円形状の内腔を有する金型など、所望のバルーン形状を得られる金型であれば、特に制限されず、複雑な金型を用いる必要がない。 また第2の工程で、加熱緩和処理を行うために使用する装置も従来技術のように高価なものは必要く、加熱された金属プレートのような、簡素な装置を使用することが出来る。
本発明のバルーンの製造方法において第1の工程、及び、第2の工程は、何ら特殊な技術や設備を必要とせず、簡素で安価な製造設備を利用することができる。
また、本発明では作製したバルーンは、収縮させた際、剛直部である加熱部14が谷部、柔軟部である非加熱部15が山部を形成するために、狭窄部を通過させやすいことに大きな特徴がある。従来技術ではこれら従来技術で作製されたバルーンは、所望形状に折畳まれたとしても、山部が剛直部であって、通過性に課題があった。
また、本発明のバルーンの製造方法では第3の工程を経ることにより、同じ材料で形成、且つ、略同膜厚でありながら硬さが少なくとも2倍以上異なる柔軟部と剛直部を有することが可能となる。バルーン断面において硬さの異方性を形成する具体的な方法は、厚み差を設ける方法や、異種材料の共押出成形によってバルーン用チューブ作製する方法などが提示されている。しかし、本発明の第3のバルーンのように同一材料、且つ、略同膜厚のバルーンでありながら、断面方向において硬さの異方性を有したバルーンそのものと、そのバルーンを作製するための具体的な製造方法を記載した先行文献は全くない。仮に、先行技術の方法でバルーンを作製しようとすると、例えば共押出成形では、バルーン成形性に最低限必要な寸法精度の範囲で、且つ、硬さが2倍も異なるように作製することは、現時点では技術的ハードルが高く、全く実現できなかった。しかし、本発明を用いることで、硬さが2倍以上異なる柔軟部と剛直部を有するバルーンを作成することが可能である。このような高い剛性異方性はバルーン収縮時の折り畳み形状の制御を容易とすることが可能なのである。
また従来技術のように、バルーンの部位間に肉厚差は存在しない。このため、加圧時に局所的な応力集中が起こり難く、耐圧性能の向上に繋がるのである。このように、本発明に係るバルーンは、従来技術の範囲では容易にできなかった同一材料での異なる特性賦与をこの方法を用いることで容易に実現できるのである。
以下に本発明に係る具体的な実施例及び比較例について詳説するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(実施例1)
バルーンチューブ作製:デュロメーター硬度で72Dのポリアミドエラストマー(商品名:PEBAX7233SA01:アルケマ社製)を用いて溶融押出成形により、内外径が略円形状のバルーンチューブ(外径:0.98mm、内径:0.44mm)を作製した。
第1の工程:次いで、このバルーンチューブを、直管部の内径が3.10mm、断面形状が略円形状のバルーン成形金型を用いてブロー成形を行い、直管部の外径が3.00mmの第1のバルーンを作製した。このときのバルーンの直管部中央の膜厚をマイクロメータで円周方向に計6点測定したところ、28.6±1.0μmであり均一なバルーンが作製できていた。また直管部長は15.5mmであった。またバルーンの分子配向をμラマン測定から評価した(使用機器:LabRam HR−800 HORIBA JY製、対物レンズ:100倍、ビーム径:1μm、波数範囲:800〜1800cm-1、積算時間:80sec.、積算回数:3回、光源:He−Neレーザ633nm、回折格子:1800本、偏光方向:バルーン円周方向)。分子配向に関する評価は1438cm-1(C-C結合:分子鎖方向の配向)と1128cm-1(C-H結合:分子鎖に対する直交方向の配向)のピーク強度を用いて、1438cm-1のピーク強度に対する1128cm-1のピーク強度比を算出して評価を行った。評価の結果、第1の工程のバルーンにおけるピーク強度比は0.84であった。
第2の工程:次いで、バルーンを図16のように一時的に3枚羽に折畳み、内部を陰圧状態に保持したまま、山部の頂点に対して加熱緩和処理を実施した。加熱緩和処理は130℃に加熱された金型プレートで30秒間行った。この際、加熱部がバルーン長手方向に直管部全体に亘って連続的に延在し、またバルーン長手方向に垂直な断面において、バルーンの円周に占める加熱部の領域の合計が25%の割合となるよう加熱緩和処理を行うことで第2のバルーンを作成した。このとき、直管部中央の加熱部3箇所の膜厚は45.0±3.5μm、非加熱部の3箇所は28.5±1.0μmであり、加熱部の膜厚のみが増大していることが確認された。また加熱部と非加熱部の分子配向を前述と同様の方法を用いて評価した。評価の結果、非加熱部のピーク強度比は0.76、加熱部のピーク強度比は0.45であり、加熱部のピーク強度比が大きく変化していたことから、加熱部の分子配向の変化が確認された。
バルーンカテーテルの作製:次いで、バルーンカテーテルの内側シャフト用チューブとして高密度ポリエチレン(HY540、日本ポリケム株式会社)を用いて押出成形によりチューブ(外径:0.56mm、内径:0.42mm)を、外側シャフト用チューブとしてポリアミドエラストマー(商品名:PEBAX7233A01:アルケマ社製)を用いて外径:0.88mm、内径:0.71mmのチューブを押出成形法により作製した。これらと射出成形でポリカーボネート(Makloron2658、Bayer社)を用いて得られたアダプター部材を用い、コアキシャル構造のOTW型のバルーンカテーテルを作製した。
(実施例2)
第2の工程で加熱緩和処理を行う時間を10秒間として、それ以外は実施例1と同じ材料、方法、金型でバルーンチューブ、バルーン、カテーテルを作製した。作製した第2のバルーンの直管部中央部の加熱部3箇所の膜厚は、35.5±2.2μm、非加熱部位の3所は28.6±1.2μmであった。
(実施例3)
第2の工程で、加熱緩和処理を行う範囲をバルーン長手方向における直管部の50%の長さとして、それ以外は実施例1と同じ材料、方法、金型でバルーンチューブ、バルーン、カテーテルを作製した。作製したバルーンの直管部中央の加熱部3箇所の膜厚は44.2±3.0μm、非加熱部位の3箇所は27.6±1.3μmであった。
(実施例4)
第2の工程で、加熱緩和処理を行う範囲をバルーン長手方向に垂直な断面におけるバルーンの円周の50%として、それ以外は実施例1と同じ材料、方法、金型でバルーンチューブ、バルーン、カテーテルを作製した。作製したバルーンの直管部中央の加熱部3箇所の膜厚は47.3±2.7μm、非加熱部は26.6±1.1μmであった。
(実施例5)
バルーンチューブ作製で、材料にデュロメーター硬度で74Dのナイロン12(商品名:RILSAN AESN OTL:アルケマ社製)を用いて溶融押出成形により、内外径が略円形状で外径:1.00mm、内径:0.50mmのバルーンチューブを作製したこと以外は、実施例1と同じ材料、方法、金型でバルーンチューブ、バルーン、カテーテルを作製した。第1のバルーンの直管部の膜厚は23.7±1.6μm、第2のバルーンの加熱部と非加熱部の膜厚は加熱部:41.5±2.6μm、非加熱部:23.7±0.8μmであった。
(実施例6)
第2の工程において、バルーン断面を非連続の5箇所の局所部位を等間隔に、長手方向へは5箇所とも直管部全体に亘って、加熱緩和処理を実施して実施例1と同じ材料や方法、金型でバルーンチューブやバルーン、カテーテルを作製した。作製した第2のバルーンの直管部中央部の加熱部4箇所の膜厚は、43.5±2.8μm、非加熱部位の5箇所は27.6±1.4μmであった。
(実施例7)
第2の工程において、バルーン断面を非連続の6箇所の局所部位を等間隔に、長手方向へは6箇所とも直管部全体に亘って、加熱緩和処理を実施して実施例1と同じ材料や方法、金型でバルーンチューブやバルーン、カテーテルを作製した。作製した第2のバルーンの直管部中央部の加熱部4箇所の膜厚は、44.2±3.0μm、非加熱部位の6箇所は27.8±1.4μmであった。
(実施例8)
第2の工程において、バルーン断面を非連続の4箇所の局所部位を等間隔に、長手方向へは4箇所とも直管部全体に亘って、加熱緩和処理を実施して実施例1と同じ材料や方法、金型でバルーンチューブやバルーン、カテーテルを作製した。作製した第2のバルーンの直管部中央部の加熱部4箇所の膜厚は、43.5±3.5μm、非加熱部位の4箇所は28.5±1.1μmであった。
(実施例9)
実施例6と同様の材料、方法でバルーン第2工程まで行ったバルーンに以下の第3の工程を行った後、実施例1と同様にカテーテルを作製した。
第3の工程:第1の工程と同じ直管部の外径が2.90mmの略円形状のバルーン成形金型を用いて再度ブロー成形を行った。その結果、バルーンは直管部中央の加熱部4箇所の直管部の膜厚は35.7±1.3μm、非加熱部位の4箇所は29.0±1.2μmであり、バルーンの直管部は歪みのない円柱形状あった。
(実施例10)
実施例7と同様の材料、方法でバルーン第2工程まで行ったバルーンに以下の第3の工程を行った後、実施例1と同様にカテーテルを作製した。
バルーン第3工程:第1の工程と同じ直管部の外径が3.10mmの略円形状のバルーン成形金型を用いて再度ブロー成形を行った。その結果、バルーンは直管部中央の加熱部4箇所の直管部の膜厚は28.7±1.5μm、非加熱部位の4箇所は28.8±1.5μmであり、バルーンが最終的に略同膜厚で均一であり、かつ、バルーンの直管部は歪みのない円柱形状であった。また、直管部中央の加熱部と非加熱部の硬さ(マルテンス硬度)をナノインデンターを用いて測定したところ、加熱部は5.75N/mm2、非加熱部は1.01N/mm2であり、加熱部が非加熱部よりも5倍以上硬くなっていた。(使用機器:Fischer社製 Fischer Scope H−100、使用圧子:ビッカース圧子、測定荷重:1.0mN、負荷速度:10sec.、除荷速度:3sec.、保持時間:5sec.)
(比較例1)
実施例1と同様の材料、方法で第1のバルーンを作製した後、第1のバルーンを用いて実施例1と同様にカテーテルを作製した。
(比較例2)
比較例1と同様の材料、方法でカテーテルを作製した後、バルーンカテーテル用の一般的な折畳み装置を用いてバルーンを3枚羽に折畳むことで、物理的に折畳み形状の癖付けを行った。
(バルーン折畳み性の評価)
実施例1から8及び比較例1、2のバルーンカテーテルに各5本について、バルーン内部を負圧下にした上で内側シャフトに巻き付け、バルーン保護用の管を被せてEOG滅菌したものを評価サンプルとし、バルーンの折畳み性の評価を実施した。評価方法概要を下記に示す。
37℃の生理食塩水を満たした水槽中に、ガイディングカテーテルを配置した。バルーンカテーテルをガイドワイヤとともにガイディングカテーテルの遠位端から100mm露出するよう配置した。そしてバルーンカテーテル内に造影剤と生理食塩水の混合液を14atmまでインデフレータで導入拡張して、30秒間保持した後、バルーンを即座に収縮させた。各水準ともサンプル5本用いて、1サンプルごとに5回繰り返し評価した。全サンプルで測定毎にバルーンの折り畳み形状を確認した。これら評価結果を表1に示す。
(評価結果)
実施例1から10は、剛直部である加熱部が谷部となった3枚羽、または、4枚羽となり、所望通りの折畳み形状に制御できた。
比較例1では、扁平形状の2枚羽となるのみであった。また比較例2では、数回の拡張で癖付の効果が失われた後は2枚羽となり、何れも折畳み形状を制御することができなかった。
1.ガイドワイヤルーメン
1A.ガイドワイヤルーメン遠位側開口部
1B.ガイドワイヤルーメン近位側開口部
2.インフレーションルーメン
2A.インフレーションルーメン開口部
3.ハブ
4.ストレインリリーフ
5.バルーン
5A.直管部
5B.遠位側テーパ部
5C.近位側テーパ部
5D.遠位側接合部
5E.近位側接合部
6.遠位側シャフト
7.近位側シャフト
8.内側シャフト
9.外側シャフト
10.X線不透過マーカー
11.第1のバルーン
12.第2のバルーン
13.第3のバルーン
14.加熱部(バルーン剛直部)
15.非加熱部(バルーン柔軟部)
16.バルーンチューブ
17.第1の工程に用いるバルーン成形金型
18.第2の工程に用いる加熱緩和処理用金属プレート
19.第3の工程に用いるバルーン成形金型
20.収縮状態のバルーン(2枚羽)
21.収縮状態のバルーン(3枚羽)

Claims (11)

  1. バルーンカテーテル用のバルーンを製造する方法において、第1のバルーンを成形する第1の工程と、
    前記第1のバルーンの長手方向に沿った局所領域に加熱処理を行い、非加熱部よりも膜厚が大きく、剛直性を有する加熱部を有する第2のバルーンを作製する第2の工程を含むバルーンの製造方法であって、
    前記非加熱部が山部としてバルーンが折り畳まれることを特徴とするバルーンの製造方法。
  2. 前記加熱処理が、分子配向を変化させる処理であることを特徴とする請求項1に記載のバルーンの製造方法。
  3. 前記第1のバルーンの長手方向に垂直な断面において、円周部の2箇所以上に前記加熱部を形成させることを特徴とする請求項1または2に記載のバルーンの製造方法。
  4. 前記第1のバルーンの長手方向に垂直な断面において、鋭角側の中心角が180°より小さい位置関係で配置される少なくとも2つの前記加熱部を形成させることを特徴とする請求項に記載のバルーンの製造方法。
  5. 前記加熱処理が、第1のバルーンの内部を大気圧以下に保ちながら加熱する処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  6. 第1のバルーンの拡張有効部径を10%以上減少させる加熱処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  7. 前記第1のバルーンにおいて、バルーン長手方向に沿って、バルーン拡張有効部の50%以上の長さを有する前記加熱部を形成させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  8. 前記第1の工程の成形が中空チューブとブロー成形金型を用いたブロー成形により行われることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のバルーンの製造方法。
  9. バルーンカテーテル用のバルーンを製造する方法において、第1のバルーンを成形する第1の工程と、
    前記第1のバルーンの長手方向に沿った局所領域に加熱処理を行い、非加熱部よりも剛直性を有する加熱部を有する第2のバルーンを作製する第2の工程と、
    前記第2のバルーンに対しブロー成形により加工を行い、第3のバルーンを作製する第3の工程を含むバルーンの製造方法であって、
    前記非加熱部が山部としてバルーンが折り畳まれることを特徴とするバルーンの製造方法。
  10. ロー成形金型の拡張有効部径が、前記第1および第3の工程で略同一径であるブロー成形金型を用いることを特徴とする請求項9に記載のバルーンの製造方法。
  11. ロー成形金型の拡張有効部径が、前記第3の工程において、前記第1の工程より小さいブロー成形金型を用いることを特徴とする請求項9に記載のバルーンの製造方法。
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