JP6165872B2 - 単糖類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は単糖類の製造方法、特にL−フコースや、N−アセチルノイラミン酸などの希少単糖類を、微生物を利用して製造する方法に関する。
糖質はあらゆる形態の生命体において必須であり、エネルギー貯蔵、構造的機能、情報伝達、情報保存などにおいて重要な機能を担っている。そのため、グルコース、マンノース、フルクトース、フコース、リボース、シアル酸などの、数種の主要単糖類や、例えばD−アロースなどの、より特殊な使われ方をする数種の非主要単糖類が自然界で合成される。
単糖類のうち数種(例えばグルコースやフルクトース)は、自然界から豊富にかつ大量に入手できるが、L−フコース(6−デオキシ−L−ガラクトース)などのほとんどの単糖類は希少であり、天然には少量しか見出されない。
単糖類の商用生産には、専ら天然のオリゴ糖類が原料として用いられている。このオリゴ糖類を酸加水分解し、分解された単糖類から各糖を精製する。単糖類は互いに化学的に非常によく似ている(多くは水酸基の配置のみが異なる)ため、各単糖を純粋な形態に分離するにはかなりの労力と費用を要する。
L−フコースはこのような希少糖を代表するものであり、現在、藻類または細菌由来のオリゴ糖複合体を加水分解することにより得られている。加水分解産物複合体から各単糖を精製するには、酢酸鉛や過剰量の有機溶媒などの有害化学物質の使用を余儀なくされることが多い。従って、オリゴ糖類の加水分解産物複合体から各単糖を単離することは困難であり(分解された各単糖が互いに化学的に非常によく似ているため)、環境にも有害である(炭酸鉛などの有毒化学物質を過剰に使用するため)。また、特定の糖を豊富に含むオリゴ糖類の自然界からの入手可能性も限定的であり、季節変動も大きい。L−フコースは、このような希少単糖を代表するものであり、従来、フコース含有多糖類の酸加水分解により得られている。フコースは、主としてヒバマタ科(Fucaceae)やコンブ科(Laminariaceae)などの一般的な褐藻類全般に存在するフカンモノサルフェートである多糖フコイダンから得られる。現在L−フコースは、主としてヒバマタ科の褐藻類を採取することにより大量生産されている。この褐藻類は世界中で見られるが、特に大西洋の欧州沿岸に多く分布する。しかし海岸から褐藻類を大量に採取することは環境問題を引き起こすため、環境保護に関する法律により制限されている。
例えばJP2000351790には、フコイダンを抽出し、抽出したフコイダンからフコース含有オリゴ糖を単離する方法が開示されている。
褐藻類由来のフコイダンを加水分解する以外に、最近の特許文献では、L−フコースを含有する天然由来の細菌性多糖類を加水分解することによってもL−フコースが得られることが示されている。WO2012/034996A1には、L−フコースを含有する多糖を細胞外に産生することのできる、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する菌株が開示されている。L−フコースを製造するには、菌株が産生した多糖類を回収し、硫酸や塩酸などで処理して加水分解する。
多糖やオリゴ糖の加水分解物からL−フコースを抽出する以外に、L−アラビノース、D−ガラクトース、L−ラムノース、D−マンノースおよびD−グルコースなどの他の単糖類を出発原料とするL−フコースの合成経路が複数開発されている。通常これらの化学合成の収率は低いことが多く、複数のステップが必要となる。L−フコースの化学合成には複数の合成ステップが必要である上に、多くの保護基を使用しなければならない。一般に、単糖類の大規模な化学合成は、天然物からの抽出と比べて経済的であるとは言えない。
このように、現在のところ、単糖を純品として製造するには、目的とする単糖以外の単糖類を除去することによる精製に多大な労力を要し、そのために大量の有機溶媒や有害化学物質を必要とすることが多い。従って、L−フコースなどの所望の単糖1種のみを蓄積できれば非常に役に立つ。ほとんどの微生物は、利用可能な単糖の種類が限定されている。また、炭素源として複数種の単糖を同時に利用できる場合であっても、微生物は特定の単糖に強い選好性を示すことが多い。
上記に鑑み、本発明は、所望の1種の単糖を遊離形態で製造する新規な方法を提供することを目的とする。この方法によれば、迅速かつ効率的に、すなわち大規模かつ経済的に、また環境に悪影響を与えることなく単糖を回収することができる。
この目的および別の目的は、微生物を利用して遊離形態の単糖を大量に製造する方法であって、
a)単糖を合成するための酵素活性、すなわちi)単糖を活性糖ヌクレオチドから受容体基質へと特異的に転移させ、単糖−受容体基質を形成することができるグリコシルトランスフェラーゼ活性およびii)単糖を受容体基質から放出させることのできるグリコシダーゼ活性を有するが、該単糖を代謝することのできない微生物を用意するステップ、
b)微生物の増殖に適した培地中で微生物を培養することによって単糖を遊離形態で製造するステップ、ならびに
c)培地から遊離の単糖を回収するステップ、を含む方法によって達成される。
さらにこの目的は、微生物、好ましくは組換え宿主微生物であって、i)単糖を活性糖ヌクレオチドから受容体基質へと特異的に転移させ、単糖−受容体基質を形成することのできるグリコシルトランスフェラーゼおよびii)単糖を受容体基質から放出させることのできるグリコシダーゼを含むが、該単糖を代謝することのできない微生物、ならびに遊離の形態にある単糖の製造における該微生物の使用によって達成される。
本発明の目的はこのようにして完全に達成される。
今回初めて開示される本願出願人の方法は、特定の2種の酵素活性、すなわちグリコシルトランスフェラーゼ活性およびグリコシダーゼ活性を有する微生物を利用するものである。このグリコシルトランスフェラーゼは、単糖を(内在するか、外部から供給される)活性糖ヌクレオチドから受容体基質へと特異的に転移させ、単糖−受容体基質を形成することができる。次のステップでは、グリコシダーゼが受容体基質から単糖を放出して、遊離の単糖を提供する。
本発明では、上記の酵素的特徴を有する改変されていない微生物を使用できるが、本発明の一態様によれば、微生物は組換え微生物であり、i)該微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列および/またはii)該微生物に天然に存在しないグリコシダーゼをコードする核酸配列の少なくとも1つを含むように形質転換されている。言い換えれば、組換え微生物は該微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列もしくは該微生物に天然に存在しないグリコシダーゼをコードする核酸配列のいずれかを含むように形質転換されていてもよく、またはいずれも、すなわち該微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列と該微生物に天然に存在しないグリコシダーゼをコードする核酸配列とを含むように形質転換されていてもよい。
この新たに提供された方法、およびこの新たに提供された組換え微生物または組換えでない微生物を用いることにより、所望の単糖を遊離形態で大量に、化学物質や複雑な製造ステップを必要とすることなく製造することが初めて可能となる。本発明の方法は微生物を利用した発酵法であり、希少単糖などの単糖類の工業的大量生産に好適に用いられ、生産された単糖類は微生物を培養している培地から容易に回収することができる。
本発明の微生物、すなわちグリコシルトランスフェラーゼを発現している微生物を利用することにより、内在するかまたは外部から供給される受容体基質を効率的にフコシル化することができ、またグリコシダーゼの同時発現により、前例のない大量の遊離単糖を培地中に蓄積することが可能となる。受容体基質の存在下、グリコシルトランスフェラーゼとグリコシダーゼは協働して遊離の単糖を合成するが、これに必要とされるのは適切な受容体の触媒量のみである。このようにして、供給された受容体基質はグリコシルトランスフェラーゼによりフコシル化され、グリコシルトランスフェラーゼ反応のグリコシル化産物は、該産物を受け取ったグリコシダーゼの作用により再生される。
本明細書において、用語「単糖」は、本発明の分野における通常の理解と同様に、糖質の最も基本的な単位を指す。単糖類は糖の最も単純な形であり、通常無色の水に溶けやすい結晶性固形物である。単糖類の例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロースおよびリボースが挙げられる。単糖類は、スクロースなどの二糖類や、セルロース、デンプンなどの多糖類の構成単位である。本明細書において、用語「オリゴ糖」は、本分野における通常の理解と同様に、2以上の単糖類を含む糖重合体を指す。
用語「〜をコードする核酸配列」は一般に任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指し、無修飾RNA、無修飾DNA,被修飾RNAまたは被修飾DNAであってよく、特定のポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を一般に表す。この用語には、一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖領域と二本鎖領域とが混在するDNA、一本鎖領域と二本鎖領域と三本鎖領域とが混在するDNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖領域と二本鎖領域とが混在するRNA、ならびに一本鎖領域、より典型的には二本鎖領域、もしくは三本鎖領域であってもよいDNAとRNA、または一本鎖領域と二本鎖領域が混在しうるDNAとRNAとを含む混成分子が包含されるが、これらに限定されない。またこの用語には、ポリペプチドをコードする1つの連続領域や複数の不連続領域(例えば、組み込まれたファージ、挿入配列またはエディティングによって中断されている)を、コード配列および/または非コード配列をも有しうる別の領域とともに含むポリヌクレオチドも包含される。
これに関連して、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合または被修飾ペプチド結合によって互いに結合された2以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を指す。「ポリペプチド」は、一般にペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーと称される短鎖のものと、通常タンパク質と称される長鎖のもののいずれをも指す。ポリペプチドは、遺伝子がコードする20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。「ポリペプチド」には、プロセシングや翻訳後の別の修飾などの自然プロセスで修飾されたもの、さらに化学的修飾法によって修飾されたものも含まれる。ポリペプチドにおいて、ポリペプチドの活性を本質的に変化させない同様の修飾が、複数の部位に、同程度または様々な程度で存在してもよいことは理解されるであろう。また1つのポリペプチドが多種の修飾を含んでもよい。修飾はポリペプチドのどこで起こってもよく、修飾部位としてはペプチド骨格、アミノ酸側鎖、アミノ末端、カルボキシル末端が挙げられる。
本明細書において、また本発明の全体にわたって、用語「グリコシルトランスフェラーゼ」は、二糖類、オリゴ糖類および多糖類の生合成に関与する酵素であって、活性糖ヌクレオチド(「グリコシル供与体」)からグリコシル受容体分子への単糖部分の転移を触媒する酵素を指す。
本発明の一態様によれば、グリコシルトランスフェラーゼは細菌性のフコシルトランスフェラーゼであることが特に好ましく、好ましくはE.coli:O126のwbgL遺伝子(Genbank 登録番号:ADN43847)によってコードされるα−1,2−フコシルトランスフェラーゼである。
従って、用語「α−1,2−フコシルトランスフェラーゼ」、「フコシルトランスフェラーゼ」、または「α−1,2−フコシルトランスフェラーゼ」もしくは「フコシルトランスフェラーゼ」をコードする核酸/ポリヌクレオチドは、例えばGDP−フコースなどの供与体基質から、受容体分子へのα−1,2−結合でのフコースの転移を触媒するグリコシルトランスフェラーゼを指す。受容体分子は、糖質、オリゴ糖、タンパク質、糖タンパク質、または脂質もしくは糖脂質であってよく、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルラクトサミン、ガラクトース、フコース、シアル酸、グルコース、ラクトースまたはこれらの任意の組合せなどでありうる。
本発明の全体にわたって、関連分野における理解と同様に、「グリコシダーゼ」または「単糖を受容体基質から放出させることのできるグリコシダーゼ」は、グリコシド結合の加水分解を触媒して単糖類などのより小さい糖を放出させる、任意のグリコシドの(グリコシル)加水分解酵素を包含する。
本発明の一態様によれば、グリコシダーゼは細菌性のグリコシダーゼであることが特に好ましく、好ましくは細菌性のα−L−フコシダーゼである。本発明の一実施形態によれば、E.coliにおける発現に最適化されたコドンである、Bifidobacterium bifidum由来の1,2−α−L−フコシダーゼ遺伝子afcA(Genbank 登録番号:AY303700)を使用する。
本発明の範囲において、本明細書全体で言及されるグリコシルトランスフェラーゼとグリコシダーゼの核酸/ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの多型変異、対立遺伝子、変異体、機能的に等価なフラグメントおよび種間ホモログもこれらの用語に含まれる。特に例えばE.coli:O126のwbgL遺伝子(登録番号:ADN43847)によってコードされるα−1,2−フコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列、またはBifidobacterium bifidum由来の1,2−α−L−フコシダーゼ遺伝子afcAのアミノ酸配列と、約60%を超えるアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えるアミノ酸配列同一性を、好ましくは少なくとも約25、50、100、200、500、1000またはそれを超えるアミノ酸範囲にわたって有するアミノ酸配列を含むものが含まれる。当業者であれば、他の任意のグリコシルトランスフェラーゼまたはグリコシダーゼも、微生物においてその酵素活性を発揮するものであれば用いることができることは、本発明を読めば容易に認識するであろう。最終的に、グリコシルトランスフェラーゼおよび/またはグリコシダーゼの配列は、導入対象の微生物に合わせて最適化されたコドンでなければならない。
本発明に関連する範囲内で、本明細書において用いられる「機能的等価物」は、上記のα−1,2−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子配列によってコードされるα−1,2−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子産物または上記のフコシダーゼ遺伝子産物と実質的に同等のインビボ活性を発揮しうるポリペプチドを指す。活性は、多数存在する基準のいずれによって評価してもよく、そのような評価基準としては、例えば抗原性、すなわち抗α−1,2−フコシルトランスフェラーゼ抗体または抗1,2−α−L−フコシダーゼ抗体に結合できる能力、免疫原性、すなわちα−1,2−フコシルトランスフェラーゼタンパク質やポリペプチドまたはフコシダーゼタンパク質やポリペプチドと結合できる抗体を産生する能力や酵素活性などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書全体にわたって言及されるグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドおよび/またはグリコシダーゼポリペプチドは、当技術分野において公知の方法を用いた組換えDNA技術によって製造しても良い。当業者に公知の方法を用いて、例えば、α−1,2−フコシルトランスフェラーゼおよび/または1,2−α−L−フコシダーゼをコードする配列と、適切な転写翻訳の制御シグナルとを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載の技術を参照のこと。
本明細書において、また本発明全体にわたって、「組換え体」とは、1つの種から異種の宿主微生物の細胞内に、遺伝子を移植またはスプライスすることにより作成された、遺伝子改変されたDNAを意味する。このようなDNAは宿主の遺伝子構造の一部となり、複製される。
本明細書において「微生物」は、単細胞、細胞塊、または比較的複雑な多細胞生物を含む、顕微鏡レベルの任意の生物を表し、また包含する。このような微生物は本発明による方法に好適に用いられ、特に細菌と酵母を包含する。本発明に用いられる微生物は、液体培地で培養することができる。微生物は、増殖および複製のために、通常培地中に炭素源を必要とする。
従って、「組換え宿主微生物」は、グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列、グリコシダーゼをコードする核酸配列またはグリコシルトランスフェラーゼとグリコシダーゼとをコードする核酸配列を含む任意の微生物を意味することが意図される。これらの酵素をコードする核酸配列は組換え(宿主)細胞に天然に存在しない外来性の核酸配列であり、この外来性の配列が宿主微生物細胞のゲノムに組み込まれている。従って「天然に存在しない」とは、核酸配列がその宿主微生物細胞にとって外来性、すなわち核酸配列が微生物宿主細胞に対して異種であることを意味する。異種配列は、例えば形質移入、形質転換または形質導入により、宿主微生物細胞のゲノム中に安定に導入することができ、配列を導入する宿主細胞に応じた方法を適用することができる。種々の方法が当業者に公知であり、例えば上記のSambrookら(1989)に開示されている。このように、異種配列が導入された宿主細胞は、本発明による核酸配列がコードする異種タンパク質を産生することになる。
組換え産生のために、宿主細胞を遺伝子改変し、発現系またはその一部と本発明の核酸配列とを組み入れる。核酸配列の宿主微生物細胞への導入は、Davisら、Basic Methods in Molecular Biology,(1986)や上記のSambrookら(1989)など多くの標準実験マニュアルに記載された方法で行うことができる。
従って本発明による核酸配列は、例えば、宿主微生物細胞に安定に形質転換/形質移入、あるいは導入されるベクターに含まれていてもよい。
本発明のポリペプチドを産生させるために、多種多様な発現系を用いることができる。このようなベクターには特に、染色体由来ベクター、エピソーム由来ベクターおよびウイルス由来ベクターが含まれ、例えば、コスミドやファージミドなどの、プラスミドやバクテリオファージ遺伝因子由来のベクターを含む、細菌性プラスミド由来ベクター、バクテリオファージ由来ベクター、トランスポゾン由来ベクター、酵母エピソーム由来ベクター、挿入因子由来ベクター、酵母染色体因子由来ベクター、ウイルス由来ベクターおよびこれらを組み合わせたベクターなどが挙げられる。発現系構築物は、発現を調節し引き起こす制御領域を含んでもよい。通常、宿主におけるポリヌクレオチドの維持、増殖または発現に適し、かつポリペプチドの合成に適した任意の系またはベクターを、ここでの発現に用いることができる。この適切なDNA配列は、例えば上記のSambrookらの文献に記載されている方法などの、様々な公知の方法および通常の方法のいずれかによって、発現系に挿入することができる。
本明細書において、用語「回収する」とは、本発明の微生物によって製造された単糖を、微生物培養物から、単離、採取、精製、収集または分離することを意味する。
本明細書全体にわたって、製造される遊離の単糖はL−フコースまたはノイラミン酸であることが特に好ましい。
L−フコースはヘキソースデオキシ糖であり、他のフコシル化オリゴ糖類とともに、化学的用途、医薬品用途、化粧品用途および栄養学的用途において大きな関心を集めている。抗アレルギー作用や乳化作用があることが知られているフコシル化誘導体の製造に使用される他、L−フコースは2’−フコシルラクトースなどの人乳オリゴ糖類(HMO)の共通成分でもある。
好ましい実施形態によれば、受容体基質は前記微生物に内在するか、微生物を培養している培地に添加される。内在する受容体基質は、例えば、微生物内に存在する任意の二糖、単糖、グリコシル化タンパク質またはリポ多糖でありうる。
本発明の一態様によれば、受容体基質が微生物または培地中で培養されている微生物に外部から添加されるが、好ましくはラクトースまたはラクツロースが添加される。
好ましい一実施形態において、微生物は、グリセロール、スクロース、グルコース、フルクトース、糖蜜、ラクトース、キシロース、セルロース、合成ガスまたは一酸化炭素から選択される炭素源を含む培地中で培養される。これに関連して、任意の別の、好ましくは安価な発酵基質を炭素源として用いることができることが理解でき、当業者であれば、微生物を増殖させて所望の単糖を大量に製造するために、本発明の範囲内で好適な炭素源を容易に使用できるであろう。
本発明の一態様によれば、本方法はバッチ式または連続式の発酵法である。
従って、本発明の一態様、すなわち連続式発酵法では、微生物、例えば組換え微生物の培養ステップにおいて、炭素源は培地に継続的に添加される。
培養ステップにおいて炭素源を継続的に添加することによって、一定した効率的な単糖の製造が達成される。
別の態様、すなわちバッチ式では、発酵工程において外部から物質を添加するステップは含まれない。
本発明の別の態様によれば、培養組換え宿主微生物の上清から単糖が回収される。この上清は、培養宿主微生物を遠心して上清と宿主微生物ペレットとに分離することにより得られる。
この新規な方法によれば、宿主微生物を培養している培地から製造された単糖を回収することができる。これは、微生物細胞内で製造された単糖が培地中に輸送されていることにより、培地から微生物細胞を分離すると、上清から単糖を容易に回収できるからである。
本発明の方法の、別の好ましい一実施形態によれば、ステップc)において単糖を単離する前に、宿主微生物を培養している培地へのβ−ガラクトシダーゼの添加および/またはβ−ガラクトシダーゼの微生物内産生の誘導を行う。
この形態によれば、所望の単糖が合成される間に同じ微生物内で製造されて所望の単糖の精製ステップの妨げとなる別の単糖類を代謝させることができるため、所望の単糖の回収ステップがさらに改善され、促進される。本発明によると、これは次のいずれかにより達成することができる。第1の手法としては、通常は非調節状態にあるβ−ガラクトシダーゼの誘導を工程の終了間際に実施する。これは、所望の単糖の合成中、非調節状態にあるβ−ガラクトシダーゼに対し、発酵工程の最後に温度を加えるかまたはテトラサイクリンなどの誘導物質を添加することによって誘導を行ってもよいことを意味する。別法として、あるいはまたは先の手法に加えて、酵素であるβ−ガラクトシダーゼ(または他のオリゴ糖や単糖を代謝する任意の酵素)を、本発明の方法の最後に、外部から培地に添加してもよく、これはβ−ガラクトシダーゼをコードする内在遺伝子が不活性化されていたり欠失している場合に特に好ましい。これにより、望ましくないオリゴ糖類や単糖類は蓄積せず、所望の単糖の回収を妨げない。これに関連して、望ましくないオリゴ糖類や単糖類を代謝させるために、β−ガラクトシダーゼ以外の代謝酵素に対しても上記の方法を用いた微生物内での調節を行ってもよいことが理解でき、本明細書を読んだ当業者であれば、分解される受容体に応じた、調節/活性化または供給すべき別の好適な経路や酵素を容易に認識するであろう。
本明細書において、本発明の分野における通常の理解と同様に、「β−ガラクトシダーゼ」は、β−ガラクトシド類から単糖類への加水分解を触媒する加水分解酵素である。
遺伝子に関連する本明細書の範囲において、「調節(レギュレート)された」は、遺伝子の発現が制御された方式で調節、例えばアップレギュレートまたはダウンレギュレートされうることを意味し、このような調節された遺伝子によってコードされ、合成されたタンパク質の量は、例えばダウンレギュレートもアップレギュレートされていない、調節されていない遺伝子の場合とは異なるものと一般に理解される。
酵素β−ガラクトシダーゼを培地および/または上清に添加することにより、培地に残残する受容体基質を開裂させることができる。ラクツロースを用いた場合には、ラクツロースのグリコシド結合が開裂してガラクトースとフルクトースが放出されるが、生成したこれらの単糖類は、使用したE.coli菌株によって効率的に代謝させることができる。このように、供給された二糖、好ましくはラクツロースまたはラクトースは、培地から効率的に除去される。この場合、Escherichia coliなどの微生物に最終的に自然に存在することになるβ−ガラクトシダーゼは、遺伝子ノックアウトや類似の遺伝子不活性化によって不活性化することができる。
また、本発明の別の態様によれば、上清から単糖を回収する前に、上清をβ−ガラクトシダーゼで処理した後、培養した宿主微生物に接触させる。
本発明の一態様によれば、本発明の方法は、
a)微生物の増殖に適した培地中に組換え宿主微生物を用意するステップであって、該組換え宿主微生物が、a)該微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列および/またはb)該微生物に天然に存在しないグリコシダーゼをコードする核酸配列を含むように形質転換されているが、製造される単糖を代謝することができない微生物であることを特徴とするするステップ、
b)二糖、好ましくはラクトースまたはラクツロースである受容体基質を、宿主微生物を培養する培地に添加するステップ、
c)組換え宿主微生物を前記培地中で培養することによって単糖を遊離形態で製造するステップ、ならびに
d)培地から遊離の単糖を回収するステップ、を含む。
上述し、また本発明の方法に関連して既に説明したように、本発明はまた、単一の炭素源で増殖可能であり、かつa)宿主微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする核酸配列とb)前記微生物に天然に存在しないグリコシダーゼポリペプチドをコードする核酸配列とを含むように形質転換された組換え宿主微生物に関する。
本発明の方法に関連して既に説明し、用いた特定の用語の定義は、該方法に用いられる組換え微生物にも適用される。
好ましい一実施形態によれば、本発明の方法に用いられクレームされる微生物は、細菌または酵母から選択され、より好ましくは宿主微生物はEscherichia coli菌株またはSaccharomyces sp.菌株である。
細菌Escherichia coliおよび酵母Saccharomyces sp.は、実験室条件において容易かつ安価に増殖可能な微生物であるという利点を有し、これまで60年以上にわたって非常によく研究されている。
従って、好ましい一実施形態において、本発明の方法に用いられ、またそれとは別にクレームされる宿主微生物は、細菌および酵母からなる群から選択され、好ましくはEscherichia coli菌株である。
本発明の一実施形態において、より好ましくは、組換え宿主微生物は、β−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子を欠損するか、または非調節状態にあるβ−ガラクトシダーゼコード遺伝子を含み、かつL−フコースイソメラーゼ、L−フクロースキナーゼおよびUDP−グルコース(ウンデカプレニルリン酸グルコース)−1−リン酸トランスフェラーゼをコードする遺伝子を欠損または非調節状態で含むように、さらに形質転換される。
この実施形態は、製造された単糖L−フコースの細胞内分解およびコラン酸の産生が抑制され、β−ガラクトシダーゼの場合には受容体分子が分解されないという利点を有する。
別の好ましい一実施形態において、組換え宿主微生物は、自体がスクロースまたはグリセロールを唯一の炭素源として増殖できる宿主微生物となるための遺伝子を含むようにさらに形質転換される。Escherichia coli Wのcsc遺伝子クラスター(登録番号:CP0021851)が宿主微生物のゲノムに組み込まれることが特に好ましい。この遺伝子クラスターは、スクロース透過酵素遺伝子、フルクトキナーゼ遺伝子、スクロース加水分解酵素遺伝子および転写抑制因子遺伝子(それぞれ遺伝子cscB、cscK、cscAおよびcscR)を含み、形質転換された微生物はスクロースを唯一の炭素源として増殖できるようになる。
本方法の好ましい実施形態または本発明の微生物によると、上記のように、グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする核酸は、2−フコシルトランスフェラーゼの核酸および1,2−α−L−フコシダーゼの核酸である。この酵素の定義については上記を参照のこと。
この点について、本発明の方法に好ましいものとして列挙した実施形態すべてに、妥当な場合、クレームされる該微生物が適用される。
従って本発明はまた、単糖を合成するための酵素活性、すなわちi)単糖を活性糖ヌクレオチド基質から受容体へと特異的に転移させ、単糖−受容体基質を形成することができるグリコシルトランスフェラーゼ活性およびii)単糖を受容体から放出させることのできるグリコシダーゼ活性を有するが、該単糖を代謝することのできない微生物の使用に関し、本発明はさらに、単糖、特にL−フコースの製造のための本発明の組換え微生物の使用に関する。
本発明の方法の用語について上で説明した定義は、クレームされ本明細書に記載される組換えまたは無修飾の微生物にも適用される。
あるいは、本発明の単糖類の製造方法を無細胞系に応用してもよく、このような系では、本発明による酵素、受容体基質、また場合によっては、別のグリコシルトランスフェラーゼや付属的な酵素などの別の反応混合物成分が水溶液反応培地に混合される。酵素は、溶液中、遊離の形態であってもよく、酵素をポリマーなどの担体に結合または固定化して、基質を担体に添加してもよい。担体は、例えばカラムに充填されていてもよい。
本発明は特に、組換えEscherichia coli菌株を組換え宿主微生物として用いる方法であって、該組換えEscherichia coli菌株が、L−フコースイソメラーゼ遺伝子およびL−フクロースキナーゼ遺伝子を欠失し、かつa)E.coli菌株がスクロースまたはグリセロールを唯一の炭素源として増殖することを可能にする遺伝子、すなわちスクロース透過酵素、フルクトキナーゼ、スクロース加水分解酵素および転写抑制因子をそれぞれコードする遺伝子、b)2−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子ならびにc)1,2−α−フコシダーゼをコードする遺伝子を含むように形質転換されていることを特徴とする方法に関する。
さらなる有利性が、実施形態および添付図面から明らかになる。
本発明の範囲から逸脱しない限り、上記の特徴や以下に説明する特徴が、それぞれに特定した組合せだけでなく、別の組合せまたは単独でも利用可能であることは言うまでもない。
本発明の複数の実施形態を図面に示し、以下でさらに詳細に説明する。
(A)は本発明に用いられる経路/方法を示す概略図であり、(B)は本発明によるL−フコースの典型的な製造経路の概要を示す図である。
本発明の微生物を作成するためのDNAフラグメントの作成に用いたオリゴヌクレオチドプライマーを示す表。
(A)スクロースまたは(B)グリセロールを用いて増殖させた本発明の微生物の上清中に典型的な実施形態であるL−フコースが存在することを示すクロマトグラム(薄層クロマトグラフィー)。
(A)グリセロールまたは(B)スクロースを用いて増殖させた本発明の組換え微生物によってL−フコースが製造されたことを示すHPLCクロマトグラム。保持時間2.2分、4.6分および9.8分のピークはそれぞれ、L−フコース、ラクツロースおよびマルトトリオース(内部標準)に相当する。
β−ガラクトシダーゼを発酵培地に添加したことによる影響を示すHPLCクロマトグラム。(A)はβ−ガラクトシダーゼ添加前の発酵培地のHPLCクロマトグラムを示し、(B)はβ−ガラクトシダーゼ添加後のHPLCクロマトグラムを示す。
細菌発酵により得られた精製L−フコースのH−NMRスペクトル。
図1Aに示すように、本発明の方法および該方法に利用される微生物は、微生物内に存在する活性糖ヌクレオチドを用いて、グリコシルトランスフェラーゼの酵素活性により、単糖部分を受容体(微生物に内在してもよく外部から供給されてもよい)に転移させ、単糖−受容体基質、すなわち複合体を形成する。グリコシダーゼ(加水分解酵素)の酵素活性により、単糖は単糖−受容体基質から放出され、遊離の形態で回収することができる(図1A参照)。
典型的な単糖であるとしてL−フコースを、組換えEscherichia coli菌株内でスクロースまたはグリセロールから製造した。図1Bに、L−フコース製造の概略経路の一部を示す。この微生物内において、デノボ経路によりGDP−フコースが合成され、ラクツロースは、2−フコシルトランスフェラーゼが触媒する反応における典型的な受容体基質として働く。1,2−α−L−フコシダーゼによりグリコシド結合が加水分解され、L−フコースが放出される(図1B参照)。
E.coli L−フコース産生菌株の作製
まず、E.coli BL21(DE3)(Novagen)内のlacZを、Ellisら(2001)に記載のミスマッチオリゴヌクレオチドを用いた突然変異誘発により不活性化した(図2A、表1参照)。プライマー605と606(使用したすべてのプライマーを図2Bの表2に示す)を用いてE.coli K12 TG1からgalオペロン(galETKM)を増幅した。redリコンビナーゼヘルパープラスミドpKD46を用いて促進される相同組換えによりオペロンをE.coli BL21(DE3)lacZのgalM ybhJ座に挿入した(DatsenkoおよびWarner、“One−step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K−12 using PCR products”,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:6640−6645(2000))。次に、araAをオリゴヌクレオチド突然変異誘発により不活性化した。E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA菌株内で、wcaJ遺伝子を欠損させた。ゲノムの欠損は、DatsenkoとWarnerの方法((2000)、上記参照)に従って行った。wcaJは、コラン酸合成における第1ステップを触媒するUDP−グルコース(ウンデカプレニルリン酸グルコース)−1−リン酸トランスフェラーゼをコードしていると考えられる(Stevensonら、“Organization of the Escherichia coli K−12 gene cluster responsible for production of the extracellular polysaccharide colonic acid”、J.Bacteriol.178:4885−4893;(1996))。コラン酸の産生は、GDP−フコースの獲得においてフコシルトランスフェラーゼによる反応と競合すると思われる。L−フコースの細胞内での分解を防ぐために、L−フコースイソメラーゼ(fucI)をコードする遺伝子およびL−フクロースキナーゼ(fucK)をコードする遺伝子を、E.coli菌株 BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJのゲノムから欠損させた。
プラスミドpINT2−lacY−aadA(別表配列1)をテンプレートとして用い、E.coli K12 TG1起源のラクトーストランスポーター遺伝子lacY(登録番号:ABN72583)を、先行プロモーターPtet、およびFRT部位に挟まれたストレプトマイシン耐性遺伝子と共に、プライマー1119および1120を用いて増幅させた。生成したPCR産物は、EZ−Tn5トランスポーゼースの19bpのMosaic End認識部位の両部位を継承していた。EZ−Tn5<Ptet−lacY−FRT−aadA−FRT>トランスポゾンを用いて、EZ−Tn5TMトランスポーゼース(Epicentre、米国)を有するEZ−Tn5トランスポゾンを作成し、これを用いてE.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucKのエレクトロコンピテントセルを形質転換した。プラスミドpCP20にコードされたFLPリコンビナーゼによりストレプトマイシン抵抗性クローンから抵抗遺伝子を除いた(DatsenkoおよびWarner、上記参照)。E.coli Wのcsc遺伝子クラスター(登録番号:CP002185.1)は、スクロース透過酵素、フルクトキナーゼ、スクロース加水分解酵素および転写抑制因子の4つの遺伝子(それぞれ遺伝子cscB、cscK、cscAおよびcscR)を含み、これらの遺伝子によって、菌株はスクロースを唯一の炭素源として増殖できるようになる。pEcomar−cscABKRプラスミド(別表配列2)を用いた転移により、このcscクラスターをE.coli BL21(DE3)lacY菌株のゲノムに組み込んだ。csc遺伝子は、pEcomar上にコードされ、ParaBの制御下で転写されるマリナー様因子Himar1トランスポーゼースによって特異的に認識される末端逆位配列の間に挿入されている(Bigotら、“Conservation of Palindromic and Mirror Motifs within Inverted Terminal Repeats of mariner−like Elements”,J.Mol.Biol.351:108−116(2005))。マリナートランスポーゼースによる転移のために、各プラスミドを有する細胞を、100μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地中で増殖させ(SambrookおよびRussel、2001、分子クローニング:実験マニュアル)、100mM L−アラビノースを用いて30℃で少なくとも16時間誘導した。トランスポゾンカセットを含むクローンを、cscクラスター挿入の場合には、1%スクロースを含むM9寒天(SambrookおよびRussel、上記参照)プレート上で、または各抗生物質を含む2×YT寒天上で選択した。E.coli BL21(DE3)::(Ptet−lacY)(cscBKAR)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucKはスクロースを唯一の炭素源として増殖することができた。E.coli:O126由来の2−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子wbgL(登録番号:ADN43847)は、GenScript Cooperation(米国)によってE.coliにおける発現に合わせてコドン最適化され、合成的に作成された遺伝子である。pINT2−wbgLco−neoプラスミド(別表配列3)をテンプレートとして用い、wbgLco遺伝子を、先行プロモーターPtet、およびFRT部位に挟まれたカナマイシン耐性遺伝子と共に、プライマー1119および1120を用いて増幅させた。生成したEZ−Tn5<Ptet−wbgLco−FRT−neo−FRT>トランスポゾンは、EZ−Tn5TMトランスポーゼースを介して組み込んだ。
GDP−フコースのデノボ合成を促進するために、E.coli K12 DH5α由来のホスホマンノムターゼをコードする遺伝子(manB)、マンノース−1−リン酸グアノシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子(manC)、GDP−マンノース−4,6−デヒドラターゼをコードする遺伝子(gmd)およびGDP−L−フコースシンターゼをコードする遺伝子(wcaG)を、E.coli BL21(DE3)菌株内で過剰発現させた。オペロンmanCBはPtetの制御下にあり、オペロンgmd,wcaGはPT5プロモーターから転写される。トランスポゾンカセット<Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−FRT−dhfr−FRT>は、マリナートランスポーゼースの高活性C9−変異体Himar1(Lampeら、“Hyperactive transposase mutants of the Himar1 mariner transposon”,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:11428−11433(1999))を介して、pEcomar C9−manCB−gmd,wcaG−dhfr(別表配列4)から挿入した。最後に、Bifidobacterium bifidum由来の1,2−α−L−フコシダーゼ遺伝子afcA(GeneScript Coorperationにより、E.coliでの発現に合わせて最適化され、合成されたコドン)を、pEcomar−afcAco−tet(別表配列5)とマリナートランスポーゼースとを用いた転移により、<Ptet−afcAco−FRT−tet−FRT>トランスポゾンとして菌株に挿入した。
L−フコースの製造のための培養条件
A:炭素源としてスクロースを使用
E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)を、3リットルの発酵槽(New Brunswick,Edison、米国)に入れ、炭素源として3%スクロース、抗生物質として7.5μg/mlのテトラサイクリン、15μg/mlのカナマイシン、および10μg/mlのトリメトプリムを含む、800mlの無機塩培地(Samainら、“Production of O−acetylated and sulphated chitooligosaccharides by recombinant Escherichia coli strains harbouring different combinations of nod genes”、J.Biotech.72:33−47(1999))中で培養した。2.5%(v/v)の接種材料を用いて培養を開始した。フコシルトランスフェラーゼ反応における受容体としてラクツロースを数回に分けて加え、最終濃度を33.75mMとした。培養物にスクロースを継続的に添加した。細胞は約66時間の増殖によってOD660nmが141となり、366mMのフコースを産生した(データ示さず)。
B:炭素源としてグリセロールを使用
E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)を、3リットルの発酵槽(New Brunswick,Edison、米国)に入れ、炭素源として3%グリセロール、抗生物質として7.5μg/mlのテトラサイクリン、15μg/mlのカナマイシン、および10μg/mlのトリメトプリムを含む、800mlの無機塩培地(Samainら、上記参照)中で培養した。2.5%(v/v)の接種材料を用いて培養を開始した。フコシルトランスフェラーゼ反応における受容体としてラクツロースを数回に分けて加え、最終濃度を31.5mMとした。培養物にグリセロールを継続的に添加した。細胞は約64時間の増殖によってOD660nmが212となり、78mMのフコースを産生した(データ示さず)。
L−フコースの検出
培養細胞の上清を、シリカゲルTCLプレート(シリカゲル60)を用いた薄層クロマトグラフィー(TCL)により分析した。ブタノール:アセトン:酢酸:HO(35/35/7/23(v/v/v/v))混合溶媒を移動相として用いた。分離された物質を検出するために、TCLにチモール試薬(0.5gのチモールを95mlエタノールに溶解し、5mlの硫酸を添加)を噴霧後、加熱した。
高速液体クロマトグラフィーによる分析は、示差屈折率検出器(RID−10A)(Shimadzu、ドイツ国)とLuna NHカラム(10μm、250×4.6mm)(Phenomenex、米国)を備えたHPLCシステム(Shimadzu、ドイツ国)を用いて行った。アセトニトリル:HO(80/20(v/v))を溶離液とし、均一濃度で、35℃、流速3ml/分で溶出した。20μlの試料をカラムに注入した。L−フコース濃度を検量線から算出した。そのために、10%(v/v)の100mMマルトトリオースを内部標準としてHPLC試料に添加した後、ろ過(細孔径0.22μm)し、さらにイオン交換マトリックス(Strata ABW,Phenomenex)を用いた固相抽出により清澄化を行った。
TCL(図3)およびHPLC(図4、図5)に示すように、スクロースまたはグリセロールを用い、受容体としてラクツロースを用いて培養したE.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)の上清中に、L−フコースが検出された。
図3に、グリセロール(A)またはスクロース(B)を用いて、受容体基質であるラクツロースの存在下で増殖させた微生物の薄層クロマトグラフィー(TLC)の結果を示す。
レーン1(図3A、図3B共に):標準物質(S:L−フコース(Glycom、デンマーク国)、ラクツロース(シグマ、ドイツ国))との比較から、E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)の上清中にL−フコースが存在することが、TCLによって確認された。
レーン2(図3A、図3B共に):ラクツロースが酵素的に加水分解され、生成した単糖類は、37℃において菌株E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)によって分解された。
図4は、E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)によるフコースの生産がHPLCにより確認されたことを示している。図4Aには、グリセロールを用いて増殖させたE.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)の上清の結果を示している。試料は培養開始から64時間後に採取した。保持時間1.9、2.1、4.6および9.8分のピークはそれぞれグリセロール、L−フコース、ラクツロースおよびマルトトリオース(内部標準)に相当する。HPLCによる測定方法は上記の通りである。
図4Bには、スクロースを用いて増殖させたE.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)の上清のHPLCによる分析結果を示している。試料は培養開始から66.3時間後に採取した。保持時間2.2、4.6および9.8分のピークはそれぞれL−フコース、ラクツロースおよびマルトトリオース(内部標準)に相当する。HPLCによる測定方法は上記の通りである。
β−ガラクトシダーゼによるラクツロースの加水分解と、菌株E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(P tet −lacY)(cscBKAR)(P tet −wgbLco−neo)(P tet −manCB−P T5 −gmd,wcaG−dhfr)(P tet −afcAco−tet)による単糖の分解
スクロースまたはグリセロールを用いて増殖させた菌株E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK ΔnagB ΔnagA::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)のL−フコース産生培養物から、遠心分離およびろ過(細孔径0.22μm)により無菌上清を得た。上清を新たな無機塩培地で1:10に希釈した。β−ガラクトシダーゼ(シグマアルドリッチから購入)を10単位/mlの濃度となるように加え、37℃で3時間加水分解した。菌株E.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)を、各抗生物質を含む2YT富栄養培地中37℃でOD660nmが約5になるまで増殖させた。培養物10mlの細胞を無菌状態で遠心分離により採取し、β−ガラクトシダーゼを含む上清2mlに再懸濁した。生細胞は、酵素加水分解により生成した単糖類を37℃において16時間で分解した。
図5に、ラクツロースのインビトロ酵素加水分解およびE.coli BL21(DE3)lacZ Gal araA ΔwcaJ ΔfucI ΔfucK::(Ptet−lacY)(cscBKAR)(Ptet−wgbLco−neo)(Ptet−manCB−PT5−gmd,wcaG−dhfr)(Ptet−afcAco−tet)による単糖類の分解をHPLCで分析した結果を示す。図5Aには、β−ガラクトシダーゼ添加前のスクロース増殖培地の上清の結果(66.3時間後に採取)を示し、図5Bにはβ−ガラクトシダーゼによる処理と分解後の結果を示す。保持時間2.1と4.4分のピークはそれぞれL−フコースとラクツロースに相当する。
図6に、微生物発酵により得られた精製L−フコースのH−NMRスペクトルを示す。20mgの物質を0.7mlの重水素化DMSOに溶解して測定した。
得られた結果から、例示した微生物菌株を用いることにより、単糖L−フコースを遊離形態で大量かつ効率的に産生できることがわかる。

Claims (25)

  1. 微生物を利用して遊離形態の単糖を製造する方法であって、
    a)単糖を合成するための酵素活性、すなわちi)単糖を活性糖ヌクレオチドから受容体基質へと特異的に転移させ、単糖−受容体基質を形成することができるグリコシルトランスフェラーゼ活性およびii)単糖を受容体基質から放出させることのできるグリコシダーゼ活性を有するために形質転換されているが、該単糖を代謝することのできない組換え微生物を用意するステップ、
    ここで、前記グリコシダーゼ活性が該組換え微生物に天然に存在しない核酸によってコードされるものである、
    b)組換え微生物の増殖に適した培地中で該組換え微生物を培養することによって単糖を遊離形態で製造するステップ、ならびに
    c)培地から遊離の単糖を回収するステップ
    を含む方法。
  2. 換え微生物が、該微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を含むようにさらに形質転換されている、請求項1に記載の方法。
  3. 受容体基質が前記微生物に内在するか、または微生物を培養している培地に添加される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 受容体基質が、二糖、単糖、多糖、グリコシル化タンパク質またはリポ多糖から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 微生物を、グリセロール、スクロース、糖蜜、キシロース、セルロース、合成ガスから選択される炭素源を含む培地で培養する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. バッチ式または連続式である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 培養微生物の上清から単糖を回収し、上清が、培養宿主微生物を遠心して上清と微生物ペレットとに分離することにより得られる、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  8. ステップc)において単糖を回収する前に、宿主微生物を培養している培地へのβ−ガラクトシダーゼの添加および/またはβ−ガラクトシダーゼの微生物内産生誘導を行う、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 上清から単糖を回収する前に、上清をβ−ガラクトシダーゼで処理した後、培養宿主微生物に接触させる、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 製造される単糖がL−フコースまたはノイラミン酸から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. a)微生物の増殖に適した培地中に組換え宿主微生物を用意するステップであって、該組換え宿主微生物が、a)該微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列および/またはb)該微生物に天然に存在しないグリコシダーゼをコードする核酸配列を含むように形質転換されているが、製造される単糖を代謝することができない微生物であることを特徴とするステップ、
    b)二糖である受容体基質を宿主微生物を培養する培地に添加するステップ、
    c)組換え宿主微生物を前記培地中で培養することによって単糖を遊離形態で製造するステップ、ならびに
    d)培地から遊離の単糖を回収するステップ、
    を含む請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 単一の炭素源で増殖可能であり、かつa)宿主微生物に天然に存在しないグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする核酸配列とb)前記微生物に天然に存在しないグリコシダーゼポリペプチドをコードする核酸配列とを含むように形質転換された組換え宿主微生物。
  13. L−フコースイソメラーゼ、L−フクロースキナーゼおよびUDP−グルコース(ウンデカプレニルリン酸グルコース)−1−リン酸トランスフェラーゼをコードする遺伝子を欠損するようにさらに形質転換されている、請求項12に記載の組換え宿主微生物。
  14. 組換え宿主微生物であって、自体がスクロースまたはグリセロールを用いて増殖できる宿主微生物となるための遺伝子を含むようにさらに形質転換されている、請求項12または13に記載の組換え宿主微生物。
  15. 微生物が細菌および酵母から選択される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  16. 宿主微生物がEscherichia coli菌株またはSaccharomyces sp.菌株である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  17. グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸が細菌性のフコシルトランスフェラーゼの核酸である、請求項1〜11、15および16のいずれかに記載の方法。
  18. グリコシダーゼポリペプチドをコードする核酸が細菌性の1,2−α−L−フコシダーゼの核酸である、請求項1〜11および15〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 組換えEscherichia coli菌株を組換え宿主微生物として利用する方法であって、組換えEscherichia coli菌株内で、β−ガラクトシダーゼ、L−フコースイソメラーゼ、L−フクロースキナーゼおよびUDP−グルコース(ウンデカプレニルリン酸グルコース)−1−リン酸トランスフェラーゼをコードする遺伝子が欠損しているかまたは非調節状態にあること、ならびに組換えEscherichia coli菌株が、a)Escherichia coli菌株がスクロースを唯一の炭素源として増殖することを可能にするための遺伝子、すなわちスクロース透過酵素、フルクトキナーゼ、スクロース加水分解酵素および転写抑制因子をそれぞれコードする遺伝子、b)2−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、およびc)1,2−α−フコシダーゼをコードする遺伝子、を含むように形質転換されていることを特徴とする、請求項1〜11および15〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 単糖を合成するための酵素活性、すなわちi)単糖を活性糖ヌクレオチド基質から受容体へと特異的に転移させ、単糖−受容体基質を形成することができるグリコシルトランスフェラーゼ活性およびii)単糖を受容体から放出させることのできるグリコシダーゼ活性を有するが、該単糖を代謝することのできない微生物、または請求項12〜14のいずれかに記載の組換え宿主微生物の、単糖、特にL−フコースまたはノイラミン酸の製造における使用。
  21. ステップ(b)において、受容体基質の添加としてラクトースまたはラクツロースを宿主微生物を培養する培地に添加することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  22. 微生物が細菌および酵母から選択される、請求項12〜14のいずれかに記載の組換え宿主微生物。
  23. 宿主微生物がEscherichia coli菌株またはSaccharomyces sp.菌株である、請求項12〜14のいずれかに記載の組換え宿主微生物。
  24. グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸が細菌性のフコシルトランスフェラーゼの核酸である、請求項12〜14、22および23のいずれかに記載の組換え宿主微生物。
  25. グリコシダーゼポリペプチドをコードする核酸が細菌性の1,2−α−L−フコシダーゼの核酸である、請求項12〜14および22〜24のいずれかに記載の組換え宿主微生物。
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