以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係るバイオマス発電システムは、炭素を含む廃棄物であるバイオマス(有機廃棄物)を原料とし炭化させて炭化物を生成した後に、過熱された水蒸気(以下、「蒸気」ともいう。)をガス化剤として用いて炭化物を熱分解反応させることにより水性ガス(水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガスを主成分とする混合ガス)を生成し、この水性ガスをガスエンジンやガスタービンエンジンに供給動作させ電力を得るようにしたシステムである。
バイオマス(有機廃棄物)とは、例えば、食品廃棄物、建設廃材、シュレッダーダスト、畜産廃棄物、間伐材や剪定枝等の樹木製の廃材、汚泥、家庭から排出される一般廃棄物である。水性ガスを生成する原料として以上に例示されるような種々の有機廃棄物を用いることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るバイオマス発電システムのブロック図を示し、図2は、本発明の一実施形態に係るバイオマス発電システムの概略構成図を示している。なお、図1のブロック図に対し、図2の概略構成図は、一部記載を省略した部分や、詳細化した部分もある。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係るバイオマス発電システムAは、原料であるバイオマス(有機廃棄物)を原料破砕機等によりチップ状に破砕し乾燥機へ投入する有機廃棄物を貯留するホッパ11と、その破砕した有機廃棄物を乾燥させる乾燥機10と、乾燥された有機廃棄物から炭化物を生成する炭化炉20と、炭化炉20で生成された炭化物とガス化剤とを熱分解反応させる熱分解炉30と、熱分解炉30で生成された水性ガスを冷却する減温器40と、炭化炉20から排出された未燃の炭化物を回収するチャー回収装置41と、減温器40から供給される水性ガスから残渣を除去するサイクロン50と、サイクロン50で除去された残渣を回収する残渣回収装置51と、サイクロン50で残渣が除去された水性ガスを冷却する水性ガス冷却装置60と、余剰の水性ガス等を焼却処理するフレアースタック71と、水性ガスを燃料としてガスエンジンやガスタービンエンジン等に供給作動させて電力を得る発電装置72等を備える。また、水性ガスから水素ガスを精製する水素精製装置73を備えてもよい。
また、水から飽和蒸気を生成する蒸気発生器80と、蒸気発生器80が生成した蒸気を過熱する蒸気過熱器81と蒸気発生装置へ水を供給する水供給装置82と、バイオマス発電システムAの全体を制御する制御装置90等を備える。
以下、バイオマス発電システムAが備える各部について説明する。
乾燥機10は、有機廃棄物を燃焼ガスにより乾燥させるとともに乾燥された有機廃棄物を炭化炉へ供給する装置である。乾燥機10には、有機廃棄物を貯蔵するホッパ11から原料供給路11aを介して有機廃棄物が供給される。また、乾燥機10には、有機廃棄物を乾燥させる熱源として、蒸気発生器80から排出された燃焼ガスが燃焼ガス流路200dを介して供給される。
ホッパ11から乾燥機10に供給される有機廃棄物は、例えば、5mm以上かつ60mm以下の長さの木製チップである。また、有機廃棄物は、例えば、55%程度の重量比で水分を含有する木質チップを加熱して乾燥させることにより、有機廃棄物が含有する水分を15%程度の重量比まで低下させるものである。
乾燥機10は、燃焼ガスの熱により乾燥させた有機廃棄物を、原料供給路10aを介して定量供給器12へ供給する。また、乾燥機10は、有機廃棄物を乾燥させる熱源として用いた燃焼ガスを、燃焼ガス流路200eを介して排ガス冷却洗浄装置13へ供給する。乾燥機10が排ガス冷却洗浄装置13へ供給する燃焼ガスの温度は、150℃以上かつ210℃以下となるように調整されている。
排ガス冷却洗浄装置13は、例えば、スクラバとされており、大気中に排出する燃焼ガスの温度が120℃以上かつ180℃以下となるように調整されている。図2の概略構成図において、この排ガス冷却洗浄装置13の一例として、熱交換機13a、排ガス設備(バグ集塵機)13b、廃棄塔13c等からなるものを示している。炭化炉20は、乾燥した有機廃棄物を部分燃焼させることにより炭化物と燃焼ガスとを生成する装置である。炭化炉20には、有機廃棄物を単位時間当たりの供給量を計測しながら炭化炉20へ供給する定量供給器12から、原料供給路12aを介して乾燥した有機廃棄物が供給される。
炭化炉20は、有機廃棄物の燃焼によって生成された炭化物を、炭化物供給路101を介して熱分解炉30へ供給する。炭化物供給路101には、クリンカ除去装置(後述の101b)、磁選機(後述の101d)等が設けられている。
また、炭化炉20は、有機廃棄物の燃焼によって生成された燃焼ガスを、燃焼ガス流路200aを介して熱分解炉30へ供給する。
熱分解炉30は、炭化炉20が生成した炭化物を過熱蒸気とともに燃焼ガスにより過熱して熱分解反応させることにより水性ガスを生成する装置である。熱分解炉30には、炭化物供給路101を介して炭化炉20が生成した炭化物が供給される。また、熱分解炉30には、蒸気過熱器81で加熱した過熱蒸気がガス化剤として供給される。また、熱分解炉30には、熱分解反応を促進させる熱源として燃焼ガス流路200aから燃焼ガスが供給される。
熱分解炉30は、炭化物と過熱蒸気とを熱分解反応をさせて、水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガスを主成分とする水性ガスを生成する。炭化物と過熱蒸気との熱分解反応は、主に以下の式(1)、(2)に示す反応である。
C+H2O → CO+H2 (1)
CO+H2O → CO2+H2 (2)
式(1)に示す水性ガス反応は吸熱反応であり、式(2)に示す水性ガスシフト反応は発熱反応である。式(2)に示す発熱反応の発熱量よりも式(1)に示す吸熱反応の吸熱量の方が大きい。そのため、炭化物と過熱蒸気との熱分解反応は、全体として吸熱反応となる。
熱分解炉30に供給される炭化物の温度は、常温(例えば、25℃)以上かつ350℃以下となるように調整されている。また、熱分解炉30に供給される過熱蒸気の温度は、730℃以上かつ830℃以下となるように調整されている。また、熱分解炉30に供給される燃焼ガスの温度は、900℃以上かつ1300℃以下となるように調整されている。また、熱分解炉30が生成する水性ガスの温度は、650℃以上かつ850℃以下となるように調整されている。
熱分解炉30は、熱分解反応により生成された水性ガスと炭化物の未反応分および残渣を、水性ガス供給路102を介して減温器40へ供給する。また、熱分解炉30は、熱分解反応の熱源として用いられた燃焼ガスを、燃焼ガス流路200bを介して蒸気過熱器81へ供給する。蒸気過熱器81に供給される燃焼ガスの温度は、820℃以上かつ920℃以下となるように調整されている。
減温器40は、液体である水を噴霧することにより水性ガス供給路102から供給される水性ガスの温度を低下させる装置である。減温器40には、水供給装置82から水供給ポンプ(図示略)により水が供給される。減温器40は、減温させた水性ガスを、水性ガス供給路103を介してサイクロン50へ供給する。また、減温器40は、水性ガス供給路102から供給される炭化物の未反応分および残渣をチャー回収装置41へ供給する。
減温器40は、750℃以上かつ900℃以下となるように熱分解炉30で調整された水性ガスを、220℃以上かつ280℃以下となるように水の噴霧量を調整する。
チャー回収装置41は、炭化物の未反応分を回収して再び熱分解炉30へ供給する装置である。
チャー回収装置41を設けることにより、炭化物の未反応分が水性ガスの生成に用いられず破棄されることが回避される。そのため、チャー回収装置41を設けることにより、炭化物からの水性ガスの収率が向上する。
さらなる発明として、このチャー回収装置41を用い、発電システムや、水素供給システムに好適な、水性ガスの水性反応を高効率に改善した熱分解炉30のリターンシステムを提供することができる。このリターンシステムの詳細については後述する。
サイクロン50は、水性ガス供給路103を介して供給される水性ガスに含まれる残渣を除去する装置である。サイクロン50は、水性ガス供給路103を介して供給される水性ガスを内部で旋回させることにより水性ガスに含まれる残渣を遠心分離して下方へ導いて残渣回収装置51へ供給する。また、サイクロン50は、残渣が除去された水性ガスを上方へ導いて水性ガス供給路104を介して水性ガス冷却装置60へ供給する。
水性ガス冷却装置60は、液体である水を噴霧することにより水性ガス供給路104から供給される水性ガスの温度を低下させる装置である。水性ガス冷却装置60は、水性ガス中に噴霧した冷却水を回収して循環ポンプ(図示略)により再び水性ガス中に噴霧させるように冷却水を循環させる。
水性ガス冷却装置60は、冷却した水性ガスを水性ガスホルダ70へ供給する。水性ガス冷却装置60は水性ガスホルダ70へ供給する水性ガスの温度を検出する温度センサ(図示略)を備えており、検出する温度が目標温度と一致するように循環ポンプ(図示略)により循環させる冷却水の水量を制御する。水性ガス冷却装置60は、220℃以上かつ280℃以下となるように減温器40で調整された水性ガスを、30℃以上かつ50℃以下となるように水の噴霧量を調整する。
水性ガスホルダ70は、水性ガス冷却装置60から供給される水性ガスを貯蔵する装置である。水性ガスホルダ70は、貯蔵した水性ガスをフレアースタック71、発電設備72、水素精製装置73のそれぞれに個別に供給することが可能となっている。なお、水素精製装置73は、発電設備としては直接係わるものではなく適宜設けられていてよい。
フレアースタック71は水性ガスホルダ70の貯蔵量が過剰となった場合等、水性ガスに余剰が生じた場合に焼却処理するための装置である。フレアースタック71は、液化天然ガス等の燃料によって常時燃焼が行われるようになっている。そのため、フレアースタック71に水性ガスが供給されると、水性ガスが焼却処理される。
発電設備72は、水性ガスを燃料として動作することにより発電機を駆動させて発電出力を得る設備である。発電設備72が発電機を駆動させる動力源としては、例えば、水性ガスを燃焼させることにより動作するガスエンジンが用いられる。また、図2に示すように、回収した水性ガスを蓄える補助燃料タンク72aを備えてよい。
水素精製装置73は、水性ガスに含まれる一酸化炭素ガス、二酸化炭索ガス等の成分を除去することで純度が高い水素ガス(例えば、純度99.995%以上の水素ガス)を精製する装置である。水素精製装置73は、水性ガスを圧縮機(図示略)にて所定の圧力まで加圧して吸着剤(一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス等の成分の除去に適したもの)を充填した吸着塔(図示略)に供給する。水素精製装置73は、この吸着塔を、当該吸着塔に備え付けられた外気との導通を制御するバルブ(図示略)を開け閉めして大気圧まで減圧することで、吸着剤から一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス等の成分を除去し、純度が高い水素ガスを精製する。
蒸気発生器80は、燃焼ガスで加熱することにより水を気化させて飽和水蒸気を生成する装置である。蒸気発生器80には、水供給装置82から水供給ポンプ(図示略)を介して水が供給される。また、蒸気発生器80には、蒸気過熱器81から排出される燃焼ガスが燃焼ガス流路200cを介して供給される。蒸気発生器80に供給される燃焼ガスの温度は、750℃以上かつ850℃以下となるように調整されている。
蒸気発生器80が生成した飽和水蒸気は蒸気過熱器81へ供給される。また、蒸気発生器80で水を気化させる熱源として用いられた燃焼ガスは、燃焼ガス流路200dを介して乾燥機10へ供給される。乾燥機10へ供給される燃焼ガスの温度は、540℃以上かつ640℃以下となるように調整されている。
蒸気過熱器81は、燃焼ガスで飽和水蒸気を加熱することにより飽和水蒸気から過熱蒸気を生成する装置である。蒸気過熱器81には、蒸気発生器80が生成した飽和水蒸気が供給される。また、蒸気過熱器81には、熱分解炉30から排出される燃焼ガスが燃焼ガス流路200bを介して供給される。蒸気過熱器81に供給される燃焼ガスの温度は、820℃以上かっ920℃以下となるように調整されている。
蒸気過熱器81が生成した過熱蒸気は、熱分解炉30へガス化剤として供給される。また、蒸気過熱器81で過熱蒸気を生成する熱源として用いられた燃発ガスは、燃焼ガス流路200cを介して蒸気発生器80へ供給される。
制御装置90は、バイオマス発電システムAを制御する装置である。制御装置90はバイオマス発電システムAを構成する各部が備える制御部(図示略)と通信可能となっている。制御装置90は、バイオマス発電システムAを構成する各部が備える制御部に制御指令を伝達することにより、各部を制御することができるようになっている。また制御装置90は、バイオマス発電システムAを構成する各部から温度、圧力等の各部の状態を示す信号を受信可能となっている。
制御装置90は、記憶部(図示略)に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、バイオマス発電システムAを構成する各部に所望の動作を実行させることができる。
図1に示すバイオマス発電システムAにおいて、炭化炉20で生成された燃焼ガスは燃焼ガス流路200a、200b、200c、200d、200eからなる燃焼ガス流路によって以下のように流通する。
第1に、炭化炉20が生成した燃焼ガスは、燃焼ガス流路200aによって熱分解炉30へ供給される。
第2に、熱分解炉30から排出された燃焼ガスは、燃焼ガス流路200bによって蒸気過熱器81へ供給される。
第3に、蒸気過熱器81から排出された燃焼ガスは、燃焼ガス流路200cによって蒸気発生器80へ供給される。
第4に、蒸気発生器80から排出された燃焼ガスは、燃焼ガス流路200dによって乾操機10へ供給される。
第5に、乾燥機10から排出された燃焼ガスは、燃焼ガス流路200eによって排ガス冷却洗浄装置13へ供給される。
第6に、排ガス冷却洗浄装置13が無害化した燃発ガスは、排ガス冷却洗浄装置13によって大気中に排出される。
この排ガス冷却洗浄装置13は、図2に示すように、例えば、熱交換機13a、バグ集塵機13b、排気塔13c等からなる。
ここで、炭化炉20が生成した燃焼ガスを他の熱媒体との熱交換をさせないで熱分解炉30へ供給しているのは、高温な状態が維持された燃焼ガスを用いて熱分解炉30における熱分解反応を促進して炭化物からの水性ガスの収率を向上させるためである。炭化炉20が生成した燃焼ガスを他の熱媒体との熱交換をさせた後に熱分解炉30へ供給する場合に比べ、熱分解炉30の内部を高温に維持することができるため、熱分解反応が促進されて炭化物からの水性ガスの収率が向上する。
次に、図3から図5を用いて、本実施形態の炭化炉20について説明する。
図3は、図2に示す本発明の一実施形態に係る炭化炉の縦断面図であり、図4は、図3に示す本発明の一実施形態に係る炭化炉のクリンカクラッシャを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C矢視端面図である。また、図5は、図3に示す本発明の一実施形態に係る炭化炉の端面図であり、(a)はA−A矢視端面図、(b)はB−B矢視端面図である。
図3において、軸線Xは、炭化炉20が設置される設置面(図示略)に対して直交する鉛直方向(重力方向)を示している。
図3に示すように、炭化炉20は、本体部21と、円筒部22(筒部)と有機廃棄物投入部23(投入部)と、炭化物排出部24と、1次空気供給部25と、2次空気供給部26と、燃焼ガス排出部27と、温度センサ28a(温度検出部)と、温度センサ28b(温度検出部)と、温度センサ28c(温度検出部)と、レベルセンサ28d(堆積量検出部)と、着火バーナ20cと、炭化炉制御部29(制御部)とを備える。
本体部21は、軸線Xに沿って延びる略円筒状に形成されるとともに炭化炉20の外装となる部材である。本体部21は、その内部に有機廃棄物を部分燃焼させる1次燃焼領域R2と、有機廃棄物から生成された燃焼ガスに含まれる可燃性ガスを燃焼させる2次燃焼領域R4とを形成している。
本体部21は、炭化炉20の外装を形成する金属製(例えば鉄製)のハウジング21aと、ハウジング21aの内周面に貼り付けられる断熱材21bと、断熱材21bの内周面に貼り付けられる耐火材21cとを有する。
円筒部22は、軸線Xに沿って延びる略円筒状に形成される部材である。円筒部22は本体部21の内周面21dとの間に有機廃棄物を燃焼させて炭化物を生成するための間隙20aを形成する外周面22aを有する。円筒部22は、有機廃棄物の燃焼によって高温となるため、耐熱性の材料(例えば、ステンレス等の金属材料)によって形成するのが好ましい。
図3に示すように、円筒部22の内部は中空の閉空間となっておりこの閉空間は他の空間と連通しない状態となっている。そのため、円筒部22は一定の熱量を蓄熱可能であり外部の温度変化による影響を受けにくくなっている。
円筒部22は、後述するターンテーブル24aに取り付けられておりターンテーブル24aが軸線X回りに回転するのに応じて軸線X回りに回転するようになっている。円筒部22が軸線X回りに回転することにより、間隙20aとその上部に存在する有機廃棄物は間隙20aに沿って上方から下方へ導かれる。
間隙20aに供給された有機廃棄物は、1次燃焼領域R2において1次空気供給部25から供給される1次燃焼用空気によって部分燃焼し、炭化物を多く含む固形分と可燃性ガスを含む燃焼ガスとが生成される。炭化物を多く含む固形分は間隙20aに沿って下方の炭化物精錬・冷却領域R1へ導かれ、可燃性ガスを含む燃焼ガスは2次燃焼領域R4へ導かれる。
炭化物精錬・冷却領域R1は、上方が有機廃棄物で閉塞されているとともに1次空気供給部25からの1次燃焼用空気が供給されない領域となっている。そのため、炭化物は、炭化物精錬・冷却領域R1において冷却されながら精錬される。
有機廃棄物投入部23は、本体部21に設けられるとともに定量供給器12から原料供給路12aを介して供給される有機廃棄物(図示略)を本体部21の内部へ投入する開口部である。有機廃棄物投入部23の下方には軸線Xに近付くにつれて上方から下方へ傾斜する傾斜面23aが形成されている。有機廃棄物投入部23から供給された有機廃棄物は、傾斜面23aに沿って円筒部22の上面22bおよび間隙20aに導かれる。
図3に示すように有機廃棄物投入部23が配置される領域が原料投入領域R3である。原料投入領域R3において、軸線Xに対して有機廃棄物投入部23と反対側には点検窓20bが設けられている。点検窓20bは、炭化炉20の内部を視認可能にするものである。
炭化物排出部24は、間隙20aにおいて有機廃棄物が部分燃焼することにより生成される炭化物を炭化物供給路101へ排出する機構である。炭化物排出部24から炭化物供給路101へ排出された炭化物は、熱分解炉30へ供給される。
図3に示すように、炭化物排出部24は、ターンテーブル24a(回転体)と、駆動部24bと、炭化物排出口24cとを有する。
ターンテーブル24aは、間隙20aの軸線X方向の下端と対向する位置に設けられる部材であり、軸線X回りの周方向に延びる円環状の回転体である。ターンテーブル24aは、駆動部24bから伝達される駆動力によって軸線X回りに回転する。
間隙20aの下端と対向するターンテーブル24aの面は軸線Xから違さかるに従って下方へ傾斜する傾斜面となっている。そのため、間隙20aの下端とターンテーブル24aの傾斜面との間には隙間が形成されている。
間隙20aの下端に存在する炭化物(図示略)は、ターンテーブル24aが軸線X回りに回転するのに応じてターンテーブル24aの傾斜面に沿って下方へ移動して炭化物排出口24cへと導かれる。そのため、ターンテーブル24aの回転速度が増加するのに応じて、間隙20aの下端から炭化物排出口24cへ導かれる炭化物の量が増加する。同様にターンテーブル24aの回転速度が減少するのに応じて、間隙20aの下端から炭化物排出口24cへ導かれる炭化物の量が減少する。
駆動部24bは、ターンテーブル24cに駆動力を伝達し、ターンテーブル24bを軸線X回りに回転させる装置である。駆動部24bは、駆動モータ24eと、減速機24fと、駆動べルト24gと、駆動軸24hとを有する。
駆動モータ24eは、炭化炉制御部29から伝達される制御信号によって回転数が制御されるインバータモータである。駆動モータ24eの回転動力は、駆動べルト24gによって減速機24fに伝達される。
減速機24fは駆動べルト24gによって駆動モータ24eから伝達される回転動力の回転速度を減速させつつトルクを増加させる装置である。減速機24fは、トルクを増加させた回転動力を軸線X回りに延びる駆動軸24hに伝達する。
ターンテーブル24aは駆動軸24hに連結されている。そのため、駆動軸24hが軸線X回りに回転するのに伴って、ターンテーブル24aが軸線X回りに回転する。
炭化物排出口24cは、炭化物を炭化物供給路101へ排出する開口部である。炭化物排出口24cから炭化物供給路101へ排出された炭化物は、炭化物供給路101を介して熱分解炉30へ供給される。
クリンカクラッシャ24dは、間隙20aの下端とターンテーブル24aの傾斜面との間に形成される隙間よりも大きな塊であるクリンカを破砕するための部材である。ここでクリンカとは、1次燃焼領域R2での有機廃棄物の燃焼により生成された燃焼灰が溶融して塊となったものである。
図4の(a)に示すように、クリンカクラッシャ24dは、軸線X回りに配置される略円環状の部材となっており、周方向の複数の位置に径方向の内側に突出する爪24iが設けられている。
図4の(a)のC−C矢視端面図である(b)に示すように、爪24iはターンテーブル24aの傾斜面に沿うように上方に向けて折れ曲がった形状となっている。
図3に示すようにクリンカクラッシャ24dは、締結ボルトによって本体部21に取り付けられている。クリンカクラッシャ24dは、ターンテーブル24aが軸線X回りに回転しても本体部21に対して固定されたままとなる。そのため、ターンテーブル24aの回転に伴ってクリンカが移動すると、クリンカがクリンカクラッシャの爪24iに衝突して破砕される。
次に、1次空気供給部25について説明する。
1次空気供給部25は、間隙20aに堆積する有機廃棄物に向けて有機廃棄物を部分燃焼させる1次燃焼用空気を供給する装置である。1次空気供給部25は、1次燃焼ファン25a(送風部)と、カバー部25bと、空気供給口25cとを有する。
1次燃焼ファン25aは、外部から導入した空気(大気)を送風する装置であり、インバータモータ(図示略)とインバータモータにより駆動されるファン(図示略)を有している。1次燃焼ファン25aは、インバータモータの回転数を制御することにより送風する風量を調整することができる。
カバー部25bは、1次燃焼ファン25aから送風される空気が導入されるとともに空気供給口25cへ空気を供給する閉空間25dを形成する部材である。
図5の(a)は図3に示す炭化炉20のA−A矢視端面図を示し、図示するように、カバー部25bは、本体部21の外周面21eとの間に軸線X回りに延びる閉空間25dを形成する。
空気供給口25cは、1次燃焼ファン25aから閉空間25dに送風された空気を閉空間25dから本体部21の内部の1次燃焼領域R2へ供給する流路である。
図3に示すように、空気供給口25cは、有機廃棄物を1次燃焼用空気により部分燃焼させる1次燃焼領域R2において、軸線Xに沿った鉛直方向の複数箇所に設けられている。
また、図5の(a)に示すように、空気供給口25cは軸線X回りの周方向に沿った等間隔(図5の(a)では30°間隔)で本体部21に設けられている。また、図5の(a)に示すように、空気供給口25cは、本体部21の外周面21eから軸線Xに向けた延びる直線状の流路となっている。
なお、図5の(a)に示す例は軸線X回りの周方向に沿った30°間隔で空気供給口25cを配置するものとしたが、他の間隔(例えば、20°、45°等)としてもよいし、等間隔でなく任意の間隔で配置してもよい。
図3に示す1次空気供給部25は、1次燃焼ファン25aから送風される空気を加熱する加熱部(図示略)を有する。空気供給口25cは、加熱部によって加熱された空気を空気供給口25cへ供給する。そのため、1次燃焼ファン25aから送風される空気を加熱しない場合に比べ、1次燃焼領域R2の雰囲気温度を高温に維持することができる。
1次空気供給部25が備える加熱部として、図6および図7に示す放熱フィン25eを採用してもよい。図6は、図3に示す本発明の一実施形態に係る炭化炉の1次空気供給部の第1変形例を示す縦断面図であり、図7は、1次空気供給部の第2変形例を示す縦断面図である。
図6および図7に示す1次空気供給部25の変形例は、炭化炉20の間隙20aから本体部21を介して伝達される熱を利用して1次燃焼ファン25aから送風される空気を加熱する放熱フィン25eを備えるものである。
図6および図7に示すように放熱フィン25eは、本体部21の外周面21eに接触するとともに外周面21eに沿って軸線X回りに延びる環状の部材である。放熱フィン25eは、軸線Xに沿った複数箇所に設けられている。放熱フィン25eは、本体部21の外周面21eに対して溶接等によって取り付けられている。
図3に示す1次空気供給部25のカバー部25bは、空気供給口25cと軸線X方向の略同じ位置のみに設けられる。それに対して、図6の1次空気供給部25の第1変形例においては、1次空気供給部25のカバー部25bは、空気供給口25cと軸線X方向の略同じ位置に加えて空気供給口25cよりも下方の位置も包含するように設けられる。
図6に示す放熱フィン25eは、本体部21の外周面21eを介して間隙20aの雰囲気温度が伝熱される伝熱部材である。本体部21の外周面21eは、耐火材21cと断熱材21bによってハウジング21aが加熱しすぎないように保護されているものの50℃〜70℃程度に加熱された状態となっている。そのため、放熱フィン25eによって1次燃焼ファン25aから送風される空気(大気)を加熱することができる。
図6に示すように、1次燃焼ファン25aは、間隙20aの下方の外周側に位置する本体部21の外周面21eに向けて外部から導入した空気を送風するようになっている。このようにしているのは、間隙20aの下方の外周側に位置する本体部21の外周面21eを外部から導入した空気によって冷却するためである。
図6に示すように、間隙20aの下方は炭化物精錬・冷却領域R1となっている。炭化物精錬・冷却領域R1は、1次燃焼領域R2で生成された炭化物を冷却しながら精錬する領域であるため、ある程度低い温度に維持されるのが望ましい。そこで本実施形態では、炭化物精錬・冷却領域R1が冷却されるように1次燃焼ファン25aが空気を送風する位置を設定している。
一方、図7に示す1次空気供給部25の第2変形例では、放熱フィン25eが配置される位置における断熱材21bの厚さおよび本体部21の外周面21eの位置が、図6と異なっている。その他の点については、図6に示す第l変形例と同様である。
図7に示すように、空気供給口25cが配置される位置における本体部21の内周面21dから外周面21eまでの距離は、距離D1となっている。一方、放熱フィン25eが配置される位置における本体部21の内周面21dから外周面21eまでの距離は、距離D2となっている。図7に示すように距離D1よりも距離D2の方が短くなっている。
図7に示す1次空気供給部25の第2変形例によれば、図6に示す1次空気供給部25の第1変形例に比べ、放熱フィン25eが配置される位置において間隙20aの雰囲気温度が外周面21eに伝達されやすくなっている。そのため、第2変形例によれば、第1変形例よりも放熱フィン25eがより高温に加熱される。よって、第2変形例の1次空気供給部25によれば、1次燃焼ファン25aが送風する空気をより高い温度に加熱した状態で空気供給口25cへ供給することができる。
なお、図6および図7に示す放熱フィン25eは、軸線X回りに延びる環状の部材であるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、放熱フィン25eを、本体部21の外周面21eに接態するとともに外周面21eに沿って軸線X回りに下方から上方へ向けて旋回する螺旋状の流路を形成するような構造としてもよい。
次に、2次空気供給部26について説明する。
2次空気供給部26は、1次燃焼領域R2において有機廃棄物の燃焼により生成される燃焼ガスに含まれる可燃性ガスを燃焼させる2次燃焼用空気を本体部21の内部へ供給する装置である。図3に示すように、2次空気供給部26は2次燃焼領域R4に設けられており、2次燃焼領域R4に向けて2次燃焼用空気を供給する。
2次空気供給部26は、2次燃焼ファン26aと、カバー部26bと、空気供給口26cとを有する。
2次燃焼ファン26aは、外部から導入した空気(大気)を送風する装置であり、インバータモータ(図示略)とインバータモータにより駆動されるファン(図示略)を有している。2次燃焼ファン26aは、インバータモータの回転数を制御することにより送風する風量を調整することができる。
カバー部26bは、2次燃焼ファン26aから送風される空気が導入されるとともに空気供給口26cへ空気を供給する閉空間26dを形成する部材である。
図3に示す炭化炉20のB−B矢視端面図として図5の(b)に示すように、カバー部26bは、本体部21の外周面21eとの間に軸線X回りに延びる閉空間26dを形成する。
空気供給口26cは、2次燃焼ファン26aから閉空間26dに送風された空気を閉空間26dから本体部21の内部の2次燃焼領域R4へ供給する流路である。
図3に示すように、空気供給口26cは、燃焼ガスに含まれる可燃性ガスを2次燃焼用空気により燃焼させる2次燃焼領域R4において、軸線Xに沿つた鉛直方向の複数箇所に設けられている。
また、図5の(b)に示すように、空気供給口26cは軸線X回りの周方向に沿った等間隔(図5の(b)では30°間隔)で本体部21に設けられている。また、図5の(b)に示すように、空気供給口26cは、本体部21の外周面21eから軸線Xに向けた延びる直線状の流路となっている。
なお、図5の(b)に示す例は軸線X回りの周方向に沿った30°間隔で空気供給口26cを配置するものとしたが、他の間隔(例えば、20°、45°等)としても良いし、等間隔でなく任意の間隔で配置してもよい。
燃焼ガス排出部27は、1次燃焼領域R2で生成されて2次燃焼領域R4で可燃性ガス成分を燃焼させた燃焼ガスを燃焼ガス流路200aへ排出する排出口である。燃焼ガス流路200aへ排出された燃焼ガスは、熱分解反応の熱源として利用するために熱分解炉30へ供給される。
温度センサ28aは、燃焼ガス排出部27から排出される燃焼ガスの温度を検出するセンサである。温度センサ28aは、検出した温度を示す温度検出信号を炭化炉制御部29へ伝達する。
図3に示すように、温度センサ28aは2次燃焼領域R4の中でも燃焼ガス流路200aに近接した領域に配置されている。そのため、温度センサ28aが検出する燃焼ガス温度Tgは、燃焼ガス流路200aに排出される燃焼ガスの温度と略一致した温度となる。
温度センサ28bは、1次燃焼領域R2の雰囲気温度を検出するセンサである。温度センサ28bは、検出した温度を示す温度検出信号を炭化炉制御部29へ伝達する。
温度センサ28cは、間隙20aの下端側に堆積する炭化物の温度である炭化物温度Tcを検出するセンサである。温度センサ28bは、検出した炭化物温度Tcを示す温度検出信号を炭化炉制御部29へ伝達する。
レベルセンサ28dは、間隙20aに堆積する有機廃棄物の堆積量を検出するセンサである。レベルセンサ28dは、1次燃焼領域R2において、図3に示す軸線Y方向に存在する有機廃棄物の堆積量を堆積量に応じた出力信号を得ることにより検出する。
レベルセンサ28dは、出射した光や超音波等の反射を受信することで堆積量を検出する反射型のセンサであってもよい。また、レベルセンサ28dは、出射したX線等を受信する受信部を円筒部22に設けた透過型のセンサであってもよい。
後述するようにレベルセンサ28dは、有機廃棄物投入部23からの新たな有機廃棄物の投入が停止される場合等、間隙20aに存在する有機廃棄物の堆積量が減少したことを検出するためのセンサである。そのため、レベルセンサ28dは、取付位置から鉛直方向の下方に向けた軸線Yに沿った堆積量を検出するようになっている。炭化炉制御部29はレベルセンサ28dが検出する有機廃棄物の堆積量である堆積量Aoが0(ゼロ)である旨の検出信号を出力する場合、間隙20aに存在する有機廃棄物の堆積量が所定の第1堆積量Ao1以下へ減少したと判定する。
着火バーナ20cは、炭化炉20における有機廃棄物の燃焼を開始させる際に、有機廃棄物を着火させるために用いられる装置である。図3に示すように、着火バーナ20cは、間隙20aの下端側に設けられている。また、図3に示すように、着火バーナ20cは、軸線Xに対して対向する2箇所に配置されている。
着火バーナ20cは、灯油等の着火用燃料を利用して火炎を発生させることにより間隙20aの下端側に堆積する有機廃棄物を燃焼させる。着火バーナ20cは、炭化炉制御部29からの制御指令によって炭化炉20における有機廃棄物の燃焼を開始させる際に火炎を発生させる。また、着火バーナ20cは、炭化炉制御部29からの制御指令によって所定のタイミングで火炎の発生を停止させる。
炭化炉制御部29は、炭化炉20が備える各部から各部の状態を示す検出信号を受信するとともに検出信号に基づいて各部に制御信号を伝達することで各部を制御する装置である。また、炭化炉制御部29は、制御装置90へ炭化炉20の状態を示す信号を伝達するとともに制御装置90から伝達される制御信号に応答して炭化炉20を制御する装置である。
炭化炉制御部29は、温度センサ28a、28b、28cのそれぞれが検出する温度を示す温度検出信号と、レベルセンサ28dが検出する有機廃棄物の堆積量Aoを示す堆積量検出信号とを受信する。また、炭化炉制御部29は、1次燃焼ファン25aの送風量を制御する制御信号を1次空気供給部25へ伝達する。また、炭化炉制御部29は、2次燃焼ファン26aの送風量を制御する制御信号を2次空気供給部26へ伝達する。また、炭化炉制御部29は、着火バーナ20cに制御信号を伝達して有機廃棄物の燃焼を開始させる際に、火炎を発生させるとともに所定のタイミングで制御信号を伝達して火炎の発生を停止させる。また、炭化炉制御部29は、ターンテーブル24aの回転速度を制御する制御信号を駆動モータ24eへ伝達する。
次に、炭化炉制御部29による1次燃焼ファン25aの送風量の制御方法について説明する。
炭化炉制御部29は、温度センサ28bが検出する1次燃焼領域R2の雰囲気温度に基づいて1次燃焼ファン25aが送風する空気の送風量を制御する。1次燃焼ファン25aが送風する空気の送風量は空気供給口25cから炭化炉20の1次燃焼領域R2へ供給される1次燃焼用空気の空気量と一致している。そのため、炭化炉制御部29は、1次燃焼ファン25aが送風する空気の送風量を制御することにより、1次燃焼領域R2に送風される1次燃焼用空気の空気量を調整することができる。
炭化炉制御部29は、間隙20aに堆積した有機廃棄物を炭化させるのに適した燃焼状態が維持されるように温度センサ28bが検出する1次燃焼領域R2の雰囲気温度に基づいて1次燃焼ファン25aが送風する空気の送風量を制御する。具体的には、炭化炉制御部29は、1次燃焼領域R2の雰囲気温度が1000℃以上かつ1200℃以下の範囲に収まるように1次燃焼ファン25aが送風する空気の送風量を制御する。
次に、炭化炉制御部29による2次燃焼ファン26aの送風量の制御方法について図8のフローチャートを用いて説明する。
炭化炉制御部29は、温度センサ28aが検出する燃焼ガス温度Tgに基づいて2次燃焼ファン26aが送風する空気の送風量を制御する。2次燃焼ファン26aが送風する空気の送風量は空気供給口26cから炭化炉20の2次燃焼領域R4へ供給される2次燃焼用空気の空気量と一致している。そのため、炭化炉制御部29は、2次燃焼ファン26aが送風する空気の送風量を制御することにより、2次燃燒領域R4に送風される2次燃焼用空気の空気量を調整することができる。
炭化炉制御部29は、2次燃焼領域R4の燃焼ガスに含まれる可燃性ガスを燃焼させるのに適した燃焼状態が維持されるように温度センサ28aが検出する燃焼ガス温度Tgに基づいて2次燃焼ファン26aが送風する空気の送風量を制御する。具体的には、炭化炉制御部29は、図8に示すフローチャートに従って2次燃焼ファン26aが送風する空気の送風量を制御する。
図8に示すフローチャートにおける各処理は、炭化炉制御部29が有する演算部(図示略)が記憶部(図示略)に記憶された制御プログラムを実行することにより行われる処理である。
図8のフローチャートに示す処理に先立って、炭化炉制御部29は、炭化炉20における有機廃棄物の燃焼を開始させる際に、着火バーナ20cによって火炎を発生させて間隙20aに堆積する有機廃棄物の燃焼を開始させる。炭化炉制御部29は、その後に2次燃焼ファン26aによる外部の空気(大気)の送風を開始させる。炭化炉制御部29は、温度センサ28aが検出する燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1以上となるまでは一定の送風量となるように2次燃焼ファン26aを制御する。温度センサ28aが検出する燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1以上となった後に、図8のフローチャートに示す各処理が開始される。
なお、燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1以上となるまでに2次燃焼ファン26aが送風する2次燃焼用空気の送風量は、2次燃焼領域R4に存在すると想定される可燃性ガスを完全燃焼させるのに必要な量に一定の余剰量を加算した量となっている。
ステップS800で炭化炉制御部29は、温度センサ28aから伝達される温度検出信号を受信することにより、燃焼ガス排出部27から排出される燃焼ガスの温度である燃焼ガス温度Tgを検出する。
ステップS801で炭化炉制御部29は、温度センサ28aが検出する燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1より低いか否かを判定する。炭化炉制御部29は、燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1よりも低いと判定した場合はステップS802に処理を進め、そうでなければステップS803に処理を進める。
ステップS802で炭化炉制御部29は、2次燃焼ファン26aの送風量を減少させるための制御信号を2次燃焼ファン26aに伝達する。2次燃焼ファン26aは、炭化炉制御部29から制御信号を受信したのに応答して送風量を減少させる。
ここで、燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1よりも低いと判定した場合に2次燃焼ファン26aの送風量を減少させているのは次の理由による。
2次空気供給部26が2次燃焼領域R4へ供給する2次燃焼用空気の量は、2次燃焼領域R4に存在する燃焼ガスに含まれる可燃性ガスを完金燃焼させる量よりも一定量だけ多い量とするのが好ましい。すなわち、2次燃焼領域R4における空気過剰率を1.0より大きい一定値とするのが好ましい。
しかしながら、2次燃焼領域R4に存在する可燃性ガスの量は、有機廃棄物の性状や1次燃焼領域R2における有機廃棄物の燃焼状態等の要因により変動するのが一般的である。そのため、2次空気供給部26が2次燃焼領域R4へ供給する2次燃焼用空気の量を一定としたままでは可燃性ガスを完全燃焼させるのに適した空気量を維持することができない。
そして、2次燃焼用空気の量が可燃性ガスを完全燃焼させる量に対して過剰に多くなる場合、可燃性ガスの燃焼に用いられない余剰空気が2次燃焼領域R4に多量に供給されることとなる。2次燃焼ファン26aが送風する空気(大気)の温度は2次燃焼領域R4の雰囲気温度よりも低いため、多量の余剰空気によって2次燃焼領域R4の雰囲気温度が低下してしまう。
そうすると、2次燃焼領域R4における可燃性ガスの燃焼効率が悪化し、可燃性ガスを多く含んだままの燃焼ガスが燃焼ガス排出部27から排出されてしまうこととなる。可燃性ガスには、凝固してタールとなる成分である高分子炭化水素が含まれている。そのため、可燃性ガスに凝固してタールとなる成分が多量に含まれたままであると、炭化炉20およびその下流側に設置される機器に損傷を与える可能性がある。そのため、燃焼ガスに凝固してタールとなる成分が多量に含まれないようにし、炭化炉20およびその下流側に設置される機器に与える損傷を抑制するのが望ましい。
そこで、炭化炉制御部29は、燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1よりも低いと判定した場合に、2次燃焼領域R4に供給される余剰空気量を減少させるために、2次燃焼ファン26aの送風量を減少させている。
ステップS803で炭化炉制御部29は、温度センサ28aが検出する燃焼ガス温度Tgが第2燃焼ガス温度Tg2より高いか否かを判定する。炭化炉制御部29は、検出した燃焼ガス温度Tgが第2燃焼ガス温度Tg2よりも高いと判定した場合はステップS804に処理を進め、そうでなければステップS801に処理を進める。
ステップS804で炭化炉制御部29は、2次燃焼ファン26aの送風量を増加させるための制御信号を2次燃焼ファン26aに伝達する。2次燃焼ファン26aは、炭化炉制御部29から制御信号を受信したのに応答して送風量を増加させる。
炭化炉制御部29は、図8に示すフローチャートの処理を終了すると、再び図8に示す処理の実行を開始する。
ここで、燃焼ガス温度Tgが第2燃焼ガス温度Tg2よりも高いと判定した場合に2次燃焼ファン26aの送風量を増加させているのは次の理由による。
燃焼ガス温度Tgに上限を定めずに炭化炉20を運転させる場合、想定される最高の燃焼ガス温度を想定し、その燃売ガス温度でも十分に耐熱性が保たれるように炭化炉20および燃焼ガス流路200aを設計する必要がある。この場合、耐熱性の高い高価な部材を用いて炭化炉20等を製造する必要があり、炭化炉20等の製造コストが増加してしまう。炭化炉20等の製造コストを増加させないようにするためには、燃焼ガス温度Tgが予め定めた上限温度以下となるようにするのが好ましい。
そこで、炭化炉制御部29は、燃焼ガス温度Tgが第2燃焼ガス温度Tg2よりも高いと判定した場合に2次燃焼ファン26aの送風量を増加させている。前述したように、2次燃焼ファン26aの送風量を増加させることにより多量の余剰空気が2次燃焼領域R4に供給されると、2次燃焼領域R4の雰囲気温度が低下することとなる。
以上のように、炭化炉制御部29は、温度センサ28aが検出する燃発ガス温度Tgに基づいて2次燃焼ファン26aが送風する空気の送風量を制御することにより、燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1以上かつ第2燃焼ガス温度Tg2以下となるようにしている。
ここで、第1燃焼ガス温度Tg1および第2燃焼ガス温度Tg2として、例えば、第1燃焼ガス温度Tg1を900℃とし、第2燃焼ガス温度Tg2を1300℃と設定することができる。
第1燃焼ガス温度Tg1を900℃としているのは、2次燃焼領域R4の温度を900℃以上に維持することにより、燃焼ガスから高分子炭化水素の大部分を除去することができるからである。高分子炭化水素は、燃焼ガスに含まれる可燃性ガスのうち凝固してタールとなる成分である。そのため、燃焼ガスから高分子炭化水素の大部分を除去することにより、炭化炉20およびその下流側に設置される機器に与える損傷を抑制することができる。
また、第1燃焼ガス温度Tg1および第2燃焼ガス温度Tg2として、例えば、第1燃焼ガス温度Tg1を1000℃とし、第2燃焼ガス温度Tg2を1200℃と設定するようにしてもよい。
また、例えば、第1燃焼ガス温度Tg1および第2燃焼ガス温度Tg2の双方を1100℃に設定するようにしてもよい。この場合、炭化炉制御部29は、燃焼ガス温度Tgが第1燃焼ガス温度Tg1より低い場合は送風量を減少させ、燃焼ガス温度Tgが第2燃焼ガス温度Tg2より高い場合は送風量を増加させるよう2次燃焼ファン26aを制御する。
次に、炭化炉制御部29によるターンテーブル24aの回転速度の制御方法について図9のフローチャートを用いて説明する。
図9に示すフローチャートにおける各処理は、炭化炉制御部29が有する演算部(図示略)が記憶部(図示略)に記憶された制御プログラムを実行することにより行われる処理である。
図9に示すフローチャートにおいて、炭化炉制御部29は、炭化物排出部24が排出する炭化物の排出量を制御している。本実施形態において炭化物排出部24が排出する炭化物の排出量を制御しているのは、有機廃棄物投入部23から間隙20aへの有機廃棄物の投入が停止されるのに伴って炭化物排出部24から排出される炭化物の温度が上昇してしまうことを防ぐためである。
間隙20aに堆積する有機廃棄物の量が徐々に少なくなると、炭化物を消火させる炭化物精錬・冷却領域R1が徐々に狭くなる。この場合、ターンテーブル24aの回転速度を一定のままで維持すると、炭化物が十分に冷却されない状態で間隙20aの下端から排出されてしまう。これは、1次燃焼領域R2で炭化されて高温となった炭化物が炭化物精錬・冷却領域R1で十分に冷却されないためである。
そこで、炭化炉制御部29は、炭化物排出部24が排出する炭化物の排出量を制御することにより、炭化物排出部24が排出する炭化物の温度を調整している。
本実施形態において、炭化炉制御部29は、温度センサ28cとレベルセンサ28dの双方を用いて、炭化物排出部24が排出する炭化物の温度を調整している。前者は炭化物の温度を直接的に検出するセンサであり、後者は炭化物の堆積量から炭化物の温度が高温となる状態を間接的に検出するセンサである。
以下、図9のフローチャートの各ステップについて説明する。
ステップS900で炭化炉制御部29は、温度センサ28cから伝達される温度検出信号を受信することにより、間隙20aの下端側に堆積する炭化物の温度である炭化物温度Tcを検出する。
ステップS901で炭化炉制御部29は、レベルセンサ28dから伝達される堆積量検出信号を受信することにより、間隙20aに堆積する有機廃棄物の堆積量である堆積量Aoを検出する。
ステップS902で炭化炉制御部29は、温度センサ28cが検出する炭化物温度Tcが第1炭化物温度Tc1以上であるか否かを判定する。炭化炉制御部29は、検出した炭化物温度Tcが第1炭化物温度Tc1以上であると判定した場合はステップS903に処理を進め、そうでなければステップS904に処理を進める。
ここで、第1炭化物温度Tc1として、例えば、250℃以上かつ300℃以下の範囲の任意の温度を設定することができる。
ステップS903で炭化炉制御部29は、ターンテーブル24aの回転速度を第2回転速度Rs2で回転させるよう駆動部24bを制御する。第2回転速度Rs2は後述する第1回転速度Rs1よりも低速度である。
ここで、第1回転速度Rs1は、炭化炉20が通常運転状態を維持するために必要な量の炭化物を炭化物排出部24から排出させるための速度である。ステップS903では、温度センサ28cが検出する炭化物温度Tcが第1炭化物温度Tc1以上となった場合に炭化物排出部24が排出する炭化物の温度が低下するように、ターンテーブル24aの回転遠度を第1回転速度Rs1よりも低い第2回転速度Rs2としている。ターンテーブル24aの回転速度を低下させることにより炭化物が炭化物精錬・冷却領域R1に滞留する時間が長くなり、それに伴って炭化物排出部24が排出する炭化物の温度が低下する。
ステップS904で炭化炉制御部29は、レベルセンサ28dが検出する堆積量Aoが第1堆積量Ao1以下であるか否かを判定する。炭化炉制御部29は、検出した堆積量Aoが第1堆積量Ao1以下であると判定した場合はステップS905に処理を進め、そうでなければステップS906に処理を進める。
ステップS905で炭化炉制御部29は、ターンテーブル24aの回転速度を第2回転速度Rs2で回転させるよう駆動部24bを制御する。第2回転速度Rs2は後述する第1回転速度Rs1よりも低速度である。ステップS905では、レベルセンサ28dが検出する堆積量Aoが第1堆積量Ao1以下となった場合に炭化物排出部24が排出する炭化物の温度が低下するように、ターンテープル24aの回転速度を第1回転速度Rs1よりも低い第2回転速度Rs2としている。
ステップS906で炭化炉制御部29は、ターンテーブル24aの回転速度を第1回転速度Rs1で回転させるよう駆動部24bを制御する。前述したように、第1回転速度Rs1は、炭化炉20が通常運転状態を維持するために必要な量の炭化物を炭化物排出部24から排出させるための速度である。炭化炉制御部29は、ステップS906において、炭化物温度Tcが第1炭化物温度Tc1よりも低くかつ堆積量Aoが第1堆積量Ao1よりも多いことから、運転状態を維持するために必要な量の炭化物を炭化物排出部24から排出させるように駆動部24bを制御する。
炭化炉制御部29は、図9に示すフローチャートの処理を終了すると、再び図9に示す処理の実行を開始する。このようにして、炭化炉制御部29は、温度センサ28cが検出する炭化物温度Tcおよびレベルセンサ28dが検出する有機廃棄物の堆積量Aoに基づいて駆動部24bがターンテーブル24aを回転させる回転速度を制御する。
以上の図9に示すフローチャートにおいては、温度センサ28cが検出する炭化物温度Tcが第1炭化物温度Tc1以上であるか否かに応じてターンテーブル24aの回転速度を2段階に切り替えるものであったが他の態様であってもよい。
例えば、炭化物温度Tcに応じて2段階以上の複数段階でターンテーブル24cの回転速度を切り替えるようにしてもよい。また、例えば、ターンテーブル24aの回転速度を段階的に切り替えず、温度センサ28cが検出する炭化物温度Tcと反比例する速度となるようにターンテーブル24aの回転速度を制御するようにしてもよい。
また、以上の図9に示すフローチャートにおいては、レベルセンサ28dが検出する堆積量Aoが第1堆積量Ao1以上であるか否かに応じてターンテーブル24aの回転速度を2段階に切り替えるものであったが他の態様であってもよい。
例えば、堆積量Aoに応じて2段階以上の複数段階でターンテーブル24aの回転速度を切り替えるようにしてもよい。また、例えば、ターンテーブル24aの回転速度を段階的に切り替えず、レベルセンサ28dが検出する堆積量Aoと比例する遠度となるようにターンテーブル24aの回転遠度を制御するようにしてもよい。
また、以上の図9に示すフローチャートにおいては、温度センサ28cが検出する炭化物温度Tcとレぺルセンサ28dが検出する堆積量Aoの双方を用いてターンテーブル24aの回転速度を制御するものであったが他の態様であってもよい。
例えば、温度センサ28cが検出する炭化物温度Tcとレベルセンサ28dが検出する堆積量Aoの何れか一方を用いてターンテーブル24aの回転速度を制御するようにしてもよい。
次に、図10から図12を用いて、本実施形態の熱分解炉30について説明する。
図10は、図2に示す本発明の一実施形態に係る熱分解炉の縦断面図であり、図11は、図10に示す熱分解炉の反応管の断面図であり、(a)はD−D矢視断面図、(b)はE‐E矢視端面図である。図12は、図10に示す熱分解炉の要部拡大図である。
図10において、軸線Zは、熱分解炉30が設置される設置面(図示略)に対して直交する鉛直方向(重力方向)を示している。
図10に示すように、本実施形態の熱分解炉30は、本体部31と、反応管32と、反応管ヘッド33(供給部)と、水性ガス出口ノズル34(水性ガス出口部)と、燃焼ガス供給部35(加熱用ガス供給部)と、燃焼ガス排出部36(加熱用ガス排出部)と、グランドパッキン37(第1シール部)と、グランドパッキン38(第2シール部)と、グランドパッキン39(第3シール部)とを備える。
本体部31は、軸線Zに沿って延びる略円筒状に形成される部材である。本体部31は、その内部に反応管32を収容する空間を形成している。
本体部31は、熱分解炉30の外装を形成する金属製(例えば、鉄製)のハウジング31aと、ハウジング31aの内周面に貼り付けられる断熱材31bと、断熱材31bの内周面に貼り付けられる耐熱材31cとを有する。
略円筒状の本体部31の上面は平面視円環状の上板31dで構成されており、本体部31の底面は平面視円環状の底板31eで構成されている。
また、本体部31の側面31fの上端には上端フランジ31g(第1フランジ部)が設けられており、本体部31の側面31fの下端には下端フランジ31i(第2フランジ部)が設けられている。
上板31dと上端フランジ部31gとは、軸線Z回りの複数箇所で上板31dと上端フランジ部31gとの間に図示しないガスケット(第4シール部)を挟んだ状態で締結ボルト31h(締結部材)によって締結されている。
同様に、底板31eと下端フランジ31iとは、軸線Z回りの複数箇所で底板31eと下端フランジ31iとの間に図示しないガスケット(第5シール部)を挟んだ状態で締結ボルト31j(締結部材)によって締結されている。
反応管32は、軸線Zに沿って延びる略円筒状に形成される機構である。反応管32は、本体部31の内周面との間に燃焼ガス(加熱用ガス)を流通させるための燃焼ガス流路30aを形成する外周面32dを有する。
反応管32は、センターパイプ32a(管状部材)と、上端フランジ32b(第3フランジ部)と、複数の第1傾斜板32fと、複数の第2傾斜板32gと、複数の保持棒32h(保持部)とを有する。
図10に示すように、反応管32の上端フランジ32bおよび上端フランジ32b側のセンターパイプ32aの端部は、本体部31の上板31d(上面)から上方へ突出している。
また、反応管32の下端部32cは、本体部31の底板31e(底面)から下方へ突出している。
センターパイプ32aは、軸線Zに沿って延びる円筒状に形成される部材である。センターパイプ32aの内部には、複数の第1傾斜板32fと複数の第2傾斜板32gと複数の保持棒32h(保持部)からなる熱分解促進機構が収容されている。
熱分解促進機構は、炭化物をセンターパイプ32aの上端側から下端側まで段階的に導いて炭化物を反応管32の内部に滞留させることにより、炭化物および過熱蒸気(ガス化剤)の熱分解反応を促進させる機構である。
図10および図11に示すように、複数の第1傾斜板32fおよび複数の第2傾斜板32gは、軸線Zに沿った複数箇所で4本の保持捧32hによって保持されている。また、第1傾斜板32fおよび第2傾斜板32gは、軸線Zに沿って交互に配置されている。
4本の保持棒32hの上端は、反応管ヘッド33の下端フランジ33aの下面に取り付けられている。反応管32の上端フランジ32bと反応管ヘッド33の下端フランジ33aとの締結を解除することにより、熱分解促進機構はセンターパイプ32aから上方に取り外す(着脱する)ことが可能となっている。
図11の(a)に示す第1傾斜板32fは、炭化物を反応管32の内周面32eの一端部(図11の(a)中の左端部)から他端部(図11の(a)中の右端部)に設けられた第1開口部32iへ導くように傾斜した第1傾斜面を形成するように配置されている。
また、図11の(b)に示す第2傾斜板32fは、炭化物を反応管32の内周面32eの他端部(図11の(b)中の右端部)から一端部(図11の(b)中の左端部)に設けられた第2開口部32jへ導くように傾斜した第2傾斜面を形成するように配置されている。
図10に示すように、第1傾斜板32fが形成する第1傾斜面は第2開口部32jから落下した炭化物を下方へ導くように傾斜しており、第2傾斜板32gが形成する第2傾斜面は第1開口部32iから落下した炭化物を下方へ導くように傾斜している。
このように、熱分解促進機構は、軸線Zに沿って交互に配置される第1傾斜板32fと第2傾斜板32gとを用いて炭化物をセンターパイプ32aの上端側から下端側まで段階的に導くことができる。
第1傾斜面および第2傾斜面の軸線Zに直交する平面に対する傾斜角度は、炭化物の性状に応じて任意に設定することができるが、炭化物を確実に傾斜面に沿って移動させるために炭化物の安息角以上の角度とするのが好ましい。一方、傾斜角度を大きくしすぎると炭化物の反応管32内での滞留時間が短くなり、熱分解反応が十分に促進されない。
そのため、第1傾斜面および第2傾斜面の軸線Zに直交する平面に対する傾斜角度は、20°以上かつ60°以下の範囲で炭化物の安息角以上となるように定めるのが特に好ましい。
反応管ヘッド33は、反応管32に取り付けられるとともに反応管32の内部へ炭化物と過熱蒸気(ガス化剤)とを供給して反応管32の内部で水性ガスを生成させるものである。
反応管ヘッド33は、反応管32と取り付けられる下端フランジ33a(第4フランジ)と、炭化物供給路101に取り付けられる上端フランジ33bと、蒸気過熱器81から過熱蒸気が供給される流路(図示略)に取り付けられる側方フランジ33cとを有する。
反応管ヘッド33の下端フランジ33aと反応管32の上端フランジ32bとは、軸線Z回りの複数箇所でこれらの間に図示しないガスケット(第6シール部)を挟んだ状態で締結ボルト33dによって締結されている。
水性ガス出口ノズル34は、反応管32の下端部32cに取り付けられる略筒状の部材である。水性ガス出口ノズル34は、反応管32の内部で炭化物の熱分解反応により生成された水性ガス、炭化物の未反応分、および灰分等の残渣を、水性ガス供給路102を介して減温器40へ導く。
燃焼ガス供給部35は、本体部31の上方に設けられるとともに燃焼ガス流路200aから導かれる燃焼ガスを燃焼ガス流路30aへ供給する開口部である。
燃焼ガス排出部36は、本体部31の下方に設けられるとともに燃焼ガス流路30aから燃焼ガス流路200bへ燃焼ガスを排出する開口部である。
燃焼ガス供給部35から燃焼ガス流路30aへ供給される燃焼ガスは、センターパイプ32aの外周面32dを加熱しながらセンターパイプ32aの上端側から下端側に向けて流通し、燃焼ガス排出部36から排出される。
グランドパッキン37は、本体部31の上板31dから燃焼ガス流路30a内の燃焼ガスが外部へ流出することを遮断する部材である。グランドパッキン37は、本体部31の上板31dの下面と接するように設けられるとともに反応管32の外周面32dと接触する内周面37dを有する平面視円環状の部材である。
グランドパッキン37は、セラミックボード37aとセラミックボード37bとセラミックファイバー37cとを互いに密着させた状態で構成されている。比較的容易に変形可能な織維状の素材であるセラミックファイバー37cを用いることにより、断熱材31bおよび耐熱材31cと接触する部分におけるシール性を高めている。
グランドパッキン38は、本体部31の底面31eから燃焼ガス流路30a内の燃焼ガスが外部へ流出することを遮断する部材である。グランドパッキン38は、本体部31の底板31eの上面と接するように設けられるとともに反応管32の外周面32dと接触する内周面38dを有する平面視円環状の部材である。
グランドパッキン38は、セラミックボード38aとセラミックボード38bとセラミックファイバー38cとを互いに密着させた状態で構成されている。比較的容易に変形可能な繊維状の素材であるセラミックファイバー38cを用いることにより、断熱材31bおよび耐熱材31cと接触する部分におけるシール性を高めている。
グランドパッキン39は、図12に示すように、反応管32の下端部32cと水性ガス出口ノズル34との取付位置において、取付位置からの水性ガスの流出を遮断する部材である。グランドパッキン39は、反応管32の外周面32dおよび水性ガス出口ノズル34の外周面34aのそれぞれと接触する内周面39dを有する平面視円環形状の部材となっている。
図12に示すようにグランドパッキン39は、円環状のパッキン部材39aと、円環状のパッキン部材39bと、パッキン押さえ部材39cとを有する。パッキン押さえ部材39cを底板31eに締結ボルトで締結することにより、パッキン部材39aおよびパッキン部材39bが軸線Z方向に収縮するとともに軸線Zに直交する径方向に膨張する。グランドパッキン39が径方向に膨張することにより、グランドパッキン39の内周面39dが反応管32の外周面32dおよび水性ガス出口ノズル34の外周面34aのそれぞれと接触してシール領域を形成する。
次に、図13を用いて、本実施形態の熱分解炉30、減温器40、サイクロン50、蒸気発生器80、蒸気過熱器81、およびその周辺の機器について説明する。
図13に示すように、炭化物供給路101は、スクリューコンベア101aと、クリンカ除去装置101bと、ベルトコンべア101cと、磁選機101dと、スクリューコンベア101eと、スクリューコンベア101fとを有する。
スクリューコンベア101aは、炭化炉20から排出された炭化物を運搬する装置である。スクリューコンベア101aは、直線状に延びる筒体の内部にスクリューを収容したものである。スクリューコンベア101aは、モータの駆動力によってスクリューを筒体の内部で回転させることにより、炭化物を筒体の延びる方向に沿って運搬する。
クリンカ除去装置101bは、スクリューコンベア101aから排出される炭化物から一定以上の粒径のクリンカをネット等により除去する装置である。クリンカが除去された炭化物はベルトコンべア101cによって磁選機101dまで運搬される。
磁選機101dは、炭化物に含まれる釘等の鉄製の層を磁石により除去する装置である鉄製の屑が除去された炭化物は、スクリューコンベア101eへ供給される。
スクリューコンベア101eおよびスクリューコンベア101fは、それぞれ炭化物を運搬する装置である。スクリューコンベア101fは、炭化物を熱分解炉30が有する窒素置換器30bへ供給する。なお、スクリューコンベア101eおよびスクリューコンベア101fの構造は、スクリューコンベア101aと同様であるので説明を省略する。
スクリューコンベア101eとスクリューコンベア101fとで熱分解炉30の上方まで炭化物を運搬しているのは、炭化物を熱分解炉30の上方から供給し、炭化物の自重によって熱分解炉30の反応管32中に炭化物を通過させるためである。炭化物の自重によって熱分解炉30の反応管32を通過させることにより、反応管32の上端から下端までの全領域を、熱分解反応を促進する領域として利用することができる。また、炭化物の自重によって反応管32中に炭化物を通過させるため、炭化物を移動させるための特段の動力を必要としない。
なお、スクリューコンベア101eとスクリューコンベア101fとの2段階で炭化物を運搬しているのは、各スクリューコンベアがスクリューを回転させるのに必要とする動力を少なくして駆動力の大きな高価なモータを必要としないようにするためである。
窒素置換器30bは、熱分解炉30を構成する機器であり、炭化物とともにスクリューコンベア101fから供給される空気に含まれる酸素を不活性な窒素ガスと置換するための装置である。
窒素置換器30bは、スクリューコンベア101fと連結される上方と、反応管ヘッド33と連結される下方の、それぞれに配置され、制御装置90によって開閉状態が制御される電動式の制御弁(例えば、ボール弁)を有する。
制御装置90は、上方の制御弁を開状態とし、下方の制御弁を閉状態とすることで、窒素置換器30bの内部に炭化物を供給する。制御装置90は、窒素置換器30bの内部に供給される炭化物が一定量に達した場合、スクリューコンベア101fによる炭化物の運搬を停止させるとともに、窒素置換器30bの上方の制御弁を閉状態とする。
窒素置換器30bには、空気分離装置等の窒素ガスを生成する装置から窒素ガスが常時供給されるようになっている。そのため、窒素置換器30bの上方および下方の制御弁を開状態として一定時間が経過すると、炭化物とともに窒素置換器30bの内部に供結された空気が外部に排出されて内部が窒素ガスで置換された状態となる。
制御装置90は、窒素置換器30bの内部が窒素ガスで置換された状態となった後に、窒素置換器30bの下方の制御弁を開状態に切り替えて窒業置換器30bから反応管ヘッド33へ炭化物を供給する。
制御装置90は、窒素置換器30bから反応管ヘッド33へ炭化物を供給した後、窒素置換器30bの下方の制御弁を閉状態とする。また、制御装置90は、その後に窒素置換器30bの上方の制御弁を開状態として窒素置換器30bの内部に新たな炭化物を供給する。
制御装置90は、以上のように窒素置換器30bの上方および下方の制御弁の開閉を制御することにより、反応管ヘッド33へ炭化物とともに供給される気体を窒素ガスとしている。この窒素ガスは、反応管32で生成される水性ガスと反応しない不活性ガスであるそのため、炭化物とともに酸素を含む空気が反応管32へ供給され、酸素と水性ガスとが反応して水性ガスの収率が低下してしまうことを抑制することができる。
チャー回収装置41は、窒素置換器41aとチャー回収部41bとを有する。
窒素置換器41aは、炭化物の未反応分とともに減温器40から供給される水性ガスを不活性な窒素ガスと置換するための装置である。
チャー回収部41bは、炭化物の未反応分を回収して図示しない供給経路から窒素置換器30bへ供給する装置である。この詳細は、リターンシステムとして後述する。
室素置換器41aは、減温器40と連結される上方と、チャー回収部41bと連結される下方の、それぞれに配置され、制御装置90によって開閉状態が制御される電動式の制御弁(例えば、ボール弁)を有する。
制御装置90は、上方の制御弁を開状態とし、下方の制御弁を閉状態とすることで窒素置換器41aの内部に炭化物の未反応分を供給する。制御装置90は、窒素置換器41aの内部に供給される炭化物の未反応分が一定量に達した場合、窒素置換器41aの上方の制御弁を閉状態とする。
窒素置換器41aには、空気分離装置等の窒素ガスを生成する装置から窒素ガスが常時供給されるようになっている。そのため、窒素置換器41aの上方および下方の制御弁を閉状態として一定時間が経過すると、炭化物の未反応分とともに窒素置換器41aの内部に供給された水性ガスが外部に排出されて内部が窒素ガスで置換された状態となる。なお、窒素置換器41aから排出される水性ガスは、フレアースタック71に供給されるようになっている。
制御装置90は、窒素置換器41aの内部が窒素ガスで置換された状態となった後に、窒素置換器41aの下方の制御弁を開状態に切り替えて窒素置換器41aからチャー回収部41bへ炭化物の未反応分を供給する。
制御装置90は、窒素置換器41aからチャー回収部41bへ炭化物の未反応分を供給した後、窒素置換器41aの下方の制御弁を閉状態とする。また、制御装置90は、その後に窒素置換器41aの上方の制御弁を開状態として窒素置換器41aの内部に新たな炭化物の未反応分を供給する。
制御装置90は、以上のように窒素置換器41aの上方および下方の制御弁の開閉を制御することにより、チャー回収部41bへ炭化物の未反応分とともに供給される水性ガスがチャー回収部41bへ供給されるのを防止している。
残渣回収装置51は、窒素置換器51aと残渣回収部51bとを有する。
窒素置換器51aは、残渣とともにサイクロン50から供給される水性ガスを不活性な窒素ガスと置換するための装置である。
残渣回収部51bは、窒素置換器51aから排出される残渣を回収する装置である。
窒素置換器51aは、サイクロン50と連結される上方と、残渣回収部51bと連結される下方の、それぞれに配置され、制御装置90によって開閉状態が制御される電動式の制御弁(例えば、ボール弁)を有する。窒素置換器51aには、空気分離装置等の窒素ガスを生成する装置から窒素ガスが常時供給されるようになっている。
なお、制御装置90は、窒素置換器41aの制御弁を制御するのと同様に窒素置換器51aの制御弁を制御し、水性ガスが残渣回収部51bへ供給されるのを防止するものである。制御装置90が窒素置換器51aの制御弁を制御する方法は、制御装置90が窒素置換器41aの制御弁を制御する方法と同様であるので説明を省略する。
蒸気発生器80は、蒸気発生部80aと蒸気循環タンク80bとを有する。
蒸気発生部80aは、燃焼ガスと熱交換する水を内部に流通させる伝熱管(図示略)と伝熱管を覆うように形成される筒体に設けられるとともに水を内部に流通させるジャケット(図示略)とを有する。伝熱管とジャケットには、それぞれ蒸気循環タンク80bから水が供給されるようになっている。
蒸気循環タンク80bは、水供給装置82から水が供給されるとともに水を蒸気発生部80aの伝熱管およびジャケットに供給する。ジャケットで熱された温水と、伝熱管が燃焼ガスによって加熱されて生成した蒸気とは、それぞれ蒸気循環タンク80bに回収される。
蒸気循環タンク80bは、蒸気発生部80aの伝熱管から供給された蒸気(飽和蒸気)を、蒸気過熱器81へ供給する。
以上説明したバイオマス発電システムの設備中、熱分解炉のさらに改善された新たなシステムを図14により説明する。
図14は、本発明の他の実施形態に係る熱分解炉のリターンシステムの構成図である。このリターンシステムは、先の図1にて説明したチャー回収装置41に係わるもので、その一部を説明したが、このチャー回収装置と協働して構成される。また、図14に示す熱分解炉30は、先に図1、図2の熱分解炉30の一実施形態として示した図10の構成に基本的に同じものである。また、本実施形態の熱分解炉30の周辺設備として図13にて説明した各機器についても同様である。従って、図14において、先に説明の各図にて用いた符号と同じ符号のものは、同じ機能をもつものである。
本発明は、熱分解炉30から排出される炭化物の未反応分に着目したのであり、図14により以下詳細に説明する。
図14において、熱分解炉30の下段に、減温器40、チャー回収装置41が配され、熱分解炉30の上段には炭化物の受入れホッパ30c、窒素置換器30bが配されている。チャー回収装置41は、窒素置換器41a、チャー回収部41b、炭化物搬送部41c、炭化物回収部41d等からなる。炭化物搬送部41cと受入れホッパ30c間には未反応物の搬送路30dが設けられている。この搬送部41c、搬送路30d等はコンベアあるいはリフター等により構成でき文字通り搬送路となる。
このチャー回収部41bから排出される炭化物を炭化物搬送部41cへ選択的に切りかえることにより、未反応分を搬送路30dを経て再度、熱分解炉30へ投入可能とする。この回収、搬送手段が熱分解炉のリターンシステムを構成する。
このリターンシステムにより、炭化物の未反応分を繰り返し熱分解炉30に投入することができ、反応管33内における滞留時間を長くすることができる。
<実施例>
発明者らが実施検証したところ、本発明の熱分解炉のリターンシステムを採用することにより、反応管内の滞留時間が数倍になることから、水性反応率が75%乃至80%から90%乃至95%に上昇改善される。これにより水性ガス量が1.19倍〜1.27倍に多くなることがわかった。
(例)
・未反応分の50%〜200%をリターンできるリターンシステムを設置
・熱分解炉の反応管内の滞留時間:1.5倍〜3倍
とすることで、水性反応率が75%〜80%から90%〜95%に上昇。
(1)電力送電の場合
リターンシステムを採用しない場合を100KWとするとリターンシステムを設置した場合119KW〜127KWと送電可能となる。
原料(木屑)が2To/h(含水率15wt%)の場合、送電量1200KWHから1430KWH〜1520KWHに増大する。
(2)水素供給の場合
リターンシステムを採用しない場合を100Nm3/hとするとリターンシステムを設置した場合119Nm3/h〜127Nm3/hの水素を供給可能となる。
原料(木屑)が2To/h(含水率15wt%)の場合、水素量が660Nm3/hから790Nm3/h〜838Nm3/h(99.999V%の水素)増大する。
次に、図15を用いて、本実施形態の乾燥機10について説明する。
図15は、図1に示す本発明の一実施形態に係る乾燥機の構成図である。
乾燥機10は、ロータリキルンと呼ばれる方式の乾操機であり、燃焼ガス導入部10bと、回転体10cと、排出部10dとを有する。
燃焼ガス導入部10bは、燃発ガス流路200dから供給される燃焼ガスを乾燥機10の内部へ導入するとともに導入した燃焼ガスを回転体10cの内部へ導くものである。
回転体10cは、軸線Wに沿って延びる方向に形成される円筒状の部材であり駆動モータによって回転動力を与えられることにより軸線W回りに回転する。
また、回転体10cの内部には、原料供給路11aから有機廃棄物が供給される。回転体10cの内部に供給された有機廃棄物は、燃焼ガス導入部10bから導かれる燃焼ガスによって乾燥されながら排出部10dに向けて導かれる。
有機廃棄物は、回転体10cの回転によって撹拌されながら燃焼ガスによって直接的に加熱され、回転体10cの一端から他端まで燃焼ガスの流れによって搬送される。
排出部10dは、回転体10cによって搬送されながら乾燥した有機廃棄物を回収して原料供給路10aへ供給する。原料供給路10aへ供給された有機廃棄物は、定量供給器12を介して炭化炉20へ供給される。
また、排出部10dは、燃焼ガス導入部10bから回転体10cの内部を通過して導かれた燃焼ガスを燃焼ガス流路200eへ供給する。燃焼ガス流路200eへ供給された燃焼ガスは、排ガス冷却洗浄装置13へ供給される。
次に、本発明の他の実施形態に係るバイオマス発電システムを、図16にて説明する。図16に示すバイオマス発電システムは、図1に示した本発明による炭化炉、熱分解炉を介して水性ガスを使用したバイオマス発電システムと基本構成を同じくし、一部記載を省略している。
図16に示すバイオマス発電システムBにおいては、原料バイオマスの破砕機10a、乾燥機10、炭化炉20、熱分解炉30、減温器40、チャー回収装置41、水性ガスホルダ70、発電設備72へ水性ガスを供給して発電する第1電力供給に至る系列は、先に示す第1実施の形態のバイオマス発電システムAとほぼ同様である。本発明の第2実施の形態が前記第1実施の形態と異なるのは、炭化炉20で発生した燃焼ガスが熱分解炉30、蒸気発生器80、ボイラー76の順に供給されて各装置の熱源となり、ボイラー76にて飽和蒸気を回収しスチームタービン発電設備75へ供給して発電し第2電力供給へ送電するとともにボイラー76にて回収した蒸気の一部が蒸気発生器80へ供給されて過熱蒸気を発生し熱分解炉30へ供給される点にある。このように本来の熱分解ガスによるガスエンジン等による発電設備72へ供給して発電する第1電力供給とボイラー76から回収した飽和蒸気によるスチームタービン発電設備75へ供給して発電する第2電力供給との複合サイクル発電、所謂ハイブリッド発電とする点において熱効率に優れている。また、第2電力供給系列のプロセスボイラー76で発生した飽和蒸気がスチームタービン発電設備75へ供給され、スチームタービン発電設備75で使用した蒸気は復水器77にて軟水タンク78に戻りポンプ79によってプロセスボイラー76へ供給する循環ラインを形成することにより外部へ排出する排水をなるべく少なくして水の使用効率を高める点において優れている。
本発明の実施の形態に係るバイオマス発電システムBは、炭化炉20で発生した燃焼排ガスを熱分解炉30に供給して、熱分解炉30で炭化物と過熱蒸気との熱分解反応を促進するための熱源として利用することにより、バイオマス発電システムB全体の熱効率を向上させる点において特徴を有する。ボイラー76で水蒸気を生成するのに必要な温度ないし熱エネルギーよりも、ボイラー76で生成された水蒸気を過熱蒸気発生器80で過熱するのに必要な温度ないし熱エネルギーの方が高いことから、本発明の実施の形態では、バイオマス発電システムB全体の熱効率を向上させるために、炭化炉20で発生した燃焼ガスを熱分解炉30、過熱蒸気発生器80、ボイラー76の順に供給し各装置の熱源となるため、バイオマス発電システムB全体の熱効率を向上させることができる。
以上説明した各実施形態は、本発明の理解のために例示されたものであり、本発明は、これら実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって定義される。また、本発明の技術思想から離れるものでない限り、特許請求の範囲に記載の構成と均等であるものも本発明の保護の範囲に含まれるものである。