JP2014173868A - カートリッジフィルタ - Google Patents

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善章 川津
Takeshi Kobayashi
剛 小林
Tatsuya Kawasaki
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Abstract

【課題】
放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタの提供を目的とする。
【解決手段】
放射性物質吸着成分を備えたシート状多孔体が巻回されてなる円柱状部材を備えるカートリッジフィルタにおいて、筒状部材の内部に円柱状部材が複数並んで存在することにより、放射性物質の吸着性能が意図せず低下するのを防いで、放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタを提供できる。
更に、円盤状多孔体を間に介して円柱状部材が複数並んで存在することによって、流入口側に存在する円柱状部材を通過してきた流体が、円盤状多孔体を通過する間に円盤状多孔体内部で攪拌され均一化して、流出口側に存在する円柱状部材へ供されるものとなり、円柱状部材全体に存在する放射性物質吸着成分による放射性物質の吸着が、効率よく行われ易い。

【選択図】図1

Description

本発明は放射性物質を吸着する、カートリッジフィルタに関する。
放射性物質に汚染された気体や液体などの流体中から放射性物質を除去するため、例えば、ゼオライト、活性炭、紺青(プルシアンブルー)などの放射性物質吸着成分が利用されている。
本発明者らは、流体中から放射性物質を簡便かつ十分に除去できるように、放射性物質吸着成分を備えた、例えば、布帛(例えば、不織布、織物、編物など)や多孔性フィルムあるいは多孔性発泡体などのシート状多孔体をフィルタとして使用することを検討した。
そして、上述のフィルタを備えるフィルタカートリッジとして、例えば、特開2001−186822号公報(以降、特許文献1と称する)などが開示するように、放射性物質吸着成分を備えたシート状多孔体が巻回されてなる円柱状部材を、筒状部材の内部に納めてなるカートリッジフィルタを検討した。なお、このようにして調製したカートリッジフィルタでは、筒状部材における一方の開口部分(以降、流入口、と称する)からカートリッジフィルタ内部へ導入された流体は、円柱状部材を通過して、筒状部材におけるもう一方の開口部分(以降、流出口、と称する)からカートリッジフィルタの外部へと排出される。そして、流体中の放射性物質は、円柱状部材に存在する放射性物質吸着成分により吸着される。
特開2001−186822号公報(特許請求の範囲、図2−3など)
しかし、実際に上述のカートリッジフィルタを調製し放射性物質の吸着性能を評価したところ、放射性物質の吸着性能は予想よりも低いものであった。
本発明者らが、カートリッジフィルタにおける放射性物質の吸着性能が低かった理由を調査したところ、円柱状部材に次の問題が発生していることを見出した。
シート状多孔体が巻回される際にわずかな歪みや皺が発生した場合には、円柱状部材における流入口側の端部から流出口側の端部にわたり、略一直線(換言すれば、フィルタカートリッジにおける放射性物質の吸着領域全体にわたり略一直線)をなして、円柱状部材を構成しているシート状多孔体の対面する主面同士の間に隙間が発生しており、流体のショートパスとなっていた。
また、シート状多孔体の巻回が不均一に成された場合には、円柱状部材における流入口側の端部から流出口側の端部にわたり、略一直線をなして、円柱状部材に流体の流れ難い部分が発生しており、放射性物質吸着成分による放射性物質の吸着が円柱状部材全体で効率よく行われなくなっていた。
その結果、フィルタカートリッジから排出された流体中には、放射性物質が十分に除去(吸着の概念を含む)されず残留しているものであった。
そのため、従来技術の限りでは、放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタを提供することが困難であった。
本発明は、放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタの提供を目的とする。
本発明は、
「シート状多孔体が巻回されてなる円柱状部材、円盤状多孔体、および、筒状部材を備える、カートリッジフィルタであって、
前記シート状多孔体は放射性物質吸着成分を備えており、
前記筒状部材の内部に、前記円盤状多孔体を間に介して前記円柱状部材が複数並んで存在する、カートリッジフィルタ。」
である。
本発明者らは検討を続けた結果、放射性物質吸着成分を備えたシート状多孔体が巻回されてなる円柱状部材を備えるカートリッジフィルタにおいて、筒状部材の内部に円柱状部材が複数並んで存在することにより、放射性物質の吸着性能が意図せず低下するのを防いで、放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタを提供できることを見出した。
つまり、カートリッジフィルタ内部に存在する円柱状部材が、複数に分割された状態で存在することによって、例え各円柱状部材に隙間や流体の流れ難い部分が生じている場合であっても、放射性物質の吸着領域全体にわたり略一直線に、隙間や流体の流れ難い部分が存在するのを防ぐことができる。
更に、円盤状多孔体を間に介して円柱状部材が複数並んで存在することによって、流入口側に存在する円柱状部材を通過してきた流体が、円盤状多孔体を通過する間に円盤状多孔体内部で攪拌され均一化して、流出口側に存在する円柱状部材へ供されるものとなる。そのため、放射性物質が均一に存在した流体が円柱状部材へ供されるようになることから、円柱状部材全体に存在する放射性物質吸着成分による放射性物質の吸着が、効率よく行われ易い。
以上から、本発明のカートリッジフィルタは、放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタである。
本発明のカートリッジフィルタの、模式的断面図である。
本発明のカートリッジフィルタについて、本発明のカートリッジフィルタの、模式的断面図である図1を用いて説明する。なお、図1は本発明のカートリッジフィルタ(10)の一例を図示しており、カートリッジフィルタ(10)における流体の流入側は図1における紙面上の左方向側であり、カートリッジフィルタ(10)における流体の流出側は図1における紙面上の右方向側である。
本発明のカートリッジフィルタ(10)は、主として、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体が巻回されてなる円柱状部材(1、以降、円柱状部材(1)、と称する)、円盤状多孔体(2)、および、筒状部材(3)を備えている。なお、図1では、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を棒状部材(7)に巻回してなる円柱状部材(1)を備えたカートリッジフィルタ(10)を図示している。
そして、筒状部材(3)の内部に、円盤状多孔体(2)を間に介して円柱状部材(1)が複数並んで存在している。なお、図1では、筒状部材(3)の内部に円盤状多孔体(2)を間に介して、3つの円柱状部材(1)が並んで存在していると共に、流入口(5)と前記流入口(5)に最も近接して設けられた円柱状部材(1)の間、および、流出口(6)と前記流出口(6)に最も近接して設けられた円柱状部材(1)の間に、空間(4)を有するカートリッジフィルタ(10)を図示している。
次いで、本願発明のカートリッジフィルタ(10)が、流体中の放射性物質を吸着できる仕組みについて、図1を用いて説明する。
まず、放射性物質を含んだ流体は、流入口(5)からカートリッジフィルタ(10)の内部へと導入される。そして、内部へ導入された流体は、流入口(5)と前記流入口(5)に最も近接して設けられた円柱状部材(1)の間に形成された空間(4)を経た後、円柱状部材(1)−円盤状部材(2)−円柱状部材(1)−円盤状部材(2)−円柱状部材(1)の順で各部材を通過して、最後に、流出口(6)と前記流出口(6)に最も近接して設けられた円柱状部材(1)の間に形成された空間(4)を経て、流出口(6)からカートリッジフィルタ(10)の外部へと排出される。
このとき、流体中の放射性物質は、各円柱状部材(1)に含まれている放射性物質吸着成分により吸着されるため、流出口(6)からカートリッジフィルタ(10)の外部へと排出された流体中の放射性物質の量は減少している。
本願発明者らは本発明のカートリッジフィルタ(10)は、放射性物質の吸着性能に優れることを見出した。
つまり、カートリッジフィルタ(10)内部に存在する円柱状部材(1)が、複数に分割された状態で存在することによって、例え各円柱状部材(1)に隙間や流体の流れ難い部分が生じている場合であっても、放射性物質の吸着領域全体にわたり略一直線に、隙間や流体の流れ難い部分が存在するのを防ぐことができる。
更に、円盤状多孔体(2)を間に介して円柱状部材(1)が複数並んで存在することによって、流入口(5)側に存在する円柱状部材(1)を通過してきた流体が、円盤状多孔体(2)を通過する間に円盤状多孔体(2)内部で攪拌され均一化して、流出口(6)側に存在する円柱状部材(1)へ供されるものとなる。そのため、放射性物質が均一に存在した流体が円柱状部材(1)へ供されるようになることから、円柱状部材(1)全体に存在する放射性物質吸着成分による放射性物質の吸着が、効率よく行われ易い。
本発明のカートリッジフィルタ(10)の詳細について、以下に説明する。
円柱状部材(1)を構成するシート状多孔体は、例えば、不織布や織物あるいは編物などの布帛、あるいは、通気性多孔フィルムあるいは通気性発泡体などの通気性や通液性を有する素材から構成されたシート状の部材である。なお、シート状多孔体は、一種類の素材から構成できるが、複数の素材を積層するなど組み合わせることで構成してもよい。
上述の素材を構成する成分は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機ポリマーからなることができる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、複数の有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
布帛を構成する繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を吸着することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
布帛を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の樹脂成分から構成されてなるものでも構わず、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用することができる。
布帛を構成する繊維の繊度は特に限定するものではないが、前記繊度は0.1〜50dtexであるのが好ましく、0.5〜30dtexであるのがより好ましい。また、繊維長も特に限定するものではないが、短繊維や長繊維あるいは連続繊維を使用することができる。
布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を、織るあるいは編むことで調製することができる。
布帛が不織布である場合、不織布を製造可能な繊維ウェブの調製方法として、例えば、乾式法、湿式法などを用いることができる。そして、繊維ウエブを構成する繊維同士を絡合および/または一体化して不織布にする方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維同士をバインダで一体化する方法、あるいは、繊維ウエブが熱可塑性樹脂を含んでいる場合には、繊維ウエブを加熱処理することで前記熱可塑性樹脂を溶融して、繊維同士を一体化する方法を挙げることができる。なお、繊維ウエブを加熱処理する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させる方法などを用いることができる。また、直接紡糸法を用いて紡糸された繊維を捕集することで、不織布を調製してもよい。
素材が通気性多孔フィルムあるいは通気性発泡体である場合、例えば、溶融状態の樹脂を型に流し込み成型、発泡処理するなど、公知の方法で調製することができる。
シート状多孔体の形状、目付、厚さなどの諸特性は、特に限定されるべきものではなく、適宜調整するのが好ましい。シート状多孔体の形状は、巻回することで円柱状部材(1)を構成することができるように、生産方向の長さが前記生産方向と直交する方向(以降、幅方向、と称する)の長さよりも長い、長尺状とするのが好ましい。なお、この時、シート状多孔体の厚さ(生産方向および幅方向と直交する方向の長さ)は、生産方向の長さおよび幅方向の長さよりも短く、5μm〜30mmであるのが好ましく、20μm〜10mmであるのが最も好ましい。
シート状多孔体の目付は、0.5〜500g/mであるのが好ましく、1〜300g/mであるのがより好ましく、5〜150g/mであるのが最も好ましい。なお、本発明でいう「目付」とは主面における面積1mあたりの質量をいい、主面とは面積が広い部分の面をいう。また、本発明でいう「厚さ」は、圧縮弾性式厚み計により計測した値であり、具体的には測定対象物の主面に対して5cmの荷重領域に100gfの荷重をかけた際の前記領域における厚さの値をいう。
シート状多孔体が備える放射性物質吸着成分の種類は、カートリッジフィルタ(10)によって吸着しようとする放射性物質の種類によって適宜選択されるべきものであり、限定されるものではないが、例えば、ゼオライト、活性炭、紺青(プルシアンブルー)などを挙げることができる。
そして、放射性物質吸着成分は、シート状多孔体の表面及び/又は内部に粒子状、あるいは、シート状多孔体の表面の一部(例えば、繊維表面など)または全部を被覆するように皮膜状で存在していることができる。特に、粒子状の放射性物質吸着成分(以降、放射性物質吸着粒子、と称することがある)であることにより、シート状多孔体の微孔中にも放射性物質吸着粒子が存在することができるため、更に、放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタ(10)を提供でき好ましい。
放射性物質吸着粒子の形状は適宜調整できるが、例えば、球状(略球状や真球状)、繊維状、針状、平板状、不定形形状や多面体形状あるいは羽毛状やテトラポッド形状などから適宜選択することができる。また放射性物質吸着粒子の直径も適宜調整できるが、質量に対する表面積の割合が大きくなり放射性物質の吸着が効率良く行われるように、マイクロメートルオーダー(1μm以上1mm未満)の範囲の直径を有する放射性物質吸着粒子であるのが好ましく、ナノメートルオーダー(1nm以上1μm未満)の範囲の直径を有する放射性物質吸着粒子であるのがより好ましい。
なお、本発明でいう粒子の直径(粒子径)は、測定対象となる粒子を大塚電子(株)製FPRA1000(測定範囲3nm〜5000nm)に供して、動的光散乱法で3分間の連続測定を行い、散乱強度から得られた粒子径測定データから求める。つまり、粒子径測定を5回行い、その測定して得られた粒子径測定データを粒子径分布幅が狭い順番に並べ、3番目に粒子径分布幅が狭い値を示したデータにおける粒子の累積値50%点の粒子径D50を粒子径とする。なお、測定に使用する分散液は25℃に調整し、25℃の純水を散乱強度のブランクとして用いる。
放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体の調製方法は適宜選択でき、限定されるものではないが、例えば、以下の方法を採用することができる。
1.上述した有機ポリマーに放射性物質吸着成分を添加し、放射性物質吸着成分が添加された有機ポリマーを用いて調製した素材から、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を調製する方法、
2.繊維と放射性物質吸着粒子を混合することで調製した布帛を用いて、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を調製する方法、
3.素材に、放射性物質吸着成分の溶液、あるいは、放射性物質吸着粒子の分散液を付与して調製した、放射性物質吸着成分が付与された素材を用いて、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を調製する方法、
4.素材に、バインダにより放射性物質吸着粒子を接着して調製した、放射性物質吸着成分が接着された素材を用いて、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を調製する方法、
5.素材に、前記素材を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度に熱した放射性物質吸着粒子を接触させて調製した、放射性物質吸着粒子が溶着担持された素材を用いて、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を調製する方法、
あるいは、
1.放射性物質吸着粒子の分散液、あるいは、放射性物質吸着成分の溶液を、素材の一方の主面あるいは両主面へ、噴霧あるいは既知のコーティング方法(例えば、グラビアロールを用いたキスコーティング法、ダイコーティング法など)を用いて塗工した後、素材から溶媒を吸着する方法、
2.素材を上述の分散液、あるいは、溶液へ浸漬し引き上げた後、素材から溶媒を吸着する方法、
などの公知の方法から適宜選択できる。
また、上述のようにして調製された放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体は、そのまま巻回して円柱状部材(1)を構成してもよいが、巻回時やカートリッジフィルタ(10)の使用時に放射性物質吸着成分が脱落するのを防止するため、脱落防止処理を施した放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を巻回して、円柱状部材(1)を構成するのが好ましい。脱落防止処理の方法や、前記方法において使用する脱落防止剤の種類は適宜選択するものであり限定されるものではないが、例えば、放射性物質吸着成分が紺青である場合には、紺青を備える素材またはシート状多孔体に、例えば、ノンホルマリンタイプの脱落防止剤(例えば、ニットーボーメディカル社のDANFIX\ダンフィックス(登録商標)、Danfix−303、Danfix−723、Danfix−202、Danfix−F、Danfix−NKなど)の分散液や溶液を付与するのが好ましい。
シート状多孔体が備える放射性物質吸着成分の質量は、適宜調整するものであり限定されるものではないが、放射性物質の吸着性能が優れるカートリッジフィルタ(10)を提供できるように、放射性物質吸着成分はシート状多孔体あたり0.5g/m以上担持されているのが好ましく、2g/m以上担持されているのがより好ましく、4g/m以上担持されているのが最も好ましい。他方、シート状多孔体に担持されている放射性物質吸着成分の質量に上限は無いが、余りにも多過ぎるとシート状多孔体から放射性物質吸着成分が脱落する恐れがあることから、放射性物質吸着成分はシート状多孔体あたり20g/m以下となるように担持されているのが好ましい。
円柱状部材(1)は、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を巻回してなる円柱状の部材であり、流体中の放射性物質を吸着する役割を担う。
円柱状部材(1)は、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体のみを巻回することで調製してもよいが、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体と上述した素材を積層してなる、積層体を巻回して円柱状部材(1)を調製しても良い。このとき、前記素材が熱可塑性樹脂などの熱接着性を発揮できる成分を含んでいる場合、熱接着性を発揮できる素材を備えた積層体を巻回してなる円柱状部材(1)を、前記素材が熱接着性を発揮できる温度となるように加熱処理することで、円柱状部材(1)を構成しているシート状多孔体の対面する主面同士の間に存在する前記素材が熱接着性を発揮して、円柱状部材(1)を構成しているシート状多孔体の対面する主面同士の間に隙間が発生するのを防いで、流体のショートパスが発生するのを防止でき好ましい。
また、図1では円柱状部材(1)として、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を棒状部材(7)に巻き付け巻回してなる円柱状部材(1)の態様を図示しているが、棒状部材(7)を用いることなく放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体のみを巻回してなる円柱状部材(1)であってもよい。しかし、棒状部材(7)を用いずに調製した円柱状部材(1)では、調製された円柱状部材(1)の中心部分に隙間が形成され易い傾向があることから、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体を棒状部材(7)に巻き付け巻回してなる円柱状部材(1)であるのが好ましい。
棒状部材(7)は通液性を備えていなければ、内部空洞であっても内部が充実していてもよい。棒状部材(7)の形状は適宜調整するものであるが、棒状部材(7)の直径は筒状部材(3)の内部直径よりも小さく、棒状部材(7)の長さは放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体の幅方向の長さと同じ長さであるのが好ましい。
円柱状部材(1)の直径の大きさは、筒状部材(3)の内部に納まると共に筒状部材(3)の内部壁面との間に意図せず隙間が生じない大きさであればよく、放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体の厚さや長さなどを変更して、適宜調整するのが好ましい。また、円柱状部材(1)における放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体の幅方向の長さは、筒状部材(3)の内部に、円盤状多孔体(2)を間に介して所望する数の円柱状部材(1)が複数並んで存在できる長さとなるように、適宜調整するのが好ましい。
円盤状多孔体(2)は上述した素材を円盤状に切り抜く、あるいは、打ち抜くことで円盤形状とした部材であり、流入口(5)側に存在する円柱状部材(1)を通過してきた流体を、円盤状多孔体(2)内部で攪拌し均一化する役割を担う。なお、円盤状多孔体(2)は、一種類の素材から構成されていることもできるが、複数の素材を積層するなど組み合わせることで構成されていてもよい。また、円盤状多孔体(2)は、放射性物質吸着成分を備えていない素材のみから構成されていても、放射性物質吸着成分を備える素材を用いて構成されていても良い。
円盤状多孔体(2)の直径の大きさは、筒状部材(3)の内部に納まると共に筒状部材(3)の内部壁面との間に意図せず隙間が生じない大きさであればよく、適宜調整するのが好ましい。

円盤状多孔体(2)の態様は適宜調製するものであるが、流入口(5)側に存在する円柱状部材(1)を通過してきた流体を、円盤状多孔体(2)内部で効率よく攪拌し均一化できるように、円盤状多孔体(2)の空隙率は、円柱状部材(1)における放射性物質吸着成分を備えるシート状多孔体の空隙率よりも、高いのが好ましい。なお、円盤状多孔体(2)を構成する繊維径、繊維密度などを変更することで、円盤状多孔体(2)の空隙率を適宜調整するのが好ましい。
また円盤状多孔体(2)の目付は、0.5〜500g/mであるのが好ましく、1〜300g/mであるのがより好ましく、5〜150g/mであるのが最も好ましい。そして、円盤状多孔体(2)の厚さは、シート状多孔体の厚さは、0.005〜30mmであるのが好ましく、0.02〜10mmであるのが最も好ましい。
筒状部材(3)は、一方の端部に流体の流入口(5)を備えており、もう一方の端部に流出口(6)を備えた、内部に円盤状多孔体(2)と複数の円柱状部材(1)を備えることができる筒状の部材である。
なお図1では、ノズル状の流入口(5)および流出口(6)を備えた筒状部材(3)を図示しているが、流入口(5)および流出口(6)の形状や種類は適宜選択し限定されるものはなく、例えば、竹の子継手、ホース継手、ニップル継手などであることができる。また、筒状部材(3)の端部における切断面そのものを流入口(5)および流出口(6)として利用してもよい。また、筒状部材(3)の長さや内部直径の大きさは、本願発明のカートリッジフィルタ(10)を構成することができるように、適宜調整する。
本発明のカートリッジフィルタ(10)は、図1に図示した態様以外にも、以下に説明する態様とすることができる。
流入口(5)と前記流入口(5)に最も近接して設けられた円柱状部材(1)の間、および/または、流出口(6)と前記流出口(6)に最も近接して設けられた円柱状部材(1)の間に、空間(4)を備えていないカートリッジフィルタであってもよい。
しかし、カートリッジフィルタ(10)が前記空間(4)を備えていることで、流入口(5)からカートリッジフィルタ(10)内部へ導入された流体が、前記空間(4)に露出している円柱状部材(1)の面全体に接触することができる。その結果、流体が円柱状部材(1)全体に広がり供給され易くなることで、円柱状部材(1)全体に存在する放射性物質吸着成分による放射性物質の吸着が、効率よく行われ易くなる。そのため、カートリッジフィルタ(10)は前記空間(4)を備えるのが好ましい。
また、流入口(5)と前記流入口(5)に最も近接して設けられた円柱状部材(1)の間に、プレフィルタ(図示せず)を備えるカートリッジフィルタ(10)であってもよい。
前記間にプレフィルタを備えていることで、流体中の塵埃や不要な成分をプレフィルタにより吸着した流体を円柱状部材(1)へ供給することができる。その結果、円柱状部材(1)や円盤状多孔体(2)が塵埃によって目詰まりするのを防ぐことができて、カートリッジフィルタ(10)の寿命を延ばすことができ好ましい。プレフィルタの態様や製造方法は適宜調整するものであり限定されるものではないが、例えば、放射性物質吸着成分を備えていない素材を円盤状に切り抜く、あるいは、打ち抜くことで円盤形状とした部材や、前記素材を巻回してなる円柱状の部材などをプレフィルタとして使用することができる。
また、放射性セシウムの吸着効率が低下するのを防止できると考えられることから、放射性物質吸着成分を備えた円柱状部材(1)を備えるカートリッジフィルタ(10)において、流体中の放射性セシウムを由来とするセシウムカチオン以外の、カチオンを低減することができる機能を発揮するプレフィルタを設けるのが好ましい。
更に、本発明者らは、放射性物質吸着成分として紺青を備えた円柱状部材(1)を備えるカートリッジフィルタ(10)において、流体中のアルカリ性を低減することができる機能を発揮するプレフィルタを設けることにより、カートリッジフィルタ(10)に含まれる紺青が分解されるのを防止できることを見出した。
上述の機能を発揮できる機能を発揮するプレフィルタの種類は適宜選択するが、例えば、酸性pH調整剤などアルカリ性を低減する成分を備えており流体のpHを低くできる機能を発揮できるプレフィルタなどを挙げることができる。なお、前述の酸性pH調整剤を溶出する成分は適宜選択できるものであり限定されるものではないが、例えば、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、リン酸、アジピン酸などを挙げることができる。
イオン交換能を有するプレフィルタの調製方法は公知の方法を採用することができるが、例えば、イオン交換能を発揮する有機ポリマ−から調製した素材を用いてプレフィルタを調製する方法、イオン交換成分(例えば、陰イオン交換成分や陽イオン交換成分など)を付与した素材を用いてプレフィルタを調製する方法、表面改質処理(例えば、プラズマ処理、グラフト重合処理、フッ素処理、スルホン化処理など)した素材を用いてプレフィルタを調製する方法などを採用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(シート状多孔体の調製方法)
ポリオレフィン樹脂繊維(繊度:0.8dtex、繊維長:5mm、宇部日東化成株式会社製)を湿式抄造し、調製した湿式ウェブをサクションドラムドライヤー装置へ供することで乾燥させて、長尺状の湿式不織布(目付:50g/m)を調製した。
(バインダの調製方法)
以下に記載する組成物を記載の質量比率となるように混合分散させて、紺青粒子を混合したバインダを調製した。
・紺青粒子の分散液(紺青粒子の粒子形状:多面体形状、紺青粒子の粒子径:50nm〜100nm、分散媒:水、分散液に占める紺青粒子の固形分質量:10質量%):33質量%
・塩化ビニルコポリマー樹脂エマルジョン(ガラス転移点温度:62℃、エマルジョンに占める樹脂の固形分質量:57質量%、CBC株式会社製VYCAR351(登録商標)):12.3質量%
・エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(ガラス転移点温度:30℃、エマルジョンに占める樹脂の固形分質量:50質量%、住化ケムテックス株式会社製スミカフレックス850HQ(登録商標)):22.6質量%
・スチレン・ブタジエン系ラテックスエマルジョン(ガラス転移点温度:−18℃、エマルジョンに占める樹脂の固形分質量:41質量%、日本ゼオン株式会社製NIPOLLX−421(登録商標)):5.7質量%
・アンモニア濃度25体積%のアンモニア水溶液:0.5質量%
・水:25.9質量%

なお、上述の紺青は放射性セシウムの吸着性能を発揮する放射性物質吸着成分であり、上述の塩化ビニルコポリマー樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂およびスチレン・ブタジエン系ラテックスはバインダとして作用するものである。また、調製したバインダ質量に占める固形分質量は、23.9質量%であった。
(染料固着剤水溶液の調製方法)
以下に記載する組成物を記載の質量比率となるように混合溶解させて、染料固着剤水溶液を調製した。
・染料固着剤(ニットーボーメディカル社、Danfix−723、溶媒:水、溶媒に占める染料固着剤の固形分質量:35質量%):0.1質量%
・水:99.9質量%
(シート状多孔体へバインダを付与する方法)
上述のようにして調製したバインダへ長尺状の湿式不織布を浸漬した。そして、前記バインダから長尺状の湿式不織布を引き上げた後、キャンドライヤー装置(温度:140℃)へ供することにより乾燥させた。
次いで、上述のようにして調製した染料固着剤水溶液へ前記乾燥させた長尺状の湿式不織布を浸漬した。そして、前記染料固着剤水溶液から長尺状の湿式不織布を引き上げた後、キャンドライヤー装置(温度:130℃)へ供することにより乾燥させて、紺青粒子を備える長尺状の湿式不織布(目付:84.8g/m、紺青粒子の担持質量:4.8g/m)を調製した。
(実施例1)
(円柱状部材Aの調製方法)
上述のようにして調製した紺青粒子を備える長尺状の湿式不織布から、長辺方向の長さ:9.9m、短辺方向の長さ:80mmの切片を切り取った。
そして、用意した棒状部材A(直径:5mm、長さ:80mm)の長さ方向と、切片における短辺方向を合わせた状態にして、棒状部材Aからはみ出ないように切片を棒状部材Aに巻回して、円柱状部材A(直径:68mm、高さ:80mm)を調製した。このとき、溶融したホットメルト樹脂を付与することで、巻回された切片と棒状部材Aとの露出している接触部分をシーリングした。
同様にして、円柱状部材Aを合計3個調製した。
(円盤状多孔体の調製方法)
モダアクリル繊維(プロテックス(登録商標)、(株)カネカ、繊度:7.8dtex、繊維長:64mm)とポリエステル繊維(ユニチカエステルH−38F、繊度:14dtex、繊維長:51mm)を等質量混合してカード機へ供することで、クロスレイ繊維ウェブ(目付:70g/m)を調製した。

次いで、以下に記載の固形分質量比率でエマルジョンバインダAおよびBを混合して、繊維ウェブ結合用エマルジョンバインダを調製した。
・エマルジョンバインダA:ポリ塩化ビニルエマルジョンバインダ(CBC社、VYCAR351、固形分:57質量%、塩化ビニル成分:100質量%):65質量%
・エマルジョンバインダB:塩化ビニル−エチレン系多元共重合体エマルジョンバインダ(スミカフレックス850HQ(登録商標)、住友化学製、固形分:50質量%、塩化ビニル成分:60質量%):35質量%

そして、クロスレイ繊維ウェブへ繊維ウェブ結合用エマルジョンバインダを、スプレーにより30g/m塗布した後、150℃の熱風乾燥機へ供することで、繊維同士を繊維ウェブ結合用エマルジョンバインダで一体化して乾式不織布(目付:100g/m、厚さ:5mm)を調製した。
最後に、調製した乾式不織布を円盤状に打ち抜くことで、円盤状多孔体(目付:100g/m、直径:68mm、厚さ:5mm)を調製した。なお、同様にして、円盤状多孔体を合計4枚調製した。
(カートリッジフィルタの調製)
内径:68mm、長さ:300mmの塩化ビニル管Aを用意した。
そして、前記塩化ビニル管Aの一方の端部からもう一方の端部に向かい、円柱状部材A−積層した2枚の円盤状多孔体−円柱状部材A−積層した2枚の円盤状多孔体−円柱状部材Aの順で各部材を、前記塩化ビニル管Aの内部へ挿入した。このとき、溶融したホットメルト樹脂を付与することで、流入口および流出口側に露出している、円柱状部材Aと塩化ビニル管Aとの接触部分をシーリングした。
その後、前記塩化ビニル管Aの両端部にノズルが付いたキャップを嵌め込むことで、前記塩化ビニル管Aにおける両端部に流入口および流出口を設けて、図1に図示した構成のカートリッジフィルタを調製した。
なお、前記塩化ビニル管A内部の両端部には、各々、直径:68mm、高さ:20mmの略円柱状の空隙が形成されていた。
(比較例1)
(円柱状部材Bの調製方法)
上述のようにして調製した紺青粒子を備える長尺状の湿式不織布から、長辺方向の長さ:9.9m、短辺方向の長さ:240mmの切片を切り取った。
そして、用意した棒状部材B(直径:5mm、長さ:240mm)の長さ方向と、切片における短辺方向を合わせた状態にして、棒状部材Bからはみ出ないように切片を棒状部材Bに巻回して、円柱状部材B(直径:68mm、高さ:240mm)を調製した。このとき、溶融したホットメルト樹脂を付与することで、巻回された切片と棒状部材Bとの露出している接触部分をシーリングした。
(カートリッジフィルタの調製)
内径:68mm、長さ:280mmの塩化ビニル管Bを用意し、前記塩化ビニル管Bの内部へ円柱状部材Bを挿入した。このとき、溶融したホットメルト樹脂を付与することで、流入口および流出口側に露出している、円柱状部材Bと塩化ビニル管Bとの接触部分をシーリングした。
その後、前記塩化ビニル管Bの両端部にノズルが付いたキャップを嵌め込むことで、前記塩化ビニル管Bにおける両端部に流入口および流出口を設けて、カートリッジフィルタを調製した。
なお、前記塩化ビニル管B内部の両端部には、各々、直径:68mm、高さ:20mmの略円柱状の空隙が形成されていた。
実施例1および比較例1で調製したカートリッジフィルタを、各々、次に説明する測定へ供した。
(カートリッジフィルタにおける放射性物質の吸着性能の評価方法)
セシウムを水に溶解させて、試験液の質量に占めるセシウムの質量が5ppm(パーツ・パー・ミリオン)の試験液を用意した。
そして、カートリッジフィルタにおける一方のノズル(流入口)から、試験液をカートリッジフィルタ内部へ流速0.5L/minの速度で導入した。
カートリッジフィルタにおけるもう一方のノズル(流出口)からカートリッジフィルタの外部へ排出された水を原子吸光分析装置へ供することで、カートリッジフィルタ内部へ特定量の試験液を導入した時点における、カートリッジフィルタから排出された水に含まれるセシウムの濃度を測定して、カートリッジフィルタによるセシウム吸着率(%)を測定した。
なお、セシウム吸着率(%)は、カートリッジフィルタ内部へ特定量の試験液を導入した時点における、排出された水に含まれるセシウムの濃度を、以下の数式に算入することで算出した。
A=100−(B/C)×100
A:セシウム吸着率(%)
B:排出された水に含まれるセシウムの濃度(ppm)
C:試験液に含まれるセシウムの濃度(5ppm)
測定結果をまとめ、表1にまとめた。なお、表1では、カートリッジフィルタ内部へ導入した試験液の量(L)を「導入量(L)」と省略して記載している。
Figure 2014173868

また、実施例1および比較例1のカートリッジフィルタを各5個ずつ調製し、各々のカートリッジフィルタを(カートリッジフィルタにおける放射性物質の吸着性能の評価方法)へ供した。
そして、測定へ供した各々のカートリッジフィルタ(カートリッジフィルタ1〜5)において、カートリッジフィルタ内部へ導入した試験液の量(L)が60Lとなった時点における、セシウム吸着率(%)を各々算出した。測定結果をまとめ、表2にまとめた。なお、表2では、導入量(L)が60Lとなった時点におけるセシウム吸着率(%)を「60Lセシウム吸着率(%)」と省略して記載している。
Figure 2014173868
表1にまとめた測定の結果から、実施例1のカートリッジフィルタは比較例1のカートリッジフィルタよりも、セシウム吸着率(%)が高いことが判明した。また、実施例1のカートリッジフィルタは比較例1のカートリッジフィルタよりも、導入量(L)が多くなるのに伴うセシウム吸着率(%)の低下を防ぐことができる、カートリッジフィルタであることが判明した。
更に、表2にまとめた測定の結果から、実施例1のカートリッジフィルタは比較例1のカートリッジフィルタよりも、調製した5個のカートリッジフィルタにおいて、セシウムの吸着性能を均一に発揮していたことが判明した。この理由として、カートリッジフィルタが本願発明に係る構成を備えていることによって、放射性物質の吸着領域全体にわたり略一直線に、隙間や流体の流れ難い部分が存在するのを防ぐことができ、円柱状部材全体に存在する放射性物質吸着成分による放射性物質の吸着が効率よく行われているため、カートリッジフィルタの放射性物質の吸着性能が各カートリッジフィルタにおいて均一かつ最大限に発揮されたためであると考えられた。
以上から、本願発明に係るカートリッジフィルタは、放射性物質の吸着性能に優れるカートリッジフィルタである。
(参考例1)
(円柱状部材Cの調製方法)
上述した(シート状多孔体へバインダを付与する方法)の項目で調製した、紺青粒子を備える長尺状の湿式不織布から、長辺方向の長さ:40mm、短辺方向の長さ:10mmの切片を切り取った。そして、切片を長辺方向に向かい巻回させることで、円柱状部材C(直径:12.5mm、高さ:10mm)を調製した。
(プレフィルタAの調製方法)
上述した(シート状多孔体の調製方法)の項目で調製した、長尺状の湿式不織布をクエン酸水溶液(濃度:60質量%)に含浸した。そして、前記クエン酸水溶液から長尺状の湿式不織布を引き上げた後、キャンドライヤー装置(温度:125℃)へ供することにより乾燥させて、クエン酸を備える長尺状の湿式不織布(目付:155g/m、クエン酸の担持質量:105g/m)を調製した。
次いで、クエン酸を備える長尺状の湿式不織布から、長辺方向の長さ:50mm、短辺方向の長さ:10mmの切片を切り取った。そして、切片を長辺方向に向かい巻回させることで、プレフィルタA(直径:12.5mm、高さ:10mm)を調製した。
(カートリッジフィルタの調製)
内径:12.5mmのプラスチックシリンジの内部へプレフィルタAと円柱状部材Cを挿入し、カートリッジフィルタを調製した。なお、カートリッジフィルタにおける一方の端部からもう一方の端部に向かい、プレフィルタA−円柱状部材Cの順で各部材が存在しているものであった。
(参考例2)
(プレフィルタBの調製方法)
上述した(シート状多孔体の調製方法)の項目で調製した長尺状の湿式不織布を、キャンドライヤー装置(温度:125℃)へ供した。その後、長辺方向の長さ:50mm、短辺方向の長さ:10mmの切片を切り取り、切片を長辺方向に向かい巻回させることで、プレフィルタB(直径:12.5mm、高さ:10mm)を調製した。
(カートリッジフィルタの調製)
内径:12.5mmのプラスチックシリンジの内部へプレフィルタBと円柱状部材Cを挿入し、カートリッジフィルタを調製した。なお、カートリッジフィルタにおける一方の端部からもう一方の端部に向かい、プレフィルタB−円柱状部材Cの順で各部材が存在しているものであった。
上述のようにして調製した、参考例1および参考例2のカートリッジフィルタを、各々、次に説明する測定へ供した。
(カートリッジフィルタにおける放射性物質の吸着性能の評価方法)
0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(pH13)の質量に占めるセシウムの質量が5ppm(パーツ・パー・ミリオン)試験液を用意した。
そして、カートリッジフィルタにおける一方のノズル(流入口)から、試験液をカートリッジフィルタ内部へ試験液を10ml導入した。
カートリッジフィルタにおけるもう一方のノズル(流出口)からカートリッジフィルタの外部へ排出された水を原子吸光分析装置へ供することで、カートリッジフィルタから排出された水に含まれるセシウムの濃度を測定して、カートリッジフィルタによるセシウム吸着率(%)を測定した。
なお、セシウム吸着率(%)は、カートリッジフィルタ内部へ特定量の試験液を導入した時点における、排出された水に含まれるセシウムの濃度を、以下の数式に算入することで算出した。
A=100−(B/C)×100
A:セシウム吸着率(%)
B:排出された水に含まれるセシウムの濃度(ppm)
C:試験液に含まれるセシウムの濃度(5ppm)
水酸化ナトリウム水溶液を導入した後の、参考例1および参考例2における円柱状部材Cの色を確認したところ、参考例1のカートリッジフィルタでは円柱状部材Cの色は青色のままであり、円柱状部材Cに担持されている紺青の変性が防止されていたのに対して、参考例2のカートリッジフィルタでは円柱状部材Cの色は褐色に変化しており、円柱状部材Cに担持されている紺青がフェロシアン化ナトリウムに変性したことが判明した。
また、参考例1のカートリッジフィルタのセシウム吸着率は98.8%であったのに対し、参考例2のカートリッジフィルタのセシウム吸着率は14.8%であった。
以上の結果から、放射性物質吸着成分として紺青を備えた本発明のカートリッジフィルタが、流体中のアルカリ性を低減することができる機能を発揮するプレフィルタを備えている場合には、紺青の変性を防止して、円柱状部材の紺青によるセシウムイオンの吸着性能を効率良く発揮できるため、更に、放射性セシウムの吸着性能に優れるカートリッジフィルタであると考えられた。
本発明のカートリッジフィルタによって、流体中の放射性物質を効果的に吸着できる。そのため本発明のカートリッジフィルタは、例えば、農業用水、植物工場で使用する用水、放射性物質の除染時に発生する排水、工業用水などの各種流体に存在する、放射性物質の量を測定する分析用途に使用できる。また、前述した各種流体中から放射性物質を吸着することができることから、放射性物質を除染して、環境水(例えば、河川の水や海水など)や大気などの流体を清浄化する用途にも使用することができる。
10・・・カートリッジフィルタ
1・・・円柱状部材
2・・・円盤状部材
3・・・筒状部材
4・・・空間
5・・・流入口
6・・・流出口
7・・・棒状部材

Claims (1)

  1. シート状多孔体が巻回されてなる円柱状部材、円盤状多孔体、および、筒状部材を備える、カートリッジフィルタであって、
    前記シート状多孔体は放射性物質吸着成分を備えており、
    前記筒状部材の内部に、前記円盤状多孔体を間に介して前記円柱状部材が複数並んで存在する、カートリッジフィルタ。
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