JP6170478B2 - 機能性積層フィルムおよび輸液バックならびに機能性積層フィルムの製造方法 - Google Patents

機能性積層フィルムおよび輸液バックならびに機能性積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、医療用の輸液バッグなどに利用される機能性積層フィルム、この機能性積層フィルムを用いる輸液バック、および、この機能性積層フィルムの製造方法に関する。
水分や酸素によって変質する薬剤を収容する輸液バックや、同じく水分や酸素によって劣化する食品を収容するチューブや包装袋では、薬剤等の保存性を高める観点から、高いガスバリア性を有することが要求される。
このような輸液バック等では、表面にガスバリアフィルムを貼着することで、ガスバリア性を向上している。
一方で、高いガスバリアフィルムとして、支持体の上に、ガスバリア性を発現する無機層と、この無機層の下地となる有機層との組み合わせを、1以上有する、有機−無機積層型のガスバリアフィルムが知られている。
この有機−無機積層型のガスバリアフィルムの性能を維持したまま、シーラント層と複合化して、このシーラント層でガスバリアフィルムを輸液バックに貼着することにより、ガスバリア性の高い輸液バックとすることが、特許文献1に記載されている。
また、特許文献2には、ガスバリア性の付与するために輸液バック等に貼着する積層フィルムとして、支持体に第1の有機層、無機層および第2の有機層を形成してなる有機−無機積層型のガスバリアフィルムに、接着層を設け、この接着層にシーラント層としてポリエチレンおよび/またはポリプロピレンの樹脂フィルムを接着してなり、かつ第1の有機層および/または第2の有機層のTg(ガラス転移温度)が、樹脂フィルムの融点よりも高い積層フィルムが記載されている。
特許文献2の積層フィルムによれば、シーラント層と輸液バックとをヒートシールする際における、ヒートシール部での加圧や、加熱や冷却による圧縮や収縮に起因する無機層の損傷を防止して、薬剤等の保存性に優れた輸液バックを得ることができる。
特開2012−75716号公報 特開2012−218378号公報
有機−無機積層型のガスバリアフィルムを、輸液バック等に貼着する際には、特許文献1および2にも示されるように、最表層の有機層に接着剤を塗布し、この接着剤に、輸液バックへのヒートシールを行うための樹脂フィルム等のシーラント層を貼着する。
ガスバリアフィルムは、長尺な被処理物を長手方向に搬送しつつ、処理を行う、いわゆるロール・トゥ・ロール(以下、RtoRとも言う)によって製造される。そのため、シーラント層を貼着するための接着剤の塗布もRtoRによって行われる。
ここで、本発明者の検討によれば、RtoRによって、ガスバリアフィルムの最表層の有機層に接着剤を塗布する際に、接着剤が微少な円形に抜けてしまう故障いわゆるドット抜けや、接着剤が線状に抜けてしまう故障いわゆるスジ抜け等の、塗工不良が生じる場合が有ることが分かった。
このようなドット抜けやスジ抜け等が発生すると、輸液バックとして完成した後の検査工程で、外観不良で不適正品と判断されるため、製品の得率が低下する原因となる。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、RtoRによって高速の塗工速度で接着剤等を塗布する際にも、接着剤にドット抜けやスジ抜け等の塗工不良が発生することがなく、最表層の有機層に適正に接着剤等を塗布することができる機能性積層フィルム、この機能性積層フィルムを利用する輸液バック、および、この機能性積層フィルムの製造方法を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明の機能性積層フィルムは、支持体の上に、無機層および無機層の下地層となる下地有機層の組み合わせの1以上と、最表層の表層有機層とを有し、かつ、
表層有機層が、表面に、口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部を有することを特徴とする機能性積層フィルムを提供する。
このような本発明の機能性積層フィルムにおいて、表層有機層の下層が無機層であるのが好ましい。
また、表層有機層の鉛筆硬度がB〜5Hであるのが好ましい。
さらに、表層有機層の上に、さらに、接着剤層を有し、接着剤層にシーラント層が貼着されるのが好ましい。
また、本発明の輸液バックは、本発明の機能性積層フィルムを、支持体を外面にして貼り付けたことを特徴とする輸液バックを提供する。
さらに、本発明の機能性積層フィルムの製造方法は、支持体の上に、無機層と無機層の下地層となる下地有機層との組み合わせを1以上形成された積層フィルムの表面に、
主鎖がアクリルポリマで構成され、分鎖に末端がアクリル基のウレタンポリマおよび末端がアクリル基のウレタンオリゴマの少なくとも一方を有する、ウレタン骨格アクリルポリマを含む重合性組成物を塗布し、
積層フィルムに塗布した重合性組成物を、相対湿度40%以上の環境下で、20〜40℃に3秒以上加熱する第1乾燥、および、第1乾燥を行った重合性組成物を60℃以上に加熱する第2乾燥を行ない、
第2乾燥を行った重合性組成物を硬化することを特徴とする機能性積層フィルムの製造方法を提供する。
このような本発明の機能性積層フィルムの製造方法において、ウレタン骨格アクリルポリマの重量平均分子量が10000以上であるのが好ましい。
また、ウレタン骨格アクリルポリマのアクリル当量が500g/mol以上であるのが好ましい。
さらに。重合性組成物が、単官能のアクリル基を有するシランカップリング剤を含むのが好ましい。
このような本発明の機能性積層フィルムは、RtoRによって高速の塗工速度で接着剤等を塗布する際にも、接着剤にドット抜けやスジ抜け等の塗工不良が発生することがなく、表層有機層に適正に接着剤等を塗布することができる。そのため、本発明の機能性積層フィルムによれば、輸液バック等に溶着するためのシーラント層を積層しても、ドット抜け等に起因する外観不良を生じることを防止して、得率を向上できる。
また、本発明の機能性積層フィルムの製造方法によれば、このような優れた性能を有する本発明の機能性積層フィルムを、安定して製造できる。
本発明の機能性積層フィルムの一例を概念的に示す図である。 (A)および(B)は、本発明の機能性積層フィルムの別の例を概念的に示す図である。 本発明の機能性積層フィルムの一例の表面を概念的に示す図である。 本発明の機能性積層フィルムの別の例を概念的に示す図である。 本発明の機能性積層フィルムの製造方法を実施する製造装置の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の機能性積層フィルム、輸液バック、および、機能性積層フィルムの製造方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に本発明の機能性積層フィルムをガスバリアフィルムに利用した一例を概念的に示す。
なお、本発明の機能性積層フィルムは、ガスバリアフィルムに限定はされない。すなわち、本発明は、特定の波長の光を透過するフィルタや光反射防止フィルムなどの各種の光学フィルム等、公知の機能性積層フィルムに、各種、利用可能である。
ここで、本発明の機能性積層フィルムは、最表層に表層有機層を有するため、この表層有機層で無機層を保護でき、ヒビや割れ等の欠陥の無い無機層を有する機能性積層フィルムを得ることができる。また、本発明の機能性積層フィルムは、表面に前述のドット抜け等を生じることなく、接着剤を塗布して、その上にシーラント層等を貼着できる。
そのため、本発明の機能性積層フィルムは、無機層の損傷による性能劣化が大きく、さらに、シーラント層によって輸液バック等に貼着される用途が期待されるガスバリアフィルムには、より好適に利用される。
図1に示すガスバリアフィルム10は、基本的に、支持体12と、下地有機層14と、無機層16と、最表層の表層有機層18とを有して構成される。
すなわち、図1に示すガスバリアフィルム10は、下地有機層14と無機層16との組み合わせを、1つのみ、有するものである。しかしながら、本発明の機能性積層フィルムは、これ以外にも、各種の構成が利用可能である。
例えば、図2(A)に概念的に示すガスバリアフィルム20のように、下地有機層14と無機層16との組み合わせを、2つ有して、最表層に表層有機層18を有する構成であってもよい。あるいは、下地有機層14と無機層16との組み合わせを、3以上有して、最表層に表層有機層18を有する構成であってもよい。
あるいは、図2(B)に概念的に示すガスバリアフィルム24のように、最上層の無機層16の上に保護有機層26を設け、その上に表層有機層18を有する構成であってもよい。この構成によれば、より好適に無機層16を保護できる。なお、保護有機層26は、下地有機層14と同様のものでよい。
すなわち、本発明の機能性積層フィルムは、無機層の下地となる有機層と無機層との組み合わせを、1以上有する有機無機の積層構造を有し、かつ、最表層が有機層であれば、各種の構成が利用可能である。
しかしながら、表層有機層18の形成面が有機溶剤と混合可能な層であると、後述する表層有機層18の微細パターンが形成し難くなる場合が有る。さらに、最上層の無機層16の上に表層有機層18を形成することで、工程数も低減できる。そのため、表層有機層18は、最上層の無機層16の上に形成するのが好ましい。
ガスバリアフィルム10において、支持体12は、有機−無機積層型のガスバリアフィルムに限らず、各種のガスバリアフィルムや各種の積層型の機能性フィルムにおいて支持体として利用されている、公知のシート状物が、各種、利用可能である。
支持体12としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの、プラスチックフィルム等の各種の樹脂材料からなるフィルムが、好適に例示される。
また、本発明においては、このようなプラスチックフィルムの表面に、保護層、接着層、光反射層、反射防止層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための層(膜)が形成されているものを、支持体12として用いてもよい。
ガスバリアフィルム10において、支持体12の上には、無機層16の下地層としての下地有機層14を有する。
下地有機層14は、有機化合物からなる層で、基本的に、モノマおよび/またはオリゴマを、架橋(重合)したものである。
支持体12の下地有機層14は、ガスバリア性を発現する無機層16を適正に形成するための、下地層として機能する。
このような下地層となる下地有機層14を有することにより、支持体12の表面の凹凸や、支持体12の表面に付着している異物等を包埋して、無機層16の成膜面を、無機層16の成膜に適した状態にできる。これにより、支持体12の表面の凹凸や異物の影のような、無機層16となる無機化合物が着膜し難い領域を無くし、基板の表面全面に、隙間無く、適正な無機層16を成膜することが可能になる。
ガスバリアフィルム10において、下地有機層14の形成材料には、限定はなく、公知の有機化合物が、各種、利用可能である。
具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。
中でも、ガラス転移温度や強度に優れる等の点で、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物の重合物から構成された下地有機層14は、好適である。
中でも特に、上記ガラス転移温度や強度に加え、屈折率が低い、透明性が高く光学特性に優れる等の点で、アクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、下地有機層14として好適に例示される。
その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上、特に3官能以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂やメタクリル樹脂を、複数、用いるのも好ましい。
下地有機層14の厚さには限定は無いが、0.5〜5μmとするのが好ましい。
下地有機層14の厚さを0.5μm以上とすることにより、支持体12の表面の凹凸や、支持体12の表面に付着した異物を包埋して、下地有機層14の表面すなわち無機層16の成膜面を平坦化できる。
また、下地有機層14の厚さを5μm以下とすることにより、下地有機層14が厚すぎることに起因する、下地有機層14のクラックや、ガスバリアフィルム10のカール等の問題の発生を、好適に抑制することができる。
以上の点を考慮すると、下地有機層14の厚さは、1〜3μmとするのが、より好ましい。
なお、図2(A)に示すガスバリアフィルム20のように、複数の下地有機層14を有する場合は、各下地有機層14の厚さは、同じでも、互いに異なってもよい。また、各下地有機層14の形成材料は、同じでも異なってもよい。
このような下地有機層14は、公知の方法で成膜(形成)すればよい。
例えば、有機溶剤、下地有機層14となる有機化合物、界面活性剤などを含む塗料を調製して、この塗料を塗布、乾燥した後、架橋する、いわゆる塗布法によって成膜する。
無機層16は、無機化合物からなる層である。
ガスバリアフィルム10において、無機層16は、目的とするガスバリア性を、主に発現するものである。
無機層16の形成材料には、限定はなく、ガスバリア性を発現する無機化合物からなる層が、各種、利用可能である。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物からなる膜が、好適に例示される。
特に、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムは、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、好適に利用される。中でも特に、窒化ケイ素は、優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に利用される。
無機層16の膜厚は、形成材料に応じて、目的とするガスバリア性を発現できる厚さを、適宜、決定すればよい。なお、本発明者の検討によれば、無機層16の厚さは、10〜200nmとするのが好ましい。
無機層16の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現する無機層16が形成できる。また、無機層16は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れやヒビ、剥がれ等を生じる可能性が有るが、無機層16の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。
また、このような点を考慮すると、無機層16の厚さは、15〜100nmにするのが好ましく、特に、20〜75nmとするのが好ましい。
なお、本発明において、図2(A)に示すガスバリアフィルム20のように、複数の無機層16を有する場合には、各無機層16の厚さは、同じでも異なってもよい。また、各無機層16の形成材料は、同じでも異なってもよい。
ガスバリアフィルム10において、無機層16の成膜方法には、限定はなく、形成する無機層16に応じて、公知の無機層(無機膜)の成膜方法が、各種、利用可能である。
具体的には、CCP−CVDやICP−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングや反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着などの気相成膜法が、成膜方法として好適に例示される。
ガスバリアフィルム10において、無機層16の上には、最表層である表層有機層18を有する。
この表層有機層18は、無機層16を保護するために形成される。表層有機層18を有することで、ガスバリアフィルム10のハンドリングや、ガスバリアフィルム10を使用する過程などで、主にガスバリア性を発現する無機層16が損傷することを防止できる。これにより、ガスバリアフィルム10は、水蒸気透過率が1×10-4[g/(m2・day)]未満のような高いガスバリア性能を、安定して発現することが可能になる。
ここで、表層有機層18は、図1および図3に概念的に示すように、表面に、口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を有する。
ガスバリアフィルム10は、表層有機層18が、このような凹部30を有することにより、表層有機層18の表面に接着剤等を塗布する際に、RtoRによって高速で接着剤等を塗布する場合でも、前述のようなドット抜けやスジ抜けのような塗工不良の発生を抑制できる。
前述のように、ガスバリアフィルムを輸液バック等へのガスバリアフィルムの貼着は、ガスバリアフィルムの表面に接着剤を塗布して、接着剤にシーラント層を貼着して、シーラント層と輸液バックの表面とをヒートシールすることで行われる。
ところが、本発明者の検討によれば、従来のガスバリアフィルムでは、表面に接着剤を塗布すると、ドット抜けやスジ抜けのような塗工不良の発生して、シーラント層を貼着した際に、外観不良で不適正品となってしまう場合が有る。
本発明者は、このドット抜けやスジ抜けの発生原因を解析した。その結果、ドット抜け等は、局所的に接着剤がハジキを起こしていることに起因していることを見出した。またこの接着剤のハジキが、バーコータやグラビアーコータといった接着剤の塗布プロセスにおいて、リップルスジが大きい状態すなわち高速塗布になるほど顕著に発生することも見出した。
すなわち、接着剤の塗布が不均一な状態で、接着剤の支持体となるガスバリアフィルムの最表面において何らかの表面張力分布があると、ドット抜け等の塗工不良が発生しやすくなる。
これに対して、本発明のガスバリアフィルム10は、最表層となる表層有機層18が、表面に、口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を有する。
これにより、表層有機層18の表面エネルギを向上して、接着剤に対してハジキにくくなるような構成をガスバリアフィルム10の表面に形成し、ガスバリアフィルム10と、その上層となる接着剤との強固な密着を形成することが可能になる。
しかも、接着剤に対し、塗れ性をコントロールするような性質を有すると、接着剤の塗布プロセスにおける条件の調整が不要になり、生産性を大きく上げることができる。
このような効果は、輸液バッグ以外の用途でも、ガスバリアフィルム10上に接着剤を塗布する各種の製品に対し、非常に有利になる。例えば、有機無機のガスバリアフィルムに接着剤を塗布し、有機EL素子と組み合わせることで、「フレキシブル」や「薄手/軽量」といった付加価値を与える提案がなされているが、このような接着剤に対しても有用であることが言える。
すなわち、有機−無機積層型のガスバリアフィルム10の表面に対し、被着体となる接着剤との相性が良いことは、最終製品の品質を向上させることにもつながり、ガスバリアフィルム10の製品への汎用性を高めることもできる。
さらに、好ましくは、前述のように、この構成を無機層16の直上となる表層有機層18に形成することにより、保護層として形成するオーバーコート層に接着剤の塗布性を向上するための構造を持たせて、ガスバリアフィルム10の積層数を減らし、コストを低減できる。
前述のように、ガスバリアフィルム10において、表層有機層18に形成される凹部30の口径は50〜500μmである。
凹部30の口径が50μm未満では、表面エネルギの向上に対して影響が無く、接着剤の塗れ性に対して影響が出にくくなる等の不都合を生じる。
逆に、凹部30の口径が500μmを超えると、接着剤が凹部30を埋め込むことが難しくなり、例えばフィッシュアイなどの別の視認性欠陥と混同されて、外観不良として問題になる。さらに、凹部30の口径が500μmを超えると、表層有機層18が有する無機層16の保護層としての機能が低下して、ガスバリアフィルム10の品質に対して安定性を損なう、次工程で性能を悪化させる要因となる等の不都合を生じる。
以上の点を考慮すると、凹部30の口径は75〜300μmが好ましい。
後述する本発明の製造方法で表層有機層18を形成すると、凹部30の開口の形状すなわち表層有機層18の表面における形状は、ほぼ円形に近い形状となる。また、凹部30の形状も、ほぼ、球冠状になる。
しかしながら、本発明において、凹部30は、円形の開口を有するものに限定はされずまた、形状も球冠状にも限定はされない。なお、凹部30の開口が円形では無い場合には、凹部30の開口を内接する円形を想定して、この円の直径を凹部30の口径とする。
また、凹部30の深さは0.05〜0.8μmである。
凹部30の深さが0.05μm未満では、接着剤のハジキを十分に防止できない等の不都合を生じる。
逆に、凹部30の深さが0.8μmを超えると、表層有機層18が有する無機層16の保護層としての機能が低下して、ガスバリアフィルム10の品質に対して安定性を損なう、次工程で性能を悪化させる要因となる等の不都合を生じる。
以上の点を考慮すると、凹部30の深さは0.05〜0.7μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。
凹部30の深さは、表層有機層18の厚さよりも浅い。すなわち、本発明のガスバリアフィルム10においては、基本的に、無機層16が表面に露出することは無い。これにより、表層有機層18による無機層16の保護効果を、より確実に得られる。
なお、表層有機層18の厚さとは、表層有機層18の凹部30が形成されていない部分の厚さである。
凹部30の深さは、表層有機層18の厚さの5〜80%であるのが好ましく、10〜50%であるのがより好ましい。
凹部30の深さを表層有機層18の厚さの5%以上とすることにより、接着剤のハジキを十分に防止できる等の点で好ましい。
また、凹部30の深さを表層有機層18の厚さの80%以下とすることにより、無機層16の露出をより確実に防止できる、表層有機層18が有する無機層16の保護層としての強度を十分に確保できる等の点で好ましい。
このような凹部30は、基本的に、表層有機層18の表面に全面的に形成される。
なお、凹部30は、規則的に配列されても、不規則に配列されてもよい。後述する本発明の製造方法で表層有機層18を形成すると、通常、凹部30は、図3に概念的に示すように、ほぼ規則的に、最密充填されたように配列される。
各凹部30の口径および深さは、同じでも異なってもよい。例えば、表層有機層18の表面において、面方向の所定領域毎に、凹部30の口径および深さが異なってもよい。
なお、後述する本発明の製造方法で表層有機層18を形成すると、ほぼ全ての凹部30が、ほぼ同じ口径で同じ深さとなる。すなわち、ほぼ全ての凹部30が、同様の球冠状となる。
なお、表層有機層18の凹部30の形成方法は、グラビア版を用いた均一な塗布膜への凹凸の転写方法や、マスキングを用いる露光による除去等の公知の方法が、各種、利用可能である。
好ましくは、後述する本発明の製造方法で表層有機層18を形成することにより、表面に口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を有する表層有機層18を形成する。
表層有機層18の厚さは、0.2〜3μmが好ましく、0.8〜1.5μmがより好ましい。
表層有機層18の厚さを0.2μm以上とすることにより、無機層16の保護効果を好適に得られる等の点で好ましい。
表層有機層18の厚さを3μm以下とすることにより、ガスバリアフィルム10の厚さを薄くできる、カール等のガスバリアフィルム10の変形を好適に抑制できる等の点で好ましい。
また、表層有機層18は、鉛筆硬度がB〜5Hであるのが好ましく、HB〜3Hであるのがより好ましい。
表層有機層18の鉛筆硬度をB以上とすることにより、良好な硬度の表層有機層18の硬度を十分にして好適に無機層16を保護できる等の点で好ましい。
表層有機層18の鉛筆硬度を5H以下とすることにより、適度な弾性の表層有機層18によって好適に無機層16を保護できる、接着剤の硬化に対して柔軟に追従することで密着力が強くなる等の点で好ましい。
なお、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に準じて測定すればよい。
表層有機層18の形成材料は、前述の下地有機層14で例示した樹脂材料等、公知の各種の有機化合物が利用可能である。
ここで、本発明のガスバリアフィルム10において、表層有機層18は、後述する本発明の製造方法で形成するのが好ましい。従って、表層有機層18は、ウレタン骨格アクリルポリマを重合してなる有機化合物を主成分とするのが好ましい。
図4に、本発明のガスバリアフィルムの別の例を概念的に示す。
図4に示すガスバリアフィルム32は、前述のガスバリアフィルム10に、さらに、表層有機層18の上の接着剤層34と、接着剤層34に貼着されるシーラント層36とを有するものである。
このガスバリアフィルム32は、対象となる輸液バックや有機EL装置等にシーラント層36を当接して、シーラント層36をヒートシール(熱溶着/熱シール)することにより、輸液バック等に貼着される。
接着剤層34は、シーラント層36を表層有機層18(ガスバリアフィルム10)に接着するものである。
接着剤層34は、公知の接着剤からなる層であり、表層有機層18にシーラント層36を接着可能な接着剤が、全て利用可能である。
また、接着剤層34の厚さには限定はなく、表層有機層18にシーラント層36を確実に接着できる厚さを、適宜、選択すればよい。
ここで、表層有機層18は、前述のように、表面に、全面的に口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を有する。そのため、RtoRによって高速で塗布をしたとしても、接着剤層34は、ドット抜けやスジ抜け等の塗工不良を生じることなく、表層有機層18の表面に適正に形成される。
前述のように、ガスバリアフィルム32は輸液バック等の表面にヒートシールされる。シーラント層36は、このヒートシールを行うための層である。
従って、シーラント層36は、基本的に、ガスバリアフィルム32がヒートシールされる輸液バック等の形成材料と同じ材料で形成される。すなわち、ヒートシールされる対象がポリエチレン(PE)製である場合には、シーラント層36としてはPE製のシート状物(フィルム状物)を用いればよく、ヒートシールされる対象がポリプロピレン(PP)製である場合には、シーラント層36としてはPP製のシート状物を用いればよい。
また、シーラント層36の厚さにも限定はなく、シーラント層36の形成材料に応じて、輸液バック等のヒートシールされる対象の形状や状態等に応じて、確実に熱溶着できる厚さを、適宜、選択すればよい。
本発明の輸液バックは、公知の輸液バックの表面に、このような本発明のガスバリアフィルム10やガスバリアフィルム32を貼着してなるものである。
ガスバリアフィルム32のように、シーラント層36を有する場合には、シーラント層36を輸液バックの表面に当接して、必要な温度まで加熱することにより、シーラント層36を輸液バックの表面にヒートシールして、ガスバリアフィルム32を輸液バックの表面に貼着すればよい。
また、ガスバリアフィルム10のように、シーラント層36を有さない場合には、接着剤を用いる方法等、公知の方法で、ガスバリアフィルム10を輸液バックの表面に貼着すればよい。
図5に、本発明の機能性積層フィルムの製造方法によってガスバリアフィルム10を製造する、製造装置の一例を概念的に示す。
図5に示す製造装置40は、長尺な被成膜材料をロール状に巻回してなる材料ロール42から、被成膜材料46を送り出し、被成膜材料を長手方向に搬送しつつ成膜を行い、成膜済の被成膜材料を、再度、ロール状に巻回する、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll 以下、RtoRとも言う)によって、表層有機層18を形成して、ガスバリアフィルム10を製造する装置である。
従って、被成膜材料46は、長尺な支持体12の上に下地有機層14を有し、その上に無機層16を有する、有機無機の積層構造が1つ(あるいは複数)、形成されたものである。
なお、下地有機層14は、例えば下地有機層14となる塗布組成物を用いる塗布法によって、RtoRを利用する公知の方法で形成すればよい。無機層16は、例えばプラズマCVD等の気相成膜法によって、RtoRを利用する公知の方法で形成すればよい。
なお、本発明の製造方法は、RtoRによってガスバリアフィルム10を製造するのに限定はされず、カットシート状の支持体12を用いて、いわゆる枚葉式(バッチ式)の成膜方法を用いて、ガスバリアフィルム10を製造するものであってもよい。
枚葉式であっても、表層有機層18の形成方法は、以下に説明するRtoRによる製造方法と、同様である。
製造装置40は、一例として、搬送ローラ対50と、塗布部52と、乾燥部54と、硬化部56と、搬送ローラ対58とを有して構成される。
搬送ローラ対50および58は、公知の搬送ローラ対である。また、製造装置40は、図示した部材以外にも、搬送ローラ対、被成膜材料46のガイド部材、各種のセンサなど、長尺な被成膜材料を搬送しつつ塗布による成膜を行なう公知の装置に設けられる各種の部材を有してもよい。
製造装置40において、被成膜材料46を巻回してなる材料ロール42は、回転軸62に装填される。
回転軸62に材料ロール42が装填されると、被成膜材料46は、材料ロール42から引き出され、塗布部52、乾燥部54および硬化部56を通過して巻取り軸64に至る、所定の搬送経路を通される。
製造装置40では、材料ロール42からの被成膜材料46の送り出しと、巻取り軸64におけるガスバリアフィルム10の巻き取りとを同期して行なって、長尺な被成膜材料46を所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、被成膜材料46に、連続的に、表層有機層18の形成を行なう。
材料ロール42から送り出された被成膜材料46は、搬送ローラ対50によって挟持搬送されて、最初に塗布部52に搬送される。
塗布部52は、被成膜材料46の表面に表層有機層18となる重合性組成物を塗布するものである。
本発明の製造方法において、この重合性組成物は、主鎖がアクリルポリマで構成され、分鎖に末端がアクリル基(アクリロイル基)のウレタンポリマおよび末端がアクリル基のウレタンオリゴマの少なくとも一方を有する、ウレタン骨格アクリルポリマを含むものである。
すなわち、このウレタン骨格アクリルポリマは、幹となるアクリル主鎖のモノマ単位の所々にウレタンモノマ単位が側鎖として配列した構造を持つ共重合体であればよく、一般的にはグラフト共重合で形成される構造を有していればよい。
ウレタン骨格アクリルポリマ中のアクリル主鎖は、(メタ)アクリレートモノマ、エチルアクリレートモノマ等がそれぞれ単独で重合して形成されるものでもよく、これらのいずれかの共重合体もしくはこれらのいずれかと他のモノマとの共重合体のでもよい。例えば、(メタ)アクリル酸エステルおよびエチレンから得られる共重合体であることも好ましい。
アクリル主鎖に結合する側鎖の少なくとも一部は、ウレタンポリマ単位またはウレタンオリゴマ単位を含む側鎖である。ウレタン骨格アクリルポリマは、分子量の異なるウレタンポリマ単位または分子量の異なるウレタンオリゴマ単位をそれぞれ複数有していてもよい。ウレタンポリマ単位の分子量は例えば3000〜4000であればよい。また、ウレタンオリゴマ単位の分子量は例えば350〜600であればよい。ウレタン骨格アクリルポリマは、ウレタンポリマ単位を含む側鎖およびウレタンオリゴマ単位を含む側鎖の双方を有していてもよい。
アクリル主鎖およびウレタンポリマ単位またはウレタンオリゴマ単位は直接結合していてもよく、他の連結基を介して結合していてもよい。他の連結基の例としては、エチレンオキシド基、ポリエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、およびポリプロピレンオキシド基などが挙げられる。ウレタン骨格アクリルポリマは、ウレタンポリマ単位またはウレタンオリゴマ単位が異なる連結基(直接結合を含む)を介して結合している側鎖を複数種含んでいてもよい。
ウレタンポリマ単位またはウレタンオリゴマ単位を含む側鎖の少なくとも一部は末端に(メタ)アクリル基を有する。好ましくは、ウレタン骨格アクリルポリマ中のウレタンポリマ単位またはウレタンオリゴマ単位を含む側鎖の全てが末端に(メタ)アクリル基を有していればよい。上記の末端(メタ)アクリル基はアクリル基であることが好ましい。
ウレタン骨格アクリルポリマは、ウレタンポリマ単位またはウレタンオリゴマ単位を含む側鎖以外の他の側鎖を有していてもよい。他の側鎖の例としては、直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。直鎖または分岐のアルキル基としては炭素数1〜6の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基、エチル基、またはメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
ウレタン骨格アクリルポリマは、ウレタンポリマ単位またはウレタンオリゴマー単位の分子量または連結基などにおいて異なる複数の種類の側鎖と、上記した他の側鎖とをそれぞれ複数含む構造であってもよい。
ウレタン骨格アクリルポリマの分子量には、限定は無い。本発明者の検討によれば、ウレタン骨格アクリルポリマの分子量は、重量平均分子量で10,000以上が好ましく、12,000以上がより好ましく、15,000以上が特に好ましい。また、ウレタン骨格アクリルポリマの分子量は、重量平均分子量で1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、300,000以下が特に好ましい。重量平均分子量が10,000〜1,000,000のウレタン骨格アクリルポリマを用いることにより、表層有機層18の表面に、より好適に、口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を形成できる。
ウレタン骨格アクリルポリマの分子量を選択することにより、凹部30の口径および深さを調節することができる。一般的に、ウレタン骨格アクリルポリマの分子量を大きくすることで、凹部30の口径を大きくし、また、深さを深くできる。
ウレタン骨格アクリルポリマは、アクリル当量にも限定は無い。本発明者の検討によれば、ウレタン骨格アクリルポリマのアクリル当量は、500g/mol以上が好ましく、600g/mol以上がより好ましく、700g/mol以上が特に好ましい。また、ウレタン骨格アクリルポリマのアクリル当量は、5,000g/mol以下が好ましく、3,000g/mol以下がより好ましく、2,000g/mol以下が特に好ましい。アクリル当量が500〜5000g/molのウレタン骨格アクリルポリマを用いることにより、表層有機層18の表面に、より好適に、口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を形成できる。
ウレタン骨格アクリルポリマのアクリル当量を選択することによっても、凹部30の口径および深さを調節することができる。一般的に、ウレタン骨格アクリルポリマの開く率当量を大きくすることで、凹部30の口径を大きくし、また、深さを深くできる。
ウレタン骨格アクリルポリマは、例えば大成ファインケミカル株式会社製のUV硬化型アクリルウレタンポリマ(アクリット8BRシリーズ)等の市販品を用いてもよい。
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、ウレタン骨格アクリルポリマの含有量は、使用するウレタン骨格アクリルポリマに応じて、適宜、設定すればよい。
本発明者の検討によれば、ウレタン骨格アクリルポリマの含有量は、重合性組成物の固形分(揮発分が揮発した後の残分)中の5〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましい。
表層有機層18を形成するための重合性組成物は、ウレタン骨格アクリルポリマ以外に、重合性化合物を含んでもよい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が特に好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、特にアクリレート系化合物が好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物としては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。(メタ)アクリレート系化合物としては、具体的には、特開2013−43382号公報の[0024]〜[0036]に記載される化合物や、特開2013−43384号公報の[0036]〜[0048]に記載される化合物が例示される。
スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
表層有機層18を形成するための重合性組成物は、ウレタン骨格アクリルポリマ以外に、モノマ、オリゴマ、ポリマ等の添加剤を含んでいてもよい。この添加剤は重合性化合物であっても、非重合性化合物であってもよい。
添加剤の例としては、前記重合性化合物、ポリエステル、アクリルポリマ、メタクリルポリマ、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ウレタンポリマ、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、およびポリシロキサン等の有機ケイ素ポリマが挙げられる。
添加剤としては、前記重合性化合物、アクリルポリマまたはウレタンポリマが好ましい。前記重合性化合物としては(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、この重合性化合物や添加剤の含有量は、使用するウレタン骨格アクリルポリマに応じて、適宜、設定すればよい。本発明者の検討によれば、重合性化合物や添加剤の含有量は、合計で、重合性組成物の固形分中の1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
この重合性化合物や添加剤の含有量を調節することによって、凹部30の口径および深さを調節することができる。
表層有機層18を形成するための重合性組成物は、シランカップリング剤を含んでもよい。
有機層形成のための重合性組成物は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルキルオキシ基またはアセトキシ基等の加水分解可能な反応基と、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、ハロゲン基、メルカプト基、および(メタ)アクリル基から選択される1つ以上の反応性基を有する置換基とが同じケイ素に結合した構造を有する化合物、2つのケイ素が酸素または―NH−を介して結合している部分構造を有し、これらのケイ素のいずれかに上記の加水分解可能な反応基と、上記の反応性基を有する置換基とが結合した構造を有する化合物などが挙げられる。
シランカップリング剤は、(メタ)アクリル基を有しているのが好ましく、特に単官能の(メタ)アクリル基を有するのが好ましい。単官能の(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤を用いることにより、表層有機層18の表面に、より好適に、口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を形成できる。
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、シランカップリング剤の含有量は、使用するシランカップリング剤に応じて、適宜、設定ればよい。本発明者の検討によれば、シランカップリング剤の含有量は、重合性組成物の固形分中の0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
シランカップリング剤の含有量を調節することによって、表層有機層18の鉛筆硬度を調節できる。一般的に、シランカップリング剤の含有量が多い程、表層有機層18の鉛筆硬度が高くなる。
また、シランカップリング剤の含有量を調節することによっても、凹部30の口径および深さを調節することができる。
表層有機層18を形成するための重合性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤は、各種の市販品が好適に利用可能である。具体的には、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Esacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が例示される。
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、重合開始剤の含有量は、使用する重合開始剤等に応じて、適宜、設定ればよい。本発明者の検討によれば、重合開始剤の含有量は、重合に関与する化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜5モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。
表層有機層18を形成するための重合性組成物は、公知の塗布法による有機層の形成と同様に、有機溶剤に、前述のウレタン骨格アクリルポリマを投入し、あるいはさらに、前述の重合性化合物、添加剤、シランカップリング剤、および、重合開始剤等を投入して、攪拌して調製すればよい。
有機溶剤は、用いるウレタン骨格アクリルポリマ等に応じて、適宜、選択すればよい。具体的には、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等が例示される。有機溶剤は、複数を混合して用いてもよい。
塗布部52において、被成膜材料46への重合性組成物の塗布方法には、特に限定は無い。
従って、塗料の塗布は、ダイコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法等の公知の塗料の塗布方法が、全て利用可能である。
ここで、塗布部52は、無機層16の上に塗料を塗布する可能性が有るので、ダイコート法によって、塗料の塗布を行なうのが好ましい。無機層16は、脆く、ヒビ等が入り易いが、ダイコート法によれば、塗料以外が無機層16に接触することが無いので、無機層16の損傷を好適に防止できる。
なお、重合性組成物の塗布量は、重合性組成物における固形分の含有量に応じて、目的とする表層有機層18の厚さを得られる塗布量を、適宜、設定すればよい。
重合性組成物を塗布された被成膜材料46は、次いで、乾燥部54に搬送される。乾燥部54は、塗布部52が塗布した重合性組成物を乾燥するものである。
乾燥部54は、第1乾燥部54aと第2乾燥部54bとから構成される。ここで、本発明の製造方法では、第1乾燥部54aにおいて、相対湿度が40%以上の環境下で、重合性組成物の温度が20〜40℃(露点で10〜25℃)となる条件で、3秒以上、乾燥を行う第1乾燥を行なう。次いで、第2乾燥部54bにおいて、第1乾燥を行った重合性組成物に対して、重合性組成物の温度が60℃以上となる条件で第2乾燥を行う。
本発明の製造方法は、表層有機層18となる前述の重合性組成物を用い、かつ、このような第1乾燥および第2乾燥を行うことにより、表面に口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部30を有する表層有機層18を形成できる。
また、本発明の製造方法によれば、表層有機層18の表面に、全面的に、ほぼ均一の口径を有し、深さもほぼ均一な球冠状の凹部30が、最密充填されたように形成される。
本発明の製造方法において、第1乾燥における重合性組成物の温度(以下、乾燥温度とも言う)が20℃未満では、重合性組成物を適正に乾燥できない等の不都合を生じる。
また、第1乾燥における乾燥温度が40℃を超えると、乾燥が速すぎて凹凸を形成できず凹部30が適正に形成されない等の不都合を生じる。
以上の点を考慮すると、第1乾燥における乾燥温度は22〜35℃が好ましい。
第1乾燥における相対湿度が40%未満では、大気中の水分を吸湿できず表面張力分布を生じることが困難になって凹部30が適正に形成されない等の不都合を生じる。
以上の点を考慮すると、第1乾燥における相対湿度は、40〜99%が好ましく、42〜90%がより好ましい。
第1乾燥における乾燥時間が3秒未満では、第1乾燥の乾燥時間が短く凹部30が適正に形成されない等の不都合を生じる。
なお、第1乾燥における乾燥時間には上限は無いが、第1乾燥の時間が長すぎると、生産性等の点で不利になる。
以上の点を考慮すると、第1乾燥における乾燥時間は、3〜20秒が好ましく、5〜15秒がより好ましい。
従って、製造装置40においては、第1乾燥部54aにおける乾燥時間が、目的とする乾燥時間となるように、被成膜材料46の搬送速度を設定する必要が有る。
なお、本発明においては、第1乾燥の乾燥温度、乾燥時間および相対湿度の少なくとも1つを調節することで、凹部30の口径および深さを調節することができる。
また、第1乾燥において、重合性組成物に対して、乾燥温度の温度分布や、湿度の分布を設けることで、凹部30の大きさや深さの分布を設けてもよい。
本発明の製造方法では、第1乾燥を行った重合性組成物を60℃以上に加熱する第2乾燥を行う。
第2乾燥は、第1乾燥を行った重合性組成物から、残存する有機溶剤等を除去するための乾燥である。第2乾燥の温度が60℃未満では、重合性組成物を十分に乾燥できない、有機溶剤が残留してしまい、残留する有機溶剤によって表層有機層18が重合しにくくなってしまい密着性を損なう等の不都合を生じる。
なお、第2乾燥における乾燥温度には、上限は無いが、第2乾燥の温度が高過ぎると、支持体12が損傷する、第2乾燥のコストが高くなる等の点で不利になる。
以上の点を考慮すると、第2乾燥における乾燥温度は、60〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましい。
前述のように、第2乾燥は、第1乾燥を行った重合性組成物に残存する有機溶剤等を除去するために行う。
従って、第2乾燥の乾燥時間は、第1乾燥の乾燥条件、重合性組成物に用いた有機溶剤や、重合性組成物中の有機溶剤の含有量、第2乾燥の乾燥温度等に応じて、第2乾燥を終了した重合性組成物中に残存する有機溶媒の量が目的とする量以下となる時間を、適宜、設定すればよい。
なお、本発明者の検討によれば、第2乾燥の乾燥時間は、30〜600秒が好ましく、60〜300秒がより好ましい。
なお、第2乾燥では、湿度の限定は無い。従って、第2乾燥は、一般的な湿度下で行っても、高湿度下で行っても、低湿度下で行ってもよい。
第1乾燥部54aおよび第2乾燥部54bにおける重合性組成物の乾燥手段は、前述の第1乾燥および第2乾燥の条件を満たす乾燥が可能なものであれば、公知の加熱手段や乾燥手段が全て利用可能である。
具体的には、ヒートローラを用いる乾燥手段、温風による乾燥手段、伝熱板を用いる乾燥手段等が、例示される。乾燥部54は、これらの1つのみを用いてもよく、複数を併用してもよい。また、第1乾燥部54aと第2乾燥部54bとは、同じ乾燥手段を用いても、異なる乾燥手段を用いてもよい。
被成膜材料46は、次いで、硬化部56に搬送される。硬化部56は、塗布部52が塗布し、乾燥部54が乾燥した重合性組成物に、紫外線(UV光)や可視光などを照射して、重合性組成物を重合(架橋)して硬化して、表層有機層18とするものである。
なお、本発明において、重合性組成物の重合は、光重合に限定はされず、電子線重合やプラズマ重合等、重合性組成物に含まれるウレタン骨格アクリルポリマ等に応じた、各種の方法が利用可能である。ここで、本発明の製造方法においては、前述のように、重合性組成物は、前述のウレタン骨格アクリルポリマを含むので、光重合および電子線重合が好適に利用される。
なお、硬化部56においては、必要に応じて、被成膜材料46を加熱しつつ、有機化合物の硬化を行ってもよい。硬化部56における加熱方法は、乾燥部54と同様、公知の各種の手段が利用可能である。
このようにして表層有機層18を形成された被成膜材料46すなわちガスバリアフィルム10は、搬送ローラ対58に挟持搬送されて巻取り軸64に至り、巻取り軸64によって、ロール状に巻き取られ、ガスバリアフィルムロール48とされる。
以上、本発明の機能性積層フィルム、輸液バックおよび機能性積層フィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
支持体12の上に、下地有機層14、無機層16、および、表層有機層18を有するガスバリアフィルム10を作製した。
支持体12は、幅1000mm、厚さ100μm、長さ100mのPETフィルム(東洋紡社製 コスモシャインA4300)を用いた。
<下地有機層14の形成>
一方、TMPTA(ダイセルサイテック社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)を用意し、質量比率として95:5となるように秤量し、これらをMEKに溶解して、下地有機層14を形成するための固形分濃度15質量%の塗布液を調製した。
ダイコータによる塗布部、温風による乾燥部、および、紫外線照射による硬化部を有する、一般的なRtoRによる成膜装置の塗布部の所定位置に、この塗布液を充填した。また、支持体12をロール状に巻回してなるロールを、この成膜装置の所定位置に装填して、支持体12を所定の搬送経路に挿通した。
成膜装置において、支持体12を長手方向に搬送しつつ、ダイコータによって塗布液を塗布し、50℃の乾燥部を3分間通過させた。その後、紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)して後にUV硬化にて硬化させ、巻き取って、支持体12の上に下地有機層14を形成したロールとした。下地有機層14の厚さは、1μmであった。
<無機層16の形成>
下地有機層14を形成した支持体12のロールを、RtoRを用いて、CCP−CVD(容量結合形プラズマCVD)によって成膜を行う、一般的なCVD成膜装置の所定位置に装填し、支持体12を所定の搬送経路に挿通した。
このCVD成膜装置において、下地有機層14を形成した支持体12を長手方向に搬送しつつ、下地有機層14の上に、無機層16として窒化ケイ素膜を形成した。
原料ガスは、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源は、周波数13.56MHzの高周波電源を用い、プラズマ励起電力は800Wとした。成膜圧力は40Paとした。無機層16の膜厚は、50nmであった。
<表層有機層18の形成>
ウレタン骨格アクリルポリマ(大成ファインケミカル社製、アクリット8BR−500)および光重合開始剤(チバケミカル社製、Irg184)を用意し、質量比率として95:5となるように秤量し、これらをMEKに溶解して、表層有機層18を形成するための固形分濃度15質量%の重合性組成物を調製した。
なお、このウレタン骨格アクリルポリマは、重量平均分子量が250,000、アクリル当量が約1200g/molのものである。
この重合性組成物を図4に示す製造装置40の塗布部52の所定位置に充填した。また、下地有機層14および無機層16を形成した支持体12を巻回してなる材料ロール42を、回転軸62に装填して、巻取り軸64まで、所定の経路を挿通した。
塗布部52は、ダイコータを用いた。第1乾燥部54aおよび第2乾燥は、共に、温風乾燥手段を用いた。硬化部56は、紫外線ランプを用いた。なお、硬化部56には、加熱可能なバックアップローラを設けた(図示省略)。
第1乾燥部54aにおける第1乾燥は、相対湿度が42%の環境下(露点15℃)で、乾燥温度は25℃、乾燥時間は10秒とした。また、第2乾燥部54bにおける第2乾燥は、乾燥温度は90℃、乾燥時間は3分とした。
また、硬化部56における紫外線の積算照射量は、約600mJ/cm2とした。また、バックアップローラは80℃に温度調節した。
以上の条件で、無機層16の表面に表層有機層18を形成して、図1に示すような、支持体12の上に、厚さ1μmの下地有機層14、厚さ50nmの無機層16、および、表層有機層18を有する、ガスバリアフィルム10を作製した。
なお、表層有機層18の厚さは、1μmであった。
レーザ顕微鏡(オリンパス社製、LEXT)によって表層有機層18の表面を観察したところ、口径が250μm、深さが0.45μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
接触角計(協和界面科学社製、PCA−1)によって表層有機層18の表面張力を測定し、表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、44N/mであった。
表層有機層18の鉛筆硬度をJIS K5600−5−4に準拠して測定したところ、Hであった。
表層有機層18の密着性を、JIS K5400に準拠したクロスカット剥離試験で評価した。具体的には、表層有機層18に、カッターナイフを用いて、膜面に対して90°の切り込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の格子状のマスを100個作成した。この上に2cm幅のマイラーテープ(日東電工製、ポリエステルテープ、No.31B)を貼り付け、テープを剥がした。その結果、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって、測定した。恒温恒湿処理の条件は、温度25℃、相対湿度50%とした。その結果、水蒸気透過率(ガスバリア性)は、2×10-5g/(m2・day)であった。
[実施例2]
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、ウレタン骨格アクリルポリマを大成ファインケミカル社製のアクリット8BR500から、大成ファインケミカル社製のアクリット8BR930に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。
なお、このウレタン骨格アクリルポリマは、重量平均分子量が16,000、アクリル当量が約600g/molのものである。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、口径が130μm、深さが0.3μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、42N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、2Hであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、1.8×10-5g/(m2・day)であった。
[実施例3]
表層有機層18を形成するための重合性組成物に、シランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBM5103)を添加した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。
なお、シランカップリング剤の添加量は、10質量%とした。また、重合性組成物の固形分濃度は15質量%(実施例1と同じ)とした。表層有機層18の厚さは、1μmであった。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、口径が200μm、深さが0.3μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、42N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、2Hであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、1.9×10-5g/(m2・day)であった。
[実施例4]
表層有機層18を形成するための重合性組成物に、添加剤としてウレタンポリマ(東洋紡社製、バイロンUR1410)を添加した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。
なお、ウレタンポリマの添加量は、20質量%とした。また、重合性組成物の固形分濃度は15質量%(実施例1と同じ)とした。表層有機層18の厚さは、1μmであった。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、口径が100μm、深さが0.2μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、40N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、HBであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、2.4×10-5g/(m2・day)であった。
[実施例5]
表層有機層18の形成において、第1乾燥における相対湿度を60%に上昇した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、口径が400μm、深さが0.5μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、45N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、Hであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、3.1×10-5g/(m2・day)であった。
[実施例6]
表層有機層18の形成に先立ち、無機層16の上に、下地有機層14と同様にして保護有機層26を形成し、その上に表層有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にして、図2(B)に示す層構成を有するガスバリアフィルム24を作製した。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、口径が55μm、深さが0.15μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、38N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、Hであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、2×10-5g/(m2・day)であった。
[比較例1]
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、ウレタン骨格アクリルポリマに変えて、ウレタン骨格を有さないアクリルモノマ(ダイセルサイテック社製、DPHA)を用いた以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、表面に凹部30は形成されていなかった。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、30N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、6Hであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は50マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、2.1×10-5g/(m2・day)であった。
[比較例2]
表層有機層18の形成において、第1乾燥における相対湿度を10%に下げた以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、表面に凹部30は形成されていなかった。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、33N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、Hであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、2.4×10-5g/(m2・day)であった。
[比較例3]
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、ウレタン骨格アクリルポリマを、重量平均分子量が1,500,000、アクリル当量が約6000g/molのものに変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、口径が600μm、深さが0.9μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、45N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、2Bであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は100マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、4×10-3g/(m2・day)であった。
[比較例4]
表層有機層18を形成するための重合性組成物において、ウレタン骨格アクリルポリマを、重量平均分子量が3000、アクリル当量が約1000g/molのものに変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
実施例1と同様に表層有機層18の表面を観察したところ、口径が5μm、深さが0.01μmの円形の開口を有する凹部30が、全面的に最密充填状態で形成されていた。
実施例1と同様に表層有機層18の表面エネルギを算出したところ、35N/mであった。
実施例1と同様に表層有機層18の鉛筆硬度を測定したところ、3Hであった。
実施例1と同様に表層有機層18の密着性を測定したところ、表層有機層18が残存したマス数は80マスであった。
実施例1と同様に作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を測定したところ、4×10-5g/(m2・day)であった。
[ガスバリアフィルム32の作製]
このようにして作製した実施例1〜6、および、比較例1〜4のガスバリアフィルム10の表層有機層18に、ポリウレタン系接着剤を用いて、シーラント層36として樹脂フィルム(ポリプロピレンフィルム、東レフィルム加工社製、厚さ:30μm、融点:約161℃)を貼り合わせた。
これにより、図4に示すような、支持体12の上に、厚さ1μmの下地有機層14、厚さ50nmの無機層16(、厚さ1μmの保護有機層)、厚さ1μmの表層有機層18、厚さ3.5μmの接着剤層34、および、厚さ30μmのシーラント層36を有する、ガスバリアフィルム32とした。
<接着剤の塗工不良の評価>
ガスバリアフィルム32の接着剤層34を目視で観察して、接着剤のハジキの数を確認した。なお、本例では、直径0.3mm以上の円形状の『接着剤の抜け』の部分を、ハジキとして計数した。接着剤の抜けが円形状では無い場合には、『接着剤の抜け』の部分が内接する円の直径とした。
評価は、以下のとおりである。
A; 1m2あたりのハジキの数が0.2個未満
B; 1m2あたりのハジキの数が0.2個以上1個未満
C; 1m2あたりのハジキの数が1個以上5個未満
D; 1m2あたりのハジキの数が5個以上
<密着性の評価(ピール試験)>
作製したガスバリアフィルム32を25mm×50mmの短冊上に切り出し、シーラント層36の上部5mmをピール試験機によって剥離して、その密着力を測定した。
評価は、以下のとおりである。
A: 8N/25mm以上
B: 6N/25mm以上8N/25mm未満
C: 4N/25mm以上6N/25mm未満
D: 2N/25mm以上4N/25mm未満
E: 2N/25mm未満
結果を下記の表に示す。
表1に示されるように、本発明のガスバリアフィルムは、表層有機層の密着性およびガスバリア性はもちろん、シーラント層を貼着するための接着剤の塗工性が良好で接着剤のハジキは少なく、かつ、シーラント層の密着性も高い。さらに、本発明の製造方法によれば、このような優れた特性を有する本発明のガスバリアフィルムを作製できる。
なお、表層有機層の下層に保護有機層を有する実施例6は、凹部の口径および深さが他の例よりも小さく、その結果、接着剤の塗工性およびシーラント層の密着性が、他の例よりも劣っている。
これに対し、表層有機層の表面に凹部を有さない比較例1および2のガスバリアフィルムは、接着剤の塗工性が悪く、接着剤のハジキを多数、生じている。特に、表層有機層としてDPHAを用いた比較例1は、鉛筆硬度も硬く、表層有機層の密着性およびシーラント層の密着性が、共に低い。
また、表層有機層の表面に凹部を有するものの、凹部の大きすぎ、かつ、深すぎる比較例3は、接着剤の塗工性およびシーラント層の密着性は良好であるが、凹部が大きく深すぎるため、表層有機層による無機層の保護効果が不十分で、ガスバリア性が低い。加えて、鉛筆硬度も低いため、RtoR等を利用した場合には、パスロールとの摺接によって傷が付き易く、性能の維持ができない。
さらに、同様に、表層有機層の表面に凹部を有するものの、凹部が小さすぎ、かつ、浅すぎる比較例4は、凹部を形成した効果が十分に得られず、接着剤の塗工性が悪く、接着剤のハジキを多数、生じている。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
医療用の輸液バックや食品用のチューブや包装袋等に、好適に利用可能である。
10,20,24,32 ガスバリアフィルム
12 支持体
14 下地有機層
16 無機層
18 表層有機層
30 凹部
34 接着剤層
36 シーラント層
40 製造装置
42 材料ロール
48 ガスバリアフィルムロール
50,58 搬送ローラ対
52 塗布部
54 乾燥部
54a 第1乾燥部
54b 第2乾燥部
56 硬化部

Claims (9)

  1. 支持体の上に、無機層および前記無機層の下地層となる下地有機層の組み合わせの1以上と、最表層の表層有機層とを有し、かつ、
    前記表層有機層が、表面に、口径が50〜500μmで、深さが0.05〜0.8μmの凹部を有することを特徴とする機能性積層フィルム。
  2. 前記表層有機層の下層が前記無機層である請求項1に記載の機能性積層フィルム。
  3. 前記表層有機層の鉛筆硬度がB〜5Hである請求項1または2に記載の機能性積層フィルム。
  4. 前記表層有機層の上に、さらに、接着剤層を有し、前記接着剤層にシーラント層が貼着される請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性積層フィルムを、前記支持体を外面にして貼り付けたことを特徴とする輸液バック。
  6. 支持体の上に、無機層と前記無機層の下地層となる下地有機層との組み合わせを1以上形成された積層フィルムの表面に、
    主鎖がアクリルポリマで構成され、分鎖に末端がアクリル基のウレタンポリマおよび末端がアクリル基のウレタンオリゴマの少なくとも一方を有する、ウレタン骨格アクリルポリマを含む重合性組成物を塗布し、
    前記積層フィルムに塗布した重合性組成物を、相対湿度40%以上の環境下で、20〜40℃に3秒以上加熱する第1乾燥、および、前記第1乾燥を行った重合性組成物を60℃以上に加熱する第2乾燥を行ない、
    前記第2乾燥を行った重合性組成物を硬化することを特徴とする機能性積層フィルムの製造方法。
  7. 前記ウレタン骨格アクリルポリマの重量平均分子量が10000以上である請求項6に記載の機能性積層フィルムの製造方法。
  8. 前記ウレタン骨格アクリルポリマのアクリル当量が500g/mol以上である請求項6または7に記載の機能性積層フィルムの製造方法。
  9. 前記重合性組成物が、単官能のアクリル基を有するシランカップリング剤を含む請求項6〜8のいずれか1項に記載の機能性積層フィルムの製造方法。
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