JP6159367B2 - 接合材前駆体の製造方法および電気化学反応セルスタックの製造方法 - Google Patents

接合材前駆体の製造方法および電気化学反応セルスタックの製造方法 Download PDF

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Description

本明細書によって開示される技術は、接合材前駆体に関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」ともいう)が知られている。SOFCの発電の最小単位である燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」ともいう)は、固体酸化物を含む電解質層と電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを含む燃料電池単セル(以下、単に「単セル」ともいう)と、単セルで発生した電力を集めるために単セルの空気極側に配置された導電性の集電部材とを備える。空気極と集電部材とが導電性の接合材によって接合されることにより、空気極と集電部材とが電気的に接続される。
空気極と集電部材とを接合する接合材としては、例えば、第1の金属元素(例えばMn)と第2の金属元素(例えばCo)とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物(例えばMnCo)を含む焼成体が用いられる(例えば特許文献1参照)。そのような接合材の焼成前の状態である接合材前駆体が、空気極と集電部材との間に配置された状態で焼成されることにより、接合材が形成される。スピネル型の遷移金属複合酸化物は高い導電性を有するため、形成された接合材も高い導電性を有することとなる。
従来、接合材前駆体の原料として、バインダとしての有機物に加え、例えば、第1の金属元素の酸化物により構成された金属酸化物粒子(例えばMnOの粒子)と第2の金属元素により構成された金属粒子(例えばCoの粒子)との混合粉末が用いられたり、スピネル型の遷移金属複合酸化物自体の粉末が用いられたりしている。
特開2007−141842号公報
第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物は、原料に含まれる第1の金属元素と第2の金属元素とが相互拡散することにより形成される。上記従来技術のように、接合材前駆体の原料として第1の金属元素の酸化物により構成された金属酸化物粒子と第2の金属元素により構成された金属粒子との混合粉末が用いられると、接合材前駆体内に、第1の金属元素が偏って配置された箇所や第2の金属元素が偏って配置された箇所が存在することとなる。そのため、焼成の際に、接合材前駆体内におけるそのような配置の偏りが大きい箇所で、第1の金属元素と第2の金属元素との相互拡散が起きにくくなり、粒子間の焼結が進行しにくくなる。その結果、接合材自体の強度や、接合材と空気極との界面の固着強度が低下し、例えば、各部材の熱膨張係数の違いやSOFC内の温度分布に起因して生ずる熱応力によって接合材や界面にクラックが発生する場合がある。
また、上記従来技術のように、接合材前駆体の原料としてスピネル型の遷移金属複合酸化物自体の粉末が用いられる場合には、スピネル型の遷移金属複合酸化物は高温でも安定して存在する酸化物であることから、熱処理(焼成)の際に、第1の金属元素と第2の金属元素との相互拡散が起きにくい。その結果、接合材自体の強度や、接合材と空気極との界面の固着強度が低下し、やはり、接合材や界面にクラックが発生する場合がある。
なお、このような問題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」ともいう)の最小単位である電解セル単位に含まれる空気極と集電部材とを接合する接合材の焼成前の状態である接合材前駆体にも共通の課題である。なお、本明細書では、発電単位と電解セル単位とをまとめて電気化学反応単位と呼ぶ。さらに、このような問題は、電気化学反応単位を構成する2つの部材に限られず、第1の導電性部材と第2の導電性部材とを接合する接合材の焼成前の状態である接合材前駆体に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される接合材前駆体は、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を含む焼成体であり、第1の導電性部材と第2の導電性部材とを接合する導電性の接合材の焼成前の状態である接合材前駆体であって、有機物と、前記第1の金属元素の酸化物により構成された金属酸化物部分と前記第2の金属元素により構成された金属部分とをそれぞれ有する複数の第1の粒子と、を備え、前記接合材前駆体に含まれる粒子の粒子径D50は3μm未満である。本接合材前駆体によれば、接合材前駆体内において、金属酸化物部分および金属部分のそれぞれの配置の偏りが小さくなり、金属酸化物部分と金属部分とが接する箇所が多くなり、焼成の際に、金属酸化物部分に含まれる第1の金属元素と金属部分に含まれる第2の金属元素との相互拡散が起こりやすくなって焼結性が高くなる上に、粒子径が比較的小さいことから粒子の表面エネルギーが比較的大きくなって焼結性がさらに高くなるため、接合材と第1の導電性部材または第2の導電性部材との界面の固着強度や接合材自体の強度を高くすることができ、接合材や界面にクラックが発生することを抑制することができる。
(2)上記接合材前駆体において、各前記第1の粒子は、複数の前記金属酸化物部分と複数の前記金属部分とを有する構成としてもよい。本接合材前駆体によれば、接合材前駆体内において、金属酸化物部分と金属部分とが接する箇所がより多くなり、焼成の際に、金属酸化物部分に含まれる第1の金属元素と金属部分に含まれる第2の金属元素との相互拡散がより起こりやすくなって焼結性がより高くなるため、接合材と第1の導電性部材または第2の導電性部材との界面の固着強度や接合材自体の強度をより高くすることができ、接合材や界面にクラックが発生することをより確実に抑制することができる。
(3)上記接合材前駆体において、前記第1の粒子の数は、前記金属酸化物部分のみから構成された金属酸化物粒子と前記金属部分のみから構成された金属粒子との少なくとも一方である他の粒子の数より多い構成としてもよい。本接合材前駆体によれば、接合材前駆体中の第1の粒子の数が他の粒子の数より多いため、接合材前駆体中の第1の粒子の数が他の粒子の数より少ない構成と比較して、金属酸化物部分と金属部分とが接する箇所がより多くなり、焼成の際に、第1の金属元素と第2の金属元素との相互拡散がより起こりやすくなって焼結性がより高くなるため、接合材と第1の導電性部材または第2の導電性部材との界面の固着強度や接合材自体の強度をより高くすることができ、接合材や界面にクラックが発生することをより確実に抑制することができる。
(4)上記接合材前駆体において、前記第1の金属元素は、Mnであり、前記第2の金属元素は、CoとCuとZnとのいずれかである構成としてもよい。このような、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物は、導電性が比較的高い上に、比較的低温で焼成することができるため、接合材の導電性を極めて高くすることができると共に、部材間の熱膨張係数の違いにより生ずる熱応力を小さくすることができ、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
(5)上記接合材前駆体において、前記第1の導電性部材は、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおける前記空気極である構成としてもよい。本接合材前駆体によれば、空気極と第2の導電性部材とを接合する接合材について、界面の固着強度や接合材自体の強度を高くすることができ、接合材や界面にクラックが発生することを抑制することができる。
(6)上記接合材前駆体において、前記第2の導電性部材は、前記電気化学反応単セルと、前記電気化学反応単セルの前記空気極の側に配置された集電部材と、を備える電気化学反応単位における前記集電部材である構成としてもよい。本接合材前駆体によれば、空気極と集電部材とを接合する接合材について、界面の固着強度や接合材自体の強度を高くすることができ、接合材や界面にクラックが発生することを抑制することができる。
(7)本明細書に開示される接合材前駆体の製造方法は、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を含む焼成体であり、第1の導電性部材と第2の導電性部材とを接合する導電性の接合材の焼成前の状態である接合材前駆体の製造方法であって、前記第1の金属元素と前記第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を還元処理することにより、粒子径D50が3μm未満である原料粉末を作製する工程と、前記原料粉末と有機物とを混合して前記接合材前駆体を作製する工程とを備える。本接合材前駆体の製造方法によれば、原料粉末に含まれる複数の粒子の大半を、第1の金属元素の酸化物により構成された金属酸化物部分と第2の金属元素により構成された金属部分とを有する第1の粒子とすることができる上に、原料粉末の粒子径を比較的小さくすることができるため、製造された接合材前駆体を焼成する際に、金属酸化物部分に含まれる第1の金属元素と金属部分に含まれる第2の金属元素との相互拡散が起こりやすなって焼結性が高くなる上に、粒子径が比較的小さいことから粒子の表面エネルギーが比較的大きくなって焼結性がさらに高くなるため、焼成によって得られる接合材自体の強度や固着強度を高くすることができる。
(8)上記接合材前駆体の製造方法において、前記第1の金属元素は、Mnであり、前記第2の金属元素は、CoとCuとZnとのいずれかである構成としてもよい。このような、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物は、導電性が比較的高い上に、比較的低温で焼成することができるため、製造された接合材前駆体を焼成することによって形成される接合材の導電性を極めて高くすることができると共に、部材間の熱膨張係数の違いにより生ずる熱応力を小さくすることができ、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、接合材前駆体、接合材前駆体により形成された接合材により接合された空気極および集電部材を備える電気化学反応単位(燃料電池発電単位または電解セル単位)、複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態における接合層138の製造方法を示す説明図である。 接合層138の性能評価の方法を示す説明図である。 接合層138の性能評価の結果を示す説明図である。 接合層138の性能評価の結果を示す説明図である。 比較例における接合層138の製造方法を示す説明図である。 比較例における接合層138と空気極114との界面の構成を模式的に示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)発電単位102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電の最小単位である発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿入される連通孔108に対応する孔が形成されている。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレス等のCr(クロム)を含む金属により形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。なお、セパレータ120が接合された単セル110をセパレータ付き単セルともいう。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレス等のCr(クロム)を含む金属により形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、本実施形態では、空気極側集電体134とインターコネクタ150とは一体の部材として形成されている。すなわち、該一体の部材の内の、上下方向(Z軸方向)に直交する平板形状の部分がインターコネクタ150として機能し、該平板形状の部分から空気極114に向けて突出するように形成された複数の集電体要素135が空気極側集電体134として機能する。本実施形態における空気極側集電体134、または空気極側集電体134とインターコネクタ150との一体部材は、特許請求の範囲における集電部材に相当する。
図4および図5に示すように、空気極側集電体134の表面は、導電性のコート136によって覆われている。コート136は、例えば、スピネル型酸化物(例えば、MnCo、ZnMn、CuMn等)により形成されている。空気極側集電体134の表面へのコート136の形成は、例えば、スプレーコート、インクジェット印刷、スピンコート、ディップコート、めっき、スパッタリング、溶射等の周知の方法で実行される。なお、上述したように、本実施形態では、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として形成されているため、実際には、空気極側集電体134の表面の内、インターコネクタ150との境界面はコート136により覆われていない一方、インターコネクタ150の表面の内、少なくとも酸化剤ガスの流路に面する表面(すなわち、インターコネクタ150における空気極114側の表面や酸化剤ガス導入マニホールド161および酸化剤ガス排出マニホールド162を構成する連通孔108に面した表面等)はコート136により覆われている。また、空気極側集電体134に対する熱処理によって酸化クロムの被膜ができることがあるが、その場合には、コート136は、当該被膜ではなく、当該被膜が形成された空気極側集電体134を覆うように形成された層である。以下の説明では、特記しない限り、空気極側集電体134(または集電体要素135)は「コート136に覆われた空気極側集電体134(または集電体要素135)」を意味する。
空気極114と空気極側集電体134とは、導電性の接合層138により接合されている。接合層138は、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物(例えば、MnCoやZnMn、CuMn等)を含む焼成体である。接合層138の製造方法は、後に詳述する。接合層138により、空気極114と空気極側集電体134とが電気的に接続される。先に、空気極側集電体134は空気極114の表面と接触していると説明したが、本実施形態においては、コート136に覆われた空気極側集電体134と空気極114との間には接合層138が介在している。接合層138は、特許請求の範囲における接合材に相当する。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134(およびコート136、接合層138)を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A−3.燃料電池スタック100の製造方法:
図6は、本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法を示すフローチャートである。まず、スピネル型の遷移金属複合酸化物の粉末が所定量秤量され、この粉末に対する還元処理が行われることにより、接合層138の原料粉末が作製される(S110)。還元処理は、非酸化剤ガス雰囲気下もしくは真空状態における700℃〜900℃での熱処理をいう。非酸化剤ガスとしては、水素やアルゴンや窒素が好ましい。
図7は、本実施形態における接合層138の製造方法を示す説明図である。図7の左側には、S110において作製された接合層138の原料粉末の構成が模式的に示されており、図7の右側には、焼成により形成された接合層138の構成が模式的に示されている。上述したように、接合層138は、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を含む焼成体であり、S110では、そのようなスピネル型の遷移金属複合酸化物の粉末に対する還元処理が行われる。図7に示すように、この還元処理によって作製された原料粉末は、複数の第1の粒子P1を含む。各第1の粒子P1は、第1の金属元素の酸化物により構成された複数の金属酸化物部分Amoと、第2の金属元素により構成された複数の金属部分Amとを有する。すなわち、第1の粒子P1は、還元処理前のスピネル型遷移金属複合酸化物の粒子に含まれていた第2の金属元素と、当該スピネル型遷移金属複合酸化物の粒子に含まれていた第1の金属元素の酸化物とが結合した2次粒子である。例えば、接合層138がスピネル型の遷移金属複合酸化物であるMnCoを含む場合、金属酸化物部分AmoはMnOにより構成され、金属部分AmはCoにより構成される。
なお、この還元処理によって作製される原料粉末は、金属元素の酸化物のみから構成された金属酸化物粒子(例えばCoの粒子)や、金属元素のみから構成された金属粒子を含む場合がある。ただし、原料粉末に含まれる第1の粒子P1の数は、金属酸化物粒子と金属粒子との総数より多い。金属酸化物粒子や金属粒子は、特許請求の範囲における「他の粒子」に相当する。また、本明細書において、「金属元素の酸化物」という用語は、当該金属元素と酸素元素とから構成された化合物を意味し、当該金属元素とは異なる他の金属元素を含む化合物(すなわち、金属複合酸化物)を含まない。
本実施形態では、還元処理によって作成された原料粉末の粒子径D50(メジアン径)は3μm未満である。原料粉末の粒子径D50を3μm未満とすると、その原料粉末を用いて形成される接合層138と空気極114との界面の固着強度や接合層138自体の強度を高くすることができるため、好ましい。この点については、後述する。
次に、S110において作製された原料粉末とバインダとしての有機物とが所定の割合で混合されて、接合層138を形成するための接合用ペーストが作製される(S120)。上述した第1の粒子P1の数が金属酸化物粒子と金属粒子との総数より多いという関係は、作成された接合用ペーストにおいても維持される。
次に、この接合用ペーストが、スクリーン印刷等により、燃料電池スタック100の各発電単位102を構成する空気極114と空気極側集電体134との間に配置される(S130)。接合用ペーストの塗布厚は、例えば20μm〜50μmである。なお、この際には、空気極114や空気極側集電体134は、各発電単位102を構成する他の部材と接合されていてもよい。
空気極114と空気極側集電体134との間に接合用ペーストが配置された状態で、100℃〜200℃程度の乾燥処理が行われ、さらに大気中で700℃〜900℃程度の熱処理(焼成)が行われる(S140)。これにより、接合用ペーストは、空気極114と空気極側集電体134とを接合する焼成体である接合層138となる。すなわち、図7に示すように、各第1の粒子P1内および各第1の粒子P1間において、金属酸化物部分Amoに含まれる第1の金属元素と金属部分Amに含まれる第2の金属元素との相互拡散が起こり、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物CMOを含む焼成体である接合層138が形成される。なお、接合層138の焼成前の状態、すなわち上記接合用ペーストまたは上記接合用ペーストを乾燥処理したものを、「接合材前駆体」ともいう。
その後、残りの組み立て工程(例えばボルト22による燃料電池スタック100の締結)が行われ(S150)、上述した構成の燃料電池スタック100の製造が完了する。
A−4.接合層138の性能評価:
空気極114と空気極側集電体134(または空気極側集電体134とインターコネクタ150との一体部材、以下同様)とを接合する接合層138の固着強度について、性能評価を行った。図8は、接合層138の性能評価の方法を示す説明図である。また、図9および図10は、接合層138の性能評価の結果を示す説明図である。性能評価は、図9および図10に示す9種類の構成の原料粉末のそれぞれを有機物と混合して製造した9種類の接合材前駆体を用いて行った。各接合材前駆体を、単セル110の空気極114と空気極側集電体134との間に配置し、850℃、2時間の熱処理(焼成)を行うことによって、単セル110と空気極側集電体134とが接合層138によって接合された9種類のサンプル(サンプル1−7およびサンプル11,12)を製造した。いずれのサンプルにおける接合層138も、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を含む焼成体である。各サンプルに対して固着強度試験を行った。
固着強度試験では、図8に示すように、各サンプルの上面(空気極側集電体134側の表面)を上側治具510に接着剤ADで接着すると共に、下面(単セル110側の表面)を下側治具520に接着剤ADで接着し、治具510,520を介してサンプルに上下方向の引張荷重を与えて剥離させ、剥離箇所がどの位置であったかを判定した。接合層138の内部で剥離が発生した場合には、接合層138自体の強度が不足しており、界面の固着強度を評価するまでもないため、評価不能(×)と判定し、接合層138と単セル110の空気極114との界面で剥離が発生した場合には、当該界面の固着強度が不足しているとして、不合格(△)と判定し、単セル110の空気極114の内部で剥離が発生した場合には、接合層138と空気極114との界面の固着強度は良好であるとして、合格(〇)と判定した。なお、接合層138と空気極114との界面の接合は、主として粒子同士の引っ掛かりによるアンカー効果によるものであるのに対し、接合層138と空気極側集電体134との界面の接合は、アンカー効果に加えて、元素拡散による強固なものであるため、接合層138と空気極側集電体134との界面で剥離が発生することは無かった。
図9に示すサンプル1−4(実施例)では、接合材前駆体に含まれる原料粉末は、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を還元処理することによって作製されたものである。具体的には、サンプル1に用いられた原料粉末は、Mn(第1の金属元素)とCo(第2の金属元素)とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物(MnCo)を還元処理することによって作製されたものである。そのため、この原料粉末は、MnO(第1の金属元素の酸化物)により構成された複数の金属酸化物部分Amoと、Co(第2の金属元素)により構成された複数の金属部分Amとを有する複数の第1の粒子P1を備える(図7参照)。サンプル1において還元処理の対象とされたスピネル型の遷移金属複合酸化物の粉末の比表面積は3m/g〜8m/gであり、該粉末の使用量は50gであった。これらの点については、他のサンプルにおいても同様である。また、サンプル1では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50は1.2μmであった。
なお、サンプル1において、還元処理により作製された原料粉末をめのう乳鉢で解砕したところ、比表面積は1m/g〜5m/gであった。XRDを用いて解砕後の粉末の構造を解析したところ、大部分がMnOとCoとの2相に還元されていることが確認された。ただし、微量の金属酸化物粒子(CoOの粒子)も含んでいることが確認された。これらの点については、他のサンプルにおいても同様である。
同様に、サンプル2に用いられた原料粉末は、Mn(第1の金属元素)とCo(第2の金属元素)とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物(Mn1.5Co1.5)を還元処理することによって作製されたものであり、MnO(第1の金属元素の酸化物)により構成された複数の金属酸化物部分Amoと、Co(第2の金属元素)により構成された複数の金属部分Amとを有する複数の第1の粒子P1を備える。サンプル2では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50は1.2μmであった。サンプル3に用いられた原料粉末は、Mn(第1の金属元素)とCu(第2の金属元素)とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物(CuMn)を還元処理することによって作製されたものであり、MnO(第1の金属元素の酸化物)により構成された複数の金属酸化物部分Amoと、Cu(第2の金属元素)により構成された複数の金属部分Amとを有する複数の第1の粒子P1を備える。サンプル3では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50は1.3μmであった。サンプル4に用いられた原料粉末は、Mn(第1の金属元素)とZn(第2の金属元素)とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物(ZnMn)を還元処理することによって作製されたものであり、MnO(第1の金属元素の酸化物)により構成された複数の金属酸化物部分Amoと、Zn(第2の金属元素)により構成された複数の金属部分Amとを有する複数の第1の粒子P1を備える。サンプル4では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50は1.3μmであった。
一方、図9に示すサンプル5−7(比較例)では、接合材前駆体に含まれる原料粉末は、上記実施形態とは異なり、スピネル型の遷移金属複合酸化物を還元処理することによって作製されたものではない。具体的には、サンプル5に用いられた原料粉末は、MnO(第1の金属元素の酸化物)により構成された金属酸化物粒子と、Co(第2の金属元素)により構成された金属粒子との混合粉末である。サンプル5では、原料粉末の粒子径D50は1.2μmであった。また、サンプル6に用いられた原料粉末は、Mn(第1の金属元素)により構成された金属粒子とCo(第2の金属元素)により構成された金属粒子との混合粉末である。サンプル6では、原料粉末の粒子径D50は1.4μmであった。また、サンプル7に用いられた原料粉末は、スピネル型の遷移金属複合酸化物(MnCo)自体の粉末である。サンプル7では、原料粉末の粒子径D50は1.1μmであった。
また、図10に示すサンプル11(実施例)およびサンプル12(比較例)では、図9に示すサンプル1と同様に、Mn(第1の金属元素)とCo(第2の金属元素)とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物(MnCo)を還元処理することによって作製されたものである。サンプル11では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50は1.3μmであったのに対し、サンプル12では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50は5.6μmと比較的大きかった。
図9に示すように、サンプル1−4(実施例)については、空気極114の内部で剥離が発生したため、接合層138と空気極114との界面の固着強度は良好であり、合格(〇)と判定された。なお、剥離時の引張応力は、500MPa以上であった。上述したように、サンプル1−4の接合材前駆体は、第1の金属元素の酸化物により構成された複数の金属酸化物部分Amoと第2の金属元素により構成された複数の金属部分Amとを有する複数の第1の粒子P1を含んでいる(図7参照)。そのため、接合材前駆体内において、金属酸化物部分Amoおよび金属部分Amのそれぞれの配置の偏りが小さく、金属酸化物部分Amoと金属部分Amとが接する箇所が多数存在する。従って、焼成の際に、金属酸化物部分Amoに含まれる第1の金属元素と金属部分Amに含まれる第2の金属元素との相互拡散が起こりやすくなって焼結性が向上し、形成される接合層138自体の強度が高くなると共に、接合層138と空気極114との界面の固着強度が高くなったものと考えられる。
一方、サンプル5(比較例)については、接合層138と空気極114との界面で剥離が発生したため、当該界面の固着強度が不足しており、不合格(△)と判定された。なお、剥離時の引張応力は、100MPa以上、500MPa未満であった。図11は、比較例における接合層138の製造方法を示す説明図である。サンプル5では、図11に示すように、接合材前駆体は、MnO(第1の金属元素の酸化物)により構成された金属酸化物粒子P2と、Co(第2の金属元素)により構成された金属粒子P3とを含む。そのため、接合材前駆体内において、第1の金属元素を含む金属酸化物粒子P2が偏って配置された箇所や、第2の金属元素を含む金属粒子P3が偏って配置された箇所が多数存在することとなり、金属酸化物粒子P2と金属粒子P3とが接する箇所B1に加え、金属酸化物粒子P2同士が接触する箇所B2や、金属粒子P3同士が接触する箇所B3も多数存在することとなる。従って、焼成の際に、金属酸化物粒子P2と金属粒子P3とが接する箇所B1では、金属酸化物粒子P2に含まれるMn(第1の金属元素)と金属粒子P3に含まれるCo(第2の金属元素)との相互拡散が起こってスピネル型の遷移金属複合酸化物CMOが生成されるものの、金属酸化物粒子P2同士が接触する箇所B2や金属粒子P3同士が接触する箇所B3では、第1の金属元素と第2の金属元素との相互拡散が起こりにくく、焼結が進行しにくい。そのため、接合層138と空気極114との界面の固着強度が低くなったものと考えられる。この点について、以下、さらに説明する。
図12は、比較例における接合層138と空気極114との界面の構成を模式的に示す説明図である。サンプル5(比較例)では、接合層138の内部や接合層138と空気極114との界面付近に、第1の金属元素と第2の金属元素との相互拡散が起こってスピネル型の遷移金属複合酸化物CMOが生成され、粒子間が強く結合している強結合箇所SCと、そのような相互拡散が十分に起こらず、粒子間の結合が弱い弱結合箇所WCとが存在する。接合層138の内部に弱結合箇所WC(例えばWC3)があっても、接合層138の内部の結合は三次元的な結合であるため、他の部分で結合力を補うことができる。しかし、接合層138における空気極114との界面付近に弱結合箇所WC(例えばWC1やWC2)があると、接合層138における空気極114との界面付近の結合は平面的(二次元的)な結合であるため、弱結合箇所WCの結合力の弱さを他の部分で補うことができず、破断が発生しやすい。そのため、サンプル5(比較例)では、接合層138と空気極114との界面で固着強度が低くなると考えられる。接合層138と空気極114との界面で固着強度が低くなると、例えば部材間の熱膨張係数の違いやSOFC内の温度分布に起因して生ずる熱応力によって、クラックが発生するおそれがある。
同様に、サンプル6(比較例)についても、接合層138と空気極114との界面で剥離が発生したため、当該界面の固着強度が不足しており、不合格(△)と判定された。なお、剥離時の引張応力は、100MPa以上、500MPa未満であった。サンプル6の接合材前駆体は、上述した図11において、金属酸化物粒子P2を金属粒子P2と読み替えた構成を有する。すなわち、サンプル6の接合材前駆体は、Mn(第1の金属元素)により構成された金属粒子P2と、Co(第2の金属元素)により構成された金属粒子P3とを含む。そのため、接合材前駆体内において、第1の金属元素を含む金属粒子P2が偏って配置された箇所や、第2の金属元素を含む金属粒子P3が偏って配置された箇所が多数存在することとなり、金属粒子P2と金属粒子P3とが接する箇所B1に加え、金属粒子P2同士が接触する箇所B2や、金属粒子P3同士が接触する箇所B3も多数存在することとなる。従って、焼成の際に、金属粒子P2と金属粒子P3とが接する箇所B1では、金属粒子P2に含まれるMn(第1の金属元素)と金属粒子P3に含まれるCo(第2の金属元素)との相互拡散が起こってスピネル型の遷移金属複合酸化物が生成されるものの、金属粒子P2同士が接触する箇所B2や金属粒子P3同士が接触する箇所B3では、第1の金属元素と第2の金属元素との相互拡散が起こりにくく、焼結が進行しにくい。そのため、接合層138と単セル110の空気極114との界面の固着強度が低くなったものと考えられる。なお、サンプル6(比較例)において界面の固着強度が低くなるメカニズムの詳細は、図12に示したサンプル5(比較例)についてのメカニズムと同様のメカニズムが考えられる。
また、サンプル7(比較例)については、接合層138の内部で剥離が発生したため、接合層138自体の強度が不足しており、評価不能(×)と判定された。なお、剥離時の引張応力は、100MPa未満であった。サンプル7の接合材前駆体は、スピネル型の遷移金属複合酸化物(MnCo)自体の粉末を含む。スピネル型の遷移金属複合酸化物は高温でも安定して存在する酸化物であるため、サンプル7では、焼成の際に、Mn(第1の金属元素)とCo(第2の金属元素)との相互拡散が起きにくく、焼結が進行せず、接合層138自体の強度が低くなったものと考えられる。
また、図10に示すように、サンプル11(実施例)については、空気極114の内部で剥離が発生したため、合格(〇)と判定された。一方、サンプル12(比較例)については、接合層138と空気極114との界面で剥離が発生したため、不合格(△)と判定された。サンプル11とサンプル12では、共に、接合材前駆体が、第1の金属元素の酸化物により構成された複数の金属酸化物部分Amoと第2の金属元素により構成された複数の金属部分Amとを有する複数の第1の粒子P1を含んでいる(図7参照)。そのため、接合材前駆体内において、金属酸化物部分Amoおよび金属部分Amのそれぞれの配置の偏りが小さく、金属酸化物部分Amoと金属部分Amとが接する箇所が多数存在し、第1の金属元素と第2の金属元素との相互拡散が起こりやすい。しかし、サンプル12では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50が5.6μmと比較的大きいため、粒子の表面エネルギーが比較的小さくなり、焼結が進行しにくい。そのため、サンプル12(比較例)では、接合層138と空気極114との界面の固着強度が低くなったものと考えられる。
これに対し、サンプル11では、還元処理により作製された原料粉末の粒子径D50が1.3μmと比較的小さいため、粒子の表面エネルギーが比較的大きくなり、焼結が進行しやすい。そのため、サンプル11(実施例)では、接合層138と空気極114との界面の固着強度が高くなったものと考えられる。
このように、図10に示す性能評価結果を参照すると、固着強度確保の観点から、接合材前駆体に含まれる原料粉末の粒子径D50は、3μm未満であることが好ましく、2μm未満であることがさらに好ましく、1.5μm未満であることがさらに好ましく、1.3μm以下であることが一層好ましいと言える。また、接合材前駆体に含まれる原料粉末の粒子径D90は10μm未満であることが好ましい。粒子径D90が10μm未満であれば、粒子の表面エネルギーをさらに大きくすることができ、焼結が進行しやすくなり、接合層138と空気極114との界面の固着強度をさらに高くすることができる。
A−5.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態では、空気極114と空気極側集電体134とを接合する接合層138は、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を含む焼成体であり、接合層138の焼成前の状態である接合材前駆体は、有機物と、第1の金属元素の酸化物により構成された金属酸化物部分Amoと第2の金属元素により構成された金属部分Amとをそれぞれ有する複数の第1の粒子P1とを備え、接合材前駆体に含まれる粒子の粒子径D50は3μm未満である。そのため、接合材前駆体内において、金属酸化物部分Amoおよび金属部分Amのそれぞれの配置の偏りが小さく、金属酸化物部分Amoと金属部分Amとが接する箇所が多くなり、焼成の際に、金属酸化物部分Amoに含まれる第1の金属元素と金属部分Amに含まれる第2の金属元素との相互拡散が起こりやすくなって焼結性が高くなる上に、粒子の表面エネルギーが比較的大きくなって焼結性がさらに高くなる。従って、本実施形態の接合材前駆体によれば、接合材前駆体の焼成によって得られる接合層138と空気極114との界面の固着強度や接合層138自体の強度を高くすることができ、接合層138や界面にクラックが発生することを抑制することができる。
特に、本実施形態では、接合材前駆体に含まれる各第1の粒子P1が、複数の金属酸化物部分Amoと複数の金属部分Amとを有するため、接合材前駆体内において、金属酸化物部分Amoと金属部分Amとが接する箇所がより多くなり、焼成の際に、金属酸化物部分Amoに含まれる第1の金属元素と金属部分Amに含まれる第2の金属元素との相互拡散がより起こりやすくなって焼結性がより高くなるため、接合層138と空気極114との界面の固着強度や接合層138自体の強度をより高くすることができる。
なお、本実施形態では、上述したように、焼成の際に、金属酸化物部分Amoに含まれる第1の金属元素と金属部分Amに含まれる第2の金属元素との相互拡散が起こりやすいため、短い時間で相互拡散が完了し、均一なスピネル型の遷移金属複合酸化物を多数含む接合層138が形成され、接合層138の導電性を高くすることができる。
また、本実施形態では、上記第1の金属元素はMnであり、上記第2の金属元素はCoとCuとZnとのいずれかである。このような、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物は、導電性が比較的高い上に、比較的低温(例えば900℃以下)で焼成することができるため、接合層138の導電性を極めて高くすることができると共に、部材間の熱膨張係数の違いやSOFC内の温度分布に起因して生ずる熱応力を小さくすることができ、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を還元処理することにより接合材前駆体の原料粉末が作製される。このようにすれば、原料粉末に含まれる複数の粒子の大半を、第1の金属元素の酸化物により構成された金属酸化物部分と第2の金属元素により構成された金属部分とを有する第1の粒子とすることができるため、接合材前駆体の焼成によって得られる接合層138と空気極114との界面の固着強度や接合層138自体の強度を高くすることができる。
A−6.接合材前駆体の分析方法:
接合材前駆体の分析方法は、例えば以下の通りである。原料粉末と有機物とを含む接合材前駆体をエタノール中で超音波洗浄(38kHz、5min)にかけた後、乾燥させ(100℃、30min)、乾燥後の粉末を樹脂に埋めこんで硬化させ、断面を作製して鏡面研磨を実施した後、EDSにて元素マップを作成する。この際の視野は5000倍とし、粉末粒子同士が上下に重なり合わない位置を狙って観察するものとする。例えば、上記性能評価のサンプル1に用いられた接合材前駆体をこの方法で分析したところ、Co(第2の金属元素)により構成された金属部分Amを核として、MnO(第1の金属元素の酸化物)により構成された金属酸化物部分Amoが周囲に配置された構成であることが確認された。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態では、スピネル型の遷移金属複合酸化物に含まれる第1の金属元素はMnであり、第2の金属元素はCoとCuとZnとのいずれかであるとしているが、スピネル型の遷移金属複合酸化物に含まれる第1および第2の金属元素は上記以外の金属元素であってもよい。ただし、上述したように、第1の金属元素をMnとして、第2の金属元素をCoとCuとZnとのいずれかとすれば、接合材前駆体を焼成して形成した接合層138の固着強度を高くすることができるため好ましい。また、スピネル型の遷移金属複合酸化物が、第1および第2の金属元素に加えて、他の金属元素を含んでいてもよい。
また、上記実施形態では、接合材前駆体に含まれる第1の粒子P1は、第1の金属元素の酸化物により構成された複数の金属酸化物部分Amoと第2の金属元素により構成された複数の金属部分Amとを有するとしているが、第1の粒子P1は、1つの金属酸化物部分Amoと1つの金属部分Amとを有するとしてもよい。
また、上記実施形態では、接合材前駆体に含まれる第1の粒子P1の数は、接合材前駆体に含まれる金属酸化物粒子と金属粒子との総数より多いとしているが、必ずしもそうである必要は無い。また、接合材前駆体に、金属酸化物粒子と金属粒子との少なくとも一方が含まれないとしてもよい。
また、上記実施形態では、スピネル型の遷移金属複合酸化物が還元処理されることによって、第1の粒子P1を含む原料粉末が作製されるとしているが、原料粉末の作製方法はこれに限られない。例えば、第1の金属元素の酸化物に第2の金属元素の粒子をCVDやPVDによって蒸着させることにより、第1の粒子P1を含む原料粉末が作製されるとしてもよい。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。
また、上記実施形態では、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間の空間を各マニホールドとして利用しているが、これに代えて、各ボルト22の軸部に軸方向の孔を形成し、その孔を各マニホールドとして利用してもよい。また、各マニホールドを各ボルト22が挿入される各連通孔108とは別に設けてもよい。
また、上記実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合には、1つのインターコネクタ150が隣接する2つの発電単位102に共有されるとしているが、このような場合でも、2つの発電単位102がそれぞれのインターコネクタ150を備えてもよい。また、上記実施形態では、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ150や、最も下に位置する発電単位102の下側のインターコネクタ150は省略されているが、これらのインターコネクタ150を省略せずに設けてもよい。
また、上記実施形態において、空気極側集電体134と、それに隣接するインターコネクタ150とが別部材であってもよい。また、上記実施形態において、燃料極側集電体144は、空気極側集電体134と同様の構成であってもよく、燃料極側集電体144と隣接するインターコネクタ150とが一体部材であってもよい。また、空気極側フレーム130ではなく燃料極側フレーム140が絶縁体であってもよい。また、空気極側フレーム130や燃料極側フレーム140は、多層構成であってもよい。
また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、上記実施形態では、空気極側集電体134は、Crを含む金属により形成されているが、空気極側集電体134は、他の材料により形成されていてもよい。また、空気極側集電体134を構成する各集電体要素135の形状は、四角柱状に限らず、他の形状であってもよい。また、空気極側集電体134がコート136に覆われていなくてもよい。
また、上記実施形態において、都市ガスを改質して水素リッチな燃料ガスFGを得るとしているが、LPガスや灯油、メタノール、ガソリン等の他の原料から燃料ガスFGを得るとしてもよいし、燃料ガスFGとして純水素を利用してもよい。
本明細書において、部材(または部材のある部分、以下同様)Aを挟んで部材Bと部材Cとが互いに対向するとは、部材Aと部材Bまたは部材Cとが隣接する形態に限定されず、部材Aと部材Bまたは部材Cとの間に他の構成要素が介在する形態を含む。例えば、電解質層112と空気極114との間に他の層が設けられた構成であっても、空気極114と燃料極116とは電解質層112を挟んで互いに対向すると言える。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(SOEC)の最小単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2014−207120号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様に、空気極114と空気極側集電体134とを接合する接合層138が、第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を含む焼成体であり、接合層138の焼成前の状態である接合材前駆体が、有機物と、第1の金属元素の酸化物により構成された金属酸化物部分と第2の金属元素により構成された金属部分とをそれぞれ有する複数の第1の粒子とを備え、接合材前駆体に含まれる粒子の粒子径D50は3μm未満である構成を採用すれば、接合材前駆体の焼成によって得られる接合層138と空気極114との界面の固着強度や接合層138自体の強度を高くすることができ、接合層138や界面にクラックが発生することを抑制することができる。
また、上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本願発明は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。
また、上記実施形態では、燃料電池(または電解セル)における空気極114と空気極側集電体134とを接合する接合層138の焼成前の状態である接合材前駆体を例に説明したが、本願発明は、空気極114と空気極側集電体134との接合に限られず、第1の導電性部材と第2の導電性部材とを接合する接合材の焼成前の状態である接合材前駆体一般に適用可能である。例えば、本願発明は、第1の導電性部材としての燃料極116と第2の導電性部材としての燃料極側集電体144とを接合する接合材の焼成前の状態である接合材前駆体に適用可能である。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104:エンドプレート 106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 135:集電体要素 136:コート 138:接合層 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 510:上側治具 520:下側治具

Claims (2)

  1. 第1の金属元素と第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を含む焼成体であり、第1の導電性部材と第2の導電性部材とを接合する導電性の接合材の焼成前の状態である接合材前駆体の製造方法であって、
    前記第1の金属元素と前記第2の金属元素とを有するスピネル型の遷移金属複合酸化物を還元処理することにより、粒子径D50が3μm未満である原料粉末を作製する工程と、
    前記原料粉末と有機物とを混合して前記接合材前駆体を作製する工程と、
    を備え
    前記第1の金属元素は、Mnであり、前記第2の金属元素は、CoとCuとZnとのいずれかであることを特徴とする、接合材前駆体の製造方法。
  2. 固体酸化物を含む電解質層と前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを含む電気化学反応単セルと、前記電気化学反応単セルの前記空気極の側に配置された集電部材と、を備える電気化学反応単位を複数備える電気化学反応セルスタックの製造方法であって、
    請求項に記載の接合材前駆体の製造方法で製造された前記接合材前駆体を準備する工程と、
    前記第1の導電性部材としての前記空気極と前記第2の導電性部材としての前記集電部材との間に、前記接合材前駆体を配置する工程と、
    前記接合材前駆体を焼成することにより、前記空気極と前記集電部材とを接合する前記接合材を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする、電気化学反応セルスタックの製造方法。
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