JP6164226B2 - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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    • B82Y40/00Manufacture or treatment of nanostructures

Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法に関する。
従来、様々なカーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも称する。)の製造に関する技術が報告されている。
非特許文献1には、CVD法を用いてCNTを製造する方法において、原料ガスと共に水などの触媒賦活物質を触媒に接触させることにより、触媒の活性及び寿命を著しく増大させた技術が記載されている。
また、特許文献1には、CNTを製造する製造装置において還元ガス又は原料ガスに曝される装置部品を溶融アルミめっきすることによって、装置部品に対する炭素汚れの付着を低減することが記載されている。
更に、特許文献2には、原料ガス中における炭素原子の個数濃度と、触媒賦活物質に含まれる酸素原子の個数濃度との比を調整することによって、効率よくCNTを製造することが記載されている。
そして、特許文献3には、触媒活性化ゾーン、合成ゾーン及び冷却ゾーン内のガス成分の分析結果に基づいて炭化水素ガスの流量を制御し、触媒活性化ゾーンにおける水素ガス濃度を80%以上にすることで、高品質のCNTを製造することが記載されている。
国際公開第2010/092787号(米国特許出願公開第2011/0308462号明細書) 国際公開第2010/076885号(欧州特許出願公開第2383225号明細書) 特開2011−241104号公報
Kenji Hata et. al., "Water−Assisted Highly Efficient Synthesis of Impurity−Free Single−Walled Carbon Nanotubes", SCIENCE, 2004.11.19, VOl.306, p.1362−1364
CVD法によるCNTの製造においては、水等の触媒賦活物質を触媒に接触させることにより、触媒の活性及び寿命が著しく増大する。この方法によれば、高炭素濃度環境下においても触媒活性が失われず、CNTの製造効率が著しく増大する。
しかしながら、高炭素濃度環境下においてCNTを製造すると、炉内壁面にアモルファスカーボン、グラファイト等のCNT以外の炭素系副生物(以下、「炭素汚れ」とも称する。)が大量に付着する。また、炉壁内部に炭素が浸透(浸炭)する等の腐食が進行する。そして、炭素汚れの大量付着又は炉材腐食の進行により、触媒を担持した基材周囲のガス組成がCNT成長に最適な条件から外れてしまい、CNTの製造量低下及び品質劣化が生じるという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、CNTの成長環境を向上させ、効率よく高品質なCNTを製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上記問題点は、以下の2つの理由によって発生すると推測している。
1:炭素汚れと触媒賦活物質が化学反応を起こしてCO又はCO2が生成することによりガス組成が変化すること。
2:炭素汚れ又は炉材腐食によって炉壁面又は炉内における熱伝導性が変化し、原料ガスの熱分解量が変化すること。
そして、本発明者は、カーボンナノチューブの収量と、カーボンナノチューブを成長させる基材周囲の水素、メタン、又は、エタンの濃度とが相関すること、及び、CNT成長中の基材周囲のガス成分の濃度をモニタリングし、その濃度に基づき触媒賦活物質の供給量をフィードバック制御すれば、基材周囲のCNT成長環境を最適な環境に維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、表面に触媒を担持した基材上にカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒にカーボンナノチューブの原料ガス及び触媒賦活物質を供給し、且つ、前記触媒及び前記原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、前記基材上にカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、前記成長工程中の前記基材周囲のガス成分の濃度を複数回測定し、複数回測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガス成分の濃度が最大になるときの前記触媒賦活物質の供給量を抽出し、前記成長工程において供給する前記触媒賦活物質の供給量を、抽出した供給量に補正するフィードバック制御工程とを包含することを特徴としている。
上記の構成によれば、成長工程中にカーボンナノチューブを成長させる基材周囲のガス成分の濃度を予め複数回測定する。そして、ガス成分の濃度の複数の測定値のうちから、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガスの濃度が最大になる測定値を選択する。
次に、選択した測定値のガス成分の濃度が得られた時の触媒賦活物質の供給量を抽出する。そして、抽出した供給量になるように、成長工程において供給する触媒賦活物質の供給量を補正する。これにより、基材周囲のガス成分濃度を、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガス成分の濃度が最大になるように維持することができる。
ここで、基材周囲の水素、メタン、及び、エタンの濃度と、カーボンナノチューブの収量とは相関するため、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガス成分の濃度が最大になるように触媒賦活物質の供給量を制御することによって、基材周囲のカーボンナノチューブの成長環境を最適な環境に維持することが可能である。これにより、炭素汚れの付着を防ぎ、効率よく高品質なカーボンナノチューブを製造することができる。
また、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、前記フィードバック制御工程において、複数回測定した前記ガス成分の濃度のうち、水素の濃度が最大になるときの前記触媒賦活物質の供給量を抽出することが好ましい。
上記の構成によれば、フィードバック制御工程において、基材周囲においてより多く検出される水素濃度に基づいて触媒賦活物質の供給量をフィードバック制御するので、検出誤差が生じにくく、より確実にカーボンナノチューブの成長環境を最適化することができる。
さらに、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法において、前記基材周囲のガス成分は、エチレンを含むことが好ましい。
これにより、効率よくカーボンナノチューブを製造することができる。
また、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、前記成長工程の前に、前記成長工程において前記触媒及び前記原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する設定工程をさらに包含し、前記設定工程において、前記基材を収容する位置の周囲に、カーボンナノチューブの原料ガス及び触媒賦活物質を供給し、且つ、前記原料ガスを加熱し、前記基材を収容する位置の周囲のガス成分の濃度を測定し、測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガス成分の濃度が、所望のカーボンナノチューブを成長させるときの濃度になるように、前記加熱温度を設定することが好ましい。
上記の構成によれば、成長工程の前に、設定工程において、成長工程中に触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する。設定工程においては、まず、成長工程において基材が収容される位置の周囲に、カーボンナノチューブの原料ガス及び触媒賦活物質を供給し、供給した原料ガスを加熱して熱分解させる。そして、基材が収容される位置の周囲のガス成分の濃度を測定する。
ここで、基材が収容される位置の周囲のガス成分の濃度は、基材が収容される位置の周囲の温度に相関する。所望のカーボンナノチューブを成長させるときの、基材が収容される位置の周囲の温度は予め測定することができるので、これに基づいて、所望のカーボンナノチューブを成長させるときの、基材が収容される位置の周囲のガス成分の濃度の情報を得ることができる。そして、測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガス成分の濃度が、所望のカーボンナノチューブを成長させる濃度になるように、触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する。
これにより、カーボンナノチューブを成長させる基材周囲の環境を、所望のカーボンナノチューブが得られる環境にすることができる。
また、測定したガス成分の濃度に基づいて触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定することができるので、基材が収容される位置の周囲の温度を直接測定することなく、基材が収容される位置の周囲の温度を正確に制御することができる。
本発明によれば、カーボンナノチューブの成長環境を向上させることができるので、効率よくカーボンナノチューブを製造することができる。
本発明に係る製造方法において使用するCNTの製造装置の成長ユニットの一実施形態を示す模式図である。 図1に示す成長ユニット内の原料ガスが流動する様子を模式的に示す図である。 図1に示す成長ユニット内のヒーターの位置を模式的に示す図である。 本発明に係る製造方法において使用するCNTの製造装置の一実施形態を示す模式図である。 触媒賦活物質としての水の添加量とガス濃度との関係を示す図である。 図5のガス濃度を示す目盛の大きさを変更して、結果の一部を表示した図である。 触媒賦活物質としての二酸化炭素の添加量とガス濃度との関係を示す図である。 図7のガス濃度を示す目盛の大きさを変更して、結果の一部を表示した図である。 成長ユニットの設定温度とガス濃度との関係を示す図である。 成長ユニットの設定温度とCNTの収量及び比表面積との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
本発明に係るCNTの製造方法は(以下、単に「本発明に係る製造方法」とも称する。)、表面に触媒を担持した基材上にCNTを成長させるCNTの製造方法である。そして、本発明に係る製造方法は、CNTを成長させる成長工程と、触媒賦活物質の供給量を補正するフィードバック制御工程とを包含し、任意に、成長工程において触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する設定工程を更に含む。
〔CNT〕
まず、本発明に係る製造方法により得られるCNTについて説明する。
本発明に係る製造方法において製造されるCNTは、基材から成長した多数のCNTが特定の方向に配向した構造体(以下、「CNT配向集合体」ということがある。)を形成することが好ましい。
得られるCNTの好ましい比表面積は、CNTが主として未開口のものにあっては、600m2/g以上であり、より好ましくは、800m2/g以上である。比表面積が高いほど、製造したCNT中の金属などの不純物もしくは炭素不純物を数十パーセント(40質量%程度)より低く抑えることができるので好ましい。
なお、カーボンナノチューブの比表面積は、BET法により求めることができる。
また、CNT配向集合体を構成するCNTの質量密度は、0.002g/cm3以上、0.2g/cm3以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm3以下であれば、CNT配向集合体を構成するCNT同士の結びつきが弱くなるので、CNT配向集合体を溶媒などに分散させた際に、均質に分散させることが容易になる。つまり、質量密度を0.2g/cm3以下とすることで、均質な分散液を得ることが容易となる。また、質量密度が0.002g/cm3以上であれば、CNT配向集合体の一体性を向上させ、CNTがバラけることを抑制できるため、取扱いが容易になる。
特定方向に配向したCNT配向集合体は、高い配向度を有していることが好ましい。ここで、高い配向度を有するとは、以下の1.から3.の少なくともいずれか1つ以上を満たすことを指す。
1.CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ、第1方向からの反射強度が第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在する。
2.CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現する。
3.ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法又はラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0より大きく1以下、より好ましくは0.25以上、1未満である。
なお、CNT配向集合体は、前述のX線回折において、単層CNT間のパッキングに起因する(CP)回折ピーク及び(002)ピークの回折強度と、単層CNTを構成する炭素六員環構造に起因する(100)、(110)ピークの平行(第1方向)と垂直(第2方向)との各入射方向の回折ピーク強度との度合いが互いに異なることも好ましい。
CNT配向集合体が配向性、及び高比表面積を示すためには、CNT配向集合体の高さ(長さ)は10μm以上、10cm以下の範囲にあることが好ましい。高さが10μm以上であると、配向性が向上する。また、高さが10cm以下であると、CNTの生成を短時間で行なえるため炭素系不純物の付着を抑制でき、比表面積を向上できる。
CNTのG/D比は好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。G/D比とはCNTの品質を評価するのに一般的に用いられている指標である。ラマン分光装置によって測定されるCNTのラマンスペクトルには、Gバンド(1600cm-1付近)とDバンド(1350cm-1付近)と呼ばれる振動モードが観測される。GバンドはCNTの円筒面であるグラファイトの六方格子構造由来の振動モードであり、Dバンドは非晶箇所に由来する振動モードである。よって、GバンドとDバンドのピーク強度比(G/D比)が高いものほど、結晶性の高いCNTと評価できる。
〔CNT製造装置の一例〕
次に、本発明に係る製造方法において使用するCNTの製造装置の一実施形態について、図1〜4に基づいて以下に説明する。図1は、本発明に係る製造方法において使用するCNTの製造装置の成長ユニットの一実施形態を示す模式図である。図2は、図1に示す成長ユニット内の原料ガスが流動する様子を模式的に示す図である。図3は、図1に示す成長ユニット内のヒーターの位置を模式的に示す図である。図4は、本発明に係る製造方法において使用するCNTの製造装置の一実施形態を示す模式図である。
図4に示すように、CNT製造装置100は、入口パージ部101、フォーメーションユニット102、ガス混入防止手段103、成長ユニット10、冷却ユニット105、出口パージ部106、搬送ユニット107、及び、接続部108〜110を備えている。
フォーメーションユニット102はフォーメーション炉102aを備えており、成長ユニット10は成長炉11を備えており、更に、冷却ユニット105は冷却炉105aを備えている。入口パージ部101とフォーメーション炉102aの炉内空間とは接続部108によって空間的に連結された状態になっている。また、フォーメーション炉102aの炉内空間と成長炉11の炉内空間とは接続部109によって空間的に連結された状態になっている。更に、成長炉11の炉内空間と冷却炉105aの炉内空間とは接続部110によって空間的に連結された状態になっている。
(入口パージ部101)
CNT製造装置100の入口には入口パージ部101が設けられている。入口パージ部101とは、CNTの成長反応用の触媒を担持した基材111を搬入する入口から装置炉内へ外部空気が混入することを防止するための装置一式のことである。入口パージ部101は、装置内に搬送された基材111の周囲環境をパージガスで置換する機能を有する。
入口パージ部101は、パージガスを上下からシャワー状に噴射するガスカーテン構造となっている。これにより、入口から製造装置100内に外部の空気が混入することを防止している。入口パージ部101は、例えば、パージガスを保持するための炉又はチャンバ、及び、パージガスを噴射するための噴射部等により構成されてもよい。
パージガスとしては不活性ガスが好ましく、特に安全性、コスト、及び、パージ性等の点から、窒素であることが好ましい。
本実施形態のように基材111を搬送する搬送ユニット107がベルトコンベア方式である場合など、基材111の入口が常時開口しているような場合には、入口パージ部101は、上述したガスカーテン構造であることが好ましい。この構成により、基材111の入口からCNT製造装置100の内部に外部の空気が混入することを防止することができる。
(フォーメーションユニット102)
フォーメーションユニット102とは、基材111上の触媒を還元するフォーメーション工程を実施するための装置一式のことである。フォーメーションユニット102は、基材111の表面に形成された触媒の周囲環境を還元ガス環境にすると共に、触媒及び還元ガスのうち少なくとも一方を加熱する機能を有する。
フォーメーションユニット102は、還元ガスを保持するためのフォーメーション炉102aと、還元ガスをフォーメーション炉102a内に噴射するための噴射部102bと、触媒及び還元ガスの少なくとも一方を加熱するためのヒーター102cとにより構成される。
還元ガスの噴射部102bには、複数の噴射口を備えるシャワーヘッドを用いてもよい。かかる噴射部102bは、基材111の触媒形成面を臨む位置に設けられている。臨む位置とは、各噴射口における噴射軸線と基材111の法線との成す角が0以上90°未満となる位置である。つまり、噴射部102bにおける噴射口から噴出するガス流の方向が、基材111に概ね直交するようにされている。
噴射部102bにこのようなシャワーヘッドを用いれば、還元ガスを基材111上に均一に散布することができ、基材111上の触媒を効率良く還元することができる。その結果、基材111上に成長するCNTの均一性を高めることができ、かつ、還元ガスの消費量を削減することもできる。
ヒーター102cは、加熱することができるものであれば限定されず、ヒーター102cとしては、例えば、抵抗加熱ヒーター、赤外線加熱ヒーター、電磁誘導式ヒーターなどが挙げられる。加熱の温度としては400℃から1100℃の範囲が好ましい。
噴射部102bから噴射する還元ガスは、一般的には、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態である微粒子化の促進、及び、触媒の活性向上のうち少なくとも一つの効果を持つ、気体状のガスである。還元ガスとしては、例えば、水素ガス、アンモニア、水蒸気、及び、それらの混合ガスを適用することができる。また、これらをヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスと混合した混合ガスでもよい。還元ガスは、一般的には、フォーメーション工程で用いるが、適宜成長工程に用いてもよい。なお、成長工程において水素などの還元ガスを用いる場合、通常、還元ガスは一定の流量で供給される。そのため、成長工程における水素などの還元ガスの使用は、後に詳細に説明するフィードバック制御工程には殆ど影響を与えない。
(成長ユニット10)
成長ユニット10とは、例えば化学気相成長法(CVD)法により基材上にCNTを成長させる成長工程を実施するための装置一式のことである。
図1〜4に示すように、成長ユニット10は、成長炉11、噴射部12、排気部13を備えている。成長ユニット10の上部には排気口15(第一の排気口)が設けられている。また、図1〜2に示すように、成長ユニット10は、成長炉11内にガス成分濃度測定部16を備えている。更に、図3に示すように、成長ユニット10は、成長炉11の周囲にヒーター17〜20を備えている。
<成長炉11>
次に、成長ユニット10を構成する各部材について説明する。成長炉11は、基材111の周囲を原料ガス環境として、原料ガス環境を保持するための炉であり、CNTを成長させるときに基材111を格納する炉である。
図1に示すように、成長炉11の底面は基材111の載置面14となっている。成長工程の際には載置面14の上に基材111が載置される。
成長炉11の上方には排気口15が設けられている。排気口15は、噴射部12から見て、基材111が載置される載置面14とは反対側にある。そして、排気口15は、噴射口12aより噴射されて基材111に接触した後の原料ガスを排出するためのものである。噴射部12から供給された原料ガスは後述する排気部13を介して排気口15から矢印Xの方向に成長炉11外に排出される。排気口15から原料ガスを排気するための機構は、ポンプ等の吸引手段で吸引するなど、従来公知の方法を適宜採用し得る。
排気口15は、成長炉11の内壁に設けられ、成長炉11内の原料ガスを成長炉11外に排出するための配管に接合している開口部である。排気口15は、噴射部12から見て、基材111が載置される載置面14とは反対側にあり、噴射口12aより噴射されて基材111に接触した後の原料ガスを排出する。しかし、排気口15及びこれに繋がる配管の形態は、これに限定されない。例えば、排気部13に相当する面を有し、排気口13aとは反対側に配管のついた、横から見て凸型のユニットのような形態でもよい。
<噴射部12>
噴射部12は、CNTの原料となる原料ガス及び触媒賦活物質を基材111に対して供給するためのものである。噴射部12は、管が櫛状に並んだ形状となっている。個々の管には、複数の噴射口12aが並んで形成される噴射口列が設けられている。このように噴射口列が設けられた管を櫛状に配置することで、基材111に対してより均一に原料ガス及び触媒賦活物質を供給することができる。
図2に示すように、噴射口12aは基材111の触媒形成面を臨む位置に設けられている。臨む位置とは、各噴射口12aにおける噴射軸線と基材111の法線との成す角が0以上90°未満となる位置である。つまり、噴射部12における噴射口12aから噴出するガス流の方向が、基材111に概ね直交するようにされている。噴射部12をこのように構成することで、原料ガス及び触媒賦活物質を基材上に均一に散布することができる。
なお、原料ガスと触媒賦活物質とは、異なる供給管から成長炉11内に供給されてもよいし、同一の供給管から成長炉11内に供給されてもよい。原料ガスと触媒賦活物質とを同一の供給管から成長炉11に供給する場合、これらを異なる噴射口12aから噴射してもよいし、同一の噴射口12aから噴射してもよい。
噴射部12は、触媒賦活物質の供給管などに触媒賦活物質濃度の計測装置を備えている。この計測装置において触媒賦活物質の供給量を測定し、測定値を用いて供給量を補正することによって、経時変化の少ない安定な触媒賦活物質の供給を行なうことができる。
また、成長炉11は、触媒賦活物質を成長炉11内に供給する触媒賦活物質添加部(図示せず)を、噴射部12とは別に備えていてもよい。触媒賦活物質添加部を別途設ける場合には、噴射部12は原料ガスを供給するためのものとなる。このような触媒賦活物質添加部による触媒賦活物質の供給方法としては、特に限定されることはないが、例えば、バブラーによる供給、触媒賦活物質を含有した溶液を気化しての供給、触媒賦活物質の気体そのままでの供給、及び固体触媒賦活物質を液化・気化しての供給、などが挙げられる。そして、触媒賦活物質添加部としては、気化器、混合器、攪拌器、希釈器、噴霧器、ポンプ、及び、コンプレッサなどの各種の機器を用いた供給システムを構築することができる。
<排気部13>
排気部13は、噴射部12と排気口15との間にあり、基材111に接触した後の原料ガスを排気口15に向けて排気する排気口13aが複数設けられた面を有する部材である。
排気部13は、噴射口12aより排気口15に近い側に配置されている。つまり、複数の排気口13aの全てが、複数の噴射口12aの全てより排気口15に近い側にある。これにより、成長ユニット10全体から残留ガスを排気する前に基材111と噴射口12aとの間から残留ガスを取り除き、基材111と噴射口12aとの間の空間に残留ガスの巻き戻しが混入するのを防止する。
排気部13は、基材111の載置面14に対向する面を有する板状構造となっている。当該面に、排気口13aが複数設けられている。面を有することで、基材111と排気部13の面との間に空間が形成される。この空間は当然、面が無い場合の成長炉11の内側全体の空間より小さい空間である。そのため、残留ガスが滞留及び拡散する領域が少なくなる。その小さな領域から速やかに残留ガスを排気するので、基材111と噴射部12との間の原料ガス等の濃度をより均一にすることができる。
ここで、成長ユニット10内の原料ガスが流動する様子を説明する。図2に示すように、まず、噴射口12aから原料ガスが基材111に向けて矢印aの方向に噴射される。噴射された原料ガスは基材111の表面に沿って矢印bの方向に流れる。そして、原料ガスは矢印cの方向に沿って流動し、矢印dの方向に動いて、隣接する噴射口12a間に位置する排気口13aから排出される。これにより、基材111上の全面において原料ガスの組成及び原料ガスの流速をより均一にすることができ、基材111の面積が大きくても、基材111上により均一な品質でCNTを成長させることができる。
<ガス成分濃度測定部16>
図1〜2に示すように、成長炉11内には、成長工程中の基材111周囲のガス成分の濃度を測定するガス成分濃度測定部16が設けられている。ガス成分濃度測定部16は、基材111の周囲のガス成分の濃度を測定することによって、基材111周囲のCNTの成長環境を監視する。
ガス成分濃度測定部16は、従来公知のガスセンサ及びガス分析装置などにより構成することができる。ガス成分濃度測定部16は、基材周囲のガス成分の濃度を測定できる位置であれば、任意の位置に設置することができる。中でも、ガス成分の濃度を正確に測る観点からは、ガス成分濃度測定部16は、成長炉11内に収容される基材111と排気部13との間に設けられていることが好ましく、噴射口12aよりも排気部13側に設けられていることが更に好ましい。また、ガス成分濃度測定部16は、基材111の周囲の複数の箇所においてガス成分濃度を測定可能なように、複数設けられていてもよい。
なお、「基材周囲」とは、基材の近傍及び基材周辺などと同様に、基材から一定の距離離れた位置までの範囲、すなわち、基材から一定の距離離れた位置までの空間を意味している。具体的には、「基材周囲」とは、基材までの最短距離が20cm以内の範囲であり、好ましくは基材までの最短距離が10cm以内の範囲であり、より好ましくは基材までの最短距離が5cm以内の範囲である。
<ヒーター>
図3に示すように、ヒーター17〜20は、触媒及び原料ガスのうちの少なくとも一方を加熱する。ヒーター17は、成長炉11の下側に位置する下面ヒーターであり、ヒーター18は、成長炉11を挟んでヒーター17に対向する位置、すなわち、成長炉11の上側に位置する上面ヒーターである。また、ヒーター19及びヒーター20は、成長炉11の側面に位置する側面ヒーターであり、成長炉11を介して互いに対向している。すなわち、ヒーター17〜20は、成長炉11の周囲を囲むように設けられている。
成長工程においては、ヒーター17〜20により成長炉11の外側から成長炉11内部を加熱することによって、成長炉11内に搬入された基材に担持された触媒、及び、成長炉11内に供給された原料ガスの少なくとも一方を加熱する。
ヒーター17〜20としては、成長炉11を加熱することができるものであれば限定されず、例えば、抵抗加熱ヒーター、赤外線加熱ヒーター、電磁誘導式ヒーターなどが挙げられる。
ヒーター17の温度は、ヒーター17と成長炉11との間に設けられた熱電対21の指示値に基づいて調整される。ヒーター18の温度は、ヒーター18と成長炉11との間に設けられた熱電対22の指示値に基づいて調整される。また、ヒーター19の温度は、ヒーター19と成長炉11との間に設けられた熱電対23の指示値に基づいて調整される。ヒーター20の温度は、ヒーター17と成長炉11との間に設けられた熱電対24の指示値に基づいて調整される。
なお、上述した成長炉11は反応ガス噴射部121を備えていてもよい。また、排気口15を通過したガスを成長ユニット10外に導く配管は排気流量安定化部120を備えていてもよい。
反応ガスとは、排気口15を通過したガス(残留ガス)を成長ユニット10外に導く際に配管の内側に付着する炭素固形物を低減するガスをいう。反応ガスは、例えば、残留ガスを低級アルカン類、一酸化炭素、又は、二酸化炭素に変化させることで、当該配管中に付着する炭素固形物の生成を抑制する機能を有するガスである。
反応ガスとしては、水素原子及び/又は酸素原子を含むものが好ましく、具体例としては、水素、アンモニア、酸素、オゾン、水蒸気等が挙げられる。中でも、取扱いの容易さ及び炭素固形物の生成抑制効果の大きさから、水素又は酸素が好ましい。残留ガスと反応ガスとの化学反応を効率良く進めるために、(i)残留ガスと反応ガスとが混合された後に温度を高温に保つ、(ii)反応ガスを高濃度にする、(iii)金属触媒を用いる、等をしてもよい。混合後の残留ガスと反応ガスとの温度を高温に保つ場合、その温度は400℃以上、より好ましくは600℃以上がよい。
残留ガス中に供給する反応ガス量は、反応ガスの濃度が、排気するガス全量に対する体積分率(標準状態換算)として、例えば5%以上、より好ましくは9%以上になるように制御するとよい。反応ガスとして酸素を用いる場合は、爆発の危険を回避するため、使用する原料ガスの炭素源に応じて決定される限界酸素濃度以下に供給量を抑えなければならない。また、酸素原子を含むガス(酸素、オゾン、又は、水)以外のガスを用いる場合は、残留ガスと反応ガスとの合計中に占める反応ガスの体積分率を100%より小さくすることがより好ましい。また、金属触媒としては、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金などを用いてもよい。この反応ガスは不活性ガスで希釈されていてもよい。
<反応ガス噴射部121>
図4に示すように、CNT製造装置100は、上述の反応ガスを噴射する反応ガス噴射部121を備えている。反応ガス噴射部121は、反応ガスが触媒及びCNT成長に使われる前の原料ガスと接触しないように、且つ、反応ガスがCNT成長に使われた後の原料ガス(残留ガス)とよく混合されて排気されるように、設計される必要がある。例えば、排気部13から排気される残留ガスが集約され、排気口15に送られる空間内(排気部13の面によって仕切られた空間)に直接反応ガスを噴射するように、反応ガス噴射部121を設計してもよい。また、反応ガス噴射部121は複数あってもよい。残留ガスと反応ガスとの混合ガスが高温である程、残留ガスと反応ガスとの化学反応が進み、炭素固形物の生成を防止することができるので、反応ガスを予め高温に加熱してもよい。
<排気流量安定化部120>
排気流量安定化部120とは、排気口15を通過したガスを成長ユニット10外に導く配管(排気管)に備えられ、長時間に亘るCNTの製造により当該配管に炭素固形物の付着が生じたとしても、当該配管からの排気流量を経時的に安定化することができる装置のことである。排気流量安定化部120は、少なくとも、排気管内の排気流量を可変にするための排気流量可変手段114、及び、当該配管の排気流量を測定するための排気流量測定手段115を備えている。また、炭素固形物付着防止手段122のように、当該配管内に炭素固形物が付着することを防止する手段をさらに備えていてもよい。
排気流量安定化部120は、排気流量測定手段115によって測定された排気流量値が、例えば、当該配管に予め設定された好適な排気流量を中心値として相対誤差で好ましくは±20%以内の範囲、より好ましくは±10%の範囲になるように、排気流量可変手段114によって排気流量を制御する。このような範囲を「制御範囲」ということとする。より具体的には、まず、排気流量測定手段115が、例えば測定された圧力差と排気温度とから、換算式に基づいて演算処理を行なうことなどによって、排気流量を算出(測定)する。次に、上記排気流量が予め設定された制御範囲の上限を上回った場合には、排気流量可変手段114が備える排気流量制御手段(図示せず)が、例えば排気流量可変手段114の吸引力を下げることなどにより排気流量を下げるように制御する。反対に、上記排気流量が上記制御範囲の下限を下回った場合には、例えば排気流量可変手段114の吸引力を上げるなどにより排気流量を上げるように制御する。なお、排気流量の補正は自動又は手動で行なわれてもよい。これによって、排気口からの排気流量を安定的に制御することが可能になる。
<排気流量測定手段115>
排気流量測定手段115とは、排気口15を通過したガスを成長ユニット10外に導く配管に備えられ、排気口15を通過して排気されるガスの排気流量を測定するための装置のことである。例えば、当該配管内の離れた少なくとも2箇所の圧力差を測定することで、排気流量を測定する機能を有していてもよく、当該配管内のガス温度を測定する機能をも有していることがより好ましい。具体的には、圧力差を測定するための差圧計、ガス温度を測定するための熱電対などが挙げられる。現状市販されている差圧計で精度良く測定できる圧力差は、例えば0.1Pa以上、より好ましくは1Pa以上である。そのため、排気流量の測定範囲で生じる圧力差が、例えば0.1Pa以上、より好ましくは1Pa以上になるように、測定する2箇所を十分に離すか、測定可能な圧力損失を生じさせるための圧力損失部を測定区間中に挿入することが好ましい。また、流量測定精度を向上させることなどを目的として、圧力測定箇所を3箇所以上に増やしてもよい。圧力測定箇所は距離が近すぎると圧力差が正確に測定できないことがあるため、圧力測定区間は排気口内径をDとして0.5D以上離して測定することがより好ましい。
圧力損失部としては、当該配管に挿入可能で、管の断面積を減少できるものであればよく、例えば、オリフィスプレート、ベンチュリ管、ノズル、多孔板などが挙げられる。通常、市販されているものは、定められた規格(JIS Z8762−1〜4)に準じており、形状及び測定方法などが標準化されている。規格に適合した圧力損失部を使用する場合、その規格に定められた計算式を用いて流量を算出する。ただし、その適用範囲としては、管内径が50mm以上且つレイノルズ数が5000以上という条件がある。レイノルズ数から最低必要流量を見積もると、およそ数百sLm程度となり、流量測定には大口径の排気口と大量の排気量とが条件となる。
排気流量測定手段115は、熱流体シミュレーションを用いるものであれば、通常の方法では適用範囲外となる管径及び流量条件でも精度良く排気流量を測定することが可能になるため好ましい。例えば、圧力損失部がオリフィスプレートの場合、損失する圧力差ΔPと流量Fとの関係式は下記式(1)となる。
Figure 0006164226
ここで、αは、排気ガスの温度、密度及び粘度の関数であり、熱流体シミュレーションの結果から導出することで、圧力差と排気流量との換算を精度良く行うことができる。熱流体シミュレーションを用いる場合、圧力損失部の形状は任意の形状でよく、また測定可能な流量範囲にも制限はない。
<排気流量可変手段114>
排気流量可変手段114とは、排気口15を通過したガスを成長ユニット10外に導く配管に備えられ、当該配管から排気されるガス流量を変化させるための装置のことである。排気流量可変手段114は、排気されるガスの流量を可変できる機能を有している。また、排気流量可変手段114は、排気流量測定手段115が測定した結果に基づいて、排気口15内の排気流量を変化させることができる。排気流量可変手段114として、具体的には、ガスを吸引するためのブロアー、ポンプ、エジェクターなどのガス吸引装置、ボールバルブ、シリンジバルブ、ゲートバルブなどの流量調整弁等が挙げられる。また、排気流量可変手段114としては、ガス(空気、窒素などが好ましい)を駆動流体としたエジェクターを用いて、駆動流体の流量をマスフローコントローラーで制御することでエジェクターの吸引力を制御する方法を用いるものであれば、排気流量の変動が抑えられるため、CNTの製造により好ましい。
<炭素固形物付着防止手段122>
炭素固形物付着防止手段122とは、排気口15を通過したガスを成長ユニット10外に導く配管内を流通する残留ガスを高温に加熱及び/又は保温することで、当該配管に炭素固形物が付着することを防止するものである。本実施形態において炭素固形物付着防止手段122とは、排気口15を通過したガスを成長ユニット10外に導く配管内であって、排気流量測定手段115によって圧力差が測定される区間における当該配管内を高温に加熱及び/又は保温することで、前記区間の配管内に炭素固形物が付着することを防止するための装置のことである。炭素固形物付着防止手段122を備えることによって、前記区間の配管内に付着する炭素固形物が減少するので、長時間に亘って正確な排気流量の測定が可能になる。よって、CNTの連続製造を、より長時間に亘って安定的に保つことが可能になる。
炭素固形物付着防止手段122として、例えば、当該配管を加熱するヒーター、当該配管を保温する断熱材などが挙げられる。炭素固形物の付着量は排気ガスの温度が高いほど低減する。炭素固形物付着防止手段122は、排気ガスの温度を例えば150℃以上、好ましくは300℃以上に加熱及び/又は保温することが好ましい。また、炭素固形物付着防止手段122は、排気ガスの温度を700℃以下に保つものであることが好ましい。700℃以下であれば、当該配管が浸炭されることによる強度劣化が生じたり、高温ガスに対するガスシールが困難になり当該配管を全溶接する必要が生じたりするなどの問題を抑制することができる。
(冷却ユニット105)
冷却ユニット105とは、CNTが成長した基材111を冷却する冷却工程を実施するための装置一式のことである。冷却ユニット105は、成長工程後のCNT、及び、基材111を冷却する機能を有する。
CNTが成長した基材111を冷却ユニット105にて冷却することにより、成長工程後のCNT、触媒、及び基材111の酸化を防止することができる。
冷却ユニット105は、水冷方式と空冷方式とを組み合わせた構成であり、不活性ガスを保持するための冷却炉105a、冷却炉105a内の空間に不活性ガスを噴射する冷却ガス噴射部105b、及び、冷却炉105a内の空間を囲むように配置した水冷冷却管105cにより構成される。なお、冷却ユニット105は、水冷方式のみの構成又は空冷方式のみの構成であってもよい。
(接続部108〜110)
接続部108〜110とは、上述した各ユニットの炉内空間を空間的に接続し、基材111がユニットからユニットへ搬送されるときに、基材111が外気に曝されることを防ぐための装置一式のことである。接続部108〜110としては、例えば、基材周囲環境と外気とを遮断し、基材111をユニットからユニットへ通過させることができる炉又はチャンバなどが挙げられる。
ここで、入口パージ部101とフォーメーションユニット102とは、接続部108によって空間的に接続されている。そして、接続部108には、ガス混入防止手段103の排気部103aが配置されており、入口パージ部101において噴射されたパージガスと、フォーメーション炉102aにおいて噴射部102bから噴射された還元ガスとの混合ガスが排気部103aから排気される。これによって、フォーメーション炉102a内の空間へのパージガスの混入、及び、入口パージ部101側への還元ガスの混入が防止される。
また、フォーメーションユニット102と成長ユニット10とは、接続部109によって空間的に接続されている。そして、接続部109には、ガス混入防止手段103の排気部103bが配置されており、フォーメーション炉102a内の空間の還元ガスと、成長炉11内の空間の原料ガス及び触媒賦活物質とが排気部103bから排気される。これにより、フォーメーション炉102a内の空間への原料ガス又は触媒賦活物質の混入、及び、成長炉11内の空間への還元ガスの混入が防止される。
成長ユニット10と冷却ユニット105とは、接続部110によって空間的に接続されている。そして、接続部110には、ガス混入防止手段103の排気部103cが配置されており、成長炉11内の空間の原料ガス及び触媒賦活物質と、冷却炉105a内の空間の不活性ガスとの混合ガスが排気部103cから排気される。これにより、冷却炉105a内の空間への原料ガス又は触媒賦活物質の混入、及び、成長炉11内の空間への不活性ガスの混入が防止される。
なお、CNT製造装置100は、成長ユニット10と冷却ユニット105との間の接続部110を加熱する加熱手段をさらに備えていてもよい。ここで、成長炉11の出口付近の温度が低下すると、原料ガスの分解物がアモルファスカーボンとなって、CNTの先端部に堆積する可能性がある。これによって、基材から垂直方向に成長するCNTにおける先端部(top)のG/D比が、根元部(bottom)のG/D比よりも小さくなる可能性がある。
しかし、成長ユニット10と冷却ユニット105との間の接続部110を加熱することにより、アモルファスカーボンの生成を抑制し、先端部のG/D比と根元部のG/D比との差を小さくすることができる。そのため、品質の安定したCNTを得ることが可能になる。
加熱手段の具体的な形態としては、例えば、後述するガス混入防止手段103のうち、成長ユニット10と冷却ユニット105との間のものに用いられるシールガスを加熱するものであってもよい。シールガスを加熱することによって成長炉11の出口及びその付近を加熱することができる。
(ガス混入防止手段103)
ガス混入防止手段103は、各ユニットの炉内空間に存在するガスが、相互に混入することを防ぐ機能を実現するための装置一式のことである。ガス混入防止手段103は、各ユニットの炉内空間を互いに空間的に接続する接続部108〜110に設置される。ガス混入防止手段103は、接続部108〜110内及び/又は各ユニットの接続部108〜110の近傍のガスを系外に排出する排気部103a〜103cを備えている。
なお、ガス混入防止手段103としては、本実施形態における構成に限らず、例えば、基材111がユニットからユニットに移動する時間以外の時間に、各ユニットの空間的な接続を機械的に遮断するゲートバルブ装置であってもよい。また、各ユニットの空間的な接続を不活性ガス噴射によって遮断するガスカーテン装置であってもよい。
ガス混入防止を確実に行うためには、ゲートバルブ装置及び/又はガスカーテンと、排気装置とを併用することが好ましい。また、基材のユニット−ユニット間搬送を途切れなく行なうことによって連続的なCNT成長を効率的に行うという観点、及び、製造装置の簡素化の観点からは、排気装置を単独で用いることがより好ましい。
また、ガス混入防止手段103は、各炉における基材111の入口及び出口の開口面に沿ってシールガスを噴出するシールガス噴射部と、主に噴射されたシールガス(及びその他近傍のガス)を各炉内に入らないように吸引して装置の外部に排気する排気部とを、それぞれ少なくとも1つ以上を備えていてもよい。シールガスが炉の開口面に沿って噴射されることで、シールガスが炉の出入り口を塞ぎ、炉外のガスが炉内に混入することを防ぐことができる。また、シールガスを製造装置外に排気することにより、シールガスが炉内に混入することを防ぐことができる。
シールガスは不活性ガスであることが好ましく、特に安全性、コストなどの点から窒素であることが好ましい。シールガス噴射部と排気部との配置としては、1つのシールガス噴射部に隣接して1つの排気部を配置してもよいし、基材111を搬送する搬送ユニット107のメッシュベルト107aを挟んでシールガス噴射部に対面するように排気部を配置してもよい。なお、ガス混入防止手段103の全体の構成が、炉長方向に対称な構造となるようにシールガス噴射部及び排気部を配置することが好ましい。
例えば、1つの排気部の両端にシールガス噴射部を2つ配置し、排気部を中心にして炉長方向に対称な構造とするとよい。また、シールガス噴射部から噴射される全ガス流量と排気部から排気される全ガス流量とはほぼ同量であることが好ましい。これによって、ガス混入防止手段を挟んだ両側の空間からのガスが相互に混入することを防止するとともに、シールガスが両側の空間に流出することも防止することが可能になる。このようなガス混入防止手段103を成長炉11の両端に設置することで、シールガスの流れと成長炉11内のガスの流れとが相互に干渉することを防止できる。また、シールガスの成長炉11内への流入によるガス流れの乱れも防止することができる。よって、CNTの連続製造に好適な装置を実現できる。
なお、CNT製造装置100に複数ある排気部103a〜103cの各排気量Qは、互いに独立に決定することはできない。排気量は、装置全体のガス供給量(還元ガス流量、原料ガス流量、及び、冷却ガス流量など)に応じて調整する必要がある。だたし、ガス混入防止を満たすための必要条件は以下の式のように示すことができる。
Q≧4DS/L
式中、Dは混入を防止したいガスの拡散係数、Sはガス混入を防止する境界の断面積、Lは排気部の長さ(炉長方向)である。この条件式を満たし、かつ装置全体の給排気バランスを保つように、各排気部103a〜103cの排気量が設定される。
ここで、原料ガスがフォーメーション炉102a内の空間に混入すると、CNTの成長に悪影響を及ぼす。そのため、ガス混入防止手段103は、フォーメーション炉102a内の還元ガス環境中の炭素原子個数濃度を5×1022個/m3以下、より好ましくは1×1022個/m3以下に保つように機能することが好ましい。ここで、炭素原子個数濃度は、還元ガス環境中の各ガス種(i=1、2、・・・)に対して、濃度(ppmv)をD1、D2・・・、標準状態での密度(g/m3)をρ1、ρ2・・・、分子量をM1、M2・・・、ガス分子1つに含まれる炭素原子数をC1、C2・・・、アボガドロ数をNAとして下記数式(2)で計算できる。
Figure 0006164226
フォーメーション炉102a内の還元ガス環境中の炭素原子個数濃度を5×1022個/m3以下に保つことによって、CNTの製造量及び品質を良好に保つことができる。つまり、炭素原子個数濃度を5×1022個/m3以下とすることによって、フォーメーション工程において、触媒の還元、CNTの成長に適合した状態への触媒の微粒子化促進、及び、触媒の活性向上等の効果を良好に発揮し、ひいては、成長工程におけるCNTの製造量及び品質を良好に保つことができる。
(出口パージ部106)
CNT製造装置100の出口には、入口パージ部101とほぼ同様の構造をした出口パージ部106が設けられている。出口パージ部106とは、基材111を搬出する出口からCNT製造装置100の内部に外部の空気が混入することを防止するための装置一式のことである。出口パージ部106は、基材111の周囲環境をパージガス環境にする機能を有する。
出口パージ部106は、パージガスを上下からシャワー状に噴射することで、出口から冷却炉105a内に外部の空気が混入することを防止している。なお、出口パージ部106は、パージガス環境を保持するための炉又はチャンバ、及び、パージガスを噴射するための噴射部等により構成されてもよい。
パージガスとしては、不活性ガスが好ましく、特に安全性、コスト、及び、パージ性等の点から窒素であることが好ましい。
基材111を搬送する搬送ユニット107がベルトコンベア方式である場合など、基材111の出口が常時開口しているような場合は、出口パージ部106は、上述したようなガスカーテン構造であることが好ましい。この構成により、基材111の出口からCNT製造装置100の内部に外部の空気が混入することを防止することができる。
(搬送ユニット107)
搬送ユニット107とは、複数の基材111をCNT製造装置100内に連続的に搬入するために必要な装置一式のことである。搬送ユニット107は、メッシュベルト107aとベルト駆動部107bとを備えている。基材111は、搬送ユニット107によって各炉内空間を、フォーメーションユニット102、成長ユニット10、及び、冷却ユニット105の順に搬送されるようになっている。
CNT製造装置100の搬送ユニット107は、ベルトコンベア式のものであり、フォーメーション炉102a内の空間から成長炉11内の空間を経て冷却炉105a内の空間へと、表面に触媒が形成された基材111を搬送する。搬送ユニット107は、例えば減速機付き電動モータなどを用いたベルト駆動部107bで駆動されるメッシュベルト107aによって基材111を搬送する。ここで、フォーメーション炉102a内の空間と成長炉11内の空間との間、及び、成長炉11内の空間と冷却炉105a内の空間との間は、接続部109及び110によって空間的に接続されている。これにより、基材111を載置したメッシュベルト107aは、各炉間を通過することができる。
なお、CNT製造装置が、連続式にCNTを製造するものである場合であって、搬送ユニットを備える場合、その具体的な構成としては、上述した構成に限らず、例えば、マルチチャンバ方式におけるロボットアーム、ロボットアーム駆動装置等などであってもよい。
(還元ガス又は原料ガスに曝される装置部品の材質)
ここで、CNT製造装置100において、還元ガス又は原料ガスに曝される装置部品は、フォーメーションユニット102、成長ユニット10、搬送ユニット107、ガス混入防止手段103、及び、接続部108〜110の一部部品である。具体的には、還元ガス又は原料ガスに曝される装置部品としては、フォーメーション炉102a、還元ガスの噴射部102b、成長炉11、原料ガスの噴射部12、メッシュベルト107a、ガス混入防止手段103の排気部103a〜103c、及び、接続部108〜110の炉等が挙げられる。
還元ガス又は原料ガスに曝される装置部品の材質としては、高温に耐えられる材質、例えば、石英、耐熱セラミック、金属などが挙げられる。加工の精度、自由度、及び、コスト等の点から金属が好ましい。金属としては、耐熱合金等が挙げられる。耐熱合金としては、耐熱鋼、ステンレス鋼、及び、ニッケル基合金等が挙げられる。Feを主成分として、他の合金濃度が50%以下のものが、耐熱鋼と一般に呼ばれる。また、Feを主成分として、他の合金濃度が50%以下であり、Crを約12%以上含有する鋼は、一般にステンレス鋼と呼ばれる。また、ニッケル基合金としては、NiにMo、Cr及びFe等を添加した合金が挙げられる。具体的には、SUS310、インコネル600、インコネル601、インコネル625、インコロイ800、MCアロイ、及び、Haynes230アロイなどが、耐熱性、機械的強度、化学的安定性、及び、低コストなどの点から好ましい。
炉内壁及び/又は炉内使用部品を金属で構成する際に、材質を耐熱合金とし、且つ、その表面を溶融アルミニウムめっき処理、若しくは、その表面が算術平均粗さRa≦2μmとなるように研磨処理することが好ましい。この構成により、高炭素環境下でCNTを成長させた場合に、壁面などに付着する炭素汚れを低減することができる。これによって、CNTの製造量の低下及び品質の劣化を防ぐことができ好適である。
なお、算術平均粗さRaの定義は、「JIS B0601:2001」に準拠するものとする。
<溶融アルミニウムめっき処理>
溶融アルミニウムめっき処理とは、溶融アルミニウム浴中に被めっき材料を浸漬することによって、被めっき材の表面にアルミニウム又はアルミニウム合金層を形成する処理をいう。処理方法の一例は次の通りである。被めっき材(母材)の表面を洗浄した(前処理)後、約700℃の溶融アルミニウム浴中に浸漬させることによって、母材表面中へ溶融アルミニウムの拡散を起こさせ、母材とアルミとの合金を生成し、浴より引上げた時にその合金層にアルミニウムを付着させる。さらに、その後に、表層のアルミナ層並びにアルミ層を低温熱拡散処理し、その下のFe−Al合金層を露出させる処理を行ってもよい。
<研磨処理>
耐熱合金を算術平均粗さRa≦2μmにするための研磨処理方法としては、バフ研磨に代表される機械研磨、薬品を利用する化学研磨、電解液中にて電流を流しながら研磨する電解研磨、及び、機械研磨と電解研磨とを組み合わせた複合電解研磨等が挙げられる。
以上のように、CNT製造装置100では、表面に触媒を有する基材111を搬送ユニット107によって連続的に搬送しつつ、基材111を、入口パージ部101、フォーメーションユニット102、成長ユニット10、冷却ユニット105、及び、出口パージ部106に順次通過させる。その間に、フォーメーションユニット102における還元ガス環境下で触媒が還元され、成長ユニット10における原料ガス環境下で基材の表面にCNTが成長し、冷却ユニット105において冷却される。
ここで、上記一実施形態においては、フォーメーションユニット102、成長ユニット10、及び、冷却ユニット105の順に各ユニットを設けて、接続部108〜110にて各炉内空間を空間的に接続している。しかし、本発明に係る製造方法において使用するCNTの製造装置では、フォーメーション工程、成長工程、及び、冷却工程以外の他の工程を実施するユニットをどこかに複数追加して、接続部にて各ユニットの炉内空間を空間的に接続してもよい。
また、上記一実施形態においては、フォーメーションユニット102、成長ユニット10、及び、冷却ユニット105の各ユニットの配置が直線状配置である場合について説明した。しかし、これに制限されるものではなく、これらのユニットは、例えば環状配置であってもよい。
更に、上記一実施形態においては、CNTを連続的に製造するために好適な形態である、フォーメーションユニット102及び成長ユニット10を別々に設けて、基材111をそれぞれのユニットに連続的に搬入する形態について説明した。しかし、本発明に係る製造方法において用いるCNT製造装置はこのような形態に限定されない。CNT製造装置は、例えば、一つの炉でフォーメーション工程及び成長工程を行なう、バッチ式の製造装置であってもよい。この場合、CNT製造装置が備える成長ユニットの噴射部等によって、フォーメーション工程で必要な還元ガスの供給等を行なうことができる。そのため、基材上により均一に触媒の層を形成できるという利点を有する。
〔CNTの製造方法〕
次に、本発明に係る製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下では、上述したCNTの製造装置の一実施形態を用いて本発明に係る製造方法を実施する場合について説明をするが、本発明に係る製造方法では、上述したCNTの製造装置の一実施形態以外のCNT製造装置を用いてもよい。
ここで、本発明に係る製造方法の一実施形態では、基材上の触媒を還元するフォーメーション工程と、CNTを成長させる成長工程と、CNTが成長した基材を冷却する冷却工程とを順次実施して、基材上にCNTを成長させる。そして、本発明に係る製造方法の一実施形態は、成長工程において供給する触媒賦活物質の量を補正するフィードバック制御工程を実施することを特徴の1つとする。また、本発明に係る製造方法の一実施形態は、成長工程において触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する設定工程を実施することを特徴の1つとする。
以下、各工程について順次説明する。
(フォーメーション工程)
フォーメーション工程とは、基材に担持された触媒の周囲環境を還元ガス環境とすると共に、触媒及び/又は還元ガスを加熱する工程である。この工程により、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態である微粒子化の促進、及び、触媒の活性向上のうち少なくとも一つの効果が現れる。
フォーメーション工程は、CNTの製造装置100に設けられたフォーメーションユニット102において実施し得る。
<基材>
ここで、本発明に係る製造方法で使用する基材は、基板を備え、その表面にはCNTの成長反応用の触媒が担持されている。
−基板−
基材を構成する基板は、その表面にCNT成長反応用の触媒を担持することのできる部材であればよい。基板は、400℃以上の高温でも形状を維持できることが好ましい。その材質としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、及びアンチモンなどの金属、並びに、これらの金属を含む合金及び酸化物;シリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイト、及びダイヤモンドなどの非金属;並びにセラミックなどを例示できる。金属は、シリコン及びセラミックと比較して、低コストであるので好ましく、特に、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金、Fe−Cr−Ni(鉄−クロム−ニッケル)合金等は好適である。
−基材の形状−
基材の形態は、平板状、薄膜状、ブロック状などが挙げられる。特に体積の割に表面積を大きくとれる平板状が、大量にCNTを製造する場合において有利である。
平板状の基材を使用する場合、基材の厚さに特に制限はなく、例えば数μm程度の薄膜から数cm程度までのものを用いることができる。厚さは、好ましくは0.05mm以上3mm以下である。基材の厚さが3mm以下であれば、後述する成長工程(CVD工程)で基材を十分に加熱することができ、CNTの成長不良を抑制することができると共に、基材のコストを低減できる。また、基材の厚さが0.05mm以上であれば、浸炭による基材の変形を抑えることができると共に、基材自体のたわみが起こりにくいため基材の搬送や再利用に有利である。なお、本明細書にいう浸炭とは基材に炭素成分が浸透することをいう。
平板状の基材の形状、大きさに特に制限はないが、形状としては、長方形もしくは正方形のものを用いることができる。基材の一辺の大きさに特に制限はないが、CNTの量産性の観点から、大きいほど望ましい。本発明によれば、大型の基材を好適に用いることができる。本発明によれば、例えば、一辺が100mm以上1000mm以下の基材の上に、より均一にCNTを製造することができる。
−浸炭防止層−
基材の表面及び裏面のうち少なくともいずれか一方には、浸炭防止層が形成されていてもよい。表面及び裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、カーボンナノチューブの成長工程において、基材が浸炭されて変形することを防止するための保護層である。
浸炭防止層は、金属又はセラミック材料によって構成されることが好ましく、特に浸炭防止効果の高いセラミック材料であることが好ましい。金属としては、銅及びアルミニウム等が挙げられる。セラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカアルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛などの酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物が挙げられる。なかでも、浸炭防止効果が高いことから、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が好ましい。
−触媒−
基材(基材上に浸炭防止層が形成されている場合には浸炭防止層)の表面には、触媒が担持されている。触媒としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、並びにこれらの塩化物及び合金が挙げられる。また、触媒は、これらがさらにアルミニウム、アルミナ、チタニア、窒化チタン、酸化シリコンと複合化したものであってもよい。更に、触媒は、層状になっていてもよい。具体的には、触媒としては、例えば、鉄−モリブデン薄膜、アルミナ−鉄薄膜、アルミナ−コバルト薄膜、及びアルミナ−鉄−モリブデン薄膜、アルミニウム−鉄薄膜、アルミニウム−鉄−モリブデン薄膜などを例示することができる。触媒の存在量としては、CNTの製造が可能な範囲であればよい。例えば鉄を用いる場合、鉄の膜厚は、0.1nm以上100nm以下が好ましく、0.5nm以上5nm以下がさらに好ましく、0.8nm以上2nm以下が特に好ましい。
基材表面への触媒の形成は、ウェットプロセス又はドライプロセスのいずれを適用してもよい。具体的には、スパッタリング蒸着法や、金属微粒子を適宜な溶媒に分散させた液体の塗布・焼成による方法などを適用することができる。また周知のフォトリソグラフィーやナノインプリンティング等を適用したパターニングを併用して触媒を任意の形状とすることもできる。これらの中でも、基材表面への触媒の形成は、ウェットプロセスにより行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、基材上に成膜する触媒のパターニング及びCNTの成長時間により、CNT配向集合体の形状を、薄膜状、円柱状、角柱状、及びその他の複雑な形状をしたものなどの任意の形状に制御することができる。特に薄膜状のCNT配向集合体は、その長さ及び幅寸法に比較して厚さ(高さ)寸法が極端に小さいが、長さ及び幅寸法は、触媒のパターニングによって任意に制御可能であり、厚さ寸法は、CNT配向集合体を構成する各CNTの成長時間によって任意に制御可能である。
<触媒の周囲環境の調整>
フォーメーション工程では、例えば、噴射部102bから還元ガスを供給したフォーメーション炉102a内に基材111を搬入することにより、基材111に担持された触媒の周囲環境を還元ガス環境とする。
なお、還元ガスとしては、例えば、水素ガス、アンモニア、水蒸気、及び、それらの混合ガス、或いは、これらをヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスと混合した混合ガスを用いることができる。
<触媒及び/又は還元ガスの加熱>
フォーメーション工程における触媒及び/又は還元ガスの加熱は、例えば、ヒーター17〜20を用いて行う。加熱された触媒及び/又は還元ガスの温度は、好ましくは400℃以上、1100℃以下である。
そして、フォーメーション工程では、例えば触媒として鉄を用いる場合、基材上に水酸化鉄薄膜又は酸化鉄薄膜が形成され、同時に若しくはその後に薄膜の還元及び微粒子化がおこり、鉄の微粒子が形成される。また、浸炭防止層の材質がアルミナであり、且つ、触媒が鉄である場合、鉄触媒層は還元されて微粒子化し、アルミナ層上にナノメートルサイズの鉄微粒子が多数形成される。これにより触媒はCNTの生産に好適な触媒に調製される。
なお、フォーメーション工程の実施時間は、3分以上、30分以下が好ましく、3分以上、8分以下がより好ましい。フォーメーション工程の時間がこの範囲であれば、触媒微粒子の粗大化が防止され、後段の成長工程における多層カーボンナノチューブの生成を抑制することができる。
(成長工程)
成長工程とは、触媒を担持した基材上に、原料ガス及び触媒賦活物質を供給して触媒および基材の周囲環境を原料ガス環境とすると共に、触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、CNTを成長させる工程である。すなわち、成長工程では、例えばフォーメーション工程を行った後の基材上に、化学気相成長法(CVD)法によりCNTを成長させる。この工程により、基材上にCNTが成長する。
成長工程は、CNTの製造装置100に設けられた成長ユニット10において実施し得る。
<原料ガス及び触媒賦活物質の供給>
成長ユニット10における成長工程では、基材111を搬入した成長炉11に、CNTの原料ガス及び触媒賦活物質を供給した後に、又は、原料ガス及び触媒賦活物質を供給しながら、CVD法により基材上にCNTを成長させればよい。成長工程において、CNTの成長反応が行なわれる雰囲気中に触媒賦活物質を存在させることによって、CNTの生産効率や純度をより一層改善することができる。
<触媒及び/又は原料ガスの加熱>
なお、触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱するにあたって、その両方を加熱することがより好ましい。また、加熱する温度としては、CNTの成長が可能な温度であればよいが、好ましくは400℃以上、1100℃以下であり、より好ましくは600℃以上、900℃以下である。上記温度範囲であれば、触媒賦活物質の効果を良好に発現させることができ、かつ、触媒賦活物質が生成したCNTと反応することを抑制できる。
ここで、成長工程における圧力は、102Pa以上、107Pa(100大気圧)以下が好ましく、104Pa以上、3×105Pa(3大気圧)以下が更に好ましい。
<原料ガス>
原料ガスは、CNTの原料となる物質であればよく、例えば、CNTの成長反応を進行させる温度において原料炭素源を有するガスである。なかでも、原料ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、プロピレン、及びアセチレンなどの炭化水素が好適であり、効率よくCNTを製造することができるため、エチレンであることが特に好適である。この他にも、メタノール、エタノールなどの低級アルコールでもよい。これらの混合物も使用可能である。また原料ガスは、不活性ガスで希釈されていてもよい。
<不活性ガス>
不活性ガスとしては、CNTが成長する温度で不活性であり、触媒の活性を低下させず、且つ、成長するCNTと反応しないガスであればよい。例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、及びクリプトンなど、並びに、これらの混合ガスを例示できる。中でも、特に窒素、ヘリウム、アルゴン、及びこれらの混合ガスが好適である。
<触媒賦活物質>
触媒賦活物質としては、酸素を含む物質がより好ましく、CNTの成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であることがさらに好ましい。例えば、水、酸素、オゾン、酸性ガス、酸化窒素;一酸化炭素及び二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物;エタノール、メタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトンなどのケトン類;アルデヒド類;エステル類;並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、エーテル類が好ましく、特に水及び二酸化炭素が好適である。
触媒賦活物質の添加量に格別な制限はないが、触媒の周囲環境中の濃度で、水の場合には、好ましくは10体積ppm以上10000体積ppm以下、より好ましくは50体積ppm以上1000体積ppm以下、さらに好ましくは100体積ppm以上700体積ppm以下の範囲とするとよい。また触媒賦活物質が二酸化炭素の場合には、好ましくは0.2〜70体積%、より好ましくは0.3〜50体積%、さらに好ましくは0.7〜20体積%とするとよい。
触媒賦活物質が機能するメカニズムは、現時点では以下のように推測される。CNTの成長過程において、副次的に発生したアモルファスカーボン及びグラファイトなどが触媒に付着すると触媒は失活してしまいCNTの成長が阻害される。しかし、触媒賦活物質が存在すると、アモルファスカーボン及びグラファイトなどを一酸化炭素及び二酸化炭素などに酸化させることでガス化するため、触媒層が清浄化され、触媒の活性を高め且つ活性寿命を延長させる作用(触媒賦活作用)が発現すると考えられている。
なお、例えばアルコール類や一酸化炭素などのような炭素と酸素を含有する化合物は、原料ガスとしても触媒賦活物質としても作用し得る。例えば、これらは、分解して炭素源となりやすい原料ガス(例えば、エチレンなど)と併用する場合には、触媒賦活物質として作用すると推測される。一方、これらは、水などの活性が高い触媒賦活物質と併用する場合には、原料ガスとして作用するものと推測される。さらに、一酸化炭素などは、分解して生じる炭素原子がCNTの成長反応の炭素源となる一方で、酸素原子がアモルファスカーボン及びグラファイトなどを酸化してガス化する触媒賦活物質としても作用するものと推測される。
<高炭素濃度環境>
原料ガス雰囲気下では、高炭素濃度環境であることが好ましい。高炭素濃度環境とは、全流量に対する原料ガスの割合が2〜20%程度の成長雰囲気のことをいう。特に触媒賦活物質存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、高炭素濃度環境化においても、触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能となると共に、成長速度が著しく向上する。ここで、高炭素濃度環境では、従来の低炭素濃度環境に比べ、炉壁などに炭素汚れが大量に付着しやすい。しかし、本発明に係る製造方法によれば、CNTの成長環境を最適な環境に維持することができるため、炭素汚れの付着を防ぎ、効率よく高品質なCNTを製造することができる。
(冷却工程)
冷却工程とは、成長工程後に、CNT、触媒、及び基材を不活性ガス下において冷却する工程である。成長工程後のCNT、触媒、及び基材は、高温状態にあるため、酸素存在環境下に置かれると酸化してしまうおそれがある。これを防ぐために、冷却工程では、不活性ガス環境下でCNT、触媒、及び基材を冷却する。冷却工程における温度は400℃以下であり、さらに好ましくは200℃以下である。
冷却工程は、CNTの製造装置100に設けられた冷却ユニット10において実施し得る。
(フィードバック制御工程)
そして、本発明に係る製造方法の一実施形態では、上述したフォーメーション工程、成長工程、及び冷却工程を経て基材上にCNTを成長させるに際し、成長工程において供給する触媒賦活物質の供給量を制御するフィードバック制御工程を実施する。
フィードバック制御工程においては、前述した成長工程中の基材周囲のガス成分の濃度に基づいて、成長工程において供給する触媒賦活物質の供給量を補正することによって、触媒賦活物質の供給量をフィードバック制御する。
フィードバック制御工程は、CNTの製造装置100に設けられた噴射部12、ガス成分濃度測定部16、及び制御装置(図示せず)などを用いて実施し得る。
ここで、本発明に係る製造方法においてフィードバック工程を実施する理由は、以下の通りである。
即ち、成長工程において、触媒に触媒賦活物質を接触させることにより、触媒の活性及び寿命は著しく増大する。これにより、高炭素濃度環境下においても触媒活性が失われず、CNTの製造効率が著しく増大する。
しかしながら、高炭素濃度環境下においてCNTを製造すると、成長炉内壁面に炭素汚れが大量に付着してしまう。また、成長炉の壁面が浸炭する等の腐食が進行する。そして、炭素汚れの大量付着又は成長炉の壁面における腐食の進行により、基材周囲のガス組成がCNTの成長に最適な条件から外れてしまい、CNTの製造量低下及び品質劣化が生じる場合がある。
なお、成長炉内における、基材周囲のガス組成の最適条件からの逸脱は、以下の2つの理由により発生することが予測される。
1:炭素汚れと触媒賦活物質とが化学反応を起こしてCO又はCO2が生成されることによりガス組成が変化すること。
2:炭素汚れ又は炉材腐食によって炉壁面又は炉内における熱伝導性が変化し、原料ガスの熱分解量が変化することであること。
そこで、本発明に係る製造方法においては、成長工程中の基材周囲のガス成分の濃度を監視し、当該ガス成分の濃度に基づいて、成長炉内に供給する触媒賦活物質の供給量を補正することによって、基材周囲のCNTの成長環境を、常に最適な成長環境に保つ。
ここで、本発明者は、基材周囲のCNTの成長環境を常に最適な成長環境に保つことを目的として鋭意検討を行った。その結果、CNTの収量と、CNTを成長させる基材周囲の水素、メタン、又は、エタンの濃度とが相関することを新たに見出した。そして更に、CNT成長中の基材周囲のガス成分の濃度をモニタリングし、その濃度に基づき触媒賦活物質の供給量をフィードバック制御すれば、基材周囲のCNT成長環境を最適な環境に維持できることを新たに着想した。
したがって、フィードバック制御工程においては、まず、成長工程中の基材111の周囲のガス成分の濃度を、ガス成分濃度測定部16により予め複数回測定する。このとき、1つの基材111において成長工程を行っている間に複数回測定してもよいし、異なる複数の基材111のそれぞれの成長工程中に測定してもよい。
ここで、測定時の触媒賦活物質の供給量は、測定タイミング毎に変化させる。各測定タイミングにおける触媒賦活物質の供給量は、触媒賦活物質の供給管などに設けられた計測装置により測定する。そして、ガス成分の濃度の複数の測定値は、それぞれ、測定時の触媒賦活物質の供給量と関連付けて、装置内のデータベースに記録しておく。なお、ガス成分の濃度の測定は、連続して行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
なお、原料ガス供給量や温度を変化させたときは、ガス濃度とCNT成長の相関が崩れる。そのため、フィードバック制御工程では、触媒賦活物質の供給量のみを変化させて制御する。従って、成長工程中に原料ガス供給量や温度を変化させたときは、ガス成分の濃度の測定、測定時の触媒賦活物質の供給量と関連付けての記録、及び測定値に関連付けられた触媒賦活物質の供給量の抽出を再び行い、新たに抽出した供給量に基づいてフィードバック制御を行う。
ここで、「基材周囲」とは、基材の近傍及び基材周辺などと同様に、基材から一定の距離離れた位置までの範囲、すなわち、基材から一定の距離離れた位置までの空間を意味している。具体的には、「基材周囲」とは、基材までの最短距離が20cm以内の範囲であり、好ましくは基材までの最短距離が10cm以内の範囲であり、より好ましくは基材までの最短距離が5cm以内の範囲である。
なお、成長工程における基材周囲のガス成分には、水素、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、プロピレンなどの炭化水素、及び水、一酸化炭素、二酸化炭素等が含まれる。すなわち、成長工程では、炭化水素やアルコールなどの炭素原子及び水素原子を含む原料ガスが加熱及び触媒との接触により分解し、炭素原子がCNTを形成する一方で、水素原子からは水素ガスが生成する。また、原料ガスの一部が分解、再結合及び上記の水素原子による還元を受けることにより、メタン、エタン等の炭化水素ガスが生成する。例えば炭化水素を原料ガスとして用いた場合には、下式に示すような反応により水素、メタン及びエタンが生成していると推測される。
xy→αC+βH2+γCH4+δC26+εCmn
(式中、x,y,mおよびnはいずれも正の整数を表す。)
フィードバック制御工程においては、前述した本発明者の新たな知見に基づき、上述したガス成分のうち、水素、メタン、及びエタンからなる群より選択される少なくとも1種以上の成分の濃度に基づいて、触媒賦活物質の供給量をフィードバック制御する。
すなわち、複数回測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンの少なくとも1種以上のガス成分の濃度が最大になるときの触媒賦活物質の供給量を抽出する。つまり、データベースに記録したデータに基づき、ガス成分の濃度の複数の測定値のうち、水素、メタン、及び、エタンの少なくとも1種以上の濃度が最大である測定値を選択し、この測定値に関連付けられた触媒賦活物質の供給量をデータベースから抽出する。そして、成長工程において供給する前記触媒賦活物質の供給量を、抽出した供給量に補正する。ただし、原料ガスがメタンまたはエタンを含む場合には、原料ガスと同種のガスは上記フィードバック制御の指標としては使用しないことが好ましい。
これにより、基材周囲のガス成分濃度を、水素、メタン、及び、エタンの少なくとも1種以上のガス成分の濃度が最大になるように維持することができる。基材周囲の水素、メタン、及び、エタンの濃度と、CNTの収量とは相関するため、水素、メタン、及び、エタンの少なくとも1種以上のガス成分の濃度が最大になるように触媒賦活物質の供給量を制御することによって、基材周囲のCNTの成長環境を最適な環境に維持することが可能である。その結果、炭素汚れの付着を防ぎ、効率よく高品質なカーボンナノチューブを製造することができる。
なお、フィードバック制御工程においては、予め複数回測定した前記ガス成分の濃度のうち、水素の濃度が最大になるときの触媒賦活物質の供給量を抽出し、成長工程において供給する触媒賦活物質の供給量を当該抽出した供給量に補正することが好ましい。すなわち、ガス成分の濃度の複数の測定値のうち、水素の濃度が最大である測定値を選択し、この測定値に関連付けられた触媒賦活物質の供給量を抽出することが好ましい。基材周囲において、水素は、メタン及びエタンよりも多く検出されるため、検出誤差が生じにくい。したがって、水素濃度を使用すれば、より確実にCNTの成長環境を最適化することができるからである。また、メタン及びエタンについては、CNT合成反応において増加した水素が、気相中において他の炭化水素と反応することで増加する可能性もあるため、水素の濃度を指標とすることで、より正確に基材周囲の環境を監視することができる。
因みに、基材周囲のガス成分は、エチレンを含むことが好ましい。原料ガスとしてエチレンを用いることで、基材周囲のガス成分をエチレンを含むものとすることができる。
(設定工程)
また、本発明に係る製造方法の一実施形態では、上述した成長工程およびフィードバック制御工程を実施する前に、設定工程を実施する。
設定工程においては、成長工程の前に、基材を収容する位置の周囲のガス成分濃度に基づいて、成長工程において触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する。なお、設定した加熱温度に基づき、成長工程中に加熱温度を補正するフィードバック制御を行ってもよい。
設定工程においては、成長ユニット10の成長炉11内に基材111を収容しない状態で、基材111を収容する位置、すなわち載置面14の周囲に、CNTの原料ガスと触媒賦活物質とを供給して原料ガスを加熱し、熱分解させる。すなわち、成長炉11内を、CNTの成長環境と同様の環境にする。
そして、ガス成分濃度測定部16において、載置面14の周囲のガス成分の濃度を測定する。載置面14の周囲のガス成分の濃度は、載置面14の周囲の温度に相関する。ここで、所望のCNTを成長させるときの、載置面14の周囲の温度は予め測定され、例えばデータベースに保存される。したがって、これに基づいて、所望のCNTを成長させるときの、載置面14の周囲のガス成分の濃度の情報を得ることができる。
そして、測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンのうち少なくとも1種以上の濃度が、所望のCNTを成長させる濃度になるように、触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する。これにより、CNTを成長させる基材周囲の環境を、所望のCNTが得られる環境にすることができる。なお、「所望のCNTを成長させる濃度」は、予め実験を実施して定めておくことができる。
ここで、成長炉内の温度は、成長炉外に設けられた熱電対の指示値に基づいて、ヒーターの加熱温度の設定を制御することによって調整される。すなわち、ヒーターの設定温度と成長炉内部の温度(実温)とは必ずしも一致しない。さらに、製造装置を長期間操業することによって、設定温度と実温との乖離値は様々に変化する。例えば、製造装置を半年〜1年間操業した場合、乖離値は数十℃程度変化することがある。このような乖離値の変化の要因としては、成長炉の壁面が浸炭することによる熱伝導性の変化、成長炉の内壁のスケール浮き、及び、成長炉自体の減肉等が考えられる。
したがって、通常、CNT製造装置の操業中は、数ヶ月程度毎に設定温度を最適化する必要がある。しかしながら、従来は、設定温度の最適化の際に、成長炉内に熱電対を挿入して成長炉内を移動させながら、成長炉内の温度プロファイルを測定する必要があり、非常に煩雑である。
しかし、設定工程においては、成長炉内の温度測定を、成長炉内のCNTの成長環境におけるガス成分の濃度の測定で代替する。成長炉内のCNTの成長環境におけるガス成分の濃度は、成長炉内の温度に相関するため、このガス成分の濃度に基づいて成長炉内の温度プロファイルを作成すれば、成長炉内の温度を直接測定するよりも容易である。
すなわち、設定工程においては、基材が収容される位置の原料ガスの濃度に基づいて加熱温度を設定するので、基材が収容される位置の周囲の温度を直接測定して加熱温度を設定よりも、容易にCNT成長環境の温度を制御することができる。
設定工程においては、ガス成分濃度測定部16が測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンのうちの少なくとも1種以上のガス成分の濃度に基づいて、触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定すればよい。ここで、加熱温度は、ヒーター17〜20の温度を設定することにより設定される。なお、加熱温度設定の指標となるガス成分の濃度は、フィードバック制御工程と同様の理由により、水素の濃度であることが好ましい。
なお、「基材を収容する位置の周囲」とは、基材を収容する位置の近傍及び基材を収容する位置の周辺などと同様に、基材を収容する位置から一定の距離離れた位置までの範囲、すなわち、基材を収容する位置から一定の距離離れた位置までの空間を意味している。具体的には、「基材を収容する位置の周囲」とは、基材を収容する位置までの最短距離が20cm以内の範囲であり、好ましくは基材を収容する位置までの最短距離が10cm以内の範囲であり、より好ましくは基材を収容する位置までの最短距離が5cm以内の範囲である。
なお、設定工程は、例えば、1〜数ヶ月ごとに、或いは、CNTの成長不良が発生したタイミングで実施することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
例えば、原料ガス、加熱温度等の反応条件を適宜に設定することにより、単層あるいは多層のCNTを選択的に製造することも可能であるし、両者を混在して製造することも可能である。
また、本実施の形態においては、製造装置とは別の成膜装置によって基材表面への触媒の形成を行なうものとして説明した。しかし、フォーメーションユニット102の上流側に触媒成膜ユニットを設け、フォーメーションユニット102に先立って触媒成膜ユニットを基材が通過するように製造装置を構成してもよい。
本発明の範疇には、本発明に係る製造方法に用いられるCNTの製造装置、当該製造装置においてフィードバック制御工程及び設定工程を実現する制御プログラム及び制御装置、並びに、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、含まれる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に実施例を記載して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「ppm」は、特に断らない限り、質量基準である。
本発明における評価は以下の方法に従って行った。
(比表面積測定)
比表面積とは、液体窒素の77Kでの吸脱着等温線を測定し、この吸脱着等温曲線からBrunauer,Emmett,Tellerの方法から計測した値のことである。比表面積は、BET比表面積測定装置((株)マウンテック製HM model−1210)を用いて測定した。
(G/D比)
顕微レーザラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製Nicolet Almega XR)を用いて測定した。具体的には、基材中心部付近および基材の4つの角付近のCNTをそれぞれ剥離し、CNTの基材から剥離された面にレーザを当ててラマンスペクトルを測定し、G/D比を求めた。
(基材の準備)
基材として、横500mm×縦500mm、厚さ0.3mmのFe−Cr合金SUS430(JFEスチール社製、Cr:18%)の平板を用意した。レーザ顕微鏡を用いて、平板表面の複数箇所における表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.063μmであった。
(触媒形成)
上記基材上に、以下に示す方法により触媒を形成した。
アルミニウムトリ−sec−ブトキシド 1.9gを、2−プロパノール 100mL(78g)に溶解させ、さらに安定剤としてトリイソプロパノールアミン 0.9gを加えて溶解させて、アルミナ膜形成用コーティング剤を作製した。
相対湿度50%の環境下において、基材上に上記アルミナ膜形成用コーティング剤を、ディップコーティングにより塗布した。塗布は、基材をアルミナ膜形成用コーティング剤に浸漬した後、20秒間保持し、10mm/secの引き上げ速度で基材を引き上げ、5分間風乾することにより行った。次に、基材を300℃の空気環境下において30分間加熱した後、室温まで冷却した。これにより、基材上に膜厚40nmのアルミナ膜を形成した。
続いて、酢酸鉄 174mgを、2−プロパノール 100mLに溶解させ、さらに安定剤としてトリイソプロパノールアミン 190mgを溶解させて、触膜コーティング剤を作製した。室温25℃、相対湿度50%の環境下において、アルミナ膜が成膜された基材上に触膜コーティング剤を、ディップコーティングにより塗布した。塗布は、基材を触膜コーティング剤に浸漬した後、20秒間保持し、3mm/secの引き上げ速度で基材を引き上げ、5分間風乾することにより行った。次に、基材を100℃の空気環境下において30分間加熱した後、室温まで冷却した。これにより、基材上に、アルミナ膜を介して、膜厚3nmの触媒生成膜を形成した。
〔実施例1〕
上述した製造装置100を用いて、上述したように触媒形成した基材に対して、フォーメーション工程及び成長工程を含む製造工程を連続して行うことによって、CNT配向集合体を製造した。なお、触媒賦活物質として水を用いた。
具体的には、触媒形成した基材111を、製造装置のメッシュベルト107a上に載置し、メッシュベルト107aの搬送速度を変更しながら、基材111上にCNT配向集合体を製造した。製造装置100の各部の条件を表1に示すように設定した。なお、表1において、空欄部分は設定していないことを示している。
Figure 0006164226
還元ガスの噴射部102b及び原料ガスの噴射部12において噴射するガスの量は、成長炉11の体積に比例させ、CNT配向集合体の製造に好適なガス量に設定した。また、フォーメーション炉102aと成長炉11との間におけるガスの相互混入を確実に防止するために、3つのガス混入防止手段103の3つの排気部103a〜103cのうち、排気部103bのシールガス量及び排気量を最も多く設定した。
成長工程中に、フィードバック制御により、触媒賦活物質の供給量を補正した。ガス成分濃度測定部16において、CNT配向集合体の製造中の基材111の周囲のガスを約1sLm吸引し、水素、メタン、及び、エタンの各濃度をモニタリングした。
モニタリングの結果を図5及び6に示す。図5は、触媒賦活物質としての水の添加量とガス濃度との関係を示すグラフを示し、図6は、図5のガス濃度を示す目盛の大きさを変更して、結果の一部を示すグラフを示す。図5及び6において、各棒グラフの上部に記載された数値は、得られたCNTの比表面積を示している。
水素、メタン、及び、エタンの濃度のうち少なくとも1種以上の濃度が最大になるときの触媒賦活物質の添加量を図5及び6に基づいて抽出し、当該添加量になるように、成長工程中に供給する触媒賦活物質である水分量を調整した。図5及び6に示すように、所定の時間毎に複数回ガス成分の濃度を測定して、触媒賦活物質の供給量を調整することで、長時間の連続製造においても、CNTの収量(基材単位面積当たりの質量)、及び、品質を良好に維持することができた。
〔実施例2〕
実施例1と同様に、製造装置100を用い、触媒賦活物質として二酸化炭素を使用して、CNT配向集合体を製造した。触媒形成条件および製造装置100の各部の条件についても、実施例1と同様とした。実施例1と同様に、成長工程中に、フィードバック制御工程により、触媒賦活物質である二酸化炭素の供給量を補正した。ガス成分濃度測定部16において、CNT配向集合体の製造中の基材111の周囲のガスを約1sLm吸引し、水素、メタン、及び、エタンの各濃度をモニタリングした。
モニタリングの結果を図7及び8に示す。図7は、触媒賦活物質としての二酸化炭素の添加量とガス濃度との関係を示すグラフを示し、図8は、図7のガス濃度を示す目盛の大きさを変更して、結果の一部を示すグラフを示す。図7及び8において、各棒グラフの上部に記載された数値は、得られたCNTの比表面積を示している。
水素、メタン、及び、エタンの濃度のうち少なくとも1種以上の濃度が最大になるときの触媒賦活物質の添加量を図7及び8に基づいて抽出し、当該添加量になるように、成長工程中に供給する触媒賦活物質である二酸化炭素量を調整した。図7及び8に示すように、所定の時間毎に複数回ガス成分の濃度を測定して、触媒賦活物質の供給量を調整することで、長時間の連続製造においても、CNTの収量(基材単位面積当たりの質量)、及び、品質を良好に維持することができた。
また、実施例1及び2において製造したCNTのその他の特性としては、密度:0.025〜0.06g/cm3、平均外径:2.8〜3.0nm(半値幅:2nm)、炭素純度:99.9%、ヘルマンの配向係数:0.7、ラマンスペクトル測定によるG/D比:4〜6であった。
〔実施例3〕
実施例1の成長工程の前に、成長ユニット10の設定温度を変更する以外は実施例1と同様にしてCNTの製造を行い、成長ユニット10の設定温度と得られるCNTの収量及び比表面積の相関として図10に示す関係を得た。本実施例においては、比表面積が大きいCNTを高収量で得られるとの観点から、最適な成長ユニット10の設定温度を817℃とした。
次いで、基材111を搬入しなかったこと以外は上記と同様にして、成長ユニット10の設定温度を変更しながら基材を収容する位置の周囲に原料ガス及び触媒賦活物質を含むガスを供給し、ガス成分濃度測定部16においてガス濃度を測定した。図9は、成長ユニット10の設定温度とガス成分濃度測定部16におけるガス濃度との関係を示すグラフを示す。図9より、成長ユニット10の設定温度817℃における水素、メタン、及び、エタンの各濃度は、それぞれ水素:5700体積ppm、メタン:1300体積ppm、エタン:470体積ppmであることが分かった。
成長炉11内の温度は、成長ユニット10の設定温度により調整される。成長工程において得られるCNTの特性は、成長炉11内の温度の影響を受ける。成長炉内に炭素汚れが付着していない状態においては、成長ユニット10の設定温度と成長炉11内の実温とは大きく乖離しないため、図10に示すように、成長ユニット10の設定温度とCNTの収量及び比表面積との関係を示すグラフに基づいて、成長ユニット10の設定温度を所望のCNTが得られる温度に設定すればよい。しかしながら、装置を長期間操業すると、成長炉内に炭素汚れが生じ、成長ユニット10の設定温度と成長炉11内の温度とが大きく乖離するようになる。
本実施例においては、CNT配向集合体の連続製造の途中で定期的に、上記のように基材111を搬入せずに、実施例1に示したのと同様にガス濃度を測定し、水素、メタン、及び、エタンの各濃度が上記の適正濃度値(水素:5700体積ppm、メタン:1300体積ppm、エタン:体積470ppm)に近づくように、成長ユニット10の設定温度を調整した。
これにより、長時間の連続製造においても、CNTの収量(基材単位面積当たりの質量)、及び、品質を良好に維持することができた。
本発明に係る製造方法で得られるCNTは、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料などの分野に好適に利用できる。
10 成長ユニット
11 成長炉
12 噴射部
12a 噴射口
13 排気部
13a 排気口
14 載置面
15 排気口
100 CNT製造装置(カーボンナノチューブの製造装置)
111 基材

Claims (4)

  1. 表面に触媒を担持した基材上にカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブの製造方法であって、
    前記触媒にカーボンナノチューブの原料ガス及び触媒賦活物質を供給し、且つ、前記触媒及び前記原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、前記基材上にカーボンナノチューブを成長させる成長工程と、
    前記成長工程中の前記基材周囲のガス成分の濃度を複数回測定し、
    複数回測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガス成分の濃度が最大になるときの前記触媒賦活物質の供給量を抽出し、
    前記成長工程において供給する前記触媒賦活物質の供給量を、抽出した供給量に補正するフィードバック制御工程と、
    を包含することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  2. 前記フィードバック制御工程において、
    複数回測定した前記ガス成分の濃度のうち、水素の濃度が最大になるときの前記触媒賦活物質の供給量を抽出することを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記基材周囲のガス成分は、エチレンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 前記成長工程の前に、前記成長工程において前記触媒及び前記原料ガスのうち少なくとも一方を加熱する加熱温度を設定する設定工程をさらに包含し、
    前記設定工程において、
    前記基材を収容する位置の周囲に、カーボンナノチューブの原料ガス及び触媒賦活物質を供給し、且つ、前記原料ガスを加熱し、
    前記基材を収容する位置の周囲のガス成分の濃度を測定し、
    測定したガス成分の濃度のうち、水素、メタン、及び、エタンからなる群より選択される少なくとも1種以上のガス成分の濃度が、所望のカーボンナノチューブを成長させるときの濃度になるように、前記加熱温度を設定する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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