JP6162533B2 - セシウムイオン吸着用筒状フィルター及びその製造方法 - Google Patents

セシウムイオン吸着用筒状フィルター及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セシウムイオン吸着剤の脱落の少ないセシウムイオン吸着用筒状フィルター及びその製造方法に関するものである。
従来より、濾過層の構成成分として繊維を用いた筒状フィルターは、濾過対象液が、中空円筒状に形成された濾過層の最外周部から中心部に集められる間に、濾過層により濾過対象液中の微粒子を捕捉できるように構成されている。
このような筒状フィルターは、製薬工業、電子工業等における精製水の濾過、飲料水製
造工程内における飲料水の濾過、自動車工業における塗装剤の濾過等、各種産業界におい
て広く利用されている。
上記のような分野に使用されてきた筒状フィルターとしては、特許文献1には、ステープル繊維をカードで開繊して熱接着性複合繊維のウェブとし、このウェブを加熱しながら巻回し、複合繊維の低融点成分で熱接着した筒状フィルターが、特許文献2には、スパンボンド不織布製造手法により得られたウェブを用いて、特許文献1と同様に作成した筒状フィルターが記載されている。これらの筒状フィルターは、熱接着性複合繊維が使用されており、濾過圧の上昇によっても熱接着された繊維間の剥離が起こり難いため、安定した捕捉精度が得られるといった利点がある。
また、特許文献3には、メルトブロー紡糸をしながら繊維径を変化させて堆積して得られた極細複合繊維ウェブを、熱処理して巻芯に巻き取った後、巻芯を抜き取ることによって得られた筒状フィルターが記載されている。
更に、特許文献4〜6には、熱融着性複合繊維を含む繊維集合層を熱融着温度に加熱し、巻芯に巻き付け、引き続き所望の穴径を有するシート(例えば、濾紙、メンブレンフィルター等)を繊維集合層とともに巻き込んで精密濾過層を形成した後、繊維集合層のみを巻き取って前濾過層を形成し、冷却後巻芯を抜き取って得られた精密濾過用筒状フィルターが記載されている。
特開昭52−152575号公報 特開平8−226064号公報 特開平5−96110号公報 特公昭56−49605号公報 特開2006−150222号公報 特開2004−851号公報
しかしながら、これら筒状フィルターは、製薬工業、電子工業で使用される精製水の濾過、食品工業におけるアルコール飲料の製造工程における濾過、自動車工業における塗装剤の濾過に用いられるものであり、セシウムイオンを吸着するものではなかった。さらには、これら筒状フィルターをセシウムイオン吸着用とする場合には、該筒状フィルターに含まれる放射性セシウムを高濃度に吸着した吸着剤が脱落するとさらなる環境汚染を起こす為、深刻な事態となりうるとの問題があった。加えて、東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出されたセシウムの森林や瓦礫への汚染が大きな問題になっており、雨によりセシウムが近隣へ滲出し農作物に悪影響を及ぼすことが懸念されている。これらの除染作業として汚染された森林の落ち葉や瓦礫を焼却処理し放射線汚染物の減容を図っている。ここでセシウムは焼却灰を洗浄して水に溶解させた後、凝集沈殿で除去する方法が行われている。しかしながら、凝集沈殿法では、微量のセシウムイオンを除去できないために、処理水を液体フィルターに循環して吸着する必要があり、作業性が良くて微量なセシウムイオンを吸着するカートリッジ液体フィルターが望まれている。
本発明の課題は、上記のような従来技術の欠点を解消することであり、本発明は強固にセシウムイオン吸着剤を固着させ脱落が非常に少ない、優れたセシウムイオン吸着能を有する成型品のカートリッジフィルター及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のカチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤を固着した熱融着繊維を含む不織布を筒状とし、特定の特性を有することにより、好ましくは特定の密度、特定のセシウムイオン吸着剤の種及び量などとすることにより、セシウムイオン吸着能に優れ、且つ、吸着剤の脱落が非常に少ないセシウムイオン吸着用筒状フィルターとなることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(6)を要旨とするものである。
(1)30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を含む不織布からなる筒状フィルターであって、前記筒状フィルターに第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤が固着されており、且つ、下記(a)、(b)及び(c)を満足することを特徴とするセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
(a)セシウムイオン濃度0.1ppmの塩化セシウム水溶液を下記(1)式で示す空塔 速度SVが10の条件で通水した時の破過点が1000L以上。
空塔速度SV(Hr−1)=流量(m/Hr)/体積(m) (1)
(b)空塔速度SVが10の条件での通水前後のセシウムイオン吸着剤の脱落量が2ppm以下。
(c)前記筒状フィルターの密度が0.15〜0.5g/cm
(2)前記セシウムイオン吸着剤を0.8g以上含有していることを特徴とする(1)記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
(3)前記セシウムイオン吸着剤がプルシアンブルー型錯体であることを特徴とする(1)または(2)に記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
(4)前記30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維からなる群より選択された1またはそれ以上の繊維で構成されていることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
(5)前記30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維の低融点側の繊維またはポリマーの融点が、100〜190℃であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
(6)前記30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を含み、且つ、第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤が固着された不織布を筒状にした後に、130〜220℃で熱処理を行なうことを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルターの製造方法。
本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターは、30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を含む不織布を含み、該不織布に第3級または第4級アンモニウム基を含有するカチオン性高分子化合物にて処理を行った後にセシウムイオン吸着剤を付与した後に円筒状に巻き熱処理を行うことにより、セシウムイオン吸着剤を強固に固着させることが可能であり、且つセシウムイオン吸着性能に優れ、吸着材の脱落が非常に少ない筒状フィルターを提供することが可能となる。
本発明に用いる不織布シートの熱処理プレス装置の一例を示す概略図である。 本発明に用いる筒状フィルターの巻き取り装置の一例を示す概略図である。 本発明に用いる筒状フィルターの実体積を示す概略図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターは、30℃以上の融点差のある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を含む不織布からなることが必要である。
30℃以上の融点差のある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維の組み合わせは特に限定されないが、ポリエステル繊維とポリエチレン繊維、ポリエステル繊維とポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維とポリエチレン繊維、ポリアミド繊維とポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維とポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維と第三成分を共重合し低融点化したポリエステル繊維、ナイロン6繊維とナイロン66繊維、熱可塑性繊維とセルロース系繊維や動物性繊維などの天然繊維、熱可塑性繊維と活性炭繊維、または上記繊維を構成する複数のポリマーをサイドバイサイド、芯鞘構造等の複合構造とした繊維、上記天然繊維などを1種または2種以上複合したものなどが挙げられる。本発明においては、後述するように低融点側の繊維または低融点側のポリマーを含む繊維を熱融着性繊維と呼ぶことがある。
なお、30℃以上の融点差とは、単一樹脂からなる2種以上の繊維の場合はその2種以上の樹脂の融点差をいい、融点が異なる樹脂からなる複合構造とした繊維の場合はその異なる樹脂の融点差をいい、単一樹脂からなる繊維及び/又は融点が異なる樹脂からなる複合構造とした繊維の組み合わせの場合は、最も高い融点と最も低い融点との差をいう。
30℃以上の融点差のある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を混合し、後述する所定の熱融着温度に加熱することで低融点側の繊維またはポリマーが軟化して融着性を発揮するようになるとともに高融点側のポリマーは非融着部としてその繊維構造を保持することができる。
該融点差が30℃未満であると、温度差が少ないために、加工温度のブレにより低融点側の繊維または低融点側のポリマーが溶解時に繊維構造を保持するための非融着繊維も溶解し、セシウムを含む処理水との接触面積が減少するため吸着能が低下するので好ましくない。
なお、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、などにおいては、セシウム吸着剤の固着性の観点から、表面をレーザー処理、紫外線照射、プラズマ処理、電子線処理などにより、水酸基、硫酸基などの官能基を導入したものが好ましい。
本発明における30℃以上の融点差のある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維の形態は特に限定されないが、長繊維、短繊維、仮撚加工糸、紡績糸、スリットヤーンなどが挙げられる。
さらに、30℃以上の融点差のある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維の低融点側の繊維または低融点側のポリマーの融点は、110〜190℃が好ましく、130〜170℃がより好ましい。後述するように、本発明の繊維構造物にセシウムイオン吸着剤を固着する際に熱処理する必要があるため、該低融点側の繊維または低融点側のポリマーの融点を110〜190℃とすることで、該固着熱処理においても繊維構造物が形態をより良好に保持できるとともに、ロール形態での保管時の熱安定性がより高く好ましい。
本発明の不織布は、30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維がほぼ均一に分散されたものであり、例えば、カード方式、エアレイド方式、水流交絡方式、ニードルパンチ方式など、湿式でも乾式でも構わず、公知の方法にて作成した繊維ウェブから不織布を製造することができる。なお、水に溶解しているセシウムイオンを吸着する目的から、シートの高い空隙率の観点から、短繊維で構成される短繊維不織布が好ましい。
30℃以上の融点差のある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維の低融点側の繊維及び低融点側のポリマーの混率は、不織布を構成する全構成繊維の全質量のうち、10質量%以上が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、20〜80質量%がさらに好ましい。該混率を10質量%以上とすることで、セシウムイオン吸着剤の固着熱処理時に該繊維構造物の空隙を良好に保持することが可能であり、さらには低融点側の繊維及びポリマーの溶解時に該繊維構造物の空隙を閉塞させたり、セシウムイオンを含む処理水との接触面積が減少することが少なく、また処理水を通水した際のカートリッジの圧力損失が低く維持されるため好ましい。加えて、セシウムイオン吸着剤の脱落も抑えられるため好ましい。
本発明で用いられる不織布を構成する繊維の単繊維繊度は特に限定されないが、セシウムイオン吸着剤の固着性の観点から、3dtex以下が好ましく、2dtex以下がより好ましい。単繊維繊度の繊度を3dtex以下とすることにより、不織布の空隙を含めた表面積がより向上するため、後述するカチオン性高分子化合物の固着量が増大し、結果としてセシウムイオン吸着剤の担持率が向上するため固着能が向上するものと推測される。
本発明の筒状フィルターに使用する不織布シートは、厚さが0.2〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmがより好ましい。また、当該不織布シートの密度は、0.1〜0.5g/cm3が好ましい。
当該不織布シートの厚さを0.2〜1.0mmとすることにより、例えば、後述する製造方法において、当該不織布シートを円筒状に巻く際に適度な張力を掛けることができるため繊維材料が均一に分散した筒状フィルターとなるとともに、所定の外径の筒状に巻いた切断部における段差(外径差)が低く抑えられるため好ましい。さらに、当該不織布シート密度を0.1〜0.5g/cm3とすることにより、セシウムイオンを吸着する際の吸着性能が適度なものとなるとともに、通水時の圧力損失が適度なものとなるため好ましい。
本発明の筒状フィルターは、上記不織布に第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤が固着されていることが必要である。
第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン系高分子化合物は、第3級アンモニウム基または第4級アンモニウム基を含む高分子化合物であれば特に限定されない。第3級アミノ基を含むカチオン系高分子化合物としては、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの重合体、例えば、ジメチル又はジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド,ジメチル又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの重合体、例えば、ジメチルまたはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジメチルまたはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの重合体、アクリルアミド・スチレン共重合体、第3級アミノ基含有ウレタン系重合体等があげられる。
第4級アンモニウム基含有高分子としては、(メタ)アクリロイロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩の重合体、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体など、(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩の重合体、例えば、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの重合体、2−(メタ)アクリロイロキシアルキルベンジルアンモニウム塩の重合体、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルベンジルアンモニウムクロライド,2−(メタ)アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの重合体,前2者の単量体とアクリルアミド,ジメチルアミノエチルアクリレートなどの共重合体、アクリルアミドプロピルジメチルベンジルクロライドとN,N−ジメチルアクリルアミド及びN−メチル−N−ベンジルアリルアミン塩とN−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノプロピルアクリルアミドとの共重合体など、その他、例えば、ジメチルまたはジエチルジアリルアンモニウムクロライド,β−ビニルオキシエチルトリアルキルアンモニウム塩、ビニルベンジルアンモニウム塩などの重合体があげられ、これらアンモニウム基含有高分子とビニル系ポリマーからなる共重合物などがあげられる。
本発明のセシウムイオン吸着剤とは、セシウムイオンを吸着するものであれば特に限定されないが、例えば、セシウムイオン吸着性錯体、ゼオライト等が挙げられる。セシウムイオン吸着性錯体とは、例えば、プルシアンブルー型錯体、フタロシアニン型錯体などが挙げられる。
プルシアンブルー型錯体は、一般式AM[Fe(CN)]y・zHO(但し、式中、Aは陽イオン、Mは金属原子を示す)で表される錯体である。Aの陽イオンとしては、アンモニウムイオンなどが挙げられる。Mの金属原子としては、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子が挙げられる。前述の組み合わせの中でも、セシウムイオンの吸着能及び挟雑物共存状態におけるセシウムイオンの選択性の観点から、Fe[Fe(CN)]、FeNH[Fe(CN)]が特に好ましい。
プルシアンブルー型錯体の平均一次粒子径は特に限定されないが、セシウムイオン吸着能及び加工適正の観点から、0.001〜100μmが好ましく、0.001〜10μmがより好ましく、0.001〜1μmがさらに好ましく、0.001〜0.05μmがいっそう好ましい。
フタロシアニン型錯体としては、銅フタロシアニン、塩素化銅フタロシアニン、臭素化塩素化銅フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。より具体的には、銅フタロシアニンとしては、例えば、Pigment Blue15,Pigment Blue15:3,Pigment Blue76、Ingrain Blue1,Direct Blue86が挙げられる。塩素化銅フタロシアニンとしては、例えば、Pigment Green7が挙げられる。臭素化塩素化銅フタロシアニンとしては、Pigment Green58が挙げられる。
ゼオライトは、アルミノケイ酸塩のなかで結晶構造中に比較的大きな空隙を持つものの総称であり特に限定されないが、例えば、結晶性アルミノシリケート、メタロシリケート、アルミノホスフェート、シリカアルミノホスフェート等が挙げられる。
ゼオライトの平均一次粒子径は特に限定されないが、セシウムイオン吸着能及び加工適正の観点から、0.1〜100μmが好ましく、1.0〜50μmがより好ましく、1.0〜30μmがさらに好ましい。
上記セシウムイオン吸着剤は、剤全体が負に帯電しているため、上記第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物にて処理した不織布に固着処理することで、高濃度に不織布シートに吸着させることができるものと推測される。
本発明における筒状フィルターは、上記不織布シートに必要に応じて熱処理を施した後、後述する方法により筒状にすることにより作成することができる。
本発明における筒状フィルターは、上記不織布からなる筒状フィルターであり、セシウムイオン含有処理水が加圧濾過により円筒状に形成された濾過層の最外周部から中心部に集められる間にセシウムイオンを吸着できるように構成されているものであり、例えば、圧力容器(ハウジング)中にセットして使用することができる。
本発明における筒状フィルターは、セシウムイオン濃度0.1ppmの塩化セシウム水溶液を下記(1)式で示す空塔速度SVが10の条件で通水した時の破過点が1000L以上であることが必要である。
空塔速度(Hr−1)=被濾過水の流量(m/Hr)/筒状フィルターの実体積(m) (1)
空塔速度SVとは、単位時間あたりに被濾過水がろ過層に接触する時間の逆数で表すものであり、単位時間当たりに濾過材体積の何倍相当分の被濾過水を処理しているかを意味し、前述のように単位時間当たりの被濾過水の流量を濾過材量(体積)で割ることで求めることができる。
破過点とは、筒状フィルターの被吸着物の吸着能力を表わすものであり、本発明においては、セシウムイオン吸着用筒状フィルターを装着した容器に、上記空塔速度SVで通水した時の入口側のセシウムイオン濃度Cに対する出口側のセシウムイオン濃度Cの比(C/C)を、X軸の通水量(L)に対してプロットした破過曲線を作成し、(C/C)=0.05となる通水量(L)を言う。
上記において、同じ空塔速度においては破過点が大きいほど、同じ破過点においては空塔速度が大きいほど、吸着能力が高いことを意味する。本発明においては、前述のC/C(入口側のセシウムイオン濃度Cに対する出口側のセシウムイオン濃度Cの比)が0.05となる空塔速度が10未満である場合、被濾過水を処理するのに多くの時間を要し、処理コストが高くなることから、好ましくない。
本発明における筒状フィルターからのセシウムイオン吸着剤の脱落率は、2ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましく、0.5ppm以下がいっそう好ましい。脱落率を2ppm以下とすることにより、本発明の筒状フィルターからのセシウムイオンを吸着した吸着剤の脱落が非常に少ないものとなるため、吸着された放射性セシウムが環境に流出・拡散する2次的な汚染が拡大する恐れを防止することができる。
本発明の筒状フィルター密度は、0.15〜0.5g/cmである必要があり、0.2〜0.45g/cmであることが好ましく、0.25〜0.45g/cmであることがより好ましい。密度を0.15〜0.5g/cmとすることにより、セシウムイオンを吸着する為に必要なフィルター量や濾過時の圧力損失が適度なものとなる。
本発明の筒状フィルターのセシウムイオン吸着剤の含有率は、セシウムイオン吸着性能の観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がいっそう好ましい。また、筒状フィルターの大きさや設計空塔速度にもよるが、当該筒状フィルターに含有されるセシウムイオン吸着剤量は、セシウムイオン吸着性能の観点から、0.8g以上が好ましく、1.2g以上が好ましく、1.5g以上がより好ましい。当該含有率を0.5質量%以上及び/または当該含有量を0.8g以上とすることにより、セシウムイオンの吸着能力が十分なものとなるため、本発明の筒状フィルターを各種濾過材へ好適に用いることができる。
本発明の筒状フィルターにおいては、不織布シートの目付け、低融点繊維の融着処理の際の温度、プレス圧力、隙間などの条件を適宜選択することにより、当該フィルターの密度、厚さ等を最適化することができる。
以下に、本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターの製造方法について説明する。
本発明の筒状フィルターの製造方法は、30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を混合し、前述のカード方式、エアレイド方式、水流交絡方式、ニードルパンチ方式など、公知の繊維ウェブ作成方法で不織布とする。
得られた不織布に、必要に応じて、例えば、図1に示すような2本熱プレスロールが併設したネット乾燥機等により熱プレス処理を施すことにより、所定の厚み、密度等を有する不織布シートとすることもできる。
次いで、得られた不織布シートに、第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物によるカチオン化処理を行う。カチオン性高分子化合物の処理の方法としては、吸尽法、パッド(スプレー、プリント)−スチーム法、パッド(スプレー、プリント)−熱処理法などが挙げられ、筒状フィルターの形態により適宜選択することができるが、吸尽法、パッド(スプレー、プリント)−スチーム法、パッド(スプレー、プリント)−熱処理法が好ましく、その強固な固着性の観点から、パッド(スプレー、プリント)−スチーム法、パッド(スプレー、プリント)−熱処理法がより好ましい。
吸尽法を採用する場合の吸尽温度及び吸尽時間は20〜100℃であれば3〜60分間が好ましく、40〜80℃であれば20分〜60分間がより好ましい。
パッド(スプレー、プリント)−スチーム法、パッド(スプレー、プリント、)−熱処理方法を採用する場合は、該熱処理は、130〜220℃の温度で行うことが好ましい。不織布を構成するポリマーとカチオン性高分子化合物の物理的、イオン的な相互作用に加え、該温度で熱処理をすることにより、低融点成分が軟化又は溶融し熱融着性を発揮することにより、不織布を構成する繊維の表面にカチオン性高分子化合物の被膜を形成することができる。
熱処理温度が130℃未満の場合、カチオン性高分子化合物の被膜形成が不十分になり、220℃を超えると、熱融着繊維が急激に溶融するため均一な被膜形成ができなくなったり、風合いの硬化により次工程での加工が困難となるので好ましくない。
なお、熱処理時間はシートの目付に応じて適宜選択することができるが、均一な皮膜形成の観点から、目付けが大きいほど熱処理時間は長い方が好ましい。
本発明のカチオン性高分子化合物の固着量は、セシウムイオン吸着性能とセシウムイオン吸着剤の脱落の低減の観点から、不織布を構成する繊維材料に対し0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。該カチオン性高分子化合物の不織布への浸透性を向上させるために、該浴液にノニオン系またはカチオン系界面活性剤を併用することが好ましい。
本発明のカチオン化処理を施した後、不織布を水または/および加温水にて未固着のカチオン性高分子化合物を洗浄し、必要に応じて乾燥処理を行った後、セシウムイオン吸着剤の固着処理を行なうことが、剤の脱落の低減の観点から好ましい。
本発明の製造方法においては、前述のカチオン化処理を行なった後、セシウムイオン吸着剤の固着処理を実施するが、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコン系樹脂からなる群より選択された1またはそれ以上の樹脂をバインダーとして併用しても構わない。該固着処理方法は、カチオン化処理と同様に、吸尽法、パッド(スプレー、プリント)−スチーム法、パッド(スプレー、プリント)−熱処理法などの公知の方法を適宜選択することができる。
吸尽法を採用する場合は、吸尽温度及び吸尽時間は、カチオン化処理と同様に、20〜100℃であれば3〜60分間が好ましく、40〜80℃であれば20分〜60分間がより好ましい。
パッド(スプレー、プリント)−スチーム法、パッド(スプレー、プリント、)−熱処理方法を採用する場合は、該熱処理は、130〜220℃の温度で行うことが好ましい。
本発明においては、前述の第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤が固着された不織布を筒状にした後、温度130〜220℃で熱処理を行なうことが必要である。
例えば、セシウムイオン吸着用不織布シートを、所定径を有するパイプに巻いて筒状とした後に、離型紙あるいは離型フィルムで最外装を巻いて固定し、箱型の熱処理炉を用い温度130〜220℃にて熱処理を行う。使用するパイプは、熱処理後のパイプ引き抜き性等の観点から、パイプ表面をテトラフルオロエチレンやシリコン等で離型処理したものが好ましい。
当該熱処理温度が130℃未満であれば熱融着繊維の融着が不十分となり筒状に成型することが難しい。一方、熱処理温度220℃を超えると熱融着繊維が急激に溶融するため均一な被膜形成ができなくなったり、フィルターの空隙が小さくなりすぎるため通水時の圧力損失が高くなるので好ましくない。なお、熱処理時間は、円筒の外径などにより適宜選択できるが、例えば10〜120分の範囲で行えば良い。
上記の熱処理後、常温まで冷却した後にパイプを引き抜き、所定の寸法に裁断することにより、セシウムイオン吸着用筒状フィルターとすることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、本発明は以下に示す実施例には限定されない。
実施例、比較例における本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターの評価方法は下記の通りである。
1.不織布シートの厚さ
JIS L 1913:2010 一般不織布試験方法 厚さ(6.1)記載の方法にて測定した。
2.不織布シートの密度
上記不織布シートの厚さ及び目付けを用い、下記式(3)により計算した。
不織布シート密度(g/cm3)=(目付(g/m2)/厚さ(mm))×10−3 (3)
3.筒状フィルターの密度
上記筒状フィルターの厚さより筒状フィルターの体積を求め、上記不織布シート密度及び質量を用い、下記式(2)により計算した。
P=M/V (2)
P:筒状フィルター密度(g/cm
M:筒状フィルターの質量(g)
V:筒状フィルターの実体積(cm
なお、筒状フィルターの実体積は、下記式(3)より、筒状フィルターの全体体積から芯パイプ部分の体積を除いた体積(図3参照)とした。
筒状フィルターの実体積=(π(D1/2) −π(D2/2))×L (3)
4.筒状フィルターのセシウムイオン吸着剤の担持率(%)及び担持量(g)
セシウムイオン吸着剤を固着した不織布を600℃、30分間の灰化処理後、王水で完全に溶解し、該水溶液中の鉄量をICP発光分光分析法にて定量し筒状フィルター単位質量当たりの担持率(%)を求め、筒状フィルターの質量と担持率よりセシウムイオン吸着性錯体の担持量(g)を求めた。なお、本実施例、比較例において、鉄量からセシウムイオン吸着剤の換算は、下記分子式1に基づいて換算する。
Fe[Fe(CN)]・・・・・・・・・(分子式1)
セシウムイオン吸着剤の担持量(g)=[(担持されたセシウムイオン吸着剤(g)/筒状フィルター量(g))×100]×筒状フィルター質量(g) (4)
5.筒状フィルターの通水によるセシウムイオン吸着量の評価
筒状フィルターの両端面をシーラント材(信越化学工業株式会社製 商品名:信越シーラントKE−45−W)で封止した後、プラスチック製ハウジングにセットし、セシウムイオン濃度0.1ppmに調整した塩化セシウム水溶液を定量ポンプにて空塔速度SV10(Hr−1)で通水し、入口側のセシウムイオン濃度(C)に対する出口側のセシウムイオン濃度Cの比(C/C)をY軸に、X軸に通水量(L)をプロットして破過曲線を作成し、(C/C)=0.05を破過点として通水量を求めた。なお、セシウムイオン濃度は、ICP−MS(JIS K 01025.5(2008年)及びJIS K 0133(2000年)に準拠して測定した)にて定量した。
6.カートリッジからのプルシアンブルー脱落評価
上記筒状フィルターのセシウムイオン吸着量評価時の通水1分後に処理液をサンプリングし、処理液中のシアン化合物量をJIS K0102 38.1.2及び38.3(2008年)の方法にて定量し、前述の分子式1に基づいて脱落したセシウムイオン吸着剤量(ppm)を計算した。
7.通水状態の評価
上記5.の通水試験を行った際の通水状態を以下により評価した。
評価
良 :問題なく通水した。
通水不可:通水ができなかった。
実施例1
<不織布シートの作成>
低融点繊維として、芯成分にポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘成分に共重合ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)を配した芯鞘複合繊維(ユニチカ株式会社製 商品名「メルティー4080」、繊度2.2dtex、繊維長51mm)75質量%、高融点繊維としてポリエチレンテレフタレート単一繊維(ユニチカ株式会社製 商品名「ユニチカエステル」、融点255℃、繊度2.2dtex、繊維長51mm)25質量%を混合し均一に混綿し、パラレルカードウェブとした。前記ウェブを公知の方法でクロスラッパーを用いて積層し、ドラフターでドラフト後にニードルパンチ処理を行い、目付80g/m、幅120cmの不織布を得た。次に、この不織布を熱処理ゾーンが3mのネット乾燥機に2本熱プレスロールが併設した図1に示す熱処理機にて熱処理ゾーン温度140℃、熱プレスロール温度90℃、速度3m/分、プレス圧力3MPa、プレス2本ロール隙間0.3mmの条件でプレス加工し、厚さ0.3mm、密度0.27g/cmの不織布を得た。
<カチオン化処理・吸着剤の固着熱処理>
次に、得られた不織布を下記処方1からなる水溶液にてパディング処理を行い、ウェットピックアップ100質量%となるようにマングルで絞り、ピンテンターにて150℃、4分の条件で乾燥・熱処理を行いカチオン化処理とし、次いで、この不織布を下記処方2からなる分散液にてパディング処理を行い、ウェットピックアップ100質量%となるようにマングルで絞り、ピンテンターにて150℃、4分の条件でプルシアンブルー型錯体の固着熱処理を行い、本発明の厚さ0.5mm、密度0.16g/cmのセシウムイオン吸着用シートを得た。
(処方1)
カチオン性高分子化合物(山陽色素(株)社製 カチオン化剤CT F1101) 60g/l
ノニオン系界面活性剤(松本油脂製薬(株)社製 アクチノールR100) 2g/l
(処方2)
プルシアンブルー(関東化学(株)社製 Fe[Fe(CN)]、疎水性・低純度品固形分11%、平均一次粒子径0.01μm) 100g/lアクリルバインダー(高松油脂(株)社製 ハイレジンTS1686固形分25質量%)
40g/l
ノニオン系界面活性剤(松本油脂製薬(株)社製 アクチノールR100) 2g/l
<セシウムイオン吸着用筒状フィルターの作成>
図2に示す2本ロール巻き取り機を用い、表面がテトラフルオロエチレン処理された外径30mmのパイプに前述のセシウムイオン吸着用シートを供給し外径65mmまで巻き取った後セシウムイオン吸着用シートを切断し、離型紙で外周を巻きテープで固定して巻き取りロールとした。次いで、巻き取りロールをボックス型熱処理機にて温度160℃、60分間の熱処理後、冷却してからパイプを引き抜き、丸刃裁断機で長さ250mmに裁断して密度0.21g/cm、セシウムイオン吸着剤を1.6g含有した本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
実施例2
実施例1の処方2を下記処方3に変更する以外は、実施例1と同様にして、密度0.21g/cm、セシウムイオン吸着性錯体0.8gを含有した本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
(処方3)
プルシアンブルー(関東化学(株)社製 Fe[Fe(CN)]、疎水性・低純度品固形分11%、平均一次粒子径0.01μm) 50g/l
アクリルバインダー(高松油脂(株)社製 ハイレジンTS1686固形分25質量%)
20g/l
ノニオン系界面活性剤(松本油脂製薬(株)社製 アクチノールR100) 2g/l
実施例3
低融点繊維及び高融点繊維を増量してセシウムイオン吸着用不織布シートの目付を100g/cm2とし、厚さ0.3mm、密度0.33g/cm3に変更する以外は実施例2と同様にして、密度0.43g/cm、セシウムイオン吸着剤1.6g含有した本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
実施例4
低融点繊維を25質量%、高融点繊維を75質量%に変更する以外は、実施例1と同様にして、密度0.18g/cm、セシウム吸着剤1.3g含有した本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
実施例5
低融点繊維を芯成分にポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘成分にポリエチレン(融点130℃)を配した芯鞘複合繊維(ユニチカ株式会社製 商品名「メルティー6080」、繊度2.2dtex、繊維長51mm)に変更する以外は、実施例1と同様にして、密度0.18g/cm、セシウムイオン吸着剤1.3g含有した本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
比較例1
カチオン化処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様にして、密度0.21g/cm、セシウムイオン吸着剤1.6g含有したセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
比較例2
処方2を下記処方4に変更した以外は実施例1と同様にして、密度0.21g/cm、セシウムイオン吸着剤を0.5g含有したセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
(処方4)
プルシアンブルー(関東化学(株)社製 Fe[Fe(CN)]、疎水性・低純度品固形分11%、平均一次粒子径0.01μm) 30g/l
アクリルバインダー(高松油脂(株)社製 ハイレジンTS1686固形分25質量%)
10g/l
ノニオン系界面活性剤(松本油脂製薬(株)社製 アクチノールR100) 2g/l
比較例3
低融点繊維及び高融点繊維を増量してセシウムイオン吸着用不織布シートの目付を100g/cm2とし、さらにプレス2本ロール隙間を1.2mmに変更し、厚さ1.2mm、密度0.083g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、密度0.12g/cm、セシウムイオン吸着剤0.7g含有したセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
比較例4
低融点繊維及び高融点繊維を増量してセシウムイオン吸着用不織布シートの目付を110g/cm2とし、さらにプレス2本ロール隙間を0.2mmに変更し、厚さ0.2mm、密度0.55g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、密度0.55g/cm、セシウムイオン吸着剤4.1g含有したセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
比較例5
高融点繊維を使用せずに低融点繊維100%として実施例1と同様にして、密度0.21g/cm、セシウムイオン吸着剤を1.6g含有したセシウムイオン吸着用筒状フィルターを得た。
比較例6
低融点繊維を使用せずに融点繊維100%として実施例1と同様にして、セシウム イオン吸着用筒状フィルターの作成を試みたが円筒型に成型できなかった。

上記実施例、比較例にて得られたフィルターの評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5の本発明のセシウムイオン吸着用筒状フィルターは、特定の熱融着性繊維を含む不織布に、カチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤が固着し特定の性能としているため、セシウムイオン吸着性能に優れ、吸着材の脱落が非常に少ない筒状フィルターであった。一方、比較例1は、カチオン性高分子化合物を固着していないため吸着剤の脱落量が大きいものであった。比較例2〜3は、セシウムイオン吸着剤量が少なかったため、セシウムイオン吸着能力が低いものであった。比較例4は、筒状フィルターの密度が高すぎたため、比較例5は、熱融着繊維が空隙を塞いだために通水ができなかった。比較例6は、筒状フィルターが非融着繊維のみで構成されているために円筒型に成型することができなかった。
1 不織布ロール繰り出し部
2 不織布
3 熱処理ゾーン部
4 ネット
5 熱プレスロール
6 プレス処理不織布の巻き取り部
7 セシウムイオン吸着性錯体固着不織布ロール繰り出し部
8 セシウムイオン吸着性錯体固着不織布
9 ガイドロール
10 カートリッジ巻き取り2本ロール
11 円筒カートリッジロール
12 パイプ
13 押えロール
14 カートリッジロール作製ゾーン

Claims (6)

  1. 30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を含む不織布からなる筒状フィルターであって、前記筒状フィルターに第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤が固着されており、且つ、下記(a)、(b)及び(c)を満足することを特徴とするセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
    (a)セシウムイオン濃度0.1ppmの塩化セシウム水溶液を下記(1)式で示す
    空塔速度SVが10の条件で通水した時の破過点が1000L以上。
    空塔速度SV(Hr−1)=流量(m/Hr)/体積(m) (1)
    (b)空塔速度SVが10の条件での通水前後のセシウムイオン吸着剤の脱落量が
    2ppm以下。
    (c)前記筒状フィルターの密度が0.15〜0.5g/cm
  2. 前記セシウムイオン吸着剤を0.8g以上含有していることを特徴とする請求項1記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
  3. 前記セシウムイオン吸着剤がプルシアンブルー型錯体であることを特徴とする請求項1または2に記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
  4. 前記30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維からなる群より選択された1またはそれ以上の繊維で構成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
  5. 前記30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維の低融点側の繊維またはポリマーの融点が、100〜190℃であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルター。
  6. 前記30℃以上の融点差がある2種以上の繊維及び/または30℃以上の融点差があるポリマーが隣接または芯鞘構造となっている繊維を含み、且つ、第3級または第4級アンモニウム基を含むカチオン性高分子化合物及びセシウムイオン吸着剤が固着された不織布を筒状にした後に、130〜220℃で熱処理を行なうことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のセシウムイオン吸着用筒状フィルターの製造方法。
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