JP6158727B2 - 促進輸送膜及び製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物とのエンチオール反応によって得られるポリマーと、炭素数が15以下のアミン化合物、アミノ基含有イオン液体、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属リン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のキャリアと、を含有する分離層を備える促進輸送膜。
[一般式(1)中、n1は15〜250の整数であり、m1は3〜20の整数であり、X1はm1価の有機基であり、Y1は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−R11−、−CO−NH−R11−、−R12−O−R13−、−R12−NH−R13−、−R12−CO−R13−、−R12−COO−R13−、−R12−CO−NH−R13−、又は−R12−O−CO−NH−R13−であり、R11〜R13は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基である。n1同士、Y1同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(2)中、n2は15〜250の整数であり、m2は3〜20の整数であり、X2はm2価の有機基であり、Y2は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−、−CO−NH−、−CO−R21−、−CO−NH−R21−、−R22−O−R23−、−R22−NH−R23−、−R22−CO−R23−、−R22−COO−R23−、−R22−CO−NH−R23−、又は−R22−O−CO−NH−R23−であり、R21〜R23は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は炭素−炭素二重結合を有する1価の有機基である。n2同士、Y2同士、R2同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であり、一般式(2)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物である、[1]の促進輸送膜。
[一般式(3)中、n1は15〜250の整数であり、Y1は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−R11−、−CO−NH−R11−、−R12−O−R13−、−R12−NH−R13−、−R12−CO−R13−、−R12−COO−R13−、−R12−CO−NH−R13−、又は−R12−O−CO−NH−R13−であり、R11〜R13は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基である。n1同士、Y1同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(4)中、n2は15〜250の整数であり、Y2は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−、−CO−NH−、−CO−R21−、−CO−NH−R21−、−R22−O−R23−、−R22−NH−R23−、−R22−CO−R23−、−R22−COO−R23−、−R22−CO−NH−R23−、又は−R22−O−CO−NH−R23−であり、R21〜R23は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は炭素−炭素二重結合を有する1価の有機基である。n2同士、Y2同士、R2同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
R2が、下記式(5−1)〜(5−8)のいずれかである、[1]又は[2]の促進輸送膜。
炭素数が15以下のアミン化合物がアルカノールアミンである、[1]〜[3]のいずれかの促進輸送膜。
[5]
アミノ基含有イオン液体は、イミダゾリウムカチオン又はアンモニウムカチオンを含有し、イミダゾリウムカチオンは、炭素数15以下のアミノアルキル基を有し、アンモニウムカチオンは、A1A2A3A4N+で表され、A1、A2、A3、A4の少なくとも1つが炭素数15以下のアミノアルキル基である、[1]〜[4]のいずれかの促進輸送膜。
[6]
アミノ基含有イオン液体は、アミノ酸イオンから選択されるアミノ基含有アニオンを含有する、[1]〜[5]のいずれかの促進輸送膜。
[7]
分離層は、アミノ基含有イオン液体以外のイオン液体、グリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール−1,2−カルボナート及び水からなる群から選択される少なくとも1種の液体を更に含有する、[1]〜[6]のいずれかの促進輸送膜。
[8]
キャリアの含有率が、分離層の全質量を基準として5質量%〜90質量%である、[1]〜[7]のいずれかの促進輸送膜。
[9]
分離層の膜厚が100nm〜500μmである、[1]〜[8]のいずれかの促進輸送膜。
[10]
多孔質支持体を更に備え、分離層が該多孔質支持体の主表面上に積層された、[1]〜[9]のいずれかの促進輸送膜。
[1]〜[10]のいずれかの促進輸送膜の製造方法であって、エンチオール反応を光及び/又は熱により行う工程を備える、促進輸送膜の製造方法。
[12]
エンチオール反応を重合開始剤の存在下で行う、[11]の促進輸送膜の製造方法。
[13]
一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とを含む溶液を多孔質支持体の表面上にコーティングする工程と、表面上でエンチオール反応を行う工程と、を備える、[11]又は[12]の促進輸送膜の製造方法。
本実施形態の促進輸送膜において、ポリマーは、下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物とのエンチオール反応によって得られるポリエチレングリコール骨格を有する多官能ポリマーである。ここで、本明細書中においてポリエチレングリコール骨格とは、下記一般式(A)で表される骨格を意味し、ポリオキシエチレン骨格又はポリエチレンオキサイド骨格ともいう。ただし、式(A)中、pは自然数である。
[一般式(1)中、n1は15〜250の整数であり、m1は3〜20の整数であり、X1はm1価の有機基であり、Y1は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−R11−、−CO−NH−R11−、−R12−O−R13−、−R12−NH−R13−、−R12−CO−R13−、−R12−COO−R13−、−R12−CO−NH−R13−、又は−R12−O−CO−NH−R13−であり、R11〜R13は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基である。n1同士、Y1同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(2)中、n2は15〜250の整数であり、m2は3〜20の整数であり、X2はm2価の有機基であり、Y2は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−、−CO−NH−、−CO−R21−、−CO−NH−R21−、−R22−O−R23−、−R22−NH−R23−、−R22−CO−R23−、−R22−COO−R23−、−R22−CO−NH−R23−、又は−R22−O−CO−NH−R23−であり、R21〜R23は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は炭素−炭素二重結合を有する1価の有機基である。n2同士、Y2同士、R2同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(3)中、n1は15〜250の整数であり、Y1は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−R11−、−CO−NH−R11−、−R12−O−R13−、−R12−NH−R13−、−R12−CO−R13−、−R12−COO−R13−、−R12−CO−NH−R13−、又は−R12−O−CO−NH−R13−であり、R11〜R13は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基である。n1同士、Y1同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(4)中、n2は15〜250の整数であり、Y2は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−、−CO−NH−、−CO−R21−、−CO−NH−R21−、−R22−O−R23−、−R22−NH−R23−、−R22−CO−R23−、−R22−COO−R23−、−R22−CO−NH−R23−、又は−R22−O−CO−NH−R23−であり、R21〜R23は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は炭素−炭素二重結合を有する1価の有機基である。n2同士、Y2同士、R2同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
本実施形態の促進輸送膜に用いられるキャリアは、炭素数が15以下のアミン化合物、アミノ基含有イオン液体、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属リン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。これらのキャリアは、特に酸性ガスのキャリアとして好適である。
本実施形態の促進輸送膜においては、分離層は、アミノ基含有イオン液体以外のイオン液体、グリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びグリセロール−1,2−カルボナート及び水からなる群から選択される少なくとも1種の液体を含有することが好ましい。これらの液体を用いることで、分離すべきガスとキャリアとの反応をより促進することができる。また、キャリアが分離条件の温度で固体の場合、液体にキャリアを溶解させることで、分離条件の温度で分離層をゲル状とすることが可能となる。これらの中でも、促進輸送膜の透過性能の観点から、イオン液体、グリセリン、水がより好ましい。
本実施形態の促進輸送膜をより詳細に説明するために、促進輸送膜の製造方法をまず説明する。しかし、この製造方法に限定されるものではなく、促進輸送膜が得られれば、どのような製造方法でもよい。
本実施形態において、キャリアの含有率は、分離層の全質量を基準として、好ましくは5質量%〜90質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、特に好ましくは50〜70質量%である。キャリアの含有率が90質量%を超える場合、分離層の強度が低下しピンホールを生じやすくなる、液体の漏出が生じるといった問題が生じる傾向にあるため、促進輸送膜として適さない。液体の含有率が5質量%未満の場合、キャリアの含有量が少ないため、特に酸性ガスの透過性が減少する傾向にあるため適さない。
<末端がビニル基の4官能ポリエチレングリコール(4ARM−PEG−ビニル−10K)の合成>
まず、内容量500mlのガラス製1口フラスコにp−トルエンスルホン酸・一水和物(PTSA)3.6g、テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株):試薬特級)50mlを加え、スターラ−で撹拌し溶解した。溶解後、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)5.6gをテトラヒドロフラン50mlで溶解した溶液にゆっくり加えた。10分間撹拌後、析出した白色沈殿を濾過し、得られた沈殿物を塩化メチレン(和光純薬工業(株):試薬特級)とヘキサン(和光純薬工業(株):試薬特級)とを用い再結晶し、白色の針状結晶を得た(PTSA/DMAP:収率72%)。次に、内容量200mlのガラス製フラスコを用い、ディーン・スターク装置を準備した。これに末端が水酸基の4官能ポリエチレングリコール(JENKEM USA社製:4ARM−PEG−10K(商品名)、分子量10000Da)5g、3−ブテン酸(東京化成工業(株)製)12g、トルエン(和光純薬工業(株)製:試薬特級)15g、PTSA/DMAPを440mg加え、窒素置換した。副生成物として発生する水を共沸により除去し、必要に応じてトルエンを継ぎ足しながら120℃で3時間還流させた。冷却後、飽和食塩水を加え、クロロホルム(和光純薬工業(株):試薬特級)を用いて抽出し、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)飽和水溶液で不純物を抽出により取り除いた。エバポレーターでクロロホルムを除去した後、エタノール(和光純薬工業(株)製:試薬特級)とヘキサン(和光純薬工業(株)製:試薬特級)とを用いて再結晶を行い、白色結晶を得た(収率89%)。1H−NMR測定により、白色結晶が、上記一般式(7−1)に相当する末端がビニル基の4官能ポリエチレングリコール(4ARM−PEG−ビニル−10K)であることを確認した。
内容量10mlのスクリュー管に4ARM−PEG−ビニル−10Kを125mg、上記一般式(6)に相当する末端がチオール基の4官能ポリエチレングリコール(JENKEM USA社製:4ARM−SH−10(商品名)、分子量10000Da)125mg、IRGACURE2959(Ciba製)2.5mg、蒸留水4.75gを加え、撹拌し、気泡が無くなるまで静置した。石英板の上にPS20(商品名)(セプロ社製、ポリスルホン製UF膜)をポリスルホン層が上向きになるように置き、その上に溶液をのせ、もう一枚の石英板を重ねて挟んだ。露光機(UVシステムズ製:FUSION VPS−6)で1512mJ/cm2(254nmにおける露光量)照射し、12時間静置した。石英板をゆっくりとはがし、得られた膜をメタノールに12時間浸漬した後、ジエタノールアミン(東京化成工業(株)製):メタノール(和光純薬工業(株)製:試薬特級)=1:7(質量比)の溶液に浸漬した。浸漬後、70℃、2時間真空下で乾燥することでメタノールを除去し、促進輸送膜(複合膜)を得た。
国際公開第2013/118776号を参考に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシンを作製した。実施例1のジエタノールアミン:メタノール=1:7(質量比)の溶液を1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシン:メタノール=1:7(質量比)の溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして促進輸送膜(複合膜)を得た。
実施例1のジエタノールアミン:メタノール=1:7(質量比)の溶液をCs2CO3(炭酸セシウム)(和光純薬工業(株):試薬特級):水=1:20(重量比)に代え、メタノールを除去する工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして促進輸送膜(複合膜)を得た。
内容量20mlのスクリュー管に4ARM−PEG―ビニル−10Kを500mg、末端がチオール基の4官能ポリエチレングリコールである4ARM−SH−10K(商品名)(JENKEM USA社製:分子量10000Da)500mg、IRGACURE2959(商品名)(Ciba製)10mg、1,4−ジオキサン(和光純薬工業(株):試薬特級)9.0gを加え、気泡が無くなるまで静置した。溶液をゆっくりとシャーレに展開し、PAN50(商品名)(セプロ社製:ポリアクリロニトリルUF膜)のポリアクリロニトリル層のみにフロートコート(溶液表面に浮遊・接触させ連続的に引き上げる方法)で塗工を行った。コート後、露光機(UVシステムズ製:FUSION VPS−6)を用い、1512mJ/cm2(254nmにおける露光量)で照射した。照射後12時間静置した後、得られた膜に対して上記と同様に再び溶液でフロートコート、露光の工程を行った。12時間静置後、得られた膜を過剰量のメタノールに12時間浸漬した後、過剰量の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシン:メタノール=1:7(重量比)の溶液に12時間浸漬した。2時間真空下で乾燥することでメタノールを除去し、促進輸送膜(複合膜)を得た。
内容量20mlのスクリュー管に4ARM−PEG―ビニル−10Kを500mg、末端がチオール基の4官能ポリエチレングリコールである4ARM−SH−10K(商品名)(JENKEM USA社製:分子量10000Da)500mg、IRGACURE2959(商品名)(Ciba製)10mg、1,4−ジオキサン(和光純薬工業(株):試薬特級)9.0gを加え、気泡が無くなるまで静置した。静置後、片端のみ封止された25cm程度の長さの細長いガラス管に溶液を移し、ガラス管の開放部が上部になるように垂直に設置した。PVDF製中空糸UF膜(旭化成ケミカルズ(株)製)の先端を圧着して封止し、先端に2gの重りをつけ、溶液に浸漬し垂直に引き上げることでディップコートを行った。コート後、中空糸を金属製の枠に貼り付け、中空糸の全面を数回に分けて露光機(UVシステムズ製:FUSION VPS―6)で1512mJ/cm2(254nmにおける露光量)照射した。照射後12時間静置した後、得られた膜に対して上記と同様に再び溶液でディップコート、露光の工程を行った。12時間静置後、得られた膜を過剰量のメタノールに12時間浸漬した後、過剰量の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシン:メタノール=1:7(重量比)の溶液に12時間浸漬した。70℃、2時間真空下で乾燥することでメタノールを除去し、促進輸送膜(複合膜)を得た。
旭化成ケミカルズ社製ポリエチレン多孔質膜ハイポア(登録商標)NB630(膜厚30μm)に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシンを十分に染み込ませ、表面の液体をキムワイプでふき取り、多孔質支持体に液体を染み込ませた多孔質含浸液膜を作製した。
特許文献2を参考とし、促進輸送膜の作製を試みた。内容量10mlのスクリュー管に、末端がN−ヒドロキシスクシンイミジル基の4官能ポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT PTE−100GS(商品名)(日本油脂(株)製:分子量 10000Da)260mg、1,4−ジオキサン2.8gを加え混合しA液とした。また、別の内容量10mlのスクリュー管に、末端がアミノ基の4官能ポリエチレングリコールであるSUNBRIGHT PTE−100PA(商品名)(日本油脂(株)製:分子量10000Da)260mg、1,4−ジオキサン2.7gを加え混合しB液とした。A液とB液とを混合し、シャーレに展開し、PAN50(商品名)(セプロ社製:ポリアクリロニトリルUF膜)のポリアクリロニトリル層のみにフロートコート(溶液表面に浮遊・接触させ連続的に引き上げる方法)で塗工を行った。A液とB液とを混合後、素早くゲル化が進行し硬化したため、PAN50に均一にフロートコートすることができなかった。分離層を支持体にコートすることが困難であったため、以後の工程を行うことはできなかった。
比較例2のコーティング方法をフロートコートからディップコートに変更し、PAN50をPVDF製中空糸UF膜(旭化成ケミカルズ(株)製)に変更した以外は、比較例2と同様にして促進輸送膜の作製を試みた。ディップコートは、PVDF製中空糸UF膜を20cmの長さに切り、先端を圧着して封止し、2gの重りをつけ、溶液に浸漬し垂直に引き上げることで行った。A液とB液とを混合後、素早く反応が進行し硬化したため、均一にディップコートすることはできなかった。分離層を支持体にコートすることが困難であったため、以後の工程は行うことができなかった。
実施例1〜2の促進輸送膜については、同じ組成の自立膜を作製し、キャリア含有率を測定した。まず、自立膜の質量を正確に計測し(計測値をW1とする)、自立膜を過剰量のメタノールに24時間浸漬した後、12時間70℃真空乾燥を行い、自立膜の質量を再び計測した(計測値をW2とする)。キャリア含有率(質量%)=(W1−W2)/W1×100の式によりキャリア含有率を計算した。実施例3については、まず同じ組成の自立膜を作製し、自立膜の質量を正確に計測した(計測値をW3とする)。その後、自立膜を水に浸漬した後、水を乾燥させることによって水に含まれるCs2CO3の量を測定し、Cs2CO3の量とした(計測値をW4とする)。キャリア含有率(質量%)=W4/W3×100の式によりキャリア含有率を計算した。
実施例1〜3の促進輸送膜(複合膜)の分離層の膜厚については、走査型電子顕微鏡(JCM−5100型、JEOL製)によって、断面を観察することによって測定した。結果を表1にまとめた。
実施例1〜3、比較例1における気体透過測定を、ジーティーアールテック社製等圧式ガス透過率測定装置(GTR20FMAK)を用いて実施した。相対湿度50%、80℃、ゲージ圧0.01MPa、10%二酸化炭素(CO2)/90%窒素(N2)の混合ガスを用い測定した。また、耐圧性、長期安定性の指標として、0.8MPa加圧後気体透過性能を測定した。0.8MPa加圧は、Feedガスとして10%二酸化炭素(CO2)/90%窒素(N2)の混合ガスを用い、ゲージ圧0.8MPaに加圧して1週間保存することで行った。0.8MPa加圧後気体透過性能は、相対湿度50%、80℃、ゲージ圧0.01MPa、10%二酸化炭素(CO2)/90%窒素(N2)の混合ガスを用い測定した。二酸化炭素の透過度(QCO2)、理想分離係数(α*CO2/N2、α*CO2/CH4)を比較した。結果を表1に示す。
Q:透過係数(1GPU=1×10−6[cm3(STP)/cm2/s/cmHg])
α*:理想分離係数
emimGly:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムグリシン
−:未実施
測定不可能:膜に欠陥やピンホール等が生じ、測定に必要な差圧を維持できなくなった状態。
実施例4〜5、比較例2〜3について、コーティング性を評価した。支持体上に欠陥なくコートできたものを「OK」、できなかったものを「NG」とした。CO2とN2との分離係数が15以上のものを欠陥なくコートできたと判断した。実施例4、比較例2については、ジーティーアールテック社製差圧式ガス・水蒸気透過率測定装置(GTR30XAAS)にて、相対湿度50%、80℃、ゲージ圧0.01MPa、10%二酸化炭素(CO2)/90%窒素(N2)の混合ガスを用い測定した。実施例5、比較例3については、ジーティーアールテック社製等圧式ガス透過率測定装置(GTR20FMAK)にて、相対湿度50%、80℃、ゲージ圧0.01MPa、10%二酸化炭素(CO2)/90%窒素(N2)の混合ガスを用い測定した。結果を表2に示す。
Claims (13)
- 下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物とのエンチオール反応によって得られるポリマーと、
炭素数が15以下のアミン化合物、アミノ基含有イオン液体、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属リン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のキャリアと、
を含有する分離層を備える促進輸送膜。
[一般式(1)中、n1は15〜250の整数であり、m1は3〜20の整数であり、X1はm1価の有機基であり、Y1は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−R11−、−CO−NH−R11−、−R12−O−R13−、−R12−NH−R13−、−R12−CO−R13−、−R12−COO−R13−、−R12−CO−NH−R13−、又は−R12−O−CO−NH−R13−であり、R11〜R13は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基である。n1同士、Y1同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(2)中、n2は15〜250の整数であり、m2は3〜20の整数であり、X2はm2価の有機基であり、Y2は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−、−CO−NH−、−CO−R21−、−CO−NH−R21−、−R22−O−R23−、−R22−NH−R23−、−R22−CO−R23−、−R22−COO−R23−、−R22−CO−NH−R23−、又は−R22−O−CO−NH−R23−であり、R21〜R23は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は炭素−炭素二重結合を有する1価の有機基である。n2同士、Y2同士、R2同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。] - 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であり、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物である、請求項1に記載の促進輸送膜。
[一般式(3)中、n1は15〜250の整数であり、Y1は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−R11−、−CO−NH−R11−、−R12−O−R13−、−R12−NH−R13−、−R12−CO−R13−、−R12−COO−R13−、−R12−CO−NH−R13−、又は−R12−O−CO−NH−R13−であり、R11〜R13は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基である。n1同士、Y1同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(4)中、n2は15〜250の整数であり、Y2は炭素数1〜15の炭化水素基、−CO−、−CO−NH−、−CO−R21−、−CO−NH−R21−、−R22−O−R23−、−R22−NH−R23−、−R22−CO−R23−、−R22−COO−R23−、−R22−CO−NH−R23−、又は−R22−O−CO−NH−R23−であり、R21〜R23は各々独立に炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は炭素−炭素二重結合を有する1価の有機基である。n2同士、Y2同士、R2同士は各々互いに同一でも異なっていてもよい。] - 前記炭素数が15以下のアミン化合物がアルカノールアミンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の促進輸送膜。
- 前記アミノ基含有イオン液体は、イミダゾリウムカチオン又はアンモニウムカチオンを含有し、
前記イミダゾリウムカチオンは、炭素数15以下のアミノアルキル基を有し、
前記アンモニウムカチオンは、A1A2A3A4N+で表され、前記A1、A2、A3、A4の少なくとも1つが炭素数15以下のアミノアルキル基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の促進輸送膜。 - 前記アミノ基含有イオン液体は、アミノ酸イオンから選択されるアミノ基含有アニオンを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の促進輸送膜。
- 前記分離層は、前記アミノ基含有イオン液体以外のイオン液体、グリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール−1,2−カルボナート及び水からなる群から選択される少なくとも1種の液体を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の促進輸送膜。
- 前記キャリアの含有率が、前記分離層の全質量を基準として5質量%〜90質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の促進輸送膜。
- 前記分離層の膜厚が100nm〜500μmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の促進輸送膜。
- 多孔質支持体を更に備え、前記分離層が該多孔質支持体の主表面上に積層された、請求項1〜9のいずれか一項に記載の促進輸送膜。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の促進輸送膜の製造方法であって、
前記エンチオール反応を光及び/又は熱により行う工程を備える、促進輸送膜の製造方法。 - 前記エンチオール反応を重合開始剤の存在下で行う、請求項11に記載の促進輸送膜の製造方法。
- 前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物とを含む溶液を多孔質支持体の表面上にコーティングする工程と、
前記表面上で前記エンチオール反応を行う工程と、
を備える、請求項11又は12に記載の促進輸送膜の製造方法。
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