JP6166349B2 - 植物の生育に関するaba応答のための合成化合物 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書に援用される、2012年3月30日に出願された米国仮特許出願第61/618,386号に対する優先権の利益を主張する。
連邦政府による援助を受けた研究開発に基づいてなされた発明に対する権利に関する記載
本発明は、全米科学財団により授与された助成金番号DGE0504249およびIOS0820508に基づく政府支援を受けてなされた。政府は、本発明における特定の権利を有する。
発明の背景
アブシジン酸(ABA)は、非生物的ストレス応答に関連付けられるシグナル伝達を調節する植物ホルモンである(Cutler et al.,2010,Abscisic Acid:Emergence of a Core Signaling Network.Annual Review of Plant Biology61:651−679)。ABAシグナル経路は、多数のアプローチを介して、植物ストレス応答および関連する生産特性を改善するために利用されている(Yang et al.,2010)。ABAの植物への直接的な適用は、それらの水利用効率を改善し(Raedmacher et al.,1987)、この理由のため、ABAアゴニストの発見(Park et al.,2009;Melcher et al.,2010,Identification and mechanism of ABA receptor antagonism. Nature Structural & Molecular Biology17(9):1102−1110)は、かかる分子が作物生産高を改善するために有益でありうる(Notman et al.,2009)ため、ますます注目を受けている。最初に特定された合成ABAアゴニストは、ピラバクチンと称されるナフタレンスルホンアミドであり(Park et al.,2009)、それは種子におけるABAシグナル伝達を効率的に活性化するが、非生物学的ストレス耐性の最も決定的な側面が発生する栄養組織においては限られた活性を有する。ピラバクチンに高度に類似したスルホンアミドは、ABAアゴニスト(米国特許出願公開第20130045952号参照)および非生物的ストレス調整化合物(米国特許出願公開第20110230350号参照)として開示されており、また非スルホンアミドABAアゴニストも説明されている(米国特許出願公開第20130045952号および同第20110271408号参照)。ABA経路の活性化への補完的なアプローチは、遺伝学的方法を介してABAに対する植物の感受性を増加させることに関する。例えば、ファルネシルトランスフェラーゼβサブユニット遺伝子の条件的アンチセンスは、植物のABA感受性を増加させ、アブラナおよびシロイヌナズナの双方において、適度な乾燥下での生産高を改善する(Wang et al.,2005)。このように、生産高に寄与する特性を改善するためのABAシグナル伝達の操作が、現在良好に確立されている。
近年、ABAは、PYR/PYLタンパク質と呼ばれる可溶性ファミリーの受容体に結合することによって、その細胞応答の多くを誘発することが発見された。PYR/PYLタンパク質は、STARTスーパーファミリーと称されるリガンド結合タンパク質の大きなファミリーに属する(Iyer et al.,2001);Ponting et al.,1999)。これらのタンパク質は、中央のα螺旋を包囲して「螺旋グリップ」モチーフを形成する、7つの逆並行のβシートからなる保存された3次元アーキテクチャを含有し、これらの構造要素は合わせて、ABAまたは他のアゴニストと結合するためのリガンド結合ポケットを形成する。
本発明は、小分子ABAアゴニスト、すなわち、PYR/PYLタンパク質を活性化する化合物を提供する。一態様では、本発明は、本明細書で説明されるABAアゴニストを含む農業用製剤を提供する。幾つかの実施形態では、農業用製剤は、式Iの化合物、またはその塩もしくは異性体を含む:
Figure 0006166349
式中、
は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
は、それぞれ1〜4個のR2a基で置換されていてもよい、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
各R2aは独立して、H、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ハロアルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−OH、C1〜6アルキルヒドロキシ、−CN、−NO、−C(O)R2b、−C(O)OR2b、−OC(O)R2b、−C(O)NR2b2c、−NR2bC(O)R2c、−SO2b、−SOOR2b、−SONR2b2c、および−NR2bSO2cからなる群から選択され、
2bおよびR2cのそれぞれは独立して、HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、
、R、およびRのそれぞれは独立して、HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、
Lは、結合およびC1〜6アルキレンからなる群から選択されるリンカーであり、
下付文字mは、0〜4の整数であり、
下付文字nは、0〜3の整数である。
幾つかの実施形態では、農業用製剤は、植物成長を促進するため、雑草を減少させるため、または害虫を減少させるために有用な農業用化学物質を更に含む。幾つかの実施形態では、農業用製剤は、殺真菌剤、除草剤、駆除剤、殺線虫剤、殺虫剤、植物活性剤、共力剤、除草剤毒性緩和剤、植物成長調節剤、防虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、または肥料のうちの少なくとも1つを更に含む。幾つかの実施形態では、農業用製剤は、界面活性剤を更に含む。幾つかの実施形態では、農業用製剤は、担体を更に含む。
別の態様では、本発明は、植物における非生物学的ストレス耐性を増加させるための方法であって、上述の製剤と接触されていないときの植物における非生物学的ストレス耐性に比べて該植物における非生物学的ストレス耐性を増加させるのに十分な量の該製剤と該植物を接触させるステップを含む、方法を提供する。幾つかの実施形態では、植物は、単子葉植物である。幾つかの実施形態では、植物は、双子葉植物である。幾つかの実施形態では、非生物的ストレス耐性は、乾燥耐性を含む。
別の態様では、本発明は、植物における種子発芽を抑制する方法であって、植物、植物部位、または植物種子を、発芽を抑制するのに十分な量の上述の製剤と接触させるステップを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、上述の製剤と接触している植物または植物部位を提供する。幾つかの実施形態では、植物は、種子である。
別の態様では、本発明は、PYR/PYLタンパク質を活性化する方法を提供する。本方法の幾つかの実施形態では、PYR/PYLタンパク質は、PYR/PYLタンパク質が、アゴニスト化合物LC66C6(本明細書ではキナバクチンとも称する)と結合するとき、2型タンパク質ホスファターゼ(PP2C)ポリペプチドと結合する。幾つかの実施形態では、方法は、PYR/PYLタンパク質を本明細書に説明される化合物のうちの任意のものと接触させるステップを含む。幾つかの実施形態では、活性化されるPYR/PYLタンパク質は、配列番号:1〜119のうちの任意の1つと実質的に同一である。幾つかの実施形態では、PYR/PYLタンパク質は、細胞によって発現される。幾つかの実施形態では、PYR/PYLタンパク質は、植物細胞によって発現される。幾つかの実施形態では、PYR/PYLタンパク質は、内因性タンパク質である。幾つかの実施形態では、PYR/PYLタンパク質は、異種タンパク質である。幾つかの実施形態では、細胞は、2型タンパク質ホスファターゼ(PP2C)を更に発現する。幾つかの実施形態では、2型タンパク質ホスファターゼは、HAB1(Homology to ABI1)、ABI1(Abscisic acid insensitive 1)、またはABI2(Abscisic acid insensitive 2)である。
[本発明1001]
式Iの化合物またはその塩もしくは異性体を含む、農業用製剤:
Figure 0006166349
式中、
1 は、H、C 1〜6 アルキル、C 2〜6 アルケニル、C 2〜6 アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
2 は、それぞれ1〜4個のR 2a 基で置換されていてもよい、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
各R 2a は独立して、H、ハロゲン、C 1〜6 アルキル、C 1〜6 アルコキシ、C 1〜6 ハロアルキル、C 1〜6 ハロアルコキシ、C 2〜6 アルケニル、C 2〜6 アルキニル、−OH、C 1〜6 アルキルヒドロキシ、−CN、−NO 2 、−C(O)R 2b 、−C(O)OR 2b 、−OC(O)R 2b 、−C(O)NR 2b 2c 、−NR 2b C(O)R 2c 、−SO 2 2b 、−SO 2 OR 2b 、−SO 2 NR 2b 2c 、および−NR 2b SO 2 2c からなる群から選択され、
2b およびR 2c のそれぞれは独立して、HおよびC 1〜6 アルキルからなる群から選択され、
3 、R 4 、およびR 5 のそれぞれは独立して、HおよびC 1〜6 アルキルからなる群から選択され、
Lは、結合およびC 1〜6 アルキレンからなる群から選択されるリンカーであり、
下付文字mは、0〜4の整数であり、
下付文字nは、0〜3の整数である。
[本発明1002]
前記化合物が、式:
Figure 0006166349
を有する、本発明1001の製剤。
[本発明1003]
前記化合物が、式:
Figure 0006166349
を有する、本発明1002の製剤。
[本発明1004]
1 が、C 1〜6 アルキルであり、かつ
2 が、それぞれ1〜4個のR 2a 基で置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、本発明1002の製剤。
[本発明1005]
各R 2a が独立して、H、ハロゲン、およびC 1〜6 アルキルからなる群から選択される、本発明1004の製剤。
[本発明1006]
2 が、フェニル、ナフチル、チオフェン、フラン、ピロール、およびピリジルからなる群から選択される、本発明1004の製剤。
[本発明1007]
1 が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびヘキシルからなる群から選択され、
2 が、それぞれ1個のR 2a 基で置換されていてもよい、フェニルおよびチオフェンからなる群から選択され、
各R 2a が独立して、H、F、Cl、メチル、およびエチルからなる群から選択され、かつ
Lが、結合およびメチレンからなる群から選択される、本発明1004の製剤。
[本発明1008]
前記化合物が、式:
Figure 0006166349
を有する、本発明1007の製剤。
[本発明1009]
前記化合物が、式:
Figure 0006166349
を有する、本発明1007の製剤。
[本発明1010]
前記化合物が、図14または18に示される化合物のうちの1つである、本発明1001の製剤。
[本発明1011]
前記化合物が、
Figure 0006166349
である、本発明1001の製剤。
[本発明1012]
殺真菌剤、除草剤、駆除剤、殺線虫剤、殺虫剤、植物活性剤、共力剤、除草剤毒性緩和剤、植物成長調節剤、防虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、または肥料のうちの少なくとも1つを更に含む、本発明1001の製剤。
[本発明1013]
界面活性剤を更に含む、本発明1001の製剤。
[本発明1014]
担体を更に含む、本発明1001の製剤。
[本発明1015]
植物における非生物的ストレス耐性を増加させる方法であって、植物を本発明1001〜1014のいずれかの製剤と接触させないことに比べて該植物における非生物学的ストレス耐性を増加させるのに十分な量の該製剤と、該植物を接触させるステップを含む、方法。
[本発明1016]
前記植物が単子葉植物である、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記植物が双子葉植物である、本発明1015の方法。
[本発明1018]
前記非生物的ストレス耐性が乾燥耐性を含む、本発明1015の方法。
[本発明1019]
前記接触させるステップが、航空機または潅水によって前記製剤を前記植物に送達することを含む、本発明1015の方法。
[本発明1020]
植物における種子発芽を抑制する方法であって、種子を、発芽を抑制するのに十分な量の本発明1001〜1014のいずれかの製剤と接触させるステップを含む、方法。
[本発明1021]
本発明1001〜1014のいずれかの製剤と接触している、植物。
[本発明1022]
前記植物が種子である、本発明1021の植物。
[本発明1023]
PYR/PYLタンパク質を活性化する方法であって、該PYR/PYLタンパク質を、本発明1001〜1014のいずれかの化合物と接触させるステップを含む、方法。
[本発明1024]
前記PYR/PYLタンパク質が細胞によって発現される、本発明1023の方法。
[本発明1025]
前記細胞が植物細胞である、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記PYR/PYLタンパク質が内因性タンパク質である、本発明1024の方法。
[本発明1027]
前記PYR/PYLタンパク質が異種タンパク質である、本発明1024の方法。
[本発明1028]
前記細胞が2型タンパク質ホスファターゼ(PP2C)を更に発現する、本発明1024の方法。
[本発明1029]
前記2型タンパク質ホスファターゼが、HAB1(Homology to ABI1)、ABI1(Abscisic acid insensitive 1)、またはABI2(Abscisic acid insensitive 2)である、本発明1028の方法。
新規のABAアゴニストは、多数のPYR/PYLと結合する。(A)自然発生的(+)−ABA、その(−)類似体、および選択されるABAアゴニストの化学構造。(B)5uΜの試験化学物質に対するPYR/PYL受容体感受性の酵母ツーハイブリッドアゴニスト分析。特定のPYR/PYL受容体およびPP2C HAB1は、本文に説明される通り、Gal4 BDまたはAD融合タンパク質としてそれぞれ発現される。 新規のABAアゴニストは、多数のPYR/PYLを通じてPPC2活性を抑制する。(A)自然発生的(+)−ABAおよび選択されるABAアゴニストの化学構造。(B)および(C)10μΜの各試験化学物質の存在下または不在化における、様々な受容体に関するABA−アゴニスト分析に基づくHAB1、ABI1、およびABI2 PP2C酵素活性。 (A)ABAのアゴニストおよび類似体によるPP2C酵素活性の受容体媒介性の用量依存性抑制。(B)酵素的HAB1 PP2C系ABA−アゴニスト分析において観察された化合物IC50値。 キナバクチンは、多数のABA受容体を活性化する。(A)ABA、ピラバクチン、およびキナバクチンの化学構造。(B)ABA受容体によるHAB1の化学物質依存性抑制。IC50値(nM)は、50nMのHAB1、50nMおよび多数の濃度の化合物を用いて、方法に説明される通りに決定された。総量応答曲線は、図3に提供される。(nd)は、活性タンパク質として産生されなかった受容体に対応する。系統樹は、MEGA5内のJTT距離行列を用いて作成された近隣結合系統樹である(Tamura K,et al.(2011)MEGA5:Molecular Evolutionary Genetics Analysis Using Maximum Likelihood,Evolutionary Distance,and Maximum Parsimony Methods.Molecular Biology and Evolution28(10):2731−2739)。 新規のABAアゴニストは、ピラバクチンよりも強力にシロイヌナズナ種子の発芽を抑制する。(A)および(B)ABAアゴニストによる種子発芽抑制の比較。(C)および(D)発芽(C)および実生樹立(D)におけるシロイヌナズナのABAシグナル伝達欠損変異体およびABA生合成欠損変異体へのABAおよびLC66C6(キナバクチンとも称される)の効果。種子を、化学物質を含有する1/2× MS寒天プレート上に撒き、4℃で4日間保管し、次に22±2℃に移動した。写真(AおよびC)および発芽(B)または緑色子葉(D)スコアを、継続的照明下での4日間のインキュベーション後、分析した。パネルCは、5μΜのABAまたはLC66C6における発芽分析を示す。 LC66C6は、植物成長を抑制する。(A)写真は、野生型、abil−1、およびPYR/PYL4重変異体シロイヌナズナ遺伝子型に対するABA、ピラバクチン、およびLC66C6の効果を示している。ABA、LC66C6、およびピラバクチンによる(B)根成長抑制および(C)植物成長抑制。2日齢の実生を、化学物質を含有する1/2× MSプレート上に移動し、試験化合物上での5日間のインキュベーション後、表現型をスコア化、または撮影した。 LC66C6は、乾燥ストレス耐性を強化する。LC66C6は、野生型(A)およびaba2変異体遺伝子型(B)において脱離した葉の蒸散水分損失を抑止する。(C)LC66C6は、ABA非感受性遺伝子型abil−1の表現型を救出できなかった。(D)LC66C6は、野生型およびaba2において気孔閉鎖を誘発したが、abil−1遺伝子型においてはしなかった。(E)ダイズにおける乾燥処理間の土壌水分含有量に対する化合物の効果。土壌水分含有量は、実施例に説明する通りに測定した。 キナバクチンは、野生型植物に乾燥ストレス耐性を付与する。(A)シロイヌナズナ乾燥耐性に対するキナバクチンの効果。2週齢の植物を、水を控えることによって乾燥ストレスに供し、12日後に撮影した。乾燥期間中、植物を、25μΜの化合物で3日毎に処理した。植物を、2週間の乾燥処理後に水分補給した。各処理に関する(試験された総数中の)生存植物の数が、各画像の隣に示される。(B)ダイズに対するキナバクチンの効果。2週齢の植物を、水を控えることによって乾燥ストレスに供し、8日間の乾燥処理後に撮影した。全ての乾燥ストレス処理に関して、化合物(シロイヌナズナに関して25μΜ、およびダイズに関して50μΜにて試験した)を、0.05%Tween−20を含有する溶液中で適用し、乾燥措置の間はずっと3日毎にエアロゾルとして適用した。全実験に関する値は、平均±SEMである(n=6、1回の実験あたり3つの植物を使用)。 LC66C6は、多数のABA応答性遺伝子を誘発する。(A)ビヒクル(DMSO)、ピラバクチン、LC66C6、または(+)−ABAのいずれかで処理した、シロイヌナズナ実生の野生型、abil−1、pyr1/pyl1/pyl2/pyl44重受容体変異体遺伝子型におけるABA応答性レポーター遺伝子RD29BおよびMAPKKK18の、化学的に誘発されたmRNA発現レベルを示す。(B)LC66C6は、シロイヌナズナ実生におけるABA応答性遺伝子を効率的に誘発し、一方ピラバクチンは誘発しない。10日齢の実生を、担体溶媒(DMSO)で、または25μΜのABA、ピラバクチン、もしくはLC66C6のいずれかで、8時間処理した。次に、全てのRNAを、調製し、標識し、ATH1マイクロアレイにハイブリッド形成させた。プロットされたデータは、全ての実験を通して検出された約13Kプローブに関するログ2変換した平均発現値である。示されるデータは、3回の生物学的反復から決定した平均である。(C)および(D)は、ビヒクル(DMSO)、ピラバクチン、LC66C6、または(+)−ABAによる処理後の異なる植物組織におけるレポーター遺伝子の発現を示す。 PYR/PYL単一変異体におけるABA応答性遺伝子発現。LC66C6、ABA、およびピラバクチンに対するABA応答性MAPKKK18、RD29A、およびRD29BmRNAの応答を、Col生態型およびLer生態型、ならびにpyr1、pyl1、ply2、pyl3、およびpyl4単一変異体遺伝子型において、特徴決定した。 LC66C6は、野生型植物、abil−1、およびPYR/PYL4重変異体におけるABA応答性遺伝子発現を誘発する。LC66C6および(+)−ABAは、用量依存性様式においてCol野生型植物におけるABF3、GBF3、NCED3、およびRD29Aの発現を誘発したが、一方ピラバクチンは誘発しない。 LC66C6感受性は、CYP707A ABA−ヒドロキシル化酵素によって影響されない。DMSO、40μΜの(+)−ABA、および40μΜのLC66C6で処理した、野生型植物、CYP707A(CYP707AOX)を過剰発現する植物、およびcyp707aに関する2重変異体である植物の(A)は写真を示し、また(B)は一次根長の量を示す。(A)の通り処理された植物における、(C)は生産量を示し、また(D)は緑色子葉を有する植物の割合を示す。 LC66C6は、多様な種におけるABA応答を調整する。示される化合物に対する応答における、発芽抑制(A)、および脱離2時間後の脱離した葉内の蒸散水分損失(B)。化学物質の適用後のダイズ(C)、オオムギ(D)、およびトウモロコシ(E)におけるABA応答性マーカー遺伝子の発現。D、P、L、およびAはそれぞれ、DMSO、ピラバクチン、LC66C6、および(+)−ABAを示す。 ABAおよびアゴニストの化学構造。 酵母分析および種子発芽におけるABAおよびアゴニストの効果。(A)は、図14に示されるアゴニストのそれぞれに対する応答を試験するための、PYR/PYL受容体PYR1、PYL1、PYL2、PYL3、およびPYL4を用いた酵母ツーハイブリッド分析の結果を示す。(B)は、野生型種子の発芽における図14のアゴニストの試験の結果を示す。(C)は、ABA誘発可能シロイヌナズナ遺伝子MAPKKK18の制御下でグルクロニダーゼを発現する遺伝子導入系統におけるグルクロニダーゼ分析を用いて測定した、ABA−レポーター系統における化合物の効果を示す。 LC66C6の適用は、ABA欠損変異体aba2において観察される成長欠損を救出することができる。化学溶液(25μΜ)を、14日齢の植物に1日につき2回、2週間噴霧した。画像(A)および生重量(B)は、4週の植物から得た。 ニセツリガネゴケおよびクラミドモナスにおけるABAおよびそのアゴニストの効果。フィジコミトレラ・パテンス(Phsycomitrella patens)におけるABAおよびアゴニストの効果の原糸体の成長画像(A)および定量分析(B)。原糸体を、200μΜの特定の試験化合物上で10日間成長させた。LC66C6の効果は弱かったが、原糸体成長を著しく抑制した。ピラバクチンは、原糸体を脱色した。(C)ニセツリガネゴケのABA応答性遺伝子の発現。原糸体を、200μΜの化学溶液で3時間処理した。(D)塩分ストレスおよび浸透圧ストレスを伴う化学物質上でのクラミドモナスのコロニー成長。ストレスを伴う、または伴わないクラミドモナス成長におけるABAおよびLC66C6の効果はなかった。ピラバクチンはニセツリガネゴケおよびクラミドモナスを脱色し、この化合物は、そのABAアゴニスト活性とは関係なく、これらの種において毒性を有する可能性があることを示唆している。 発芽の抑制およびpMAPKK18:Gusレポーター発現に対するそれらの効果に関して試験されたアゴニスト化合物のまとめを示す。++++++は強い活性を示し、それに対して単一の+は弱い活性を示し、ダッシュ(−)は活性がないことを示し、n.d.は未判定を示す。
定義
「アゴニスト」は、例えば、説明される標的タンパク質の発現を誘発もしくは活性化する、または、1つ以上の植物PYR/PYLタンパク質(またはコードしているポリヌクレオチド)に結合、刺激、増加、開放、活性化、促進、活性を強化、感作、もしくはそれらの活性を上方制御する、作用物質である。アゴニストは、自然発生的分子および合成分子を含むことができる。幾つかの実施形態では、アゴニストは、農業用製剤を製造するために農薬と組み合わせられる。好適な農薬の例としては、殺真菌剤、除草剤、駆除剤、肥料、および/または界面活性剤が挙げられる。アゴニストがPYR/PYLタンパク質を「刺激する」または「刺激しない」かどうかを決定するための分析としては、例えば、本明細書に説明される通り、推定アゴニストを精製したPYR/PYLタンパク質に接触させ、次にPYR/PYLタンパク質活性における機能的効果を決定すること、または本明細書に説明される通り、推定アゴニストをPYR/PYLタンパク質を発現している細胞に接触させ、次に説明される標的タンパク質活性における機能的効果を決定することが挙げられる。当業者であれば、アゴニストがPYR/PYLタンパク質を刺激するかまたは刺激しないかを決定するために、分析が好適であるかを決定できるであろう。推定アゴニストで処理されるPYR/PYLタンパク質を含む試料または分析は、効果の範囲を検証するためにアゴニストを伴わない対照試料と比較される。対照試料(アゴニストで処理されていない)は、100%の相対的活性値を割り当てられる。PYR/PYLタンパク質のアゴニズムは、対照に対する活性値が110%、任意で150%、任意で200、300%、400%、500%、もしくは1000〜3000%、またはそれ以上であるときに、達成される。
用語「PYR/PYL受容体ポリペプチド」は、野生型形態において、アブシジン酸(ABA)およびABA類似体のシグナル伝達を媒介する、ポリケチドシクラーゼドメイン2(PF10604)、ポリケチドシクラーゼドメイン1(PF03364)、およびBet V Iドメイン(PF03364)のうちの1つ以上または全ての存在によって部分的に特徴付けられるタンパク質を指す。多様なPYR/PYL受容体ポリペプチド配列が、当該技術分野において既知である。幾つかの実施形態では、PYR/PYL受容体ポリペプチドは、配列番号:1〜119のうちの任意のものと実質的に同一であるポリペプチドを含む。例えば、公開されたPCT出願WO2011/139798を参照されたい。
用語「活性分析」は、PYR/PYL受容体ポリペプチドの活性を測定または検出する任意の分析を指す。PYR/PYL受容体活性を測定するための例示的な分析は、実施例にて説明される通り、PYR/PYLポリペプチドの2型タンパク質ホスファターゼ(PP2C)ポリペプチドへの結合を検出する酵母ツーハイブリッド分析である。
2つの核酸配列またはポリペプチドは、下述の通り、最大に一致して整列されるときに、2つの配列内のそれぞれヌクレオチドまたはアミノ酸残基の配列が同じである場合に、「同一である」と言われる。用語「同一である」またはパーセント「同一性」は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いて、または手動整列および目視検査によって測定する際に、比較ウィンドウ上で最大に一致して比較および整列されるときに、同一である、または同一である特定のパーセンテージのアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する、2つ以上の配列または部分配列を指す。配列同一性のパーセンテージがタンパク質またはペプチドに関して使用されるとき、同一でない残基位置はしばしば、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、荷電または疎水性)を有する他のアミノ酸残基と置換され、したがって分子の機能的特性を変化させない、保存アミノ酸置換によって異なることが認められる。配列が保存置換において異なる場合、パーセント配列同一性は、置換の保存性性質を補正するように上方に調節されてよい。この調節のための手段は、当業者に周知である。典型的にはこれは、完全な不整合というよりむしろ部分的不整合として保存置換をスコア化し、それによってパーセンテージ配列同一性を増加させることに関する。したがって、例えば、同一であるアミノ酸が1のスコアを付与され、非保存置換がゼロのスコアを付与される場合、保存置換は、ゼロから1の間のスコアを付与される。保存置換のスコア化は、例えば、Meyers&Miller,Computer Applic.Biol.Sci.4:11−17(1988)のアルゴリズムに従って、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics,Mountain View,California,米国)に実装される通りに、算出される。
語句「実質的に同一である」は、2つの核酸またはポリペプチドの文脈において使用するとき、参照配列と少なくとも60%の配列同一性を有する配列を指す。別法として、パーセント同一性は、60%〜100%の任意の整数であることができる。幾つかの実施形態は、本明細書で説明されるプログラム、好ましくは、下述の標準パラメータを用いるBLASTを用いて、参照配列と比較して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む。本発明の実施形態は、配列番号:1〜119のうちのいずれかと実質的に同一である、ポリペプチドおよびポリペプチドをコードする核酸を提供する。
配列比較に関して、典型的には、1つの配列が参照配列として働き、それに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを用いるとき、試験配列および参照配列はコンピュータに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。初期設定のプログラムパラメータを使用することができるか、または代替的パラメータを指定することができる。配列比較アルゴリズムは次に、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列に関するパーセント配列同一性を算出する。
本明細書で使用するとき、「比較ウィンドウ」は、20〜600個、通常は約50〜約200個、より通常は約100〜約150個からなる群から選択される隣接位置の数のうちの任意の1つの部分への参照を含み、その中で、2つの配列が最適に整列された後、配列が同一番号の隣接位置の参照配列と比較されてよい。比較のための配列の整列の方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の最適な整列は、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同整列アルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA85:2444(1988)の類似法を探求することによって、これらのアルゴリズム(the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピュータ化実装によって、または手動整列および目視検査によって、実施することができる。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために好適なアルゴリズムは、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、それぞれ、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410およびAltschul et al.(1977)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に説明される。BLAST分析を実行するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information (NCBI)のウエブサイトを通じて公的に利用可能である。アルゴリズムは、データベース配列内の同じ長さのワードと整列されたときに、幾らか正に評価された閾値スコアTと整合するか、またはそれを満たす、クエリ配列内の長さWの短いワードを同定することによって、高スコア化配列ペア(HSP)を第1に同定することに関する。Tは、隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と称される(Altschul et al.,上述を参照)。これら開始隣接ワードヒットは、検索を開始してそれを含有するより長いHSPを見つけるためのシードとして働く。ワードヒットは次に、累積的な整列スコアが増加されうる限り遠く、各配列に沿って双方向に延長される。累積的スコアは、ヌクレオチド配列に関しては、パラメータM(一対の整合する残基に関する報酬スコア、常に0より大きい)およびN(不整合残基に関するペナルティスコア、常に0より小さい)を用いて算出される。アミノ酸配列に関して、スコア化マトリックスは、累積的スコアを算出するために使用される。双方向へのワードヒットの延長は、累積的整列スコアが、その最大達成値から量Xだけ外れたとき、累積的スコアが、1つ以上の負のスコア化残基整列の累積によってゼロ以下になったとき、またはいずれかの配列の末端に到達したときに、停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、配列の感受性および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関する)は、初期設定として、28のワードサイズ(W)、10の期待値(E)、M=1、N=−2、および両ストランドの比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、初期設定として、3のワードサイズ(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコア化マトリックスを使用する(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915(1989)参照)。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計的分析を実施する(例えば、Karlin&Altschul,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA90:5873−5787(1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、それによって2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の整合が偶然に発生するであろう確率の示唆を提供する、最小和確率(P(N))である。例えば、試験核酸の参照核酸に対する比較の最小和確率が、約0.01未満、より好ましくは約10−5未満、また最も好ましくは約10−20未満であれば、核酸は、参照配列に類似すると見なされる。
「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸および核酸配列の双方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体は、同一な、もしくは本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸を、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一な配列を指す。遺伝コードの縮退のため、多数の機能的に同一な核酸が、任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定される全ての位置において、コドンは、コードされるポリペプチドを変更することなく、説明される対応するコドンのうちのいずれかに変更されることができる。かかる核酸変種は、保存的に修飾された変種の1つの種である「サイレント変種」である。本明細書におけるポリペプチドをコードする全ての核酸配列はまた、核酸の全ての可能なサイレント変種を説明する。当業者は、核酸内の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUGを除く)は、機能的に同一な分子を生成するように修飾され得ることを認識するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸のそれぞれのサイレント変種は、それぞれの説明される配列の中に含まれる。
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列内の単一のアミノ酸または小さい割合のアミノ酸を変更する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列内の個々の置換は、その変更がアミノ酸の、化学的に類似したアミノ酸との置換をもたらす、「保存的に修飾された変異体」であることを認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存置換表は、当該技術分野において周知である。
以下の6つの群はそれぞれ、互いに保存置換であるアミノ酸を含有する:
(1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照。)
用語「植物」は、植物全体、シュート栄養器官および/または構造(例えば、葉、幹、および塊茎)、根、花および花器官(例えば、苞葉、萼片、花弁、雄蕊、心皮、葯)、胚珠(卵細胞および中心細胞を含む)、種子(受精卵、胚、内胚乳、および種皮を含む)、果実(例えば、成熟子房)、実生、植物組織(例えば、維管束組織、基本組織等)、細胞(例えば、孔辺細胞、卵細胞、トリコーム等)、ならびに同一のものの子孫を含む。本発明の方法において使用することができる植物の種類としては、被子植物(単子葉植物および双子葉植物)、裸子植物、シダ植物、コケ植物、ならびに多細胞藻および単細胞藻が挙げられる。それは、異数体、倍数体、2倍体、半数体、および半接合体を含む、様々な倍数性レベルの植物を含む。
本明細書で使用するとき、用語「遺伝子導入」は、人間によって修飾されたゲノムを含有する非自然発生的植物を説明し、該植物はそのゲノム内に、同じかまたは異なる植物種に由来することができる外因性の核酸分子を含む。外因性の核酸分子は、プロモーター、エンハンサー、もしくは他の調節要素等の遺伝子調節要素であることができ、または異種遺伝子調節要素に結合されることができるコード配列を含有することができる。性的異種交配から、または自殖によって生じる遺伝子導入植物は、かかる植物の子孫であり、また同様に「遺伝子導入」と見なされる。
本明細書で使用するとき、用語「乾燥抵抗性」または「乾燥耐性」は、それらの変形のうちの任意のものを含み、乾燥ストレス(すなわち、一定の日数の間、水がほとんどまたは全くない)の期間から回復する植物の能力を指す。典型的には、乾燥ストレスは、少なくとも5日であり、また例えば、植物種に応じて、例えば、18〜20日以上(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日)もの長さであることができる。
本明細書で使用するとき、用語「非生物的ストレス」、「ストレス」、または「ストレス条件」は、植物、植物細胞、または同類のものの、植物の代謝、成長、発達、繁殖、または植物の生存(集合的に、「成長」)に逆効果を有する生物的でない(「非生物的な」)物理的または化学的作因への曝露を指す。ストレスは、例えば、水(例えば、洪水、乾燥、もしくは水分欠乏)、嫌気性条件(例えば、より低いレベルの酸素もしくは高レベルのCO)、異常浸透圧性条件、塩分、または温度(例えば、暑さ/熱、寒さ、凍結、もしくは霜)、栄養素の欠乏、または汚染物質への曝露等の環境的要因に起因して、あるいはホルモン、二次メッセンジャー、または他の分子によって、植物に与えられることができる。嫌気性ストレスは、例えば、ストレス応答を引き起こすのに十分な酸素レベルの低下(低酸素または無酸素)に起因する。洪水ストレスは、モンスーン、雨季、鉄砲水、または植物の過剰潅水等の際に発生するような、植物、植物部位、組織、または単離細胞の液体媒体中での長期または一時的な浸漬に起因することができる。寒さストレスまたは熱ストレスは、それぞれ、特定の植物種に対する成長温度の最適な範囲からの温度の低下または増加に起因することができる。かかる最適成長温度範囲は、容易に決定され、または当業者に既知である。水分欠乏ストレスは、水分の損失、低下した膨圧、または、細胞、組織、器官、もしくは植物全体の減少した水分含有量によって誘発されることができる。乾燥ストレスは、細胞、組織、器官、もしくは生物に対する水の剥奪もしくは水の供給減少によって誘発されることができるかまたはそれらに関連付けられることができる。塩分誘発性ストレス(塩ストレス)は、細胞の細胞内または細胞外環境の浸透ポテンシャルにおける動揺に関連付けられる、またはそれらによって誘発されることができる。本明細書で使用されるとき、用語「非生物的ストレス耐性」または「ストレス耐性」は、正常な条件下の植物に比べて非生物的ストレスに対する植物の増加した抵抗性または耐性と、非生物的ストレス条件下での相対的に優れた様式で機能する能力とを指す。
ポリペプチド配列は、それが外来の種から生じているならば、または同種から生じている場合、その元の形態から改変された形態であるならば、生物に対してまたは第2のポリペプチド配列に対して「異種」である。
発明の詳細な説明
I.導入
本発明は、一部には、選択的アブシジン酸(ABA)アゴニストの発見に基づく。これまでのABAアゴニストと異なり、本明細書で説明されるアゴニストは、植物栄養組織内のABA経路を強力に活性化し、非生物的ストレス耐性を誘発する。新規のアゴニストは、植物の作物種におけるストレス耐性を誘発するために使用されることができる。アゴニストは、ブロッコリー、ハツカダイコン、アルファルファ、ダイズ、オオムギ、およびコーン(トウモロコシ)を含むがそれらに限定されない、単子葉および双子葉植物種におけるストレス耐性を誘発するために使用されることができる。
アブシジン酸は、芽の休眠、種子の休眠および/または成熟、葉および果実の落下、ならびに多様な生物学的ストレス(例えば、寒さ、熱、塩分、および乾燥)に対する応答を含む、様々な植物保護機能に関与する多機能性植物ホルモンである。ABAはまた、CO濃度と独立したメカニズムによる気孔閉鎖の調節にも関与する。ABA受容体タンパク質のPYR/PYLファミリーは、ABAシグナル伝達を媒介する。これまでに試験された植物は、複数のPYR/PYL受容体タンパク質ファミリーメンバーを発現し、それは少なくとも幾らかの余剰の活性を有する。PYR/PYL受容体タンパク質は、例えば、種子発芽、発芽後成長、気孔の動作、および乾燥を含むがそれに限定されないストレスへの植物の耐性における正の調節剤として、ABAシグナル伝達を媒介する。
幅広い種類の野生型(自然発生する)PYR/PYLポリペプチド配列は、当該技術分野において既知である。PYR1は、シロイヌナズナにおけるアブシジン酸(ABA)受容体として元々同定されたが、実際は、PYR1は、同様にABAシグナル伝達を媒介するシロイヌナズナにおける同じタンパク質ファミリー内のタンパク質(PYR/PYLタンパク質)の少なくとも14個の群のメンバーである。このタンパク質ファミリーはまた、他の植物にも存在し(例えば、配列リストを参照)、またポリケチドシクラーゼドメイン2(PF10604)、ポリケチドシクラーゼドメイン1(PF03364)、およびBet V Iドメイン(PF03364)のうちの1つ以上または全ての存在によって一部特徴付けられる。START/Bet v1スーパーファミリードメインは、例えば、Radauer,BMC Evol.Biol.8:286(2008)に説明される。幾つかの実施形態では、野生型PYR/PYL受容体ポリペプチドは、配列番号:1〜119のうちのいずれかを含む。幾つかの実施形態では、野生型PYR/PYL受容体ポリペプチドは、配列番号:1〜119のうちのいずれかと実質的に同一である(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%と同一である)。幾つかの実施形態では、PYR/PYL受容体ポリペプチドは、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、または119のうちのいずれかと実質的に同一である(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である)。
II.ABAアゴニスト
本発明は、小分子ABAアゴニスト、すなわち、PYR/PYLタンパク質を活性化する化合物を提供する。例示的なABAアゴニストとしては、例えば、以下から選択される化合物が挙げられる:
式Iの化合物、またはその塩もしくは異性体:
Figure 0006166349
式中、
は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
は、それぞれ1〜4個のR2a基で置換されていてもよい、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
各R2aは独立して、H、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ハロアルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−OH、C1〜6アルキルヒドロキシ、−CN、−NO、−C(O)R2b、−C(O)OR2b、−OC(O)R2b、−C(O)NR2b2c、−NR2bC(O)R2c、−SO2b、−SOOR2b、−SONR2b2c、および−NR2bSO2cからなる群から選択され、
2bおよびR2cのそれぞれは独立して、HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、
、R、およびRのそれぞれは独立して、HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、
Lは、結合およびC1〜6アルキレンからなる群から選択されるリンカーであり、
下付文字mは、0〜4の整数であり、
下付文字nは、0〜3の整数である。
幾つかの実施形態では、化合物は、式(II):
Figure 0006166349
を有する。
幾つかの実施形態では、化合物は、式(III):
Figure 0006166349
を有する。
幾つかの実施形態では、Rは、C1〜6アルキルであり、かつ、Rは、それぞれ1〜4個のR2a基で置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される。
幾つかの実施形態では、各R2aは独立して、H、ハロゲン、およびC1〜6アルキルからなる群から選択される。
幾つかの実施形態では、Rは、フェニル、ナフチル、チオフェン、フラン、ピロール、およびピリジルからなる群から選択される。
幾つかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびヘキシルからなる群から選択され、Rは、それぞれ1個のR2a基で置換されていてもよい、フェニルおよびチオフェンからなる群から選択され、各R2aは独立して、H、F、Cl、メチル、およびエチルからなる群から選択され、かつ、Lは、結合およびメチレンからなる群から選択される。
幾つかの実施形態では、化合物は、式(IV):
Figure 0006166349
を有する。
幾つかの実施形態では、化合物は、式(V):
Figure 0006166349
を有する。
幾つかの実施形態では、化合物は、図8に示される化合物のうちの1つである。
幾つかの実施形態では、化合物は、式(VI):
Figure 0006166349
を有する。
式(VI)を有する化合物はまた、LC66C6またはキナバクチン(1−(4−メチルフェニル)−N−(2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)メタンスルホンアミド)とも称される。上述の化合物は、Life Chemicals(Orange,CT)から購入される構造的に多様な化合物のライブラリーをスクリーニングすることによって同定された。
幾つかの実施形態では、化合物は、式(VII):
Figure 0006166349
を有する。
上述の化合物は、当該技術分野において周知の方法を用いて合成することができる。例えば、同一の化学的足場に基づく化合物は、米国特許第5,498,755号および米国特許第6,127,382号に説明されるように合成されており、それらは参照によりその全体が本明細書に援用される。
III.ABAアゴニスト製剤
本発明は、植物に対する接触のために製剤化される農業用化学製剤であって、本発明のABAアゴニストを含む、農業用製剤を提供する。幾つかの実施形態では、アゴニストと接触させられる植物は、内因性PYR/PYLポリペプチドを含むかまたは発現する。幾つかの実施形態では、アゴニストと接触させられる植物は、異種PYR/PYLポリペプチドを含まないかまたは発現しない(例えば、植物は、遺伝子導入でないか、または、遺伝子導入であるが異種PYR/PYLタンパク質以外の異種タンパク質を発現する)。幾つかの実施形態では、アゴニストと接触させられる植物は、本明細書に説明されるような異種PYR/PYLポリペプチドを含むかまたは発現する。
製剤は、本発明に従って、例えば、担体中で、植物または種子等の植物繁殖材料を処理するために好適であることができる。好適な添加剤としては、緩衝剤、湿潤剤、コーティング剤、多糖、および研磨剤が挙げられる。例示的な担体としては、水、水溶液、スラリー、固体、および乾燥粉末が挙げられる(例えば、泥炭、コムギ、フスマ、バーミキュライト、粘土、低温殺菌土壌、多数の形式の炭酸カルシウム、ドロマイト、様々なグレードの石膏、ベントナイトおよび他の粘土鉱物、リン鉱石および他のリン化合物、二酸化チタン、腐植土、タルク、アルギン酸塩、ならびに活性炭等。当業者に既知の任意の農業的に好適な担体が、許容可能であり、本発明における使用のために企図される)。任意で、製剤は、少なくとも1つの界面活性剤、除草剤、殺真菌剤、駆除剤、または肥料も含むことができる。
幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、界面活性剤、除草剤、例えば、殺真菌剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、および殺線虫剤等の駆除剤、植物活性剤、共力剤、除草剤毒性緩和剤、植物成長調節剤、防虫剤、または肥料のうちの少なくとも1つを含む。
幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、パラコート(592)、メソトリオン(500)、スルコトリオン(710)、クロマゾン(159)、フェントラザミド(340)、メフェナセット(491)、オキサジクロメホン(583)、インダノファン(450)、グリホサート(407)、プロスルホカルブ(656)、モリネート(542)、トリアスルフロン(773)、ハロスルフロンメチル(414)、およびプレチラクロール(632)からなる群から選択される有効量の1つ以上の除草剤を含む。上述の除草活性成分は、例えば、「The Pesticide Manual」、編者C.D.S.Tomlin、第12版、British Crop Protection Council,2000において括弧内に加えられた項目番号にて説明され、例えば、メソトリオン(500)は項目番号500にてその中で説明される。上述の化合物は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第7,338,920号に説明される。
幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、セザキサン、フルジオキソニル、ペンチオピラド、プロチオコナゾール、フルトリアホル、ジフェノコナゾール、アゾキシストロビン、キャプタン、シプロコナゾール、シプロジニル、ボスカリド、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、メタラキシル、メタラキシルM(メフェノキサム)、フルキンコナゾール、フェナリモール、ヌアリモール、ピリフェノックス、ピラクロストロビン、チアベンダゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、ベナラキシル、ベナラキシルM、ベノミル、カルベンダジム、カルボキシン、フルトラニル、フベリザドール、グアザチン、ミクロブタニル、テトラコナゾール、イマザリル、メトコナゾール、ビテルタノール、シモキサニル、イプコナゾール、イプロジオン、プロクロラズ、ペンシクロン、プロパモカルブ、シルチオファム、チラム、トリアゾキシド、トリチコナゾール、トリルフラニド、およびマンガン化合物(マンコゼブ、マネブ等)から選択される有効量の1つ以上の殺真菌剤を含む。幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、チアメトキサム、イミダクロプリド、クロチアニジン、λ−シハロトリン、テフルトリン、β−シフルトリン、ペルメトリン、アバメクチン、フィプロニル、およびスピノサッドからなる群から選択される、有効量の殺虫剤、殺ダニ剤、および/または殺線虫剤のうちの1つ以上を含む。一般名を伴う上述の駆除剤のそれぞれの詳細(例えば、構造、化学名、市販名等)は、the e−Pesticide Manual、バージョン3.1、第13版、CDC Tomlin編、British Crop Protection Council,2004−05に見出すことができる。上述の化合物は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第8,124,565号に説明される。
幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、シプロジニル((4−シクロプロピル−6−メチル−ピリミジン−2−イル)−フェニル−アミン)(208)、ドジン(289)、クロロタロニル(142)、ホルペット(400)、プロチオコナゾール(685)、ボスカリド(88)、プロキナジド(682)、ジチアノン(279)、フルアジナム(363)、イプコナゾール(468)、およびメトラフェノンからなる群から選択される有効量の1つ以上の殺真菌剤を含む。上述の化合物の幾つかは、例えば、「The Pesticide Manual」[The Pesticide Manual−−A World Compendium;第13版、編者C.D.S.Tomlin、The British Crop Protection Council,2003]において括弧内に加えられた項目番号にて説明される。上述の化合物は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第8,349,345号に説明される。
幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、フルジオキソニル、メタラキシル、およびストロビルリン系殺真菌剤、またはそれらの混合物から選択される有効量の1つ以上の殺真菌剤を含む。幾つかの実施形態では、ストロビルリン系殺真菌剤は、アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、クレソキシムメチル、またはトリフロキシストービンである。幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、フェニルピラゾールおよびネオニコチノイドから選択される有効量の1つ以上の殺虫剤を含む。幾つかの実施形態では、フェニルピラゾールは、フィプロニルであり、ネオニコチノイドは、チアメトキサム、イミダクロプリド、チアクロプリド、クロチアニジン、ニテンピラム、およびアセタミプリドから選択される。上述の化合物は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第7,071,188号に説明される。幾つかの実施形態では、農業用化学製剤は、パスツーリア菌(Pasteuria)種、ペシリオミセス(Paeciliomyces)、ポコニア・クラミドスポリア(Pochonia chlamydosporia)、ミロテシウム(Myrothecium)代謝物質、ムスコドル(Muscodor)揮発性物質、タゲテス菌(Tagetes)種、バシラス・フィルムス(bacillus firmus) CNCM I−1582を含むバシラス・フィルムスを含むがそれらに限定されない、有効量の1つ以上の生物学的駆除剤を含む。
IV.植物への適用
ABAアゴニストの製剤および組成物は、様々な既知の方法を用いて、例えば、繁殖材料上に組成物を噴霧する、霧化する、浸す、注入する、潅水する、まぶす、もしくは散布すること、または、植物の上に組成物を、ブラシで塗る、もしくは注ぐ、もしくはそうでなければ接触させることによって、あるいは、播種の場合には、種子を液体組成物でコーティングする、種子を液体組成物中に封入する、種子に液体組成物を噴霧する、種子を液体組成物中に浸す、種子を液体組成物中に浸漬する、もしくはそうでなければ種子を処理することによって、植物に適用されることができる。植物または種子を植え付け前に直接処理することの代わりに、本発明の製剤は、その中に種子が植え付けられる土壌または他の媒体中に導入されることもできる。例えば、製剤は、噴霧すること、散布すること、注入すること、潅水すること、ないしはそうでなければ土壌を処理することによって、土壌中に導入されることができる。幾つかの実施形態では、担体もこの実施形態において使用される。担体は、上述の通り、固体または液体であることができる。幾つかの実施形態では、泥炭がABAアゴニストの担体として水中に懸濁され、この混合物が、土壌もしくは植え付け媒体中に、および/または種子の上に植え付け時に噴霧される。
本明細書で説明されるABAアゴニストで処理することができる植物の種類としては、オオムギ、ライムギ、モロコシ、トリトケール、オートムギ、コメ、コムギ、ダイズ、およびコーン等の穀物;ビート(例えば、テンサイおよび飼料用ビート);キュウリ、マスクメロン、カンテロープ、カボチャ、およびスイカを含むウリ科植物;ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、チンゲンサイ、および他の葉野菜を含むケール作物、トマト、ピーマン、レタス、マメ、エンドウ、タマネギ、ニンニク、およびピーナツを含む他の野菜、アブラナ、ピーナツ、ヒマワリ、セイヨウアブラナ、およびダイズを含む油糧作物;タバコを含むナス科植物;ジャガイモ、ヤム、ハツカダイコン、ビート、ニンジン、およびサツマイモを含む塊茎および根作物;イチゴを含む果物;綿および麻を含む繊維作物;コーヒー、花壇用植物、多年生植物、観葉植物、芝、ならびにカーネーションおよびバラを含む切り花を含む他の植物;サトウキビ;コンテナ栽培樹木作物;モミおよびマツを含む常緑樹;カエデおよびオークを含む落葉樹;ならびにサクランボ、リンゴ、ナシ、アーモンド、モモ、クルミ、および柑橘類を含む果実および実のなる樹木を含む、単子葉植物種および双子葉植物種の双方が挙げられる。
本明細書に説明されるABAアゴニストは、細胞におけるABAの機能を模倣することが理解されるであろう。したがって、細胞をABAと接触させることによってトリガされる1つ以上の細胞応答は、同様に細胞を本明細書に説明されるABAアゴニストと接触させるとトリガされるであろうことが予測される。本明細書に説明されるABAアゴニストは、ABAの機能を模倣し、かつ、有用な製剤で提供される。
幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるABAアゴニストの適用は、植物の非生物的ストレス抵抗性を増加させる。
幾つかの実施形態では、本明細書に説明されるABAアゴニストの種子への適用は、種子の発芽を抑制する。
本発明はまた、本明細書に説明されるABA製剤と接触している植物を提供する。ABA製剤と接触している植物は、植物部位および/または種子を含むことができる。
V.新規のABAアゴニストおよびABAアンタゴニストについてのスクリーニング
本発明の実施形態はまた、推定化学的アゴニストをスクリーニングして、この推定アゴニストが、PYR/PYL受容体ポリペプチドに接触するときに、PYR/PYL受容体ポリペプチドを刺激するかどうかを決定するための方法を提供する。本明細書で使用するとき、作用物質は、その作用物質の存在が、例えば、PYR/PYL受容体からの下流シグナル伝達を増大させるように、受容体活性の活性化または上方制御をもたらすならば、PYR/PYL受容体タンパク質を「刺激する」。本発明に関して、作用物質は、作用物質が200μΜ以下の濃度で存在するとき、作用物質のPYR/PYL受容体への接触が、PYR/PYL受容体活性の活性化または上方制御をもたらすならば、PYR/PYL受容体を刺激する。作用物質が200μΜ以下の濃度で存在するとき、作用物質がPYR/PYL受容体タンパク質活性の活性化または上方制御を誘発しないならば、作用物質は、PYR/PYL受容体を著しく刺激しない。本明細書で使用するとき、「活性化」は、作用物質によって誘発されるべき活性の最小閾値を必要とする。この活性の最小閾値が満たされたかどうかの決定は、例えば、誘発されるべき酵素活性のレベルの最小値を設定する酵素的ホスファターゼ分析を用いて、または比色検出試薬(例えば、パラニトロフェニルリン酸)の存在下で、色の変化が観察されると活性の最小閾値が満たされる酵素的ホスファターゼ分析を用いて、達成することができる。
本発明はまた、アゴニストの場合、PYR/PYL−PP2C結合を誘発する分子の能力に関して、またはアンタゴニストの場合、PYR/PYL−PP2C結合を促進するABAおよび他のアゴニストの能力を妨害する分子の能力についてスクリーニングすることによって、ABAのアゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングする方法を提供する。多数の異なるスクリーニングプロトコルが、PYR/PYLポリペプチドを刺激または拮抗する作用物質を同定するために利用することができる。
スクリーニングは、単離した、精製した、または部分的に精製した試薬を用いて行うことができる。幾つかの実施形態では、精製したまたは部分的に精製したPYR/PYLポリペプチドを使用することができる。
あるいは、細胞に基づいたスクリーニングの方法を使用することができる。例えば、PYR/PYLポリペプチドを自然に発現する、またはPYR/PYLポリペプチドを組み換え技術によって発現する細胞を使用することができる。幾つかの実施形態では、使用される細胞は、植物細胞、動物細胞、細菌細胞、酵母細胞を含むがそれに限定されない真菌細胞、昆虫細胞、または哺乳類細胞である。一般的な用語において、スクリーニング法は、例えば、PYR/PYLポリペプチドに結合すること、またはPYR/PYLポリペプチドを活性化すること、またはPYR/PYLポリペプチドの発現、もしくはPYR/PYLポリペプチドをコードする転写産物を増加させることによって、複数の作用物質をスクリーニングして、PYR/PYLポリペプチドの活性を調整する作用物質を同定することに関する。
1.PYR/PYLポリペプチド結合分析
任意で、PYR/PRLポリペプチドに結合することが可能な作用物質についてスクリーニングすることによって、そのように同定された作用物質のうちの少なくとも幾つかがおそらくPYR/PYLポリペプチド調整物質であるように、予備スクリーニングを実施することができる。
結合分析は、PYR/PYLポリペプチドを、1つ以上の試験作用物質と接触させること、およびタンパク質および試験作用物質が結合複合体を形成するのに十分な時間を可能にすることに関することができる。形成される任意の結合複合体は、多数の確立された分析技術のいずれかを用いて検出することができる。タンパク質結合分析としては、非変性SDS-ポリアクリルアミドゲルにおける共沈殿または共遊走、およびウエスタンブロットにおける共遊走を測定する方法が挙げられるが、それらに限定されない(例えば、Bennet,J.P. and Yamamura,H.I.(1985)"Neurotransmitter,Hormone or Drug Receptor Binding Methods,"in Neurotransmitter Receptor Binding(Yamamura,H.I.,et al.,eds.),pp 61−89参照)。他の結合分析は、PYR/PYLポリペプチドに結合された分子、または標識された基質(例えば、標識されたABA)の置換を同定する、質量分析またはNMR技術の使用に関する。かかる分析に利用されるPYR/PYLポリペプチドタンパク質は、自然に発現される、クローニングされる、または合成されることができる。
2.活性
PYR/PYLポリペプチドアゴニストは、PYR/PYLポリペプチドの活性を活性化するまたは増加させる作用物質についてスクリーニングすることによって、同定することができる。アンタゴニストは、活性を減少させることによって同定することができる。
1つの活性分析は、候補アゴニストが、アゴニストに特異的な様式で、PYR/PYLタンパク質の2型タンパク質ホスファターゼ(PP2C)ポリペプチドへの結合を誘発することができるかを試験することに関する。哺乳類または酵母ツーハイブリッドアプローチ(例えば、Bartel,P.L.et.al.Methods Enzymol,254:241(1995)参照)は、細胞内で一緒に発現するときに相互作用または結合する、ポリペプチドまたは他の分子を同定するために使用することができる。幾つかの実施形態では、PYR/PYLポリペプチドを刺激する作用物質は、PYR/PYLポリペプチドと2型タンパク質ホスファターゼ(PP2C)ポリペプチドとの間のツーハイブリッド分析にて同定され(例えば、ABI1もしくは2、または例えば、PP2CのグループAサブファミリーからその相同分子種)、ABAアゴニストが、PYR/PYLポリペプチドとPP2Cポリペプチドとの結合を活性化する、または可能にする作用物質として同定される。したがって、2つのポリペプチドは、作用物質の存在下で結合し、しかし作用物質の不在化で結合しない。幾つかの実施形態では、化学的化合物または作用物質は、酵母細胞が、酵母ツーハイブリッド分析において青くなると、PYR/PYLタンパク質のアゴニストとして同定される。
PYR1タンパク質、およびPYR/PYLタンパク質の生化学的機能は一般的に、PP2C活性を抑制することである。これは、酵母ツーハイブリッドまたは他の細胞に基づいた方法を用いて、生きた細胞内で測定することができる。これはまた、比色検出試薬(例えば、パラニトロフェニルリン酸)の存在下で酵素的ホスファターゼ分析を用いて、インビトロで測定することもできる。上述で使用される酵母に基づいた分析は、リガンド結合の間接的なインジケータを提供する。この潜在的な限界に取り組むため、インビトロで競合分析を使用することができ、または弱い結合標的化合物を同定するための代替的アプローチとして、他の生物を用いた細胞に基づいた分析を使用することができる。
3.発現分析
PYR/PYLポリペプチドの発現を増加させる化合物についてのスクリーニングも提供される。スクリーニング法は概して、試験化合物を、PYR/PYLポリペプチドを発現する1つ以上の細胞に接触させて、次にPYR/PYL発現における増加(転写産物かまたは翻訳産物かのいずれか)を検出する、細胞に基づいた、または植物に基づいた分析を実施することに関する。分析は、PYR/PYLを自然に発現する細胞を用いて、またはPYR/PYLを発現するように組み換え技術によって変更された細胞において、またはPYR/PYLプロモーターの制御下でレポーター遺伝子を発現するように組み換え技術によって変更された細胞において、実施されることができる。
様々な制御が、観察される活性が信頼のおけるものであることを確実にするために実施することができ、レポーター構築体を欠失する細胞との併発反応を実行すること、またはレポーター構築体を有する細胞を試験化合物と接触させないことを含む。
4.検証
前述のスクリーニング法のいずれかによって初めに同定された作用物質は、見かけの活性を検証するため、および/または作用物質の他の生物学的効果を決定するために更に試験することができる。幾つかの場合、同定される作用物質は、植物ストレス(例えば、乾燥耐性)、種子発芽、またはABAによって影響を受ける別の表現型をもたらす能力に関して試験される。多数のかかる分析および表現型は、当該技術分野において既知であり、本発明の方法に従って採用されることができる。
5.固相および可溶性ハイスループット分析
本発明のハイスループット分析では、1日で最大数千の異なる調整物質またはリガンドをスクリーニングすることが可能である。具体的には、マイクロタイタープレートの各ウェルが、選択した可能性のある調整物質に対する別々の分析を実行するために使用することができ、または、濃度もしくはインキュベーション時間効果を観察すべき場合、5〜10ウェルの全てが単一の調整物質を試験することができる。したがって、単一の標準マイクロタイタープレートは、約100個(例えば、96個)の調整物質を分析することができる。1536ウェルプレートを使用する場合であれば、単一のプレートは、約100〜約1500個の異なる化合物を容易に分析することができる。1日あたり幾つかの異なるプレートを分析することが可能であり、最大約6,000〜20,000個またはそれを超える異なる化合物に関する分析スクリーニングが、本発明の統合システムを用いて可能である。それに加えて、試薬操作に対するマイクロ流体アプローチを使用することができる。
関心対象の分子(例えば、PYR/PYL、またはPYR/PYLポリペプチドを発現する細胞)は、共有結合または非共有結合を介して、直接的または間接的に、固体状態の構成要素に結合されることができる。
本発明は、ハイスループットフォーマットにおいてPYR/PYLの発現または活性を調整し得る化合物を同定する、インビトロ分析を提供する。
非生物的ストレス抵抗性は、多数の周知の技術のいずれかに従って分析されることができる。例えば、乾燥耐性に関して、植物は、最適より少ない水が植物に提供される条件下で成長されることができる。乾燥抵抗性は、膨圧、成長、生産高等を含む多数の標準測定値のいずれかによって決定されることができる。
VI.植物における非生物的ストレス耐性を増加させる方法
本発明はまた、植物における非生物的ストレス耐性を増加させる方法も提供する。したがって、幾つかの実施形態では、植物は、植物における非生物的ストレス耐性を増加させるのに十分な量で、本明細書に説明されるABAアゴニスト、またはABAアゴニスト製剤と接触させられる。植物に適用されるABAアゴニスト製剤の量は、植物をABAアゴニスト製剤と接触させないことに比べて非生物的ストレス耐性を増加させるのに十分であることができる。植物は、本明細書に説明される方法のいずれかを用いて、ABA製剤と接触させることができる。非生物的ストレス耐性における増加は、植物の成長または生存に悪影響を及ぼす非生物的ストレス条件に対する植物成長および/または生存を改善することができる。非生物的ストレスは、本明細書に説明される物理的または化学的条件を含む。
VII.植物における種子発芽を抑制する方法
本発明はまた、種子発芽を抑制する方法も提供する。したがって、幾つかの実施形態では、植物、植物部位、または種子は、種子発芽を抑制するのに十分な量のABAアゴニスト製剤と接触させられる。種子は、本明細書に説明される方法のいずれかを用いてABA製剤と接触させることができる。幾つかの実施形態では、種子は、ABAアゴニスト製剤と直接接触させられる。幾つかの実施形態では、地面または土壌は、植え付けまたは種子の播種の前かまたは後かのいずれかに、ABAアゴニスト製剤と接触させられる。幾つかの実施形態では、植物は、その後に植物から成長する種子の発芽を抑制するのに十分なABAアゴニスト製剤と接触させられる。
VIII.PYR/PYL受容体ポリペプチドを活性化する方法
本発明はまた、PYR/PYL受容体ポリペプチドを活性化する方法も提供する。幾つかの実施形態では、PYR/PYLポリペプチドは、上述の化合物と接触させられ、活性化されたPYR/PYLポリペプチドは、PP2Cポリペプチドに結合する。幾つかの実施形態では、PYR/PYLポリペプチドは、アゴニスト化合物LC66C6によって活性化されることが可能である。幾つかの実施形態では、活性化されるPYR/PYLタンパク質は、配列番号:1〜119のうちの任意のものと実質的に同一である。様々な植物からのABA受容体の配列の例は、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2011/0271408号に提供される。
幾つかの実施形態では、方法は、PYR/PYL受容体を、細胞を含まないインビトロ分析で活性化する。幾つかの実施形態では、方法は、細胞中で発現されるPYR/PYL受容体を活性化する。幾つかの実施形態では、細胞はまた、PP2Cポリペプチドも発現する。幾つかの実施形態では、細胞は、植物細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は、動物細胞または哺乳類細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は、内因性PYR/PYLタンパク質を発現する。幾つかの実施形態では、細胞は、異種PYR/PYLポリペプチドを発現するように組み換えられる。幾つかの実施形態では、細胞は、異種PP2Cポリペプチドを発現する。幾つかの実施形態では、細胞は、HAB1(homology to ABI1)、ABI1、またはABI2から選択されるPP2Cポリペプチドを発現する。
幾つかの実施形態では、活性化されるPYR/PYLポリペプチドは、異種遺伝子の発現を誘発する。幾つかの実施形態では、異種遺伝子は、ABA応答性遺伝子である。幾つかの実施形態では、誘発される遺伝子発現は、内因性PYR/PYLポリペプチドを発現する細胞において生じる。幾つかの実施形態では、誘発される遺伝子発現は、異種PYR/PYLポリペプチドを発現する細胞において生じる。
実施例1
この実施例は、本明細書で説明される新規のABAアゴニストが、多数のPYR/PYL受容体に結合し、活性化することを実証する。
方法
化学的スクリーニング
前述の酵母ツーハイブリッドシステムを、ハイスループットスクリーニング(HTS)において用いて、ABAアゴニストを特定した(Peterson FC,et al.(2010)Structural basis for selective activation of ABA receptors.Nature Structural&Molecular Biology17(9):1109−1111参照)。このシステムでは、アゴニスト促進性受容体−PP2C相互作用は、URA3またはHIS3レポーター遺伝子の発現を引き起こし、親株のウラシルまたはヒスチジン要求性を救出する。(Peterson FC, et al.(2010);Vidal M, Brachmann RK, Fattaey A, Harlow E, & Boeke JD (1996) Reverse two−hybrid and one−hybrid systems to detect dissociation of protein−protein and DNA−protein interactions. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 93(19):10315−10320)。HTSを、PYR1、PYL1、PYL2、PYL3、またはPYL4に対する結合ドメイン(BD)融合を発現する5個の異なるレポーター株を用いて実施した。これらは、HAB1(pACT−HAB1)に対する活性化ドメイン(AD)融合と共発現され、使用した構築体は、これまでに説明されている(Park et al.2009)。これらの株を、2つの別々のスクリーニングに利用した。第1のスクリーニングでは、Chembridge(San Diego,米国)から得した約65,000個の化合物を、本質的にGassner NC,et al.(2007)に説明される通りに、ハローアッセイ法を用いてアゴニスト活性に関して分析した(Accelerating the discovery of biologically active small molecules using a high−throughput yeast halo assay.Journal of Natural Products70(3):383−390)。この方法では、酵母株を、10mMのDMSO貯蔵液から分析プレート上に移動させた選択的寒天および化合物ピン内に埋め込み、ヒットは、活性化合物周辺の増加された細胞密度によって明らかになる。ハローアッセイ法を用いる実験は、選択を向上するために酵母株PJ69−4Aおよび10mMの3−アミノトリアゾールを補充した培地を利用した。ハロースクリーニングを、自動マイクロプレートホテル(Thermo Cytomat)と、化合物を分析プレート上に配置するために使用した384ピンツール(V&P Scientific)とを備えたBiomek FXを用いて組み立てた。各化学的転移の前に、ピンを、DMSO/水の1:1混合物中で洗浄し、その後95%エタノールで洗浄した。化学的転移の後、プレートを28℃でインキュベートし、候補アゴニストは手動検査により明らかであった。
ハロースクリーニング法はスループットの観点から強力であるが、本発明者らはその後に、Life Chemicals(Ukraine)から得た12,000メンバーライブラリーの第2のスクリーニングに関して、より従来的なスクリーニング法を採用した。この変更は、分析濃度をよりよく制御したいという要求からなされた。本発明者らの第2のスクリーニングでは、レポーター構築体は、URA3導入遺伝子によって動かされるGAL1プロモーターを介したウラシル系選択を可能にする、酵母株MAV99内に発現された(Peterson FC,et al.(2010))。スクリーニング化合物を、96ウェルプレートフォーマットにおいて、レポーター株を播種した選択的ウラシル培地に25Mの最終濃度で添加し、酵母成長を、約3日後から手動で検査した。化合物を、2.5mMの貯蔵液からスクリーニングウェルへBiomek FX液体ハンドラを用いて移動させた。
第3のスクリーニングアプローチとして、Life Chemicals libraryも同様に、0.5× MS塩、0.5%のスクロース、および25μΜの試験化合物を含有する固化寒天培地においてシロイヌナズナ発芽抑制物質についてスクリーニングした。発芽分析からのヒットを、次に酵母ツーハイブリッド分析にて試験した。ヒット化合物を、その元の製造元から再び補充し、2次的スクリーニングおよび化合物特徴決定に使用した。キナバクチンおよびその類似体は、Life Chemicalsから購入した。
PP2C活性分析
HAB1およびPYLタンパク質を、わずかな改変を加えて、これまでに説明されている通りに発現させ、精製した(Park SY,et al.(2009)Abscisic Acid Inhibits Type 2C Protein Phosphatases via the PYR/PYL Family of START Proteins.Science324(5930):1068−1071)。GST−HAB1、−ABI1、および−ABI2融合タンパク質を得るために、HAB1 cDNAを、pGex−2Tへクローニングし、一方ABI1およびABI2 cDNAを、ベクターpGex−4T−1へクローニングした。発現は、BL21[DE3]pLysS宿主細胞内で実施した。転換した細胞を、一晩予備培養し、LB培地へ移動させ、約0.5のA600を培養するように30℃で培養した。培養物を次に氷上で冷却し、MnClを4mMまで添加し、またIPTGを0.3mMまで添加した。15℃にて16時間インキュベーション後、細胞を採取し、これまでに説明されている通り、グルタチオンアガロース上で組み換えタンパク質を精製した(Park SY,et al.(2009)。6×His−PYL受容体融合タンパク質を得るために、全13のABA受容体に関する受容体cDNAを、ベクターpET28へクローニングし、これまでに説明されている通りに発現させ、精製した(Mosquna A, et al.(2011)Potent and selective activation of abscisic acid receptors in vivo by mutational stabilization of their agonist−bound conformation.PNAS108(51):20838−20843)。これは、可溶性および機能性タンパク質をPYL7、PYL11、およびPYL12以外の全ての受容体に関して生成した(受容体媒介性PP2C抑制分析を用いて分析した)。これら3個の受容体はしたがって、ベクターpMAL−cを用いてマルトース結合(MBP)融合タンパク質として代わりに発現され、これらの構築体の発現は、GST−HAB1に関して使用したものと同一の誘発条件でBL21[DE3]pLysS宿主株内で行った。組み換えMBP−PYL融合タンパク質を、アミロース樹脂(New England Biolab,Inc.)を用いて、製造者の精製説明書を用いて超音波分解および不要物除去した溶解物から精製した。この試みは、活性MBP−PYL11融合タンパク質を生成したが、PYL7およびPYL12に関しては生成しなかった。
組み換え受容体およびPP2Cを用いたPP2C活性分析を、次のように行った。精製したタンパク質を、ABAまたはABAアゴニストと共に、10mMのΜnCl、3μgのウシ血清アルブミン、および0.1%の2−メルカプトエタノールを含有する80μlの分析緩衝液中で、22℃にて30分間、予備インキュベートした。反応は、156mMのTris−OAc、pH7.9、330mMのKOAc、および5mMのリン酸4−メチルウンベリフェリルを含有する20μLの反応溶液を添加することによって開始され、その後蛍光測定を、Wallacプレートリーダー上で励起フィルタ355nmおよび放出フィルタ460nmを用いて速やかに収集した。反応は、50nMのPP2Cおよび100nMのPYR/PYLタンパク質をそれぞれ含有した。
図1Aは、ABAアゴニストの代表的な群を示す。図1Bに示される通り、多数のPYR/PYL受容体が、酵母ツーハイブリッド分析においてLC66C6を含む幾つかのアゴニストによって活性化される。この分析は、これまでに説明されている通り、特定の受容体およびPP2Cが、それぞれ、GAL4活性化およびDNA結合ドメインと融合されるときの、PYR/PYLタンパク質およびクレードA PP2Cタンパク質のアゴニスト促進性物理的相互作用を報告している(Park et al.2009)。これらの酵母に基づいた分析は、LC66C6は、これまでに説明されているアゴニストピラバクチンと異なり、多数のPYR/PYL受容体のアゴニストであることを示唆しており、それはABAまたは新規のアゴニストLC66C6よりはるかに大きい受容体選択性を有する。これまでに説明されている通り、受容体のクレードA PP2Cへのアゴニストに促進された結合は、PP2Cのホスファターゼ活性を抑制する。シロイヌナズナでは、14個のPYR/PYL受容体が存在し、そのうち13個は、プロトプラストに基づいた分析システムにおいてABA応答を媒介することができる(Fujii et al.2009)。LC66C6の選択性をより詳しく検証するため、本発明者らは、全14個のメンバーに関して組み換え6×−His−PYR/PYLタンパク質を発現および精製することを試み、技術的な理由により活性形態で産生することができなかったPYL7、12、および13を除く全ての受容体に関してABA応答性受容体を回収した。組み換え受容体のこのパネルは、シロイヌナズナPYR/PYL受容体ファミリーのメンバーにおけるABAアゴニスト活性のほぼ完全な描写を可能にする。図2に示される通り、HBA1、ABI1、およびABI2のPPC2酵素活性は、試験した全てのABA受容体の存在下で、10μΜのABAによって>90%まで抑制される(図2B)。LC66C6(キナバクチン)に対する応答において、受容体PYR1、PYL1、PYL2、PYL3、およびPYL5に伴い、HBA1、ABI1、およびABI2の>70%のPP2C抑制が観察された。
キナバクチンの活性を更に特徴決定し、その受容体選択性を定義するために、受容体媒介性PP2C抑制分析を、10個の組み換え受容体をPP2C HAB1、ABI1、ABI2と組み合わせて用いて実施した。これらの実験は、キナバクチンは、マイクロモル以下のIC50値を伴ってPYR1、PYL1〜3、およびPYL5を活性化し、2量体受容体部位において実質的により高い活性を表すことを示した(図2、3、および4)。結果は同様に、キナバクチンは、ABAより強いPYR1アゴニストまたはPYL1アゴニストであることを示している(図2および3)。それに加えて、キナバクチンによって観察された最大PP2C抑制は、試験した全ての受容体に伴って、ピラバクチンと共に観察されたものより高かった。ピラバクチンは、0.90μΜのIC50でPYL5を活性化することが可能であるが、約40%のPP2C抑制にて飽和し、これは不完全/部分的なPYL5アゴニストであることを示唆している。したがって、この実施例は、ピラバクチンと比較してより幅広い受容体スペクトル活性および増加した生物活性を有する、新規のスルホンアミドアゴニストの同定を実証する。
実施例2
この実施例は、新規のABAアゴニストが、発芽および植物成長を抑制することを実証する。
シロイヌナズナの発芽および胚軸成長の抑制分析
シロイヌナズナの発芽および胚軸成長の抑制分析のために、完熟後約4週の種子を、5%のNaClOおよび0.05%のTween−20を含有する溶液で10分間表面殺菌し、水で4回濯いだ。殺菌した種子を、0.1%の寒天で懸濁し、化学物質の存在下で、1/2のMurashige and Skoog(MS)塩(Sigma−Aldrich)を含有する0.8%固化寒天培地上に蒔き、4℃で4日間保管し、次に暗条件または明条件下で22℃に移した。発芽は4日間のインキュベーション後に決定し、一方胚軸成長は、6日間のインキュベーション後に撮影した。
植物材料
次の対立遺伝子/変異体株を使用した:aba2−1(Leon−Kloosterziel KM,et al.(1996)Isolation and characterization of abscisic acid−deficient Arabidopsis mutants at two new loci.Plant J 10(4):655−661)、abil−1(Umezawa T,et al.(2009)Type 2C protein phosphatases directly regulate abscisic acid−activated protein kinases in Arabidopsis.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 106(41):17588−17593)、abi3−9、abi4−11(Nambara E,et al.(2002)A screen for genes that function in abscisic acid signaling in Arabidopsis thaliana.Genetics161(3):1247−1255)、およびpry1pyl1pyl2ply44重体(Park SY,et al.(2009)Abscisic Acid Inhibits Type 2C Protein Phosphatases via the PYR/PYL Family of START Proteins.Science 324(5930):1068−1071);これらの株は全て、コロンビアバックグラウンドである。利用したpry1pyl1pyl2ply44重変異体ステインは、コロンビアに3回戻し交配した。オオムギおよびダイズ種子は、Living Whole Foods,Inc.,から購入し、一方トウモロコシ種子は、W.Atlee Burpee&Co.から得た。これらの材料を用いた生理学的実験に使用した詳細な方法は、サポート情報として提供される。
LC66Cの独特なアゴニスト特性の生理学的な結論を探求するために、シロイヌナズナ種子、実生、および成植物におけるその効果を特徴決定した。図5に示される通り、本明細書に説明されるABAアゴニストは、シロイヌナズナにおける種子発芽を強く抑制する。図5Aおよび5Bは、LC66C6を含む幾つかのアゴニストが、用量依存様式で種子の発芽を抑制することを示す。特に、LC66C6は、1モルあたり基準で、発芽抑制において(+)−ABAとほぼ同程度に有効であり、また試験した他のアゴニストよりも有効であった。
図5Cおよび5Dは、様々なABA非感受性変異体からの種子の発芽の抑制におけるアゴニスト(+)−ABAおよびLC66C6の効果を示す。図5Cに示される通り、5μΜの濃度において、LC66C6は、PYR/PYL4重変異体(pyr1/pyl1/pyl2/pyl4)およびpyr1単一変異体を除く全ての試験した変異体に関して、(+)−ABAか示したものと同様の発芽抑制パターンを示した。上述の図4に提示されるIC50データと組み合わせて、この遺伝データは、LC66C6の発芽抑制活性は、PYR1、PYL1、およびPYL2を刺激するその能力によって、大いに説明されることを示唆している。4重変異体における発芽を抑制するABAの能力は、他の受容体におけるそのアゴニスト活性によって説明できそうである。本発明者らの遺伝データは、pyr1変異体は、5μΜのLC66C6かまたはピラバクチンかのいずれかの存在下で発芽する(Park et al.2009)ため、PYR1は、ABAに対する応答における種子発芽において重要であるが重複した役割を果たしているという仮説と一致している。
図6に示される通り、LC66C6は、発芽後の植物成長も抑制する。図6Aおよび6Bは、LC66C6は、野生型、abi1、および4重変異体における根伸長を抑制し、全ての試験濃度にて、その抑制効果において(+)−ABAと同程度に、またはわずかにより有効であることを示す。更に、図6Cは、LC66C6は、濃度依存性様式で、野生型および変異体植物の双方の成長を抑制することを実証する。LC66C6による植物成長の抑制は、ピラバクチンによる抑制より有意に大きく、また(+)−ABAのものと同程度である。
この実施例は、LC66C6は、野生型およびABA非感受性変異体の双方の種子発芽および成長の有力な抑制物質であることを実証する。
実施例3
この実施例は、アゴニストLC66C6は、乾燥ストレス耐性を誘発することを実証する。
生理学的分析
生理学的分析を、22±2℃および相対湿度(RH)45±10%にて16/8時間の明/暗サイクル下で成長させたシロイヌナズナ植物において実施した。シロイヌナズナにおける蒸散水分損失分析のため、植物を、25μΜの化合物および0.05%のTween−20を含有する4mlの溶液のエアロゾル噴霧によって予備処理した。化合物または分析対照1個あたり12個の4週齢の植物に噴霧した。化合物による一晩の予備処理後、地上部分を根から脱離させ、2時間にわたって20分間隔にてその生重量を測定した。気孔開口を測定するために、植物を、上述の化合物で予備処理し、プラスチック蓋で覆って高RHを維持し、一晩の予備処理後、葉表皮の模様を、鈴木式万能顕微鏡印画法(Suzuki's Universal Micro−Printing)(SUMP)法を用いて、SUMPインプレッション液(SUMP impression solution)をSUMP Bプレート(SUMP Laboratory)と共に用いて得た。葉の模様を光学顕微鏡検査によって分析し、気孔開口を、ImageJ1.43v software(National Institutes of Health,米国)を用いて孔幅から決定した。シロイヌナズナ乾燥ストレス分析に関して、約1.5mlの25μΜ化学溶液を、1日毎に3日間にわたりエアロゾルによって植物に適用した。植物を、ポット1個あたり100gの土壌を含有する四角い6×6×5cmのポット内で成長させた。ダイズ乾燥ストレス分析を、25±2℃、65±10%RH、16/8時間の明/暗サイクル下で成長させた植物において実施した。0.05%のTween−20を含有する約20mlの50μΜ化学溶液を、ポット1個あたり4回(ポット1個あたり3つの植物)、それぞれ3日間噴霧した。使用したポットは、250mlの大きさであり、ポット1個あたり200gの土壌を含有した。測定される水分損失が蒸散媒介であるように、ポットをパラフィルムで覆った。土壌水分含有量%を、ポット重量を測定し、乾燥土壌重量を総重量から除去することによってコンピュータ計算することによって決定した。
ダイズ、オオムギ、およびトウモロコシにおける水分損失分析
ダイズ、オオムギ、およびトウモロコシを用いた水分損失分析に関して、0.05%のTween−20を含有する100μΜの化学溶液を、植物の地上部に噴霧した。使用したダイズ、オオムギ、およびトウモロコシ植物は、それぞれ約4週齢、2週齢、および2週齢であった。化合物を、水分損失分析を実施する16時間前に適用した。水分損失を測定するために、シュート全体を脱離させ、その生重量を観察した。
図7は、乾燥ストレスに関する様々なパラメータにおけるLC66C6の効果を示す。図7Aおよび7Bに示される通り、LC66C6は、野生型およびaba2(ABA欠損変異体2)変異体植物から脱離した葉における蒸散水分損失の量を減少させた。しかしながら、図7Cに示される通り、LC66C6は、abil−1変異体から脱離した葉における蒸散水分損失を減少させなかった。図7Dは、LC66C6は、野生型およびaba2変異体において気孔閉鎖を誘発するが、abil−1変異体においては誘発しないことを示す。図7Eは、ダイズ植物の乾燥処理中の土壌水分含有量におけるアゴニスト化合物の効果を示す。
図8Aは、キナバクチンによる植物の処理は、(+)−ABAによる処理によって付与されるものと同様に、シロイヌナズナ植物において乾燥ストレス耐性を付与することを示す。この実施例では、2週齢の植物を、水を控えることによって乾燥ストレスに供し、12日後に撮影した。植物に、乾燥処理の2週後に水分補給した。試験した植物の総数あたりの生存植物の数が、写真の隣に示される。図8Bは、キナバクチンによるダイズ植物の処理は、(+)−ABAによる処理によって付与されるものと同様に、乾燥ストレス耐性を付与することを示す。この実施例では、2週齢の植物を、水分を控えることによって乾燥ストレスに供し、乾燥処理の8日後に撮影した。全ての乾燥ストレス処理に関して、化合物(シロイヌナズナに関して25μΜにて、およびダイズに関して50μΜにて試験した)を、0.05%のTween−20を含有する溶液中で適用し、また乾燥措置の間はずっと3日毎にエアロゾルとして適用した。全ての実験に関する値は、平均±SEM(n=6、1回の実験あたり3つの植物を使用)である。
この実施例は、LC66C6は、野生型およびaba2変異体シロイヌナズナ植物、ならびに野生型ダイズ植物において、(+)−ABAによって付与されるものと同様に、乾燥ストレス耐性を誘発することを示す。
実施例4
この実施例は、LC66C6は、ABA応答性遺伝子を、(+)−ABAによって誘発されるものと同様の様式で誘発することを実証する。
マイクロアレイ分析
全RNAを、RNAeasy Plant Mini Kit(Qiagen,米国)を用いて製造者の説明書に従って単離した。cDNA合成、標識、シロイヌナズナATH1チップ(Affymetrix,米国)に対するハイブリッド形成を、Affymetrixプロトコルを用いてUniversity of California at RiversideのIIGB Core Instrumentation Facilityによって実施した。3つ組の生物学的試料を、DMSO対照、ABA、ピラバクチン、およびキナバクチン処理のためにハイブリッド形成させ、化合物を、25μΜの最終濃度にて適用し、RNAを、化合物または対照への6時間の曝露後に凍結させた組織から調製した。プローブセットのための発現シグナルは、MAS5 Statistical Algorithm(Affymetrix,米国)によって算出および正規化した。全ての実験において、シグナルの存在に関して配列データの実験的フィルタリングを実施した。各化学処理における平均転写レベルを、その対照実験と比較し、変化倍数値をコンピュータ計算するために使用した。Log変換した変化倍数値を使用して、実験条件間のピアソン相関係数をコンピュータ計算した。
定量的RT−PCR分析
全RNAを、植物RNA精製試薬(Invitrogen,米国)を用いて製造者の説明書に従って単離した。cDNAを、QantiTec reverse transcription kit(Qiagen,米国)を用いて1μgの全RNAから合成した。Maxima(登録商標)SYBR Green/Fluorescein qPCR Master Mix(Fermentas)を用いたリアルタイムPCRを、iQ5 real−time PCR detection system(Bio−Rad,Hercules,CA)を用いて実施した。標的mRNAの相対量を、相対標準曲線法を用いて決定し、内部対照mRNAの相対量によって正規化した。3つ組の生物学的実験を実施した。これらの実験に使用したプライマー配列を、表1に示す。
(表1)定量的RT−PCRに関するプライマーセット
Figure 0006166349
ABA応答性レポーター遺伝子分析
既存のABA応答性プロモーター−GUS融合は、本発明者らの実験においては、高いバックグラウンドレベルか、またはABAに対する応答における比較的低い誘発レベルかのいずれかの理由のため、理想的ではない。MAPKKK18は、低いバックグラウンドレベルを有する高度にABA誘発可能な遺伝子であり(Matsui A,et al.,Plant Cell Physiol49(8):1135−1149(2008))、MAPKKK18はまた、乾燥および塩ストレスによって強く誘発される。したがって、本発明者らは、MAPKKK18プロモーター::GUSレポーター遺伝子導入植物におけるアゴニストの効果を特徴決定した。GUS染色を、次の組成物の反応緩衝剤において実施した:50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤 pH7.0、0.05%のTween−20、2.5mMのフェロシアン化カリウム、2.5mMのフェリシアン化カリウム、1mMのX−gluc。反応緩衝剤を、試験試料中に10分間2回、減圧湿潤させ、次に37℃で5時間インキュベートした。試料を70%のエタノールで洗浄することによって反応を停止し、65℃でのインキュベーションによってクロロフィル色素を脱色した。
図9は、ピラバクチン、LC66C6、および(+)−ABAに対する応答において誘発された、遺伝子発現変化を示す。図9Aに示される通り、LC66C6は、野生型植物では、用量依存性様式にてRD29BおよびMAPKKK18のmRNAの発現を誘発したが、一方その誘発レベルは、abil−1およびPYR/PYL4重変異体植物の双方において低下された。LC66C6による遺伝子発現の誘発は、(+)−ABAで観察されるものに類似している。(+)−ABAおよびLC66C6と対照的に、ピラバクチンは、野生型植物において遺伝子発現を誘発しなかったが、ただし、より高い濃度が処理中に利用される場合に、実生において適度のABA関連遺伝子発現を誘発する(Park et al.,2009)。
図9Bは、標識RNAのATH1マイクロアレイへのハイブリッド形成によって測定した場合の、野生型実生における対照処理と比較したABAおよびLC66Cまたはピラバクチン効果のゲノム全体での比較を示す。図9Bに示される通り、LC66C6は、マイクロアレイ実験においてABAによって誘発されるものに類似した遺伝子セットを誘発する。対照的に、ピラバクチンは、ABAのものに類似した発現パターンを誘発しなかった。
図9Cおよび9Dは、LC66C6が、(+)−ABAと同一の組織内のレポーター遺伝子の発現を誘発することを示す。レポーター遺伝子の発現は、葉および根の孔辺細胞および維管束組織、ならびに吸収された種の幼根先端にて観察された。
図10は、PYR/PYL単一変異体におけるABA応答性遺伝子発現を示す。図10に示される通り、ABA応答性MAPKKK18、RD29A、およびRD29B mRNAは、Col生態型およびLer生態型ならびにpyr1、pyl1、ply2、pyl3、およびpyl4単一変異体遺伝子型において、LC66C6および(+)−ABAの双方によって誘発された。対照的に、ピラバクチンは、単一変異体生態型または野生型生態型のうちのいずれにおいても、分析した遺伝子のいずれの発現も著しく誘発しなかった。
図11は、野生型植物、abil−1、およびPYR/PYL4重変異体におけるABA応答性遺伝子発現を示す。図11に示される通り、LC66C6および(+)−ABAの双方は、Col野生型植物において用量依存性様式にてABF3、GBF3、NCED3、およびRD29Aの発現を誘発し、それに対し誘発レベルは、abil−1およびPYR/PYL4重変異体植物の双方において低下された。上述の結果と一致して、ピラバクチンは、野生型植物において分析したいずれの遺伝子の著しい発現も誘発しなかった。
実施例5
この実施例は、ABA異化に関する鍵酵素は、LC66C6によって誘発される応答に影響しないことを実証する。
図12に示される通り、ABAによる植物成長および発芽の抑制は、cyp707a、つまりABA異化に関する鍵酵素に関する2重変異体である植物において強化されるが、CYP707Aを過剰発現する植物においては減弱される(CYP707AOX;図12A〜D参照)。対照的に、LC66C6による植物成長および発芽における効果は、cyp707aに関する2重変異体である植物、野生型植物、またはCYP707AOXを過剰発現する植物において有意には異ならない(図12A〜D参照)。
この実施例は、ABAの分解に関する酵素は、LC66C6によって調節される表現型に影響しないことを示す。
実施例6
この実施例は、LC66C6が、単子葉植物および双子葉植物を含む多様な植物種において生物活性であることを示す。
図13Aは、LC66C6が、ブロッコリー、ハツカダイコン、アルファルファ、ダイズ、ベアリー、コムギ、ショルガム、およびトウモロコシ種子の発芽を抑制することを示す。LC66C6による発芽の抑制のレベルは、ピラバクチンより大きい。図13Bに示される通り、LC66C6は、上述の種の脱離した葉において、2時間の期間にわたって蒸散水分損失を減少させる。更に、LC66C6は、ダイズにおけるABA応答性遺伝子GmNAC4およびGmbZIP1の発現を強く誘発し(図13C)、オオムギにおけるABA応答性遺伝子HVA1およびHvDRF1の発現を適度に誘発し(図13D)、トウモロコシにおけるABA応答性遺伝子ZmRab17およびZmLEAの発現を弱く誘発する(図13E)。
この実施例は、LC66C6は、農業的に重要な種の多様な群において発芽を抑制し、蒸散水分損失を減少させることを実証し、LC66C6は、多数の種において乾燥ストレスを軽減するのに有用であることを示唆している。
実施例7
この実施例は、ABAおよび本明細書に説明されるアゴニストの化学構造、ならびにインビトロおよびインビボでのアゴニストの効果を示す。
図14および18は、ABAおよび試験したアゴニストの化学構造を示す。図15Aは、図14に示されるアゴニストのそれぞれに対する応答を試験した、PYR/PYL受容体PYR1、PYL1、PYL2、PYL3、およびPYL4を用いた酵母ツーハイブリッド分析の結果を示す。図15Bは、野生型種子の発芽における図14のアゴニストの試験の結果を示し、LC66C6は、野生型種子の発芽の抑制において、(+)−ABAに次いで最も有効なアゴニストの1つであることを実証する。図15Cは、ABA誘発可能シロイヌナズナ遺伝子MAPKKK18の制御下で、グルクロニダーゼを発現する遺伝子導入系統にてグルクロニダーゼ分析を用いて測定した際の、ABA−レポーター系統における化合物の効果を示す。
この実施例は、LC66C6が、インビトロおよびインビボの双方で、最も有効な試験したアゴニストの1つであることを実証する。
実施例8
この実施例は、LC66C6が、ABA欠損変異体植物の大きさを増加させることができることを示す。
この実施例では、14日齢の野生型およびaba2変異体植物に、25μΜのアゴニストを含有する溶液を1日2回、2週間噴霧した。画像および生重量を、4週齢の植物から得た。図16に示される通り、aba2変異体植物へのLC66C6の適用は、担体DMSOのみで処理した対照植物に比べて変異体植物の大きさを有意に増加させた。
この実施例は、LC66C6が、aba2変異において観察される成長表現型を、(+)−ABAのものに類似した様式で補完し得ることを実証する。
実施例9
この実施例は、LC66C6が、コケにおける原糸体成長を弱く抑制することができるが、単細胞性緑藻類クラミドモナスの成長には効果を有さないことを示す。
図17Aおよび17Bに示される通り、LC66C6は、コケニセツリガネゴケの原糸体の成長に対して弱いが有意な抑制を示した。ピラバクチンは原糸体を脱色し、この種に対して毒性である可能性があることを示唆している。
図17Cは、LC66C6が、コケにおけるABA応答性遺伝子の発現を誘発し得ることを示す。しかしながら、これらの誘発レベルは、ABAのものより弱かった。
図17Dに示される通り、(+)−ABAおよびLC66C6の双方とも、塩分および浸透圧のストレスに伴ってまたは伴わずに、クラミドモナスの成長に効果を有さなかった。ここでも、ピラバクチンはクラミドモナスを脱色し、同様にこの種に対して毒性であることを示唆している。
この実施例は、LC66C6が、コケニセツリガネゴケにおいて原糸体成長を弱く抑制し、ABA応答性遺伝子発現を弱く誘発し得るが、単細胞性藻類クラミドモナスの成長はもたらさないことを示す。
本明細書で説明される実施例および実施形態は、単に例証の目的であり、それらを踏まえた様々な改変または変更が、当業者によって想起され、かつ、本出願の精神および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。本明細書で引用する全ての出版物、配列受入番号、特許、および特許出願は、全ての目的においてその全体が参照により本明細書に援用される。

Claims (29)

  1. 式Iの化合物またはその塩を含む、非生物学的ストレス耐性を増加させるための農業用製剤:
    Figure 0006166349
    式中、
    は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
    は、それぞれ1〜4個のR2a基で置換されていてもよい、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
    各R2aは独立して、H、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ハロアルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−OH、C1〜6アルキルヒドロキシ、−CN、−NO、−C(O)R2b、−C(O)OR2b、−OC(O)R2b、−C(O)NR2b2c、−NR2bC(O)R2c、−SO2b、−SOOR2b、−SONR2b2c、および−NR2bSO2cからなる群から選択され、
    2bおよびR2cのそれぞれは独立して、HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、
    、R、およびRのそれぞれは独立して、HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、
    Lは、結合およびC1〜6アルキレンからなる群から選択されるリンカーであり、
    下付文字mは、0〜4の整数であり、
    下付文字nは、0〜3の整数であり、
    式中−N(R )SO LR スルホンアミドが第6位にある
  2. 前記化合物が、式:
    Figure 0006166349
    を有する、請求項1に記載の製剤。
  3. が、C 1〜6 アルキルであり、
    が、それぞれ1〜4個のR 2a 基で置換されていてもよい、フェニルおよびチオフェンからなる群から選択され、かつ
    各R 2a が独立して、ハロゲンおよびC 1〜6 アルキルからなる群から選択される、請求項2に記載の製剤。
  4. が、C1〜6アルキルであり、かつ
    が、それぞれ1〜4個のR2a基で置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、請求項2に記載の製剤。
  5. 各R2aが独立して、H、ハロゲン、およびC1〜6アルキルからなる群から選択される、請求項4に記載の製剤。
  6. が、フェニル、ナフチル、チオフェン、フラン、ピロール、およびピリジルからなる群から選択される、請求項4に記載の製剤。
  7. が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびヘキシルからなる群から選択され、
    が、それぞれ1個のR2a基で置換されていてもよい、フェニルおよびチオフェンからなる群から選択され、
    各R2aが独立して、H、F、Cl、メチル、およびエチルからなる群から選択され、かつ
    Lが、結合およびメチレンからなる群から選択される、請求項4に記載の製剤。
  8. 前記化合物が、式:
    Figure 0006166349
    を有する、請求項7に記載の製剤。
  9. 前記化合物が、式:
    Figure 0006166349
    を有する、請求項7に記載の製剤。
  10. 前記化合物が、以下に示される化合物のうちの1つである、請求項1に記載の製剤:
    Figure 0006166349
    Figure 0006166349
    Figure 0006166349
  11. 前記化合物が、
    Figure 0006166349
    である、請求項1に記載の製剤。
  12. 殺真菌剤、除草剤、殺線虫剤、殺虫剤、植物活性剤、除草剤毒性緩和剤、植物成長調節剤、防虫剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、または肥料のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の製剤。
  13. 界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の製剤。
  14. 担体を更に含む、請求項1に記載の製剤。
  15. 植物における非生物的ストレス耐性を増加させる方法であって、植物を請求項1〜14のいずれか一項に記載の製剤と接触させないことに比べて該植物における非生物学的ストレス耐性を増加させるのに十分な量の該製剤と、該植物を接触させるステップを含む、方法。
  16. 前記植物が単子葉植物である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記植物が双子葉植物である、請求項15に記載の方法。
  18. 前記非生物的ストレス耐性が乾燥耐性を含む、請求項15に記載の方法。
  19. 前記接触させるステップが、航空機または潅水によって前記製剤を前記植物に送達することを含む、請求項15に記載の方法。
  20. 植物における種子発芽を抑制する方法であって、種子を、発芽を抑制するのに十分な量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の製剤と接触させるステップを含む、方法。
  21. 請求項15〜20のいずれか一項に記載の方法で処理された、植物。
  22. 前記植物が種子である、請求項21に記載の植物。
  23. PYR/PYLタンパク質を活性化する方法であって、該PYR/PYLタンパク質を、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製剤と接触させるステップを含む、方法。
  24. 前記PYR/PYLタンパク質が細胞によって発現される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記細胞が植物細胞である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記PYR/PYLタンパク質が前記細胞にとって内因性である、請求項24に記載の方法。
  27. 前記PYR/PYLタンパク質が前記細胞にとって異種である、請求項24に記載の方法。
  28. 前記細胞が2型タンパク質ホスファターゼ(PP2C)を更に発現する、請求項24に記載の方法。
  29. 前記2型タンパク質ホスファターゼが、HAB1(Homology to ABI1)、ABI1(Abscisic acid insensitive 1)、またはABI2(Abscisic acid insensitive 2)である、請求項28に記載の方法。
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