JP6177065B2 - 金属レプリカ及びスタンパの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は金属レプリカ及びスタンパの製造方法に関する。
微細な凹凸を表面に付与した樹脂成形品がある。このような樹脂成形品としては、例えば、光ディスクなどの光情報記録媒体と、液晶ディスプレイなどの面光源装置用導光体と、非球面マイクロレンズ、マイクロフレネルレンズ及び平板レンズなどのプラスチック光学デバイスとが挙げられる。
このような樹脂成形品を製造するための樹脂成形用金型としてスタンパが利用されている。上記したスタンパは、ニッケルなどの金属電着層と、この金属電着層を覆う導電膜とを備えている。
このようなスタンパを製造するために、ガラス基板と、このガラス基板上に形成され微細な凹凸パターンを有するフォトレジスト膜と、を備えた母型が用いられる。母型のフォトレジスト膜表面に導電膜を成膜し、この導電膜を陰極として電気鋳造(以下、電鋳と記載する。)を行い、金属電着層を形成する。なお、電鋳とは電気めっき法による金属製品の製造、補修又は複製の方法である。続いて、導電膜とフォトレジスト膜との界面を境界として、導電膜及び金属電着層を母型から剥離することにより、金属レプリカが得られる。かかる金属レプリカは、上記したスタンパとして利用される。
一般に、電鋳を行うと、内部応力が金属電着層に発生し、金属電着層が変形することがある。例えば、高電流密度で電鋳を行うと、内部応力が金属電着層を引っ張る方向に働く。これにより、金属電着層は凹凸パターン面から凸状に張り出すように変形し、凹凸パターン形状の寸法及び凹凸パターン位置が設計値から収縮する。一方、低電流密度で電鋳を行うと、内部応力が金属電着層を圧縮する方向に働く。これにより、金属電着層はパターン面から凹状に反り返るように変形し、凹凸パターン形状の寸法及び凹凸パターン位置が設計値から膨張する。一般に、生産速度を上げるため、高電流密度で電鋳が行われることが多い。
そこで、金属電着層の変形量を抑制したスタンパの製造方法が開発されている。例えば、特許文献1では、異なる電流密度値で電着を行い、それぞれの電流密度値で形成した金属電着層を有するスタンパの製造方法が開示されている。かかる製造方法によれば、深さ方向に応じて内部応力の変化する金属電着層を形成し、金属電着層の変形量が減じる。
また、特許文献2では、応力緩和剤を添加しためっき液を用いて電鋳し、金属電着層を形成したスタンパの製造方法が開示されている。かかる製造方法によれば、電着応力を0〜−80MPaに制御して、金属電着層の変形量が減じる。
特開平04−176892号公報 特開2006−138001号公報
ところで、特許文献1に開示される製造方法によるスタンパでは、スタンパ面内の部位に応じて、収縮率がばらつくことがある。さらに、スタンパ面内の方向に応じて収縮率に差が生じる。例えば、スタンパ面の位置をXY座標を用いて表現すると、X及びY方向成分の平均収縮率に差がある。
また、特許文献2に開示される製造方法では、めっき液の組成の管理が複雑であり、再現性及び生産性に改善の余地がある。
本発明は上記した事情を鑑みてなされたものであり、収縮率のばらつき、及び、面内方向間における平均収縮率の差の小さい金属レプリカ及びスタンパの製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記した目的を達成するため、金属電着層の厚み方向に対して、表面から裏面までの内部応力のバランスをとるように電鋳し、内部応力、及び、母型から剥離する際の外力に対して、金属電着層を変形及び収縮に耐える構造にすることを、考えた。さらに発明者らは、上記した仮説を基に鋭意研究を重ねて、本発明を想到するに至った。
本発明にかかる金属レプリカの製造方法は、
電鋳によって母型の表面上に金属電着層を形成する電鋳工程を含む金属レプリカの製造方法であって、
電流密度を縦軸とし時間を横軸とした座標上に前記母型に印加する電流密度値の時間変化をプロットしたグラフを電流密度変化曲線とし、
前記電鋳工程において、電流密度値が上昇するときに印加する全ての電気量をQとし、
電流密度値が下降するときに印加する全ての電気量をQとすると、
0.20≦Q/Q≦5.00
であり、
さらに、前記電流密度変化曲線では、電流密度値が少なくとも1回昇降し、
電流密度値が1回昇降する間に、電流密度値が上昇するときに印加する電気量をQM2とし、
電流密度値が下降するときに印加する電気量をQM4とすると、
0.20≦QM2/QM4≦5.00
である。
このような構成によれば、収縮率のばらつき、及び、面内方向間における平均収縮率の差の小さい金属レプリカが得られる。
また、前記電流密度変化曲線では、0.95≦QM2/QM4≦1.05を満たすように電流密度値が少なくとも1回昇降することを特徴としてもよい。また、前記電流密度変化曲線のうち電流密度値が1回昇降する部分は、電流密度値が上昇する上昇部と、電流密度値が下降する下降部とを含み、前記上昇部と前記下降部とは、時間軸に垂直な一の仮想線に関して線対称になっていることを特徴としてもよい。
また、上記した金属レプリカの製造方法において、前記電流密度変化曲線には前記電流密度値の昇降があり、電流密度値が上昇するときの電流密度変化速度をVJU[A/(dm・min)]とし、電流密度値が下降するときの電流密度変化速度をVJD[A/(dm・min)]とすると、0<VJU≦14、−14≦VJD<0、であると好ましい。また、前記電鋳工程における全電気量をQとすると、(Q+Q)/Q×100≧3.00であることを特徴としてもよい。また、前記金属電着層が、Ni、Ag、Au、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Sn、及び、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなることを特徴としてもよい。また、前記金属電着層が、Niからなることを特徴としてもよい。また、前記金属電着層の厚みが、200〜800μmであることを特徴としてもよい。また、前記電鋳工程を奇数回繰り返すことを特徴としてもよい。また、前記電鋳工程を偶数回繰り返すことを特徴としてもよい。
他方、本発明にかかる金属レプリカの製造方法は、上記した金属レプリカの製造方法により金属レプリカを製造し、前記金属レプリカを前記母型として用いる金属レプリカの製造方法である。
他方、本発明にかかる金属レプリカの製造方法は、上記した金属レプリカの製造方法により金属レプリカを製造し、前記金属レプリカを母型として複製スタンパを複製し、さらに、前記複製スタンパを前記母型として用いる金属レプリカの製造方法の製造方法である。
他方、本発明にかかるスタンパの製造方法は、上記した金属レプリカの製造方法によって得られる金属レプリカを用いたスタンパの製造方法である。
本発明によれば、収縮率のばらつき、及び、面内方向間における平均収縮率の差の小さい金属レプリカ及びスタンパの製造方法を提供する。
第1実施形態にかかるスタンパの上面図及び上面拡大図である。 第1実施形態にかかるスタンパの断面図である。 第1実施形態にかかるスタンパの製造方法のフローチャートである。 第1実施形態にかかるスタンパの製造方法の模式図である。 フォトレジストパターンの上面拡大図である。 電流密度変化の制御方法を説明するための図である。 実施例A1における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A2における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A3における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例B1における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例B2における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例B3における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例C1における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例C2における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例C3における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例N1、N1N1、O1N1における最終電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例N3における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例N5における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例N13における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A1_1における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A1_2における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A1_3における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A3_1における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A3_2における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 実施例A3_3における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 比較例O1、N1O1、O1O1における最終電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。 比較例O2における電鋳工程の電流密度の変化を示す図である。
(第1実施形態)
図1及び2を用いて、第1実施形態にかかるスタンパについて説明する。図1は、第1実施形態にかかるスタンパの上面図及び上面拡大図を示す。図2は、第1実施形態にかかるスタンパの断面図を示す。
図1及び図2に示すように、スタンパ17は、導電膜15に覆われた金属電着層16を有する略円板状の樹脂成形用金型である。導電膜15の表面は、微細凹凸パターン18を有する。微細凹凸パターン18として、例えば、柱部19を格子状に配設したパターンが挙げられる。柱部19の長手方向の断面形状は、例えば、十字形状である。金属電着層16は、厚み方向に応じて、異なる方向にかかる内部応力を有する層を積層した構造を有する。例えば、金属電着層16は、主面方向に沿って圧縮方向にかかる内部応力Scを有する圧縮層16cと、主面方向に沿って引張方向にかかる内部応力Stを有する引張層16tとを、交互に積層する積層構造を有する。金属電着層16は、少なくとも、圧縮層16cと、引張層16tと、圧縮層16cと、をこの順に積層する積層構造を有する。なお、引張層16tでは、内部応力Stの大きさは、一様でなくともよく、部位に応じて変化しても構わない。同様に、圧縮層16cでは、内部応力Scの大きさは、一様でなくともよく、部位に応じて変化しても構わない。
(製造方法)
次に、図3〜6を用いて、第1実施形態にかかるスタンパの製造方法について説明する。図3は、第1実施形態にかかるスタンパの製造方法のフローチャートを示す。図4は、第1実施形態にかかるスタンパの製造方法の模式図を示す。図5は、フォトレジストパターンの上面図を示す。図6は、電流密度変化の制御方法を説明するための図を示す。
図1(a)に示すように、ディスク状などのガラス基板11の主面上にフォトレジスト12を塗布する(レジスト塗布ステップS1)。
次いで、図1(b)に示すように、ガラス基板11とフォトレジスト12との密着性を上げるために、ホットプレート10などを用いて、熱処理を行う(熱処理ステップS2)。
次いで、フォトレジスト12の表面上にフォトレジストパターン13を露光する(露光ステップS3)。詳細には、フォトリソグラフィ法によりフォトレジスト12の表面上にフォトレジストパターン13を中心点を含めて複数点露光する。
次いで、図1(c)に示すように、アルカリ現像液に浸漬して、ガラス基板11上にフォトレジストパターン13を顕在化させて現像する(現像ステップS4)。図5に示すように、フォトレジストパターン13は微細な凹凸パターンである。微細な凹凸パターンとして、例えば、十字状に開口する孔部14を格子状に設置したパターンがある。続いて、フォトレジストパターン13を水洗し、さらに乾燥させる。
次いで、図1(d)に示すように、例えば、真空蒸着機などを用いて、導電膜15をフォトレジストパターン13の表面上に形成させる(導電膜形成ステップS5)。導電膜15の材料としては、導電性を有する材料であればよく、例えば、Niなどの金属材料を利用することができる。ここで、母型20が得られる。
次いで、図1(e)に示すように、母型20をめっき液に浸漬し、電圧を印加して、金属電着層16を導電膜15上に形成させる(電鋳ステップS6)。詳細には、電流密度は、電流密度条件に従うように制御される。金属電着層16の厚みが、200〜800μmであることが好ましい。
ここで、図6を用いて電流密度の制御方法について説明する。図6に示すように、電流密度変化曲線Clは、予め定めた電流密度条件に基づいて、電流密度を縦軸とし時間を横軸とした座標上に、母型20に印加する電流密度値の変化をプロットしたグラフとする。さらに、対称軸Asは、時間軸に垂直な仮想線とする。対称軸Asは、時間軸上の電鋳工程の開始時点と終了時点との中点を通ってもよい。電流密度値が上昇するときに印加する全ての電気量をQとし、電流密度値が下降するときに印加する全ての電気量をQとする。Q/Qが0.20≦Q/Q≦5.00を満たすように、電流密度を制御する。
さらに、引き続き図6を用いて電流密度の制御方法の一例について詳細を説明する。図6に示すように、上記した電鋳ステップS6では、電鋳初期I、電鋳中期M、電鋳終期Tの順に時間が経過する。
電鋳初期Iでは時間の経過とともに電流密度を0(ゼロ)から電流密度値D1に達するまで増大させる。電流密度値D1は0〜5A/dmが好ましく、さらに好ましくは3.2〜3.4A/dmである。
電鋳中期Mでは、3つのユニットUが連続している。ユニットUでは、電流密度値が1回昇降する。なお、電鋳中期Mは、ユニットUを少なくとも1つ含む。電鋳中期Mでは、ユニットUが1〜13回連続して繰り返されると好ましく、さらに好ましくは、ユニットUが1〜3回連続して繰り返されることである。
ユニットUは、例えば、低電流密度域M1と、電流密度増大域M2と、高電流密度域M3と、電流密度減少域M4と、第2の低電流密度域M1と、からなる。ユニットUは、電流密度増大域M2と、電流密度減少域M4と、少なくとも含む。低電流密度域M1では、電流密度が低電流密度値D1に保たれる。電流密度増大域M2では、電流密度を、低電流密度値D1と比較して高い高電流密度値D2に達するまで、電流密度変化速度値VJUで増大させる。高電流密度域M3では、電流密度を、高電流密度値D2を保つように制御する。電流密度減少域M4では、電流密度を低電流密度値D1に降下するまで、電流密度変化速度値VJDで減じる。
電流密度値が上昇するときに印加する全ての電気量Qと、電流密度値が下降するときに印加する全ての電気量をQとの比RQUDは、下記の数式1から計算される。RQUDが0.20≦RQUD≦5.00を満たすように、電流密度は制御される。
Figure 0006177065
なお、上記したように、ユニットUでは電流密度値が1回昇降する。ユニットUの電流密度値の上昇時及び下降時の電気量比RQUが0.20≦RQU≦5.00を満たすように、電流密度が制御されると好ましい。ユニットUの電流密度値の上昇時及び下降時の電気量比RQUが0.95≦RQU≦1.05を満たすように、電流密度が制御されるとさらに好ましい。ユニットUの電流密度値の上昇時及び下降時の電気量比RQUは、下記の数式2から計算される。このユニットUにおいて、電流密度値が上昇するときに印加する電気量はQM2であり、電流密度値が下降するときに印加する電気量は、QM4である。
Figure 0006177065
また、ユニットUは、電流密度値が上昇する上昇部と、電流密度値が下降する下降部とを含む。図6に示すように、この一例では、上昇部は電流密度増大域M2であり、下降部は電流密度減少域M4である。上昇部と下降部とは、時間軸に垂直な一の仮想線Asに関して線対称になるように、電流密度を制御してもよい。
また、電鋳初期Iでは電流密度値が上昇し、電鋳終期Tでは電流密度値が下降する。電鋳初期Iと電鋳終期Tとの電気量比RQITは0.20≦RQIT≦5.00を満たすように、電流密度が制御されると好ましい。電鋳初期Iと電鋳終期Tとの電気量比RQITは0.95≦RQIT≦1.05を満たすように電流密度が制御されるとさらに好ましい。電鋳初期Iと電鋳終期Tとの電気量比RQITは下記の数式2から計算される。図6に示すように、この一例では、電流密度値が上昇するときに印加する電気量はQM2であり、電流密度値が下降するときに印加する電気量は、QM4である。電鋳初期Iと電鋳終期Tとでは、時間軸に垂直な一の仮想線Asに関して線対称になっているように、電流密度を制御してもよい。
Figure 0006177065
ところで、生産効率の観点から、高電流密度値D2を増大させることが要求される。しかし、上述のように、高電流密度値D2と低電流密度D1との差が大きくなると、金属電着層16中のニッケル結晶粒径分布が変化する。すると、この変化によって発生するひずみが大きくなり、スタンパ17(後述)の凹凸パターン形状の寸法及び凹凸パターン位置のばらつきが大きくなる。電流密度変化速度VJU及びVJDが所定の大きさに抑制されると、スタンパ17(後述)の凹凸パターン形状の寸法及び凹凸パターン位置のばらつきが減じ得る。そこで、電流密度変化速度VJU及びVJDを所定の大きさに抑制するために、上昇時及び下降時の電気量が所定の量を超えるように、電流密度が制御されると好ましい。例えば、全電気量Qに対する上昇時及び下降時の電気量Q+Qの割合RVAは、RVA≧3.00%以上であると好ましく、20.0%以上であるとさらに好ましい。この一例では、全電気量に対する上昇時及び下降時の電気量の割合RVAは、下記の数式4から求められる。
Figure 0006177065
なお、電流密度変化速度値VJU[A/(dm・min)]は、0<VJU≦14であればよく、0<VJU≦1.5であることが好ましく、さらに好ましくは0.4≦VJU≦0.5である。電流密度変化速度値VJD[A/(dm・min)]は、−14≦VJD<0であればよく、−1.5≦VJD<0であることが好ましく、さらに好ましくは−0.5≦VJD≦−0.4である。なお、電流密度変化速度VJUが0.4A/(dm・min)以上、及び、電流密度変化速度VJDが−0.4A/(dm・min)以下である場合、スタンパの製造方法として必要な生産効率がより確実に維持される。また、高電流密度値D2は、例えば、電鋳時間、目標とするスタンパの硬度などに応じて、適宜変更しても構わない。さらに、低電流密度値D1及び高電流密度値D2のプロファイルは、±10%の範囲内において変動してもよく、図6に示すように変動することなく、一定であることが好ましい。また、低電流密度域M1及び高電流密度域M3における電鋳時間は、金属電着層16の応力バランス及び目標とするスタンパ17の厚みなどに応じて、適宜調整しても構わない。
電鋳終期Tでは、電流密度を電流密度値0(ゼロ)に下がるまで減じる。電鋳終期Tを経ると、電鋳ステップS6は完了する。
また、めっき液としては、1種又は2種類以上の金属塩、有機電解質、リン酸等の酸、アルカリ物質等の各種電解質を溶媒に溶解させたものを利用することができる。
溶媒としては、極性溶媒であればよく、例えば、水、アルコール類、又は、これらの混合液などが挙げられる。
金属塩は、金属電着層16に含まれる金属に応じて、適宜選択される。金属塩に含まれる金属としては、例えば、Ni、Ag、Au、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Sn、Znが挙げられる。これらの中でも、Niが好ましい。なお、これらの金属は、1種、又は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの金属を組み合わせる際は、上記した金属以外の元素による合金やめっき液中のリン酸塩などが含まれていてもよい。
金属塩の具体例を以下に挙げる。Niを含む金属塩としては、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケルなどが挙げられる。Cuを含む金属塩としては、例えば、結晶硫酸銅、ホウフッ化銅、シアン化銅、ピロリン酸銅などが挙げられる。Crを含む金属塩としては、例えば、クロム酸などが挙げられる。Znを含む金属塩としては、例えば、硫酸亜鉛、酸化亜鉛などが挙げられる。Cdを含む金属塩としては、例えば、酸化カドミウムなどが挙げられる。Snを含む金属塩としては、例えば、硫酸第一スズ、スズ酸カリウムなどが挙げられる。Agを含む金属塩としては、例えば、シアン化銀などが挙げられる。Auを含む金属塩としては、例えば、シアン化金カリウムが挙げられる。
最後に、図1(f)に示すように、導電膜15と金属電着層16とをフォトレジストパターン13から剥離し、洗浄する(剥離洗浄ステップS7)。すると、図1(f)に示すように、金属レプリカが得られる。これに、必要に応じた加工を施すと、スタンパ17が得られる。スタンパ17の主面には、複数の孔部14の形状を転写した柱部19がそれぞれ形成されている。つまり、フォトレジストパターン13の形状を転写した微細凹凸パターン18が形成されている。
以上、第1実施形態にかかる製造方法によれば、形状精度に優れたスタンパ17を製造することができる。スタンパ17(図1参照)では、収縮率の面内ばらつき、及び、X方向成分の平均収縮率とY方向成分の平均収縮率との差が抑制される。この製造方法により得られたスタンパを用いると、凹凸パターン形状精度及び位置精度に優れる樹脂成形品が得られる。かかる樹脂成形品は、例えば、情報通信分野で使用されると好ましい。
なお、本発明にかかる実施形態の一例として、上記した実施形態にかかる製造方法を用いて製造されるスタンパを母型として用いて製造される複製スタンパが含まれる。また、本発明にかかる実施形態の一例として、本発明の請求項外の方法で作製したスタンパをそれぞれ母型として新たに電鋳に用いる際、上述と同様に、電流密度値の上昇時及び下降時の電気量の比RQUDを所定の範囲に抑制して電流密度を変化させて電鋳して製造される新たな複製スタンパも含まれる。
また、上記した実施形態にかかるスタンパの製造方法では、上記した組成のめっき液を用いたが、応力緩和剤を加えためっき液を用いて電鋳工程を行ってもよい。応力緩和剤としては、例えば、サッカリン、1,5−ナフタリンジスルホン酸ナトリウム、1,3,6−トリスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホンアミド、クマリン、2−ブチン−1,4−ジオール、エチレンシアンヒドリン、プロパギルアルコール、ホルムアルデヒド、チオ尿素、キノリン、ピリジン等がある。このような応力緩和剤を加えためっき液を用いて電鋳工程を行うと、金属電着層16の内部応力が減じ、金属電着層16が変形しにくくなる。
(評価試験)
次に、上記した製造方法により、表1及び2に示す複数の製造条件でスタンパ17及び複製スタンパを製造し、形状精度の評価を行った。この結果を表3に示した。製造方法の一部詳細について説明する。
まず、図7〜27を用いて、実施例A1〜A3、B1〜B3、C1〜C3、N1、N3、N5、N13、A1_1、A1_2、A1_3、A3_1、A3_2、A3_3、比較例O1、O2の製造方法の一部詳細について説明する。図7〜27は、各実施例及び各比較例における電鋳工程の電流密度の変化を示す。まず、レジスト塗布ステップS1、熱処理ステップS2、露光ステップS3、現像ステップS4、導電膜形成ステップS5を経て、母型20を得た。ここで得られた母型20では、フォトレジストパターン13の孔部14を少なくとも13点以上造形し、さらに、造形した孔部14の座標位置をそれぞれ測定した。
電鋳ステップS6では、表1及び図7〜27に示す電流密度変化曲線に従って電流密度を変化させて、電鋳を行った。金属電着層16の板厚が約300μmとなるように、表1及び図7〜27に示す電流密度変化曲線は、設定されている。つまり、図7〜27に示す電流密度変化曲線の積分値はいずれも同じ又はほぼ同じ値である。なお、ガラス基板11と通電用の外周リングとをマウントに設置し電鋳装置に取り付けた。めっき液として、スルファミン酸ニッケル:330〜750g/L、塩化ニッケル:0〜30g/L、ホウ酸:30〜60g/Lの組成範囲を満たす任意の同一組成を有する液体を用いた。めっき液温度を45〜60度、めっき液pHを4.0〜4.5に保持するようにした。最後に、剥離洗浄ステップS7を経て、スタンパ17を得た。
Figure 0006177065
次に、図16及び26を用いて、実施例N1N1、O1N1、比較例N1O1、O1O2の製造方法の一部詳細について説明する。上述のように表1に示す製造条件で製造したスタンパ17の表面にプラズマアッシング処理などにより酸化金属層を形成させた。次いで、この酸化金属層が形成されたスタンパ17をガラス基板11の代わりに母型20として用いて、電鋳ステップS6と同様に、表2、図16及び26に示す電流密度条件に従って、電鋳を行った。さらに、上記した剥離洗浄ステップS7を経て、複製スタンパが得られた。また、電鋳に用いるめっき液は、上記した電鋳ステップS6で使用しためっき液と同じ組成の液体である。
Figure 0006177065
次に、形状精度の評価方法について説明する。現像ステップS4の完了後、レーザ顕微鏡を用いて、フォトレジストパターン13の各孔部14のXY座標位置を測定した。さらに、剥離洗浄ステップS7を完了した後で、微細凹凸パターン18の各柱部19のXY座標位置をレーザ顕微鏡を用いて測定した。以下の数式5〜9に従って、測定した座標位置から各測定点の収縮率、各方向成分の平均収縮率、面内ばらつき、及び、X及びY方向成分の平均収縮率の差を算出し、その結果を表3に示した。
Figure 0006177065
点R1:任意に選択されるフォトレジストパターン13(孔部14)の測定点
点S1:点R1に対応する微細凹凸パターン18(柱部19)の測定点
点R0:フォトレジストパターン13(孔部14)での中心点(原点)
点S0:微細凹凸パターン18(柱部19)での中心点(原点)
ただし、R0と同じX座標であるR1および対応するS1について本式の対象から除外する。
Figure 0006177065
ただし、R0と同じY座標であるR1および対応するS1について本式の対象から除外する。
Figure 0006177065
Figure 0006177065
Figure 0006177065
Figure 0006177065
まず、実施例A1〜A3、B1〜B3、C1〜C3、N1、N3、N5、N13、A1_1、A1_2、A1_3、A3_1、A3_2、及び、A3_3と、比較例O1及びO2との結果について説明する。
実施例A1〜A3、B1〜B3、C1〜C3、N1、N3、N5、N13、A1_1、A1_2、A1_3、A3_1、A3_2、及び、A3_3では、いずれも、電鋳工程の電流密度値の上昇及び下降時の電気量比RQUDが、0.20≦RQUD≦5.00を満たすように、電流密度を変化させた。これらの場合、X及びY方向成分の面内ばらつきは、0.004〜0.050%と良好な値であった。また、X及びY方向成分の平均収縮率の差は、0.000〜0.010%と良好な値であった。
一方、比較例O1では、図20に示すように、低電流密度域M1、電流密度増大域M2、高電流密度域M3の順に、電流密度を変化させた。また、比較例O2では、図21に示すように、低電流密度域M1、電流密度増大域M2、高電流密度域M3、電流密度減少域M4、低電流密度域M1の順に、電流密度を変化させた。また、比較例O1及びO2では、電流密度値が下降するときの電流密度変化速度VJDは負の無限大(−∞)に発散している。つまり、比較例O1及び比較例O2では、電鋳工程の電流密度値の上昇及び下降時の電気量比RQUDがそれぞれ∞、476と5.00を超えており、0.20≦RQUD≦5.00でない。いずれの場合でも、X及びY方向成分の平均収縮率の差は、0.011%、0.013%と、全ての実施例と比較して大きかった。また、X及びY方向成分の面内ばらつきは、比較例O2では、0.027%、0.035%とそれぞれ良好ではあるものの、比較例O1では、0.060%、0.058%と、全ての実施例と比較しても大きかった。
実施例A1では、X及びY方向成分の面内ばらつきは、0.017%、0.015%とそれぞれ良好な値を示し、X及びY方向成分の平均収縮率の差は、0.000%と良好な値であった。
実施例A2では、実施例A1と比較してユニット数が多い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが減じる。また、実施例A3では、実施例A2と比較してユニット数がさらに多い。また、Y方向成分の面内ばらつきが同じ値を示すものの、X方向成分の面内ばらつきがさらに減じる。特に実施例A3では、優れた形状精度を有すると考えられる。
実施例B1〜B3では、実施例A1〜A3と比較して、電流密度変化速度の絶対値が大きい。実施例B2では、実施例B1と比較してユニット数が多い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが減じる。また、実施例B3では、実施例B2と比較してユニット数がさらに多い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきがさらに減じる。
実施例C1〜C3では、実施例B1〜B3と比較して、電流密度変化速度の絶対値が大きい。実施例C2では、実施例C1と比較してユニット数が多い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが減じる。また、実施例C3では、実施例C2と比較してユニット数がさらに多い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきがさらに減じる。
実施例N1では、実施例A1と比較して、高電流密度域M1での高電流密度値D2が高く、また、時間が短い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが減じる。
実施例N3では、実施例B3と比較して、高電流密度域M1での高電流密度値D2が高く、また、時間が短い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきは大きく変化しなかった。
実施例N3では、実施例N1と比較して、ユニット数が多い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが低く、X及びY方向成分の平均収縮率の差は大きく変化しなかった。
実施例N5、N13では、実施例N3と比較して、ユニット数が多い。また、X及びY方向成分の面内ばらつき、及び、X及びY方向成分の平均収縮率の差は大きく変化しなかった。
実施例A1_1では、実施例A1と比較して、電流密度変化速度VJUが高く、電流密度変化速度VJDが低い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが増大する。
一方、実施例A1_2では、実施例A1と比較して、電流密度変化速度VJUが低く、電流密度変化速度VJDが高い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが減じる。
実施例A3_1では、実施例A3と比較して、電流密度変化速度VJUが高く、電流密度変化速度VJDが低い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが増大する。
一方、実施例A3_2では、実施例A3と比較して、電流密度変化速度VJUが低く、電流密度変化速度VJDが高い。また、X及びY方向成分の面内ばらつきが減じる。ここで、実施例A1、A1_1、A1_2、A3、A3_1、A3_2では、電流密度変化速度VJUを低減させるとともに電流密度変化速度VJDを高めると、X及びY方向成分の面内ばらつきが減じる傾向にある。
実施例A1_3では、電流密度変化曲線Clのうち、電鋳初期Iに相当する部分Cliと、電鋳終期Tに相当する部分Cltとが、電流密度軸に関して垂直な仮想線に線対称にならない。また、電鋳工程の電流密度値の上昇及び下降時の電気量比RQUDが1.04であり、0.20から5.00までの範囲にある。また、X及びY方向成分の面内ばらつきがそれぞれ0.015%、0.016%と良好な値であった。また、X及びY方向成分の平均収縮率の差が0.003%と良好な値であった。
実施例A3_3では、電鋳工程の電流密度値の上昇及び下降時の電気量比RQUDが0.34であり、0.20から5.00までの範囲にある。X及びY方向成分の面内ばらつきがそれぞれ0.014%、0.017%と良好な値であった。また、X及びY方向成分の平均収縮率の差が0.001%と良好な値であった。
次に、実施例N1N1及びO1N1と、比較例N1O1及びO1O1との結果について説明する。
実施例N1N1では、X及びY方向成分の面内ばらつきは、0.015%、0.011%とそれぞれ良好な値であり、X及びY方向成分の平均収縮率の差は、0.004%と良好な値であった。
実施例O1N1では、実施例N1N1と異なり、実施例O1によるスタンパを母型として用いた。実施例O1N1では、実施例N1N1と比較して、X及びY方向成分の面内ばらつき及びX及びY方向成分の平均収縮率の差が増大したものの、比較例と比較して低く、良好な値を保っている。
一方、比較例N1O1は、実施例N1N1と、複製スタンパを得る際の電流密度条件のみが異なる。同様に、比較例O1O1は、実施例O1N1と、複製スタンパを得る際の電流密度条件のみが異なる。比較例N1O1及び比較例O1O1では、図26に示すように、比較例O1と同様に、低電流密度域M1、電流密度増大域M2、高電流密度域M3の順に、電流密度を変化させた。つまり、比較例N1O1及び比較例O1O1では、2回目の電鋳工程の電流密度値の上昇及び下降時の電気量比RQUDがそれぞれ∞、476と5.00を超えており、0.20≦RQUD≦5.00でない。いずれの場合でも、X及びY方向成分の平均収縮率の差は、0.021%、0.020%と、全ての実施例と比較して大きかった。また、X及びY方向成分の面内ばらつきは、0.051〜0.079%と、全ての実施例と比較して大きかった。
以上、表3に示す各実施例では、電鋳工程において、0.20≦Q/Q≦5.00となるように電流密度が制御された。また、電鋳中期Mの電流密度増大域M2において、電流密度変化速度VJU[A/(dm・min)]は、0<VJU≦14であるとともに、電流密度減少域M4において電流密度変化速度VJD[A/(dm・min)]は、−14≦VJD<0であった。さらに、低電流密度域M1〜電流密度減少域M4から構成される一連の電流密度変化(ユニットU)が1〜13回連続して繰り返された。これらによれば、スタンパのX方向及びY方向成分の面内ばらつきが0.004〜0.050%の範囲であり、かつX及びY方向成分の平均収縮率の差が0.000〜0.010%の範囲であった。つまり、形状精度に優れるパターンを備えるスタンパが得られる。
また、実施例A1〜A3、B1〜B3及びC1〜C3の結果より、電流密度増大域M2及び電流密度減少域M4での電流密度変化速度VJU及びVJDをそれぞれ緩やかにすると、収縮率の面内ばらつきを0.008%から0.050%まで低減できた。つまり、電流密度変化速度について、0<VJU≦14かつ、−14≦VJD<0の範囲に収まるように制御すると、金属電着層16中のニッケル結晶粒径分布が変化し、金属電着層16に発生するひずみが減じると考えられる。これにより、金属電着層16が電鋳において発生する電着応力(内部応力)を有したり、剥離における外力を受けたりしても、変形しにくくなると考えられる。
また、実施例A1〜A3、B1〜B3及びC1〜C3の結果より、ユニット数Uを増やすと、スタンパの収縮率の面内ばらつきが0.008%から0.050%までの範囲に収まるように抑制できた。これによれば、スタンパ17(図1参照)は、引張方向に応力がかかる引張層16tと、圧縮方向に応力がかかる圧縮層16cと、を交互に積層した積層構造を有する。このような積層構造を有するので、スタンパ17の全体にかかる応力が緩和されて、剥離洗浄ステップS7において、金属電着層16をフォトレジストパターン13から剥離して外力を受けても、スタンパ17は変形しにくいのである。
一方、電鋳ステップS6において、電鋳工程の電流密度値の上昇及び下降時の電気量比RQUDが0.20≦RQUD≦5.00でない比較例O1及び比較例O2では、スタンパのX方向及びY方向成分の収縮の面内ばらつきが0.050%以上又は、X及びY方向成分の平均収縮率の差が0.010%以上であった(表3参照)。また、めっき液の組成などの他条件によっては、スタンパが御椀型などに変形するときもあった。比較例O1及び比較例O2では、スタンパの板厚み方向に応じて、金属電着層の内部応力のバランスが良好にとれていないためであると考えられる。
また、実施例N1及び比較例O1で得られたスタンパを母型として電鋳し、得られた複製スタンパ(実施例N1N1及びO1N1、比較例N1O1及びO1O1)の収縮について以下に記載する。複製スタンパの際に、図16に示す電流密度条件で電鋳すると、母型となるスタンパの作製条件に関わらず、スタンパのX方向およびY方向成分の収縮の面内ばらつきが0.004〜0.050%の範囲であり、かつX及びY方向成分の平均収縮率の差が0.000〜0.010%の範囲であることが分かった。さらに、母型のX方向及びY方向成分の収縮率の面内ばらつきやX及びY方向成分の平均収縮率の差が小さいほど、複製スタンパのこれらの収縮のばらつきは小さかった。母型の元々の収縮のばらつき(寸法精度のばらつき)が小さいと、複製スタンパの寸法精度についてより好ましい結果となるが、本発明による電流密度条件による収縮ばらつきの改善効果は、新たな複製物つまりスタンパを得る製造にも適用される。
なお、本発明にかかる実施形態は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改善などを含む。例えば、上記した実施例では、電鋳時間に対する電流密度変化において同一のユニットUを1〜13回繰り返していたが、繰り返す回数を増やしてもよいし、異なる2種類以上のユニットを組み合わせてもよい。電鋳工程の電流密度値の上昇及び下降時の電気量比RQUDを所定の範囲となるように制御することで、金属電着層の内部の応力のバランスをとるように、電流密度条件を適宜設定すればよい。
以上、本発明によれば、電鋳における、スタンパの収縮率の面内ばらつき、及び、X及びY方向成分の平均収縮率の差により発生する微細凹凸パターンの形状の寸法及び微細凹凸パターン位置のばらつきを、安定して低減させる製造方法が提供される。これによれば、樹脂成形品の表面に微細な凹凸パターンを形成させるために用いられる樹脂成形用スタンパの製造において、マイクロメートルオーダーのパターン位置精度および形状精度が要求される、情報通信分野用途などの樹脂成形品の開発及び製造に貢献する可能性が高い。
Cl 電流密度変化曲線、 As 対称軸、
10 ホットプレート、 11 ガラス基板、 12 フォトレジスト、
13 フォトレジストパターン、 14 孔部、 15 導電膜、
16 金属電着層、 16c 圧縮層、 16t 引張層、
17 スタンパ、 18 微細凹凸パターン、 19 柱部、 、
20 母型

Claims (13)

  1. 電鋳によって母型の表面上に金属電着層を形成する電鋳工程を含む金属レプリカの製造方法であって、
    電流密度を縦軸とし時間を横軸とした座標上に、前記母型に印加する電流密度値の時間変化をプロットしたグラフを電流密度変化曲線とし、
    前記電鋳工程において、電流密度値が上昇するときに印加する全ての電気量をQとし、
    電流密度値が下降するときに印加する全ての電気量をQとすると、
    0.20≦Q/Q≦5.00
    であり、
    さらに、前記電流密度変化曲線では、電流密度値が少なくとも1回、低密度電流値D1[A/dm ]から高密度電流値D2[A/dm ]までの間を昇降し、
    電流密度値が1回昇降する間に、電流密度値が低密度電流値D1から高密度電流値D2まで上昇するときに印加する電気量をQM2とし、
    電流密度値が高密度電流値D2から低密度電流値D1まで下降するときに印加する電気量をQM4とすると、
    3.2≦D1≦3.4
    であり、
    0.20≦QM2/QM4≦5.00
    であることを特徴とする金属レプリカの製造方法。
  2. 前記電流密度変化曲線では、
    0.95≦QM2/QM4≦1.05を満たすように電流密度値が少なくとも1回昇降する
    ことを特徴とする請求項1に記載の金属レプリカの製造方法。
  3. 前記電流密度変化曲線のうち電流密度値が1回昇降する部分は、電流密度値が上昇する上昇部と、電流密度値が下降する下降部とを含み、
    前記上昇部と前記下降部とは、時間軸に垂直な一の仮想線に関して線対称になっていることを特徴とする請求項2に記載の金属レプリカの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法において、
    前記電流密度変化曲線には前記電流密度値の昇降があり、
    電流密度値が上昇するときの電流密度変化速度をVJU[A/(dm・min)]とし、
    電流密度値が下降するときの電流密度変化速度をVJD[A/(dm・min)]とすると、
    0<VJU≦14、
    −14≦VJD
    であることを特徴とする金属レプリカの製造方法。
  5. 前記電鋳工程における全電気量をQとすると、
    (Q+Q)/Q×100≧3.00
    であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の金属レプリカの製造方法。
  6. 前記金属電着層が、Ni、Ag、Au、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Sn、及び、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の金属レプリカの製造方法。
  7. 前記金属電着層が、Niからなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の金属レプリカの製造方法。
  8. 前記金属電着層の厚みが、200〜800μmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法。
  9. 前記電鋳工程を奇数回繰り返すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法。
  10. 前記電鋳工程を偶数回繰り返すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法により金属レプリカを製造し、
    前記金属レプリカを、前記母型として用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法により金属レプリカを製造し、
    前記金属レプリカを母型として複製スタンパを複製し、
    さらに、前記複製スタンパを前記母型として用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1つに記載される金属レプリカの製造方法によって得られる金属レプリカを用いたスタンパの製造方法。
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