JP6180020B2 - 軸流ファンモータ - Google Patents
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Description
特許文献1の図2Dに開示された送風機では、吸込み口側及び吹出し口側の開口を広く取り風量を増加させるために、吸込み口側のケーシング外枠の内周部を吸込み口側に向かって外側へ傾斜させると共に、吹出し口側のケーシング外枠の内周部も吹出し口側に向かって外側に傾斜させている。
なお、特許文献1の送風機のベース部ハブの外周部はストレート構造に形成されている。
つまり、ベース部ハブの外周部は吹出し口に向かって中心軸に沿った直線的な外径形状に形成されている。
なお、特許文献2の送風機のケーシング外枠の内周部はストレート構造に形成されている。
つまり、ケーシング外枠の内周部は吸込み口側から吹出し口側に向かって中心軸に沿った直線的な内径形状に形成されている。
特許文献1及び特許文献2に開示されるように、吹出し口側の開口を広く取った場合、それに見合うだけの風量が得られる高風量の領域では、それなりの静圧が得られるので静圧−風量特性が向上する。
その結果、高風量の領域の静圧効率は向上するが、中風量の領域の静圧効率はほとんど改善されないか、低下する傾向にある。
従って、この気流は、中心軸方向に向いておらず、外側に広がりやすい気流となる。
そして、そのような外側に広がりやすい気流は、吹出し口端部の内周部のエッジの影響を受けて、吹出し口近傍で渦を巻くような気流となる。
この渦を巻くような気流は吹出し口方向へ流れようとする気流と干渉を起こすので、その結果、流れを阻害する要因(空気抵抗)となる。
このような空気抵抗が発生すると、モータにかかる負荷が増大するため消費電力が上昇する。
この外周部は、前述した通り、中心軸に沿った直線的な外径形状となっているため、その外周部に沿った気流は、中心軸に沿った直線的な流れになる。
一方で、ケーシング外枠の内周部は気流を中心軸方向に寄せるように形成されているので外側から中心軸方向に向かう気流も存在する。
このような内側に存在する中心軸に沿った直線的な気流と、外側から中心軸方向に向かう気流とが混在して吹出し口端部から噴出すると、それらの気流は干渉し、吹出し口近傍で気流が乱れるので、気流が吹出し口からスムーズに噴出するのを阻害する要因(空気抵抗)となる。
このような空気抵抗が発生すると、モータにかかる負荷が増大するため消費電力が上昇する。
従って、上記従来の送風機を中風量の領域で使用する場合、前述したように、静圧効率がほとんど改善されないか、低下するにも関わらず、消費電力自体の絶対量が多く、ランニングコストが高くなるという問題がある。
また、冷却能力という点からすれば、より効率よく気流を中心軸方向へ集風し、中心付近の電子機器に送りたいという課題もある。
(2)上記(1)の発明において、前記角度θ1が前記角度θ2以上である。
先ず、軸流ファンモータ100の全体構成を図1に基づいて説明する。
図1は軸流ファンモータ100の全体構成を示す縦断面図である。
図1に示すように、軸流ファンモータ100は、インペラ10と、ロータシャフト20と、軸受ハウジング30と、ステータ40と、ロータ50と、ケーシング60とを備えている。
インペラ10は、ロータハウジング11の外周に羽根12が設けられている。
また、インペラ10の中心には、回転軸となるロータシャフト20が固定されている。
ロータ50は、ロータハウジング11の内側に一体的に設けられたロータヨーク51と、そのロータヨーク51の内側に装着されたロータマグネット52によって構成されている。
また、ロータシャフト20は、ロータヨーク51に装着されるようにしてロータハウジング11の中心に固定されているが、ロータハウジング11に直接固定するようにしてもよい。
なお、上記では、ケーシング外枠61とベース部ハブ62とが、静翼63で連結されている場合を示しているが、ケーシング外枠61とベース部ハブ62とは、連結シャフトのような棒状の構造で連結されていてもよい。
また、軸受ハウジング30は、ケーシング60を樹脂で射出成形するときに、ベース部ハブ62に一体化するように固定してもよいが、先にケーシング60を成形しておき、後からベース部ハブ62の部分に固定するようにしてもよい。
従って、軸流ファンモータ100は、ケーシング外枠61の空気の吸込み口側1にインペラ10が設けられ、吹出し口側2にベース部ハブ62が設けられている。
本発明の第1実施形態の軸流ファンモータ100について、さらに、図2に基づいて説明する。
図2は、図1のA部分の拡大図であり、第1実施形態の構造の説明図である。
図2に示される点線Lは、回転軸(ロータシャフト20)に平行な直線を示したものである。
図2を見るとわかるとおり、ベース部ハブ62の外周部65は、吹出し口側2の一部が点線Lに対して吹出し口側2に向かって角度θ1で回転軸側に傾斜するように形成されている。
また、ケーシング外枠61の内周部67も、吹出し口側2の一部が点線Lに対して吹出し口側2に向かって角度θ2で回転軸側に傾斜するように形成されている。
なお、角度θ1及び角度θ2に関しては、回転軸に平行な直線(点線L)を基準として回転軸側への角度となる場合をプラス、反対に外側方向への角度となる場合をマイナスとする。
従って、従来の構造のように、開口広さに見合う風量を得るために高風量とする必要はなく、風量が少なくても静圧が得やすいので風量が少ない領域側での静圧効率の低下傾向が抑制される。
従って、前述した吹出し口端部の内周部67のエッジの影響を受けて、吹出し口近傍で渦を巻くような気流が発生するのを抑制することができる。
このため、気流全体が回転軸側(中心軸方向)に向かう流れとなるが、一方で、ベース部ハブ62の外周部65も、吹出し口側2に向かって回転軸側(中心軸方向)に傾斜しているため、この外周部65に沿った気流も回転軸側(中心軸方向)への流れとなる。
従って、この外周部65に沿った気流は、回転軸側(中心軸方向)に向かう気流全体の流れと干渉しないので、前述した吹出し口近傍の気流の乱れが抑制される。
従って、空気抵抗に伴うモータへの負荷が減少するため、消費電力が抑制される。
従って、気流は、効率よく回転軸側(中心軸方向)へ集風されるため、効率よく中心付近の電子機器等に送られる。
なお、以下の比較例1の軸流ファンモータ200及び比較例2の軸流ファンモータ300の説明に際しては、既に説明した本発明の第1実施形態の軸流ファンモータ100と異なる構成部分について主に説明し、同じ構成部分については説明を割愛する場合がある。
図3及び図4は、それぞれ図1のA部分の拡大図である。
図3は比較例1の軸流ファンモータ200の構造の説明図であり、図4は比較例2の軸流ファンモータ300の構造の説明図である。
具体的には、図2に示される第1実施形態の軸流ファンモータ100の構造は、外周部67の傾斜の角度θ2を角度θ1と同じ角度(θ1=θ2)としている。
つまり、吹出し口側2に向かう外周部67と内周部65とが互いに平行な壁面となるようにしている。
この場合、従来のように吹出し口側2の開口を広くした構造となっている。
より具体的には、図3に示されるように、流路80が吹出し口側2に向かってラッパ状に広がり、吹出し口側2の開口が広くなっている。
この場合も、従来のように吹出し口側2の開口を広くした構造となっている。
より具体的には、図4に示されるように、外周部67は傾斜せずストレートであるが、内周部65が吹出し口側2に向かって回転軸側に傾斜しているので、流路80は吹出し口側2に向かって広がり、吹出し口側2の開口が広くなっている。
図5は、第1実施形態、比較例1及び比較例2の静圧−風量特性及び消費電力を示すグラフであり、横軸に風量[m3/分]、左縦軸に静圧[Pa]、右縦軸に消費電力[W]を取っている。
一方、消費電力に注目すると、中風量の領域(0.5〜1.0m3/分)だけでなく、ほぼ全域にわたって消費電力は低減されていることがわかる。
なお、静圧効率[%]は、静圧効率[%]=((静圧[Pa]×風量[m3/分])/消費電力[W])×1.6662で求めることができる。
上記式で求められる静圧効率は、一般的に用いられているものであり、詳細な説明は割愛するが、簡単なイメージとしては、インペラを回転させるために投入された消費電力(エネルギー)のうち、どの程度の割合のエネルギーが気流に変換されているかを求めたものである。従って、静圧効率が高いと効率が良い軸流ファンモータであることを意味する。
図5を参照して述べた通り、風量が約0.8(m3/分)よりも少ない範囲では、第1実施形態は、比較例1及び比較例2よりも静圧−風量特性が向上しており、かつ、消費電力[W]も低減されている。
従って、風量が約0.8(m3/分)以下の範囲では、図6に示されるように、第1実施形態は、比較例1及び比較例2よりも、明らかに静圧効率が向上している。
このことから、風量が約0.8(m3/分)以下の範囲では、第1実施形態は、比較例1及び比較例2より高い静圧効率を達成しつつ、使用される消費電力の絶対量も低減されていることがわかる。
しかしながら、この領域においても、図5及び図6に示される通り、第1実施形態は、比較例1及び比較例2よりも低い消費電力が達成されている。
この結果、図6に示される静圧効率は、第1実施形態の方が比較例1よりも、明らかに向上している。
また、第1実施形態は、比較例2とほぼ同じ静圧効率が得られており、従って、ほぼ同じ静圧効率を達成しつつ、使用される消費電力の絶対量が低減されていることがわかる。
図7は、図1のA部分の拡大図であり、比較例3の構造の説明図である。
第1実施形態の軸流ファンモータ100では、角度θ1と角度θ2とを同じ角度(θ1=θ2)としたが、図7に示される比較例3の構造では、角度θ2を角度θ1よりも5度大きくした角度(θ2=θ1+5°)としている。
つまり、比較例3は、第1実施形態よりも、さらにケーシング外枠61の内周部67を回転軸側に傾斜させた構造となっている。
図8は、図5に示したグラフに、さらに比較例3のデータを加えたグラフであり、同様に、図9は、図6に示したグラフに、さらに比較例3のデータを加えたグラフである。
その結果、図9に示されるように、比較例3は、風量が約0.75(m3/分)以上の範囲では、風量が増えるにつれて静圧効率が大幅に低下していく傾向が見られ、風量が約0.75〜1.0(m3/分)の領域で第1実施形態よりも静圧効率が低くなっている。
前述した通り、第1実施形態と比較例2とは、角度θ1は同じであり、一方、比較例2は角度θ2を0度としたのに対し、第1実施形態は、それより大きい角度、具体的には角度θ1=角度θ2としている。
また、消費電力に注目すると、第1実施形態は比較例2よりも消費電力の絶対量が低減されていることから、第1実施形態は比較例2よりも良好な結果が得られているといえる。
ここで、静圧効率と消費電力は、0度を超えて角度θ2を角度θ1に近づけると、比較例2の特性から第1実施形態の特性に近づいていくことが予想される。
このことから、角度θ2は、0度より大きくし、角度θ1に近づけることで従来と同等以上の静圧特性でありながら消費電力の絶対量を低く抑えた軸流ファンモータが得られると考えられる。
この場合、図9に示されるように、消費電力に関しては第1実施形態と同等以上に絶対量を低く抑えることができているが、風量が約0.75(m3/分)を超えた領域では、風量が増加するにつれて第1実施形態よりも大幅に静圧効率が低下する傾向になっている。
このことから、中風量の領域(0.5〜1.0m3/分)の全域で静圧効率が良く、消費電力の絶対量を低く抑えるためには、角度θ2は角度θ1以下に設定することが好ましいと考えられる。
このため、前述したように、効率よく回転軸側(中心軸方向)へ集風する効果が得られなくなると共に、吹出し口近傍の気流の乱れによる空気抵抗の発生によって、モータに負荷がかかり、消費電力が上昇することが予想される。
このことから、角度θ1は0度より大きくすることが好ましい。
以上のことから、角度θ1、角度θ2は、θ1>0度、θ2>0度で、且つ、θ1≧θ2とすることが好ましいと考えられる。
11 ロータハウジング
12 羽根
20 ロータシャフト
30 軸受ハウジング
40 ステータ
41 インシュレータ
42 ステータコア
43 コイル
50 ロータ
51 ロータヨーク
52 ロータマグネット
60 ケーシング
61 ケーシング外枠
62 ベース部ハブ
63 静翼
65 外周部
67 内周部
70 モータ部
80 流路
100,200,300,400 軸流ファンモータ
Claims (2)
- アウターロータ型の軸流ファンモータであって、
ケーシング外枠と、
前記ケーシング外枠の空気の吸込み口側に設けられ、ロータハウジングとその外周に設けられた羽根とを有するインペラと、
前記インペラの中心に設けられ、その回転軸となるロータシャフトと、
前記ロータハウジングの内側であって前記ロータシャフトの外周に設けられ、前記ロータシャフトを回転自在に支持する軸受ハウジングと、
前記ケーシング外枠の空気の吹出し口側に設けられ、前記軸受ハウジングを固定するベース部ハブと、
前記ケーシング外枠と前記ベース部ハブを連結する静翼と、を備え、
前記回転軸に沿った断面視において、
前記ベース部ハブが、前記回転軸に平行な直線に対して、前記吹出し口側に向かって、角度θ1で前記回転軸側に少なくとも部分的に傾斜する外周部を有し、
前記ケーシング外枠が、前記回転軸に平行な直線に対して、前記吹出し口側に向かって、角度θ2で前記回転軸側に少なくとも部分的に傾斜する内周部を有し、
前記角度θ1が前記角度θ2以上であり、
前記ケーシング外枠、前記静翼及び吹出し側の端面を含む前記ベース部ハブが一体形成されていることを特徴とする軸流ファンモータ。 - 前記外周部及び前記内周部の傾斜がほぼ直線状であることを特徴とする請求項1に記載の軸流ファンモータ。
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