JP6162482B2 - リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、これを用いたリチウムイオン二次電池用負極ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、これを用いたリチウムイオン二次電池用負極ならびにリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、鱗片状黒鉛粒子の複合体を含むリチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極ならびにその負極を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
特許文献1には、一次粒子の形状が板状又は鱗片状の黒鉛質物粒子からなる負極材料(請求項5)をCMC水溶液と混練して分散スラリを得てスプレードライして樹脂で一体化し焼成等の熱処理を行わずに負極活物質粒子とする非水電解質二次電池が記載されている。この負極活物質粒子は、実施例では造粒粒子の表面には、鱗片状グラファイトの平板面だけでなく側面も露出している(段落[0072])と記載されている。
特許文献2には、複数の扁平状粒子を配向面が非平行となるように集合又は結合させた黒鉛粒子をリチウム二次電池負極用に用いる(特許文献2の請求項1参照)ことが開示されている。これらは黒鉛粒子をタール、ピッチ等のバインダを軟化点以上に加熱して混合し、混合物を焼成して得られた黒鉛化物を最終的に粉砕して製造されている(特許文献2の段落[0019]〜[0022]参照)。
特開2002−175802号公報 特開2005−108858号公報
特許文献2に記載の全ての扁平状粒子がランダムに配列した黒鉛粒子の構造では、必然的に反応性の高い黒鉛のエッジ部分が露出することになり、リチウム二次電池負極として用いた場合、電解液の分解反応がおこりやすく、充放電効率やサイクル特性が低下するおそれがある。またこれらは黒鉛化物を最終的に粉砕して作製されており、目標粒度が小さくなると粉砕強度を強めざるを得ず、そうすると当初意図した複合体以外に微粉を発生するおそれがある。この粉砕微粉は電解液との反応性が高く、充放電効率やサイクル特性を低下させるおそれがある。
本発明はこれらの従来技術の問題点を解決し、最終製品で粉砕工程を要しない負極材料を提供することを目的とする。
また、その負極材料の製造方法と、その負極材料を含有する負極、およびその負極を用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決する方法として、鱗片状黒鉛化粒子の混合物を噴霧乾燥すれば所定の粒度範囲の製品が得られ、最終製品で粉砕工程を伴わずに電池特性に優れた黒鉛を主体とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造ができることを知見して発明されたものである。
すなわち本発明は、以下を提供する。
(1)鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素を含有する球状の複合体であって、前記複合体が内部に空隙を有し、かつ前記鱗片状黒鉛粒子が前記複合体の内部では非平行に存在し、前記複合体の表面ではベーサル面(AB面)が表面に露出し、同心円状に配向して存在することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
(2)さらに繊維状黒鉛を含有することを特徴とする(1)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(3)前記鱗片状黒鉛粒子の平均偏平度(Ly/t)が、0.5〜40である(1)または(2)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
)鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体の製造方法であって、前記鱗片状黒鉛粒子を炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である結着剤の溶液に、固形分比が全量中の5〜16質量%となるように分散させ、噴霧乾燥処理した後、700℃以上、1500℃以下の温度範囲で熱処理を行い、前記した炭素質材料および炭素質材料の前駆体を焼成炭素とし、その後粉砕工程を経ずに最終製品とし、焼成炭素が1〜8質量%であり、空隙を有する複合体を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
)鱗片状黒鉛粒子と繊維状黒鉛と焼成炭素からなる球状の複合体の製造方法であって、前記鱗片状黒鉛粒子と前記繊維状黒鉛を炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である結着剤の溶液に、固形分比が全量中の5〜16質量%となるように分散させ、噴霧乾燥処理した後、700℃以上、1500℃以下の温度範囲で熱処理を行い、前記した炭素質材料および炭素質材料の前駆体を焼成炭素とし、その後粉砕工程を経ずに最終製品とし、焼成炭素が1〜8質量%であり、空隙を有する複合体を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
)前記噴霧乾燥処理品に、さらに炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体を付着させた後、前記熱処理を行うことを特徴とする(5)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
)鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体の製造方法であって、前記鱗片状黒鉛粒子を炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である結着剤の溶液に固形分比が全量中の5〜16質量%となるように分散させ、噴霧乾燥処理し、前記噴霧乾燥処理品に、さらに炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体を付着させた後、700℃以上、1500℃以下の温度範囲で熱処理を行い、前記した炭素質材料および炭素質材料の前駆体を焼成炭素とし、その後粉砕工程を経ずに最終製品とし、焼成炭素が1〜8質量%であり、空隙を有する複合体を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
)上記(1)ないし()のいずれか1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料および樹脂を含む結合剤を含有するリチウムイオン二次電池用負極。
)上記()に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いるリチウムイオン二次電池。
本発明の負極材料である複合体は、リチウムイオン二次電池用負極材料に用いた場合に、高い放電容量および高い初回充放電効率、さらに優れた高速充放電特性とサイクル特性を得ることができる。
実施例6で得られた複合体の外観を示す電子顕微鏡写真(3000倍)である。 実施例8で得られた複合体の外観を示す電子顕微鏡写真(3000倍)である。 実施例9で得られた複合体の外観を示す電子顕微鏡写真(3000倍)である。 実施例9で得られた複合体の断面の偏光顕微鏡写真(3000倍)である。 実施例10で得られた複合体の外観を示す電子顕微鏡写真(3000倍)である。 本発明の負極の電池特性を評価するための評価電池の断面図である。
〔負極材料:鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体〕
本発明は、鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体であって、前記複合体が内部に空隙を有し、かつ前記鱗片状黒鉛粒子が前記複合体の内部では非平行に存在し、前記複合体の表面では同心円状に配向して存在することを特徴とする。
複合体の平均粒子径は1〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜30μmの範囲であることがさらに好ましい。本発明において、複合体の平均粒子径はレーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積分布率で50%となる粒子径(D50)である。
本発明の負極材料は、前記特徴を達成し得る方法であれば、いかなる方法で製造されたものでもよい。また、異種の黒鉛材料、炭素質または黒鉛質の繊維、非晶質ハードカーボンなどの炭素材料、有機材料、無機材料、金属材料との混合物、複合物であってもよい。具体的には、界面活性剤、高分子などの有機化合物を付着または被覆したものであってもよく、シリカ、アルミナ、チタニアなどの金属酸化物の微粒子を付着または埋設したものであってもよく、ケイ素、錫、コバルト、ニッケル、銅、酸化ケイ素、酸化錫、チタン酸リチウムなどの金属または金属化合物を、付着、埋設、複合、内包したものであってもよい。特に繊維状の黒鉛を含有するとサイクル特性が向上するので好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、図1〜図3、図5にその一例の外観の走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)写真を示すように、鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体である。また複合体内部における鱗片状黒鉛粒子の存在状態については、樹脂に埋め込んだ複合体粒子を研磨したのちSEMまたは偏光顕微鏡で断面を観察することで確認できる。図4にその一例の内部の偏光顕微鏡写真を示すように、内部に空隙を有し、かつ鱗片状黒鉛粒子が複合体の内部では非平行に存在し、複合体の表面では鱗片状黒鉛粒子が同心円状に配向して存在する。
ここで複合体の表面とは、複合体の最表面から鱗片状黒鉛の厚さの2倍以下(およそ1μm以下)の範囲をいう。内部とは表面以外の範囲をいう。
ここで図4は偏光顕微鏡写真であり、内部の形状がカラーで示されている。出願と同時に上申書で提出する図4のカラー写真で詳細を確認できる。
図4で、球状の粒子の中央付近の黒色で示される部分は内部の空隙である。図4で、黒色ではない部分(カラー図では紫または青色)で示される部分は、鱗片状黒鉛粒子が複合体の内部で非平行に存在する状態を示している。非平行に存在するとの意味は内部に存在する鱗片状黒鉛粒子の総数の90%以上が非平行であることをいう。
複合体内部の空隙については、その形状や存在状態は限定されず、分散して存在していてもよいし、中心付近に存在していてもよいし、複合体の表面まで到達していてもよい。また水銀圧入法で測定した0.01〜100μmの大きさの空隙の容積は、0.05〜0.4cm/gであることが好ましい。
この範囲の空隙は、その内部に電解液を適切に保持でき、本発明の負極材料を用いるリチウム二次電池の急速充放電特性を向上させる。
[鱗片状黒鉛粒子]
本発明で用いられる鱗片状黒鉛粒子は、リチウムイオンを吸蔵・放出できるものであればよく、特に限定されない。その一部または全部が黒鉛質で形成されているもの、例えば天然黒鉛や、タール、ピッチ類を最終的に1500℃以上で熱処理してなる人造黒鉛が挙げられる。具体的には、易黒鉛化性炭素材料とよばれる石油系、石炭系のタールピッチ類を熱処理して重縮合させたメソフェーズ焼成体、コークス類を1500℃以上、望ましくは2800〜3300℃で黒鉛化処理して得ることができる。
本発明の鱗片状黒鉛粒子の黒鉛粒子の平均粒子径は0.1μm〜20μmの範囲であることが好ましく、0.3μm〜10μmの範囲であることがさらに好ましい。鱗片状黒鉛粒子の平均粒子径は上記複合体の場合と同様にD50である。
また、前記鱗片状黒鉛粒子の平均偏平度(Ly/t)が、0.5以上であるのが好ましく、2〜40であるのがより好ましい。ここで平均偏平度とは、鱗片状黒鉛粒子の1粒子の厚さtの短軸長Lyに対する比(Ly/t)を意味し、走査型電子顕微鏡によって100個の鱗片状黒鉛粒子を観察して測定した各粒子の偏平度の単純平均値として算出する。
鱗片状黒鉛粒子は、主体が黒鉛材料で、上記の形状を有するものであれば、黒鉛炭素以外の有機材料、無機材料、金属材料との混合物、複合物であってもよい。具体的には、界面活性剤、高分子などの有機化合物を付着または被覆したものであってもよく、シリカ、アルミナ、チタニアなどの金属酸化物の微粒子を付着または埋設したものであってもよく、ケイ素、錫、コバルト、ニッケル、銅、酸化ケイ素、酸化錫、チタン酸リチウムなどの金属または金属化合物を、付着、埋設、複合、内包したものであってもよい。各種の混合物、造粒物、被覆物、積層物であってもよい。また、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、酸化処理、物理的処理などを施したものであってもよい。
本発明の負極材料の複合体の表面に露出するのは鱗片状黒鉛粒子の反応性の比較的低いベーサル面(AB面)であり、上述したようなエッジ面の露出に由来する充放電効率やサイクル特性の低下を引き起こすことがない。
[焼成炭素]
本発明で用いられる焼成炭素は、前記鱗片状黒鉛粒子を下記の結着剤と混合した分散液を噴霧乾燥処理して、その後焼成して得られる複合体中に黒鉛粒子と別に存在する炭素成分で、結着剤、溶液が焼成された焼成炭素、または、噴霧乾燥処理品を下記の結着剤を含浸させた後、焼成された焼成炭素である。以下のいかなる前駆体に由来してもよい。焼成炭素の前駆体は、タールピッチ類および/または樹脂類が例示される。具体的には、タールピッチ類としては、コールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、ヘビーオイルなどが挙げられる。樹脂類としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフリルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの熱硬化性樹脂が例示される。これらの炭素質物前駆体を後述の温度で熱処理することにより焼成炭素を得ることができる。
焼成炭素は黒鉛化しておらず、非晶質であることが好ましい。
焼成炭素の複合体中の焼成炭素の含有量は、0.1〜30質量%が好ましい。1〜20質量%であるのがより好ましい。
[繊維状黒鉛]
繊維状黒鉛は導電性を有する繊維状の黒鉛であればよく、特に限定されない。好ましい形状は、平均繊維径10〜1000nm、平均繊維長1〜20μmであり、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相成長炭素繊維等の黒鉛化物が例示される。
〔複合体の製造方法〕
本発明は、鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体の製造方法である。焼成炭素は、前記鱗片状黒鉛粒子と結着剤またはその溶液とを混合して噴霧乾燥し、その後焼成して(噴霧乾燥→焼成)焼成炭素としてもよく、鱗片状黒鉛粒子を結着剤またはその溶液中に分散して噴霧乾燥し、その後結着剤としての炭素材料前駆体またはその溶液を混合して焼成して(噴霧乾燥→炭素被覆→焼成)焼成炭素としてもよく、両者を組合せてもよい。本発明の複合体は、焼成処理後粉砕工程を経ずに最終製品とする製造方法で得られることが好ましい。結着剤としては、炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である。前記焼成炭素の前駆体として例示したものと同一である。結着剤の添加量は鱗片状黒鉛粒子100質量%に対して1〜30質量%が好ましい。より好ましくは、1〜15質量%である。結着剤の溶液として用いられるのは水溶液、アルコール溶液、有機溶媒溶液等いずれでもよい。水に界面活性剤、粘度調製剤としてのポリビニルアルコール等を加えた溶液が好ましい。
噴霧乾燥処理は、少なくとも鱗片状黒鉛粒子を結着剤である炭素質材料の前駆体の溶液に分散させ、または鱗片状黒鉛炭素粒子を溶液に分散させた分散液を気流とともにスプレー散布し、熱風によって瞬時に溶媒を乾燥させる方法であれば、いかなる方法でもよい。分散液の表面張力によって乾燥後の粒子は真球状を形成する。焼成前の噴霧乾燥処理で得られる球状粒子をここでは複合体前駆体という。この際、分散液の固形分比や気流の調整によって、スプレーの液滴の中に気泡が介在しないようにすることで、完全な中空構造ではなく、内部にも鱗片状黒鉛粒子が存在した構造を形成することができる。
例えば、分散液の固形分比は全量中の5〜25質量%、噴霧乾燥器の入口温度は150〜250℃、ノズル空気量は20〜100リットル/分などが好ましい。
噴霧乾燥する溶液に結着剤である炭素材料の前駆体を加えなかった場合は、噴霧乾燥して得られる複合体前駆体を炭素材料の前駆体の溶液に浸漬して炭素被覆する。複合体前駆体と炭素材料の前駆体とを混合して炭素被覆してもよい。
鱗片状黒鉛粒子と繊維状黒鉛を炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である結着剤の溶液に分散させ、噴霧乾燥処理してもよい。繊維状黒鉛の含有により、サイクル特性が向上するからである。繊維状黒鉛の含有量は、最終製品として得られる複合体中に0.1〜5質量%が好ましい。繊維状黒鉛の含有量が少なすぎるとサイクル特性向上の効果が少なく、多すぎると複合体中の繊維状黒鉛の分散が不均一になったり、本発明の特徴である鱗片状黒鉛粒子の特徴的な構造(鱗片状黒鉛粒子が複合体の内部では非平行に存在し、前記複合体の表面では同心円状に配向する構造)が得られなくなる。
噴霧乾燥品(複合体前駆体)を不活性雰囲気中、700℃以上、1500℃以下の温度範囲で焼成処理することで複合体が得られる。好ましくは900℃〜1400℃である。不活性雰囲気は、N,Ar、He、真空雰囲気等およびこれらの混合物を用いることができる。
焼成処理の前に、異種の黒鉛材料、炭素質または黒鉛質の繊維、非晶質ハードカーボンなどの炭素材料、有機材料、無機材料、金属材料を付着、埋設、複合してもよい。特に炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体の溶液中に噴霧乾燥品を浸漬して、炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体を噴霧乾燥品に付着させるのが好ましい。これは、造粒構造の強化、および被覆により反応性(充放電ロス)を低減させることができる。好ましい付着量(焼成前の量)は鱗片状黒鉛粒子100質量%に対して1〜30質量%が好ましい。より好ましくは、1〜15質量%である。
噴霧乾燥品、繊維状黒鉛ならびに炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体を混合して、噴霧乾燥処理品に、繊維状黒鉛ならびに炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体を付着させてもよい。繊維状黒鉛の含有量は、最終製品として得られる複合体中に0.1〜5質量%が好ましい。繊維状黒鉛の含有量が少なすぎるとサイクル特性向上の効果が少なく、多すぎると複合体中の繊維状黒鉛の分散が不均一になったり、本発明の特徴である鱗片状黒鉛粒子の特徴的な構造(鱗片状黒鉛粒子が複合体の内部では非平行に存在し、前記複合体の表面では同心円状に配向する構造)が得られなくなる。
噴霧乾燥処理では、原液の固形分比や気流の調整によって得られる複合体粒子を任意の粒度に調整可能であり、最終的に粉砕して粒度調整するという工程は不要である。また原料として黒鉛粒子を用いているので黒鉛化処理は不要であり、焼成処理だけでリチウムイオン二次電池の負極材料として充分な容量を発現できる。
[負極]
本発明は前記負極材料を含有するリチウムイオン二次電池用負極であり、また該負極を用いるリチウムイオン二次電池である。
本発明のリチウムイオン二次電池用の負極は、通常の負極の成形方法に準じて作製されるが、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる方法であれば何ら制限されない。負極の作製時には、本発明の負極材料に結合剤を加えて、予め調製した負極合剤を用いることが好ましい。結合剤としては、電解質に対して、化学的および電気化学的に安定性を示すものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末、カルボキシメチルセルロースなどが用いられる。これらを併用することもできる。結合剤は、通常、負極合剤の全量中の1〜20質量%程度の割合で用いられる。
より具体的には、まず、本発明の負極材料を分級などにより所望の粒度に調整し、結合剤と混合して得た混合物を溶剤に分散させ、ペースト状にして負極合剤を調製する。すなわち、本発明の負極材料と、結合剤を、水、イソピロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤と混合して得たスラリーを、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合して、ペーストを調製する。該ペーストを、集電材の片面または両面に塗布し、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に接着した負極が得られる。負極合剤層の膜厚は10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
また、本発明の負極は、本発明の負極材料と、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末を乾式混合し、金型内でホットプレス成型して作製することもできる。
負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電体との接着強度をより高めることができる。
負極の作製に用いる集電体の形状としては、特に限定されることはないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状などである。集電材の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましい。集電体の厚みは、箔状の場合で5〜20μm程度であるのが好ましい。
なお、本発明の負極は、本発明の目的を損なわない範囲で、異種の黒鉛質材料、非晶質ハードカーボンなどの炭素質材料、有機物、金属、金属化合物などを混合しても、内包しても、被覆しても、または積層してもよい。
[正極]
正極は、例えば正極材料と結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電体の表面に塗布することにより形成される。正極の材料(正極活物質)は、充分量のリチウムを吸蔵/離脱し得るものを選択するのが好ましい。リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式MX Mo68-Y(式中Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値である)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などである。バナジウム酸化物は、V25、V613、V24、V38で示されるものである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。複合酸化物は単独で使用しても、2種類以上を組合わせて使用してもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM1 1-X 2 X 2(式中M1、M2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦1の範囲の数値である)、またはLiM1 1-Y2 Y4(式中M1、M2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Yは0≦Y≦1の範囲の数値である)で示される。
1、M2で示される遷移金属元素は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどであり、好ましいのはCo、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alなどである。好ましい具体例は、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi0.9Co0.12、LiNi0.5Co0.52などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物、水酸化物、塩類等を出発原料とし、これら出発原料を所望の金属酸化物の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。
正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウム等の炭酸塩を添加することができる。また、正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を適宜に使用することができる。
正極は、前記正極材料、結合剤、および正極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を、集電体の両面に塗布して正極合剤層を形成して作製される。結合剤としては、負極の作製に使用されるものと同じものが使用可能である。導電剤としては、黒鉛化物、カーボンブラックなど公知のものが使用される。
集電体の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電体の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等である。その厚さは10〜40μmのものが好適である。
正極も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電体に塗布、乾燥して正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一且つ強固に集電材に接着される。
[非水電解質]
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解質としては、通常の非水電解液に使用される電解質塩である、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C65)、LiCl、LiBr、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO3、LiN(CF3CH2OSO22、LiN(CF3CF2OSO22、LiN(HCF2CF2CH2OSO22、LiN((CF32CHOSO22、LiB[{C63(CF32}]4、LiAlCl4、LiSiF6などのリチウム塩を用いることができる。酸化安定性の点からは、特に、LiPF6、LiBF4が好ましい。
電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜3.0mol/Lがより好ましい。
非水電解質は液状の非水電解質としてもよく、固体電解質またはゲル電解質などの高分子電解質としてもよい。前者の場合、非水電解質電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池として構成され、後者の場合は、非水電解質電池は高分子固体電解質、高分子ゲル電解質電池などの高分子電解質電池として構成される。
非水電解質液を調製するための溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート、1、1−または1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1、3−ジオキソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒などを用いることができる。
非水電解質を高分子固体電解質または高分子ゲル電解質などの高分子電解質とする場合には、マトリクスとして可塑剤(非水電解液)でゲル化された高分子を用いることが好ましい。前記マトリクスを構成する高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物などを用いることが特に好ましい。
前記高分子固体電解質または高分子ゲル電解質には、可塑剤が配合されるが、該可塑剤としては、前記の電解質塩や非水溶媒が使用可能である。高分子ゲル電解質の場合、可塑剤である非水電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜2.0mol/Lがより好ましい。
高分子固体電解質の作製方法は特に限定されないが、例えば、マトリクスを構成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して高分子化合物を溶融する方法、有機溶剤に高分子化合物、リチウム塩、および非水溶媒(可塑剤)を溶解させた後、混合用有機溶剤を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、混合物に紫外線、電子線または分子線などを照射して、重合性モノマーを重合させ、ポリマーを得る方法などを挙げることができる。
ここで、前記固体電解質中の非水溶媒(可塑剤)の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。10質量%未満であると導電率が低くなり、90質量%を超えると機械的強度が弱くなり、成膜しにくくなる。
[セパレータ]
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータの材質は特に限定されるものではないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などを用いることができる。前記セパレータの材質としては、合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等が好適である。
〔リチウムイオン二次電池〕
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した構成の負極、正極および非水電解質を、例えば、負極、非水電解質、正極の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。さらに、負極と正極の外側に非水電解質を配するようにしてもよい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池の構造は特に限定されず、その形状、形態についても特に限定されるものではなく、用途、搭載機器、要求される充放電容量などに応じて、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものを用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池が高分子固体電解質電池や高分子ゲル電解質電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また以下の実施例および比較例では、図6に示すように、少なくとも表面の一部に本発明の負極材料を有する負極合剤2が付着した集電体(負極)7bとリチウム箔よりなる対極(正極)4から構成される単極評価用のボタン型二次電池を作製して評価した。実電池は、本発明の概念に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。
(実施例1)
[負極材料の作製]
平均粒子径5μm、平均偏平度10の鱗片状黒鉛粒子をポリアクリル酸水溶液に分散し、スプレードライ装置で噴霧乾燥処理し、球状の複合体前駆体を得た。次いでプラネタリミキサを用い、前記複合体前駆体にコールタールピッチのタール中油溶液を加えて混練したのち、窒素の不活性雰囲気中で、1000℃で焼成処理することで目的の複合体である負極材料を得た。各素材の配合量は、最終製品である複合体におけるそれぞれの存在比率が表1に示す通りになるように調整した。レーザー式粒度分布計で測定した複合体の平均粒子径は10μmであった。SEM像から、鱗片状黒鉛粒子が表面では同心円状に配向して存在していることが分かった。また複合体断面の偏光顕微鏡像から、内部には空隙が存在し、また鱗片状黒鉛粒子が互いに非平行に存在していることが分かった。
[負極合剤ペーストの作製]
前記複合体からなる負極材料を98質量部、結合剤としてのカルボキシメチルセルロース1質量部、およびスチレン−ブタジエンゴム1質量部を水に入れ、攪拌して負極合剤ペーストを調整した。
[作用電極(負極)の作製]
前記負極合剤ペーストを銅箔に均一な厚さで塗布し、真空中90℃で溶剤を揮発させ、乾燥し、負極合剤層をハンドプレスによって加圧した。銅箔と負極合剤層を直径15.5mmの円柱状に打抜いて、集電体と、該集電体に密着した負極合剤とからなる作用電極(負極)を作製した。
[対極(正極)の作製]
リチウム金属箔をニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打抜いて、ニッケルネットからなる集電体と、この集電体に密着したリチウム金属箔(厚み0.5mm)からなる対極(正極)を作製した。
[電解液、セパレータ]
エチレンカーボネート33体積%−メチルエチルカーボネート67体積%の混合溶剤に、LiPFを1mol/Lとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。
[評価電池の作製]
評価電池として図6に示すボタン型二次電池を作製した。
外装カップ1と外装缶3は、その周縁部において絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。その内部に外装缶3の内面から順に、ニッケルネットからなる集電体7a、リチウム箔よりなる円筒状の対極(正極)4、電解液が含浸されたセパレータ5、負極材料が付着した銅箔からなる集電体7bが積層された電池系である。
前記評価電池は電解液を含浸させたセパレータ5を集電体7bと負極合剤2からなる作用電極(負極)と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、集電体7bを外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、さらに、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉して作製した。
充放電特性は以下の方法により測定した。結果を表1、2に示した。
[充放電試験]
回路電圧が1mVに達するまで0.9mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるその間の通電量から充電容量(単位:mAh/g)を求めた。その後、10分間休止した。次に0.9mAの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量(単位:mAh/g)を求めた。これを第1サイクルとした。ここで、Cは電池の容量を基準とした相対的な電流の単位であり、1Cは電池の容量(mAh)を1時間で(h)で充電または放電する電流の値を表す。次いで充電電流を1C、放電電流を2Cとして、第1サイクルと同様に充放電を行った。1C、2Cの電流値は、第1サイクルの放電容量と負極の活物質重量から計算した。
初回充放電ロス(不可逆容量)(単位:mAh/g)は次式(1)から計算した。
初回充放電ロス(不可逆容量)=第1サイクルの充電容量―第1サイクルの放電容量・・・(1)
また、1C充電率(単位:%)は次式(2)から計算した。
1C充電率(%)=100×(1C電流値における定電流部分の充電容量/第1サイクルの放電容量)・・・(2)
また、2C放電率(単位:%)は次式(3)から計算した。
2C放電率(%)=100×(2C電流値における放電容量/第1サイクルの放電容量)・・・(3)
また、サイクル特性(単位:%)は以下のように測定した。回路電圧が1mVに達するまで0.5C電流値で定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた後、10分間休止した。次に0.5Cの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電を50回繰り返し、得られた放電容量から、次式(4)を用いてサイクル特性を計算した。
サイクル特性=(第50サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける放電容量)×100・・・(4)
(実施例2〜10)
実施例1において鱗片状黒鉛粒子の平均粒子径、平均偏平度、結着剤の種類、噴霧乾燥用液のスラリー固形分濃度、噴霧乾燥条件を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様に複合材を作成し、負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および特性評価を行った。評価結果を同じく下記表1、2に示した。
実施例2〜10で得られた複合体においては、鱗片状黒鉛粒子が表面では同心円状に配向して存在し、かつ内部には空隙が存在し、また鱗片状黒鉛粒子が互いに非平行に存在していることを確認した。
実施例6の外観のSEM写真を図6、実施例8の外観のSEM写真を図2、実施例9の外観のSEM写真を図3、実施例9の断面の偏光顕微鏡像を図4、実施例10の外観のSEM写真を図5に示す。
(実施例11)
実施例1と同様の方法で但し、平均粒子径5μm、平均偏平度10の鱗片状黒鉛粒子とコールタールピッチのタール中油溶液とをポリアクリル酸水溶液に分散し、スプレードライ装置で噴霧乾燥処理し、球状の複合体前駆体を得た。その後複合体前駆体を窒素の不活性雰囲気中で、1000℃で焼成処理することで目的の複合体である負極材料を得た。
(実施例12)
実施例1において焼成処理温度を1300℃とする以外は、実施例1と同様に複合材を作成し、負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および特性評価を行った。評価結果を同じく下表1、2に示した。
(実施例13)
実施例1において、鱗片状黒鉛粒子とともに気相成長炭素繊維の黒鉛化物(平均繊維長10μm)をポリアクリル酸水溶液に分散する以外は、実施例1と同様に複合材を作製し、負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および特性評価を行った。評価結果を同じく下表1、2に示した。
得られた複合体の表面および断面を観察した結果、気相成長炭素繊維の黒鉛化物が複合体内部に分散していることが分かった。
(実施例14)
実施例1において、コールタールピッチのタール中油溶液とともに気相成長炭素繊維の黒鉛化物(平均繊維長10μm)を加えて混練する以外は、実施例1と同様に複合材を作製し、負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および特性評価を行った。評価結果を同じく下表1、2に示した。
得られた複合体の表面および断面を観察した結果、気相成長炭素繊維の黒鉛化物が複合体表面に分散して、付着していることが分かった。
(比較例1)
平均粒子径5μm、平均偏平度10の鱗片状黒鉛粒子とコールタールピッチのタール中油溶液を二軸ニーダーで混練した。次いで混練品を金型成形し、その成形品を1000℃で焼成処理したのち、平均粒子径が10μmとなるように粉砕して目的の負極材料を得た。これ以外は実施例1と同様に負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および特性評価を行った。評価結果を同じく下記表1、2に示した。また実施例1と同様に複合体の表面と断面を観察したところ、得られた複合体においては、内部には空隙を有するものの、鱗片状黒鉛粒子が表面と内部のいずれでも非平行に存在しているのを確認した。
(比較例2)
実施例1において、コールタールピッチのタール中油溶液を加えて混練する際に、その添加割合を最終製品中で18質量%となるように増量し、かつ混練を減圧下で行った。これ以外は実施例1と同様に複合材を作製し、負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および特性評価を行った。評価結果を同じく下表1、2に示した。
得られた複合体の表面および断面を観察した結果、複合体には空隙が無いことが分かった。
表2の結果から、実施例1〜14は、いずれも放電容量が高く初回充放電効率に優れていることがわかる。また、1C充電率、2C放電率ともに高く高速充放電特性に優れている。さらにサイクル特性が高い。実施例13,14では繊維状黒鉛を添加したことによるサイクル特性の向上が示されている。比較例1では鱗辺状黒鉛粒子の表面配向が同心円状ではなく非平行であり、高速充放電特性、サイクル特性が低い。比較例2では複合体内部に空隙がなく、放電容量、高速充放電特性、サイクル特性が低い。
本発明は、リチウムイオン二次電池用負極材料として良好な放電容量、初回充放電効率、高速充放電特性およびサイクル特性を有する負極材料を提供する。そのため、本発明の負極材料を用いてなるリチウムイオン二次電池は、近年の電池の高エネルギー密度化に対する要望を満たし、搭載する機器の小型化および高性能化に有用である。
本発明の負極材料は、その特性を活かして、小型から大型までの高性能リチウムイオン二次電池に使用することができる。
1 外装カップ
2 負極合剤
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b 集電体

Claims (9)

  1. 鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素を含有する球状の複合体であって、前記複合体が内部に空隙を有し、かつ前記鱗片状黒鉛粒子が前記複合体の内部では非平行に存在し、前記複合体の表面ではベーサル面(AB面)が表面に露出し、同心円状に配向して存在することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
  2. さらに繊維状黒鉛を含有することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  3. 前記鱗片状黒鉛粒子の平均偏平度(Ly/t)が、0.5〜40である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  4. 鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体の製造方法であって、前記鱗片状黒鉛粒子を炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である結着剤の溶液に、固形分比が全量中の5〜16質量%となるように分散させ、噴霧乾燥処理した後、700℃以上、1500℃以下の温度範囲で熱処理を行い、前記した炭素質材料および炭素質材料の前駆体を焼成炭素とし、その後粉砕工程を経ずに最終製品とし、焼成炭素が1〜8質量%であり、空隙を有する複合体を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  5. 鱗片状黒鉛粒子と繊維状黒鉛と焼成炭素からなる球状の複合体の製造方法であって、前記鱗片状黒鉛粒子と前記繊維状黒鉛を炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である結着剤の溶液に、固形分比が全量中の5〜16質量%となるように分散させ、噴霧乾燥処理した後、700℃以上、1500℃以下の温度範囲で熱処理を行い、前記した炭素質材料および炭素質材料の前駆体を焼成炭素とし、その後粉砕工程を経ずに最終製品とし、焼成炭素が1〜8質量%であり、空隙を有する複合体を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  6. 前記噴霧乾燥処理品に、さらに炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体を付着させた後、前記熱処理を行うことを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  7. 鱗片状黒鉛粒子と焼成炭素からなる球状の複合体の製造方法であって、前記鱗片状黒鉛粒子を炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体である結着剤の溶液に固形分比が全量中の5〜16質量%となるように分散させ、噴霧乾燥処理し、前記噴霧乾燥処理品に、さらに炭素質材料および/または炭素質材料の前駆体を付着させた後、700℃以上、1500℃以下の温度範囲で熱処理を行い、前記した炭素質材料および炭素質材料の前駆体を焼成炭素とし、その後粉砕工程を経ずに最終製品とし、焼成炭素が1〜8質量%であり、空隙を有する複合体を得ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料および樹脂を含む結合剤を含有するリチウムイオン二次電池用負極。
  9. 請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いるリチウムイオン二次電池。
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