JP6167445B2 - プラズマ発生体及びプラズマ発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマ発生体及びプラズマ発生装置に関する。
プラズマ発生体は、有害ガス等のガスの改質、半導体ウェハ等の加工、光源等の種々の用途に利用されている。
特許文献1では、放電空間(貫通孔)が形成された誘電体と、当該誘電体に埋設され、放電空間を挟んで対向する1対の電極とを有するプラズマ発生体が開示されている。当該プラズマ発生体では、1対の電極間に電圧が印加されることにより、放電空間においてプラズマが発生する。
また、特許文献2では、平板状の誘電体と、当該誘電体の主面に設けられた1対の電極とを有するイオン風発生体(プラズマ発生体)が開示されている。このイオン風発生体では、1対の電極間に電圧が印加されることにより、誘電体の主面においてプラズマが発生し、ひいては当該主面に沿って流れるイオン風が発生する。
特開2008−117532号公報 特開2008−290711号公報
特許文献1の技術では、放電空間が狭くなると、放電空間内の流体の圧力損失が大きくなり、流速が低下する。その結果、例えば、放電空間にガスを供給して当該ガスの改質を行う場合において、ガスの処理効率が低下する。
特許文献2は、翼周りの流れの制御に関する技術であり、放電空間にプラズマを発生させるものではない。また、仮に、特許文献2の誘電体の主面によって放電空間の内周面を構成したとしても、特許文献2の技術では、誘電体の主面近傍においてしかプラズマを発生させることができないから、放電空間が広くなると、放電空間全体にプラズマが充満しない。その結果、例えば、放電空間にガスを供給して当該ガスの改質を行う場合において、ガスの処理効率が低下する。
本発明の目的は、放電空間におけるプラズマの分布及び流れを好適化できるプラズマ発生体及びプラズマ発生装置を提供することにある。
本発明の一態様に係るプラズマ発生体は、共用電極と、前記共用電極と放電空間を挟んで対向するプラズマ用電極と、前記放電空間に対して前記共用電極側に位置し、前記共用電極に対して前記共用電極と前記プラズマ用電極との対向方向に交差する方向の一方側に位置する部分を有するイオン風用電極と、を有する。
好適には、前記プラズマ発生体は、前記放電空間の前記共用電極側に位置して前記共用電極を前記放電空間、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極から隔てる第1誘電部を更に有する。
好適には、前記プラズマ発生体は、前記放電空間の前記プラズマ用電極側に位置する第2誘電部と、前記放電空間の前記プラズマ用電極側に位置し、前記第2誘電部によって前記放電空間及び前記プラズマ用電極から隔てられ、前記プラズマ用電極よりも前記交差する方向の前記一方側に位置する部分を有する下流側補助電極と、を更に有する。
好適には、前記プラズマ発生体は、前記放電空間の前記プラズマ用電極側に位置する第2誘電部と、前記放電空間の前記プラズマ用電極側に位置し、前記第2誘電部によって前記放電空間及び前記プラズマ用電極から隔てられ、前記プラズマ用電極よりも前記交差する方向の他方側に位置する部分を有する上流側補助電極と、を更に有し、前記第2誘電部の前記放電空間側の表面には、前記上流側補助電極側が前記プラズマ用電極側よりも高くなる段差が形成されている。
好適には、前記共用電極は、第1部分と、当該第1部分よりも前記交差する方向の前記一方側且つ前記第1部分よりも前記第1誘電部の前記放電空間に面する表面の近くに位置する第2部分と、を有する。
好適には、前記プラズマ発生体は、前記共用電極及び前記プラズマ電極の対向領域よりも前記交差する方向の前記一方側に位置し、閉ループを構成しない状態で直流電圧が印加される直流電極を更に有する。
好適には、前記プラズマ発生体は、前記放電空間の前記プラズマ用電極側に位置して前記プラズマ用電極を前記放電空間及び前記共用電極から隔てる第1誘電部と、前記放電空間の前記共用電極側に位置して前記イオン風用電極を前記放電空間及び前記共用電極から隔てる第2誘電部と、を更に有する。
好適には、前記共用電極と前記プラズマ用電極とはその対向方向に見て互いに同一の大きさ及び形状で重なっている。
本発明の一態様に係るプラズマ発生装置は、共用電極と、前記共用電極と放電空間を挟んで対向するプラズマ用電極と、前記放電空間に対して前記共用電極側に位置し、前記共用電極に対して前記共用電極と前記プラズマ用電極との対向方向に交差する方向の一方側に位置する部分を有するイオン風用電極と、前記共用電極と前記プラズマ用電極との間に電圧を印加するとともに、前記共用電極と前記イオン風用電極との間に電圧を印加する電源装置と、を有する。
前記電源装置は、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極に互いに同一の電位を付与する。
上記の構成によれば、放電空間におけるプラズマの分布及び流れを好適化できる。
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るプラズマ発生装置の外観を示す斜視概略図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線における断面概略図。 本発明の第2の実施形態に係るプラズマ発生装置の断面概略図。 本発明の第3の実施形態に係るプラズマ発生装置の断面概略図。 本発明の第4の実施形態に係るプラズマ発生装置の断面概略図。 図5(a)は本発明の第5の実施形態に係るプラズマ発生装置の断面概略図、図5(b)は図5(a)の一部拡大図。 本発明の第6の実施形態に係るプラズマ発生装置の断面概略図。
以下、本発明の複数の実施形態に係るプラズマ発生体及びプラズマ発生装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
各実施形態の説明において、既に説明された実施形態の構成と共通又は類似する構成について、既に説明された実施形態と共通の符号を用い、また、図示や説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るプラズマ発生体1及びプラズマ発生装置51の外観を示す斜視概略図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線における断面概略図である。
なお、プラズマ発生体1は、いずれの方向が上方、下方とされてもよいものである。以下では、直交座標系xyzを定義して、xyzを参照して方向を特定することがある。
プラズマ発生装置51は、プラズマ発生体1と、プラズマ発生体1に電圧を印加してプラズマ発生体1にプラズマを発生させる電源装置53(図1(a))と、電源装置53を制御する制御装置55(図1(b))とを有している。
プラズマ発生体1は、誘電体3と、誘電体3に設けられた共用電極5、プラズマ用電極7、イオン風用電極9とを有している。なお、プラズマ発生体1は、この他、各電極と電源装置53とを接続するための配線等を有していてもよい。
誘電体3には、x方向に貫通する貫通孔が形成されており、当該貫通孔は放電によってプラズマを発生させるための放電空間11となっている。また、放電空間11は、その貫通方向の一方側(x方向の正側)へ流れるイオン風の発生にも利用される。放電空間11の形状は、例えば、直方体状である。
誘電体3の外形は、適宜に設定されてよいが、例えば、直方体状とされている。誘電体3は、放電空間11のz方向の負側の第1内面3asを構成する第1誘電部3a、放電空間の11のz方向の正側の第2内面3bsを構成する第2誘電部3b、第1誘電部3a及び第2誘電部3b間に介在するとともに放電空間11のy方向の第3内面3csを構成する第3誘電部3cを有している。第1誘電部3a及び第2誘電部3bは、例えば、厚さが一定の平板状(基板状)に形成され、互いに平行に配置されている。
誘電体3は、無機絶縁物により形成されてもよいし、有機絶縁物により形成されてもよい。無機絶縁物としては、例えば、セラミック、ガラスが挙げられる。セラミックとしては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、ガラスセラミック焼結体(ガラスセラミックス)、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、コーディライト焼結体、炭化珪素質焼結体が挙げられる。有機絶縁物としては、例えば、ポリイミド、エポキシ、ゴムが挙げられる。誘電体3は、その全体が同一材料により一体的に形成されていてもよいし、異なる材料により形成された部材が互いに固定されて形成されていてもよい。
共用電極5、プラズマ用電極7及びイオン風用電極9それぞれは、例えば、厚さが一定の平板状(層状)に形成されている。その平面形状は、例えば、矩形とされている。これらの電極のy方向における長さは、例えば、互いに同一とされている。
共用電極5及びプラズマ用電極7は、放電空間11を挟んで対向するように配置されている。具体的には、例えば、共用電極5は、第1誘電部3aに埋設され、プラズマ用電極7は、第2誘電部3bに埋設され、また、これら電極は互いに平行に且つ第1内面3as及び第2内面3bsに平行に配置されている。共用電極5は、例えば、放電空間11の貫通方向における長さがプラズマ用電極7よりも大きく、プラズマ用電極7と対向する対向部5aと、対向部5aから上流側(x方向の負側)へ延び出る延出部5bとを有している。
イオン風用電極9は、放電空間11に対して共用電極5側に且つ放電空間11に露出するように配置されている。具体的には、イオン風用電極9は、第1内面3asに重ねられている。なお、上述のように、共用電極5は、第1誘電部3aに埋設されているから、イオン風用電極9は、共用電極5と誘電体3によって隔てられている。
また、イオン風用電極9は、イオン風の下流側(x方向の正側、共用電極5とプラズマ用電極7との対向方向に交差する方向の一方側)の縁部が、共用電極5の下流側の縁部に対して上流側に位置するように配置されている。別の観点では、共用電極5は、イオン風用電極9よりも下流側に位置する部分(本実施形態では共用電極5の全体)を有している。
なお、共用電極5とイオン風用電極9とは、平面視において(z方向に見て)、互いに隣接していてもよいし(共用電極5の上流側縁部とイオン風用電極9の下流側縁部とが一致していてもよいし)、互いに一部が重なっていてもよいし(共用電極5の上流側縁部がイオン風用電極9の上流側縁部と下流側縁部との間に位置していてもよいし)、イオン風用電極9の全体が共用電極5に重なっていてもよい(共用電極5の上流側縁部がイオン風用電極9の上流側縁部に一致してもよい。)。
イオン風用電極9は、例えば、イオン風の流れ方向(x方向)において共用電極5よりも小さく形成されている。また、イオン風用電極9は、例えば、流れ方向においてプラズマ用電極7よりも小さく形成されている。
共用電極5、プラズマ用電極7及びイオン風用電極9は、金属等の導電性材料により形成されている。金属としては、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、金、パラジウム、白金、ニッケル、コバルトまたはこれらを主成分とする合金が挙げられる。
電源装置53は、共用電極5及びプラズマ用電極7に交流電圧を印加するとともに、共用電極5及びイオン風用電極9に交流電圧を印加する。好適には、プラズマ用電極7とイオン風用電極9とは同電位とされる。電源装置53により印加される交流電圧は、正弦波等により表わされる、電位が連続的に変化するものであってもよいし、パルス状の、電位の変化が不連続なものであってもよい。また、交流電圧は、1対の電極の双方において基準電位に対して電位が変動するものであってもよいし、1対の電極の一方が基準電位に接続され、他方においてのみ電位が基準電位に対して変動するものであってもよい。電位の変動は、基準電位に対して正及び負の双方に変動するものであってもよいし、基準電位に対して正及び負の一方のみに変動するものであってもよい。
なお、誘電体3、共用電極5、プラズマ用電極7及びイオン風用電極9の各部寸法、各種電極の埋設深さ等の位置、並びに、交流電圧の大きさ及び周波数は、プラズマ発生装置51(プラズマ発生体1)が適用される技術分野、要求されるプラズマ量等の種々の事情に応じて適宜に設定されてよい。
プラズマ発生体1の製造方法は、例えば、多層基板の製造方法と同様の製造方法とされてよい。誘電体3が複数のセラミックグリーンシートをz方向に積層して焼成したセラミック焼結体により構成される場合を例にとると、以下のとおりである。
まず、複数のセラミックグリーンシートを用意する。セラミックグリーンシートは、例えば、スラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形することによって形成される。スラリーは、原料粉末に適当な有機溶剤及び溶媒を添加混合して作製される。原料粉末は、アルミナセラミックを例にとると、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、カルシア(CaO)及びマグネシア(MgO)等である。
次に、第3誘電部3cとなる1又は複数のセラミックグリーンシートに放電空間11となる空所をパンチング若しくはレーザ加工等により形成する。また、セラミックグリーンシートに各種電極となる導電ペーストを設ける。例えば、第1誘電部3aは、2以上のセラミックグリーンシートが積層されて形成され、その重ね合わされる面に共用電極5となる導電ペーストが設けられる。
導電ペーストは、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等の金属粉末に有機溶剤及び有機バインダを添加し混合することによって作製される。導電ペーストは、必要に応じて分散剤や可塑剤などが添加されていてもよい。混合は、例えば、ボールミル、三本ロールミル、またはプラネタリーミキサー等の混練手段により行われる。また、導電ペーストは、例えば、スクリーン印刷法等の印刷手段を用いてセラミックグリーンシートに印刷塗布される。
そして、複数のセラミックグリーンシートを積層し、導電ペースト及びセラミックグリーンシートを同時焼成する。これにより、各種電極が埋設若しくは表面に形成されるとともに放電空間11が形成された誘電体3、すなわち、プラズマ発生体1が形成される。
以下では、プラズマ発生体1の作用を説明する。
プラズマ発生体1は、空気、処理対象のガス若しくはその他の適宜なガスが放電空間に充満している状態で使用される。なお、処理対象のガスは、例えば、窒素酸化物(NOx)、フロン、CO、揮発性有機溶剤(VOC)、又は、これらを含む空気である。自動車の排ガスは、窒素酸化物(NOx)を含むガスとしてよく知られている。
共用電極5及びプラズマ用電極7に電圧が印加されると、放電空間11内、より具体的には、共用電極5の対向部5aとプラズマ用電極7との間の対向領域11a(図1(b))には電界が形成される。そして、その電界の強度が所定の放電開始電界強度を超えると誘電体バリア放電が開始され、プラズマが発生する。共用電極5及びプラズマ用電極7は、放電空間11を挟んで対向していることから、プラズマは、放電空間11におけるzy平面の全体に亘って発生、充満する。
また、共用電極5及びイオン風用電極9に電圧が印加されると、第1内面3as近傍には電界が形成される。そして、その電界の強度が所定の放電開始電界強度を超えると誘電体バリア放電が開始され、プラズマが発生する。
このプラズマ中の電子又はイオンは、共用電極5及びイオン風用電極9により形成された電界により移動する。また、中性分子も電子又はイオンに随伴して移動する。これにより、放電空間11をその貫通方向に流れるイオン風が誘起される。より具体的には、イオン風用電極9が露出し、共用電極5が誘電体3内に埋設されていることから、イオン風用電極9から共用電極5側に誘電体バリア放電が生じ、矢印y1で示すように、イオン風用電極9側から共用電極5側へ流れるイオン風が生じる。
以上のとおり、本実施形態では、プラズマ発生体1は、共用電極5と、共用電極5と放電空間11を挟んで対向するプラズマ用電極7と、放電空間11に対して共用電極5側に位置するイオン風用電極9とを有する。イオン風用電極9及び共用電極5の一方(本実施形態では共用電極5)は、他方に対して共用電極5とプラズマ用電極7との対向方向に交差する方向の一方側(x方向の正側)に位置する部分(本実施形態では共用電極5の全体)を有する。プラズマ発生体1は、共用電極5及びプラズマ用電極7の間に電圧が印加されることにより放電空間11にプラズマを発生可能であり、共用電極5及びイオン風用電極9の間に電圧が印加されることによりx方向の正側へ流れるイオン風を発生可能である。
従って、放電空間11が大きくても放電空間11にプラズマを充満させることができ、その一方で、放電空間11が小さくても放電空間11の第1内面3as近傍においてイオン風を発生させ、圧力損失による流速低下を補償することができる。すなわち、種々の大きさの放電空間において好適にプラズマを充満させつつ流れさせることができる。その結果、例えば、ガスを放電空間11にてプラズマ処理する場合において、効率的に処理を行うことができるとともにプラズマ発生体1の設計の自由度が向上する。別の観点では、プラズマ発生体1の使用範囲(ガス密度若しくは流速等の範囲)を広げることができる。
また、プラズマ発生体1は、放電空間11の共用電極5側に位置して共用電極5を放電空間11、プラズマ用電極7及びイオン風用電極9から隔てる第1誘電部3aを更に有し、共用電極5は、イオン風用電極9よりもx方向の正側(下流側)に位置する部分を有する。
従って、共用電極5とプラズマ用電極7との放電、及び、共用電極5とイオン風用電極9との間の放電は誘電体バリア放電であり、その制御が容易である。また、共用電極5は、イオン風を発生させるための1対の電極のうち、下流側の電極として機能している。ここで、イオン風は、下流側の電極における、上流側の電極の下流側縁部から下流側の電極の下流側縁部までの長さが長いほど風速が速くなり、その一方で、上流側の電極のx方向の大きさはイオン風の風速に殆ど影響を及ぼさない。また、共用電極5をx方向において大きくすると、プラズマ用電極7との間の対向領域11aがx方向に大きくなり、放電空間11にプラズマが充満しやすくなることが期待される。従って、共用電極5をイオン風を発生させるための1対の電極のうちの上流側の電極として機能させた場合(第2の実施形態におけるプラズマ用電極7及び下流側補助電極215参照)に比較して、イオン風用電極9をx方向において小さくする一方で共用電極5をx方向において大きくすることにより、全体として小型な構成で、プラズマを効率的に充満させつつ流速を速くすることができる。
<第2の実施形態>
図2は、第2の実施形態に係るプラズマ発生体201を示す図1(b)に相当する断面図である。
プラズマ発生体201は、プラズマ用電極7の位置及び下流側補助電極215が設けられている点が第1の実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
プラズマ用電極7は、第2誘電部3bに埋設されておらず、第2内面3bsに重ねられ、イオン風用電極9と同様に、放電空間11に露出している。なお、共用電極5が第1誘電部3aに埋設されているから、プラズマ用電極7は、第1の実施形態と同様に、誘電体3によって共用電極5と隔てられている。従って、共用電極5とプラズマ用電極7との間に電圧が印加されると、第1の実施形態と同様に、誘電体バリア放電が生じ、放電空間11内にプラズマが充満する。
下流側補助電極215は、例えば、他の電極と同様に、平面形状が矩形の平板状の電極であり、他の電極と同等の幅(y方向)を有している。下流側補助電極215は、放電空間11に対してプラズマ用電極7側に且つ放電空間11及びプラズマ用電極7と誘電体3により隔てられるように設けられている。具体的には、例えば、下流側補助電極215は、第2誘電部3b内に第2内面3bsに平行に埋設されている。
また、下流側補助電極215は、下流側縁部(x方向の正側の縁部)がプラズマ用電極7の下流側縁部よりも下流側にずれている。別の観点では、下流側補助電極215は、プラズマ用電極7よりも下流側に位置する部分(本実施形態では下流側補助電極215の全体)を有している。
従って、イオン風用電極9と共用電極5との間において矢印y1で示すイオン風が生じるのと同様に、プラズマ用電極7と下流側補助電極215との間においても矢印y3で示すイオン風が生じる。
なお、プラズマ用電極7及び下流側補助電極215は、イオン風用電極9及び共用電極5と同様に、平面視において、互いに隣接していてもよいし、互いの一部が重なっていてもよいし、プラズマ用電極7の全体が下流側補助電極215に重なっていてもよい。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、プラズマ発生体201は、共用電極5、プラズマ用電極7及びイオン風用電極9を有するから、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、種々の大きさの放電空間において好適にプラズマを充満させつつ流れさせることができる。
また、プラズマ発生体201は、放電空間11のプラズマ用電極7側に位置する第2誘電部3bと、放電空間11のプラズマ用電極7側に位置し、第2誘電部3bによって放電空間11及びプラズマ用電極7から隔てられ、プラズマ用電極7よりもx方向の正側に位置する部分を有し、プラズマ用電極7との間に電圧が印加されることによりx方向の正側へ流れるイオン風を発生可能な下流側補助電極215を有している。
従って、共用電極5側だけでなく、プラズマ用電極7側においてもイオン風を発生させることができ、放電空間11内の流速をより早くすることができる。また、例えば、第2誘電部3b側を第1誘電部3a側と同様の構成にした場合、すなわち、プラズマ用電極7を第2誘電部3bに埋設し、下流側補助電極215をプラズマ用電極7の上流側にて放電空間11に露出して設けた場合には、イオン風用電極9と下流側補助電極215との間において制御が難しいコロナ放電等が生じるおそれがあるが、本実施形態ではそのような不都合が生じない。すなわち、放電空間を挟んで対向する1対の電極(5、7)のイオン風に係る役割を第1誘電部3a側と第2誘電部3b側とで異ならせることにより、制御性を確保しつつ流速を速くすることができる。
なお、第2の実施形態においては、プラズマ用電極7を本発明の共用電極、共用電極5を本発明のプラズマ用電極、下流側補助電極215を本発明のイオン風用電極と捉えることもできる。
<第3の実施形態>
図3は、第3の実施形態に係るプラズマ発生体301を示す図1(b)に相当する断面図である。
プラズマ発生体301は、プラズマ用電極の大きさ、共用電極の形状及び直流電極317が設けられている点が第1の実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
プラズマ用電極307は、x方向の大きさが共用電極305のx方向の大きさと同等とされている。そして、平面視において、プラズマ用電極307と共用電極305とは概ね同等の大きさ及び形状であり、互いに重なるように配置されている。
従って、イオン風が発生する領域と対向領域11aとのx方向における重複量が大きくなる(条件によっては一致する。)。従って、全体として小型な構成で、対向領域11aにおけるプラズマの充満と、イオン風の発生とを行うことができる。別の観点では、対向領域11aを大きくしてプラズマを放電空間11に充満させやすくすることができる。
共用電極305は、x方向においてイオン風用電極9から離れるほど第1内面3asに近づく形状とされている。別の観点では、共用電極305は、第1部分と、第1部分よりもx方向の正側且つ第1部分よりも第1内面3asの近くに位置する第2部分とを有している。
具体的には、例えば、共用電極305は、第1内面3asに平行に第1誘電部3aに埋設された、x方向及びz方向の位置が互いに異なる複数の導電層305cを有し、これら複数の導電層305cはx方向の正側に位置するものほど第1内面3asの近くに配置されている。複数の導電層305cは、例えば、誘電体3をz方向に貫通するビア導体によって互いに導通されて同電位とされている。
ここで、第1内面3asの共用電極5と重なる領域においては、イオン風用電極9(の下流側縁部)と、共用電極5との距離Dsが短い位置ほど、発生するイオン風の風量及び/又は風速が大きい。その一方で、距離Dsが短すぎると、誘電体3において絶縁破壊が生じる。従って、下流側の導電層305cほど第1内面3asに近づき、複数の導電層305cにおける距離Dsのばらつきが抑えられることにより、誘電体3における絶縁破壊を抑制しつつ、イオン風全体としての風量及び/又は風速を大きくすることができる。
直流電極317は、例えば、他の電極と同様に、平面形状が矩形の平板状の電極であり、他の電極と同等の幅(y方向)を有している。直流電極317は、共用電極305及びプラズマ用電極307の対向領域11aよりも下流側に位置している。具体的には、例えば、直流電極317は、共用電極305よりも下流側において第1内面3asに重ねられている。
直流電極317は、直流電源装置357に接続されている。直流電源装置357は、閉ループを構成しない状態で直流電圧を直流電極317に印加する。すなわち、直流電極317には、直流電源装置357の正の端子若しくは負の端子のみが接続されており、直流電源装置357からの電流が流れる閉ループは構成されていない。
直流電源装置357により直流電極317に直流電圧が印加されると、直流電極317の周囲には電界が形成される。換言すれば、イオン風の下流域若しくは対向領域11aの下流側には電界が形成される。
従って、プラズマ(イオン風)に含まれる電子又はイオンを直流電極317側に引き寄せることにより、イオン風を加速することができる。例えば、直流電極317に正の電位が付与されれば、負の電荷が直流電極317に引き寄せられることになり、イオン風を加速することができ、直流電極317に負の電位が付与されれば、正の電荷が直流電極317に引き寄せられることになり、イオン風を加速することができる。しかも、直流電極317は、閉ループを構成していないことから、消費電力は極めて低い。
以上の第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、プラズマ発生体301は、共用電極305、プラズマ用電極307及びイオン風用電極9を有するから、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、種々の大きさの放電空間において好適にプラズマを充満させつつ流れさせることができる。
<第4の実施形態>
図4は、第4の実施形態に係るプラズマ発生体401を示す図1(b)に相当する断面図である。
プラズマ発生体401は、共用電極が複数(本実施形態では2つ)設けられている点が第1の実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
プラズマ発生体401の共用電極405は、第1分割電極406Aと、第2分割電極406B(以下、「分割電極406」といい、両者を区別しないことがある。)とを有している。
各分割電極406は、他の実施形態の共用電極と同様に、プラズマ用電極307と対向するとともに、イオン風用電極9に対して下流側となる部分(本実施形態では分割電極406の全体)を有している。
第1分割電極406Aは、第2分割電極406Bに対して上流側に位置し、イオン風用電極9との距離が第2分割電極406Bよりも近くなっている。また、第2分割電極406Bは、第1分割電極406Aよりも面積が広く形成されている。従って、第1分割電極406Aは、イオン風の発生に対する寄与率が相対的に大きく、第2分割電極406Bは、プラズマを放電空間11に充満させるようにプラズマを発生させることに対する寄与率が相対的に大きい。
なお、第1分割電極406A及び第2分割電極406Bのz方向の位置は、互いに同一でもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態では、第1分割電極406Aが第2分割電極406Bよりも第1内面3asに近い場合を例示している。
電源装置53及び制御装置55は、例えば、イオン風用電極9と第1分割電極406Aとの間、及び、プラズマ用電極307と第2分割電極406Bとの間に対して個別に電圧を印加可能に構成されている。ただし、イオン風用電極9と第2分割電極406Bとの間においてもイオン風を発生させ、プラズマ用電極307と第1分割電極406Aとの間においてもプラズマを発生させることができるように、2種の電圧印加は同期がとられる。
以上の第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、プラズマ発生体401は、共用電極405、プラズマ用電極307及びイオン風用電極9を有するから、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、種々の大きさの放電空間において好適にプラズマを充満させつつ流れさせることができる。
また、共用電極405は、複数の分割電極406を有していることから、プラズマの量とイオン風の大きさとのバランスをより多様化させる制御が可能である。
<第5の実施形態>
図5(a)は、第5の実施形態に係るプラズマ発生体501を示す図1(b)に相当する断面図であり、図5(b)は、図5(a)の一部拡大図である。
プラズマ発生体501では、第2の実施形態と同様に、プラズマ用電極7は、放電空間11に露出し、イオン風の発生に利用される。ただし、下流側補助電極215に代えて上流側補助電極515が設けられ、また、誘電体503の表面に段差503dが形成されている点が第2の実施形態と相違する。また、プラズマ発生体501は、誘電体503が相対的に誘電率が高い高誘電率部を有している点も第1の実施形態等と相違する。具体的には、以下のとおりである。
上流側補助電極515は、例えば、他の電極と同様に、平面形状が矩形の平板状の電極であり、他の電極と同等の幅(y方向)を有している。上流側補助電極515は、放電空間11に対してプラズマ用電極7側に設けられ、また、誘電体503によって放電空間11及びプラズマ用電極7から隔てられている。具体的には、例えば、上流側補助電極515は、第2誘電部503b内に第2内面503bsに平行に埋設されている。
また、上流側補助電極515は、上流側縁部(x方向の負側の縁部)がプラズマ用電極7の上流側縁部よりも上流側にずれている。別の観点では、上流側補助電極515は、プラズマ用電極7よりも上流側に位置する部分(本実施形態では上流側補助電極515の全体)を有している。
第2誘電部503bの第2内面503bsには、上流側補助電極515側がプラズマ用電極7側よりも高くなる段差503dが形成されている。段差503dは、例えば、x方向において上流側補助電極515とプラズマ用電極7との間に位置し、また、y方向において上流側補助電極515等と同等の幅を有している。
段差503dは、適宜に形成されてよい。例えば、第2誘電部503bが複数のセラミックグリーンシートをz方向に積層して焼成することにより形成されている場合、段差503dは、x方向の正側が打ち抜かれたセラミックグリーンシートを放電空間11側に積層することにより構成される。
プラズマ発生体501においては、第2の実施形態においてプラズマ用電極7と下流側補助電極215との間においてイオン風が生じるのと同様に、プラズマ用電極7と上流側補助電極515との間においてイオン風が生じる。ただし、このイオン風の向きは、矢印y1で示す、イオン風用電極9と共用電極5とにより誘起されるイオン風とは逆向きになる。
しかし、矢印y5で示すように、プラズマ用電極7側から上流側補助電極515側へ流れるイオン風は、段差503dにより、その向きがz方向へ変えられ、乃至はx方向の正側へ反転される。
その結果、このイオン風は、放電空間11内部の気体の拡散乃至は矢印y1で示すイオン風の加速に寄与し得る。従って、種々の大きさの放電空間において好適にプラズマを充満させつつ流れさせる効果が、より向上することが期待される。
なお、プラズマ用電極7及び上流側補助電極515は、イオン風用電極9及び共用電極5と同様に、平面視において、互いに隣接していてもよいし、互いの一部が重なっていてもよいし、プラズマ用電極7の全体が上流側補助電極515に重なっていてもよい。
上流側補助電極515のプラズマ用電極7に対するz方向(プラズマ用電極7と共用電極5との対向方向)の位置は、適宜な位置とされてよい。どのような位置とされても、上流側補助電極515が放電空間11に露出しない限り、誘電体バリア放電によってプラズマ用電極7側から上流側補助電極515側へのイオン風を発生可能である。
ただし、上流側補助電極515がプラズマ用電極7よりもz方向の負側(放電空間11側)に位置すると、これらの電極により誘起されるイオン風は、z方向の負側への速度成分を含むことになる。その結果、このイオン風は、段差503dを超えやすくなり、反転させることが難しくなる。従って、反転させる観点からは、上流側補助電極515のz方向の位置は、プラズマ用電極7と同等又はプラズマ用電極7よりもz方向の正側(放電空間11とは反対側)であることが好ましい。
段差503dのx方向の位置は、段差503dがプラズマ用電極7及び上流側補助電極515によって生じたx方向の負側へのイオン風を多少なりとも遮ることができれば、適宜な位置とされてよい。
例えば、段差503dは、プラズマ用電極7のx方向の正側の縁部よりもx方向の負側に位置すれば、プラズマ用電極7及び上流側補助電極515によって生じたx方向の負側へのイオン風を多少なりとも遮ることができると考えられる。
また、例えば、段差503dは、イオン風の強さによっては、上流側補助電極515よりもx方向の負側に位置していてもよい。ただし、上流側補助電極515のx方向の負側の縁部よりもx方向の正側に位置していれば、段差503dは、確実にx方向の負側へのイオン風を遮断する効果を奏する。
好適には、段差503dは、プラズマ用電極7のx方向の負側の縁部に位置している。この場合、プラズマ用電極7及び上流側補助電極515によりイオン風が誘起された直後からその向きを段差503dにより変えることができ、放電空間11内の気流が好適化されると期待される。なお、この場合において、加工精度の範囲内において、プラズマ用電極7の上流側縁部が段差503dからx方向において離間していたり、逆に、プラズマ用電極7の上流側縁部が段差503dに埋まっていたりしてもよい。
段差503dの壁面の傾斜角θ(図5(b))は、適宜に設定されてよい。ただし、プラズマ用電極7及び上流側補助電極515により誘起されたイオン風を反転させる観点からは、傾斜角θは、90°以下であることが好ましい。なお、傾斜角θは、例えば、打ち抜き加工においてその切断面をテーパー面とする技術を利用することにより、適宜にその大きさを設定可能である。
段差503dの高さは、プラズマ用電極7及び上流側補助電極515により誘起されるイオン風の向きを変える効果が奏される範囲において、適宜に設定されてよい。このイオン風は、第2誘電部503bの表面に沿って流れることから、比較的低い高さであっても、ある程度の効果が奏されることが期待される。例えば、段差503dの高さは、0.1〜1mmオーダーであってよい。
図5の例では、上流側補助電極515及びイオン風用電極9は対向していない。しかし、これらの電極も、プラズマ用電極7及び共用電極5と同様に、互いに対向し、放電空間11内のプラズマ発生に寄与してもよい。
次に、高誘電率部について説明する。誘電体503は、例えば、第1誘電部503a及び第2誘電部503bそれぞれに高誘電率部を有している。具体的には、第1誘電部503aは、共用電極5と放電空間11との間に、他の部分よりも比誘電率が高い高誘電率部503ahを有している。また、第2誘電部503bは、上流側補助電極515と放電空間11との間に、他の部分よりも比誘電率が高い高誘電率部503bhを有している。
誘電体503の材料としては、例えば、シリカ(SiO、比誘電率:3〜4)、アルミナ(Al、比誘電率:8〜11)、二酸化チタン(TiO、比誘電率:83〜183)、チタン酸バリウム(BaTiO、比誘電率:1200〜3000)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、比誘電率:300)、チタン酸カルシウム(CaTiO、比誘電率:200)、チタン酸バリウムストロンチウム(Ba1−xSrTiO、比誘電率:800〜1500)、チタン酸バリウムカルシウム(Ba1−xCaTiO、比誘電率:600〜1200)を挙げることができ、これらのうち一つは、高誘電率部503ah(又は高誘電率部503bh)以外の部分の材料とされ、当該材料よりも誘電率が高い他の一つは高誘電率部503ah(又は高誘電率部503bh)の材料とされてよい。
誘電体503は、例えば、z方向に積層されるセラミックグリーンシートのうち一部のセラミックグリーンシートを他のセラミックグリーンシートよりも誘電率が高いものとしたり、一部のセラミックグリーンシートに相対的に誘電率が高い絶縁材料を塗布したりすることにより形成される。
高誘電率部503ahが設けられることにより、共用電極5及びプラズマ用電極7の間に発生するプラズマの量が増加し、また、共用電極5及びイオン風用電極9により誘起されるイオン風の風量が大きくなる。また、高誘電率部503bhが設けられることにより、上流側補助電極515及びプラズマ用電極7により誘起されるイオン風の風量が大きくなる。
なお、高誘電率部503ah(又は503bh)は、共用電極5(又は上流側補助電極515)と放電空間11との間の部分に対して、その全体を占めるように形成されてもよいし、x方向及び/又はy方向において一部のみを占めるように形成されてもよいし、当該部分の外側にも広がるように形成されてもよい。
<第6の実施形態>
図6は、第6の実施形態に係るプラズマ発生体601を示す図1(b)に相当する断面図である。
プラズマ発生体601では、イオン風用電極の形状が第1の実施形態と相違し、また、誘電体603に段差603dが設けれている点が第1の実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
イオン風用電極609は、x方向における大きさが小さくされている。例えば、イオン風用電極609は、yz平面に平行な板状(層状)に形成され、又は、誘電体603をz方向に貫通する複数のビア導体がy方向に配列されて構成されている。
このようなイオン風用電極609は、例えば、イオン風用電極609となる金属板の周囲にスラリーを配置して誘電体603を形成したり、誘電体603となるセラミックグリーンシートのビアに導電ペーストを充填したりすることにより形成される。本実施形態のように、イオン風用電極609の一部若しくは全部が段差603dの壁面において放電空間11に露出する場合においては、当該露出する部分については、当該壁面に導電ペーストを塗布することにより形成してもよい。
このようなx方向における大きさが小さくされたイオン風用電極609であっても、共用電極5との間に電圧が印加されることにより、イオン風を発生させることができる。そして、イオン風用電極609がx方向において小さくされることにより、プラズマ発生体601全体としても、x方向において小型化可能である。
段差603dは、第1誘電部603aの第1内面603asにおいて、上流側が下流側よりも高くなるように設けられ、共用電極5よりも上流側(x方向の負側)に位置している。そして、イオン風用電極609は、少なくとも一部が段差603dの壁面に支持されるように設けられており、放電空間11に露出している。
従って、x方向の小型化を図りつつ、イオン風用電極609の放電空間11への露出面積を大きくし、イオン風の風量を多くすることができると期待される。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
第1〜第6の実施形態は適宜に組み合わされてよい。すなわち、プラズマ用電極を放電空間に露出させる特徴(第2の実施形態等)、下流側補助電極が設けられる特徴(第2の実施形態)、プラズマ用電極と共用電極との面積が同一(第3の実施形態等)若しくは異なる(第1の実施形態等)特徴、共用電極(下流側補助電極215でもよい)が下流側ほど放電空間に近づく特徴(第3の実施形態)、直流電極が設けられる特徴(第3の実施形態)、共用電極が分割されている特徴(第4の実施形態)、上流側補助電極及び段差が設けられる特徴(第5の実施形態)、高誘電率部が設けられる特徴(第5の実施形態)、イオン風用電極を流路方向において小さくする特徴(第6の実施形態)及びイオン風用電極を露出させる段差が設けられる特徴(第6の実施形態)等は、これらから1のみが選択されてもよいし、2以上が適宜に選択されて組み合わされてよい。
また、既に述べたように、第2の実施形態においては、プラズマ用電極7を本発明の共用電極、共用電極5を本発明のプラズマ用電極、下流側補助電極215を本発明のイオン風用電極と捉えることができる。この場合において、イオン風用電極9は省略されてもよい。
各種の電極は、矩形の平板状等の実施形態において例示した形状に限定されないし、また、その配置位置も適宜に設定されてよい。
例えば、イオン風を発生させる下流側の電極(共用電極、下流側補助電極又は上流側補助電極)は、側方(y方向の正側若しくは負側)ほど、イオン風の流れ方向(x方向)において長くなるように形成されてもよい。この場合、上述のように、下流側の電極が流れ方向において長くなるほどイオン風は強くなるから、第3内面3cs(図1(a))における圧力損失を補償できる。
また、例えば、下流側ほど放電空間に近づく共用電極(図3参照。下流側補助電極又は上流側補助電極でもよい。)は、階段状のものに限定されず、断面視において弧状に形成されたものであってもよい。この場合、共用電極上においてイオン風の強さをより均一にすることができる。また、下流側ほど放電空間に近づく電極は、放電空間に対して斜めに配置された平板状のものであってもよい。
また、例えば、直流電極は、y方向の位置に応じて流れ方向の位置が変化するものであってもよい。この場合、流れに直交する方向の位置に応じて加速効果を変化させることができ、例えば、第3内面3cs(図1(a))における圧力損失を補償できる。また、例えば、直流電極は、放電空間の下流側を塞ぐように配置される網状のものであってもよい。この場合、放電空間の流れに直交する断面の全体に関して、電子又はイオンを引き寄せることができる。また、例えば、直流電極は、流れに直交する方向に延びる軸状であってもよい。この場合、流れ方向における小型化を図ることができる。また、直流電極は、プラズマ用電極の下流に設けられたり、下流側補助電極の下流に設けられたり、第3内面3cs(図1(a))に設けられたりしてもよい。
プラズマ用電極とイオン風用電極とは同電位にされる必要は無い。別の観点では、プラズマ用電極とイオン風用電極との間においてもプラズマの発生及びイオン風の発生がなされてもよい。例えば、プラズマ用電極、イオン風用電極及び共用電極の1つに基準電位を付与しつつ、他の2つに正負が逆の電位が同一の位相で付与されるようにしてもよい。また、プラズマ用電極、イオン風用電極及び共用電極は、3相交流電力が供給されてもよい。ただし、プラズマ用電極とイオン風用電極とを同電位としたほうが、電源装置の構成は簡素となる。
誘電体によって1対の電極(イオン風用電極及び共用電極、プラズマ用電極及び共用電極、プラズマ用電極及び下流側補助電極、又は、プラズマ用電極及び上流側補助電極)を隔てる場合において、1対の電極の双方若しくは一方が誘電体に埋設される必要は無い。例えば、第2の実施形態において、共用電極5は、第1誘電部3aの、第1内面3asとは反対側の面に設けられていてもよいし、第3の実施形態において、下流側補助電極215は、第2誘電部3bの、第2内面3bsとは反対側の面に設けられていてもよい。
また、イオン風を発生させる1対の電極の上流側の電極(イオン風用電極等)は、放電空間に露出していなくてもよい。例えば、上流側の電極は、誘電体の薄膜によってコーティングされていてもよい。また、放電空間に露出し若しくはコーティングされる電極は、誘電体の表面に重ねられるものに限定されず、誘電体に形成された凹部に嵌合されて、誘電体の表面と面一の表面を有するものであってもよい。
誘電体は、本発明の必須要件ではない。換言すれば、誘電体バリア放電以外の放電によって、プラズマの発生(対向する電極間)及びイオン風の発生がなされてもよい。
誘電体が設けられる場合において、その形状は実施形態に例示されたものに限定されない。ただし、放電空間の、共用電極側の面(第1内面3as)及びプラズマ用電極側の面(第2内面3bs)は、その幅方向(y方向)における電界及び絶縁破壊強度が均一になるように互いに平行な平面であることが好ましい。
誘電体は、セラミック多層基板からなるものに限定されない。例えば、誘電体は、金型内に絶縁材料が充填されて形成されるものであってもよい。高誘電率部は、下流側補助電極(第2の実施形態)と放電空間との間に設けられてもよい。
実施形態に示した電極の組み合わせは、イオン風の流れ方向において複数組設けられてもよい。なお、この場合において、第5の実施形態の段差等は、誘電体の放電空間に面する表面を階段状に形成することにより、複数設けられてよい。
本発明のプラズマ発生体及びプラズマ発生装置の用途は、ガスの改質に限定されるものではない。例えば、本発明のプラズマ発生体は、半導体ウェハの加工等において、小型且つ効率的にプラズマを供給可能なプラズマ供給装置を構成し得る。
なお、本願からは、イオン風用電極を必須要件としない以下の発明を抽出可能である。
放電空間を挟んで対向する1対の電極と、
前記1対の電極の対向領域よりも前記1対の電極の対向方向に交差する方向の一方側に位置し、閉ループを構成しない状態で直流電圧が印加される直流電極と、
を有するプラズマ発生体。
1…プラズマ発生体、5…共用電極、7…プラズマ用電極、9…イオン風用電極、11…放電空間。

Claims (5)

  1. 共用電極と、
    前記共用電極と放電空間を挟んで対向するプラズマ用電極と、
    前記放電空間に対して前記共用電極側に位置し、前記共用電極に対して前記共用電極と前記プラズマ用電極との対向方向に交差する方向の一方側に位置する部分を有するイオン風用電極と、
    前記放電空間の前記共用電極側に位置して前記共用電極を前記放電空間、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極から隔てる第1誘電部と、
    前記放電空間の前記プラズマ用電極側に位置する第2誘電部と、
    前記放電空間の前記プラズマ用電極側に位置し、前記第2誘電部によって前記放電空間及び前記プラズマ用電極から隔てられ、前記プラズマ用電極よりも前記交差する方向の他方側に位置する部分を有する上流側補助電極と、
    を有しており、
    前記プラズマ用電極は前記放電空間に露出しており、
    前記第2誘電部の前記放電空間側の表面には、前記上流側補助電極側が前記プラズマ用電極側よりも高くなる段差が形成されている
    ラズマ発生体。
  2. 共用電極と、
    前記共用電極と放電空間を挟んで対向するプラズマ用電極と、
    前記放電空間に対して前記共用電極側に位置し、前記共用電極に対して前記共用電極と前記プラズマ用電極との対向方向に交差する方向の一方側に位置する部分を有するイオン風用電極と、
    前記放電空間の前記共用電極側に位置して前記共用電極を前記放電空間、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極から隔てる第1誘電部と、
    を有しており、
    前記プラズマ用電極は前記放電空間に露出しており、
    前記共用電極は、
    第1部分と、
    当該第1部分よりも前記交差する方向の前記一方側且つ前記第1部分よりも前記第1誘電部の前記放電空間に面する表面の近くに位置する第2部分と、
    を有するプラズマ発生体。
  3. 共用電極と、
    前記共用電極と放電空間を挟んで対向するプラズマ用電極と、
    前記放電空間に対して前記共用電極側に位置し、前記共用電極に対して前記共用電極と前記プラズマ用電極との対向方向に交差する方向の一方側に位置する部分を有するイオン風用電極と、
    前記放電空間の前記共用電極側に位置して前記共用電極を前記放電空間、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極から隔てる第1誘電部と、
    前記共用電極及び前記プラズマ電極の対向領域よりも前記交差する方向の前記一方側に位置し、閉ループを構成しない状態で直流電圧が印加される直流電極と、
    を有しており、
    前記プラズマ用電極は前記放電空間に露出している
    ラズマ発生体。
  4. 共用電極と、
    前記共用電極と放電空間を挟んで対向するプラズマ用電極と、
    前記放電空間に対して前記共用電極側に位置し、前記共用電極に対して前記共用電極と前記プラズマ用電極との対向方向に交差する方向の一方側に位置する部分を有するイオン風用電極と、
    前記放電空間の前記共用電極側に位置して前記共用電極を前記放電空間、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極から隔てる第1誘電部と、
    を有しており、
    前記プラズマ用電極は前記放電空間に露出しており、
    前記共用電極と前記プラズマ用電極とはその対向方向に見て互いに同一の大きさ及び形状で重なっている
    ラズマ発生体。
  5. 共用電極と、
    前記共用電極と放電空間を挟んで対向するプラズマ用電極と、
    前記放電空間に対して前記共用電極側に位置し、前記共用電極に対して前記共用電極と前記プラズマ用電極との対向方向に交差する方向の一方側に位置する部分を有するイオン風用電極と、
    前記共用電極を前記放電空間、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極から隔てる、又は前記イオン風用電極を前記放電空間、前記プラズマ用電極及び前記共用電極から隔てる誘電部と、
    前記共用電極と前記プラズマ用電極との間にこれら電極間に放電が生じる大きさの電圧を印加するとともに、前記共用電極と前記イオン風用電極との間に電圧を印加する電源装置と、
    を有し、
    前記電源装置は、前記プラズマ用電極及び前記イオン風用電極に互いに同一の電位を付与する
    ラズマ発生装置。
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