JP6179940B2 - ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法 - Google Patents

ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6179940B2
JP6179940B2 JP2013146637A JP2013146637A JP6179940B2 JP 6179940 B2 JP6179940 B2 JP 6179940B2 JP 2013146637 A JP2013146637 A JP 2013146637A JP 2013146637 A JP2013146637 A JP 2013146637A JP 6179940 B2 JP6179940 B2 JP 6179940B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
multicarrier
doppler
log step
doppler imaging
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013146637A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015017942A5 (ja
JP2015017942A (ja
Inventor
宏達 橋爪
宏達 橋爪
泰成 前田
泰成 前田
雅則 杉本
雅則 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Inter University Research Institute Corp Research Organization of Information and Systems
Original Assignee
Inter University Research Institute Corp Research Organization of Information and Systems
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Inter University Research Institute Corp Research Organization of Information and Systems filed Critical Inter University Research Institute Corp Research Organization of Information and Systems
Priority to JP2013146637A priority Critical patent/JP6179940B2/ja
Publication of JP2015017942A publication Critical patent/JP2015017942A/ja
Publication of JP2015017942A5 publication Critical patent/JP2015017942A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6179940B2 publication Critical patent/JP6179940B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、音波や電磁波、変調されたレーザー光などにより、外界の物体の位置と、それら物体のレンジ方向の速度を同時に計測するドップラーイメージング技術に関し、特に、ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置及びドップラーイメージングシステム及び方法に関するものである。
音波、電磁波、変調されたレーザー光などを使い、照射された信号の反射波をマイクロホンアレイないしアンテナアレイで受信し、反射物体の方位(アジマス)と距離(レンジ)を信号処理により検出することで対象の配置を求めるレーダーイメージング技術がある。ドップラーイメージング(ドップラー画像化)はその拡張であり、反射波のドップラー偏移をあわせて計測することで、対象のレンジ方向(距離方向)の速度(物体の、観測地点から見た距離方向の速度)を計測し、対象の配置図に速度を重ねて表示する技術である。ドップラーイメージングの応用として、医療超音波診断装置、気流を観測し航空機の安全運行のためのミリ波を使った気象観測レーダー、海流観測のための水中ソナーイメージング装置などがある。
ドップラーイメージング応用のなかで、日常生活に最も普及している医療用超音波診断装置を例にとりあげ説明する。これは体内の臓器や組織の配置を計測表示するものであるが、それとともに、血流の分布と流速をドップラー効果により計測し、臓器などの物体の配置図に色づけして表示する機能を有する。
その計測原理はカラードップラー法と呼ばれている。超音波診断装置は、物体配置検出を数ミリ秒間隔で照射される超音波インパルスで行うが、反射物体の運動により、受信されるパルス間隔は微妙に増減する。カラードップラー法におけるドップラー速度検出は、このパルス間隔の変動を検出することで行う。
特開2012−137340号公報
岩下和之、田川憲男、皆川明洋、守屋正、「アップチャープとダウンチャープの併用によるドップラ計測」、超音波シンポジウム運営委員会主催、応用物理学会共催、第23回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム講演予稿集、No. 23、 pp.31-32、金沢工業大学、2002年11月 前田泰成、杉本雅則、橋爪 宏達、「ログステップマルチキャリア信号による超音波イメージング技法の速度検出性能」、社団法人日本音響学会平成24年度第2回アコースティックイメージング研究会講演論文集、AI2012-2-06、平成24年8月3日 Y. Maeda, M. Sugimoto and H. Hashizume, "A novel Algorithm for Doppler Imaging Based on Wavelet Analysis," In Proceedings of IEEE IUS 2012, Dresden, Germany, October 2012
カラードップラー法は超音波診断において長い実績を有する手法であるが、ノイズを含んだ受信信号において、そのドップラー速度検出精度は必ずしも十分でなかった。また、計測できる速度範囲も狭いものであった。そのためカラードップラー法は、画像に漠然と速度情報の色づけをする程度の効果しかなく、流量の定量的計測を行う用途には適さなかった。類似の手法を使用する気象や海洋のドップラーイメージングについても同様の問題点があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して、ドップラーイメージングの検出精度と計測範囲を向上させることで、その適用範囲を拡大させることができるドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法を提供することにある。
第1の発明に係るドップラーイメージング信号送信装置は、指数関数間隔で配置された複数の周波数を有するマルチキャリア信号であるログステップマルチキャリア信号と同一の2つのログステップマルチキャリア信号を発生し、当該2つのログステップマルチキャリア信号を、時間軸上で原点を中心として前後逆向きに連結することで、原点に対して対称のログステップマルチキャリア信号を発生して送信信号として対象物体に送信する送信手段を備えたことを特徴とする。
上記ドップラーイメージング信号送信装置において、上記対称のログステップマルチキャリア信号は、時間軸上の原点に対して線対称であることを特徴とする。
また、上記ドップラーイメージング信号送信装置において、上記対称のログステップマルチキャリア信号は、時間軸上の原点に対して点対称であることを特徴とする。
さらに、上記ドップラーイメージング信号送信装置において、上記ログステップマルチキャリア信号は、上記複数の周波数において位相が揃っている所定の初期位相を有することを特徴とする。
またさらに、上記ドップラーイメージング信号送信装置において、上記送信手段は、上記対称のログステップマルチキャリア信号から、その時間軸上の原点とその近傍を含む所定の時間にかかる信号を除去した後、上記対象物体に放射することを特徴とする。
またさらに、上記ドップラーイメージング信号送信装置において、上記送信手段は、上記対称のログステップマルチキャリア信号のうち、ドップラーイメージングの計測処理のために必要な所定の時間長を有する信号を抽出した後、上記対象物に放射することを特徴とする。
第2の発明に係るドップラーイメージング信号受信装置は、
上記対称のログステップマルチキャリア信号を対象物体に放射したときに、当該対象物体からの反射信号を受信し、受信した反射信号と、上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号とに基づいてドップラーイメージングの計測処理を行うことにより、上記対象物体の位置及び速度の少なくとも一方を計測して画像化する信号処理手段を備えたことを特徴とする。
上記ドップラーイメージング信号受信装置において、上記信号処理手段は、上記受信した反射信号と、上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号との間の相互相関係数を上記対象物体の位置を示す位置検出信号として出力する位置検出部を備えたことを特徴とする。
また、上記ドップラーイメージング信号受信装置において、上記信号処理手段は、
所定の窓関数信号を所定の距離方向で遅延してなる信号と、上記受信した反射信号とに対して、周波数領域での畳み込み演算又は時間領域での乗算を行い、演算結果の信号と上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号とを比較して周波数軸上の偏差を概算速度推定値として演算する概算速度推定部と、
上記概算速度推定部により演算される概算速度推定値と、上記相互相関係数とをインデックスとして予め計算された詳細速度推定値を格納する詳細速度テーブルを含む記憶装置を含み、上記インデックスを上記記憶装置に入力することで出力される詳細速度推定値と、上記概算速度推定値とに基づいて上記対象物体の速度を演算する詳細速度推定部とを備えたことを特徴とする。
第3の発明に係るドップラーイメージングシステムは、上記ドップラーイメージング信号送信装置と、上記ドップラーイメージング信号受信装置とを備えたことを特徴とする。
第4の発明に係るドップラーイメージング方法は、
指数関数間隔で配置された複数の周波数を有するマルチキャリア信号であるログステップマルチキャリア信号と同一の2つのログステップマルチキャリア信号を発生し、当該2つのログステップマルチキャリア信号を、時間軸上で原点を中心として前後逆向きに連結することで、原点に対して対称のログステップマルチキャリア信号を発生して送信信号として対象物体に送信するステップと、
上記対称のログステップマルチキャリア信号を対象物体に放射したときに、当該対象物体からの反射信号を受信し、受信した反射信号と、上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号とに基づいてドップラーイメージングの計測処理を行うことにより、上記対象物体の位置及び速度の少なくとも一方を計測して画像化するステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、従来技術に比較して、ドップラーイメージングの検出精度と計測範囲を向上させることで、その適用範囲を拡大させることができる。
基礎信号に係る整列位相ログステップマルチキャリア信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。 基礎信号に係る整列位相ログステップマルチキャリア信号(初期時刻T=3000μs)のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。 比較例に係るログスイープチャープ信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。 比較例に係る等間隔マルチキャリア信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。 整列位相ログステップマルチキャリア信号の包絡線関数における初期時刻Tの変化による影響を示すグラフである。 ログステップマルチキャリア信号(初期時刻T=3000μs)のドップラー偏移による系統偏移を示すグラフである。 比較例に係るログステップマルチキャリア信号の信号波形を示す波形図である。 本実施形態に係る対称整列位相ログステップマルチキャリア信号の信号波形を示す波形図である。 整列位相ログステップマルチキャリア信号のドップラー偏移量とピーク比とを関連づける関数Ψ(ρ)が区分的単調増加関数を示すグラフである。 カラードップラー法で用いるドップラー位相関数を示すグラフである。 本実施形態に係る線対称の整列位相ログステップマルチキャリア信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るドップラーイメージングシステムの構成を示すブロック図である。 図10のドップラーイメージング信号送信装置1の構成を示すブロック図である。 図11Aの変形例であるドップラーイメージング信号送信装置1Aの構成を示すブロック図である。 図10のドップラーイメージング信号受信装置2の構成を示すブロック図である。 図12のドップラーイメージング信号受信装置2において用いるカラードップラー法の参照信号を説明するためのプロファイル及び包絡線を示すグラフである。 図12のドップラーイメージング信号受信装置2内の概算速度推定部60の変形例である概算速度推定部60Aの構成を示すブロック図である。 本実施形態及び比較例1,2のシミュレーション結果であって、信号対雑音電力比(以下、SN比という。)に対する速度推定精度を示すグラフである。 本実施形態に係る整列位相ログステップマルチキャリア信号の使用開始位置を示す波形図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
1. ドップラーイメージングの従来手法
1.1 ドップラー偏移量
一般に、音波を反射する対象物体(以下、反射物体という。)が運動していると、ドップラー効果により反射信号の周波数が変化する。また、それは周波数に対して乗法的に作用する。ドップラーイメージング信号を発生する信号送信装置と、当該ドップラーイメージング信号が反射物体により反射されてその反射信号を受信する信号受信装置との位置を固定し、運動する反射物体の速度を計測する場合、当該反射物体の運動速度をvとし、音速をcとし、当該反射物体の運動方向と音波の進行方向がなす角度をθとすると、ドップラーイメージング送信信号の周波数fと、その受信信号の周波数をf’との間に次式の関係が成り立つ。
Figure 0006179940
この式(1)に現れる乗数ρでドップラー偏移量を表し、当該ドップラー偏移量ρで決まるドップラー効果をDρで表わすことにする。反射による音波のエネルギー損失を無視し、また、その前後で信号の二乗積分すなわちエネルギーが保たれると仮定すると、ドップラー効果により信号の全体長が1/ρに変わるのにあわせて振幅も変化することになり、その結果ドップラー効果Dρは、送信信号g(t)に次式のように作用する。
Figure 0006179940
1.2 カラードップラー法
ドップラーイメージングの代表例は、医用超音波におけるカラードップラー法(Dモード画像)である。アルゴリズムの定式化が早くから与えられ、その能力と限界についての研究が行われてきた。
カラードップラー法は反射物体の速度検出のためにパルス波の包絡線位相を用いる。この方法は比較的広範囲のシフト量検出に効果的であるが、これに対して、例えばキャリアの位相を用いる方法が最近注目され、カラードップラー光学干渉法(CD−OCT)と呼ばれている。この方法によると小さなドップラー偏移量に対しより精度の高い測定が可能となるが、大きなドップラー偏移量に対しては2π−曖昧性の解消が課題となる。本実施形態では、比較検討の立場から、より推定範囲の広いカラードップラー法を取り上げて検討する。
カラードップラー法の検出波形には、通常、一定間隔で生成したパルス波が使用される。パルス波はキャリアとその振幅関数からなるものと考えられ、z(t)を複素振幅として次式により定義される。
Figure 0006179940
この信号波の実数部を時間間隔Tを持って繰り返し送信する。受信信号をAM検波し、その振幅をヒルベルト変換することで、複素振幅関数z(t)を再構成できる。カラードップラー法では連続した複素振幅関数z(t)をパルス間隔Tだけ時間を遡った波形と乗算する。これは次式の相互相関係数の計算である。
Figure 0006179940
こうして得られた相互相関係数R(t)から次式のドップラー位相φ(t)を計算する。
Figure 0006179940
ここで、∠(・)は引数の角度を表す関数であり、Im(・)は引数の虚数部を表す関数であり、Re(・)は引数の実数部を表す関数である。
最終的に所望の到来時刻tにおける位相φ(t)を計算し、ドップラー位相φ(t)を得る。得られたドップラー位相φ(t)の符号に従って、赤、青の色相を与え、Bモード画像を着色する。伝統的に緑色は速度の分散を表現するために用いられる。
2. 提案手法
2.1 提案の動機
上述したように、キャリア周波数間隔を等ステップにとったマルチキャリア信号であるOFDM(Orthogonal Frequency Divisional Multiplexing)信号はイメージングに有効であるが(例えば、特許文献1参照)、動く物体に適用すると、ドップラー偏移によって各キャリアの直交性が失われ、特定速度の物体画像が消失するなどイメージング精度が劣化する。本発明に係る本実施形態では、送信信号として隣接するキャリア周波数が一定比を持つログステップマルチキャリア信号からさらに改善された、図5及び図6を参照して詳細後述する「対称のログステップマルチキャリア信号」を用いる。基礎信号となるログステップマルチキャリア信号は周波数軸を対数間隔にとるとキャリアは等間隔に並ぶので、このように命名した。すなわち、ログステップマルチキャリア信号はその複数のキャリア信号の周波数間隔を指数間隔にとった信号である。
当該基礎信号であるログステップマルチキャリア信号は、各キャリアの完全な直交性はもともと失われているが、ドップラー偏移後も隣接キャリア間の周波数比は変化しない特性をもつ。本発明者らはこの性質をドップラー不変性と呼び、それを利用して有効な速度検出アルゴリズムを構成する。
2.2 ログステップマルチキャリア信号(基礎信号)
ログステップマルチキャリア信号は複数のキャリアからなる信号で、隣接するキャリア周波数が定数比を持つものである。次式によって標準形が与えられる。
Figure 0006179940
ここで、p>1は総帯域を決める数であり、整数qはキャリア信号数を定める。また、aは各キャリア信号の振幅、fは基本周波数、φは各キャリア信号の初期位相である。初期位相は初期時刻Tにより次式のように決める。
Figure 0006179940
すなわち、初期位相φ=2πpk/qとする。特にこのように初期位相を選ぶと、後述する微細構造のような、速度検出にとって有用な性質を得る。このように決めた初期位相は、すべてのキャリア信号の位相が揃って波高値に大きなピークを生じる。このように初期位相を選んだログステップマルチキャリア信号を、整列位相ログステップマルチキャリア信号と呼ぶことにする。簡単のため各キャリアの振幅はa=1に固定して考える。
2.3 ドップラー偏移と相互相関プロファイル
図1は基礎信号である整列位相ログステップマルチキャリア信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。広帯域バースト波を用いる音響イメージングでは、パルス圧縮すなわち参照信号との相互相関演算によって到来時刻の鋭いピークを再構成する。しかしドップラー偏移を伴う移動物体からの反射波については、相互相関のピークは減少し、その検出能力を損ねる。検出波に整列位相ログステップマルチキャリア信号を用いた場合には、ドップラー偏移によるピーク減少は比較的軽微であるのみならず、相互相関値がドップラー偏移に対して独特な振る舞いをするため(微細構造の生成)、高精度な速度検出が可能となる。
一般に、参照信号g(t)が与えられたときの相互相関係数の関数である相関関数<g|Dg>(t)のピークをドップラー偏移量ρ毎に選び出してプロットしたものを、相互相関プロファイルと呼ぶ。
Figure 0006179940
整列位相ログステップマルチキャリア信号の相互相関プロファイルはρ=1に最大値を持つ。実際に、参照信号g(t)=gp,q(t)とし、ログステップマルチキャリア信号の初期時刻T=0として、信号区間を[−T,T]としたときに、λ(ρ)はρ=1において最大値をとり、その近傍で近似的に次式になる。
Figure 0006179940
ログステップマルチキャリア信号は周波数比が一定のキャリアから構成されるため、相互相関プロファイルのピークはρ=1の近傍に限らず、ドップラー偏移量ρが、kを整数として離散的な値ρ=pk/qを持つときにも現れる。なぜなら送信信号g(t)と受信信号Dρg(t)でキャリアの周波数が一斉に一致し、式(9)と同様の近似が成り立つからである(図1)。
図1に示すように、整列位相ログステップマルチキャリア信号は、極値が複数、ごく少量のドップラー変化量に応じて現れ、それぞれの極値の近傍で急峻に値が変化するプロファイルを持つ。これが整列位相ログステップマルチキャリア信号の特徴であり、プロファイルの微細構造という。整列位相ログステップマルチキャリア信号のキャリア間隔を比較的広くとると、キャリア間干渉が小さくなり微細構造は鮮明に表れる。最小周波数間隔(p1/q−1)fを信号長2Tから決まる周波数間隔1/(2T)よりも大きくとるようにするとよい。
図2Aは基礎信号に係る整列位相ログステップマルチキャリア信号(初期時刻T=3000μs)のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。また、図2Bは比較例に係るログスイープチャープ信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。さらに、図2Cは比較例に係る等間隔マルチキャリア信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。
他の変調方式、例えば周波数チャープ波では、周波数と位相は連続的に変化するため、プロファイルはドップラー偏移量ρ=1を中心に平坦な形状となる。また、OFDM(Orthogonal Frequency Divisional Multiplexing)信号では、キャリアが対数間隔をなさないため、プロファイル微細構造はρ=1付近に限定してわずかに見られるにとどまる。それ以外の領域ではキャリア周波数の干渉が乱雑に起こるため、プロファイルはρ=1の近傍で鋭いピークを構成するのみである(図2A、図2B及び図2C参照)。
2.4 相互相関プロファイルの包絡線
相互相関プロファイルの極大値を繋げた包絡線を求めてみる。整列位相ログステップマルチキャリア信号の包絡線は、一致するキャリアの個数がドップラー偏移量に従って減少するため、ρ=1を頂点とする山形の三角形となる。加えてドップラー偏移は信号長にも影響を与えるため、包絡線はその影響も反映したものとなっている。
整列位相ログステップマルチキャリア信号g(t)=gp,q(t,T)の信号区間を[−T,T]とする。ρをドップラー偏移量とすると、|T|≦Tの場合に、プロファイル関数λ(ρ)の包絡線は、次の関数Λ(ρ)で近似される。
Figure 0006179940
2.5 初期時刻の変更とプロファイル包絡線への影響
ログステップマルチキャリア信号の有用な性質である微細構造やならだかに逓減する包絡線の出現は、各キャリアの初期位相がすべてそろうように、すなわち初期時刻T=0に選んだとき、最も顕著に現れる。しかし、そのようにすると、全キャリアの位相のそろう時点で、時間波形の波高値に顕著なピークが生成する。これは一定の平均電力を送信するのに大きなピーク電力の送信を要すことになり、送信機の設計を困難にする。一方、|T|>T(2Tはバースト長)にするとそのピークは現れなくなり、比較的良好なピーク対平均比を実現できる。これは送信を容易にするが、ログステップマルチキャリア信号の利点を損なうものとなる。その利点を保つTの限界を議論するため、次の関係式を求めることができる。
整列位相ログステップマルチキャリア信号g(t)=gp,q(t,T)の信号区間を[−T,T]とする。ρをドップラー偏移量とすると、初期時刻|T|>Tの場合に、相互相関プロファイルλ(ρ)の包絡線は近似的に次の関数Λ(ρ)は次式で表される。
Figure 0006179940
ここで、式(10)と式(11)の違いは、送信信号と受信信号の位相の一致する重複区間の変化によるものである。
図3は整列位相ログステップマルチキャリア信号の包絡線関数における初期時刻Tの変化による影響を示すグラフである。図3に示すように、プロファイル包絡線が比較的なだらかに変化する現象は初期時刻|T|を時刻原点からずらしても、良く保たれる。しかし、限界を超えて初期時刻|T|を大きくすると、プロファイル包絡線の変化は急峻なものになり、やがてピークの繰り返しは見られなくなる。
2.6 ピーク時刻の系統偏移
図4はログステップマルチキャリア信号(初期時刻T=3000μs)のドップラー偏移による系統偏移を示すグラフである。図4に示すように、整列位相ログステップマルチキャリア信号の初期時刻Tを0以外の値に設定すると、相互相関のピークを与える時刻に系統偏移が現れる。初期時刻T<0を与えると、相互相関ピーク時刻は反射物体が近づく場合により早く現れるようになり、一方初期時刻をT>0とすると、反射物体が近づく場合により遅く現れる。これは反射波を画像化したとき、物体の検出位置の誤差となるため、厳密に議論しておく必要がある。その誤差(偏移)は次式により求められる。ドップラー偏移量をρとしたとき、整列位相ログステップマルチキャリア信号g(t)=gp,q(t,T)の相互相関<g|Dρg>(t)は、次の時刻t=γ(ρ)にピークを持つ。ここで、T=3000μsである。
Figure 0006179940
この現象は、図2Bのログスイープチャープ波にも見られるものであるが、ログスイープチャープ波の場合には、波形の合致する時刻がドップラー偏移によって変化することが原因であるのに対して、ログステップマルチキャリア信号の場合には、周波数の一致するキャリアの同一時刻における位相が系統的にずれることにより偏移が引き起こされる。式(12)によって、移動物体の検出位置の誤差を厳密に補正できる。
2.7 本実施形態が解決しようとする課題
次いで、本発明に係る実施形態において解決すべき課題及び解決方法について以下に説明する。
計測精度を改善するには受信信号のSN比を向上させることが基本となる。ドップラーイメージングシステムはレーダー技術の一分野であるが、電波レーダー装置において、SN比を向上させる手法にパルス圧縮技術がある。これは検出波形として従来のインパルスではなく、持続波(バースト波)を使うものである。パルス波に比べバースト波は、同じ波高値でも相対的に大きなエネルギーをもつ。そのため信号の平均電力を、インパルスに比べ大きくとることができ、SN比の向上を達成できる。反面、信号の時間位置が不正確となるため、受信検波には通常の包絡線検波ではなく、送信信号形を参照信号にした相関処理により行う。この処理により特定の受信時刻に相関ピークが得られ、ちょうどインパルスを検出したのと同様の結果となるため、相関でバーストをパルスに圧縮したようにみなし、「パルス圧縮」と呼ばれる。
パルス圧縮の結果どれだけ精密に物体の距離情報を得られるか、すなわち相関出力がどれだけ尖鋭なパルスとなるかは、使用する信号の周波数帯域幅に依存している。パルス幅τと帯域幅Bはτ=1/Bの関係にある。そのためパルス圧縮には、検出の目的精度に対して十分な帯域幅をもつ信号波形を用意しなければならない。
一方で、パルス圧縮の欠点は、移動物体の検出が困難となることである。移動物体からの反射波はドップラー偏移による変形を受けるが、これは受信機の相関処理段階で、参照信号(送信信号)とは違ったものになっていることを意味する。そのためパルス圧縮によると、移動物体は誤った位置に検出されたり、ぼやけて検出されたり、そもそも検出されなかったりする。画像のSN比を向上できるパルス圧縮技術は、ドップラーイメージングにも使用すべき手法であるが、この問題のため、まだ実施例は少ない。
パルス圧縮によっても、移動物体も比較的その影響なく検出できる、すなわち運動感受性の低い波形として、周波数チャープ波形が知られている。それを使用したパルス圧縮型ドップラーイメージングの報告がある(例えば、非特許文献1参照)。しかし波形の運動感受性が低い場合は、検出される速度の精度を犠牲にしがちである。逆に最も速度感受性の高い波形を使用して、特定速度の物体のみ検出する発明もある(例えば、特許文献1参照)。しかし視野内のさまざまな速度をもつ物体分布を描出するには、検出計算をさまざまな速度について繰り返す必要があり、処理速度を犠牲としている。パルス圧縮に立脚しつつ、広い速度範囲の物体を、精度よく、かつ少ない計算量で検出できるドップラーイメージング技術が望まれる。
周波数チャープ信号は波形の周期が連続的に変化しており、ドップラー偏移で波形が伸び縮みしても、送信信号形と受信信号形でどこかに形状のほぼ一致する領域があり、動く物体を検出できる。しかしその一致は波形の比較的限られた局所であったり、また原波形とはずれた位置であったりして、検出の速度精度や位置精度に限界がある。
特許文献1では、計測に必要な周波数帯域の信号を、周波数が等間隔で分布した複数周波数信号として合成し使用することで、鋭敏な位置検出性能と、鋭敏な速度検出性能を得ている。しかし広範囲の速度について画像を計算しようとすると演算量が膨大となる。
ある帯域をもつ信号にドップラー偏移が加わり、例えば周波数が10%上昇した場合、1kHzの周波数の信号成分は1.1kHzに上昇する。また10kHzの周波数の信号成分は11kHzに上昇する。低い周波数成分の周波数上昇は0.1kHzで、高い周波数成分の周波数上昇は1kHzとなるように、高い周波数ほど大きな変移を受ける。すなわちドップラー偏移は加算でなく、乗算で効果を及ぼす。
周波数を等間隔にとった複合周波数信号は、ドップラー偏移後の周波数成分は等間隔でなくなり、原波形との一致を失う。これが、特許文献1の波形が鋭敏な速度感受性を持った理由である。そこで、周波数間隔を指数関数で配置した、次の複合周波数波形を考える。ここで、時間t=0ではすべての周波数成分の位相が揃っているものと仮定する。
Figure 0006179940
ここで、式(13)は式(6)の実数部を取り出したものであり、一例としてp=2,q=54,f=28.6kHz,a=1,φ=0に選ぶと、波形は図5のようになる。図5は比較例に係るログステップマルチキャリア信号の信号波形を示す波形図である。
式(22)の信号波形はドップラー偏移つまり乗算による周波数偏移を受けても、周波数間隔が指数関数的であるという性質は保持され、周波数チャープ波形と同様に、ドップラー偏移を受けても相関一致性は維持される。また、特許文献1の波形とも類似することから、高い位置検出性能、速度検出性能をもつと期待される。指数的な周波数間隔は、ログすなわち対数的に表示すると等間隔となるため、この複合周波数波形をログステップマルチキャリア信号と呼ぶ。この波形を使うイメージング方式の議論は例えば非特許文献3に示されている。
式(22)の波形は、時刻t=0で非常に大きな値をとり、またその周辺で逆に波高のない領域を生じて、レーダー装置やイメージング装置での使用に適さない。それは式(22)のパラメータの選び方に限らず、この形式の波形に概略共通に生ずる性質である。例えば、t=0を含む波形部分(送信電力が非常に大きな部分)を避け、比較的t=0に近い場所で波高値がほぼ一定となる領域、すなわち図5の矢印の時間期間Tsの範囲の信号をとり出して使用して、これを「整列位相ログステップマルチキャリア信号」と呼ぶことができる。なお、非特許文献3においては、時間t=0ではすべての周波数成分の位相が揃っている所定の初期位相を有するものを「整列位相ログステップマルチキャリア信号」としているが、t=0を含む波形部分を避け、比較的t=0に近い場所で波高値がほぼ一定となる領域、すなわち図5の矢印の時間期間Tsの範囲の信号をとり出して使用することまでは開示していない。
整列位相ログステップマルチキャリア信号は広い速度領域の物体を容易に検出でき(低い速度依存性)、しかし速度検出精度は高い(高い速度依存性)という、すぐれた性質を持つ。しかし、欠点として非特許文献3に示されているとおり、それは移動物体を誤った位置に検出してしまう。それを解決しないと、高精度なドップラーイメージングに使用できる波形にならない。
2.8 改善されたログステップマルチキャリア信号
図6は本実施形態に係る対称整列位相ログステップマルチキャリア信号の信号波形を示す波形図である。
基礎信号であるログステップマルチキャリア信号を一対として用い、図6のように一方の時間順序を逆(前後逆向き)にし、当該1対のログステップマルチキャリア信号を連結して合成した信号波形を考える。一対の連結合成した信号波形は原点の軸に対し対称となるよう配置してもよく、あるいは点対称となるよう、さらに一方の極性を反転させて使用してもよい。両者は時間軸上に離して配置してもよく、図6のごとく接して配置してもよく、あるいは一部ないし全部を重畳させて配置してもよい。なお、重畳部は両者の波高の和をとるものとする。
結果として図6の信号波形は、指数関数的間隔をもつ複数周波数成分からなる複合波すなわちログステップマルチキャリア信号であり、波形の時間中点(t=0)において左右線対称すなわち偶関数、あるいは左右点対称(奇関数)となる。これを「対称ログステップマルチキャリア信号」と呼ぶ。対称ログステップマルチキャリア信号をドップラーレーダー装置やドップラーイメージング装置に使用すると、非特許文献3の波形が移動物体について検出位置を誤った欠点を解消し、移動物体の速度を高精度に検出でき、かつ移動物体についても検出位置を誤らないという効果を有する。
さらに、図5のt=0の近傍でかつ波高値が概略一定となった領域、すなわち非特許文献3の整列位相ログステップマルチキャリア信号を前述のように配置し、線対称波形(偶関数)ないし点対称波形(奇関数)とすることができる。これを「対称整列ログステップマルチキャリア信号」とよぶ。「対称整列ログステップマルチキャリア信号」を使用すると、広い速度範囲の移動物体検出でき、高い速度精度で速度検出でき、かつ移動物体についても検出位置を誤らないという効果を有する。なお、「対称整列マルチキャリア信号」の相関ピークがドップラー偏移に影響されない証明については、当該明細書の最後部の付録で記載した。また、t=0で波高値が非常に高い領域は詳細後述するように除去することが好ましい。
以上説明したように、対称ログステップマルチキャリア信号、ないし対称整列ログステップマルチキャリア信号を使用することで、その性質を生かしつつ、効率的な処理方式によるドップラーイメージング装置を構成することができる。
2.9 イメージング手法
パルス圧縮では、参照信号(送信信号)と受信信号の間で相関演算をすることで、反射波の鋭いピークを再構成する。しかし受信信号はドップラー偏移の影響を受けているため、ドップラー偏移量によっては、プロファイル微細構造の影響で、相関関数ピークが減少し、あるいはまったく得られない場合がある。そこで、プロファイルの微細構造の間を埋めるため、あらかじめ周波数シフトさせた参照信号を複数用意し、それらとの相関計算を行うことによって、これを補うことにする。送信信号gp,q(t,T)からわずかに周波数をシフトさせた次式の3種の参照信号を用意する。
Figure 0006179940
これらの参照信号を用いて受信信号s(t)との間にそれぞれ相互相関係数の演算(相関演算)を適用する。
Figure 0006179940
図13を参照して詳細後述するように、R、G、Bは検出波の周波数がわずかに低くなった状態、高くなった状態などを移動する光源の赤方偏移、青方偏移になぞらえたもので、実際の色に対応しているわけではない。
こうして得られた相互相関係数X(t)=(X,X,X)(t)を時刻tにおける赤、緑、青の輝度として用いてイメージング(画像化)を行う。系統偏移の式(12)の影響で同一反射物体に対する複数の参照信号によるピーク値は異なる時刻に現れることがある。しかし、その移動差も決定できるため補正できる。
2.10 ドップラー偏移量概算推定
詳細後述するドップラー偏移量推定では、それに先立ってドップラー偏移量の概算値を知ることが必要になる。ドップラー偏移量の概算値は例えば次式のように求める。しきい値Hを適当に定め、受信信号s(t)のフーリエ変換Fs(f)からスペクトルの上限値fと下限値fを得る。
Figure 0006179940
Figure 0006179940
ここで、fを送信信号に用いるログステップマルチキャリア信号の基本周波数とし、ドップラー偏移量概算値ρを次式により求める。
Figure 0006179940
スペクトルの上下限値を用いるこの方法は、直接のノイズの影響を受けやすいため改善の余地がある。より概算推定値のノイズ耐性を向上させるためには、例えば送信信号のスペクトル形を調整して上下限にピークを持つように各キャリア信号の振幅を変化させる等の工夫が可能である。
2.11 ドップラー偏移量精密推定
ドップラー偏移量はパルス圧縮の適用の結果得られたピーク値x=(x,x,x)を用いて推定する。
Figure 0006179940
(18)
ドップラー偏移量を推定するために、あらかじめ理想的な条件の下で構築された辞書を準備する。相互相関関数M(ρ,t)=(M,M,M)(ρ,t)は参照信号をg(t)=gp,q(t,T)として、次の計算により求める。
Figure 0006179940
ドップラー偏移量ρに従って決まるピーク値を抽出して辞書m(ρ)=(m,m,m)(ρ)を構成する。
Figure 0006179940
辞書m(ρ)を用いて観測値xからρを推定する問題は、方程式x=m(ρ)をρに関して解くのと等価である。しかし、辞書m(ρ)は周期性のために多値となり、このままでは逆関数m−1を求めることができない。逆関数m−1を求めるため、ピーク値に基づく比m(ρ)/m(ρ)、m(ρ)/m(ρ)又はm(ρ)/m(ρ)のいずれかが単調増加となる区間を選び、この範囲内で推定を行う。そこでドップラー偏移量とピーク比を関連付ける関数Ψ(ρ)を次のように定義する。
Figure 0006179940
図7は整列位相ログステップマルチキャリア信号のドップラー偏移量とピーク比とを関連づける関数Ψ(ρ)が区分的単調増加関数を示すグラフである。図7に示すように、kを整数とするΨ(ρ)は区分的に単調増加関数となり、推定するρの属する区間を与えることによりρ=Ψ−1(ψ)を計算できる。ドップラー偏移量ρの概算推定値ρ’は上記の方法で得られているので、これにより単調増加区間を指定し、観測により得られた相互相関ピーク値のうち主要な2値を選んでΨ−1(ψ)を計算し、正確なρの推定値を得る。
図8はカラードップラー法で用いるドップラー位相関数を示すグラフである。上記の提案手法においてイメージング結果からドップラー量を得るための方法について考察したが、その一方でカラードップラー法についてはイメージング結果からドップラー量を計算するための明示的方法が与えられていない。すなわち、カラードップラー法で得られる情報はドップラー位相φであり、これを用いてドップラー量ρを計算する方法を与える必要がある。
例えば、カラードップラー法のパルス波をg(t)=exp(jωt)exp(jωt)とすると、理論的には包絡線位相は(ρ−1)Tωと検出される。ところが実際にはパルス波の両端がスペクトルに及ぼす影響と実装されたヒルベルト変換器の持つ周波数特性の影響で系統的な誤差が生じる。その誤差の影響を相殺するため、我々は、あらかじめノイズのない設定でドップラー量ρを変化させながら計算を行い、得られるドップラー位相φを記録することによって辞書を作成した。こうして得られた辞書Φは、ドップラー量ρに位相φを対応させる関数である(図8)。
この関数Φは、カラードップラー法の包絡線関数が値を持つ区間において単調増加な連続関数であり、この区間における逆関数の存在により辞書の逆引きが可能となる。これにより検出された位相からドップラー量ρ=Φ−1(φ)を推定した。パルス幅を超えてドップラー偏移の影響があるときには、包絡線関数の自己相関関数は0となり、位相の検出ができなくなる。そのためカラードップラー法の検出範囲は自己相関関数が値を持つ範囲に限定される。
3.ドップラーイメージングシステム
図10は本発明の一実施形態に係るドップラーイメージングシステムの構成を示すブロック図である。また、図11Aは図10のドップラーイメージング信号送信装置1の構成を示すブロック図であり、図11Bは図11Aの変形例であるドップラーイメージング信号送信装置1Aの構成を示すブロック図である。さらに、図12は図10のドップラーイメージング信号受信装置2の構成を示すブロック図である。
対称ログステップマルチキャリア信号、あるいは対称整列ログステップマルチキャリア信号を使用したドップラーイメージング装置について、図10〜図12を参照して、動作確認実験で使用した空中超音波を用いたレーダー装置に基づき以下説明する。これは雑踏内でロボットを誘導するような用途を想定して構成されたものであるが、同様の原理で、波動として空中音波、水中音波、固体伝搬音波、電磁波、変調レーザー光を使用したドップラーイメージング装置も構成できる。
単スペクトルの探索信号を用いるレーダーにおいて、接近する物体によって反射された反射波の周波数はドップラー効果により上昇し、後退する物体により反射された反射波の周波数はドップラー効果により降下する。もとの周波数をfとした場合、ドップラー偏移後の周波数f’は次式(式(1)の再掲)で表される。
Figure 0006179940
ここでρはドップラー偏移量を表す係数で、反射物体のレンジ速度成分(接近方向を正にとる)をv、音速をcとすると次式を得る。
Figure 0006179940
反射波の周波数偏移を観測し、この関係を逆算して物体の速度vを求める。すなわち、次式を用いて速度vを求めることができる。
Figure 0006179940
対称整列ログステップマルチキャリア信号を探索信号としたレーダー装置でも、移動物体からの反射波のスペクトルは同様のドップラー偏移を受けるが、送信信号形を参照信号にして相関処理により信号検出するので、ドップラー偏移は相関出力の変化として観測される。
図9は本実施形態に係る線対称の整列位相ログステップマルチキャリア信号のプロファイル及び包絡線を示すグラフである。すなわち、図9において、各種のドップラー偏移係数のかかった場合の相関出力の変化をグラフで示す。これをプロファイルという。ドップラー偏移量ρの変化にともないプロファイル外形はλ字型の包絡線(エンベロープという)をもち、その内部で急速な変動(微細構造という)を示す。ドップラー偏移量ρの変化にあまり影響されない、なだらかなエンベロープと、その変化に敏感に反応する微細構造をあわせもつことが対称整列ログステップマルチキャリア信号(ないし整列位相ログステップマルチキャリア信号)の特徴で、ほかの波形には見られないものである。
対称整列ログステップマルチキャリア信号を使用したドップラーイメージングとは、このエンベロープおよび微細構造に立脚した速度推定アルゴリズムを使用することである。それには、ドップラー偏移により微細構造の周期で数えて何周期分、検出ピークがずれたかの算出すなわち概算推定と、一山の微細構造に注目してその周期内での速度検出を行う詳細推定があり、両者の合算で広範囲で精密なドップラー偏移量ρの値の推定すなわち速度推定を行う。
図10において、本実施形態にかかるドップラーイメージングシステムは、ドップラーイメージング信号送信装置1と、ドップラーイメージング信号受信装置2と、タイミングコントローラ10とを備えて構成される。ここで、ドップラーイメージング信号送信装置1は超音波スピーカ3を備え、探査信号波形を音波として空中に照射する。ドップラーイメージング信号受信装置2はマイクロホンアレイ4及び表示装置5を備え、検出対象の反射物体6からの反射波を受信するとともに、マイクロホンアレイ4のビームフォーミングによる信号処理により、その到来方向を決定し、空間分解能を得る。検出結果の位置情報、速度情報を表示装置5に表示する。全体の動作タイミングはタイミングコントローラ10からのタイミング信号により制御される。ここで、外界を1秒おきにイメージングする場合、タイミングコントローラ10は1秒おきの起動信号をドップラーイメージング信号送信装置1及びドップラーイメージング信号受信装置2に送出し、それが表示のリフレッシュ周期となる。
図11Aにおいて、ドップラーイメージング信号送信装置1は、読み出し専用メモリ(ROM)11Rを有する送信信号発生器11と、D/A変換器12と、信号増幅器13と、超音波スピーカ3とを備えて構成される。送信信号発生器11は、タイミングコントローラ10からの起動信号を受けると、あらかじめ用意された対称ログステップマルチキャリア信号又は対称整列ログステップマルチキャリア信号の送信信号波形データを読み出し専用メモリ(ROM)11Rから読み出してD/A変換器12に出力する。D/A変換器12は、入力される送信信号波形データをA/D変換してアナログの送信信号を発生して信号増幅器13を介して超音波スピーカ3に出力して、当該送信信号は超音波スピーカ3から放射される。検出対象の反射物体6により最適な送信信号形に切り替えて使用する手法も可能で、この場合はROM部に複数波形パターンを格納しておくか、あるいは送信部内のマイクロプロセッサにより波形を計算生成、合成して使用することもできる。実験ではルネサスエレクトロニクス社SH2マイクロプロセッサを使用したマイクロプロセッサボードに16ビット1Mサンプル/sで信号波形を用意し、パイオニア社PT−R4スーパーツィータより図10の空中超音波波形を放射した。
図11Bの変形例において、ドップラーイメージング信号送信装置1Aは、読み出し専用メモリ(ROM)11Rを有する基礎信号発生器11Aと、信号処理回路14と、D/A変換器12と、信号増幅器13と、超音波スピーカ3とを備えて構成される。当該変形例では、基礎信号発生器11Aは基礎信号であるログステップマルチキャリア信号を発生し、信号処理回路14において、一対の基礎信号を発生したうえで、一方の基礎信号の時間順序を逆(前後逆向き)にし、合成して対称ログステップマルチキャリア信号又は対称整列ログステップマルチキャリア信号の送信信号波形データを生成してもよい。
図12において、ドップラーイメージング信号受信装置2は、マイクロホンアレイ4と、受信信号メモリ4mと、フーリエ変換器21と、ビームフォーミング回路22と、ビームフォーミングスキャン量設定器23と、レンジ量設定器24と、参照信号発生器31,41,51と、相関器32,42,52と、逆フーリエ変換器33,43,53と、位置検出信号発生器34と、読み出し専用メモリ(ROM)35Rを有する微細構造推定テーブル回路35と、窓関数信号発生器61と、遅延演算器62と、畳み込み演算器63と、送信スペクトルテンプレート信号発生器64と、信号比較器65とを備えて構成される。
ドップラーイメージング信号受信装置2において、タイミングコントローラ10から起動信号を受けると、一定時間(最遠の物体からの反射波が到達するまでの間)、各マイクロホンアレイ4で受信信号を受信して受信信号メモリ4mに蓄積する。次いで、フーリエ変換器21は受信信号に対して高速フーリエ変換(FFT)により離散フーリエし、後続のビームフォーミング回路22に送る。実験ではKnowlesAcoustics社SPM0404UD5マイクロホン素子を横5.08mm,縦10.16mmピッチの16×8格子に配列した2次元マイクロホンアレイ4により受音し、各チャンネル信号を12ビット500kサンプル/sにA/D変換した後、FPGAによる信号処理ボードで処理した。
フーリエ変換器21により周波数領域に変換された受信信号は、ビームフォーミング回路22に送られる。ビームフォーミング回路22は、ビームフォーミングスキャン量設定器23からのビームフォーミングスキャン量に基づいて、各マイクロホンアレイ4の信号毎に、所定の時間遅延量と重み量を付け加えた後、全チャネルを加算し、上記スキャン量に対応する所定の範囲の空間の特定方向からの信号のみ抽出する操作を行う。ここで、受信信号は周波数領域に変換されているため、例えば時間遅延dを与える処理は複素数exp(−jd)を乗算することに対応する。実験では空間を縦横方向度103×53度について、100×40セクターに分割しビームフォーミングした。受信信号メモリ4mは最大128ms(レーダー距離として約20m)のデータを格納でき、それをFFT処理して使用した。
ビームフォーミング回路22により特定方向からの受信信号を取り出した後、それと参照信号との相関処理によって、パルス圧縮によってその方向の反射物体分布を得る。ここでは3通りの参照信号(周波数領域)、すなわち送信信号と同じ信号であって周波数領域にフーリエ変換した参照信号G(f)、上記参照信号G(f)を若干時間短縮した参照信号G(f)、上記参照信号G(f)を若干時間延長した参照信号G(f)の3種を使用して行う。ここで、参照信号G(f)は接近方向の運動のドップラー偏移で周波数の高くなった状態の送信信号に対応し、参照信号G(f)は後退方向の運動のドップラー偏移で周波数の低くなった状態の送信信号に対応する。これら3種の参照信号は、微細構造の中心ピーク位置に着目して、図13のドップラー偏移量に相当する信号波形である。
本実施形態では、パルス圧縮すなわち物体位置検出の相関演算も周波数領域で行う。相関演算に使う参照信号形はあらかじめ離散フーリエ変換しておき、その複素共役と周波数領域の受信信号波形(ビームフォーマーにより特定方向からの信号に変換されたもの)を乗算する。これで相関波形のフーリエ変換が得られる。次にそれを離散逆フーリエ変換することで、ビームフォーミングスキャン量設定器23で設定されビームフォーミング回路22でスキャンされた空間方向について、距離(レンジ)軸方向の反射係数分布、すなわち反射物体の位置検出信号X{R,G,B}(t)を得る。
図12において、参照信号発生器31,41,5はそれぞれ参照信号G(f)、参照信号G(f)及び参照信号G(f)を発生して相関器32,42,52に出力する。相関器32,42,52はそれぞれビームフォーミング回路22からの周波数領域の受信信号と、各参照信号G(f),G(f),G(f)との相互相関係数信号X(f),X(f),X(f)を演算して逆フーリエ変換器33,43,53に出力する。逆フーリエ変換器33,43,53はそれぞれ入力信号を時間領域の相互相関係数信号X(t),X(t),X(t)に逆フーリエ変換して位置検出信号発生器34に出力する。
反射物体6の運動により参照信号G(f)では、相互相関係数信号X(f)が低くなる場合があるが、そのときは参照信号G(f)を用いた相互相関係数信号X(f)あるいは参照信号G(f)を用いた相互相関係数信号X(f)に強く反応している。よって、位置検出信号発生器34は総合的な位置検出信号X{R,G,B}(t)を次式を用いて計算する。
Figure 0006179940
これにより、各種の速度をもつ反射物体6について、もらすことなく検出できる。このレンジ(距離)方向の位置検出信号X{R,G,B}(t)は表示装置5に送られ、その方向の各距離について反射強度分布の描画を行う。すなわち、図12において、参照信号発生器31、41,51から相関器32,42,52及び逆フーリエ変換器33,43,53を介して位置検出信号発生器34までの信号処理部は位置検出部を構成する。
速度検出もビームフォーミング回路22で選んだある空間方向に対し、そのレンジ(距離方向)軸各点について行う。また、速度検出は前述のように、微細構造のピーク単位で何単位ずれているか決める概算速度推定部60と、ひとつの微細構造の山の範囲内でのドップラー偏移量を決める詳細速度推定部(図12において、微細構造推定テーブル回路35で構成される)の2つの速度推定部からなる。
概算速度推定部60においては、反射された受信信号を時間軸で表現すれば、各レンジ距離に相当する遅延時間の位置の信号を、そこを中心にした窓関数(ハン窓など)をかけることで取り出し、さらに高速フーリエ変換(FFT)をほどこす。するとそのレンジ距離の反射波のスペクトルが得られる。送信信号形のスペクトルは既知なので、それの周波数軸上での偏移量を求めると、概算推定になる。この実施形態ではあらかじめ受信信号形は周波数領域に変換されているので、周波数領域のみの演算を行うと都合がよい。窓関数のフーリエ変換の複素共役を求めておき、複素数関数exp(−jd)を乗じることで時間軸上で遅延量dだけ窓を移動させたのと等価のスペクトルを結果として得るので、あとは受信信号に畳み込み演算をしてやれば、時間軸の特定位置を切り出してフーリエ変換したものと相当の結果となる。そこから概算ドップラー推定量Cを得る。
図12において、概算速度推定部60は、窓関数信号発生器61と、遅延演算器62と、畳み込み演算器63と、送信スペクトルテンプレート信号発生器64と、信号比較器65とを備えて構成される。窓関数信号発生器61は、周波数領域の所定の窓関数信号を発生して遅延演算器62に出力する。遅延演算器62は、入力される窓関数信号に対してレンジ量設定器24により設定されるレンジ量(距離方向)に対応する時間軸上の遅延量dだけ遅延させた後、畳み込み演算器63に出力する。畳み込み演算器63は、遅延演算器62からの遅延された窓関数信号と、ビームフォーミング後の周波数領域の受信信号とを畳み込み演算を行って、演算結果の信号を信号比較器65に出力する。信号比較器65は、入力される畳み込み演算結果の信号を、送信スペクトルテンプレート信号発生器64からの周波数領域の送信信号と比較することにより、周波数軸上での偏移量を得ることにより概算速度推定量Cを演算して微細構造推定テーブル回路35に出力する。
図14は図12のドップラーイメージング信号受信装置2内の概算速度推定部60の変形例である概算速度推定部60Aの構成を示すブロック図である。上記概算推定演算は局所的に時間領域で行うこともでき、図14のように概算推定処理を行ってもよい。図14において、変形例にかかる概算速度推定部60Aは、窓関数信号発生器61Aと、遅延演算器62Aと、乗算器63Aと、送信スペクトルテンプレート信号発生器64と、信号比較器65と、逆フーリエ変換器66と、フーリエ変換器67とを備えて構成される。窓関数信号発生器61Aは、時間領域の所定の窓関数信号を発生して遅延演算器62Aに出力する。遅延演算器62Aは、入力される窓関数信号に対してレンジ量設定器24により設定されるレンジ量(距離方向)に対応する時間軸上の遅延量dだけ遅延させた後、乗算器63Aに出力する。一方、ビームフォーミング後の周波数領域の受信信号は逆フーリエ変換器66により時間領域の受信信号に逆フーリエ変換された後、乗算器63Aに出力される。乗算器63Aは、遅延演算器62Aからの遅延された窓関数信号と、ビームフォーミング後の時間領域の受信信号とを乗算して、乗算結果の信号をフーリエ変換器67に出力する。フーリエ変換器67は入力される乗算結果の信号を周波数領域の信号に変換した後、信号比較器65に出力する。信号比較器65は、入力される乗算結果の信号を、送信スペクトルテンプレート信号発生器64からの周波数領域の送信信号と比較することにより、周波数軸上での偏移量を得ることにより概算速度推定量Cを演算して微細構造推定テーブル回路35に出力する。
速度の詳細推定は、辞書のための読み出し専用メモリ(ROM)35Rを有する微細構造推定テーブル回路35により実行され、前述の概算速度推定量Cに、さらにレンジ位置のその点の反射強度である周波数領域の相互相関係数信号X(f),X(f),X(f)を組み合わせた4次元量をインデックスとし、あらかじめ計算で求めておいた読み出し専用メモリ(ROM)35R内の詳細速度テーブルを検索することで、詳細速度推定量Fを得る。次いで、概算速度推定量Cに詳細速度推定量Fを加算した速度値に基づいて、式(24)を用いて精密なドップラー偏移量ρを演算し、当該演算された精密なドップラー偏移量ρに基づいて、式(25)を用いて物体速度vを演算する。演算された物体速度vを示す速度推定信号と、ビームフォーミングスキャン量設定器23からのビームフォーミングスキャン量及び距離方向のレンジ量設定器24からのレンジ量からなる表示座標信号とを表示装置5に送り、上述の位置検出信号X{R,G,B}(t)による物体配置図に速度分布図を重ねて表示させる。これにより、表示装置5において反射物体6の画像化を行うことができる。
以上の実施形態においては、ドップラーイメージング信号受信装置2における信号処理を、フーリエ変換にもとづく複素演算手法として説明した。この発明では探索信号波形に線対称(偶関数)ないし点対称(奇関数)を使用する。前者の場合、波形をフーリエ変換すると実数部のみの関数、後者の場合、波形をフーリエ変換すると虚数部のみの関数となる。したがって、上記で示した複素離散フーリエ変換によるドップラーイメージング演算は、前者は実数部のみ離散コサイン変換により求めた演算、ないし後者は虚数部のみ離散サイン変換でもとめた演算で行ってもよく、それにより計算コストを低下させることができる。
以上の実施形態において、図12のドップラーイメージング信号受信装置2におけるマイクロホンアレイ4及び受信信号メモリ4m以降の信号処理回路については、ハードウエア回路に限らず、CPU又はMPUを用いたデジタル計算機で構成して、それらの信号処理をソフトウェアで記述してもよい。
以上の実施形態においては、物体速度vを示す速度推定信号と、表示座標信号とを表示装置5に送り、上述の位置検出信号X{R,G,B}(t)による物体配置図に速度分布図を重ねて表示させているが、本発明はこれに限らず、速度推定値を表示せずに、位置検出信号X{R,G,B}(t)による画像化のみを表示してもよい。
4.シミュレーション及びその結果
本実施形態による図10のドップラーイメージングシステムの性能を、従来技術のカラードップラー法と対照することで確認した。比較対象のカラードップラー法は中心周波数42.535kHz、継続時間0.2msのインパルス波形を4ms間隔で発生させ、使用した。信号帯域内で一定のSN比になるようノイズを注入した。
本実施形態で使用した波形は持続波、カラードップラー法ではインパルス波を使用するので、比較実験では信号強度の統一が難しい。そこで信号の最大波高値を同じにとった場合と、信号の平均電力を同じにとった場合の2種について比較した。
図15は本実施形態及び比較例1,2のシミュレーション結果であって、SN比に対する速度推定精度を示すグラフである。図15から明らかなように、SN比0〜25dBの広い範囲で、同じ振幅、同じノイズ量で試すとき、発明した手法は既存カラードップラー法に対して約30倍の速度推定精度を持つことが確認された。カラードップラーの探索信号波形を本実施形態と同じ平均電力にとった場合でも、同条件下で3倍の速度推定精度を確認した。またカラードップラー法がドップラー係数ρ=1.0±0.02(速度で±17m/s)の有効計測範囲しか持たなかったのに対し、概算推定と精密推定を組み合わせる本法ではρ=1.0±0.05(速度で±43m/s)の有効計測範囲を確認した。
対称整列ログステップマルチキャリア信号の基礎信号である、整列位相ログステップ波について説明を加えておく。ログステップマルチキャリア信号はt=0周辺の波形を採用すると最も理想的なプロファイル(広いエンベロープ)を示す。しかし上述したように、t=0を含む領域は波高値が急激に変動し、送信に適さない。一方でt=0から大きく離れた場所であると、エンベロープはドップラー偏移に対し急峻な変化を示すようになり、計測できる速度範囲が小さくなるため、なるべくt=0付近を取り出して削除することが好ましい。そこでこの領域(あまりに波高値が大きすぎる、ないしは小さすぎる)領域を避け、かつ可能な乖離近傍を使う信号が整列位相ログステップマルチキャリア信号である。
図16は本実施形態に係る整列位相ログステップマルチキャリア信号の使用開始位置を示す波形図である。整列位相ログステップマルチキャリア信号として使用できる、その開始位置は、t=0近傍の変動の終結する箇所である。位置は波形を合成する際のパラメータp,qの選び方により変化するが、図16のように広範なパラメータp,qに対し波形概形は同一である。波形の使用開始位置の時刻(以下、開始時刻という。)tとしては、次式の経験式を用いて設定できる。
Figure 0006179940
当該開始時刻tは、は図16の点線のような箇所を与えるものである。整列位相ログステップマルチキャリア信号は、p(出力波形スペクトルの最大周波数と最小周波数の比)は超音波スピーカ3およびマイクロホンアレイ4のようなトランスジューサの特性で、最も広い使用可能周波数範囲として選び、qは微細構造のきざみ幅を決めるので希望する速度測定範囲と速度測定精度の関連から選ぶが、qを大きく設定すると、式(27)で示される整列位相ログステップマルチキャリア信号の可能使用開始位置が後退し、プロファイル・エンベロープの平坦性が失われるため、あまり大きくとるのは得策とはいえない。整列位相ログステップマルチキャリア信号の終了位置は、イメージングなどの計測に必要な放射エネルギーを満たす範囲として決める。例えば、上記対称整列位相ログステップマルチキャリア信号もしくは対称ログステップマルチキャリア信号のうち、それに含まれる最低周波数から少なくともその2倍の周波数までの成分を含む所定の時間長を有する信号を抽出した後、上記対象の反射物体6に放射することが好ましい。
5.まとめ
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、対称ログステップマルチキャリア信号をドップラーレーダーあるいはドップラーイメージングに使用すると、従来波形が移動物体について検出位置を誤った欠点を解消し、移動物体の速度を高精度に検出でき、かつ移動物体についても検出位置を誤らないという効果を有する。
対称整列ログステップマルチキャリア信号をドップラーレーダーあるいはドップラーイメージングに使用すると、広い速度範囲の移動物体検出でき、高い速度精度で速度検出でき、かつ移動物体についても検出位置を誤らないという効果を有する。
対称ログステップマルチキャリア信号、ないし対称整列ログステップマルチキャリア信号を使用することで、その性質を生かしつつ、効率的な処理方式によるドップラーイメージング装置を構成することができる。またシミュレーションによれば、同一の最大波高値のインパルスを使用する従来方式(カラードップラー)のドップラーイメージング装置に比べ、同一SN比の環境下で約30倍の速度検出精度を得ることができ、かつ10倍の速度範囲について計測をできることが確認できる。
このようにドップラーイメージングの精度と計測範囲を向上させることにより、超音波診断の確度を向上させ、あるいは他の計測分野へ応用範囲を拡大できると期待される。
6.付録 対称整列マルチキャリア信号の相関ピークがドップラー偏移に影響されない証明。
(1)はじめに
対称整列マルチキャリア信号に生じる相関ピークの位置はその信号がドップラー偏移を受けても移動しない。その事実をフーリエ変換により証明する。なお、この証明では、実関数f(t)のフーリエ変換F(ω)=Ft(f)において、その左辺の実数部及び虚数部をF(ω)=A(ω)+jB(ω)とおいたとき、A(ω)は偶関数(A(−ω)=A(ω))となり、B(ω)は奇関数(B(−ω)=−B(ω))となる事実を用いる。
(2)相関ピークの検出
超音波イメージング装置又はレーダー装置では、反射物体を位置検出のために、次式の相互相関係数r(τ)で表すように送信信号f(t)を照射して信号g(t)を受信する。
Figure 0006179940
ここで、τの符号は一般にはこの逆で用いるが、式展開の簡単化のために上記の式のように規定した。τは遅れ量であって、ある遅れ量τで相互相関係数r(τ)のピークが得られれば、その遅れ位置に反射物体がある。よく知られているように、式(28)の演算はフーリエ変換では畳み込みとなり次式で表される。
Figure 0006179940
ここで、F(ω)はF(ω)の複素共役を表す。もし距離ゼロに理想反射物体があれば、遅延ゼロで送信信号f(t)と同じ反射信号を得る。ただし、その反射物体が運動しているとドップラー偏移が加わるため、g(t)=f(ρt)となる。ρはドップラー偏移の指標であるドップラー偏移量であって、反射物体の速度をvとし、音速をcとしたとき次式で表される。
Figure 0006179940
静止した物体ならば、ρ=1となる。また、ドップラー偏移があるとき、g(t)=f(ρt)のフーリエ変換はG(ω)=(1/ρ)F(ω/ρ)である。よって、相互相関係数r(τ)のフーリエ変換は次式で表される。
Figure 0006179940
(3)相関ピークの移動
ドップラー偏移のない場合(ρ=1)、相互相関係数r(τ)は必ずτ=0に最大ピークをもつ。これは送信信号f(t)の電力値を表す。しかし、ドップラー偏移のもとでは、一般に相互相関係数r(τ)のピークはτ=0から正の方向に移動してしまう。レーダー装置としては、反射物体の位置を誤って検出することになり、対策を必要とする。
(4)相関ピークの定式化
相関ピークは相互相関係数r(τ)の極値であるため、ここで、dr(τ)/dτ=0となる。フーリエ変換では、微分演算は−jωを乗算する演算なので、q(τ)=dr/dτのフーリエ変換は次式で表される。
Figure 0006179940
ここで、ρ=1では、τ=0であってq(τ)=0であるはずなので次式を得る。
Figure 0006179940
この式よりそれを確かめると、一般に送信信号f(t)のフーリエ変換F(ω)から、次式が成立して下記の式を得る。
Figure 0006179940
Figure 0006179940
ここで、F(ω)を実数部及び虚数部に分解して、F(ω)=A(ω)+jB(ω)と表せば、式(35)の右辺は次式で表される。
Figure 0006179940
ここで、f(t)は実関数であり、A(ω)は偶関数であり、B(ω)は奇関数であるので、A(ω)+B(ω)は偶関数であり、よってそれに角周波数ωを乗算した被積分関数は奇関数となる。従って、次式を得る。
Figure 0006179940
以上より、q(τ)=dr/dτ=0を証明できた。ここで、被積分関数の偶奇性が大きな役割になったことに留意されたい。
(4)ドップラー偏移下でのピーク
ρ≠1の場合、一般には、式(37)に相当する関係式qρ(0)≠0である。すなわち、相関ピークは計測誤差のために、τ=0に留まっておらず、移動してしまう。それは、F(ω/ρ)F(ω)が角周波数ωの偶関数にならないためである。逆に、F(ω/ρ)F(ω)を偶関数とできれば、ドップラー偏移下でピークの移動(計測誤差の発生)を防止できる。そのような送信信号f(t)は次式のように構成できる。
A:送信信号f(t)が偶関数である場合
実関数f(t)が偶関数であると、そのフーリエ変換F(ω)=A(ω)は虚数部をもたず、すなわち、実の偶関数となる。よって、次式も偶関数である。
Figure 0006179940
すなわち、式(38)も偶関数となり、それを検出信号とすると、ピーク移動を防止できる。
B:送信信号f(t)が奇関数である場合
上述と同様に、実関数f(t)が奇関数であると、F(ω)=jB(ω)であるので次式を得る。
Figure 0006179940
すなわち、偶関数となり、この場合もピーク移動はない。
(5)まとめ
超音波イメージング装置又はレーダー装置の検出信号を時間の偶関数ないし奇関数にとると、物体検出のピーク移動がないことを証明した。偶関数ならば信号は線対称となり、奇関数ならば信号は点対称となり、そのような信号波形を使用するのが、対称の整列ログステップマルチキャリア信号を用いたイメージング計測のアイデアである。なお、この信号波形はピーク移動を生じない条件の十分条件であり、必要条件ではない。すなわち、他の信号波形でも同様の性質を持ちうる。しかし、計測システムで信号波形のスペクトルが変化してもその性質を保持するものとしては、信号波形を偶関数ないし奇関数にとるのはベストであると考える。
以上詳述したように、本発明によれば、従来技術に比較して、ドップラーイメージングの検出精度と計測範囲を向上させることで、その適用範囲を拡大させることができる。本発明は、ドップラーイメージングのみならず、ドップラーレーダーなどドップラー偏移現象を用いる計測装置又は計測システムに広く適用することができる。
1…ドップラーイメージング信号送信装置、
2…ドップラーイメージング信号受信装置、
3…超音波スピーカ、
4…マイクロホンアレイ、
4m…受信信号メモリ、
5…表示装置、
6…反射物体、
10…タイミングコントローラ、
11…送信信号発生器、
11A…基礎信号発生器、
11R…読み出し専用メモリ(ROM)、
12…D/A変換器、
13…信号増幅器、
14…信号処理回路、
21…フーリエ変換器、
22…ビームフォーミング回路、
23…ビームフォーミングスキャン量設定器、
24…レンジ量設定器、
31,41,51…参照信号発生器、
32,42,52…相関器、
33,43,53…逆フーリエ変換器、
34…位置検出信号発生器、
35…微細構造推定テーブル回路、
35R…読み出し専用メモリ(ROM)、
60,60A…概算速度推定部、
61,61A…窓関数信号発生器、
62,62A…遅延演算器、
63…畳み込み演算器、
63A…乗算器、
64…送信スペクトルテンプレート信号発生器、
65…信号比較器、
66…逆フーリエ変換器、
67…フーリエ変換器。

Claims (11)

  1. 指数関数間隔で配置された複数の周波数を有するマルチキャリア信号であるログステップマルチキャリア信号と同一の2つのログステップマルチキャリア信号を発生し、当該2つのログステップマルチキャリア信号を、時間軸上で原点を中心として前後逆向きに連結することで、原点に対して対称のログステップマルチキャリア信号を発生して送信信号として対象物体に送信する送信手段を備えたことを特徴とするドップラーイメージング信号送信装置。
  2. 上記対称のログステップマルチキャリア信号は、時間軸上の原点に対して線対称であることを特徴とする請求項1記載のドップラーイメージング信号送信装置。
  3. 上記対称のログステップマルチキャリア信号は、時間軸上の原点に対して点対称であることを特徴とする請求項1記載のドップラーイメージング信号送信装置。
  4. 上記ログステップマルチキャリア信号は、上記複数の周波数において位相が揃っている所定の初期位相を有することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のドップラーイメージング信号送信装置。
  5. 上記送信手段は、上記対称のログステップマルチキャリア信号から、その時間軸上の原点とその近傍を含む所定の時間にかかる信号を除去した後、上記対象物体に放射することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のドップラーイメージング信号送信装置。
  6. 上記送信手段は、上記対称のログステップマルチキャリア信号のうち、ドップラーイメージングの計測処理のために必要な所定の時間長を有する信号を抽出した後、上記対象物に放射することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のドップラーイメージング装置。
  7. 請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の上記対称のログステップマルチキャリア信号を対象物体に放射したときに、当該対象物体からの反射信号を受信し、受信した反射信号と、上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号とに基づいてドップラーイメージングの計測処理を行うことにより、上記対象物体の位置及び速度の少なくとも一方を計測して画像化する信号処理手段を備えたことを特徴とするドップラーイメージング信号受信装置。
  8. 上記信号処理手段は、上記受信した反射信号と、上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号との間の相互相関係数を上記対象物体の位置を示す位置検出信号として出力する位置検出部を備えたことを特徴とする請求項7記載のドップラーイメージング信号受信装置。
  9. 上記信号処理手段は、
    所定の窓関数信号を所定の距離方向で遅延してなる信号と、上記受信した反射信号とに対して、周波数領域での畳み込み演算又は時間領域での乗算を行い、演算結果の信号と上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号とを比較して周波数軸上の偏差を概算速度推定値として演算する概算速度推定部と、
    上記概算速度推定部により演算される概算速度推定値と、上記相互相関係数とをインデックスとして予め計算された詳細速度推定値を格納する詳細速度テーブルを含む記憶装置を含み、上記インデックスを上記記憶装置に入力することで出力される詳細速度推定値と、上記概算速度推定値とに基づいて上記対象物体の速度を演算する詳細速度推定部とを備えたことを特徴とする請求項8記載のドップラーイメージング信号受信装置。
  10. 請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のドップラーイメージング信号送信装置と、
    請求項7〜9のうちのいずれか1つに記載のドップラーイメージング信号受信装置とを備えたことを特徴とするドップラーイメージングシステム。
  11. 指数関数間隔で配置された複数の周波数を有するマルチキャリア信号であるログステップマルチキャリア信号と同一の2つのログステップマルチキャリア信号を発生し、当該2つのログステップマルチキャリア信号を、時間軸上で原点を中心として前後逆向きに連結することで、原点に対して対称のログステップマルチキャリア信号を発生して送信信号として対象物体に送信するステップと、
    上記対称のログステップマルチキャリア信号を対象物体に放射したときに、当該対象物体からの反射信号を受信し、受信した反射信号と、上記放射した対称のログステップマルチキャリア信号とに基づいてドップラーイメージングの計測処理を行うことにより、上記対象物体の位置及び速度の少なくとも一方を計測して画像化するステップとを含むことを特徴とするドップラーイメージング方法。
JP2013146637A 2013-07-12 2013-07-12 ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法 Expired - Fee Related JP6179940B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013146637A JP6179940B2 (ja) 2013-07-12 2013-07-12 ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013146637A JP6179940B2 (ja) 2013-07-12 2013-07-12 ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015017942A JP2015017942A (ja) 2015-01-29
JP2015017942A5 JP2015017942A5 (ja) 2016-07-21
JP6179940B2 true JP6179940B2 (ja) 2017-08-16

Family

ID=52439056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013146637A Expired - Fee Related JP6179940B2 (ja) 2013-07-12 2013-07-12 ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6179940B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017141370A1 (ja) * 2016-02-17 2017-08-24 三菱電機株式会社 物体検出装置、物体検出方法及び物体検出プログラム
US11125870B2 (en) 2016-08-26 2021-09-21 Nec Corporation Moving-target detection system and moving-target detection method
WO2018154875A1 (ja) * 2017-02-22 2018-08-30 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 レーダー装置、レーダーシステムおよびレーダー装置の制御方法
US11231495B2 (en) 2017-03-30 2022-01-25 Nec Corporation Signal processing device and signal processing method
CN110609263B (zh) * 2019-10-29 2022-11-04 电子科技大学 一种同时计算脉冲激光雷达目标回波时延和频偏的方法
JPWO2021130818A1 (ja) * 2019-12-23 2021-12-23 三菱電機株式会社 検出装置、検出方法、及び、検出プログラム
WO2023152884A1 (ja) * 2022-02-10 2023-08-17 三菱電機株式会社 画像生成装置及びシステム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5369350B2 (ja) * 2009-08-14 2013-12-18 東京計器株式会社 パルス圧縮における送信波形生成方法、送信波形生成プログラム及び送信波形生成方法によって製造されたパルス圧縮装置
JP5704695B2 (ja) * 2010-12-24 2015-04-22 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 ドップラーレーダーシステム、ドップラーレーダー送信装置及び送信波最適化方法
EP2579487B1 (en) * 2011-10-03 2014-05-21 ST-Ericsson SA Non-contiguous carrier aggregation

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015017942A (ja) 2015-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6179940B2 (ja) ドップラーイメージング信号送信装置、ドップラーイメージング信号受信装置、ドップラーイメージングシステム及び方法
US6663565B2 (en) Ultrasound diagnostic apparatus
CN106405541B (zh) 全相参连续波多普勒雷达及其测距测速方法
JP6053860B2 (ja) 医療用超音波イメージングシステムにおいて剪断波情報を求めるためのコンピュータプログラム
Siderius et al. Modeling broadband ocean acoustic transmissions with time-varying sea surfaces
US9465101B2 (en) Aberration correction with broad transmit beams in medical ultrasound
CN103033816B (zh) 基于圆弧扫描转换的合成孔径聚焦超声成像实现方法
JP2544342B2 (ja) 超音波ドップラ―診断装置
CN104107068A (zh) 被检体信息获取设备和被检体信息获取方法
WO2018038128A1 (ja) 移動目標探知システム及び移動目標探知方法
JPH10258052A (ja) 波動受信装置および超音波診断装置
JP4369427B2 (ja) ドプラ速度検出装置及びそれを用いた超音波診断装置
JP5704695B2 (ja) ドップラーレーダーシステム、ドップラーレーダー送信装置及び送信波最適化方法
WO2016029402A1 (zh) 剪切波成像方法及系统
KR102164450B1 (ko) 전단파 이미징을 위한 가변 초점
JP2003121544A (ja) ドップラシフト周波数測定装置およびその利用装置
JPH10332818A (ja) 目標位置局限方法
US10646202B2 (en) Sheer speed imaging using coherence
Marszal et al. Application of maximum length sequence in silent sonar
CN114569152A (zh) 一种基于稀疏脉冲的血管流速估计方法
JP2013113723A (ja) レーダ装置
JP6147617B2 (ja) レーダ装置及びその信号処理方法
Fujiwara et al. A novel technique for high resolution ultrasound imaging super resolution FM-Chirp correlation Method (SCM)
RU2066060C1 (ru) Способ картографирования с помощью синтезированной апертуры
JP2019120613A (ja) レーダ装置、レーダ装置の制御方法、およびプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160602

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6179940

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees