JP6179173B2 - ホログラフィック光学素子の製造方法並びに当該製造方法によって製造されたホログラフィック光学素子を備えるホログラフィック光コンバイナ - Google Patents
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Description
sin(φ1)≧n/n0
を満たすよう、設定されており、前記ホログラフィック光学素子の製造方法は、前記第1基材と、前記第1基材上に設けられた前記感光材と、を含む積層体を準備する工程と、前記波長λ1よりも長波長の波長λ2の物体光および参照光を前記積層体に入射させて、前記感光材に前記干渉縞を形成する記録工程と、を備え、前記物体光および前記参照光のうちの一方は、前記第1基材側から前記積層体に入射し、前記物体光および前記参照光のうちの他方は、前記第1基材の反対側から前記積層体に入射し、前記物体光および前記参照光のうち前記第1基材側から前記積層体に入射して前記感光材に到達した光の進行方向と、前記ホログラフィック光学素子の法線方向との間の角度φ3が、以下の関係式
sin(φ3)<n/n0
を満たしている、ホログラフィック光学素子の製造方法である。
sin(φ4)<n/n0
を満たしていてもよい。
まず図1により、本実施の形態によるホログラフィック光学素子10について説明する。ここでは、ホログラフィック光学素子10に含まれる後述するホログラム層が、反射型体積ホログラムとして構成されている例について説明する。なお以下の説明において、ホログラフィック光学素子10のことを単に光学素子10と称することもある。
(2d)×sin(δ1)=k×λ1…(式1)
ここでkは任意の整数である。なお本実施の形態において、干渉縞35に到達する第1再生照明光L11の進行方向は予め定められており、例えば上述のように光学素子10の法線方向に平行な方向となっている。従って、角度φが定まれば角度δ1を算出することができる。具体的には、本実施の形態において、角度δ1は角度φに等しい。このように、角度φと角度δ1とは一対一の関係にある。このため、上記の式1を満たすように角度δ1を設定することは、上記の式1を満たすように角度φを設定することと同義である。
上記の式1を満たすよう角度φが設定されている場合、第1再生照明光L11は、干渉縞35によって高い回折効率で回折され、これによって第1再生光L12が生成される。生成された第1再生光L12は、第1基材20に向かって進むようになる。
sin(θ1)≧n/n1…(式2)
なお図1に示すように、干渉縞35に到達するときに第1再生照明光L11と干渉縞とが成す角、および、干渉縞35による回折によって生成された第1再生光L12と干渉縞とが成す角は、いずれも上述の角度δ1である。また本実施の形態において、干渉縞35に到達する第1再生照明光L11の進行方向は予め定められており、例えば上述のように光学素子10の法線方向に平行な方向となっている。従って、角度φが定まれば、角度φと、第1基材の屈折率n1およびホログラム層30の感光材の屈折率n0とに基づいて、入射角θ1を算出することができる。すなわち、角度φと入射角θ1とは一対一の関係にある。このため、上記の式2を満たすように入射角θ1を設定することは、上記の式2を満たすように角度φを設定することと同義である。
上記の式2を満たすよう角度φが設定されている場合、図1に示すように、光学素子10の第1表面11において第1再生光L12が全反射される。また図示はしないが、第1表面11において全反射された後に第2基材40に入射した第1再生光L12は、第2表面12においても同様に全反射される。本実施の形態によれば、このように第1再生光L12が光学素子10の内部で全反射を繰り返すことにより、光学素子10の内部で第1再生光L12を低損失で伝導させることができる。すなわち、光学素子10は、反射型ホログラムとして機能するだけでなく、光学素子10が延びる方向に沿って第1再生光L12を伝導させる光伝導体としても機能することができる。このため、第1再生照明光L11の光源から離れた任意の箇所において第1再生光L12を光学素子10から取り出すことが可能になる。このことにより、光学素子10の利便性を高め、光学素子10の応用分野を広げることができる。
sin(φ1)≧n/n0…(式3)
ここでφ1は、干渉縞35における回折によって生成された第1再生光L12のホログラム層30における進行方向と、光学素子10の法線方向との間の角度を表している。
φ1=180−2×φ…(式4)
従って、上記の式3は、以下のように表すこともできる。
sin(180−2×φ)≧n/n0…(式5)
はじめに、第1基材20と、第1基材20上に設けられた感光材と、第1基材20との間で感光材を挟持する第2基材40と、を含む積層体を準備する。また、感光材に干渉縞35を形成するための物体光L31および参照光L41を、積層体に入射させる。ここでは、物体光L31が、第1基材20によって構成される第1表面11に入射角θ5で入射し、参照光L41が、第2基材40によって構成される第2表面12に入射角θ6で入射する。
n×sin(θ5)=n1×sin(θ3)…(式6)
sin(θ3)<n/n1…(式7)
sin(φ3)<n/n0…(式8)
ここでφ3は、第1基材20から感光材に入射した物体光L31の感光材における進行方向と、光学素子10の法線方向との間の角度を表している。式8を満たすことができるよう、光学素子10の第1表面11に対する物体光L31の入射角を設定することにより、プリズムブロックなどの治具を用いることなく、簡易な設備で干渉縞35を記録することができるようになる。
n×sin(θ6)=n2×sin(θ4)…(式9)
sin(θ4)<n/n2…(式10)
sin(φ4)<n/n0…(式11)
ここでφ4は、第2基材40から感光材に入射した参照光L41の感光材における進行方向と、光学素子10の法線方向との間の角度を表している。式11を満たすことができるよう、光学素子10の第2表面12に対する参照光L41の入射角を設定することにより、プリズムブロックなどの治具を用いることなく、簡易な設備で干渉縞35を記録することができるようになる。
(2d)×sin(δ2)=l×λ2…(式12)
ここでlは任意の整数である。この式12および上述の式1を満たすよう、感光材に対する物体光L31の入射角φ3および参照光L41の入射角φ4、並びに物体光L31および参照光L41の波長λ2を設定することにより、光学素子10の内部で全反射することができる第1再生光L12を生成することができる干渉縞35を、大気から第1表面11を介して光学素子10に入射した物体光L31を用いて記録することができるようになる。
sin(δ1)/λ1=sin(δ2)/λ2…(式13)
ここで上述のように、角度δ1は、干渉縞35が光学素子10の法線方向との間で成す角φに等しい。
また図2に示されている幾何学的な関係から、角度φ、φ3、δ2の間には以下の関係式が成立している。
δ2=180−φ−φ3…(式14)
同様に図2に示されている幾何学的な関係から、角度φ、φ4、δ2の間には以下の関係式が成立している。
δ2=φ+φ4…(式15)
これらの関係式を考慮すると、本実施の形態において、第1再生照明光L11の波長λ1と、物体光L31および参照光L41の波長λ2との間の関係を、以下のように表すこともできる。
sin(φ)/λ1=sin((180−φ3+φ4)/2)/λ2…(式16)
・波長λ1:550nm、波長λ2:647nm
・波長λ1:460nm、波長λ2:532nm
これらの組合せや、上述の各式から明らかなように、通常は、物体光L31および参照光L41の波長λ1は、第1再生照明光L11の波長λ1よりも長波長のものとなっている。
次に、本実施の形態の効果を、比較の形態と比較して説明する。図4は、比較の形態において、感光材に干渉縞35を形成する方法を示す図である。
図3Aに示すように、光コンバイナ50は、光伝導媒体55と、光伝導媒体55の長手方向の両端に設けられた一対の光学素子10と、を備えている。なお、以下の説明において、光伝導媒体55の長手方向における一方の端部、具体的には図3Aに示す左側の端部に取り付けられている光学素子10を、第1光学素子10Aと称し、光伝導媒体55の長手方向における他方の端部、具体的には図3Aに示す右側の端部に取り付けられている光学素子10を、第2光学素子10Bと称することもある。また図3Aにおいて、光伝導媒体55の長手方向に平行に延びる光伝導媒体55の一対の表面がそれぞれ符号51,52で表されている。
同様に、光伝導媒体55から入射した第1再生光L12を適切に外部に取り出すことができる限りにおいて、第2光学素子10Bと光伝導媒体55との組み合わせ方法が限られることはない。例えば図3Bに示すように、第2光学素子10Bが光伝導媒体55の第1表面51または第2表面52に取り付けられていてもよい。
屈折率の異なる2つの物質の界面に光が入射するとき、p偏光とs偏光では界面における反射率が異なることが知られている。具体的には、p偏光の反射率は、入射角を0度から増加するにつれて減少し、ブリュースター角と呼ばれる所定の角度で0になる。ブリュースター角を超えて入射角をさらに増加させると、p偏光の反射率は増加していく。一方、s偏光の反射率は、入射角を0度から増加するにつれて単調に増加する。
また上述の本実施の形態において、第1基材20の第1表面11と平行な第2表面12を有する第2基材40が光学素子10に設けられる例を示したが、これに限られることはない。感光材における進行方向と光学素子10の法線方向とが成す角度φ4が上述の各式を満たすよう、参照光L41を感光材に入射させることができる限りにおいて、様々な層構成の光学素子10を採用することができる。
また上述の本実施の形態において、物体光L31が第1表面11から入射され、参照光L41が第2表面12から入射される例を示したが、これに限られることはない。例えば、参照光L41を第1表面11から入射させ、物体光L31を第2表面12から入射させることによって、感光材に干渉縞35を形成する記録工程を実施してもよい。
20 第1基材
30 ホログラム層
35 干渉縞
40 第2基材
50 ホログラフィック光コンバイナ
55 光伝導媒体
60 変調器
70 光合成部
L11 第1再生照明光
L12 第1再生光
L21 第2再生照明光
L22 第2再生光
L31 物体光
L41 参照光
L51 外界光
Claims (5)
- nの屈折率を有する媒質を通って入射する波長λ1の第1再生照明光を回折するホログラフィック光学素子の製造方法であって、
前記ホログラフィック光学素子は、前記第1再生照明光が入射する側から順に積層された第1基材およびホログラム層を備え、
前記ホログラム層は、n0の屈折率を有する感光材と、前記感光材に間隔dで形成された干渉縞であって、前記ホログラフィック光学素子の法線方向に対して角度φを成す方向に延びる干渉縞と、を含み、
前記干渉縞の前記角度φは、前記ホログラフィック光学素子の法線方向に沿って前記ホログラフィック光学素子の前記第1基材に入射した前記第1再生照明光が前記ホログラム層の前記干渉縞によって回折されることによって生成される第1再生光の、前記ホログラム層における進行方向と、前記ホログラフィック光学素子の法線方向との間の角度φ1が、以下の関係式
sin(φ1)≧n/n0
を満たすよう、設定されており、
前記ホログラフィック光学素子の製造方法は、
前記第1基材と、前記第1基材上に設けられた前記感光材と、を含む積層体を準備する工程と、
前記波長λ1よりも長波長の波長λ2の物体光および参照光を前記積層体に入射させて、前記感光材に前記干渉縞を形成する記録工程と、を備え、
前記物体光および前記参照光のうちの一方は、前記第1基材側から前記積層体に入射し、前記物体光および前記参照光のうちの他方は、前記第1基材の反対側から前記積層体に入射し、
前記物体光および前記参照光のうち前記第1基材側から前記積層体に入射して前記感光材に到達した光の進行方向と、前記ホログラフィック光学素子の法線方向との間の角度φ3が、以下の関係式
sin(φ3)<n/n0
を満たしており、
前記ホログラフィック光学素子は、前記第1基材との間で前記ホログラム層を挟持するよう設けられた第2基材をさらに備え、
前記記録工程において、前記物体光および前記参照光のうち前記第2基材側から前記積層体に入射して前記感光材に到達した光の進行方向と、前記ホログラフィック光学素子の法線方向との間の角度φ4が、以下の関係式
sin(φ4)<n/n0
を満たしており、
前記角度φ4は、前記ホログラフィック光学素子の法線方向に対して前記角度φ3とは反対の側に形成されている、ホログラフィック光学素子の製造方法。 - 前記物体光および前記参照光として、前記積層体と媒質との界面においてp偏光となる光が用いられる、請求項1に記載のホログラフィック光学素子の製造方法。
- 前記物体光および前記参照光のうち前記積層体の前記第1基材に入射する光の入射角は、前記第1基材と前記媒質との界面における反射率が1%以下となるよう設定されている、請求項2に記載のホログラフィック光学素子の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法によってホログラフィック光学素子を製造する工程と、
前記干渉縞によって回折され、前記第1基材と前記媒質との界面において全反射した後に光伝導媒体に入射した前記第1再生照明光を伝導させる光伝導媒体を前記ホログラフィック光学素子に取り付ける工程と、
前記光伝導媒体から入射した前記第1再生照明光をその他の光と合成する光合成部を前記光伝導媒体に取り付ける工程と、を備える、ホログラフィック光コンバイナの製造方法。 - 前記光合成部が、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたホログラフィック光学素子を含む、請求項4に記載のホログラフィック光コンバイナの製造方法。
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