以下、本発明の実施の形態に係る光学部材および反射ミラーについて、図面を参照しながら説明する。
(本発明の第1の実施の形態に係る光学部材および反射ミラーの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光学部材1の分解斜視図である。図2は、図1に示す分解斜視図を図1の紙面奥側から見た図である。
光学部材1は、撮像素子またはパーソナルコンピュータ等で生成された画像光を出射する鏡筒10を有している。鏡筒10は、その外周面11から板状に突出する鏡筒被固定部12,12を、外周面1の周方向に180度離れた位置に2箇所有している。鏡筒被固定部12,12には、それぞれ2つの鏡筒固定用穴部13,13,14,14が形成されている。その2つの鏡筒固定用穴部13,13,14,14の間には、図1,図2の下側方向に突起する突起部15,15が形成されている。ここで、鏡筒被固定部12,12の図1,図2の下側面を、鏡筒被設置面16,16と呼ぶこととする。また、2つの鏡筒固定用穴部13,13,14,14を、それぞれ図1,図2の上側から下側に向かって貫通させるネジ17,17,17,17が存在する。
また、光学部材1は、鏡筒10から出射される画像光を反射し、拡大投射する反射ミラー20を有している。反射ミラー20は、凹面である曲面21と、その裏側の平面22を有している。曲面21は、放物線をその対称軸を中心として回転させた放物面である。そして、平面22は、その対称軸と実質的に垂直な平面である。この平面22は、鏡筒10と後述する固定部材と反射ミラー20との相互位置関係調整に用いられる。また、平面22と、鏡筒10の光軸Lが、実質的に垂直の位置関係である。この位置関係とする方法は後述する。さらに、平面22は、曲面21の最奥部(たとえば放物面としたときは放物線の頂点に相当する部分)を通る反射ミラー20の光軸(光学部材1として組み立てられた後は鏡筒10の光軸Lと同一の軸となる)と垂直をなす。
反射ミラー20の曲面21と平面22以外の端面(上端面23,下端面24,側端面25,26)は、第1ミラー保持部材27と、第2ミラー保持部材28によって囲われている。なお、反射ミラー20の上端面23には、その中央部が凹んだ凹部29が形成されている。この第1ミラー保持部材27と、第2ミラー保持部材28は、反射ミラー20を保持し、後述する保持部材に反射ミラー20を固定させる役割を担っている。上端面23、および下端面24には、それぞれそこから突出する突出部23a(図1,図2では図示省略),24aを有している。第1ミラー保持部材27と、第2ミラー保持部材28の構造と、保持の機構の詳細は、後述する。
また、光学部材1は、鏡筒10と反射ミラー20を固定する固定部材30を有している。固定部材30は、鏡筒固定部31とミラー固定部32とが、固定部材30の長手方向に区分けされ、一体にされた形状をしている。鏡筒固定部31には、鏡筒被設置面16,16と接する鏡筒設置面33,33が、長手方向と直交する方向の鏡筒固定部31の両端に2箇所形成されている。この鏡筒設置面33,33のそれぞれに、上述した2箇所ある鏡筒被固定部12,12の鏡筒被設置面16,16が接する。鏡筒設置面33,33には、2つの鏡筒固定用穴部13,13,14,14およびそれらの間に形成されている突起部15,15にそれぞれ対向できる、鏡筒固定用穴部34,34,35,35および鏡筒調整用穴部36,36が形成されている。
鏡筒10と固定部材30との固定は、まず、突起部15,15を鏡筒調整用穴部36,36に挿入する。すると、突起部15,15と鏡筒調整用穴部36,36との間に僅かな隙間ができる。この隙間の範囲内で突起部15,15と鏡筒調整用穴部36,36の位置関係を調整する。そして、2つの鏡筒固定用穴部13,13,14,14の空間と鏡筒固定用穴部34,34,35,35の空間とを重ね合わせる。そして、ネジ17,17,17,17のネジ山と鏡筒固定用穴部34,34,35,35のネジ溝を螺合させ、ネジ力で締めて、鏡筒10と固定部材30を固定する。ここで、上述の位置関係の調整の詳細は後述する。
反射ミラー20と固定部材30の固定は、第2ミラー保持部材28とミラー固定部32との固定により実現する。図3は、第2ミラー保持部材28とミラー固定部32とが固定された状態の図2におけるA−A断面図である。第2ミラー保持部材28から鏡筒10の方向に立設するリブ40には、その両端に2箇所の穴部41,41が形成されている。ミラー固定部32には、長手方向と直交する方向の両端であって鏡筒固定部31に隣接する位置に2箇所の台座部42,42およびその上面のミラー接地面44,44が形成されている。台座部42,42は、中空部分43,43を有している。ミラー接地面44,44には円形のミラー固定用穴部45,45が形成されており、これがミラー接地面44,44の上方と台座部42,42の中空部分とを繋げている。
穴部41,41とミラー固定用穴部45,45とは、その空間を重ねることができるようにされている。リブ40の下面とミラー接地面44,44とを接し、穴部41,41とミラー固定用穴部45,45とを重ね、スプリング47,47を介してネジ48,48をミラー固定用穴部45,45の図1,図2の下側方向から挿通する。その状態で、ミラー固定用穴部45,45の図1,図2の上側方向でネジ48,48をワッシャ・ナット49,49を用いて締め付けている。このようにして、第2ミラー保持部材28とミラー固定部32とが固定される。
このネジ48,48とワッシャ・ナット49,49との締め付けの前あるいは後、またはそれと同時に、図1に示す固定部材30の長手方向と直交する方向の両端であって鏡筒固定部31とは最も離れた位置に設けられたミラー固定用穴部50,51と、第2ミラー保持部材28とが固定される。そのため、反射ミラー20の曲面21よりも平面22側、且つ上端面23よりも下端面24側に位置する、第2ミラー保持部材28の部分に形成された溝部52,52の空間が、ミラー固定用穴部50,51の空間に重ね合わせられている。その重ね合わせは、ミラー固定部32内に第2ミラー保持部材28が収容されるよう両者が配置される際に実現する。そして、溝部52,52とミラー固定用穴部50,51との両方に軸部材53が挿通される。そして、軸部材53の一端に、固定部材30の外側から取っ手部材54が取り付けられる。また、軸部材53の他端55はネジ山が形成され、同時にミラー固定用穴部51がネジ穴で有るため、取っ手部材54を回転することで軸部材53の他端55がミラー固定用穴部51へ螺合される。このように、軸部材53によっても反射ミラー20と第2ミラー保持部材28とが固定される。
反射ミラー20が第1ミラー保持部材27によって、どのように保持されているかを説明する。図2に示すように、第1ミラー保持部材27は、
側端面25,26と対向する板部分を貫通する貫通孔61,61を有している。そして、貫通孔61,61を貫通して固定される円柱状の突起物62,62が、反射ミラー20に向かって突出している。反射ミラー20の側端面25,26のうち曲面21側には、溝状の係合部63,63が形成されており、突起物62,62が係合部63,63に入り込んでいる。これで、反射ミラー20が第1ミラー保持部材27によって保持されている。ただし、この保持のみでは、突起物62,62を結ぶ軸を回転軸として反射ミラー20が回転動作する余地がある。
図4は、反射ミラー20と第1ミラー保持部材27の詳細を示す模式図であり、反射ミラー20の背面図と、そのB−B断面図である。反射ミラー20の下端面24から突出する突出部24aには、図1,2における長手方向に挿通可能な穴部65が形成されている。そして、第1ミラー保持部材27から延在し、突出部24aと対向する位置には、図1および図2には図示を省略した突起部66が形成されている。そして、この突起部66には、突出部24aの穴部65と空間が重なり合う穴部67が形成されている。
突起部66と突出部24aの間には空間68が設けられており、その空間68にはコイルバネ69が挿入されている。コイルバネ69を介して穴部65と穴部67の双方を挿通するネジ70のネジ力およびコイルバネ69の弾性力によって、突出部24aと突起部66の距離が調節されている。ここで、ネジ70は、穴部67の内壁面に形成されたネジ山と適合するネジ溝を有しており、ネジ70を回転させることで、突出部24aと突起部66の距離が変化するように構成されている。この距離は、小さくさせることでコイルバネ69の付勢力を高め、大きくすることでコイルバネ69の付勢力が弱まるように構成されている。
また、反射ミラー20の上端面23から突出する突出部23aは、第1ミラー保持部材27のうち、反射ミラー20の上端面23と対向する部分に形成された溝状部71(図1および図2にも記載した)の溝内に配置されている。そして、
第1ミラー保持部材27のうち平面22側であって、溝状部71の部分に配置された板バネ72によって、突起部23aが溝状部71の内壁に押し付けられ、固定されている。
この、板バネ72による反射ミラー20の突出部23aの第1ミラー保持部材27への固定、および図4に示した反射ミラー20の突出部24aの位置調整によって、上述した突起物62,62を結ぶ軸を回転軸として反射ミラー20が回転動作する余地を制限している。
しかし、反射ミラー20の上端面23と下端面24を結ぶ軸であって、図1および図2における上下方向の軸を回転軸Pとした反射ミラー20の回転に基づく位置ずれが起こる可能性がある。そこで、回転軸Pの反射ミラー20の回転に基づく位置ずれの調整機構の詳細を説明する。
回転軸Pの反射ミラー20の回転に基づく位置ずれの調整は、図1および図2に示した反射ミラー20の側端面25,26側で第1ミラー保持部材27と第2ミラー保持部材28とを固定する、ミラー保持部材固定部81,81にてなされる。
図5は、ミラー保持部材固定部81,81の詳細を示す図で、反射ミラー20の背面側から見た背面図とそのC−C断面図の模式図である。ミラー保持部材固定部81,81では、第1ミラー保持部材27と第2ミラー保持部材28の双方から突出した突起部82,82,83,83がそれぞれ一組ずつ重ね合わされている。その重ね合わせの状態では、突起部82,82,83,83にそれぞれ形成されている穴部84,84,85,85同士もそれぞれ重ね合わされている。
図5に示した突起部82,82,83,83のC−C断面図からわかるように、突起部82と突起部83の間には空間86が設けられており、その空間86にはコイルバネ87が挿入されている。コイルバネ87を介して穴部84と穴部85の双方を挿通するネジ88のネジ力およびコイルバネ87の弾性力によって、突起部82と突起部83の距離が調節されている。ここで、ネジ88は、穴部85の内壁面に形成されたネジ山と適合するネジ溝を有しており、ネジ88を回転させることで、突起部82と突起部83の距離が変化するように構成されている。この距離は、小さくさせることでコイルバネ87の付勢力を高め、大きくすることでコイルバネ87の付勢力が弱まるように構成されている。
(第1の実施の形態に係る光学部材1の各構成部材相互の位置関係の調整)
図6は、光学部材1および後述する第2の実施の形態に係る光学部材の各構成部材相互の位置関係を調整する際に使用するコリメータ89の模式図である。
まず、図6に示す各種部材を設置するためのコリメータ89のステージ89aと、ステージ89aの上方に固定された検査用の光を放射するコリメータ89の光源部89bとの位置および角度を、調整部89cによって調整して、光源部89bから放射される光の光軸Laとステージ89bの上面89dとが実質的に垂直となるように調整を行う。
その後、図2に示す固定部材30のうち、ミラー固定部32から長手方向に沿って最も遠い鏡筒固定部31の位置にある基準面90(固定部材30が有する平面部)を、固定部材30に鏡筒10及び反射板92を設置した際に、鏡筒10の鏡筒基準面91(正確には反射板92)及び反射ミラー20の平面22とが、光源部89bから放射される光の光軸La上にくるように固定部材30の位置を調整してステージ89aの上面89dに設置・固定する。このとき、上面89dに設置・固定された固定部材30の基準面90は、上面89dと実質的に平行となる。
そして、コリメータ89と基準面90の位置関係をそのままにした状態で、コリメータ89から、反射ミラー20の平面22に向けて光を放射し、反射して来る光によって、基準面90と平面22とが、実質的に平行かどうかを確認する。基準面90と平面22とが、実質的に平行でない場合には、図4に示すネジ70および図5に示すネジ88を用いて、実質的に平行となるまで調整する。
次に、コリメータ89と基準面90の位置関係をそのままにして、鏡筒10のうち反射ミラー20と対向する鏡筒基準面91に反射板92を図7に示すように固定する。図7は、鏡筒10の図1における長手方向の縦断面模式図であり、反射板92の取付状態を示す図である。鏡筒10の先端の輪郭は突出している。その突出した先端面が鏡筒基準面91となる。反射板92は、鏡筒基準面91に取り付けた状態で、鏡筒10の光軸Lとは垂直の反射面93を有する。その反射面93は、鏡筒10の光軸Lと実質的に垂直の位置関係となっている。そこで、鏡筒基準面91に接するように反射板92を固定すると、反射板92の反射面93が光軸Lと実質的に垂直の位置関係となる。
その状態で、コリメータ89から、反射板92の反射面93に向けて光を放射し、反射して来る光によって、基準面90と反射面93とが、実質的に平行かどうかを確認する。基準面90と反射面93とが、実質的に平行でない場合には、鏡筒10の突起部15を鏡筒調整用穴部36に挿入際の僅かな隙間の範囲内で突起部15と鏡筒調整用穴部36の位置関係を調整し、基準面90と反射面93とを実質的に平行にする。
ここで、実質的に平行とは、完全に平行な場合と、15分以下、または10分以下、または5分以下の角度のズレを許容した略平行な場合との両者を含むこととする。また、実質的に垂直とは、完全に垂直な場合と、15分以下、または10分以下、または5分以下の角度のズレを許容した略垂直な場合との両者を含むこととする。
以上によって、第1の実施の形態に係る光学部材1の各構成部材相互の位置関係の調整がなされる。この光学部材1を、パーソナルコンピュータのディスプレイ画面を拡大投射するプロジェクター等の光学機器の本体に取り付ける際に、固定部材30の基準面に基いて取り付けることで、光学機器の各構成部材の位置関係が正確となる。なお、上記の場合は、まず、固定部材30と反射ミラー20との位置関係を調整し、その後固定部材30と鏡筒10との位置関係を調整したが、この調整の順番は逆にしても良い。
(本発明の第2の実施の形態に係る光学部材および反射ミラーの構成)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る光学部材100の分解斜視図である。図9は、図8に示す分解斜視図を僅かに変更し、図8の紙面奥側から見た図である。
光学部材100は、光学部材1と同様に撮像素子またはパーソナルコンピュータ等で生成された画像光を出射する鏡筒101を有している。鏡筒101は、その外周部102から板状に突出する鏡筒被固定部103,103を2箇所、外周面1の周方向に180度離れた位置に有している。鏡筒被固定部103,103には、2つの鏡筒固定用穴部104,105がそれぞれ形成されている。単体の鏡筒被固定部103が有する鏡筒固定用穴部104,105の間には、後述する固定部材側の突起部が嵌り込む鏡筒設置用穴部106が形成されている。ここで、鏡筒被固定部103,103の図8,図9の上側方向面を、鏡筒被設置面107,107と記すこととする。
また、光学部材100は、鏡筒101から出射される画像光を反射し、拡大投射する反射ミラー110を有している。反射ミラー110は、凹面である曲面111と、その裏側の平面112を有している。曲面111は、放物線をその対称軸を中心として回転させた放物面である。そして、平面112は、その対称軸と実質的に垂直な平面である。この平面112は、鏡筒101と後述する固定部材と反射ミラー110との相互位置関係調整に用いられる。また、平面112と、鏡筒101の光軸L’が、実質的に垂直の位置関係である。さらに、平面112は、曲面111の最奥部(たとえば放物面としたときは放物線の頂点に相当する部分)を通る反射ミラー110の光軸(光学部材100として組み立てられた後は鏡筒101の光軸L’と同一の軸となる)と垂直をなす。
反射ミラー110は、ミラー第1保持部材113およびミラー第2保持部材114によって保持されている。このミラー第1保持部材113およびミラー第2保持部材114は、後述する固定部材に反射ミラー110を固定させる役割を担っている。ミラー第1保持部材113およびミラー第2保持部材114の保持の機構の詳細は、後述する。
また、光学部材100は、鏡筒101と反射ミラー110を固定する固定部材120を有している。固定部材120は、鏡筒固定部121とミラー固定部122とが、固定部材120の長手方向に区分けされ、一体にされた形状をしている。鏡筒固定部121は、円筒を長さ方向に半分に切ったような形状をしている。その切断面(図8,図9における2つの上面)であって反射ミラー110から最も離れた位置には、上述した鏡筒被固定部103,103と係合される鏡筒係合部123,123が形成されている。
鏡筒係合部123,123には、鏡筒被接地面107,107と金属板124,124を介して対向する鏡筒設置面125,125がある。鏡筒接地面125,125には、鏡筒固定用穴部104,104,105,105とそれぞれ重なり合う取り付け用ネジ穴126,126,127,127と、鏡筒設置用穴部106,106に嵌り込む鏡筒設置用突起部128,128が形成されている。なお、金属板124,124には、取り付け用ネジ穴126,126,127,127と重なる穴および鏡筒設置用突起部128,128が貫通する穴が形成されている。なお、図9は、図8の状態から金属板124,124を図9の上側へ浮かせた図である。
鏡筒101と固定部材120との固定は、まず、金属板124,124の中央の穴を介して鏡筒設置用突起部128,128を鏡筒設置用穴部106,106に挿入する。すると、鏡筒設置用突起部128,128と鏡筒設置用穴部106,106との間に僅かな隙間ができる。この隙間の範囲内で鏡筒設置用突起部128,128と鏡筒調整用穴部106,106の位置関係を調整する。そして、2つの鏡筒固定用穴部104,104,105,105と取り付け用ネジ穴126,126,127,127とを重ね合わせる。そして、金属板124,124の両端の穴を介して、鏡筒固定用穴部104,104,105,105からそのネジ溝に適合するネジ穴126,126,127,127へとネジ(図示省略)を挿入する。そして、そのネジ力で締めて螺合させ、鏡筒101と固定部材120を固定する。なお、ここで、上述の位置関係の調整の詳細は後述する。
図10は、反射ミラー110とミラー第1保持部材113との分解斜視図であり、反射ミラー110の曲面111が見える側から見た図である。また、図11は図10の紙面奥側から見た図である。図10および図11において、図8および図9の光軸L’と平行な方向をZ軸方向、Z軸方向と直交し図10および図11の上下方向(重力方向)をY軸方向、Z軸方向およびY軸方向と直交する方向をX軸方向と記すことにする。
反射ミラー110の上端面130は、えぐれた凹部131が形成され、その凹部131から図10および図11の上側に円柱状に突出する上側突起部132を有している。また、反射ミラー110は、その下端面133から図10および図11の下側に四角柱状に突出する下側突起部134を有している。下側突起部134には、Z軸方向に貫通する穴部135が形成されている。また、反射ミラー110の側端面136,137は、曲面111側であって図10および図11の上側に、部分的にえぐられた係合部138,138を有している。
ミラー第1保持部材113は、全体形状が枠状である。図11におけるミラー第1保持部材113の上側は、反射ミラー110の上端面130側を収容する収容部141である。また、収容部141の図11におけるX軸方向中央には、位置調整用溝部142が形成されている。また、収容部141の図10における手前側両端には、Z軸方向に向かって突出するリブ143,143が形成され、そのリブ143,143をX軸方向に貫通する係合用穴部144,144が形成されている。さらに、ミラー第1保持部材113は、その下端面145からY軸方向下側に四角柱状に突出する突起部146が形成され、突起部145には、Z軸方向に貫通する穴部147が形成されている。なお、穴部147は、図面ではわかりにくいが、Z軸方向に鏡筒101に向かう方が開口の狭いネジ穴状である座ぐり形状をしている。
反射ミラー110の上側部分をミラー第1保持部材113の収容部141へ収容させる方向(Z軸方向)に相対移動させると、上側突起部132が位置調整用溝部142に入り込み、係合部138,138の空間と係合用穴部144,144の空間が重なり合い、穴部135の空間と穴部147の空間が重なり合う。
上側突起部132が位置調整用溝部142に入り込んだ状態を維持するように、板バネ151によって、上側突起部132が位置調整用溝部142に押し付けられるよう板バネ151を設置する。その設置の際には、板バネ151の上側両端の穴部152,152を位置調整用溝部142の両脇の突起部153,153に嵌めこむ。すると、板バネ151の穴部154,154の空間と位置調整用溝部142の両脇の穴部155,155の空間が重なり合い、ピン156,156を両穴部153,155に挿通することで、板バネ151が位置調整用溝部142に固定される。そのため、板バネ151は、反射ミラー110のミラー第1保持部材113からの脱落、およびZ軸方向のガタツキを抑制する。
また、係合部138,138の空間と係合用穴部144,144の空間とが重なり合った状態とする。そして、リブ143,143の対向する面内すなわち収容部141内で、第1被係合部材161,161であるピン状の部材のX軸方向内側の一方の突起部161a,161aを係合部138,138に挿入する。第1被係合部材161,161は、円盤状の鍔状部161c,161cと、その一方の面の中央に形成された突起部161a,161a、その反対面の中央に形成された突起部161b,161bを有している。
その挿入の際に、係合部138,138の周囲と係合用穴部144,144の周囲の隙間の一方または両方にスプリングワッシャ162を押圧しつつ配置させておく。そして、スプリングワッシャ162の押圧を解くと、第1被係合部材161、161の他方の突起部161b,161bが、リブ143,143の対向する面の外側へ、係合用穴部144,144を貫通して係合用穴部144,144と係合する。なお、このスプリングワッシャ162が、第1被係合部材161,161の鍔部161c,161cと収容部141の内壁(係合用穴部144,144の周縁)を押圧固定する付勢力を発揮し、反射ミラー110のX軸方向のガタツキを抑制する。
さらに、ミラー第1保持部材113の上面のX軸方向両端に板バネ固定部材163,163を配置する。そして、第2板バネ164,164にそれぞれ設けられた3つの穴のうち、両端穴165,165,165,165を、板バネ固定部材163,163の両端突起166,166,166,166に挿入する。その状態では、第2板バネ164,164にそれぞれ設けられた3つの穴のうち、中央穴167,167の空間と、板バネ固定部材163,163の両端突起166,166の間の穴部168,168の空間が重なり合うため、それらの空間をY軸方向下側に貫通するようピン169、169を挿入し固定する。すると、第2板バネ164,164の付勢力によりその先端170,170が反射ミラー110の上端面130を押圧することとなる。そのため、第2板バネ164,164は、反射ミラー110のY軸方向のガタツキを抑制する。
ここで、スプリングワッシャ162,板バネ151および第2板バネ164,164の付勢力によって、ミラー第1保持部材113と反射ミラー110の上側部分が固定されることとなる。しかし、これらだけでは、2つの第1被係合部材161、161を結ぶX軸を回転軸として反射ミラー110が回転する余地がある。
反射ミラー110の上側部分をミラー第1保持部材113の収容部141へ収容させる方向(Z軸方向)に相対移動させると、穴部135の空間と穴部147の空間が重なり合った状態となる。そして、穴部135と穴部147の間の空間にコイル状の圧縮バネ171が配置される。調整用ネジ172は、穴部135と穴部147と圧縮バネ171の内部空間を挿通するよう配置される。そして、調整用ネジ172と穴部147を螺合させ、反射ミラー110の下側突起部134とミラー第1保持部材113の突起部146が固定される。この圧縮バネ171の付勢力で、反射ミラー110の下側部分とミラー第1保持部材113が固定され、上述した2つの第1被係合部材161、161を結ぶ軸を回転軸とした反射ミラー110の回転を抑える。
反射ミラー110とミラー第1保持部材113の位置関係の調整について図12および図13を用いて説明する。図12は、反射ミラー110とミラー第1保持部材113の詳細を示す模式図であり、反射ミラー110とミラー第1保持部材113の背面図と、そのD−D断面図のうち反射ミラー110およびミラー第1保持部材113の突起部146の部分のみを抜き出した図である。図13は、反射ミラー110とミラー第1保持部材113の詳細を示す模式図であり、反射ミラー110とミラー第1保持部材113の正面図と、そのE−E断面図のうち反射ミラー110の部分およびミラー第1保持部材113の突起部146のみを抜き出した図である。
反射ミラー110の下端面133から突出する下側突起部134の穴部135と、ミラー第1保持部材113から延在する突起部146の穴部147とが対向している。下側突起部134と突起部146の間には空間181が設けられており、その空間181には圧縮バネ171が挿入されている。圧縮バネ171を介して穴部135と穴部147の双方を挿通する調整用ネジ172のネジ力および圧縮バネ171の弾性力によって、下側突起部134と突起部146の距離が調節されている。
ここで、調整用ネジ172は、穴部147の内壁面に形成されたネジ山と適合するネジ溝を有しており、調整用ネジ172を回転させることで、下側突起部134と突起部146の距離が変化するように構成されている。この距離は、小さくさせることで圧縮バネ171の付勢力を高め、大きくすることで圧縮バネ171の付勢力が弱まるように構成されている。
図14は、反射ミラー110とミラー第1保持部材113が結合されたものと、ミラー第2保持部材114の分解斜視図であり、図15は、図14の紙面奥側から見た図である。
ミラー第2保持部材114は、その全体形状が略ブーメラン形状をしている。ミラー第1保持部材113の上側部分の長さ方向両端には、陥没した陥没部191,191が形成されている。陥没部191,191には、陥没した底面を貫通する穴部192,192が形成されている。ミラー第2保持部材114の長さ方向両端であって、上側面の鏡筒101から最も離れた位置には、ミラー第1保持部材113との固定用のネジ穴部193,193が形成されている。
ミラー第1保持部材113とミラー第2保持部材114は、固定用ネジ194,194が穴部192,192を貫通してネジ穴部193,193に挿入され、ネジ結合されることで固定される。固定用ネジ194,194と穴部192,192との間には、スプリングワッシャ195,195およびワッシャ196,196が配置され、穴部192,192とネジ穴部193,193との間には、ワッシャ197,197が配置されている。これらの縦断面図が、後述する図18となる。
図16は、反射ミラー110とミラー第1保持部材113とミラー第2保持部材114が結合されたものと、ミラー第1保持部材113とミラー第2保持部材114の位置関係を調節する調節用ネジ201,201の分解斜視図であり、図17は、図16の紙面奥側から見た図である。図18は、図16において、調節用ネジ201,201が穴部202,202に挿入された場合のF−F断面概要図である。
調節用ネジ201,201を穴部202,202に挿入すると、図16における上下方向の軸を回転軸P’とした反射ミラー110の回転に基づく位置ずれを調整できる。図18に示すように、穴部202に調節用ネジ201を挿入し、穴部202と空間が重なり合うミラー第2保持部材114のネジ穴203(図15にも記載)にさらに挿入されている。穴部202とネジ穴203との間には、空間204が形成されており、空間204に圧縮バネ205が配置される。
圧縮バネ205を介して穴部202とネジ穴203の双方を挿通する調整用ネジ201のネジ力および圧縮バネ205の弾性力によって、ミラー第1保持部材113とミラー第2保持部材114の距離が調節されている。
ここで、調整用ネジ201は、ネジ穴203の内壁面に形成されたネジ山と適合するネジ溝を有しており、調整用ネジ201を回転させることで、ミラー第1保持部材113とミラー第2保持部材114の距離が変化するように構成されている。この距離は、小さくさせることで圧縮バネ205の付勢力を高め、大きくすることで圧縮バネ205の付勢力が弱まるように構成されている。
図19は、反射ミラー110とミラー第1保持部材113とミラー第2保持部材114が結合されたものと、固定部材120の分解斜視図であり、図20は、図19の紙面奥側から見た図である。図21は、図19において反射ミラー110とミラー第1保持部材113とミラー第2保持部材114と固定部材120が結合されたもののG−G断面概要図である。
ミラー第1保持部材113の陥没部191,191とリブ143,143との間のコーナー部211,211の底面212,212には、穴部213,213が形成されている。底面212,212の上方から、固定用ネジ214,214が、スプリングワッシャ215,215およびワッシャ216,216を貫通して穴部213,213を挿通し、さらにワッシャ217,217を貫通して固定用ネジ穴部218,218に螺合される。その螺合によって、ミラー第2保持部材114と固定部材120が固定される。
また、底面212,212から図19,図20の下側へ延在するサイド板219,219には、ミラー第2保持部材114と固定部材120との、図10におけるX軸方向の位置調整用のネジ穴220,220が形成されている。ネジ穴220,220に位置調整用ネジ221,221が螺合しながら挿入されていくと、固定部材120の壁部222,222にぶつかる。そのぶつかった後でさらに位置調整用ネジ221,221の挿入を進めると、ミラー第2保持部材114と固定部材120とのX軸方向の距離を調整することができる。
(第2の実施の形態に係る光学部材100の各構成部材相互の位置関係の調整)
まず、図6に示す各種部材を設置するためのコリメータ89のステージ89aと、ステージ89aの上方に固定された検査用の光を放射するコリメータ89の光源部89bとの位置および角度を、調整部89cによって調整して、光源部89bから放射される光の光軸Laとステージ89bの上面89dとが実質的に垂直となるように調整を行う。
その後、鏡筒101の基準面230(図8参照)を設置した際に、鏡筒101の鏡筒基準面234(図9参照、正確には後述の反射ミラー93に相当する部材)及び反射ミラー110の平面112とが、光源部89bから放射される光の光軸La上にくるように。鏡筒101の位置を調整してステージ89aの上面89dに設置・固定する。このとき、ステージ89aに設置・固定された鏡筒101の基準面230は、ステージ89aの上面89dと実質的に平行となる。
図8に示すように、この基準面230は、全体形状がリング状である。同様に全体形状がリング状の基準面部材係合部231が、ビス232,232,232によって鏡筒101の周面に周方向120°間隔に3箇所固定されている。
なお、鏡筒基準面234と光軸L’とは製造過程でほぼ確実に垂直の関係となる。また、同時に基準面230もビス232で鏡筒101へ固定する際に光軸L’と垂直の関係となる。よって鏡筒基準面234と基準面230は組み立てた時点で実質的に平行となっている。
次に、鏡筒101とコリメータ89の位置関係を維持したまま固定部材120を鏡筒101に取り付け、さらに、固定部材120に反射ミラー110を取り付ける。その際には、コリメータ89から、反射ミラー110の平面112に向けて光を放射し、反射して来る光によって、基準面230と平面112とが、実質的に平行かどうかを確認する。基準面230と平面112とが、実質的に平行でない場合には、図12,図13に示すネジ172、図18に示す調節用ネジ201および図19,図20に示す位置調整用ネジ221を用いて、実質的に平行となるまで調整する。
ここで、実質的に平行とは、完全に平行な場合と、15分以下、または10分以下、または5分以下の角度のズレを許容した略平行な場合との両者を含むこととする。また、実質的に垂直とは、完全に垂直な場合と、15分以下、または10分以下、または5分以下の角度のズレを許容した略垂直な場合との両者を含むこととする。
以上によって、第2の実施の形態に係る光学部材100の各構成部材相互の位置関係の調整がなされる。この光学部材100を、パーソナルコンピュータのディスプレイ画面を拡大投射するプロジェクター等の光学機器の本体に取り付ける際に、鏡筒101の基準面230に基いて取り付けることで、光学機器の各構成部材の位置関係が正確となる。
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
本発明の第1および第2の実施の形態に係る光学部材1,100は、それぞれ反射ミラー20,110を有している。反射ミラー20,110は、その曲面21,111の裏側面が、鏡筒10と反射ミラー20、または鏡筒101と反射ミラー110との相互位置関係調整用の平面22,112を有している。そのため、コリメータ等を用いれば、固定部材30の基準面90、鏡筒101の基準面230等と反射ミラー20,110の配置関係を実質的に平行にする等できる。よって、本発明の第1および第2の実施の形態に係る光学部材1,100、および反射ミラー20,110は、各構成部材相互の位置関係を正確にすることを可能としている。
また、本発明の第1および第2の実施の形態に係る光学部材1,100は、それぞれ反射ミラー20,110を有している。反射ミラー20,110は、その曲面21,111が放物線をその対称軸を中心として回転させた放物面であり、反射ミラー20,110の曲面21,111は、その裏側面に対称軸と実質的に垂直な平面22,112を有している。そのため、コリメータ等を用いれば、固定部材30の基準面90、鏡筒101の基準面230等と反射ミラー20,110の配置関係を実質的に平行にする等できる。よって、本発明の第1および第2の実施の形態に係る光学部材1,100、および反射ミラー20,110は、各構成部材相互の位置関係を正確にすることを可能としている。さらに、この対称軸は、反射ミラー20,110の光軸であるため、その光軸を鏡筒10,101の光軸L,L’と一致したり平行にさせたりすることも可能となる。
また、本発明の第1および第2の実施の形態に係る光学部材1,100は、それぞれ反射ミラー20,110を有している。反射ミラー20,110は、その曲面21,111が曲面の最奥部を通る反射ミラー20,110の光軸と実質的に垂直の平面22,112を有している。そのため、コリメータ等を用いれば、固定部材30の基準面90、鏡筒101の基準面230等と反射ミラー20,110の配置関係を実質的に平行にする等できる。よって、本発明の第1および第2の実施の形態に係る光学部材1,100、および反射ミラー20,110は、各構成部材相互の位置関係を正確にすることを可能としている。さらに光学部材1,100、および反射ミラー20,110は、反射ミラー20,110の光軸を鏡筒10,101の光軸L,L’と一致させたり平行にしたりすることも可能となる。
このように、光学部材1,100、および反射ミラー20,110は、各構成部材相互の位置関係を正確にすることを可能とするのであるから、反射ミラー20,110が有する平面22,112と、鏡筒10,101の光軸L,L’とを、実質的に垂直の位置関係とすることができる。
また、光学部材1および反射ミラー20は、鏡筒10および反射ミラー20を固定する固定部材30をさらに有し、反射ミラー20が有する平面22と、実質的に平行の位置関係にある平面部である基準面90を、固定部材30が有するようにできる。
また、反射ミラー20,110の平面22,112は、光を反射可能とすることで、図7に示す反射板92のような部材を用意する必要がなくなる。
(他の形態)
上述した本発明の第1および第2の実施の形態に係る 光学部材1,100、および反射ミラー20,110は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
たとえば、反射ミラー20,110は、その曲面21,111が放物線をその対称軸を中心として回転させた放物面であり、反射ミラー20,110の曲面21,111は、その裏側面に対称軸と実質的に垂直な平面22,112を有している。しかし、対称軸と平面22,112の角度は適宜変更できる。そのように変更しても、平面22,112に照射したコリメータの光がどの角度に反射するかを確認すること等で、各構成部材相互の位置関係を正確にすることができる。しかし、光学部材1,100の各構成部材相互の位置関係の調整の容易化の観点からは、対称軸と平面22,112は実質的に垂直であることが好ましい。
また、反射ミラー20,110は、その曲面21,111が曲面の最奥部を通る反射ミラー20,110の光軸と実質的に垂直の平面22,112を有している。しかし、反射ミラー20,110の光軸と平面22,112の角度は適宜変更できる。たとえば、反射ミラー20,110の光軸は曲面21,111の最奥部を通らない場合であっても良い。そのように変更しても、平面22,112に照射したコリメータの光がどの角度に反射するかを確認すること等で、各構成部材相互の位置関係を正確にすることができる。しかし、光学部材1,100の各構成部材相互の位置関係の調整の容易化の観点からは、反射ミラー20,110の光軸と平面22,112は実質的に垂直であることが好ましい。
また、反射ミラー20,110の平面22,112は、光を反射可能であるが、光を反射不可能なものとし、図7に示す反射板92のような部材を追加して用いることとしても良い。しかし、光学部材1,100の各構成部材相互の位置関係の調整作業の容易化の点から、平面22,112は、光を反射可能であることが好ましい。
光学部材1,100の各構成部材相互の位置関係の調整は、光学部材1,100単独の組み立て時に行なっているが、光学部材1,100が取り付けられる光学機器に、光学部材1,100の構成部材の一部を取り付けながら行なっても良い。たとえば、光学部材100の各構成部材相互の位置関係の調整では、鏡筒101とコリメータの位置の調整を終えた後、鏡筒101とコリメータの位置関係を維持しながら光学機器に鏡筒101を取り付け、その状態で鏡筒101と反射ミラー110の位置関係を調整する等しても良い。このとき、鏡筒101のみを光学機器に組み込んだ際に、鏡筒101の基準面230と光学機器の基準面に相当する部材との位置合わせをしておけば、光学機器の組み立てが容易となる。
固定部材30,120は、必須の構成部材ではないため、省略することができる。たとえば、鏡筒10,101と反射ミラー20,110とを直接または所定の部材を介在させて固定するような構成を採用しても良い。
また、反射ミラー20,110の曲面21,111は、いわゆる非球面であるが、自由曲面等の他の曲面としても良い。