以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
本実施形態では、遠隔の管理センタにて予め利用者の救急医療情報を登録して利用者にこの救急情報を参照可能に提供するとともに、利用者に救急の事態が発生したときに救命救急の現場に利用者の救急医療情報を提供する医療情報管理システムについて例示して説明する。
まず、本実施形態の医療情報管理システム1の全体構成について説明する。図1は、医療情報管理システム1の構成を示す図である。図1に示すように、医療情報管理システム1は、利用者2が所持する通信端末としての携帯端末3と、利用者2の救急医療情報を管理する管理センタ4とを備えている。これらの携帯端末3と管理センタ4とは、互いにネットワーク6(公衆電話網、インターネット、携帯電話網)を介して通信可能に構成されている。
携帯端末3は、利用者によって所持されて利用者が具合の悪くなったときに救急操作を行うことで管理センタ4に救急信号を送信する。また、利用者は、携帯端末3を介して管理センタに医療相談信号を送信して健康上の相談を行うことができる。以下、本実施形態では携帯端末3として電子メールクライアント機能を実装した携帯電話を例に説明するが、これに限定されず、パソコンなどの情報機器であってもよい。
管理センタ4は、複数の利用者2に対して救急通報など緊急事態が発生したときに緊急対処サービスを提供する組織(警備保障会社など)により運営される施設である。管理センタ4に配置されるセンタ装置5は、携帯端末2から要請信号を受信するとこれに含まれた携帯端末の識別情報を手がかりにデータベースを参照してその携帯端末の利用者を特定し、要請信号の種別に応じたオペレーションを行う。センタ装置5は、要請信号を受け付ける受付卓7として、要請信号のうち救急信号を受け付ける第1受付卓8と、救急信号以外の要請信号を受け付ける第2受付卓9とを有している。また、センタ装置5は、利用者2と携帯端末3とを対応付けたデータベースと、救急時に用いられる利用者の医療情報として救急医療情報を記憶したデータベースを有している。本実施形態では、救急信号以外の要請信号として医療相談信号や情報更新信号を例示して説明する。
本実施形態では、第1受付卓8と第2受付卓9とがそれぞれ異なる通信アドレスを持ち、携帯端末3にこれら通信アドレスが予め設定されている例について説明する。すなわち、携帯端末3において救急ボタンの押下など非常救急操作が行われると携帯端末3から第1受付卓8に宛てて救急信号が送信され、携帯端末3において医療相談操作や情報更新操作が行われると第2受付卓に宛てて医療相談信号や情報更新信号が送信される。救急信号はSMS(Short Message Service)や電子メール或いは所定の要求コマンドなどメッセージ形式の信号であってよい。また、医療相談信号や情報更新信号はメッセージ形式の信号であっても電話など音声通信信号であってもよい。
なお、上述したように、携帯端末3側で送信時に第1受付卓8又は第2受付卓9への振り分けを行う例に限定されず、センタ装置5全体で共通の通信アドレスが設定されて携帯端末3がこの通信アドレスに宛てて救急信号や医療相談操作、情報更新操作を送信するようにしてもよい。この場合、センタ装置5をネットワーク6と接続するゲートウェイサーバによって、受信した要請信号の種別に応じて、救急信号を第1受付卓8に向けて振り分けし、救急信号以外の要請信号を第2受付卓9に向けて振り分けるような、要請信号の振り分けが行われる。
センタ装置5には、利用者2と携帯端末3とを対応付けた情報が記憶され、また、予め病歴、薬歴、アレルギ、保険証の情報、かかりつけ医の氏名と診察券番号といった利用者2の医療上の情報が救急医療情報として記憶されている。そして、第1受付卓8では救急信号を受信するとこの送信元となる利用者2が特定され、この利用者2の携帯端末3に宛てて当該利用者2の救急医療情報が送信される。またこのとき、センタ装置5より携帯端末3に架電して利用者の状況確認を行うとともに119番通報が行われ該当地域の消防500に救急隊510の派遣を要請する。この救急医療情報の送信は、救急医療情報が本文部分に記載され、予め定義された件名(Subject)が設定された電子メールとして行われる。この救急医療情報は、利用者2のもとに駆けつけた救急隊510などによって応急処置を行う際の情報として用いられる。また、第2受付卓9では医療相談信号や情報更新信号を受信するとこの送信元となる利用者2の救急医療情報がオペレータの表示モニタに表示される。第2受付卓9のオペレータは、利用者の救急医療情報を参照しながら医療相談に回答したり、救急医療情報を更新して、この更新結果を救急医療情報に反映させる確定操作を行うなどの対応を行う。そして、対応に際して、この利用者2の携帯端末3に宛てて当該利用者2の救急医療情報が送信される。救急医療情報の送信は、第1受付卓8から送信される救急医療情報と同様に、救急医療情報が本文部分に記載され、予め定義された件名が設定された電子メールとして行われる。この救急医療情報は、利用者2が自身の救急医療情報を確認するための情報として用いられる。
携帯端末3では、救急信号の送信に応答して救急医療情報を含む電子メールを受信するとこれを他の電子メールと識別可能にフラグを設定して時刻情報とともに記憶部24に記憶する。そして、入力部23から特定の医療情報表示操作を受け付けると、最新の救急医療情報を含む電子メールを読み出してその内容に含まれた救急医療情報を表示部25に表示する。また、入力部23から何れかの電子メールを指定して開封操作がなされた場合にも表示部25にその電子メールの内容を表示する。
また、携帯端末3は、救急信号を送信した後に所定時間が経過しても管理センタ4から救急医療情報を受信せず、電話着信もない場合、救急信号の伝達が正常に行われていないと判定して119番通報を行う。119番通報では、119番の発呼により管轄地域の消防本部に接続された後、現在位置となる住所情報と携帯端末3に予め記憶されている利用者情報と救急である旨が音声読み上げによる音声メッセージとして伝達される。119番通報を行うことで、消防本部によっては携帯端末3の現在位置情報を取得して表示可能であるが、音声メッセージとしても通知することで確実に通報場所を特定することができる。また、利用者2が管轄となる消防本部の電子メールによる119番通報対象として事前に利用登録がなされていれば、指定の通報先メールアドレスを送信先に設定して、メール本文に現在位置と利用者情報を設定して電子メールにより通報を行ってもよい。このように、携帯端末3から救急信号を送信した後に管理センタ4からの応答信号がなければ、携帯端末3は異なる通報先として119番に救急の通報を行うことで、救急信号の送信に応じたオペレーションが正常に機能しない状況において利用者が救急の状態で放置されることを防止して、救急通報を行うことが可能となる。
<携帯端末>
以下、携帯端末3の具体的な構成について図2を参照して説明する。図2は、携帯端末3の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように携帯端末3は、GPS信号受信用とネットワーク用の共用アンテナ21を用いて無線通信を行う無線通信部22と、利用者2が操作して情報入力を行うための操作部としての入力部23と、ROM/RAMなどで構成される記憶部24と、LCDなどで構成される表示部25を備えている。また、携帯端末3は、これら各部の動作を制御する制御部26を備えている。
無線通信部22は、基地局やネットワーク6を介してセンタ装置5あるいは他の通信端末と通信する送受信部221と、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信部222を含んでいる。送受信部221は、回線交換方式による音声通信及びデータ通信とパケット通信方式によるデータ通信とを含む複数の通信方式によりネットワーク6と通信可能に構成される。ネットワーク6から受信した情報は受信情報として制御部26に入力される。
入力部23は、各種の入力ボタンやテンキーなどで構成されており、所定のボタンやキーの入力操作によって制御部26に信号入力が行われ、利用者2による情報入力がなされる。入力部23は、救急入力手段として他の操作ボタンと区別された非常用のボタン(救急ボタン)を具備している。利用者2による情報入力には、少なくとも、救急通報を行うために救急ボタンを操作する非常救急操作と、記憶部24に記憶された電子メールなどの受信情報を表示するための選択操作、医療情報の表示操作、医療情報の表示終了操作、管理センタ4に医薬に関する相談を行う内容を入力する医療相談操作及び管理センタ4への登録情報を更新する内容を入力する情報更新操作とが含まれる。
なお、入力部23の構成はボタンに限定されず、入力部23は表示部25と一体構成された液晶タッチパネルディスプレイにより実現されてもよく、液晶タッチパネルディスプレイに表示される各種の入力を行う操作シンボルを利用者2が選択することで制御部26に信号入力が行われる構成であってもよい。また、救急入力手段は利用者の生体情報を取得する検知手段として携帯端末3に非常救急操作の信号を入力するよう構成されてもよい。
記憶部24には、入力部23において非常救急操作が行われると救急信号を送信する第1受付卓8の通信アドレスと送信信号体系、及び入力部23において医療相談操作や情報更新操作が行われると医療相談信号や情報更新信号を送信する第2受付卓9の通信アドレスと送信信号体系が信号種別情報として記憶されている。また、信号種別情報には、管理センタ4と異なる第2の救急信号の送信先として119番通報を行う消防本部の通信アドレスと通報に必要なフォーマットとなる送信信号体系が記憶されている。さらに、この信号種別情報には、救急医療情報信号として受信する受信情報の送信元となるセンタ装置5の通信アドレス及び予め定義された件名が、救急医療情報の定義情報として記憶されている。
また、記憶部24は、利用者2の氏名や写真、年齢、性別といった利用者2個人を特定する利用者情報を利用開始時に初期設定されて予め記憶している。
さらに、記憶部24には、携帯端末3がネットワーク6を介してセンタ装置5やその他の通信端末から受信した電子メールなどの受信情報がこれを管理する種々のメタデータと共に記憶される。このほか、記憶部24には、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて算出した現在位置情報や、自装置を特定するための識別情報や各種プログラムなどが記憶される。
表示部25は、LCDなどで構成されるモニタディスプレイであり、制御部26に制御されて、GUI(Graphical User Interface)などの入力ガイダンスや利用者2によって入力される各種情報、ネットワーク6を介して受信した電子メールなどの受信情報などの表示出力がなされる。
制御部26は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、携帯端末3の各種の動作の制御を行う機能を備えている。制御部26は、このマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、位置取得部261、通信制御部262、表示制御部263、医療情報検出部264、救急応答判定部265、障害時通報部266を有している。
位置取得部261は、GPS受信部222が受信するGPS信号から現在位置情報(緯度・経度情報)を算出し、この現在位置情報を、算出したときの時刻情報とともに記憶部24に記憶する。また位置取得部261は、入力部23において非常救急操作が行われると現在位置情報を算出して記憶部24に記憶し、通信制御部262に出力する。また位置取得部261は、センタ装置5から位置要求信号を受信すると、例えば1分間隔でGPS受信部から受信するGPS信号から現在位置情報を算出し、算出したときの時間情報と対応させて記憶部24に記憶するとともに通信制御部262に出力する。
通信制御部262は、携帯端末3とネットワーク6とを接続してネットワーク6を介した通信を制御する。本実施形態において、通信制御部262は、電子メールクライアントプログラムとしての機能及び電話機能を提供する電話アプリケーションを含み、携帯端末3の利用者2に各種の通信機能を提供する。通信制御部262は、入力部23において非常救急操作が行われると、記憶部24に記憶した第1受付卓8の通信アドレスと送信信号体系を参照して第1受付卓8に宛てた救急信号を生成してセンタ装置5に送信する。このとき、送信時刻が記憶部24に記憶される。救急信号には位置取得部261が取得した現在位置情報及び携帯端末3の識別情報が含まれる。また、通信制御部262は、救急信号の送信に対してネットワーク6より送信先のセンタ装置5或いは中継サーバからAckなど確認応答信号を受信すると、送信完了と判定する。このとき、送信完了時刻が記憶部24に記憶される。
また、通信制御部262は、入力部23において医療相談操作が行われると、記憶部24に記憶した第2受付卓の通信アドレスと送信信号体系を参照して、入力された相談内容を含む第2受付卓9に宛てた医療相談信号を生成してセンタ装置5に送信する。入力部23において情報更新操作が行われた場合も、同様に入力された更新内容を含む第2受付卓9に宛てた情報更新信号を生成してセンタ装置5に送信する。医療相談信号及び情報更新信号には携帯端末3の識別情報が含まれる。なお、医療相談信号或いは情報更新信号は、センタ装置5に架電して口頭で相談を行う音声通信として伝送されてよく、この場合には、医療相談操作或いは情報更新操作により記憶部24に記憶した第2受付卓9の通信アドレスがダイヤルされて架電が行われる。
さらに、通信制御部262は、送受信部221がネットワーク6から受信した受信情報の入力を受け付ける。電話の着信であれば電話アプリケーションを応答させて、電子メールの受信であれば電子メールクライアントを応答させる。受信した電子メールなどの受信情報は記憶部24に記憶される。また、通信制御部262は、送受信部221がセンタ装置5から位置要求信号を受信すると、位置取得部261が取得する現在位置情報を定期的にセンタ装置5に送信する制御を行う。
医療情報検出部264は、通信制御部262による受信情報の受信を監視して、通信制御部262が受信した受信情報から救急医療情報を検出する。医療情報検出部264は、通信制御部262が送受信部221より受信情報を受け付けると、記憶部24に記憶した救急医療情報の定義情報を用いて、この受信情報が救急医療情報信号であるか否かを判定する。本実施形態では電子メールとして救急医療情報信号を受信し、予め定義情報として記憶した送信元(from)と件名(Subject)に一致すれば救急医療情報信号と判定する。そして、医療情報検出部264は、この判定結果により医療情報フラグの対応付けを行う。受信情報は、記憶部24において医療情報フラグ及び受信時刻と対応付けられて記憶される。医療情報フラグは、救急医療情報を含む受信情報を特定する識別指標として機能し、医療情報検出部264が救急医療情報信号と判定した結果としてON(フラグ成立)となるフラグ情報である。医療情報フラグは通常はOFF(フラグ非成立)に設定される。
表示制御部263は、入力部23により記憶部24に記憶された任意の受信情報が指定されると、これを表示指示として受け付けて、当該受信情報を読み出して表示部25に表示出力する。例えば、記憶部24に記憶した電子メールの何れかを指定する表示指示の操作入力を受け付けるとその電子メールを開封して表示部25に内容を表示する。
また、表示制御部263は、入力部23から予め設定された医療情報の表示操作(例えば特定のボタンを長押し等)を受け付けると、記憶部24において医療情報フラグがONに設定された受信情報のうち、最新の受信情報に含まれた救急医療情報を読み出して表示部25に表示する。この医療情報の表示操作による表示は他の情報表示に優先する表示出力となり、表示制御部263は、医療情報の表示操作により救急医療情報を表示すると、予め設定された医療情報の表示終了操作(例えば特定のボタンを長押し等)以外の入力部23からの操作入力による表示変更を拒否し、医療情報の表示終了操作を受け付けるまで救急医療情報の表示を継続する。なおこのとき、表示制御部263は、表示部25の照明手段が消灯するのを禁止して医療情報の表示終了操作を受け付けるまで常時点灯とするようにしてもよい。そして、表示制御部263は、医療情報の表示終了操作を受け付けると救急医療情報の表示を終了する。
救急応答判定部265は、通信制御部262が救急信号の送信完了と判定すると、管理センタ4からの受信情報を待ち受ける。そして、予め設定された所定の応答待受時間(例えば5分)が経過しても管理センタ4から受信情報を受信しない場合、救急信号の伝達が正常に行われていないと判断して救急応答異常と判定する。ここで、本実施形態では、救急応答判定部265は、救急信号に応答した管理センタ4からの受信情報として救急医療情報信号となる電子メールと状況確認となる電話着信を対象として待ち受けする例について説明するが、これに限らず、待ち受けする受信情報は、救急信号を受信した管理センタ4がこの応答として携帯端末3に伝達する情報にあわせて適宜設定されてよい。
また、救急応答判定部265は、通信制御部262が救急信号の送信を開始してから所定の送信処理時間(例えば3分)が経過しても送信完了と判定しない場合、救急信号の送信が正常に行われていないと判断して救急送信異常と判定する。
障害時通報部266は、救急応答判定部265が救急応答異常と判定したとき、及び救急送信異常と判定したときに第2の通報先に救急通報を行う。本実施形態では第2の通報先として119番を例示するが、これに限らず救急通報を受け入れ可能な任意の事業者であってよい。障害通報部266は、位置取得部261により記憶部24に記憶される位置情報を緯度経度情報から住所表記に変換する位置情報変換データベースと、文字情報を音声データに変換する読み上げアプリケーションを備えている。
そして、障害通報部266は、救急応答異常と判定されると通信制御部262の電話アプリケーションから119番をダイヤルして、電話回線が管轄地域の消防本部に接続された後、記憶部24に記憶されている救急信号の送信時に取得した位置情報と利用者情報及び救急である旨が読み上げアプリケーションにより音声データとして発音され、電話アプリケーションの送話手段から送出される。読み上げアプリケーションは、事前にサンプリングされた音声データから音素の切り出しと音素の特徴パラメータの抽出を行い、これを用いて音声合成を行うなど様々な手法が提案されており、種々周知の音声読み上げ方法が採用できる。
また、障害通報部266は、救急送信異常と判定されると通信制御部262が救急信号の送信に用いた通信方式を判別して、これと異なる通信方式により119番に救急通報を行う。
例えば、救急信号がSMSにて送信されていた場合、障害通報部266は、パケット通信方式により119番に救急通報を行う。パケット通信方式による119番への通報は通信制御部262の電話アプリケーションによるIP電話機能を用いて実現される。障害通報部266は、119番をダイヤルし、電話回線が管轄地域の消防本部に接続された後、記憶部24に記憶されている救急信号の送信時に取得した位置情報と利用者情報及び救急である旨が読み上げアプリケーションにより音声データとして発音され、電話アプリケーションの送話手段から送出される。なお、これに限らず、パケット通信方式により119番に救急通報を行う場合には、消防本部の通報先メールアドレスを送信先として現在位置と利用者情報を本文に設定した電子メールにより通報を行ってもよい。
さらに、例えば、救急信号が電子メールにて送信されていた場合、障害通報部266は、回線交換方式により119番に救急通報を行う。この場合は、上述した救急応答判定部265が救急応答異常と判定したときと同様に、通信制御部262の電話アプリケーションから119番をダイヤルして、位置情報と利用者情報及び救急である旨が音声データとして発音され、電話アプリケーションの送話手段から送出される。
<センタ装置>
次に、センタ装置5の具体的な構成について、図3を参照して説明する。図3は、センタ装置5の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すようにセンタ装置5は、受付卓7と、利用者識別情報記憶部10と、救急医療情報記憶部11と、センタ装置制御部12とを備えている。受付卓7は、第1受付卓8と第2受付卓9とを含む。これら各部は、一つの管理センタ4施設内に集約して配置されてLANにより接続されていてもよく、或いは複数の管理センタ4施設に分散して配置されVPNや専用線により接続されていてもよい。
利用者識別情報記憶部10は、利用者2の契約番号と氏名や写真、年齢、性別といった利用者2個人を特定する識別情報を利用者2が所持する携帯端末3の識別情報と対応付けて記憶するデータベースである。携帯端末3の識別情報は、電子メールアドレスや電話番号、端末固有の個体識別番号など複数の体系で記憶されている。利用者2個人を特定する識別情報と携帯端末3の識別情報は、例えば、利用者2が医療情報管理システムの利用を開始する際に、予め事前情報として取得されてデータベースに初期登録される。
救急医療情報記憶部11は、利用者2ごとに病歴など既往歴及び投薬歴といった医療情報を救急医療情報として利用者2の識別情報に対応付けて記憶するデータベースである。本実施形態では、救急医療情報として、病歴や薬歴、アレルギ、保険証の情報、かかりつけ医の氏名と診察券番号といった利用者2の医療上の情報を記憶する。こうした救急医療情報は、例えば、利用者2が医療情報管理システムの利用を開始する際に、予め事前情報として取得されてデータベースに初期登録される。また、利用者2からの医療相談信号や情報更新信号といった要請信号に応じて適宜更新され登録される。
センタ装置制御部12は、センタ装置5を構成する各部の動作を制御するサーバ装置である。センタ装置制御部12は、メール送信サーバ121を有している。センタ装置制御部12は、第1受付卓8と第2受付卓9からの要求に応じて利用者識別情報記憶部10や救急医療情報記憶部11との情報入力出力を制御する。例えば、センタ装置制御部12は、第1受付卓8から利用者2の識別情報を照会するために第1受付卓8と利用者識別情報記憶部10とを通信接続する。また、第2受付卓9から利用者の識別情報を照会するために第2受付卓9と利用者識別情報記憶部10とを通信接続する。
また、センタ装置制御部12は、救急医療情報記憶部11から第1受付卓8に宛てた通信接続を禁止し、第1受付卓8から救急医療情報記憶部11の情報の読み出しを不可としている。一方、センタ装置制御部12は、救急医療情報記憶部11と第2受付卓9との間では通信接続を中継する。これにより、救急医療情報記憶部11から第1受付卓8への救急医療情報の出力及び第1受付卓8から救急医療情報記憶部11の更新が禁止され、救急医療情報記憶部11から第2受付卓9への救急医療情報の出力及び第2受付卓9から救急医療情報記憶部11の更新が許容される。
センタ装置制御部12のメール送信サーバ121は、第1受付卓8或いは第2受付卓9から救急医療情報の送信要求信号を受付けたときに該当する携帯端末3を送信先として救急医療情報を含む電子メールを送信する。メール送信サーバ121は予め電子メールの送信フォームを記憶している。そして、第1受付卓8或いは第2受付卓9から救急医療情報の送信要求信号が入力されると、この送信要求信号に含まれた利用者識別情報に対応する救急医療情報を救急医療情報記憶部から取得し、更に当該利用者識別情報に対応する携帯端末3の電子メールアドレスを利用者識別情報記憶部10から取得して救急医療情報信号を生成する。救急医療情報信号は、救急医療情報が本文部分に記載され、予め定義された件名(Subject)と送信元(from)となる自己のアドレスが設定され、該当する携帯端末3(利用者2)の電子メールアドレスを宛先(To)に設定した電子メールとして生成される。メール送信サーバ121は、生成した救急医療情報信号を送信して、利用者2の携帯端末3に対して救急医療情報の伝送を行う。
<第1受付卓>
第1受付卓8は、予め登録された管制員により常時監視されている。管制員は、第1受付卓8が救急信号を受信すると該当する利用者2に対する確認対応や、利用者2の現在位置への警備員の対処指示、或いは119番救急通報などの必要な措置をとる。また、このとき、管制員により利用者2の携帯端末3に救急医療情報信号が送信される。この救急医療情報信号は利用者2への応急処置を行う際に参考情報として利用される。
第1受付卓8は、操作部81と、表示モニタ82と、通信部83と、電話部84と、制御部85と、を備えて構成されるサーバ装置である。制御部85は、第1受付卓8の各種の動作の制御を行うマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成されている。制御部85は、このマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、操作者識別部851と、識別情報取得部852と、医療情報処理部となる第1救急医療情報処理部853と、を有している。
操作部81は、キーボードやポインティングデバイスで構成され、管制員により操作されて情報入力が行われる。
表示モニタ82は、LCDなどで構成されるモニタディスプレイであり、制御部85に制御されて携帯端末3から受信した信号や利用者2の情報、GUIなどの表示出力がなされる。
通信部83は、ネットワーク6に接続されており携帯端末3との通信が可能となっている。また、通信部83は、センタ装置制御部12と接続されており、センタ装置制御部12を介してセンタ装置5各部と通信可能に構成される。
操作者識別部851は、第1受付卓8の操作者が予め登録された管制員であるか判別する。操作者の判別は、操作部81から入力されるPIN(Personal identification number)などの識別情報や、IDカードの固有情報読み取りなどにより行われてよい。予め登録された管制員であると判別できれば表示モニタ82への各種情報出力が許容される。予め登録された管制員と判別できなければ表示モニタ82への各種情報出力が禁止される。
識別情報取得部852は、通信部83を介して携帯端末3から救急信号を受信したときに、この救急信号に含まれた携帯端末3の識別情報を取得して、この識別情報を用いて利用者識別情報記憶部10を照会して対応する利用者2の識別情報を取得する。
第1救急医療情報処理部853は、識別情報取得部852が取得した利用者2の識別情報である氏名や写真、年齢、性別などと携帯端末3の識別情報である電子メールアドレスや電話番号を表示モニタ82に表示出力する。また、このとき、第1救急医療情報処理部853は、救急信号に含まれる利用者2の位置情報もあわせて表示出力する。
管制員は、この利用者2の識別情報と位置情報を参照し、携帯端末3に対して電話部を介して架電して利用者2と会話することで状況の確認を行うとともに、利用者2の現在位置への警備員の対処指示を行う。架電に対して応答が得られない場合や会話或いは現地に到着した警備員からの報告により緊急事態であると判断すると、管制員は電話部にて119番通報を行い該当地域の消防500に救急隊510の派遣を要請する。このとき、119番の通報時には、利用者2の携帯端末3に処置に必要な情報を送っておく旨を伝達する。そして、管制員は、操作部81から当該利用者2を指定して救急医療情報の送信指示を入力する。
第1救急医療情報処理部853は、操作部81から救急医療情報の送信指示が入力されると、識別情報取得部852が取得した利用者2の識別情報を含む救急医療情報の送信要求信号をセンタ装置制御部12のメール送信サーバ121に出力して、利用者2の携帯端末3に宛てて当該利用者2の救急医療情報を送信する。
そして、管制員は、必要に応じて現場に急行する救急隊510と連絡をとり現地の位置情報を詳細に伝えたり、携帯端末3の操作を案内するなどの対応を行う。管制員は、利用者2の救急医療情報を参照することができないが、救急通報が行われた現地の携帯端末3に救急医療情報を送信することが出来るため、現地で応急処置を行う救急士や或いは救急搬送された病院において救急医療情報を参照しながら専門家による適切な処置が行うことが可能となる。これにより、医療情報の持つ高いプライバシー性に配慮しつつ、さらに正確性が求められる医療情報を管制員が誤判断してしまうことを防止して、緊急時の適切なオペレーションを行うことが可能となる。
<第2受付卓>
第2受付卓9は、予め登録された看護師など医療専門のオペレータにより常時監視されている。オペレータは、第2受付卓9が医療相談信号を受信すると該当する利用者2の救急医療情報を参照しながらかかる相談に回答するとともに相談内容に応じて救急医療情報を更新し、また、第2受付卓9が情報更新信号を受信すると利用者2の救急医療情報を参照して、適切な内容へと登録情報の更新処理を行う。これらの対応を行うとき、オペレータにより利用者2の携帯端末3に更新された救急医療情報信号が送信される。この救急医療情報信号は利用者に対して情報の確認を行うために利用される。
第2受付卓9は、操作部91と、表示モニタ92と、通信部93と、電話部94と、制御部95と、を備えて構成されるサーバ装置である。制御部95は、第2受付卓9の各種の動作の制御を行うマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成されている。制御部95は、このマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、操作者識別部951と、識別情報取得部952と、医療情報処理部となる第2救急医療情報処理部953と、を有している。
操作部91は、キーボードやポインティングデバイスで構成され、オペレータにより操作されて情報入力が行われる。
表示モニタ952は、LCDなどで構成されるモニタディスプレイであり、制御部95に制御されて携帯端末3から受信した信号や利用者2の情報、GUIなどの表示出力がなされる。
通信部93は、ネットワーク6に接続されており携帯端末3との通信が可能となっている。また、通信部93は、センタ装置制御部12と接続されており、センタ装置制御部12を介してセンタ装置5各部と通信可能に構成される。
操作者識別部951は、第2受付卓9の操作者が予め登録されたオペレータであるか判別する。操作者の判別は、操作部91から入力されるPINなどの識別情報や、IDカードの固有情報読み取りなどにより行われてよい。予め登録されたオペレータであると判別できれば表示モニタ92への各種情報出力が許容される。予め登録されたオペレータと判別できなければ表示モニタ92への各種情報出力が禁止される。
識別情報取得部952は、通信部93を介して携帯端末3から要請信号として医療相談信号又は情報更新信号を受信したときに、この要請信号に含まれた携帯端末3の識別情報を取得して、この識別情報を用いて利用者識別情報記憶部10を照会して対応する利用者2の識別情報を取得する。
第2救急医療情報処理部953は、識別情報取得部952が取得した利用者2の識別情報である氏名や写真、年齢、性別などと携帯端末3の識別情報である電子メールアドレスや電話番号と、受信した医療相談信号又は情報更新信号に含まれる内容を表示モニタ92に表示出力する。医療相談信号又は情報更新信号が音声通信として受信している場合は電話部94を介してオペレータと音声通話可能に接続する。
また、第2救急医療情報処理部953は、識別情報取得部952が利用者2の識別情報を取得すると、この識別情報を用いて救急医療情報記憶部11を照会して対応する利用者2の救急医療情報を取得する。第2救急医療情報処理部953は、取得した利用者2の救急医療情報を表示モニタ92に表示出力する。
オペレータは、医療相談信号を受信した場合には、この利用者2の識別情報と救急医療情報とを参照して、利用者2から伝送された医療相談に対して専門家としての回答を行う。医療相談信号を電話による音声通信として受信している場合には、利用者2との会話を通して回答を行い、医療相談信号を電子メールなどメッセージ形式の信号として受信している場合には、回答文を作成して利用者2に返信を行う。また、この利用者2の医療相談の内容に応じて、オペレータは、操作部91にて登録されている救急医療情報の該当箇所を修正するなどの入力を行う。そして、救急医療情報の更新が終わると操作部91より確定信号を入力して、更新された救急医療情報を救急医療情報記憶部11に登録する。
また、情報更新信号を受信したときには、オペレータは、利用者2の識別情報と救急医療情報とを参照して、利用者2から伝送された更新内容に対して専門家としての判断を行い、操作部91にて登録されている救急医療情報の該当箇所を修正するなどの入力を行う。そして、救急医療情報の更新が終わると操作部91より確定信号を入力して、更新された救急医療情報を救急医療情報記憶部11に登録する。
そして、オペレータは、医療相談に回答した場合、及び登録されている救急医療情報の更新を完了した場合に、操作部91から当該利用者2を指定して救急医療情報の送信指示を入力する。第2救急医療情報処理部953は、操作部91から救急医療情報の送信指示が入力されると、識別情報取得部952が取得した利用者2の識別情報を含む救急医療情報の送信要求信号をセンタ装置制御部12のメール送信サーバ121に出力して、利用者2の携帯端末3に宛てて当該利用者2の救急医療情報を送信する。これは、オペレータが対応した救急医療情報を利用者2に対して通知する情報確認として機能する。これにより、医療相談又は登録情報の更新など医療に関する専門家としての判断が必要となるようなケースについては、利用者2の要請を直接に救急医療情報記憶部に反映させることを防止して、オペレータが要請内容に応じて救急医療情報を参照しながら専門家として判断を行い、これを反映して救急医療情報として確定させることができ、正確性が求められる医療情報に関して適切なオペレーションを行うことが可能となる。
<動作の説明>
以上のように構成された医療情報管理システム1の処理の流れについて図4から図6を参照しながら説明する。図4は携帯端末3が非常救急操作された場合における医療情報管理システム1の一連の動作を示すシーケンス図である。
まず、事故や病気などにより利用者2が携帯端末3を非常救急操作すると(ステップST1)、携帯端末3は現在位置を取得して(ステップST2)、救急信号を生成する(ステップST3)。本実施形態では、救急信号の送信先は第1受付卓8とされ、救急信号には現在位置情報及び携帯端末3の識別情報が含まれる。そして、携帯端末3は第1受付卓8に救急信号を送信し、この救急信号を送信した時刻を記憶する(ステップST4)。
第1受付卓8は、事前に操作者2の識別が行われて管制員により状況監視が行われている(ステップST5)。第1受付卓8は、救急信号を受信すると(ステップST6)、利用者識別情報記憶部10から救急信号に含まれる携帯端末2の識別情報に対応した利用者3の識別情報を取得して、携帯端末2の位置情報とともに表示モニタ82に出力する(ステップST7)。管制員は、利用者2に対して架電などにより問い合わせを行い状況確認の手続きを行う(ステップST8)。また、管制員は電話部84にて119番通報を行い救急隊510の派遣を要請する(ステップST9)。この通報時には、利用者2の携帯端末3に処置に必要な情報を送っておく旨をあわせて伝達する。そして、管制員は、操作部81から当該利用者を指定して救急医療情報の送信指示を入力する。第1受付卓8は、救急医療情報の送信指示が入力されると、利用者2の識別情報を含む救急医療情報の送信要求信号をセンタ装置制御部12に出力する(ステップST10)。
センタ装置制御部12のメール送信サーバは、第1受付卓8から救急医療情報の送信要求信号を受付けると(ステップST11)、利用者2の識別情報に対応する救急医療情報を救急医療情報記憶部11から取得し(ステップST12)、当該利用者2の携帯端末3を宛先として救急医療情報を伝達するための救急医療情報信号を電子メールとして生成する(ステップST13)。そして、メール送信サーバ121は、生成した救急医療情報信号を利用者2の携帯端末3に対して送信する(ステップST14)。
携帯端末3は、受信情報として電子メールを受信するとこれを記憶部24に記憶する(ステップST15)。またこのとき、携帯端末3は、予め記憶した定義情報を用いて受信情報が救急医療情報信号であると判定して医療情報フラグを対応付ける(ステップST16)。そして、携帯端末3において、入力部23より医療情報の表示操作がなされると(ステップST17)、最新の救急医療情報(救急操作に応じて送信された救急医療情報)が読み出されて、現在表示部25に表示されていた他の情報表示に代えて当該救急医療情報が表示部25に表示された状態となる。そして、救急医療情報の内容が表示された状態で保持されて、表示終了操作以外の操作入力による表示変更が禁止される(ステップST18)。このとき、表示部25の照明手段が消灯することを禁止することで継続的に周囲に医療情報の確認機会を提供できる。その後、入力部23より表示終了操作を受け付けると、救急医療情報の表示が終了する(ステップST19)。
この非常救急操作された場合のシーケンスにおいて、ステップST4に示した救急信号送信時の携帯端末3の動作について図5を用いて説明する。図5は、救急信号を送信したときに携帯端末3が第2の通報先への通報の必要性を判定する処理を示すフローチャートである。
救急信号を送信したときにネットワーク6よりAckなど確認応答信号を受信すると、通信制御部262は送信完了と判定する(ステップST31−Yes)。そして、救急応答判定部265は、送信完了からの経過時間が所定の応答待受時間(例えば5分)となったか監視する(ステップST32)。応答待受時間が経過する前に管理センタ4からの受信情報があれば(ステップST32−No、ST33−Yes)、第2の通報先への通報不要と判定して処理を終了する。
他方、管理センタ4からの受信情報がないまま応答待受時間が経過すると(ステップST32−Yes)、救急応答判定部265は救急信号の伝達が正常に行われていないと判断して救急応答異常と判定する(ステップST34)。障害通報部266は、救急応答異常と判定されると、記憶部24に記憶されている救急信号の送信時に取得した位置情報と利用者情報及び救急である旨を音声データとして出力する通報メッセージを生成し(ステップST35)、通信制御部262の電話アプリケーションから119番をダイヤルして接続された消防本部に通報メッセージを出力する(ステップST36)。
ステップST31において、救急応答判定部265は、通信制御部262による救急信号の送信処理が所定の送信処理時間(例えば3分)が経過しても完了しない場合(ステップST31−No)、救急信号の送信が正常に行われていないと判断して救急送信異常と判定する(ステップST37)。障害通報部266は、救急送信異常と判定されると、救急信号の送信に用いた通信方式と異なる通信方式により伝達するための通報メッセージを生成する(ステップST38)。通報メッセージはステップST35と同様に音声データとして発音されるものであってよい。そして、障害通報部266は、救急信号と異なる通信方式により通信制御部262から119番通報を行う(ステップST39)。
これにより、具合の悪くなった利用者2から管理センタ4に救急信号が送信されたときに、管理センタ4において正常にオペレーションが行われているか否かを、携帯端末3側で把握することが可能となり、救急対処のオペレーションが行われていないような場合には別の異なる通報先に救急の連絡を行うことができる。従って、なんらかの障害により救急信号に応答したオペレーションが執り行われない場合であっても、利用者を救急状態のまま放置することなく救急の通報を行うことができ、適切な対応を行うことが期待できる。また、この一連のシーケンスの中で、第1受付卓8では救急医療情報が表示されず、管制員が利用者2の救急医療情報を参照してしまうことを抑制しているために、医療情報の持つ高いプライバシー性に配慮しつつ、さらに正確性が求められる医療情報を誤判断してしまうことを防止して、緊急時の適切なオペレーションを行うことが可能となる。
次に、図6は携帯端末3が医療相談操作された場合における医療情報管理システム1の一連の動作を示すシーケンス図である。
まず、利用者2が健康に不安を感じて携帯端末3を医療相談操作すると(ステップST51)、携帯端末3は医療相談信号を生成して(ステップST52)、管理センタ4に送信する(ステップST53)。本実施形態では、医療相談信号の送信先は第2受付卓9とされる。医療相談信号には携帯端末3の識別情報が含まれる。医療相談信号は利用者2が入力する相談内容を含むメッセージ形式の信号であってよく、或いは架電して口頭で相談を行う音声通信であってもよい。
第2受付卓9は、事前に操作者2の識別が行われて看護師など医療専門のオペレータにより状況監視が行われている(ステップST54)。第2受付卓9は、医療相談信号を受信すると(ステップST55)、利用者識別情報記憶部10から医療相談信号に含まれる携帯端末3の識別情報に対応した利用者2の識別情報を取得して、表示モニタ92に出力する(ステップST56)。このとき、受信した医療相談信号に含まれる内容を表示モニタ92又は電話部94より報知する(ステップST57)。
第2受付卓9は、利用者2の識別情報を用いて救急医療情報記憶部11を照会して対応する利用者2の救急医療情報を取得して表示モニタ92に表示出力する(ステップST58)。オペレータは、この利用者2の識別情報と救急医療情報とを参照して、利用者2から伝送された医療相談に対して専門家としての回答手続きを行う(ステップST59)。また、オペレータは、相談の内容に応じて救急医療情報の該当箇所を修正するなどした後、確定信号を入力して更新された救急医療情報を救急医療情報記憶部11に記憶する(ステップST60)。
そして、オペレータは、操作部91から当該利用者2を指定して救急医療情報の送信指示を入力する。第2受付卓9は、救急医療情報の送信指示が入力されると、利用者2の識別情報を含む救急医療情報の送信要求信号をセンタ装置制御部12に出力する(ステップST61)。
センタ装置制御部12のメール送信サーバ121は、第2受付卓9から救急医療情報の送信要求信号を受付けると(ステップST62)、利用者2の識別情報に対応する救急医療情報を救急医療情報記憶部11から取得し(ステップST63)、当該利用者2の携帯端末3を宛先として救急医療情報を伝達するための救急医療情報信号を生成する(ステップST64)。そして、メール送信サーバ121は、生成した救急医療情報信号を利用者2の携帯端末3に対して送信する(ステップST65)。
携帯端末3は、受信情報として電子メールを受信するとこれを記憶部24に記憶する(ステップST66)。またこのとき、携帯端末3は、予め記憶した定義情報を用いて受信情報が救急医療情報信号であると判定して医療情報フラグを対応付ける(ステップST67)。携帯端末3は、利用者2により操作されて入力部23より記憶部24に記憶された任意の受信情報について表示指示を受け付けると、当該受信情報を読み出して表示部25に表示出力する。また、携帯端末3は、予め設定された医療情報の表示操作(例えば特定のボタンを長押し等)を受け付けると記憶部24において医療情報フラグONとして記憶した受信情報のうち、最新のものを読み出して表示部25に表示する(ステップST68)。
なお、ここでは、図6を用いて医療相談操作された場合における医療情報管理システム1の一連の動作を説明したが、携帯端末3にて救急医療情報の更新内容を入力する情報更新操作がなされた場合も、同様の手順としてよい。すなわち、この場合にはステップST53にて携帯端末3から第2受付卓9に情報更新信号が送信されることとなり、ステップST57にてこの更新内容が表示モニタ92に表示される。オペレータはこの利用者2の要請を、ステップST58で表示された現在登録されている救急医療情報と比較して、専門家としてどの項目をどのように更新すべきか判断する。この際ステップST59は省略できる。そして、ステップST60にて操作部91より救急医療情報を更新して、新たな救急医療情報として確定させる。この後、ステップST61にて更新された新たな救急医療情報を利用者2に確認してもらうべく、救急医療情報信号の送信要求を行うこととなる。これにより、利用者2からの更新の要請を直接に救急医療情報記憶部に反映させることを防止して、要請内容に応じた専門家の判断を反映して救急医療情報として確定させ、正確性が求められる医療情報に関して適切なオペレーションを行うことが可能となる。
以上説明した本発明の実施形態によれば、利用者2の緊急医療情報を管理する管理センタ4から、救急通報が行われた携帯端末3に救急医療情報を送信して救急医療の現場において応急処置を行う者が利用者特有の医療上の情報を速やかに把握することが可能となる。特に、こうした一連の情報提供のなかで、携帯端末3から救急信号を送信したときに、管理センタ4からの応答を監視することで、救急対処のオペレーションが正常に行われているか否かを携帯端末3側で把握することが可能となり、救急対処のオペレーションが行われていない場合には別の異なる通報先に救急の連絡を行うことができる。従って、通信上の問題或いはセンタ側の人手の問題など、なんらかの障害により救急信号に応答したオペレーションが執り行われない場合であっても、利用者を救急状態のまま放置することなく救急の通報を行うことができる。
以上、本発明の実施形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
例えば、上記に説明した実施形態では、救急信号を受け付ける第1受付卓と救急信号以外の要請信号を受け付ける第2受付卓とをそれぞれ別の装置として説明したが、これに限定されない。
第1受付卓と第2受付卓とは受付卓として一体に構成されていてもよい。この場合、操作者識別部により操作者が予め登録された管制員と識別されれば第1受付卓として機能し、操作者が看護師など医療専門のオペレータであると識別されれば第2受付卓として機能するように構成してよい。これによっても上述した実施形態と同様に、医療情報の持つ高いプライバシー性と正確性に配慮しつつ、適切な緊急時のオペレーションを行うことが可能となる。
また、第1受付卓と第2受付卓とを受付卓として一体に構成して、操作者に因らず、携帯端末から受け付けた要請信号の種類によって第1受付卓と第2受付卓のどちらとして機能するかを切り替えるようにしてもよい。この場合には、受付卓に配置するスタッフを、管制員兼看護師など医療専門のオペレータとして、携帯端末から救急信号を受け付けると第1受付卓として機能し、救急信号以外の要請信号を受け付けると第2受付卓として機能するように構成してよい。これによっても、必要外のときに救急医療情報を表示出力することを防止してプライバシー性を高度に保つことができる。
1 医療情報管理システム
2 利用者
3 携帯端末
4 管理センタ
5 センタ装置
6 ネットワーク
21 共用アンテナ
22 無線通信部
221 送受信部
222 GPS受信部
23 入力部
24 記憶部
25 表示部
26 制御部
261 位置取得部
262 通信制御部
263 表示制御部
264 医療情報検出部
265 救急応答判定部
266 障害時通報部
7 受付卓
8 第1受付卓
81 操作部
82 表示モニタ
83 通信部
84 電話部
85 制御部
851 操作者識別部
852 識別情報取得部
853 第1救急医療情報処理部
9 第2受付卓
91 操作部
92 表示モニタ
93 通信部
94 電話部
95 制御部
951 操作者識別部
952 識別情報取得部
953 第2救急医療情報処理部
10 利用者識別情報記憶部
11 救急医療情報記憶部
12 センタ装置制御部
121 メール送信サーバ
500 消防
510 救急隊