JP6180111B2 - リングモールド型ブーツ - Google Patents
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Description
そして、このピストンブーツは、前記大径環状部(第1の環状端部)をシリンダーの開口部に嵌合して装着するとともに、前記小径環状部(第2の環状端部)をピストン外周に形成された外周溝に嵌め込んで装着される。
このピストンブーツにおいては、前記大径環状部(第1の環状端部)のシリンダーの開口部への嵌合を確実にするため等の目的で、金属リング(金属製の環状芯材)が前記大径環状部(第1の環状端部)内に埋設されている。(特許文献1参照。)。
すなわち、前記大径環状部(第1の環状端部)を、シリンダーの開口部に嵌合する際、その内部に埋設された金属リングとこの金属リングの周囲のゴム状弾性体との間にずれが生じてしまうおそれがあった。
これは、ピストンブーツの大径環状部(第1の環状端部)をシリンダーの開口部に嵌合する際に、開口部の内周面と擦れる面がゴム状弾性体であるため、どうしても滑り難いということに起因している。
このような嵌合不全が生じると、シール性が低下するおそれがあるため、従来のピストンブーツにおいては、ピストンブーツの組み付け作業を慎重に行う場合があった。
前記金属リングは、前記ゴム状弾性体との位置ずれを防止する位置ずれ防止部を備え、
前記位置ずれ防止部は、リング状の金属製線状体の両端の突合せ部の溶接部であることを特徴とするリングモールド型ブーツとしたことである。
第3の発明は、第1の発明において、前記位置ずれ防止部は、前記溶接部に形成された、前記金属リングの周面よりも膨らんだ膨らみ部であることを特徴とするリングモールド型ブーツとしたことである。
第4の発明は、第2の発明において、前記へこみ部は、前記金属リングの外周面側に形成されていることを特徴とするリングモールド型ブーツとしたことである。
第5の発明は、第3の発明において、前記膨らみ部は、前記金属リングの外周面側又は内周面側に形成されていることを特徴とするリングモールド型ブーツとしたことである。
金属製線状体をリング状に加工する工程と、
リング状に加工した金属製線状体の端部同士の突合せ部を溶接によって接合して溶接部を形成する工程と、
前記金属リングをゴム状弾性体に埋設する工程とを備え、
前記溶接部が、前記ゴム状弾性体との位置ずれを防止する位置ずれ防止部となることを特徴とするリングモールド型ブーツの製造方法としたことである。
ピストン24は、シリンダー19内に供給される油圧の圧力作用により、図中の矢印Yで示す方向に移動して前記パッド18を前進させる。図1中で符号6はディスクローターを示す。
なお、本実施形態で備えられている凸条部30やダストシール3bは本発明の必須構成要素ではなく、これらを備えない形態であっても本発明の範囲内である。
凸条部30は、凹条部22とともに複数個設けられていてもよく、また断続的に設けられていてもよい。また、ダストシール3bは、複数個設けられていてもよい。
凸条部30(及び凹条部22)とダストシール3bの形状も限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、大径環状部3、小径環状部4、蛇腹部5の形状などは特に限定解釈されるものではなく、ピストンブーツ1として本発明の範囲内で設計変更可能である。
従来の金属リングは、まず金属製の板状体B(図7(a)の状態)をプレスで絞り加工し(図7(b)の状態)、その後、不要部分R1,R2を切断(例えば図7(b)のS1-S1線、S2-S2線で切断)することで製造していた(図7(a)及び図7(c)の状態)。
しかし、不要部分R1,R2を切断した際に、その切断箇所(特に角部)には、図8(b)に示すようにバリS…が発生し易く、このバリS…があることによって次のような問題が生じていた。例えば、金属リングを埋設したピストンブーツをモールド成型する場合、金属リングを図示しない金型キャビティ内の所定位置にセットし、その後、ゴムや樹脂等の溶融材料をキャビティ内に充填、硬化させて成型する。このとき、切断箇所の角部にバリS…があると、金属リングが所定位置にセットできずに位置ずれが生じることがあり、その結果、金属リングが傾いて埋設されたり、あるいは径方向にずれた状態で埋設されたりするおそれがあった。また、そのバリS…によって周囲のゴム状弾性体に亀裂などの損傷を発生させるおそれもあった。
このため、従来は、金属リングの製造後、金属リングの切断箇所にバリSが発生しているか否かを確認しなければならず、また、バリSが生じていた場合は、その除去作業も必要となるため、製造コストの上昇等を招いていたものであった。
本実施形態によれば、ゴム状弾性体2とモールド成形により一体成形すれば、金属リング7の凹状部8aにゴム状弾性体2が入り込み、かつ凸状部8bがゴム状弾性体2に食い込むように一体成形されるため、金属リング7とゴム状弾性体2とが一体化し、大径環状部3をシリンダー19の開口部20の環状段部21に嵌合する際の位置ずれを防止している(図2参照。)。
また、凹状部8aと凸状部8bは、金属リング7の周方向(環状方向)に連続的に設ける必要はなく、周方向(環状方向)に所定の間隔を設けて間欠的に複数設けてもよい。
また、位置ずれ防止部8は、図2に示す形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内において適宜設計変更可能である。ここで、位置ずれ防止部8の他の実施形態の一例について図4に基づいて説明する。図4(a)は第二の実施形態、図4(b)は第三の実施形態、図4(c)は第四の実施形態を示す。
本実施形態によれば、ゴム状弾性体2とモールド成形により一体成形すれば、金属リング7の複数個の孔部8cにゴム状弾性体2が入り込んだ状態で一体成形されるため、金属リング7とゴム状弾性体2との一体化が強固となり位置ずれ防止を図ることができる。すなわち、孔部8cが位置ずれ防止部8として機能している。
なお、本実施形態では、各孔部8cが同一の矩形状に形成されているものであるが、孔部8c形状はこれに限定されず任意に設計変更可能である。また、孔部8c形状は外周面7b側の開口部と内周面7a側の開口部の大きさを同一としても異にするものとしてもよい。さらに、その配設間隔も任意で、一定間隔であっても異なる間隔であってもよい。また、各孔部8cの大きさを異にするものであってもよい。
また、本実施形態では、周方向(環状方向)で同一線上に孔部を設ける構成が採用されているが、千鳥状に設けるものであってもよく、またランダムに設けるものであってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
本実施形態によれば、ゴム状弾性体2とモールド成形により一体成形すれば、金属リング7の屈曲した左右の領域8d,8eがゴム状弾性体2に食い込んだような状態となって一体成形されるため、金属リング7とゴム状弾性体2との一体化が強固となり位置ずれ防止を図ることができる。すなわち、左右の屈曲した領域8d,8eが位置ずれ防止部8として機能している。
また、金属リング7が、略中央位置から左右の領域8d,8eを、外周面7b方向に僅かに屈曲させた形態、すなわち断面視で上向き略ハ字形状とすることも本発明の範囲内である。なお、左右の領域8d,8eの屈曲程度は特に限定して解釈されるものではなく、断面視で略V字形状等に屈曲させるなど適宜変更可能である。
本実施形態によれば、ゴム状弾性体2とモールド成形により一体成形すれば、金属リング7の外周面7bに形成した粗面加工に、ゴム状弾性体2が食い込んでいくような状態となって一体成形されるため、金属リング7とゴム状弾性体2との一体化が強固となり位置ずれ防止を図ることができる。
なお、金属リング7の内周面7aに同様の粗面加工を施すことも可能である。
また、粗面加工は図示例のように複数個の溝8fを交差させてなるものに限らず、多数の細かい突起を設けて粗面にしてなるものであってもよい。
また、図2及び図4に示す各位置ずれ防止部8(8a−8f)の各形態の全て若しくは任意の組合せで構成するものであっても本発明の範囲内である。
両側面7c,7cを断面視楕円形状とするためには、断面視で円形の線状体を圧延加工するものとするとよい。
尚、金属リング7は、断面視形状は特に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、金属リング7は、側面7c,7cを平坦状に形成するとともに、その側面7cと内周面7a及び側面7cと外周面7bとをつなぐ四隅角部の全て若しくはいずれか所定の隅角部が円弧状をなすように形成されているものであってもよく、このような形状とすることも本発明の範囲内である。
例えば、図6に示すように、それぞれの端部13a,13aが嵌合構造を有するように形成するものであってもよい。すなわち、例えば図6では、一方の端部(図面上向かって右側の端部)13aに凸部13bを設け、他方の端部(図面上向かって左側の端部)13aには、前記凸部13bが嵌る凹部13cを設け、この凸部13bと凹部13cによる嵌合によって端部13a,13aが固着されるものであってもよい。なお、図6に示した嵌合は一例にすぎず、本発明の範囲内で設計変更可能である。
上述した実施形態にあっては、位置ずれ防止部8は、金属リング7に形成された凹状部8aと凸状部8bや、金属リング7の外周面と内周面にわたって貫通して形成された孔部8c等を例示したが、本実施形態にあっては、図9(a)乃至(e)に示すように、位置ずれ防止部8は、金属リング7を構成する線状体13の端部13a,13aの突合せ部を接合する溶接部100aで構成されている。
本実施形態にあっても、図10(a)乃至(e)に示すように、位置ずれ防止部8は、金属リング7を構成する線状体13の端部13a,13aの突合せ部を接合する溶接部100bで構成されている。
2 ゴム状弾性体
7 金属リング
8 位置ずれ防止部
13 線状体
13a 端部
15 ディスクブレーキ
16 キャリパー
18 パッド
19 シリンダー
24 ピストン
Claims (7)
- 金属リングがゴム状弾性体に埋設されてなるリングモールド型ブーツにおいて、
前記金属リングは、前記ゴム状弾性体との位置ずれを防止する位置ずれ防止部を備え、
前記位置ずれ防止部は、リング状の金属製線状体の両端の突合せ部の溶接部であることを特徴とするリングモールド型ブーツ。 - 前記位置ずれ防止部は、前記溶接部に形成された、前記金属リングの周面よりもへこんだへこみ部であることを特徴とする請求項1に記載のリングモールド型ブーツ。
- 前記位置ずれ防止部は、前記溶接部に形成された、前記金属リングの周面よりも膨らんだ膨らみ部であることを特徴とする請求項1に記載のリングモールド型ブーツ。
- 前記へこみ部は、前記金属リングの外周面側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリングモールド型ブーツ。
- 前記膨らみ部は、前記金属リングの外周面側又は内周面側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のリングモールド型ブーツ。
- ディスクブレーキのキャリパーに用いられるピストンとシリンダーとの間に備えられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のリングモールド型ブーツ。
- 金属リングがゴム状弾性体に埋設されてなるリングモールド型ブーツの製造方法において、
金属製線状体をリング状に加工する工程と、
リング状に加工した金属製線状体の端部同士の突合せ部を溶接によって接合して溶接部を形成する工程と、
前記金属リングをゴム状弾性体に埋設する工程とを備え、
前記溶接部が、前記ゴム状弾性体との位置ずれを防止する位置ずれ防止部となることを特徴とするリングモールド型ブーツの製造方法。
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