JP6182028B2 - 熱媒体油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱媒体油組成物の改良に関するものである。
熱媒体は、スチーム加熱の限界を超える200℃以上の高温領域で使用することができることから、油脂工業、合成樹脂工業、石油化学工業、繊維工業等で年間数万トン程度が使われ、これらの産業を支えているが、最近では省エネルギーや地球環境保護の観点から、熱媒体の応用分野はさらに拡大している。
熱媒体の種類としては、フッ素系、シリコーン系、鉱油系等があるが、優れた熱安定性と経済性を考慮した場合、合成系有機熱媒体が最も優れていると考えられている。
一般に、合成系有機熱媒体は安定性が高いことから、環境中に残存しやすいものと考えられており、我が国においても、「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律」(以下、「化審法」という。)の既存化学物質の安全性点検の中で、生分解性および生体への蓄積性が調査されている。
その結果、主要製品の成分のうち、
(1)ジイソプロピルナフタレン(CAS 38640-62-9、既存番号4-961)
(2)水素化トリフェニル(CAS 61788-32-7、既存番号4-41)
(3)ジエチルビフェニル(CAS 28575-17-9、既存番号4-16)
(4)ジベンジルトルエン(CAS 26898-17-9、既存番号4-638)
(5)トリエチルビフェニル(CAS 42343-17-9、既存番号4-16)
の5物質が、「監視化学物質(旧・第一種監視化学物質)」に指定されている。
これらの監視化学物質については、製造段階だけではなく、物流、使用、廃棄というすべてのステージにおけるリスク管理が求められている。そのため、その他の合成系有機熱媒体も含め、製造から廃棄に至る全ライフサイクルにおいて、リスク低減に向けた自主的な管理が必要となってきている。(非特許文献1)
また、従来、熱媒体油の種類と使用温度については、以下のように分類されている。(非特許文献2)
(1)250℃以下: 鉱油系またはアルキルベンゼン系
(2)250〜300℃: アルキルナフタレン系あるいはアルキルビフェニル系
(3)300〜350℃: アルキルビフェニル系、水素化トリフェニル系、ジベンジルトルエン系
(4)350〜400℃: ジフェニルエーテル、ビスフェニル系
(5)400℃以上: 硝酸塩などの無機系
「合成系有機熱媒体のリスク管理に係る自主管理」平成23年5月20日,化成品工業協会・熱媒体自主管理委員会発行 「熱媒体」トライボロジスト 第44巻(1999年)第5号
本発明は、熱安定性に優れ、粘度指数が高く、熱媒体油として有効であると共に、監視化学物質に該当せず、また自主管理の対象とはならない熱媒体油組成物を提供しようとするものである。
本発明は、100℃における動粘度が3mm/s以上で5mm/s未満の基油、及び100℃における動粘度が5mm/s以上で10mm/s未満の基油を使用し、これにフェノール系酸化防止剤を0.1〜2.0質量%添加したもので、こうした組成物の100℃における動粘度が5mm/s以上で9mm/s以下であり、粘度指数が130以上であり、COC法による引火点が250℃以上である熱媒体油組成物としたものである。
また、上記100℃における動粘度が3mm/s以上で5mm/s未満の基油、及び100℃における動粘度が5mm/s以上で10mm/s未満の基油は、フィッシャートロプシュ合成により製造された基油によって得ることができる。
本発明における熱媒体油組成物は、上記した監視化学物質の適用を受けることがないし、また自主管理の対象にも該当しない熱媒体油であるから、安全に、安心して、広く使用することができる。また、粘度指数が高いことから、始動時における低温状態の系内に循環する際のエネルギー損失も少なくすることができる。
本発明においては、100℃における動粘度が3mm/s以上で5mm/s未満の基油、及び100℃における動粘度が5mm/s以上で10mm/s未満の基油が使用される。
こうした基油としては、各種の基油を用いることができるが、好ましいものとして、ガスツーリキッド法(GTL法)によって製造された基油がある。
上記ガスツーリキッド法(GTL法)によって製造された基油とは、フィッシャー・トロプシュ法による縮合法を用いて製造されるもので、一酸化炭素及び水素を適切な触媒の存在下において、高温及び/又は高圧下で長鎖、通常、パラフィン性の炭化水素に転化させるものである。
上記高温とは、例えば、125〜300℃程度、好ましくは175〜250℃程度であり、高圧とは、例えば、1×(10〜10)N/m程度、好ましくは1.2×10〜5×10N/m程度である。
こうしたフィッシャー・トロプシュ合成基油は、優れた低温特性、例えば、低流動点を有する傾向があり、蒸発損失も非常に小さい。また、こうした基油の製造に使用される方法が、鉱物原油源から製造される他の基油の製造法に比べて、比較的簡単であるという利点もある。
このフィッシャー・トロプシュ合成基油は、API(American Petroleum Institute;米国石油協会)基油カテゴリーにおいてグループIIIに属する基油として分類されるが、硫黄及び窒素を全く含まないか、含んでいても定量下限を下回る水準である。また、芳香族成分を生成しないか又は殆ど生成せず、通常、1質量%未満(ASTM D−4629)、好ましくは0.5質量%未満、更に好ましい場合には0.1質量%未満のものである。こうした性状によって基油の酸化安定性が改良されたものとなる。
上記ガスツーリキッド法により製造された基油は、100℃における動粘度が3mm/s以上で5mm/s未満の基油、及び100℃における動粘度が5mm/s以上で10mm/s未満の基油を適宜に混合し、所要の粘度に調整して使用するようにするとよい。
上記した基油には、フェノール系酸化防止剤が添加される。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(川口化学社製:アンテージDBH)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェノール類、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エトキシフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルコキシフェノール類がある。
また、分子量が370以上のフェノール系酸化防止剤として、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト−オクチルアセテート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(吉富製薬社製:ヨシノックスSS)、n−ドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2’−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル(BASF社製:IrganoxL135)などのアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート類、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−400)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−500)などの2,2’−メチレンビス(4−アルキル−6−t−ブチルフェノール)類がある。
さらに、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−300)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(シェル・ジャパン社製:Ionox220AH)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−(ジ−p−ヒドロキシフェニル)プロパン(シェル・ジャパン社製:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、ヘキサメチレングリコールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製:IrganoxL109)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](吉富製薬社製:トミノックス917)、2,2’−チオ−[ジエチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製:IrganoxL115)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(住友化学:スミライザーGA80)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージRC)、2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチル−レゾルシン)などのビスフェノール類がある。
そして、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASF社製:IrganoxL101)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(吉富製薬社製:ヨシノックス930)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(シェル・ジャパン社製:Ionox330)、ビス−[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2”,4”−ジ−t−ブチル−3”−ヒドロキシフェニル)メチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノールなどのポリフェノール類、p−t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドの縮合体、p−t−ブチルフェノールとアセトアルデヒドの縮合体などのフェノールアルデヒド縮合体などが挙げられる。
上記したフェノール系酸化防止剤は、単独で用いることができるし、複数のものを適宜に組み合わせて用いることができる。また、使用した酸化防止剤自身が蒸発してしまう可能性もあるために、分子量が350以上、好ましくは370以上のものを使用することが望ましい。
このフェノール系酸化防止剤は、熱媒体油組成物の全量中に、0.1〜2.0質量%、好ましくは0.15〜1.0質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%の範囲で添加される。
上記の如くして得られる組成物は、100℃における動粘度が5mm/s以上で9mm/s以下であり、粘度指数が130以上であるようにし、更に、その引火点[JIS K2265−4(COC法)]が250℃以上であるようにして、本発明の熱媒体油組成物とする。
また、動粘度に関して、ISO VG32相当であるものが汎用性が高いので、望ましくは40℃における動粘度を、28.8mm/sから35.2mm/sの範囲にするとよい。
これは、粘度指数が高いほど温度に依る粘度変化が少ないため、低温時の始動の際に粘性抵抗による負荷が少なくなり、省エネ性への貢献が期待できる。一般に高粘度指数の合成油と言われるPAOは、粘度指数130以上を有する。
また、熱媒体油は200℃以上に加熱して使用されるため、動粘度が低いほど熱効率の向上が見込めるが、反面引火点も低下してしまう。その一方で消防法においては引火点250℃以上を有するものは危険物指定から除外となり可燃性液体類に分類され、貯蔵・管理が簡素になる。
これらを踏まえて本発明の熱媒体油については、粘度指数130以上を有し、かつ引火点250℃以上となる最低粘度を検討した結果、ISO VG32相当となるように調製すると好ましい。
熱媒体油においては、長時間の使用に耐えて出来るだけ経時的に劣化することを避けることが必要であり、実際の使用現場では配管内を窒素でパージし、高温下での酸化劣化を防ぐための対策を取っている場合もある。こうした経時変化(劣化)の判断には、数百日間という長時間の熱媒体油に対する観察が必要であった。
本出願人は、比較的短時間の試験によって、熱媒体油の劣化状態を予測することができるような試験方法を考案し、下記する試験方法を確立した。
この試験は、熱媒体油の試験油をオートクレーブ試験容器中に入れて300℃又は320℃で50時間保持し、新油(初期油)の引火点が250℃以上のものについて、試験後の引火点の低下率が20%以内、好ましくは15%以内の場合には、この熱媒体油は窒素雰囲気下での使用であれば300℃を超え320℃程度までの使用に耐えると判断できる。以下、この試験法をオートクレーブ試験法と称することとし、実際に行った試験の詳細の一例を以下に記載する。
(オートクレーブ試験法)
オートクレーブ試験容器(容量1050ml)に試験油400mlを入れ、容器蓋を密閉し、窒素ガス注入バルブ、排気バルブを使用して、試験容器の空間内に残留している空気を窒素ガスで置換する。
窒素ガスの置換完了後、排気バルブを閉じ、窒素ガスにより0.45MPaまで加圧し、室温(23℃)から2時間かけて設定した試験温度(300℃または320℃)に昇温し、50時間保持する。この間試験容器中の試験油は、撹拌機によりゆっくりと撹拌する。
50時間経過後、2時間かけて室温(23℃)まで冷却し、オートクレーブ試験容器を開放し試験油を採取して、引火点を[JIS K2265−4「クリーブランド開放式自動引火点測定装置による測定法」(COC法)]により測定を行う。
上記試験結果の評価は、新油である試験油の引火点の250℃以上に比較して、上記オートクレーブ試験後の引火点を測定して、
(1)試験温度が300℃であって、試験油の新油から試験後の引火点の降下率が20%以内、好ましくは15%以内の場合・・・少なくとも300℃での使用に耐える熱媒体油と判定できる。
(2)試験温度が320℃であって、試験油の新油から試験後の引火点の降下率が20%以内、好ましくは15%以内の場合・・・少なくとも320℃での使用に耐える熱媒体油と判定できる。
これは劣化が進むと、炭化水素の熱分解により低沸点の炭化水素が増加し、引火点の低下が起こることから、引火点の低下割合を劣化のパラメータとして用いることができることを発見したことによるものである。
以下に、本発明の実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例を作製するために、下記のものを用意した。
(基油等)
基油1:ガスツーリキッド法によるフィシャートロプシュ基油・シェルXHVI−4(ロイヤル・ダッチ・シェル社製) 〔性状等:40℃における動粘度;17.4mm/s、100℃における動粘度;4.0mm/s、粘度指数;128、15℃における密度;0.814g/cm、ASTM D3238法による環分析の%C;1%未満〕
基油2:ガスツーリキッド法によるフィシャートロプシュ基油・シェルXHVI−8(ロイヤル・ダッチ・シェル社製) 〔性状等:40℃における動粘度;43.7mm/s、100℃における動粘度;7.6mm/s、粘度指数;141、15℃における密度;0.828g/cm、ASTM D3238法による環分析の%C;1%未満〕
基油3:原油を常圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られたパラフィン系鉱油で、API(米国石油協会)基油分類のグループ2(Gp2)に分類される鉱油基油・Ultra−S2(S−oil社製) 〔性状等:40℃における動粘度;7.1mm/s、100℃における動粘度;2.2mm/s、粘度指数;105、15℃における密度;0.826g/cm、ASTM D3238法による環分析の%C;69%,同%C;30%,同%C;1%未満〕
基油4:原油を常圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られたパラフィン系鉱油で、API基油分類のグループ1(Gp1)に分類される鉱油基油 〔性状等:40℃における動粘度;98.9mm/s、100℃における動粘度;11.4mm/s、粘度指数;102、15℃における密度;0.882g/cm、ASTM D3238法による環分析の%C;69%、同%C;27%、同%C;4%〕
基油5:合成油のポリαオレフィン(PAO)で、API基油分類のグループ4に分類されるもの・一般名称PAO6 〔性状等:40℃における動粘度;35.4mm/s、100℃における動粘度;6.4mm/s、粘度指数;136、15℃における密度;0.829g/cm、ASTM D3238法による環分析の%C;1%未満〕
フェノール系酸化防止剤:ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル(BASF社製:IrganoxL135)
表1に示すように、上記した基油等を配合して実施例及び比較例1〜3の組成物を作製した。
また、参考例として、アルキルベンゼン系の市販熱媒体油を用意した。
(試験)
上記実施例、比較例、参考例について、その性状、性能を判断するために、下記の試験を行った。
(40℃における動粘度)
JIS K2283に基づいて測定した。
評価基準: 28.8〜35.2 mm/sのもの・・・良(○)
28.8〜35.2 mm/sの範囲以外のもの・・・不良(×)
(100℃における動粘度)
JIS K2283に基づいて測定した。
評価基準:5〜9mm/sのもの・・・良(○)
5〜9mm/sの範囲以外のもの・・・不良(×)
(粘度指数)
JIS K2283に基づいて算出した。
評価基準:130以上のもの・・・良(○)
130未満のもの・・・不良(×)
(密度)
JIS K2249に基づいて測定した。
(引火点)
JIS K2265−4(COC法)に基づいて測定した。
評価基準:250℃以上のもの・・・良(○)
250℃未満のもの・・・不良(×)
(オートクレーブ試験)
上記したオートクレーブ試験法によって、
(1)試験温度300℃で50時間の保持
(2)試験温度320℃で50時間の保持
の試験を行った。
評価基準:試験油(新油)の引火点から試験後の引火点への降下率が15%以内のもの・・・・優(◎)
試験油(新油)の引火点から試験後の引火点への降下率が20%以内のもの・・・・良(○)
試験油(新油)の引火点から試験後の引火点への降下率が20%を超えるもの・・・・不良(×)
(NOACK蒸発性試験)
ASTM D5800に基づいて試験を行った。すなわち、250℃において1時間加熱した熱劣化後の重量の減少率(質量%)を測定した。
評価基準:6.0質量%未満のもの・・・良(○)
6.0質量%以上のもの・・・不良(×)
この試験を行うのは、熱媒体油では蒸発性が高い場合、密封された装置において内圧上昇による蒸気閉塞や蒸発性分への引火・爆発のリスクが高まるためである。また蒸発性が高い場合補給量の増加も予想される。こうしたことから、より蒸発性が低いものが安全操業、メンテナンスの簡便化の観点から求められていることによる。
(試験結果)
上記各試験の結果を表1に示す。
なお、比較例1、2については、NOACK蒸発性試験の結果が不良(×)であったので、オートクレーブ試験は行っていない。
(考察)
実施例のものは、100℃における動粘度が6.41mm/s、粘度指数が141、引火点が260℃であって良好であり、NOACK蒸発性試験では蒸発による減少量が4.5質量%で(良)である。オートクレーブ試験(300℃×50時間)では引火点が240℃に低下しているが、その低下量は7.7%であり、(320℃×50時間)のオートクレーブ試験では引火点が222℃にまで低下しているが、その低下量は14.6%であり、何れも15%以下となっていて(優)であり、少なくとも300℃での使用に耐える熱媒体油、また少なくとも320℃での使用に耐える熱媒体油であることが判る。
これに対して、比較例1のものは、100℃における動粘度が6.39mm/s、粘度指数が142で良好であるが、引火点が248℃であって(不良)であり、NOACK蒸発性試験では蒸発による減少量は8.8質量%と大きく(不良)であり、熱媒体油としては好ましくない。また、比較例2のものも、100℃における動粘度が6.01mm/sで良好であるが、粘度指数が123、引火点が234℃であって(不良)であり、NOACK蒸発性試験では蒸発による減少量は8.2質量%と大きく(不良)であり、これも熱媒体油としては好ましくない。
そして、比較例3のPAOを基油として使用したものは、100℃における動粘度が6.32mm/s、粘度指数が135で良好であり、引火点が260℃であって(良)である。また、NOACK蒸発性試験でも蒸発による減少量は4.8質量%で(良)であるが、オートクレーブ試験(300℃×50時間)では引火点が160℃に低下しており、その低下量は38.5%であり、(320℃×50時間)のオートクレーブ試験では引火点が114℃にまで低下して、その低下量は56.2%であり、何れも20%を大きく超えているので、300℃や320℃での使用に耐えるようなものではなく、熱媒体油としては不十分なものであることが判る。
更に、参考例に示す市販のアルキルベンゼン系の熱媒体油は、100℃における動粘度が4.16mm/s、粘度指数が48、引火点が214℃であっていずれも(不良)であり、NOACK蒸発性試験では蒸発による減少量は30.0質量%と大きくて(不良)である。オートクレーブ試験(300℃×50時間)では引火点が206℃に低下していてその低下量は3.7%であるが、試験油(新油)の引火点が元々214℃であるので(不良)であり、(320℃×50時間)のオートクレーブ試験では引火点が142℃にまで低下して、その低下量は31.1%であり何れにしても300℃や320℃での使用に耐えるようなものではなく、熱媒体油としては不十分なものであると判断される。
Figure 0006182028

Claims (1)

  1. 100℃における動粘度が3mm/s以上で5mm/s未満のフィッシャートロプシュ合成により製造された基油、及び100℃における動粘度が5mm/s以上で10mm/s未満のフィッシャートロプシュ合成により製造された基油に、分子量が370以上であるフェノール系酸化防止剤を0.1〜2.0質量%添加し、組成物の100℃における動粘度が5mm/s以上で9mm/s以下であり、粘度指数が130以上であり、COC法による引火点が250℃以上であり、使用温度上限が320℃であって粘度グレードがISO VG32である熱媒体油組成物。
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