JP6174351B2 - 多段フラッシュ式造水装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多段フラッシュ法を用いて海水(以下、ブラインともいう。)を淡水化する造水装置に関する。より詳しくは、本発明は、蒸気の吹き抜け防止機構を備え、装置負荷が変動した場合でも良好な蒸発性能を維持できる多段フラッシュ式造水装置に関する。
海水淡水化プラントなどで使用されている従来の多段フラッシュ式造水装置の構成の一例を、図10に基づいて説明する。図10の多段フラッシュ式造水装置100は、熱回収部110と熱放出部120とで構成される蒸発器130を有している。
熱回収部110のハウジング111の内部は、所定の間隔をあけて隔壁112によって仕切られており、複数の蒸発室113(以下、ステージともいう。)が直列状に多段配置されている。熱交換器114は、各蒸発室113の内部の上方に設けられている。この熱交換器114は、ブラインAのフラッシュ蒸発により得られた蒸気を冷却し、凝縮して淡水を生成するものである。生成された淡水は、熱交換器114の下方に設けた受け皿部115に回収される。
オリフィス板116は、隔壁112の下部に取り付けられている。オリフィス板116の下端と蒸発室113の底板117の間には、所要のサイズの開口部118が形成されており、隣接する蒸発室113,113は開口部118を通じて連通している。ブラインAは、フラッシュ蒸発時、開口部118を通じて上流側の蒸発室113から下流側の蒸発室113へ流入する。
熱放出部120の基本構造は、熱回収部110と同じである。熱放出部120は、ハウジング121、隔壁122、蒸発室123、熱交換器124、受け皿部125、オリフィス板126、底板127、開口部128を備えている。
次に、多段フラッシュ式造水装置100の配管系統と処理フローを説明する。冷却海水Bは、海水ポンプ141により、熱放出部120の最後段の熱交換器124に送られ、全段の熱交換器124を通過した後、最前段の熱交換器124から最後段の蒸発室123に送られる。
熱放出部120の最後段の蒸発室123に送られた海水は、循環ポンプ142により、熱回収部110の最後段の熱交換器114に送られ、全段の熱交換器114を通過し、最前段の熱交換器114に送られる。
熱回収部110の最前段の熱交換器114に送られた海水は、加熱器143に送られ、高温の蒸気Cにより加熱される。所要の温度まで加熱された海水は、熱回収部110の最前段の蒸発室113に供給される。
熱回収部110の最前段の蒸発室113に供給された海水は、フラッシュ蒸発(減圧蒸発)して温度を下げながら次段の蒸発室113に流入する。各段の蒸発室113内の圧力は、上流側から下流側に向けて順次減圧されるように予め設定されているので、次段の蒸発室113に流入した海水は、直ちにフラッシュ蒸発し、熱放出部120の最後段の蒸発室123に至るまで連続的にフラッシュ蒸発が繰り返される。
その間、各段の蒸発室113,123で発生した蒸気は、熱交換器114,124内の海水にその保有熱を放出し、冷却凝縮されて淡水が生成される。受け皿部115,125で回収した淡水は、ポンプ144により生産水Dとして系外に取り出される。熱放出部120の最後段の蒸発室123に送られた海水は、循環ポンプ142により、熱回収部110の最後段の熱交換器114に戻される。なお、Eは、各蒸発室113,123を減圧状態にするための真空装置を、Fは、ポンプ145により系外に排出される加熱器143のコンデンセートを、Gは、循環ポンプ142から排出される濃縮ブラインを、Hは、冷却海水排水を示している。
以上のような構成の多段フラッシュ式造水装置において重要なことは、前段の蒸発室から後段の蒸発室にブラインが流入したときに、瞬時に飽和蒸気圧を低下させて、流入してきたブラインを効率良く蒸発させることである。以下、多段フラッシュ式造水装置の蒸発性能を左右する種々の要因について考察する。
図11は、蒸気温度Tv(℃)毎に、過熱度ΔTs(℃)と液面から発泡開始点までの距離(m)の関係を示したグラフである。過熱度ΔTsは、入口ブライン温度−蒸気温度の計算式で求められる温度である。
図11のグラフに示すように、蒸気温度Tvが高い場合、液面から発泡開始点までの距離は大きくなる。液面から発泡開始点までの距離が大きいということは、図12(a)に示すように、ブラインが深い位置まで蒸発することを意味し、蒸発性能は良好となる。
逆に、蒸気温度Tvが低い場合は、液面から発泡開始点までの距離は小さくなる。液面から発泡開始点までの距離が小さいということは、図12(b)に示すように、ブラインが液面近くでしか蒸発しないことを意味し、蒸発性能は低下する。
一方、図12(b)に示す状態から、図12(c)に示すように、ブラインの液位だけを低くした場合は、蒸発量自体は変わらないが、ブラインの量に対する蒸発量の観点からは、蒸発性能は良好となる。
図13は、ブライン液位(mm)と非平衡温度差(NETD:non-equilibrium temperature differenceの略)の関係を示すグラフである。非平衡温度差(℃)は、蒸発性能の指標であり、数値が低い程、蒸発性能が良好であることを意味する。図13のグラフは、蒸気温度Tvが80℃、70℃、50℃の何れであっても、ブライン液位が浅い場合の方が、蒸発性能は良好であることを示している。以上の考察では、蒸発性能の観点からは、ブラインの液位は低くする方が望ましいと言える。
しかし、装置負荷の変動により、図12(c)の状態からブラインの液位が更に低下すると、図14に示すように、ブラインAの液位がオリフィス板116の高さよりも低い状態となり、オリフィス板116の下端とブラインAの液面の間の空間を通じて蒸気の吹き抜けが生じてしまう。この蒸気の吹き抜けが生じると、隣接する蒸発室間の圧力差が設計値から乖離し、蒸発性能は大幅に低下する。
そこで、装置負荷が変動した場合、ブラインの液位はどの程度低下するのかをプロセス計算により求めた。表1は、通常運転時の計算結果を、表2は、負荷変動時の計算結果を示したものである。
Figure 0006174351
Figure 0006174351
計算の前提として、オリフィスは方形状で幅は一定とし、オリフィスの高さのみを変化させた。各段の蒸発室におけるブラインの液位は300mmで一定とし、吹き抜けが生じないオリフィスの高さを計算した。
表1と表2を比較すると、ステージ番号#19、#20、#21において、吹き抜けを防止するために必要なオリフィスの高さは、負荷変動の影響を考慮した場合は、表2に示す通り、0.228m、0.246m、0.266mとなった。しかし、通常運転を想定した設計では、#19、#20、#21のオリフィスの高さは、表1に示す通り、0.244m、0.261m、0.279mとなる。従って、例えば、#21に注目すると、仮に、通常運転を想定してオリフィスの高さを0.279mに設定していると、装置負荷が変動した場合、本来必要な0.266mよりも高く設計されているために、吹き抜けが生じるおそれがある。
このように、多段フラッシュ式造水装置では、蒸発性能の観点からはブラインの液位を低くする方が好ましいが、装置負荷が変動した場合でも、蒸気の吹き抜けを防止することが重要となる。なお、ブラインの液位の低下は、循環ポンプ出力、循環海水量、各蒸発室内の温度や圧力等の装置負荷の変動によって生じるものである。
上記のような課題を解決しようとする試みとして、以下の技術は公知である。まず、図15(a)に示すように、オリフィス板201の手前に、蒸発室の底板202に対して鉛直上向きに、堰板203を立設する構成が実用されている。しかし、この図15(a)の構成(以下、スルースゲートオリフィスともいう。)は、装置負荷が変動してブラインの液位が低下した場合は、蒸発室間で吹き抜けが生じて蒸発性能が低下するという問題がある。
また、図15(b)に示すように、蒸発室の底板301のうち、オリフィス板302が存在する位置にのみ凹部303を設けることで、蒸気の吹き抜けを防止しつつ、ブラインAの液位をできるだけ低く保つ構成が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、この特許文献1の構成では、通常であれば単純な平坦面とすれば良い蒸発室の底板301に、一定間隔で凹部303を形成する必要があるため、製造コストが増大するという問題がある。
また、図15(c)に示すように、上下に昇降可能な開閉板401を備えたオリフィス402を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、この特許文献2の構成では、海水の水位に応じて開閉板401を昇降させる制御機構が必須となり、装置構成が複雑となるため、コストアップが避けられないという問題がある。
特開昭61−234901号公報 実公昭63−27827号公報
本発明が解決しようとする課題は、従来の多段フラッシュ式造水装置には、ブラインの液位を低く保って蒸発性能を維持しつつ、蒸気の吹き抜けを確実に防止する適切な手段がなかった点である。
本発明は、ブラインの液位を低く保つことにより蒸発性能を良好に維持すると共に、装置負荷が変動した場合でも蒸気の吹き抜けが生じない多段フラッシュ式造水装置を提供することを目的としている。
本発明の多段フラッシュ式造水装置は、
隔壁により仕切られ、ハウジング内に多段に形成された複数の蒸発室と、
前記隔壁の下部に設けた第1オリフィス板と、
前記第1オリフィス板と前記蒸発室の底板の間に形成された開口部と、
前記開口部を通じて上流側の蒸発室から下流側の蒸発室に流入した海水がフラッシュ蒸発したときの蒸気を導いて冷却し、凝縮することにより淡水を生成する熱交換器と、
終端となっている上端が、前記隔壁の直下にあるか又は前記隔壁の直下よりも上流側に位置するように、前記底板に立設した第2オリフィス板と、を備え、
前記第1オリフィス板は、前記隔壁の位置よりも上流側方向に突出した部位は有さず、下端側が下流側の蒸発室の方向に曲げられていると共に、前記第2オリフィス板は、前記上端側が下流側の蒸発室の方向に傾斜していることを最も主要な特徴としている。
本発明の構成によれば、以下の作用が得られる。まず、隣接する蒸発室の間を仕切る隔壁の下部に取り付けられ、下端側が下流側の蒸発室の方向に曲げられた第1オリフィス板は、開口部を従来より狭く保ちながら開口部を通過するブラインの流れを円滑にし、ブラインの液位の増大を抑制する。
また、蒸発室の底板に、下流側の蒸発室の方向に傾斜する向きに取り付けられた第2オリフィス板は、装置負荷が変動したときに、ブラインの液位の低下を抑制する。
本発明の多段フラッシュ式造水装置は、第1オリフィス板の作用により、ブラインの液位の増大が抑制されるので、ブライン液位を低く保ち、蒸発性能を良好に維持できる。また、本発明の多段フラッシュ式造水装置は、第2オリフィス板の作用により、ブラインの液位の低下が抑制されるので、装置負荷が変動した場合でも蒸気の吹き抜けを防止することができる。
本実施例の多段フラッシュ式造水装置の全体構成を示す図である。 第1オリフィス板と第2オリフィス板からなる本発明の特徴的部分の構造を示す横断面図である。 第1オリフィス板の開口部の高さ(D)と、第2オリフィス板の横方向の長さ(L2)の説明図である。 第2オリフィス板の設置位置(L2+xD)を説明する図である。 第2オリフィス板の設置位置を変更した実施例の図であり、(a)はL2+1Dの位置に、(b)はL2+2Dの位置に、(c)はL2+3Dの位置に設置した例を示す図である。 係数xが0〜5の場合における従来例(スルースゲートオリフィス)に対する圧力損失比の変化を示すグラフである。 蒸発温度とオリフィス開口比の関係を示すグラフである。 蒸発温度とNETD比(非平衡温度差の比)の関係を示すグラフである。 第1、第2オリフィス板の材質または形状を変更した実施例の図であり、(a)はパンチングプレートもしくは多孔板で製作したオリフィス板の、(b)は曲率を有したオリフィス板の、(c)は屈曲部に蝶番を設け、屈曲部より先端は可動式としたオリフィス板の例を示す図である。 従来の多段フラッシュ式造水装置の全体構成の一例を示す図である。 蒸気温度が80℃、70℃、60℃、50℃、40℃の場合における過熱度ΔTsと液面から発泡開始点までの距離の関係を示すグラフである。 ブラインの液面から発泡開始点までの距離を説明する図で、(a)は同距離が大きく、蒸発性能が良好な場合の図、(b)は同距離が小さく、液面近くでしか蒸発しない場合の図、(c)はブラインの液位が低いため、蒸発量は同じでも蒸発性能としては良好となる場合の図である。 蒸気温度が80℃、70℃、50℃の場合におけるブライン液位とNETD(非平衡温度差)の関係を示すグラフである。 ブラインの液位がオリフィスの高さよりも低くなり、蒸気の吹き抜けが発生する状態を説明する図である。 従来の多段フラッシュ式造水装置の一例を示す図で、(a)はオリフィス板の手前に蒸発室の底板に対して鉛直上向きに堰板を立設する従来例の図、(b)は蒸発室の底板に凹部を設ける従来例の図、(c)は海水の水位に応じて昇降可能な開閉板を設ける従来例の図である。
以下、本発明の種々の実施形態を、図1〜図9を用いて詳細に説明する。先ず、本実施例の多段フラッシュ式造水装置1の全体構成を、図1に基づいて説明する。
多段フラッシュ式造水装置1は、海水を導いて蒸気Cにより加熱する加熱器43と、この加熱器43にて加熱された高温の海水を導いてフラッシュ蒸発を行う蒸発器30と、この蒸発器30内の空気を吸引し、所定の圧力以下に保つための真空装置Eと、海水等を移送する配管系統により構成されている。蒸発器30は、熱回収部10と熱放出部20とで構成される。
熱回収部10のハウジング11は、所定の長さを有し、かつ、横断面が矩形状にされた箱型形状であり、その内部は、所定の間隔をあけて隔壁12によって仕切られており、複数の蒸発室13が直列状に、多段配置されている。
多段配置された各蒸発室13の内部の上方には、熱交換器14が設けられている。この熱交換器14は、ブラインAのフラッシュ蒸発により得られた蒸気を冷却し、凝縮して淡水を生成するものであり、具体的には、内部に冷却海水が流れるように構成された伝熱管を用いている。生成された淡水は、熱交換器14の下方に設けた受け皿部15に回収される。
各蒸発室13の内圧は、真空装置Eにより、加熱器43に一番近い蒸発室13から順次低くなるように設定されている。隣接する蒸発室13同士間の飽和温度差は、例えば3〜4℃となるように設定されている。
第1オリフィス板16は、各隔壁12の下部に取り付けられている。より詳しくは、図2に示すように、上流側の蒸発室13aと下流側の蒸発室13bを区画している隔壁12の下端付近に、第1オリフィス板16の上部16bが、ボルト・ナット等の取り付け具Jにより固定されている。第1オリフィス板16は、下端16aa側が下流側の蒸発室13bの方向に曲げられた形状となっている。
第2オリフィス板19は、各蒸発室13の底板17に立設されている。より詳しくは、第2オリフィス板19は、鉛直上向きではなく、上流側の蒸発室13aの底板17に対して、θ2(0°<θ2<90°)の角度で、下流側の蒸発室13bの方向に斜めに傾斜して取り付けられている。
図3に示すように、第1オリフィス板16の下端と蒸発室13の底板17の間には、所要の高さDを有した開口部18が形成されている。隣接する蒸発室13a,13bは、開口部18を通じて連通している。ブラインAは、フラッシュ蒸発時、開口部18を通じて上流側の蒸発室13aから下流側の蒸発室13bへ流入する。
図3の例では、第1オリフィス板16の上部16aと下部16bのなす角度θ1は、例えば135°としている。また、図3の例では、第1オリフィス板16を取り付けた隔壁12の直下に、第2オリフィス板19の上端19aが位置している。なお、L2は、第2オリフィス板の横方向の長さを示している。
熱放出部20の基本構造は、熱回収部10と同じである。熱放出部20は、ハウジング21、隔壁22、蒸発室23、熱交換器24、受け皿部25、第1オリフィス板26、底板27、開口部28、第2オリフィス板29を備えている。
次に、本実施例の多段フラッシュ式造水装置1の全体的な処理フローを説明する。上記構成において、加熱器43に蒸気が供給されると共に、真空装置Eにより各蒸発室13,23内がそれぞれ所定の負圧に維持されている状態において、冷却海水Bは、海水ポンプ41により、熱放出部20の最後段の熱交換器24に送られ、全段の熱交換器24を通過した後、最前段の熱交換器24から最後段の蒸発室23に送られる。
熱放出部20の最後段の蒸発室23に送られた海水は、循環ポンプ42により、熱回収部10の最後段の熱交換器14に送られ、全段の熱交換器14を通過し、最前段の熱交換器14に移送される。各段の熱交換器24,14を通過する間、冷却海水Bは、凝縮潜熱を回収して徐々に昇温される。
回収部10の最前段の熱交換器14に移送された海水は、加熱器43に導入され、加熱器43内で高温の蒸気Cにより例えば105℃程度の所定の温度にまで加熱される。十分に昇温された海水は、熱回収部10の最前段の蒸発室113に供給される。
熱回収部10の最前段の蒸発室13に供給された海水Aは、減圧下で直ちにフラッシュ蒸発し、その蒸気は熱交換器14内を流れる低温の海水により冷却されて凝縮し、淡水が生成されて、受け皿図15上に落下する。
また、各段の蒸発室13内の圧力は、上流側から下流側に向けて順次減圧されるように予め設定されているので、開口部18を介して次段の蒸発室13内に入った海水も、直ちにフラッシュ蒸発するとともに、熱交換器14内を通過する低温の海水にその保有熱を放出し、冷却凝縮されて淡水が生成される。
このようにして、熱放出部20の最後段の蒸発室23に至るまで、順次フラッシュ蒸発が繰り返される。その間、受け皿部15,25で回収した淡水は、ポンプ44により生産水Dとして系外に取り出される。熱放出部20の最後段の蒸発室23に送られた海水は、循環ポンプ42により、熱回収部10の最後段の熱交換器14に戻される。なお、Fは、ポンプ45により系外に排出される加熱器43の蒸気のコンデンセートを、Gは、循環ポンプ42から排出される濃縮ブラインを、Hは、冷却海水排水を示している。
以上、図1〜図3に示す実施例に基づいて、本発明の多段フラッシュ式造水装置の全体構成を概略的に説明した。本実施例の多段フラッシュ式造水装置1は、隔壁12,22により仕切られ、ハウジング11,21内に多段に形成された複数の蒸発室13,23と、隔壁12,22の下部に設けた第1オリフィス板16,26と、第1オリフィス板16,26と蒸発室13,23の底板17,27の間に形成された開口部18,28と、開口部18,28を通じて上流側の蒸発室13,23から下流側の蒸発室13,23に流入した海水がフラッシュ蒸発したときの蒸気を導いて冷却し、凝縮することにより淡水を生成する熱交換器14,24と、底板17,27に立設した第2オリフィス板19,29と、を備え、第1オリフィス板16,26は、下端16aa側が下流側の蒸発室13,23の方向に曲げられていると共に、第2オリフィス板19,29は、下流側の蒸発室13,23の方向に傾斜している。
次に、本発明の特徴的部分であり、鳥の嘴のような形状(以下、鳥嘴状ともいう。)のオリフィスを形成する第1オリフィス板16,26および第2オリフィス板19,29の種々の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、熱回収部10の第1オリフィス板16と第2オリフィス板19を例として挙げるが、熱放出部20についても同様の実施形態を採用できる。
図4に示すように、第1オリフィス板16は、下端16aa側が下流側の蒸発室13bの方向に曲げられた形状となっているので、開口部18を従来より狭く設定しているにもかかわらず、開口部18を通過するブラインの流れが円滑になり、ブラインの液位の増大を抑制して、蒸発性能を良好に維持する。第1オリフィス板16の上部16bと下部16aのなす角度θ1は、90°<θ1<180°の範囲で適宜望ましい角度に設定できる。
第2オリフィス板19は、下流側の蒸発室13bの方向に傾斜する向きに立設されているので、装置負荷が変動した場合でもブラインの液位の低下を抑制し、蒸気の吹き抜けを防止する。
このように、本発明は、第1オリフィス板16と第2オリフィス板19からなる鳥嘴状のオリフィスを形成することにより、蒸発性能を良好に維持すると共に、蒸気の吹き抜けを防止するものである。
本発明者らは、圧力損失をCFD(Computational Fluid Dynamics)によりシミュレーションして、第2オリフィス板19の望ましい設置位置を検討した。ここで、第2オリフィス板19の設置位置とは、底板17の上面において、隔壁12の直下の位置から第2オリフィス板19の下端19bまでの水平方向の距離を意味する。
その結果、第2オリフィス板19の設置位置は、第1オリフィス板16の先端16aaにおける底板17からの高さをD、第2オリフィス板19の水平方向の長さをL2とするとき、L2+xD以下(係数xは0≦x≦5の範囲の任意の数)とすることが望ましいことが判明した。図5には、第2オリフィス板19の設置位置を、(a)L2+1Dとした場合の例、(b)L2+2Dとした場合の例、(c)L2+3Dとした場合の例を示す。
図6は、係数xを0から5の範囲で変化させた場合に比較例に対する圧力損失比がどのように変化するかを、CFDによりシミュレーションした結果を示すグラフである。比較例としては、図15(a)に示すようなスルースゲート式のオリフィスを用いた。圧力損失比は、「本実施例の圧力損失/比較例の圧力損失」の式で求められる値である。計算条件は、多段フラッシュ式造水装置の代表的な運転条件とし、流入する水の流速は0.868m/S、水の密度は1000kg/m3とした。この条件において、水の単相流がオリフィス付近を流れた際の圧力分布をシミュレーションした。
図6に示すように、係数xが0≦x≦5の場合、圧力損失比は0.4〜0.2の範囲となっている。つまり、圧力損失は、本実施例の構成を採用する方が明らかに小さくなっている。よって、本発明によれば、ブラインの流動抵抗が減少し、従来例を用いた場合よりもオリフィス開口を小さくできると考えられる。
図7は、ブラインの蒸発温度とオリフィス開口比の関係を示したグラフである。比較例には、図15(a)に示すようなスルースゲート式のオリフィスを用いた。オリフィス開口比は、本実施例の第1オリフィス板16の下端16aaにおける底板17からの高さをD(図4参照)、比較例のオリフィス板201の高さをC(図15(a)参照)とするとき、D/Cの式で求められる値である。計算条件は、多段フラッシュ式造水装置の代表的な運転条件とし、蒸発温度は45℃〜80℃、段間温度差は3℃、流量は187.5 t/h とした。
図7に示すように、オリフィス開口比は、何れの蒸発温度においても0.99〜0.92の範囲にあり、1よりも小さい値となっている。つまり、本実施例の構成を採用した場合は、スルースゲート式の従来例を用いた場合よりも、オリフィス開口を小さくすることができる。よって、本発明の構成によれば、吹き抜けを防止する効果が向上すると考えられる。また、本発明の構成により吹き抜けが生じないことは、実験によって実際に確認されている。
図8は、ブラインの蒸発温度とNETD比(非平衡温度差の比)の関係を示したグラフである。比較例としては、図15(a)に示すスルースゲート式のオリフィスを用いた。NETD比は、「本実施例のNETD/比較例のNETD」の式で求められる値である。
既に説明したとおり、非平衡温度差は、数値が低い程、蒸発性能が良好であることを意味する。よって、NETD比が1以下となっている場合は、従来例よりも有利な効果が得られていることを意味する。
図8に示すように、ブラインの温度が57℃以上100°以下の範囲では、本発明の構成を用いた方が蒸発性能は良好となる。
図5〜図8に示した実験結果より、第1オリフィス板および第2オリフィス板からなる本発明のオリフィス構造を用いると、従来のオリフィス板を用いた場合よりも蒸気の吹き抜けを防止する効果が高くなり、かつ、蒸発性能も良好になる領域があることが理解できる。
図9は、第1オリフィス板および第2オリフィス板の材質または形状を変更した実施例の説明図である。先ず、図9(a)は、第1オリフィス板51および第2オリフィス板52を、パンチングプレートもしくは多孔板で製作した実施例である。オリフィス板の材質をパンチングプレートもしくは多孔板とした場合、流動抵抗が減少するので、蒸発性能が更に向上する。
また、図9(b)は、第1オリフィス板61および第2オリフィス板62を、一定の曲率を有した板部材で製作した実施例である。オリフィス板の形状を、ブラインが流れる方向に沿うようにカーブした形状にすれば、流動抵抗が減少するので、蒸発性能が更に向上する。
本発明は、前記の実施例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば、上記実施例では、取り付け具Jを使用して隔壁12の下部に第1オリフィス板16を固定する例を開示したが、隔壁12と第1オリフィス板16は別体である必要はなく、一体的に構成されていても良い。
また、前述の実施例では、第1オリフィス板16の上部16bと下部16aのなす角度θ1 は一定の角度に固定されている例を開示したが、本発明の第1オリフィス板はこれに限らない。
例えば、図9(c)に示すように、第1オリフィス板71の屈曲部71aに蝶番を設けて、屈曲部71aよりも先端側は可動式としても良い。この場合、第1オリフィス板71の密度(浮力)を適切に設定すれば、ブラインの水圧に応じて第1オリフィス板71の開口部の高さを自動調節できる。
1 多段フラッシュ式造水装置
11,21 ハウジング
12,22 隔壁
13,23 蒸発室
14,24 熱交換器
16,26 第1オリフィス板
17,27 底板
18,28 開口部
19,29 第2オリフィス板

Claims (2)

  1. 隔壁により仕切られ、ハウジング内に多段に形成された複数の蒸発室と、
    前記隔壁の下部に設けた第1オリフィス板と、
    前記第1オリフィス板と前記蒸発室の底板の間に形成された開口部と、
    前記開口部を通じて上流側の蒸発室から下流側の蒸発室に流入した海水がフラッシュ蒸発したときの蒸気を導いて冷却し、凝縮することにより淡水を生成する熱交換器と、
    終端となっている上端が、前記隔壁の直下にあるか又は前記隔壁の直下よりも上流側に位置するように、前記底板に立設した第2オリフィス板と、を備え、
    前記第1オリフィス板は、前記隔壁の位置よりも上流側方向に突出した部位は有さず、下端側が下流側の蒸発室の方向に曲げられていると共に、前記第2オリフィス板は、前記上端側が下流側の蒸発室の方向に傾斜していることを特徴とする多段フラッシュ式造水装置。
  2. 前記第2オリフィス板の設置位置は、前記第1オリフィス板の先端における底板からの高さをD、前記第2オリフィス板の水平方向の長さをL2とするとき、前記隔壁の直下の位置から前記第2オリフィス板の下端までの水平方向の距離が、L2+xD以下(係数xは0≦x≦5の範囲の任意の数)であることを特徴とする請求項1に記載の多段フラッシュ式造水装置。
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