JP6165143B2 - 血漿由来の免疫グロブリン組成物の血栓塞栓症の可能性を軽減する方法 - Google Patents

血漿由来の免疫グロブリン組成物の血栓塞栓症の可能性を軽減する方法 Download PDF

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Description

関連出願への相互参照
本出願は、あらゆる目的でその全体が参照によって明白に本明細書に組み入れられる2011年8月26日に出願された米国仮特許出願第61/527,974号の利益を主張する。
血漿由来の血液製剤を用いて種々の血液疾患だけでなく、他の起源の疾病も治療される。たとえば、ヒト血漿に由来する免疫グロブリン(IgG)製品を使用して1952年に初めて免疫不全症が治療された。それ以来、IgG製剤は、少なくとも3つの主要な医学的状態、すなわち(1)低い抗体レベルを特徴とする、免疫不全症、たとえばX連鎖無ガンマグロブリン血症、低ガンマグロブリン血症(原発性免疫不全症)、及び後天性の免疫不全状態(二次的免疫不全症);(2)炎症性疾患及び自己免疫疾患;並びに(3)急性感染症にて広く使用されている。
血漿由来の生物治療剤を製造し、製剤化する場合、種々の安全上の対策が考慮されなければならない。これらの対策には、血液由来の病原体(たとえば、ウイルス性及び細菌性の病原体)、抗補体活性、及び献血血漿の使用で生じる他の望ましくない混入物を取り除く及び/又は不活化する方法が含まれる。高レベルのアミド分解活性の投与は望ましくない血栓塞栓症の事象を生じ得ることが研究によって示唆されている(Wolberg AS et al., Coagulation factor XI is a contaminant inintravenous immunoglobulin preparations. Am J Hematol 2000;65:30−34(非特許文献1);及びAlving BM et al., Contact−activated factors: contaminants of immunoglobulin preparations with coagulant and vasoactive properties. J Lab Clin Med 1980; 96:334−346(非特許文献2);その開示はあらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み入れられる)。
この懸念は、血栓塞栓症事象の報告の増加の後の、米国におけるOctagam(登録商標)(Octapharma)の自発的撤退及び欧州委員会によるOctagam(登録商標)及びOctagam10%の製造承認の差し止めによって注目された。血栓症事象の増加は、生物製剤における高レベルのアミド分解活性が原因であり、たとえば、第XI因子、第XIa因子、第XII因子及び第XIIa因子のようなセリンプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼ酵素前駆体不純物が原因であったと示唆されている(FDA通知:Voluntary Market Withdrawal−September 23, 2010 Octagam [Immune Globulin Intravenous (Human)] 5% Liquid Preparation(非特許文献3);AFSSAPSによって2010年9月9日にオンラインで公表された、Octagam 50 mg/ml, solution pour perfusion − Octapharma France − Mise en quarantaine de tous les lots(非特許文献4);欧州医薬品庁によって2010年9月23日にオンラインで公表された、Questions and answers on the suspension of the marketing authorizations for Octagam (human normal immunoglobulin 5% and 10%)(非特許文献5))。
EDQM(欧州医薬品品質理事会)は、2012年1月1日の迅速な実施のために静脈内投与用のヒト正常免疫グロブリンに関するモノグラフの改訂版(0918)(非特許文献6)を公表し、免疫グロブリン製品における凝血促進活性の可能性に対処した。改訂版では、「調製方法には、血栓生成剤を取り除くことが示されている1種又は複数種のステップも含まれる。活性化された凝固因子及びその酵素前駆体並びにその活性化の原因となり得る処理ステップの特定が重要である。製造工程によって導入され得る他の凝血促進剤も考慮されるべきである。」と述べられている。
2011年3月18日、Swissmedicは血栓塞栓症の有害事象が、FDAによる多数のVivaglobin製品ロットに関連して認められることを報告した。CSLによって製造されたVivaglobin(皮下注射用の160mg/mlのヒト正常免疫グロブリン溶液)は、成人及び小児の原発性免疫不全症候群、骨髄腫、又は慢性リンパ性白血病のために代替療法として認可された。血栓塞栓症の有害事象のリスクは、この投与経路についてはこの時点まで知られていなかった。調査によって少なくとも一部のバッチにおいて凝血促進活性が示された。結果として、Vivaglobinは市場から撤退し、新しい製品Hizentra(皮下注射用の20%ヒト正常免疫グロブリン溶液)に置き換えられた。Vivaglobinについて報告された有害事象のために、現在、静注用免疫グロブリン製品についての要件と同様に、皮下投与用の免疫グロブリン製品は低レベルの凝血促進活性を有することという要件がある。
専用のセリンプロテアーゼは、一般に凝固因子として知られ、凝固カスケードの接触活性化と組織因子経路双方の不可欠な成分である。凝固経路の刺激の際、不活性の酵素前駆体であるセリンプロテアーゼ酵素前駆体が次のプロテアーゼ酵素前駆体の活性化を触媒する活性化プロテアーゼになり、結果的に活性化カスケードを生じる。この凝固カスケードが、最終的にトロンビン(第IIa因子)と第XIIIa因子の活性化をもたらし、それが、それぞれフィブリノーゲン(第I因子)をフィブリン(第Ia因子)と交差フィブリンに変換し、フィブリン血栓を形成するように機能する。
固有の凝固経路としても知られる接触活性化経路は、それぞれプレカリクレインと第XII因子に由来するカリクレインと第XIIa因子(FXIIa)の活性化で開始する。活性化されたセリンプロテアーゼFXIIaは第XI因子(FXI)を切断し、酵素前駆体を活性化セリンプロテアーゼである第XIa因子(FXIa)に変換し、それはその後の第Xa因子(FXa)の活性化に関与する。
血漿由来のタンパク質組成物におけるセリンプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼ酵素前駆体の存在に関する関心が高まっているために、免疫グロブリン製剤におけるこれらの混入物のレベル、特にFXI及びFXIaのレベルを低減する方法に対する需要は、当技術分野において依然として存在する。
Wolberg AS et al., Coagulation factor XI is a contaminant inintravenous immunoglobulin preparations. Am J Hematol 2000;65:30−34 Alving BM et al., Contact−activated factors: contaminants of immunoglobulin preparations with coagulant and vasoactive properties. J Lab Clin Med 1980; 96:334−346 FDA通知:Voluntary Market Withdrawal−September 23, 2010 Octagam [Immune Globulin Intravenous (Human)] 5% Liquid Preparation Octagam 50 mg/ml, solution pour perfusion − Octapharma France − Mise en quarantaine de tous les lots Questions and answers on the suspension of the marketing authorizations for Octagam (human normal immunoglobulin 5% and 10%) 静脈内投与用のヒト正常免疫グロブリンに関するモノグラフの改訂版(0918)
本発明は、幾つかある態様の中で特に、IgG免疫グロブリン組成物のアミド分解性の内容物(たとえば、FXI及び/又はFXIa)を減らす方法、及び市場で利用可能な匹敵する組成物よりも低レベルのアミド分解活性(たとえば、FXI及び/又はFXIa)を有するIgG免疫グロブリン組成物を提供する。
第1の態様では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物における第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の含量を減らす方法を提供し、該方法は、(a)IgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を提供するステップと、(b)6.0を超えないpHと、11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件下でクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂に血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、IgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(c)少なくとも7.5のpHと、少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂からIgG免疫グロブリンを溶出して、先行部分と遅行部分を含む溶出液を形成するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、溶出液の先行部分は溶出液の80%を超えて含むことはない。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。
上で提供される方法の一実施形態では、方法は、ステップ(c)にてカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出する前に、6.0を超えないpHと、11mS/cm未満の導電率を含む洗浄緩衝液によって、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとが結合したカチオン交換樹脂を洗浄するステップをさらに含む。
上で提供される方法の一実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。上で提供される方法のある特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチルカチオン交換樹脂である。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は7.5〜8.5の間のpHを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は8.0±0.2のpHを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は200〜300mMの塩化ナトリウムを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は240〜260mMの塩化ナトリウムを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は100mM〜300mMのグリシンを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は175mM〜225mMのグリシンを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液の70%以下から成る。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは7.0を超えるpHを有する溶出液とは別に7.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは6.5を超えるpHを有する溶出液とは別に6.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは6.0を超えるpHを有する溶出液とは別に6.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは5.5を超えるpHを有する溶出液とは別に5.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは5.0を超えるpHを有する溶出液とは別に5.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは溶出液のpHをモニターすることを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の先行部分を回収するステップは、(i)280nm(OD280)にて溶出液の光学密度をモニターする副ステップと、(ii)溶出液のOD280が少なくとも50mAUの第1の閾値OD280よりも上昇したら回収を開始する副ステップと、(iii)溶出液のOD280が500mAUを下回らない第2の閾値OD280よりも低下したら回収を停止する副ステップとを含む。ある特定の実施形態では、第2の閾値OD280は1AUを下回らない。別のある特定の実施形態では、第2の閾値OD280は2AUを下回らない。
上で提供される方法の一実施形態では、洗浄緩衝液は5.0〜6.0の間のpHを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、洗浄緩衝液は5.5±0.2のpHを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(b)でカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの50%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(b)でカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの25%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(b)でカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの10%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する。
上で提供される方法の一実施形態では、FXI及び/又はFXIaの量はFXIa特異的な基質を用いたアミド分解活性アッセイを行うことによって決定される。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物は、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物から成る群から選択される、懸濁された血漿画分沈殿物である。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物は懸濁された画分II沈殿物である。
1つの態様では、本開示は、血漿由来の免疫グロブリン組成物における抗補体活性(ACA)を減らす方法を提供し、該方法は、(a)IgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を提供するステップと、(b)6.0を超えないpHと、11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件下でクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂に血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とを結合させるステップと、(c)少なくとも7.5のpHと、少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂からIgG免疫グロブリンを溶出して、先行部分と遅行部分を含む溶出液を形成するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、溶出液の先行部分は溶出液の80%以下を含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。
上で提供される方法の一実施形態では、方法は、ステップ(c)にてカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出する前に、6.0を超えないpHと、11mS/cm未満の導電率を含む洗浄緩衝液によって、免疫グロブリンとACAとが結合したカチオン交換樹脂を洗浄するステップをさらに含む。
上で提供される方法の一実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。上で提供される方法のある特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチルカチオン交換樹脂である。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は7.5〜8.5の間のpHを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は8.0±0.2のpHを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は200〜300mMの塩化ナトリウムを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は240〜260mMの塩化ナトリウムを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出緩衝液は100mM〜300mMのグリシンを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、溶出緩衝液は175mM〜225mMのグリシンを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液の70%以下から成る。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは7.0を超えるpHを有する溶出液とは別に7.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは6.5を超えるpHを有する溶出液とは別に6.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは6.0を超えるpHを有する溶出液とは別に6.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは5.5を超えるpHを有する溶出液とは別に5.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは5.0を超えるpHを有する溶出液とは別に5.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップは溶出液のpHをモニターすることを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、溶出液の先行部分を回収するステップは、(i)280nm(OD280)にて溶出液の光学密度をモニターする副ステップと、(ii)溶出液のOD280が少なくとも50mAUの第1の閾値OD280よりも上昇したら回収を開始する副ステップと、(iii)溶出液のOD280が500mAUを下回らない第2の閾値OD280よりも低下したら回収を停止する副ステップとを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、第2の閾値OD280は1AUを下回らない。上で提供される方法の別の実施形態では、第2の閾値OD280は2AUを下回らない。
上で提供される方法の一実施形態では、洗浄緩衝液は5.0〜6.0の間のpHを含む。上で提供される方法の別の実施形態では、洗浄緩衝液は5.5±0.2のpHを含む。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度は、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも低い。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度は、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも少なくとも25%低い。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度は、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも少なくとも50%低い。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度は、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも低い。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度は、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度の50%未満である。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度は、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度の25%未満である。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物は、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの画分A、キストラー/ニッチェマンの画分B及びそれらの改変された沈殿物から成る群から選択される、懸濁された血漿画分沈殿物である。
上で提供される方法の一実施形態では、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物は懸濁された画分II沈殿物である。
[本発明1001]
血漿由来の免疫グロブリン組成物にて第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の含量を低減する方法であって
(a)IgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を提供するステップと、
(b)6.0を超えないpHと11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件下でクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂に血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、IgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、
(c)少なくとも7.5のpHと少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂からIgG免疫グロブリンを溶出して、先行部分と遅行部分を含む溶出液を形成するステップと、
(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップと
を含み、溶出液の先行部分が溶出液の80%以下を含む、方法。
[本発明1002]
溶出緩衝液が少なくとも20mS/cmの導電率を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
溶出緩衝液が少なくとも25mS/cmの導電率を含む、本発明1001又は1002の方法。
[本発明1004]
ステップ(c)にてカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出する前に、6.0を超えないpHと11mS/cm未満の導電率を含む洗浄緩衝液によって、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとが結合したカチオン交換樹脂を洗浄するステップをさらに含む、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
カチオン交換樹脂が弱いカチオン交換樹脂である、本発明1001〜1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
弱いカチオン交換樹脂がカルボキシメチルカチオン交換樹脂である、本発明1005の方法。
[本発明1007]
溶出緩衝液が7.5〜8.5の間のpHを含む、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
溶出緩衝液が8.0±0.2のpHを含む、本発明1007の方法。
[本発明1009]
溶出緩衝液が200〜300mMの間の塩化ナトリウムを含む、本発明1001〜1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
溶出緩衝液が240〜260mMの間の塩化ナトリウムを含む、本発明1009の方法。
[本発明1011]
溶出緩衝液が100mM〜300mMの間のグリシンを含む、本発明1001〜1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
溶出緩衝液が175mM〜225mMの間のグリシンを含む、本発明1011の方法。
[本発明1013]
溶出液の先行部分が溶出液の70%以下から成る、本発明1001〜1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、7.0を上回るpHを有する溶出液とは別に7.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1001〜1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、6.5を上回るpHを有する溶出液とは別に6.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1001〜1013のいずれかの方法。
[本発明1016]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、6.0を上回るpHを有する溶出液とは別に6.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1001〜1013のいずれかの方法。
[本発明1017]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.5を上回るpHを有する溶出液とは別に5.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1001〜1013のいずれかの方法。
[本発明1018]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.0を上回るpHを有する溶出液とは別に5.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1001〜1013のいずれかの方法。
[本発明1019]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、溶出液のpHをモニターすることを含む、本発明1001〜1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
溶出液の先行部分を回収するステップが、
(i)280nm(OD 280 )にて溶出液の光学密度をモニターする副ステップと、
(ii)溶出液のOD 280 が少なくとも50mAUの第1の閾値OD 280 よりも上昇したら回収を開始する副ステップと、
(iii)溶出液のOD 280 が500mAUを下回らない第2の閾値OD 280 よりも低下したら回収を停止する副ステップと
を含む、本発明1001〜1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
第2の閾値OD 280 が1AUを下回らない、本発明1020の方法。
[本発明1022]
第2の閾値OD 280 が2AUを下回らない、本発明1020の方法。
[本発明1023]
洗浄緩衝液が5.0〜6.0の間のpHを含む、本発明1004〜1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
洗浄緩衝液が5.5±0.2のpHを含む、本発明1023の方法。
[本発明1025]
ステップ(b)でカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの50%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する、本発明1001〜1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
ステップ(b)でカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの25%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する、本発明1025の方法。
[本発明1027]
ステップ(b)でカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの10%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する、本発明1025の方法。
[本発明1028]
FXI及び/又はFXIaの量が、FXIa特異的な基質を用いたアミド分解活性アッセイを行うことによって決定される、本発明1025又は1027の方法。
[本発明1029]
ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物から成る群から選択される、懸濁された血漿画分沈殿物である、本発明1001〜1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、懸濁された画分IIの沈殿物である、本発明1029の方法。
[本発明1031]
血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)を低減させる方法であって、
(a)IgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を提供するステップと、
(b)6.0を超えないpHと11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件下でクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂に血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とを結合させるステップと、
(c)少なくとも7.5のpHと少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂からIgG免疫グロブリンを溶出して、先行部分と遅行部分を含む溶出液を形成するステップと、
(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップと
を含み、溶出液の先行部分が溶出液の80%以下を含む、方法。
[本発明1032]
溶出緩衝液が少なくとも20mS/cmの導電率を含む、本発明1031の方法。
[本発明1033]
溶出緩衝液が少なくとも25mS/cmの導電率を含む、本発明1031又は1032の方法。
[本発明1034]
ステップ(c)にてカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出する前に、6.0を超えないpHと11mS/cm未満の導電率を含む洗浄緩衝液によって、免疫グロブリンとACAとが結合したカチオン交換樹脂を洗浄するステップをさらに含む、本発明1031〜1033のいずれかの方法。
[本発明1035]
カチオン交換樹脂が弱いカチオン交換樹脂である、本発明1031〜1034のいずれかの方法。
[本発明1036]
弱いカチオン交換樹脂がカルボキシメチルカチオン交換樹脂である、本発明1035の方法。
[本発明1037]
溶出緩衝液が7.5〜8.5の間のpHを含む、本発明1031〜1036のいずれかの方法。
[本発明1038]
溶出緩衝液が8.0±0.2のpHを含む、本発明1037の方法。
[本発明1039]
溶出緩衝液が200〜300mMの間の塩化ナトリウムを含む、本発明1031〜1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
溶出緩衝液が240〜260mMの間の塩化ナトリウムを含む、本発明1039の方法。
[本発明1041]
溶出緩衝液が100mM〜300mMの間のグリシンを含む、本発明1031〜1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
溶出緩衝液が175mM〜225mMの間のグリシンを含む、本発明1041の方法。
[本発明1043]
溶出液の先行部分が溶出液の70%以下から成る、本発明1031〜1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、7.0を上回るpHを有する溶出液とは別に7.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1031〜1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、6.5を上回るpHを有する溶出液とは別に6.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1031〜1043のいずれかの方法。
[本発明1046]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、6.0を上回るpHを有する溶出液とは別に6.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1031〜1043のいずれかの方法。
[本発明1047]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.5を上回るpHを有する溶出液とは別に5.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1031〜1043のいずれかの方法。
[本発明1048]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.0を上回るpHを有する溶出液とは別に5.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、本発明1031〜1043のいずれかの方法。
[本発明1049]
溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、溶出液のpHをモニターすることを含む、本発明1031〜1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
溶出液の先行部分を回収するステップが、
(i)280nm(OD 280 )にて溶出液の光学密度をモニターする副ステップと、
(ii)溶出液のOD 280 が少なくとも50mAUの第1の閾値OD 280 よりも上昇したら回収を開始する副ステップと、
(iii)溶出液のOD 280 が500mAUを下回らない第2の閾値OD 280 よりも低下したら回収を停止する副ステップと
を含む、本発明1031〜1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
第2の閾値OD 280 が1AUを下回らない、本発明1050の方法。
[本発明1052]
第2の閾値OD 280 が2AUを下回らない、本発明1050の方法。
[本発明1053]
洗浄緩衝液が5.0〜6.0の間のpHを含む、本発明1034〜1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
洗浄緩衝液が5.5±0.2のpHを含む、本発明1053の方法。
[本発明1055]
ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも低い、本発明1031〜1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも少なくとも25%低い、本発明1055の方法。
[本発明1057]
ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも少なくとも50%低い、本発明1055の方法。
[本発明1058]
ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも低い、本発明1031〜1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度の50%未満である、本発明1058の方法。
[本発明1060]
ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度の25%未満である、本発明1058の方法。
[本発明1061]
ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物から成る群から選択される、懸濁された血漿画分沈殿物である、本発明1031〜1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、懸濁された画分IIの沈殿物である、本発明1061の方法。
実施例1で記載されるCMセファロースファストフロー(ff)クロマトグラフィステップのクロマトグラムを示す図である。番号1の線はUVの吸光度、番号2の線はpH、番号3の線はカラムの出口での流出物の導電率を示す。280ナノメートルでの光学密度はCMセファロースffカラムからのタンパク質の溶出の際の2つの画分の部分的な分離を示す。カラム出口でのpHは溶出の際のUV吸光度の再上昇の開始直前に上がり始める。この時点で、F4及びF5(画分4及び画分5)としてクロマトグラムで示される2つの溶出画分が分離され、以下ではE1及びE2と名付けられる。 実施例2で記載されるCMセファロースff実行のクロマトグラフを示す図である。CMセファロースffからのIgG画分の溶出の際のpH及びOD280の経過を示す(出発物質:Cohn画分IIペースト経路II;P24701IV;吸着ステップ:FIX;FVII;ATIII)。 実施例11で記載されるCMセファロースファストフロー(ff)クロマトグラフィステップのクロマトグラムを示す図である。番号1の線はUVの吸光度、番号3の線はpH、番号2の線はカラムの出口での流出物の導電率を示す。 実施例12で記載されるCMセファロースファストフロー(ff)クロマトグラフィステップのクロマトグラムを示す図である。番号1の線はUVの吸光度、番号3の線はpH、番号2の線はカラムの出口での流出物の導電率を示す。 実施例13で記載されるCMセファロースファストフロー(ff)クロマトグラフィステップのクロマトグラムを示す図である。番号1の線はUVの吸光度、番号3の線はpH、番号2の線はカラムの出口での流出物の導電率を示す。
I.序論
治療用の血漿由来の静注用免疫グロブリン組成物の広い用途を考えると、これら組成物の安全性を確保することが最重要である。血漿由来の免疫グロブリンを投与された患者における血栓塞栓症事象の発生と対となる、免疫グロブリン組成物のアミド分解性内容物についての懸念から、免疫グロブリンの製造中にセリンプロテアーゼ(たとえば、FXIa及びFXIIa)及びセリンプロテアーゼ酵素前駆体(たとえば、FXI及びFXII)を効果的に減らす方法に対するニーズが強調されている。
本発明は、カチオン交換溶出液の先行部分のみを回収することによって有意な量のアミド分解活性(たとえば、FXI及び/又はFXIa)及び/又は抗補体活性(ACA)を免疫グロブリン組成物から取り除くことができるという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づく。したがって本明細書では、血漿由来のタンパク質組成物の製造の間にセリンプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼ酵素前駆体の濃度を下げるための方法が提供される。
1つの態様では、本発明は、カチオン交換樹脂からの単一段階溶出の間に、アミド分解活性(たとえば、少なくともFXI及び/又はFXIaが寄与する)及び/又はACAの有意な画分の溶出に先立ってIgG免疫グロブリンが樹脂から放出されるという発見に基づく。具体的には、IgG免疫グロブリンとアミド分解活性に寄与するタンパク質とが結合したカチオン交換樹脂を少なくとも7.0を上回るpHを有する溶出緩衝液に接触させたら、カラムから回収される最初の溶出液は低いpH(たとえば、5.0未満のpH)を有することが分かった。しばらくすると、カラムから回収される溶出液のpHは7.0より上にシフトする。驚くべきことに、低pHを有する最初の溶出液は低レベルのアミド分解活性、FXI及び/もしくはFXIa含量ならびに/又はACA含量を含有する一方で、pHのシフト後に回収された溶出液は有意により高いレベルのアミド分解活性、FXI及び/もしくはFXIa含量ならびに/又はACA含量を含有することが見いだされた。
従って、1つの態様では、本発明は、IgG免疫グロブリンとアミド活性及び/又はACAとをカチオン交換樹脂に結合させ、単一段階溶出にてIgG免疫グロブリンとアミド活性及び/又はACAとを溶出し、低いIgG収率、高いアミド分解活性及び/又は高いACA含量を特徴とする溶出液の遅行部分とは別に、高いIgG収率、低いアミド分解活性及び/又は低いACA含量を特徴とする溶出液の先行部分を回収することによって、IgG免疫グロブリン組成物からアミド分解活性(たとえば、第XI因子及び/又は第XIa因子)及び/又はACAの有意な画分を分離する方法に基づく。
数ある利点の中で特に、本発明の方法は、(1)単一段階溶出によるカチオン交換クロマトグラフィによってIgG免疫グロブリン組成物からアミド分解活性を取り除く単純な方法;(2)溶出液のpHをモニターすることに基づいて高いアミド分解活性(すなわち、高いFXI及び/又はFXIa含量)を有するIgG免疫グロブリンカチオン交換溶出液の画分を迅速に特定する単純な方法;(3)カチオン交換樹脂に負荷するタンパク質の濃度によって影響を受けない、大規模製造法への簡単な規模拡大を可能にする、IgG免疫グロブリン組成物からアミド分解活性を取り除く方法;(4)pHのモニタリングに基づく、さらなる処理に使用するIgG免疫グロブリンのカチオン交換溶出画分の迅速な決定を可能にする方法;(5)IgG免疫グロブリンの収量の最小限の損失でアミド分解活性(たとえば、FXI及び/又はFXIa含量)の有意な低下を可能にする方法;(6)発色基質(基質PL−1を含むが、これに限定されない)で測定される低いIgG凝集体濃度、低いPKA活性、低いアミド分解活性;高いIgG単量体濃度及びより望ましいIgGサブクラスの分布を有するIgG免疫グロブリン組成物を製造する方法;(7)クロマトグラフィステップの溶出体積に基づいて、さらなる処理に使用するカチオン交換IgG免疫グロブリンの溶出画分の迅速な決定を可能にする方法;(8)特定画分のタンパク質の吸光度に基づいて、さらなる処理に使用するIgG免疫グロブリンカチオン交換溶出画分の迅速な決定を可能にする方法;(9)大規模製造法において本発明の有利な特徴を利用する能力;(10)同定及び定量のためのアミド分解活性の濃縮;(11)単一段階溶出によるカチオン交換クロマトグラフィによってIgG免疫グロブリン組成物から抗補体活性(ACA)を取り除く単純な方法;(12)溶出液のpHのモニタリングに基づいて高い抗補体活性(ACA)を有するIgG免疫グロブリンカチオン交換溶出液の画分を迅速に特定する単純な方法;(13)カチオン交換樹脂に負荷するタンパク質の濃度によって影響を受けない、大規模製造法への規模拡大を可能にする、IgG免疫グロブリン組成物から抗補体活性(ACA)を取り除く方法;(14)IgG免疫グロブリンの収量の最小限の損失で抗補体活性(ACA)の有意な低下を可能にする方法;(15)低いIgG凝集体濃度、低い抗補体活性(ACA)、高いIgG単量体濃度及びより望ましいIgGサブクラスの分布を有するIgG免疫グロブリン組成物を製造する方法;並びに(16)同定及び定量のための抗補体活性(ACA)の濃縮を提供する。
II.定義
本明細書で使用されるとき、「静注用IgG」又は「IVIG」治療という用語は一般に、免疫不全、炎症性疾患及び自己免疫疾患のような多数の状態を治療するために患者に対してIgG免疫グロブリンの組成物を静脈内に、皮下に、又は筋肉内に投与する治療法を指す。IgG免疫グロブリンは通常、血漿からプールされて調製される。抗体全体又は断片を使用することができる。IgG免疫グロブリンは皮下投与のために(たとえば、10%を超える)高い濃度で製剤化することができ、また筋肉内投与用に製剤化することができる。これは、特定の抗原(たとえば、RhoD因子、百日咳毒素、破傷風毒素、ボツリヌス毒素、狂犬病)に対して平均よりも高い力価で調製される特殊IgG製剤の場合に特に一般的である。考察し易くするために、そのような皮下又は筋肉内投与用に製剤化されたIgG組成物も本出願では「IVIG」という用語に含められる。
本明細書で使用されるとき、「アミド分解活性」という用語は、別のポリペプチドにおける少なくとも1つのペプチド結合の加水分解を触媒するポリペプチドの能力を指す。IgG免疫グロブリン組成物についてのアミド分解活性プロフィールは、PL−1(広いスペクトル)、S−2288(広いスペクトル)、S−2266(FXIa、顆粒性カリクレイン)、S−2222(FXa、トリプシン)、S−2251(プラスミン)、及びS−2302(カリクレイン、FXIa及びFXIIa)を含むがこれらに限定されない、ヒト血漿で見出されるプロテアーゼに対する様々な特異性を有する種々の発色基質によって、決定され得る。組成物のアミド分解活性を測定する方法は、たとえば、M.Etscheidら(Identification of kallikrein and FXIa as impurities in therapeutic immunoglobulins: implications for the safety and control of intravenous blood products(治療用免疫グロブリンにおける不純物としてのカリクレイン及びFXIaの特定:静注用血液製品の安全性及び制御に対する示唆)、Vox Sang、2011;その開示はあらゆる目的についてその全体が参照によって本明細書に組み入れられる)に記載されたように当該技術で周知である。
本明細書で使用されるとき、「抗補体活性」及び「ACA」という用語は相互交換可能に使用され、タンパク質組成物、たとえば免疫グロブリンIgG組成物が、補体アッセイ、たとえば、その内容はあらゆる目的についてその全体が参照によって本明細書に組み入れられる"Public Health Monograph"No.74;Standardized Diagnostic Complement Fixation Method and Adaptation to Microtest,Washington,1965,並びにE.A.Kabat及びM.Mayer,Experimental Immunochemistry;第2版、Thomas Springfield、1961に記載された方法に実質的に基づく方法にて、補体の能力を消費する能力を指す。補体活性の典型的な単位は、本明細書で記載される補体活性にて最適に感作された合計5×10個の赤血球のうち2.5×10個の溶解を生じる補体の量である。
一実施形態では、ACAは、補体源として機能するモルモット血清の様々な希釈と共にインキュベートされる、抗体で感作されたヒツジ赤血球の標準化された浮遊液を用いて測定される。溶血の程度を分光光度的に測定する。たとえば、免疫グロブリン製品の抗補体活性を測定するには、種々の量の免疫グロブリン製品とml当たり2C'H50単位のモルモット血清を含有する試験溶液を調製する。ある特定の実施形態では、抗補体活性は、定義された量の試験物質(たとえば、10mgの免疫グロブリンIgG)を定義された量のモルモット補体(たとえば、20C'H50)と共にインキュベートすることによって測定し、残りの補体を滴定する。抗補体活性は補体対照(100%とみなされる)に対する補体の消費率として表される。一実施形態では、ACAは、その内容はあらゆる目的についてその全体が参照によって本明細書に組み入れられる、欧州薬局方:静脈内投与用のヒト正常免疫グロブリン、欧州薬局方6.3,モノグラフ2.6.17,4166-4168.欧州評議会,フランス、ストラスブール私書箱;で述べられる標準に従って測定される。
静脈内投与が意図される組成物の抗補体活性を低下させる方法は、文献(その内容はあらゆる目的についてその全体が参照によって本明細書に組み入れられるSchultz, H. E. and Schwick, G., Dtsch. med. Wochenschrift 87 (1962), 1643; Barandun, S. et al., Vox Sang. 28 (1957), 157; Barandun, S. et al., Vox Sang. 7 (1962), 187; and Stephen, W., Z. Klin. Chem. Klin. Biochem. 7 (1969), 282)に記載されている。
本明細書で使用されるとき、「脱クリオ(cryo-poor)血漿」は、凍結に近い温度、たとえば、約10℃未満の温度での血漿又はプール血漿の寒冷沈降(クリオ沈降)の後に形成される上清を指す。本発明の文脈では、血漿は相互交換可能に、回収血漿(すなわち、生体外で全血から分離された血漿)又は原料血漿(すなわち、プラズマフェレーシスを介して採取された血漿)を指す。クリオ沈降は一般に、たとえば、安全性と品質の問題についてすでにアッセイ済みの予め凍結されたプール血漿を融解することによって実施されるが、新鮮血漿も使用され得る。融解は通常、6℃を超えない温度で行う。低温での凍結血漿の完全な融解の後、冷所(たとえば、≦6℃)で遠心分離を行って液体上清から固体のクリオ沈降物を分離する。或いは、遠心分離ではなく濾過によって分離ステップを実施することができる。
本明細書で使用されるとき、「Cohnプール」は血漿試料又は血漿試料のプールの分画に使用される出発物質を指す。Cohnプールには、予備処理ステップに供されてもよく又は供されなくてもよい全血漿、脱クリオ血漿試料、及び脱クリオ血漿試料のプールが含まれる。ある特定の実施形態では、Cohnプールは、予備処理ステップ、たとえば、固相(たとえば、水酸化アルミニウム、細かく分割された二酸化ケイ素等)への吸着、又はクロマトグラフィステップ(たとえば、イオン交換若しくはヘパリン親和性クロマトグラフィ)にて1種以上の血液因子が取り除かれている、脱クリオ血漿試料である。第8因子阻害剤バイパス活性(FEIBA)、第IX因子複合体、第VII因子濃縮物、又はアンチトロンビンIII複合体を含むがこれらに限定されない種々の血液因子を脱クリオ血漿試料から単離して、Cohnプールを形成し得る。
本明細書で使用されるとき、「溶出液の先行部分」はカチオン交換樹脂から溶出される免疫グロブリン組成物の第1の画分を指し、該画分は、高い免疫グロブリン収率および、溶出前の樹脂に結合した総アミド分解活性に比べて低下したアミド分解活性を特徴とする。溶出液の先行部分は、カチオン交換樹脂から放出される溶出液の第1の画分であり、それは免疫グロブリン組成物の第2の画分(「溶出液の遅行部分」と言う)の放出(すなわち、溶出)前に生じる。溶出液の遅行部分は、少量の免疫グロブリンしか(通常、カラムに結合した免疫グロブリンの25%を超えない、好ましくは10%を超えない)含有せず、溶出液の先行部分に比べて高い濃度のアミド分解活性を特徴とする。種々の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分は、溶出液のpH、タンパク質収率(たとえば、樹脂に結合したタンパク質の比率(%)として表される)、溶出液のタンパク質濃度(たとえば、光学密度によって決定されるような)、溶出液の体積等を含むがこれらに限定されない種々の特徴によって、定義され得る。
本明細書で使用されるとき、「限外濾過(UF)」という用語は、静水圧が半透膜に対して液体を強制的に通過させる種々の膜濾過法を包含する。高分子量の懸濁された固体及び溶質は保持される一方で水及び低分子の溶質は膜を通過する。この分離方法は、高分子(10〜10ダルトン)溶液、特にタンパク質溶液を精製し、濃縮するために使用されることが多い。保持する分子のサイズに応じて多数の限外濾過膜が利用可能である。限外濾過は通常、1〜1000kDaの間の膜孔サイズ及び0.01〜10バールの操作圧を特徴とし、糖類や塩類のような小分子からタンパク質を分離するのに特に有用である。
本明細書で使用されるとき、「透析濾過」という用語は、限外濾過と同様の膜によって実施され、接線流濾過方式又は全量濾過方式のいずれかとして実行することができる。透析濾過の間、緩衝液をリサイクル槽に導入する一方で、濾液をユニット操作から取り除く。生成物が残余物(たとえば、IgG免疫グロブリン)中にある工程では、透析濾過により生成物プールから成分が濾液に洗い出され、それによって緩衝液は交換され、望ましくない種の濃度が低下する。
本明細書で使用されるとき、「界面活性剤」(detergent)という用語は、本出願では、「界面活性剤」(surfactant)又は「表面活性化剤」(surface acting agent)という用語と交換可能に使用される。界面活性剤は通常、両親媒性であり、すなわち、界面活性剤を有機溶媒及び水の双方に可溶性にする疎水性基(「尾部」)と親水性基(「頭部」)の双方を含有する有機化合物である。界面活性剤は、その頭部における外見上荷電した基の存在によって分類することができる。非イオン性界面活性剤はその頭部に電荷基を有さないが、イオン性界面活性剤はその頭部に正味電荷を持つ。両性イオン性界面活性剤は2つの相反して荷電した基を持つ頭部を含有する。一般的な界面活性剤のいくつかの例には、アニオン性(硫酸、スルホン酸又はカルボン酸のアニオンに基づく);パーフルオロオクタノエート(PFOA又はPFO)、パーフルオロオクタンスルホネート(PFOS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、及び他のアルキル硫酸塩、ラウレス硫酸ナトリウム(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム又はSLESとしても知られる)、スルホン酸アルキルベンゼン;カチオン系(四級アンモニウムカチオンに基づく):臭化ヘキサドデシルトリメチルアンモニウムとしても知られる臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)及び他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシ化タロウアミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT);長鎖脂肪酸及びその塩(カプリル酸塩、カプリル酸、ヘキサン酸塩、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ナノン酸、デカン酸等を含む);両性イオン系(両性):ドデシルベタイン;コカミドプロピルベタイン;ココアンフォグリシネート;非イオン系:アルキルポリ(酸化エチレン)、アルキルフェノールポリ(酸化エチレン)、ポリ(酸化エチレン)の共重合体及びポリ(酸化プロピレン)(Poloxamers又はPoloxaminesとして商業的に知られる)、オクチルグルコシドを含むアルキルポリグルコシド、デシルマルトシド、脂肪アルコール(たとえば、セチルアルコール及びオレイルアルコール)、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート(Tween20、Tween80、等)、Triton界面活性剤、及びドデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
本出願で使用されるとき、「噴霧」という用語は、例えば、改変されたCohn画分I又はII+IIIの沈殿ステップのようなアルコール沈殿ステップの際に、液体物質を系へ、液体物質の微細液滴又はミストの形態で送達する手段を指す。噴霧は、スプレーヘッドまたはノズルを有し、液体から微細ミストを生成するように手動で又は自動で操作される容器(たとえば、スプレー瓶)のような任意の加圧装置によって達成され得る。通常、噴霧は、系の中での液体の迅速で均一な分配を確保するために、液体物質を受け入れる系を連続的に撹拌又はそれ以外の方式で混合しながら実施される。
「治療上有効な量若しくは用量」又は「十分な/有効な量若しくは用量」は、それが投与される目的である効果が生じる用量を意味する。正確な用量は治療の目的に左右されるであろうし、既知の技法を用いて当業者によって解明可能であろう(たとえば、 Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1−3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Pickar, Dosage Calculations (1999); and Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照のこと)。
III.アミド分解活性の低減
1つの態様では、本開示は血漿由来の免疫グロブリンIgG組成物のアミド分解活性を低下させる(たとえば、FXI/FXIa及び/又はFXII/FXIIaの含量を減らす)ためのクロマトグラフィ法を提供する。同様に、本開示はまた、本明細書で提供される方法に従って調製される低レベルのアミド分解活性(たとえば、低レベルのFXI/FXIa及び/又はFXII/FXIIa)を含有する血漿由来の免疫グロブリンIgG組成物も提供する。有利なことに、本明細書で記載される方法は改善された安全性プロフィールを持つ血漿由来の免疫グロブリンIgG組成物を提供する。具体的には、これらの方法によって提供される組成物は、現在製造されている免疫グロブリンIgG組成物に比べて望ましくない血栓塞栓症事象を引き起こす可能性が低い。
A.分画法
本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物に存在するアミド分解活性の大半がカチオン交換樹脂から溶出されて、1段階溶出によって生成される溶出液の遅行部分に入る一方で、画分の免疫グロブリン含量の大半は前記溶出液の先行部分に溶出するという発見に部分的に基づく。従って、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収することによって、得られる免疫グロブリン製剤のアミド分解活性が有意に低減される。具体的には、本明細書で提供される方法に従って調製される免疫グロブリン製剤にて第XIa因子の含量、および従って第XIa因子の含量に関連するアミド分解活性が有意に低減されることが本明細書で示される。
従って一実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるアミド分解活性の量を低下させる方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとアミド分解活性(すなわち、アミド分解活性を有するタンパク質混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及びアミド分解活性の単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物に比べて低下した量のアミド分解活性を有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は高い濃度のアミド分解活性を含有する。特定の実施形態では、アミド分解活性は組成物に存在する第XIa因子の活性である。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の量を減らす方法を提供するが、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物に比べて低下した量のアミド分解活性を有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は高い濃度のアミド分解活性を含有する。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の一実施形態では、方法は、4.8〜5.6の間のpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物に比べて低下した量のアミド分解活性を有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は高い濃度のアミド分解活性を含有する。特定の実施形態では、第1の溶液のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、第1の溶液のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、第1の溶液のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、第1の溶液のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、第1の溶液のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の一実施形態では、方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)免疫グロブリンが樹脂から溶出されないような十分に低い導電率と5.1〜5.9の間のpHを有する緩衝液で免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとが結合した樹脂を洗浄するステップと、(c)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物に比べて低下した量のアミド分解活性を有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は高い濃度のアミド分解活性を含有する。特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.3である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.2である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.1である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5である。さらに他の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の一実施形態では、方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)7.8±0.4のpH及び少なくとも20mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物に比べて低下した量のアミド分解活性を有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は高い濃度のアミド分解活性を含有する。特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.3である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.2である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.1である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8である。さらに他の実施形態では、溶出緩衝液のpHは、7.0、7.1、7.2、7.36、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、又は8.5である。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
一般に、本明細書で提供される方法に使用される出発物質にはIgG免疫グロブリン及びアミド分解活性を含む任意の血漿画分又は血漿組成物が挙げられる。したがって、一実施形態では、血漿は当該技術で既知の精製スキームのいずれか1つに従って部分的に又は全体的に分画される。特定の実施形態では、血漿は分画されて、画分Iの沈殿物、画分IIの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B又はそれらの改変された沈殿物を生じ、それらは本明細書で提供される方法に出発物質として使用され得る。
好ましい実施形態では、血漿は1種以上のエタノール沈殿ステップによって分画される。エタノール沈殿ステップを用いて、所望の免疫グロブリンを溶液から沈殿させる一方で少なくとも1つの非免疫グロブリンタンパク質を上清に保持してもよく、又は少なくとも1つの非免疫グロブリンタンパク質を溶液から沈殿させる一方で所望の免疫グロブリンを上清に保持してもよい。この様式で免疫グロブリンを分画する方法は当該技術で周知である。例示的エタノール沈殿物には、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物が挙げられる。特に好ましい実施形態では、脱クリオ血漿に存在する免疫グロブリンが、画分I+II+IIIの沈殿ステップ、Aの沈殿ステップ、Bの沈殿ステップ及び画分IIの沈殿ステップを含む4ステップエタノール法によって濃縮される。
一実施形態では、本明細書で提供されるアミド分解活性を低減する方法のための出発物質はプールしたヒト血漿(たとえば、脱クリオ血漿)のエタノール分画によって調製される。特定の一実施形態では、エタノール分画には、以下で記載されるように、脱クリオ血漿の画分I+II+IIIの沈殿、懸濁した画分I+II+IIIの沈殿物の画分Aの沈殿、懸濁した画分A沈殿物の画分Bの沈殿、及び画分A上清の画分IIの沈殿が含まれる。別の特定の実施形態では、エタノール分画には、脱クリオ血漿の画分Iの沈殿、画分I上清の画分II+IIIの沈殿、及び懸濁した画分II+III沈殿物の画分IIの沈殿が含まれる。
本明細書で実証されるように、本明細書で提供される方法の有利な特徴は、大規模な製造手順に適用される際に保持される。IgG免疫グロブリン組成物の調製に関して、大規模な製造とは少なくとも100Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)出発物質を濃縮する方法を指す。一般に、大規模な免疫グロブリン製造方法はバッチ当たり100L〜20,000Lのプールした血漿を分画するであろう。ある特定の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも100Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも500Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも1,000Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも5,000Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。さらに別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも10,000Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。
一般に、上述の負荷条件、洗浄条件及び溶出条件の組み合わせすべてを含有する方法が企図される。さらに特定のクロマトグラフィ条件の組み合わせすべてを含有する方法が、以下で記載されるような溶出液の先行部分を定義および回収するためのすべての考えられるスキームと共に企図される。
1.カチオン交換溶出液の先行部分及び遅行部分
1つの態様では、本発明は、カチオン交換溶出液の先行部分を回収することによって、免疫グロブリン製剤に存在するアミド分解活性、特にFXIa混入物が寄与するアミド分解活性を低減する方法を提供する。有利なことに、カチオン交換クロマトグラフィステップの単一段階溶出によって形成される溶出液の先行部分が所望の免疫グロブリン含量の大半を含有する一方で、溶出液の遅行部分は望ましくないアミド分解活性の大半を含有することが、本明細書で示される。免疫グロブリンとアミド分解活性の溶出を完全に分離することはできないので、溶出液の先行部分と遅行部分の境界が定義されなければならない。この決定を行う際、以下の2つの主な考慮事項が考慮され得る:(i)溶出液の先行部分と遅行部分がどのように定義されるかに応じて、より多い又はより少ないアミド分解活性が先行部分にて回収される、すなわち、溶出液の先行部分が溶出液全体のより小さな部分として定義されればされるほど、アミド分解活性のより大きな部分を免疫グロブリン含量から分離することができ、逆もまた同様である;及び(ii)溶出液の先行部分と遅行部分がどのように定義されるかに応じて、より多い又はより少ない免疫グロブリンの回収収量が先行部分に存在する、すなわち、溶出液の先行部分が溶出液全体のより小さな部分として定義されればされるほど、より少ない免疫グロブリンの収量が達成され、逆もまた同様である。
従って、当業者はその個々のニーズに基づいて、カチオン交換溶出液の先行部分と遅行部分の間の境界をどこに引くかについて決定するであろう。たとえば、研究目的又は特殊化した治療目的で小規模な精製を準備する場合、当業者は最終的な免疫グロブリンの収率を犠牲にしながら、溶出液のさらに小さな先行部分を回収することによって方法の分離力を最大化し得る。対照的に、大規模な製造(例えば、500Lを超える脱クリオ血漿を処理する)を実施する場合、機会費用のために、組成物のアミド分解活性のより緩やかな低減を犠牲にして溶出液のより大きな先行部分を回収して、免疫グロブリンの回収収量を高めることになり得る。
種々の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分は、溶出液のpH、タンパク質収率(たとえば、樹脂に結合したタンパク質の比率(%)として表される)、溶出液のタンパク質の濃度(たとえば、光学密度によって決定されるような)、溶出液の体積等を含むがこれらに限定されない種々の特徴によって定義され得る。
a.溶出液のpH
本明細書で提供される実施例にて実証されるように、カチオン交換溶出ステップの開始は、カラム負荷及び洗浄ステップ(一般に5.0〜6.0)よりも高いpH(一般に>7.0)を溶出緩衝液が有するにもかかわらず、カラムから出てくる溶液のpHが5.0を下回るpHまで低下することによって特徴付けられる。pHのこの低下は低いアミド分解活性及び第XIa因子含量を有する免疫グロブリンIgG組成物の溶出と一致する(たとえば、それぞれ表4及び表11を参照)。溶出の後の時点では、カラムから出てくる溶液のpHは6.0〜8.0を上回って鋭く上昇する。pHにおけるこのシフトは溶出液のアミド分解活性及び第XIa因子含量の有意な上昇に一致する(たとえば、それぞれ表4及び表11を参照)。従って、単一の高pHの溶出緩衝液(一般に7.0より高い)の適用によって1段階溶出を行うが、溶出プロフィールは、IgG免疫グロブリンが先ずカラムから溶出された後にアミド分解活性(たとえば、第XI因子及び/又は第XIa因子)が付随する、2段階溶出に類似している。従って、ある特定の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分はカラム出口での溶出液のpHに基づいて定義される。
従って、1つの態様では、本発明は血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるアミド分解活性の量を低減させる方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリン及びアミド分解活性(すなわち、アミド分解活性を有するタンパク質混入物)を結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄し、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリンとアミド分解活性との単一段階溶出を行うステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は7.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0又はそれ未満を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は7.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0又はそれ未満を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
b.溶出液の吸光度
免疫グロブリン組成物の大規模製造に特に良好に適合したさらに別の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分はカチオン交換カラムから溶出される免疫グロブリンの濃度によって定義される。たとえば、大規模製造の間、免疫グロブリン組成物は、ピーク溶出物が高度に濃縮されるように十分に高いタンパク質負荷量(たとえば、樹脂1ml当たり80mg超のタンパク質)でカチオン交換樹脂に負荷され得る。これらの例では、溶出液の先行部分は、OD280が閾値よりも低下する時点の前に溶出する溶出液の画分として定義することができる。この方式では、製造実行間の軽微な変動に関わりなく、ほぼ同一収量の免疫グロブリンを調製物の次から次へと再現良く回収することができる。実施例9で実証するように、大規模製造法へのこの回収スキームの適用は、TGA及びアミド分解活性の含量が有意に低下したIgG免疫グロブリン組成物の高収率での回収をもたらす。
従って、1つの態様では、本発明は血漿由来の免疫グロブリン組成物にてアミド分解活性の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとアミド分解活性(すなわち、アミド分解活性を有するタンパク質混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及びアミド分解活性の単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は少なくとも0.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも2.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は、少なくとも0.1AU、0.2AU、0.3AU、0.4AU、0.5AU、0.6AU、0.7AU、0.8AU、0.9AU、1.0AU、1.1AU、1.2AU、1.3AU、1.4AU、1.5AU、1.6AU、1.7AU、1.8AU、1.9AU、2.0AU又はそれ以上のOD280を有する溶出液の部分から成る。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は少なくとも2.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも0.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は、少なくとも0.1AU、0.2AU、0.3AU、0.4AU、0.5AU、0.6AU、0.7AU、0.8AU、0.9AU、1.0AU、1.1AU、1.2AU、1.3AU、1.4AU、1.5AU、1.6AU、1.7AU、1.8AU、1.9AU、2.0AU又はそれ以上のOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
c.溶出液全体に対する比率(%)
免疫グロブリン組成物の大規模製造に特に良好に適合したさらに別の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分は溶出液の総タンパク質含量に対する(たとえば、総タンパク質の体積の)比率として定義される。先行部分で回収する溶出液の比率(%)を予め定めることによって、免疫グロブリンの回収収率を厳密に制御することができる。溶出液の先行部分と遅行部分を定義するこの方法は、最少段階での収率を必要とする製造法に、ならびに、免疫グロブリン収率の低下によるコストをアミド分解活性ならびに第XI因子及び/又は第XIa因子の含量が低下した組成物を製造する利益と比較検討することに基づいて決定を行う方法に、特に有用である。この方式では、製造実行間の軽微な変動に関わりなく、ほぼ同一収量の免疫グロブリンを調製物の次から次へと再現良く回収することができる。実施例8で実証するように、この回収スキームの適用は、TGA及びアミド分解活性の含量が有意に低下したIgG免疫グロブリン組成物の高収率の回収をもたらすことができる。
従って、1つの態様では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるアミド分解活性の量を低下させる方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとアミド分解活性(すなわち、アミド分解活性を有するタンパク質混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及びアミド分解活性の単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の80%以下から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜75%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の75%〜80%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、又は80%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の70%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜65%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の65%〜70%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の60%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜60%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜55%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の55%〜60%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%である。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の80%以下から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜75%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の75%〜80%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、又は80%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の70%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜65%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の65%〜70%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の60%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜60%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜55%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の55%〜60%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
d.溶出液全体の体積
免疫グロブリン組成物の大規模製造に特に良好に適合したさらに別の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分は、カチオン交換カラムのサイズに対する溶出液ピークの体積として(たとえば、規定数のカラム容積によって)定義される。先行部分で回収する溶出液の体積を予め定めることによって、免疫グロブリンの回収収率を厳密に制御することができ、再現可能である。溶出液の先行部分と遅行部分を定義するこの方法は、最少段階での収率を必要とする製造法に、ならびに、免疫グロブリン収率の低下によるコストをアミド分解活性ならびに第XI因子及び/又は第XIa因子の含量が低下した組成物を製造する利益と比較検討することに基づいて決定を行う方法に、特に有用である。この方式では、製造実行間の軽微な変動に関わりなく、ほぼ同一収量の免疫グロブリンを調製物の次から次へと再現良く回収することができる。実施例11〜13で実証するように、この回収スキームの適用は、TGA及びアミド分解活性の含量が有意に低下したIgG免疫グロブリン組成物の高収率の回収をもたらすことができる。
一実施形態では、先行部分の開始はベースラインの吸光度によって定義される。一部の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のピークの吸光度が第1の閾値と交差したら開始する。一実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも2.0AUに達したら開始する。特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも1.5AUに達したら開始する。別の特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも1.0AUに達したら開始する。別の特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも0.5AUに達したら開始する。さらに他の特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも0.1AU、0.2AU、0.3AU、0.4AU、0.5AU、0.6AU、0.7AU、0.8AU、0.9AU、1.0AU、1.1AU、1.2AU、1.3AU、1.4AU、1.5AU、1.6AU、1.7AU、1.8AU、1.9AU、2.0AU、またはそれ以上に達したら開始する。
一部の実施形態では、先行部分の回収をいったん開始したら、溶出液の遅行部分の回収(又は廃棄)に切り替わる前に、規定数のカラム容積にて回収される。一実施形態では、溶出液の5を超えないカラム容積(CV)を先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の4を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の3を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の2.7を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の2.5を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の2を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の1を超えないCVを先行部分にて回収する。さらに他の実施形態では、溶出液の0.5を超えないCV、0.6を超えないCV、0.7を超えないCV、0.8を超えないCV、0.9を超えないCV、1.0を超えないCV、1.1を超えないCV、1.2を超えないCV、1.3を超えないCV、1.4を超えないCV、1.5を超えないCV、1.6を超えないCV、1.7を超えないCV、1.8を超えないCV、1.9を超えないCV、2.0を超えないCV、2.1を超えないCV、2.2を超えないCV、2.3を超えないCV、2.4を超えないCV、2.5を超えないCV、2.6を超えないCV、2.7を超えないCV、2.8を超えないCV、2.9を超えないCV、3.0を超えないCV、3.1を超えないCV、3.2を超えないCV、3.3を超えないCV、3.4を超えないCV、3.5を超えないCV、3.6を超えないCV、3.7を超えないCV、3.8を超えないCV、3.9を超えないCV、4.0を超えないCV、4.1を超えないCV、4.2を超えないCV、4.3を超えないCV、4.4を超えないCV、4.5を超えないCV、4.6を超えないCV、4.7を超えないCV、4.8を超えないCV、4.9を超えないCV、5.0を超えないCV、5.1を超えないCV、5.2を超えないCV、5.3を超えないCV、5.4を超えないCV、5.5を超えないCV、5.6を超えないCV、5.7を超えないCV、5.8を超えないCV、5.9を超えないCV、6.0を超えないCV又はそれ以上を超えないカラム容積を先行部分で回収する。
従って、1つの態様では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるアミド分解活性の量を低下させる方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとアミド分解活性(すなわち、アミド分解活性を有するタンパク質混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及びアミド分解活性の単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の4を超えないカラム容積(CV)から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.5CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜4.0CVの間である。さらに別のある特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.5CVの間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の0.5CV、0.6CV、0.7CV、0.8CV、0.9CV、1.0CV、1.1CV、1.2CV、1.3CV、1.4CV、1.5CV、1.6CV、1.7CV、1.8CV、1.9CV、2.0CV、2.1CV、2.2CV、2.3CV、2.4CV、2.5CV、2.6CV、2.7CV、2.8CV、2.9CV、3.0CV、3.1CV、3.2CV、3.3CV、3.4CV、3.5CV、3.6CV、3.7CV、3.8CV、3.9CV、4.0CV、4.1CV、4.2CV、4.3CV、4.4CV、4.5CV、4.6CV、4.7CV、4.8CV、4.9CV、5.0CV、5.1CV、5.2CV、5.3CV、5.4CV、5.5CV、5.6CV、5.7CV、5.8CV、5.9CV、又は6.0CVである。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の4を超えないカラム容積(CV)から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.5CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜4.0CVの間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.5CVの間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の0.5CV、0.6CV、0.7CV、0.8CV、0.9CV、1.0CV、1.1CV、1.2CV、1.3CV、1.4CV、1.5CV、1.6CV、1.7CV、1.8CV、1.9CV、2.0CV、2.1CV、2.2CV、2.3CV、2.4CV、2.5CV、2.6CV、2.7CV、2.8CV、2.9CV、3.0CV、3.1CV、3.2CV、3.3CV、3.4CV、3.5CV、3.6CV、3.7CV、3.8CV、3.9CV、4.0CV、4.1CV、4.2CV、4.3CV、4.4CV、4.5CV、4.6CV、4.7CV、4.8CV、4.9CV、5.0CV、5.1CV、5.2CV、5.3CV、5.4CV、5.5CV、5.6CV、5.7CV、5.8CV、5.9CV、又は6.0CVである。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
IV.抗補体活性(ACA)の低減
1つの態様では、本開示は血漿由来の免疫グロブリンIgG組成物の抗補体活性(ACA)含量を低下させるクロマトグラフィ法を提供する。同様に、本開示は、本明細書で提供される方法に従って調製される低レベルの抗補体活性(ACA)を含有する血漿由来の免疫グロブリンIgG組成物も提供する。有利なことに、本明細書で提供される方法は改善された安全性プロフィールを持つ血漿由来の免疫グロブリンIgG組成物も提供する。特に、これらの方法によって提供される組成物は、現在製造されている免疫グロブリンIgG組成物に比べて抗補体活性に関連する有害反応を起こす可能性が低い(たとえば、Buchacher A. et al., Vox Sang. 2010 Apr; 98(3 Pt 1):e209−18を参照のこと。その内容はあらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み入れられる)。
A.分画法
本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物に存在する抗補体活性(ACA)の大半がカチオン交換樹脂から溶出されて、1段階溶出によって生成される溶出液の遅行部分に入る一方で、画分の免疫グロブリン含量の大半が前記溶出液の先行部分で溶出するという発見に部分的に基づく。従って、溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収することによって、得られる免疫グロブリン製剤の抗補体活性が有意に低下する。具体的には、本明細書で提供される方法に従って調製される免疫グロブリン組成物ではACA含量が有意に低下することが本明細書で示される。
従って、一実施形態では、本発明は血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと抗補体活性(すなわち、抗補体活性を有するタンパク質混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及びACAの単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物と比べて低下した量のACAを有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は高濃度のACA活性を含有する。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物と比べて免疫グロブリンIgGの濃度に対して低濃度のACAを有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は免疫グロブリンIgGの濃度に対して高濃度のACA活性を含有する。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。
特定の一実施形態では、方法は、(a)4.8〜5.6の間のpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物と比べて免疫グロブリンIgGの量に対して少ない量のACAを有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は免疫グロブリンIgGの量に対して多い量のACA活性を含有する。特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、第1の溶液条件のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の一実施形態では、方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)免疫グロブリンが樹脂から溶出されないように十分に低い導電率と5.1〜5.9の間のpHを有する緩衝液で免疫グロブリンとACAとが結合した樹脂を洗浄するステップと、(c)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物と比べて免疫グロブリンIgGの濃度に対して低濃度のACAを有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は免疫グロブリンIgGの濃度に対して高濃度のACA活性を含有する。特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.3である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.2である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.1である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5である。さらに他の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の一実施形態では、方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)7.8±0.4のpH及び少なくとも20mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は出発組成物と比べて免疫グロブリンIgGの濃度に対して低濃度のACAを有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、溶出液の遅行部分は免疫グロブリンIgGの濃度に対して高濃度のACA活性を含有する。特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.3である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.2である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.1である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8である。さらに他の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.0、7.1、7.2、7.36、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、又は8.5である。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
一般に、本明細書で提供される方法に使用される出発物質には、IgG免疫グロブリンと抗補体活性とを含む任意の血漿の画分又は組成物が挙げられる。したがって、一実施形態では、血漿は当該技術で既知の精製スキームのいずれか1つに従って部分的に又は全体的に分画される。特定の実施形態では、血漿は分画されて画分Iの沈殿物、画分IIの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物を生じ、それらは本明細書で提供される方法に出発物質として使用され得る。
好ましい実施形態では、血漿は1種以上のエタノール沈殿ステップによって分画される。エタノール沈殿ステップを用いて、所望の免疫グロブリンを溶液から沈殿させる一方で少なくとも1つの非免疫グロブリンタンパク質を上清に保持してもよく、又は少なくとも1つの非免疫グロブリンタンパク質を溶液から沈殿させる一方で所望の免疫グロブリンを上清に保持してもよい。この様式で免疫グロブリンを分画する方法は当該技術で周知である。例示的エタノール沈殿物には、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物が挙げられる。特に好ましい実施形態では、脱クリオ血漿に存在する免疫グロブリンが、画分I+II+IIIの沈殿ステップ、Aの沈殿ステップ、Bの沈殿ステップ及び画分IIの沈殿ステップを含む4ステップエタノール法によって濃縮される。
本明細書で実証されるように、本明細書で提供される方法の有利な特徴は大規模な製造手順に適用される際に保持される。IgG免疫グロブリン組成物の調製に関して、大規模な製造とは少なくとも100Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)出発物質を濃縮する方法を指す。一般に、大規模な免疫グロブリン製造方法はバッチ当たり100L〜20,000Lのプールした血漿を分画するであろう。ある特定の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも100Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも500Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも1,000Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも5,000Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。さらに別の実施形態では、大規模なIgG免疫グロブリン製造方法は少なくとも10,000Lのプールした血漿(たとえば、脱クリオ血漿)の分画を指す。
一実施形態では、本明細書で提供される抗補体活性(ACA)を低下させる方法に使用される出発物質は、プールしたヒト血漿(たとえば、脱クリオ血漿)のエタノール分画によって調製される。特定の一実施形態では、エタノール分画には、以下で記載されるように、脱クリオ血漿の画分I+II+IIIの沈殿、懸濁した画分I+II+IIIの沈殿物の画分Aの沈殿、懸濁した画分A沈殿物の画分Bの沈殿、及び画分A上清の画分IIの沈殿が含まれる。別のある特定の実施形態では、エタノール分画には、脱クリオ血漿の画分Iの沈殿、画分I上清の画分II+IIIの沈殿、及び懸濁した画分II+III沈殿物の画分IIの沈殿が含まれる。
一般に、上述の負荷条件、洗浄条件及び溶出条件の組み合わせすべてを含有する方法が企図される。さらに特定のクロマトグラフィ条件の組み合わせすべてを含有する方法が、以下で記載されるような溶出液の先行部分を定義および回収するすべての考えられるスキームと共に企図される。
1.カチオン交換溶出液の先行部分及び遅行部分
1つの態様では、本発明は、カチオン交換溶出液の先行部分を回収することによって、免疫グロブリン製剤に存在する抗補体活性(ACA)を低減する方法を提供する。有利なことに、カチオン交換クロマトグラフィステップの単一段階溶出によって形成される溶出液の先行部分が所望の免疫グロブリン含量の大半を含有する一方で、溶出液の遅行部分は望ましくないACAの大半を含有することが、本明細書で示される。免疫グロブリンとACAの溶出を完全に分離することはできないので、溶出液の先行部分と遅行部分の境界が確定されなければならない。この決定を行う際、以下の2つの主な考慮事項が考慮され得る:(i)溶出液の先行部分と遅行部分がどのように定義されるかに応じて、より多い又はより少ないACAが先行部分にて回収される、すなわち、溶出液の先行部分が溶出液全体のより小さな部分として定義されればされるほど、ACAのより大きな部分を免疫グロブリン含量から分離することができ、逆もまた同様である;及び(ii)溶出液の先行部分と遅行部分がどのように定義されるかに応じて、より多い又はより少ない免疫グロブリンの回収収量が先行部分に存在する、すなわち、溶出液の先行部分が溶出液全体のより小さな部分として定義されればされるほど、より少ない免疫グロブリンの収量が達成され、逆もまた同様である。
従って、当業者はその個々のニーズに基づいて、カチオン交換溶出液の先行部分と遅行部分の間の境界をどこに引くかについて決定するであろう。たとえば、研究目的又は特殊化した治療目的で小規模な精製を準備する場合、当業者は最終的な免疫グロブリンの収率を犠牲にしながら、溶出液のさらに小さな先行部分を回収することによって方法の分離力を最大化し得る。対照的に、大規模な製造(例えば、500Lを超える脱クリオ血漿を処理する)を実施する場合、機会費用のために、組成物のACAのより緩やかな低減を犠牲にして溶出液のより大きな先行部分を回収して、免疫グロブリンの回収収量を高めることになり得る。
種々の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分は、溶出液のpH、タンパク質収率(たとえば、樹脂に結合したタンパク質の比率として表される)、溶出液のタンパク質の濃度(たとえば、光学密度によって決定されるような)、溶出液の体積等を含むがこれらに限定されない種々の特徴によって定義され得る。
a.溶出液のpH
本明細書で提供される実施例にて実証されるように、カチオン交換溶出ステップの開始は、カラム負荷及び洗浄ステップ(一般に5.0〜6.0)よりも高いpH(一般に7.0超)を溶出緩衝液が有するにもかかわらず、カラムから出てくる溶液のpHが5.0を下回るpHまで低下することによって特徴付けられる。pHのこの低下は低いACAを有する免疫グロブリンIgG組成物の溶出と一致する(たとえば、それぞれ表3、表11、及び表15を参照)。溶出の後の時点では、カラムから出てくる溶液のpHは6.0〜8.0を上回って鋭く上昇する。pHにおけるこのシフトは溶出液のACA含量の有意な上昇に一致する(たとえば、それぞれ表3、表11及び表15を参照)。従って、単一の高pHの溶出緩衝液(一般に7.0より高い)の適用によって1段階溶出を行うが、溶出プロフィールは、IgG免疫グロブリンが先ずカラムから溶出された後に抗補体活性が付随する、2段階溶出に類似している。従って、ある特定の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分はカラム出口での溶出液のpHに基づいて定義される。
従って、1つの態様では、本発明は血漿由来の免疫グロブリン組成物における抗補体活性(ACA)の量を低減させる方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリン及び抗補体活性(すなわち、抗補体活性を有する混入物)を結合させるステップと、(b)任意で、免疫グロブリンIgG及びACAが結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄し、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリンとACAとの単一段階溶出を行うステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は7.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0又はそれ未満を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
ある特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンとACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は7.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は6.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.5を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は5.0を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、またはそれ未満を超えないpHを有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、第1の溶液条件のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
b.溶出液の吸光度
免疫グロブリン組成物の大規模製造に特に良好に適合したさらに別の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分はカチオン交換カラムから溶出される免疫グロブリンの濃度によって定義される。たとえば、大規模製造の間、免疫グロブリン組成物は、ピーク溶出物が高度に濃縮されるように十分に高いタンパク質負荷量(たとえば、樹脂1ml当たり80mg超のタンパク質)でカチオン交換樹脂に負荷され得る。これらの例では、溶出液の先行部分は、OD280が閾値よりも低下する時点の前に溶出する溶出液の画分として定義することができる。この方式では、製造実行間の軽微な変動に関わりなく、ほぼ同一収量の免疫グロブリンを調製物の次から次へと再現良く回収することができる。実施例9で実証されるように、大規模製造法へのこの回収スキームの適用は、抗補体活性(ACA)含量が有意に低下したIgG免疫グロブリン組成物の高収率での回収をもたらす。
従って、1つの態様では、本発明は血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと抗補体活性(すなわち、抗補体活性を有する混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及びACAの単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は少なくとも0.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも2.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は、少なくとも0.1AU、0.2AU、0.3AU、0.4AU、0.5AU、0.6AU、0.7AU、0.8AU、0.9AU、1.0AU、1.1AU、1.2AU、1.3AU、1.4AU、1.5AU、1.6AU、1.7AU、1.8AU、1.9AU、2.0AU又はそれ以上のOD280を有する溶出液の部分から成る。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は少なくとも0.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも1.5AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は少なくとも2.0AUのOD280を有する溶出液の部分から成る。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は、少なくとも0.1AU、0.2AU、0.3AU、0.4AU、0.5AU、0.6AU、0.7AU、0.8AU、0.9AU、1.0AU、1.1AU、1.2AU、1.3AU、1.4AU、1.5AU、1.6AU、1.7AU、1.8AU、1.9AU、2.0AU又はそれ以上のOD280を有する溶出液の部分から成る。特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、第1の溶液条件のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
c.溶出液全体に対する比率(%)
免疫グロブリン組成物の大規模製造に特に良好に適合したさらに別の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分は溶出液の総タンパク質含量に対する(たとえば、総タンパク質の体積の)比率(%)として定義される。先行部分で回収する溶出液の比率(%)を予め定めることによって、免疫グロブリンの回収収率を厳密に制御することができる。溶出液の先行部分と遅行部分を定義するこの方法は、最少段階での収率を必要とする製造法に、ならびに、免疫グロブリン収率の低下によるコストを抗補体活性(ACA)の含量が低下した組成物を製造する利益と比較検討することに基づいて決定を行う方法に、特に有用である。この方式では、製造実行間の軽微な変動に関わりなく、ほぼ同一収量の免疫グロブリンを調製物の次から次へと再現良く回収することができる。実施例8で実証されるように、この回収スキームの適用は、抗補体活性の含量が有意に低下したIgG免疫グロブリン組成物の高収率の回収をもたらすことができる。
従って、1つの態様では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物における抗補体活性(ACA)の量を低下させる方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと抗補体活性(すなわち、抗補体活性を有する混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及ACAの単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の80%以下から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜75%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の75%〜80%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、又は80%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の70%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜65%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の65%〜70%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の60%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜60%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜55%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の55%〜60%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%である。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量の抗補体活性(ACA)とを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の80%以下から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜75%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の75%〜80%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、又は80%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の70%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜65%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の65%〜70%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%である。別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の60%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜60%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜55%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の55%〜60%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%である。特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、第1の溶液条件のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
d.溶出液全体の体積
免疫グロブリン組成物の大規模製造に特に良好に適合したさらに別の実施形態では、溶出液の先行部分と遅行部分は、カチオン交換カラムのサイズに対する溶出液ピークの体積として(たとえば、規定数のカラム容積によって)定義される。先行部分で回収する溶出液の体積を予め定めることによって、免疫グロブリンの回収収率を厳密に制御することができ、再現可能である。溶出液の先行部分と遅行部分を定義するこの方法は、最少段階での収率を必要とする製造法に、及び免疫グロブリン収率の低下によるコストを抗補体活性(ACA)の含量が低下した組成物を製造する利益と比較検討することに基づいて決定を行う方法に、特に有用である。この方式では、製造実行間の軽微な変動に関わりなく、ほぼ同一収量の免疫グロブリンを調製物の次から次へと再現良く回収することができる。実施例11〜13で実証するように、この回収スキームの適用は、抗補体活性の含量が低下したIgG免疫グロブリン組成物の高収率での回収をもたらすことができる。
一実施形態では、先行部分の開始はベースラインの吸光度によって定義される。一部の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のピークの吸光度が第1の閾値と交差したら開始する。一実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも0.5AUに達したら開始する。特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも1.0AUに達したら開始する。別の特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも1.5AUに達したら開始する。別の特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも2.0AUに達したら開始する。さらに他の特定の実施形態では、先行部分の回収は溶出液のOD280が少なくとも0.1AU、0.2AU、0.3AU、0.4AU、0.5AU、0.6AU、0.7AU、0.8AU、0.9AU、1.0AU、1.1AU、1.2AU、1.3AU、1.4AU、1.5AU、1.6AU、1.7AU、1.8AU、1.9AU、2.0AU又はそれ以上に達したら開始する。
一部の実施形態では、先行部分の回収をいったん開始したら、溶出液の遅行部分の回収(又は廃棄)前に、規定数のカラム容積にて回収される。一実施形態では、溶出液の5を超えないカラム容積(CV)を先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の4を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の3を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の2.7を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の2.5を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の2を超えないCVを先行部分にて回収する。別の実施形態では、溶出液の1を超えないCVを先行部分にて回収する。さらに他の実施形態では、溶出液の0.5を超えないCV、0.6を超えないCV、0.7を超えないCV、0.8を超えないCV、0.9を超えないCV、1.0を超えないCV、1.1を超えないCV、1.2を超えないCV、1.3を超えないCV、1.4を超えないCV、1.5を超えないCV、1.6を超えないCV、1.7を超えないCV、1.8を超えないCV、1.9を超えないCV、2.0を超えないCV、2.1を超えないCV、2.2を超えないCV、2.3を超えないCV、2.4を超えないCV、2.5を超えないCV、2.6を超えないCV、2.7を超えないCV、2.8を超えないCV、2.9を超えないCV、3.0を超えないCV、3.1を超えないCV、3.2を超えないCV、3.3を超えないCV、3.4を超えないCV、3.5を超えないCV、3.6を超えないCV、3.7を超えないCV、3.8を超えないCV、3.9を超えないCV、4.0を超えないCV、4.1を超えないCV、4.2を超えないCV、4.3を超えないCV、4.4を超えないCV、4.5を超えないCV、4.6を超えないCV、4.7を超えないCV、4.8を超えないCV、4.9を超えないCV、5.0を超えないCV、5.1を超えないCV、5.2を超えないCV、5.3を超えないCV、5.4を超えないCV、5.5を超えないCV、5.6を超えないCV、5.7を超えないCV、5.8を超えないCV、5.9を超えないCV、6.0を超えないCV又はそれ以上のカラム容積を先行部分で回収する。
従って、1つの態様では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物における抗補体活性の量を低下させる方法を提供し、該方法は、(a)カチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと抗補体活性(すなわち、抗補体活性を有する質混入物)とを結合させるステップと、(b)任意で、タンパク質が結合したカチオン交換樹脂を洗浄緩衝液で洗浄して、緩く会合した混入物を取り除くステップと、(c)IgG免疫グロブリン及びACAの単一段階溶出を実施するステップと、(d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の4を超えないカラム容積(CV)から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.5CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜4.0CVの間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.5CVの間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の0.5CV、0.6CV、0.7CV、0.8CV、0.9CV、1.0CV、1.1CV、1.2CV、1.3CV、1.4CV、1.5CV、1.6CV、1.7CV、1.8CV、1.9CV、2.0CV、2.1CV、2.2CV、2.3CV、2.4CV、2.5CV、2.6CV、2.7CV、2.8CV、2.9CV、3.0CV、3.1CV、3.2CV、3.3CV、3.4CV、3.5CV、3.6CV、3.7CV、3.8CV、3.9CV、4.0CV、4.1CV、4.2CV、4.3CV、4.4CV、4.5CV、4.6CV、4.7CV、4.8CV、4.9CV、5.0CV、5.1CV、5.2CV、5.3CV、5.4CV、5.5CV、5.6CV、5.7CV、5.8CV、5.9CV、又は6.0CVである。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
特定の実施形態では、本発明は、血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)の量を低減する方法を提供し、該方法は、(a)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンと第1の量のACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、免疫グロブリンと第1の量のACAの少なくとも一部とをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(b)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出して、溶出液を形成するステップと、(c)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含み、ここで、溶出液の先行部分は溶出液全体の4を超えないカラム容積(CV)から成る。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.0CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜3.5CVの間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.0CV〜4.0CVの間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の2.5CV〜3.5CVの間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の0.5CV、0.6CV、0.7CV、0.8CV、0.9CV、1.0CV、1.1CV、1.2CV、1.3CV、1.4CV、1.5CV、1.6CV、1.7CV、1.8CV、1.9CV、2.0CV、2.1CV、2.2CV、2.3CV、2.4CV、2.5CV、2.6CV、2.7CV、2.8CV、2.9CV、3.0CV、3.1CV、3.2CV、3.3CV、3.4CV、3.5CV、3.6CV、3.7CV、3.8CV、3.9CV、4.0CV、4.1CV、4.2CV、4.3CV、4.4CV、4.5CV、4.6CV、4.7CV、4.8CV、4.9CV、5.0CV、5.1CV、5.2CV、5.3CV、5.4CV、5.5CV、5.6CV、5.7CV、5.8CV、5.9CV、又は6.0CVである。特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、第1の溶液条件のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
V.脱クリオ血漿の調製
濃縮したIgG組成物の調製に使用される出発物質は一般に、回収血漿(すなわち、生体外で全血から分離された血漿)又は原料血漿(すなわち、プラズマフェレーシスを介して採取された血漿)のいずれかから成る。精製工程は通常、安全性と品質の問題についてすでにアッセイ済みの予め凍結されたプール血漿を融解することで開始する。融解は通常、6℃を超えない温度、好ましくは−1℃〜6℃の間で行われる。低温での凍結血漿の完全な融解の後、冷所(たとえば、6℃以下、好ましくは2.5±3.5℃)で遠心分離を行い、液体上清から固体のクリオ沈殿物を分離する。或いは、分離ステップは遠心分離ではなく濾過によって実施することができる。次いで、液体上清(新鮮な融解血漿から遠心分離によって低温不溶性タンパク質を取り除いた後の「脱クリオ血漿」とも呼ばれる)を次のステップで処理する。第8因子阻害剤バイパス活性(FEIBA)、第IX因子複合体、第VII因子濃縮物又はアンチトロンビンIII複合体の単離のためにこの時点で種々の追加のステップが利用され得る。たとえば、免疫グロブリン含有溶液をさらに濃縮するのに先立って、1種以上の血液因子を脱クリオ血漿から吸着させてもよい。
VI.脱クリオ血漿の分画
IgG免疫グロブリン組成物を調製するために、一般に脱クリオ血漿を分画して、存在する他のタンパク質及び不純物から所望の免疫グロブリンを分離する。アルコール(たとえば、エタノール)分画、高分子(たとえば、PEG)沈殿、脂肪酸及びエステル(たとえば、カプリレート)沈殿、クロマトグラフィ等を含む血漿の分画のための多数の方法が当該技術で既知である。これらの分画方法の例には、非限定的に、Cohn分画(J. Am. Chem. Soc., 1946, 68(3): 459−475; J. Am. Chem. Soc. 72:465−474 (1950))、Oncley分画(J. Am. Chem. Soc., 1949, 71(2): 541−550)、Deutsch精製(J. Biol. Chem. 164:109−118)、Hoppe精製(Munch Med Wochenschr 1967 (34): 1749−1752)、Falksveden精製(スウェーデン特許第348942号)、Falksveden及びLundblad精製(Methods of Plasma Protein Fractionation、1980)、Lebing精製(Vox Sang 2003 (84):193−201)、Tanaka精製(Braz J Med Biol Res 2000 (33)37−30))、Teschner精製(Vox Sang, 2007 (92):42−55)、Nitschmann分画(Helv. Chim. Acta 37:866−873)、Kistler/Nitschmann分画(Vox Sang. 7:414−424 (1962))、Barundern精製(Vox Sang. 7:157−74 (1962))、Koblet精製(Vox Sang. 13:93−102 (1967))、米国特許第5,122,373号又は同第5,177,194号にて開示された精製手順が挙げられ、その開示はあらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
一般に、本明細書で提供される方法は、上で概要を述べた精製スキームのいずれにも適応する。したがって、一実施形態では、上で言及される精製スキームのいずれかに従って脱クリオ血漿を部分的に又は全体的に分画する。特定の実施形態では、上述の教示で開示される1種以上の精製ステップに従って脱クリオ血漿を分画して、分画中間組成物を生じる。さらに特定の実施形態では、脱クリオ血漿を分画して画分Iの沈殿物、画分IIの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物を生じる。
好ましい実施形態では、1種以上のエタノール沈殿ステップによって脱クリオ血漿が分画される。エタノール沈殿ステップを用いて、所望の免疫グロブリンを溶液から沈殿させる一方で少なくとも1つの非免疫グロブリンタンパク質を上清に保持してもよく、又は少なくとも1つの非免疫グロブリンタンパク質を溶液から沈殿させる一方で所望の免疫グロブリンを上清に保持してもよい。この様式で免疫グロブリンを分画する方法は当該技術で周知である。例示的エタノール沈殿物には、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B及びそれらの改変された沈殿物が挙げられる。特に好ましい実施形態では、脱クリオ血漿に存在する免疫グロブリンが、以下に記載されるように、画分I+II+IIIの沈殿ステップ、Aの沈殿ステップ、Bの沈殿ステップ及び画分IIの沈殿ステップを含む4ステップエタノール法によって濃縮される。
VII.例示的分画スキーム
当業者は、多数の異なる出発物質(たとえば、異なる血漿画分)を用いてアミド分解活性(たとえば、第XI因子及び/又は第XIa因子の含量)及び/又は抗補体活性(ACA)を低減するために本明細書で提供される方法を実施し得ることを十分に理解するであろうが、例示的分画スキームを以下に提供する。例示的分画スキームでは4つのエタノール沈殿反応を用いて画分II沈殿が調製され、これが再懸濁された後、本明細書で提供される出発物質として使用され得る。得られる濃縮されたIgG免疫グロブリン組成物は、たとえば、アニオン交換クロマトグラフィ、限外/透析濾過、ウイルス不活化及び/又は除去ステップ、および当該技術で周知である他の濃縮ステップのような技法を用いる下流の処理によってさらに濃縮され得る。
従って、一実施形態では、本発明はIgG免疫グロブリン組成物を製造する方法を提供し、該方法は(a)脱クリオ血漿画分を提供するステップと、(b)17%〜23%(v/v)の間の最終濃度、6.5〜7.3の間のpH及び−8℃〜−2℃の間の温度にて脱クリオ血漿画分とエタノールを混合することによる第1の沈殿反応にて脱クリオ血漿画分から免疫グロブリンを沈殿させ、それによって第1の沈殿物と第1の上清を形成するステップと、(c)第1の沈殿物に存在する免疫グロブリンを再懸濁し、それによって第1の懸濁液を形成するステップと、(d)17%〜23%(v/v)の間の最終濃度、6.8〜7.6の間のpH及び−8℃〜−2℃の間の温度にて脱クリオ血漿画分とエタノールを混合することによる第2の沈殿反応にて第1の懸濁液から免疫グロブリンを沈殿させ、それによって第2の沈殿物と第2の上清を形成するステップと、(e)第2の沈殿物に存在する免疫グロブリンを再懸濁し、それによって第2の懸濁液を形成するステップと、(f)14%〜20%(v/v)の間の最終濃度、5.0〜5.8の間のpH及び−8℃〜−2℃の間の温度にて脱クリオ血漿画分とエタノールを混合することによる第3の沈殿反応にて第2の懸濁液から免疫グロブリンを沈殿させ、それによって第3の沈殿物と第3の上清を形成するステップと、(g)22%〜28%(v/v)の間の最終濃度、6.7〜7.5の間のpH及び−8℃〜−2℃の間の温度にて脱クリオ血漿画分とエタノールを混合することによる第4の沈殿反応にて第3の上清から免疫グロブリンを沈殿させ、それによって第4の沈殿物と第4の上清を形成するステップと、(h)第4の沈殿物を再懸濁し、第3の懸濁液を形成するステップと、(i)6.0を超えないpH及び11mS/cmを超えない導電率を含む第1の溶液条件のもとでクロマトグラフィカラム中に配置されたカチオン交換樹脂に第3の懸濁液を接触させて、IgG免疫グロブリンと(i)FXI及び/又はFXIaの一部ならびに(ii)第1の量の抗補体活性(ACA)の少なくとも1つとをカチオン交換樹脂に結合させるステップと、(j)少なくとも7.5のpH及び少なくとも15mS/cmの導電率を含む溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させることによってカチオン交換樹脂からIgG免疫グロブリンを溶出して、先行部分と遅行部分を含む溶出液を形成するステップと、(k)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップとを含む。特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、第1の溶液条件のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、第1の溶液条件のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも20mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも22mS/cmの導電率を含む。さらに別の特定の実施形態では、溶出緩衝液は少なくとも25mS/cmの導電率を含む。好ましい実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。特定の実施形態では、弱いカチオン交換樹脂はカルボキシメチル(CM)樹脂である。
A.上流分画スキームI
第1の例示的上流精製スキームでは、免疫グロブリンIgGを含有する血漿を以下で記載するようなアルコール分画(たとえば、エタノール分画)に供する。一実施形態では、この第1の上流分画スキームは、画分I+II+IIIの沈殿ステップ、画分Aの沈殿ステップ及び画分Bの沈殿ステップの後に画分IIの沈殿ステップを含み、これにより、アミド分解活性(たとえば、第XI/XIa因子)及び/又は抗補体活性(ACA)の低減のための本明細書で提供されるカチオン交換クロマトグラフィ法のための出発物質を最終的に提供する。
以下で記載される画分I+II+III、画分A、画分B及び画分IIの沈殿ステップのそれぞれについての沈殿条件(たとえば、エタノール濃度、pH、温度、分離法)の組み合わせすべてを含有する方法が企図される。さらに、以下で記載されるように、溶出液の先行部分を定義および回収するためのすべての考えられるスキームと共に特定の沈殿条件のすべての組み合わせを含有する方法が企図される。
1.画分I+II+IIIの沈殿
一実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿は、17%〜23%(v/v)の間の最終濃度にて6.5〜7.3の間のpHで脱クリオ血漿にエタノールを添加することによって形成される。次いで撹拌しながら混合物を−8℃〜−2℃でインキュベートする。得られた画分I+II+IIIの沈殿物を混合物の遠心分離又は濾過によって画分I+II+IIIの上清から分離することができ、それは一般に冷所で実施される。免疫グロブリン含量の大半は画分I+II+IIIの沈殿物に存在し、それを再懸濁してさらに濃縮することができる。
特定の一実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップにおけるエタノールの最終濃度は20±3%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は20±2%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は20±1%(v/v)である。さらに別の実施形態では、エタノールの最終濃度は20%(v/v)である。さらに他の実施形態では、エタノールの最終濃度は17%、18%、19%、20%、21%、22%、又は23%(v/v)である。
特定の一実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップのpHは6.9±0.4である。別の実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップのpHは6.9±0.3である。別の実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップのpHは6.9±0.2である。別の実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップのpHは6.9±0.1である。さらに別の実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップのpHは6.9である。さらに他の実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップのpHは6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、又は7.3である。
特定の一実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップの温度は−5±3℃である。別の実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップの温度は−5±2℃である。実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップの温度は−5±1℃である。さらに実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップの温度は−5℃である。他の実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿ステップの温度は−8℃、−7℃、−6℃、−5℃、−4℃、−3℃又は−2℃である。
特定の実施形態では、酢酸ナトリウム三水和物、氷酢酸、及び注射用水を含有する再懸濁緩衝液(pH4.0)及び変性エチルアルコール(処方SDA−3A)の添加によって、脱クリオ血漿は6.9±0.2のpHに調整され、アルコールの濃度は20%(v/v)と算出される。緩衝液は十分に混合しながら必要とされる量のアルコールと共に添加される。アルコールは脱クリオ血漿に添加する前に−15℃以下の温度に冷却される。懸濁槽を−5℃±2℃に冷却しながら緩衝液及びアルコールを血漿に添加する。添加が完了した後、溶液のpHを確認し、必要に応じてpH4.0の緩衝液又は重炭酸ナトリウム溶液で6.9±0.2に調整する。次いで得られた画分I+II+IIIの懸濁液を遠心分離して上清から沈殿物を分離する。
2.画分Aの沈殿
IgGの含量及び純度をさらに濃縮するために、一実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿物を再懸濁し、第2の沈殿ステップ(画分Aの沈殿)を実施する。画分Aの沈殿は、17%〜23%(v/v)の間の最終濃度にて6.8〜7.6の間のpHで画分I+II+IIIの懸濁液にエタノールを添加することによって実施される。次いで混合物を−8℃〜−2℃の間で撹拌しながらインキュベートする。得られた画分Aの沈殿物を、混合物の遠心分離又は濾過によって画分Aの上清から分離することができ、それは一般に冷所で実施される。免疫グロブリン含量の大半は画分Aの沈殿物に存在し、それを再懸濁し、さらに濃縮することができる。
特定の一実施形態では、画分Aの沈殿ステップにおけるエタノールの最終濃度は20±3%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は20±2%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は20±1%(v/v)である。さらに別の実施形態では、エタノールの最終濃度は20%(v/v)である。さらに他の実施形態では、エタノールの最終濃度は17%、18%、19%、20%、21%、22%、又は23%(v/v)である。
特定の一実施形態では、画分Aの沈殿ステップのpHは7.2±0.4である。別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップのpHは7.2±0.3である。別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップのpHは7.2±0.2である。別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップのpHは7.2±0.1である。さらに別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップのpHは7.2である。さらに他の実施形態では、画分Aの沈殿ステップのpHは6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、又は7.6である。
特定の一実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5±3℃である。別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5±2℃である。別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5±1℃である。さらに別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5℃である。さらに他の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−8℃、−7℃、−6℃、−5℃、−4℃、−3℃又は−2℃である。
特定の一実施形態では、画分I+II+IIIの沈殿物は、酢酸ナトリウム三水和物、氷酢酸、及び注射用水を含有する冷却された再懸濁緩衝液(pH4.0)に懸濁され、混合される。懸濁液をWFIで希釈して1.0±0.3%(w/v)の計算上のタンパク質濃度を達成する。懸濁液が均質になるまで撹拌を継続する。緩衝液(pH4.0)又は0.25Mのリン酸二ナトリウムで溶液を7.2±0.2のpHに調整し、20%(v/v)の計算上のアルコール濃度にする。溶液に添加する前にアルコールを−15℃以下の温度に冷却する。槽を−5±2℃に冷却しながら、冷却アルコールを添加する。添加が完了した後、懸濁液のpHを確認し、必要に応じて7.2±0.2に調整する。次いで、形成された沈殿物(画分Aの沈殿物と呼ぶ)を濾過して上清から沈殿物を分離する。
3.画分Bの沈殿
IgGの含量及び純度をさらに濃縮するために、一実施形態では、画分Aの沈殿物を再懸濁し、第3の沈殿ステップ(画分Bの沈殿)を実施する。画分Bの沈殿は、14%〜20%(v/v)の間の最終濃度にて5.0〜5.8の間のpHで画分Aの懸濁液にエタノールを添加することによって実施される。次いで撹拌しながら、混合物を−8℃〜−2℃の間でインキュベートする。混合物の遠心分離又は濾過によって、得られた画分Bの沈殿物を画分Bの上清から分離することができ、それは一般に冷所で実施される。免疫グロブリン含量の大半は画分Bの上清に存在し、それを回収し、さらに濃縮することができる。
特定の一実施形態では、画分Bの沈殿ステップにおけるエタノールの最終濃度は17±3%(v/v)である。別の実施形態では、該エタノールの最終濃度は17±2%(v/v)である。別の実施形態では、該エタノールの最終濃度は17±1%(v/v)である。さらに別の実施形態では、該エタノールの最終濃度は17%(v/v)である。さらに他の実施形態では、該エタノールの最終濃度は14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%(v/v)である。
特定の一実施形態では、画分Bの沈殿ステップのpHは5.4±0.4である。別の実施形態では、画分Bの沈殿ステップのpHは5.4±0.3である。別の実施形態では、画分Bの沈殿ステップのpHは5.4±0.2である。別の実施形態では、画分Bの沈殿ステップのpHは5.4±0.1である。さらに別の実施形態では、画分Bの沈殿ステップのpHは5.4である。さらに他の実施形態では、画分Bの沈殿ステップのpHは5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、又は5.8である。
特定の一実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5℃±3℃である。別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5℃±2℃である。別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5℃±1℃である。さらに別の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−5℃である。さらに他の実施形態では、画分Aの沈殿ステップの温度は−8℃、−7℃、−6℃、−5℃、−4℃、−3℃又は−2℃である。
特定の実施形態では、画分Aの沈殿物は冷却した注射用水(WFI)に懸濁され、少なくとも1時間撹拌される。沈殿物が十分に懸濁されたら、酢酸ナトリウムを含有する緩衝液を加える。懸濁液が均質になるまで撹拌を継続する。pH4.0の緩衝液(109g/Lの酢酸ナトリウム三水和物、240g/Lの氷酢酸及びWFI)又は0.25Mのリン酸二ナトリウムでpHを5.4±0.2に調整する。1.2±0.3%(w/v)のタンパク質濃度を達成するように計算上の冷却WFIで、懸濁液を希釈する。懸濁液が均質になるまで撹拌を継続する。事前に−15℃に冷却したアルコールを添加することによって、アルコール含量を計算上17%(v/v)である濃度にする。槽を−5±2℃に冷却しながら、冷却アルコールを添加する。必要に応じてpH4.0の緩衝液又は0.25Mのリン酸二ナトリウムでpHを5.4±0.2に再調整する。デプスフィルターを用いた濾過によって、形成された沈殿物すなわち画分Bの沈殿物を分離する。画分Bの濾液(すなわち、上清)をさらなる濃縮のために回収する。
B.上流分画スキームII
第2の例示的上流精製スキームでは、以下に記載されるように、免疫グロブリンIgGを含有する血漿をアルコール分画(たとえば、エタノール分画)に供する。一実施形態では、この第1の上流分画スキームは、画分Iの沈殿ステップ及び画分II+IIIの沈殿ステップの後に画分IIの沈殿ステップを含み、これにより、アミド分解活性(たとえば、第XI/XIa因子)及び/又は抗補体活性(ACA)の低減のための本明細書で提供されるカチオン交換クロマトグラフィ法のための出発物質を最終的に提供する。
以下で記載される画分I、画分II+III及び画分IIの沈殿ステップのそれぞれについての沈殿条件(たとえば、エタノール濃度、pH、温度、分離法)の組み合わせすべてを含有する方法が企図される。さらに、以下で記載されるように溶出液の先行部分を定義および回収するすべての考えられるスキームと共に、特定の沈殿条件の組み合わせすべてを含む方法が企図される。
1.画分Iの沈殿
一実施形態では、画分Iの沈殿は、6%〜10%(v/v)の最終濃度にて6.7〜7.3のpHで脱クリオ血漿にエタノールを添加することによって形成される。次いで、撹拌しながら−4℃〜2℃で混合物をインキュベートする。混合物の遠心分離又は濾過によって、得られた画分Iの沈殿物を画分Iの上清から分離することができ、それは一般に冷所で実施される。免疫グロブリン含量の大半は画分Iの上清に存在し、それを回収してさらに濃縮することができる。
特定の一実施形態では、画分Iの沈殿ステップにおけるエタノールの最終濃度は8±2%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は8±1%(v/v)である。さらに別の実施形態では、エタノールの最終濃度は8%(v/v)である。さらに他の実施形態では、エタノールの最終濃度は6%、7%、8%、9%、又は10%(v/v)である。
特定の一実施形態では、画分Iの沈殿ステップのpHは7.0±0.4である。別の実施形態では、画分Iの沈殿ステップのpHは7.0±0.3である。別の実施形態では、画分Iの沈殿ステップのpHは7.0±0.2である。別の実施形態では、画分Iの沈殿ステップのpHは7.0±0.1である。さらに別の実施形態では、画分Iの沈殿ステップのpHは7.0である。さらに他の実施形態では、画分Iの沈殿ステップのpHは6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、又は7.3である。
特定の一実施形態では、画分Iの沈殿ステップの温度は−1±3℃である。別の実施形態では、画分Iの沈殿ステップの温度は−1±2℃である。別の実施形態では、画分Iの沈殿ステップの温度は−1±1℃である。さらに別の実施形態では、画分Iの沈殿ステップの温度は−1℃である。さらに他の実施形態では、画分Iの沈殿ステップの温度は−4℃、−3℃、−2℃、−1℃、0℃、1℃又は2℃である。
特定の実施形態では、脱クリオ血漿は7.0±0.1のpHに調整され、アルコール濃度は計算上8%(v/v)である。pH及びアルコール濃度を調整するのに使用される液体は十分に撹拌しながら添加される。沈殿反応の温度を下げ、全体を通して−1±1℃で保持する。次いで、得られた画分Iの懸濁液を遠心分離し、又は濾過して上清から沈殿物を分離する。
2.画分II+IIIの沈殿
IgGの含量及び純度をさらに濃縮するために、一実施形態では、画分Iの上清を第2の沈殿ステップ(画分II+IIIの沈殿)の材料として使用する。画分II+IIIの沈殿は、22%〜28%(v/v)の最終濃度にて6.7〜7.3のpHで画分Iの上清にエタノールを添加することによって実施される。次いで撹拌しながら、混合物を−10℃〜−4℃の間でインキュベートする。得られた画分II+IIIの沈殿物を、混合物の遠心分離又は濾過によって画分II+IIIの上清から分離することができ、それは一般に冷所で実施される。免疫グロブリン含量の大半は画分II+IIIの沈殿物に存在し、それを再懸濁してさらに濃縮することができる。
特定の一実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップにおけるエタノールの最終濃度は25±3%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は25±2%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は25±1%(v/v)である。さらに別の実施形態では、エタノールの最終濃度は25%(v/v)である。さらに他の実施形態では、エタノールの最終濃度は22%、23%、24%、25%、26%、27%、又は28%(v/v)である。
特定の一実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップのpHは7.0±0.4である。別の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップのpHは7.0±0.3である。別の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップのpHは7.0±0.2である。別の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップのpHは7.0±0.1である。さらに別の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップのpHは7.0である。さらに他の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップのpHは6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、又は7.4である。
特定の一実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップの温度は−7±3℃である。別の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップの温度は−7±2℃である。別の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップの温度は−7±1℃である。さらに別の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップの温度は−7℃である。さらに他の実施形態では、画分II+IIIの沈殿ステップの温度は−10℃、−9℃、−8℃、−7℃、−6℃、−5℃又は−4℃である。
特定の実施形態では、画分Iの上清は7.0±0.1のpHに調整され、アルコール濃度は計算上25%(v/v)である。pH及びアルコール濃度を調整するのに使用される液体は十分に撹拌しながら添加される。沈殿反応の温度を下げ、全体を通して−6±2℃で保持する。次いで、得られた画分II+IIIの懸濁液を遠心分離し、又は濾過して上清から沈殿物を分離する。
C.画分IIの沈殿
IgGの含量及び純度をさらに濃縮するために、一実施形態では、第4(上流分画スキームIの後)又は第3(上流分画スキームIIの後)のアルコール沈殿ステップ(画分IIの沈殿)を実施する。画分IIの沈殿は、画分Bの濾液又は画分II+IIIの沈殿物懸濁液のpHを6.7〜7.5の間に調整し、エタノールを22%〜28%(v/v)の間の最終濃度まで添加することによって実施される。次いで、混合物を撹拌しながら−13℃〜−2℃の間でインキュベートする。混合物の遠心分離又は濾過によって、得られた画分IIの沈殿物を画分Bの上清から分離することができ、それは一般に冷所で実施される。免疫グロブリン含量の大半は画分IIの沈殿物に存在し、それを再懸濁してさらに濃縮することができる。
特定の一実施形態では、画分IIの沈殿ステップにおけるエタノールの最終濃度は25±3%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は25±2%(v/v)である。別の実施形態では、エタノールの最終濃度は25±1%(v/v)である。さらに別の実施形態では、エタノールの最終濃度は25%(v/v)である。さらに他の実施形態では、エタノールの最終濃度は22%、23%、24%、25%、26%、27%、又は28%(v/v)である。
特定の一実施形態では、画分IIの沈殿ステップのpHは7.1±0.4である。別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップのpHは7.1±0.3である。別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップのpHは7.1±0.2である。別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップのpHは7.1±0.1である。さらに別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップのpHは7.1である。さらに他の実施形態では、画分IIの沈殿ステップのpHは6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、又は7.5である。
特定の一実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−5±3℃である。別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−5±2℃である。別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−5±1℃である。さらに別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−5℃である。別の特定の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−10±3℃である。別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−10±2℃である。別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−10±1℃である。さらに別の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−10℃である。さらに他の実施形態では、画分IIの沈殿ステップの温度は−13、−12、−11、−10、−9、−8℃、−7℃、−6℃、−5℃、−4℃、−3℃又は−2℃である。
特定の実施形態では、画分Bの濾液のpHは1.0Mの重炭酸ナトリウム溶液を用いて7.1±0.2に調整される。混合しながら追加のアルコールを加えて25%(v/v)の計算上の濃度にする。pHを確認し、必要に応じて1Mの重炭酸ナトリウム又はpH4.0の緩衝液を用いて7.3±0.2に再調整する。アルコール添加の完了後、−5±2℃の温度にて少なくとも2時間、懸濁液を撹拌する。撹拌が完了した後、必要に応じてpHを7.3±0.2に再調整する。懸濁液を遠心分離し、沈殿物、すなわち画分IIの沈殿物を分離する。
D.カチオン交換クロマトグラフィ
免疫グロブリン組成物をさらに濃縮するために、一実施形態では、画分IIの沈殿物を水又はイオン強度の低い緩衝液に再懸濁し、カチオン交換クロマトグラフィに供してもよい。一実施形態では、6.0を下回るpHで画分IIの沈殿物を水又はイオン強度の低い緩衝液に再懸濁する。通常、再懸濁した画分IIの沈殿物のpHは5.2±0.2であり、懸濁液の導電率は低く、通常1mS/cmを超えない。次に、画分IIの懸濁液を濾過して非可溶性物質を取り除いた後、6.0を下回るpHで平衡化したカチオン交換樹脂に負荷する。免疫グロブリンをカチオン交換樹脂(たとえば、カチオン交換カラム)に負荷した後、6.0を下回るpHを有する洗浄緩衝液で樹脂を洗浄し得る。免疫グロブリンを溶出するには、次いで、少なくとも15mS/cm(たとえば、少なくとも150mMのNaCl又は同等のその塩の塩濃度を伴う)の導電率及び7.0を上回るpHを有する溶出緩衝液にカチオン交換樹脂を接触させる。特定の実施形態では、カチオン交換クロマトグラフィを実施するのに先立って、懸濁した画分IIの沈殿物を溶媒・界面活性剤(S/D)処理に供する。本明細書で提示される例示的分画スキームの再懸濁した画分IIの沈殿物を、本明細書で提供されるカチオン交換法の出発物質として使用するが、IgG免疫グロブリンとアミド分解活性(たとえば、FXI及び/又はFXIa)及び/又は抗補体活性(ACA)とを含有する任意の血漿由来の免疫グロブリン組成物(すなわち、画分)を本明細書で提供される方法にて使用してもよいことが、十分に理解されるであろう。
高レベルのアミド分解活性(たとえば、FXI/FXIa)及び/又は抗補体活性(ACA)はカチオン交換樹脂からIgGと同時に溶出されることが分かっている。有意な量のこれら不純物を所望の免疫グロブリンから分離できないことによって、高いアミド分解活性及び/又は高い抗補体活性を伴った最終的なIgG組成物が生じる。免疫グロブリン医薬製剤における高いアミド分解活性に起因している血栓塞栓事象及び高い抗補体活性に起因している有害な反応の高いリスクを考えると、多数のIgG製品に存在するアミド分解活性(たとえば、FXI及び/又はFXIa)及び/又は抗補体活性(ACA)の原因となる不純物の除去が、当技術分野で必要とされ続けている。有利なことに、7.0を超えるpHを有する緩衝液を用いてカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出すると、アミド分解活性及び抗補体活性(ACA)は溶出液の遅行部分にのみ溶出することが見出された。特に、溶出液の遅行部分におけるアミド分解活性及びACAの溶出は、6.0を下回るpHから7.0を上回るpHへの溶出液のpHのシフトに一致している。したがって、溶出液の先行部分は高濃度の免疫グロブリンと低濃度のアミド分解活性及びACAとを含有する一方で、溶出液の遅行部分は、より低濃度の免疫グロブリンと、より高いアミド分解活性及びACAとを有する。従って、本明細書で提供される方法の好ましい実施形態では、カチオン交換溶出液の先行部分が溶出液の遅行部分とは別に回収される。
特定の実施形態では、カチオン交換樹脂は弱いカチオン交換樹脂である。例示的弱いカチオン交換樹脂には、カルボン酸リガンドを伴うもの、たとえば、カルボキシメチル(CM)樹脂が挙げられる。好ましい実施形態では、本明細書で提供される方法にて使用されるカチオン交換樹脂は、カルボキシメチル樹脂、たとえば、CM−セファロースである。
一実施形態では、画分IIの沈殿物は4.8〜5.6の間のpHにて冷水又はイオン強度の低い緩衝液に再懸濁される。特定の実施形態では、再懸濁に使用される水又は緩衝液のpHは5.2±0.3である。別の特定の実施形態では、再懸濁に使用される水又は緩衝液のpHは5.2±0.2である。別の特定の実施形態では、再懸濁に使用される水又は緩衝液のpHは5.2±0.1である。さらに別の特定の実施形態では、再懸濁に使用される水又は緩衝液のpHは5.2である。さらに他の実施形態では、再懸濁に使用される水又は緩衝液のpHは4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。
一実施形態では、カチオン交換樹脂は4.6〜5.6の間のpHに事前に平衡化される。特定の実施形態では、樹脂は4.6〜5.5の間のpHに事前に平衡化される。別の特定の実施形態では、樹脂はpH5.0±0.4に事前に平衡化される。別の特定の実施形態では、樹脂はpH5.0±0.3に事前に平衡化される。別の特定の実施形態では、樹脂はpH5.0±0.2に事前に平衡化される。別の特定の実施形態では、樹脂はpH5.0±0.1に事前に平衡化される。別の特定の実施形態では、樹脂はpH5.0に事前に平衡化される。さらに他の特定の実施形態では、樹脂はpH4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0に事前に平衡化される。
一実施形態では、清浄化した画分IIの懸濁液をカチオン交換樹脂に負荷した後、免疫グロブリンが樹脂から溶出されないような十分に低い導電率と5.1〜5.9の間のpHを有する緩衝液で樹脂を洗浄する。特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.3である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.2である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5±0.1である。別の特定の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.5である。さらに他の実施形態では、洗浄緩衝液のpHは5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、又は6.0である。
一実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.5より高い。別の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.4〜8.2の間である。特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.3である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.2である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8±0.1である。別の特定の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.8である。さらに他の実施形態では、溶出緩衝液のpHは7.0、7.1、7.2、7.36、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、又は8.5である。
特定の一実施形態では、溶出緩衝液の導電率は少なくとも10mS/cmである。好ましい実施形態では、溶出緩衝液の導電率は少なくとも15mS/cmである。別の好ましい実施形態では、溶出緩衝液の導電率は少なくとも20mS/cmである。特定の実施形態では、溶出緩衝液の導電率は10mS/cm〜40mS/cmの間である。別の実施形態では、溶出緩衝液の導電率は15mS/cm〜30mS/cmの間である。別の実施形態では、溶出緩衝液の導電率は20mS/cm〜30mS/cmの間である。別の実施形態では、溶出緩衝液の導電率は25mS/cm〜30mS/cmの間である。さらに他の実施形態では、溶出緩衝液の導電率は約5mS/cm、又は約6mS/cm、7mS/cm、8mS/cm、9mS/cm、10mS/cm、11mS/cm、12mS/cm、13mS/cm、14mS/cm、15mS/cm、16mS/cm、17mS/cm、18mS/cm、19mS/cm、20mS/cm、21mS/cm、22mS/cm、23mS/cm、24mS/cm、25mS/cm、26mS/cm、27mS/cm、28mS/cm、29mS/cm、30mS/cm、31mS/cm、32mS/cm、33mS/cm、34mS/cm、35mS/cm、36mS/cm、37mS/cm、38mS/cm、39mS/cm、40mS/cm、またはそれ以上である。
一実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の80%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜80%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%〜75%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の75%〜80%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、又は80%である。
別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の70%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜70%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%〜65%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の65%〜70%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%である。
別の実施形態では、溶出液の先行部分(すなわち、回収された又はプールされた関心対象の画分)は溶出液全体の60%以下である。特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜60%の間である。別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%〜55%の間である。さらに別の特定の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の55%〜60%の間である。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液全体の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%である。
別の実施形態では、溶出液の先行部分及び遅行部分は溶液のpHによって定義される。一実施形態では、先行部分は7.0を超えないpHを有する溶出液である。別の実施形態では、先行部分は6.5を超えないpHを有する溶出液である。別の実施形態では、先行部分は6.0を超えないpHを有する溶出液である。別の実施形態では、先行部分は5.5を超えないpHを有する溶出液である。別の実施形態では、先行部分は5.0を超えないpHを有する溶出液である。さらに他の実施形態では、先行部分は7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0又はそれ未満を超えないpHを有する溶出液である。
一実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液のOD280が2.0AUよりも低下する時点の前にカチオン交換樹脂から溶出する溶出液の画分として定義される。別の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液のOD280が1.5AUよりも低下する時点の前にカチオン交換樹脂から溶出する溶出液の画分として定義される。別の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液のOD280が1.0AUよりも低下する時点の前にカチオン交換樹脂から溶出する溶出液の画分として定義される。別の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液のOD280が0.5AUよりも低下する時点の前にカチオン交換樹脂から溶出する溶出液の画分として定義される。さらに他の実施形態では、溶出液の先行部分は溶出液のOD280が2.0AU、1.9AU、1.8AU、1.7AU、1.6AU、1.5AU、1.4AU、1.3AU、1.2AU、1.1AU、1.0AU、0.9AU、0.8AU、0.7AU、0.6AU、0.5AU、0.4AU、0.3AU、0.2AU、0.1AU、またはそれ未満よりも低下する時点の前にカチオン交換樹脂から溶出する溶出液の画分として定義される。ある特定の実施形態では、溶出液の先行部分は、溶出液のOD280が閾値を、たとえば0.1AU、0.2AU、0.3AU、0.4AU、0.5AU、0.6AU、0.7AU、0.8AU、0.9AU、1.0AU、1.1AU、1.2AU、1.3AU、1.4AU、1.5AU、1.6AU、1.7AU、1.8AU、1.9AU、2.0AUまたはそれ以上よりも上昇した後でカチオン交換樹脂から溶出する溶出液の部分としてさらに定義される。
E.限外濾過/透析濾過(UF/DF)
IgG組成物は限外濾過/透析濾過によってさらに濃縮され得る。一実施形態では、限外濾過によってIgG組成物を2%〜10%(w/v)の間のタンパク質濃度に濃縮し得る。ある特定の実施形態では、限外濾過は、開口チャンネルスクリーンを持つカセットにて行われ、限外濾過膜は、100kDaを超えない、又は90、80、70、60、50、40、30kDaもしくはそれ未満を超えない公称分子量カットオフ(NMWCO)を有する。好ましい実施形態では、限外濾過膜は50kDa以下のNMWCOを有する。
その内容があらゆる目的で全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許出願公開番号2010/0330071に記載されているように、開口チャンネル膜を用い、かつ特別に設計した後洗浄及び製剤化を製造工程の終了間際に行って、収率及び保存安定性に影響を及ぼすことなく、最先端のIVIG(たとえば、GAMMAGARD(登録商標)LIQUID)に比べてタンパク質濃度が約2倍高い(200mg/ml)IgG組成物が得られ得る。市販の限外濾過膜のほとんどは、大多数のタンパク質の損失なしで200mg/mlのIgGの濃度に到達することはできない。これらの膜は早期に閉塞するので、適切な後洗浄を行うのは難しい。従って、開口チャンネル膜の構成が使用される必要がある。開口チャンネル膜を用いる場合でさえ、有意にタンパク質を損失することなく(2%未満の損失)必要とされる濃度を得るために、特別に設計された後洗浄手順を用いなければならない。一層さらに驚くべきことは、200mg/mlの高いタンパク質濃度が低pHの保存ステップのウイルス不活化能に影響を及ぼさないという事実である。
限外濾過ステップが完了したら、静脈内投与又は筋肉内投与に好適な溶液に対する透析濾過を介して濃縮物をさらに濃縮してもよい。ある特定の実施形態では、透析濾過溶液は安定化剤及び/又は緩衝剤を含み得る。好ましい実施形態では、安定化剤及び緩衝剤は、適切な濃度、たとえば、0.20M〜0.30M又は0.22M〜0.28M又は0.24M〜0.26M、又は2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、若しくは3.0の濃度でのグリシンである。好ましい実施形態では、透析濾過緩衝液は0.25Mのグリシンを含有する。
通常、最小交換体積は、元々の濃縮体積の少なくとも約3倍又は元々の濃縮体積の少なくとも4、5、6、7、8、9倍、若しくはそれ以上である。IgG溶液は、3%〜25%の間(w/v)、若しくは3%〜7%の間、若しくは6%〜18%(w/v)の間、若しくは7%〜16%(w/v)の間、若しくは8%〜14%(w/v)の間、若しくは9%〜12%の間の最終タンパク質濃度に、又は、5%、若しくは6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%若しくはそれ以上の最終濃度に濃縮され得る。一実施形態では、濃縮された溶液に後洗浄画分を加えることなく少なくとも23%の最終タンパク質濃度が達成される。別の実施形態では、濃縮された溶液に後洗浄画分を加えることなく少なくとも24%の最終タンパク質濃度が達成される。さらに別の実施形態では、濃縮された溶液に後洗浄画分を加えることなく少なくとも25%の最終タンパク質濃度が達成される。通常、濃縮工程の終了時、溶液のpHは約4.6〜5.1であろう。
例示的実施形態では、1Mの塩酸を用いてIgG組成物のpHを5.2±0.2に調整し、限外濾過(100kDa以下の公称分子量カットオフ)によって5±1g%タンパク質に濃縮する。次いで透析濾過溶液(0.02MのNaCl、0.05%(w/v)のPEG)によって濃縮物を透析濾過する。透析濾過物を5±2℃に冷却する。2.0Mのトリスを用いて溶液のトリス緩衝液濃度を0.025Mに調整し、pHを7.8±0.2に再調整する。
F.アニオン交換クロマトグラフィ
一実施形態では、次いで平衡化したANXセファロース(登録商標)4ファストフローカラムにタンパク質を負荷し、血漿由来の混入物を取り除く。負荷が完了した後、平衡化緩衝液(25mMのトリス、20mMのNaCl、pH7.8±0.2)でカラムを洗浄する。負荷ステップ及び洗浄ステップからのカラムフロースルー(IgG溶液)をプールする。
G.ウイルスの不活化及び/又は除去
ある特定の実施形態では、濃縮された免疫グロブリン組成物の調製のために本明細書で提供される方法にはさらに、少なくとも1種の、好ましくは少なくとも2種の、最も好ましくは少なくとも3種のウイルス不活化又は除去ステップが含まれる。本明細書で提供される方法と共に採用され得るウイルス不活化又は除去ステップの非限定例には、溶媒・界面活性剤処理(双方ともその全体があらゆる目的で参照によって本明細書に組み入れられるHorowitz et al., Blood Coagul Fibrinolysis 1994 (5 Suppl 3):S21−S28 and Kreil et al., Transfusion 2003 (43):1023−1028)、ナノ濾過(双方ともその全体があらゆる目的で参照によって本明細書に組み入れられるHamamoto et al., Vox Sang 1989 (56)230−236 and Yuasa et al., J Gen Virol. 1991 (72 (pt 8)):2021−2024)及び高温での低pHインキュベート(Kempf et al., Transfusion 1991 (31)423−427 and Louie et al., Biologicals 1994 (22):13−19)が挙げられる。
ウイルスの不活化及び除去ステップは、製造工程の間に生成される任意の中間体免疫グロブリン分画に対して実施され得る。たとえば、一実施形態では、ウイルスの不活化又は除去ステップは、画分I+II+IIIの懸濁液、画分Aの懸濁液、画分Bの濾液、画分IIの懸濁液、カチオン交換溶出液、アニオン交換溶出液等に対して実施され得る。
一実施形態では、ウイルスの不活化又は除去ステップは画分IIの懸濁液に対して実施される。好ましい実施形態では、画分IIの懸濁液を溶媒・界面活性剤(S/D)処理に供する。
1.溶媒・界面活性剤(S/D)処理
血漿由来の生成物に存在し得る種々のウイルス性混入物を不活化するために、1種以上の免疫グロブリン製造中間体を溶媒・界面活性剤(S/D)処理に供し得る。好ましい実施形態では、画分IIの沈殿物を再懸濁し、S/D処理する。血漿由来の画分の界面活性剤処理の方法は当該技術で周知である(概説についてはPelletier JP et al., Best Pract Res Clin Haematol. 2006;19(1):205−42を参照)。一般に、本明細書で提供される方法と併せて標準のS/D処理が使用され得る。たとえば、S/D処理の例示的プロトコールが以下で提供される。
手短には、TritonX−100、Tween−20及びリン酸トリ(n−ブチル)(TNBP)を、それぞれ約1.0%、0.3%及び0.3%の最終濃度にて、清浄化したPptG濾液に加える。次いで、約18℃〜約25℃の間の温度にて少なくとも約1時間、混合物を撹拌する。
一実施形態では、S/D試薬(たとえば、TritonX−100、Tween−20及びTNBP)を流体添加(fluent addition)ではなく噴霧によって添加する。他の実施形態では、界面活性剤試薬は免疫グロブリン中間体溶液に固体として加えてもよく、それを混合してS/D成分の迅速な分配を確実にする。ある特定の実施形態では、流体添加におけるような局所的一極集中が起きないように、濾液の非局在化表面領域にわたって固体をまき散らすことによって固体試薬を添加することが好ましい。別の実施形態では、SD試薬が濃縮された形態又は希釈された形態ですでに存在する槽に免疫グロブリン含有の溶液をポンプで入れることによって処理の改善を実現する。
2.ナノ濾過
本明細書で提供される免疫グロブリン組成物のウイルス負荷量をさらに低減するために、適切なナノ濾過装置を用いて免疫グロブリン中間体画分をナノ濾過してもよい。ある特定の実施形態では、ナノ濾過装置は15nm〜200nmの間又は約15nm〜約200nmの間の平均孔サイズを有するであろう。この用途に好適なナノフィルターの例には、非限定的に、DVD、DV50、DV20(Pall)、Viresolve NFP、Viresolve NFR(Millipore)、Planova15N、20N、35N及び75N(Planova)が挙げられる。特定の実施形態では、ナノフィルターは、15nm〜72nmの間若しくは約15nm〜約72nmの間、又は19nm〜35nmの間若しくは約19nm〜約35nmの間、又は、15nm、19nm、35nm、若しくは72nm、若しくは約15nm、約19nm、約35nm、若しくは約72nmの平均孔サイズを有し得る。好ましい実施形態では、ナノフィルターはAsahi PLANOVA35N又はその同等物のように35nm又は約35nmの平均孔サイズを有するであろう。
任意で、限外濾過/透析濾過を行ってナノ濾液をさらに濃縮し得る。一実施形態では、開口チャンネル膜を用い、かつ特別に設計した後洗浄及び製剤化を製造工程の終了間際に行って、高い濃度の免疫グロブリン組成物を生じる。
ナノ濾過に続いて、限外濾過によって及び/又は透析濾過によって調整した緩衝組成物によって濾液をさらに濃縮し得る。一実施形態では、限外濾過によってナノ濾液を0.5%〜10%又は約0.5%〜約10%(w/v)のタンパク質濃度に濃縮し得る。ある特定の実施形態では、限外濾過は開口チャンネルスクリーンを伴ったカセットにて実施され、限外濾過膜は、150kDa若しくは約150kDaを下回るか又は140、130、120、100、90、80、70、60、50、40、30kDa若しくは約140、約130、約120、約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30kDa若しくはそれ未満を下回る公称分子量カットオフ(NMWCO)を有する。一実施形態では、限外濾過膜は50kDaを超えないNMWCOを有する。
3.低pHでのインキュベート
特定の実施形態では、免疫グロブリン含有溶液を処理して組成物のウイルス負荷量を減らすか又は不活化させてもよい。一実施形態では、このことは、組成物のpHを低pH、たとえば、6.0又は約6.0を下回るpHに調整し、組成物を放出する前に少なくとも約1週間インキュベートすることによって達成される。好ましい実施形態では、バルク溶液のpHはインキュベート前に5.5又は約5.5を下回るように調整される。さらに好ましい実施形態では、溶液のpHはインキュベート前に5.0又は約5.0を下回るように下げられる。ある特定の実施形態では、溶液のpHはインキュベート前に6.0若しくは約6.0を下回るように又は5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0又は約5.9、約5.8、約5.7、約5.6、約5.5、約5.4、約5.3、約5.2、約5.1、約5.0、約4.9、約4.8、約4.7、約4.6、約4.5、約4.4、約4.3、約4.2、約4.1、約4.0、若しくはそれ未満を下回るように下げられる。
特定の実施形態では、次いで溶液を少なくとも1週間、又は少なくとも2、3、4週間以上、又は少なくとも1、2、3ヵ月以上インキュベートする。好ましい実施形態では、組成物は、20℃を上回る又は25℃を上回る又は30℃を上回る温度でインキュベートされる。ある特定の実施形態では、組成物は、20℃、又は21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、またはそれ以上の温度でインキュベートされる。
4.凍結乾燥及び熱処理
さらに他の実施形態では、本発明は当該技術で既知の方法に従って凍結乾燥された凍結乾燥免疫グロブリン組成物を提供する。たとえば、S/D処理又はナノ濾過のような他のウイルス不活化又は除去ステップに予め供されていてもよいこれらの凍結乾燥組成物のウイルス活性を、凍結乾燥組成物の熱処理によってさらに低減させることができる。血液因子におけるウイルス負荷の不活化のための熱処理は当該技術で周知である(たとえば、Piszkiewicz et al., Thromb Res. 1987 Jul 15;47(2):235−41; Piszkiewicz et al., Curr Stud Hematol Blood Transfus. 1989;(56):44−54; Epstein and Fricke, Arch Pathol Lab Med. 1990 Mar; 114(3):335−40を参照)。
H.製剤化
透析濾過ステップが完了したら、溶液のタンパク質濃度は透析濾過緩衝液によって、約3%〜約20%(w/v)の間、若しくは3%〜7%の間、若しくは約6%〜約18%(w/v)の間、若しくは約7%〜約16%(w/v)の間、若しくは約8%〜約14%(w/v)の間、若しくは約9%〜約12%の間の最終濃度に、又は、約5%、若しくは6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、若しくはそれ以上の最終濃度に調整される。好ましい実施形態では、溶液のタンパク質の最終濃度は約9%〜約11%の間、さらに好ましくは約10%である。
製剤化されたバルク溶液を、約0.22ミクロンを超えない、たとえば、約0.2ミクロンの絶対孔サイズを持つ膜フィルターを介して濾過することによって、さらに無菌化する。次いで、適当な封止のための最終容器に溶液を無菌的に分配し、試料を試験に利用する。
一実施形態では、IgG組成物を、透析濾過緩衝液によって約10.2±0.2%(w/v)の濃度にさらに調整する。必要に応じてpHを約4.4〜約4.9に調整する。最終的に溶液を無菌濾過し、30℃又は約30℃にて3週間インキュベートする。
例示的実施形態では、得られたIgG溶液をNaCl(最大0.15M)、グリシン(最大0.3M)、グルコース(最大0.11M)及びヒトアルブミン(最大3mg/ml)で安定化する。1Mの塩酸を用いてpHを7.0±0.2に調整する。次いで限外濾過によって溶液を所望の濃度に濃縮し、1Mの塩酸又は1Mの水酸化ナトリウムを用いてpHを7.15±0.1に再調整する。0.2ミクロンの孔サイズのフィルター又は同等物を用いてバルク溶液を無菌濾過する。
無菌IgG溶液を容器に無菌的に分配し、凍結乾燥用に栓をし、凍結乾燥し、無菌条件下で封をし、蓋をする。
VIII.実施例
幾つかある利点の中で特に、実施例1〜7は、(1)カチオン交換樹脂(たとえば、CMセファロース)からの免疫グロブリンの段階溶出がタンパク質の二峰性分布を生じ、ここで、アミド分解活性(PL−1)はIgGより遅く溶出され、これによって、IgG収量の最小限の損失でアミド分解活性を取り除くことが可能になることと;(2)カチオン交換樹脂(たとえば、CMセファロース)からのアミド分解活性(PL−1)の溶出が、本明細書で提供される方法に係る溶出の際のCMカラムにおけるpHシフトに相関しかつおそらくそれによって引き起こされることと;(3)カチオン交換樹脂(たとえば、CMセファロース)に負荷されるタンパク質の量が、樹脂1ml当たり少なくとも60〜120mgのタンパク質の範囲にわたって、アミド分解活性(PL−1)の除去に影響しないことと;(4)おそらくカラム上部でのpH平衡がすでに乱れているために、カラム出口でのpHのモニタリング及び上昇が現れた時の溶出の停止が、アミド分解活性(PL−1)の部分的な除去をもたらすことと;(5)3CV未満の最初の溶出プールを回収することによって、IgG収率の最小限の損失(10%以下)でアミド分解活性を有意に低減することができること、したがってCMセファロース溶出ステップの体積をモニターすることが、本明細書で提供される方法に従って調製される免疫グロブリン組成物のアミド分解活性を有意に低減するための簡単な方法であることと;(6)CMセファロース溶出ステップの「第1のピーク」を回収することによって、より低いIgG凝集体濃度、より低いPKA活性、より低いPL−1活性、より高いIgG単量体濃度及びより望ましいIgGサブクラスの分布を有する組成物を達成することができることを実証する。
さらに、実施例8及び9は少なくとも、(1)溶出液の最後の25%部分を分離することによってCMクロマトグラフィにてFXIa及び高いTGAの原因となるタンパク質を分離することができることと;(2)上述の利点が大規模製造工程にて再現できることと;(3)ODをモニターすることによって大規模製造工程にて作製したカチオン交換(すなわち、CMセファロース)溶出液をプールすることができ、たとえば、溶出液のODが2.0を下回るまで第1のプールにて溶出液を回収してもよく、これにより、高いFXIa及びTGA値の原因となる望ましくないタンパク質の有意な分離を提供することを実証する。
実施例1
本実施例は、改変キストラー/ニッチェマンのアルコール分画に従って調製された画分IIの免疫グロブリン組成物に由来する高いTGA、FXIa及び短縮されたNAPTTの値の原因となる望ましくないタンパク質の分布を記載する。これらの不純物はカチオン交換クロマトグラフィステップ(たとえば、CMセファロースファストフロークロマトグラフィ)の溶出中に分離することができる。
本実施例は、カチオン交換クロマトグラフィの溶出の際のアミド分解性含量(たとえば、FXI及び/又はFXIa)の有意な低減を実証する。この方法によって有意に少ないTGA及びFXIa活性を含有する免疫グロブリンの最終製品を生じる。この低減は、主なIgG画分(溶出液の先行部分で見出される)からアミド分解活性(溶出液の遅行部分に存在する)を効果的に分離するCM溶出液ステップの特定の画分によって達成される。本実施例は、カチオン交換溶出液を先行部分と遅行部分に分けることによってIgG含量の大部分から望ましくない微量のタンパク質を分離することを示す。さらに、本実施例はこの工程が大規模製造に有効であり、経済的に実現可能であることを実証した。
手短には、画分IIの沈殿物を以下のように調製した。プールしたヒト血清のクリオ調製の後、pH6.9での20%アルコールによる沈殿によって画分I+II+IIIの沈殿物を形成した。沈殿物I+II+IIIの再懸濁の後、pH7.2にて最終濃度20%までアルコールを加え、沈殿物Aを形成する。遠心分離によって沈殿物Aの分離を行った。懸濁した沈殿物Aの17%アルコールによる沈殿によって画分I+III(懸濁液Bの沈殿物とも言う)を形成する。濾過又は遠心分離によって沈殿物を回収する。次いで懸濁液Bの濾液を処理して画分IIを形成し、これは部分的に精製されたガンマグロブリン(たとえば、IgG)血漿タンパク質画分を含有する。
次いで画分IIの清浄化した懸濁液を溶媒・界面活性剤(SD)の混合物で処理し、CMセファロースffカラムに負荷する。残りのSD試薬を洗い流した後、樹脂に結合したIgG画分を溶出する。その後、免疫グロブリン溶液を限外濾過し/透析濾過し、次いでアニオン交換器に負荷して微量の不純物を取り除く。さらなる濃縮ステップの後、最終的な製剤化に続いて凍結乾燥を行う。
次いで画分IIの沈殿物を4℃でpH5.2±0.2の冷水に溶解した。CWSSによる清浄化の後、SD処理のために溶液を調整した。タンパク質濃度を2%に調整し、SDインキュベートの間の温度を20℃〜25℃の範囲内に保持した。次いでタンパク質溶液を、平衡化したCMセファロースファストフローカラム(平衡化緩衝液:0.025Mの酢酸ナトリウム、pH5.0±0.2)に負荷した。負荷の後、30カラム容量の酢酸緩衝液(0.01Mの酢酸ナトリウム、pH5.5±0.2)でカラムを洗浄し、SD試薬を洗い流した後、吸着したタンパク質を溶出緩衝液(0.25MのNaCl、0.2Mのグリシン、0.1%のPEG3350、25mMのトリス、pH8.00)で溶出した。溶出液の第1の部分(E1)の回収はOD400mAUで開始し、正確に2.7カラム容積の後に停止した(図1)。溶出ピークの第2の画分(E2)はODが再び400mAUに低下するまで回収した。次いで、溶出した画分を残りの工程のために別々に処理した。
次いで、E1及びE2の組成物をpH5.2に調整し、透析濾過緩衝液(0.02MのNaCl、0.05%のPEG3350)に対して限外濾過/透析濾過して5%タンパク質(w/v)に濃縮した。組成物に0.025Mのトリスを加え、pHを7.7に調整した。次いで緩衝液(0.025Mのトリス、0.02MのNaCl、pH7.7)で平衡化したANXセファロースファストフローカラムにIgG画分を負荷した。得られたANXフロースルーを回収し、8.5g/LのNaCl、16.5g/Lのグリシン、21.7g/Lの無水グルコース及び1g/Lのアルブミン(20%)を添加した。次いでpHを調整し、限外濾過によってE1及びE2の組成物を10%(w/v)タンパク質に濃縮した。濃縮の後、濃縮した溶液に再びNaCl及びグリシン(アルブミンは加えない)を添加し、無菌濾過の前に必要に応じてpHを7.1に調整する。
クロマトグラフィステップの吸光度(mAU)、導電率及びpHを示すクロマトグラフを図1にて提供する。見て分かるように、上述の溶出緩衝液による単一段階溶出は2ピークの溶出を生じる。特に、溶出緩衝液の添加の際、第1のピークがカラムから出てくるにつれて溶出液のpHは有意に低下し、次いで第2のピークの溶出と共に鋭く上昇する。記載されるように、溶出ピークは、第1の画分E1(図1で示す縦線の左)及び第2の画分(図1で示す縦線の右)にて2.7カラム容積を回収することによって分離した。
溶出された画分(E1及びE2)を別々に処理して以下で記載されるように最終免疫グロブリン製剤を作製した。そうするために、画分E1及びE2のpHを5.2に調整し、試料を透析濾過緩衝液(0.02MのNaCl、0.05%のPEG3350)に対して透析濾過して組成物を5%のタンパク質濃度に濃縮した。透析濾過の後、各タンパク質溶液に0.025Mのトリスを加え、pHを7.7に調整した。次いでIgG画分を平衡化したANXセファロースファストフローカラム(平衡化緩衝液:0.025Mのトリス、0.02MのNaCl、pH7.7)に負荷し、フロースルー画分を回収した。次いでANXフロースルーに8.5g/LのNaCl、16.5g/Lのグリシン、21.7g/Lの無水グルコース及び1g/Lのアルブミン(20%)を添加した。次いで溶液のpHを7.00に調整し、限外濾過によって免疫グロブリン試料を10%タンパク質に濃縮する。濃縮の後、NaCl、グリシン及び無水グルコースを再び加え、無菌濾過の前に必要に応じてpHを7.1に調整する。
クロマトグラフィステップの特徴決定を行うために質量収支を測定し、その結果を表1に示す。総タンパク質のほぼ10%が溶出ピークの第2の部分で見いだされた。これが、プールした組成物を溶出液の2.7カラム容積の後に停止した場合に生じる、収量損失である。
(表1)CMクロマトグラフィ濃縮ステップの質量収支
Figure 0006165143
次いで、2つのCM溶出画分から調製した最終容器を、分子サイズ分布、抗補体活性、基質としてPL−1及びTGAの双方を用いたアミド分解活性、FXIa活性及びNAPTT活性について分析した。結果を表2及び表3に示す。溶出されたIgG画分の第1及び第2の部分に由来する最終容器の生化学的な特徴決定により、溶出の第1の部分はFXIaならびに高いTGA及び短縮されたNAPTTの値の原因となる他の望ましくないタンパク質を本質的に含まないことが実証された。対照的に、FXIa及びアミド分解活性は第2の部分で濃縮されており、ここでは、凝集体、及びオリゴ/二量体の含量もまたより高い。興味深いことに、溶出液の第1の部分ではACA値が非常に低い一方で、溶出液の第2の部分ははるかに高い値を示している。
(表2)2つの最終容器E1及びE2の分子サイズ分布の比較
Figure 0006165143
(表3)2つの最終容器E1及びE2の生化学的特徴決定の比較
Figure 0006165143
結論として、CMセファロースffカラムからの溶出の分割により、2つの画分が生じ、実質的にFXIaを含まないIgG組成物の製造が可能になる。
実施例2
製造規模の免疫グロブリン製剤に存在するアミド分解活性の量を減らすために、カチオン交換クロマトグラフィを溶出および分画するのに使用する条件を検討した。これらの検討の詳細を以下に提供する。
一連の実験を行って、本明細書で記載されるGammagard SID製造法に従って下流工程の間にアミド分解活性を低減する/取り除くための好適な溶液を見いだした。手短には、Cohn分画のペーストを4℃でpH5.2±0.2の冷水に溶解した。CWSS濾過による清浄化の後、試料を無菌濾過して4℃で保存した又は即時の処理のために水で2%のタンパク質濃度に希釈した。次いで溶液を20〜25℃にし、溶媒/界面活性剤混合物(1%のTritonX−100、0.3%のTween80;0.3%のTNBP)と共に1時間インキュベートした後、タンパク質溶液を、平衡化したCMセファロースファストフローカラム(平衡化緩衝液:25mMのNa酢酸、pH5.0±0.2)に負荷した。負荷の後、酢酸緩衝液(0.01MのNa酢酸、pH5.5±0.2)でカラムを洗浄し、溶出緩衝液(0.25MのNaCl、0.2Mのグリシン、0.1%のPEG3350、25mMのトリス、pH7.8)で吸着しているIgGを溶出する。CMセファロースff実行の間、以下のパラメータをモニターしてCM溶出液を分画する(定点にて):OD280;pH;及びカラム容積(CV)での溶出容積。次いで溶出液を透析濾過緩衝液(0.02MのNaCl、0.05%のPEG3350)で限外濾過/透析濾過した、又は直ちに分析に使用した。10%の最終容器組成物に相当するタンパク質の値でアミド分解活性を測定するためにも、この濃縮ステップを実施した。
溶出の間、溶出液はCM溶出緩衝液の導電率の値を迅速に達成した。しかしながら、図2に示すように、カラムの出口で測定された溶出液のpHは、溶出緩衝液が7.8のpHを有したという事実にもかかわらず、洗浄緩衝液で見られるように5.5から5 0未満(4 3〜4.8)に低下し、最初の4CVについては変化しないままだった。約7.8へのpHの上昇が溶出液回収の終了時に見られた。カラム出口でのOD280のモニタリングはこのpHシフトが第2のピークの放出に対応することを示し、そこでは(PL−1アッセイを介して測定される)アミド分解活性の大半が検出される。
実施例3
実施例1及び実施例2で見られた二峰性のCMセファロース溶出現象及びpHシフトをさらに検討するために、別のCMセファロースファストフロークロマトグラフィ実験の間に個々の溶出画分を回収した。手短には、上述のようにCMセファロースファストフロークロマトグラフィを実施し、画分を回収して別々に分析した後、画分A〜Nをプールし、限外濾過によって濃縮した。クロマトグラフィステップの出発物質はCohn画分IIのペースト(P25001ivLE;FIX及びAT−IIIを吸着した)であった。5.2のpHを有する緩衝液でCMセファロースカラムを平衡化し、5.7のpHで洗浄を行った。クロマトグラフィステップの流速は0.64cm/分で維持した。
pHシフトの後、増加した量のアミド分解活性(PL−1)が画分において見出される。濃縮されたプールにおいてさえ、低下したアミド分解活性が認められる。PL1活性が限外濾過/透析濾過の後で検出可能であるという事実は、CM溶出液の希釈によるか又は濃縮中のその生成によるかのどちらかである。
表4に示すように、5.5を下回るpHで溶出する画分(画分A〜N)は、高いpH値で溶出する画分(画分O及びP)に比べてはるかに低濃度のアミド分解活性を含有した。アミド分解活性の定量は、画分A〜Nを合わせたすべてよりも多い活性が画分O及びPにて溶出されたことを示している。pHシフトの後、増加量のアミド分解活性(PL−1)が画分で見出された。濃縮されたプールにおいてさえ、アミド分解活性の低下が認められる。PL1活性が限外濾過/透析濾過の後で検出可能であるという事実は、CM溶出液の希釈によるか又は濃縮中のその生成によるかのどちらかである。
(表4)CMセファロースff溶出画分の分析
Figure 0006165143
実施例4
CMセファロースff樹脂からのアミド分解活性溶出の境界をさらに定義するために、CM溶出液がpHの境界で定義される画分にて回収されることを除いては上記と同様に、別の実験を実施した。具体的には、カラム出口でモニターした規定のpH(4.3、4.8、6.0、7.5)まで、CM溶出液を回収した。この実験では、クロマトグラフィステップの出発物質は、実施例3と同様に、Cohn画分IIのペースト(P25001ivLE;FIX及びAT−IIIを吸着した)であった。4.8のpHでCMセファロースカラムを平衡化し、5.3のpHで洗浄した。溶出液画分を限外濾過/透析濾過し、分析の前にトリスでpHを調整した。この実験では、溶出ステップの開始時に溶出液のpHは4.1に低下した。回収された溶出液の画分の分析を表5に示す。
(表5)CMセファロースff溶出液の画分の分析
Figure 0006165143
実施例5
次に、単位CMセファロース樹脂当たりのタンパク質の量の低下が図2で示すピーク分離をさらに向上させるかどうかを判定した。これを調べるために、樹脂1ml当たり118mgのタンパク質から樹脂1ml当たり57mgのタンパク質に低下する範囲でタンパク質負荷量を低下させて、一連のCMセファロースffクロマトグラフィ実行を行った。実施例2と同様に、実験用の出発物質はCohn画分IIペースト経路II;P24701IVであり、それは吸着による脱クリオ血漿からのFIX、FVII及びATIIIの除去を含む(表6)。樹脂をpH5.2で平衡化し、pH5.7で洗浄ステップを行った。実施例2のように、CMセファロース溶出液をプールして、第1の部分(第1のピーク)及び第2の部分(第2の部分)とした。図2は、例示的クロマトグラフを提供するが、ここで、溶出液のUV吸光度が2つのピークの間のおよそOD280=1.6±0.2にて底を打つ時に第1のプールが終了し、第2のプールが開始する。
(表6)出発物質(Cohn画分IIペースト経路II;P24701IV)の分析
Figure 0006165143
表7で示すように、樹脂のタンパク質負荷量を低下させることはピークの分離に効果を示さなかったが、回収に影響を有した。以前の実施例で提示された結果に一致して、各クロマトグラフィ実行の第1の溶出液プールには、非常に低レベルのアミド分解活性が存在する。
(表7)タンパク質負荷量を変動させて行ったCMセファロースクロマトグラフィ精製の分析
Figure 0006165143
実施例6
上述の実験の知見をさらに実証するために、様々な流速及び溶出プール形成スキームにてCMセファロースクロマトグラフィ精製を行った。手短には、高いアミド分解活性含量(6%タンパク質にて100ナノモル/ml.分)を含有するCohn画分IIペーストを本明細書で記載されるように処理して、ANXクロマトグラフィ前の画分とした。CMセファロースの実行すべてについて、UVが上昇し始めたら溶出液を回収し、3CVの後又は4CVの後に回収を停止した。
以下のように、3種のCMセファロースクロマトグラフィ精製を行った。回収した溶出液画分を本明細書で記載されるように濃縮し、次いでPL−1の値がPL−1アッセイの検出限界を下回らないようにさらに濃縮した。
第1の実行:CMセファロース樹脂をすすぎ、1cm/分の流速で平衡化した。タンパク質負荷、洗浄及び溶出ステップの流速は0.64cm/分で一定に保った。主要プールにて溶出液の3カラム容積(3CV)を回収した。
第2の実行:CMセファロース樹脂をすすぎ、1.2cm/分の流速で平衡化した。タンパク質負荷ステップの流速は0.64cm/分であった。洗浄ステップの流速は最初の1.2カラム容積(CV)では0.64cm/分、その後の28.8CVでは1.8cm/分であった。溶出ステップは0.64cm/分で実施した。主要プールにて溶出液の3カラム容積(3CV)を回収した。
第3の実行:CMセファロース樹脂をすすぎ、1.2cm/分の流速で平衡化した。タンパク質負荷ステップの流速は0.64cm/分であった。洗浄ステップの流速は最初の1.2カラム容積(CV)では0.64cm/分、その後の28.8CVでは1.8cm/分であった。溶出ステップは0.64cm/分で実施した。主要プールにて溶出液の4カラム容積を回収した。
各CMセファロースクロマトグラフィ実行の主要プールを濃縮し、アミド分解活性(PL−1)、総タンパク質濃度、及びHPLCプロフィールについて分析した。表8に示すように、洗浄ステップの速度を高めることは、主要プールにおけるアミド分解活性の量の低下を生じた(実行1と実行2を比較して)。3CVではなく4CVの回収によって、計画通りの総タンパク質収量(2.55g/L血漿 対 2.5g/L血漿;実行3と実行2を比較)が提供されたが、最終組成物に存在するアミド分解活性の総量は2倍超になった(384.7PL−1ナノモル/分・gタンパク質 対 188.5PL−1ナノモル/分・gタンパク質)。4CVをプールすることはまた最終免疫グロブリン組成物の凝集体含量も高めた(0.52% 対 0.12%;実行3と実行2を比較)。注目すべきことに、実行2によって調製された組成物の最終的なアミド分解含量及び凝集体含量は上記で見られるものに一致している(表2、表4及び表5を参照)。
(表8)洗浄の流速及び溶出液回収容積を変動させて実施したCMセファロースクロマトグラフィ精製の分析
Figure 0006165143
実施例7
上で提供される結果が工業的な製造規模に拡大できることを実証するために360gのCohn画分II出発物質を上記実験のように処理した。2.9CVのCMセファロース溶出液を第1のプールで回収し、溶出液の残りを第2のプールで回収した。次いで、得られた溶出液プールを、本明細書で記載されるように、個体への投与に好適な最終容器組成物に処理した。このさらなる処理には、ANXクロマトグラフィ、限外濾過/透析濾過及び最終製剤からの凍結乾燥が含まれた。次いで各最終製剤の生化学的な特徴を分析し、結果を表9に提示する。
(表9)2つの最終容器E1(溶出液の第1の部分:2.9CV)及びE2(溶出液の第2の部分:2.9CV超)の生化学的な特徴の比較
Figure 0006165143
表9で示すように、CMセファロース溶出の第1の部分に由来する最終組成物は、CMセファロース溶出の第2の部分に由来する最終組成物よりも50倍少ないアミド分解活性を含有した(402ナノモルPL−1/分・gタンパク質 対 18,446.6ナノモルPL−1/分・gタンパク質)。CMセファロース溶出の第1の部分に由来する最終組成物はまた、CMセファロース溶出の第2の部分に由来する最終組成物に比べて少ないアルブミン(1.2% 対 2.3%)、α/βグロブリン(検出されず 対 0.2%)、PKA活性(<0.6IE/ml 対 41.2IE/ml)及びIgG3(4.6% 対 10.8%)も含有した。さらに、CMセファロース溶出の第1の部分に由来する組成物はCMセファロース溶出の第2の部分に由来する最終組成物よりもはるかに高いIgG単量体含量(94.81% 対 87.86%)を含有した。
実施例8
上で提供される結果をさらに実証するために、画分IIペースト(RI10XD142;遠心分離した沈殿物A)の一部を本明細書で提供される方法に従って調製した。次いでペーストを再懸濁し、本明細書で記載されるようにCMセファロースカチオン交換カラムに負荷し、上述のように溶出した。溶出液(総量:4743ml)を、溶出液全体の75%(3530ml)を含有する第1の画分と溶出液全体の25%(1213ml)を含有する第2の画分に分割した。次いで、第1と第2のCMセファロース溶出液画分を本明細書で記載されるように処理して最終容器に入れ、FXIa、TGA、NAPTT、及びアミド分解(PL−1)活性、IgG凝集体及びACAの含量について分析した。結果を表10に提供する。上で提供される結果に一致して、CMセファロース溶出液の第1のプールと第2のプールへの分離は、最終的な免疫グロブリン製剤におけるFXIa及びTGAの活性の低減を生じた。
(表10)第1と第2のCMセファロース溶出画分の生化学的な特徴
Figure 0006165143
実施例9
本明細書で提供される方法の規模拡大の実行可能性をさらに評価するために、大規模製造法からのCMセファロース溶出液をタンパク質含量、pH及びFXIa活性についてモニターした。手短には、およそ19,000Lの脱クリオ血漿を本明細書で記載されるように処理して約70kgのタンパク質を含有する約220kgの画分IIペーストを形成した。画分IIペーストを再懸濁し、上述のようにCMセファロースカラムに負荷し、洗浄し、溶出した。溶出液の試料を回収し、各CV(およそ350L)の溶出の後、分析した。表11に示すように、高いFXIa値は、溶出液のpHがシフトした後、CMセファロース溶出の終了時にのみ見出された。溶出液のタンパク質濃度はOD280にてモニターし、OD280が2.0を下回るまで溶出の第1の部分を回収し、プールした。次いで、OD280が0.2を下回るまで溶出液の第2の部分を回収し、別にプールした。次いで、表12に示すように第1と第2の溶出液プールを分析し、比較した。注目すべきことに、IgG収量の98%がCM溶出液の第1の部分で見いだされ、IgG収量の2%がCM溶出液の第2の部分で見いだされた。従って、溶出液のOD280が2.0を下回った後CMセファロース溶出プールの回収を終了することによって、IgG収量の損失をできるだけ抑えながら、有意な量のTGA及びFXIaの活性をこの製剤から取り除くことができる。
(表11)各カラム容積の溶出の後に採取されたCMセファロース溶出液の試料の生化学的な特徴
Figure 0006165143
(表12)第1と第2のCMセファロース溶出プールの生化学的な特徴
Figure 0006165143
実施例10
免疫グロブリン組成物のアミド分解含量を減らすための開示された方法をさらに評価するために、画分IIの沈殿物を出発物質として用いて第2の大規模実験を行った。手短には、沈殿物Aの分離が遠心分離ではなく濾過によって行われたことを除いては実施例1で記載されたのと同様に、画分IIの沈殿物を調製した。
実施例1で記載されたように、画分IIの沈殿物をCMカチオンクロマトグラフィに供した。実施例1のように、CM溶出液を、2つのプール、すなわちIgG含量の大半を含有する先行部分(E1)とアミド分解活性の大半を含有する遅行部分(E2)に回収した。溶出液の第1の部分(E1)の回収はOD400mAUで開始し、正確に2.7カラム容積後に停止した。溶出ピークの第2の画分(E2)はODが再び400mAUに低下するまで回収した。次いで残りの工程のために、溶出した画分を別々に処理した。精製工程に関する質量収支を表13に示す。
(表13)画分IIの沈殿物からの第2の大規模精製に関する質量収支
Figure 0006165143
実施例1と同様に、総タンパク質のほぼ10%が溶出ピークの第2の部分で見出される。これが、溶出を2.7カラム容積の後に停止する場合の確定的な収量損失である。
2つのCM溶出画分(E1及びE2)から調製した最終容器を、分子サイズの分布、抗補体活性、アミド分解活性について基質SN13aによりならびにTGA、FXIa、及びNAPTTアッセイにより分析した。結果を表14及び表15に示す。
(表14)2つの最終容器の分子サイズの分布の比較
Figure 0006165143
(表15)2つの最終容器の追加の特徴の比較
Figure 0006165143
溶出されたIgG画分の第1の部分及び第2の部分に由来する最終容器の生化学的な特徴は、溶出の第1の部分はFXIaならびに高いTGA及び短縮されたNAPTTの値の原因となる他の望ましくないタンパク質を本質的に含まないことを実証した。対照的に、FXIa及びアミド分解活性は第2の部分で濃縮されており、ここでは、たとえ懸濁液Aの分離が濾過によって行われているとしても、凝集体及びオリゴ/二量体の含量もまたより高い。興味深いことに、溶出液の第2の部分におけるACA値が高い一方、溶出液の第1の部分におけるACA値はずっと低い。
この実験では、上流工程で懸濁液Aの分離に濾過が使用されており、溶出液の第2の部分における残留FXIaははるかに少なく、かつこの溶出部分の最終容器のTGA値は正常範囲である。
実施例1と共に総合すれば、CMセファロースffカラムからの溶出を2つの画分(E1及びE2)に分けることは、実質的にFXIaを含まないIgG組成物の製造を可能にする。沈殿物Aの分離が濾過によって行われる場合FXIaは有意に低いが、このことは、画分Aの分離選択肢(すなわち、遠心分離及び濾過)の両方に当てはまる。
実施例11
本実施例は、皮下投与用の免疫グロブリン組成物の製造のために設計された大規模製造工程におけるカチオン交換クロマトグラフィによる凝血促進活性の分離に対する本方法の好適性を実証する。この実験の出発材料はヨーロッパで採取され、プールされたヒト起源の血漿から形成された画分IIの沈殿物であり、これはクリオ沈殿され、吸着を介して抗トロンビンIII(ATIII)を回収するのに使用された。
手短には、クリオ沈殿及びATIIIの吸着の後、8%アルコール及びpH7.0での画分Iの沈殿物の沈殿によるフィブリノーゲン及び残りの凝固因子(たとえば、第XIII因子)の分離と共に冷却アルコール分画を開始する。画分II+IIIを沈殿させ、アルブミンを分離するために上清のアルコール濃度を25%に調整する。沈殿物II+IIIの再懸濁の後、アルコールをpH約5.2にて12%に加え、沈殿物IIIを形成する。沈殿物IIIの分離の後、0.04gのDEAEセファデックス/gタンパク質を加え、Cuno90デプスフィルターで溶液を濾過し、精製されたγグロブリン画分を含有するCohn画分IIを中性pHにて25%のアルコールによって沈殿する。
4℃でpH5.2±0.2において、冷水に画分IIの沈殿物を溶解する。CWSS濾過による清浄化の後、SD処理のために溶液を2%のタンパク質濃度に調整する。SDインキュベートの際の温度を20〜25℃の範囲内に保持する。タンパク質溶液を平衡化したCMセファロースファストフローカラム(平衡化緩衝液:0.025Mの酢酸ナトリウム、pH5.0±0.2)に負荷する。負荷の後、30カラム容積の酢酸緩衝液(0.01Mの酢酸ナトリウム、pH5.5±0.2)でカラムを洗浄してSD試薬を洗い流した後、吸着したタンパク質を溶出緩衝液(0.25MのNaCl、0.2Mのグリシン、0.1%のPEG3350、25mMのトリス、pH8.00)で溶出する。溶出液の第1の部分(E1)の回収はOD400mAUで開始し、正確に2.7カラム容積の後、停止する。溶出ピークの第2の画分(E2)はODが再び400mAUに低下するまで回収する。溶出された画分を以下のステップに従って別々に処理して、最終バルクとする。
溶出液画分のpHを5.2に調整し、濃度を5%に調整し、透析濾過緩衝液(0.02MのNaCl、0.05%のPEG3350)に対する透析濾過及びその後の10%タンパク質への濃縮が行われる。0.055gのグリシン/gタンパク質を溶液に加え、無菌濾過の前にpHを7.0に調整する。
カチオン交換洗浄と溶出ステップのクロマトグラムを図3に示す。番号1の線はUV吸光度を、番号2の線は導電率を、番号3の線はカラム出口のpHを示す。280nmでの光学密度はCMセファロースffカラムからのタンパク質の溶出の際の2つの画分の部分的な分離を示す。溶出の際、カラム出口のpHはUV吸光度の再上昇の開始の直後に上昇し始める。この時点で、2つの溶出液画分は分離された(本明細書ではE1及びE2と呼ばれるF4及びF5)。下流の精製実行についての質量収支を表16に示す。
(表16)画分IIの沈殿物からのIgGの大規模精製についての質量収支
Figure 0006165143
総タンパク質のほぼ15%が溶出ピークの第2の部分(E2)で見られる。これが、2.7カラム容積後のE1回収の停止による収量損失である。2つのCM溶出画分(E1及びE2)から調製された最終容器を、分子サイズの分布、抗補体活性、アミド分解活性について、基質SN13aによりならびにTGA、FXIa、及びNAPTTアッセイにより分析した。結果を表17及び表18に示す。
(表17)2つの最終容器の分子サイズの分布の比較
Figure 0006165143
(表18)2つの最終容器の追加の特徴の比較
Figure 0006165143
CM−溶出液の第1の部分(E1)は、低い凝集体、二量体及び断片の含量、低いFXIa含量、正常血漿に近いTGA成績、検出限界を下回るPKA及びSN−13で測定したアミド分解活性を伴い、短縮されたNAPTTを伴わない、最終バルクを生じた。FXIa、PKKA及びFXIa様の活性は第2の部分で濃縮されており、ここでは、IgのG重合体、断片及びオリゴ/二量体の含量もまたより高い。興味深いことに、溶出液の先行部分(E1)におけるACA値は溶出液の遅行部分(E2)よりも低い。
実施例12
免疫グロブリン組成物のアミド分解性含量を減らすための開示された方法をさらに評価するために、出発材料として画分IIの沈殿物を用いる別の大規模実験を行った。手短には、この実験の出発材料が、ヨーロッパで採取され、プールされたヒト起源の血漿から形成された画分IIの沈殿物でありかつこれがクリオ沈殿され、吸着を介してFEIBA及び抗トロンビンIII(ATIII)を回収するのに使用されたことを除いては実施例11で記載されたのと同様に、画分IIの沈殿物を調製した。CMセファロースカチオン交換クロマトグラフィ及び下流の処理も実施例11で記載されたように行った。
カチオン交換洗浄と溶出ステップのクロマトグラムを図4に示す。番号1の線はUV吸光度を、番号2の線は導電率を、番号3の線はカラム出口のpHを示す。280nmでの光学密度はCMセファロースffカラムからのタンパク質の溶出の際の2つの画分の部分的な分離を示す。カラム出口のpHは溶出の間、UV吸光度の再上昇の開始の直後に上昇し始める。この時点で、2つの溶出液画分は分離された(F4及びF5、本明細書ではE1及びE2と呼ばれる)。下流の精製実行についての質量収支を表19に示す。
(表19)画分IIの沈殿物からのIgGの大規模精製についての質量収支
Figure 0006165143
実施例11と同様に、総タンパク質のほぼ15%が溶出ピークの第2の部分で見られる。これが、2.7カラム容積後のE1回収の停止による収量損失である。2つのCM溶出画分(E1及びE2)から調製された最終容器を、分子サイズの分布、抗補体活性、アミド分解活性について、基質SN13aによりならびにTGA、FXIa、及びNAPTTアッセイにより分析した。結果を表20及び表21に示す。
(表20)2つの最終容器の分子サイズの分布の比較
Figure 0006165143
(表21)2つの最終容器の追加の特徴の比較
Figure 0006165143
溶出の第1の部分がFXIaならびに高いTGA及び短縮されたNAPTTの値の原因となる他の望ましくないタンパク質を本質的に含まない一方で、PKKA、FXIa及びFXIa様の活性は第2の部分で濃縮されており、ここでは、IgGの断片、重合体及びオリゴ/二量体の含量もまたより高いことが、溶出されたIgG画分の第1及び第2の部分に由来する安定化されたバルクの生化学的な特徴によって実証された。ACA値は溶出液の第1の部分及び第2の部分のバルクにて有意に異なることはない。結果は全体として実施例11の知見を裏付けている。
実施例13
免疫グロブリン組成物のアミド分解性含量を減らすための開示された方法をさらに評価するために、出発材料として画分IIの沈殿物を用いて別の大規模実験を行った。手短には、この実験の出発材料が、米国で採取され、プールされたヒト起源の血漿から形成された画分IIの沈殿物でありかつこれがクリオ沈殿され、吸着を介してFEIBA及び抗トロンビンIII(ATIII)を回収するのに使用されたことを除いては実施例11で記載されたのと同様に、画分IIの沈殿物を調製した。CMセファロースカチオン交換クロマトグラフィ及び下流の処理も実施例11で記載されたように行った。
カチオン交換洗浄と溶出ステップのクロマトグラムを図5に示す。番号1の線はUV吸光度を、番号2の線は導電率を、番号3の線はカラム出口のpHを示す。280nmでの光学密度はCMセファロースffカラムからのタンパク質の溶出の際の2つの画分の部分的な分離を示す。カラム出口のpHは溶出の間、UV吸光度の再上昇の開始の直後に上昇し始める。この時点で、2つの溶出液画分は分離された(F4及びF5、本明細書ではE1及びE2と呼ばれる)。下流の精製実行についての質量収支を表22に示す。
(表22)画分IIの沈殿物からのIgGの大規模精製についての質量収支
Figure 0006165143
実施例11と同様に、総タンパク質のほぼ15%が溶出ピークの第2の部分で見られる。これが、2.7カラム容積後のE1回収の停止による収量損失である。2つのCM溶出画分(E1及びE2)から調製された最終容器を、分子サイズの分布、抗補体活性、PKKA、FXIa様の活性について、基質SN13aにより及びTGA、FXIa、及びNAPTTアッセイにより再び分析した。結果を表23及び表24に示す。
(表23)2つの最終容器の分子サイズの分布の比較
Figure 0006165143
(表24)2つの最終容器の追加の特徴の比較
Figure 0006165143
最終バルクの生化学的な特徴決定により、実施例11及び12の結果が確認された。溶出の第1の部分(E1)はFXIaならびに高いTGA及び短縮されたNAPTTの値の原因となる他の望ましくないタンパク質を本質的に含まない一方で、FXIa及びアミド分解活性は第2の部分(E2)で濃縮されており、ここでは、たとえ懸濁液Aの分離が濾過によって行われるとしても、断片、重合体及びオリゴ/二量体の含量もまたより高い。興味深いことに、溶出液の第1の部分の安定化されたバルクにおけるACA値もまた、溶出液の第2の部分のバルクよりも低い。
総合すると、上記実施例で提供された結果は、CMセファロースffカラムからの溶出液を2つの画分に分割することは凝血促進活性を実質的に含まない免疫グロブリン組成物の製造を可能にすることを実証している。このことは、様々な血漿の供給源(EU及びUS)及び上流の処理スキームについて当てはまる。
実施例11〜13で記載された免疫グロブリン製剤について測定された製品損失は実施例1〜10で見られたものよりも高い。実施例11〜13では、2.7カラム容積の後の溶出液ピークの分割が総タンパク質の約15%の損失を生じる。実施例11〜15では溶出液のpHシフトが遅く生じたので、遅い溶液の切り取りが、凝血促進活性の分離を有意に損なうことなく全体的な収率を改善するであろう。
上記で示したデータは、カチオン交換クロマトグラフィの溶出液の分割が、実質的に低下した凝血促進活性を有する免疫グロブリン組成物の製造のための堅牢な方法であることを実証している。
本明細書で記載された実施例及び実施形態は例証目的だけのためのものであり、それを考慮した種々の改変及び変更が当業者に提案され、本出願の精神と範囲及び添付の特許請求の範囲の中に含められるべきであることが理解される。本明細書で引用された出版物、特許及び特許出願はすべて、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。

Claims (54)

  1. 血漿由来の免疫グロブリン組成物にて第XI因子(FXI)及び/又は第XIa因子(FXIa)の含量を低減させための、単一段階溶出方法であって
    (a)IgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を提供するステップと、
    (b)6.0を超えないpHと11mS/cmを超えない導電率を含む溶液条件下でクロマトグラフィカラム中に配置された弱いカチオン交換樹脂に血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、IgG免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaの少なくとも一部とを弱いカチオン交換樹脂に結合させるステップと、
    (c)少なくとも7.5のpHと少なくとも15mS/cmの導電率を含む単一の溶出緩衝液に弱いカチオン交換樹脂を接触させることによって、弱いカチオン交換樹脂からIgG免疫グロブリンを溶出して、先行部分と遅行部分を含む溶出液を形成するステップと、
    (d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップと
    を含み、
    溶出液の先行部分が、出発組成物に比べて低下した量のアミド分解活性を有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、および溶出液の遅行部分が、溶出液の先行部分に比べてより多い量のアミド分解活性を有し、かつ溶出液の先行部分が、6.0を超えないpHを有する溶出液の部分からなる、方法。
  2. 溶出緩衝液が少なくとも20mS/cmの導電率を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 溶出緩衝液が少なくとも25mS/cmの導電率を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップ(c)にて弱いカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出する前に、6.0を超えないpHと11mS/cm未満の導電率を含む洗浄緩衝液によって、免疫グロブリンとFXI及び/又はFXIaとが結合した弱いカチオン交換樹脂を洗浄するステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 弱いカチオン交換樹脂がカルボキシメチルカチオン交換樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 溶出緩衝液が7.5〜8.5の間のpHを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 溶出緩衝液が8.0±0.2のpHを含む、請求項に記載の方法。
  8. 溶出緩衝液が200〜300mMの間の塩化ナトリウムを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 溶出緩衝液が240〜260mMの間の塩化ナトリウムを含む、請求項に記載の方法。
  10. 溶出緩衝液が100mM〜300mMの間のグリシンを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 溶出緩衝液が175mM〜225mMの間のグリシンを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、6.0を上回るpHを有する溶出液とは別に6.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.5を上回るpHを有する溶出液とは別に5.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.0を上回るpHを有する溶出液とは別に5.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  15. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、溶出液のpHをモニターすることを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 溶出液の先行部分を回収するステップが、
    (i)280nm(OD280)にて溶出液の光学密度をモニターする副ステップと、
    (ii)溶出液のOD280が少なくとも50mAUの第1の閾値OD280よりも上昇したら回収を開始する副ステップと、
    (iii)溶出液のOD280が500mAUを下回らない第2の閾値OD280よりも低下したら回収を停止する副ステップと
    を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 第2の閾値OD280が1AUを下回らない、請求項16に記載の方法。
  18. 第2の閾値OD280が2AUを下回らない、請求項16に記載の方法。
  19. 洗浄緩衝液が5.0〜6.0の間のpHを含む、請求項4〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 洗浄緩衝液が5.5±0.2のpHを含む、請求項19に記載の方法。
  21. ステップ(b)で弱いカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの50%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. ステップ(b)で弱いカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの25%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する、請求項21に記載の方法。
  23. ステップ(b)で弱いカチオン交換樹脂に結合したFXI及び/又はFXIaの10%未満が、ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在する、請求項21に記載の方法。
  24. FXI及び/又はFXIaの量が、FXIa特異的な基質を用いたアミド分解活性アッセイを行うことによって決定される、請求項2123のいずれか1項に記載の方法。
  25. ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分IIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B、Cohn画分II、Cohnプール、Cohn画分IまたはII+III、及びそれらの改変された沈殿物から成る群から選択される、懸濁された血漿画分沈殿物である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、懸濁された画分IIの沈殿物である、請求項25に記載の方法。
  27. 血漿由来の免疫グロブリン組成物にて抗補体活性(ACA)を低減させるための、単一段階溶出方法であって、
    (a)IgG免疫グロブリンとACAとを含む血漿由来の免疫グロブリン組成物を提供するステップと、
    (b)6.0を超えないpHと11mS/cmを超えない導電率を含む溶液条件下でクロマトグラフィカラム中に配置された弱いカチオン交換樹脂に血漿由来の免疫グロブリン組成物を接触させて、弱いカチオン交換樹脂にIgG免疫グロブリンとACAの少なくとも一部とを結合させるステップと、
    (c)少なくとも7.5のpHと少なくとも15mS/cmの導電率を含む単一の溶出緩衝液に弱いカチオン交換樹脂を接触させることによって、弱いカチオン交換樹脂からIgG免疫グロブリンを溶出して、先行部分と遅行部分を含む溶出液を形成するステップと、
    (d)溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップと
    を含み、
    溶出液の先行部分が、出発組成物に比べて低下した量のACAを有するIgG免疫グロブリン組成物を含み、および溶出液の遅行部分が、溶出液の先行部分に比べてより多い量のACAを有し、かつ溶出液の先行部分が、6.0を超えないpHを有する溶出液の部分からなる、方法。
  28. 溶出緩衝液が少なくとも20mS/cmの導電率を含む、請求項27に記載の方法。
  29. 溶出緩衝液が少なくとも25mS/cmの導電率を含む、請求項27又は28に記載の方法。
  30. ステップ(c)にて弱いカチオン交換樹脂から免疫グロブリンを溶出する前に、6.0を超えないpHと11mS/cm未満の導電率を含む洗浄緩衝液によって、免疫グロブリンとACAとが結合した弱いカチオン交換樹脂を洗浄するステップをさらに含む、請求項2729のいずれか1項に記載の方法。
  31. 弱いカチオン交換樹脂がカルボキシメチルカチオン交換樹脂である、請求項27〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 溶出緩衝液が7.5〜8.5の間のpHを含む、請求項2731のいずれか1項に記載の方法。
  33. 溶出緩衝液が8.0±0.2のpHを含む、請求項32に記載の方法。
  34. 溶出緩衝液が200〜300mMの間の塩化ナトリウムを含む、請求項2733のいずれか1項に記載の方法。
  35. 溶出緩衝液が240〜260mMの間の塩化ナトリウムを含む、請求項34に記載の方法。
  36. 溶出緩衝液が100mM〜300mMの間のグリシンを含む、請求項2735のいずれか1項に記載の方法。
  37. 溶出緩衝液が175mM〜225mMの間のグリシンを含む、請求項36に記載の方法。
  38. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、6.0を上回るpHを有する溶出液とは別に6.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、請求項2737のいずれか1項に記載の方法。
  39. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.5を上回るpHを有する溶出液とは別に5.5を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、請求項2737のいずれか1項に記載の方法。
  40. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、5.0を上回るpHを有する溶出液とは別に5.0を超えないpHを有する溶出液を回収することを含む、請求項2737のいずれか1項に記載の方法。
  41. 溶出液の遅行部分とは別に溶出液の先行部分を回収するステップが、溶出液のpHをモニターすることを含む、請求項2740のいずれか1項に記載の方法。
  42. 溶出液の先行部分を回収するステップが、
    (i)280nm(OD280)にて溶出液の光学密度をモニターする副ステップと、
    (ii)溶出液のOD280が少なくとも50mAUの第1の閾値OD280よりも上昇したら回収を開始する副ステップと、
    (iii)溶出液のOD280が500mAUを下回らない第2の閾値OD280よりも低下したら回収を停止する副ステップと
    を含む、請求項2741のいずれか1項に記載の方法。
  43. 第2の閾値OD280が1AUを下回らない、請求項42に記載の方法。
  44. 第2の閾値OD280が2AUを下回らない、請求項42に記載の方法。
  45. 洗浄緩衝液が5.0〜6.0の間のpHを含む、請求項3044のいずれか1項に記載の方法。
  46. 洗浄緩衝液が5.5±0.2のpHを含む、請求項45に記載の方法。
  47. ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも低い、請求項2746のいずれか1項に記載の方法。
  48. ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも少なくとも25%低い、請求項47に記載の方法。
  49. ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも少なくとも50%低い、請求項47に記載の方法。
  50. ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度よりも低い、請求項2749のいずれか1項に記載の方法。
  51. ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度の50%未満である、請求項50に記載の方法。
  52. ステップ(d)で回収される溶出液の先行部分に存在するIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度が、ステップ(d)で回収される溶出液の遅行部分におけるIgG免疫グロブリンの濃度に対するACAの濃度の25%未満である、請求項50に記載の方法。
  53. ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、画分Iの沈殿物、画分I+II+IIIの沈殿物、画分IIの沈殿物、画分II+IIIの沈殿物、画分IV−1、キストラー/ニッチェマンの沈殿物A、キストラー/ニッチェマンの沈殿物B、Cohn画分II、Cohnプール、Cohn画分IまたはII+III、及びそれらの改変された沈殿物から成る群から選択される、懸濁された血漿画分沈殿物である、請求項2752のいずれか1項に記載の方法。
  54. ステップ(a)で提供される血漿由来の免疫グロブリン組成物が、懸濁された画分IIの沈殿物である、請求項53に記載の方法。
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