JP6159064B2 - 立方晶窒化ホウ素複合多結晶体及び切削工具、線引きダイス、ならびに研削工具 - Google Patents

立方晶窒化ホウ素複合多結晶体及び切削工具、線引きダイス、ならびに研削工具 Download PDF

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Description

本発明は立方晶窒化ホウ素複合多結晶体およびその製造方法、切削工具、線引きダイス、ならびに研削工具に関し、特に鉄系材料の切削工具および耐摩工具に有用な立方晶窒化ホウ素複合多結晶体、該多結晶体を備えた切削工具、線引きダイス、ならびに研削工具に関するものである。
立方晶窒化ホウ素(cBN)はダイヤモンドに次ぐ硬度を有し、熱的安定性および化学的安定性に優れる。また、鉄系材料に対しては、ダイヤモンドよりも安定なため、鉄系材料の加工工具としてcBN焼結体が用いられてきた。
しかし、このcBN焼結体には、10〜40%程のバインダーが含まれており、このバインダーが、焼結体の強度、耐熱性、熱拡散性を低下させる原因となっていた。そのため、特に鉄系材料を高速で切削加工する場合に、熱負荷が大きくなり、刃先の欠損や亀裂が生じやすく、工具の寿命が短くなる。
この問題を解決する手法として、バインダーを用いずに、触媒を用いて焼結体を製造する方法がある。この方法では、六方晶窒化ホウ素(hBN)を原料とし、ホウ窒化マグネシウム(Mg3BN3)等を触媒として反応焼結させる。この方法で得られたcBN焼結体は、バインダーを含まないため、cBN同士が強く結合しており、熱伝導率が高くなる。そのため、ヒートシンク材やTAB(Tape Automated Bonding)ボンディングツールなどに用いられている。しかし、この焼結体の中には触媒がいくらか残留しているため、熱を加えると触媒とcBNとの熱膨張差による微細クラックが入りやすく、切削工具には向かない。また、粒径が10μm前後と大きいため、熱伝導率が高いものの、強度は弱く、負荷の大きい切削には耐えられない。
一方、hBN等の常圧型BNを、超高圧高温下で触媒を用いず、直接hBNからcBNへ変換させると同時に焼結させること(直接変換焼結法)によってもcBN焼結体は得られる。たとえば、特開昭47−34099号公報(特許文献1)や特開平3−159964号公報(特許文献2)にhBNを超高圧高温下で、cBNに変換させcBN焼結体を得る方法が示されている。また、熱分解窒化ホウ素(pBN)を原料とし、cBN焼結体を得る方法がある。この種の方法が、例えば特公昭63−394号公報(特許文献3)や特開平8−47801号公報(特許文献4)に示されている。この方法では7GPa、2100℃以上の条件が必要である。
上記の条件よりマイルドな圧力6GPa、1100℃という条件でcBN焼結体を得る方法が特公昭49−27518号公報(特許文献5)に記載されている。この方法では原料であるhBNの粒子を3μm以下にするため、hBNが数%程度の酸化ホウ素不純物や吸着ガスを含む。したがって、これら不純物や吸着ガスの影響により、焼結が十分に進行せず、また、酸化物を含むために硬度、強度、耐熱性が低くなり、切削工具および耐摩工具として用いることができない。
上記の問題を解決するために、低結晶性の六方晶窒化ホウ素を原料とし、6〜7GPa、1550〜2100℃の条件で合成する方法が特開平11−246271号公報(特許文献6)に記載されている。また、この方法で合成されたcBN多結晶体では結晶粒径が100nm以上1μm以下程度であることが開示されている。
特開昭47−34099号公報 特開平3−159964号公報 特公昭63−394号公報 特開平8−47801号公報 特公昭49−27518号公報 特開平11−246271号公報
しかしながら、cBN多結晶体の粒径を小さくした場合には、微細加工用途に使うことが可能であるが、粒径を小さくすると靭性が低くなるため、単純に粒径を小さくしただけでは、熱負荷が大きい高速切削が困難となるという課題があった。
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、高温においても高い硬度を有する立方晶窒化ホウ素複合多結晶体およびその製造方法、該多結晶体を備えた切削工具、線引きダイス、ならびに研削工具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、超高圧高温下において、六方晶窒化ホウ素や熱分解窒化ホウ素といった常圧型窒化ホウ素を立方晶窒化ホウ素とウルツ鉱型窒化ホウ素とに直接変換することにより、高温においても硬くて強靱な立方晶窒化ホウ素複合多結晶体が得られることを見出した。
本発明に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、ウルツ鉱型窒化ホウ素と立方晶窒化ホウ素と不可避不純物とで構成され、ウルツ鉱型窒化ホウ素の含有率が0.1〜10体積%であり、立方晶窒化ホウ素の平均粒径は500nm以下であり、立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、1200℃におけるビッカース硬度が20GPa以上である。
上記の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体において好ましくは、立方晶窒化ホウ素の平均粒径は100nm以下である。
上記の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体において好ましくは、上記立方晶窒化ホウ素の(111)面のX線回折強度I(111)に対する、立方晶窒化ホウ素の(220)面のX線回折強度I(220)の比I(220)/I(111)が0.1以上である。
本発明に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体の製造方法は、出発物質として常圧型窒化ホウ素を準備する工程と、圧力8GPa以上、かつ、温度1900〜2300℃の条件下において常圧型窒化ホウ素を立方晶窒化ホウ素に直接変換させると同時に焼結させる工程とを備える。
上記の製造方法において好ましくは、上記出発物質が、(002)面のX線回折強度I(002)に対する、(100)面のX線回折強度I(100)の比I(100)/I(002)が0.1以下の熱分解窒化ホウ素である。
本発明に係る切削工具は、上記の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を備えている。本発明に係る線引きダイスは、上記の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を備えている。本発明に係る研削工具は、上記の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を備えている。
本発明によれば、高温においても高い硬度を有する立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を製造することができる。また、本発明によれば、硬度に優れた切削工具、線引きダイスおよび研削工具が得られる。
以下、本実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、複数の立方晶窒化ホウ素(cBN)と、複数のウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)とを備えている。複数の立方晶窒化ホウ素(cBN)と、複数のウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)は、それぞれ結晶粒が分散するように構成される。立方晶窒化ホウ素同士、ウルツ鉱型窒化ホウ素同士、さらに立方晶窒化ホウ素とウルツ鉱型窒化ホウ素とは、いずれも強固に結合し、緻密な複合組織を有している。具体的には、該多結晶体は、0.1〜10体積%程度のウルツ鉱型窒化ホウ素と、残部を構成する立方晶窒化ホウ素と不可避不純物とで構成されている。不可避不純物とは、たとえば窒素、水素、酸素などである。このとき、立方晶窒化ホウ素の平均粒径は500nm以下程度である。該多結晶体は、実質的にバインダー、焼結助剤、触媒などを含んでいない。また、立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、常圧型窒化ホウ素の含有率が0.1体積%以下であるのが好ましい。
本実施の形態の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、小さい平均粒径を有し、1200℃程度の高温においても高い硬度を有する。後述の各実施例より、ウルツ鉱型窒化ホウ素の含有率が0.5〜10体積%以下程度であって、残部が立方晶窒化ホウ素および不純物で構成される立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、66nm〜353nm程度の平均粒径と、1200℃において15GPa以上の硬度を有することが確認できた。しかし、立方晶窒化ホウ素の平均粒径が500nm以下程度であっても、同様の効果が得られるものと考えられる。
さらに好ましくは、粒状の立方晶窒化ホウ素の平均粒径は100nm以下程度である。後述する各実施例を参酌すると、立方晶窒化ホウ素の含有率が90体積%以上、平均粒径が100nm以下程度であって、ウルツ鉱型窒化ホウ素の含有率を10体積%以下とすれば、1200℃におけるビッカース硬度が25GPa以上の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を得ることができるものと考えられる。
立方晶窒化ホウ素複合多結晶体に含まれる立方晶窒化ホウ素は、配向性が低いのが好ましい。つまり、立方晶窒化ホウ素の(111)面のX線回折強度I(111)に対する、立方晶窒化ホウ素の(220)面のX線回折強度I(220)の比I(220)/I(111)が0.1以上であるのが好ましい。配向性が高い場合には、多結晶体の硬度に異方性が生じるが、配向性が低い場合には、どの方向にも一様に高硬度な立方晶窒化ホウ素複合多結晶体となり、工具に最適である。
後述する実施例より、圧力10GPa、温度1900〜2300℃の高圧高温下でhBNあるいはpBNから直接変換して得られた、本実施の形態に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、X線回折強度の比I(220)/I(111)が0.14〜0.29であった。一方、後述する比較例より、圧力7.7GPa、温度2300℃以上の低圧高温下でhBNから直接変換して得られた立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、X線回折強度の比I(220)/I(111)が0.05以下であった。本実施の形態に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体における立方晶窒化ホウ素は、配向性が低く、等方的であることが確認できた。
本実施の形態の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、1200℃の高温においても高硬度であるため、切削工具、線引きダイス、研削工具などに用いることができる。より具体的には、切削バイト、ダイスやマイクロ工具などの精密工具の材料として使用可能である。
次に、本実施の形態の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体の製造方法について説明する。本実施の形態の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体の製造方法は、出発物質として常圧型窒化ホウ素を準備する工程(S01)と、所定の圧力および温度下において常圧型窒化ホウ素を立方晶窒化ホウ素に直接変換させると同時に焼結させる工程(S02)とを備える。工程(S02)において、出発物質を直接変換すると同時に焼結する際に加える圧力(以下、合成圧力ともいう)は立方晶窒化ホウ素が熱力学的に安定な条件であればよく、8GPa以上とすることができる。立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を合成するために適切な焼結温度は、合成圧力によって変化する。例えば圧力が10GPaの場合の焼結温度は1900〜2300℃、圧力20GPaの場合の焼結温度は1300〜2300℃とすることができる。
これにより、立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を構成するcBN粒子やwBN粒子の結合力、これらの粒径、wBNの生成量等を適切に制御することができ、1200℃程度の高温においても高硬度の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を得ることができる。例えば、出発物質として高結晶性のhBNを用い、粒成長の起こりにくい温度条件で焼結することにより、粒径が小さくwBNを含むcBNを作製でき、これにより粒子同士の結合力が強くなり、高温においても高硬度な立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を得ることができる。
まず、出発物質として、六方晶窒化ホウ素(hBN)または熱分解窒化ホウ素(pBN)を準備する。
hBNは、高結晶性であることが好ましい。ここでいうhBNの高結晶性とは、X線回折法における黒鉛化指数(GI値)が5未満のことを指す。GI値とは、hBNのX線回折の3本のピーク、すなわち(100)、(101)、(102)のピークの面積を数式1に導入することによって導き出される値である。
Figure 0006159064
hBNの結晶性が向上するとGI値は小さくなる。ここで、I(XXX)はhBN結晶の(XXX)面の回折ピークの面積のことである。
pBNは、配向性を有しているのが好ましい。例えば、pBNは(002)面に配向性を有してもよく、pBNをc軸方向からX線回折したときの、pBNの(002)面のX線回折強度に対する(010)面のX線回折強度の比は、0.1以下としてもよい。pBNは、上記の配向性を有している限りにおいて、市販のものを使用することができる。
次に、出発物質である、hBNまたはpBNを、超高圧高温発生装置を用いて、cBNとwBNとに変換させると同時に焼結させる。上述のように、焼結は立方晶窒化ホウ素が熱力学的に安定な圧力条件下で行われ、合成圧力は8GPa以上とすることができる。合成圧力の上限値については、立方晶窒化ホウ遅が熱力学的に安定な値であればよく、実際には使用する超高圧高温発生装置により圧力の上限値は決められる(例えば、25GPa程度)。
立方晶窒化ホウ素複合多結晶体の製造方法においては、工程(S02)における焼結温度も重要である。焼結温度が2300℃より高いと、微粒cBN結晶は粒成長し、その平均粒径は500nmを超えてしまう。一方、例えば合成圧力が10GPaの場合、焼結温度が1900℃より低いと、得られる立方晶窒化ホウ素複合多結晶体には未変換の出発物質が残ってしまう。また、上述のように、立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を合成するために適切な焼結温度は、合成圧力によって変化する。圧力が低い場合には高い温度で、圧力が高い場合には低い温度で立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を合成することができる。例えば、合成圧力が20GPa程度の場合には、焼結温度が1300〜1900℃程度であっても未変換の出発物質を含まない立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を合成することができる。さらに、工程(S02)における上記温度圧力条件は、出発物質の結晶性や粒径によっても変化する。たとえば、出発物質の結晶性が上述した規定値より低い場合には、上記よりも低い温度圧力条件でもcBNへの変換が起こる。また、出発物質の粒径が小さい場合には、得られる多結晶体の粒径も小さくなるため、焼結温度を上記範囲よりも高くすることが可能である。
本実施の形態の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体の製造方法によれば、0.1〜10体積%程度のウルツ鉱型窒化ホウ素と、残部を構成する立方晶窒化ホウ素と不可避不純物で構成されており、立方晶窒化ホウ素の平均粒径が500nm以下程度である立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を得ることができる。
後述する実施例より、出発物質に黒鉛化指数が5未満の高結晶性の六方晶窒化ホウ素を用いて、工程(S02)において、圧力10GPa程度、温度1900〜2100℃程度の圧力温度条件で焼結して得られた立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、1200℃おけるビッカース硬度が、試験荷重4.9Nの条件下において、18〜19GPa程度と高硬度であった。
さらに、後述する実施例より、出発物質としてpBNを用いて、工程(S02)において、圧力10GPa程度、温度1900〜2300℃程度の圧力温度条件で焼結して得られた立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、試験温度1200℃おけるビッカース硬度が、試験荷重4.9Nの条件下において、25〜27GPa程度と高硬度であった。一方、焼結助剤を用いたcBN焼結体は、試験温度1000℃、試験荷重4.9Nの条件下のビッカース硬度が11GPaであり、試験温度1200℃、試験荷重4.9Nの条件下ではcBN焼結体が劣化し、ビッカース硬度の測定は不可能であった。また、8GPaより低い圧力で合成され、焼結助剤を含まず、粒径500nm程度であるcBN多結晶体は、試験温度1200℃、試験荷重4.9Nの条件下におけるビッカース硬度は14GPaであった。つまり、本実施の形態の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、これらのcBN焼結体よりも高温において高硬度であった。
以上のように、本実施の形態に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、1200℃程度の高温度において高硬度であるため、例えば、熱負荷が大きい高速切削や、高速の微細加工等の用途に使用される切削工具や研削工具等に用いることができる。また、本実施の形態に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体の製造方法によれば、工程(S01)において出発物質としてhBNまたはpBNを準備し、工程(S02)において当該出発物質を所定の圧力温度条件で焼結することにより、上記のような立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を作製することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
実施例1および実施例2に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を以下の方法で作製した。まず、出発原料として、GI値が4.8と高結晶性の、市販のペレット状hBNを使用した。その出発原料を高融点金属からなるカプセルに入れ、超高圧高温発生装置を用いて表1に記載の圧力、温度条件下において20分間保持し、出発原料をcBNおよびwBNに直接変換した。
実施例3〜実施例5に係る立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を以下の方法で作製した。まず、出発原料として配向性を有する市販のpBNを使用した。その出発原料を高融点金属からなるカプセルに入れ、超高圧高温発生装置を用いて表1に記載の圧力、温度条件下において20分間保持し、出発原料をcBNおよびwBNに直接変換した。なお、pBNのGI値は、X線回折における3本のピーク、すなわち(100)面、(101)面、(102)面のピークがブロードであり、互いに重なり合っていたため算出できなかった。しかし、pBNをc軸方向からX線回折したとき、(002)面の回折強度に対する(100)面の回折強度の比は0.016であり、pBNが(002)面に配向していた。
比較例1および比較例2に係る立方晶窒化ホウ素多結晶体を以下の方法で作製した。まず、出発原料として市販のペレット状のGI値が3.6の高結晶性のhBNを使用した。その出発原料を高融点金属からなるカプセルに入れ、超高圧高温発生装置を用いて表1に記載の圧力、温度条件下において15分間保持し、出発原料をcBNに直接変換した。
なお、上記hBNのGI値およびpBNの配向性を求めるために行ったX線回折は、スペクトリス社製X線回折装置(X’Pert)を使用した。
上記の様にして得られた実施例1〜5および比較例1および比較例2の立方晶窒化ホウ素多結晶体の組成、粒径、硬度を下記の手法で測定した。
各相の組成は、X線回折装置(PANalytical社製 X‘Pert)により各相を同定することにより得られた。この装置のX線の線源はCuであり、波長1.54ÅのKα線である。
立方晶窒化ホウ素複合多結晶体の平均粒径は、走査電子顕微鏡(Carl Zeiss社製 ULTRA55)によって測定した。平均粒径を求める方法として切断法を使用した。この方法では、まず走査電子顕微鏡(SEM)の画像に円を書き、円の中心から8本の直線を放射状に円の外周まで引き、円の中で直線が結晶粒界を横切る数を数える。そして、直線の長さをその横切る数で割ることで平均切片長さを求め、その平均切片長さに1.128をかけると平均結晶粒径が求められる。
切断法を用いるのに使用したSEM画像の倍率は30000倍である。その理由は、これ以下の倍率では、円内の粒の数が多くなり、粒界が見えにくく数え間違いが発生する上に、線を引く際に板状組織を含める可能性が高くなるからである。また、これ以上の倍率では、円内の粒の数が少な過ぎて、正確な平均粒径が算出できないからである。比較例2に関しては、粒径が大きすぎるため、3000倍の倍率の画像を使用した。
本実験においては、1つの試料に対して、別々の箇所を撮影した3枚のSEM画像を使用した。それぞれのSEM画像に対して切断法を使用して、その平均値を平均粒径とした。
高温における硬度の測定として、ビッカース硬度を測定した。ビッカース硬度の測定には、マイクロビッカース圧子を使用した。測定機器はニコン製QM型を用いた。10−5mmHg程度の真空雰囲気下で、試料の加熱および硬度測定を行った。測定は5回行い、その中で一番小さい値と大きい値を除いた3つの値の平均値を試料の硬度とした。
配向性は、上記X線回折装置を用いて評価した。X線回折法により、立方晶窒化ホウ素複合多結晶体中の立方晶窒化ホウ素の(220)面の回折強度I(220)と(111)面の回折強度I(111)との比I(220)/I(111)を算出した。
実施例1〜5および比較例1および比較例2の立方晶窒化ホウ素多結晶体の組成、粒径、硬度の結果を表1に示す。
Figure 0006159064
表1に示すように、実施例1〜5は、0.69〜9.98体積%のウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)を含有していることが確認された。また、実施例1〜5の平均粒径は、66〜353nmであった。このとき、実施例1〜5の試験温度1200℃におけるビッカース硬度は、18〜27GPaであった。さらに、上記X線強度の比I(220)/I(111)は、0.14〜0.29であった。
実施例1および実施例2に示すように、黒鉛化指数が5未満の高結晶性の六方晶窒化ホウ素を出発物質として得られた立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、試験温度1200℃おけるビッカース硬度が、試験荷重4.9Nの条件下において、18〜19GPa程度と高硬度であった。
実施例3〜実施例5に示すように、pBNを出発物質として得られた立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、試験温度1200℃おけるビッカース硬度が、試験荷重4.9Nの条件下において、25〜27GPa程度であり、実施例1および実施例2よりもさらに高硬度であった。
一方、比較例1および比較例2は、ウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)を全く含有していないことが確認された。また、比較例1および比較例2の平均粒径は412nm以上であり、実施例1〜5と比較して大きかった。このとき、比較例1および比較例2の試験温度1200℃におけるビッカース硬度は14GPa以下であり、実施例1〜5と比較して低かった。さらに、上記X線強度の比I(220)/I(111)は、0.05以下であり、実施例1〜5と比較して低かった。
以上の結果から、実施例1〜5の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体は、比較例1および比較例2の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体と比較して、平均粒径が小さく、高温において高硬度であり、さらに配向性が低く等方的であることが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の実施の形態および実施例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。

Claims (6)

  1. ウルツ鉱型窒化ホウ素と、残部を構成する立方晶窒化ホウ素及び不可避不純物とで構成され、
    前記ウルツ鉱型窒化ホウ素の含有率が0.1〜10体積%であり、
    前記立方晶窒化ホウ素の平均粒径は500nm以下であり、
    温度1200℃におけるビッカース硬度が、15GPa以上である、立方晶窒化ホウ素複合多結晶体。
  2. 前記立方晶窒化ホウ素の平均粒径は100nm以下である、請求項1に記載の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体。
  3. 前記立方晶窒化ホウ素の(111)面のX線回折強度I(111)に対する、
    前記立方晶窒化ホウ素の(220)面のX線回折強度I(220)の比I(220)/I(111)が0.1以上である、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を備える切削工具。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を備える線引きダイス。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素複合多結晶体を備える研削工具。
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