JPH1015055A - 低プロファイルバルーン及びその製造方法 - Google Patents

低プロファイルバルーン及びその製造方法

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JPH1015055A
JPH1015055A JP8167995A JP16799596A JPH1015055A JP H1015055 A JPH1015055 A JP H1015055A JP 8167995 A JP8167995 A JP 8167995A JP 16799596 A JP16799596 A JP 16799596A JP H1015055 A JPH1015055 A JP H1015055A
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balloon
parison
polyurethane elastomer
outer diameter
pressure
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JP8167995A
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Inventor
Haruhiko Masuda
春彦 増田
Nobuaki Honma
伸明 本間
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血管系、消化管系、胆道系、尿路系等の管腔
臓器の狭窄部の拡張治療用バルーンとして、低プロファ
イル化を実現したバルーンを備え、挿入操作性の良好な
バルーンカテーテルを提供する。 【解決手段】 少なくとも20MPaの100%引張応
力を有するポリウレタンエラストマーよりなるパリソン
を1.4〜3.5倍に伸長した後にバルーン金型内に導
入し、パリソン内に0.3〜2.0MPaの圧力を加え
た状態で、金型の温度を前記ポリウレタンエラストマー
のガラス転移点より高く、融点より低い温度に加熱して
ポリウレタンエラストマーを軟化してパリソンを膨張
し、バルーン金型に接触、押圧して成形した後、圧力を
開放し、前記ポリウレタンエラストマーのガラス転移点
より高く、融点より低い温度で熱処理する。 【効果】 本発明により提供されるバルーンは、バルー
ンのラッピングに起因するかさばりを低減、もしくはな
くすことが可能であり、優れた挿入操作性を有するバル
ーンカテーテルを実現する手段として極めて有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に血管、胆道、
食道等の狭窄部に経皮的、または経内視鏡的に挿入し
て、狭窄を拡張、治療する拡張用バルーンカテーテルの
バルーンとして有用で、高い耐圧性を有するとともに低
プロファイルで優れた挿入性を有するバルーン、および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、心臓血管系、消化管系、胆道系、
尿路系等の管腔臓器の狭窄部の治療手段として、種々の
拡張術が実施されるようになってきた。拡張術の1つと
して、高周波メスやレーザー等により組織を破壊、ある
いは蒸散して狭窄部を拡張する方法がある。この方法は
極めて効果的ではあるが、技術的な熟練を必要とし、穿
孔、出血等の合併症を起こしやすく、また、経済的でな
いため、一般的には使用しにくい。
【0003】他の方法としては、狭窄部の組織を機械的
な手段により削り取る方法や、金属ステントにより狭窄
部を拡張、維持する方法の報告も散見されるが、前者の
方法は再狭窄の可能性が高く、後者の方法は、金属を生
体内に半永久的に埋め込むため、長期にわたり予後の観
察が必要である。このため、両者とも、現時点では汎用
される方法であるとは言い難い。このような方法に対
し、最も汎用されている方法として機械的な拡張術があ
る。この方法には大別してダイレーターを使用する方法
と、バルーンカテーテルを用いた方法とがある。
【0004】前者は先端がテーパー上に成形されたダイ
レーターを狭窄部に導入して直接拡張する方法である
が、ダイレーターの届く範囲に限界がある、届いた場合
でも狭窄部がダイレーターの挿入部より遠位にある場
合、実質的に拡張を行なう太い軸の部分が狭窄部に届か
ず十分な拡張ができない、屈曲の強い部分に導入した場
合、ダイレーターによる穿孔が発生する危険性がある等
の欠点を有する。穿孔の危険性に対しては、ダイレータ
ーにガイドワイヤーが通る小孔を設け、あらかじめ狭窄
部にガイドワイヤーを通し、それをステントとしてダイ
レーターを押し込む方法も報告されているが、適用範囲
が狭い。また、この方法は、心臓血管系には適用できな
い。
【0005】これに対し、拡張用バルーンカテーテルを
使用する方法は、バルーンを経皮的、あるいは内視鏡的
に狭窄部まで導入し、高圧でバルーンを膨張して狭窄を
拡張する方法である。この方法は、細くてしなやかなバ
ルーンカテーテルを使用するため、ダイレーターによる
方法に比べて到達できる部位の範囲が広く、挿入性に優
れ、患者に対する侵襲が少ないという特徴を有する。さ
らに、内視鏡を使用する拡張術の場合、鉗子口を通して
バルーンカテーテルを挿入するため、実際に狭窄部の状
態を観察しながら拡張を行なうことも可能である。この
方法に使用するバルーンとして、特公昭63ー2665
5号公報にポリエチレンテレフタレートよりなるバルー
ンが、特開平3ー57462号公報や特開平5−959
96号公報にポリアミド樹脂や芳香族ポリアミド樹脂よ
りなるバルーンが提案されている。これらのバルーンは
10MPa以上の破壊圧力を有するため、狭窄部を高圧
で拡張するのに適している。
【0006】しかし、これらの発明により提供されたバ
ルーンは、バルーンを完全に収縮させた時にバルーンが
かさばるという欠点を有していた。このため、このバル
ーンを生体管腔内に挿入するために、バルーンカテーテ
ルの使用前にバルーンをカテーテルシャフトに巻き付け
る方法(以後ラッピングという)が常用されるようにな
った。例えば、特開昭62−114565号公報では予
め折りたまれたバルーンカテーテルが開示されており、
このものはラッピングされたバルーンの典型的な一例で
ある。別の例としては、特開平5−293174号公報
に開示されている折りたたみ式バルーンカテーテルを作
る方法があげられる。このものは、単なるラッピングに
とどまらず、バルーンの膨張、収縮状態における形状を
制御することが可能という点で優れている。また、これ
らの方法は、それまで術者が実施していたラッピング作
業を不要にしたという点で功績が大きい。
【0007】しかし、上述した方法によりラッピングし
たとしても、ラッピング完了後のバルーン部の外径が大
きいと、バルーンカテーテルを挿入する際に、バルーン
の管腔内通過抵抗が大きくなり、バルーンカテーテルの
挿入操作性が悪くなるという不具合が発生する。例え
ば、内視鏡を使用する拡張術の場合、直径2.8〜3.
2mm、長さ1mにも及ぶ鉗子口にバルーンを挿通しな
ければならないために、鉗子口の直径に対してラッピン
グ後のバルーン部外径を充分小さくできないと、バルー
ンカテーテルを鉗子口に挿入できなかったり、鉗子口内
のバルーンの通過抵抗が大きく、著しい挿入操作性の低
下が起こる。
【0008】これは、バルーンサイズ、バルーン厚みに
よりラッピング後のバルーン部外径がほぼ決まってしま
い、それ以上の極小化を実施することは困難であるため
である。この問題に対する対策として、バルーン厚みを
薄くすることにより幾分かの効果は期待できるが、この
場合、バルーンの耐圧性が低下し、低プロファイル化に
見合うだけのメリットがない。すなわち、バルーンサイ
ズ、バルーン厚みによりラッピング後のバルーン部外径
が決まってしまうため、この問題をブレークスルーする
根本的な解決法は現在のところ存在していない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、上述した用途で使用されるバルーンのいっそうの低
プロファイル化をはかり、挿入操作性の良好なバルーン
カテーテルを得るべく研究を行い本発明に到達した。す
なわち、本発明の目的とするところは、低プロファイル
化を実現した拡張用バルーンカテーテルを提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性エラ
ストマーよりなり、加圧状態にない時の膨張外径が意図
した膨張外径の50〜80%であり、少なくとも0.5
MPaで加圧することにより意図した膨張外径まで膨ら
み、その膨張径を維持することを特徴とする低プロファ
イルバルーンを提供するものである。
【0011】また、本発明は、少なくとも20MPaの
100%引張応力を有するポリウレタンエラストマーよ
りなるパリソンを1.4〜3.5倍に伸長した後にバル
ーン金型内に導入し、パリソン内に0.3〜2.0MP
aの圧力を加えた状態で、金型の温度を前記ポリウレタ
ンエラストマーのガラス転移点より高く、融点より低い
温度に加熱してポリウレタンエラストマーを軟化してパ
リソンを膨張し、バルーン金型に接触、押圧して成形し
た後、圧力を開放し、前記ポリウレタンエラストマーの
ガラス転移点より高く、融点より低い温度で熱処理する
ことを特徴とする低プロファアルバルーンの製造方法を
提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を詳細
に説明する。図1は本発明の一実施例となるバルーンを
付設したバルーンカテーテルの図で、図1−aは膨張前
のバルーンを完全に収縮してラッピングした状態を示
し、図1−bは図1−aのA−A’における断面図を示
す図である。また、図2は本発明の他の実施例となるバ
ルーンを付設したバルーンカテーテルの図で、図2−a
は膨張前のバルーンを収縮している状態を示し、図2−
bは図2−aのB−B’における断面形状を示す図であ
る。バルーンサイズは、拡張治療しようとする管腔臓器
により異なるが、総じて言えば、血管系では外径2〜4
mm、長さ20〜40mm、消化管系、胆道系では外径
が6〜40mm、長さが20〜100mmである。もち
ろん、本発明は製造可能なバルーンのサイズをこの範囲
の寸法のバルーンに限定するものではない。
【0013】本発明でいう加圧状態にない時の膨張外径
とは、使用前のバルーンカテーテルにおいて、バルーン
内にバルーン容量と同等のガス、または液体を注入して
バルーンを膨張した時の膨張外径を示し、意図された膨
張外径とは、バルーンカテーテル使用時に狭窄部を拡張
するのに必要とする膨張外径を示す。本発明により提供
されるバルーンは、図1−aで示されるように、ラッピ
ングされた状態で生体管腔内に挿入される。バルーン
(2)は狭窄部まで誘導された後、バルーン(2)内に
少なくとも0.5MPaの高圧を負荷することにより膨
張し、徐々に外径を拡大し狭窄部を拡張する。この際、
バルーン(2)は意図された膨張外径に到達すると膨張
を停止し、膨張圧を低下させてもその膨張外径を維持す
ることができる。
【0014】図1−bから明らかなように、本発明によ
り提供されるバルーンは加圧状態にない時の膨張外径が
意図された膨張外径の50〜80%に保持されているた
め、最初から意図された膨張外径に保持されている従来
のバルーンに比べて、シャフト(1)に対するバルーン
(2)の巻き付け回数を少なくしたラッピング状態を得
ることが可能である。この結果、バルーン(2)の挿入
時にラッピングのかさばりに起因して発生するバルーン
(2)の挿入抵抗を極小化し、優れた挿入操作性を獲得
できる。
【0015】また、意図された膨張外径が3mm以下の
バルーンであれば、バルーン(2)の加圧状態にない時
の外径を2.4〜1.5mm以下に抑えることが可能で
あり、図2−a、および図2−bに示したように、バル
ーン(2)を付設するシャフト(1)とバルーン(2)
の外径を合致させることにより、ラッピング自体が不要
となり、いっそう良好な挿入操作性を獲得することが可
能となる。このように、本発明により提供されるバルー
ンは、バルーン(2)のラッピングに起因するかさばり
を低減、もしくはなくすことが可能であり、優れた挿入
操作性を有するバルーンカテーテルを実現する手段とし
て極めて有用である。
【0016】本発明によれば、このようなバルーンは、
適当な割合で結晶領域と非晶領域が混在し、それらが互
いに相溶しないでミクロ相分離構造を形成している熱可
塑性エラストマーをバルーン材料として選択することで
達成することができる。熱可塑性エラストマーの構造と
バルーン特性の発現の関係については、理論的な解明が
されていないため詳細な言及はできないが、熱可塑性エ
ラストマーの結晶領域の化学構造、配位構造、および結
晶領域と非晶領域の分布状態がバルーン特性に大きく関
与しているものと思われる。
【0017】本発明で使用可能な熱可塑性エラストマー
としては、例えば、ポリウレタンエラストマー、ポリス
チレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポ
リアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーがあ
げられる。これらの熱可塑性エラストマーは単独で使用
してもよいが、複数の熱可塑性エラストマーを多層化、
またはアロイ化して使用してもよい。また、熱可塑性エ
ラストマーを1成分として含むポリマーアロイも本発明
で使用することができる。このような樹脂としては、例
えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリ
マー(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レンブロックコポリマー(SEBS)スチレン−イソプ
レン−スチレンブロックコポリマー(SIS)とポリア
ミド、ポリエステル、ポリカーボネートのポリマーアロ
イがあげられる。ただし、本発明は上述した樹脂のみに
限定されるものではない。
【0018】本発明で使用する熱可塑性エラストマー
は、膨張時のバルーンの強度を保持するために、少なく
とも30MPa、好ましくは、40MPa以上の引張破
断強度を必要とする。引張破断強度が30MPaより小
さいと、このものよりなるバルーンは耐圧性が低下し
て、拡張用のバルーンとして使用できなくなるので好ま
しくない。以下に、本発明における一実施例として、熱
可塑性エラストマーとして、ポリウレタンエラストマー
使用したバルーンについて詳細に述べ、本発明を具体的
に説明する。
【0019】本発明で使用するポリウレタンエラストマ
ーは、エステル結合、エーテル結合、またはカーボネー
ト結合のうち、少なくとも1つを含む繰り返し単位より
構成されるソフトセグメントと、有機ジイソシアネー
ト、及び鎖延長剤成分より構成されるハードセグメント
を有するポリウレタンエラストマーである。このもの
は、分子量200〜3000のエステル結合、エーテル
結合、またはカーボネート結合のうち、少なくとも1つ
を含む繰り返し単位より構成される長鎖ポリオールと有
機ジイソシアネートを反応させた後、水、またはポリオ
ール化合物から選択される少なくとも1つの鎖延長剤を
反応させて得ることができる。このものの分子量は、後
述する機械的特性を維持するために、少なくとも800
00、好ましくは120000以上が必要である。
【0020】ハードセグメント成分となる有機ジイソシ
アネート、鎖延長剤に特に制限はなく、例えば、有機ジ
イソシアネートとしては4,4’-メチレンビス(フェ
ニルイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シク
ロヘキシルイソシアネート)、2,4−トルエンジイソ
シアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,
4−フェニレンジイソシアネートやこれらの混合物が、
鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,
3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,3−シクロヘキサジオール、1,4−シクロヘキサ
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス
フェノールAやこれらの混合物があげられる。
【0021】また、本発明で使用するポリウレタンエラ
ストマーには、分子鎖内、あるいは分子鎖間に部分的な
架橋構造を導入したものを含む。架橋構造を導入する方
法としては、例えば上述したポリウレタンエラストマー
の合成工程において、長鎖ジオールに少量のポリエチレ
ンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合ポリオール
を添加して反応させたり、鎖延長剤にトリオールのよう
な3つ以上の官能基を有する化合物を使用する方法があ
る。もちろん、本発明で使用するポリウレタンエラスト
マーがこれらの手段によって製造されたもののみに制限
されるものではない。
【0022】本発明で使用するポリウレタンエラストマ
ーは少なくとも20MPa、より好ましくは25MPa
以上の100%引張応力を有していることが好ましい。
ここでいう100%引張応力とはJIS規格K−731
1に従い計測される物性値をさす。ポリウレタン樹脂の
100%引張応力が20MPaより小さい場合、このも
のより製造したバルーンはクリープが大きくなるため、
耐圧性に乏しく、低い膨張圧力で容易に永久変形を起こ
してしまうので好ましくない。市販のポリウレタンエラ
ストマーには、このような用件を満足するものがあり、
本発明で使用可能である。例えば、ダウ・ケミカル社製
の商品名「Isoplast」、日本ミラクトラン社製
の商品名「ミラクトラン」は本発明に好適なポリウレタ
ンエラストマーである。
【0023】本発明によれば、バルーンの意図された膨
張外径、すなわち加圧膨張時の外径は、バルーン金型に
おけるバルーンの外径に一致する。従って、バルーンの
加圧膨張時外径は金型の設計・作製時に決定する。次
に、本発明によるバルーンの製造方法を説明する。製造
工程は、4つの工程より構成される。
【0024】第1工程では、ポリウレタンエラストマー
を溶融押出成形し、肉厚30〜500μm、外径0.5
〜3.0mmのパリソンを作成する。偏肉のない均一な
バルーンを製造するためには、外径と肉厚の変動が極め
て微少に抑えられたパリソンを調製することが必要であ
る。例えば、パリソンの外径の変動が基準値に対して±
1パーセント以内であること、パリソンの断面形状は目
視で真円であること、パリソン断面(円)の中心を基準
点0とするXY座標軸を考え、X軸上のパリソンの外径
をdx、Y軸上のパリソンの外径をdyとする時、その
比dx/dyは0.98〜1.02の範囲内にあるこ
と、X、Y軸上の4点のパリソンの肉厚の標準偏差/平
均値(CV値)が0.05以下であること等が上げられ
る。
【0025】第2工程では、成形されたパリソンに張力
をかけ1.4〜3.5倍に伸張する。この際パリソンを
ポリウレタンエラストマーのガラス転移点より少なくと
も5℃高い温度に加温して軟化することが好ましい。ガ
ラス転移点付近ではパリソンが硬く、均一に伸長するこ
とが難しく、無理に伸張すれば破断する場合があるので
好ましくない。加温する方法に特に制限はなく、湯浴、
乾燥器、ドライヤー等が使用できるが、発明者らは、温
度制御が容易で、均一に熱をかけることができる湯浴を
好んで使用している。
【0026】パリソンを伸長する時の温度は使用するパ
リソンのサイズ、肉厚、所望のバルーン膨張特性により
まちまちであるが、好ましい条件で伸長したパリソン
は、冷却後のパリソンを再加温した時に、一瞬にして、
伸長後のパリソンの長さが10〜60%程度収縮する現
象が観られるので、これが一つの目安となる。即ち、収
縮が観られないパリソンは伸長時の温度が高いか、その
加温保持時間が長すぎるので、温度を低くするか、加温
保持時間を短くする必要がある。
【0027】本発明によればパリソンの伸長度は1.4
〜3.5倍に制御される。パリソンの伸長度はバルーン
の低プロファイル化の程度と密接に関連している。一般
的には、この工程におけるパリソン伸長度が大きい程、
低プロファイル化をはかることが可能である。ただし、
パリソンの伸長度が1.4倍より小さいと、このものよ
り得られたバルーンは、膨張圧の増加に伴ってバルーン
の長さ方向に30%以上の著しい伸展が起こるので好ま
しくなく、3.5倍より大きいと、伸長後のパリソンの
永久歪みが大きく、バルーン成形が不可能になるので好
ましくない。
【0028】第3工程では、伸長したパリソンをバルー
ン金型に挿入し、パリソン内に0.3〜2.0MPaの
圧力を加えた状態で、金型の温度をパリソンの材料であ
るポリウレタン樹脂のガラス転移点より高く、融点より
低い温度に加熱して、ポリウレタン樹脂を軟化して、パ
リソンを膨張する。膨張を開始したパリソンはバルーン
金型に接触するので、この状態で押圧、セットしてバル
ーンの成形を完了する。バルーン成形完了後、パリソン
の加圧状態を維持したままで、金型を室温まで冷却す
る。そして、冷却完了後にパリソンの加圧状態を解放
し、バルーンを脱型する。
【0029】本発明によれば、パリソン内にかける圧力
は0.3〜2.0MPaに調整される。パリソン内にか
ける圧力が0.3MPa以下ではパリソンが拡張しない
ので好ましくなく、2.0MPa以上では、成形時にパ
リソンが破裂するので好ましくない。また、本発明によ
れば金型の温度はパリソンを形成するポリウレタンエラ
ストマーのがガラス転移点より高く、融点より低い温度
に調整される。金型の温度がこのガラス転移点以下では
パリソンを膨張するのに必要なポリウレタンエラストマ
ーの軟化が得られないため好ましくなく、融点より高い
温度ではポリウレタンエラストマーの溶融により流動が
起こり、パリソンの形状を保持できなくなるので好まし
くない。
【0030】成形完了後の金型の冷却は、成形の効率を
あげるために急冷してもよいが、バルーンの耐圧強度を
上げるためには徐々に冷却すべきである。発明者らは、
実験的に急冷したバルーンよりも徐冷したバルーンの耐
圧性が良好なことを確認している。理由については詳し
い検討を要するが、徐冷することで、成形後の分子の配
列状況がより安定な状態になるものと推察される。
【0031】第4工程では、成形したバルーンを再度、
ガラス転移点より高く、融点より低い温度で処理する。
この処理によりバルーンは20〜50%の収縮を起こ
し、低プロファイル化が完了する。処理温度がガラス転
移点より低いと低プロファイル化を起こせないので好ま
しくなく、融点より高い温度では溶融が起こりバルーン
形状を維持できないので好ましくない。本発明によれ
ば、本工程におけるバルーンの熱処理温度を高温にする
程、低プロファイル化の程度を大きくすることが可能で
あるため、処理温度は何点かの温度を検討したうえで決
定することが好ましい。
【0032】また、本発明では、熱処理の方法をとくに
規定しない。例えば、湯浴、油浴、グリセリンバス、乾
燥器、ドライヤー等が熱処理の手段として使用可能であ
るが、発明者らは、温度制御が容易で、均一に熱をかけ
ることができる湯浴、またはグリセリンバスを好んで使
用している。このようにして得られたバルーンは加圧状
態にない時の膨張外径が意図された膨張外径の50〜8
0%であり、バルーンのラッピングに起因するかさばり
を低減、もしくはなくすことが可能である。
【0033】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明により
提供されるバルーンは、加圧状態にない時の膨張外径が
意図された膨張外径の50〜80%である低プロファイ
ルバルーンであるため、バルーンのラッピングに起因す
るかさばりを低減、もしくはなくすことが可能であり、
優れた挿入操作性を有するバルーンカテーテルを実現す
る手段として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となるバルーンを付設したバ
ルーンカテーテルの図であり、図1−aは膨張前のバル
ーンを完全に収縮してラッピングした状態を示す図であ
る。図1−bは図1−aのA−A’における断面図を示
す図である
【図2】本発明の他の実施例となるバルーンを付設した
バルーンカテーテルの図であり、図2−aは膨張前のバ
ルーンを収縮している状態を示す図である。図2−bは
図2−aのB−B’における断面形状を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマーよりなり、加圧し
    ない時の膨張外径が意図した膨張外径の50〜80%で
    あり、少なくとも0.5MPaで加圧することにより意
    図した膨張外径まで膨らみ、その膨張径を維持すること
    を特徴とする低プロファイルバルーン。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマーが少なくとも20
    MPaの100%引張応力を有するポリウレタンエラス
    トマーである請求項1記載の低プロファイルバルーン。
  3. 【請求項3】 少なくとも20MPaの100%引張応
    力を有するポリウレタンエラストマーよりなるパリソン
    を1.4〜3.5倍に伸長した後にバルーン金型内に導
    入し、パリソン内に0.3〜2.0MPaの圧力を加え
    た状態で、金型の温度を前記ポリウレタンエラストマー
    のガラス転移点より高く、融点より低い温度に加熱して
    ポリウレタンエラストマーを軟化してパリソンを膨張
    し、バルーン金型に接触、押圧して成形した後、圧力を
    開放し、前記ポリウレタンエラストマーのガラス転移点
    より高く、融点より低い温度で熱処理することを特徴と
    する低プロファアルバルーンの製造方法。
JP8167995A 1996-06-27 1996-06-27 低プロファイルバルーン及びその製造方法 Pending JPH1015055A (ja)

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