JP6177595B2 - 皮膚化粧料 - Google Patents
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しかし、これらの皮膚化粧料は、保湿効果及び継続使用した時の保湿効果が十分満足できるものではないという問題があった。
しかし、前記クズイモの抽出物であるヒカマエキスは、濃度を高くした場合、皮膚刺激が強くなり、人によっては炎症を起こすという問題がある。また、前記ヒカマエキスは、肌に十分満足できるなめらかさを付与できるものではなく、継続使用した時の保湿効果も得られないという問題があった。
本発明の皮膚化粧料は、水膨潤性粘土鉱物(以下、「(A)成分」と称することがある)と、ヒカマエキス(以下、「(B)成分」と称することがある)と、を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記(A)成分としての水膨潤性粘土鉱物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ヘクトライト、スチブンサイトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、べたつきのなさ、なめらかさ、継続使用した時の保湿効果の点で、モンモリロナイト、ヘクトライトが好ましく、膨潤力が50mL/2g以上であるモンモリロナイトが特に好ましい。
−ベントナイトの膨潤力の試験方法(第十五改正日本薬局方)−
測定試料(ベントナイト)2.0gをとり、水100mLを入れた100mLメスシリンダーに10回に分けて加える。ただし、先に加えた前記測定試料がほとんど沈着した後、次の測定試料を加える。これを24時間放置するとき、容器の塊の見かけの容積は20mLの目盛り以上である。
即ち、前記試験方法において、測定試料を、ベントナイトからモンモリロナイトに変えること以外は、前記試験方法と同様の方法で、該モンモリロナイトの膨潤力を求めることができる。
前記(A)成分の市販品の具体例としては、商品名で、クニピアG(膨潤力50mL/2g以上、クニミネ工業株式会社製)、クニピアF(膨潤力45mL/2g以上、クニミネ工業株式会社製)、ベンゲルFW(膨潤力35mL/2g、HOJUN株式会社製)等のモンモリロナイト;スメクトンSA(クニミネ工業株式会社製)等のサポナイト;HECTABRITE AW(株式会社ボルクレイ・ジャパン製)、合成ヘクトライト(クニミネ工業株式会社製)等のヘクトライト;イオナイトT(水澤化学工業株式会社製)等のスチブンサイトなどが挙げられる。
前記(B)成分としてのヒカマ(学名:Pachyrhizus erosus)エキスは、マメ科クズイモ属のクズイモ(yam bean)のエキスである。前記ヒカマは、ベンカン(bengkuang)とも称することがある。
前記ヒカマエキスは、天然のクズイモ(yam bean)から抽出したエキスであってもよく、市販品を用いてもよい。
前記ヒカマエキスの抽出に用いる抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水;エタノール、無水アルコール等の低級アルコール;炭素数2〜5のグリコール類等の多価アルコール(無水、含水のいずれであってもよい);アセトン等のケトン類;キシレン;ベンゼン;クロロホルムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記抽出溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコールなどが好ましい。
外径90mm、容量120mLの丸皿(蒸発皿)のみの質量(以下、「X」で表す)を測定する。また、測定に用いる前記溶媒を含む(B)成分の質量を「Y」とする。
前記蒸発皿に、前記溶媒を含む(B)成分をY(g)取る。次に、前記溶媒を含む(B)成分を載せた蒸発皿から、自然対流式電気定温恒温器(DSN−115、ISUZU社製)を用いて105℃、4時間の条件で該溶媒を蒸発させて乾固させ、このときの質量を測定する。前記乾固した(B)成分の質量を「Y’」で表すと、前記乾固した(B)成分を載せた蒸発皿の質量は、「Y’+X」で表される。
(B’)は、前記X、前記Y、及び前記Y’より、下記式(1)で求めることができる。
(B’)(質量%)=〔{(Y’+X)[g]−X[g]}/Y[g]〕×100 ・・・式(1)
外径90mm、容量120mLの丸皿(蒸発皿)のみの質量(以下、「X」で表す)を測定する。また、測定に用いる前記溶媒を含む(B)成分の質量を「P」、安息香酸ナトリウム等の固形分を「Z」とする。
前記蒸発皿に、前記溶媒を含む(B)成分をP(g)取る。次に、前記溶媒を含む(B)成分を載せた蒸発皿から、デジタルホットプレート(11−301−49HP、Fisher Scientific社製)を用いて300℃、4時間の条件で該溶媒を蒸発させて乾固させ、このときの質量を測定する。前記乾固した(B)成分の質量を「P’」で表すと、前記乾固した(B)成分を載せた蒸発皿の質量は、前記安息香酸ナトリウム等の固形分を含まない場合は「P’+X」、前記安息香酸ナトリウム等の固形分を含む場合は「P’+Z+X」で表される。
(B’)は、前記安息香酸ナトリウム等の固形分を含まない場合は、前記X、前記P、及び前記P’より、下記式(2)で求めることができる。また、(B’)は、前記安息香酸ナトリウム等の固形分を含む場合は、前記X、前記P、前記P’、及び前記Zより、下記式(3)で求めることができる。
(B’)(質量%)=〔{(P’+X)[g]−X[g]}/P[g]〕×100 ・・・式(2)
(B’)(質量%)=〔{(P’+Z+X)[g]−X[g]−Z[g]}/P[g]〕×100 ・・・式(3)
前記(A)成分の含有量と、前記(B)成分の固形分換算の含有量(B’)との質量比〔(A)成分/(B’)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜2,000が好ましく、20〜1,000がより好ましい。前記質量比が、10未満であると、塗布後に皮膚刺激が生じることや、継続使用した時の保湿効果が得られないことがある。また、前記質量比が、2,000を超えると、十分な保湿効果や継続使用した時の保湿効果が得られないことがある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、通常、皮膚化粧料や皮膚外用剤に用いられる配合剤等の中から、本発明の効果を妨げない範囲で適宜選択することができる。
前記配合剤としては、例えば、水;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油等のグリセライド類;エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコール類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等の高級アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2−エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類;ポリオキシエチレンエチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル等の高級アルコール酸化プロピレン酸化エチレン付加物類;塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤類;ポリビニルピロリドン系、酢酸ビニルエーテル系、酸性アクリル系、両性アクリル系等の高分子化合物;クエン酸、水酸化カリウム等のpH調整剤;香料;色素;紫外線吸収剤;防腐剤;酸化防止剤などが挙げられる。
前記皮膚化粧料は、顔用、全身用、頭皮用等の皮膚化粧料として使用することができる。前記皮膚化粧料の用途の具体例としては、化粧用クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック剤、プレメイクアップ、アンダーメイクアップ、ファンデーション、ジェル剤、軟膏、浴用化粧料、ボディリンスなどが挙げられる。
実施例1〜18及び比較例1〜6の皮膚化粧料(化粧水)を、表1〜5に記載の組成及び含有量(質量%)に基づき調製した。
具体的には、(A)成分と、(B)成分と、エタノールと、精製水と、を常温(約25℃)にて、ビーカーを用いて攪拌した。次いで、pHを、25℃にて、製品名:HM−30G(TOA−DKK株式会社製)を用いて測定し、pH調整剤(水酸化カリウム又はクエン酸)を用いてpH7.0に調整した。これにより、実施例1〜18及び比較例1〜6の皮膚化粧料を調製した。なお、前記(B)成分の固形分換算した含有量は、以下の方法で算出した。
外径90mm、容量120mLの丸皿(蒸発皿)のみの質量(以下、「X」で表す)を測定した。また、ヒカマエキス(MM NATURES社製)の質量(以下、「Y」で表す)を約30g精秤した。次に、前記ヒカマエキスを載せた蒸発皿を、自然対流式電気定温恒温器(DSN−115、ISUZU社製)を用いて105℃、4時間の条件で該溶媒を蒸発させて乾固させ、このときの質量(以下、「Y’」で表す)を測定した。
(B)成分の固形分換算した含有量(B’)は、前記X、前記Y、及び前記Y’より、下記式(1)で求めた。
(B’)(質量%)=〔{(Y’+X)[g]−X[g]}/Y[g]〕×100 ・・・式(1)
この方法で3回測定し、平均した結果、(B’)は、0.15質量%であった。
以下の方法で乾燥肌モデルを作製し、該乾燥肌モデルを用いて、実施例及び比較例の各皮膚化粧料を塗布後の肌における、べたつきのなさ、なめらかさ、刺激のなさ、保湿効果、及び1週間継続使用した時の保湿効果を評価した。なお、全ての評価はパネラー(皮膚化粧料の専門家)20名で行なった。
パネラー(皮膚化粧料の専門家)20名の前腕内側部4cm2(2cm×2cm)の領域に、エーテル及びアセトンの混合溶媒〔エーテル:アセトン=1:1(体積比)〕100μLを0.1mL容量のシリンジを用いて塗布し、その後10分間静置して脱脂し、乾燥肌モデルを作製した。
温度27℃、相対湿度75%の部屋で、前記乾燥肌モデルに実施例及び比較例の各皮膚化粧料0.5mLを1mL容量のシリンジを用いて塗布した。次いで、温度27℃、相対湿度75%の部屋で30分間安静にした後、各パネラーにべたつきのなさについて判断してもらい、「べたつきがない」と回答した人数により下記評価基準に基づき評価した。なお、温度27℃、相対湿度75%の部屋で塗布から5分間後には、各皮膚化粧料は乾いた状態であった。結果を下記表1〜5に示す。
[評価基準]
◎ :「べたつきがない」と判断した人数が16名以上。
◎〜○:「べたつきがない」と判断した人数が13名〜15名。
○ :「べたつきがない」と判断した人数が11名〜12名。
△ :「べたつきがない」と判断した人数が6名〜10名。
× :「べたつきがない」と判断した人数が5名以下。
温度27℃、相対湿度75%の部屋で、前記乾燥肌モデルに実施例及び比較例の各皮膚化粧料0.5mLを1mL容量のシリンジを用いて塗布した。次いで、温度27℃、相対湿度75%の部屋で30分間安静にした後、各パネラーになめらかさについて判断してもらい、「肌がなめらかである」と回答した人数により下記評価基準に基づき評価した。なお、温度27℃、相対湿度75%の部屋で塗布から5分間後には、各皮膚化粧料は乾いた状態であった。結果を下記表1〜5に示す。なお、ここで肌のなめらかさとは、肌がすべすべになることをいう。
[評価基準]
◎ :「肌がなめらかである」と判断した人数が16名以上。
◎〜○:「肌がなめらかである」と判断した人数が13名〜15名。
○ :「肌がなめらかである」と判断した人数が11名〜12名。
△ :「肌がなめらかである」と判断した人数が6名〜10名。
× :「肌がなめらかである」と判断した人数が5名以下。
温度27℃、相対湿度75%の部屋で、前記乾燥肌モデルに実施例及び比較例の各皮膚化粧料0.5mLを1mL容量のシリンジを用いて塗布した。次いで、温度27℃、相対湿度75%の部屋で5分間安静にした後、各パネラーに刺激の有無について判断してもらい、「刺激がない」と回答した人数により下記評価基準に基づき評価した。なお、温度27℃、相対湿度75%の部屋で5分間静置後は、各皮膚化粧料は乾いた状態であった。結果を下記表1〜5に示す。
[評価基準]
◎ :「刺激がない」と判断した人数が16名以上。
◎〜○:「刺激がない」と判断した人数が13名〜15名。
○ :「刺激がない」と判断した人数が11名〜12名。
△ :「刺激がない」と判断した人数が6名〜10名。
× :「刺激がない」と判断した人数が5名以下。
温度27℃、相対湿度75%の部屋で、前記乾燥肌モデルに実施例及び比較例の各皮膚化粧料0.5mLずつを1mL容量のシリンジを用いて塗布した。次いで、温度27℃、相対湿度75%の部屋で5分間安静にした後、各パネラーに保湿効果の有無について判断してもらい、「保湿効果がある」と回答した人数により下記評価基準に基づき評価した。なお、温度27℃、相対湿度75%の部屋で5分間静置後は、各皮膚化粧料は乾いた状態であった。結果を下記表1〜5に示す。
[評価基準]
◎ :「保湿効果がある」と判断した人数が16名以上。
◎〜○:「保湿効果がある」と判断した人数が13名〜15名。
○ :「保湿効果がある」と判断した人数が11名〜12名。
△ :「保湿効果がある」と判断した人数が6名〜10名。
× :「保湿効果がある」と判断した人数が5名以下。
温度27℃、相対湿度75%の部屋で、前記乾燥肌モデルに、実施例及び比較例の各皮膚化粧料を、1週間毎日、朝と昼の2回、0.5mLずつ1mL容量のシリンジを用いて塗布した。塗布後は、平均温度25℃、平均相対湿度40%の条件下で過ごした。次いで、8日目の朝に皮膚化粧料を塗布せずに、温度27℃、相対湿度75%の部屋で、30分安静にした後、各パネラーに保湿効果の有無について判断してもらい、「1週間継続使用した時、保湿効果がある」と回答した人数により下記評価基準に基づき評価した。結果を下記表1〜5に示す。
[評価基準]
◎ :「1週間継続使用した時、保湿効果がある」と判断した人数が16名以上。
◎〜○:「1週間継続使用した時、保湿効果がある」と判断した人数が13名〜15名。
○ :「1週間継続使用した時、保湿効果がある」と判断した人数が11名〜12名。
△ :「1週間継続使用した時、保湿効果がある」と判断した人数が6名〜10名。
× :「1週間継続使用した時、保湿効果がある」と判断した人数が5名以下。
<1> (A)水膨潤性粘土鉱物を0.1質量%〜10質量%と、(B)ヒカマ(Pachyrhizus erosus)のエキスを固形分換算で0.0015質量%〜0.03質量%と、を含有することを特徴とする皮膚化粧料である。
<2> (A)成分の含有量と(B)成分の固形分換算の含有量(B’)との質量比(A)/(B’)が、10〜2,000である前記<1>に記載の皮膚化粧料である。
<3> (A)成分が、モンモリロナイト及びヘクトライトから選ばれる少なくとも1種である前記<1>から<2>のいずれかに記載の皮膚化粧料である。
Claims (5)
- (A)水膨潤性粘土鉱物を0.1質量%〜10質量%と、(B)ヒカマ(Pachyrhizus erosus)のエキスを固形分換算で0.0015質量%〜0.03質量%と、を含有し、
前記(A)成分が、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ヘクトライト(ただし、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム処理ヘクトライトを除く)、及びスチブンサイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする皮膚化粧料。 - 前記(A)成分の含有量と前記(B)成分の固形分換算の含有量(B’)との質量比(A)/(B’)が、10〜2,000である請求項1に記載の皮膚化粧料。
- 前記(A)成分が、モンモリロナイト及びヘクトライト(ただし、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム処理ヘクトライトを除く)から選ばれる少なくとも1種である請求項1から2のいずれかに記載の皮膚化粧料。
- 前記(A)成分が、膨潤力が50mL/2g以上のモンモリロナイトである請求項3に記載の皮膚化粧料。
- 化粧用クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック剤、プレメイクアップ、アンダーメイクアップ、ファンデーション、ジェル剤、軟膏、浴用化粧料、及びボディリンスのいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の皮膚化粧料。
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