以下、本発明の車載画像モニターシステムの一実施形態について、実施例に基づき添付図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。
[第1実施例]
車載画像モニターシステムの第1実施例として、オルタネーターノイズを用いて通信ペアリングを行うトレーラー用リアビューカメラシステムについて説明する。第1実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムは、カメラユニットの一実施形態であるリアビューカメラユニット1Aと、車載モニターユニットの一実施形態である車載受信ユニット2Aとを備えている。
[リアビューカメラユニットの構成]
図1は第1実施例のリアビューカメラユニット1Aのブロック構成図である。リアビューカメラユニット1Aの常時電源入力部101は、後述のトレーラー3Bから常時電源の電力を供給されており、制御部107と記憶部108に送られ、システムのバックアップが図られている。また、イグニッションキーに連動したACC電源がACC電源入力部102に入力されている。ACC電源入力部102に入力された電源電力は、リアビューカメラユニット1Aの各部に供給される。カメラ側周波数検出部103は、ACC電源入力部102から供給された電源電力からオルタネーターノイズの周波数を検出する。
具体的には、カメラ側周波数検出部103は、ACC電源入力部102に入力された電源電力から、直流成分と、バンドパスフィルタにより不要な高周波ノイズ成分と、揺れ成分である低周波成分の所定帯域の周波数とを除去して、リップル残留ノイズ成分を取り出す。そして増幅器により増幅後、周波数-電圧変換して、周波数に応じた電圧を制御部107に出力する。なお、本実施形態では周波数−電圧変換により電圧値で周波数を検出しているが、シュミットトリガ回路などを用いて、パルス状に波形整形してパルス周波数を検出してもよい。さらに、上述した以外でも、電源電力からリップル成分の周波数が検出できればよい。
カメラ部104は撮像を行い、撮像した画像を、たとえばシリアルデジタルインタフェースの規格であるITU−R(International Telecommunication Union Radiocommunications Sector) BT656で定められた形式で出力する。カメラ部104は出力した画像データを信号処理部105へ送る。信号処理部105は、送られた画像データをたとえばJPEG(Joint Picture Expert Group)やMPEG(Motion Picture Expert Group)−4などの方式で画像圧縮し、カメラ側通信部106へ送る。カメラ側通信部106は、後述のような手順で通信ペアリングされた車載受信ユニット2Aに対し、圧縮された画像データを無線通信で送信する。無線通信方式は、日本国内においては電波法による免許が不要な2.4GHz帯ISM(Industrial, Scientific and Medical)バンドを用いる無線LAN(Local Area Network)、あるいは独自通信方式が用いられる。無線LANは、国際的な標準化活動によって規格化されたIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11b/g/n等を利用した無線通信技術である。カメラ側通信部106は、圧縮画像データの送受信とは別に、数十〜百kbps程度の転送レートで別データの送受信を行なう制御コマンド用チャンネルを備えている。
制御部107はCPU(Central Processing Unit)などで構成され、カメラ側通信部106の通信ペアリングを含め、各部を制御する。制御部107の通信ペアリングの制御の詳細については後述する。
制御部107にはまた、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリなどの記憶部108が接続されている。記憶部108には、カメラ側周波数検出部103によって検出された周波数データのほかに、通信ペアリング処理に用いられる情報や、リアビューカメラユニット1Aが設置されているトレーラー3Bの車両番号、その他の情報が記憶されている。なお、記憶部108には後述のように通信ペアリング済の車載受信ユニット2Aの固有IDが記憶される。車両の連結が解除されると常時電源入力部101に入力される常時電源も遮断されるので、この固有IDの記憶は消去されるよう構成されているものとする。
[車載受信ユニットの構成]
図2は車載受信ユニット2Aのブロック構成図の例であり、車載受信ユニット2Aの常時電源入力部201は、後述のトラクター3Aから常時電源の電力を供給されており、制御部209と記憶部210に送られ、システムのバックアップが図られている。また、イグニッションキーに連動したACC電源がACC電源入力部202に入力されている。ACC電源入力部202に入力された電源電力は、車載受信ユニット2Aの各部に供給される。受信側周波数検出部203は、リアビューカメラユニット1Aのカメラ側周波数検出部103と同様に、ACC電源入力部202から供給された電源電力からリップル成分の周波数を検出し、周波数に応じた電圧を周波数データとして制御部209に出力する。
受信側通信部204は、リアビューカメラユニット1Aのカメラ側通信部106から無線通信で送られた画像データを受信する。信号処理部205は、受信側通信部204が受信した画像データを復号し、画像出力部206へ送る。画像出力部206は、信号処理部205から送られた画像データを出力する。画像出力部206には、モニターディスプレイ2Bが接続されており、画像出力部206から出力された画像データが、モニターディスプレイ2Bに表示される。これにより、モニターディスプレイ2Bには、リアビューカメラユニット1Aが撮像したトレーラーの後方の画像が表示される。音声出力部207は制御部209に接続されており、制御部209の指示により種々の情報を報知する音声を出力する。音声出力部207には、スピーカー2Cが接続されており、音声出力部207から出力された音声データが、スピーカー2Cから出力される。警告出力部208は同じく制御部209に接続されており、制御部209の指示により点灯して警告信号を出力する。警告出力部208には警告灯2Dが接続されており、警告出力部208から出力された警告信号に応じて点灯する。
制御部209はCPU(Central Processing Unit)などで構成され、受信側通信部204の通信ペアリングを含め、各部を制御する。制御部209の通信ペアリングの制御の詳細については後述する。
制御部209はまた、通信ペアリングの状態について、運転者に対し画像出力部206に接続されたモニターディスプレイ2Bや、音声出力部207に接続されたスピーカー2Cや、警告出力部208に接続された警告灯2Dなどによって、視覚情報や音声情報を用いて報知を行う。例えば、通信ペアリング処理中である旨を知らせたり、通信ペアリングする/されているリアビューカメラユニット1Aが設置されているトレーラー3Bの車両番号などを報知する。
なおモニターディスプレイ2Bやスピーカー2C、警告灯2Dは、車載受信ユニット2Aが備えていなくとも、トラクター3Aに設けられているカーナビゲーションシステムや車載テレビのモニターディスプレイやスピーカー、警告灯を用いてもよい。また、車載受信ユニット2Aも、トラクター3Aに設けられているカーナビゲーションシステムの一機能として実現されてもよい。
制御部209にはまた、HDDや半導体メモリなどの記憶部210が接続されている。記憶部210には、受信側周波数検出部203によって検出された周波数データのほかに、通信ペアリング処理に用いられる情報や、車載受信ユニット2Aが設置されているトラクター3Aの車両番号、その他の情報が記憶されている。
[連結車両の構成]
図3は、第1実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムを搭載した連結車両を示す側面図である。連結車両3は、運転席と駆動部とを有するトラクター3Aと、荷台を有しトラクター3Aに牽引されるトレーラー3Bとを備えている。トレーラー3Bの後部には、リアビューカメラユニット1Aが設置されており、トレーラー3Bの後部の画像を撮像し、無線で送信する。
トラクター3Aにはエンジン3Dが搭載されており、エンジン3Dはオルタネーター(発電機)3Eを駆動する。オルタネーター3Eは、エンジン3Dの回転数に応じて変動する交流電力を発電し、この交流を全波整流し直流電力に変換、トラクター3Aに搭載されたバッテリー3Fを充電する。そして車両に搭載された各電子機器に、バッテリー3Fから直流電力が供給される。
ここで、バッテリー3Fは平滑回路とみなすことができるが、内部インピーダンスが存在する。そのたため、エンジン3Dが始動されオルタネーター3Eが作動すると、上述の交流電力周波数に応じたリップルが電源ラインに重畳する。このリップルがオルタネーターノイズの主因である。したがって、公知の方法によってオルタネーターノイズからエンジン3Dの回転数を導出することができる。
トラクター3Aのバッテリー3Fから供給された電源電力に重畳されたオルタネーターノイズは、主にトラクター3Aのオルタネーター3Eによるものであり、エンジン3Dの回転数に比例する。したがって、車載受信ユニット2Aの受信側周波数検出部203が検出するオルタネーターノイズの周波数は、エンジン3Dの回転数と一致することとなる。
また、トレーラー3Bには、連結するトラクター3Aからバッテリー3Fの電力が供給されており、オルタネーター3Eによるオルタネーターノイズが重畳されている。そのため、トレーラー3Bに設置されたリアビューカメラユニット1Aのカメラ側周波数検出部103が検出するオルタネーターノイズの周波数は、やはり連結するトラクター3Aのエンジン3Dの回転数と一致することとなる。
トラクター3Aの運転席の近傍にはモニターディスプレイ2Bが設置されており、モニターディスプレイ2Bの近くである運転席の近傍または無線の受信しやすい天井の近傍、収納しやすい座席の下などに車載受信ユニット2Aが設置されている。リアビューカメラユニット1Aが送信するトレーラー3Bの後部の画像を車載受信ユニット2Aが受信し、モニターディスプレイ2Bに表示する。このようにして、トレーラー3Bの後方の視界を確保する。
トレーラー3Bをトラクター3Aに連結する際、トレーラー3Bの灯火等の配線のためトレーラー3Bとトラクター3Aとの間にケーブル3Cを接続する。トラクター3Aとトレーラー3Bとの間を接続するケーブルのコネクタとしては、例えばISO(International Organization Standardization:国際標準化機構)12098やISO3731などで定められた規格がある。これらの規格では各灯火の制御信号などに加え、常時電源やイグニッションキーに連動した電源(ACC電源)がトレーラー3Bに供給される。本実施形態に係るリアビューカメラユニット1Aと車載受信ユニット2Aとには、これらの常時電源やACC電源が供給される。また、ケーブル3Cでトレーラーに常時電源やACC電源が供給されない場合、灯火用の接続とは別に電源供給のためのケーブルを設けてもよい。
図11はトレーラー3Aとトラクター3Bとの組合せの例を示す模式図である。図11の中段の矢印1101に示すように、いまトラクター3A1はトレーラー3B1を牽引しているものとする。しかしながら図11の下段の矢印1102に示すように、トラクター3A1がトレーラー3B1とは異なるトレーラー3B2を連結し牽引する場合もある。また、図11の上段の矢印1103に示すように、トレーラー3B1はトラクター3A1に牽引されるのみならず、トラクター3A2と連結し、トラクター3A2に牽引される場合もある。トラクター3A及びトレーラー3Bの数がさらに増えることもあり、トラクター3Aとトレーラー3Bは様々な組み合わせで連結されうる。したがって、連結した組み合わせに応じて、リアビューカメラユニット1Aと車載受信ユニット2Aとの通信ペアリングを行う必要がある。
[通信ペアリングの手順]
制御部による通信ペアリング処理の判定の手順を、図4および図5のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
まず、運転者がイグニッションキーをONにすると、これに連動してリアビューカメラユニット1AのACC電源入力部102と、車載受信ユニット2AのACC電源入力部202とに、電源電力が供給される。
リアビューカメラユニット1Aの通信ペアリング処理の手順を図4のフローチャートに示す。リアビューカメラユニット1Aでは、ACC電源入力部102に電源電力が供給されると制御部107が起動し、各部に指示を行って以下の動作を行わせる。制御部107はまず、通信ペアリング済の車載受信ユニット2Aの固有IDが記憶部108に記憶されているかどうかを確認する(ステップS401)。
記憶部108に通信ペアリング済の車載受信ユニット2Aの固有IDが記憶されている場合(ステップS401でYES)、通信ペアリングが完了した後も電源電力のバックアップが継続している、すなわちトレーラー3Bのトラクター3Aへの連結が維持された状態であると言える。連結されたままの車両にそれぞれ設置されたリアビューカメラユニット1Aと車載受信ユニット2Aとの通信ペアリングは、変更する必要がない。そのため、以前の通信ペアリング関係を維持するものとする。すなわち、カメラ側通信部106は、リアビューカメラユニット1A自身の固有IDで車載受信ユニット2Aと通信を行い、リンクを確立し(ステップS402)処理を終了する。
記憶部108に通信ペアリング済の車載受信ユニット2Aの固有IDが記憶されていない場合(ステップS401のNO)は、リアビューカメラユニット1Aが新規に取り付けられた状態、あるいは通信ペアリングが完了していない状態である。そのため、リアビューカメラユニット1Aはペアリングモードに移行する(ステップS403)。具体的には、カメラ側通信部106は通信ペアリング用の共通識別情報である共通IDで、ペアリングモードの識別信号を送信する。
続いて、車載受信ユニット2Aの通信ペアリング処理の手順を図5のフローチャートに示す。車載受信ユニット2Aでは、ACC電源入力部202に電源電力が供給されると、制御部209が起動し、各部に指示を行って以下の動作を行わせる。
受信側通信部204はまず、車載受信ユニット2Aが記憶するペアリング済のリアビューカメラユニット1Aの固有IDを使って通信を行うリアビューカメラユニット1Aがあるかを確認する(ステップS501)。記憶されているリアビューカメラユニット1Aの固有IDを使って通信を行うリアビューカメラユニット1Aがあった場合、リンクを確立し、処理を終了する(ステップS502)。
車載受信ユニット2Aが記憶するペアリング済のリアビューカメラユニット1Aの固有IDを使って通信を行うリアビューカメラユニット1Aがない場合、受信側通信部204は、ペアリングモードのリアビューカメラユニット1Aが存在するかどうかサーチを行う(ステップS503)。具体的には、受信側通信部204が通信ペアリング用の共通識別情報である共通IDで受信を行い、ペアリングモードの識別信号を送信しているリアビューカメラユニットがないかを調べる。このとき、リアビューカメラユニット1Aの固有IDが、後述のように記憶部210に電源不一致情報が記憶されている固有IDであるリアビューカメラユニット1Aは除外するものとする。
サーチの結果ペアリングモードのリアビューカメラユニット1Aが見つからなかった場合、連結された車両に設置されたリアビューカメラユニット1Aは存在しない、あるいはトレーラー3Bが連結されていないと判断し、処理を終了する。
一方、サーチの結果ペアリングモードのリアビューカメラユニット1Aが見つかった場合、受信側通信部204は共通IDを使っていったん無線通信のリンクを確立する(ステップS504)。共通IDで通信を行う際に、リアビューカメラユニット1Aは、共通IDとは別にデータ形態でリアビューカメラユニット1Aの固有IDを送信する。複数のリアビューカメラユニット1Aが見つかった場合、車載受信ユニット2Aは固有IDを含むデータを受信しているので、所定のルールに基づいてひとつのリアビューカメラユニット1Aを選び、リンクを確立する。
リンクを確立したら、受信側通信部204は、リアビューカメラユニット1Aに識別データの送信を要求する要求コマンドを送信する(ステップS505)。
図4に戻り、ステップS403でペアリングモードに移行したリアビューカメラユニット1Aのカメラ側通信部106は、要求コマンドを待ち受ける(ステップS404)。要求コマンドを受信したら、所定の時間が経過したのちに周波数データのデータパケットを識別データとして車載受信ユニット2Aへ送信する(ステップS405)。
再び図5に戻り、ステップS505で要求コマンドを送信した車載受信ユニット2Aの受信側通信部204は識別データのデータパケットを待ち受ける(ステップS506)。受信側通信部204は、識別データのデータパケットを受信したら、受信したデータパケットのパケット番号及び誤り検出符号が正常であるかどうかを確認する(ステップS507)。正常であることを確認したら(ステップS507でYES)、受信側通信部204は確認応答としてAck(Acknowledgment)パケットをリアビューカメラユニット1Aへ送信する(ステップS508)。
識別データのデータパケットを受信できない場合(ステップS506でNO)、あるいは受信したデータパケットが正常でない場合(ステップS507でNO)、受信側通信部204は正しく受信できなかったことを示す応答として、NAck(Negative Acknowledgment)パケットを送信し(ステップS509)、ステップS506へ戻って識別データのデータパケットを待ち受ける。
受信側通信部204はAckを送信したら、再送信率を確認する(ステップS510)。再送信率が所定のしきい値よりも高い場合、制御部107は電波状況が著しく悪化していると判断し、無線通信による通常の遅延の他に再送による遅延を考慮して遅延量を設定する(ステップS511)。具体的には、制御部204は、再送信されたデータパケットの回数が所定回数以上であると、遅延量を大きく設定する。
図4に戻り、ステップS405で周波数データを送信したリアビューカメラユニット1Aのカメラ側通信部106は、NAckパケットを受信したかどうかを確認する(ステップS406)。カメラ側通信部106は、NAckパケットを受信した場合、ステップS405へ戻り再度同じデータパケットの送信を行なう。
NAckパケットを受信していない場合(ステップS406のNO)、カメラ側通信部106はAckパケットを受信したかどうかを確認する(ステップS407)。カメラ側通信部106は、Ackパケットを受信したら、送信した識別データの受信したAckパケットとのデータパケット番号が一致しているかを確認する(ステップS408)。データパケット番号が一致しなかった場合(ステップS408でNO)、ステップS405へ戻り再度同じデータパケットの送信を行なう。このとき、識別データに加え、送信回数もともに送る。
カメラ側通信部106はステップS407でAckパケットを受信しない場合(ステップS407のNO)、識別データの送信後一定時間が経過したかを確認する(ステップS409)。一定時間経過した場合は、ステップS405へ戻り、再度識別データを送信する。このとき、ステップS408でデータパケット番号が一致しなかった場合同様、識別データに加え、送信回数もともに送る。一定時間が経過していない場合はステップS406に戻り、再びNAckパケットを受信したかどうかを確認する。
図5に戻り、Ackを送信した車載受信ユニット2Aの受信側通信部204は、送られた識別データ(リアビューカメラユニット1Aのカメラ側周波数検出部103で検出した周波数データ)を、車載受信ユニット2Aの受信側周波数検出部203で検出した周波数データと比較する(ステップS512)。このとき、車載受信ユニット2Aの受信側周波数検出部203で検出した周波数データは、リアビューカメラユニット1Aのカメラ側周波数検出部103で検出した周波数データに対して、その作成時刻より所定の遅延量だけあとのデータを、比較の対象とする。このときの遅延量は、ステップS511で説明したように、再送回数を考慮したものとする。また、Ackを送信後(ステップS508)、再度識別データを受信した場合には、ステップS507に戻り、識別データが正常であるかを確認する。
受信した識別データと車載受信ユニット2Aの周波数検出部203で検出した周波数データとの差分が所定の範囲外であれば(ステップS512でNO)、オルタネーターノイズの周波数が一致せず、同一の電源から供給されたものではないと判断することができる。そこで受信側通信部204は共通IDを使用してのリンクを解消し、記憶部210に保存されているリアビューカメラユニット1Aの固有ID情報に、電源不一致の情報を付加する(ステップS513)。なお、共通IDでのリンク時に取得され、記憶部210に保存される情報は、車載受信ユニット2Aの起動毎にリセットされる。続いてステップS501へ戻り、受信側通信部204は、再びペアリングモードのリアビューカメラユニット1Aが存在するかどうかサーチを行う。
ステップS512で受信した識別データと車載受信ユニット2Aの受信側周波数検出部203で検出した周波数データとの差分が所定の範囲内であれば(ステップS512でYES)、オルタネーターノイズの周波数が一致しており、同一の電源から供給されたものであると判断することができる。そこで受信側通信部204は、通信ペアリング処理を実行する(ステップS514)。具体的には、受信側通信部204は、リアビューカメラユニット1Aに対して通信ペアリング処理が完了したことを通知し、共通IDを使った通信を終了し、リアビューカメラユニット1Aの固有IDを使った通信を行い、リンクを確立する。このとき、車載受信ユニット2Aの固有IDも送信する。
図4に戻り、リアビューカメラユニット1Aは通信ペアリング処理が完了した通知を待ち受け(ステップS410)、通知を受けた制御部107は、ペアリングモードから通常通信モードへ移行する(ステップS412)。具体的には、共通IDを使った通信を終了し、リアビューカメラユニット1Aの固有IDを使った通信を行い、リンクを確立する。さらに車載受信ユニット2Aの固有IDを通信ペアリング済のIDとして、記憶部108に記憶する(ステップS413)。ステップS410において通信ペアリング処理が完了した通知を、Ack受信(ステップS407)から所定の時間受信しない(ステップS411でYES)場合、車載受信ユニット2A側で同一の電源ではないと判断されたので、ステップS403に戻り、再度通信ペアリング確立のための処理を行う。以上のようにして通信ペアリング処理が完了する。
通信ペアリングが行われた後は、リアビューカメラユニット1Aは、カメラ部104で撮像を行い、信号処理部105で画像圧縮し、カメラ側通信部106から通信ペアリングされた車載受信ユニット2Aに画像データを送信する。車載受信ユニット2Aは、送信された画像データを受信側通信部204で受信し、信号処理部205で復号し、画像出力部206から画像を出力し、モニターディスプレイ2Bに表示させる。これにより、車両後方の画像を、運転席近傍のモニターディスプレイに表示することができる。
[誤ペアリングの対応の手順]
図4および図5のフローチャートで説明したように、本実施例のリアビューカメラシステム1は、リアビューカメラユニット1A及び車載受信ユニット2Aに供給される電源電力に重畳されているオルタネーターノイズの周波数が一致すると、お互いが連結された車両に設置されていると判断して、通信ペアリング処理を実施する。しかし、リアビューカメラユニット1Aを搭載したトレーラー3Bが至近距離に複数存在し、例えば同じ型式の車両で、同時にエンジンを始動し、エンジンの負荷等が同条件であるような場合は、エンジンの回転数がほぼ一致する場合がある。このような場合、オルタネーターノイズの周波数が一致するので連結していると判断して、連結していないトレーラー3Bに搭載されているリアビューカメラユニット1Aを、誤ペアリングをしてしまう可能性がある。そこで、誤ペアリングされた場合の修正の手順について、図6のフローチャートに基づき説明する。
リンク確立後、車載受信ユニット2Aの受信側通信部204は、第1の所定の時間ごとに(ステップS601)、リンクが確立しているか否かを確認する(ステップS602)。リンクが確立していない場合(ステップS602でNO)、受信側通信部204は、リンク切れののち、第2の所定の時間以内に(ステップS603)再度リンクしているか否かを確認する(ステップS604)。第2の所定の時間を過ぎてもリンクが確立していない場合(ステップS604でNO)、当初通信ペアリングを確立したリアビューカメラユニット1Aと車載受信ユニット2Aとの間の距離が、無線の到達距離以上になったということになる。すなわち、連結していない車両に設置されていたリアビューカメラユニット1Aとのリンクが確立していたと考えられる。そのため、車載受信ユニット2Aの受信側通信部204は、リアビューカメラユニット1Aの固有IDを使用してのリンクを解消し(ステップS605)、記憶部210に保存されているリアビューカメラユニット1Aの固有ID情報に、電源不一致の情報を付加する(ステップS606)。そして車載受信ユニット2Aの受信側通信部204は、ステップS501に戻り、再度通信ペアリング確立のための処理を行う。これにより、誤ペアリングを行った場合でも、実際に車両が動き出せば修正が行われるので、正しいペアリングを行うことができる。
図4及び図5のフローチャートで説明したように、第1実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムによれば、トレーラー3Bの後方に設置されたリアビューカメラユニット1Aとトラクター3Aの運転席付近に設置された車載受信ユニット2Aとの間が無線通信でリンクされ映像が伝送される。すなわちユーザーの操作なしに通信ペアリングを行って、運転席のモニターディスプレイ2Bにリアビューカメラユニット1Aで撮像した映像が映し出されるので、制御や映像信号用配線の敷設を低減することが可能となる。また、車両連結部に映像信号や制御用配線の追加敷設が不要であるため、可動部による配線の切断を防ぐことができる。また、配線の保護部材や配線の連結用に堅牢なコネクタも不要なためコストの上昇を抑えることができる。
複数台のトレーラー3B及びトラクター3Aのそれぞれにリアビューカメラユニットと車載受信ユニットとを設置しておくことで、トレーラー3Bとトラクター3Aを様々に組み合わせても、連結されている状態で1組のワイヤレスリアビューカメラシステムとして使用できる。
運転者が、走行開始時の通常操作であるイグニションキーを操作するだけで、通信ペアリング処理が実施されるため、通信ペアリングのための操作を不要とすることができ、ユーザーが意識することなく自動的な通信ペアリング処理を実現することができる。
第1実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムは、トレーラー3B及びトラクター3Aに供給される電源に重畳している、オルタネーターノイズの周波数を比較して、一致する周波数であることより、連結された同一車両の電源であることを判定し通信ペアリング相手と判断する。そのため、付近に同じトレーラー用リアビューカメラシステムを搭載した車両が存在しても、連結された同一車両に設置されているリアビューカメラユニット1A、車載受信ユニット2A同士のみでしか通信ペアリングを行わず、誤ペアリングを抑止することが可能である。
トレーラー3Bの電源は、トラクター3Aから供給されるため、トラクター3Aとの連結が解除されるとトレーラー3Bに設置されているリアビューカメラユニット1Aの電源は供給されない。よって、通信ペアリング情報はリセットされる。また、トレーラー3Bが交換されることなく連結状態が維持されていれば通信ペアリング情報は保持されているため、電源投入時のシステム起動の高速化を図ることが可能である。
また、トラクター3Aに連結するトレーラー3Bを別のトレーラー3Bと入れ換えた場合であっても、起動時に新たに連結されたトレーラー3Bに設置されたリアビューカメラユニット1Aと通信ペアリングされる。そのため、トレーラー3Bを交換するごとに、リアビューカメラユニット1Aと車載受信ユニット2Aとの通信ペアリング作業を実施する労力を省くことができる。
通信ペアリングのためにユーザーが操作する必要がないので、通信ペアリングのためのスイッチが不要であり、リアビューカメラユニット1Aと車載受信ユニット2Aとの小型化及び低コスト化を図ることができる。
通信ペアリングのためにユーザーが操作する必要がないため、通信ペアリング処理が完了するまでに要する時間を短縮化することができる。
万一、隣接した車両に設置された別のトレーラー用リアビューカメラシステム1と誤ペアリングしてしまった場合であっても、走行を開始するなどして誤ペアリングの対象車両と一定以上の距離が確保されると、速やかに連結された車両に設置されたリアビューカメラユニット1Aと車載受信ユニット2Aとの間での通信ペアリング処理の実施が可能である。
電源ラインに既に重畳しているノイズの周波数に基づいて、連結された同一車両の電源であるかを判断するため、電源ラインに新たに信号を重畳する必要がなく、車両電源ラインに接続されている機器への影響がない。
なお、上述の実施形態の説明では、連結された同一車両の電源であるかを判断するために、オルタネーターノイズの周波数を用いているが、エンジン3Dの点火プラグ、インジェクターなどを駆動するときに発生し、オルタネーターノイズと同様に電源ラインに重畳するイグニッションノイズであっても適用可能である。
[第2実施例]
車載画像モニターシステムの第2実施例として、ランプを点灯させる電源ラインの情報を用いて通信ペアリングを行うトレーラー用リアビューカメラシステムについて説明する。第2実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムは、カメラユニットの一実施形態であるリアビューカメラユニット7Aと、車載モニターユニットの一実施形態である車載受信ユニット2Aとを備えている。なお以下の説明において、第1実施例と同様な点は説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
[リアビューカメラユニットの構成]
図7は第2実施例のリアビューカメラユニット7Aのブロック構成図である。リアビューカメラユニット7Aの常時電源入力部101、ACC電源入力部102、カメラ部104、信号処理部105、カメラ側通信部106は第1実施例と同様であり説明を省略する。
第2実施例のリアビューカメラユニット7Aは、第1実施例のリアビューカメラユニット1Aのカメラ側周波数検出部103の代わりに、点灯制御信号検出部701を備え、さらに灯火用電源入力部705を備えている。点灯制御信号検出部701は、灯火用電源入力部705を介し、トレーラー3Bのランプ7Bの制御ライン(灯火用電源)であるホット側の端子704に接続されている。ランプ7Bは具体的にはたとえば、ストップランプ7B1、ウインカーランプ7B2、テールランプ7B3、ナンバープレートランプ7B4、サイドやトップなどのマーカーランプ7B5、リアフォグランプ7B6あるいはバックランプ7B7である。点灯制御信号検出部701は、接続しているランプ7Bが点灯制御される点灯時間、点灯間隔を検出し、検出した点灯時間、点灯間隔からなる点灯制御データを制御部702に出力する。トレーラー3Bには、連結するトラクター3Aから灯火用の制御信号が供給される。そのため、トレーラー3Bに設置されたリアビューカメラユニット1Aの点灯制御信号検出部701が検出した点灯制御データは、連結するトラクター3Aから送られたものである。
リアビューカメラユニット7Aはさらに記憶部703を備えており、記憶部703は点灯制御信号検出部701によって検出された点灯制御データのほかに、通信ペアリング処理に用いられる情報や設置されているトレーラー3Bの車両番号、その他の情報を記憶している。
[車載受信ユニットの構成]
図8は第2実施例の車載受信ユニット8Aのブロック構成図の例である。車載受信ユニット8Aの常時電源入力部201、ACC電源入力部202、受信側通信部204、信号処理部205、画像出力部206、音声出力部207、警告出力部208、モニターディスプレイ2B、スピーカー2C、警告灯2Dは第1実施例と同様であり説明を省略する。
第2実施例の車載受信ユニット8Aは、点灯指示部8Bに対して所定の点灯制御を行なって識別信号を付加する識別信号付加部801と、制御部802と、記憶部803と、識別信号出力部804とを備えている。点灯指示部8Bはランプ7Bに対応している。たとえば、ストップランプ7B1にはブレーキスイッチ8B1、ウインカーランプ7B2にはウインカースイッチ8B2、テールランプ7B3、ナンバープレートランプ7B4及びマーカーランプ7B5にはテールランプリレー8B3、リアフォグランプ7B6にはリアフォグランプスイッチ8B4、バックランプ7B7にはシフト装置8B5が対応する点灯指示部である。。
記憶部803は、識別信号付加部801が識別信号を生成する際に用いる点灯時間、点灯間隔の点灯制御データのほかに、通信ペアリング処理に用いられる情報や設置されているトラクター3Aの車両番号、その他の情報を記憶している。
[連結車両の構成]
第2実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムを搭載した連結車両は、図3に示す第1実施例の連結車両と同様である。トレーラー3Bをトラクター3Aに連結する際、トレーラー3Bの灯火等の配線のためトレーラー3Bとトラクター3Aとの間にケーブルが接続される。ISO12098やISO3731などのコネクタでトラクター3Aとトレーラー3Bが接続され、各灯火の電源電力がトレーラー3Aに供給される。
[通信ペアリングの手順]
第2実施例における通信ペアリング処理の判定の手順を、図9および図10のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
図9において、リアビューカメラユニット7Aの手順はステップS404までは第1実施例と同様である。一方図10において、車載受信ユニット8Aの手順は、ステップS505までは第1実施例と同様である。車載受信ユニット8Aはリンクを確立したら、リアビューカメラユニット7Aに要求コマンドを送信する(ステップS505)。要求コマンドを送信したら第2実施例の車載受信ユニット8Aは、所定のパターンの点灯制御を点灯指示部8Bに行って識別信号を付加する(ステップS1001)。この点灯指示部8Bの状態に応じて所定のパターンは選択される。すなわち、点灯指示部8Bがランプ7Bを消灯させている状態では、点灯制御を行っても目視では消灯の状態が変わらない、比較的暗いパターンを選択し、点灯させている状態では点灯制御を行っても目視では点灯の状態が変わらない。比較的明るいパターンを選択する。
図9で第2実施例のリアビューカメラユニット7Aは要求コマンドを受信したら(ステップS404)、所定の時間が経過したのちに点灯制御データのデータパケットを識別データとして車載受信ユニット8Aへ送信する(ステップS901)。以下、第1実施例のリアビューカメラユニット1Aと同様の処理を行う。
再び図10に戻り、ステップS1001で識別信号を付加した車載受信ユニット8Aの受信側通信部204は点灯制御データのデータパケットを識別データとして待ち受ける(ステップS506)。以下第1実施例の車載受信ユニット2Aと同様の処理を行う。これにより、第2実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムは、ユーザーが操作することなく、通信ペアリングを確立することができる。
なお、上述したように、点灯制御信号検出部701において検出した点灯制御データを車載受信ユニット8Aへ送信し、点灯制御データが一致しているかを判定しているが、点灯制御データの所定のパターンを予めリアビューカメラユニット7Aの記憶部703に保存しておき、検出したパターンと保存してあるパターンの差が所定の範囲内であることを制御部702が判定し、一致したパターンの識別記号等を車載受信ユニット8Aへ送信する手段でもよい。
第2実施例では、車載画像モニターシステムを貨物車など連結車両のリアビューカメラの映像を無線伝送するトレーラー用リアビューカメラシステムに適用した場合について説明した。しかし、本発明の車載画像モニターシステムを適用するシステムはこれに限定されない。例えば、キャンピングカーなどの連結車両において、牽引する車両とキャンピングカー内で音声や映像などを無線でやり取りするシステムや、機関車が牽引する列車などにも適用可能である。
また、本発明に係る車載画像モニターシステムを、連結車両のみならず、一般の車両に適用してもよい。本発明を適用することにより、一般の車両であっても設置時やカメラを追加・交換したときに通信ペアリングを行う必要がなくなり、設置の手間を省くことができる。
[第3実施例]
車載画像モニターシステムの第3実施例として、第1実施例の車載受信ユニットに、無線を中継する中継第1通信部と中継第2通信部を加えたトレーラー用リアビューカメラシステムについて説明する。第3実施例のトレーラー用リアビューカメラシステムは、カメラユニットの一実施形態であるリアビューカメラユニット1Aと、車載モニターユニットの一実施形態である車載受信ユニット12Aとを備えている。なお以下の説明において、第1、第2実施例と同様な点は説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
図13は、第3実施例のリアビューカメラシステムを搭載した連結車両13の例を示す側面図である。第3実施例では、トラクター13Aの運転席の近傍にモニターディスプレイ12Bが設置されており、モニターディスプレイ12Bの近くである運転席の近傍に車載受信ユニット12Aが設置されている。
[車載受信ユニットの構成]
図12は車載受信ユニット12Aのブロック構成図の例である。常時電源入力部201、ACC電源入力部202、受信側周波数検出部203、受信側通信部204、信号処理部205、画像出力部206、音声出力部207、警告出力部208、制御部209、記憶部210は、第1実施例の車載受信ユニット2Aと同様であり説明を省略する。第3実施例の車載受信ユニット12Aは、受信側通信部204の後段(信号処理部205の側)に、中継第1通信部1201、中継第2通信部1202を備えている。また、受信側通信部204には、受信アンテナ1203が接続されている。中継第1通信部1201には、送信アンテナ1204が接続されている。中継第2通信部1202には、受信アンテナ1205が接続されている。
モニターディスプレイ12Bと車載受信ユニット12Aとは一体型としてもよい。図14に、モニターディスプレイ12Bと車載受信ユニット12Aとを一体型とした例を示す。本実施例の車載受信ユニット12Aは、モニター一体型のカーナビゲーションシステムである。車載受信ユニット12Aの主要部は運転席付近のコンソールボックス内に収納されており、その前部の露出する部分にモニターディスプレイ12Bが設けられている。またモニターディスプレイ12Bの外枠部分に、受信アンテナ1205が設けられている。受信アンテナ1205はモニターディスプレイ12Bの上部の外枠に設けられている。これにより、後述のようにルームミラーの近傍に設けられた中継第1通信部1201の送信アンテナ1204の方向に、受信アンテナ1205が指向性を持つよう構成されている。
また、運転席の前方上部に設けられているルームミラーの近傍、あるいはルームミラーと一体として、車載受信ユニット12Aの受信側通信部204と中継第1通信部1201とが設置されている。ルームミラーの例を図15に示す。ルームミラー15は、ピラー部1501に対しミラー部1502の上下左右の角度を調整できるように支持されており、運転手の視点の位置に合わせてミラーの角度を調整することができる。ミラー部1502の内部には、受信側通信部204と中継第1通信部1201とが設けられている。またミラー部1502の左右の外枠には、無指向性の受信アンテナ1203(1203a、1203b)が設けられている。受信アンテナ1203a、1203bは受信側通信部204に接続されており、リアビューカメラユニット1Aからの無線通信を受信する。受信アンテナ1203a、1203bはダイバーシティアンテナを構成しているものとする。これにより、運転手の視点の位置に合わせルームミラーの向きを調整しても、リアビューカメラユニット1Aからの無線通信を好適に受信することができる。ミラー部1502の外枠の下部にはまた、送信アンテナ1204が設けられている。送信アンテナ1204は、中継第1通信部1201に接続されている。送信アンテナ1204は、コンソールボックスに収納されている車載受信ユニット12Aの受信アンテナ1205の方向に指向性を持つよう構成されている。これにより、ミラー部1502の中継第1通信部1201から車載受信ユニット12Aの中継第2通信部1202へ、好適に無線通信を行うことができる。なお、受信側通信部204と中継第1通信部1201とは、ルームミラーの近傍に設置されるが、より具体的には、ルームミラーと別体としてルームミラーに取り付けられたり、ルームミラーと一体に組み込まれることによりルームミラーに取り付けられている。
受信側通信部204と中継第1通信部1201とは、車載受信ユニット12Aの本体とは離間して設置されている。したがってそれらの電源電力は、車載受信ユニット12AのACC電源入力部202から供給してもよいし、別途トラクター3Aのバッテリーなどから供給してもよい。
その他の車載受信ユニット12Aの各部の構成は第1実施例の車載受信ユニット2Aと同様である。
[リアビューカメラユニットの構成]
第3実施例のリアビューカメラユニット1Aは第1実施例と同様、トレーラー3Bの後部に設置されており、トレーラー3Bの後部の画像を撮像し、無線で送信する。リアビューカメラユニット1Aのカメラ側通信部106は、第1の周波数を用いた通信方式、具体的にはたとえば2.4GHz帯の周波数の電波を用いたIEEE802.11b/g/nあるいは同じ周波数帯を使用する独自の通信方式を用いる。2.4GHz帯は多くの国で免許不要で屋外でも使用が可能であり、広く普及しているので部品のコストも安い。
受信側通信部204は、リアビューカメラユニット1Aのカメラ側通信部106から2.4GHz帯の無線通信で送られた画像データを受信する。中継第1通信部1201は、受信側通信部204が2.4GHz帯の無線通信で受信した画像データを、第2の周波数を用いた通信方式、たとえば5GHz帯で屋外使用可能な周波数の電波を用いたIEEE802.11a/n/acあるいは同じ周波数帯を使用する独自の通信方式を用いて、送信アンテナ1505を介して送信する。5GHz帯は2.4GHz帯に比べ使用する機器が少ないので混信や妨害の恐れが少なく、安定して通信ができる。ただし周波数が高いので指向性が強く、また減衰が大きいため比較的近距離の伝送に適している。そのため本実施例では2.4GHz帯の帯域を通信距離が必要なリアビューカメラユニット1Aのカメラ側通信部106と受信側通信部204との間の通信に用いている。そして、より高い周波数である5GHz帯の帯域を、中継第1通信部1201と中継第2通信部1202との間の通信に用いている。車両の内部の近距離での通信を行うものであるので、より波長の短いミリ波等を用いた通信でもよい。アンテナを相互に向けて高い指向性を持たせて通信を行うことにより、出力を抑えて消費電力を低減したり、周囲への妨害、情報の漏洩を抑制することができる。なお、受信側通信部204と中継第1通信部1201との間で、画像データのエラー訂正を行うことも好適である。
コンソールボックスに収納された車載画像受信ユニット12Aの中継第2通信部1202は、中継第1通信部1201から5GHz帯の無線通信で送られた画像データを、受信アンテナ1205を介して受信する。中継第1通信部1201と中継第2通信部1202との間の無線通信は固定のIDを用いてペアリングが行われており、常に通信が可能となっているものとする。受信側通信部204と、制御部209や記憶部210との通信は、中継第1通信部1201と中継第2通信部1202との間の無線通信を介して行う。
信号処理部205は、中継第2通信部1202が受信した画像データを復号し、画像出力部206へ送る。以降は第1実施例の車載受信ユニット2Aと同様であり、説明を省略する。
[通信ペアリングの手順]
第3実施例における通信ペアリング処理の判定の手順は、図4、図5,図6に示す第1実施例のリアビューカメラユニット1Aの手順と同様である。
第3実施例のリアビューカメラシステムは、受信側通信部204のアンテナを周囲に対して見通しのよいルームミラー15の近傍に設置することができるので、リアビューカメラユニットとの通信状態が向上する。また、受信側通信部204とアンテナとが近接しているため、アンテナケーブルを引き回す必要がない。そのためケーブル損失や屈曲による損失、美観を損ねるなどのおそれがない。また、車両内においては5GHz帯で無線伝送することで、一般的に広く利用される2.4GHz帯を用いた周辺の他のシステムからの干渉を受けにくいシステムとなる。
なお第3実施例の説明では、車載受信ユニット12Aの受信側通信部204と中継第1通信部1201とをルームミラーと一体として設置した例を説明したが、これと異なる例として、リアビューカメラユニット1Aからの無線の受信しやすい場所、たとえば天井の近傍などに受信側通信部204と中継第1通信部1201とを設置してもよい。
[第4実施例]
車載画像モニターシステムの第4実施例として、普通乗用車のような連結を行わない自動車に設置する車載カメラシステムについて説明する。第4実施例の車載カメラシステムは、カメラユニットの一実施形態であるリアビューカメラユニット16Aと、車載モニターユニットの一実施形態である車載受信ユニット12Aとを備えている。なお以下の説明において、第1、第2、第3実施例と同様な点は説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
撮像した画像を無線伝送する車載撮像システムにおいて、安定した無線受信のために、車体あるいは車内の電波環境が比較的よい場所にアンテナを設置することは従来から行われている。
車体にアンテナを設置した場合、車内に設置した受信機までアンテナケーブルの敷設が必要になるが、高周波のためケーブル自身の長さによるケーブル損失や、屈曲での損失が発生しやすい。またケーブルを引きまわることにより美観を損ねるおそれがある。車内にアンテナを設置する場合でも、車体構造物に囲まれた箇所よりもウインドウ近傍などが望ましい。そのためやはり設置箇所から受信機までのケーブルの敷設が必要となり、同様の問題があった。
ケーブル損失や屈曲による損失、美観の問題を考慮すると、車載受信ユニットにアンテナを内蔵させることが望ましい。しかしながら車載受信ユニットは、通常は車載受信ユニットはモニター一体型のカーナビゲーションシステムであり、主に運転席付近のコンソールボックス内に設置される。そのため、周囲の見通しが悪く、十分な受信環境を得ることが困難であるという問題があった。
このような問題を解決する手段として、以下に第4実施例の車載カメラシステムを説明する。図16は、第4実施例のリアビューカメラユニット16Aのブロック構成図である。図16に示すように、リアビューカメラユニット16Aの常時電源入力部101は、後述の自動車17Aから常時電源の電力を供給されており、制御部107と記憶部108に送られ、システムのバックアップが図られている。また、イグニッションキーに連動したACC電源がACC電源入力部102に入力されている。ACC電源入力部102に入力された電源電力は、リアビューカメラユニット16Aの各部に供給される。
普通乗用車に設置した車載カメラシステムでも、第1、第2実施例のようにオルタネーターノイズや制御信号による認証を行ってもよいが、第4実施例では、このような認証を行わず、固定のIDを用いて通信ペアリングを行う例を説明する。リアビューカメラユニット16Aは、カメラ側周波数検出部を備えていない。カメラ部104、信号処理部105、制御部107、記憶部108は、第1、第3実施例のリアビューカメラユニット1Aと同様である。カメラ側通信部106は、第3実施例と同様、2.4GHz帯の周波数のIEEE802.11b/g/nに定められたあるいは同じ周波数帯を使用した独自の通信方式を用いて通信を行う。
[車載受信ユニットの構成]
第4実施例の車載受信ユニット12Aは第3実施例と同様であり、図15に示すようにルームミラーに受信側通信部204と中継第1通信部1201とを設けている。また、車載受信ユニット12Aおよびモニターディスプレイ12Bは、第3実施例と同様に一体型であり、図14に示すように運転席付近のコンソールボックス内に収納されている。その構成は第3実施例と同様であり、説明を省略する。
図17は、第4実施例の車載カメラシステムを搭載した自動車を示す図である。自動車17Aの後部には、リアビューカメラユニット16Aが設置されており、自動車17Aの後部の画像を撮像し、無線で送信する。また、自動車17Aの周囲を撮像するカメラとしては、自動車17Aの後部を撮像するリアビューカメラユニット16Aに限らない。たとえば図17に示すように、ドアミラーなどに車両の左右を撮像するサイドカメラ1701,1702を設置したり、フロントグリルに車両の前方を撮像するフロントカメラ1703を設置してもよい。あるいは車内の後部座席の様子などを撮像するカメラを設置してもよい。これらのカメラからは、ルームミラー近傍で中継せず、直接中継第2通信部1202に向け、5GHz帯で画像を送信してもよい。その場合は複数の方向から画像が伝送されるので、中継第2通信部1202に受信アンテナ1205に加えて複数の受信アンテナ、たとえば図14の受信アンテナ1401や受信アンテナ1402を設け、受信アンテナ1205とともにダイバーシティアンテナを構成することも好適である。
受信側通信部204は、第3実施例と同様にリアビューカメラユニット16Aのカメラ側通信部106から2.4GHz帯の無線通信で送られた画像データを受信すると、中継第1通信部1201が5GHz帯の無線通信で送信する。中継第2通信部1202は、中継第1通信部1201から5GHz帯の無線通信で送られた画像データを受信する。
第4実施例の車載カメラシステムは、受信側通信部204のアンテナを周囲に対して見通しのよいルームミラーの近傍に設置することができるので、リアビューカメラユニットとの通信状態が向上する。また、受信側通信部204とアンテナとが近接しているため、アンテナケーブルを引き回す必要がない。そのためケーブル損失や屈曲による損失、美観を損ねるなどのおそれがない。また、車両内においては5GHz帯で無線伝送することで、一般的に広く利用される2.4GHz帯を用いた周辺の他のシステムからの干渉を受けにくいシステムとなる。
[第5実施例]
車載画像モニターシステムの第5実施例として、カメラユニットを駐車場の出入り口など車両の外に設置する駐車場カメラシステムについて説明する。第5実施例の駐車場カメラシステムは、カメラユニットの一実施形態である駐車場カメラユニット18Aと、車載モニターユニットの一実施形態である車載受信ユニット12Aとを備えている。なお以下の説明において、第1、第2、第3、第4実施例と同様な点は説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
[駐車場カメラユニット18Aの構成]
図18は、第5実施例の駐車場カメラユニット18Aのブロック構成図である。図18に示すように、駐車場カメラユニット18Aの電源入力部1802は、外部から商用電源の電力を供給されており、駐車場カメラユニット18Aの各部に供給される。
カメラ部1804は撮像を行い、撮像した画像を所定の形式で信号処理部1805へ送る。信号処理部1805は、送られた画像データを画像圧縮し、カメラ側通信部1806へ送る。カメラ側送信部1806には送信アンテナ1809が接続されている。カメラ側通信部1806は、記憶部1808にあらかじめ記憶されている固定IDを用いて車載受信ユニット12Aと通信ペアリングを行っており、圧縮された画像データを無線通信で送信アンテナ1809から送信する。カメラ側通信部1806は、第3、第4実施例と同様、2.4GHz帯の周波数帯のIEEE802.11b/g/nに定められた方式あるいは同じ周波数帯を使用した独自の通信方式を用いて通信を行う。制御部1807はCPUなどで構成され、各部を制御する。記憶部1808には、車載受信ユニット12Aの受信側通信部204の固定IDがあらかじめ記憶されている。また、近接センサ1810は駐車場に接近する車両を検知する。照明部1811は、駐車場に駐車しようとする車両の周囲を照明する。第5実施例の駐車場カメラシステムでは、第4実施例と同様、図4、図5、図6のフローチャートに示すような、オルタネーターノイズや制御信号による認証は行わず、あらかじめ記憶されている固定のIDを用いて通信ペアリングを行う。そのため駐車場カメラユニット18Aは、カメラ側周波数検出部を備えていない。
[駐車場19Bの構成]
図19に示すように、駐車スペース19Bの後方(駐車時に車両を進入させる方向)には、駐車場カメラユニット18Aの本体部と送信アンテナ1809と近接センサ1810とが設けられている。近接センサ1810は超音波等を用いて駐車スペース19Bに接近する車両19Aを検知する。カメラ部1804は、駐車スペースの後部や左右の壁、隣の車両など、駐車しようとしている車両、或いは駐車場から出庫しようとしている車両の周囲の隙間が撮像できるよう、駐車スペース19Bの後部の上方に取り付けられている。照明部1811は、駐車スペース19Bに接近する車両や駐車スペース19Bに駐車している車両に対して照明を行えるよう、駐車スペース19Bの後部の上方であって、駐車スペース19Bとその前方を照らすように取り付けられている。
駐車スペース19Bに車両19Aが接近するとこれを近接センサ1810が検出する。すると制御部1807は照明部1811を点灯させ、駐車スペース19Bを明るく照らす。同時に制御部1807はカメラ部1804と信号処理部1805とカメラ側通信部1806を起動させ、駐車スペース19Bを撮像した画像を送信アンテナ1809から送信させる。また、車両19Aが駐車場から出庫する場合は、近接センサ1810が検知している距離が変化したことにより、各部を起動させてもよい。
[車載受信ユニットの構成]
車両19Aには図19に示すように、第3、第4実施例と同様の車載受信ユニット12A、モニターディスプレイ12B、ルームミラー15が設置されている。車載受信ユニット12Aはルームミラー15に内蔵された受信側通信部204と中継第1通信部1201と、運転席付近のコンソールボックス内に収納された車載受信ユニット12Aの本体部とを備えている。また車載受信ユニット12Aの本体部には、モニターディスプレイ12Bが一体に設けられている。これらの構成は第3、第4実施例と同様であり、説明を省略する。
受信側通信部204は、第3、第4実施例と同様に駐車場カメラユニット18Aのカメラ側通信部1806から送信アンテナ1809を介して2.4GHz帯の無線通信で送られた画像データを、受信アンテナ1203を介して受信する。すると、受信した画像データを中継第1通信部1201が5GHz帯の無線通信で送信する。中継第2通信部1202は、中継第1通信部1201から5GHz帯の無線通信で送られた画像データを受信する。信号処理部205は、中継第2通信部1202が受信した画像データを復号し、画像出力部206へ送る。画像出力部206は、信号処理部205から送られた画像データを出力する。画像出力部206には、モニターディスプレイ12Bが接続されており、画像出力部206から出力された画像データが、モニターディスプレイ12Bに表示される。これにより、モニターディスプレイ12Bには、駐車場カメラユニット18Aが撮像した、駐車時の車両を上から見た画像が表示される。そのため、車両の周囲の余裕を見ながら駐車することができる。
第3、第4、第5実施例の車載画像モニターシステムは、受信側通信部のアンテナを周囲に対して見通しのよいルームミラーの近傍に設置することができるので、車両外に設置した、あるいは当該車両以外に設置したカメラユニットとの通信状態が向上する。また、受信側通信部とアンテナとが近接しているため、アンテナケーブルを引き回す必要がない。そのためケーブル損失や屈曲による損失、美観を損ねるなどのおそれがない。また、車両内においては5GHz帯で無線伝送することで、一般的に広く利用される2.4GHz帯を用いた周辺の他のシステムからの干渉を受けにくいシステムとなる。