JP6156667B1 - 電力貯蔵装置の充放電制御装置、及び電力貯蔵システム - Google Patents
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Abstract
Description
図10は、この種のき電系統の概略的な全体構成図であり、51はき電線、52はレール、61は電力変換器、62は二次電池等からなる電力貯蔵装置である。
ここで、き電線51の電圧(き電電圧)、及び電力変換器61の出力電流の挙動を例示すると、図11のようになる。
一方、充電開始電圧を低めに設定し、放電開始電圧を高めに設定すると、定常的に発生するき電線の電圧変動に対応できず、充電頻度が増加することにより電力貯蔵装置の必要容量が増大し、コストの増加を招く等の問題が発生する。
これらの問題に対処するために、設置場所や時間帯等の特性を考慮したチューニングを行う場合には、現在の運行状況が計画時とは異なるような場合に対応できない等の問題がある。
しかしながら、この従来技術では、定常的に発生するき電電圧の変動要素を考慮していないため、マージンを小さく設定すると充放電動作が頻発し、必要な電力貯蔵容量が増加して電力貯蔵装置の高コスト化を招いてしまう。また、マージンを大きく設定すると、マージンの範囲内の回生電力については電力貯蔵装置の充電に使用することができなくなり、電力貯蔵装置の利用率が低下する。
前記充放電制御装置は、
前記直流電力系統の電圧が上昇したとき、前記電力変換器が前記直流電力系統の電力を前記電力貯蔵装置に充電する動作を開始するための充電開始電圧設定値を生成する充電開始電圧設定手段と、
前記直流電力系統の電圧が低下したとき、前記電力変換器が前記電力貯蔵装置の電力を前記直流電力系統に放電する動作を開始するための放電開始電圧設定値を生成する放電開始電圧設定手段と、
を備え、
前記充電開始電圧設定手段は、前記直流電力系統の所定期間毎における最大電圧値に対して時間遅れをもって追従する第1の電圧値を前記充電開始電圧設定値とし、
前記放電開始電圧設定手段は、前記直流電力系統の所定期間毎における最小電圧値に対して時間遅れをもって追従する第2の電圧値を前記放電開始電圧設定値とする、ことを特徴とする。
特に、直流電気鉄道の直流電力系統に本発明を適用すれば、電気車の制動時に発生する回生電力に起因したき電電圧の上昇と力行運転時に発生するき電電圧の低下を抑制し、しかも回生電力を有効に活用して省エネ効果を向上させることができる。
また、電力貯蔵装置には必要以上の貯蔵容量が求められないため、コストの低減も可能である。
まず、図1は、本発明の第1実施形態に係る充放電制御装置の構成を、直流電気鉄道のき電系統と共に示したブロック図である。
電圧データ保存部5に保存される電圧データはサンプリング周期ごとに更新されるが、最も古いデータを最新のデータに上書きすることで、過去から現在までの一定期間の電圧データを常に保持している。例えば、電圧データD1,D2,D3,D4,D5が一定周期でサンプリングされ、その保存点数が3である場合には、始めにD1,D2,D3、次にD2,D3,D4、更にD3,D4,D5というように、直近の3点のデータが更新されつつ保持されている。
また、最大値検出部6の出力側には、最大値平滑部7が接続されている。最大値平滑部7は、最大値検出部6から出力される最大値を、例えば一次遅れフィルタにより平滑し、最大値平滑値とする。この最大値平滑部7には、一次遅れフィルタだけでなく、移動平均フィルタや単位時間当たりの変化量を制限するレートリミッタを用いても良い。
放電開始電圧指令部10の出力側には、上下限リミッタ12が接続されている。この上下限リミッタ12は、放電開始電圧指令値を所定の上下限値により制限し、放電開始電圧設定値として出力する。ここで、放電開始電圧指令値は、任意の値だけでなく、き電電圧や電力貯蔵装置1のSOC(State of Charge;残容量)に応じて変化する値でも良い。
電力変換器2は、き電電圧が充電開始電圧設定値よりも高くなると、き電系統の余剰電力を電力貯蔵装置1に充電して、き電電圧の上昇を抑制するように動作する。また、電力変換器2は、き電電圧が放電開始電圧設定値よりも低くなると、電力貯蔵装置1からき電系統に放電して、き電電圧の低下を抑制するように動作する。
まず、き電電圧が図2のように変動する場合、すなわち、時刻t0以前は電気車の回生運転によるき電電圧の急峻な上昇と力行運転によるき電電圧の急峻な低下が間隔をおいて発生し、時刻t0以後はき電系統の定常的な電圧変動が大きくなる場合を想定する。なお、図2において、時刻t0以前における符号Va,Vbは上昇時または低下時のき電電圧である。
図3では、き電電圧定格値に対する充電開始電圧設定値と放電開始電圧設定値との差がき電電圧の定常的な変動の最大値よりも大きくなるように設定されている。従って、時刻t0以後の定常的な電圧変動に対して電力変換器2は動作せず、電力貯蔵装置1に対して不要な充放電は行われない。しかし、時刻t0以前の回生電力を用いた電力貯蔵装置1への充電量が小さいため、回生電力を最大限活用する観点からは好ましくない。
図4では、き電電圧定格値に対する充電開始電圧設定値と放電開始電圧設定値との差をそれぞれ小さく設定している。そのため、時刻t0以前では回生電力を十分に利用して電力貯蔵装置1を充電できる反面、き電電圧の定常的な変動によって充放電が行われている。これは、電力変換器2等の稼働効率の観点からは好ましいものではない。
本実施形態では、既に説明したように、時々刻々変化するき電電圧の最大値に対して時間遅れをもって追従するように充電開始電圧設定値が生成される。
また、放電開始電圧設定値は、充電開始電圧設定値及びき電電圧定格値よりも低い値に設定され、時間に対して一定の値を維持している。充電開始電圧設定値と放電開始電圧設定値との間には、少なくとも電圧幅設定値13に相当する電圧差が存在する。
一方、時刻t0以後に発生するき電電圧の定常的な電圧変動に対しては、き電電圧が充電開始電圧設定値及び放電開始電圧設定値を超えることがない。従って、電力貯蔵装置1に対する不要な充放電動作が行われることはない。
すなわち、本実施形態によれば、き電電圧の変動に応じて充電開始電圧設定値を柔軟に変更しているため、回生電力の有効利用と不要な充放電動作の回避による省エネ効果の向上を期待することができる。
図6は、本発明の第2実施形態に係る充放電制御装置21の構成を、直流電気鉄道のき電系統と共に示したブロック図である。図6において、第1実施形態と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、以下では第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、既に説明したように、時々刻々変化するき電電圧の最小値に対して時間遅れをもって追従するように放電開始電圧設定値が生成される。
また、充電開始電圧設定値は、放電開始電圧設定値及びき電電圧定格値よりも高い値に設定され、時間に対して一定の値を維持している。充電開始電圧設定値と放電開始電圧設定値との間には、少なくとも電圧幅設定値13に相当する電圧差が存在する。
すなわち、本実施形態によれば、き電電圧の変動に応じて放電開始電圧設定値を柔軟に変更しているため、回生電力の有効利用と不要な充放電動作の回避による省エネ効果の向上を期待することができる。
図8は、本発明の第3実施形態に係る充放電制御装置22の構成を、直流電気鉄道のき電系統とともに示したブロック図である。図8において、第1実施形態、第2実施形態と同一の部分については同一符号を付している。以下では第1実施形態、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、既に説明したように、時々刻々変化するき電電圧の最大値及び最小値に対して時間遅れをもって追従するように充電開始電圧設定値及び放電開始電圧設定値が生成される。
従って、所定の期間内で、より高いき電電圧、及び、より低いき電電圧が検出されないときは、各期間で検出された最大値及び最小値が、き電電圧の最大値Vmax及び最小値Vminとして、一定期間継続することになる。
充電開始電圧設定値は、放電開始電圧設定値及びき電電圧定格値よりも高い値に設定される。放電開始電圧設定値は、充電開始電圧設定値及びき電電圧定格値よりも低い値に設定される。充電開始電圧設定値と放電開始電圧設定値との間には、少なくとも電圧幅設定値13に相当する電圧差が存在する。
また、時刻t0以後に発生するき電電圧の定常的な電圧変動に対しては、き電電圧が充電開始電圧設定値及び放電開始電圧設定値を超えることがない。従って、電力貯蔵装置1に対する不要な充放電動作が行われることはない。
すなわち、本実施形態によれば、き電電圧の変動に応じて充電開始電圧設定値を柔軟に変更しているため、回生電力の有効利用と不要な充放電動作の回避による省エネ効果の向上を期待することができる。
同様に、最小値平滑値から補正値9を減算して放電開始電圧指令値を生成することにより、定常的に低下したき電電圧よりも補正値9だけ低い放電開始電圧設定値が得られる。これにより、き電電圧の定常的な低下に応じて電力貯蔵装置1が放電する頻度を少なくすることができる。
2:電力変換器
3:き電線
4:電圧検出部
5:電圧データ保存部
6:最大値検出部
7:最大値平滑部
8,11,14:加減算器
9:補正値
10:放電開始電圧指令部
12,16:上下限リミッタ
13:電圧幅設定値
15:最大値選択部
17:最小値検出部
18:最小値平滑部
19:充電開始電圧指令部
20,21,22:充放電制御装置
Claims (9)
- 直流電力系統に電力変換器を介して接続された電力貯蔵装置の充放電動作を制御するための充放電制御装置であって、
前記充放電制御装置は、
前記直流電力系統の電圧が上昇したとき、前記電力変換器が前記直流電力系統の電力を前記電力貯蔵装置に充電する動作を開始するための充電開始電圧設定値を生成する充電開始電圧設定手段と、
前記直流電力系統の電圧が低下したとき、前記電力変換器が前記電力貯蔵装置の電力を前記直流電力系統に放電する動作を開始するための放電開始電圧設定値を生成する放電開始電圧設定手段と、
を備え、
前記充電開始電圧設定手段は、前記直流電力系統の所定期間毎における最大電圧値に対して時間遅れをもって追従する第1の電圧値を前記充電開始電圧設定値とし、
前記放電開始電圧設定手段は、前記直流電力系統の所定期間毎における最小電圧値に対して時間遅れをもって追従する第2の電圧値を前記放電開始電圧設定値とする、
ことを特徴とする電力貯蔵装置の充放電制御装置。 - 前記放電開始電圧設定手段は、前記第2の電圧値に代えて、前記直流電力系統の定格電圧値よりも低い第3の電圧値を前記放電開始電圧設定値とすることを特徴とする請求項1に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置。
- 前記充電開始電圧設定手段は、前記第1の電圧値に代えて、前記直流電力系統の定格電圧値よりも高い第4の電圧値を前記充電開始電圧設定値とすることを特徴とする請求項1に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置。
- 前記充放電制御装置は、
前記直流電力系統の電圧を検出する第1電圧検出部と、
所定期間に検出された前記電圧のうちの最大値を出力する第2電圧検出部と、
前記第2電圧検出部から出力される前記最大値の変動を緩慢にした第1指令値を出力する第1平滑部と、
前記第1指令値を用いて前記第1の電圧値を生成する前記充電開始電圧設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置。 - 前記充放電制御装置は、
前記直流電力系統の電圧を検出する第1の電圧検出部と、
所定期間に検出された前記電圧のうちの最小値を出力する第3電圧検出部と、
前記第3電圧検出部から出力される前記最小値の変動を緩慢にした第2指令値を出力する第2平滑部と、
前記第2指令値を用いて前記第2の電圧値を生成する前記放電開始電圧設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置。 - 前記充電開始電圧設定手段は、前記第1指令値と所定の補正値とを加算して前記第1の電圧値を生成することを特徴とする請求項4に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置。
- 前記放電開始電圧設定手段は、前記第2指令値と所定の補正値とを加算して前記第2の電圧値を生成することを特徴とする請求項5に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置。
- 前記充電開始電圧設定値と前記放電開始電圧設定値との間に所定の電圧幅を保有させる手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力貯蔵装置の充放電制御装置により前記電力変換器を制御して、前記直流電力系統と前記電力貯蔵装置との間で電力の充放電を行うことを特徴とする電力貯蔵システム。
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