(第1実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における電力調整システム1の構成を示す構成図である。
電力調整システム1は、2つの電力供給源を備え、これらの電力供給源を協調させて負荷に電力を供給する電源システムである。電力調整システム1は、例えば、駆動モータ61で車両を駆動する電気自動車に搭載される。
電力調整システム1は、燃料電池スタック2と、強電バッテリ3と、PM(Power Management)回路4と、補機類5と、駆動部6と、コントローラ7と、を備える。補機類5は、補機モータ51と、補機インバータ52と、弱電バッテリ53と、降圧コンバータ54と、ヒータ電源回路55と、を備える。駆動部6は、駆動モータ61と、駆動インバータ62と、を備える。
また電力調整システム1は、スタック遮断器21と、逆流防止ダイオード22と、バッテリ遮断器31と、電流センサ81と、電圧センサ82と、ガス給排装置200と、スタック冷却装置230と、を備える。
燃料電池スタック2は、接続ライン20によって駆動部6と接続される。また、燃料電池スタック2は、PM回路4を介して補機類5と接続される。燃料電池スタック2は、補機モータ51及び駆動モータ61の電源である。燃料電池スタック2は、補機モータ51及び駆動モータ61などの負荷に応じて発電する。燃料電池スタック2は、複数枚の電池セルの燃料電池を積層したものである。
燃料電池は、電解質膜とアノード電極(燃料極)とカソード電極(酸化剤極)とを有し、電解質膜はアノード電極とカソード電極とで挟まれる。この燃料電池は、アノード電極に水素を含有するアノードガス(燃料ガス)と、カソード電極に酸素を含有するカソードガス(酸化剤ガス)とが外部から供給されることによって発電する。アノード電極及びカソード電極の両電極において進行する電極反応は以下の通りである。
アノード電極 : 2H2 →4H+ +4e- …(1)
カソード電極 : 4H+ +4e- +O2 →2H2O …(2)
この電極反応(1)及び(2)によって燃料電池は1ボルト程度の起電力を生じる。
燃料電池を自動車の動力源として使用する場合には、アクセルペダルの踏込み量が大きくなるほど、駆動モータ61を駆動するのに必要な電力が大きくなるため、数百枚の燃料電池を積層させる必要がある。
燃料電池スタック2に積層された燃料電池のそれぞれは、互いに直列に接続されているため、各燃料電池に生じるセル電圧の総和が、燃料電池スタック2の出力電圧となる。燃料電池スタック2は、スタック遮断器21を介して駆動インバータ62及びPM回路4の電圧端子4aのそれぞれに接続される。
スタック遮断器21は、燃料電池スタック2を駆動インバータ62及びPM回路4から機械的に遮断する接点式の切替器である。スタック遮断器21によって、緊急停止時などに燃料電池スタック2が駆動インバータ62及びPM回路4から完全に切り離される。スタック遮断器21は、コントローラ7によって制御される。
スタック遮断器21は、コントローラ7の指令に従って、燃料電池スタック2の起動時に燃料電池スタック2を、駆動インバータ62及びPM回路4に接続する。具体的にはスタック遮断器21は、燃料電池スタック2の正極端子(+)と逆流防止ダイオード22のアノード端子とを接続するとともに、燃料電池スタック2の負極端子(−)とPM回路4の負極側の電圧端子4aとを接続する。
逆流防止ダイオード22は、燃料電池スタック2の正極端子とPM回路4の正極側の電圧端子4aとを接続する接続ライン20に設けられる。逆流防止ダイオード22のカソード端子は、PM回路4の正極側の電圧端子4aと駆動インバータ62の正極端子とにそれぞれ接続される。
逆流防止ダイオード22によって、例えば強電バッテリ3から駆動モータ61に電力が供給されるときにPM回路4を介して燃料電池スタック2に逆流する電流が阻止される。また駆動モータ61で生成される回生電力が強電バッテリ3に供給されるときに駆動インバータ62から燃料電池スタック2に逆流する電流も阻止される。
強電バッテリ3は、接続ライン30によって補機類5と接続される。また、強電バッテリ3は、PM回路4を介して駆動部6と接続される。
強電バッテリ3は、補機類5の電源である。強電バッテリ3は、複数の電池セルが積層された積層電池であり、例えば300V(ボルト)のリチウムイオンバッテリである。強電バッテリ3によって、例えば駆動モータ61で生成される回生電力が蓄えられる。強電バッテリ3は、バッテリ遮断器31を介して補機インバータ52及びPM回路4の電圧端子4bのそれぞれに接続される。
バッテリ遮断器31は、燃料電池スタック2の運転を停止するときに、強電バッテリ3を補機インバータ52及びPM回路4から機械的に遮断する接点式の切替器である。バッテリ遮断器31は、コントローラ7によって制御される。
バッテリ遮断器31は、コントローラ7の指令に従って、燃料電池スタック2の起動時に強電バッテリ3を補機インバータ52及びPM回路4の電圧端子4bのそれぞれに接続する。具体的にはバッテリ遮断器31は、強電バッテリ3の正極端子(+)とPM回路4の正極側の電圧端子4bとを接続するとともに、強電バッテリ3の負極端子(−)とPM回路4の負極側の電圧端子4bとを接続する。
PM回路4は、燃料電池スタック2側の電圧と強電バッテリ3側の電圧とのうち少なくとも一方を昇圧又は降圧するコンバータである。本実施形態ではPM回路4として、双方向昇降圧回路が用いられる。なお、PM回路4は3相構造の多相コンバータであるが、ここでは、便宜上、1相の構成のみ示している。
PM回路4は、リアクトル41と、スタック側キャパシタ42と、バッテリ側キャパシタ43と、スイッチング素子44a〜44dと、ダイオード45a〜45dと、を備える。
スイッチング素子44a〜44dには、それぞれダイオード45a〜45dが並列に接続されている。ダイオード45a〜45dについては、スイッチング素子44a〜44dを流れる電流の向きに対してダイオード45a〜45dの順方向が逆向きとなるように配置される。
スイッチング素子44a〜44dは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistors)で構成される。スイッチング素子44a〜44dは、コントローラ7によってスイッチング制御される。スイッチング制御によってスタック側キャパシタ42の電圧、及び、バッテリ側キャパシタ43の電圧の少なくとも一方が昇圧又は降圧される。
ここでは一例として、強電バッテリ3から駆動部6への放電時のスイッチング素子44a〜44dの制御ついて簡単に説明する。
まず、スイッチング素子44a〜44dのそれぞれが非導通(オフ)状態のときに、スイッチング素子44bとスイッチング素子44cとが、共に導通(オン)状態に制御される。これにより、PM回路4内を流れる電流経路が、スイッチング素子44cからリアクトル41を介してスイッチング素子44bへ電流が流れる経路に設定され、バッテリ側キャパシタ43からリアクトル41に励磁電流が供給される。すなわち、バッテリ側キャパシタ43からリアクトル41に励磁エネルギーが蓄えられる。
この状態でスイッチング素子44bが非導通状態に制御されることにより、リアクトル41を流れる励磁電流によってスイッチング素子44c及びダイオード45aが共に導通する。これにより、PM回路4内を流れる電流経路が、スイッチング素子44cからリアクトル41を介してダイオード45aへ電流が流れる経路に切り替えられ、リアクトル41を流れる励磁電流がスタック側キャパシタ42に供給される。すなわち、リアクトル41に蓄えられた励磁エネルギーがスタック側キャパシタ42に放出される。
このようにして強電バッテリ3の電力が、スタック側キャパシタ42を介して駆動部6へ供給される。すなわち、PM回路4によって、強電バッテリ3側の電圧が下降し、燃料電池スタック2側の電圧が上昇する。
次に燃料電池スタック2から強電バッテリ3への充電時のスイッチング素子44a〜44dの制御ついて簡単に説明する。
まず、スイッチング素子44a〜44dのそれぞれがオフ状態のときに、スイッチング素子44aとスイッチング素子44dとが共にオン状態に制御される。これにより、PM回路4内を流れる電流経路が、スイッチング素子44aからリアクトル41を介してスイッチング素子44dへ電流が流れる経路に設定され、スタック側キャパシタ42からリアクトル41に励磁電流が供給される。すなわち、スタック側キャパシタ42からリアクトル41に励磁エネルギーが蓄えられる。
この状態でスイッチング素子44dがオフ状態に制御されることにより、リアクトル41を流れる励磁電流によってスイッチング素子44a及びダイオード45cが共に導通する。これにより、PM回路4内を流れる電流経路が、スイッチング素子44aからリアクトル41を介してダイオード45cへ電流が流れる経路に切り替えられ、リアクトル41を流れる励磁電流がバッテリ側キャパシタ43に供給される。すなわち、リアクトル41に蓄えられた励磁エネルギーがバッテリ側キャパシタ43に放出される。
このようにして燃料電池スタック2の電力がスタック側キャパシタ42を介して強電バッテリ3へ供給される。すなわち、PM回路4によって、燃料電池スタック2側の電圧が下降し、強電バッテリ3側の電圧が上昇する。
スイッチング素子44a〜44dの制御端子には、コントローラ7によってスイッチング制御を実行するためのPWM信号(Pulse Width Modulation)が供給される。PWM信号のデューティー比を変更することによって、リアクトル41を流れる電流を増減させることが可能となる。
補機類5は、燃料電池スタック2に付属する部品である。補機類5は、接続ライン30によって強電バッテリ3に接続される。さらに補機類5は、PM回路4を介して燃料電池スタック2から供給される電力で駆動する。すなわち補機類5は、燃料電池スタック2及び強電バッテリ3の負荷である。
補機モータ51は、3相交流モータであり、例えば永久磁石同期モータで構成される。本実施形態では補機モータ51は、燃料電池スタック2にカソードガスを供給するコンプレッサ212を駆動する。
補機インバータ52は、PM回路4の電圧端子4bとバッテリ遮断器31との間に並列に接続される。補機インバータ52は、コントローラ7によって制御される。
補機インバータ52は、コントローラ7の指令に従って、補機モータ51のステータコイルと接続ライン30との間を接続(通電)する。補機インバータ52は、PM回路4によって燃料電池スタック2から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を補機モータ51に供給する。
補機インバータ52は、制御部52aを備える。補機インバータ52には複数のスイッチング素子が設けられており、制御部52aは、スイッチング素子のそれぞれにPWM信号を供給して直流電圧をスイッチング制御する。補機インバータ52は、補機モータ51の停止時に補機モータ51のステータコイルを接続ライン30から遮断する。
弱電バッテリ53は、燃料電池スタック2に供給されるアノードガス及びカソードガスの圧力を制御する制御部品やコントローラ7などに電力を供給する電源である。弱電バッテリ53は、強電バッテリ3よりも電圧が低い14Vの2次バッテリである。弱電バッテリ53によって、例えば調圧弁214、223や、パージ弁225などに電圧が供給される。
降圧コンバータ54は、強電バッテリ3とPM回路4の電圧端子4bとの間に並列に接続される。降圧コンバータ54の入力端子は、強電バッテリ3とPM回路4の電圧端子4bとを接続する接続ライン30に接続され、降圧コンバータ54の出力端子は、弱電バッテリ53に接続される。降圧コンバータ54は、バッテリ側キャパシタ43に生じる電圧を弱電バッテリ53の電圧レベルまで降圧する。降圧コンバータ54は、コントローラ7によって制御される。
ヒータ電源回路55は、燃料電池スタック2を暖機するときに冷却水を温めるヒータ236に電力を供給する回路である。ヒータ電源回路55は、コントローラ7によってヒータ236に対する供給電力を制御する。
駆動部6は、燃料電池スタック2から供給される電力で車両を駆動する。すなわち駆動部6は、接続ライン20によって燃料電池スタック2に接続される負荷である。さらに駆動部6は、PM回路4を介して強電バッテリ3と接続される負荷である。
駆動モータ61は、3相交流モータであり、例えば永久磁石同期モータで構成される。駆動モータ61では、ステータに等間隔で設けられた各ティースの側面にステータコイルが巻かれている。W相の交流電流が流れるステータコイルと、U相の交流電流が流れるステータコイルと、V相の交流電流が流れるステータコイルとが、ひとつの組として円周方向に順に並べて配置される。三相の交流電流によって、回転子(ローター)の永久磁石を引き寄せるステータコイルが回転方向に向かって順次切り替えられるため、ローターが回転する。
駆動インバータ62は、燃料電池スタック2とPM回路4の電圧端子4aとの間に並列に接続される。駆動インバータ62は、コントローラ7によって制御される。
駆動インバータ62は、コントローラ7の制御に従って駆動モータ61のステータコイルと接続ライン20との間を接続(通電)する。駆動インバータ62は、PM回路4によって燃料電池スタック2から供給される電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を駆動モータ61に供給する。
具体的には駆動インバータ62は、複数のスイッチング素子と制御部とを備える。制御部は、スイッチング素子のそれぞれにPWM信号を供給して直流電圧をスイッチング制御する。これにより3相交流が生成される。駆動インバータ62は、駆動モータ61の停止時に、駆動モータ61のステータコイルを接続ライン20から遮断する。
ガス給排装置200は、燃料電池スタック2にアノードガス及びカソードガスを供給すると共に、燃料電池スタック2から排出されるアノードオフガスを、カソードオフガスで希釈して大気に排出する装置である。
ガス給排装置200は、カソードガス供給通路211と、コンプレッサ212と、排出通路213と、調圧弁214と、アノードガス供給通路221と、高圧タンク222と、調圧弁223と、排出通路224と、パージ弁225と、を備える。
カソードガス供給通路211は、燃料電池スタック2に供給されるカソードガスが流れる通路である。カソードガス供給通路211は、一端が外気と連通し、他端が燃料電池スタック2のカソードガス入口孔に接続される。
コンプレッサ212は、カソードガス供給通路211に設けられる。コンプレッサ212は、カソードガスとしての空気(外気)をカソードガス供給通路211に取り込み、その空気を燃料電池スタック2に供給する。
排出通路213は、燃料電池スタック2から排出されるカソードオフガスが流れる通路である。排出通路213の一端は燃料電池スタック2のカソードガス出口孔に接続され、他端は開口端となっている。排出通路213には、調圧弁214が設けられている。
アノードガス供給通路221は、高圧タンク222からアノードガスを燃料電池スタック2に供給するための通路である。アノードガス供給通路221の一端は高圧タンク222に接続され、他端が燃料電池スタック2のアノードガス入口孔に接続される。高圧タンク222にはアノードガスが高圧状態に保って貯蔵されている。
調圧弁223は、アノードガス供給通路221に設けられる。調圧弁223は、高圧タンク222から排出されたアノードガスを所望の圧力に調節して燃料電池スタック2に供給する。調圧弁223は、連続的又は段階的に開度を調節することができる電磁弁である。調圧弁223の開度はコントローラ7によって制御される。
排出通路224は、燃料電池スタック2から排出されるアノードオフガスが流れる通路である。排出通路224の一端は燃料電池スタック2のアノードガス出口孔に接続され、他端がカソードガスの排出通路213と合流する。
排出通路224には、電極反応に使用されなかった余剰のアノードガスと、燃料電池スタック2内のカソードガス流路からアノードガス流路にクロスリークしてきた不純ガスと、の混合ガス(以下「アノードオフガス」という。)が排出される。不純物ガスは、空気に含まれる窒素や、発電に伴う水蒸気などである。
パージ弁225よりも上流の排出通路224にはバッファタンクが形成され、燃料電池スタック2から流れてきたアノードオフガスがバッファタンクで一旦蓄えられる。そしてアノードオフガス中の水蒸気の一部は、バッファタンクで凝縮して液水となり、アノードオフガスから分離される。
パージ弁225は、排出通路224に設けられる。パージ弁225は、連続的又は段階的に開度を調節することができる電磁弁である。パージ弁225の開度は、コントローラ7によって制御される。パージ弁225の開度を調節することで、バッファタンクから排出されるアノードオフガスの流量を調節し、バッファタンクのアノードガス濃度を一定以下に保つことができる。
このようにガス給排装置200は、アノードガス及びカソードガスを燃料電池スタック2に供給して燃料電池スタック2を発電させる。
スタック冷却装置230は、冷却水によって燃料電池スタック2を冷却し、燃料電池スタック2を発電に適した温度に保つ装置である。スタック冷却装置230は、冷却水循環通路231と、ラジエータ232と、バイパス通路233と、三方弁234と、循環ポンプ235と、ヒータ236と、を備える。
冷却水循環通路231は、燃料電池スタック2を冷却するための冷却水が循環する通路である。
ラジエータ232は、冷却水循環通路231に設けられる。ラジエータ232は、燃料電池スタック2から排出された冷却水を冷却する。
バイパス通路233は、ラジエータ232をバイパスさせて冷却水を循環させることができるように、一端が冷却水循環通路231に接続され、他端が三方弁234に接続される。
三方弁234は、ラジエータ232よりも下流側の冷却水循環通路231に設けられる。三方弁234は、冷却水の温度に応じて冷却水の循環経路を切り替える。
具体的には、三方弁234では、冷却水の温度が相対的に高いときは、燃料電池スタック2から排出された冷却水が、ラジエータ232を介して再び燃料電池スタック2に供給されるように冷却水の循環経路が切り替えられる。逆に、冷却水の温度が相対的に低いときは、燃料電池スタック2から排出された冷却水が、ラジエータ232を介さずにバイパス通路233を流れて再び燃料電池スタック2に供給されるように冷却水の循環経路が切り替えられる。
循環ポンプ235は、三方弁234よりも下流側の冷却水循環通路231に設けられて、冷却水を循環させる。循環ポンプ235は、強電バッテリ3から供給される電力で駆動する。
ヒータ236は、バイパス通路233に設けられる。ヒータ236は、燃料電池スタック2の暖機時に通電されて冷却水の温度を上昇させる。
このようにスタック冷却装置230によって、燃料電池スタック2の発電に伴う発熱によって温度が高くなり過ぎないように、発電に適した温度に維持される。
電流センサ81は、燃料電池スタック2の正極端子(+)とスタック遮断器21との間の接続ライン20に設けられる。電流センサ81は、燃料電池スタック2から取り出される電流の値を検出する。電流センサ81で検出された電流値は、コントローラ7に供給される。
電圧センサ82は、燃料電池スタック2の正極端子(+)と負極端子(−)との間に設けられる。電圧センサ82は、燃料電池スタック2の出力電圧の値を検出する。電圧センサ82で検出された電圧値は、コントローラ7に供給される。
コントローラ7は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
コントローラ7には、電圧センサ82及び電流センサ81の他に、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルストロークセンサ71などが入力される。
コントローラ7は、燃料電池スタック2に接続される補機モータ51や、駆動モータ61などの負荷に応じて、燃料電池スタック2から取り出す電流の目標値(以下「目標電流」という。)を演算する。例えば、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、駆動モータ61の駆動に必要な要求電力が大きくなるので、コントローラ7は、大きな値の目標電流を算出する。
コントローラ7は、目標電流に基づいてアノードガス圧力及びカソードガス圧力の目標値を演算し、その演算結果に基づいてガス給排装置200を制御する。これと共にコントローラ7は、燃料電池スタック2の基準特性を示すIVマップを参照して目標電流に対応する目標電圧を特定し、スタック側キャパシタ42の電圧が目標電圧となるようにPWM信号を生成してスイッチング素子44a〜44dに供給させる。このようにして燃料電池スタック2の運転が実施される。
また、コントローラ7は、燃料電池スタック2の湿潤度が、予め定められた目標値となるように、燃料電池スタック2から取り出す目標電流や、燃料電池スタック2に供給されるカソードガスの流量を制御する。
燃料電池スタック2では、電解質膜が乾燥し過ぎると電解質膜が劣化して発電効率が悪くなり、逆に電解質膜が湿り過ぎると凝縮水によって電解質膜に目詰まり(いわゆるフラッディング)が起こる。したがって、燃料電池スタック2の発電性能を維持するには、電解質膜を良好な湿潤状態に維持する必要がある。
そのため、コントローラ7は、燃料電池スタック2の湿潤度と相関性の高い燃料電池スタック2のインピーダンスを測定する。燃料電池スタック2のインピーダンスが高いほど、燃料電池スタック2が過乾燥状態に近づき、インピーダンスが低いほど、過加湿状態に近づくことになる。
したがってコントローラ7は、燃料電池スタック2のインピーダンスが目標値よりも高い場合には、発電に伴う生成水の発生量を多くするために、目標電流を、例えば駆動モータ61の駆動に必要な電流値よりも高く設定する。
一方、コントローラ7は、燃料電池スタック2のインピーダンスが目標値よりも低い場合には、電解質膜の水蒸気を外に持ち出す量を多くするために、カソードガスの流量を、例えば発電に必要な供給量よりも高く設定する。
このようにコントローラ7は、燃料電池スタック2の運転中に、燃料電池スタック2のインピーダンス、いわゆる内部抵抗を測定して、燃料電池スタック2を良好な湿潤状態に維持する湿潤制御を実行する。
具体的には、コントローラ7は、PM回路4のスイッチング素子44a〜44dのそれぞれをオンオフ制御することにより、燃料電池スタック2の正極端子(+)に所定周波数の交流信号を供給する。そしてコントローラ7は、電圧センサ82で検出された電圧の振幅と、電流センサ81で検出された電流の振幅と、に基づいて燃料電池スタック2のインピーダンスを算出し、算出されたインピーダンスに応じて、燃料電池スタック2の運転状態を制御する。
しかしながら、バッテリ遮断器31が接続状態のときにPM回路4で強電バッテリ3の電圧をスイッチング制御して、スタック側キャパシタ42で交流電圧を生成しようとすると、バッテリ側キャパシタ43の電圧にも交流信号と同様の変動信号が生じてしまう。強電バッテリ3にとってみれば、PM回路4によって生成される変動信号は変動ノイズでしかない。
交流信号の生成に伴いPM回路4の電圧端子4bから強電バッテリ3に変動ノイズが入力されると、この変動ノイズによる電圧変動は電池セルのそれぞれに不均一に伝わるため、局所的に電圧変動が大きくなる場合がある。この場合には、局所的に電圧変動が電池セルの許容値を超える可能性がある。
このように燃料電池スタック2のインピーダンスを測定するためにPM回路4を利用して交流信号を燃料電池スタック2の電圧に重畳しようとすると、バッテリ側の電圧端子4bに生じてしまう変動ノイズによって、強電バッテリ3の性能が劣化するおそれがある。
そこで本実施形態では、PM回路4を利用して燃料電池スタック2のインピーダンスの測定を可能にしつつ、インピーダンス測定時に生じるPM回路4から強電バッテリ3への変動ノイズを低減する。
図2は、本実施形態のコントローラ7の機能構成を示すブロック図である。
コントローラ7は、目標電流演算部710と、交流制御部720と、負荷制御部740と、インピーダンス演算部730と、を備える。交流制御部720は、目標電圧決定部721と、交流信号パラメータ保持部722と、重畳信号生成部723と、電圧指令信号生成部724と、を備える。
目標電流演算部710は、燃料電池スタック2に対する要求電力に基づいて目標電流を演算する。要求電力は、駆動モータ61の駆動に必要な電力である。例えば、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど、要求電力は大きくなる。目標電流演算部710は、目標電流を目標電圧決定部721に出力する。
交流制御部720は、PM回路4を制御して、燃料電池スタック2のインピーダンスを測定するための所定周波数の交流信号を燃料電池スタック2の電圧に重畳する。具体的には交流制御部720は、所定周波数の交流信号をスタック側キャパシタ42の電圧に重畳するためのPWM信号がスイッチング素子44a〜44dに供給されるようにPM回路4に指令信号を供給する。
目標電圧決定部721は、目標電流演算部710から目標電流を受け付けると、燃料電池スタック2のIVマップを参照して目標電圧を算出する。目標電圧決定部721は、その目標電圧を電圧指令信号生成部724に出力する。
交流信号パラメータ保持部722は、燃料電池スタック2のインピーダンスを測定するための交流信号に関する所定のパラメータを保持する。交流信号に関するパラメータとして、例えば、波形の種類、振幅値や、周波数が、交流信号パラメータ保持部722に予め記録される。これらのパラメータは、システム設計などによって適宜設定される。交流信号の波形の種類としては正弦波や矩形波などが考えられ、本実施形態では交流信号の波形は正弦波である。
重畳信号生成部723は、交流信号パラメータ保持部722に保持されたパラメータに基づいて、燃料電池スタック2のインピーダンスを測定するための正弦波信号を生成する。重畳信号生成部723は、その正弦波信号を負荷制御部740及び電圧指令信号生成部724に出力する。
電圧指令信号生成部724は、重畳信号生成部723で生成された正弦波信号を目標電圧に重畳(合成)し、その交流信号を電圧指令信号としてPM回路4に供給する。PM回路4では、電圧指令信号に基づいてスイッチング素子44a〜44dの各制御端子にPWM信号が供給されることにより、燃料電池スタック2や強電バッテリ3の電圧制御が行われる。
インピーダンス演算部730は、電流センサ81によって検出された燃料電池スタック2の電流値と、電圧センサ82によって検出された燃料電池スタック2の電圧値と、を所定のサンプリングレートで取得する。そしてインピーダンス演算部730は、電圧信号及び電流信号に対してフーリエ変換処理を施し、電圧信号を電流信号で除算することにより、燃料電池スタック2のインピーダンスを算出する。インピーダンス演算部730は、インピーダンスの算出結果を目標電流演算部710に出力する。
目標電流演算部710は、インピーダンス演算部730の算出結果とインピーダンス基準値との差分に基づいて、燃料電池スタック2の湿潤度を目標値に近づけるための湿潤要求電流を算出する。例えば、目標電流演算部710は、算出結果がインピーダンス基準値よりも高いほど湿潤要求電流を高くし、算出結果がインピーダンス基準値よりも低いほど湿潤要求電流を低くする。
また、目標電流演算部710は、駆動モータ61の駆動に必要な発電要求電流が湿潤要求電流よりも低いときには、湿潤要求電流を目標電流として設定し、発電要求電流が湿潤要求電流よりも高いときには、発電要求電流を目標電流として設定する。
負荷制御部740は、補機インバータ52と、降圧コンバータ54と、駆動インバータ62と、ヒータ電源回路55と、を制御する。負荷制御部740は、PM回路4の制御状態に基づいて、交流信号の生成によってバッテリ側キャパシタ43に生じる変動信号を相殺するように補機モータ51の操作量を制御する。
本実施形態では負荷制御部740は、重畳信号生成部723によって生成された正弦波信号に基づいて、バッテリ側キャパシタ43に生じる交流電圧が一定電圧となるように補機モータ51の回転速度、すなわち補機51に供給する電力を制御する。
例えば、負荷制御部740は、補機モータ51の回転速度を示す信号として、重畳信号生成部723で生成された正弦波信号と同相であり、かつ、その正弦波信号と同じ波形である操作信号を制御部52aに供給する。その操作信号に応じて制御部52aは、バッテリ側キャパシタ43に生じる電圧変動が抑制されるように、バッテリ側キャパシタ43から補機モータ51へ電流を供給させる。例えば制御部52aは、操作信号の信号レベルが大きくなるほど補機モータ51に供給する電流を大きくし、信号レベルが小さくなるほど、補機モータ51に供給する電流を小さくする。
あるいは、負荷制御部740は、正弦波信号の振幅値及び周波数と共に、正弦波信号と同期をとるための同期信号を、操作信号として制御部52aに供給するようにしてもよい。また本実施形態では、重畳信号生成部723で生成される正弦波信号に基づいて操作信号が生成される例について説明したが、負荷制御部740は、電圧指令信号生成部724で生成される電圧指令信号に基づいて操作信号を生成してもよい。
このように負荷制御部740は、PM回路4の制御状態を示す正弦波信号などの指令値に基づいて生成された操作信号を補機インバータ52に供給することにより、PM回路4の電圧端子4bに生じる電圧が一定となるように補機モータ51の回転速度を制御する。
これにより、燃料電池スタック2のインピーダンス測定のための交流信号をPM回路4の電圧端子4aから燃料電池スタック2に供給している間、PM回路4の電圧端子4bから強電バッテリ3に入力される電圧変動を抑制することができる。その結果、強電バッテリ3の一部の電池セルで、入力電圧の変動が許容値を超えて電池セルの性能が劣化することを回避できる。
図3は、PM回路4で生成される交流信号に応じた負荷制御によって強電バッテリ3に入力される電圧の変動が抑制される例を示す概念図ある。
図3(a)は、PM回路4で交流信号を生成しているときの燃料電池スタック2の電圧を示す図である。図3(b)は、コントローラ7の負荷制御部740によってPM回路4で生成される交流信号に応じて制御される補機モータ51の回転速度の変化を示す図である。図3(b)は、負荷制御部740による補機モータ51の回転速度の増減による強電バッテリ3の電圧を示す図である。図3(a)〜図3(c)では、横軸が互いに共通の時間軸である。
図3(a)に示すように、燃料電池スタック2の電圧は、交流制御部720によって、正弦波信号のピーク(最大値)が目標電圧となるようにPM回路4のスタック側キャパシタ42に生じる電圧が制御される。
PM回路4での交流信号の生成に伴い、図3(b)に示すように、補機モータ51の回転速度は、負荷制御部740によって重畳信号生成部723から出力される正弦波信号に応じて増減される。具体的には負荷制御部740は、正弦波信号が大きくなるほど補機モータ51の回転速度を上昇させ、正弦波信号が小さくなるほど補機モータ51の回転速度を低下させる。
これにより、交流信号の生成に伴うPM回路4のバッテリ側キャパシタ43の電圧変動に合わせて補機モータ51へ交流電流が供給されるため、図3(c)に示すように、強電バッテリ3の電圧は、変動ノイズが抑制されて一定に維持される。
このように、PM回路4の燃料電池スタック2側の電圧端子に生じさせる交流信号と同期させて補機モータ51に供給する電力を増減させることにより、強電バッテリ3側への電圧変動を抑制することができる。したがって、強電バッテリ3に入力される変動ノイズによって強電バッテリ3の電池セルの性能が劣化することを抑制することができる。また、補機モータ51を用いることにより、簡易な構成で変動信号を吸収することができる。
なお、図3では正弦波信号の最大値が目標電圧となるように交流信号を生成する例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、正弦波信号の最小値が目標電圧となるとように正弦波信号を目標電圧に重畳してもよいし、正弦波信号の最大値と最小値の中間値が目標電圧となるとように正弦波信号を目標電圧に重畳してもよい。
図4は、コントローラ7による負荷制御方法の一例を示すフローチャートである。
まずステップS911においてコントローラ7は、燃料電池スタック2の始動要求を受けると、電力調整システム1の起動処理を実行する。
起動処理では、ガス給排装置200によって燃料電池スタック2にアノードガス及びカソードガスが供給され、その後にバッテリ遮断器31及びスタック遮断器21のそれぞれが接続状態に設定される。そしてPM回路4ではスタック側キャパシタ42の電圧が目標電圧となるようにスイッチング制御される。
起動処理が完了した後、燃料電池スタック2の湿潤状態を制御する湿潤制御が開始される。そのため、コントローラ7の交流制御部720によってPM回路4で燃料電池スタック2のインピーダンスを測定するための交流信号が生成される。
ステップS912においてコントローラ7は、PM回路4から強電バッテリ3側へ変動信号が伝播されているか否かを判断する。例えば、コントローラ7の負荷制御部740は、重畳信号生成部723から正弦波信号が出力されると、交流信号が発生したと判定する。あるいは、負荷制御部740は、電流センサ81又は電圧センサ82で検出される検出信号をフーリエ変換する。そして負荷制御部740は、フーリエ変換された交流信号の周波数において振幅値(あるいは、振幅の二乗で求められるパワー)が所定の閾値を超えている場合には、交流信号が発生したと判定するようにしてもよい。
ステップS913においてコントローラ7は、交流信号が発生したと判定された場合には、重畳信号生成部723から出力される交流信号のレベル変動に応じて、補機モータ51の回転速度を増減させるように補機インバータ52の操作量を制御する。そして燃料電池スタック2のインピーダンス測定が終了すると、負荷制御方法の一連の処理が終了する。
このように、PM回路4で生成される交流信号に同期させて駆動モータ61の消費電力を増減させることにより、PM回路4の強電バッテリ3側に生じる電圧変動ノイズを抑制することができる。
なお、本実施形態では、コントローラ7の指令値に基づいて補機モータ51の操作量を制御する例について説明したが、PM回路4の制御状態として電圧端子4bに生じる電圧変動や電流変動を測定し、その測定結果に基づいて操作量を制御してもよい。
例えば、強電バッテリ3の正極端子とPM回路4の正極側の電圧端子4bとを接続する接続ライン30に電流センサを設け、その電流センサで検出された電流信号に基づいて負荷制御部740は操作量を制御する。この場合には、負荷制御部740は、電流センサで検出された電流信号にフーリエ変換処理を施し、その電流信号の周波数成分のうち振幅値が所定の閾値を超える周波数を特定し、その周波数と振幅値とに基づいて操作信号を生成する。
または、強電バッテリ3の正極端子と負極端子との端子間に電圧センサを接続し、負荷制御部740は、電圧センサで検出された電流信号に基づいて操作量を制御してもよい。この場合にも、負荷制御部740は、電圧信号にフーリエ変換処理を施し、その電圧信号の周波数成分のうち、振幅値が所定の閾値を超える周波数を特定し、その周波数と振幅値とに基づいて操作信号を生成する。
このように電流センサ又は電圧センサを使用することにより、PM回路4の電圧端子4bで生じる変動ノイズを正確に検出できるので、強電バッテリ3に入力される変動ノイズを確実に抑制できる。
その他の例として、接続ライン20に設けられた電流センサ81又は電圧センサ82を使用して補機インバータ52に出力される操作信号を生成してもよい。これにより、接続ライン30に電流センサ又は電圧センサを設けることなく、簡易な構成で変動ノイズを確実に抑制できる。
ただし、電流センサ81で検出された電流信号を使用する場合には、その電流信号の波形を反転させた反転信号に基づいて操作信号を生成する。これは、交流信号の生成によってスタック側キャパシタ42の電圧が上昇するほど、燃料電池スタック2の電流は小さくなり、スタック側キャパシタ42の電圧が低下するほど燃料電池スタック2の電流は大きくなるからである。
また本実施形態では、バッテリ側キャパシタ43に生じる交流信号の変動ノイズを補機モータ51で消費する例について説明したが、変動ノイズを別の補機で消費させてもよい。
例えば、負荷制御部740は、重畳信号生成部723で生成される正弦波信号に基づいてヒータ236に対する供給電力を制御するようにしてもよい。負荷制御部740は、正弦波信号が大きくなるほど、ヒータ236に対する供給電力の設定値を大きくし、正弦波信号が小さくなるほど、ヒータ236に対する供給電力の設定値を小さくする。
これにより、バッテリ側キャパシタ43に生じる交流電圧の変動を相殺することができる。このため、暖機中には燃料電池スタック1の暖機効果を高めつつ、強電バッテリ3への変動ノイズを低減することができる。
あるいは、負荷制御部740は、バッテリ側キャパシタ43から交流電流が弱電バッテリ53に充電されるように降圧コンバータ54を制御してもよい。具体的には負荷制御部740は、降圧コンバータ54で降圧される入力電圧の下限値を、バッテリ側キャパシタ43に生じる交流電圧の最小値の電圧レベルに設定する。または、負荷制御部740は、降圧コンバータ54の入力電圧の下限値を、交流電圧の最小値と最大値とを平均した値の電圧レベルに設定してもよい。
これにより、バッテリ側キャパシタ43から交流電流が弱電バッテリ53に充電されるため、バッテリ側キャパシタ43の電圧変動を抑制できると共に、強電バッテリ3側に生じる交流信号のエネルギーを有効利用できる。
以上のように、第1実施形態によれば、コントローラ7の交流制御部720は、燃料電池スタック2と強電バッテリ3との間に接続されるPM回路4を制御して、スタック側キャパシタ42の電圧に所定の交流信号を重畳する。これと共に、コントローラ7の負荷制御部740は、PM回路4の制御状態に基づいて、交流信号の生成によってバッテリ側キャパシタ43の電圧に生じる変動成分を相殺するように補機類5の操作量を制御する。補機類5の操作量とは、補機類5に供給される供給電力を操作するためのパラメータのことである。補機類5の操作量としては、例えば、補機モータ51の回転速度、ヒータ236に対する供給電力や、降圧コンバータ54で降圧される入力電圧の下限値などが挙げられる。
これにより、PM回路4から交流信号を燃料電池スタック2に供給している間、PM回路4のバッテリ側キャパシタ43に生じる電圧の交流成分が例えば補機モータ51で消費されるので、強電バッテリ3で生じる電圧(電流)変動による変動ノイズを低減することができる。
したがって、PM回路4を利用して燃料電池スタック2のインピーダンス測定を可能にしつつ、インピーダンス測定時にPM回路4から強電バッテリ3への変動ノイズを低減することができる。
(第2実施形態)
また、第1実施形態ではPM回路4から強電バッテリ3側に伝播される変動ノイズの抑制手法について説明したが、強電バッテリ3へはPM回路4での交流信号の生成に伴う変動ノイズの他にも変動ノイズが伝搬される。例えば、補機インバータ52や駆動インバータ62ではスイッチング素子のスイッチング制御に伴い高調波の変動信号、いわゆるリップルノイズが発生し、これらのリプルノイズが、接続ライン20や接続ライン30を介して強電バッテリ3側に伝播される。
そこで、第2実施形態では、補機インバータ52及び駆動インバータ62で発生するリップルノイズについても負荷制御によって抑制する例について説明する。なお、第2実施形態の基本構成は、第1実施形態の電力調整システム1と同じであるため、ここでの詳細な説明を省略する。
負荷制御部740は、駆動インバータ62でスイッチング動作をするときに、駆動インバータ62を制御して駆動モータ61のステータコイルと接続ライン20との接続を遮断状態から通電状態に切り替える。
例えば、負荷制御部740は、駆動インバータ62がスイッチング動作をしている状態で、駆動モータ61への電力供給を停止しているとき、例えばアイドルストップ時に、リップルノイズを駆動モータ61のステータコイルに導通させる。
これにより、駆動インバータ62のスイッチング制御によって生じる変動信号であるリップルノイズが駆動モータ61のステータコイルで吸収されるので、接続ライン20を介して強電バッテリ3へ伝播されるリップルノイズを抑制することができる。
また、負荷制御部740は、補機インバータ52でスイッチング動作をするときに、補機インバータ52を制御して補機モータ51のステータコイルと接続ライン30との接続を遮断状態から通電状態に切り替える。
例えば、負荷制御部740は、補機インバータ52でスイッチング動作をしている状態で補機モータ51を遮断している間は、補機インバータ52のリップルノイズを駆動モータ61のステータコイルに導通させる。あるいは、負荷制御部740は、駆動インバータ62でスイッチング動作をしている間、補機インバータ52を導通状態にしてもよい。
これにより、補機インバータ52や駆動インバータ62でのスイッチング制御に伴うリップルノイズが補機モータ51のステータコイルで吸収されるので、強電バッテリ3へ伝播されるリップルノイズを抑制することができる。また、補機モータ51を利用することにより、簡易な構成でリップルノイズの抑制を実現できる。
さらに負荷制御部740は、補機インバータ52及び駆動インバータ62の少なくとも一方がスイッチング動作をしている間、降圧コンバータ54を制御して接続ライン30に生じるリップルノイズを弱電バッテリ53の電圧レベルまで降圧する。これにより、強電バッテリ3に入力されるリップルノイズを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、第1実施形態では、PM回路4は4個のスイッチング素子で構成される例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば6個以上のスイッチング素子で構成されるPM回路を使用しても良い。
また、第1及び第2実施形態では、コンプレッサ212の回転速度を増減させる例について説明したが、循環ポンプ235の回転速度を増減させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、駆動インバータ62が燃料電池スタック2とPM回路4との間に並列接続される例について説明したが、駆動インバータ62が強電バッテリ3とPM回路4との間に並列接続される構成であっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
なお、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。