JP6167773B2 - アスファルト合材付着防止剤 - Google Patents
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Description
アスファルト合材の製造工場やアスファルト合材を取り扱う道路舗装現場では、装置や機器へのアスファルト合材の付着を防止することが作業性を低下させないために重要である。特に、アスファルト合材工場内設備であるホッパー、スキップエレベータ、ベルトコンベアはアスファルト合材が傾斜面を滑り落ちる構造となっており、アスファルト合材が滑落せず残存すると傾斜面に付着し、他のアスファルト合材がこの付着部に徐々に堆積して詰まり等の原因となるので、作業効率が大幅に低下する。また、アスファルト合材を積載するダンプトラックの荷台においても、同様の問題が生じることがある。そこで、これらホッパー、スキップエレベータ、ベルトコンベア、荷台等にはアスファルト合材の付着および堆積を防ぐために、付着防止効果および剥離効果を有するアスファルト合材付着防止剤を散布や塗布する必要がある。
R1O-(EO)m(PO)n‐H ・・・(1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の炭化水素基である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、mはオキシエチレン基の平均付加モル数、nはオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、m+nは4〜20である。EOとPOの各含有量の合計に対するEOの含有量の割合は40〜100質量%である。)
R2O-(EO)k(PO)l‐H ・・・(2)
(式中、R2は分岐を有する炭素数が8〜18の炭化水素基である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、kはオキシエチレン基の平均付加モル数、lはオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、k+lは5〜25である。EOとPOの各含有量の合計に対するEOの含有量の割合は70〜100質量%である。)
本発明で用いられる(A)成分は、下記の式(1)で示されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルである。
R1O-(EO)m(PO)n‐H ・・・(1)
m+nが4未満であると、プラント設備の傾斜面やダンプトラックの荷台からアスファルト合材が滑り出す角度(以下、滑り出し角度ともいう。)が高くなるおそれがある。またm+nが20を超えると、滑り出し角度が高くなるおそれがあるとともに、良好な剥離効果が得られ難くなるおそれがある。好ましくは、mは4〜20、nは2〜12である。
EOとPOの配列順序は、EOとPOがブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよいが、ランダムの方が好ましい。
なお、一価アルコールにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを付加重合する段階においては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとがランダム状に重合していても、ブロック状に重合していてもよい。また、オキシエチレン基(EO)やオキシプロピレン基(PO)の各平均付加モル数、EOとPOの各含有量の合計に対するEOの含有量の割合は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各使用量を調整することによって、適宜設定することができる。
本発明で用いられる(B)成分は、下記の式(2)で示されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルである。
R2O-(EO)k(PO)l‐H ・・・(2)
分岐を有する炭素数が8〜18の炭化水素基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、イソデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソヘキサデシル基、イソオクタデシル基等が挙げられる。好ましくはイソデシル基である。
k+lが5未満であると、滑り出し角度が高くなるおそれがあり、また良好な水希釈後の安定性が得られ難くなるおそれがある。またk+lが25を超えると、滑り出し角度が高くなるおそれがあり、また良好な剥離効果が得られ難くなるおそれがある。好ましくは、kは5〜25、lは0〜7である。
EOとPOの配列順序は、EOとPOがブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよいが、ブロックの方が好ましい。
なお、一価アルコールにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを付加重合する段階においては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとがランダム状に重合していても、ブロック状に重合していてもよい。また、オキシエチレン基(EO)やオキシプロピレン基(PO)の各平均付加モル数、EOとPOの各含有量の合計に対するEOの含有量の割合は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各使用量を調整することによって、適宜設定することができる。
本発明で用いられる(C)成分は、分子量が100〜600の炭化水素油または分子量が100〜600のモノエステル油である。分子量は200〜400であることが好ましく、特に分子量が200〜400のモノエステル油が好ましい。
なお、本発明において炭化水素油の分子量は数平均分子量を表し、炭化水素油の数平均分子量は、例えば、テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により、ポリスチレン換算で求めることができる。
また、モノエステル油の分子量は、例えば、JIS K 0070のエステル価の試験方法に従って測定することができる。
モノエステル油は、一価の脂肪酸と一価のアルコールとの脱水縮合で得られるエステル油であり、具体的には、ドデカン酸メチル、テトラデカン酸イソプロピル、ヘキサデカン酸2−エチルヘキシル、オクタデセン酸メチル、オクタデセン酸エチル、オクタデセン酸ブチル、オクタデセン酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、好ましくはオクタデセン酸2−エチルヘキシルである。
これらの炭化水素油およびモノエステル油のうちから1種または2種以上を選択して用いることができる。
すなわち、(A)成分、(B)成分および(C)成分を所定量混合したアスファルト合材付着防止剤は、工場内設備の傾斜面やダンプトラックの荷台等の金属表面のみならず、アスファルト合材の表面ともなじみがよい。したがって、本発明の付着防止剤は、金属表面やアスファルト合材の表面を速やかに被覆し、金属表面とアスファルト合材の表面との間に液膜を形成することができる。これにより、アスファルト合材を取り扱う150℃程度の高温でも液膜を保持し、かつ適度な粘性を有して良好な滑り性を発現すると推察される。また本発明のアスファルト合材付着防止剤は、液膜の形成と同時に、付着を形成したアスファルトに適度に浸透し、アスファルトを一部軟化させることから剥離効果を発現していると推察される。
本発明のアスファルト合材付着防止剤は、通常、水で希釈して使用する。希釈倍率は原液に対して3〜100質量倍、好ましくは5〜50質量倍である。但し、場合によっては本発明のアスファルト合材付着防止剤を原液で使用しても良い。
表1、2に示す各成分を表2に示す質量比で混合して、アスファルト合材付着防止剤を調製した。得られた各アスファルト合材付着防止剤について下記の試験を行なった。全ての試験において「◎」および「○」の評価のものを合格とした。
なお、A1〜A4については式(1)中の記号等の説明を、B1〜B3については式(2)中の記号等の説明を表1に示す。また、表2に記載の炭化水素油の数平均分子量は、テトラヒドロフランを展開溶媒とするGPC測定により、ポリスチレン換算で求めた値であり、モノエステル油の分子量は、JIS K 0070のエステル価の試験方法に従って測定して得られた値である。
200mlビーカー中にて、各アスファルト合材付着防止剤を10ml秤量し、90mlの水で10倍に希釈し、スターラーチップを用いて25℃で10分間攪拌した。その後、希釈液を100mlスクリュー管に50ml入れて、吸い込みノズルがスクリュー管の底部に届くようスプレー噴射口を取り付けた。
アスファルト合材付着防止剤の希釈液は、希釈液調製直後の液と、25℃で1週間静置した後の液とを用いて、各々の試験を行った。付着防止性の評価は、下記の評価基準に従い行なった。
(評価基準)
◎:40°以下で全て滑り出して落下する。
○:40°より大きく50°以下で全て滑り出して落下する。
△:50より大きく80°以下で全て滑り出して落下する。
×:80°より大きい角度で全て滑り出して落下する、あるいは80°より大きい角度でも滑り出さない。
150℃に加熱したストレートアスファルト合材(密粒度アスファルト合材、ストレートアスファルト:6質量%、ストレートアスファルト針入度:60〜80:JIS K−2207)を20cm×15cmのSS400鋼材に1kg乗せて10分間常温で放置し、アスファルト合材が1kg付着した鋼材を作成した。
また1000mlビーカー中にて、各アスファルト合材付着防止剤を100ml秤量し、900mlの水で10倍に希釈しスターラーチップを用いて25℃で10分間攪拌した。その後、アスファルト合材が付着した鋼材を、各アスファルト合材付着防止剤を水で10倍に希釈した直後の液、および水で10倍に希釈した後、25℃で1週間静置しておいた液に、アスファルト合材が完全に浸漬するように鋼材を浸漬させ、70℃で30分間静置した。液から鋼材を取り出し、鋼材を70度の角度に傾斜させ、ストレートアスファルト合材を落とした。鋼材に付着しているアスファルト合材を計量した。剥離性の評価は、下記の評価基準に従い行なった。
(評価基準)
◎:付着量が2g未満である。
○:付着量が2g以上5g未満である。
×:付着量が5g以上である。
上記(1)アスファルト合材滑り試験と同様に調製した各アスファルト合材の10倍希釈液を、100mlスクリュー管に50ml入れて、−5℃の恒温槽、および25℃の恒温槽にそれぞれ1週間静置した後、次の3段階の基準で外観を評価した。
(評価基準)
◎:均一かつ透明で、分離は見られない。
○:わずかに白濁しているものの、分離は見られない。
×:分離が見られる。
(A)成分を含有せず、(B)成分の代わりに直鎖の炭化水素基であるポリオキシエチレン(7モル)ドデシルエーテル(B’)を含有し、さらに(C)成分の代わりにテルペン系化合物であるd−リモネン(C‘)を含有する付着防止剤(比較例2)では、調製直後は良好な剥離効果、良好な滑り出し性が得られるものの、一週間後は良好な剥離効果、良好な滑り出し性が得られず、また水希釈後の良好な安定性が得られなかった。
(A)成分の代わりに水酸基がメチルエーテルで封鎖されたポリオキシエチレン(2モル)ポリオキシプロピレン(1モル)ジメチルエーテル(A‘)、ポリオキシエチレン(6モル)イソデシルエーテル(B1)、ポリイソブテン(C)を含有する付着防止剤(比較例4)では、良好な剥離効果、水希釈後の良好な安定性が得られるものの、良好な滑り出し性が得られなかった。
ポリオキシエチレン(9)メチルエーテル(A1)、ポリオキシチレン(8)2−エチルヘキシルエーテル(B2)を含有する付着防止剤(比較例6)では、良好な滑り出し性は得られるものの、良好な剥離効果が得られなかった。
(B)成分を含有せず、ポリオキシエチレン(9)メチルエーテル(A1)、テトラデカン酸イソプロピル(C)を含有する付着防止剤(比較例7)では、良好な滑り出し性、剥離効果、水希釈後の安定性が得られなかった。
Claims (1)
- 式(1)で示されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(A)、式(2)で示されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(B)、分子量が100〜600である炭化水素油またはモノエステル油(C)を含有し、(A)の質量比が30〜70質量%、(B)の質量比が25〜58質量%、(C)の質量比が5〜12質量%であるアスファルト合材付着防止剤。
R1O-(EO)m(PO)n‐H ・・・(1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の炭化水素基である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、mはオキシエチレン基の平均付加モル数、nはオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、m+nは4〜20である。EOとPOの各含有量の合計に対するEOの含有量の割合は40〜100質量%である。)
R2O-(EO)k(PO)l‐H ・・・(2)
(式中、R2は分岐を有する炭素数が8〜18の炭化水素基である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、kはオキシエチレン基の平均付加モル数、lはオキシプロピレン基の平均付加モル数であり、k+lは5〜25である。EOとPOの各含有量の合計に対するEOの含有量の割合は70〜100質量%である。)
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2013
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