JP6182019B2 - 高分子化造影剤 - Google Patents

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Description

本発明は、新規高分子化合物、およびそれを利用した造影剤に関する。
現代医療において、画像診断の果たす役割は大きいが、中でも非破壊的、非侵襲的に生体の内部形態や内部機能を測定し、その結果を画像によって示すことのできる画像診断方法が重要になっている。
このような画像診断方法には、X線診断方法、放射線核医学診断方法(ポジトロンCT:PET、シングルフォトン:SPECT)、核磁気共鳴診断法(MRI)、超音波US等が挙げられる。中でも、MRIは、軟部組織の解像力に優れ、任意の方向での撮像が可能で、PETのような大がかりなものでないという利点があるため、汎用性が高い。
MRIとは、核磁気共鳴(NMR)現象を利用する方法であり、生体内に存在する原子、典型的には水分子中の水素原子(プロトン)、から得られるMR信号を、画像化して用いる方法である。測定対象中に存在するプロトンのエネルギーレベルが、MRI装置から照射された電磁波によって一旦高くなった後、元のエネルギーレベルに戻るまでの時間(緩和時間)又はその際の速度(緩和速度)の差、あるいは被験物中のプロトン密度の違いによって、画像上にコントラストとして現れる。
このMRIには、MRI造影剤が用いられる場合がある。MRI造影剤とは、MRI等において、プロトンの緩和時間を短くする作用を有する物質を用いて、コントラストが小さい場合等に、より鮮明な画像を得るために用いられるものである。現在用いられているMRI造影剤としては、ガドリニウム等に代表される金属を中心としたキレート化合物(金属キレート)が挙げられる。市販されるMRI造影剤として、オムニスキャン(登録商標、Gd−DTPA−BMA、第一製薬製),プロハンス(登録商標、Gd(HP−DO3A)、エーザイ製)、マグネスコープ(登録商標、Gd−DOTA、栄研又は田辺製薬製)、マグネビスト(登録商標、Gd−DTPA、シェーリング製)等の低分子化合物が挙げられる。
また、血流情報をより正確に得るために、上記の低分子造影剤の血中半減期を延長させた、高分子結合型造影剤(特許文献1、非特許文献1〜3等参照)、癌をターゲットとした金属内包ミセル、コントラストを高めるために多量の金属キレートを結合させうるようにした、デンドリマー型の造影剤等が開発されている。
例えば、下記非特許文献1の造影剤は、ポリグルタミン酸(PG)に結合させた、Gd−DTPA、Gd−DOTAが記載されている。非特許文献2、3では、ポリエチレングリコール(PEG)に、Gd−DTPA−システイン複合体や、Gd−DO3A等を結合させたものが記載されている。
しかしながら、臨床で用いられる低分子造影剤は、細胞に導入した場合でも細胞膜から造影剤が漏出するため特異的に細胞を標識できない。また、デキストランやデンドリマーを主骨格にもつ高分子造影剤では、生体内からの速やかな体外排泄性が不十分であることや、他細胞への取り込みにより細胞特異性が低下するという問題が指摘されている。
また、5nm程度の酸化鉄の会合体(60nm程度のサイズ)から形成されるSPIO(磁性粒子)も臨床において既に実用化されており、細胞標識剤としての研究も報告されている。しかし、細胞死に伴ってSPIOが体外排出されず組織に沈着してしまう現象や、クッパ−細胞によるSPIOの取り込み等が認められているため、SPIOは特異的な細胞標識剤として使用することが難しい。
細胞を標識するための造影剤には、特異的に細胞を標識でき、移植後MRI画像において高いコントラストで標的細胞を識別し、細胞死に伴って生体内から速やかに体外へ代謝される事が望まれるが、未だこのような特性を併せもつ高分子造影剤は開発されていない。
国際公開第2008/059835号公報
Bioconjugate Chem.; (Article); 2004; 15(6); 1408−1415 Bioconjugate Chem.; (Article); 2004; 15(6); 1424−1430 Journal of Alloys and Compounds 249 (1997) 185−190
本発明は、特異的に細胞を標識でき、移植後MRI画像において高いコントラストで標的細胞を識別し、細胞死に伴って生体内から速やかに体外へ代謝される特性を有する高分子造影剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、分岐構造のポリエチレングリコール(PEG)を基礎骨格に用いた金属キレート複合体により、生体内からの速やかな代謝を実現でき、少量でも高い造影効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)下記式(I)、(II)、または(III):
に示される構造を有する、3以上の分岐を有する分岐型ポリエチレングリコール、を含む高分子化合物であって、
Rは同一または異なって、分岐型ポリエチレングリコールと結合する金属キレートを示し、;
nは同一または異なっていてもよく、合計で100〜450の整数を示し;
mは1〜28の整数を示す;
高分子化合物、
(2)金属キレートにおけるキレート化剤が、DTPA、DTPA−BMA、DTPA無水物、DOTA、DO3A、HP−DO3Aからなる群から選択される1または2以上のキレート化剤である、(1)の高分子化合物、
(3)金属がガドリニウムである、(1)または(2)の高分子化合物、
(4)Rが、下記式(IV):
で示される、(3)の高分子化合物、
(5)分岐型ポリエチレングリコール骨格の分子量が20,000未満である、(1)〜(4)のいずれかの高分子化合物、
(6)(1)〜(5)のいずれかの高分子化合物を含む、MRI造影剤、
(7)細胞標識用である、(6)のMRI造影剤、
を提供する。
本発明の化合物は、MRI造影剤に用いることが可能である。本発明の造影剤は、分岐構造を有するPEGを主鎖骨格に用いることで生体内からの速やかな代謝を実現でき、また1分子中に複数の金属イオンを導入できるため少量でも高い造影効果を示す。さらに、同程度の分子量をもつ直鎖構造の高分子造影剤と比較して、分岐鎖の分子運動が抑制されるため、金属イオンによる高い緩和能を保持することができる。速やかな代謝性により、標識細胞が死滅した場合、造影剤は体内から速やかに排出されるため、この造影剤は生細胞を高感度で識別できる造影剤として機能できる。このような特性は、現在臨床応用が進められているiPS細胞や組織幹細胞の細胞移植治療における移植細胞追跡において適用でき、移植細胞の生存率や生着率といった移植時の評価や、遠隔期における移植細胞の治療効果の検証等、幹細胞治療におけるバリデーション技術の確立に極めて有効である。
ラット大腿筋へインジェクト後の尿中からのGd排泄量のプロファイルを示す図である。 Gdならびにフルオレセインで標識されたPEG造影剤のラット骨髄由来間葉系幹細胞への導入効果のFACS解析結果を示す図である。 rMSCに対して、ソノポレーションによりGdで標識した8分岐構造のPEG造影剤を導入した細胞懸濁液のMRI画像である。
本発明は一態様において、分岐型PEGを基本骨格とした金属キレート複合体である、高分子化合物を提供する。より具体的に、本発明は、式(I)、(II)、または(III)に示される構造を有する、3以上の分岐を有する分岐型PEG、を含む高分子化合物であって、Rは同一または異なって、アミド結合によって分岐型PEGと結合する金属キレートを示し;nは同一または異なってもよく、合計で100〜450の整数を示し;mは1〜28の整数を示す;高分子化合物を提供する。
本発明の高分子化合物に用いられる分岐型PEGは、3以上の分岐を有するPEGである。用いられる分岐型PEGの分子量、すなわち本発明の高分子化合物の分岐PEG骨格の分子量は、約20,000未満であることが好ましい。分岐PEGの分子量の好ましい例としては、例えば約8,000〜約18,000、約8,000〜約17,000、約9,000〜約16,000、約12,000〜約16,000、約10,000〜約15,000、約14,000〜約16,000等が挙げられる。最も好ましくは約15,000である。
金属キレートに用いられる金属イオンとしては、各種の磁性金属が挙げられる。具体的には、ガドリニウム、セリウム、サマリウム、ユウロピウム、ジスプロシウム、ツリウム、イッテルビウムなどのランタノイド系元素のイオン、クロム、モリブデン、タングステンなどの6族元素のイオン、マンガンなどの7族元素のイオン、鉄、ルテニウム、オスミウムなどの8族元素のイオン、コバルト、ロジウムなどの9族元素のイオン、ニッケル、パラジウムなどの10族元素のイオン、銅などの11族元素のイオン、亜鉛、カドミウムなどの12族元素のイオンなどが挙げられる。これらの中では、キレート化剤の原子と配位する数が最も多く、錯体の安定性が高いなどの点から、ガドリニウム(Gd)イオンを用いることが好ましい。
金属キレートに用いられるキレート化剤(キレート配位子)としては、これらに限定されるというものではないが、公知のDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA−BMA(ジエチレントリアミン五酢酸−ブチルメタクリレート)、DTPA無水物、DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラアセテート)、DO3A(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリアセテート)、HP−DO3A(2−ヒドロキシプロピル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリアセテート)等が挙げられる。なかでも、DTPAおよびDOTAが好ましい。
本発明の高分子化合物に用いられる金属キレートは、上述の金属イオンおよびキレート剤から常法により製造できる。具体的には、金属イオンとキレート化剤を、例えば水溶液中で常温、常圧化、pH6〜6.5で、24時間混合する等の方法により、製造することもできる。好ましいpHの範囲は、キレート化剤の種類にもよるが、一般に、キレート化が促進されという点で、上記のようなpH値とすることが好ましい。オムニスキャン(登録商標、Gd−DTPA−BMA、第一製薬製)、プロハンス(登録商標、Gd(HP−DO3A)、エーザイ製)、マグネスコープ(登録商標、Gd−DOTA、栄研又は田辺製薬製)、マグネビスト(登録商標、Gd−DTPA、シェーリング製)等の市販されているものを用いてもよい。最も好ましくは、金属キレートはGd−DOTAである。
金属キレートと分枝PEGは、任意の結合を介して結合される。例えば、アミド結合、エステル結合、イソチオウレア結合、スルホンアミド結合、シッフベース結合、またカルバメート結合が挙げられるが、これらに限定されるというものではない。好ましくはアミド結合である。
nは化合物内の合計で100〜450の整数であり、本発明の化合物の好ましいnの合計の例は、180〜410の整数、180〜380の整数、200〜360の整数、270〜360の整数、224〜340の整数、315〜360の整数、などである。
mは1〜28の整数であり、好ましくは1〜16の整数、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8の整数である。PEGの分岐は3分岐以上、好ましくは3〜12分岐、より好ましくは4〜10分岐であり、例えば4分岐または8分岐などである。
本発明の高分子化合物は、例えば次のようにして製造することができる。下記式(V)で示される分岐型PEGは、当業者が容易に製造できるか、或いは市販されている。例えば、nの合計が216、m=4である化合物としては、SUNBRIGHT HGEO−10000(日本油脂株式会社製)が挙げられる。分岐型PEGと金属キレートの結合も当業者が常法により行うことができる。例えば分岐型PEGと金属キレートのNHSエステルをDMSO溶液に溶解して室温で攪拌、精製することにより、本発明の高分子化合物を得ることができる。あるいは、NHSエステルをもつ分岐型PEGに対してアミノ基導入した金属キレートを室温で撹拌、生成することによっても、本発明の高分子化合物を得ることができる。
本発明は、一態様において、本発明の高分子化合物を含むMRI造影剤を提供する。特に、本発明のMRI造影剤は細胞標識用MRI造影剤に好適である。
本発明のMRI造影剤中の、上記の高分子化合物の濃度は、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは、0.5〜5重量%である。
本発明のMRI造影剤は、上記の高分子化合物の他、水、アルコール、生理食塩水等の溶媒の他、マンニトール等の、注射剤等に一般に用いられる成分、あるいはMRI造影剤に一般に用いられている成分を更に含ませることができる。
また、本発明のMRI造影剤としての性質に悪影響を及ぼさない範囲で、他の成分を含有させることができ、例えば薬学的に許容される担体として、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、乳化剤、可溶化剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、充填剤、増量剤、付湿剤、防腐剤等の添加剤を用いて周知の方法で製剤化することができる。
賦形剤としては、有機系賦形剤及び無機系賦形剤等が挙げられる。
本発明のMRI造影剤は、注射剤、カテーテル用液剤、経口用液剤、細胞処理液、組織処理液等の液剤の形態が好ましく、中でも、移植細胞を処理する場合の細胞処理液、組織処理液が好ましい。
本発明のMRI造影剤は、上記の主成分である高分子化合物と、上記第2成分等の他の成分各々を、常温、常圧下で混合する等の方法によって、得ることができる。
本発明のMRI造影剤は、主成分である金属キレート複合体が、細胞膜を通り抜け難い性質を有しており、細胞膜に近づくこと自体、少ないという性質を有している。また、本発明のMRI造影剤を細胞内に導入した場合、細胞分裂後も、細胞群のほぼ全体に亘って、MRI造影剤の存在が観察された。このことによって、例えば、再生治療等において、移植細胞の増殖の様子を観察することが可能となる。
本発明のMRI造影剤を、筋肉、血管、臓器その他の組織に投与する場合の投与方法は、特に限定されるものではないが、経口投与、カテーテル投与、静注等の静脈投与、筋肉内投与、経皮投与、経鼻投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、直腸内投与、粘膜投与、吸入等が挙げられる。なかでも、静注等の静脈投与が好ましい。マウス等の実験動物が測定対象の場合には、尾静脈注射等の方法も挙げられる。
本発明のMRI造影剤を、対象細胞に投与する方法としては、特に限定されるものではないが、細胞処理液、組織処理液等の溶液に細胞を浸積して電気刺激を与えるエレクトロポレーションのほか、マイクロインジェクション、細胞膜融合性リポソームを用いる方法、超音波とマイクロバブルを用いるソノポレーション法等を用いることができる。
本発明のMRI造影剤の剤形は、エレクトロポレーション等に用いる細胞処理液、組織処理液の形態のほか、注射剤やカテーテル用液剤、経口用液剤等の形態が挙げられるが、必ずしもこれらに限られるものでは無い。
投与量は、標的となる組織や細胞の種類、数、疑われている疾患の種類、進行度、患者の年齢、性別、体重等により適宜調整することができ、必ずしも限定されるものでは無いが、一般に、下記の量が選択し得る。経口、経皮、注射等によって組織に投与する際には、1回の投与量は、通常、上記の高分子化合物量として、0.01mg〜1000mg、好ましくは0.1mg〜1000mg、より好ましくは0.1mg〜100mgである。Gd重量としては、1回の投与当たり、0.001mgから10mg投与することが好ましい。また、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、細胞膜融合性リポソームを用いる方法等によって細胞内に直接投与する際には、1細胞辺り10〜1012個の金属キレート複合体が入る様に投与することが好ましい。この量を投与された細胞は、細胞分裂に際して、分裂細胞にも適当な量の金属キレート複合体が分配されるため、細胞移植の増殖による組織の再生課程の追跡が、より確実となるからである。
細胞移植に際し、in vivo、あるいはin vitroで、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、ソノポレーション、又は細胞膜融合性リポソームを用いる方法等によってMRI造影剤を移植する細胞に導入できる。当該導入細胞を移植した後、4.7T(3次元)MRI等によって、移植細胞、及びその分裂細胞の様子を経時的に観察することができる。本発明のMRI造影剤を細胞内に導入した場合、細胞分裂後も細胞群のほぼ全体に亘って、それらが存在していることが観察されており、例えば再生治療等において、移植細胞の増殖の様子を観察することが可能となる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限られるものでは無い。
実施例1:高分子化合物の調製
分子量(MW)10,000、15,000、20,000の4分岐PEG(日本油脂より入手)それぞれに対して、DOTA−NHS−エステルを脱水ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に溶解し、Ar雰囲気下で室温にて24時間攪拌した。その後、分子量カット3500の透析膜により精製後、凍結乾燥により、Gd−4arm−PEGを得た。同様にして、MW15,000の8分岐PEG(日本油脂より入手)から、Gd−4arm−PEGを得た。また、MW10,000の直鎖状PEG(日本油脂より入手)から、同様の操作を経て、Gd−linear−PEGを得た。合成した分子は、NMRにより構造ならびにDOTAの導入率を決定した。Gd導入率についてはICP−MSにより同定した。各高分子化合物の詳細を、表1に示す。
実施例2:高分子化合物の体外排泄の調査
実施例1で調製した高分子化合物、および、主鎖として分子量15,000〜20,000のデキストランを用いて実施例1と同様に調製した化合物(Gd−Dextran)を、SDラット(約200g)の大腿筋へ注入(Gd量として0.8μmol、100μL/100g)し、24時間後に尿を回収した。回収した尿を硝酸により分解し含まれるGd濃度をICP−MSにより定量することで、体外排泄量を算出した。
結果、DMSO中で24時間撹拌することにより、直鎖状あるいは分岐構造をもつPEGの末端にDOTAによりキレートされたGdを導入することができた(表1)。この造影剤をラットにインジェクトして、時間に対する体外排泄量をプロットしたものを図2に示す。時間経過に伴っていずれの高分子化合物も体外へと排泄されるプロファイルを示した。注入6日後の排泄量を比較した結果、4あるいは8分岐の分子量15,000をもつPEGからなる造影剤は、75%が尿中排泄した。一方で、分子量が20,000の4分岐構造をもつ高分子化合物や、デキストランを主鎖にもつ化合物は、50%程度の体外排泄量に留まった。つまり、分子量や分岐構造は体外排泄の速度を変化させる事が示された。この結果より、分子量15,000の4あるいは8分岐構造をもつPEGは速やかに体外排泄されることが明らかとなった。
実施例3:間葉系幹細胞に対する本発明の高分子化合物による造影剤の標識とMRI画像における造影効果
ラットの骨髄から採取した間葉系幹細胞(1×10個)に対して、ソナゾイド(マイクロバブル、5×10個)とGd−8arm−PEG(Mw:1,5000)をポリスチレンチューブ内で混合し、超音波照射した(出力:2.5W/cm、時間:120秒、負荷サイクル:20%)。その後、FACSにより導入された割合、およびMRIによる標識化細胞の造影効果を検討した。
超音波照射によりGdで標識されたPEG造影剤の間葉系幹細胞への導入効率をFACSにより定量した。その結果、超音波によるソノポレーション法を用いることで29−43%の細胞に対してPEG造影剤を導入することができた(図2)。
次いで、NMRにより造影剤の緩和能を測定した結果、T1強調における造影効率としてRを測定した結果、8または4分岐構造のPEG造影剤は、デキストランを主鎖とするGd造影剤と比較して2倍程度の高い緩和能を示した(表1)。
造影剤を導入したラット由来間葉系幹細胞の懸濁液を1.5T MRIにより撮像した(図3)。その結果、PEGが導入された細胞では、対照(Control)の細胞懸濁液と比較して有意なコントラストを得ることができた。
以上の結果より、PEGを主鎖骨格にもつ高分子造影剤は、ソノポレーション法により細胞へ標識することで、MRIにおいて標識細胞を有意に造影できることから、早期体外排泄能を有する細胞標識用MRI造影剤として有効であることが示された。一方、従来の低分子造影剤に比べて優れた血中滞留性に基づいて末梢血管の撮像をも可能にする造影剤として利用できることも明らかとなっている。
本発明の高分子化合物は、細胞移植における細胞標識用造影剤として利用可能である。分岐PEGを原材料として、末端のアミノ基に対して金属キレート化剤を反応させることで容易にガドリニウムキレート剤を合成できるため、製品化プロセスにおいても安価に大量合成できる。また、PEGは生体適合性が高い材料として認知されており、既に医薬品製造用の添加剤として応用されていることからも、安全性が担保されているといえる。

Claims (7)

  1. 下記式(I)、(II)、または(III):

    に示される構造を有する、3以上の分岐を有する分岐型ポリエチレングリコール、を含む高分子化合物であって、
    Rは同一または異なって、分岐型ポリエチレングリコールと結合する金属キレートを示し、;
    nは同一または異なってもよく、合計で100〜450の整数を示し;
    mは1〜28の整数を示す;
    高分子化合物。
  2. 金属キレートにおけるキレート化剤が、DTPA、DTPA−BMA、DTPA無水物、DOTA、DO3A、HP−DO3Aからなる群から選択される1または2以上のキレート化剤である、請求項1に記載の高分子化合物。
  3. 金属がガドリニウムである、請求項1または請求項2の高分子化合物。
  4. Rが、下記式(IV):

    で示される、請求項3の高分子化合物。
  5. 分岐型ポリエチレングリコール骨格の分子量が20,000未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子化合物を含む、MRI造影剤。
  7. 細胞標識用である、請求項6に記載のMRI造影剤。
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