JP6179923B2 - カーボンナノチューブ複合体、カーボンナノチューブ分散液及びそれらの製造方法、カーボンナノチューブの分散方法、並びに、透明電極及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合体、カーボンナノチューブ分散液及びそれらの製造方法、カーボンナノチューブの分散方法、並びに、透明電極及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させる技術に関する。
カーボンナノチューブは、優れた電気的特性、化学安定性、機械的強度を備えており、例えば、プラスチック基板を用いたフレキシブル透明電極等への応用が期待されている。透明電極はタッチパネルやディスプレイ、太陽電池、透明トランジスタの電極として使用され得る。
透明電極は、カーボンナノチューブを溶媒に分散させた分散液を基材上に塗布・乾燥することによって製造可能である。ここで、分散液においてはカーボンナノチューブの高い分散性が必要となる。しかしながら、カーボンナノチューブは分子間相互作用により束状の凝集体を形成するため、溶媒への分散が困難である。
カーボンナノチューブの溶媒への分散性を向上させる方法としては、例えば、濃硝酸や王水等の酸化剤を用いてカーボンナノチューブの切断やカルボキシル基の導入を行う方法が知られている(特許文献1)。或いは、別の方法として、界面活性剤や芳香族化合物等を分散剤として用いてカーボンナノチューブを溶媒に分散させる方法が知られている(特許文献2〜8)。
特開2009−13004号公報 特開2003−238126号公報 特開2005−89738号公報 特開2005−75661号公報 特開2005−154630号公報 特開2005−219986号公報 特開2010−163570号公報 特開2012−82120号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術にあっては、カーボンナノチューブの酸化処理によってカーボンナノチューブが持つ本来の性能を低下させてしまう。また、特許文献2〜8に開示された技術にあっては、カーボンナノチューブ表面に付着した分散剤を除去することが困難となり、分散剤が絶縁性の不純物として残存する結果、カーボンナノチューブの優れた導電性が損なわれてしまう。例えば、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を分散剤とし、溶媒に対してSDSを1wt%溶かした「1%SDS水溶液」を用いてカーボンナノチューブ分散液とする例が有名であるが、この分散系の場合、1wt%もの過剰な分散剤を加える必要があり、分散剤を除去する手間(水で繰り返し洗浄すること)やコストが増大する。また、溶媒として水を用いることから、透明電極の基材である撥水性表面に対して均一に塗布し難い。
そこで本発明は、カーボンナノチューブの性能を低下させることなく有機溶媒中に分散させ得るとともに、分散剤の使用量を大幅に削減することが可能な(好ましくは分散剤を容易に除去することも可能な)、カーボンナノチューブ複合体、カーボンナノチューブ分散液及びそれらの製造方法、並びに、それらを用いた透明電極を提供することを課題とする。
有機溶媒へのカーボンナノチューブの分散について、本発明者らが鋭意研究を進めたところ、以下の数々の知見を得た。
(1)有機溶媒においてカーボンナノチューブとともに弱酸の塩或いは強塩基を共存させることによって、当該弱酸の塩や強塩基が分散剤として機能し、カーボンナノチューブの分散性を向上させることができる。
(2)分散剤として弱酸の塩或いは強塩基を用いる場合、従来の分散剤よりもごく少量(低濃度)で、分散剤としての機能を発揮し得る。すなわち、カーボンナノチューブにおいて不純物として残存する分散剤の量を従来よりも極めて少なくすることができる。
(3)特に、当該弱酸の塩として熱分解性のものを用いた場合、加熱によって分散剤を完全に除去することができる。例えば、透明電極を製造するにあたって、カーボンナノチューブ分散液を基材に塗布した後、加熱によって弱酸の塩を分解除去することで、水洗等の洗浄工程を省略でき、基材上に耐屈曲性に優れるとともに表面状態の良好なカーボンナノチューブ層を形成できる。
(4)強酸の塩を用いた場合、カーボンナノチューブを有機溶媒中に分散させることはできない。むしろ、カーボンナノチューブが凝集する傾向にある。ただし、例外的に、アルカリ金属硫酸塩については分散剤として機能する傾向にある。
(5)弱酸の塩或いは強塩基は、有機溶媒においてカーボンナノチューブの分散性を向上させ得る。一方、溶媒として水を用いた場合は十分な分散効果は発揮されない。
(6)溶媒においてカーボンナノチューブとともに弱酸の塩或いは強塩基を共存させた後、当該分散液から溶媒を除去することで、カーボンナノチューブの表面に弱酸の塩或いは強塩基が付着したカーボンナノチューブ複合体が得られる。当該複合体を有機溶媒に添加した場合、カーボンナノチューブを有機溶媒に再分散させることができる。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、
第1の本発明は、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを含む、カーボンナノチューブ複合体である。
本発明において、「弱酸の塩」とは、陰イオンとして炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、カルボン酸イオン、硼酸イオンのいずれかを含み、陽イオンとして一価の金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンのいずれかを含む塩を意味する。「強塩基」とは、水と反応して水酸化物イオンを解離する塩基を意味し、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物等が挙げられる。ただし、水と反応して多価の陽イオン解離する強塩基を除く。
第1の本発明において、カーボンナノチューブの表面に弱酸の塩及び/又は強塩基が付着していることが好ましい。
第1の本発明において、弱酸の塩が、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい。
弱酸の塩の具体例としては、炭酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム又は酢酸アンモニウム等が挙げられる。特に、アンモニウム塩のような熱分解によって液化・気化し得る塩が好ましい。
第1の本発明において、強塩基がアルカリ金属水酸化物であることが好ましい。
第2の本発明は、有機溶媒中にカーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを含む、カーボンナノチューブ分散液である。
第2の本発明において、弱酸の塩が、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい。
第2の本発明において、強塩基がアルカリ金属水酸化物であることが好ましい。
第2の本発明においては、有機溶媒に含まれる弱酸の塩及び強塩基の合計の濃度が、質量基準で500ppm以下であってもよい。本発明においては、弱酸の塩及び強塩基の濃度が極めて低濃度であっても、カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させることが可能である。尚、下限は0.5ppm以上とすることが好ましい。
第2の本発明において、有機溶媒が、アルコール、ケトン、エーテル、ニトリル、アミド及びピロリドンから選ばれるいずれかであることが好ましい。
具体的には、エタノール、イソプロパノール、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンから選ばれるいずれかであることが好ましい。
第3の本発明は、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを溶媒に含有させた後、該溶媒を除去する工程を備える、カーボンナノチューブ複合体の製造方法である。第3の本発明における「溶媒」とは、水及び有機溶媒の双方を含む概念である。
第4の本発明は、第2の本発明に係るカーボンナノチューブ分散液から、有機溶媒を除去する工程を備える、カーボンナノチューブ複合体の製造方法である。
第5の本発明は、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを有機溶媒に添加する工程を備える、カーボンナノチューブ分散液の製造方法である。
第6の本発明は、第1の本発明に係るカーボンナノチューブ複合体を有機溶媒に添加する工程を備える、カーボンナノチューブ分散液の製造方法である。
第7の本発明は、分散剤として弱酸の塩及び/又は強塩基を用いた、有機溶媒におけるカーボンナノチューブの分散方法である。
第8の本発明は、基材の表面にカーボンナノチューブ層を有する透明電極であって、カーボンナノチューブ層の一部に、弱酸の塩及び/又は強塩基が存在している、透明電極である。
本発明において、「基材」とは、透明電極に用いられ得る基材であれば、材質、形状は特に限定されるものではない。例えば、ガラス板、プラスチックフィルム、プラスチック板等が挙げられる。「カーボンナノチューブ層」とは、カーボンナノチューブのネットワークによって、基材に比して大きな導電性を示す層をいう。
第9の本発明は、第2の本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を基材上に塗布する、塗布工程を備える、透明電極の製造方法である。
第9の本発明において、カーボンナノチューブ分散液に弱酸の塩としてアンモニウム塩を含ませ、当該カーボンナノチューブ分散液を基材上に塗布した後、アンモニウム塩を加熱により除去する工程を備えることが好ましい。
本発明においては、分散剤として弱酸の塩及び/又は強塩基を添加することで、カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させることができる。弱酸の塩及び強塩基は、カーボンナノチューブを変質させることがなく、また、従来の分散剤と比較して極めて低濃度で分散性を発揮する。すなわち、本発明によれば、カーボンナノチューブの性能を低下させることなく有機溶媒中に分散させ得るとともに、分散剤の使用量を大幅に削減することが可能な、カーボンナノチューブ複合体、カーボンナノチューブ分散液及びそれらの製造方法、並びに、それらを用いた透明電極を提供することができる。
特に、弱酸の塩及び/又は強塩基として、熱分解によって気化・液化するようなもの(例えばアンモニウム塩)を用いた場合、加熱によって分散剤を容易に除去することができ、水洗等の洗浄処理が不要となる。すなわち、分散剤を容易に除去することが可能な、カーボンナノチューブ複合体、カーボンナノチューブ分散液及びそれらの製造方法、並びに、それらを用いた透明電極を提供することができる。
多層カーボンナノチューブ分散液の作製手順を説明するための図である。 分散剤として弱酸の塩、強塩基又は強酸の塩を用いた場合のそれぞれについて、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブの分散性の評価結果を示す図である。 多層カーボンナノチューブ分散液の作製手順を説明するための図である。 分散剤として弱酸の塩、強塩基又は強酸の塩を用いた場合のそれぞれについて、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブの分散性の評価結果を示す図である。 カーボンナノチューブ分散液の分散安定性を評価した結果を示す図である。 再分散用のカーボンナノチューブ複合体の作製手順を説明するための図である。 カーボンナノチューブ分散液に含まれる弱酸の塩の濃度と分散性との関係を評価した結果を示す図である。 カーボンナノチューブ分散液に含まれる弱酸の塩の濃度と分散性との関係を評価した結果を示す図である。 単層カーボンナノチューブ分散液の作製手順を説明するための図である。 カーボンナノチューブ分散液に含まれる弱酸の塩の濃度と分散性との関係を評価した結果を示す図である。 カーボンナノチューブ分散液に含まれる弱酸の塩の濃度と分散性との関係を評価した結果を示す図である。 カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブの孤立分散性を評価した結果を示す図である。 多層カーボンナノチューブを用いて透明電極を作製した場合における透明率と電気抵抗率との関係を示す図である。 単層カーボンナノチューブを用いて透明電極を作製した場合における透明率と電気抵抗率との関係を示す図である。 フレキシブル透明電極の耐屈曲性を評価した結果を示す図である。
従来から、カーボンナノチューブを溶媒中に分散させる方法として、カーボンナノチューブ表面を分散剤で被覆する方法が知られている。特に、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を分散剤とし、溶媒に対してSDSを1wt%溶かした「1%SDS水溶液」を用いる例が有名である。しかしながら、この分散系の場合、1wt%もの過剰な分散剤を加える必要があり、分散剤を除去する手間(水で繰り返し洗浄すること)やコストが増大する。様々な優れた特性を持つカーボンナノチューブの応用を考えると、カーボンナノチューブの性能を低下させる虞がある分散剤については、その使用量をできるだけ低減することが好ましい。
この問題に対し、本発明者らは、弱酸の塩や強塩基がカーボンナノチューブの分散性を向上させる分散剤として機能すること、当該弱酸の塩や強塩基は溶媒として有機溶媒を用いた場合に限って分散剤として機能すること、当該弱酸の塩や強塩基は従来の分散剤と比較して極めて少量で分散剤としての機能を発揮すること、等を知見して本発明を完成させた。
1.カーボンナノチューブ複合体
本発明に係るカーボンナノチューブ複合体は、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを含むことを特徴とする。
本発明において、「カーボンナノチューブ」は、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのいずれであってもよい。また、カーボンナノチューブの長さや径については特に限定されるものではない。
本発明では、従来公知のカーボンナノチューブを特に限定されることなく用いることができる。
本発明において、「弱酸の塩」は、弱酸と強塩基又は弱塩基との塩であり、陰イオンとして炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、カルボン酸イオン、硼酸イオンのいずれかを含み、陽イオンとして1価の金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンのいずれかを含む塩である。弱酸の塩としては、従来公知の弱酸の塩を特に限定されることなく用いることができる。
特に、弱酸の塩は、陽イオンとしてナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを含むものが好ましく、アンモニウムイオンを含むものがより好ましい。また、陰イオンとして、炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン又はカルボン酸イオンを含むものが好ましく、炭酸イオン、リン酸イオンを含むものがより好ましい。
弱酸の塩の好ましい具体例としては、炭酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。この中でも、例えば、炭酸アンモニウムを用いた場合、当該炭酸アンモニウムが60℃程度の加熱によって熱分解して二酸化炭素とアンモニアと水に変わることから、加熱をするだけで容易に除去することができる。炭酸水素アンモニウム等も同様である。すなわち、従来の分散剤(界面活性剤や有機高分子化合物)のように、分散剤を除去するための洗浄工程が不要であり、手間やコストを大きく削減可能である。
本発明において、「強塩基」は、水と反応して水酸化物イオンを放出する塩基であり、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物等が挙げられる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を採用できる。この中でも、特に水酸化ナトリウムが好ましい。ただし、水と反応して多価の陽イオンを放出する強塩基については、分散剤として機能しない虞があり、むしろカーボンナノチューブの凝集を生じさせる虞がある。本発明では、強塩基としてこのような多価の陽イオンを含む化合物は除外される。
本発明においては、弱酸の塩或いは強塩基が複数種類含まれていてもよい。また、弱酸の塩のみが含まれていてもよいし、強塩基のみが含まれていてもよいし、これらが双方含まれていてもよい。ただし、人体への影響が少なく取り扱い性に優れる観点から、弱酸の塩のみが含まれることが好ましく、熱分解によってさらに容易に除去できる観点から、アンモニウム塩のみが含まれることがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合体において、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基との含有比は特に限定されるものではない。本発明に係る効果を十分に発揮させる観点から、例えば、カーボンナノチューブ100質量部に対して、弱酸の塩及び/又は強塩基が0.001質量部以上10000質量部以下含有されることが好ましい。下限はより好ましくは0.01質量部以上であり、上限はより好ましくは100質量部以下である。
例えば、カーボンナノチューブ複合体を、カーボンナノチューブと上記弱酸の塩及び/又は強塩基との単なる混合物(固体状の混合物)とする場合、カーボンナノチューブに適当な量の弱酸の塩及び/又は強塩基を混合することで、弱酸の塩及び/又は無機塩の量を容易に増大させることができる。一方、後述するように、カーボンナノチューブの表面に弱酸の塩及び/又は強塩基を付着させる場合は、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基との含有比は自ずと小さなものとなる。
ただし、本発明においては、弱酸の塩及び/又は強塩基がわずかな量であっても、分散剤としての機能が十分に発揮される。分散剤の量を削減する観点からも、カーボンナノチューブ複合体における弱酸の塩及び/又は強塩基の量は、少ない方が好ましい。すなわち、カーボンナノチューブ100質量部に対して、弱酸の塩及び/又は強塩基が0.5質量部以下となるようにすることが最も好ましい。
2.カーボンナノチューブ複合体の製造方法
カーボンナノチューブ複合体は、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とが混合された単なる混合物の形態であってもよいし、カーボンナノチューブの表面に上記の弱酸の塩及び/又は強塩基が付着した形態であってもよい。特に、有機溶媒に対してカーボンナノチューブをより均一に分散できることから、後者の形態が好ましい。
前者の形態に係るカーボンナノチューブ複合体は、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを乾式で単に混合することで容易に製造可能である。一方、後者の形態に係るカーボンナノチューブ複合体は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを溶媒に添加し、弱酸の塩及び/又は強塩基をカーボンナノチューブ全体に行き渡らせた後、濾過や揮発除去等によって当該溶媒を除去することにより、カーボンナノチューブの表面に弱酸の塩及び/又は強塩基が付着してなるカーボンナノチューブ複合体を容易に製造することができる。
この場合において用いられる溶媒は、水であっても有機溶媒であってもよいが、特に有機溶媒が好ましい。有機溶媒中においては、弱酸の塩及び/又は強塩基の作用によってカーボンナノチューブが分散する結果、弱酸の塩及び/又は強塩基がカーボンナノチューブの表面に一層均一に行き渡るためである。
この場合において溶媒に添加する弱酸の塩及び/又は強塩基の量を調整することにより、カーボンナノチューブ複合体においてカーボンナノチューブに付着する弱酸の塩及び/又は強塩基の量を調整することができる。ただし、本発明においては、弱酸の塩及び/又は強塩基がわずかな量であっても、分散剤としての機能が発揮される。
3.カーボンナノチューブ分散液
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、有機溶媒中にカーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを含むことを特徴とする。すなわち、弱酸の塩や強塩基を分散剤として機能させて、カーボンナノチューブを有機溶媒中に分散させたものである。
「カーボンナノチューブ」、「弱酸の塩」及び「強塩基」については、上述した通りであり、ここでは説明を省略する。カーボンナノチューブ分散液においても、弱酸の塩や強塩基を単独で或いは複数種類用いることができる。
本発明においては、分散液の溶媒として「有機溶媒」を用いる必要がある。本発明者らの知見によれば、溶媒として水を用いた場合、弱酸の塩や強塩基は分散剤として機能せず、所望の分散効果が得られない。
有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒を特に限定されることなく用いることができる。
例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール;
アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)などのケトン;
アセトニトリル、ベンゾニトリル、4−フルオロベンゾニトリル、ペンタフルオロベンゾニトリルなどのニトリル;
トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのアミン;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピルメチルカーボネートなどのカーボネート;
酢酸エチル、酪酸メチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、ギ酸メチル、酢酸2−メトキシエチルなどのエステル;γ−ブチロラクトンなどのラクトン;
ニトロメタンなどのニトロ化合物;ベンゼン、トルエン、ヘキサフルオロベンゼンなどの芳香族化合物;
クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化アルキル;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、二流化炭素、エチルメチルスルホネート、トリメチレンスルホネート、1−メチルトリメチレンスルホネート、エチル−sec−ブチルスルホネート、エチルイソプロピルスルホネート、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルスルホネート、2,2,2−トリフルオロエチルスルホネートなどの硫黄化合物;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホラストリアミドなどのアミド;
4−メチル−1,3−ジオキソランなどのジオキソラン;
ピリジンなどの複素環式化合物;
1−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン)などのピロリドン;
ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチルなどのホウ酸エステル化合物;
トリメチルホスフェート、トリ−n−プロピルフォスフェートなどのリン酸エステル化合物;等が挙げられる。
この中でも、アルコール、ケトン、エーテル、スルホキシド、ニトリル、アミド、ピロリドン、ハロゲン化アルキルが好ましく、アルコール、ケトン、エーテル、スルホキシド、ニトリル、アミド、ピロリドンがより好ましい。
具体的には、エタノール、イソプロパノール、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、クロロホルムが好ましく、イソプロパノール、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンがより好ましい。
或いは、有機溶媒を非極性溶媒と極性溶媒とに大別した場合、極性溶媒の方が好ましい。また、当該極性溶媒を非プロトン性極性溶媒とプロトン性極性溶媒とに大別した場合、非プロトン性極性溶媒が好ましい傾向にある。ただし、プロトン性極性溶媒においても、エタノールやイソプロパノールは、非プロトン性極性溶媒と同様に極めて高い分散性を示す。
特に、透明電極製造用の分散液とする場合は、イソプロパノールまたは2−ブタノンが好ましい。取り扱い性に優れるとともに、プラスチック基材に対して一層均一に塗布でき、除去も容易だからである。
有機溶媒に含まれる弱酸の塩及び強塩基の濃度(双方含まれる場合は合計の濃度)については、特に限定されるものではない。特に本発明では、弱酸の塩及び/又は強塩基がごくわずかな量含まれるだけで、カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させることが可能である。具体的には、有機溶媒における弱酸の塩及び強塩基の濃度が、質量基準で500ppm以下(0.05質量%以下)であっても、分散剤としての効果が発揮される。200ppm以下、さらには100ppm以下であってもよい。下限は特に限定されるものではないが、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上である。
有機溶媒におけるカーボンナノチューブの含有量は特に限定されるものではないが、有機溶媒1mlに対し、カーボンナノチューブを0.001mg以上10mg以下となるようにすると、分散性の一層高いカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。下限は好ましくは0.01mg以上であり、上限は好ましくは2.5mg以下である。
4.カーボンナノチューブ分散液の製造方法
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、例えば、カーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを有機溶媒に添加することで、容易に製造することができる。また、上述のカーボンナノチューブ複合体を有機溶媒に添加することによっても、容易に製造可能である。
カーボンナノチューブ分散液の製造にあたっては、有機溶媒にカーボンナノチューブと弱酸の塩及び/又は強塩基とを含ませた後、超音波照射や遠心分離を行うことが好ましい。超音波を照射することによって、カーボンナノチューブの分散性が一層向上する。また、遠心分離を行うことで、分散しきれなかったカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブの凝集体)を除去することができ、カーボンナノチューブがより均一に分散された分散液を得ることができる。
5.カーボンナノチューブの分散方法
本発明は、カーボンナノチューブの分散方法としての側面も有する。すなわち、分散剤として弱酸の塩及び/又は強塩基を用いた、有機溶媒におけるカーボンナノチューブの分散方法である。
従来常識では、カーボンナノチューブ分散液にヨウ化ナトリウム(強酸の塩)を添加した場合、カーボンナノチューブが凝集することが知られており、分子動力学のシミュレーション及び実際の実験でも確認されていた(Chem. Sci., 3, 541-548 (2012))。この結果から、無機塩はカーボンナノチューブの分散剤としては機能しないと考えられてきた。
しかしながら、本発明者らの鋭意研究により、弱酸の塩或いは強塩基にあっては、有機溶媒中に限って、カーボンナノチューブを分散させる分散剤として機能し得ることを初めて見出したのである。
6.透明電極
本発明は透明電極としての側面も有する。すなわち、基材の表面にカーボンナノチューブ層を有する透明電極であって、カーボンナノチューブ層の一部に、弱酸の塩及び/又は強塩基が存在している、透明電極である。すなわち、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を用いたことにより、分散剤として弱酸の塩及び/又は強塩基が一部残存しているような形態である。ただし、本発明では、従来の分散剤と比較して、弱酸の塩及び/又は強塩基が極めてわずかな量であっても、カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させることが可能であることから、結果として、透明電極とした場合においても、弱酸の塩及び/又は強塩基の残存はごくわずかとなる。すなわち、分散剤の存在によってカーボンナノチューブの導電性が損なわれるようなことがない。
或いは、後述するように、弱酸の塩としてアンモニウム塩等の熱分解によって液化・気化するものを用いた場合、カーボンナノチューブ層に残存する弱酸の塩を加熱によって容易に除去することができる。
「基材」については、材質や形状等、特に限定されるものではなく、従来の透明電極と同様のものを用いることができる。例えば、透明ガラス板、透明プラスチックフィルム(シート)、透明プラスチック板等である。フレキシブル透明電極とする場合は、透明プラスチックフィルム(シート)や透明プラスチック板を用いることが好ましい。
透明電極を構成するカーボンナノチューブ層の厚みについても特に限定されるものではなく、従来の透明電極と同様の厚みとすることができる。
7.透明電極の製造方法
本発明に係る透明電極は、例えば、以下の製造方法により容易に製造することができる。すなわち、上述のカーボンナノチューブ分散液を基材上に塗布する工程を備える、透明電極の製造方法である。
基材への塗布手段については、特に限定されるものではなく、従来公知の手段を適用可能である。
上述の通り、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、溶媒として有機溶媒を用いている。そのため、プラスチック表面との親和性が高く、当該分散液が基材表面で弾かれることなく、均一に塗布することができる。また、上述の通り、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を用いることで、従来の分散剤を用いた場合よりも洗浄の手間やコストを抑えつつ、透明電極を容易に製造することができる。すなわち、本発明に係る透明電極の製造方法によれば、カーボンナノチューブ層の剥離や荒れが少なく、カーボンナノチューブ層が均一に形成された透明電極とすることができる。
特に、カーボンナノチューブ分散液に弱酸の塩として熱分解性のアンモニウム塩を含ませることが好ましい。すなわち、カーボンナノチューブ分散液を基材上に塗布した後、当該アンモニウム塩を加熱により除去する工程を備える製造方法とすることで、カーボンナノチューブ層の剥離や荒れの原因となる洗浄工程を省略することができる。その結果、カーボンナノチューブ層の耐屈曲性や導電性に一層優れた透明電極を製造することができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳述するが、本発明は以下の実施例に記載された具体的な形態に限定されるものではない。
1.多層カーボンナノチューブについて
実験1:多層カーボンナノチューブの分散性の評価
実験1−1:有機溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を用いた場合
図1に示す手順で、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を有機溶媒中に分散させた。すなわち、サンプルビンに、5mlの有機溶媒と、1mg(0.02質量%)の弱酸の塩、強塩基、又は、強酸の塩と、10mg(有機溶媒に対するCNT濃度:2mg/ml)のMWCNTとを量り入れ、バス型超音波洗浄機を用いて15℃一定になるように冷却しつつ1時間超音波を照射した。その後、分散しきれなかったMWCNT凝集体を遠心分離により除去し、上澄み液をカーボンナノチューブ分散液として得た。
各分散液について、カーボンナノチューブの分散性(分散したカーボンナノチューブの量)を評価した。結果を図2に示す。尚、図2において、酢酸カリウム(AcK)、酢酸アンモニウム(AcNH)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、リン酸カリウム(KPO)、リン酸アンモニウム((NHPO)、リン酸水素アンモニウム((NHHPO)、リン酸二水素アンモニウム((NH)HPO)が弱酸の塩に相当し、水酸化ナトリウム(NaOH)が強塩基に相当し、塩化カリウム(KCl)、塩化アンモニウム(NHCl)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、硫酸カリウム(KSO)、硫酸アンモニウム((NHSO)が強酸の塩に相当する。
図2に示す結果から明らかなように、何も添加しない場合(None)においてもわずかながら、カーボンナノチューブが分散しており、DMAc自体にカーボンナノチューブ分散能が確認された。
強酸の塩を添加した場合については、カーボンナノチューブは分散せず、何も添加しない場合(None)に比べて分散性が低下(すなわち凝集)することが分かった。ただし、硫酸カリウムについては例外的に、ごくわずかではあるが分散性の向上が認められた。
一方、弱酸の塩又は強塩基を添加した場合については、何も添加しない場合(None)に比べて、カーボンナノチューブの分散性が大きく向上することが分かった。弱酸の塩又は強塩基による分散性は、1%SDS水溶液を用いて同じカーボンナノチューブを同濃度で分散させた場合に匹敵するほどであった。
実験1−2:有機溶媒として2−ブタノンを用いた場合
図3に示す手順で、MWCNTを有機溶媒中に分散させた。すなわち、サンプルビンに、5mlの有機溶媒と、1mg(0.02質量%)の弱酸の塩、強塩基、又は、強酸の塩と、10mg(有機溶媒に対するCNT濃度:2mg/ml)のMWCNTとを量り入れ、バス型超音波洗浄機を用いて15℃一定になるように冷却しつつ2時間超音波を照射した。その後、分散しきれなかったMWCNT凝集体を遠心分離により除去し、上澄み液をカーボンナノチューブ分散液として得た。
各分散液について、カーボンナノチューブの分散性(分散したカーボンナノチューブの量)を評価した。結果を図4に示す。図4に示す結果から明らかなように、何も添加しない場合(None)において、無色透明の液体となり、2−ブタノン自体にカーボンナノチューブの分散能は確認されなかった。
強酸の塩を添加した場合についても、何も添加しない場合(None)と同様に無色透明の液体となり、カーボンナノチューブを分散させることはできなかった。
一方、弱酸の塩又は強塩基を添加した場合については、何も添加しない場合(None)に比べて、カーボンナノチューブの分散性が大きく向上することが分かった。
実験2:分散液の安定性の評価
多層カーボンナノチューブ濃度を1mg/mlとした以外は、実験1−1と同様の方法でカーボンナノチューブ分散液を得た。得られた分散液を加熱攪拌(50℃又は100℃、1時間)し、分散液の安定性を確認した。結果を図5に示す。図5に示す結果から明らかなように、各分散液は加熱攪拌後も80%以上の高い分散性を保持していた。これは上述の1%SDS水溶液に匹敵する。また、各分散液を半年間静置しても、凝集体のない安定な分散状態を保持していた。
尚、酢酸アンモニウムや炭酸アンモニウム(アンモニウム塩)については、100℃において分散性が失われている。熱分解によってアンモニウム塩が失われたためと考えられる。アンモニウム塩については、低温において高い分散性を発揮する一方、加熱によって容易に除去可能と言える。
実験3:溶媒の種類を変更した場合の評価
DMAcに替えて下記表1に示す溶媒を用いたこと以外は実験1−1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得て、その分散性を以下の評価基準で評価した。弱酸の塩として炭酸アンモニウム、リン酸カリウム、酢酸カリウムを用いた場合の結果を下記表1に示す。
〇:分散可(上澄み液が黒色透明)
△:分散可(上澄み液が薄黒色透明、分散量低め)
×:分散不可(上澄み液が無色透明)
表1に示す結果から明らかなように、DMAcに限らず、有機溶媒においてはカーボンナノチューブを分散させることができた。一方、水においてはカーボンナノチューブを分散させることができなかった。
実験4:再分散性の評価
実験1−1と同様にして得られたカーボンナノチューブ分散液(弱酸の塩としてリン酸カリウム、又は、強塩基として水酸化ナトリウムを添加)を、図6に示す手順で濾過及び共洗いし、カーボンナノチューブ複合体を得た。すなわち、分散液の濾過、有機溶媒による共洗い、固形分の回収、及び、回収した固形分の有機溶媒への分散を5回繰り返し、メタノールで置換後、乾燥させて最終的に得られた固形分(カーボンナノチューブ複合体)を下記表2に示す各種溶媒に添加して再分散可能か評価した。評価基準は実験3と同様とした。結果を下記表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、有機溶媒に対しては、カーボンナノチューブ複合体を添加するだけで再分散可能であった。一方、水に対しては、再分散はできなかった。
尚、表2に示す結果から明らかなように、有機溶媒の中でも、極性溶媒に対して良好に再分散させることができた。
実験5:多層カーボンナノチューブの種類(チューブ径)を変更した場合の評価
下記表3に示す弱酸の塩或いは強酸の塩を用い、且つ、多層カーボンナノチューブとして下記表3に示すような直径の異なるものを用いたこと以外は、実験1と同様にしてDMAcにおけるカーボンナノチューブの分散性を評価した。評価基準は実験3と同様とした。結果を下記表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、弱酸の塩については、カーボンナノチューブの直径によらず、分散剤として機能することが分かった。一方、強酸の塩については、硫酸カリウムが分散剤として機能したものの、その他のものについては分散剤として機能しなかった。
実験6:多層カーボンナノチューブの濃度
分散剤としてリン酸カリウムを用いた場合、カーボンナノチューブの濃度を2.5mg/mlと高濃度とした場合においても、カーボンナノチューブを分散させることができた。
実験7:分散剤の濃度
実験7−1:有機溶媒としてDMAcを用いた場合
弱酸の塩として炭酸アンモニウムを用い、当該炭酸アンモニウムの濃度を変化させたこと以外は、実験1−1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得て、炭酸アンモニウムの必要最小限の濃度を確認した。結果を図7に示す。図7に示す結果から明らかなように、炭酸アンモニウム濃度が2ppm(0.0002質量%)の極めて希薄な条件でも、MWCNTを分散することができた。炭酸アンモニウムを加えない場合と比較しても、たったの2ppm加えるだけで飛躍的に分散性が向上しており、炭酸アンモニウムが分散に大きく関与していることが分かった。
実験7−2:有機溶媒として2−ブタノンを用いた場合
弱酸の塩として炭酸アンモニウムを用い、当該炭酸アンモニウムの濃度を変化させたこと以外は、実験1−2と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得て、炭酸アンモニウムの必要最小限の濃度を確認した。また、参考データとして、公知の分散剤であるSDSおよびコール酸ナトリウム(SDSよりもカーボンナノチューブとの相互作用が強いことが知られている)水溶液について、その濃度を変化させてカーボンナノチューブの分散性を評価した。結果を図8に示す。図8に示す結果から明らかなように、炭酸アンモニウム濃度が3ppm(0.0003質量%)の極めて希薄な条件でも、MWCNTを分散することができた。炭酸アンモニウムを加えない場合と比較しても、たったの3ppm加えるだけで飛躍的に分散性が向上しており、炭酸アンモニウムが分散に大きく関与していることが分かった。
一方、SDSおよびコール酸ナトリウム水溶液にあっては、10ppmの濃度としても、カーボンナノチューブの分散性は確認できなかった。
実験8:DMAc溶媒に対する分散剤の溶解性
DMAc溶媒に対する弱酸の塩、強酸の塩の溶解性を確認した。結果を下記表4に示す。表4に示す通り、DMAcに対する溶解性と、DMAcにおけるカーボンナノチューブの分散性との間に相関性は認められない。
2.単層カーボンナノチューブについて
実験9:単層カーボンナノチューブの分散性の評価
実験9−1:有機溶媒としてDMAcを用いた場合
図9に示す手順で、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を有機溶媒中に分散させた。すなわち、サンプルビンに、10mlの有機溶媒(下記表5)と、1mg(0.01質量%)の弱酸の塩(下記表5)、強塩基(下記表5)、又は、強酸の塩(下記表5)と、0.1mg(有機溶媒に対するCNT濃度:0.01mg/ml)のSWCNTとを量り入れ、バス型超音波洗浄機を用いて15℃一定になるように冷却しつつ2時間超音波を照射した。遠心分離により分散しきれなかったSWCNT凝集体を除去し、上澄み液をカーボンナノチューブ分散液として得た。得られたカーボンナノチューブ分散液の分散性について、実験3と同様の評価基準で評価した。結果を下記表5に示す。
表5に示す結果から明らかなように、様々な有機溶媒において、弱酸の塩又は強塩基は、カーボンナノチューブの分散剤として機能し得ることがわかった。特にテトラヒドロフランや2−ブタノンを用いた場合に高い分散性を示す傾向にあった。
実験9−2:有機溶媒として2−ブタノンを用いた場合
溶媒として2−ブタノンを用いたこと、濃度を変化(2ppm、10ppm、25ppm、125pm)させて弱酸の塩として炭酸アンモニウムを加えたこと以外は、実験9−1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。得られた分散液に対し、光吸収度を確認した。結果を図10に示す。図10において、縦軸のAbsorbanceの値が大きいほど、高い分散性を示す。
図10に示す結果から明らかなように、炭酸アンモニウムの濃度が10ppm(0.001質量%)や25ppm(0.0025質量%)の極めて希薄な条件でも、SWCNTを分散することができた。
図10において、波長626nmでの吸収強度の値を用いて、各分散液の分散性を比較した。結果を図11に示す。図11においては、濃度125ppmの場合の吸収強度(0.95)を100%とした。図11に示す結果から明らかなように、本実験条件においては、10ppm以上の濃度においてカーボンナノチューブを分散可能であることがわかった。
実験10:単層カーボンナノチューブの種類を変更した場合の評価
溶媒としてDMAc、弱酸の塩としてリン酸カリウム、SWCNTとしてUnidym社のHiPco法により得られたSWCNT或いはSouthWest NanoTechnologies社のCoMoCAT法により得られたSWCNTを用いて、実験9−1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。得られた分散液はいずれも黒色であり、SWCNTが分散した状態であった。尚、各SWCNTの物性を以下に示す。
SWCNT(HiPco法):直径0.8〜1.2nm、長さ100〜1000nm、炭素純度85%以上
SWCNT(CoMoCAT法):直径0.7〜1.4nm、炭素純度90%以上
実験11:単層カーボンナノチューブの孤立分散性の評価
有機溶媒としてテトラヒドロフラン、弱酸の塩として炭酸アンモニウムを用い、実験9−1と同様の方法で単層カーボンナノチューブを分散させて、カーボンナノチューブ分散液を得た。
各分散液の光吸収スペクトルを確認した。結果を図12に示す。尚、カーボンナノチューブの塊がほぐれてチューブが一本ずつバラバラに分散したものが増加すると、光吸収スペクトルにおいて複数の鋭いピークが現れる。
図12に示す結果から明らかなように、テトラヒドロフランと炭酸アンモニウムとの組み合わせにあっては、比較的弱い分散処理であるバス型超音波照射や遠心分離を行うだけで、カーボンナノチューブをバラバラに分散できていることがわかる。
実験12:透明電極への適用
<透明電極の作製>
(分散剤として炭酸アンモニウム(弱酸の塩)を用いた場合)
イソプロパノール10mlに炭酸アンモニウムを1mg、多層または単層カーボンナノチューブ(多層:2.5mg、単層:1mg)を加え、バス型超音波洗浄機を用いて15℃で2時間超音波照射を行った。その後、遠心分離を行い、上澄みをカーボンナノチューブ分散液とした。分散液を80℃に加熱したホットプレート上のガラス基板にスプレーし、透明電極(以下、多層CNTを適用したものを透明電極1、単層CNTを適用したものを透明電極2とする)を得た。
同様の操作でプラスチック基板(PETフィルム、厚み100μm)上へのスプレーを行い、透明電極(以下、多層CNTを適用したものを透明電極3、単層CNTを適用したものを透明電極4とする)を作製した。
(分散剤としてSDSを用いた場合)
蒸留水10mlにSDSを100mg、多層または単層カーボンナノチューブ(多層:2.5mg、単層:1mg)を加え、バス型超音波洗浄機を用いて15℃で2時間超音波照射を行った。その後、遠心分離を行い、その上澄みを分散液とした。分散液を100℃に加熱したホットプレート上のガラス基板にスプレーし、透明電極(以下、多層CNTを適用したものを透明電極5、単層CNTを適用したものを透明電極6とする)を複数作製した。
作製した透明電極5又は透明電極6を水に2時間浸漬することで洗浄し、ホットプレート上で50℃にて1時間、さらに100℃にて1時間加熱し乾燥させて透明電極(以下、多層CNTを適用したものを透明電極7、単層CNTを適用したものを透明電極8とする)を得た。
一方、透明電極7又は透明電極8を濃硝酸に3時間浸漬後、前述の水洗浄および乾燥を行い、透明電極(以下、多層CNTを適用したものを透明電極9、単層CNTを適用したものを透明電極10とする)を得た。
作製した各透明電極の情報をまとめると下記表6の通りとなる。
<透明電極の評価>
作製した透明電極1〜10は、目視において、いずれも均一な表面状態であった。
透明電極1、2、5、7、8及び10について、透過率と表面抵抗値とを測定した。図13に透明電極1、5及び7の透過率と表面抵抗値との関係を、図14に透明電極2、8及び10の透過率と表面抵抗値との関係を、それぞれ示す。
図13、14に示す結果から明らかなように、分散剤としてSDSを用いた場合では、水洗浄前(透明電極5)と水洗浄後(透明電極7)とで大きく表面抵抗値が異なり、SDS自体が絶縁性不純物となっていることが分かる。
また、分散剤として炭酸アンモニウムを用いた場合(透明電極1、2)と水洗浄後のSDSの場合(透明電極7、8)とを比較すると、炭酸アンモニウムを用いた場合の方が低い表面抵抗値を示し、導電性に優れることが分かる。
さらに、SDSを用いた透明電極を水洗浄後にさらに酸洗浄を行った場合(透明電極10)、表面抵抗値が炭酸アンモニウムを用いた場合(透明電極2)と同等となった。このことから、SDSの完全除去は水洗浄のみでは難しく、酸洗浄などの厳しい洗浄工程が必要であることが示唆される。
透明電極のカーボンナノチューブ層に分散剤が残存しているか検証するため、X線光電子分光(XPS)測定を行った。その結果、SDSを用いた透明電極は水洗浄後においても分散剤であるSDSが残存していること、酸洗浄後には完全除去できていることが分かった。一方、炭酸アンモニウムを用いた場合には窒素に由来するシグナルが検出されなかったことから、スプレー時の加熱によって熱分解して除去されていることが明らかとなった。
以上の結果から、炭酸アンモニウムを分散剤として用いることで水や酸による洗浄工程を必要とせず、簡便に高性能な透明電極を作製可能であることが分かった。
透明電極3について、フレキシブル透明電極としての性能を評価した。結果を図15に示す。図15に示す結果から明らかなように、透明電極3は高い耐屈曲性を有しており、曲げ操作を300回繰り返しても表面抵抗値の変化は起きなかった。
以上、現時点において、最も実践的であり、且つ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うカーボンナノチューブ複合体、カーボンナノチューブ分散液及びそれらの製造方法、カーボンナノチューブの分散方法、並びに、透明電極及びその製造方法もまた本発明の技術範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合体や分散液は、タッチパネルやディスプレイ、太陽電池、透明トランジスタの透明電極を製造する場合等に好適に利用可能である。

Claims (9)

  1. 有機溶媒中にカーボンナノチューブと分散剤として弱酸の塩とを含み、
    前記弱酸の塩が、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれるいずれか1種以上であり、
    前記有機溶媒1mlに対し、前記カーボンナノチューブを0.001mg以上10mg以下含む、
    カーボンナノチューブ分散液。
  2. 前記有機溶媒に含まれる前記弱酸の塩の濃度が、質量基準で0.5ppm以上500ppm以下である、請求項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  3. 前記有機溶媒が、アルコール、ケトン、エーテル、スルホキシド、ニトリル、アミド及びピロリドンから選ばれるいずれかである、請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  4. 前記有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンから選ばれるいずれかである、請求項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
  5. カーボンナノチューブと分散剤として弱酸の塩とを有機溶媒に添加する工程を備え
    前記弱酸の塩が、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれるいずれか1種以上であり、
    前記有機溶媒1mlに対し、前記カーボンナノチューブを0.001mg以上10mg以下含ませる、
    カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  6. 分散剤として弱酸の塩を用いた、有機溶媒におけるカーボンナノチューブの分散方法であって、
    前記弱酸の塩が、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれるいずれか1種以上であり、
    前記有機溶媒1mlに対し、前記カーボンナノチューブを0.001mg以上10mg以下含ませる、
    分散方法。
  7. 請求項のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液を基材上に塗布する工程を備える、透明電極の製造方法。
  8. 前記カーボンナノチューブ分散液に弱酸の塩としてアンモニウム塩を含ませ、
    該カーボンナノチューブ分散液を基材上に塗布した後、前記アンモニウム塩を加熱により除去する工程を備える、請求項に記載の製造方法。
  9. 有機溶媒中にカーボンナノチューブを分散させるために用いられる分散剤であって、
    アルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選ばれるいずれか1種以上の弱酸の塩からなる、
    分散剤。
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