JP6181536B2 - 銀付人工皮革の製造方法 - Google Patents

銀付人工皮革の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6181536B2
JP6181536B2 JP2013256143A JP2013256143A JP6181536B2 JP 6181536 B2 JP6181536 B2 JP 6181536B2 JP 2013256143 A JP2013256143 A JP 2013256143A JP 2013256143 A JP2013256143 A JP 2013256143A JP 6181536 B2 JP6181536 B2 JP 6181536B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
artificial leather
layer
organic solvent
heat treatment
elastic body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013256143A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015113535A (ja
Inventor
祥吾 高橋
祥吾 高橋
義行 鈴木
義行 鈴木
公一 奈義良
公一 奈義良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Cordley Ltd
Original Assignee
Teijin Cordley Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Cordley Ltd filed Critical Teijin Cordley Ltd
Priority to JP2013256143A priority Critical patent/JP6181536B2/ja
Publication of JP2015113535A publication Critical patent/JP2015113535A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6181536B2 publication Critical patent/JP6181536B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)

Description

本発明は多孔性の表皮を有する銀付人工皮革に関し、さらに詳しくは高い通気性・透湿性を有しながら意匠性に優れた銀付人工皮革の製造方法に関する。
以前より様々な方法にて、通気性を有する人工皮革が得られている。
例えば特許文献1では、表皮層を溶剤によって溶解させて高い通気性を得る方法が開示されている。しかしこの方法では表面層を溶剤によって溶解するため、表面外観の色がその工程で濃くなったり、つやが消失しマット調の表面になる等、高い質感を有する天然皮革外観の人工皮革を製造することが困難であった。
そこで特許文献2では、熱膨張性マイクロカプセルを含有する配合液を基材の上に塗布する合成皮革が開示されているが、水分散系の配合液を用いているために乾燥などの工程で大きなエネルギーが必要となるほか、滑らかな表面外観が得られにくいという問題があった。実際、例えばこの特許文献2においては、「表面スエード調合成皮革」しか得られていない。
滑らかな外観を有し、高い工業生産性を満足する銀付人工皮革でありながら、高い通気性・透湿性と共に高い意匠性を有する人工皮革の開発が待たれていたのである。
特開平8−41786号公報 特開平3−220378号公報
高い工業生産性を有しながら、高い通気性・透湿性と共に意匠性に優れた銀付人工皮革を得ることにある。
本発明の銀付人工皮革の製造方法は、基体層の表面に高分子弾性体溶液を塗布し乾燥して表皮層を形成する銀付人工皮革の製造方法であって、高分子弾性体溶液がマイクロカプセルと高沸点有機溶剤を含有し、マイクロカプセルの膨張開始温度よりも高沸点有機溶剤の沸点が高く、かつマイクロカプセルの膨張開始温度以上、高沸点有機溶剤の沸点以下の温度で第1熱処理し、その後高沸点有機溶剤を揮発させる第2熱処理を行うことを特徴とする。
さらに、第1熱処理が熱風乾燥であることや、第2熱処理が加熱ロールによるものであることが好ましく、第2熱処理の加熱ロールが基体層と表皮層をニップするものであることが好ましい。また、高分子弾性体溶液の塗布時の粘度が200mPa・s以上であることや、高沸点有機溶剤の沸点がマイクロカプセルの最高膨張温度よりもさらに高い温度であること、高分子弾性体溶液が高沸点有機溶剤と低沸点有機溶剤を含有するものであることが好ましい。
また、表皮層が最表面層と接着層とからなるものであることや、さらに離型紙上に最表面層と接着層とを順に形成して第1熱処理を行って表皮層とし、基体層と表皮層とを貼り合わせた後に第2熱処理するものであることが好ましい。
本発明によれば、高い工業生産性を有しながら、高い通気性・透湿性と共に意匠性に優れを有する銀付人工皮革の製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の銀付人工皮革の製造方法は、基体層の表面に高分子弾性体溶液を塗布し乾燥して表皮層を形成する銀付人工皮革の製造方法である。そして、本発明にて用いられる高分子弾性体溶液は、マイクロカプセルと高沸点溶剤を含有する溶液であり、この溶液に用いられる高沸点溶剤の沸点は、マイクロカプセルの膨張開始温度よりも高いものであることが必要である。そして本発明の製造方法では、2段階以上の熱処理を行うことを必須とし、マイクロカプセルの膨張開始温度以上、高沸点溶剤の沸点以下の温度での第1熱処理と、その後の高沸点溶剤を揮発させる第2熱処理を行う製造方法である。
本発明の製造方法にて用いられる基体層としては、通常の人工皮革用に使用することができる基材であれば特に制限は無く、一般には繊維質構造体と高分子弾性体からなるシートである。
ここで基体層となる人工皮革用の基材に用いられる繊維としては、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、あるいは天然繊維などの単独または混合した繊維を挙げる事ができる。さらに好ましくは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド繊維や、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維を挙げる事ができる。また柔軟な風合いとするためには極細繊維からなる合成繊維であることが好ましく、海島構造繊維から海成分を溶解除去した極細繊維であることが最も好ましい。本発明の基体層は、このような繊維をカード、ウェバー、レーヤー、ニードルパンチングなど公知の手段で作製した絡合繊維不織布であることが好ましい。
また、このとき繊維質構造体とともに基体層に好適に用いられる高分子弾性体としては、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタンウレアエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリエステルエラストマー、合成ゴムなどを挙げる事ができるが、中でもポリウレタン系エラストマーであることが好ましい。ここで高分子弾性体の100%伸長応力は8〜12Mpaの範囲であることが好ましく、特にはDMF100%溶解性の湿式凝固用ポリウレタンなどが好ましく用いられる。このように湿式凝固用ポリウレタンを用いることによって、容易に多孔の高分子弾性体とすることができ、基体層の風合いも向上する。
さらには、このようにして得た繊維構造体と高分子弾性体からなる基体から、海島繊維の海成分等の、繊維成分の一部を溶解除去してなる極細繊維と高分子弾性体からなる基体層であることが好ましい。
また、さらに表面の質感を向上させるためには、基体層の表面に通気性を有する多孔層を付与することも好ましい。ここで多孔層としては、DMF100%溶解性の湿式凝固用ポリウレタンを用い、水、DMF混合溶液中で凝固させる層であることが好ましい。
本発明の銀付人工皮革の製造方法は、このような基体層の表面に高分子弾性体溶液を塗布し乾燥して表皮層を形成する人工皮革の製造方法であるが、この高分子弾性体溶液がマイクロカプセルと高沸点溶剤を含有することを必須としている。
ここで高分子弾性体溶液に用いられる高分子弾性体としては、人工皮革の表皮層に用いられる樹脂であれば特に制限は無い。具体的には、ポリカーボネート系、エーテル系、エステル系、エステルエーテル系の各種ウレタン樹脂や、シリコン変性ポリウレタン樹脂等が好ましく使用される。また車両内装用途であれば耐久性を考慮しポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を使用するなど、使用用途により適宜選択することが好ましい。
そしてこの高分子弾性体溶液に含有されるマイクロカプセルとしては、加熱によりカプセルの体積が膨張し、最終的には発泡または破泡する熱膨張性マイクロカプセルである。通常このような熱膨張性マイクロカプセルは、液状の低沸点炭化水素を熱可塑性高分子殻で内包した物であり、液状炭化水素が体積膨張し、発泡または破泡するものであるが、それに限定されるものではない。マイクロカプセルの膨張開始温度としては、後に述べる高沸点有機溶剤の沸点よりも低いことは必要であるが、具体的には60〜110℃の範囲であることが好ましい。また発泡の程度が最大となる最高膨張温度としては100〜140℃の範囲であることが好ましい。ここで、膨張開始温度及び最高膨張温度とは、動的機械分析(DMA)にて得られる温度である。より具体的には、アルミカップに入れたマイクロカプセルのサンプルに、上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定して得る数値であって、その状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定し、正方向への変位開始温度が膨張開始温度、最大変位量を示した時の温度が最高膨張温度となる。
また、熱膨張性のこのマイクロカプセルの添加量は、高分子弾性体である樹脂の固形分に対し、0.3〜30重量%の範囲であることが好ましい。マイクロカプセルの含有量が多すぎると、剥離強度が弱くなる傾向にある。
マイクロカプセルと同時に用いられる高沸点有機溶剤としては、マイクロカプセルの膨張開始温度よりも沸点が高いことが必要である。特には熱膨張開始温度よりも沸点が10〜80℃高いことが好ましい。さらには高沸点有機溶剤の沸点としては、マイクロカプセルの膨張開始温度だけではなく、マイクロカプセルの最高膨張温度以上の沸点であることが好ましく、特には最高膨張温度よりも高沸点有機溶剤の沸点が5℃以上高いことが好ましい。具体的にはこの有機溶剤の沸点としては110〜170℃の範囲であることが好ましい。好ましい高沸点有機溶剤を列挙するとメトキシプロピルアセテート、キシレン、ブタノール、トルエンなどを挙げることができる。またこの高沸点有機溶剤は、室温だけではなく、乾燥時の高温であってもマイクロカプセルを溶解しないものであることが好ましい。
またこの高分子弾性体溶液には上述のマイクロカプセルと高沸点有機溶剤に加えて、その高沸点有機溶剤よりも沸点の低い低沸点有機溶剤を併用することが好ましい。さらには低沸点有機溶剤の沸点としては、マイクロカプセルの膨張開始温度の10℃高い温度以下であることが好ましい。あるいはその膨張開始温度に幅がある場合には、その上限の温度以下であることが好ましい。このような低沸点有機溶剤を併用することにより、後に述べる第1熱処理中に高分子弾性体溶液の粘度が上昇し、マイクロカプセルの発泡性が安定する。この低沸点有機溶剤もまた、上述の高沸点有機溶剤と同じく、室温だけではなく、熱処理時に高温となった際にも、マイクロカプセルを溶解しないものであることが好ましい。
また、高分子弾性体溶液中には、顔料を溶解することが好ましい。本発明の製造方法では、有機溶剤系の顔料や水系の顔料を含む、各種の多様な顔料を使用することが可能である。
より具体的には、高分子弾性体溶液中のマイクロカプセルとして、「マイクロスフェアー」(松本油脂株式会社製)を用いた場合、好ましい有機溶剤としては、トルエン、キシレン、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メトキシプロピルアセテート、酢酸エチル、メチルエチルケトン等を挙げることができ、中でもイソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メトキシプロピルアセテートを用いることが好ましい。
本発明の銀付人工皮革の製造方法では、上記のような高分子弾性体溶液を基体層(基材)に塗布し、マイクロカプセルの膨張開始温度以上、高沸点有機溶剤の沸点以下の温度にて第1熱処理を行う。この高分子弾性体溶液を基体層上に塗布する時の高分子弾性体溶液の粘度としては、200mPa・s以上であることが好ましく、さらには300〜10000mPa・sの粘度であることが好ましい。このような適度な粘性を処理溶液が有することにより、マイクロカプセルの発泡度合が安定する。この第1熱処理の方法としては熱風乾燥であることが好ましく、マイクロカプセルの発泡をより十分に行わせることが可能になる。
そしてこの第1熱処理ではマイクロカプセルの発泡は開始するが、高沸点有機溶剤が溶液中に残存している。すると処理溶液の流動性を保つことができるため、マイクロカプセルの発泡が妨げられないのである。ちなみに通常用いられるような有機溶剤系の処理液の場合、熱処理時に処理液中の高分子弾性体が固化してしまい、マイクロカプセルの自由な発泡が阻害されることとなっていた。そしてこのような場合は、各マイクロカプセル間に高分子弾性体の隔壁が発生し、十分な通気性、透湿性を得ることができなかった。本発明の製造方法では、高沸点有機溶剤の沸点が第1熱処理温度よりも高いために、高分子弾性体が溶解したままの状態で存在する。そのため、マイクロカプセルは十分に発泡するとともに、発泡体が連続して存在し、高い通気性と透湿性を得ることが可能となったのである。なお第1熱処理が不十分な場合には、発泡、破泡が不十分なまま第2熱処理に移行するため、十分な発泡が行われにくい傾向にある。
その後本発明の製造方法では、第1熱処理に引き続き、高沸点有機溶剤を揮発させる第2熱処理を行うことが必要である。この第2熱処理により、本発明の銀付人工皮革の表面形態が安定する。具体的にはこの第2熱処理の温度としては100〜160℃の範囲であることが好ましく、特には135〜155℃の範囲であることが好ましい。この第2熱処理の方法としては、熱風乾燥を併用することもできるが、主には加熱ロールによる熱処理であることが好ましい。さらには複数本のロールを使用して、加熱ロールが基体層と表皮層をニップするものであることが好ましい。加熱ロールとしては熱伝導率の良い金属ロールであることが好ましく、いわゆる熱ラミネートと呼ばれる方法であることが好ましい。本発明では第1熱処理によって高分子弾性体が予備乾燥されているため接着性が低下しがちになるが、このような加熱ロールを用いた場合には、強い接着力を得ることが可能になる。
また、本発明の銀付人工皮革の製造方法では、表皮層が最表面層と接着層の2層以上の構造を有することが好ましい。このような表皮層の構造を得るためには、離型紙上に最表面層と接着層とを順に形成して第1熱処理を行って最表面層と接着層からなる表皮層とし、基体層(基材)と表皮層とを貼り合わせた後に第2熱処理するものであることが好ましい。
より具体的には、仮の支持体とする離型紙の表面に、最表面層(表皮層の最表面)となる第1の高分子弾性体溶液を塗布し、乾燥させる。この第1の高分子弾性体溶液は上述したようなマイクロカプセルと高沸点有機溶剤が含有したものであり、この段階で第1熱処理を行って最表面層のマイクロカプセルを発泡させることが好ましい。塗布時の処理液の粘度としては300〜5000mPa・sの範囲であることが好ましい。マイクロカプセルの添加量は、高分子弾性体である樹脂の固形分に対し、0.3〜20重量%の範囲であることが好ましく、第1の高分子弾性体溶液の塗布量としては、70〜500g/m程度の範囲にあることが好ましい。
次いで、乾燥されたこの最表面層の上に、接着層(表皮層の基材側)となる第2の高分子弾性体溶液を塗布し、乾燥させる。この第2の高分子弾性体溶液もまた、上述したようなマイクロカプセルと高沸点有機溶剤が含有したものであることが好ましいが、さらに接着層としては、二液接着型の高分子弾性体や架橋剤を含むことが好ましい。これらは通常のラミネート人工皮革に用いるものを使用することが可能である。さらに第2の高分子弾性体溶液を塗布後の段階で、再度の第1熱処理を行い、接着層のマイクロカプセルを発泡させることが好ましい。塗布時の処理液の粘度としては300〜10000mPa・sの範囲であることが好ましい。マイクロカプセルの添加量は、高分子弾性体である樹脂の固形分に対し、1〜30重量%の範囲であることが好ましく、第2の高分子弾性体溶液の塗布量としては、70〜500g/m程度の範囲にあることが好ましい。なおこれらの最表面層や接着層には、顔料などを含有させることが好ましい。
最後に得られた最表面層や接着層とからなる表皮層に基体層を貼り合わせ、第2熱処理を行うものであることが好ましい。この時の張り合わせクリアランスとしては、基材厚みと離型紙の厚みの合計の70〜95%の範囲であることが好ましい。さらには引き続き高温の熟成処理を行い、接着層中に用いた架橋剤を十分に反応させることが好ましい。熟成処理としては40〜70℃の範囲で24〜48時間、行うことが好ましい。その後、仮支持体である離型紙を剥離し、通気性を有しながら外観に優れた銀付調の人工皮革が得られるのである。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中の各測定値は次の方法により測定した。
(1)通気度
JIS L1096 B法(ガーレー形法)に準じて、ガーレー式デンソメーターを使用し、50ccの空気が通過するのに要した時間を測定した。
(2)透湿度
JIS K6549に準じて行った。
(3)剥離強度
表皮層を貼り付けた人工皮革(幅;25mm、長さ;90mm)の試験片の両端各20mmを残し接着剤を塗布する。その塗布面に同サイズ(幅;25mm、長さ;90mm)の塩ビシートを人工皮革に合わせ貼り合わせ、接着剤を硬化させる。
端末片側の接着剤が塗布されていない人工皮革と塩ビシートそれぞれを、引張り試験機で50mm/minの速度で引っ張り、その強度を測定した。但しこの時、人工皮革と塩ビシートの界面で剥がれが起きていない事を確認し、読み取ったデータは、幅10mm当たりの数値に換算した記録した。
(4)厚み
JIS K6550に準じて行った。なお加圧加重は、120g/cmとした。
(5)引張強度、伸び
JIS K6550に準拠しサンプルを作成し、引張り試験機にかけ50mm/minの速度で引っ張った。破断するまでの最大応力を引張り強度とした。その破断時における歪み分を伸度とした。
(6)引裂強度
JIS K6550に準拠しサンプルを作成し、引張り試験機にかけ100mm/minの速度で引裂き、切断時までの最大荷重を読み取った。
(実施例1)
<基体層(多孔層あり)の作製>
ナイロン6(融点220℃)と低密度ポリエチレンを50/50で混合、エクストルーダーで溶融、混合し290℃で混合紡糸し、延伸し、油剤を処理しカットして、5.5dtex、51mmの海島繊維を得た。これをカード、クロスラッパー、ニードルロッカー、カレンダーの工程を通し、単位面積あたりの重さ(目付け)310g/m、厚さ1.35mm、見掛け密度0.21g/cmの繊維集合体を得た。
上記の繊維集合体を10重量%のポリウレタン(DIC(株)社製;クリスボンTF50P)−DMF溶液に浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズした後、その表面に20重量%のポリウレタン(DIC(株)社製;クリスボンTF50P)−DMF溶液(添加剤として東レ・ダウコーニング社製SH28PAを溶液100部に対し0.3部を使用)を800g/mの目付けでコーティングし、次いで5%のDMFを含んだ水中に浸漬してポリウレタンを凝固させ、DMFを水で十分に洗浄除去した後120℃で乾燥して、ポリウレタン多孔質層からなる多孔質皮膜層が基材上に形成されたシートを得た。
得られたシートを85℃の熱トルエン中で圧縮、緩和を繰り返し、海島繊維中のポリエチレン成分を抽出除去し、繊維集合体中のナイロン繊維を0.003dtexの極細繊維とした。この得られた基体層は、極細繊維と高分子弾性体からなる繊維質基材上に、ポリウレタンからなる湿式多孔層である多孔質皮膜の形成された繊維質基体層である。得られた基体層の単位面積あたりの重さ(目付け)は440g/m、厚さ1.1mm、見掛け密度0.40g/cm、繊維質基材中の高分子弾性体と繊維の比率(R/F)は49%であった。
<表皮層の作製及び基体層との接着>
最表面層用の溶液は、ポリウレタン溶液100部、メトキシプロピルアセテート(高沸点有機溶剤、沸点146℃)80部、イソプロピルアルコール(低沸点有機溶剤、沸点82.5℃)20部、マイクロカプセル(マツモトマイクロスフェアーF−46、松本油脂社製、膨張開始温度95℃、最高膨張温度135℃)を1.0部混合し、濃度15%の溶液を作成した。この時の溶液温度と溶液粘度を測定したところ、15.7℃、1000mPa・sであった。
この溶液を用いて、転写貼り合わせラインにて、ラインスピード7m/minで154cm幅の離型紙(アサヒロール製、AR209SDM)を使用し、離型紙上に目付け125g/mとなるようにコーティングナイフを通過させ、溶液を塗布した。塗布液は、膜厚120μmの均一膜厚のコーティング塗布層であった。
その後、乾燥チャンバーにて、140℃で2分間乾燥して厚さ0.02mmの高分子弾性体を主成分とする最表面層を形成した。
さらにその最表面層の上に接着層として、ポリウレタン系接着剤100部にレザミンNE架橋剤10部(大日精化工業社製)、メトキシプロピルアセテート(高沸点有機溶剤、沸点146℃)20部、MEK(メチルエチルケトン、低沸点有機溶剤、沸点80℃)50部、マイクロカプセル(マツモトマイクロスフェアーF−46、松本油脂社製)を5部混合し、温度は16.7℃、粘度は、1500mPa・sの接着処理液を得た。
この処理液を目付け125g/mにてコーティングし、接着層とした。
次いで、温度130℃で2分乾燥後、その離型紙上の2種類の高分子弾性体の上に、繊維質基体層を重ね合わせ、温度145℃の加熱シリンダー表面上に0.95mmの間隙を作り、押し圧145MPaのロールを通過させ圧着した。
その後、温度70℃の雰囲気下で2日間放置した後、離型紙を剥ぎ取り、銀付人工皮革を得た。
できあがった銀付人工皮革は、通気性188sec/50cc、透湿速度6.4g/m・24Hr、剥離強度は41N/cm、引張強度(タテ)156N/cm、引張強度(ヨコ)110N/cm、破断伸度(タテ)81%、破断伸度(ヨコ)125%、引き裂き強度53N、厚み1.2mmであり、外観にも優れながら、カジュアルシューズ用途にも十分に使用できる強度を確保していた。
(実施例2)
<基体層の作製>
実施例1と同様にして、繊維集合体に10重量%のポリウレタン(DIC(株)社製、クリスボンTF50P、融点180℃)DMF溶液に浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズするが、その表面にはウレタン溶液をコーティングすることなく、5%のDMFを含んだ水中に浸漬してポリウレタンを凝固させ、DMFを水で十分に洗浄除去した後120℃で乾燥して、多孔質皮膜層を表面に有しない繊維質基体層を得た。
得られたシートを85℃の熱トルエン中で圧縮、緩和を繰り返し、繊維中のポリエチレン成分を抽出除去し、繊維集合体中のナイロン繊維を0.003dtexの極細繊維とした。得られた繊維質基体層は、極細繊維と高分子弾性体からなる繊維質基体層であり、その表面にはポリウレタン多孔質層が形成されておらず、繊維とポリウレタンが混在する表面状態を有していた。このときの単位面積あたりの重さ(目付け)は300g/m、厚さ1.1mm、見掛け密度0.27g/cm、繊維質基体中の高分子弾性体と繊維の比率(R/F)は33%であった。
実施例1の銀付人工皮革の作成方法において、多孔質皮膜を表面に有する繊維質基体層を用いる代わりに多孔質皮膜層を表面に有しない上記の繊維質基体層を用い、これ以外は実施例1と同様にして表皮層の転写、貼り合わせを行い銀付人工皮革を得た。
得られた銀付人工皮革は、中間層の多孔層が無いものの、通気度は62sec/50cc、剥離強度は17N/cmであり、表面外観的にも優れたものであった。ただしカジュアルシューズ用途としては、やや機械物性に物足りない物であった。
(実施例3)
実施例1と同様に多孔質皮膜層を表面に有する繊維質基体層を作成し、その後、転写貼り合わせラインにて接着層にてマイクロカプセルを5.0部添加する代わりに、20部に増量して添加し、それ以外は実施例1と同様に作製して銀付人工皮革を得た。
得られた人工皮革は、通気度40sec/50cc、剥離強度は12N/cmであり、表面外観的にも優れたものであった。ただし婦人靴シューズ用途としてもやや機械物性に物足りない物であった。
(比較例1)
実施例1において、最表面層用の溶液及び接着層用の溶液処方中の高沸点有機溶剤(メトキシプロピルアセテート;沸点146℃)を、低沸点有機溶剤(イソプロピルアルコール;沸点82.5℃、またはMEK;沸点80℃)に入れ替えた以外は、実施例1と同様にして銀付人工皮革を得た。
出来上がった銀付人工皮革は、剥離強度こそ37N/cmと優れたものであったが、通気性は1200sec以上/50ccと、通気性に劣る物であった。

Claims (8)

  1. 基体層の表面に高分子弾性体溶液を塗布し乾燥して表皮層を形成する銀付人工皮革の製造方法であって、高分子弾性体溶液がマイクロカプセルと高沸点有機溶剤を含有し、マイクロカプセルの膨張開始温度よりも高沸点有機溶剤の沸点が高く、かつマイクロカプセルの膨張開始温度以上、高沸点有機溶剤の沸点以下の温度で第1熱処理し、その後高沸点有機溶剤を揮発させる第2熱処理を行うことを特徴とする銀付人工皮革の製造方法。
  2. 第1熱処理が熱風乾燥である請求項1記載の銀付人工皮革の製造方法。
  3. 第2熱処理が加熱ロールによるものである請求項1または2記載の銀付人工皮革の製造方法。
  4. 第2熱処理の加熱ロールが基体層と表皮層をニップするものである請求項3記載の銀付人工皮革の製造方法。
  5. 高分子弾性体溶液の塗布時の粘度が200mPa・s以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の銀付人工皮革の製造方法。
  6. 高沸点有機溶剤の沸点が、マイクロカプセルの最高膨張温度よりもさらに高い温度である請求項1〜5のいずれか1項記載の銀付人工皮革の製造方法。
  7. 高分子弾性体溶液が、高沸点有機溶剤と低沸点有機溶剤を含有するものである請求項1〜6のいずれか1項記載の銀付人工皮革の製造方法。
  8. 表皮層が、最表面層と接着層とからなるものである請求項1〜7のいずれか1項記載の銀付人工皮革の製造方法。
JP2013256143A 2013-12-11 2013-12-11 銀付人工皮革の製造方法 Active JP6181536B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013256143A JP6181536B2 (ja) 2013-12-11 2013-12-11 銀付人工皮革の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013256143A JP6181536B2 (ja) 2013-12-11 2013-12-11 銀付人工皮革の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015113535A JP2015113535A (ja) 2015-06-22
JP6181536B2 true JP6181536B2 (ja) 2017-08-16

Family

ID=53527618

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013256143A Active JP6181536B2 (ja) 2013-12-11 2013-12-11 銀付人工皮革の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6181536B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117702504B (zh) * 2024-02-01 2024-05-07 永固纺织科技有限公司 一种浮纹涂层面料及其制备工艺

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04102838U (ja) * 1991-02-13 1992-09-04 東洋ゴム工業株式会社 保温性透湿防水布帛
JP3148688B2 (ja) * 1996-07-19 2001-03-19 株式会社イノアックコーポレーション スエード調の外観を有する装飾材及びその製造方法
JP4369213B2 (ja) * 2003-12-08 2009-11-18 帝人コードレ株式会社 皮革様シート状物の製造方法
JP2012031538A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Kuraray Co Ltd 皮革様シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015113535A (ja) 2015-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6449775B2 (ja) 立毛調人工皮革及びその製造方法
KR101027365B1 (ko) 피혁형 시트상물 및 그 제조 방법
JP4464119B2 (ja) 人工皮革用基材、これをベースとする各種人工皮革、および人工皮革用基材の製造方法
KR20100130221A (ko) 스플릿 레더 제품 및 그 제조 방법
JP4866091B2 (ja) ポリウレタン微多孔膜を備えた高発泡布帛及びその製造方法
US11155960B2 (en) Artificial leather having water-based polyurethane foam layer and method of manufacturing the same
JPWO2006137394A1 (ja) 耐傷性、耐擦過傷性に優れた銀面調皮革様シート
US20120255677A1 (en) Double-sided adhesive tape and method for producing the same
JP5622724B2 (ja) ポリウレタン積層体の製造方法及び該製造方法により得られたポリウレタン積層体
JP6181536B2 (ja) 銀付人工皮革の製造方法
JP5374299B2 (ja) 銀付調皮革様シートの製造方法
JP2011052336A (ja) 耐アルコール性に優れた皮革様シート及びその製造方法
WO2005056913A1 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP2013208814A (ja) ポリウレタン積層体及びポリウレタン積層体の製造方法
JP2012031538A (ja) 皮革様シート
JP2003201676A (ja) 繊維シート及びその製造方法
CN108486684A (zh) 聚酯复合纤维及其制备方法
JP4919769B2 (ja) 高発泡層を備えた透湿防水性布帛及びその製造方法
JP4690159B2 (ja) コーティング布帛の製造方法
JP4048160B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JPH0291279A (ja) 合成皮革及びその製造方法
JP2010194242A (ja) 被せ蓋式鞄用被せ蓋材
JP2010248643A (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP4291192B2 (ja) 皮革様シート状物の製造方法
JP3961327B2 (ja) 皮革様シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160905

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170613

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170720

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6181536

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150