以下、極点検索装置および極点検索方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、波形表示装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す波形表示装置1は、極点検索装置の一例であって、測定部11、表示部12、操作部13、処理部14および記憶部15を備えて、後述する極点検索方法に従い、測定処理、表示処理および検索処理などの各種の処理を実行可能に構成されている。
測定部11は、処理部14の制御に従って測定処理を実行し、測定対象のインピーダンス(抵抗:第2パラメータに相当する)を測定用信号の周波数(第1パラメータに相当する)を変更しつつ測定して測定データDwを出力する。
表示部12は、一例として、液晶パネルで構成されて、処理部14の制御に従って表示処理を実行し、各種の画像を表示する。具体的には、表示部12は、図2,5に示すように、波形W1,W2(以下、区別しないときには「波形W」ともいう)や、波形Wの極点(極大点および極小点)における周波数およびインピーダンスを示す文字情報Ivを表示する。この場合、各図に示す波形Wは、測定部11から出力された測定データDwに基づく波形であって、周波数軸Ax(第1パラメータ軸に相当し、この例ではX軸)およびインピーダンス軸Ay(第2パラメータ軸に相当し、この例ではY軸)で構成される座標平面(XY平面)内における周波数の変化に対するインピーダンスの変化を示している。なお、図2,5では、実際に測定された測定データDwに基づく波形Wを実線で示し、ノイズの重畳や測定誤差による突発的なインピーダンスの変化のない理想的な波形Wを破線で示している。
操作部13は、モード切替えキー、記録開始キー、記録終了キー、波形表示キー、検索開始キー、および数字入力キーなどを備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号Soを出力する。この場合、数字入力キーは、後述する検索処理における取得処理を処理部14に実行させる回数としてのLの値(以下、単に「L」ともいう)や、その取得処理において後述する第1ポイントP1、第2ポイントP2、第3ポイントP3を選択する際に用いる「M」の値(以下、単に「M」ともいう)および「N」の値(以下、単に「N」ともいう)を入力する際に用いられる。
処理部14は、操作部13から出力される操作信号Soに従って波形表示装置1を構成する各部を制御する。また、処理部14は、後述する検索処理を実行して波形Wにおける極点(極大点および極小点)を検索すると共に、検索した極点における周波数およびインピーダンスを示す文字情報Ivを表示部12に表示させる。
記憶部15は、処理部14の制御に従って各種のデータを記憶する。具体的には、記憶部15は、測定部11から出力された測定データDwを記憶する。また、記憶部15は、操作部13に対する操作によって設定された「L」、「M」および「N」を示すデータを記憶する。
また、記憶部15は、処理部14によって実行される検索処理において用いられるパターンデータDpを記憶する。この場合、パターンデータDpには、周波数が異なる(一例として、周波数軸Axに沿って同じ間隔で離間する)波形W上の複数のポイント(例えば、図2に示すポイントPa〜Pl、および図5に示すポイントPm〜Px:以下、区別しないときには「ポイントP」ともいう)で構成されるポイント群Cp1,Cp2内の3つのポイントPにおける各々のインピーダンスの大小関係によって分類されるパターン(以下、「インピーダンスの変化パターン」ともいう)として予め指定された複数種類(一例として、9種類)の指定パターンF1〜F9(図4参照:以下、指定パターンF1〜F9を区別しないときには「指定パターンF」ともいう)を示すデータが含まれている。また、パターンデータDpには、各指定パターンF1〜F9に対して設定されている重み付け値Vw(重みの軽重を示す第2の重み付け値に相当し、同図に示す1〜3の数値)を示すデータが含まれている。この例では、重み付け値Vwの数値が大きいほど重みが重いことを示している。
この場合、図4に示す各指定パターンF1〜F9における真中の点が、ポイント群Cp1内における1つのポイントPである第1ポイントP1に相当し、各指定パターンF1〜F9における左側の点が、第1ポイントP1よりも周波数軸Axの原点側に位置する第2ポイントP2に相当し、各指定パターンF1〜F9における右側の点が、第1ポイントP1よりも周波数軸Axの先端側に位置する第3ポイントP3(以下、第1〜第3ポイントP1,P2,P3を総称するときには「ポイントP1,P2,P3」ともいう)に相当する。また、各ポイントP1,P2,P3におけるインピーダンスをそれぞれZ1、Z2およびZ3とすると、各指定パターンF1〜F9では、Z1、Z2およびZ3の大小関係が、次のように規定されている。
指定パターンF1:Z2<Z1<Z3
指定パターンF2:Z2<Z1=Z3
指定パターンF3:Z2<Z1>Z3
指定パターンF4:Z2=Z1<Z3
指定パターンF5:Z2=Z1=Z3
指定パターンF6:Z2=Z1>Z3
指定パターンF7:Z2>Z1<Z3
指定パターンF8:Z2>Z1=Z3
指定パターンF9:Z2>Z1>Z3
なお、指定パターンF1,F3,F7,F9については、Z2,Z1の差とZ1,Z3の差とが等しい場合および異なる場合の双方が含まれる。また、指定パターンF3は、極点と判定したポイントPが極大点であることを判別する際に用いられ、指定パターンF7は、極点と判定したポイントPが極小点であることを判別する際に用いられる。つまり、指定パターンF3は、極大点を示す指定パターンFとして指定され、指定パターンF7は極小点を示す指定パターンFとして指定されている。
次に、波形表示装置1を用いた極点検索方法、およびその際の波形表示装置1の動作について、図面を参照して説明する。
まず、波形表示装置1を用いて測定対象のインピーダンスを測定するときには、操作部13のモード切替えキーを操作して、波形表示装置1を測定モードに切り替えた後に、操作部13の測定開始キーを操作する。この際に、処理部14が、操作部13から出力された操作信号Soに従って測定部11を制御し、測定部11に測定処理を実行させる。この測定処理では、測定部11は、電気信号の周波数を変更しつつ、電気信号を測定対象に対して供給し、これに伴うインピーダンスを測定して、周波数毎のインピーダンスの測定値を示す測定データDwを出力する。
また、処理部14は、測定部11から出力された測定データDwを記憶部15に記憶させる。続いて、測定を終了するときには、操作部13の測定終了キーを操作する。これに応じて、処理部14は、測定部11を制御して測定処理を終了させる。
次に、記憶部15に記憶されている測定データDwに基づく波形W1を表示させるときには、操作部13のモード切替えキーを操作して、波形表示装置1を波形表示モードに切り替える。この際に、処理部14は、操作部13から出力された操作信号Soに従い、記憶部15に記憶されている測定データDwを読み出す。次いで、処理部14は、表示部12を制御して表示処理を実行させ、図2に示すように、読み出した測定データDwに基づく波形W1を表示させる。この場合、波形W1は、同図に示すように、周波数軸Axおよびインピーダンス軸Ayで構成される座標平面内における周波数の変化に対するインピーダンスの変化を示している。
次に、表示部12に表示されている波形W1における極点を検索させるときには、操作部13のモード切替えキーを操作して、波形表示装置1を設定モードに切り替える。次いで、操作部13の数字入力キーを操作して、後述する取得処理を処理部14に実行させる回数としてのL(Lは2以上の整数)を設定(入力)する。この例では、Lを「3」に設定したものとする。続いて、操作部13の数字入力キーを操作して、NおよびMを設定(入力)する。ここで、Nは、周波数軸Axに沿う方向において第1ポイントP1と第2ポイントP2との間に存在するポイントP(第1ポイントP1および第2ポイントP2以外のポイントP)の数に相当する値であって、0以上の整数に設定することができる。また、Mは、周波数軸Axに沿う方向において第1ポイントP1と第3ポイントP3との間に存在するポイントP(第1ポイントP1および第3ポイントP3以外のポイントP)の数に相当する値であって、0以上の整数に設定することができる。
この場合、取得処理を実行する回数(この例では、1回目〜3回目)毎にNおよびMの少なくとも一方を異なる値に設定する。この例では、1回目の取得処理についてNおよびMをそれぞれ「0」に設定し、2回目の取得処理についてNおよびMの両者を「0」とは異なる「1」にそれぞれ設定し、3回目の取得処理についてNおよびMの両者を「0」および「1」とは異なる「2」にそれぞれ設定したものとする。また、処理部14は、設定されたL,M,Nを示すデータを記憶部15に記憶させる。
次いで、操作部13の検索開始キーを操作する。この際に、処理部14は、操作部13から出力された操作信号Soに従って検索処理を実行する。この検索処理では、処理部14は、測定データDwに基づき、表示部12に表示されている波形W1上における周波数が異なる複数のポイントP(例えば、図2に示すように、周波数軸Axに沿って同じ間隔で離間するポイントPa〜Pl)で構成されるポイント群Cp1を特定する。
続いて、処理部14は、パターンデータDpを記憶部15から読み出すと共に、L,M,Nを示すデータを記憶部15から読み出す。次いで、処理部14は、1回目の取得処理を実行する。この1回目の取得処理では、処理部14は、ポイント群Cp1を構成する各ポイントPのうちの1つのポイントPとして例えば、図2に示すポイントPbを選択し、このポイントPbを第1ポイントP1とする。続いて、処理部14は、第1ポイントP1よりも周波数軸Axに沿って周波数軸Axの原点側(同図における左側)に位置して他のポイントPを挟まずに(つまり、N個の一例としての0個のポイントPを挟んで)隣接するポイントPaを選択し、このポイントPaを第2ポイントP2とする。次いで、処理部14は、第1ポイントP1よりも周波数軸Axに沿って周波数軸Axの先端側(同図における右側)に位置して他のポイントPを挟まずに(つまり、M個の一例としての0個のポイントPを挟んで)隣接するポイントPcを選択し、このポイントPcを第3ポイントP3とする(図3の「1回目の取得処理」における「Pb」の欄参照)。
続いて、処理部14は、上記のようにして選択した3つのポイントPa〜Pc(ポイントP1,P2,P3)のインピーダンスの変化パターンが、図4に示す9つの指定パターンF1〜F9のうちのいずれかに該当するか否かを判定すると共に、いずれかの指定パターンFに該当したときにはその指定パターンFに対して設定されている重み付け値Vwを第1ポイントP1の重み付け値Vwとして取得する。この場合、ポイントPa〜Pcのインピーダンスの変化パターンが、図4に示す指定パターンF3に該当するため、処理部14は、指定パターンF3に対して設定されている「3」の重み付け値Vwを第1ポイントP1としたポイントPbの重み付け値Vwとして取得する(図3の「1回目の取得処理」における「Pb」の欄参照)。
次いで、処理部14は、MおよびNを変更せずに、上記した重み付け値Vwを取得する処理を、各ポイントP1,P2,P3として選択するポイントPを変更しつつ(具体的には、第1ポイントP1をPcからPkまで変更しつつ)繰り返して行い(図3における「1回目の取得処理」の欄参照)、1回目の取得処理を終了する。
続いて、処理部14は、2回目の取得処理を実行する。この2回目の取得処理では、処理部14は、第1ポイントP1よりも周波数軸Axの原点側に位置してN個の一例としての1個のポイントPを挟んで第1ポイントP1に隣接する(つまり、1個置きで隣接する)ポイントPを第2ポイントP2として選択し、第1ポイントP1よりも周波数軸Axの先端側に位置してM個の一例としての1個のポイントPを挟んで第1ポイントP1に隣接する(つまり、1個置きで隣接する)ポイントPを第3ポイントP3として選択して、上記した重み付け値Vwを取得する処理を行う。
ここで、ポイントPbを第1ポイントP1としたときには、周波数軸Axの原点側に位置して1個のポイントPを挟んでポイントPbに隣接する他のポイントP、つまり第2ポイントP2とすべきポイントPが存在しないこととなる(図2参照)。このときには、処理部14は、図3の「2回目の取得処理」における「Pb」の欄に示すように、最も原点側に位置するポイントP(この例では、ポイントPa)を第2ポイントP2の代替ポイントとして選択する。
また、ポイントPkを第1ポイントP1としたときには、周波数軸Axの先端側に位置して1個のポイントPを挟んでポイントPkに隣接する他のポイントP、つまり第3ポイントP3とすべきポイントPが存在しないこととなる(図2参照)。このときには、処理部14は、図3の「2回目の取得処理」における「Pk」の欄に示すように、最も先端側に位置するポイントP(この例では、ポイントPl)を第3ポイントP3の代替ポイントとして選択する。
次いで、処理部14は、2回目の取得処理が終了したときには、3回目の取得処理を実行する。この場合、処理部14は、第1ポイントP1よりも周波数軸Axの原点側に位置してN個の一例としての2個のポイントPを挟んで第1ポイントP1に隣接する(つまり、2個置きで隣接する)ポイントPを第2ポイントP2として選択し、第1ポイントP1よりも周波数軸Axの先端側に位置してM個の一例としての2個のポイントPを挟んで第1ポイントP1に隣接する(つまり、2個置きで隣接する)ポイントPを第3ポイントP3として選択して、上記した1回目の取得処理と同様の処理を行う(図3における「3回目の取得処理」の欄参照)。
この場合、ポイントPb,Pcを第1ポイントP1としたときには、周波数軸Axの原点側に位置して2個のポイントPを挟んでポイントPb,Pcに隣接する他のポイントP、つまり第2ポイントP2とすべきポイントPが存在しないこととなる(図2参照)。このときには、処理部14は、上記した2回目の取得処理と同様にして、最も原点側に位置するポイントP(この例では、ポイントPa)を第2ポイントP2の代替ポイントとして選択する(図3の「3回目の取得処理」における「Pb」の欄、および「Pc」の欄参照)。
また、ポイントPj,Pkを第1ポイントP1としたときには、周波数軸Axの先端側に位置して2個のポイントPを挟んでポイントPj,Pkに隣接する他のポイントP、つまり第3ポイントP3とすべきポイントPが存在しないこととなる(図2参照)。このときには、処理部14は、上記した2回目の取得処理と同様にして、最も先端側に位置するポイントP(この例では、ポイントPl)を第3ポイントP3の代替ポイントとして選択する(図3の「3回目の取得処理」における「Pj」の欄、および「Pk」の欄参照)。
続いて、処理部14は、極点判定処理を実行する。この極点判定処理では、処理部14は、上記した1回目から3回目までの3(Lの一例)回の取得処理において取得した重み付け値VwをポイントP毎に合計した合計値Vtを算出する(図3参照)。この場合、上記したように重み付け値Vwの数値が大きいほど重みが重いことを示しているため、重み付け値Vwを合計した合計値Vtも、その数値が大きいほど重みが重いことを示している。次いで、処理部14は、合計値Vtが予め決められた重みを示す規定値Vr1(一例として、「9」)以上との条件を満たすポイントP(この例では、ポイントPb)をポイント群Cp1における極点(極大点および極小点のいずれか)であると判定する。この場合、規定値Vr1の数値が大きいほど重みが重いことを示している。また、上記したように、合計値Vtの数値が大きいほど重みが重いことを示している。つまり、処理部14は、合計値Vtによって示される重みが規定値Vr1によって示される予め決められた重み以上との条件を満たすポイントPbをポイント群Cp1における極点であると判定する。
また、処理部14は、極点であると判定したポイントPbを第1ポイントP1とした3回の取得処理のうちの少なくとも1回(この例では、3回)の取得処理において、各ポイントP1,P2,P3のインピーダンスの変化パターンが、極大点を示す指定パターンF3に該当すると判定しているため、ポイントPbを極大点と判定する。なお、規定値Vr1の値は、検索対象の波形Wに応じて任意に設定することができる。この場合、規定値Vr1は、記憶部15に予め記憶させておくこともできるし、操作部13を操作して入力することもできる。
続いて、処理部14は、表示部12を制御して、図2に示すように、極点(極大点)として判定したポイントPbを通るカーソル線Clを表示させると共に、そのポイントPbにおける周波数およびインピーダンスを示す文字情報Ivを表示させる。
この場合、他のポイントPを挟まずに隣接する3つのポイントPにおけるインピーダンスの大小関係のパターンのみに基づいて極点を検索している構成では、図2に示す波形W1において、極大点として検索されるべきポイントPbに加えて、ノイズの重畳や測定誤差によって測定値が変化した可能性が高いポイントPe,Piも極大点として検索されることとなり、検索結果の精度が低下するおそれがある。
これに対して、この波形表示装置1では、重み付け値Vwを取得する処理を3つのポイントPを変更しつつ繰り返して行う取得処理を、3つのポイントPの間に挟む他のポイントPの数を異ならせて(つまり、各ポイントP1,P2,P3の相互の間隔を異ならせて)複数回実行する。このため、図3に示すように、ポイントPe,Piをそれぞれ第1ポイントP1として、各ポイントP1,P2,P3の相互の間隔を狭く規定した1回目の取得処理において各ポイントP1,P2,P3のインピーダンスの変化パターンが極大点を示す指定パターンF3(図4参照)に該当すると判定されたとしても、各ポイントP1,P2,P3の相互の間隔を広く規定した2回目および3回目の取得処理においては指定パターンF3とは異なる指定パターンFに該当すると判定される。この結果、ポイントPe,Piについての合計値Vtが規定値Vr1としての「9」以上との条件を満たさないため、ポイントPe,Piが極点として検索されることなく、極点として検索されるべきポイントPbだけが極点として高精度に検索される。
また、この波形表示装置1では、各ポイントP1,P2,P3の間に挟む他のポイントPの数を多く設定したり、取得処理の回数を多く設定したりすることで、ノイズの重畳や測定誤差による突発的なインピーダンスの変化の影響を極力少なくしたり、各ポイントP1,P2,P3の間に挟む他のポイントPの数を少なく設定したり、取得処理の回数を少なく設定したりすることで、ある程度小さなインピーダンスの変化も極点として判定させたりすることが可能となっている。
一方、上記したように、2回目以降の取得処理においては、周波数軸Axの原点側および先端側に位置するポイントPを第1ポイントP1としたときには、第2ポイントP2や第3ポイントP3に該当するポイントPがポイント群Cp1内に存在しないこととなる(図2参照)。ここで、従来の測定装置(波形表示装置)では、図8における「2回目の取得処理」の欄、および「3回目の取得処理」の欄に示すように、第1ポイントP1としたときに第2ポイントP2や第3ポイントP3に該当するポイントPがポイント群Cp1内に存在しないこととなるポイントP(この例では、ポイントPb,Pc,Pj,Pk)については、取得処理の対象から除外している、このため、従来の測定装置では、極点として検索されるべきポイントP(この例では、ポイントPb)が周波数軸Axの原点側や先端側に位置している場合には、そのポイントPについての重み付け値Vwの合計値Vtが他のポイントPの合計値Vtよりも小さくなる結果、他のポイントPが極点として判定されることとなる。
これに対して、この波形表示装置1では、上記したように、第2ポイントP2に該当するポイントPが存在しないときに、ポイント群Cp1内において最も周波数軸Axの原点側に位置するポイントP(この例では、ポイントPa)を第2ポイントP2の代替ポイントとして選択し、第3ポイントP3に該当するポイントPが存在しないときには、ポイント群Cp1内において最も周波数軸Axの先端側に位置するポイントP(この例では、ポイントPl)を第3ポイントP3の代替ポイントとして選択する(図3における「2回目の取得処理」の欄、および「3回目の取得処理」参照)。このため、この波形表示装置1では、極点として検索されるべきポイントPについての重み付け値Vwの合計値Vtが規定値Vr1以上の値となる結果、このポイントP(極点として検索されるべきポイントP)が極点として高精度に判定される。
次に、図5に示す波形W2における極点を検索させる例について説明する。この場合、処理部14は、検索処理において、波形W2上のポイントPm〜Pxで構成されるポイント群Cp2を特定し、次いで、上記した取得処理をNおよびMを異ならせて3(Lの一例)回実行する。
この場合、この例においても、第2ポイントP2に該当するポイントPが存在しないときに、ポイント群Cp2内において最も周波数軸Axの原点側に位置するポイントP(この例では、ポイントPm)を第2ポイントP2の代替ポイントとして選択し、第3ポイントP3に該当するポイントPが存在しないときには、ポイント群Cp2内において最も周波数軸Axの先端側に位置するポイントP(この例では、ポイントPx)を第3ポイントP3の代替ポイントとして選択する(図5における「2回目の取得処理」の欄、および「3回目の取得処理」参照)。
続いて、処理部14は、上記した極点判定処理を実行して、3回の取得処理において取得した重み付け値VwをポイントP毎に合計した合計値Vtを算出する(図6参照)。次いで、処理部14は、合計値Vtが規定値Vr1としての「9」以上との条件を満たすポイントP(この例では、ポイントPnをポイント群Cp2における極点(極大点および極小点のいずれか)であると判定する。また、処理部14は、極点であると判定したポイントPnを第1ポイントP1とした3回の取得処理のうちの少なくとも1回(この例では、3回)の取得処理において、各ポイントP1,P2,P3のインピーダンスの変化パターンが、極小点を示す指定パターンF7に該当すると判定しているため、ポイントPnを極小点と判定する。
続いて、処理部14は、表示部12を制御して、図5に示すように、極点(極小点)として判定したポイントPnを通るカーソル線Clを表示させると共に、そのポイントPnにおける周波数およびインピーダンスを示す文字情報Ivを表示させる。この例においても、重み付け値Vwを取得する処理を、3つのポイントPの間に挟む他のポイントPの数を異ならせて複数回実行するため、ノイズの重畳や測定誤差による突発的なインピーダンスの変化を極点として判定させないようにすることが可能な結果、波形W2における極点として検索されるべきポイントPnだけが極点として高精度に検索される。
また、この例においても、上記したように、第2ポイントP2に該当するポイントPが存在しないとき、および第3ポイントP3に該当するポイントPが存在しないときに、最も周波数軸Axの原点側に位置するポイントP(この例では、ポイントPm)、および最も周波数軸Axの先端側に位置するポイントP(この例では、ポイントPx)を第2ポイントP2の代替ポイント、および第3ポイントP3の代替ポイントとしてそれぞれ選択するため、極点として検索されるべきポイントPについての重み付け値Vwの合計値Vtが規定値Vr1以上の値となる結果、このポイントPが極点として高精度に判定される。
次に、他の実施形態(実施例)について説明する。この実施形態では、図7に示すように、処理部14が、図2に示す波形W1の極点(この例では、極大点)を検索する際に、上記した取得処理をNおよびMを異ならせて4(Lの一例)回実行する。また、この実施形態では、上記した指定パターンF1〜F9に対して次のように重み付け値Vwが設定されている。
指定パターンF1:1
指定パターンF2:1
指定パターンF3:2
指定パターンF4:1
指定パターンF5:0
指定パターンF6:−1
指定パターンF7:−2
指定パターンF8:−1
指定パターンF9:−1
また、この実施形態では、処理部14は、K(Kは2以上かつL(この例では「4」)以下の整数であって、この例では、「3」および「4」)回目の取得処理において、除外処理を実行する。この除外処理では、処理部14は、K回目よりも前の回の取得処理(3回目の取得処理における除外処理では1回目および2回目の取得処理、4回目の取得処理における除外処理では1回目〜3回目の取得処理)において取得した重み付け値Vwの累計値Vsが予め決められた規定値Vr2以下のポイントP(累計値によって示される重みが予め決められた規定条件を満たすポイントの一例)をK回目以降(3回目の取得処理における除外処理では3回目以降、4回目の取得処理における除外処理では4回目)の取得処理において第1ポイントP1とする対象から除外する。
この場合、規定値Vr2の数値が大きいほど重みが重いことを示している。また、上記したように重み付け値Vwの数値が大きいほど重みが重いことを示しているため、重み付け値Vwの累計値Vsも、その数値が大きいほど重みが重いことを示している。つまり、処理部14は、除外処理において、累計値Vsによって示される重みが規定値Vr2によって示される予め決められた重み以下との規定条件を満たすポイントPをK回目以降の取得処理において第1ポイントP1とする対象から除外する。
具体的には、処理部14は、3回目の取得処理において実行する除外処理において、図7に示すように、重み付け値Vwの累計値Vsが規定値Vr2としての例えば「−3」以下のポイントPd,Pg,Phを特定する。次いで、処理部14は、ポイントPd,Pg,Phを3回目以降(3回目および4回目)の取得処理において第1ポイントP1とする対象から除外する。また、処理部14は、4回目の取得処理において実行する除外処理において、同図に示すように、重み付け値Vwの累計値Vsが規定値Vr2としての例えば「−3」以下のポイントPc,Pf,Pj,Pkを特定し、続いて、ポイントPc,Pf,Pj,Pkを4回目の取得処理において第1ポイントP1とする対象から除外する。
この場合、K回目よりも前の回(L回の途中の回)の取得処理までに取得した重み付け値Vwの累計値Vsが他のポイントP(この例では、ポイントPd,Pg,Ph以外のポイントP)と比較して小さいポイントPについては、取得処理をL回(最後)まで実行したとしても、その合計値Vtが他のポイントPの合計値Vtより大きくなる可能性、つまり極点(この例では、極大点)と判定される可能性が低い。このため、取得処理をL回(最後)まで実行する途中の段階で、このようなポイントPd,Pg,Phを第1ポイントP1とする対象から除外することで、極点の判定(検索)に影響を与えることなく、これらのポイントPd,Pg,Phについての取得処理を省略できる分だけ検索処理を短時間で行うことが可能となっている。また、この例では、同図に示すように、ポイントPd,Pg,Phを極点判定処理の対象(合計値Vtを算出する処理の対象)からも除外しているため、検索処理の処理時間をさらに短縮することが可能となっている。
なお、「K」については、「3」および「4」に限定されず、2以上でL以下の任意の整数に規定することもできる。また、「K」については、記憶部15に予め記憶させておくこともできるし、操作部13を操作して検索処理の開始以前に入力することもできる。また、規定値Vr2についても、「−3」に限定されず、対象の波形Wに応じて任意に設定することができる。この場合、上記の実施形態では、2回の除外処理において同じ規定値Vr2(−3)を用いているが、除外処理を複数回実行するときに、異なる規定値Vr2を用いることもできる。また、規定値Vr2についても、記憶部15に予め記憶させておくこともできるし、操作部13を操作して検索処理の開始以前に入力することもできる。
また、除外処理は、1回だけ実行してもよいし、上記の実施形態のように、K回目の取得処理において毎回(連続して)実行してもよい。また、連続しない任意の回の取得処理において除外処理を実行することもできる。
また、上記した規定条件(累計値Vsによって示される重みが規定値Vr2によって示される重み以下との条件)に代えて、累計値Vsによって示される重みが規定値Vr2によって示される重み以上との条件(規定条件の他の一例)を満たすポイントPを第1ポイントP1とする対象から除外する除外処理を実行することで、極小点を検索する検索処理において上記の実施形態と同様にして処理時間を短縮することが可能となる。また、累計値Vsによって示される重みが予め決められた重みの範囲内(上下限値内)との条件(規定条件の他の一例)を満たすポイントPを第1ポイントP1とする対象から除外する除外処理を実行することで、極大点と極小点との双方を検索する検索処理において上記の実施形態と同様に処理時間を短縮することが可能となる。さらに、累計値Vsによって示される重みが予め決められた1つの重みまたは複数の重みの1つと同一との条件(規定条件の他の一例)を満たすポイントPを第1ポイントP1とする対象から除外することもできる。
このように、この波形表示装置1および極点検索方法では、第2ポイントP2に該当するポイントPが存在しないときに、ポイント群Cp1内において最も周波数軸Axの原点側に位置して第1ポイントP1とは異なるポイントPを第2ポイントP2の代替ポイントとして選択し、第3ポイントP3に該当するポイントPが存在しないときには、ポイント群Cp1内において最も周波数軸Axの先端側に位置して第1ポイントP1とは異なるポイントPを第3ポイントP3の代替ポイントとして選択する。このため、この波形表示装置1および極点検索方法では、第2ポイントP2や第3ポイントP3に該当するポイントPが存在しないときに取得処理の対象から除外されて重み付け値Vwの合計値Vtが他のポイントPの合計値Vtよりも小さくなる従来の構成および方法とは異なり、極点として検索されるべきポイントPが周波数軸Axの原点側や先端側に位置している場合においても、そのポイントPについての重み付け値Vwの合計値Vtを適正な値とすることができる。したがって、この波形表示装置1および極点検索方法によれば、極点として検索されるべきポイントPが周波数軸Axの原点側や先端側に位置している場合において、そのポイントP(極点として検索されるべきポイントP)を極点として検索する精度を十分に向上させることができる。
また、この波形表示装置1および極点検索方法では、K回目の取得処理において、K回目よりも前の回の取得処理において取得した重み付け値Vwの累計値Vsが予め決められた規定値Vr2以下のポイントPをK回目以降の取得処理において第1ポイントP1とする対象から除外する除外処理を実行する。このため、この波形表示装置1および極点検索方法によれば、極点と判定される可能性が低いポイントPを第1ポイントP1とする対象から除外することで、極点の判定に影響を与えることなく、このポイントPについての取得処理を省略できる分だけ検索処理を短時間で行うことができる結果、検索処理の効率を十分向上させることができる。
また、この波形表示装置1は、Kを任意に設定可能に構成されている。このため、この波形表示装置1によれば、例えば、ノイズの重畳や測定誤差による突発的なインピーダンスの変化が少ない波形Wについての検索処理を行うときには、Kを小さく設定することで、L回実行する取得処理のうちの早い回の取得処理段階で除外処理を実行させて検索処理の効率をさらに十分向上させることができ、突発的なインピーダンスの変化が多い波形Wについての検索処理を行うときには、Kを大きく設定することで、突発的なインピーダンスの変化を極点として判定させないようにして極点として検索されるべきポイントPを極点として検索する精度をさらに向上させることができる。
また、この波形表示装置1は、規定値Vr2を任意に設定可能に構成されている。このため、この波形表示装置1によれば、ノイズの重畳や測定誤差による突発的なインピーダンスの変化の大きさや変化の発生頻度に応じて規定値Vr2を変更することで、検索処理の効率の向上を優先する検索処理形態、および極点の検索精度の向上を優先する検索処理形態のいずれにも確実に対応することができる。
また、この波形表示装置1および極点検索方法では、指定パターンFが複数種類設けられると共に、各指定パターンFに対して異なる大きさの重み付け値Vwが設定されている。この場合、例えば、1つの指定パターンFだけを指定する構成では、3つのポイントPにおける各々の第2パラメータの大小関係のパターンがその1つの指定パターンFと僅かに異なっただけで、重み付け値Vwが取得できずに、極点として検索されないこともある。これに対して、この波形表示装置1では、指定パターンFを複数種類設けたことで、いずれかの指定パターンFに該当させることができる結果、このようなポイントPを極点として判定することができる。
また、この波形表示装置1は、MおよびNの少なくとも一方を任意に設定可能に構成されている。このため、この波形表示装置1によれば、例えば、MおよびNの少なくとも一方を大きい値に設定して、3つのポイントPの間に挟む他のポイントPの数を多くすることで、ノイズの重畳や測定誤差による突発的なインピーダンスの変化の影響をさらに少なくすることができる。また、例えば、MおよびNの少なくとも一方を小さな値に設定して、3つのポイントPの間に挟む他のポイントPの数を少なくすることで、ある程度小さなインピーダンスの変化も極点として判定させたりすることができる。
また、この波形表示装置1は、Lを任意に設定可能に構成されている。このため、この波形表示装置1によれば、例えば、Lを大きな値に設定して取得処理の回数を多く設定することで、ノイズの重畳や測定誤差による突発的なインピーダンスの変化の影響をさらに少なくすることができると共に、極点を検索する検索処理の精度をさらに向上させることができる。また、例えば、Lを小さな値に設定して取得処理の回数を少なく設定することで、ある程度小さなインピーダンスの変化も極点として判定させたりすることができると共に、検索処理の処理時間を十分に短くすることができる。
なお、上記の構成および方法では、Nを「0」、「1」および「2」に設定し、Mを「0」、「1」および「2」に設定しているが、NおよびMは、0以上の任意の整数に設定することができる。また、上記の構成および方法では、NとMとを異なる値に設定することもできる。具体的には、上記の構成および方法では、2回目の取得処理におけるN、Mの双方を「1」に設定したが、これに代えて、2回目の取得処理におけるNを例えば「2」に設定し、Mを例えば「1」に設定することができる。また、上記の構成および方法では、取得処理の回数が異なる毎に(取得処理の回を重ねる度に)NとMの双方を変更させているが、取得処理の回数が異なっても、NおよびMの一方は変更しない(つまり、NおよびMの少なくとも一方を変更させる)構成および方法を採用することもできる。
また、上記の構成および方法では、取得処理を実行させる回数としてのLを「3」または「4」に設定しているが、Lは、2以上の任意の整数に設定することができる(つまり、取得処理を2回以上の任意の回数実行させることができる)。また、L,M,Nを操作部13に対する操作によって設定する構成および方法に代えて、L,M,Nの一部または全部を予め設定しておく構成および方法を採用することもできる。
また、9個の指定パターンFが指定されている例について上記したが、指定パターンFは、上記した9個の指定パターンFのうちの1つであってもよいし、9個の指定パターンFのうちの任意の複数であってもよい。また、上記した9個の指定パターンFとは異なる指定パターンFを指定することもできる。具体的には、上記した指定パターンF1,F3,F7,F9については、Z2,Z1の差とZ1,Z3の差とが等しい場合および異なる場合の双方が含まれるが、上記した指定パターンF1,F3,F7,F9においてZ2,Z1の差とZ1,Z3の差とが等しい指定パターンFや、上記した指定パターンF1,F3,F7,F9においてZ2,Z1の差とZ1,Z3の差とが異なる指定パターンFを指定することができる。
また、各指定パターンF1〜F9に設定する値は、上記の例に限定されず、任意に変更することができる。この場合、その値は、小数や分数を含んでもよい(必ずしも整数である必要はない)。
また、上記の例では、重み付け値Vw、累計値Vs、合計値Vtおよび規定値Vr1,Vr2の各数値について、「数値が大きいほど重みが重いことを示す」との前提で数値の設定や処理を行っているが、これらの値Vw,Vs,Vt,Vr1,Vr2の一部または全部の数値について、「数値が小さいほど重みが重いことを示す」との前提で数値の設定や処理を行う構成および方法を採用することもできる。具体的には、例えば、図4に示す指定パターンF1〜F9に対して設定された1〜3の重み付け値Vwに代えて、各数値に「−」を付した負の数値(−1、−2、−3の数値)を重み付け値Vwとして設定する。このように設定したときには、図3に示す各合計値Vtの数値が−3〜−9となる。また、上記した規定値Vr1を「9」に代えて「−9」に設定し、合計値Vtが規定値Vr1である「−9」以下との条件を満たすポイントP(つまり、合計値Vtによって示される重みが規定値Vr1によって示される予め決められた重み以上との条件を満たすポイントP)をポイント群Cp1における極点であるとの極点判定処理を処理部14に実行させることで、上記の例と同様にして、図2に示すポイントPbをポイント群Cp1における極点として判定(検索)させることができる。
さらに、周波数軸Axを第1パラメータ軸とし、インピーダンス軸Ayを第2パラメータ軸とする例について上記したが、時間軸を第1パラメータ軸とする構成および方法や、電圧値、電流値、電力値、抵抗値および温度などの各種の物理量、並びに原子量および分子量などの各種の化学量を第2パラメータとするパラメータ軸を第2パラメータ軸とする構成および方法に適用することもできる。