以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
初めに第1実施形態について説明する。本第1実施形態に係る電力変換装置は、直流電源Eによって出力される電力を変換してスイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL1に供給するものである。このような電力変換装置は、図1に示すように、1対の第1端子T1、T2、1対の第2端子T11、T12、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2及びスイッチ制御部Mから構成されている。
1対の第1端子T1、T2は、直流電源Eの両端(プラス端子及びマイナス端子)に接続されている。一方、1対の第2端子T11、T12は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL1の両端に接続されている。
コンデンサCは、直流電源Eのプラス側とコイルL1の一端との間に設けられ、一端が直流電源Eのプラス側に、また他端が第1スイッチング素子S1を介してコイルL1の一端にそれぞれ接続されている。
第1スイッチング素子S1は、コンデンサCの他端とコイルL1の一端との間に設けられ、一端がコンデンサCの他端に、また他端がコイルL1の一端にそれぞれ接続されている。
第2スイッチング素子S2は、コイルL1の他端と直流電源Eのマイナス側との間に設けられ、一端がコイルL1の他端に、また他端が直流電源Eのマイナス側にそれぞれ接続されている。
第3スイッチング素子S3は、直流電源Eのプラス側とコンデンサCの他端との間に設けられ、一端が直流電源Eのプラス側に、また他端がコンデンサCの他端にそれぞれ接続されている。また、第3スイッチング素子S3には、アノード端子が直流電源Eのプラス側に、またカソード端子がコンデンサCの他端にそれぞれ接続されるスイッチ用ダイオードSD1が並列に接続されている。なお、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2にも、スイッチ用ダイオードは並列接続されているが、後述する本電力変換装置の動作の説明の中で登場しないため、説明を省略する。
このような第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3は、例えば、FETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)であり、ゲート端子がスイッチ制御部Mに接続され、スイッチ制御部Mから電圧値がハイレベルである制御信号がゲート端子に入力されるとオン状態となり、電圧値がローレベルである制御信号がゲート端子に入力されると、オフ状態となる。また、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3は、FETトランジスタ以外にも、例えばバイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよい。
第1ダイオードD1は、アノード端子がコイルL1の他端に、またカソード端子がコンデンサCの他端にそれぞれ接続されている。
第2ダイオードD2は、アノード端子が直流電源Eのマイナス側に、またカソード端子がコイルL1の一端にそれぞれ接続されている。
スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3のスイッチング制御を行うマイクロコントローラであり、具体的には各スイッチング素子のゲート端子それぞれに、立ち上がり及び立ち下りのタイミング及びデューティ比の異なる制御信号を出力する。
次に、このように構成された本電力変換装置の動作について図1〜図4を参照して説明する。
本電力変換装置は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL1に方形波状の駆動電流を供給するために、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3のスイッチング等を実行する。つまり、本電力変換装置は、以下に説明する第1〜第4動作モードを実行する。
第1動作モードは、直列接続される直流電源E及びコンデンサCからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。つまり、第1動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2をオン状態にし、かつ第3スイッチング素子S3をオフ状態にする(図2(c)参照)。これによって、図1(1)に示すように、直流電源Eから、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路で電流が流れる。
例えば、直流電源Eの電圧をEV、コンデンサCの電圧をCVとした場合、コイルL1に印加される電圧は(EV+CV)である(図2(b)参照)。そして、印加電圧(EV+CV)に応じた駆動電流がコイルL1に供給される。この結果、駆動電流は、急激に上昇する(図2(a)参照)。そして、コンデンサCに蓄えられた電荷が全て放電されると、第1動作モードが終了し、第2動作モードに移行する。
第2動作モードは、第1動作モードの終了後、直流電源EのみからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。第2動作モードでは、図1(2)に示すように、直流電源Eから、第3スイッチング素子S3のスイッチ用ダイオードSD1、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路でも電流が流れる。この結果、駆動電流は、上記第1動作モードに続いて上昇する(図2(a)参照)。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にし、かつ第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にすることで、第2動作モードを終了して、第3動作モードに移行する(図2(c)参照)。
第3動作モードは、コイルL1から発生する電力を還流する動作モードである。つまり、第3動作モードは、コイルL1から発生する電力を、還流して熱として消費する動作モードである。上述したように、第3動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にし、かつ第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にする(図5(c)参照)。これによって、図1(3)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第1スイッチング素子S1を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コイルL1から発生する電力は、熱として消費される。
その後、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3を制御して、第2動作モードと第3動作モードとの切り替えを繰り返す。この結果、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で上下する(図2(a)参照)。つまり、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で安定するように制御される。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にすることで、第4動作モードに移行する(図2(c)参照)。
第4動作モードは、コイルL1から発生する電力を直列接続されるコンデンサC及び直流電源Eに供給して充電することで、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にする動作モードである。上述したように、第4動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にする(図2(c)参照)。
これによって、図1(4)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、コンデンサC、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コンデンサC及び直流電源Eは、電力が供給されて充電される。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、急激に低下する(図2(a)参照)。
一方、本実施形態において、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2をオフ状態にすることで、第4動作モードに代えて、第5動作モードに移行するようにしてもよい(図3(c)参照)。
第5動作モードは、コイルL1から発生する電力を直流電源Eに供給する動作モードである。上述したように、第5動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2をオフ状態にする(図3(c)参照)。これによって、図1(5)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第3スイッチング素子S3、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、直流電源Eには、電力が供給される。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、上記第4動作モードほど急激でないが、低下する(図3(a)参照)。
本電力変換装置は、上記第1〜第4動作モードを繰り返すことによって、継続的に方形波状の駆動電流を生成して、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL1に供給してもよい(図2参照)。また、第4動作モードに代えて、第5動作モードを実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図3参照)。また、図4に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。
続いて、上記第1実施形態の変形例について説明する。
第1実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)の3相分のコイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる駆動電流を供給するものである。この第1実施形態の変形例は、図5に示すように、3対の第2端子T11、T12、T21、T22、T31、T32、第2スイッチング素子S2、S12、S22及び第1ダイオードD1、D11、D21がスイッチトリラクタンスモータに備えられるコイルL1、L2、L3各々に対して設けられる点において、上述した第1実施形態と相違する。
これ以外の構成要素については第1実施形態と同様である。なお、1対の第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第2ダイオードD2及び第3スイッチング素子S3については、共有されて各駆動電流の生成に用いられる。よって、第1実施形態の変形例において上述した第1実施形態と同様の構成要素については説明を省略する。
1対の第2端子T21、T22は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL2の両端に接続されている。
第2スイッチング素子S12は、コイルL2の他端と直流電源Eのマイナス側との間に設けられ、一端がコイルL2の他端に、また他端が直流電源Eのマイナス側にそれぞれ接続されている。
第1ダイオードD11は、アノード端子がコイルL2の他端に、またカソード端子がコンデンサCの他端にそれぞれ接続されている。
1対の第2端子T31、T32は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL3の両端に接続されている。
第2スイッチング素子S22は、コイルL3の他端と直流電源Eのマイナス側との間に設けられ、一端がコイルL3の他端に、また他端が直流電源Eのマイナス側にそれぞれ接続されている。
第1ダイオードD21は、アノード端子がコイルL3の他端に、またカソード端子がコンデンサCの他端にそれぞれ接続されている。
なお、上記第2スイッチング素子S12、S22は、例えば、上記第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3と同様に、FETトランジスタ、あるいはバイポーラトランジスタやIGBTであってもよい。また、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3に加えて、第2スイッチング素子S12、S22も制御する。
このように構成された第1実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータのコイルL1、L2、L3各々に供給する方形波状の駆動電流を生成するために上述した第1実施形態の第1〜第4動作モードを実行して、コイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる方形波状の駆動電流を供給する。また、第1実施形態の変形例は、第4動作モードに代えて、第5動作モードを実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図3参照)。また、図4に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。
ここで、120度ずつ位相の異なる各駆動電流の方形部分(立ち上がりから立ち下がりまでの間)は、時間を空けて重ならないように制御されている。すなわち、各駆動電流の生成に共有される1対の第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第2ダイオードD2及び第3スイッチング素子S3は、時間をずらして、各駆動電流の生成に用いられる。
このような本実施形態によれば、第1動作モードにおいて、直列接続された直流電源E及びコンデンサCからスイッチトリラクタンスモータのコイルL1(あるいはコイルL2、L3)に駆動電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち上がりを急峻にすることができる。また、本実施形態によれば、第4動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直列接続された直流電源E及びコンデンサCに電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にすることができる。このような本実施形態よれば、上述した先行技術文献に比べて、部品点数を減らすことが可能である。
また。本実施形態によれば、第4動作モード及び第5動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直流電源Eに電力を供給するので、電力の消費を低減することができる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る電力変換装置について説明する。
本第2実施形態に係る電力変換装置は、図6に示すように、第4スイッチング素子S4を備える点において、上記第1実施形態と相違する。これ以外の構成要素については第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態において第1実施形態と同様の構成要素については説明を省略する。
第4スイッチング素子S4は、直流電源Eのプラス側とコンデンサCの一端との間に設けられ、一端が直流電源Eのプラス端子に、また他端がコンデンサCの一端にそれぞれ接続されている。また、第4スイッチング素子S4には、アノード端子がコンデンサCの一端に、またカソード端子が直流電源Eのプラス端子にそれぞれ接続される第2スイッチ用ダイオードSD2が並列に接続されている。なお、第4スイッチング素子S4は、例えば、上記第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3と同様に、FETトランジスタ、あるいはバイポーラトランジスタやIGBTであってもよい。
次に、このように構成された本第2実施形態の動作について図6〜図10を参照して説明する。
第1動作モードは、第1実施形態と同様に、直列接続される直流電源E及びコンデンサCからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。つまり、第2実施形態の第1動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2及び第4スイッチング素子S4をオン状態にし、かつ第3スイッチング素子をオフ状態にする。
これによって、図6(1)に示すように、直流電源Eから、第4スイッチング素子S4、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路で電流が流れる。例えば、直流電源Eの電圧をEV、コンデンサCの電圧をCVとした場合、コイルL1に印加される電圧は(EV+CV)である(図7(b)参照)。
そして、印加電圧(EV+CV)に応じた駆動電流がコイルL1に供給される。この結果、駆動電流は、急激に上昇する(図7(a)参照)。そして、コンデンサCに蓄えられた電荷が全て放電されると、第1動作モードが終了し、第2動作モードに移行する。
第2動作モードは、第1実施形態と同様、第1動作モードの終了後、直流電源EのみからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。なお、図7(c)では、第2動作モードにおいて、第4スイッチング素子S4がオン状態となっているが、第4スイッチング素子S4については、オン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。
第2動作モードでは、図6(2)に示すように、直流電源Eから、第3スイッチング素子S3のスイッチ用ダイオードSD1、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路でも電流が流れる。この結果、駆動電流は、上記第1動作モードに続いて上昇する(図7(a)参照)。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にし、かつ第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にすることで、第2動作モードを終了して、第3動作モードに移行する(図7(c)参照)。また、図7(c)では、第3動作モードにおいて、第4スイッチング素子S4がオン状態となっているが、第4スイッチング素子S4については、オン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。
第3動作モードは、第1実施形態と同様、コイルL1から発生する電力を還流する動作モードである。つまり、第3動作モードは、コイルL1から発生する電力を、還流して熱として消費する動作モードである。上述したように、第3動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にして、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にする(図7(c)参照)。なお、第4スイッチング素子S4については、図7(c)に示すようにオン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。これによって、図6(3)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第1スイッチング素子S1を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コイルL1から発生する電力は、熱として消費される。
その後、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4を制御して、第2動作モードと第3動作モードとの切り替えを繰り返す。この結果、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で上下する(図7(a)参照)。つまり、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で安定するように制御される。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4をオフ状態にすることで、第4動作モードに移行する。
第4動作モードは、コイルL1から発生する電力を直列接続されるコンデンサC及び直流電源Eに供給して充電することで、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にする動作モードである。上述したように、第4動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4をオフ状態にする(図7(c)参照)。
これによって、図6(4)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、コンデンサC、第4スイッチング素子S4の第2スイッチ用ダイオードSD2、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コンデンサC及び直流電源Eは、電力が供給されて充電される。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、急激に低下する(図7(a)参照)。
一方、本実施形態において、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第4スイッチング素子S4をオフ状態にすることで、第4動作モードに代えて、第5動作モードに移行するようにしてもよい(図8(c)参照)。
第5動作モードは、第1実施形態と同様、コイルL1から発生する電力を直流電源Eに供給する動作モードである。上述したように、第5動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第4スイッチング素子S4をオフ状態にする(図8(c)参照)。これによって、図6(5)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第3スイッチング素子S3、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、上記第4動作モードほど急激でないが、低下する(図8(a)参照)。
本電力変換装置は、上記第1〜第4動作モードを繰り返すことによって、継続的に方形波状の駆動電流を生成して、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL1に供給してもよい(図7参照)。また、第4動作モードに代えて、第5動作モードを実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図8参照)。また、図9に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。
さらに、本電力変換装置は、図10に示すように、第4動作モードから第5動作モードに移行するようにしてもよい。本電力変換装置は、第4動作モードにおいて、コンデンサCに充電後、第5動作モードに移行しても、第4スイッチング素子S4がオフ状態であるため、コンデンサCから電荷が放電されない。そのため、第4動作モードから第5動作モードに移行することが可能となる。
続いて、上記第2実施形態の変形例について説明する。
第2実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)の3相分のコイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる駆動電流を供給するものである。この第2実施形態の変形例は、図11に示すように、3対の第2端子T11、T12、T21、T22、T31、T32、第2スイッチング素子S2、S12、S22及び第1ダイオードD1、D11、D21がスイッチトリラクタンスモータに備えられるコイルL1、L2、L3各々に対して設けられる点において、上述した第2実施形態と相違する。
これ以外の構成要素については第2実施形態と同様である。なお、1対の第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第2ダイオードD2、第3スイッチング素子S3、第3ダイオードD3及び第4スイッチング素子S4については、共有されて各駆動電流の生成に用いられる。すなわち、第2実施形態の変形例は、第1実施形態の変形例に、第4スイッチング素子S4を追加したものである。よって、第2実施形態の変形例の各構成要素については説明を省略する。
このように構成された第2実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータのコイルL1、L2、L3各々に供給する方形波状の駆動電流を生成するために上述した第2実施形態の第1〜第4動作モードを実行して、コイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる方形波状の駆動電流を供給する。また、第2実施形態の変形例は、第4動作モードに代えて、第5動作モードを実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図8参照)。また、図9に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。さらに、図10に示すように、第4動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第4動作モードから第5動作モードに移行するようにしてもよい。
ここで、120度ずつ位相の異なる各駆動電流の方形部分(立ち上がりから立ち下がりまでの間)は、第1実施形態の変形例と同様、時間を空けて重ならないように制御されている。すなわち、各駆動電流の生成に共有される1対の第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第2ダイオードD2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4は、時間をずらして、各駆動電流の生成に用いられる。
このような本実施形態によれば、第1動作モードにおいて、直列接続された直流電源E及びコンデンサCからスイッチトリラクタンスモータのコイルL1(あるいはコイルL2、L3)に駆動電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち上がりを急峻にすることができる。また、本実施形態によれば、第4動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直列接続された直流電源E及びコンデンサCに電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にすることができる。このような本実施形態よれば、上述した先行技術文献に比べて、部品点数を減らすことが可能である。
また、本実施形態によれば、第4動作モード及び第5動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直流電源Eに電力を供給するので、電力の消費を低減することができる。さらに、本実施形態によれば、第4スイッチング素子を備えることによって、第4動作モードから第5動作モードに移行しても、コンデンサCから電荷が放電されないので、第4動作モードから第5動作モードに移行することが可能である。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係る電力変換装置について説明する。
本第3実施形態に係る電力変換装置は、図12に示すように、第3ダイオードD3及び第5スイッチング素子S5を備える点において、上記第1実施形態と相違する。これ以外の構成要素については第1実施形態と同様である。よって、第3実施形態において第1実施形態と同様の構成要素については説明を省略する。
第3ダイオードD3は、アノード端子が直流電源Eのプラス側に、またカソード端子がコイルL1の一端にそれぞれ接続されている。
第5スイッチング素子S5は、第3ダイオードD3のカソード端子とコイルL1の一端との間に設けられ、一端が第3ダイオードD3のカソード端子に、また他端がコイルL1の一端にそれぞれ接続されている。
なお、第5スイッチング素子S5は、例えば、上記第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4と同様に、FETトランジスタ、あるいはバイポーラトランジスタやIGBTであってもよい。また、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3に加えて、第5スイッチング素子S5も制御する。
次に、このように構成された本第3実施形態の動作について図12〜図16を参照して説明する。
第1動作モードは、第1実施形態と同様に、直列接続される直流電源E及びコンデンサCからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。つまり、第3実施形態の第1動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2をオン状態にし、かつ第3スイッチング素子S3をオフ状態にする。また、図13(c)では、第1動作モードにおいて、第5スイッチング素子S5がオン状態となっているが、第5スイッチング素子S5については、オン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。
これによって、図12(1)に示すように、直流電源Eから、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路で電流が流れる。例えば、直流電源Eの電圧をEV、コンデンサCの電圧をCVとした場合、コイルL1に印加される電圧は(EV+CV)である(図13(b)参照)。
そして、印加電圧(EV+CV)に応じた駆動電流がコイルL1に供給される。この結果、駆動電流は、急激に上昇する(図13(a)参照)。そして、コンデンサCに蓄えられた電荷が全て放電されると、第1動作モードが終了し、第2動作モードに移行する。
第2動作モードは、第1実施形態と同様、第1動作モードの終了後、直流電源EのみからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。なお、図13(c)では、第2動作モードにおいて、第1スイッチング素子S1及び第5スイッチング素子S5両方がオン状態となっているが、第1スイッチング素子S1及び第5スイッチング素子S5については、少なくともいずれか一方がオン状態であればよい。
第2動作モードでは、図12(2)に示すように、直流電源Eから、第3スイッチング素子S3のスイッチ用ダイオードSD1、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路でも電流が流れる。また、第5スイッチング素子S5がオン状態である場合には、直流電源Eから、第3ダイオードD3、第5スイッチング素子S5、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路でも電流が流れる。この結果、駆動電流は、上記第1動作モードに続いて上昇する(図13(a)参照)。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にして、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にすることで、第2動作モードを終了して、第3動作モードに移行する(図13(c)参照)。また、図13(c)では、第3動作モードにおいて、第5スイッチング素子S5がオン状態となっているが、第5スイッチング素子S5については、オン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。
第3動作モードは、第1実施形態と同様、コイルL1から発生する電力を還流する動作モードである。つまり、第3動作モードは、コイルL1から発生する電力を、還流して熱として消費する動作モードである。上述したように、第3動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にして、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にする(図13(c)参照)。なお、第5スイッチング素子S5については、図13(c)に示すようにオン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。これによって、図12(3)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第1スイッチング素子S1を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コイルL1から発生する電力は、熱として消費される。
その後、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第5スイッチング素子S5を制御して、第2動作モードと第3動作モードとの切り替えを繰り返す。この結果、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で上下する(図13(a)参照)。つまり、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で安定するように制御される。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にすることで、第4動作モードに移行する。
第4動作モードは、コイルL1から発生する電力を直列接続されるコンデンサC及び直流電源Eに供給して充電することで、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にする動作モードである。上述したように、第4動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にする(図13(c)参照)。
これによって、図12(4)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、コンデンサC、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コンデンサC及び直流電源Eは、電力が供給されて充電される。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、急激に低下する(図13(a)参照)。
一方、本実施形態において、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にすることで、第4動作モードに代えて、第5動作モードに移行するようにしてもよい(図14(c)参照)。
第5動作モードは、第1実施形態と同様、コイルL1から発生する電力を直流電源Eに供給する動作モードである。上述したように、第5動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にする(図14(c)参照)。これによって、図12(5)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第3スイッチング素子S3、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、上記第4動作モードほど急激でないが、低下する(図14(a)参照)。
さらに、本実施形態において、スイッチ制御部Mは、第5スイッチング素子S5をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にすることで、第4動作モードや第5動作モードに代えて、第6動作モードに移行するようにしてもよい(図15(c)参照)。
第6動作モードは、コイルL1から発生する電力をコンデンサCに供給して充電する動作モードである。上述したように、第6動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第5スイッチング素子S5をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にする(図15(c)参照)。
これによって、図12(6)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、コンデンサC、第3ダイオードD3、第5スイッチング素子S5を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コンデンサCには、電荷が蓄えられる。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、上記第4動作モードほど急激でないが、低下する(図15(a)参照)。
本電力変換装置は、上記第1〜第4動作モードを繰り返すことによって、継続的に方形波状の駆動電流を生成して、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL1に供給してもよい(図13参照)。また、第4動作モードに代えて、第5動作モードや第6動作モードを実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図14参照)。また、図16に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。
続いて、上記第3実施形態の変形例について説明する。
第3実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)の3相分のコイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる駆動電流を供給するものである。この第3実施形態の変形例は、図17に示すように、3対の第2端子T11、T12、T21、T22、T31、T32、第2スイッチング素子S2、S12、S22及び第1ダイオードD1、D11、D21がスイッチトリラクタンスモータに備えられるコイルL1、L2、L3各々に対して設けられる点において、上述した第3実施形態と相違する。
これ以外の構成要素については第3実施形態と同様である。なお、1対の第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第2ダイオードD2、第3スイッチング素子S3、第3ダイオードD3及び第5スイッチング素子S5については、共有されて各駆動電流の生成に用いられる。すなわち、第3実施形態の変形例は、第1実施形態の変形例に、第3ダイオードD3及び第5スイッチング素子S5を追加したものである。よって、第3実施形態の変形例の各構成要素については説明を省略する。
このように構成された第3実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータのコイルL1、L2、L3各々に供給する方形波状の駆動電流を生成するために上述した第3実施形態の第1〜第4動作モードを実行して、コイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる方形波状の駆動電流を供給する。また、第3実施形態の変形例は、第4動作モードに代えて、第5動作モードや第6動作モードを実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図14参照)。また、図16に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。
ここで、120度ずつ位相の異なる各駆動電流の方形部分(立ち上がりから立ち下がりまでの間)は、第1実施形態の変形例と同様、時間を空けて重ならないように制御されている。すなわち、各駆動電流の生成に共有される第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第1ダイオードD1及び第3スイッチング素子S3、第3ダイオードD3及び第5スイッチング素子S5は、時間をずらして、各駆動電流の生成に用いられる。
このような本実施形態によれば、第1動作モードにおいて、直列接続された直流電源E及びコンデンサCからスイッチトリラクタンスモータのコイルL1(あるいはコイルL2、L3)に駆動電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち上がりを急峻にすることができる。また、本実施形態によれば、第4動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直列接続された直流電源E及びコンデンサCに電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にすることができる。このような本実施形態よれば、上述した先行技術文献に比べて、部品点数を減らすことが可能である。
また、本実施形態によれば、第4動作モード及び第5動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直流電源Eに電力を供給するので、電力の消費を低減することができる。また。本実施形態によれば、適宜第4〜第6動作モードを使い分けることによって、コンデンサCに蓄電する電荷を調整することができる。
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態に係る電力変換装置について説明する。
本第4実施形態に係る電力変換装置は、図18に示すように、第4スイッチング素子S4、第3ダイオードD3及び第5スイッチング素子S5を備える点において、上記第1実施形態と相違する。すなわち、第4実施形態は、上述した第2実施形態及び第3実施形態を合わせ持つものである。よって、第4実施形態の変形例の各構成要素については説明を省略する。
次に、このように構成された本第4実施形態の動作について図18〜図23を参照して説明する。
第1動作モードは、第1実施形態と同様に、直列接続される直流電源E及びコンデンサCからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。つまり、第4実施形態の第1動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2及び第4スイッチング素子S4をオン状態にし、かつ第3スイッチング素子S3をオフ状態にする。また、図19(c)では、第5スイッチング素子S5がオフ状態となっているが、第5スイッチング素子S5については、オン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。
これによって、図18(1)に示すように、直流電源Eから、第4スイッチング素子S4、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路で電流が流れる。例えば、直流電源Eの電圧をEV、コンデンサCの電圧をCVとした場合、コイルL1に印加される電圧は(EV+CV)である(図19(b)参照)。
そして、印加電圧(EV+CV)に応じた駆動電流がコイルL1に供給される。この結果、駆動電流は、急激に上昇する(図19(a)参照)。そして、コンデンサCに蓄えられた電荷が全て放電されると、第1動作モードが終了し、第2動作モードに移行する。
第2動作モードは、第1実施形態と同様、第1動作モードの終了後、直流電源EのみからコイルL1に駆動電力を供給する動作モードである。図19(c)では、第2動作モードにおいて、第5スイッチング素子S5がオフ状態となっている。しかしながら、第2モードでは、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2の組み合わせと、第2スイッチング素子S2、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5がオン状態の組み合わせとの少なくとも一方の組み合わせがオン状態であればよい。
第2動作モードでは、図18(2)に示すように、第5スイッチング素子S5がオフ状態である場合には、直流電源Eから、第3スイッチング素子S3のスイッチ用ダイオードSD1、第1スイッチング素子S1、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路でも電流が流れる。また、第5スイッチング素子S5がオン状態である場合には、直流電源Eから、第4スイッチング素子S4、第3ダイオードD3、第5スイッチング素子S5、コイルL1、第2スイッチング素子S2を順に介して直流電源Eに至る経路でも電流が流れる。この結果、駆動電流は、上記第1動作モードに続いて上昇する(図19(a)参照)。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にして、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にすることで、第2動作モードを終了して、第3動作モードに移行する(図19(c)参照)。また、図19(c)では、第3動作モードにおいて、第4スイッチング素子S4がオン状態となり、また第5スイッチング素子S5がオフ状態となっているが、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5については、オン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。
第3動作モードは、第1実施形態と同様、コイルL1から発生する電力を還流する動作モードである。つまり、第3動作モードは、コイルL1から発生する電力を、還流して熱として消費する動作モードである。上述したように、第3動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1をオン状態にして、第2スイッチング素子S2及び第3スイッチング素子S3をオフ状態にする(図19(c)参照)。なお、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5については、オン状態でもよいし、またオフ状態であってもよい。これによって、図18(3)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第1スイッチング素子S1を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コイルL1から発生する電力は、熱として消費される。
その後、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5を制御して、第2動作モードと第3動作モードとの切り替えを繰り返す。この結果、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で上下する(図19(a)参照)。つまり、駆動電流は、目標電流値Ref近傍で安定するように制御される。
そして、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にすることで、第4動作モードに移行する。
第4動作モードは、コイルL1から発生する電力を直列接続されるコンデンサC及び直流電源Eに供給して充電することで、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にする動作モードである。上述したように、第4動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にする(図19(c)参照)。
これによって、図18(4)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、コンデンサC、第4スイッチング素子S4、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コンデンサC及び直流電源Eは、電力が供給されて充電される。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、急激に低下する(図19(a)参照)。
一方、本実施形態において、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にすることで、第4動作モードに代えて、第5動作モードに移行するようにしてもよい(図20(c)参照)。
第5動作モードは、第1実施形態と同様、コイルL1から発生する電力を直流電源Eに供給する動作モードである。上述したように、第5動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第3スイッチング素子S3をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第4スイッチング素子S4及び第5スイッチング素子S5をオフ状態にする(図20(c)参照)。これによって、図12(5)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、第3スイッチング素子S3、直流電源E、第2ダイオードD2を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、上記第4動作モードほど急激でないが、低下する(図20(a)参照)。
さらに、本実施形態において、スイッチ制御部Mは、第5スイッチング素子S5をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4をオフ状態にすることで、第4動作モードや第5動作モードに代えて、第6動作モードに移行するようにしてもよい(図21(c)参照)。
第6動作モードは、第3実施形態と同様、コイルL1から発生する電力をコンデンサCに供給して充電する動作モードである。上述したように、第6動作モードにおいて、スイッチ制御部Mは、第5スイッチング素子S5をオン状態にし、かつ第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4をオフ状態にする(図21(c)参照)。
これによって、図18(6)に示すように、コイルL1から、第1ダイオードD1、コンデンサC、第3ダイオードD3、第5スイッチング素子S5を順に介してコイルL1に至る経路で電流が流れる。この結果、コンデンサCには、電荷が蓄えられる。これに伴って、コイルL1に供給される駆動電流は、上記第4動作モードほど急激でないが、低下する(図3(a)参照)。
本電力変換装置は、上記第1〜第4動作モードを繰り返すことによって、継続的に方形波状の駆動電流を生成して、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)のコイルL1に供給してもよい(図19参照)。また、第4動作モードに代えて、第5動作モードや第6動作モードを実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図20参照)。また、図22に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。
さらに、本電力変換装置は、図23に示すように、第4動作モードから第5動作モードに移行するようにしてもよい。本電力変換装置は、第4動作モードにおいて、コンデンサCに充電後、第5動作モードに移行しても、第4スイッチング素子S4がオフ状態であるため、コンデンサCからの放電が防止される。そのため、第4動作モードから第5動作モードに移行することが可能となる。
続いて、上記第4実施形態の変形例について説明する。
第4実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータ(図示略)の3相分のコイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる駆動電流を供給するものである。この第4実施形態の変形例は、図24に示すように、3対の第2端子T11、T12、T21、T22、T31、T32、第2スイッチング素子S2、S12、S22及び第1ダイオードD1、D11、D21がスイッチトリラクタンスモータに備えられるコイルL1、L2、L3各々に対して設けられる点において、上述した第4実施形態と相違する。
これ以外の構成要素については第4実施形態と同様である。なお、1対の第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第1ダイオードD1、第3スイッチング素子S3、第4スイッチング素子S4、第3ダイオードD3及び第5スイッチング素子S5については、共有されて各駆動電流の生成に用いられる。すなわち、第4実施形態の変形例は、第2実施形態の変形例及び第3実施形態の変形例を合わせ持つものである。よって、第4実施形態の変形例の各構成要素については説明を省略する。
このように構成された第4実施形態の変形例は、スイッチトリラクタンスモータのコイルL1、L2、L3各々に供給する方形波状の駆動電流を生成するために上述した第4実施形態の第1〜第4動作モードを実行して、コイルL1、L2、L3各々に120度ずつ位相の異なる方形波状の駆動電流を供給する。また、第4実施形態の変形例は、第4動作モードに代えて、第5動作モードや第6実施形態を実行してもよい。なお、第5動作モードを実行した場合には、コンデンサCに電荷が蓄えられないので、この後、第1動作モードではなく、第2動作モードを実行することになる(図20参照)。また、図22に示すように、第5動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第5動作モードから第4動作モードに移行するようにしてもよい。さらに、図23に示すように、第4動作モードに移行後、特定の時間経過後に、第4動作モードから第5動作モードに移行するようにしてもよい。
ここで、120度ずつ位相の異なる各駆動電流の方形部分(立ち上がりから立ち下がりまでの間)は、第1実施形態の変形例と同様、時間を空けて重ならないように制御されている。すなわち、各駆動電流の生成に共有される第1端子T1、T2、コンデンサC、第1スイッチング素子S1、第1ダイオードD1及び第3スイッチング素子S3、第4スイッチング素子S4、第3ダイオードD3及び第5スイッチング素子S5は、時間をずらして、各駆動電流の生成に用いられる。
このような本実施形態によれば、第1動作モードにおいて、直列接続された直流電源E及びコンデンサCからスイッチトリラクタンスモータのコイルL1(あるいはコイルL2、L3)に駆動電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち上がりを急峻にすることができる。また、本実施形態によれば、第4動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直列接続された直流電源E及びコンデンサCに電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にすることができる。このような本実施形態よれば、上述した先行技術文献に比べて、部品点数を減らすことが可能である。
また。本実施形態によれば、第4動作モード及び第5動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直流電源Eに電力を供給するので、電力の消費を低減することができる。さらに、本実施形態によれば、第4スイッチング素子を備えることによって、第4動作モードから第5動作モードに移行しても、コンデンサCから電荷が放電されないので、第4動作モードから第5動作モードに移行することが可能である。
このような本実施形態によれば、第1動作モードにおいて、直列接続された直流電源E及びコンデンサCからスイッチトリラクタンスモータのコイルL1(あるいはコイルL2、L3)に駆動電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち上がりを急峻にすることができる。また、本実施形態によれば、第4動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直列接続された直流電源E及びコンデンサCに電流を供給するので、方形波状の駆動電流の立ち下がりを急峻にすることができる。このような本実施形態よれば、上述した先行技術文献に比べて、部品点数を減らすことが可能である。
また、本実施形態によれば、第4動作モード及び第5動作モードにおいて、コイルL1(あるいはコイルL2、L3)から直流電源Eに電力を供給するので、電力の消費を低減することができる。さらに、本実施形態によれば、第4スイッチング素子を備えることによって、第4動作モードから第5動作モードに移行しても、コンデンサCから電荷が放電されないので、第4動作モードから第5動作モードに移行することが可能である。また。本実施形態によれば、適宜第4〜第6動作モードを使い分けることによって、コンデンサCに蓄電する電荷を調整することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
上記第1〜第4実施形態は、直流電源からの電力を変換して3相のスイッチトリラクタンスモータに供給するための電力変換装置に本発明を適用したものであるが、直流電源からの電力を変換して3相以外の複数相のスイッチトリラクタンスモータに電力を供給するための電力変換装置に本発明を適用するようにしてもよい。