JP6160475B2 - 樹脂識別方法および装置 - Google Patents

樹脂識別方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6160475B2
JP6160475B2 JP2013266508A JP2013266508A JP6160475B2 JP 6160475 B2 JP6160475 B2 JP 6160475B2 JP 2013266508 A JP2013266508 A JP 2013266508A JP 2013266508 A JP2013266508 A JP 2013266508A JP 6160475 B2 JP6160475 B2 JP 6160475B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
index
resin
abs
sample
threshold value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013266508A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015121506A (ja
Inventor
森谷 直司
直司 森谷
和田 幸久
幸久 和田
義夫 綱澤
義夫 綱澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2013266508A priority Critical patent/JP6160475B2/ja
Publication of JP2015121506A publication Critical patent/JP2015121506A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6160475B2 publication Critical patent/JP6160475B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Description

本発明はプラスチックの種類を識別する方法と装置に関し、特にPS(ポリスチレン)樹脂とABS樹脂とを識別する方法と装置に関するものである。ABS樹脂はアクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンからなる合成樹脂である。
近赤外から赤外(以下では、これらの領域を総称して「赤外」という。)の領域において、プラスチック材料からの透過光又は反射光のスペクトルを解析することにより、プラスチック材料の種類を識別できることが知られている(特許文献1、2参照。)。一般にプラスチックは赤外スペクトルに特徴的な吸収をもっていることから、それらの特徴的な波長又は波数における吸収の有無から種類を識別することができる。
しかし、そのような赤外スペクトルの吸収波長に基づく識別方法では、多くのプラスチック材料のうち、PS樹脂とABS樹脂は他のプラスチック材料から分別することはできるが、PS樹脂とABS樹脂の間での分別が困難な場合がある。特に、透明PS樹脂と黒色ABS樹脂に関しては、透明PS樹脂の赤外スペクトルにおいて、黒色ABS樹脂の特徴吸収応答である波数2045cm-1のピーク付近に吸収ピークが観測されることがある。また、例えば、図10(A),(C)の反射率プロファイルに示されるように、炭素(C)を5%含有した黒色ABS樹脂(ABS(黒))は2240〜2250cm-1に特徴的な吸収をもっており、炭素を5%含有した黒色PS樹脂(PS(黒))はその波数領域に吸収をもっていないので、黒色ABS樹脂と黒色PS樹脂は識別することができる。しかし、炭素を含まない透明PS樹脂(PS(白))は2250〜2260cm-1に小さな吸収様の反射率低下が観測されるので、黒色ABS樹脂と透明PS樹脂の間では誤識別を引き起こす虞がある。
黒色PS樹脂(PS(C5%))よりは炭素含有量の少ない灰色PS樹脂も、図10(A),(B)に示されるように2250〜2260cm-1に小さな吸収様の反射率低下が観測される。
図10(A),(B)に示すように、透明ABS樹脂(ABS(白))の反射率プロファイルも、やはり透明PS樹脂(PS(白))との間で誤識別を引き起こす虞がある。
また、一般に、赤外光を用いた樹脂識別方法では、黒色樹脂はATR(全反射)プリズムを用いた接触方式の測定方法には適用できるものの、ATRプリズムを用いないでプラスチック材料から離れた位置からプラスチック材料に光を照射し、その透過光又は反射光をプラスチック材料から離れた位置で受光する非接触方式の測定方法には適用できないものとされている。
特開2001−74650号公報 特許第3328627号公報
本発明は、黒色樹脂を含むPS樹脂とABS樹脂を、ATRプリズムを用いない非接触方式で識別する方法と装置を提供することを目的とする。
本発明が対象とする試料はPS樹脂とABS樹脂である。一般には多数の樹脂材料を赤外線スペクトルに基づいて分別する。その際、赤外線スペクトルではPS樹脂とABS樹脂は他の樹脂材料から分別することはできるが、分別されたものがPS樹脂であるのかABS樹脂であるのかを識別することは難しい。そこで、他の樹脂材料から分別されたPS樹脂とABS樹脂からなる樹脂材料群が本発明の識別対象試料となる。
本発明の識別方法は以下のステップ(A)から(D)を含んでいる。
(A)PS樹脂又はABS樹脂からなる試料に対して赤外光(近赤外から赤外にわたる領域の光の意味で使用している。)を照射してその反射光を受光し、照射波長に対する反射率プロファイルを求めるステップ、
(B)前記反射率プロファイルのうち、波数2000cm-1を含みPS樹脂の吸収の少ない所定の波数範囲における面積を指標Aとして算出するステップ、
(C)算出した指標Aが予め設定したしきい値以下のとき、すなわち黒色樹脂のとき、波数2245cm-1前後における前記反射率プロファイルの傾きを指標Bとして算出し、その指標Bの大きさに基づいて試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別するステップ、及び
(D)算出した指標Aが前記しきい値より大きいとき、すなわち黒色樹脂でないとき、波数1921cm-1前後、1915cm-1前後、1852cm-1前後、又は1844cm-1前後における前記反射率プロファイルの傾きを指標Cとして算出し、その指標Cの大きさに基づいて試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別するステップ。
指標Aは測定対象の樹脂試料への赤外光の侵入深さの程度を示すものである。侵入深さが深いほど反射率が低下し、指標Aが小さくなる。そのため、指標Aがしきい値以下であれば試料は黒色であり、指標Aがしきい値より大きければ試料は黒色ではないと判定することができる。試料が黒色ではないというのは、透明であるか、又は透明ではないが黒以外の色に着色されていることを意味する。
しきい値はPS樹脂とABS樹脂の標準試料を測定して予め決めておき、この識別方法を実施する装置に保持させておく。
一実施形態では、指標Aは、入射光が試料の樹脂内部へ侵入しかつ散乱により入射表面から出射する光の平均内部光路長において、透過率差が2倍以上存在する領域において、透過率が低い両端波数域又は透過率が高い両端波数域で挟まれた波数領域の反射率面積であると定義する。
本発明のPS/ABS識別装置は、図1に示されるように、PS樹脂又はABS樹脂からなる試料に対して赤外光を照射してその反射光を受光し、照射波長に対する反射率を測定する反射率測定部2と、反射率測定部2による反射率測定値に基づいて試料がPS樹脂であるかABS樹脂であるかを識別して、その結果を出力する樹脂識別部4と、を備えている。
ここで、一部のPS樹脂材料の赤外反射率プロファイルと黒色ABS樹脂材料の赤外反射率プロファイルが酷似することについて説明する。それらの赤外反射率プロファイルが酷似する原因は、実験及び検証により以下のとおりであることが明らかになった。
(1)赤外反射光には、対象物表面で反射した光1と、対象物の内部に入り込み内部の物質の吸収を受けて再び対象物表面から放射される光2が存在する。
(2)物質内部の吸収係数が大きい(黒色もその一例である)場合には、光2はほとんど観測されず、比較的弱い吸収ピークがあるときに光2のプロファイルは吸収ピーク形状を呈する。図10のPS(白)のグラフ、PS(灰色)のグラフ、ABS(白)のグラフにみられる吸収ピークがそれである。それらのグラフは反射率プロファイルを示しているので、下向きに突出したピークが吸収ピークとなる。
(3)光1は屈折率の実部に応じたプロファイルを示すので、屈折率の実部で決まる表面反射プロファイルを有する。図10のABS(黒)のグラフと、PS(灰色)のグラフがその典型例であり、それらがPS(白)の2250cm-1付近のプロファイルとよく似た形状を示す。
このため、ABS樹脂に特有のピークである2200〜2300cm-1におけるプロファイル形状から樹脂種を単純に判断すると、図10のプロファイルを有するPS樹脂はABS樹脂と誤識別されることになる。
赤外反射率では黒い樹脂と透明な樹脂で表面反射率には大きな差異がないことから、透明PS樹脂と黒いABS樹脂を上記方法で識別することは非常に困難である。
この原理から明らかなように、ABS樹脂と誤識別されるような反射率プロファイルを有するPS樹脂は物質内部に入り物質吸収の影響を強く受けた光2を多く有する試料である。これは物質内部に多くの光が入るPS樹脂試料、すなわち透過を阻害する物質が少ないPS樹脂試料であることを意味する。
物質の屈折率実部は強い吸収のある波数域前後以外では滑らかに連続変化をしているので、表面反射率に支配される光1は急激な変化が少なく、原理的には低波数域から高波数域に向かって単調に反射率が増加する。一方、物質内部に入り内部散乱に支配される光2は、透過阻害物質や内部吸収がある場合には少なく、透過阻害物質や内部吸収がない場合には多く検出されることになる。すなわち本来の樹脂内部吸収が少ない波数域では、透過阻害物質の量に対して敏感に光2が増減し、樹脂内部吸収が多い波数域では、透過阻害物質の量に対する光2の増減は緩慢であると考えることができる。
PSフィルムの吸光度スペクトルを図4に示す。図4は横軸が波数、縦軸が吸光度である。これによると、例えば2000cm-1前後の領域では透明度が高く、すなわち内部吸収が少ないことがわかる。
そのため、例えば、図5の反射プロファイル(反射光量スペクトル)に斜線で示すように、2000cm-1前後の波数領域の反射寄与分の大きさを用いて、樹脂に添加されている透過阻害物質(たとえば炭素(C))の量を推定することができる。その2000cm-1前後の波数領域の反射寄与分の大きさが指数Aである。したがって、指数Aがしきい値以下であれば透過阻害物質の量が多く、黒い樹脂であると判定し、指数Aがしきい値よりも大きければ透過阻害物質の量が少なく、黒い樹脂ではないと判定することができる。
反射寄与分の大きさは、図5に示すような反射プロファイルの斜線部の面積として求めることができる。その面積は、設定した範囲(一例としては1967〜2229cm-1)の反射光量をその範囲にわたって積分した値から、その範囲の両端を結ぶ直線の下側の台形の面積を引き算することにより求めることができる。
その面積を求める際、波数により反射率が異なることにより反射光量が変化することを補正するために、規格化を行うことが好ましい。規格化とは、基準値を設定し基準値との比もしくは差分をとり、基準値と同じ値を1、基準値から離れるほど1から離れる値に変換することである。図5に示す反射プロファイルの例において、基準値として波数領域1960〜1975cm-1での反射光量の平均値を採用する。また、このような規格化処理を行った後に各値から1を引き算し、基準値に一致する値を0に、基準値より小さい値を負の数値に、基準値より大きな値を正の数値に変換する処理をさらに施した値を新たな規格値としてよい。
指数Aによって試料が黒い樹脂であると判定されたときは、ABS樹脂の屈折率実部の変化で現れるスペクトルの変形によって識別を行うことができる。そのスペクトルの変形はABS樹脂に特有のものであり、PS樹脂には現れない。その変形は波数2245cm-1前後に存在する反射率プロファイルの傾きとして現れるので、それを指数Bとして、その大きさが大きければABS樹脂、小さければPS樹脂と識別することができる。指数BによりABS樹脂とPS樹脂を識別する基準も予め測定してしきい値として求めておき、この方法が実施される識別装置に記憶しておくことができる。
指数Aによって試料が黒い樹脂ではないと判定されたときは、ABS樹脂に特有な波数1921cm-1前後、1915cm-1前後、1852cm-1前後、又は1844cm-1前後に存在する反射率プロファイルの傾きによって識別を行うことができる。その反射率プロファイルの傾きを指数Cとして、その大きさが大きければABS樹脂、小さければPS樹脂と識別することができる。指数CによりABS樹脂とPS樹脂を識別する基準も予め測定してしきい値として求めておき、この方法が実施される識別装置に記憶しておくことができる。
本発明では、赤外線が樹脂の内部に侵入する度合いを指標Aとして、その指標Aによって識別対象の樹脂が、赤外光侵入深さが浅い黒い樹脂であるか、そうでないかを判定し、黒い樹脂の場合とそうでない樹脂の場合とでそれぞれに特有の指数を用いてABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別するようにしたので、これまで非接触方式では困難とされていた黒い樹脂を含むABS樹脂とPS樹脂の識別ができるようになった。
一実施例のPS/ABS識別装置における反射率測定部と樹脂識別部を示すブロック図である。 一実施例のPS/ABS識別方法を示すフローチャートである。 一実施例のPS/ABS識別装置を示す概略構成図である。 PSフィルムの吸光度スペクトルを示すグラフである。 透明なPS樹脂と透明なABS樹脂の反射光量プロファイルである。 PS樹脂とABS樹脂の吸光度プロファイルである。 種々のPS樹脂試料とABS樹脂試料について、指標Aに対する指標Bの測定結果を示すグラフである。 種々のPS樹脂試料とABS樹脂試料について、指標Aに対する指標Cの測定結果を示すグラフである。 種々のPS樹脂試料とABS樹脂試料について、指標Bおよび指標Cのスペクトル波数域を示すグラフである。 種々のPS樹脂試料とABS樹脂試料について、指標Bの特徴を示すグラフである。 種々のPS樹脂試料とABS樹脂試料について、指標Cの特徴を示すグラフである。
本発明の樹脂識別方法の一実施例を図2に示す。
PS樹脂又はABS樹脂からなる試料に赤外光を照射してその反射光を受光し、反射率のプロファイルを求める。
そのプロファイルから、波数2000cm-1を含みPS樹脂の吸収の少ない所定の波数範囲における面積を指標Aとして算出する。この実施例では、波数1967〜2229cm-1の範囲の反射率面積を求めて、それを指標Aとする。算出した指標Aを予め設定したしきい値と比較して、指標Aがしきい値以下であれば試料は黒色であると判断し、指標Aがしきい値より大きければ試料は黒色ではないと判断することができる。
(C)算出した指標Aがしきい値以下のとき、指標Bを求める。例えば波数2245cm-1前後における反射率プロファイルの傾きを指標Bとして算出する。この実施例では、波数2245cm-1の高波数側である波数(2252cm-1・2259cm-1)間の中点と波数2245cm-1との間の傾きを指標Bとする。また波数2245cm-1の高波数側である波数(2252cm-1・2259cm-1)間の中点と波数2245cm-1との間の傾きaを求め、波数(2237cm-1・2230cm-1)間の中点と波数2245cm-1との間の傾きbを求めて、a−bを指標Bとすることもできる。さらに本指標Bは反射スペクトル又は吸収スペクトルにおいて、波数2245cm−1を中心とした三角形の面積に設定することも可能である。
指標Aにより黒色と判断されたスペクトル例を図10(C)に示すが、PS(黒)では指標Bは非常に小さいか負の値をとり、ABS(黒)では比較的大きな正の値をとることになるため、これら2種類の樹脂は指標Bにより明瞭に判別できる。
しかし図10(B)にスペクトル例を示す通り、指標Aが黒でない場合について、一部のPSでは指標Bの値がABSの場合に近い値を示すことがありPSとABSを誤識別する可能性があるため、指標Bとは異なる指標を用いて識別する必要がある。
算出した指標Aがしきい値より大きいとき、図11で明らかなように、例えば1913〜1921cm-1の傾きはPSでは水平に近くABSでは右肩下がりとなっている。この傾きの値を指標Cの1つとして、白色樹脂におけるPSとABS識別に適用できる。
そこで、算出した指標Aが前記しきい値より大きいとき、波数1921cm-1前後における前記反射率プロファイルの傾きを指標Cとして算出する。この実施例では、波数1921〜1905cm-1の範囲の反射率プロファイルの傾きを求めて、それを指標Cとする。
指標Cについて、図11で具体的に説明する。指標Cを求めるのは試料が黒色ではないと判断されたときである。1921cm-1を端点とする低波数域の傾きをみると,PS樹脂ではほぼ水平であるのに対してABS樹脂では右下がりとなっている。
[ほぼ水平]<[右下がり]
であるので、その波数域での傾きの数値はPS樹脂の方がABS樹脂よりも小さくなる。また本指標Cも指標Bと同様に、異なる表現を採用することが可能で以下に示す値も前記指標Cと同様に機能する。
波数1921〜1905cm-1の範囲の反射率プロファイルの傾きをa、波数1921〜1936cm-1の範囲の反射率プロファイルの傾きをbとして、a―bを指標Cとして採用することも可能である。
さらに図9から分かるように、指標Cを算出する中心波数を1921cm-1に替えて、1915cm-1、1852cm-1又は1844cm-1を採用することも可能である。
一実施例の具体的な識別方法としては、指標BとCを予め設定されたそれぞれのしきい値と比較し、しきい値よりも大きければPS樹脂、しきい値以下であればABS樹脂であると識別する。
指標Bに関する測定結果を図7に示す。横軸は指標Aである。指標Aは試料への赤外光の侵入深さの程度を示すものであり、指標Aの数値が小さいほど黒い樹脂であることを示している。指標Aは反射率プロファイルにおける波数1967〜2229cm-1の範囲の反射率面積である。縦軸は指標Bであり、反射率プロファイルにおける波数域2252〜2259cm-1の中点と2245cm-1の間の傾きである。指標Aも指標Bもある標準試料に対して規格化した数値として表わしている。
図7の測定結果によれば、指標Aが2より大きな試料の場合は、指標BでPS樹脂とABS樹脂は入り混じるが、指標Aが2以下の試料の場合なら指標Bで2つの樹脂を完全に分離できる。横方向に引いた直線を各指標Aについての指標Bのしきい値(Bth)として設定することにより、そのしきい値よりも大きければABS樹脂、そのしきい値以下であればPS樹脂と判定できる。
指標Cに関する測定結果を図8に示す。横軸の指標Aは図7と同じである。縦軸は指標Cであり、反射率プロファイルにおける波数域1913〜1921cm-1の傾きである。指標Cもある標準試料に対して規格化した数値として表わしている。
図8の測定結果によれば、指標Aが2より小さい試料の場合は、指標CでPS樹脂とABS樹脂は入り混じるが、指標Aが2以上の試料の場合なら指標Cで2つの樹脂を完全に分離できる。横方向に引いた直線を各指標Aについての指標Cのしきい値(Cth)として設定することにより、そのしきい値よりも大きければABS樹脂、そのしきい値以下であればPS樹脂と判定できる。
この実施例においては、指標Aに対するしきい値を「2」と設定することができる。
本発明のPS/ABS識別装置の一実施例を図3に示す。
識別対象となる試料は、樹脂材料をリサイクル用に粉砕して小片にした樹脂フレークのうち、赤外スペクトルに基づいて種々の樹脂フレークから分別されたPS樹脂フレークとABS樹脂フレークである。PS樹脂フレークとABS樹脂フレークは赤外スペクトルにより他の樹脂フレークとは分別できるが、他の樹脂フレークから分別されたものがPS樹脂フレークであるのか、ABS樹脂フレークであるのかを誤りなく識別することは赤外スペクトルに基づいては困難である。そのため、この実施例の識別装置の試料は、PS樹脂フレークとABS樹脂フレークを含む樹脂フレーク群として分別されたものである。
PS樹脂フレークとABS樹脂フレークを含む樹脂フレーク20は、フレーク供給部22のホッパーからフレーク搬送部24に供給される。フレーク搬送部24はベルトコンベアを備え、フレーク供給部22から供給された樹脂フレーク20をベルトコンベアにより反射率測定部2の下を通って排出口24aに移送する。排出口24aから排出された樹脂フレーク20が落下する位置にフレーク樹脂別回収部28が設けられ、フレーク樹脂別回収部28には2つのフレーク回収容器28aと28bが配置されている。
フレーク搬送部24の排出口24aとフレーク樹脂別回収部28の間にはフレーク弁別部26が配置されている。フレーク回収容器28aは排出口24aから排出される樹脂フレーク20が自然落下する位置に配置され、フレーク回収容器28bはフレーク回収容器28aよりも排出口24aに近い位置に配置されている。フレーク弁別部26は、例えば排出口24aから排出された樹脂フレーク20に空気を吹き付けることにより、樹脂フレーク20をその空気圧によりフレーク回収容器28bに落とすように構成されている。
反射率測定部2と樹脂識別部4は図1に記載された構成をもっている。フレーク弁別部26は樹脂識別部4の出力信号を制御信号として入力し、その出力信号が一方の樹脂、例えばABS樹脂であることを示す信号である場合に排出口24aから排出された樹脂フレーク20に空気を吹き付け、PS/ABS識別部16の出力信号が他方の樹脂、例えばPS樹脂であることを示す信号である場合には排出口24aから排出された樹脂フレーク20に空気を吹き付けないように構成されている。
反射率測定部2は、光学系として、試料に赤外光を照射する照射光学系と、試料からの反射光を受光して光検出器に導く反射光用の受光光学系の他、照射光学系から照射されて試料に入射する前の赤外光を、随時に光路を切り替えて前記光検出器に導く入射光用の受光光学系も備えている。反射率測定部2は演算処理部も備えており、演算処理部では前記光検出器が検出した反射光強度を入射光強度で割り算することにより反射率を算出する。演算処理部は演算増幅器を用いて電子回路として構成することもでき、又は専用もしくは汎用のコンピュータに実装されたコンピュータプログラムとして実現することもできる。
樹脂識別部4は、専用もしくは汎用のコンピュータに実装されたコンピュータプログラムとして実現することができる。樹脂識別部4は、反射率測定部2による反射率測定値に基づいて照射波長に対する反射率のプロファイルを求め、そのプロファイルのうち、波数2000cm-1を含みPS樹脂の吸収の少ない所定の波数範囲における面積を指標Aとして算出する指標A算出部6と、指標Aの判定の基準となるしきい値を記憶しているしきい値保持部8と、指標A算出部6が算出した指標Aをしきい値保持部8に記憶されているしきい値と比較し、指標Aがしきい値以下のときは指標Bを用い、指標Aがしきい値よりも大きいときは指標Cを用いることを決定する指標B/C決定部10と、指標B/C決定部10が指標Bを使用することを決定したときは、波数2245cm-1前後における反射率プロファイルの傾きを指標Bとして算出する指標B算出部12と、指標B/C決定部10が指標Cを使用することを決定したときは、波数1924cm-1前後、1915cm-1前後、1852cm-1前後、又は1844cm-1前後における反射率プロファイルの傾きを指標Cとして算出する指標C算出部14と、指標B算出部12が算出した指標Bの大きさに基づいて、試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別しその結果を出力する第1PS/ABS識別部16aと、指標C算出部14が算出した指標Cの大きさに基づいて、試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別しその結果を出力する第2PS/ABS識別部16bと、を備えている。
他の実施例では、さらに、第1PS/ABS識別部16aは指標Bの判定の基準となるしきい値を記憶している指標Bしきい値保持部18aを備え、第2PS/ABS識別部16bは指標Cの判定の基準となるしきい値を記憶している指標Cしきい値保持部18bを備えている。そして、第1PS/ABS識別部16aは、指標Bが指標Bしきい値保持部18aに記憶されているしきい値よりも大きいときは試料がABS樹脂、しきい値以下であればPS樹脂であると識別するものとして構成されており、第2PS/ABS識別部16bは指標Cが指標Cしきい値保持部18bに記憶されているしきい値よりも大きいときは試料がABS樹脂、しきい値以下であればPS樹脂であると識別するものとして構成されている。
2 反射率測定部
4 樹脂識別部
6 指標A算出部
8 しきい値保持部
10 白黒判定部
12 指標B算出部
14 指標C算出部
16 PS/ABS識別部
22 フレーク供給部
24 フレーク搬送部
26 フレーク弁別部
28 フレーク樹脂別回収部

Claims (6)

  1. 以下のステップ(A)から(D)を含んでPS樹脂とABS樹脂を識別する方法。
    (A)PS樹脂又はABS樹脂からなる試料に対して近赤外から赤外にわたる領域の光を照射してその反射光を受光し、照射波長に対する反射率プロファイルを求めるステップ、
    (B)前記反射率プロファイルのうち、波数2000cm-1を含みPS樹脂の吸収の少ない所定の波数範囲における反射寄与分の大きさを指標Aとして算出するステップ、
    (C)算出した指標Aが予め設定したしきい値以下のときはその試料を黒色であると判定し、波数2245cm-1前後における前記反射率プロファイルの傾きを指標Bとして算出し、その指標Bの大きさに基づいて試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別するステップ、及び
    (D)算出した指標Aが前記しきい値より大きいときはその試料を黒色でないと判定し、波数1921cm-1前後、1915cm-1前後、1852cm-1前後、又は1844cm-1前後における前記反射率プロファイルの傾きを指標Cとして算出し、その指標Cの大きさに基づいて試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別するステップ。
  2. 指標Aは、入射光が試料の樹脂内部へ侵入しかつ散乱により入射表面から出射する光の平均内部光路長において、透過率差が2倍以上存在する領域において、反射率プロファイルでの透過率が低い両端波数域又は透過率が高い両端波数域で挟まれた波数領域の反射寄与分の面積である請求項1に記載の識別方法。
  3. ステップ(C)及び(D)において、指標BとCを予め設定されたそれぞれのしきい値と比較し、しきい値よりも大きければABS樹脂、しきい値以下であればPS樹脂であると識別する請求項1又は2に記載の識別方法。
  4. PS樹脂又はABS樹脂からなる試料に対して近赤外から赤外にわたる領域の光を照射してその反射光を受光し、照射波長に対する反射率を測定する反射率測定部と、
    前記反射率測定部による反射率測定値に基づいて照射波長に対する反射率プロファイルを求め、そのプロファイルのうち、波数2000cm-1を含みPS樹脂の吸収の少ない所定の波数範囲における反射寄与分の大きさを指標Aとして算出する指標A算出部と、
    指標Aの判定の基準となるしきい値を記憶しているしきい値保持部と、
    前記指標A算出部が算出した指標Aを前記しきい値保持部に記憶されているしきい値と比較し、指標Aがしきい値以下のときはその試料が黒色であるとして指標Bを用い、指標Aがしきい値よりも大きいときはその試料が黒色でないとして指標Cを用いることを決定する指標B/C決定部と、
    前記指標B/C決定部が指標Bを使用することを決定したときは、波数2245cm-1前後における前記反射率プロファイルの傾きを指標Bとして算出する指標B算出部と、
    前記指標B/C決定部が指標Cを使用することを決定したときは、波数1921cm-1前後、1915cm-1前後、1852cm-1前後、又は1844cm-1前後における前記反射率プロファイルの傾きを指標Cとして算出する指標C算出部と、
    前記指標B算出部が算出した指標Bの大きさに基づいて、試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別しその結果を出力する第1PS/ABS識別部と、
    前記指標C算出部が算出した指標Cの大きさに基づいて、試料がABS樹脂であるかPS樹脂であるかを識別しその結果を出力する第2PS/ABS識別部と、
    を備えたPS/ABS識別装置。
  5. 指標Aは、入射光が試料の樹脂内部へ侵入しかつ散乱により入射表面から出射する光の平均内部光路長において、透過率差が2倍以上存在する領域において、反射率プロファイルでの透過率が低い両端波数域又は透過率が高い両端波数域で挟まれた波数領域の反射寄与分の面積である請求項4に記載のPS/ABS識別装置。
  6. 前記第1PS/ABS識別部は指標Bの判定の基準となるしきい値を記憶している指標Bしきい値保持部を備え、前記第2PS/ABS識別部は指標Cの判定の基準となるしきい値を記憶している指標Cしきい値保持部を備え、
    前記第1PS/ABS識別部は指標Bが指標Bしきい値保持部に記憶されているしきい値よりも大きいときは試料がABS樹脂、しきい値以下であればPS樹脂であると識別するものであり、
    前記第2PS/ABS識別部は指標Cが指標Cしきい値保持部に記憶されているしきい値よりも大きいときは試料がABS樹脂、しきい値以下であればPS樹脂であると識別するものである請求項4又は5に記載のPS/ABS識別装置。
JP2013266508A 2013-12-25 2013-12-25 樹脂識別方法および装置 Expired - Fee Related JP6160475B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013266508A JP6160475B2 (ja) 2013-12-25 2013-12-25 樹脂識別方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013266508A JP6160475B2 (ja) 2013-12-25 2013-12-25 樹脂識別方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015121506A JP2015121506A (ja) 2015-07-02
JP6160475B2 true JP6160475B2 (ja) 2017-07-12

Family

ID=53533237

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013266508A Expired - Fee Related JP6160475B2 (ja) 2013-12-25 2013-12-25 樹脂識別方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6160475B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3477282A1 (en) * 2017-10-30 2019-05-01 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Method and apparatus determining resin color
US11047797B2 (en) 2018-11-07 2021-06-29 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Resin determination method and apparatus

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017101988A (ja) * 2015-12-01 2017-06-08 株式会社島津製作所 プラスチック判別方法及びプラスチック判別装置
JP6464489B2 (ja) * 2016-05-27 2019-02-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 特定臭素系難燃剤判定方法及び装置
JP6771159B2 (ja) * 2017-10-30 2020-10-21 パナソニックIpマネジメント株式会社 樹脂判定方法及び装置
JP6771190B2 (ja) * 2017-10-30 2020-10-21 パナソニックIpマネジメント株式会社 樹脂判定方法及び装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19601950C1 (de) * 1996-01-10 1997-04-03 Lla Umwelttechnische Analytik Verfahren zur Erkennung von Materialsorten, insbesondere Kunststoffsorten
DE69920680T2 (de) * 1999-07-29 2005-11-03 Sony International (Europe) Gmbh Verfahren und Vorrichtung zur Erkennung von Kunststoffmaterialien mittels optischer Messungen
JP2012145528A (ja) * 2011-01-14 2012-08-02 Mitsubishi Electric Corp 樹脂種識別装置
JP5901453B2 (ja) * 2011-08-26 2016-04-13 三菱電機株式会社 樹脂識別装置および方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3477282A1 (en) * 2017-10-30 2019-05-01 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Method and apparatus determining resin color
US11047797B2 (en) 2018-11-07 2021-06-29 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Resin determination method and apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015121506A (ja) 2015-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6160475B2 (ja) 樹脂識別方法および装置
JP5901453B2 (ja) 樹脂識別装置および方法
Bonifazi et al. A hierarchical classification approach for recognition of low-density (LDPE) and high-density polyethylene (HDPE) in mixed plastic waste based on short-wave infrared (SWIR) hyperspectral imaging
AU2013331760B2 (en) Authentication apparatus and method
US20120217403A1 (en) A method and device for identifying a material
US9354178B2 (en) Transmission raman sample analysis
CN1295698A (zh) 监测物品用的方法和装置
CN109724935B (zh) 树脂判定方法以及树脂判定装置
Koinig et al. Influence of reflective materials, emitter intensity and foil thickness on the variability of near-infrared spectra of 2D plastic packaging materials
FR3010790A1 (fr) Dispositif d'identification automatique de fluorescence de traceurs en vue du tri automatique et/ou du controle de qualite de produits ou matieres marquees, colorees ou non.
KR101298109B1 (ko) 가시광 대역 플라스틱 판별 장치 및 이를 이용한 플라스틱 분류 시스템
JP2017101988A (ja) プラスチック判別方法及びプラスチック判別装置
US8987676B2 (en) System and method for the detection of soiling in bank notes
US20190228205A1 (en) Skinprint analysis method and apparatus
Laasonen et al. Near infrared reflectance spectroscopy for the fast identification of PVC-based films
JP3908879B2 (ja) プラスチック判別装置および判別方法
JP7258839B2 (ja) 複合樹脂のセルロース複合判別方法及び装置
JP6191477B2 (ja) 粒子径測定装置及び粒子径測定方法
JP6876983B2 (ja) 樹脂判定方法及び装置
WO2019230624A1 (ja) 粒子径分布測定装置及び粒子径分布測定装置用プログラム
JP2005164431A (ja) プラスチック類の識別方法及び装置
WO2023007824A1 (ja) 廃プラスチックの選別装置、及び廃プラスチックの選別方法
JP2008292300A (ja) プラスチック材質判別装置及び方法
JP2001124696A (ja) Petとその他のプラスチックスとの識別方法及び装置
González-Fuenzalida et al. Non-invasive optical property-based strategy to distinguish poly (ethylene terephthalate) containers of different recycled content

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160531

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20160729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170529

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6160475

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees