JP6167368B2 - 信号処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に信号処理装置、より詳細には物体で反射された無線信号を受信するセンサからのセンサ信号を信号処理する信号処理装置に関する。
従来、図36に示す構成の照明システムが提案されている(日本国特許公開番号2011−47779参照、以下「文献1」という)。この照明システムは、検知エリア内の検出対象物の存否を検知してセンサ信号を出力するセンサ110を具備した物体検知装置101と、物体検知装置101により点灯状態が制御される照明器具102とを備えている。
センサ110は、ミリ波を検知エリアに向けて送信して、検知エリア内を移動する検出対象物で反射されたミリ波を受信し、送信したミリ波と受信したミリ波との周波数の差分に相当するドップラ周波数のセンサ信号を出力するミリ波センサである。
物体検知装置101は、センサ110の出力するセンサ信号を複数の周波数帯域の信号に分けて周波数帯域ごとに増幅する増幅回路111と、増幅回路111の出力を所定の閾値と比較することにより検出対象物の存否を判定する判定部112とを備えている。また、物体検知装置101は、判定部112での判定結果に応じて照明器具102の点灯状態を制御する照明制御部113を備えている。
また、物体検知装置101は、センサ110の出力するセンサ信号の周波数ごとの強度を検出する周波数解析部114を備えている。また、物体検知装置101は、周波数解析部114の解析結果を用いて定常的に発生する特定周波数のノイズの影響を低減するノイズ除去部(ノイズ判定部115および切替回路116)を備えている。ここで、周波数解析部114としては、FFT(高速フーリエ変換)アナライザを用いている。判定部112と照明制御部113とノイズ除去部とは、マイクロコンピュータを主構成とする制御ブロック117に含まれている。増幅回路111は、センサ信号を予め定められている周波数帯域ごとに出力する信号処理部を構成している。なお、文献1には、信号処理部が、FFTアナライザ、ディジタルフィルタなどを用いた構成であってもよい旨が記載されている。
増幅回路111は、オペアンプを用いた増幅器118を複数有しており、各増幅器118を構成する回路の各種パラメータを調節することで、各増幅器118にて信号を増幅する周波数帯域の設定が可能となっている。つまり、各増幅器118は、特定の周波数帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタとしても機能する。しかして、増幅回路111では、並列に接続された複数の増幅器118にてセンサ信号を複数の周波数帯域の信号に分け、各周波数帯域の信号を各増幅器118にてそれぞれ増幅して個別に出力する。
判定部112は、増幅器118の出力をディジタル値にA/D変換し、予め定められた閾値と比較する比較器119を増幅器118ごとに有し、検出対象物の存否を判定する。比較器119では、閾値がパス帯域ごと(つまり増幅器118ごと)に個別に設定されており、増幅器118の出力が閾値で定められた範囲外のときにHレベルの信号を出力する。ここで、初期状態(出荷状態)で設定される各パス帯域の閾値Vthは、Vth=Vavg±Vppiniで表される値である。Vppiniは、電波暗室など電磁波の反射がない状態で、一定時間内に測定される各増幅器118の出力値Vのピーク・トゥー・ピークVppの最大値である。Vavgは、前記出力値Vの平均値Vavgである。
そして、判定部112は各比較結果の論理和をとる論理和回路120を有する。論理和回路120は、1つでもハイレベル(Hレベル)の信号があれば検出対象物が存在する「検知状態」を示す検知信号を出力する。一方、全てローレベル(Lレベル)であれば、論理和回路120は、検出対象物が存在しない「非検知状態」を示す検知信号を出力する。検知信号の値は、例えば検知状態では「1」、非検知状態では「0」であるとする。
ノイズ除去部は、周波数解析部114の出力から、定常的に発生する特定周波数のノイズの有無を判定するノイズ判定部115と、ノイズ判定部115の判定結果に応じて判定部112に対する各増幅器118の出力状態を切り替える切替回路116とを有している。
切替回路116は、増幅回路111の各増幅器118と判定部112の各比較器119との間にそれぞれ挿入されたスイッチ121を有し、初期状態ではこれら全てのスイッチ121をオンとする。そして、ノイズ判定部115からの出力で各スイッチ121が個別にオンオフ制御されることにより、各増幅器118の判定部112に対する出力を個別に入切する。つまり、切替回路116では、ノイズ判定部115からの出力により、任意のパス帯域の増幅器118に対応するスイッチ121をオフすることで、当該増幅器118の出力を無効にすることができる。
ノイズ判定部115では、周波数解析部114から出力される周波数(周波数成分)ごとのセンサ信号の信号強度(電圧強度)を読み込んでメモリ(図示せず)に記憶し、記憶したデータを用いて定常的に発生する特定周波数のノイズの有無を判定する。
ノイズ判定部115は、ある特定周波数のノイズが定常的に発生していると判断した場合に、当該ノイズが含まれるパス帯域を持つ増幅器118と判定部112との間のスイッチ121がオフするように切替回路116を制御する。これにより、特定周波数のノイズが定常的に発生している場合には、当該ノイズを含む周波数帯域について判定部112に対する増幅回路111の出力が無効となる。ここで、スイッチ121のオンオフ状態は、ノイズ判定部115にて「定常時」と判定される度に更新される。
文献1に記載された物体検知装置101では、センサ110と照明制御部113とを除いた部分が、ミリ波センサからなるセンサ110のセンサ信号を信号処理する信号処理装置を構成していると考えられる。しかしながら、この物体検知装置101では、例えば屋外等で使用する場合、検出対象(検出対象物)以外の物体の動きに起因して検出対象以外の物体を検出対象の物体として誤検出してしまう可能性があった。また、検出対象物の検出感度を確保することも要求されている。
なお、検出対象以外の物体の動きとは、例えば、雨、木の枝や葉の揺れる動き、電線の揺れる動き等が挙げられる。
本発明は上記事由に鑑みて為されており、その目的は、検出感度向上と誤検出低減とのバランスをとりながら、検出対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減することが可能な信号処理装置を提供することにある。
本発明の信号処理装置は、物体で反射した無線信号を受信するセンサから出力される前記物体の動きに応じたセンサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方により前記物体を検出する認識処理を行う認識部と、前記認識処理における前記物体の検出感度の高低を示す感度レベルを設定するレベル設定部と、前記認識処理における前記物体の検出感度を調整するパラメータを変化させるパラメータ調整部とを備え、前記パラメータ調整部は、前記レベル設定部が設定した前記感度レベルに基づいて、前記感度レベルが高い場合、前記物体の検出感度が高くなるように前記パラメータを設定し、前記感度レベルが低い場合、前記物体の検出感度が低くなるように前記パラメータを設定することを特徴とする。
本発明の信号処理装置は、検出感度向上と誤検出低減とのバランスをとりながら、検出対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減することができるという効果がある。
実施形態における電波センサと信号処理装置とを備えたセンサ装置のブロック図である。 図2A〜図2Cは、実施形態における信号処理装置の規格化部の説明図である。 図3A〜図3Cは、実施形態における信号処理装置に用いる平滑化処理部の説明図である。 図4A〜図4Cは、実施形態における信号処理装置の背景信号除去部の一例の説明図である。 実施形態における信号処理装置の背景信号除去部の他例の説明図である。 図6A,図6Bは、実施形態における信号処理装置の背景信号除去部の更に他の例の説明図である。 実施形態における信号処理装置の背景信号除去部の別例を構成する適応フィルタのブロック図である。 図8A〜図8Cは、実施形態における信号処理装置の主成分分析による認識処理の説明図である。 図9A,図9Bは、実施形態におけるセンサ装置の使用形態の説明図である。 実施形態におけるセンサ装置の電波センサからのセンサ信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の規格化部の出力の説明図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態における電波センサと信号処理装置とを備えたセンサ装置の使用形態の説明図である。 実施形態におけるセンサ装置の電波センサからのセンサ信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の規格化部の出力の説明図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の重回帰分析による認識処理の説明図である。 図19A,図19Bは、実施形態における信号処理装置の重回帰分析による認識処理の他の説明図である。 実施形態における信号処理装置の認識部による多数決判定の説明図である。 図21A,図21Bは、実施形態における信号処理装置の説明図である。 実施形態におけるフィルタバンク群の説明図である。 実施形態における動作のフローチャート図である。 実施形態におけるセンサ装置の電波センサからのセンサ信号の波形図である。 実施形態におけるセンサ装置の電波センサからのセンサ信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置のステートマシンの動作の説明図である。 実施形態における信号処理装置のステートマシンの動作の説明図である。 実施形態におけるセンサ装置の電波センサからのセンサ信号の波形図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 実施形態におけるフラグの状態図である。 実施形態における信号処理装置の出力信号の波形図である。 従来の照明システムの構成を示すブロック図である。
以下では、本実施形態の信号処理装置について図1〜図35に基づいて説明する。
信号処理装置2は、電波センサ1から出力されるセンサ信号を信号処理する装置である。なお、図1は、電波センサ1と信号処理装置2とを備えたセンサ装置Seのブロック図である。
電波センサ1としては、所定周波数の電波を検知エリアに向けて送信して、検知エリア内で動いている物体で反射された電波を受信し、送信した電波と受信した電波との周波数の差分に相当するドップラ周波数のセンサ信号を出力するドップラセンサを用いている。したがって、センサ信号は、物体の動きに対応するアナログの時間軸信号である。
電波センサ1は、電波を検知エリアに向けて送信する送信機と、検知エリア内の物体で反射された電波を受信する受信機と、送信した電波と受信した電波との周波数の差分に相当する周波数のセンサ信号を出力するミキサとを備えている。送信機は、送信用のアンテナを備えている。また、受信機は、受信用のアンテナを備えている。なお、送信機から送波する電波は、例えば、所定周波数が24.15GHzのミリ波とすることができる。送信機から送波する電波は、ミリ波に限らず、マイクロ波でもよい。また、送信機が送波する電波の所定周波数の値は一例であって、この数値に限定する趣旨ではない。電波を反射した物体が検知エリア内を移動している場合には、ドップラ効果によって反射波の周波数がシフトする。
信号処理装置2は、センサ信号を増幅する増幅部3と、増幅部3によって増幅されたセンサ信号をディジタルのセンサ信号に変換して出力するA/D変換部4とを備えている。増幅部3は、例えば、オペアンプを用いた増幅器により構成することができる。
また、信号処理装置2は、周波数分析部5を備えている。周波数分析部5は、A/D変換部4から出力される時間領域のセンサ信号を周波数領域の信号(周波数軸信号)に変換し周波数帯域の異なるフィルタバンク5a(図2(a)参照)の群におけるフィルタバンク5a毎の信号として抽出する。
周波数分析部5は、フィルタバンク5aの群として、規定数(例えば、16個)のフィルタバンク5aを設定してあるが、この数は一例であって、この数に限定する趣旨ではない。
また、信号処理装置2は、規格化部6を備えている。規格化部6は、周波数分析部5により抽出された信号の強度の総和もしくは所定の複数(例えば、低周波側の4個)のフィルタバンク5aを通過した信号の強度の総和で、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する。
また、信号処理装置2は、規格化部6から出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる周波数分布により物体を検出する認識処理を行う認識部7を備えている。
上述の周波数分析部5は、A/D変換部4から出力される時間領域のセンサ信号を離散コサイン変換(Discrete Cosine Transform:DCT)することで周波数領域の信号に変換する機能を有している。また、図2(a)に示すように、フィルタバンク5aの各々は、複数(図示例では、5個)の周波数ビン(frequency bin)5bを有している。DCTを利用したフィルタバンク5aの周波数ビン5bは、DCTビンとも呼ばれる。各フィルタバンク5aは、周波数ビン5bの幅(図2(a)中のΔf)により分解能が決まる。フィルタバンク5aの各々における周波数ビン5bの数は一例であって、この数に限定する趣旨ではない。周波数ビン5bの数は、5個以外の複数でもよいし、1個でもよい。A/D変換部4から出力されるセンサ信号を周波数領域の信号に変換する直交変換は、DCTに限らず、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation:FFT)でもよい。FFTを利用したフィルタバンク5aの周波数ビン5bは、FFTビンとも呼ばれる。また、A/D変換部4から出力されるセンサ信号を周波数領域の信号に変換する直交変換は、ウェーブレット変換(Wavelet Transform:WT)でもよい。
フィルタバンク5aの各々が複数の周波数ビン5bを有している場合、信号処理装置2は、周波数分析部5と規格化部6との間に、平滑化処理部8を備えていることが好ましい。この平滑化処理部8は、以下の2つの平滑化処理機能のうち、少なくとも一方を有することが好ましい。1つ目の平滑化処理機能は、フィルタバンク5a毎に周波数ビン5b毎の信号の強度を周波数領域(周波数軸方向)において平滑化処理する機能である。2つ目の平滑化処理機能は、フィルタバンク5a毎に周波数ビン5b毎の信号の強度を時間軸方向において平滑化処理する機能である。これにより、信号処理装置2は、雑音の影響を低減することが可能となり、両方とも有していれば、雑音の影響をより低減することが可能となる。
フィルタバンク5a毎に各周波数ビン5bの信号の強度を周波数領域において平滑化処理する機能を第1の平滑化処理機能とする。この第1の平滑化処理機能は、例えば、平均値フィルタ、荷重平均フィルタ、メジアンフィルタ、荷重メジアンフィルタなどにより実現でき、この第1の平滑化処理機能を平均値フィルタにより実現したとする。そして、図2A,図3Aに示すように、時刻tにおいて、周波数の低い方から順に数えて1番目のフィルタバンク5aの5個の周波数ビン5bそれぞれにおける信号の強度がそれぞれs1、s2、s3、s4、s5であるとする。ここで、1番目のフィルタバンク5aについてみれば、第1の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度をm11(図2B,図3B参照)とすると、
11=(s1+s2+s3+s4+s5)/5
となる。
同様に、2番目のフィルタバンク5a、3番目のフィルタバンク5a、4番目のフィルタバンク5a及び5番目のフィルタバンク5aの信号は、図2B,図3Bに示すように、それぞれ、m21、m31、m41及びm51となる。要するに、本実施形態では、説明の便宜上、時間軸上の時刻t(iは自然数)におけるj(jは自然数)番目のフィルタバンク5aの信号に対して第1の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度を、mjiと表している。
規格化部6では、認識部7において認識処理に利用する複数の所定のフィルタバンク5aを通過した信号の強度の総和で、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度値を規格化する。ここでは、例えば、周波数分析部5におけるフィルタバンク5aの総数が16個であり、認識処理に利用する所定の複数のフィルタバンク5aが、周波数の低い方から順に数えて1〜5番目の5個のみであるとして説明する。時刻tにおいて1番目のフィルタバンク5aを通過した信号の強度m11の規格化強度をn11(図2C参照)とすると、規格化強度n11は、規格化部6において、
11=m11/(m11+m21+m31+m41+m51
の演算により求められる。
また、フィルタバンク5aの各々が1つの周波数ビン5bからなる場合、規格化部6は、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を抽出し、これらの強度の総和で、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化する。
また、平滑化処理部8が、フィルタバンク5a毎に各周波数ビン5bの信号の強度を時間軸方向において平滑化処理する機能を第2の平滑化処理機能とする。この第2の平滑化処理機能は、例えば、平均値フィルタ、荷重平均フィルタ、メジアンフィルタ、荷重メジアンフィルタなどにより実現できる。この第2の平滑化処理機能を、時間軸方向の複数点(例えば、3点)での平均値を求める平均値フィルタにより実現したとする。この場合、図3Cに示すように、1番目のフィルタバンク5aについてみれば、第2の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度をmとすると、
=(m10+m11+m12)/3
となる。
同様に、2番目のフィルタバンク5a、3番目のフィルタバンク5a、4番目のフィルタバンク5a及び5番目のフィルタバンク5aの信号は、それぞれ、m、m、m及びmとすれば、
2=(m20+m21+m22)/3
3=(m30+m31+m32)/3
4=(m40+m41+m42)/3
5=(m50+m51+m52)/3
となる。
要するに、本実施形態では、説明の便宜上、n(nは自然数)番目のフィルタバンク5aの信号に対して第1の平滑化処理機能により平滑化処理され、更に第2の平滑化処理機能により平滑化処理された信号の強度を、mと表している。
また、信号処理装置2は、背景信号推定部9、背景信号除去部10を備えていることが好ましい。背景信号推定部9は、フィルタバンク5aそれぞれから出力される信号に含まれている背景信号(つまり、雑音)を推定する。背景信号除去部10は、各フィルタバンク5aを通過した信号から背景信号を除去する。
信号処理装置2は、例えば、動作モードとして、背景信号を推定する第1モードと、認識処理を行う第2モードとがあり、タイマにより計時される所定時間(例えば、30秒)ごとに第1モードと第2モードとが切り替わるようにすることが好ましい。ここにおいて、信号処理装置2は、第1モードの期間に背景信号推定部9を動作させ、第2モードの期間に、背景信号除去部10で背景信号を除去してから、認識部7で認識処理を行うことが好ましい。第1モードの時間と第2モードの時間とは、同じ時間(例えば、30秒)に限らず、互いに異なる時間でもよい。
背景信号除去部10は、例えば、フィルタバンク5aから出力される信号から背景信号を減算することで背景信号を除去するようにしてもよい。この場合、背景信号除去部10は、例えば、各フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号m、m、・・・(図4B参照)の強度から、背景信号推定部9で推定された背景信号の強度b、b、・・(図4A参照)を減算する減算器により構成できる。図4Cは、同一のフィルタバンク5a同士で信号から背景信号を減算することで得られた信号の強度を示している。ここで、左から1番目のフィルタバンク5aの信号の強度をLとすれば、
=m−b
となる。
同様に、2番目のフィルタバンク5a、3番目のフィルタバンク5a、4番目のフィルタバンク5a及び5番目のフィルタバンク5aについて背景信号を減算した後の信号の強度は、それぞれ、L、L、L及びLとすれば、
=m−b
=m−b
=m−b
=m−bとなる。
背景信号推定部9は、第1モードの期間において、フィルタバンク5aそれぞれについて得られた信号の強度を、フィルタバンク5a毎の背景信号の強度と推定し随時更新するようにしてもよい。また、背景信号推定部9は、第1モードにおいて、フィルタバンク5aそれぞれについて得られた複数の信号の強度の平均値を、フィルタバンク5a毎の背景信号の強度と推定するようにしてもよい。すなわち、背景信号推定部9は、事前に得たフィルタバンク5a毎の複数点の信号の時間軸上での平均値を背景信号とするようにしてもよい。これにより、背景信号推定部9は、背景信号の推定精度を向上させることが可能となる。
また、背景信号除去部10は、フィルタバンク5a毎の直前の信号を背景信号とするようにしてもよい。ここで、信号処理装置2は、各信号を規格化部6で規格化処理する前に、時間軸上の直前の信号を減算することで背景信号を除去する機能を有するようにしてもよい。要するに、背景信号除去部10は、フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号に関し、規格化処理の対象となる信号から時間軸上における1サンプル前の信号を減算することで背景信号を除去する機能を有するようにしてもよい。この場合、例えば、図5に示すように、規格化処理の対象となる時刻tでのフィルタバンク5aそれぞれの信号をm(t)、m(t)、m(t)、m(t)及びm(t)とする。さらに、その直前の時刻tでの信号をm(t)、m(t)、m(t)、m(t)及びm(t)とする。そして、減算後の信号の強度をL、L、L、L及びLとすれば、
=m(t)−m(t
=m(t)−m(t
=m(t)−m(t
=m(t)−m(t
=m(t)−m(t
となる。
ところで、信号処理装置2の使用形態に基づく周囲環境によっては、あらかじめ比較的大きな背景信号(雑音)が含まれる周波数ビン5bが既知である場合がある。例えば、センサ装置Seの周辺に、商用電源から電源供給される機器が存在しているとする。この場合、商用電源周波数(例えば、60Hz)の逓倍の周波数(例えば、60Hz、120Hz等)のような特定周波数を含む周波数ビン5bの信号には、比較的大きな背景信号が含まれる可能性が高い。一方、検出対象の物体(検出対象物)が検知エリア内を移動しているときに出力されるセンサ信号は、当該センサ信号の周波数(ドップラ周波数)が、電波センサ1と物体の間の距離と、物体の移動速度とに応じて随時変化する。この場合、背景信号が特定周波数で定常的に発生することはない。
そこで、信号処理装置2は、フィルタバンク5aそれぞれが複数の周波数ビン5bを有している場合に、背景信号が定常的に含まれる周波数ビン5bを特定周波数ビン5bとする。そして、背景信号除去部10は、特定周波数ビン5bの信号を無効とし、当該特定周波数ビン5bに近接する2個の周波数ビン5bの信号の強度から推定した信号の強度で補完することによって背景信号を除去するようにしてもよい。
図6Aにおける左から3番目の周波数ビン5bが特定周波数ビン5bであるとする。背景信号除去部10は、当該特定周波数ビン5bの信号(信号の強度b)を無効とし、図6Bに示すように、当該特定周波数ビン5bに近接する2個の周波数ビン5bの信号成分の強度b,bから推定した信号成分の強度b3で補完している。この推定にあたっては、特定周波数ビン5bに近接する2個の周波数ビン5bの信号の強度b,bの平均値、つまり、(b+b)/2を、推定した信号の強度bとしている。要するに、フィルタバンク5a内において低周波数側からi番目の周波数ビン5bが特定周波数ビン5bであり、当該特定周波数ビン5bの信号の強度をbとすれば、bは、
=(bi−1+bi+1)/2
からなる推定式により求めた値としている。
これにより、信号処理装置2は、定常的に発生する特定周波数の背景信号(雑音)の影響を短時間で低減することが可能となる。よって、信号処理装置2は、検出対象物の検知精度の向上を図ることが可能となる。
背景信号除去部10は、周波数領域(周波数軸上)において背景信号を濾波することで背景信号を除去する適応フィルタ(Adaptive filter)を用いることもできる。
適応フィルタは、適応アルゴリズム(最適化アルゴリズム)に従って伝達関数(フィルタ係数)を自己適応させるフィルタであり、ディジタルフィルタにより実現することができる。この種の適応フィルタとしては、DCTを用いた適応フィルタ(Adaptive filter using Discrete Cosine Transform)が好ましい。この場合、適応フィルタの適応アルゴリズムとしては、DCTのLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いればよい。
また、適応フィルタは、FFTを用いた適応フィルタでもよい。この場合、適応フィルタの適応アルゴリズムとしては、FFTのLMSアルゴリズムを用いればよい。LMSアルゴリズムは、射影(Projection)アルゴリズムやRLS(Recursive Least Square)アルゴリズムに比べて演算量を低減できるという利点がある。また、DCTのLMSアルゴリズムは、実数の演算のみでよく、複素数の演算を必要とするFFTのLMSアルゴリズムに比べて演算量を低減できるという利点がある。
適応フィルタは、例えば、図7に示す構成を有している。この適応フィルタは、フィルタ57aと、減算器57bと、適応処理部57cとを有している。フィルタ57aは、フィルタ係数を可変に構成される。減算器57bは、フィルタ57aの出力信号と参照信号との誤差信号を出力する。適応処理部57cは、適応アルゴリズムに従って入力信号と誤差信号とからフィルタ係数の補正係数を生成しフィルタ係数を更新させる。適応フィルタは、フィルタ57aの入力信号を熱雑音からなる背景信号とし、参照信号を所望の白色雑音の値とすれば、不要な背景信号を濾波することで背景信号を除去することが可能となる。
また、背景信号除去部10は、適応フィルタの忘却係数(forgetting factor)を適宜設定しておくことによって、長時間の平均的な背景信号を周波数軸上で濾波した信号の周波数分布を抽出するようにしてもよい。忘却係数は、フィルタ係数を更新する演算の際に過去のデータ(フィルタ係数)の影響を現在のデータ(フィルタ係数)から過去にさかのぼるほど指数関数的に軽くし、現在のデータに近づくほど重くするための係数である。忘却係数は、1未満の正の値であり、例えば、0.95〜0.99程度の範囲で適宜設定すればよい。
認識部7は、各フィルタバンク5aを通過し規格化部6により規格化された各規格化強度の周波数領域での分布に基づいて物体を検出する認識処理を行う。ここにおいて、検出は、分類、認識、識別を含む概念である。
認識部7は、例えば、主成分分析(principal component analysis)によるパターン認識処理を行うことによって物体を検出する。この認識部7は、主成分分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。このような認識部7を採用するには、信号処理装置2は、あらかじめ、電波センサ1の検知エリアに検出対象物を含まない場合の学習サンプルデータ、検出対象物の異なった動きそれぞれに対応した学習サンプルデータを取得しておく。そして、信号処理装置2は、これら複数の学習データに対して主成分分析を施すことで得られたデータを、データベース11に記憶しておく。ここにおいて、データベース11に記憶させておくデータは、パターン認識に利用するデータであり、物体の動きと射影ベクトル及び判別境界値とを対応付けたカテゴリデータである。
ここでは、説明の便宜上、電波センサ1の検知エリアに検出対象物を含まない場合の学習サンプルデータに対応する規格化強度の周波数領域での分布を図8Aに示す。さらに、検出対象物を含む場合の学習サンプルデータに対応する規格化強度の周波数領域での分布を図8Bに示す。そして、図8Aでは、各フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度が、低周波側から順に、m10、m20、m30、m40及びm50とする。図8Bでは、各フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度が、低周波側から順に、m11、m21、m31、m41及びm51とする。そして、図8A,図8Bのいずれにおいても、低周波側の3つのフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度の総和を変量mとし、高周波側の2つのフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の規格化強度の総和を変量mとする。要するに、図8Aでは、
=m10+m20+m30
=m40+m50
となる。また、図8Bでは、
=m11+m21+m31
=m41+m51
となる。
図8Cは、2つの変量m,mを互いに直交する座標軸とした場合の2次元散布図と射影軸及び認識境界とをイメージ的に説明するために2次元で図示している。図8Cでは、破線で囲んだ領域内の各散布点(図8C中の“+”)の座標位置をμ0(m,m)、実線で囲んだ領域内の各散布点の座標位置をμ1(m,m)としている。主成分分析では、電波センサ1の検知エリアに検出対象物を含まない場合の学習サンプルデータに対応するデータのグループGr0と、検知エリアに検出対象物を含む場合の学習サンプルデータに対応するデータのグループGr1とを予め決める。そして、主成分分析では、図8Cにおいて破線、実線で囲んだそれぞれの領域内の各散布点を射影軸上に射影したデータの分布(破線、実線で模式的に示してある)の平均値の間隔が最大となり、且つ、分散(variance)が最大となる条件で射影軸を決める。これにより、主成分分析では、学習サンプルごとに射影ベクトルを求めることができる。
ところで、信号処理装置2は、認識部7による検出結果を出力する出力部12を備えている。出力部12は、認識部7により検出対象物が認識された場合、検出対象物が検出されたことを示す出力信号としてハイレベルの信号(例えば「1」)を出力する。出力部12は、検出対象物が認識されない場合、検出対象物を非検出であることを示す出力信号としてローレベルの信号(例えば「0」)を出力する。
信号処理装置2は、図1において、増幅部3、A/D変換部4、出力部12及びデータベース11以外の部分が、マイクロコンピュータで適宜のプログラムを実行することにより実現される。
ここで、電波センサ1から出力されるセンサ信号の一例と出力部12から出力される出力信号との関係について、図9〜図12を参照しながら説明する。
図9は、電波センサ1と信号処理装置2とを備えたセンサ装置Seの使用状況を説明する図であり、検出対象物Obが人であり、屋外の検知エリア内に検出対象以外の物体である木Trが存在していることを示している。図10は、この使用状況下において、木Trの枝及び葉が揺れている状態で、物体Obが木Trの前を1m/sの移動速度で6.7mだけ移動したときに電波センサ1から出力されるセンサ信号の一例を示している。なお、電波センサ1と木Trとの距離は約10m、電波センサ1と物体Obとの距離は約8mである。図11は、規格化強度の周波数領域での分布及び時間軸領域での分布を示した図である。図12は、出力部12の出力信号であり、検出対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減できることが確認された。
ところで、規格化強度の周波数領域での分布でみれば、検知エリア内の物体が木の場合には、枝や葉が揺れることがあっても移動することはないので、物体が検知エリア内を歩行する人の場合と比較すると、より低周波領域から信号成分がある周波数分布を持つ。これに対して、物体が検知エリア内を歩行する人の場合には、その歩行速度に応じた周波数付近に中心周波数がある山型の周波数分布を持ち、周波数分布には明らかな違いが見られる。
検知エリア内に存在する検出対象以外の物体は、主に、移動体でない可動物である。電波センサ1の検知エリアが屋外に設定される場合、検知エリア内に存在する検出対象以外の物体は、木Trに限らず、例えば、風によって揺れる電線等が挙げられる。
ここで、電波センサ1から出力されるセンサ信号の他例と出力部12から出力される出力信号との関係について、図13〜図16を参照しながら説明する。
図13は、電波センサ1と信号処理装置2とを備えたセンサ装置Seの使用状況を説明する図であり、検出対象物Obが人であり、屋外の検知エリア内に雨が降っていることを示している。図14は、この使用状況下において、物体Obが1m/sの移動速度で6.7mだけ移動したときに電波センサ1から出力されるセンサ信号の一例を示している。図15は、背景信号除去部10による背景信号の除去を行わなかった場合の出力部12の出力信号である。図16は、背景信号除去部10による背景信号の除去を行った場合の規格化強度の周波数領域での分布及び時間軸領域での分布を示した図である。図17は、背景信号除去部10による背景信号の除去を行った場合の出力部12の出力信号であり、図15に比べて、検出対象以外の物体(ここでは、雨粒)の動きに起因した誤検出を低減できることが確認された。
また、電波センサ1の検知エリアが屋内に設定される場合、検知エリア内に存在する検出対象以外の物体は、例えば、扇風機等のように可動体(扇風機の場合は羽根)を備えた機器等が挙げられる。
信号処理装置2は、上述の判別境界値を外部からの設定により可変とすることが好ましい。これにより、信号処理装置2は、使用用途に応じて要求される失報率、誤報率を調整することが可能となる。例えば、検出対象物が人であり、出力部12からの出力信号に基づいて照明負荷のオンオフを制御するような使用用途では、電波センサ1の検知エリア内に人が入ってきたにもかかわらず失報するぐらいなら多少の誤報を容認される場合がある。
以上説明した信号処理装置2において、周波数分析部5は、A/D変換部4から出力されるセンサ信号(時間軸信号)を周波数領域の信号に変換し周波数帯域の異なるフィルタバンク5aの群におけるフィルタバンク5a毎の信号として抽出する。認識部7は、フィルタバンク5a毎の信号に基づく信号強度から決まる周波数分布により物体を検出する認識処理を行う。
センサ信号は、DCT等の周波数分析が行われる短時間(例えば数十ms)においても、対象物毎に互いに異なる特有の周波数分布(周波数領域での統計分布)を有する。信号処理装置2は、この周波数分布の特徴を検出対象物の検出に利用する場合、周波数分布が異なる物体は分離して認識することができる。而して、信号処理装置2は、検出対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減することが可能となる。要するに、信号処理装置2では、複数のフィルタバンク5aを通過した信号の各信号強度から決まる周波数分布が統計的に異なる物体を分離して検出することができるため、誤検出を低減することが可能となる。
また、FFTを利用したフィルタバンク5aでは、FFT処理の前にセンサ信号に対して所定の窓関数(window function)を掛け合わせる処理を実施し、所望の周波数帯域(通過帯域)外のサイドローブ(side-lobe)を抑圧する必要が生じる場合がある。窓関数としては、例えば、矩形窓(rectangular window)、ガウス窓(Gauss window)、ハン窓(hann window)、ハミング窓(hamming window)などを使うことができる。これに対して、DCTを利用したフィルタバンク5aでは、窓関数をなくすことができるので、窓関数を簡素なディジタルフィルタで実現することが可能である。
また、DCTを利用したフィルタバンク5aは、FFTを利用したフィルタバンク5aと比較すると、FFTが複素演算の処理方式である(強度及び位相を演算する)のに対し、DCTが実数演算の処理方式であるため、演算規模を低減することが可能となる。また、DCTでは、周波数の分解能に関しては、DCTとFFTとを同じ処理点数で比較すると、DCTの方がFFTの2分の1になるため、データベース11等のハードウエアリソース(hardware resource)等を小型化することが可能となる。信号処理装置2では、例えば、A/D変換部4の1秒間当たりのサンプリング数を128とした場合(サンプリング周波数を1kHzとした場合)、FFTビン5bの幅が8Hzであるのに対して、DCTビン5bの幅を4Hzとすることができる。なお、これらの数値は、一例であり、これらの数値に限定する趣旨ではない。
また、信号処理装置2は、認識部7において検出対象物が時間軸上で継続して検出された場合、そのときに規格化部6から出力されていた規格化強度をオフセットの背景信号として除去することにより、認識精度を向上させることが可能となる。
認識部7は、主成分分析によるパターン認識処理によって物体を検出してもよいし、他のパターン認識処理を用いてもよい。例えば、認識部7は、KL変換によるパターン認識処理により物体を検出するようにしてもよい。信号処理装置2は、認識部7において主成分分析によるパターン認識処理もしくはKL変換によるパターン認識処理を行うようにすることによって、認識部7での計算量の低減及びデータベース11の容量の低減を図ることが可能となる。
認識部7は、規格化部6から出力されるフィルタバンク5a毎の規格化強度の成分比により物体を検出する認識処理を行うようにしてもよい。
このような認識部7は、例えば、重回帰分析による認識処理を行うことによって物体を検出するようにすればよい。この場合、認識部7は、重回帰分析を用いた認識アルゴリズムに従って動作する。
このような認識部7を採用する場合、信号処理装置2は、予め、電波センサ1の検知エリア内での検出対象物の異なった動きそれぞれに対応した学習データを取得しておく。信号処理装置2は、これら複数の学習データに対して重回帰分析を施すことで得られたデータをデータベース11に記憶しておく。図18において、信号成分s1と信号成分s2と信号成分s3とが合成された合成波形Gsを示す。重回帰分析によれば、この合成波形Gsは、信号成分s1,s2,s3の種別、信号成分の数、各信号成分s1,s2,s3それぞれの強度が未知であっても、合成波形から各信号成分s1,s2,s3に分離推定することが可能である。図18中の〔S〕は、信号成分s1、s2、s3を行列要素とする行列を示し、〔S〕−1は〔S〕の逆行列を意味し、Iは規格化強度の成分比(係数)を意味している。ここにおいて、データベース11に記憶させておくデータは、認識処理に利用するデータであり、物体の動きと信号成分s1,s2,s3とを対応付けたデータである。
図19Aは、横軸が時間、縦軸が規格化強度である。図19Aにおいて、屋外の検知エリア内において揺れている電線の下を検出対象物である人が2m/sの移動速度で10mだけ移動したときに、規格化部6から出力された規格化強度の時間軸上でのデータ(上述の合成波形Gsに対応する)をA1とする。また、図19Aには、重回帰分析によりデータA1から分離された信号成分A2,A3も示してある。ここにおいて、信号成分A2は、人の移動に起因した信号成分であり、信号成分A3は、電線の揺れに起因した信号成分である。図19Bは、認識部7において、A2>A3のときに検出対象物が存在すると認識して出力部12の出力信号をハイレベル(ここでは、値「1」)、それ以外のときに検出対象物が存在しないと認識して出力部12の出力信号をローレベル(ここでは、値「0」)とした場合の出力部12の出力信号である。図19Bから、検出対象以外の物体(ここでは、電線)の動きに起因した誤検出を低減できることが確認された。
信号処理装置2は、上述の判定条件(A2>A3)を外部からの設定により可変とすることが好ましい。例えば、判定条件をA2>α×A3とし、係数αを外部からの設定により可変とすることが好ましい。これにより、信号処理装置2は、使用用途に応じて要求される失報率、誤報率を調整することが可能となる。
なお、認識部7では、上述の周波数分布の特徴及び規格化強度の成分比の両方に基づいて検出対象物を検出するようにしてもよい。
認識部7は、時間軸上での奇数回の認識処理の結果に基づく多数決判定により物体を検出するようにしてもよい。例えば、図20において一点鎖線で囲んだ領域の3回の認識処理の結果の多数決判定によれば、出力部12の出力信号の値は「1」となる。
これにより、信号処理装置2は、認識部7での検出精度を向上させることが可能となる。
また、信号処理装置2は、規格化部6による規格化前の複数の所定のフィルタバンク5aの信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和が閾値以上である場合のみ、認識部7による認識処理を行うかもしくは認識部7による認識結果を有効とするようにしてもよい。図21A,図21Bは、規格化部6による規格化前の各フィルタバンク5aそれぞれの信号の強度が低周波側から順に、m、m、m、m及びmとした場合の例である。図21Aは強度の総和[m+m+m+m+m]が閾値E1以上の場合を示す。図21Bは強度の総和[m+m+m+m+m]が閾値E1未満の場合を示す。
これにより、信号処理装置2は、誤検出を低減することが可能となる。例えば、認識部7は、規格化された信号成分の強度を用いた周波数分布により物体を認識したとする。この場合、認識部7は、電波センサ1の検知範囲内に検出対象物が無く、暗雑音が入力されていても、信号強度の周波数分布が、検知範囲内に検出対象物がある場合の特徴に似ていると判定して、誤検出する可能性がある。そこで、信号処理装置2は、規格化前の信号強度を用いて認識処理の可否を判断することによって、誤検出を抑制している。
また、規格化部6による規格化前の複数の所定のフィルタバンク5aを1つのフィルタバンク群50とする(図22参照)。この場合、信号処理装置2は、複数のフィルタバンク群50のそれぞれにおいて、規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和が閾値E2以上であるか否かを判定してもよい。すなわち、信号処理装置2は、いずれかのフィルタバンク群50において、規格化前の信号成分の強度の総和が閾値E2以上である場合のみ、認識部7による認識処理を行う、もしくは認識部7による認識処理の結果を有効とする。または、信号処理装置2は、全てのフィルタバンク群50において、規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和が閾値E2以上である場合のみ、認識部7による認識処理を行う、もしくは認識部7による認識処理の結果を有効としてもよい。以下、この判定処理を含む一連の処理について、図23のフローチャートにしたがって説明する。なお、以降、「規格化前の信号成分の強度の総和もしくは重み付け総和」を、単に「規格化前の信号成分の強度の総和」と称す。
まず、A/D変換部4が、増幅部3によって増幅されたセンサ信号をディジタルのセンサ信号に変換して出力するA/D変換処理を行う(X1)。次に、周波数分析部5は、A/D変換部4から出力されるセンサ信号を、DCT処理によって周波数領域の信号(周波数軸信号)に変換し(X2)、フィルタバンク5a毎の信号として抽出するフィルタバンク処理を行う(X3)。例えば、128ポイントのDCTの場合、128個の周波数ビン5bから、周波数ビン5bを5個ずつ束ねて、25個のフィルタバンク5aに分割する等が考えられる。
次に、信号処理装置2は、例えば図22に示すように、低周波側および高周波側の2つのフィルタバンク群50のそれぞれについて、各フィルタバンク群50を構成する複数のフィルタバンク5aの規格化前の信号強度の総和を求める。そして、信号処理装置2は、信号強度の総和が閾値E2以上であるか否かをフィルタバンク群50毎に判定する閾値判定処理を行う(X4)。
信号処理装置2は、いずれかのフィルタバンク群50における信号強度の総和が閾値E2以上であれば、電波センサ1から出力されるセンサ信号の振幅が大きく、暗雑音である可能性が低いと判断して、規格化部6による規格化処理を行う(X5)。すなわち、規格化部6は、各フィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する。
そして、信号処理装置2の認識部7は、規格化により得られた複数のフィルタバンク5aの周波数成分毎の信号強度の分布の特徴を認識し、検出対象物であるとみなしてよいか否かを判断する認識処理を行う(X6)。そして、出力部12は、認識部7が検出対象物であると判断した場合、検知信号の出力処理を行う(X7)。
一方、信号処理装置2は、全てのフィルタバンク群50における各信号強度の総和が閾値E2未満であれば、電波センサ1から出力されるセンサ信号の振幅が小さく、暗雑音である可能性が高いと判断する。そして、信号処理装置2は、暗雑音である可能性が高いと判断した場合、規格化部6による規格化処理を含む以降の処理(X5〜X7)を行わない。
そして、図24は、検出対象物がない場合に電波センサ1から出力されるセンサ信号(暗雑音の信号パターン)の一例を示す。また、図25は、検出対象物がある場合に電波センサ1から出力されるセンサ信号の一例を示す。図24に示す暗雑音のセンサ信号は、図25の物体検知時のセンサ信号に比べて振幅が小さい。なお、図24,図25ともに、横軸は時間を表し、縦軸はセンサ信号の強度(電圧)を表している。
そして、信号処理装置2が上述のステップX4の閾値判定処理を行うことによって、出力部12の出力信号は、図24のセンサ信号(暗雑音)に対しては図26のように示され、図25のセンサ信号(検出対象物あり)に対しては図27のように示される。すなわち、閾値E2を適切に設定することによって、暗雑音による誤検出を低減でき、且つ検出対象物がある場合は精度よく検出できることが確認された。なお、図26、図27において、出力部12の出力信号は、認識部7により検出対象物が検出された場合にハイレベル(ここでは、値「1」)となり、検出対象物が検出されない場合にローレベル(ここでは、値「0」)となる。
一方、閾値E2をゼロにした場合、出力部12の出力信号は、図24のセンサ信号(暗雑音)に対しては図28のように示され、図25のセンサ信号(検出対象物あり)に対しては図29のように示される。すなわち、信号処理装置2が上述のステップX4の閾値判定処理を行わない場合、暗雑音による誤検出が頻発し、さらには検出対象物がある場合においても、出力部12の出力信号の値は、頻繁に「1」に切り替わっている。このように、信号処理装置2が上述のステップX4の閾値判定処理を行わない場合、暗雑音による誤検出が発生する可能性があることが分かる。
本実施形態の信号処理装置2は、パラメータ調整部14を備えており、パラメータ調整部14は、認識部7の認識処理における物体の検出感度を調整するパラメータを変化させる。この検出感度を調整するパラメータとしては、上述の閾値E1、E2等がある。
次に、信号処理装置2は、上述の各処理を行うためにステートマシンを具備しており、このステートマシンの基本動作(レベル設定部13を用いないときの動作)を図30に示す。なお、以下の説明では、パラメータ調整部14が調整するパラメータとして、上述の閾値E2を用いる。
まず、電源投入時やリセット解除直後において、ステートマシンは、アイドル状態J11から動作を開始する。そして、ステートマシンは、アイドル状態J11から状態I00に遷移する(t01)。
ここで、電波センサ1を設置した周囲環境における暗雑音のレベルは、暗雑音のレベルを変化させる要素が増減する等の要因によって変化する場合がある。したがって、閾値判定処理における閾値E2を一度設定しても、暗雑音のレベルが変化した場合、現状の設定値では期待した動作にならず、誤検出が発生したり、検出対象物が存在するにも関わらず非検出の状態になる可能性がある。
そこで、アイドル状態J11から遷移した状態I00では、パラメータ調整部14が、閾値判定処理における閾値E2を設定する動作を、起動期間において行い、閾値E2を設定した後、状態S11に遷移する(t02)。具体的に、状態I00において、センサ信号のA/D変換処理、DCT処理、フィルタバンク処理が行われ(図23におけるステップX1〜X3)、各フィルタバンク5aにおける信号強度を計測する。そして、パラメータ調整部14は、全てまたは複数のフィルタバンク5aの信号強度の平均値に予め定めた係数を掛け合わせて、閾値E2を算出し、以降の閾値判定処理ではこの閾値E2を閾値として使用する。また、閾値E2の範囲を、予め定めた上限値や下限値で限定してもよい。閾値E2の上限値は、検出対象物の検出精度を確保するために設定し、閾値E2の下限値は、暗雑音による誤検出の抑制効果を確保するために設定する。
そして、ステートマシンの動作開始直後は、検出対象物が電波センサ1の検知エリア内に存在せず、電波センサ1から暗雑音のセンサ信号が出力されていると考えると、状態I00で設定された閾値E2は、暗雑音に基づく値となる。
このように、図30のステートマシンでは、起動期間において、パラメータ調整部14が、閾値判定処理に用いる閾値E2を周囲の暗雑音の環境に応じて設定する。具体的には、起動後すぐに認識処理を行なうのではなく、まずセンサ信号から周囲の暗雑音レベルを計測し、パラメータ調整部14は、その計測値に予め定めた係数を掛け合わせて閾値E2を算出している。したがって、電波センサ1の周囲環境が変化し、暗雑音レベルも変化した場合でも、起動期間に閾値E2を適切に変更できるので、暗雑音による誤検出を低減できる。
そして、ステートマシンは、状態I00から状態S11に遷移し(t02)、状態S11において、認識部7が検出対象物を検出している状態(以降、検出状態と称す)であれば、状態W11に遷移する(t03)。一方、状態S11において、認識部7が検出対象物を検出していない状態(以降、非検出状態と称す)であれば、状態S11に遷移してから予め定めた所定時間が経過した後、状態S16に遷移する(t04)。そして、状態S16において非検出状態であれば、状態S11に遷移する(t05)。つまり、状態S11から非検出状態が継続すると、状態S11と状態S16との間を往復する遷移を示すことになる。
そして、状態S11、S16において検出状態になれば、状態W11に遷移し(t03,t06)、状態W11で予め定めた時間だけ待機した後、状態S12に遷移し(t07)、さらに状態S13に無条件で遷移する(t08)。状態S13において、非検出状態であれば、または検出状態が所定時間以上継続すれば、状態S14に遷移する(t09)。そして、状態S14において検出状態であれば、状態S13に遷移する(t10)。つまり、状態S13から検出状態が継続すると、状態S13と状態S14との間を往復する遷移を示すことになる。
そして、状態S14で非検出状態であれば、状態S15に遷移する(t11)。状態S15において非検出状態であれば、状態S11に遷移し(t12)、状態S15において検出状態であれば、状態W11に遷移する(t13)。
すなわち、非検出状態であれば状態S11近辺を遷移し、検出状態であれば状態S13近辺を遷移することになる。そして、信号処理装置2は、ステートマシンの各状態を遷移しながら、上述のステップX1〜X7の各処理を行う。
図30に示すステートマシンでは、状態S13から検出状態が継続すると、状態S13と状態S14との間を往復する遷移を示す。そこで、状態S13と状態S14との間を往復する遷移が発生した場合に、状態S14を経由した回数をカウントすることで、検出状態の継続時間がわかる。そこで、検出状態の継続時間の上限、または状態S14を経由する回数の上限を予め設定しておき、状態S14においてその上限を超えた場合、検出状態であっても状態S13に遷移することなく、状態I11に遷移する(t14)。
状態I11では、閾値判定処理で用いる閾値E2が小さすぎるために、検出状態が継続している可能性があるとして、パラメータ調整部14が閾値E2を再設定する動作を行う。具体的に、状態I11において、センサ信号のA/D変換処理、DCT処理、フィルタバンク処理を行い(図23におけるステップX1〜X3)、各フィルタバンク5aにおける信号強度を計測する。そして、パラメータ調整部14は、全てまたは複数のフィルタバンク5aの信号強度の平均値に予め定めた係数を掛け合わせて、閾値E2を算出し、以降の閾値判定処理ではこの閾値E2を使用する。また、閾値E2の範囲を、予め定めた上限値や下限値で限定してもよい。
なお、パラメータ調整部14は、状態I11で新たに算出した閾値E2が、現在使用中の閾値E2より大きい場合のみ、使用中の閾値E2に代えて、状態I11で新たに算出した閾値E2に再設定する。逆に、パラメータ調整部14は、状態I11で新たに算出した閾値E2が、現在使用中の閾値E2以下である場合、状態I11で算出した新たな閾値E2に再設定せず、使用中の閾値E2を継続して使用する。そして、状態I11における処理が完了した後、状態S11に遷移する(t15)。
また、図30に示すステートマシンでは、状態S11から非検出状態が継続すると、状態S11と状態S16との間を往復する遷移を示す。そこで、状態S11と状態S16との間を往復する遷移が発生した場合に、状態S16を経由した回数をカウントすることで、非検出状態の継続時間がわかる。そこで、非検出状態の継続時間の上限、または状態S16を経由する回数の上限を予め設定しておき、状態S11においてその上限を超えた場合、非検出状態であっても状態S16に遷移することなく、状態I12に遷移する(t16)。
状態I12では、閾値判定処理で用いる閾値E2が大きすぎるために、非検出状態が継続している可能性があるとして、パラメータ調整部14は、閾値E2を再設定する動作を行う。具体的に、状態I12において、センサ信号のA/D変換処理、DCT処理、フィルタバンク処理を行い(図23におけるステップX1〜X3)、各フィルタバンク5aにおける信号強度を計測する。そして、パラメータ調整部14は、全てまたは複数のフィルタバンク5aの信号強度の平均値に予め定めた係数を掛け合わせて、閾値E2を算出し、以降の閾値判定処理ではこの閾値E2を使用する。また、閾値E2の範囲を、予め定めた上限値や下限値で限定してもよい。
なお、パラメータ調整部14は、状態I12で新たに算出した閾値E2が、現在使用中の閾値E2より小さい場合のみ、使用中の閾値E2に代えて、状態I12で新たに算出した閾値E2に再設定する。逆に、パラメータ調整部14は、状態I12で新たに算出した閾値E2が、現在使用中の閾値E2以上である場合、状態I12で算出した新たな閾値E2に再設定せず、使用中の閾値E2を継続して使用する。そして、状態I12における処理が完了した後、非検出状態であれば状態S11に遷移し(t17)、検出状態であれば状態W11に遷移する(t18)。
このように、検出状態または非検出状態が予め設定した時間よりも長く継続する場合、現在の閾値E2が現状の暗雑音または周囲の雑音に対して不適切な値に設定されている可能性があると判断して、閾値E2の再設定が行われる。したがって、閾値E2が小さすぎることによって誤検出が発生している場合、より大きな閾値E2に更新されることによって、誤検出発生を抑制することができる。また、閾値E2が大きすぎることによって検出対象物を検出できない場合、より小さな閾値E2に更新されることによって、検出感度が上がり、検出漏れを減らすことができる。
しかしながら、閾値判定処理で用いる閾値E2を上述のように更新しても、周囲環境の大きな変動によって、誤検出が発生したり、検出対象物が存在するにも関わらず非検出の状態になる検出漏れが発生する可能性がある。
そこで、本実施形態の信号処理装置2は、レベル設定部13を備える(図1参照)。図13は、レベル設定部13を用いたステートマシンの動作を示す。
レベル設定部13は、認識部7の認識処理における検出対象物の検出感度の高低を示す感度レベルを設定する。このレベル設定部13は、状態I11,I12における閾値E2の更新処理にも関わらず、認識部7による誤検出が発生しやすい状況であると判断した場合に、感度レベルを低く設定する。さらにレベル設定部13は、認識部7による誤検出が発生しにくい状況であると判断した場合に、感度レベルを高く設定する。
パラメータ調整部14は、レベル設定部13が設定した感度レベルに基づいて、感度レベルが高い場合、物体の検出感度が高くなるようにパラメータを設定し、感度レベルが低い場合、物体の検出感度が低くなるようにパラメータを設定する。すなわち、レベル設定部13が設定した感度レベルが高い場合、パラメータ調整部14によるパラメータの調整範囲(上限、下限)は、物体を比較的検出しやすい範囲に設定される。また、レベル設定部13が設定した感度レベルが低い場合、パラメータ調整部14によるパラメータの調整範囲(上限、下限)は、物体を比較的検出しにくい範囲に設定される。
図31は、図30のステートマシンにおける状態S11と状態I12との間に、状態C11を設けたものである。
そして、状態S11、S15、S16、I12において検出状態になれば、状態W11に遷移し(t03,t06,t13,t18)、状態W11で予め定めた時間だけ待機した後、状態S12に遷移する(t07)。
状態S12では、レベル設定部13が、感度レベルの更新処理を行う。具体的に、レベル設定部13は、状態W11に遷移する原因となった検出状態が検出対象物を検出したために発生したのか、検出対象以外の物体の動き(外乱)を誤検出したために発生したのかを判断する。レベル設定部13の判断処理は、現時点でのセンサ信号に基づく認識部7の認識結果に基づいて行われる。そして、レベル設定部13は、状態W11に遷移する原因となった検出状態が検出対象物を検出したために発生したと判断した場合、認識部7による誤検出が発生しにくい状況(通常時)であると判断する。また、レベル設定部13は、状態W11に遷移する原因となった検出状態が検出対象以外の物体の動き(外乱)を誤検出したために発生したと判断した場合、認識部7による誤検出が発生しやすい状況(外乱発生時)であると判断する。
そして、レベル設定部13は、認識部7の認識処理における検出対象物の検出感度の高低を示すフラグの設定機能を有しており、上述の判断処理の結果に基づいて、フラグの設定を更新する。レベル設定部13は、通常時であると判断した場合にフラグを「0」に設定し、外乱発生時であると判断した場合にフラグを「1」に設定する。フラグ「0」は、感度レベル:「高」に対応し、フラグ「1」は、感度レベル:「低」に対応する。
なお、このレベル設定部13によるフラグの更新処理は、外乱発生時である旨の判断が所定回数以上連続した場合、または通常時である旨の判断が所定回数以上連続した場合に行われることが好ましい。あるいは、レベル設定部13によるフラグの更新処理は、外乱発生時である旨の判断が所定期間内に所定回数以上発生した場合、または通常時である旨の判断が所定期間内に所定回数以上発生した場合に行われることが好ましい。
すなわち、レベル設定部13は、外乱によって認識部7の誤検出が発生しやすい状況であると判断した場合に、感度レベルを低く設定する。またレベル設定部13は、認識部7の誤検出が発生しにくい状況であると判断した場合に、感度レベルを高く設定する(感度レベルを元に戻す)。そして、レベル設定部13による感度レベルの設定処理が完了すると、状態S12から状態S13に遷移する(t08)。
以降、パラメータ調整部14は、フラグの状態(0または1)に基づいて、フラグ「0」であれば、検出感度が高くなるように閾値E2を設定する(通常時の設定)。またパラメータ調整部14は、フラグ「1」であれば、物体の検出感度が低くなるように閾値E2を設定する(外乱発生時用の設定)。すなわち、パラメータ調整部14は、フラグ「0」であれば、閾値(E2)の調整範囲を比較的低い範囲に設定し、フラグ「1」であれば、閾値(E2)の調整範囲を比較的高い範囲に設定する。
また、状態S11において非検出状態の継続時間が上限を超えた場合、ステートマシンは、非検出状態であっても状態S16に遷移することなく、状態C11に遷移する(t16A)。状態C11においても、レベル設定部13は、フラグの設定を更新する。具体的に、レベル設定部13は、状態C11に遷移する原因となった非検出状態が、検出対象物が実際にないために発生したのか、検出対象物が実際にあるにも関わらず検出対象物がないと誤検出したために発生したのかを判断する。レベル設定部13の判断処理は、現時点でのセンサ信号に基づく認識部7の認識結果に基づいて行われる。そして、レベル設定部13は、状態C11に遷移する原因となった非検出状態が、検出対象物が実際にないために発生したと判断した場合、認識部7による誤検出が発生しにくい状況(通常時)であると判断する。また、レベル設定部13は、状態C11に遷移する原因となった検出状態が、検出対象物が実際にあるにも関わらず検出対象物がないと誤検出したために発生したと判断した場合、認識部7による誤検出が発生しやすい状況(外乱発生時)であると判断する。
そして、レベル設定部13は、上述の判断処理の結果に基づいて、フラグの設定を更新する。レベル設定部13は、通常時であると判断した場合にフラグを「0」に設定し、外乱発生時であると判断した場合にフラグを「1」に設定する。そして、レベル設定部13による感度レベルの設定処理が完了すると。状態C11から状態I12に遷移する(t16B)。
なお、このレベル設定部13によるフラグの更新処理は、外乱発生時である旨の判断が所定回数以上連続した場合、または通常時である旨の判断が所定回数以上連続した場合に行われることが好ましい。あるいは、レベル設定部13によるフラグの更新処理は、外乱発生時である旨の判断が所定期間内に所定回数以上発生した場合、または通常時である旨の判断が所定期間内に所定回数以上発生した場合に行われることが好ましい。
以降、パラメータ調整部14は、フラグの状態(0または1)に基づいて、フラグ「0」であれば、検出感度が高くなるように閾値E2を設定し、フラグ「1」であれば、物体の検出感度が低くなるように閾値E2を設定する。すなわち、パラメータ調整部14は、フラグ「0」であれば、閾値E2の調整範囲を比較的低い範囲に設定し、フラグ「1」であれば、閾値E2の調整範囲を比較的高い範囲に設定する。
なお、レベル設定部13による外乱発生時、通常時の判断処理は、センサ信号の周波数成分の分布を用いたパターン認識に基づく方法、センサ信号の過去の変動に基づいて、検出対象物であるとは考えにくい特徴の有無を検出する方法等がある。
図32、図33は、図30に示すステートマシンの基本動作(レベル設定部13を用いないときの動作)を用いたシミュレーション結果を示す。図32は、電波センサ1から出力されるセンサ信号の一例を示している。図33は、出力部12の出力信号である。認識部7により検出対象物が検出された場合には出力信号はハイレベル(ここでは、「1」)となり、検出対象物が検出されない場合には出力信号はローレベル(ここでは、「0」)となる。そして、図32のセンサ信号は、外乱発生時のセンサ信号を期間T1に発生し、接近してくる検出対象物によるセンサ信号を期間T2に発生している。この場合、出力部12の出力信号は、期間T1において、検出対象物を検出する誤検出が頻繁に発生している。すなわち、図30に示すステートマシンの基本動作では、外乱による誤検出が頻繁に発生する。
次に、図34、図35は、図31に示すステートマシン(レベル設定部13を用いたときの動作)を用いたシミュレーション結果を示す。図34は、レベル設定部13が設定するフラグの状態である。図35は、図32のセンサ信号に対する出力部12の出力信号である。
出力部12の出力信号は、期間T1の初期において検知状態になる。このとき、状態S12において、レベル設定部13は外乱による誤検出を検知して、フラグを「0」から「1」に切り替える。フラグが「0」から「1」に切り替わることで、パラメータ調整部14による閾値(E2)の設定が外乱発生時用の設定となり、出力部12の出力信号は非検知状態が続く。すなわち、フラグが「0」から「1」に切り替わることで、パラメータ調整部14が、検出感度が低くなるように閾値E2を設定しており、以降、外乱による誤検出が低減している。
そして、非検出状態が継続した後、状態C11においてレベル設定部13がフラグを「1」から「0」に切り替えることによって、パラメータ調整部14による閾値E2の設定が通常時用の設定となる。
このように、図31に示すステートマシンを用いることによって、パラメータ調整部14は、通常時用の閾値E2設定、外乱発生時用の閾値E2設定を切り替えている。外乱発生時用の閾値E2設定は、通常時用の閾値E2設定に比べて、誤検出を抑制している。
図31に示すステートマシンにおいて、レベル設定部13が設定するフラグは、状態S12、状態C11で更新される。しかし、認識部7が認識処理を行っているときに、レベル設定部13がフラグの状態を切り替えて、パラメータ調整部14が閾値E2を変更すると、誤作動の原因となる。そこで、信号処理装置2は、状態S12、状態C11において、認識部7による検出対象物の認識処理を行わない。すなわち、レベル設定部13は、認識部7が認識処理を行っていないときにフラグの状態(感度レベル)を切り替え、認識部7が認識処理を行っているときにはフラグの状態(感度レベル)を切り替えない。ステートマシンにおける処理内容を分離する事で、検出対象物の認識処理と、閾値E2の更新処理とを別々に実行している。したがって、認識部7が認識処理を行っているときに誤作動の発生を抑制できる。
また、状態S12、状態C11におけるフラグの状態の更新処理は、状態S12、状態C11の期間内に入力されたセンサ信号のみを用いて行われる。しかし、状態S12、状態C11におけるフラグの状態の更新処理は、状態S12または状態C11にステートが滞留する期間内に入力されたセンサ信号のみを用いて行われると、通常時または外乱発生時であるか否かの判断ができない場合がある。そこで、レベル設定部13は、状態S12、状態C11の各期間だけでなく、より長い期間に入力されたセンサ信号や、このセンサ信号を用いた認識処理の履歴等に基づいて、フラグの状態の更新処理を行う。
具体的に、信号処理装置2は、図31のステートマシンとは別に、このステートマシンの状態に関わらず、センサ信号や、このセンサ信号を用いた認識処理の内容を監視する監視部をレベル設定部13に設ける。この監視部は、認識部7の認識処理に影響を及ぼさず、監視対象を監視し続ける。そして、図31のステートマシンが状態C11、状態S12に遷移したときに、信号処理装置2は、監視部に蓄積された各情報を参照して、フラグの状態の更新処理を行う。すなわち、レベル設定部13は、認識部7による誤検出が発生しやすい状況であるか否かを判断するための情報を、パラメータ調整部14および認識部7の動作に関わらず収集することが好ましい。
図31のステートマシンにおいて、レベル設定部13が認識部7による誤検出の発生状況に応じて感度レベルを設定することによって、検出感度向上、誤検出低減の調整を行う。また、信号処理装置2は、動作中に、センサ信号の状態に応じて感度レベルを切り替え、感度レベルに応じたパラメータを設定することで、周囲環境の変動がある場合でも、検出感度向上と誤検出低減とのバランスをとることができる。
また、信号処理装置2は、通常時に用いるパラメータとは別に、外乱発生時に誤検出を抑制することが可能なパラメータを設定することができる。しかし、外乱発生時に誤検出を抑制することが可能なパラメータを用いた場合、検出感度が低下する傾向となる。そこで、通常は検出感度を優先した通常時のパラメータを用いて動作し、外乱が発生していると判断される場合に、誤検出低減を優先した外乱発生時用のパラメータに切り替えることで、誤検出を抑制する。一方、外乱による誤検出が減少したと判断される場合には、通常時のパラメータに切り替えることで、検出感度を標準状態に戻すことができる。
したがって、信号処理装置2は、検出感度向上と誤検出低減とのバランスをとりながら、検出対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減することができる。
また、パラメータ調整部14が変化させるパラメータとしては、上述の閾値判定処理に用いる閾値E1、E2に限定されない。
例えば、認識部7が、重回帰分析を用いた認識処理を行う場合、規格化部6から出力された規格化強度の時間軸上でのデータA1から、重回帰分析により信号成分A2,A3を分離する(図19A参照)。信号成分A2は、人の移動に起因した信号成分であり、信号成分A3は、外乱に起因した信号成分である。そして、信号処理装置2は、所定のフィルタバンク5aにおいて、抽出された検出物体信号成分A2の単位時間当たりの変動の大きさが閾値E11未満である場合のみ、認識部7による認識処理を行う、もしくは認識部7による認識結果を有効とする。信号処理装置2は、閾値E11の設定により、外乱による誤検出と思われる判定結果を出力しないことが可能となる。
この場合、パラメータ調整部14は、フラグの状態(0または1)に基づいて、フラグ「0」であれば、検出感度が高くなるように閾値E11を設定し、フラグ「1」であれば、物体の検出感度が低くなるように閾値E11を設定する。すなわち、パラメータ調整部14は、フラグ「0」であれば、閾値E11の調整範囲を比較的高い範囲に設定し、フラグ「1」であれば、閾値E11の調整範囲を比較的低い範囲に設定する。すなわち、パラメータ調整部14は、閾値E11を、設定対象のパラメータとする。
また、信号処理装置2は、所定のフィルタバンク5aを通過した信号(規格化前の信号)の強度の単位時間当たりの変動の大きさが閾値E21未満である場合のみ、認識部7による認識処理を行う、もしくは認識部7による認識処理の結果を有効としてもよい。信号処理装置2は、閾値E21の設定により、外乱による誤検出と思われる判定結果を出力しないことが可能となる。
この場合、パラメータ調整部14は、フラグの状態(0または1)に基づいて、フラグ「0」であれば、検出感度が高くなるように閾値E21を設定し、フラグ「1」であれば、物体の検出感度が低くなるように閾値E21を設定する。すなわち、パラメータ調整部14は、フラグ「0」であれば、閾値E21の調整範囲を比較的高い範囲に設定し、フラグ「1」であれば、閾値E21の調整範囲を比較的低い範囲に設定する。すなわち、パラメータ調整部14は、閾値E21を、設定対象のパラメータとする。
また、パラメータ調整部14は、1つのパラメータのみを設定対象とする以外に、複数のパラメータの組を設定対象としてもよい。
さらに、認識部7は、認識処理としてニューラルネットワークによる認識処理を行って物体を検出する機能を有してもよい。これにより、信号処理装置2は、認識部7による検出精度を向上させることが可能となる。
(まとめ)
上述の信号処理装置2は、周波数分析部5と認識部7とレベル設定部13とパラメータ調整部14とを備える。周波数分析部5は、物体で反射した無線信号を受信する電波センサ1(センサ)から出力される物体の動きに応じたセンサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク5a毎の信号として抽出する。認識部7は、複数のフィルタバンク5a毎の信号に基づく信号の周波数分布と、複数のフィルタバンク5a毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方により物体を検出する認識処理を行う。レベル設定部13は、認識処理における物体の検出感度の高低を示す感度レベルを設定する。パラメータ調整部14は、認識処理における物体の検出感度を調整するパラメータを変化させる。パラメータ調整部14は、レベル設定部13が設定した感度レベルに基づいて、感度レベルが高い場合、物体の検出感度が高くなるようにパラメータを設定し、感度レベルが低い場合、物体の検出感度が低くなるようにパラメータを設定する。
この構成によると、信号処理装置2は、レベル設定部13が認識部7による誤検出の発生状況に応じて感度レベルを設定することによって、検出感度向上、誤検出低減の調整を行う。また、信号処理装置2は、センサ信号の状態に応じて感度レベルを切り替え、感度レベルに応じたパラメータを設定することで、周囲環境の変動がある場合でも、検出感度向上と誤検出低減とのバランスをとることができる。したがって、信号処理装置2は、検出感度向上と誤検出低減とのバランスをとりながら、検出対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減することができるという効果がある。
ここで、レベル設定部13は、認識部7による誤検出が発生しやすい状況であると判断した場合に、感度レベルを低く設定し、認識部7による誤検出が発生しにくい状況であると判断した場合に、感度レベルを高く設定することが好ましい。
この構成によると、信号処理装置2は、誤検出が発生状況に応じて、感度レベルを設定することができる。
ここで、レベル設定部13は、認識部7による誤検出が発生しやすい状況であるか否かを判断するための情報を、パラメータ調整部14および認識部7の動作に関わらず収集することが好ましい。
この構成によると、信号処理装置2は、パラメータ調整部14および認識部7の動作に関わらず、誤検出が発生しやすい状況であるか否かを判断することができる。
ここで、レベル設定部13は、認識部7が認識処理を行っていないときに感度レベルを切り替え、認識部7が認識処理を行っているときには感度レベルを切り替えないことが好ましい。
この構成によると、信号処理装置2は、認識部7が認識処理を行っているときに誤作動の発生を抑制できる。
ここで、認識部7は、複数のフィルタバンク5aの各信号強度の総和が第1の閾値以上である場合、認識処理を行う、もしくは認識処理の結果を有効とし、パラメータ調整部14は、パラメータとして第1の閾値を変化させることが好ましい。
この構成によると、信号処理装置2は、認識部7による検出精度を向上させることができる。
ここで、認識部7は、複数のフィルタバンク5a毎の信号強度から物体の動きに起因した信号成分を抽出する。認識部7は、抽出された信号成分の単位時間当たりの変動の大きさが、複数のフィルタバンク5aのうち少なくとも1つのフィルタバンク5aにおいて第2の閾値未満である場合、認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とすることが好ましい。パラメータ調整部14は、パラメータとして第2の閾値を変化させることが好ましい。
この構成によると、信号処理装置2は、認識部7による検出精度を向上させることができる。
ここで、認識部7は、複数のフィルタバンク5aのうち少なくとも1つのフィルタバンク5aの信号強度の単位時間当たりの変動の大きさが第3の閾値未満である場合、認識処理を行う、もしくは認識処理の結果を有効とすることが好ましい。パラメータ調整部14は、パラメータとして第3の閾値を変化させることが好ましい。
この構成によると、信号処理装置2は、認識部7による検出精度を向上させることができる。
ここで、信号処理装置2は、規格化部6を備えることが好ましい。規格化部6は、周波数分析部5により抽出された信号の強度の総和もしくは前記複数のフィルタバンク5aのうち所定数のフィルタバンク5aを通過した信号の強度の総和で、複数のフィルタバンク5aそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する。認識部7は、規格化部6から出力される複数のフィルタバンク5a毎の規格化強度から決まる周波数分布と規格化強度の成分比との少なくとも一方により物体を検出する認識処理を行う。
この構成によると、信号処理装置2は、検出対象以外の物体の動きに起因した誤検出を低減することができる。

Claims (8)

  1. 物体で反射した無線信号を受信するセンサから出力される前記物体の動きに応じたセンサ信号を周波数領域の信号に変換し、周波数帯域の異なる複数のフィルタバンク毎の信号として抽出する周波数分析部と、
    前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号の周波数分布と、前記複数のフィルタバンク毎の信号に基づく信号強度の成分比との少なくとも一方により前記物体を検出する認識処理を行う認識部と、
    前記認識処理における前記物体の検出感度の高低を示す感度レベルを設定するレベル設定部と、
    前記認識処理における前記物体の検出感度を調整するパラメータを変化させるパラメータ調整部とを備え、
    前記パラメータ調整部は、前記レベル設定部が設定した前記感度レベルに基づいて、前記感度レベルが高い場合、前記物体の検出感度が高くなるように前記パラメータを設定し、前記感度レベルが低い場合、前記物体の検出感度が低くなるように前記パラメータを設定する
    ことを特徴とする信号処理装置。
  2. 前記レベル設定部は、前記認識部による誤検出が発生しやすい状況であると判断した場合に、前記感度レベルを低く設定し、前記認識部による誤検出が発生しにくい状況であると判断した場合に、前記感度レベルを高く設定することを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  3. 前記レベル設定部は、前記認識部による誤検出が発生しやすい状況であるか否かを判断するための情報を、前記パラメータ調整部および前記認識部の動作に関わらず収集することを特徴とする請求項2記載の信号処理装置。
  4. 前記レベル設定部は、前記認識部が前記認識処理を行っていないときに前記感度レベルを切り替え、前記認識部が前記認識処理を行っているときには前記感度レベルを切り替えないことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の信号処理装置。
  5. 前記認識部は、前記複数のフィルタバンクの各信号強度の総和が第1の閾値以上である場合、前記認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とし、
    前記パラメータ調整部は、前記パラメータとして前記第1の閾値を変化させる
    ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の信号処理装置。
  6. 前記認識部は、前記複数のフィルタバンク毎の信号強度から前記物体の動きに起因した信号成分を抽出し、抽出された前記信号成分の単位時間当たりの変動の大きさが、前記複数のフィルタバンクのうち少なくとも1つのフィルタバンクにおいて第2の閾値未満である場合、前記認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とし、
    前記パラメータ調整部は、前記パラメータとして前記第2の閾値を変化させる
    ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の信号処理装置。
  7. 前記認識部は、前記複数のフィルタバンクのうち少なくとも1つのフィルタバンクの信号強度の単位時間当たりの変動の大きさが第3の閾値未満である場合、前記認識処理を行う、もしくは前記認識処理の結果を有効とし、
    前記パラメータ調整部は、前記パラメータとして前記第3の閾値を変化させる
    ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の信号処理装置。
  8. 前記周波数分析部により抽出された信号の強度の総和もしくは前記複数のフィルタバンクのうち所定数のフィルタバンクを通過した信号の強度の総和で、前記複数のフィルタバンクそれぞれを通過した信号の強度を規格化し規格化強度として出力する規格化部を備え、
    前記認識部は、前記規格化部から出力される前記複数のフィルタバンク毎の規格化強度から決まる周波数分布と前記規格化強度の成分比との少なくとも一方により前記物体を検出する認識処理を行う
    ことを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の信号処理装置。
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