JP6166011B2 - 防火ポリウレタンフォームおよびその製造方法 - Google Patents

防火ポリウレタンフォームおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリウレタン(PU)フォームに関し、特に、低密度の防火ポリウレタンフォームおよびその製造方法に関するものである。
現在の防火建材は、主に三つに分類される。無機繊維板、無機繊維コットン、有機難燃フォームである。無機繊維板は、防火性を有しているが、質量が比較的重く、かつ形が固定しているため応用が不便で、断熱効果も比較的悪い。無機繊維コットンは、非常に優れた防火性および断熱性を有するが、機械的強度を有していない。一般の有機難燃フォームは、例えば、フェノール系フォームであり、軽量で断熱性は好ましいが、防火性は悪く、点火後に収縮しやすく、短期間内において、フォームは完全に気化され、保護効果を有しない。
ポリウレタンフォームに無機難燃剤を添加することにより、有機材料と無機材料との長所が組み合わされ、有機材料の高加工性と軽量性と高断熱性とを有し、かつ無機材料の防火効果を有するので、非常に優れた防火材料となる。しかしながら、公知技術において、無機難燃剤は、単に、ポリウレタンに物理的に混合するだけであり、防火効果に限界がある。また、無機難燃剤の添加量に制限があり、粒径1μmの水酸化アルミニウムを例にとると、加工できることを前提にした最大許容量は、防火フォームの総質量を基準にして、わずか36.5質量%であり、仮に、無機難燃剤の添加量を高めたい場合には、粘度が上昇し、加工ができなくなる。
公知技術の特許文献1、2に開示されているように、ポリウレタンフォームの製造方法は図1に示すとおりであり、単に、難燃剤をポリオールに添加しただけで、均等に分散させた後、無添加のポリイソシアネートと混合すると同時に発泡成形する。このような方法は、粉体が単にポリオール中にのみ存在し、ポリオール溶液の容量に限界があるので、その難燃剤の含有量を高めることができず、防火効果も同じように高めることができない。
他方、特許文献3、4では、難燃剤とポリイソシアネートとポリオールとを同時に混合する。図2に示すように、この方法は、ポリイソシアネートとポリオールとが接触すると、すぐに反応をし始め、硬化と同時に発泡を招く。その混合時間は必ず長くしてはならないため、短時間に大量の難燃剤を導入することができない。
特許文献5、6に開示された防火ポリウレタンフォームは、図3に示すように、予め製造された開孔のポリウレタンフォームに水酸化アルミニウムを含む架橋性ラテックス溶液を含浸(または注入)して、防火効果を達成させる。
また、公知技術は、単一粒径の無機難燃剤を利用しており、混合粒径の無機難燃剤を使用する効果については、何ら記載していない。
カナダ国特許第1222599号明細書 米国特許第4317889号明細書 米国特許第6010565号明細書 英国特許第1472245号明細書 英国特許第1499168号明細書 欧州特許第0308769号明細書
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、防火ポリウレタンフォームおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、ポリイソシアネートとヒドロキシル基含有無機難燃剤とを予備混合して第一の予備混合物を形成する工程(ここで、前記ポリイソシアネートは前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤と反応して化学結合を形成する);ポリオールと発泡剤とヒドロキシル基含有無機難燃剤とを予備混合して第二の予備混合物を形成する工程;および前記第一の予備混合物と前記第二の予備混合物とを混合して発泡成形を行って、防火ポリウレタンフォームを得る工程を含むことを特徴とする防火ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
また、本発明は、ポリウレタンとヒドロキシル基含有無機難燃剤とを含む防火ポリウレタンフォームであって、前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤が前記防火ポリウレタンフォームの総質量の50〜80質量%を占め(ここで、前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤は前記ポリウレタンと反応して化学結合を形成する)、防火ポリウレタンフォームの密度が0.05〜0.7g/cmであることを特徴とする防火ポリウレタンフォームを提供する。
本発明の防火ポリウレタンフォームおよびその製造方法によれば、低密度を有するだけでなく、かつ1000℃の火炎温度に1時間以上耐えることができると同時に、フォームの構造的完全性を相変わらず維持でき、その防火効果はその他の異なる製造プロセス、または単一粒径のフォームより優れ、非常に好ましい防火材料である。
公知技術のポリウレタンフォームの製造工程の流れ図である。 公知技術の別のポリウレタンフォームの製造工程の流れ図である。 公知技術のさらに別のポリウレタンフォームの製造工程の流れ図である。 本発明のポリウレタンフォームの製造工程の流れ図である。 単一粒径を使用した無機難燃剤の概略図である。 混合粒径を使用した無機難燃剤の概略図である。 火炎試験における実施例1と比較例1とのフォーム背面温度変化を示すグラフ図である。 火炎試験における実施例1と比較例1とのフォームの点火面および非点火面の様子を示す図である。 火炎試験における実施例2のフォーム背面温度変化を示すグラフである。 火炎試験における比較例3〜5のフォーム背面温度変化を示すグラフである。
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポリウレタンフォームの低密度を利用して、無機難燃剤の防火性に併せて低密度、低コスト、高強度、高断熱性を有する防火フォーム材料を提供する。好ましい実施態様において、得られた防火ポリウレタンフォームは、1000℃の火炎温度に1時間以上耐えることができると同時に、フォームの構造的完全性を維持し、火炎と温度との伝達を効果的に阻止することができる。
図4を参照すると、無機難燃剤の含有量を高め、優れた防火効果を達成するために、本発明の製造方法は、ヒドロキシル基含有無機難燃剤(例えば、水酸化アルミニウム)をポリイソシアネートおよびポリオールにそれぞれ添加して予備混合し、ほぼ均等に分散させた後、二つの予備混合物を混合して発泡成形する。この方法は、無機難燃剤の含有量を40質量%以上、好ましくは約50〜80質量%にまで大幅に増加させることができる。
注意すべきことは、ポリイソシアネートと予備混合する際に、無機難燃剤のヒドロキシル基はポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)と反応を行うことによって、難燃剤の添加量を高めることができ、かつポリウレタンと無機難燃剤とが化学結合することで、複合材料の構造強度がさらに強化されるので、熱/火炎が発生した時に、溶融、ドロップ、収縮などの現象が起こらないことである。
逆に、図1〜図2に示された公知技術において、ポリイソシアネートとポリオールとの反応は、ポリイソシアネートと水酸化アルミニウムとの反応より速いので、ポリイソシアネートは、水酸化アルミニウムと反応する前に、まずポリオールと反応する。得られたフォーム材料は点火時にドロップしやすく、かつフォーム材料は収縮する。図3に示された公知技術において、水酸化アルミニウムは、(化学的に結合していない)ポリウレタンの外層に物理的に覆われるので、防火効果に限りがあるだけでなく、かつさらなる製造プロセスが必要である。
また、本発明のもう一つの特徴は、異なる粒径のヒドロキシル基含有無機難燃剤を組み合わせて使用することで、難燃剤の添加量を高めることができると同時に、フォームの防火性を向上させることができる点である。粒径が比較的小さな無機難燃剤は、表面積が大きいため、ポリウレタン反応混合物の粘度が急激に上がりやすいので、その添加量がかなり制限される。他方、粒径が比較的大きな無機難燃剤は、添加量を比較的多くできるが、その防火効果は悪く、フォーム材料が点火時にドロップしやすい。よって、異なる粒径のヒドロキシル基無機難燃剤を組み合わせることで、無機難燃剤の添加量を増加させるだけでなく、防火性能を同時に高めることができる。
図5は、単一粒径の無機難燃剤10aを使用した場合の概略図である。図6は、混合粒径の無機難燃剤10a、10b、10cを使用した場合の概略図である。二つの図を比較すると、大小の異なる粒径の無機難燃剤を使用した場合には、空間を充分に利用できるので、無機難燃剤の添加量を増加させることができる。
以下では、防火ポリウレタンフォームの製造方法およびその組成をさらに詳細に説明する。
本発明に使用されるポリイソシアネートは、各分子に二つまたはそれ以上のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、複素環式ポリイソシアネートなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。二つ以上のポリイソシアネートを混合して使用してもよい。ポリイソシアネートのNCO含有量は、約5〜50質量%であることが好ましい。ポリイソシアネートの代表例としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、p,p’−ビスフェニルジイソシアネート(BPDI)などが挙げられる。
本発明に使用されるポリオールは、各分子に二つまたはそれ以上の活性官能基を有するポリオールであり、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。ポリオールの代表例としては、例えば、ブタンジオール・アジピン酸共重合体グリコール[poly(butanediol−co−adipate)glycol;PBA]、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ヘキサンジオール・アジピン酸共重合体グリコール[poly(hexanediol−co−adipate)glycol;PHA]、エチレン・アジピン酸共重合体グリコール[poly(ethylene−co−adipate)glycol;PEA]、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。ポリオールの数平均分子量は、好ましくは約200〜6000、より好ましくは約600〜3000である。本発明では、一つまたはそれ以上のポリオールを使用して反応を行うことができる。
ポリオールは、まず、発泡剤、触媒剤、および分散剤と混合した後、難燃剤を添加して予備混合する。水は、ポリウレタンの常用発泡剤である。適切な触媒としては、例えば、金属化合物、第3級アミンなどが挙げられる。金属化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート(T−12)、オクタン酸スズ(T−9)、オレイン酸塩スズなどが挙げられる。第3級アミンとしては、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキサンアミンなどが挙げられる。適切な分散剤としては、例えば、ビー・ワイ・ケイ・ケミー(BYK Chemie)のDisperbykシリーズの分散剤が挙げられる。ある具体的な実施態様において、発泡剤、触媒剤、分散剤の使用量は、ポリオールの質量を基準として、それぞれ、1質量%、0.1質量%、2.5質量%である。しかし、これ以外の比率を使用してもよい。
本発明に使用されるヒドロキシル基含有無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭酸カルシウム、またはその組合せなどが挙げられるが、それらに限定されることはない。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが特に好ましい。注意すべきことは、無機難燃剤のヒドロキシル基は、もともと無機粉体にあり、または表面改質官能化によって形成される。ヒドロキシル基含有無機難燃剤の粒径は、約0.5〜100μmであり、好ましくは、二つまたはそれ以上の異なる粒径の組合せを使用することで、添加量の増加と防火特性とを高めさせるが、本発明において、単一粒径のヒドロキシル基含有無機難燃剤の使用も許容する。ある具体的な実施態様では、0.5〜5μm、5〜20μm、および20〜100μmという粒径の組合せを使用することができ、その質量比は、1:0.1〜2:0.1〜2、好ましくは3:2:4である。ヒドロキシル基含油無機難燃剤の総添加量は、防火ポリウレタンフォームの総質量の約50〜80質量%を占め、他方、ポリイソシアネート予備混合物中の難燃剤とポリオール予備混合物中の難燃剤との質量比は、約1:9〜9:1、好ましくは約1.5:1である。
また、ヒドロキシル基含有無機難燃剤以外に、他の難燃剤を任意に添加することができる。例えば、防火ポリウレタンフォームは、その総質量を基準にして、0〜10質量%のリン含有難燃剤(例えば、ポリリン酸アンモニウム)、0〜5質量%の窒素含有難燃剤(例えば、メラミン)、0〜5質量%の炭化剤(例えば、ペンタエリスリトール)、0〜15質量%のガラス繊維(例えば、ガラス短繊維)を含有していてもよい。なお、0質量%は、非添加を表す。他の難燃剤は、まず、ヒドロキシル基含有無機難燃剤と予め混合してから、ポリイソシアネートおよびポリオールにそれぞれ添加することができる。
本発明の製造方法によれば、ヒドロキシル基含有無機難燃剤をポリイソシアネートおよびポリオールにそれぞれ添加して予備混合する。予備混合は、例えば、約100〜400rpmの攪拌速度で、約5〜30分間攪拌することで、均等に分散させる。次に、それぞれ形成された予備混合物を混合し、例えば、約1000〜3000rpmの高速度で、約5〜30秒間攪拌してから、金型に注入して発泡成形する。得られたポリウレタンフォームの密度は、約0.05〜0.7g/cmである。以下の実験からわかるように、本発明の防火ポリウレタンフォームは、1000℃の火炎温度に1時間以上耐えることができると同時に、フォームの構造的完全性を維持し、火炎と温度との伝達を効果的に阻止することができる。
使用材料
a.ポリイソシアネート、型番UR−398B(高分子MDI)、クアン・ルン・シン・コーポレイション(KUANG LUNG SHING CORPORATION)
b.ポリオール、型番UR−398A、クアン・ルン・シン・コーポレイション(KUANG LUNG SHING CORPORATION)
c.分散剤、型番2280、マーヴェル・ケミカル(Marvel Chemical)
d.分散剤、型番Disperbyk−110,ビー・ワイ・ケイ・ケミー(BYK Chemie)
e.触媒、ジブチルスズジラウレート、型番T−12
f.触媒、トリエチレンジアミン溶液、型番DABCO−33LV、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(Air Products and Chemicals)
g.水酸化アルミニウム、粒径1μm、型番H−42M、昭和電工株式会社
h.水酸化アルミニウム、粒径8μm、型番H−32、昭和電工株式会社
i.水酸化アルミニウム、粒径55μm、型番H−10、昭和電工株式会社
j.窒素含有難燃剤、メラミン
k.リン含有難燃剤、ポリリン酸アンモニウム
l.炭化剤、ペンタエリスリトール
m.ガラス短繊維、型番202P 3.2、台湾ガラス・インコーポレイテッド(Taiwan Glass Inc.)
n.「MIA4」は、j.k.l.の混合物であり、その質量比は、3:16:1である。
以下の実施例および比較例において、特に断りがない場合、「%」は、いずれも「質量%」を表す。
製造プロセスの影響比較
[実施例1]
それぞれの予備混合
表1の難燃剤粉体Cを予めドライで均等に混合し、表2の液体Aを均等に攪拌し、かつポリイソシアネート(UR398B)68.7gを添加して液体Bにし、予備処理が完了した後、116.2gの粉体Cを液体Bに入れ、同時に65.2gの粉体Cを液体Aに添加し、それぞれ、250rpmの速度で、7分間攪拌することで、均等に分散させた後、A、Bの両液を混合し、1200rpmの高速度で、約10秒間攪拌してから、金型に注入して発泡成形した。その形成されたフォームは10cm×20cm×4cmであり、その密度は0.335g/cmであった。難燃剤の含有量は60.2%であった。
[比較例1]
ポリオールのみと予備混合
表3の難燃剤粉体Cを予めドライで均等に混合し、表2の液体Aを均等に攪拌し、かつポリイソシアネート(UR398B)68.7gを添加して液体Bにし、予備処理が完了した後、全部の粉体Cを液体Aに入れ、250rpmで、7分間攪拌することで、均等に分散させた後、A、Bの両液を混合し、1200rpmの高速度で、約10秒間攪拌してから、金型に注入して発泡成形した。その形成されたフォームは10cm×20cm×4cmであり、その密度は0.339g/cmであった。難燃剤の含有量は36.5%であったが、これは加工できる最大の許容量である。
[比較例2]
同時混合
表1の難燃剤粉体Cを予めドライで均等に混合し、表2の液体Aを均等に攪拌し、かつポリイソシアネート(UR398B)を液体Bにし、予備処理が完了した後、A、Bの両液とC粉体とを混合し、1200rpmの高速度で、約10秒間攪拌した。この方法は攪拌時間が短いため、粉体が液体の中で瞬間分散できず、かつ粉体が液体を覆う塊現象が形成されたため、混合物を金型に注入して成形することができなかった。また、A、B液を混合した後、迅速に発泡するので、攪拌時間を長くすることは不可能であった。よって、この製造プロセスは操作上において困難がある。
防火特性
実施例1と比較例1から得られたフォームを950℃のガストーチ(バーナ直径1.5インチ(約3.81cm))にかけ、かつその背面温度を測定した。その結果を図7に示す。実施例1のフォームは、火炎温度に1時間以上耐え、かつ構造的完全性を相変わらず維持することができた。比較例1のフォームは、20分もしないうちにクラックし、構造が非常に弱かった。図8(点火面と非点火面とを示す図面代用写真の写し)から、両者の防火特性の差異が明らかにわかる。
混合粒径の影響比較
[実施例2]
混合粒径
表4の難燃剤粉体Cを予めドライで均等に混合し、表5の液体Aを均等に攪拌し、かつポリイソシアネート(UR398B)50.9gを添加して液体Bにし、予備処理が完了した後、86gの粉体Cを液体Bに入れ、同時に48.3gの粉体Cを液体Aに添加し、それぞれ、250rpmの速度で、7分間攪拌することで、均等に分散させた後、A、Bの両液を混合し、1200rpmの高速度で、約10秒間攪拌してから、金型に注入して発泡成形した。その形成されたフォームは10cm×20cm×4cmであり、その密度は0.27g/cmであった。このフォームを950℃のガストーチ(バーナ直径1.5インチ(約3.81cm))にかけ、その背面温度を測定した。その結果を図9に示す。火炎試験後、フォームの厚みは4cmから3.8cmに縮小した。
以下の比較例3〜5は、三つの単一粒径の水酸化アルミニウムを使用しており、それぞれ、H−42M(1μm)、H−32(8μm)、H−10(55μm)である。粒径の小さい水酸化アルミニウムの添加量は比較的少なく、粒径の大きい水酸化アルミニウムの添加量は比較的多く、各比較例はいずれも一定の粘度を維持し、かつ加工しやすいことを前提に、添加量を最大に調整した。
[比較例3]
単一粒径1μm
表6に示された液体を予備混合してA液を形成し、かつポリイソシアネート(UR398B)101.8gを添加して液体Bにし、予備処理が完了した後、水酸化アルミニウム(H−42M)60gをA液に入れ、水酸化アルミニウム(H−42M)65gをB液に入れ、それぞれ、異なるビーカーに入れ、250rpmの速度で、7分間攪拌した後、両液を混合し、1200rpmの高速度で攪拌してから、金型に注入して発泡させ、ポリウレタンフォームを形成した。難燃剤の含有量は41.8%であり、フォームの密度は0.31g/cmであり、その体積は4cm×10cm×10cmであった。
[比較例4]
単一粒径8μm
表6に示された液体を予備混合してA液を形成し、かつポリイソシアネート(UR398B)101.8gを添加して液体Bにし、予備処理が完了した後、水酸化アルミニウム(H−32)90gをA液に入れ、水酸化アルミニウム(H−32)125gをB液に入れ、それぞれ、異なるビーカーに入れ、250rpmの速度で、7分間攪拌した後、両液を混合し、1200rpmの高速度で攪拌してから、金型に注入して発泡させ、ポリウレタンフォームを形成した。難燃剤の含有量は55.3%であり、フォームの密度は0.32g/cmであり、その体積は4cm×10cm×10cmであった。
[比較例5]
単一粒径55μm
表6に示された液体を予備混合してA液を形成し、かつポリイソシアネート(UR398B)101.8gを添加して液体Bにし、予備処理が完了した後、水酸化アルミニウム(H−10)126gをA液に入れ、水酸化アルミニウム(H−10)144gをB液に入れ、それぞれ、異なるビーカーに入れ、250rpmの速度で、7分間攪拌した後、両液を混合し、1200rpmの高速度で攪拌してから、金型に注入して発泡させ、ポリウレタンフォームを形成した。難燃剤の含有量は60.8%であり、フォームの密度は0.34g/cmであり、その体積は4cm×10cm×10cmであった。
比較例3〜5のフォームを950℃のガストーチ(バーナ直径1.5インチ(約3.81cm))にかけ、その背面温度を測定した、その結果を図10に示す。この試験結果と実施例1の試験結果とは一致しており、実際、火炎試験後、三つのフォームは、いずれもクラックし、フォームは良好な防火性能および断熱性能を提供することができなかった。
以上からわかるように、本発明の防火ポリウレタンフォームは低密度を有するだけでなく、かつ1000℃火炎温度に1時間以上耐えることができると同時に、フォームの構造的完全性を相変わらず維持でき、その防火効果はその他の異なる製造プロセス、または単一粒径のフォームより優れ、非常に好ましい防火材料である。
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、図面および明細書の説明では、類似または同一の部分は、同一の符号を使用している。また、図面では、実施例の形状または厚さは拡大することができ、表示を簡易化することができる。また、図面中の各素子の部分はそれぞれ説明されるが、注意するべきことは、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することが可能なことである。従って、本発明が請求する保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
10a、10b、10c:無機難燃剤

Claims (14)

  1. ポリイソシアネートとヒドロキシル基含有無機難燃剤とを予備混合して第一の予備混合物を形成する工程(ここで、前記ポリイソシアネートは、前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤と反応して化学結合を形成し、前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤は、0.5〜5μm、5〜20μmおよび20〜100μmの粒径を含み、前記粒径の質量比は、それぞれ1:0.1〜2:0.1〜2である);
    ポリオールと発泡剤と前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤とを予備混合して第二の予備混合物を形成する工程;および
    前記第一の予備混合物と前記第二の予備混合物とを混合して発泡成形を行って、防火ポリウレタンフォームを得る工程を含むことを特徴とする防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 前記ポリイソシアネートのNCO含有量が5〜50質量%である請求項1に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 前記ポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレン−ジイソシアネート(PPDI)、p,p’−ビスフェニルジイソシアネート(BPDI)、またはその組合せである請求項1または2に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  4. 前記ポリオールが、二つまたはそれ以上の活性官能基を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、またはその組合せである請求項1〜3のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭酸カルシウム、またはその組合せであり、ヒドロキシル基が、もともと無機粉体にあり、または表面改質官能化によって形成されるヒドロキシル基含有無機難燃剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  6. 前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤が前記防火ポリウレタンフォームの総質量の50〜80質量%を占める請求項1〜5のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  7. 前記第一の予備混合物に添加する前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤と前記第二の予備混合物に添加する前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤との質量比が1:9〜9:1である請求項1〜6のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  8. 前記第二の予備混合物が分散剤をさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  9. 前記第二の予備混合物が触媒をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  10. 前記防火ポリウレタンフォームが、リン含有難燃剤、窒素含有難燃剤、炭化剤、ガラス繊維、またはその組合せをさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  11. 前記防火ポリウレタンフォームの密度が0.05〜0.7g/cmである請求項1〜10のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  12. 前記防火ポリウレタンフォームが1000℃の火炎温度に1時間以上耐えることができる請求項1〜11のいずれか1項に記載の防火ポリウレタンフォームの製造方法。
  13. ポリウレタンとヒドロキシル基含有無機難燃剤とを含む防火ポリウレタンフォームであって、
    前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤が前記防火ポリウレタンフォームの総質量の50〜80質量%を占め(ここで、前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤は、前記ポリウレタンの原料であるポリイソシアネートのイソシアネート基と反応して前記ポリウレタンと化学結合を形成し、前記ヒドロキシル基含有無機難燃剤は、0.5〜5μm、5〜20μmおよび20〜100μmの粒径を含み、前記粒径の質量比は、それぞれ1:0.1〜2:0.1〜2である)、
    前記防火ポリウレタンフォームの密度が0.05〜0.7g/cmであることを特徴とする防火ポリウレタンフォーム。
  14. 前記防火ポリウレタンフォームが1000℃の火炎温度に1時間以上耐えることができる請求項13に記載の防火ポリウレタンフォーム。
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